JP2011035302A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体チップの信頼性を向上させる。
【解決手段】ウエハ(半導体ウエハ)40をスクライブ領域40bに沿って切断して、複数の半導体チップを取得するダイシング工程において、ダイシング工程は、ウエハ40を切断する前に、スクライブ領域40bにレーザを照射するレーザ加工工程を含む。このレーザ加工工程では、第1のエネルギーを有する第1のレーザを、スクライブ領域40bの主面3a上に形成された金属パターン41aを含むレーザ加工領域43に主面3a側から照射して、絶縁層(第1絶縁層)34を取り除く。次に、第1のエネルギーよりも低い第2のエネルギーを有する第2のレーザを、レーザ加工領域44のデバイス領域40a側の端部を含むレーザ加工領域44に照射して、レーザ加工領域44に形成された金属残渣を取り除く。
【選択図】図9

Description

本発明は半導体装置の製造技術に関し、特に半導体ウエハを切断して複数の半導体チップを取得するダイシング工程に適用して有効な技術に関する。
半導体装置の製造工程において、半導体ウエハのスクライブ領域にTEG(Test Element Group)と呼ばれるテスト用の素子を形成し、半導体ウエハを切断する前にTEGを用いて電気的特性をテストした後、スクライブ領域を切断して半導体ウエハから複数の半導体チップを取得する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−302773号公報
半導体装置の製造工程において、複数のデバイス領域(チップ形成領域)を有する半導体ウエハから複数の半導体チップを取得するダイシング工程では、例えば、各チップ形成領域の周囲に配置されるスクライブ領域を、ダイシングブレード(ブレード)と呼ばれる切断治具を用いて切断することにより、各半導体チップを個片化する。
半導体チップの半導体素子形成面である主面には、半導体素子と電気的に接続される配線層(チップ配線層)が形成され、半導体チップが有する複数の半導体素子は、この配線層を介して半導体チップの外部端子である複数のパッド(電極パッド)と電気的に接続される。半導体チップの主面上に形成される配線層の層間絶縁膜としては、一般にSiOが用いられるが、近年、配線層のノイズ防止などの観点から、SiOよりも誘電率が低い、低誘電率材料(LOW−K材と呼ばれ、例えば、SiONなどがこれに該当する)を用いる技術がある。
ところが、前記低誘電率材料は、SiOよりも密度が低いため、形成される層間絶縁膜が脆弱であり、ダイシングブレードで切断する際の衝撃等により、クラックなどが発生し、配線層が半導体チップの主面から剥離するという問題がある。この剥離を防止ないしは抑制する方法として、ダイシングブレードで切断する前に、スクライブ領域に形成された配線層および層間絶縁膜にレーザを照射してこれを取り除く、所謂、レーザグルービング技術が有効である。
本願発明者は、このレーザグルービング技術について検討を行い、以下の課題を見出した。
レーザグルービング技術では、スクライブ領域に形成された層間絶縁膜にレーザを照射することにより層間絶縁膜を取り除く。ところが、スクライブ領域には、前記の通りTEGと呼ばれるテスト用の素子が形成され、配線層には金属パターンが形成されている。この金属パターンにレーザを照射するとレーザを照射した領域の両端に、溶融した金属の残渣が、数ミクロンの高さでひげ状に立ち上がることが判った。この金属溶融残渣が、半導体チップの端部に残留した場合、導電性異物となるため、半導体チップの信頼性を低下させる原因となる。
例えば、半導体チップの複数のパッドと、配線基板やリードフレームの複数の端子とを、複数のワイヤを介してそれぞれ電気的に接続する場合、ワイヤのループ高さが低ければ、ワイヤが金属溶融残渣と接触してしまう懸念がある。また、半導体チップの複数のパッドが形成された主面側を、配線基板の複数の端子が配置される面と対向した状態で実装する、所謂フリップチップ実装(フェイスダウン実装)を行う場合、金属溶融残渣が配線基板上に脱落すると、配線基板上の複数の端子が金属溶融残渣を介して短絡する懸念がある。
