JP2011037338A - 車両のスリップ判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両のスリップ判定装置に於いて、より精度よく車体速を推定し、正確にスリップ判定を行うこと。
【解決手段】本発明のスリップ判定装置は、第一の車輪速センサにより得られた第一の車輪速値と、車体前後加速度値に基づいて決定された車体速推定値とに基づいて車両の車輪のスリップ状態を判定するスリップ判定部とを有し、車体前後加速度値として、車輪がスリップ状態にないときには、第二の車輪速センサにより得られた第二の車輪速値の微分値の低周波数成分と前後加速度センサにより得られた加速度値の高周波数成分を加算して得られる値が用いられ、車輪がスリップ状態にあるときには、前後加速度センサにより得られた加速度値の高周波数成分が用いられることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車両の車体速推定と車輪のスリップ判定(車輪がスリップ状態となっているか否かの判定)を行う装置に係る。
自動車等の車両の制駆動時に於いて、車輪のタイヤ力が路面の摩擦係数と接地荷重で決定される限界(最大摩擦円)を越えるほど車輪のスリップ率又はスリップ量が過大となると、車輪は、路面に対するグリップ力を失い、スリップ状態に陥り、車両の加減速性能、旋回性能、挙動安定性が低下することとなる。そこで、しばしば、車両に於いて、いずれかの車輪がスリップ状態となっているか否かの判定(スリップ判定)をするための装置が装備され、車輪がスリップ状態となった(或いはそのおそれがある)との判定がなされたときには、トラクション制御(TRC)、ABS制御等の制駆動スリップを調節する制御が実行されるようになっている。
車輪のスリップ状態は、車体速に比べて車輪速が過剰に高くなったことを判定することにより検出される。従って、スリップ判定を行うためには、車体速値をリアルタイムに検出又は取得する必要がある。この点に関し、通常の車両では、車体速を直接的に検出することのできる対地速度センサが設けられることは多くないので、従動輪を有する二輪駆動車の場合には、車体速として、従動輪の車輪速が参照される。しかしながら、四輪駆動車などの全輪が駆動輪として作動する車両の場合、全輪駆動時では、いずれの車輪に於いてもスリップ率又はスリップ量が過剰になる可能性があるので、いずれかの車輪の車輪速をそのまま車体速として参照することができない。そこで、そのような車両の加減速時に(車両の全輪に制駆動トルクが与えられている状態で)車体速値を取得する際には、例えば、全輪の車輪速のうちの最低値(加速時)又は最高値(減速時)、車両の前後加速度から推定される車体速値(例えば、[直前の車速]+[前後加速度]×[時間]により与えられる。)のうちから適当であると想定される値を車体速の推定値として選択するといったことが行われる(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−43417号公報 特開2000−52964
上記の如き車両の車輪のスリップ判定に於いては、下記の如きいくつか改善すべき問題が存在する。
(i)車両の前後加速度から車体速値(又はその候補値)を算出する場合、その前後加速度値として、車輪速センサにより検出される車輪速値の時間微分値か、前後Gセンサの検出値を用いることが考えられる。この点に関し、車輪速センサの出力値から得られる車輪速微分値は、路面の段差や継ぎ目等による高周波数帯域の誤差成分を含み易く、前後Gセンサの検出値は、路面勾配、温度ドリフト等による低周波数帯域の誤差成分を含み易い。そこで、車体速値(又はその候補値)の算出に於いては、ローパスフィルターを用いて車輪速微分値から高周波数成分を除去して得られる成分と、ハイパスフィルターを用いて前後Gセンサ検出値から低周波数成分を除去して得られる成分とを重畳することにより与えられる前後加速度値を用いるといったことが行われる(特許文献2参照)。しかしながら、車輪−路面間のグリップ力が失われて車輪がスリップ状態になると、上記の前後加速度値を与える二つの値のうち、高周波数の誤差成分を除去した車輪速微分値は、もはや正確な車体の前後加速度の成分を表さなくなる。即ち、車輪がスリップ状態にある間は、ローパスフィルターを用いて車輪速微分値から高周波数成分を除去して得られる成分は、誤差を含んでいることとなり、従って、車両の前後加速度から推定される車体速値(又はその候補値)と、実際の車体速値とが乖離してしまうおそれがある。実際、車輪がスリップ状態になると、車輪の回転速度が変化し易くなることによって車輪速微分値の大きさが大きくなり、結果として、推定車体速が車輪速に過剰に近づき、スリップ状態と判定されるべき期間又は機会が失われることが見出されている(実施形態の欄参照)。
(ii)上記の如きスリップ判定に於いては、車体速推定値は、四輪の車輪速のうちで最も変化の遅れている車輪速値、即ち、車両の加速時には、全輪の車輪速のうちの最低値、車両の減速時には、全輪の車輪速のうちの最高値、を用いて決定され、かかる車体速推定値と比較される車輪速は、最も変化の進んでいる車輪速値、即ち、車両の加速時には、全輪の車輪速のうちの最高値、車両の減速時には、全輪の車輪速のうちの最低値、が用いられる。従って、車両が加速状態にあるのか或いは減速状態にあるのかを判定し、スリップ判定に用いる車輪速を適宜切り換える必要があるところ、如何なるパラメータにより車両の加速状態及び減速状態を判定するかが問題となる。勿論、ブレーキペダル又はアクセルペダルの踏込みによって一応の判定は可能であるが、エンジンブレーキによる減速状態など、ペダルの踏込みの有無では判定できない状態がある。
