JP2011038185A - 低サイクル疲労特性に優れた高周波輪郭焼入れ鋼材及び高周波輪郭焼入れ部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】A=(Mo+0.227Ni+190B−7.18C−0.087Si−17.2P−2.74V−0.00955Hs+0.0344Nγ)及びB=(t×(Hcore)2)が、A−0.00000293×B≧14の関係を有することを特徴とする。ただし、Hcore;芯部硬さ、t;有効硬化層深さ、r;破損部位の半径または破損部位の肉厚の半分、Hs;表面硬さ(HV)、Nγ;高周波焼入れ硬化層の旧オーステナイト結晶粒度である。
【選択図】図4
Description
特許文献1に記載の技術は、塑性変形抵抗及び粒界強度の和を一定値以上にすることにより、低サイクル疲労特性を改善するものである。塑性変形抵抗は、鋼材の化学的成分を変数とした式によって算出されるものであり、実質的には芯部硬さが高いほど高くなる。また粒界強度が高い場合は靭性が高くなる。なお、切削性を維持するために、塑性変形抵抗及び粒界強度の和には上限が設けられている。
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、低サイクル疲労特性を安定して良くすることができる、低サイクル疲労特性に優れた高周波輪郭焼入れ鋼材及び高周波輪郭焼入れ部品を提供することにある。
(a) 質量%で、
C:0.35〜0.6%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.2〜1.8%、
S:0.001〜0.15%、
Al:0.001〜0.05%、
N:0.002〜0.020%、
P:0.025%以下、
O:0.0025%以下
を含有し、さらに、
Cr:1.8%以下、
Mo:1.5%以下、
Ni:3.5%以下、
B:0.006%以下、
V:0.5%以下、
Nb:0.04%以下、
Ti:0.2%以下、
の1種又は2種以上を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、
高周波焼入れ処理後において有効硬化層深さが0.5〜3mmであり、
芯部のフェライト分率が50%以下であり、
下記(1)式で定義される投影芯部硬さHp-coreがHV370以上であることを特徴とする低サイクル疲労特性に優れた高周波輪郭焼入れ鋼材。
Hp-core=Hcore/(1−t/r) …(1)
ただし、Hcore;芯部硬さ、t;有効硬化層深さ、r;破損部位の半径または破損部位の肉厚の半分である。
A=Mo+0.227Ni+190B−7.18C−0.087Si−17.2P−2.74V−0.00955Hs+0.0344Nγ …(2)
ただし、Hs;表面硬さ(HV)、Nγ;高周波焼入れ硬化層の旧オーステナイト結晶粒度。
B=t×(Hcore)2 … (3)
C:0.35〜0.6%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.2〜1.8%、
S:0.001〜0.15%、
Al:0.001〜0.05%、
N:0.002〜0.020%、
P:0.025%以下、
O:0.0025%以下
を含有し、さらに、
Cr:1.8%以下、
Mo:1.5%以下、
Ni:3.5%以下、
B:0.006%以下、
V:0.5%以下、
Nb:0.04%以下、
Ti:0.2%以下、
の1種又は2種以上を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、
高周波焼入れ処理後において有効硬化層深さが0.5〜3mmであり、
芯部のフェライト分率が50%以下であり、
下記(2)式で定義されるA及び下記(3)式で定義されるBが、A−0.00000293×B≧14の関係を有することを特徴とする低サイクル疲労特性に優れた高周波輪郭焼入れ鋼材。
A=Mo+0.227Ni+190B−7.18C−0.087Si−17.2P−2.74V−0.00955Hs+0.0344Nγ …(2)
ただし、Hs;表面硬さ(HV)、Nγ;高周波焼入れ硬化層の旧オーステナイト結晶粒度。
B=t×(Hcore)2 … (3)
ただし、Hcore;芯部硬さ、t;有効硬化層深さ。
(e)高周波焼入れ後の芯部組織において、パーライト、フェライト、及びベイナイトの有効結晶粒径が50μm以下であることを特徴とする上記(a)〜(d)のいずれか一つに記載の高周波輪郭焼入れ鋼材。
(f)表面の残留応力が−500MPa以下であることを特徴とする上記(a)〜(e)のいずれか一つに記載の低サイクル疲労特性に優れた高周波輪郭焼入れ鋼材。