また、金属溶融残渣が半導体チップの端部に残留することを防止する方法として、TEGとチップ形成領域の間に、金属パターンが形成されていない領域(レーザ加工領域)を設け、このレーザ加工領域にレーザを照射して層間絶縁膜を取り除く方法も考えられる。しかしこの場合、レーザ加工領域を設けることにより、半導体ウエハにおけるスクライブ領域の占める面積が広くなるため、1枚の半導体ウエハから取得可能な半導体チップの数が減少するため、製造効率の低下や原材料コストの上昇を招く原因となる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、半導体チップの信頼性を向上させることができる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
すなわち、本発明の一つの実施の形態における半導体装置の製造方法は、
主面、前記主面に形成された複数のデバイス領域、前記複数のデバイス領域のうちの隣り合うデバイス領域の間に形成され、前記主面上に金属パターンが形成されたスクライブ領域、および前記主面とは反対側に位置する裏面を有する半導体ウエハを準備する半導体ウエハ準備工程、
前記半導体ウエハを前記スクライブ領域に沿って切断して、複数の半導体チップを取得するダイシング工程、を有し、
前記ダイシング工程は、前記半導体ウエハを切断する前に、前記スクライブ領域にレーザを照射するレーザ加工工程を含み、
前記レーザ加工工程には、
第1のエネルギーを有する第1のレーザを、前記金属パターンを含む第1のレーザ加工領域に前記主面側から照射して、第1絶縁層を取り除く工程と、
前記第1のエネルギーよりも低い第2のエネルギーを有する第2のレーザを、前記第1のレーザ加工領域の前記デバイス領域側の端部を含む第2のレーザ加工領域に照射して、前記第2のレーザ加工領域に形成された金属残渣を取り除く工程と、を有しているものである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
すなわち、半導体チップの信頼性を向上させることができる。
本発明の一実施の形態である半導体装置の全体構造を示す断面図である。 図1に示す配線基板の上面側の概要を示す平面図である。 図1に示すマイコンチップの主面側の平面を示す平面図である。 図1に示すマイコンチップの主面側の周縁部を拡大して示す要部拡大断面図である。 本発明の一実施の形態である半導体装置の製造方法のウエハ準備工程で準備する半導体ウエハの主面側の平面を示す平面図である。 図5に示すA部を拡大した要部拡大平面図である。 図6に示すスクライブ領域周辺の要部拡大断面図である。 図7に示す半導体ウエハの主面側から、第1のレーザを照射した状態を示す要部拡大断面図である。 図8に示す半導体ウエハの主面側から第2のレーザを照射した状態を示す要部拡大断面図である。 図9に示す半導体ウエハに第1のダイシングブレードを挿入している状態を示す要部拡大断面図である。 図10に示す半導体ウエハを第2のダイシングブレードを用いて切断した状態を示す要部拡大断面図である。 配線基板に、図1に示すマイコンチップ、メモリチップを順に搭載し、配線基板の端子と電気的に接続した状態を示す要部拡大断面図である。 図12に示す配線基板の上面側を樹脂封止した状態を示す要部拡大断面図である。 本発明の他の実施の形態である半導体装置において、半導体ウエハの主面側から、第1のレーザを照射した状態を示す要部拡大断面図である。 図14に示す半導体ウエハの主面側から、第2のレーザを照射した状態を示す要部拡大断面図である。 図1に示す半導体装置の変形例を示す断面図である。 図1に示す半導体装置の変形例を示す断面図である。 図8に対する変形例を示す要部拡大断面図である。 図9に対する変形例を示す要部拡大断面図である。 本発明の実施の形態に対する比較例である半導体ウエハにレーザを照射した状態を示す要部拡大断面図である。
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金めっき、Cu層、ニッケル・めっき等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)
