JP2011037668A - 球状シリコン粒子の製造方法および製造装置 - Google Patents

球状シリコン粒子の製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】大がかりな設備を用いずに、不純物汚染の少ない球状シリコン粒子を製造する。
【解決手段】発散コーン部11、収束コーン部12、発散コーン部11と収束コーン部12との接続部に形成されたスロート部13、および収束コーン部12から発散コーン部11へと浮遊ガスを供給するガス供給部14を備えるガス浮遊装置を用いて、浮遊ガスが供給されている発散コーン部11に、スロート部13の内径よりも小さい球状の熔解シリコン粒が形成される量のアスペクト比が1:1〜1:4である原料30を供給する原料供給工程と、浮遊状態の原料30を非接触加熱装置41により加熱して熔解する熔解工程と、熔解された原料30が浮遊状態のまま非接触加熱装置41の熱出力を下げ原料30を凝固させる凝固工程とを行って、シリコンまたはシリコン系半導体材料の球状シリコン粒子32を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高効率の太陽電池、小型IC基板、光増倍装置として使用されるシリコンまたはシリコン系小球粒子の製造方法および製造装置に関する。
太陽電池や半導体用などのシリコン小球としては、高純度、高真球度、低欠陥であることが要求される。このため、無容器状態(浮遊状態)でシリコンを熔解・凝固させて小球を製造することが提案されている。
浮遊状態でシリコン小球粒子を製造する方法としては、静電浮遊法、電磁浮遊法、ガス浮遊法、自由落下法がある。これらのうち、太陽電池や半導体用に使用されるシリコン小球に必要な高い真球度を得られるのはガス浮遊法、自由落下法である。
特許文献1には、原料シリコンを誘導加熱炉で半熔解状態に加熱し、炉のオリフィスからこれを滴下し、比較的長い距離の自由落下中に冷却して凝固させることにより小球を形成することが記載されている。
しかしながら、特許文献1の装置では、熔解時の容器の影響でシリコンが汚染されるおそれがあり、また滴下時の直径制御が困難で、均一な小球を製造することが難しい。さらに、自由落下の場合は数m〜10mの落下距離が必要であり、装置が大がかりとなる。
一方、ガス浮遊法は、非特許文献1および2に記載の通り、上方に開いた円錐台形の上部コーン、下方に開いた円錐台形の下部コーンおよびこれらコーンを接続するスロート部を備えるガス浮遊炉を用いて、下部コーン側からガスを流すことで上部コーンに生じる空力抵抗により原料を浮遊させ、レーザ加熱により浮遊状態のまま原料を熔解させる。
原料を浮遊状態のまま溶融させる方法として、たとえば非特許文献2では直径約3mmの原料に対し、上部コーンの角度30〜60°とし、スロート部直径を1mmとすることが記されている。
また、非特許文献3には、非特許文献1の方法を用いてシリコンを浮遊状態のまま熔解でき、また浮遊状態のまま熔解したシリコンの温度をレーザ加熱の出力調整で制御できることが記されている。
従ってこの方法によれば、シリコンを熔解させる際に容器との接触がないため、汚染のおそれがなく、また浮遊状態のままシリコンの温度を下げ、凝固させることができるため、大がかりな装置は必要としない。
特開2007−99577号公報
Krishnan, S., et al., Rev. Sci. Instrum. 68 (9), p. 3512 (1997). Paradis, P.-F., et al., Rev. Sci. Instrum. 67 (1), p. 262 (1996). Ansell, S., J. Phys.: Condens. Matter, 10, p. L73 (1998).