(iii)上記の車両のスリップ判定は、全輪の車輪速のうちの最も変化の遅れている車輪速値から導出される車体速推定値と全輪の車輪速のうちの最も変化の進んでいる車輪速値との差分が過剰であるか否かを判定して為されるところ、かかる車体速推定値と車輪速値との差分に対する判定結果が、車両の旋回中に於ける外輪と内輪の車輪速値の差によって変わってしまうことがある。即ち、車両の旋回中、旋回外輪と旋回内輪の車輪速差の分だけ車体速推定値と車輪速値との差分が変化し、スリップ判定が不正確となり得る。
かくして、本発明の課題は、上記の如き車両のスリップ判定に於ける問題を解決し、より精度よくスリップ判定を行うことができる装置を提供することである。
本発明によれば、車体速値をより精度よく推定し、判定結果がより精度よく得られるよう改良された車両のスリップ判定装置が提供される。
一つの態様に於いて、本発明の車両のスリップ判定装置は、第一の車輪速センサにより得られた第一の車輪速値と、車体前後加速度値に基づいて決定された車体速推定値とに基づいて車輪のスリップ状態を判定するスリップ判定部とを有する。そして、スリップ判定部により、車輪のいずれもがスリップ状態にないと判定されているときには、車体前後加速度値として、第二の車輪速センサにより得られた第二の車輪速値の微分値から所定の周波数より高い周波数の成分を除去して得られる値と前後加速度センサにより得られた加速度値から所定の周波数より低い周波数の成分を除去して得られる値とを加算して得られる値が用いられる。しかしながら、スリップ判定部により、車輪のいずれかがスリップ状態にあると判定しているときには、前後加速度センサにより得られた加速度値から所定の周波数より低い周波数の成分を除去して得られる値が車体前後加速度値として用いられることを特徴とする。かかる構成に於いて、第一の車輪速値と、車体速推定値を算出するために用いられる第二の車輪速値とは、互いに異なる車輪の車輪速値であり、典型的には、第一の車輪速値は、各輪の車輪速値のうちの最も変化の進んでいる車輪速値であり、第二の車輪速値は、各輪の車輪速値のうちの最も変化の遅れている車輪速値であるが、これに限定されないことは理解されるべきである。また、上記の構成に於いて、加速時であれば、車輪速は増大するので、「最も変化の進んでいる車輪速値」は、四輪の車輪速のうちの最高値であり、「最も変化の遅れている車輪速値」は四輪の車輪速のうちの最小値である。一方、減速時であれば、車輪速は低減するので、「最も変化の進んでいる車輪速値」は、四輪の車輪速のうちの最小値であり、「最も変化の遅れている車輪速値」は四輪の車輪速のうちの最大値である。「所定の周波数」とは、車輪速センサ出力値の高周波数帯域に重畳する誤差成分(の殆ど)の周波数よりも低く、且つ、前後加速度センサの出力値の低周波数帯域に重畳する誤差成分(の殆ど)の周波数よりも高い周波数であり、装置の設計者により適宜設定されてよい周波数である。
既に述べた如く、車輪速センサ出力値から得られる車輪速微分値は、高周波数帯域に誤差成分を、前後加速度センサの検出値は、低周波数帯域の誤差成分を、それぞれ、多く含み得るので、タイヤ表面が路面を確実に把持している状態、つまり、車輪がグリップ状態にあるときには、スリップ判定に用いる車体速値を推定するための精度の良い車体前後加速度値として、車輪速センサにより得られた車輪速値の微分値から高い周波数の誤差成分を除去して得られる値と前後加速度センサにより得られた加速度値から低い周波数の誤差成分を除去して得られる値とを加算して得られる値を用いることが考えられる(特許文献2)。しかしながら、タイヤ表面が路面に対して滑っている状態、即ち、車輪がスリップ状態にあるときには、車輪は、車体の進行と無関係に回転し得ることになるので、車輪速微分値は、高周波数の誤差成分を除去した後に於いても車体前後加速度値と乖離し得ることとなる。
そこで、本発明では、上記の如く、車輪がスリップ状態にあると判定されているときには、車体前後加速度値として、前後加速度センサにより得られた加速度値から低い周波数の誤差成分を除去して得られる値を用い、スリップ状態にある車輪の車輪速センサの出力が車体前後加速度値に反映されないように装置の構成が修正される。この場合、車体前後加速度値へ車輪速微分値の成分が加算されず且つ前後加速度センサの加速度値の低周波数成分が除去されていることから、車体前後加速度値の低周波数成分が相対的に減衰されることとなるが、車輪がスリップ状態にあるときには、車体速の変化が小さくなるので、真の車体前後加速度値と低周波数成分が減衰された車体前後加速度値との乖離量は小さくなること、また、一般的に車輪がスリップ状態にある期間は比較的短いことから、車体前後加速度値の低周波数成分が低減されることの車体速推定値への影響は、(スリップした車輪の車輪速微分値に於ける誤差が用いられる場合よりも)小さく抑えられることとなる(本発明の構成により車体速推定値の精度は向上することが実験的に確かめられた。実施の形態の欄参照)。
実施の態様に於いて、車体速推定値は、車体前後加速度値に所定の時間を乗じて得られる値を車体速推定値の前回値へ加算して得られる車体前後加速度値の時間積分値と第二の車輪速値とに基づいて決定されるようになっていてよい。また、より詳細には、第二の車輪速値が車体前後加速度値の時間積分値から所定の範囲にて定められる値域内に在るときには、第二の車輪速値が車体速推定値として選択され、第二の車輪速値が前記の値域外に在るときには、第二の車輪速値に最も近い前記の値域の境界値が車体速推定値として選択されるようになっていてよい。
また、本発明のスリップ判定装置は、もう一つの態様に於いて、車両の各輪の車輪速値うちの最も変化の進んでいる第一の車輪速値と、車両の各輪の車輪速値うちの最も変化の遅れている第二の車輪速値に基づいて決定された車体速推定値と、車両の旋回外輪と旋回内輪の車輪速差とに基づいて車輪のスリップ状態を判定するようになっていてよく、或いは、車両の各輪の車輪速値うち、少なくとも一つの車輪速値よりも変化の遅れている車輪速値と、車両の旋回外内輪の車輪速差とに基づいて車両の車輪のスリップ状態を判定するようになっていてもよい。