<半導体装置の構造概要>
図1は本実施の形態の半導体装置の全体構造を示す断面図、図2は図1に示す配線基板の上面側の概要を示す平面図である。本実施の形態では、本願発明者が検討した半導体装置の例として、一枚の配線基板上に種類の異なる複数の半導体チップ(例えばメモリ系チップと、メモリ系チップを制御するコントローラ系チップ)を実装して、1つの半導体パッケージ内にシステムを構成するシステム・イン・パッケージ(System In Package:SIP)型半導体装置(以下、単にSIPと記載する)を取り上げて説明する。
図1において、SIP(半導体装置)1は上面(表面、主面、チップ搭載面)2a、上面2aの反対側に位置する下面(裏面)2b、上面2aに形成された複数の端子(ボンディングリード)11、12、および下面2bに形成された複数のランド(外部端子)13を有する配線基板2を有している。
図1および図2に示す配線基板2は、例えば、複数(例えば、4層あるいはそれ以上)の配線層(表面配線層、裏面配線層および内層配線)を有する多層配線基板である。また、各配線層に形成された配線は、例えば銅(Cu)を主体とする導電膜によって構成され、図1に示す端子11、12は、この配線を介して、それぞれ電気的に接続されている。図1では、これらの配線の図示が省略されており、配線基板2の上面2aに形成された端子11、12と、配線基板2の下面(裏面)2bに形成された外部入出力用のランド13のみが示されている。
また、本実施の形態では、配線基板2の端子11、12のレイアウトが、それぞれ複数列で配置される例を示している。つまり、マイコンチップ3と電気的に接続される端子11は、四角形の平面形状からなるマイコンチップ3の搭載領域であるチップ搭載領域2cの各辺にそって、それぞれ複数列(図2では2列)で端子11が配置されている。詳しくは、チップ搭載領域2c内において、外側に配置される第1列目の端子11と、第1列目の端子11よりも内側に配置される第2列目の端子11を有している。また、第1列目の端子11と第2列目の端子11の配列は、第1列目の端子11の中心が、隣り合う第2列目の端子11の間に位置するように、所謂、千鳥状に配置されている。また、メモリチップ4と電気的に接続される端子12は、四角形の平面形状からなる配線基板2の上面2aの一辺に沿って、複数列(図2では2列)で配置されている。このように、端子11、12を複数列で配置する場合、小さいスペース内に多数の端子11、12を配置するので、高機能化および小型化が要求される半導体装置には、特に好適である。
また、本実施の形態のSIP1は、配線基板2の下面2bに配置される複数のランド13のそれぞれに、図示しない実装基板の端子と接合するための半田ボール(導電性部材、外部端子)14を配置(接合)する、所謂BGA(Ball Grid Allay)型の半導体装置の例を示している。ただし、SIP1の外部端子の構造は、このBGA型に限定されず、例えば、複数のランド13がそれぞれ下面2b側に露出する、所謂、LGA(Land Grid Allay)型の半導体装置とすることもできる。BGAやLGAは、配線基板2の下面2bに複数の外部端子となる半田ボール14、あるいはランド13を行列状に複数列で配置するので、高機能化に伴って外部端子数が増加した半導体装置の実装面積を低減することができる。
配線基板2の上面2aには、四角形の外形形状を成す主面3a、主面3aの反対側に位置する裏面3b、および主面3aの周縁部の各辺に沿って形成された複数のパッド(電極パッド)21を有するマイコンチップ(半導体チップ)3が、主面3aを配線基板2の上面2aと対向させた状態で搭載されている。また、マイコンチップ3の主面3a上に形成された複数のパッド21は、パッド21上に形成されたバンプ22を介して配線基板2の複数の端子11にそれぞれ電気的に接続されている。つまり、マイコンチップ3は、基材となる配線基板2の上面2a上に、所謂フリップチップ実装(フェイスダウン実装とも呼ばれる)により実装されている。