非特許文献1および2の方法では、試料が熔解した状態では長時間にわたり浮遊状態を安定に保つことができる。しかし、熔解前の原料を浮遊させた状態でレーザ加熱を行い熔解させる際、試料の形状が球状に変化するため、浮遊のための空力抵抗も変化するので、試料の浮遊位置を安定させることが難しく、試料が上部コーンに接触しやすい。
すなわち、原料を浮遊炉に投入する際や熔解により形状が変化する際に、試料の浮遊状態を維持するために厳密にガス流量を制御する必要があるので、シリコン小球の大量生産には向いていない。
また、上述した非特許文献1に記載のガス浮遊炉では、スロート部の直径よりも試料の直径が大きく、凝固後の小球を回収する際には、上部コーンの上部から吸い上げるか、ガス浮遊炉を傾転させるなどの必要があり、装置が複雑となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、大がかりな設備を用いずに、不純物汚染の少ない球状シリコン粒子を量産製造することを目的とする。
本発明は、上方に開いた発散コーン部、下方に開いた収束コーン部、これら発散コーン部と収束コーン部との接続部に形成されたスロート部、および前記収束コーン部の下方に接続されて前記収束コーン部から前記発散コーン部へと浮遊ガスを供給するガス供給部を備えるガス浮遊装置を用いて、シリコンまたはシリコン系半導体材料の球状シリコン粒子を製造する球状シリコン粒子の製造方法であって、前記浮遊ガスが供給されている前記発散コーン部に、前記スロート部の内径よりも小さい熔解シリコン粒を形成可能な量の、アスペクト比が1:1〜1:4である原料を供給する原料供給工程と、浮遊状態の前記原料を非接触加熱装置により加熱して熔解する熔解工程と、熔解された前記原料が浮遊状態のまま前記非接触加熱装置の熱出力を下げ、前記原料を凝固させる凝固工程とを有する。
この製造方法、すなわち球状シリコン粒子が熔融状態となる時の直径よりもスロート部の内径を大きくすることにより、浮遊状態に対するガス流量の影響が少なく、原料および球状シリコン粒子の浮遊状態が極めて安定しやすくなることを見出した。スロートを広くすることで原料を浮遊させるために必要な淀み流れが生じる範囲が広くなり、特に平板状や直方体形状の物など、空力抵抗係数が高い原料でも安定に浮かせやすくなるのである。
例えば浮遊ガスを供給している発散コーン部の上部から、熔融前の原料を落下させるだけで原料を発散コーンの内部で容易に浮遊させることができ、またその際のガス流量の厳密なコントロールが不要である。この安定して浮遊する原料を熔解させ、熔解したシリコンを浮遊状態のまま凝固させることができるので、自由落下法のように大がかりな装置を必要としない。したがって、無容器状態でのシリコンの熔解・凝固が容易となり、大がかりな設備を用いずに、不純物汚染の少ない球状シリコン粒子を製造することができる。この製造方法によれば、特に、比重の小さいシリコン(2.33g/cc)の浮遊に有利である。
この製造方法において、前記球状の熔解シリコン粒の熔融状態での平均直径をd(mm)、臨界過冷却温度S(℃)を
=−5d+50d+20
と設定し、前記凝固工程における前記原料の凝固開始温度が融点〜(融点−S)℃となるように、前記原料の冷却速度を調整することが好ましい。
なおここで、熔融状態での平均直径は原料の重量をシリコンの融点での液体密度で割ることで求められる体積V(mm)からd(mm)=(6V/π)^(1/3)にて算出され、また原料の温度は放射温度計により非接触で測定される。
この場合、無容器状態で発生しやすい深い過冷却状態を回避して原料を凝固させることができる。つまり、上記範囲よりも低い温度で凝固が開始されると、熔解された原料が過冷却状態から突然凝固するので、凝固後の球状シリコン粒子の真球度が悪くなったり、粒子に大きな突起が生じたりする場合があるが、上記温度範囲で凝固を開始させることにより、深い過冷却状態からの凝固を防ぎ、真球度の良好な球状シリコン粒子を製造することができる。