(A)高周波焼入れ硬化層と芯部の境界付近に歪みが集中し、微小亀裂が発生する。
(B)微小亀裂が高周波焼入れ硬化層に伝搬して、粒界割れを伴って高周波焼入れ硬化層が脆性破壊を起こす。
(C)その後、芯部が急速に破壊する。
Hp-core=Hcore/(1−t/r) …(1)
ただし、Hcore;芯部硬さ、t;有効硬化層深さ(JIS G 0559に規定)、r;破損部位の半径または破損部位の肉厚の半分である。破損部位とはいわゆる設計上の危険断面のことであり、歯車部品においては、図2に矢印で示した部分が破損部位の肉厚に相当する。シャフトのような軸状部品では、最小直径部や応力集中が最大となる断面の半径がこれに相当する。
A=Mo+0.227Ni+190B−7.18C−0.087Si−17.2P−2.74V−0.00955Hs+0.0344Nγ …(2)
ただし、Hs;表面硬さ(HV)、Nγ;高周波焼入れ硬化層の旧オーステナイト結晶粒度である。
B=t×(Hcore)2 … (3)
本図から、指標Bが小さいほど高周波焼入れ硬化層の脆性破壊が抑制されて低サイクル疲労強度は向上することが分かる。すなわち、指標Bにより、高周波焼入れ硬化層の脆性破壊のしやすさを整理することができる。
本発明の実施例の試験片は、平行部の直径が12mmの円柱形であり、中央部に半円弧の切り欠きを有している。切り欠き半径R=1であり、切り欠き底直径は10mmである。試験方法は荷重制御4点曲げ疲労試験であり、最大負荷応力と最小負荷応力の応力比は0.1、周波数は5Hzである。
従来用いられている代表的な浸炭歯車であるSCM420浸炭材(Cp=0.9%、表面硬さHV800)の5000回の低サイクル疲労強度は約910〜970MPaである。
一方、A−0.00000293×B≧−14を満たす実施例では、高周波輪郭焼入れ鋼材の低サイクル疲労強度が1000MPa以上になることが示された。また、A−0.00000293×B≧−13を満たす場合に高周波輪郭焼入れ鋼材の低サイクル疲労強度が1100MPa以上になること、及びA−0.00000293×B≧−12を満たす場合に高周波輪郭焼入れ鋼材の低サイクル疲労強度が1200MPa以上になることも示された。
結果を表2に示す。
Claims (6)
- 質量%で、
C:0.35〜0.6%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.2〜1.8%、
S:0.001〜0.15%、
Al:0.001〜0.05%、
N:0.002〜0.020%、
P:0.025%以下、
O:0.0025%以下
を含有し、さらに、
Cr:1.8%以下、
Mo:1.5%以下、
Ni:3.5%以下、
B:0.006%以下、
V:0.5%以下、
Nb:0.04%以下、
Ti:0.2%以下、
の1種又は2種以上を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、
高周波焼入れ処理後において有効硬化層深さが0.5〜3mmであり、
芯部のフェライト分率が50%以下であり、
下記(2)式で定義されるA及び下記(3)式で定義されるBが、A−0.00000293×B≧14の関係を有することを特徴とする低サイクル疲労特性に優れた高周波輪郭焼入れ鋼材。
A=Mo+0.227Ni+190B−7.18C−0.087Si−17.2P−2.74V−0.00955Hs+0.0344Nγ …(2)
ただし、Hs;表面硬さ(HV)、Nγ;高周波焼入れ硬化層の旧オーステナイト結晶粒度。
B=t×(Hcore)2 … (3)
ただし、Hcore;芯部硬さ、t;有効硬化層深さ。 - 高周波焼入れ硬化層の旧オーステナイト結晶粒度Nγが8〜15番であることを特徴とする請求項1に記載の低サイクル疲労特性に優れた高周波輪郭焼入れ鋼材。
- 高周波焼入れ後の芯部組織において、パーライト、フェライト、及びベイナイトの有効結晶粒径が50μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の高周波輪郭焼入れ鋼材。
- 表面の残留応力が−500MPa以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の低サイクル疲労特性に優れた高周波輪郭焼入れ鋼材。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の高周波輪郭焼入れ鋼材を用いた高周波輪郭焼入れ部品。
- 前記高周波輪郭焼入れ部品は歯車であることを特徴とする請求項5に記載の高周波輪郭焼入れ部品。
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