また、マイコンチップ3の裏面3b側には、主面4a、主面4aの反対側に位置する裏面4b、および主面4aの周縁部の少なくとも一辺に沿って形成された複数のパッド(電極パッド)4dを有するメモリチップ(半導体チップ)4が、裏面4bを裏面3bと対向させた状態で積層され、配線基板2上に搭載されている。図1では、2枚のメモリチップ4を積層する例を示している。また、メモリチップ4の複数のパッド4dは、それぞれ、ワイヤ5を介して配線基板2の複数の端子12に電気的に接続されている。つまり、メモリチップ4は、基材となる配線基板2の上面2a上に、所謂フェイスアップ実装により実装されている。マイコンチップ3、複数のメモリチップ4および複数のワイヤ5は、封止樹脂(封止体)6により樹脂封止されている。
マイコンチップ3の主面3aには半導体素子が形成され、各半導体素子は、配線基板2に形成された配線(端子11、12を含む)を介してメモリチップ4、あるいはランド13に電気的に接続されている。つまり、SIP1は、配線基板2に形成された配線を介して、メモリチップ4と、メモリチップ4を制御するコントローラ系の半導体チップであるマイコンチップ3を電気的に接続し、システムを構成している。
次に、図1に示すマイコンチップ3の構造について説明する。図3は、図1に示すマイコンチップの主面側の平面を示す平面図、図4は、図1に示すマイコンチップの主面側の周縁部を拡大して示す要部拡大断面図である。
マイコンチップ3は、例えばシリコン(Si)からなる基材である半導体基板31を有し、半導体基板31の主面3aには、半導体素子層31aが配置され、半導体素子層31aに、例えばトランジスタやダイオードなど、複数の半導体素子が形成されている。
半導体素子層31aに形成される複数の半導体素子は主面3aに形成される複数の配線(チップ内配線)32および主面3a上に形成される表面配線33を介して複数のパッド21にそれぞれ電気的に接続されている。
配線32は、例えば、銅(Cu)からなる埋め込み配線であり、主面3a側に形成される絶縁層34に溝あるいは孔を形成し、この溝あるいは孔に銅などの導電性金属材料を埋め込んだ後、表面を研磨して配線を形成する、所謂、ダマシン技術により形成されている。配線32は、複数の配線層に積層形成され、層間導電路となるビアを介して、各配線層の配線32が電気的に接続されている。また、配線32は、複数の半導体素子を電気的に接続し、あるいは複数の半導体素子を各パッド21に電気的に接続して回路を形成するが、この配線経路の引き回しスペースを確保するため、複数の絶縁層34を介して複数層に積層されている。
各配線層の配線32の間に配置される層間絶縁膜としては、一般に、酸化シリコン(SiO)などの半導体化合物からなる無機絶縁層から成る。基材である半導体基板31との密着性を向上させる観点から、半導体化合物を用いることが好ましい。しかし、近年、半導体チップ(半導体装置)に形成される集積回路の集積度の向上に伴い、半導体チップに形成した回路内に発生するノイズを防止する重要性が増している。このノイズは、例えば、複数層に積層された配線32間、あるいは、配線32と半導体素子の間に寄生容量が発生することにより生じる。そこで、本実施の形態では、各配線層の配線32の間に配置される層間絶縁膜として、SiOよりも比誘電率が低い低誘電率材料からなる絶縁層34を用いている。
絶縁層34を構成する材料としては、例えば、SiOC、SiOF、SiLK、SiCN、メチル基を含有するSiO、MSQ(Methyl Silses Quioxane)等が含まれる。これらの低誘電率材料からなる絶縁層は、いずれもSiOからなる絶縁層(比誘電率3.9〜4程度)よりも比誘電率が低い。これにより、各配線層に配置される配線32の間に寄生容量が発生することを防止ないしは抑制することができる。つまり、ノイズの発生を防止ないしは抑制することができる。
なお、マイコンチップ3の主面3aとは、複数の半導体素子の形成面からパッド21を形成する面、すなわち、複数層で積層される絶縁層34のうち、最上段に積層される絶縁層34の上面までを指す。したがって、複数の半導体素子が形成される半導体素子層31a、および半導体素子層31a上に複数の絶縁層34を介して積層され、複数の半導体素子と電気的に接続される配線32が形成される面は、主面3aに含まれる。