前記熔解工程において、前記原料を、前記原料の融点〜(融点+100)℃の温度範囲に0.5秒〜10秒の間保持して熔解することが好ましい。
(融点+100)℃を超えると、冷却時に深い過冷却状態となりやすく、球状シリコン粒子の真球度が悪くなるおそれがある。また、熔解時間が0.5秒よりも短いと原料全体が十分に熔解できず、球状とならずに溶け残りが生じる場合があり、10秒よりも長いと過度な加熱により原料が蒸発する恐れがあるとともに、冷却時の熔解シリコン粒31が深い過冷却状態となりやすく、球状シリコン粒子の真球度が悪くなるおそれがある。したがって、上記温度範囲および時間で原料を熔解することにより、真球度の良好な球状シリコン粒子を製造することができる。
前記製造方法において、前記球状シリコン粒子の熔融状態での直径dが0.5mm〜5mmであり、前記非接触加熱装置からスポットサイズが0.1mm〜2mmであるレーザ光を照射することが好ましい。
レーザ光のスポットサイズが0.1mm未満であると、原料が局部的に加熱され、粒子の温度勾配が大きくなることにより、凝固時の熱応力が大きくなったり、ホットスポットでシリコンが蒸発したりするおそれがある。一方、レーザ光のスポットサイズが2mmを超えると、レーザ光の出力密度が低くなり、シリコンを加熱するための熱を原料に効率よく伝えることができない。したがって、球状シリコン粒子の熔融状態での直径に対するレーザ光のスポットサイズを上記範囲に設定することにより、真球度が良好な球状シリコン粒子を効率よく製造することができる。
前記製造方法において、前記原料は、シリコン粉末をプレスにより押し固めた成形体であることが好ましい。この場合、一定量に秤量したシリコン粉末から所定形状にプレスして形成された均一な原料を用いることができるので、小球の大きさや熔解条件等を揃えることができ、球状シリコン粒子の量産が容易となる。
また、本発明に係る球状シリコン粒子の製造装置は、シリコンまたはシリコン系半導体材料からなる原料を熔解して熔解シリコン粒を形成し、この熔解シリコン粒を凝固させて球状シリコン粒子を製造する装置であって、上方に開いた発散コーン部、下方に開いた収束コーン部、これら発散コーン部と収束コーン部との接続部に形成され前記熔解シリコン粒の直径よりも大きい内径を有するスロート部、および前記収束コーン部の下方に接続されて前記収束コーン部および前記スロート部を通じて前記発散コーン部へ向けて下方から浮遊ガスを供給するガス供給部を備えるガス浮遊炉と、前記原料を前記ガス浮遊炉に供給する原料供給装置と、前記ガス浮遊炉内において前記浮遊ガスによって浮遊する原料を加熱し熔解する非接触加熱装置と、を備える。この製造装置を用いて、本発明に係る球状シリコン粒子の製造方法を実現することができる。
この製造装置において、前記ガス浮遊炉は、前記収束コーン部の下方に接続されたガス供給筒部と、このガス供給筒部の下部を開閉する電磁弁とを備えることが好ましい。この電磁弁の開閉を浮遊ガスの供給と合わせて制御することにより、球状シリコン粒子を効率よく製造し、回収することができる。
また、この製造装置において、さらに、前記原料が浮遊していることを確認する非接触センサと、浮遊している前記原料の温度を測定する放射温度計とを備えることが好ましい。この場合、浮遊状態の原料を適切な条件で熔解および凝固させることができる。
本発明の球状シリコン粒子の製造方法および製造装置によれば、安定な浮遊状態が達成されるとともに、加熱冷却条件の制御が容易であるので、コンパクトな設備で高い真球度と純度を備える球状シリコン粒子の量産が可能となる。
本発明に係る球状シリコン粒子を製造するガス浮遊炉を示す模式図である。 本発明に係る球状シリコン粒子の直径と臨界過冷却温度との関係を示す図である。 図1のガス浮遊炉の変形例を示す模式図である。 本発明に係る球状シリコン粒子の製造方法に対する比較例の各ガス浮遊装置を示す模式図である。
以下、本発明に係る球状シリコン粒子の製造装置および製造方法の実施形態について説明する。