既に触れたように、本発明の対象となっている装置では、基本的には、最も変化の進んでいる第一の車輪速値と車体速推定値との差から求められるスリップ量等のタイヤのスリップの程度を表す任意の指標量が過剰となっていることを検出して車輪のスリップ状態を判定するところ、車両の旋回中の外内輪の車輪速差により、スリップ量等の指標量が変化してしまうと、正確に車輪のスリップ状態を判定することができなくなってしまう。そこで、そのような不具合を解消するために、本発明では、車輪速値と車体速推定値に加えて、旋回外内輪の車輪速差をも考慮して、より正確に、車輪のスリップ状態を判定することが試みられる。より詳細には、例えば、本発明の装置に於いて、第一の車輪速値と車体速推定値との差の絶対値が、車両の横加速度から算出される旋回外輪の車輪速値から旋回内輪の車輪速値を差し引いた値(旋回外内輪の車輪速差)を車体速推定値に基づいて定められる許容スリップ量へ加算した値よりも大きいとき、車輪がスリップ状態にあると判定するようになっていてよい。この構成の場合、旋回外内輪の車輪速差は、スリップ状態にあるかもしれない旋回外輪及び旋回内輪の車輪速値そのものを利用するのではなく、横加速度から算出される旋回内外輪の車輪速差であるので、旋回内外輪の車輪速差自体にタイヤのスリップの程度は反映されず、従って、タイヤの状態によらずに旋回内外輪の車輪速差の影響をスリップ判定から排除することが可能となる。
なお、上記の旋回外内輪の車輪速差の影響をスリップ判定から排除する構成は、前に述べた車輪のスリップ状態によって車体前後加速度の決定手法を変更する構成と共にスリップ判定装置に組み込まれていてよい。
更に、上記の如きスリップ判定装置では、上記から理解される如く、車両が加速中であるか減速中であるかよって、スリップ判定に使用すべき車輪速値の切換が必要となる。かかる切換は、従前では、ブレーキペダル又はアクセルペダルの踏込みによって実行されていたが、実際の車両に於いては、エンジンブレーキを使用する場合など、ペダル操作とは無関係に車両が加減速されることがある。そのような場合にも正確に車両の加減速状態による車輪速値の切換を実現すべく、本発明の装置では、前後加速度センサの出力値、特に、その出力値から低周波数帯域の誤差成分を除去した値によって、スリップ判定に使用すべき車輪速値の切換が為されるようになっていてよい。
本発明は、車体速を直接的に検出することが困難であり、従って、車輪のスリップ状態を正確に知ることが困難である車両、特に、四輪駆動車に於いて、種々の態様にて、車輪のスリップ状態について誤判定を低減することを可能にするものであるということができる。上記の説明から理解される如く、本発明の装置の構成によれば、車輪がスリップ状態となったときの車輪速センサ出力値の誤差成分や旋回中の車輪に於ける旋回外内輪の車輪速差などの影響を排除することによって、真にスリップ状態であるときに、そのことをより確実に判定し、スリップ状態でないにもかかわらず、スリップ状態であると誤判定する期間及び機会が低減されることが期待される。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
図1は、本発明によるスリップ判定装置の好ましい実施形態が実現される自動車の模式図を示している。 図2は、スリップ判定装置の構成を制御ブロック図の形式で表したものである。 図3は、図2のスリップ判定装置内の各部の構成を制御ブロック図の形式で表したものである。(A)は、加減速判定部、(B)は、車体速推定部、(C)旋回外内輪車輪速差算定部、(D)は、スリップ判定部の構成をそれぞれ示している。(Ca)は、旋回外内車輪速差の推定値の算出の原理を説明する図である。 図4の上段は、車輪がスリップ状態となった場合の車輪速値(実太線−四輪の車輪速の全てを重ねて示している。)、本発明の装置による車体速推定値(実細線)、従来技術による車体速推定値(一点鎖線)、GPSにより検出した車体速値(点線)の時間変化の例を示しており、図4の下段は、上段の例に於いて、本発明の装置によるスリップ判定(実線)と従来技術によるスリップ判定(一点鎖線)が為される期間を示している。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
装置の概要
図1は、本発明のスリップ判定装置の好ましい実施形態が搭載される四輪駆動車を模式的に示している。同図に於いて、左右前輪12FL、12FRと、左右後輪12RL、12RRを有する車両10には、通常の態様にて、運転者によるアクセルペダル(図示せず)の踏込みに応じて前後輪に駆動力を発生する駆動装置16が搭載される。駆動装置16に於いて、図示の例では、エンジンと電動機とが差動歯車装置にて連結されてなるハイブリッド式の駆動ユニット18、電動機単体、或いは、ガソリン又はディーゼルエンジン単体からの駆動トルク或いは回転駆動力は、トランスミッション(変速機)20を経て、センタデフ(又はトランスファ)22へ伝達され、更に、前輪側デフ24及び後輪側デフ26を介して、前輪12FL、12FR及び後輪12RL、12RRへそれぞれ伝達される。なお、簡単のため図示していないが、車両10には、通常の車両と同様に各輪に制動力を発生する制動系装置、前輪の舵角を制御するステアリング装置が設けられる。
車両の駆動装置及び制動装置の作動は、電子制御装置50に於いて制御され、本発明のスリップ判定装置の構成及び作動は、電子制御装置50の一部に於いて実現される。電子制御装置50は、通常の形式の、双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を含んでいてよい。電子制御装置50には、各輪に搭載された車輪速センサ40i(iは、特に断らない限り、FL、FR、RL、RR、即ち、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪の値であることを示す。)からの車輪速を表す信号Vwiと、駆動ユニット18の出力状態情報(回転数、トルク等)、アクセルペダル踏込量、前後Gセンサ60aにより検出される前後加速度、横Gセンサ60bにより検出される横加速度等の信号が入力される。なお、上記以外に、本実施形態の車両に於いて実行されるべき各種制御に必要な種々のパラメータを得るための各種検出信号が入力されてよいことは理解されるべきである。