主面3a上には、パッド21、パッド21と一体に形成され、配線32を介して複数のパッド21と半導体素子とをそれぞれ電気的に接続する表面配線33が形成されている。パッド21および表面配線33は、例えばアルミニウム(Al)からなり、主面3aを保護するパッシベーション膜となる絶縁層(表面絶縁層)35に覆われている。この絶縁層35は、絶縁層34との密着性を向上させる観点からは、絶縁層34と同種の材料とすることもできるが、絶縁層35については層間絶縁膜である絶縁層34と比較して、マイコンチップ3内のノイズに与える影響が相対的に低いので、例えば、SiOなどの半導体酸化物とすることもできる。この場合、絶縁層34の比誘電率は絶縁層35の比誘電率よりも低くなる。
また、パッド21をマイコンチップ3の外部端子とするため、パッド21の表面(主面3aとの対向面の反対側に位置する面)には、絶縁層35に開口部が形成され、パッド21は、該開口部において、絶縁層35から露出している。このパッド21の開口部から露出する部分に、図1に示すバンプ22が形成されている。バンプ22は、例えば金からなるワイヤの端部を球状に溶融させて、パッド21の表面に圧着する、所謂スタッドバンプである。
また、複数のパッド21が配置される領域の周囲には、パッド21が配置される領域を取り囲むように、ガードリング36が配置されている。ガードリング36は、配線32、表面配線33と同種の金属からなる導体パターンであって、絶縁層34の表面から半導体素子層31aまで延在している。ガードリング36を形成することにより、マイコンチップ3の外部からのノイズ(例えば静電気)が、マイコンチップ3の主要回路に伝搬されることを防止ないしは抑制することができる。また、ガードリング36を形成することにより、水分などが、ガードリング36の内側に侵入することを防止ないしは抑制することができる。
また、主面3a上の周端部(チップ端部)には、表面配線33と同種の金属(本実施の形態ではアルミニウム)からなる金属パターン(導電性部材)37が、複数配置されている。この金属パターン37は、後述する本実施の形態の半導体装置の製造方法において、TEGと呼ばれる、ウエハ段階でおこなうテスト用の金属パターンの一部であるが、この金属パターン37が主面3aの周端部に配置される理由についての詳細は、後述する。
<半導体装置の製造方法>
次に、SIP1の製造方法について説明する。まず、本実施の形態の半導体装置の概要を説明すると、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、半導体チップ(マイコンチップ3、メモリチップ4)を準備する工程、半導体チップを基板(配線基板2)上に搭載し、半導体チップと基板を電気的に接続する工程、および半導体チップを封止する工程を有している。本実施の形態では、前記各工程のうち、半導体チップを準備する工程について、特に詳細に説明する。また、SIP1は、マイコンチップ3およびメモリチップ4の2種類の半導体チップを有しており、それぞれ個別に準備するものであるが、代表してマイコンチップ3を準備する工程について説明する。
半導体チップを準備する工程には、複数のデバイス領域および各デバイス領域の間に配置されるスクライブ領域を有する半導体ウエハを準備する半導体ウエハ準備工程、スクライブ領域に形成された導体パターンを用いてテストを行うテスト工程、および半導体ウエハをスクライブ領域に沿って切断し、複数の半導体チップを取得するダイシング工程が含まれる。以下順に説明する。
まず、ウエハ準備工程では、図5〜図7に示すウエハ(半導体ウエハ)40を準備する。図5は、本実施の形態のウエハ準備工程で準備する半導体ウエハの主面側の平面を示す平面図、図6は図5に示すA部を拡大した要部拡大平面図、図7は図6に示すスクライブ領域周辺の要部拡大断面図である。
本実施の形態で準備するウエハ40は、略円形の平面形状を有する主面3aおよび主面3aの反対側に位置する裏面3bを有している。なお、ウエハ40の主面3aは、図4に示すマイコンチップ3の主面3aに対応している。