図1に示すように、本発明の球状シリコン粒子の製造装置50は、ガス浮遊炉10を備え、シリコンまたはシリコン系半導体材料の原料30を浮遊状態としてレーザ光40を非接触加熱装置41から照射して熔解し、凝固させて球状シリコン粒子32を製造する。なお、原料30の熔解には、レーザ光、加熱ランプ、電子ビーム、プラズマトーチ等を用いることができ、中でもレーザ光が好ましい。
ガス浮遊炉10は、上方に開いた発散コーン部11、下方に開いた収束コーン部12、これら発散コーン部11と収束コーン部12との接続部に形成されたスロート部13、収束コーン部12の下方に接続された筒状のガス供給筒部15、およびこのガス供給筒部15から収束コーン部12および発散コーン部11へと浮遊ガス42を供給するガス供給部14を備える。また、製造装置50において、ガス供給筒部15の下方には、製造された球状シリコン粒子32が回収される回収容器24が備えられている。この回収容器24の上部にガス供給筒部15の下部が接続されていることにより、浮遊ガス42を効率よく収束コーン部12へ供給できる。
なお、発散コーン部11および収束コーン部12の形状は、円錐台のように直線状でもよく、凹面状や凸面状でもよい。
原料30は、シリコンまたはシリコン系半導体材料の粉末をプレスにより、崩れない程度に圧縮成形してなり、この成形体を1つ熔解・凝固することによりスロート部13の内径Dよりも小さい熔解シリコン粒31が形成される量となっている。
この原料30は、浮遊ガス42による浮遊状態を安定させるために、アスペクト比が1:1〜4:1であって、たとえば球状、円柱状、円板状、直方体等の多面体状、粒状、ペレット状などに形成されている。
発散コーン部11へ浮遊ガス42を供給するガス供給部14は、浮遊ガス42の供給量を調整したり停止したりするための電磁弁14aを備えている。このガス供給部14からガス供給筒部15に供給された浮遊ガス42は、収束コーン部12およびスロート部13を通過した後、発散コーン部11で上方へ向かって流れ、発散コーン部11に供給された原料30を浮遊させることができる。
また、電磁弁14aを閉鎖して浮遊ガス42の供給を停止することにより、製造された球状シリコン粒子32を、スロート部13、収束コーン部12およびガス供給筒部15を通じて、下方の回収容器24内へと落下させることができる。なお、スロート部13は、原料30や球状シリコン粒子32を安定して浮遊させるために、また製造された球状シリコン粒子32を下方へ落下させて回収可能とするために、熔解された原料30(以下、熔解シリコン粒31)の直径dの1.1倍〜2.0倍の内径Dを有している。
なお、このスロート部13の内径Dを可変とする絞り機構(図示略)をガス浮遊炉10に設けることにより、広範囲のサイズの球状シリコン粒子32を製造できる。
製造装置50には、発散コーン部11に原料30を供給する原料供給装置20が備えられている。原料供給装置20は、回転軸21を中心に回転する原料保持板22と、この原料保持板22の下面に当接して設けられた底板23とを有する。原料保持板22には、原料30を保持する貫通孔22aが、回転軸21を中心とする同心円上に複数設けられている。底板23には、発散コーン部11の上方で開口する貫通孔23aが設けられている。つまり、底板23によって下面が閉鎖された各貫通孔22a内に、球状シリコン粒子32を形成するための原料30が保持されている。
この原料供給装置20において、原料保持板22の貫通孔22aが底板23の貫通孔23aに一致するように原料保持板22を回転させることにより、この貫通孔22aに保持されていた原料30を貫通孔23aから発散コーン部11へ落下させることができると同時に、この貫通孔22a,23aを通じてレーザ光40を照射させることができる。
なお、この原料供給装置20では複数の原料30を同心円上に並べて保持し、回転運動により順次原料30を移動させて供給しているが、複数の原料30を直線上に並べて保持し、前進運動により順次原料30を移動させて供給する構造を採用してもよい。