電子制御装置50に於いて実現されるスリップ判定装置は、基本的には、車体速を、最も変化の遅れている車輪速値と車体前後加速度値に基づいて推定し、推定された車体速値(車体速推定値)と最も変化の進んだ車輪速値との差分から、車輪がスリップ状態にあるか否かを判定する装置である。しかしながら、本発明の装置は、特に、(a)車両の加減速状態が前後Gセンサの検出値に基づいて判定されること、(b)車体前後加速度値が、車輪がスリップ状態ではないときには、最も変化の遅れている車輪速値の微分値の低周波数成分と前後Gセンサの検出値の高周波数成分とから決定され、車輪がスリップ状態であるときには、前後Gセンサの検出値の高周波数成分から決定されること、そして、(c)車輪がスリップ状態にあるか否かの判定に於いて、車体速推定値と車輪速値との差分に於いて旋回内外輪の車輪速差を考慮することにより、従前よりも精度よく車体速値を推定し、精度よくスリップ状態の判定が行われるよう構成される。以下、スリップ判定装置の内部構成と作動について詳細に説明する。
装置の内部構成
本発明のスリップ判定装置の内部は、図2−3に於いてブロック図の形式にて示されている如く構成される。なお、図示の構成及びその作動は、実際には、車両の運転中、電子制御装置内のCPU等の処理作動により実現されることは理解されるべきである。まず、図2を参照して、スリップ判定装置は、概して述べれば、下記の処理領域を含む。
(i)前後Gセンサ60aの検出値に基づいて車両の加減速状態を判定する領域(加減速判定部50c)
(ii)車両の加減速状態を参照しながら、各輪の車輪速センサ40iにて検出された車輪速値のうち、最も変化の進んでいる車輪速値(第一の車輪速値)を判定車輪速値として選択し、最も変化の遅れている車輪速値(第二の車輪速値)を基準車輪速値として選択する領域(最小値選択部50a、最大値選択部50b、切換部50d)
(iii)前後Gセンサ60a及び横Gセンサ60bの検出値から車体前後加速度値の高周波数成分を決定する領域(加算器50j、平方根演算器50k、切換部50l、ハイパスフィルター50m)
(iv)車体前後加速度値と基準車輪速値とに基づいて車体速推定値を決定する領域(微分器50e、ローパスフィルター50f、加算器50g、切換部50h、車体速推定部50i)
(v)横Gセンサ60bの検出値に基づいて車両の旋回中の外輪と内輪の車輪速差の推定値を算定する領域(外内輪車輪速差算定部50n)
(vi)判定車輪速値、車体速推定値、旋回外内輪車輪速差の推定値に基づいて車輪がスリップ状態にあるか否かを判定する領域(スリップ判定部50n)
上記の各領域の構成は、以下の通りである。
(i)加減速状態判定領域
従前の四輪駆動車の車速推定又はスリップ判定装置に於いては、車両が加速状態にあるか或いは減速状態にあるかの判定は、ブレーキペダルの踏込みの有無により為されていた。しかしながら、その場合、エンジンブレーキなどにより車両が減速されている場合にそのことが判定できない。そこで、本発明の装置に於いては、車両の加減速状態は、前後Gセンサ60aの出力値によって判定され、これにより、ブレーキペダルが踏込まれていなくても、車両が減速しているときには、減速状態であると判定される。具体的には、車両の加減速状態を判定する領域では、図3(A)にて示されている如く、加減速判定部50cに於いて、前後Gセンサ60aにて検出された前後加速度値がハイパスフィルター52aに通されて、ドリフト、オフセット誤差、登降坂路によるずれなど低周波数成分が除去された後、比較器52b、52cへ入力される(下記(注)参照)。比較器52bに於いては、低周波数成分が除去された前後加速度値と加速判定閾値とが比較され、
(前後加速度値)>(加速判定閾値)
の状態が所定時間継続すると、加速状態を示す信号が出力され、RSフリップ−フロップ52dへ入力される。一方、比較器52cに於いては、低周波数成分が除去された前後加速度値と減速判定閾値とが比較され、
(前後加速度値)<(減速判定閾値)
の状態が所定時間継続すると、減速状態を示す信号が出力され、RSフリップ−フロップ52dへ入力される。RSフリップ−フロップ52dでは、比較器52bから加速状態を示す信号が到来すると、加減速判定出力を加速状態とし、比較器52cから減速状態を示す信号が到来するまで保持する。そして、減速状態を示す信号が到来すると、加減速判定出力を減速状態とし、比較器52bから加速状態を示す信号が到来するまで保持する。従って、加減速判定出力は、常に、加速状態と減速状態とのいずれかの状態を示すよう構成される。典型的には、例えば、加速判定閾値は、−0.5m/sに設定され、減速判定閾値は、−1.0m/sに設定され、これにより、(停車時を含む)等速走行時には、加速状態となるよう設定される。かかる構成により、アクセルペダルもブレーキペダルも踏込みが為されず、車両がエンジンブレーキにより減速するときには、車両が減速状態にあると判定されることとなる。
[(注)通常、加減速度が一定となることはないので、実用上、低周波数成分を除去した検出値を用いて加減速状態の判定は実行可能である。]
(ii)車輪速選択領域
車輪速選択領域に於いては、最小値選択部50aにて四輪の車輪速値のうち、最小のものが選択・出力され、最大値選択部50bにて四輪の車輪速値のうち、最大のものが選択・出力される。そして、車輪速の最小値及び最大値は、切換部50dに於いて、加減速判定出力の示す状態に応じて、基準車輪速値と判定車輪速値とに振り分けられる。基準車輪速値は、最も変化の遅れている車輪速値なので、加速状態時には、最小値が割り当てられ、減速状態時には、最大値が割り当てられる。一方、判定車輪速値は、最も変化の進んでいる車輪速値なので、加速状態時には、最大値が割り当てられ、減速状態時には、最小値が割り当てられる。