また、ウエハ40は、複数のデバイス領域40aを有し、各デバイス領域40aは、それぞれ図3および図4に示すマイコンチップ3に相当する。したがって、複数のデバイス領域40aには、それぞれマイコンチップ3が有する半導体素子、配線32、絶縁層34、パッド21、表面配線33、絶縁層35が形成されている。なお、図1に示すマイコンチップ3を端子11と電気的に接続するバンプ22は、ウエハ40を切断する前に、各パッド21の露出面上に予め形成されている。
また、複数のデバイス領域40aのうちの隣り合うデバイス領域40aの間には、スクライブ領域40bが形成されている。スクライブ領域40bは格子状に形成され、ウエハ40の主面3a上を複数のデバイス領域40aに区画している。
また、スクライブ領域40bには、複数のテストパターン41が形成されている。このテストパターン41は、TEG(Test Element Group)と呼ばれ、次工程において、デバイス領域40a内に形成される半導体素子や配線などが正しく形成されているか否かを確認するためのテストに用いるパターンであって、最上層の絶縁層34の表面には、デバイス領域40a内の表面配線33と同じ金属からなる金属パターン41aが形成されている。また、スクライブ領域40bには、テスト用の半導体素子が形成され、金属パターン41aはこのテスト用の半導体素子と電気的に接続されている。なお、スクライブ領域40bに形成される金属パターン41aとしては、前記したTEGの他、写真製版技術を用いて配線パターンを形成する際に位置決めに用いるマークと呼ばれる金属パターンを形成する場合もあるが、本実施の形態では図示を省略し、代表してテストパターン41を示している。
図5〜図7に示すウエハ40は、以下のように形成する。まず、基材となる略円形のウエハ(例えば、シリコンウエハ)である半導体基板31を準備して、図5および図6に示す各デバイス領域40aに、それぞれ主面3a側に、図4に示す半導体素子層31aから絶縁層35までを形成する。すなわち、ウエハ40の主面3aに、デバイス領域40a毎に複数の半導体素子およびこれに電気的に接続される複数の配線層を積層し、回路を形成する。この時、スクライブ領域40bには、デバイス領域40a内に形成する各部材と同じタイミングで、テストパターン41が形成される。また、デバイス領域40aには、四角形のデバイス領域40aの外縁に沿って、ガードリング36が形成されるが、ガードリング36も、デバイス領域40a内に形成する各部材と同じタイミングで、形成される。
マイコンチップ3を構成する半導体素子やパッド21、配線32、表面配線33、絶縁層34、35などの各部材を形成する方法は、特に限定されず、例えば、半導体ウエハに集積回路を形成し、その主面上に電極パッドを形成する公知の方法を用いることができるので、詳細な説明は省略する。
次に、デバイス領域40a内に形成した半導体素子や配線などの各パターンが正しく形成されているか否かを確認するためのテストを行う。本工程では、例えば、テストパターン41の最表面に形成された金属パターン41aにプローブ端子を接触させて、各金属パターン41aに電気的に接続されるテスト用の半導体素子の電気的特性を確認する。
次に、表面配線33の一部であるパッド21(絶縁層35から露出した開口部)の表面にバンプ22を形成する。なお、本工程は、前記したテストパターン41を用いたテスト工程の前に行っても良い。また、図1に示すメモリチップ4は、ワイヤ5を介して端子12と電気的に接続するフェイスアップ実装で実装するので、メモリチップ4の製造工程においては、バンプ22を形成する工程は省略することができる。
次に、ウエハ40をスクライブ領域40bに沿って切断し、複数のマイコンチップ3を取得する。本工程では、例えばダイシングブレードと呼ばれる切断治具を、スクライブ領域40bに沿って走らせて切断する。