さらに、この製造装置50には、原料30の浮遊状態を確認する非接触センサ(ディテクタ)25と、浮遊状態の原料30の温度を測定する放射温度計26が備えられている。
以上のように構成された製造装置50を用いて球状シリコン粒子32を製造する方法について説明する。
まず、ガス供給部14から浮遊ガス42の供給を開始し、発散コーン部11に、原料供給装置20を用いて、スロート部13の内径Dよりも小さい熔解シリコン粒31が形成される量の、アスペクト比が1:1〜1:4である原料30を供給する(原料供給工程)。原料30は、スロート部13から落下することなく、発散コーン部11内で浮遊ガス42により浮遊状態となる。
このとき、原料30に対してスロート部13の内径Dが大きいことから、浮遊状態に対するガス流量の影響は少なく、原料30の浮遊状態は安定しやすい。したがって、原料30が一旦安定して浮遊した後は、原料30が落下したり発散コーン部11に接触したりすることはほとんどないので、原料30の浮遊中にこの浮遊ガス42の流量を厳密にコントロールする必要はない。原料30を浮遊ガス42が供給されている発散コーン部11内に落下させるだけで、浮遊させることができる。なお、直径dが0.5mm〜5mmの熔解シリコン粒31を製造する場合、使用する浮遊ガス42の流量は0.1L/min〜5L/min程度である。
次いで、ディテクタ25により原料30の浮遊を確認した後、浮遊状態の原料30にレーザ光40を照射して原料30を熔解する(熔解工程)。浮遊状態で熔解されることにより、熔解された原料30(熔解シリコン粒31)は表面張力により球状となる。
この熔解工程においては、原料30の温度を放射温度計26により測定しながら、原料30を、原料30の融点〜(融点+100)℃の温度範囲に0.5秒〜10秒の間保持して熔解する。この温度範囲よりも高い温度で原料30を熔解した場合、冷却時の熔解シリコン粒31が深い過冷却状態となりやすい。熔解時間が0.5秒よりも短いと原料全体が十分に熔解できず、球状とならずに溶け残りが生じる場合があり、10秒よりも長いと過度な加熱により原料が蒸発するおそれがあるとともに、冷却時の熔解シリコン粒31が深い過冷却状態となりやすく、球状シリコン粒子32の真球度が悪くなるおそれがある。
なお、製造する熔解シリコン粒31の直径dを0.5mm〜5mmとした場合、レーザ光40のスポットサイズを0.1mm〜2mmとし、熔解シリコン粒31の直径dが大きいほどレーザ光40のスポットサイズを大きくする。熔解シリコン粒31の大きさに対してスポットサイズが小さすぎると、加熱が局部的となって熔解シリコン粒31内部での温度勾配が大きくなり、凝固時の熱応力が大きくなる不都合があり、またホットスポットでシリコンが蒸発したりするおそれがある。一方、スポットサイズが大きすぎると、レーザ光40の出力が低くなり、加熱効率が悪くなる。
そして、熔解された熔解シリコン粒31が浮遊状態のままレーザ光40の出力を下げ、熔解シリコン粒31を凝固させる(凝固工程)。得られた球状シリコン粒子32は浮遊したまま熔解・凝固しており、ガス浮遊炉10に接触していないため不純物汚染がなく、真球度が高い。
この凝固工程において、熔解シリコン粒31の直径をd(mm)、臨界過冷却温度S(℃)を
=−5d+50d+20
と設定し、
この凝固工程における熔解シリコン粒31の凝固開始温度が融点〜(融点−S)℃となるように、熔解シリコン粒31の冷却速度を調整する。臨界過冷却温度Sと、熔解シリコン粒31の直径dとの関係を図2に示す。冷却速度の調整は、レーザ光40の出力の大きさを制御することにより行うことができる。このように冷却されることにより、熔解シリコン粒31は深い過冷却状態(融点−S℃未満で凝固しない状態)となることなく凝固する。