(iii)車体前後加速度値高周波数成分決定領域
既に触れた通り、前後Gセンサの出力する検出値の低周波数帯域には、路面勾配、温度ドリフト等による誤差成分が含まれ易い。そこで、後に説明される車体速の推定に使用する車体前後加速度値に於いては、前後Gセンサの出力する検出値から低周波数帯域の成分を除去した値が用いられる。また、特に、減速旋回中に於いては、コーナリングリングドラッグが減速に寄与するため、横加速度も減速成分として考慮される。(実車データにより、加速旋回中は、コーナリングリングドラッグの影響を受けにくいことがわかっているので、加速中は、横Gセンサの検出値は考慮しなくてよい。)。かくして、本実施形態の装置は、車体速の推定に使用するGセンサ検出の車体前後加速度値として、加速時には、前後Gセンサの検出値が用いられ、減速時には、前後Gセンサと横Gセンサの双方の検出値が用いられるよう構成される。具体的には、図2に例示されている如く、加減速判定出力の示す状態が加速状態であるときには、前後Gセンサ60aからの検出値が切換部50lにて選択される。一方、加減速判定出力の示す状態が減速状態であるときには、加算器50j及び演算器50kを経て算出された前後Gセンサ60aの検出値と横Gセンサ60bの検出値の自乗和の平方根が切換部50lにて選択される。かくして選択された値が、ハイパスフィルター50mを通過して低周波数成分が除去され、後に説明される車体速推定領域へ送られる。なお、ハイパスフィルター50mのカットオフ周波数は、前後Gセンサ60a及び/又は横Gセンサ60bの低周波数帯域の誤差成分(直流成分を含む)の殆どが除去されるよう所定の周波数に設計者により設定されてよい。
(iv)車体速推定領域
「背景技術」の欄に於いて述べたように、四輪駆動車の全輪駆動状態では、いずれの車輪に於いてもスリップ量が生ずるので、いずれかの車輪の車輪速をそのまま車体速として参照することができない。そこで、本発明の装置では、車体速値を決定するために、上記の車輪速選択領域にて選択された基準車輪速値、即ち、最も変化の遅れている車輪の車輪速値であり、全輪のうちスリップ量の最も小さい車輪速値、即ち、四輪の車輪速のうち車体速に最も近い値であると考えられる車輪速値(全輪の車輪速のうちの、加速時には、最低値となり、減速時には、最高値となる。)と、車体前後加速度から
[直前の車速推定値]+[車体前後加速度値]×[時間]
により予測される現在の車体速値とを比較し、適当であると想定される値が車体速の推定値として選択される。なお、ここで使用される車体前後加速度値に関して、既に述べたように、車輪速センサの出力値から得られる車輪速微分値は、路面の段差や継ぎ目等による高周波数帯域の誤差成分を含み易く、Gセンサの検出値は、路面勾配、温度ドリフト等による低周波数帯域の誤差成分を含み易い。従って、基本的には、車体前後加速度値としては、ローパスフィルターを用いて車輪速微分値から所定の周波数よりも高い高周波数成分を除去して得られる成分と、ハイパスフィルターを用いて前後Gセンサ検出値(減速時は、前後Gセンサ検出値と横Gセンサ検出値の自乗和の平方根)から所定の周波数よりも低い低周波数成分を除去して得られる成分とを重畳して得られる値が用いられる。しかしながら、いずれかの車輪がスリップ状態になったときには、車輪速値は、もはや真の車体速と乖離している可能性が高く、その微分値も真の車体前後加速度値と乖離している可能性が高くなる。そこで、本発明の装置では、いずれかの車輪がスリップ状態になったと判定された後には、車輪速微分値を一切使用せず、ハイパスフィルターを用いて前後・横Gセンサ検出値から所定の周波数よりも低い低周波数成分を除去して得られる成分自体が車体前後加速度値として用いられる。
具体的には、まず、図2に示されている如く、車輪速選択領域にて選択された基準車輪速値が微分器50eにて微分され、ローパスフィルター50fを通過して高周波数成分が除去される(ローパスフィルター50fの除去帯域は、ハイパスフィルター50mの透過帯域と実質的に同一となるよう設定され、従って、ローパスフィルターの透過帯域とハイパスフィルター50mの透過帯域とを合わせて全帯域がカバーされるよう構成される。即ち、ローパスフィルター50eとハイパスフィルター50mの伝達関数は、互いに逆である関係に設定される。)。かくして、高周波数成分が除去された基準車輪速値の微分値は、加算器50gに於いて、車体前後加速度値高周波数成分決定領域から取得される前後・横Gセンサ検出値の高周波数成分と重畳され、切換部50hの二つある入力端のうちの一方へ入力される。切換部50hの他方の入力端には、前後・横Gセンサ検出値の高周波数成分がそのまま入力されており、切換部50hは、後に説明されるスリップ判定部50oの判定出力に従って、車輪がスリップしていないと判定されているときには、高周波数成分が除去された基準車輪速微分値と前後・横Gセンサ検出値の高周波数成分とを重畳して成る値を、車体前後加速度値として選択し、車輪がスリップしていると判定されているときには、前後・横Gセンサ検出値の高周波数成分を車体前後加速度値として選択する。かくして選択された車体前後加速度値は、車体速推定部50iに入力される。
車体速推定部50iの内部は、図3(B)により詳細に示されている構成を有しており、まず、車体前後加速度値(車体Gx)を用いて、乗算器54a、加算器54c、乗算器54e、加算器54gにより、車体速上限値Vx_limit_uが
Vx_limit_u=(p・Gx+qu)・Δt+Vxest_pre …(1a)
により決定され、乗算器54b、加算器54d、乗算器54f、加算器54hにより、車体速下限値Vx_limit_lが
Vx_limit_l=(p・Gx+ql)・Δt+Vxest_pre …(1b)
により決定される。ここにおいて、pは、車体前後加速度値に対するゲインであり、Gセンサの誤差に基づいて設定される。例えば、Gセンサの誤差が±10%程度であったとすると、pは、1/0.9とされてよい。qu(>0)、ql(<0)は、実験的に設定されてよい定数であり、Δtは、微小時間(制御サイクル時間)である。そして、Vxest_preは、単位遅延器54iにより与えられる現在よりもΔt時間前の車体速推定値である。要すれば、上記の(1a)、(1b)により与えられる車体速上限値及び車体速下限値は、車体前後加速度値とそれまでの車体速推定値とが与えられたときに現在に於いて想定される車体速の上限値と下限値に相当する。
かくして、車体速上限値及び車体速下限値が決定されると、上下限制限器54jに於いて、車体速上限値及び車体速下限値と、基準車輪速値Vw_stdとから、下記の式により、車体速推定値Vxestが決定される。
Vxest=mid{Vx_limit_u,Vw_std,Vx_limit_l}…(2)
ここで、midは、括弧内の数値のうち、真中の数値を選択する演算子である。従って、基準車輪速値が、車体速上限値と車体速下限値との間にあるときには、基準車輪速値が車体速推定値に設定され、基準車輪速値が、車体速上限値よりも高いときには、車体速上限値が車体速推定値に設定され、基準車輪速値が、車体速下限値よりも低いときには、車体速下限値が車体速推定値に設定されることとなる。
(v)旋回外内輪車輪速差算定領域
車両の旋回中、デフ24又は26の作用により、旋回外輪が旋回内輪よりも早く回転する。一方、後に説明される如く、本装置に於いて、車輪がスリップしているか否かは、判定車輪速値、つまり、最も変化の進んでいる車輪速値と、車体速推定値、つまり、最も変化の遅れている基準車輪速値又はそれに基づいて決定された値との差分の大きさにより判定される。従って、判定車輪速値と基準車輪速値に対応する車輪の対が旋回外輪と旋回内輪との関係にある場合、旋回外内輪の車輪速差が判定車輪速値と車体速推定値との差分に入り込み、誤ったスリップ判定を惹起する可能性がある。そこで、本実施形態の装置では、後述のスリップ判定に於いて、旋回外内輪の車輪速差を補償するために、(車輪速値を用いずに)旋回外内輪の車輪速差の推定値(車両の旋回状態から想定される旋回外内輪の車輪速差)が算定される。
具体的には、図3(ca)を参照して、旋回中の車両に於いて、いずれの車輪もスリップ状態にないとき、旋回半径rは、横加速度Gyと旋回内輪の車輪速値V1とから、
r=V1/Gy …(3a)
により与えられる。同様に、旋回外輪の車輪速値V2を用いると、
r+T=V2/Gy …(3b)
の関係が得られる。上記の式(3a)、(3b)からrを消去すると、
V2−V1=Gy・T/(V2+V1) …(3c)
の関係が得られる。ここで、V2−V1<<2V1であるとすることができるので、分母に於いて、V2−V1を無視すると、
V2−V1=Gy・T/2V1 …(3d)
の関係が得られる。ここで、V1の代わりに車体速値Vxを用いても同様なので、結局、旋回外輪と旋回内輪との車輪速差は、
V2−V1=Gy・T/2Vx …(3e)
により与えられる。実際の装置では、外内輪車輪速差算定部50nに於いて、図3(C)に示されている如く、車体速推定値Vxestと、横Gセンサ検出値(からハイパスフィルター56aにより誤差を含む易い低周波数成分を除去した値)とから、乗算器56b、乗算器56c、除算器56dを用いて、上記の式(3e)の右辺により与えられている旋回外輪と旋回内輪との車輪速差が算出され、スリップ判定部50aへ与えられる。
(vi)スリップ判定領域
スリップ判定領域では、上記の各領域に於いて決定された判定車輪速値、車体速推定値、旋回外内輪車輪速差推定値を用いて、判定車輪速値と車体速推定値との差分の大きさが許容量を超えているか否かを判定して、車輪がスリップ状態にあるか否かが判定される。なお、本装置に於いては、判定車輪速値がスリップ状態にあると判定したときに、「車輪がスリップ状態にある」との判定が為される。
具体的には、スリップ判定部50oに於いては、図3(D)に示されている如く、まず、判定車輪速値と車体速推定値との差分の絶対値が、加算器58aと絶対値演算器58bにより算出され、比較器58eへ入力される。一方、車体速推定値は、許容スリップ量マップにも入力され、許容スリップ量が決定される。許容スリップ量とは、現在の車体速に於いて、許容されるスリップ量であり、実際のスリップ量がかかる許容スリップ量を超えると車輪がスリップ状態にあると判定される。許容スリップ量は、典型的には、車体速値が0から所定の車速値の間にあるときは、一定値であり、車体速値が前記の所定車速値を超えると、車体速値に略比例して増大する量であってよく、実験的に又は理論的に設計者により決定されてよい。かくして、許容スリップ量が決定されると、更に、加算器58dに於いて許容スリップ量に対して旋回外内輪車輪速差推定値が加算されて旋回外内輪の車輪速差が補償され[下記(注)参照]、比較器58eへ入力される。そして、比較器58eに於いて、判定車輪速値と車体速推定値との差分の絶対値が(補償された)許容スリップ量を超えると、車輪がスリップ状態にあるとの判定が為される。かかる判定が為されると、その情報が車体速推定領域の切換部50hへ与えられ、車体前後加速度値の切換が為される。
[(注)車両の加速中は、旋回外輪の車輪速値V2が判定車輪速値に選択され、旋回内輪の車輪速値V1(<V2)が基準車輪速値に選択される。判定車輪速値と車体速推定値との差分の絶対値V2−V1には、旋回外内輪車輪速差が含まれている。従って、許容スリップ量を旋回外内輪車輪速差の分だけ増大することにより、スリップ判定が誤って出力されることが回避される。車両の減速中は、旋回内輪の車輪速値V1(<V2)が判定車輪速値に選択され、旋回外輪の車輪速値V2が基準車輪速値に選択される。判定車輪速値と車体速推定値との差分(V1−V2)の絶対値は、V2−V1となるから、加速中と同様に許容スリップ量を旋回外内輪車輪速差の分だけ増大することにより、スリップ判定が誤って出力されることが回避される。]