以上説明したように、本発明の球状シリコン粒子の製造装置50を用いる製造方法によれば、原料30を安定して浮遊させるガス浮遊炉10を用いて熔解させ、深い過冷却状態とならないように無容器状態のまま凝固させることができるので、不純物汚染が抑えられ、真球度の高い球状シリコン粒子32が製造できる。
なお、このガス浮遊炉10において、図3に示すように、ガス供給筒部16の下部に回収用電磁弁17を設ける構造としてもよい。この場合、原料30を浮遊させている間は回収用電磁弁17を閉じ、球状シリコン粒子32を回収する際にこの回収用電磁弁17を開放するとともにガス供給部14の電磁弁14aを閉じて浮遊ガス42の供給を停止する。
ここで、本発明に係る球状シリコン粒子の製造方法の実施例および比較例について説明する。
(実施例)
実施例に用いたガス浮遊炉10の構成は以下の通りである(図1参照)。
スロート部13の内径D:3mm
発散コーン部11の高さ:7mm
コーン角度φ:50°
実施例では、収束コーン部12の下方から流量2L/minで浮遊ガス42(アルゴンガス)を流した状態で、発散コーン部11の上方から原料30を落下投入し、発散コーン部11内で原料を浮遊させた。浮遊ガス42の流量は調整せず、一定のままとした。
そして、浮遊状態の原料30に対して上方からレーザ光40(COレーザ)を照射し、原料30を熔解して直径dが約2mmの小球(熔解シリコン粒31)を形成した。このとき、レーザ光40の出力を0Wから40Wに2.5秒で増大させた。
次いで、レーザ光40の出力を0Wに落とし、さらに3秒間浮遊状態を維持して、熔解シリコン粒31を凝固させて球状シリコン粒子32とした。
そして、浮遊ガス42の供給を電磁弁14aで停止し、球状シリコン粒子32をスロート部13および収束コーン部12を通じて落下させ、回収した。
(比較例)
比較例に用いたガス浮遊炉100の構成は以下の通りである(図4参照)。
スロート部101の内径:1mm
発散コーン部102の高さ:7mm
コーン角度:50°
比較例では、熔解シリコン粒31の直径が約2mmとなる重量の原料103を発散コーン部102に置き、浮遊ガス(アルゴンガス)104の流量を徐々に増大させて原料103を浮遊させた。浮遊させるための流量は約1L/minであった。
浮遊状態の原料103にレーザ光105(COレーザ)を照射し、熔解させた。熔解して形状が変化するに従って浮遊状態が変化するため、ガス流量を細かく(±0.1L/min)調整する必要があった。原料103は、熔解途中で度々発散コーン部102と接触し、その場合はガス流量を増大させて一旦発散コーン部102から引き離し、再度ガス流量を調整した。熔解後、凝固した後に浮遊ガスの供給を停止し、発散コーン部102に残ったシリコン粒子106を回収した。
これら実施例および比較例について、球状シリコン粒子32,106を複数回製造し、各成功回数、平均バッチ時間を測定した結果を表1に示す。なお、ここでは熔解時に発散コーン部に接触せずに球状化できた回数「成功回数」と呼んでいる。
Figure 2011037668
比較例では、熔解・凝固が終了するまで発散コーン部102に接触しなかったものはなかった。浮遊ガスの流量を調整することにより、表の括弧内に示すように100回のうち18回は球状のシリコン粒子を形成することができたが、そのバッチ時間は平均1.2分であった。これに対して実施例では、成功回数が多く、製造時間が短いことが確認できた。
10 ガス浮遊炉
11 発散コーン部
12 収束コーン部
13 スロート部
14 ガス供給部
14a 電磁弁
15,16 ガス供給筒部
17 回収用電磁弁
20 原料供給装置
21 回転軸
22 原料保持板
22a 貫通孔
23 底板
23a 貫通孔
24 回収容器
25 ディテクタ(非接触センサ)
26 放射温度計
30 原料
31 熔解シリコン粒
32 球状シリコン粒子
40 レーザ光
41 非接触加熱装置
42 浮遊ガス
50 製造装置
100 ガス浮遊炉
101 スロート部
102 発散コーン部
103 原料
104 浮遊ガス
105 レーザ光
106 球状シリコン粒子