装置の作動
上記に説明された本実施形態の装置は、以下の如く作動する。
(a)加減速判定
既に述べた如く、加減速判定部50cに於いて、車両の停止時は加速状態と判定され、切換部50dと切換部50lは、加速側に設定される。車両が発進し加速する間は、そのまま、加速状態との判定が維持され、その後、車両が減速されて前後Gセンサ検出値が減速判定閾値を下回った状態が所定時間継続すると、加減速判定部50cの判定が減速状態に切り換わり、切換部50dと切換部50lは、減速側に設定される。次いで減速度(加速度の絶対値)が小さくなり、前後Gセンサ検出値が加速判定閾値を上回った状態が所定時間継続すると、加減速判定部50cの判定が加速状態に切り換わり、切換部50dと切換部50lは、加速側に設定される。従って、常に、加減速判定部50cの出力は、加速状態か減速状態のいずれかの状態を示す。
(b)非スリップ状態
車両の加速時には、判定車輪速値に車輪速値の最大値が選択され、基準車輪速値に車輪速値の最小値が選択され、車体前後加速度値には、車輪速センサ検出値の微分値の低周波数成分と前後Gセンサ検出値の高周波数成分との和が選択される。また、車両の減速時には、判定車輪速値に車輪速値の最小値が選択され、基準車輪速値に車輪速値の最大値が選択され、車体前後加速度値には、車輪速センサ検出値の微分値の低周波数成分と、前後Gセンサ検出値と横Gセンサ検出値の自乗和の平方根の高周波数成分との和が選択される。車輪のいずれもスリップ状態にないとき、センサ固有の誤差成分を除いて、車輪速センサ検出値の微分値と前後・横Gセンサとは、原理的に等しく、車体前後加速度値は、真の車体の前後加速度値であり、車体速の推定が正常に実行される。
(c)スリップ状態への移行時
車両の加速時にいずれかの車輪がスリップ状態となると、その車輪速値が上昇し、判定車輪速値に選択され、スリップ判定部50oに於いて、判定車輪速値と(基準車輪速に基づいて決定された)車体速値との差分の大きさが許容スリップ量を超えることにより、車輪がスリップ状態であると判定される。他方、車両の減速時にいずれかの車輪がスリップ状態となると、その車輪速値が降下し、判定車輪速値に選択され、スリップ判定部50oに於いて、判定車輪速値と車体速値との差分の大きさが許容スリップ量を超えることにより、車輪がスリップ状態であると判定される。
なお、かかるスリップ状態への移行時の検出に関して、もし四輪全てがスリップ状態となったときには、最も変化の遅れている車輪速値である基準車輪速値も、最も変化の進んでいる判定車輪速値とともに急激に変化することとなり、従って、判定車輪速値と基準車輪速値との差異が検出できず、スリップ状態が検出できなくなってしまうことが考えられる。しかしながら、この場合、基準車輪速値の急激な変化により増大した基準車輪速値の微分値の高周波数成分はローパスフィルターにより除去される一方、基準車輪速値の急激な変化は(車輪はスリップ状態にあるので、)前後・横Gセンサ検出値には反映されない。従って、車体前後加速度値は、基準車輪速値の急激な変化に追従せず、車体前後加速度値から決定される車体速上限値・下限値も基準車輪速値の急激な変化に追従しないこととなるので、車体速上限値・下限値と判定車輪速値との乖離が大きくなり、これにより、スリップ状態に移行したことが判定されることとなる。
(d)スリップ状態
車輪がスリップ状態であると判定されると、その情報が車両のTRC装置、ABS制御装置などの車輪のスリップを抑制する各種制御装置へ送信される。また、スリップ判定出力に応答して、車体速推定領域の切換部50hが切り替わり、車体速推定部50iへ車体前後加速度値高周波数成分決定領域のハイパスフィルター50mの出力が直接入力されるようになり、車輪速微分値の成分を用いずに車体速推定が実行されることとなる。なお、この間に於いて、車体速推定部50iへ入力される車体前後加速度値の低周波数成分は略0となり、ここでの車体前後加速度値は車体の真の前後加速度とは完全に一致しないこととなるが、車輪がスリップ状態にあるときは、車体速の変化は小さくなること、及び、スリップ状態にある期間は長期間続かないことなどから、車体前後加速度値の低周波数成分が略0であることによる車体速推定値に於ける誤差は実質的に無視することができる。このことは、実験的に確かめられた(「実験例」参照)。
(e)非スリップ状態への移行時
車輪がスリップ状態にある車両に於いて、車体速が増大(加速時)若しくは減少(減速時)するか、各種制御装置等により、車輪速が減少(加速時)若しくは増大(減速時)し、車体速と車輪速との乖離が縮まると、判定車輪速値と車体速推定値との差分の大きさが許容スリップ量を下回り、車輪がスリップ状態ではないと判定される。かかる判定が為されると、車体速推定領域の切換部50hが切り替わり、車体速推定部50iに於いて、車体前後加速度値高周波数成分決定領域のハイパスフィルター50mの出力と車輪速微分値の低周波数成分とを重畳した値を用いた車体速推定が再開されることとなる。
実験例
上記の本発明の装置の有効性を示すために、実際に車輪がスリップ状態となった車両に於いて、本発明の装置を用いて推定した車体速値と、GPS(汎地球測位システム)を用いた車体速測定装置による車体速値とを比較した。図4の上段は、その際の車輪速値(実太線)、本発明の装置による車体速推定値(実細線)、従来技術の装置(スリップ状態時でも車体速推定に車輪速微分値の低周波数成分を用いるもの)による車体速推定値(一点鎖線)及びGPS車体速測定装置による車体速値(破線)の時間変化をそれぞれ示している。同図を参照して明らかな如く、車輪速値が図に於いて山型に上昇し低減する間に於いて、本発明の装置による車体速推定値は、GPS車体速測定装置による車体速値と概ね一致した。これに対し、従来技術の装置による車体速推定値は、GPS車体速測定装置による車体速値よりも大幅に高い側に変位し、車輪速に近づいてしまうことが観察された。また、図示の状況に於いて本発明の装置及び従来技術の装置によりスリップ判定を行ったところ、図4の下段に示されている如く、本発明の装置に於いてスリップ状態と判定される期間(実線)は、車輪速とGPS車体速測定装置による車体速とが大きく乖離している期間に合致しており、従来技術の装置に於いてスリップ状態と判定される期間(一点鎖線)よりも長かった。上記の如く、本発明の装置による車体速推定値は、GPS車体速測定装置による車体速値と略一致し、スリップ判定は、車輪速と車体速とが乖離している期間に合致しており、これらのことから、本発明の装置によれば、従来よりも正確に車体速値が推定され、より正確にスリップ判定が行えることが確かめられた。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。
例えば、本発明の装置は、二輪駆動車に於いて、従動輪の車輪速値から車体速値を決定できない場合に適用されてよい。また、車両の旋回外輪と旋回内輪の車輪速差を車輪のスリップ状態の判定で考慮する構成に於いて、車体速推定値は、最も変化の遅れている第二の車輪速値に基づいて決定されたものでなく、その他の任意の手法、例えば、他の車輪速値又は車輪速値の平均値、GPSから得られる車両の速度情報或いは車載カメラから得られる速度情報などを用いた手法により決定される車体速値であってよい。その場合、判定車輪速値として選択される車輪速値の決定、判定車輪速値と車体速値との比較に於いて、車両の旋回外輪と旋回内輪の車輪速差が考慮されるようになっていてよい。更に、車両の旋回外輪と旋回内輪の車輪速差は、上記の実施の形態の欄に例示された構成によらず、車両の各輪の車輪速値うち、少なくとも一つの車輪速値よりも変化の遅れている車輪速値(加速時は、少なくとも一つの車輪速値よりも相対的に低速の車輪速値となり、減速時は、少なくとも一つの車輪速値よりも相対的に高速の車輪速値となる。)を用いて車輪のスリップ状態の判定する構成に於いて考慮されてよい。
10…車体
12FL、FR、RL、RR…車輪
14…アクセルペダル
16…駆動装置
18…駆動ユニット
20…変速機
22…センタデフ
24…前輪デフ
26…後輪デフ
40FL、FR、RL、RR…車輪速センサ
50…電子制御装置
60a、60b…前後Gセンサ、横Gセンサ

Claims (8)

  1. 車両のスリップ判定装置であって、第一の車輪速センサにより得られた第一の車輪速値と、車体前後加速度値に基づいて決定された車体速推定値とに基づいて前記車両の車輪のスリップ状態を判定するスリップ判定部とを有し、前記車体前後加速度値として、前記車両の車輪がスリップ状態にないと前記スリップ判定部が判定しているときには、第二の車輪速センサにより得られた第二の車輪速値の微分値から所定の周波数より高い周波数の成分を除去して得られる値と前後加速度センサにより得られた加速度値から前記所定の周波数より低い周波数の成分を除去して得られる値とを加算して得られる値が用いられ、前記車両の車輪がスリップ状態にあると前記スリップ判定部が判定しているときには、前記前後加速度センサにより得られた加速度値から前記所定の周波数より低い周波数の成分を除去して得られる値が用いられることを特徴とする装置。
  2. 請求項1の装置であって、前記第一の車輪速値が前記車両の各輪の車輪速値うちの最も変化の進んでいる車輪速値であり、前記第二の車輪速値が前記車両の各輪の車輪速値うちの最も変化の遅れている車輪速値であることを特徴とする装置。
  3. 請求項1又は2の装置であって、前記車体前後加速度値の時間積分値が前記車体前後加速度値に所定の時間を乗じて得られる値を前記車体速推定値の前回値へ加算して得られる値であり、前記車体速推定値が前記車体前後加速度値の時間積分値と前記第二の車輪速値とに基づいて決定されることを特徴とする装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかの装置であって、前記第二の車輪速値が前記車体前後加速度値の時間積分値から所定の範囲にて定められる値域内に在るときには、前記第二の車輪速値が前記車体速推定値として選択され、前記第二の車輪速値が前記値域外に在るときには、前記第二の車輪速値に最も近い前記値域の境界値が前記車体速推定値として選択されることを特徴とする装置。
  5. 請求項2の装置であって、前記スリップ判定部が前記第一の車輪速値と前記車体速推定値と前記車両の旋回外内輪の車輪速差とに基づいて前記車両の車輪のスリップ状態を判定することを特徴とする装置。
  6. 車両のスリップ判定装置であって、前記車両の各輪の車輪速値うちの最も変化の進んでいる第一の車輪速値と、前記車両の各輪の車輪速値うちの最も変化の遅れている第二の車輪速値に基づいて決定された車体速推定値と、前記車両の旋回外内輪の車輪速差とに基づいて前記車両の車輪のスリップ状態を判定することを特徴とする装置。
  7. 請求項5又は6の装置であって、前記第一の車輪速値と前記車体速推定値との差の絶対値が、前記車両の横加速度から算出される旋回外輪の車輪速値から旋回内輪の車輪速値を差し引いた値を前記車体速推定値に基づいて定められる許容スリップ量へ加算した値よりも大きいとき、前記車両の車輪がスリップ状態にあると判定することを特徴とする装置。
  8. 車両のスリップ判定装置であって、前記車両の各輪の車輪速値うち、少なくとも一つの車輪速値よりも変化の遅れている車輪速値と、前記車両の旋回外内輪の車輪速差とに基づいて前記車両の車輪のスリップ状態を判定することを特徴とする装置。
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