臨界過冷却温度
D スロート部の内径
d 球状シリコン粒子の直径
φ 発散コーン部の角度

Claims (8)

  1. 上方に開いた発散コーン部、
    下方に開いた収束コーン部、
    これら発散コーン部と収束コーン部との接続部に形成されたスロート部、および
    前記収束コーン部の下方に接続されて前記収束コーン部から前記発散コーン部へと浮遊ガスを供給するガス供給部を備えるガス浮遊装置を用いて、シリコンまたはシリコン系半導体材料の球状シリコン粒子を製造する球状シリコン粒子の製造方法であって、
    前記浮遊ガスが供給されている前記発散コーン部に、前記スロート部の内径よりも小さい球状の熔解シリコン粒を形成可能な量の、アスペクト比が1:1〜1:4である原料を供給する原料供給工程と、
    浮遊状態の前記原料を非接触加熱装置により加熱して熔解する熔解工程と、
    熔解された前記原料が浮遊状態のまま前記非接触加熱装置の熱出力を下げ、前記原料を凝固させる凝固工程とを有することを特徴とする球状シリコン粒子の製造方法。
  2. 前記球状の熔解シリコン粒の熔融状態での平均直径をd(mm)、臨界過冷却温度S(℃)を
    =−5d+50d+20
    と設定し、
    前記凝固工程における前記原料の凝固開始温度が融点〜(融点−S)℃となるように、前記原料の冷却速度を調整することを特徴とする請求項1に記載の球状シリコン粒子の製造方法。
  3. 前記熔解工程において、前記原料を、前記原料の融点〜(融点+100)℃の温度範囲に0.5秒〜10秒の間保持して熔解することを特徴とする請求項1または2に記載の球状シリコン粒子の製造方法。
  4. 前記球状の熔解シリコン粒の熔融状態での平均直径dが0.5mm〜5mmであり、
    前記非接触加熱装置からスポットサイズが0.1mm〜2mmであるレーザ光を照射することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の球状シリコン粒子の製造方法。
  5. 前記原料は、シリコン粉末をプレスにより押し固めた成形体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の球状シリコン粒子の製造方法。
  6. シリコンまたはシリコン系半導体材料からなる原料を熔解して熔解シリコン粒を形成し、この熔解シリコン粒を凝固させて球状シリコン粒子を製造する装置であって、
    上方に開いた発散コーン部、下方に開いた収束コーン部、これら発散コーン部と収束コーン部との接続部に形成され前記熔解シリコン粒の直径よりも大きい内径を有するスロート部、および前記収束コーン部の下方に接続されて前記収束コーン部および前記スロート部を通じて前記発散コーン部へ向けて下方から浮遊ガスを供給するガス供給部を備えるガス浮遊炉と、
    前記原料を前記ガス浮遊炉に供給する原料供給装置と、
    前記ガス浮遊炉内において前記浮遊ガスによって浮遊する原料を加熱し熔解する非接触加熱装置と、
    を備えることを特徴とする球状シリコン粒子の製造装置。
  7. 前記ガス浮遊炉は、前記収束コーン部の下方に接続されたガス供給筒部と、このガス供給筒部の下部を開閉する電磁弁とを備えることを特徴とする請求項6に記載の球状シリコン粒子の製造装置。
  8. さらに、前記原料が浮遊していることを確認する非接触センサと、浮遊している前記原料の温度を測定する放射温度計とを備えることを特徴とする請求項6または7のいずれか1項に記載の球状シリコン粒子の製造装置。
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CN113149016A (zh) * 2021-02-24 2021-07-23 上海星持纳米科技有限公司 一种粒径可调控的高纯球形纳米硅粉的制备方法

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