しかし、本実施の形態では、前記したように、絶縁層34に、SiOよりも比誘電率が低い低誘電率材料を用いている。この低誘電率材料は、一般にSiOに比較して密度が低く、また、種類によっては、多孔質形状となっており空孔率が高いため絶縁層自体が脆弱であり、構造的に弱く、SiOとの界面の接着力が弱い。このため、ダイシングブレードを、低誘電率材料からなる絶縁層34に当接させて切断すると、クラックやチッピングが発生しやすい。クラックやチッピングが発生すると、絶縁層34が剥離する場合があり、その剥離が、デバイス領域40a内まで進展すると、半導体チップの信頼性を低下させる原因となる。そこで、本実施の形態では、ダイシングブレードにより切断する前に、予め、スクライブ領域40bにレーザ加工を施して、後にダイシングブレードで切断する領域の絶縁層34を取り除く、所謂レーザグルービング技術を用いている。すなわち、本実施の形態のダイシング工程には、ウエハ40を切断する前にレーザ加工工程が含まれている。
ここで、本願発明者がレーザグルービング技術について検討した所、以下の課題を見出した。図8は、図7に示す半導体ウエハの主面側から、第1のレーザを照射した状態を示す要部拡大断面図、図9は、図8に示す半導体ウエハの主面側から第2のレーザを照射した状態を示す要部拡大断面図である。また図20は、本実施の形態に対する比較例である半導体ウエハにレーザを照射した状態を示す要部拡大断面図である。
レーザグルービング技術では、スクライブ領域40bにレーザ加工を施して、後にダイシングブレードで切断する領域の絶縁層34を取り除く。例えば、図8に示すように、積層された複数の絶縁層34を貫通して、半導体基板31の表面を露出させるように開口部を形成する。したがって、少なくとも半導体基板31上に積層された絶縁層34を取り除くことができる程度の加工エネルギーを有するレーザをウエハ40の主面3a側から照射する。ところが、本願発明者の検討によれば、絶縁層34を取り除くことができる程度の加工エネルギーを有するレーザを、例えばアルミニウムなどの金属からなるテストパターン41に照射すると、図8あるいは図20に示すように、レーザを照射した領域の両端に溶融した金属の残渣である金属残渣(金属溶融残渣)42が、数ミクロン以上の高さでひげ状に立ち上がることが判った。この金属残渣42の高さ(金属パターン41aの表面から最も離れた頂部までの距離)は、半導体基板31上に形成された配線層(配線32、絶縁層34、表面配線33、および絶縁層35からなる層)の高さ(厚さ)よりも高い。例えば、前記配線層の高さ(厚さ)が1〜2μm程度であるのに対して、金属残渣42の高さは、5μm〜12μmの高さとなる。なお、図8、図9あるいは図20では半導体基板31上に形成された配線層の構造を判り易く示すため、配線32、絶縁層34、表面配線33、および絶縁層35からなる配線層を拡大して示している。このため、図8、図9あるいは図20においては、金属残渣42の高さは前記配線層の高さと比較して相対的に低く示しているが、本願発明者が具体的に検討した複数の半導体ウエハにおいては、いずれも、配線層の高さと比較して2倍以上の高さで金属残渣42が立ち上がっていることを確認した。また、後で説明する図15および図18についても同様である。
レーザ加工領域43の両端に形成される金属残渣42のうち、スクライブ領域40b側に形成される金属残渣42bは、後にダイシングブレードで加工することにより除去することができるので、特に大きな問題とはならない。しかし、デバイス領域40a側に形成される金属残渣42aは、ダイシング工程が完了した後も、半導体チップ(マイコンチップ3、あるいはメモリチップ4)の端部に残留することとなる。この金属残渣42aは、導電性異物となるため、半導体チップの信頼性を低下させる原因となる。
例えば、図1に示すマイコンチップ3の主面3aの周縁部に、金属残渣42aが形成されている場合、金属残渣42aが配線基板2上に脱落すると、配線基板2上の複数の端子11が金属残渣42aを介して短絡する懸念がある。特に、図2に示すように、端子11をチップ搭載領域2cの各辺に沿って複数列で配置するような、狭ピッチ多ピン化されたSIP1のような半導体装置の場合、隣り合う端子11の距離が短くなるため、金属残渣42aによって短絡する危険性が上昇する。また、例えば、メモリチップ4の主面4aの周縁部に、金属残渣42aが形成されている場合、ワイヤ5のループ高さが低ければ、ワイヤ5が金属残渣42aと接触してしまう懸念がある。特に、本実施の形態のように複数の半導体チップを積層するタイプの半導体装置においては、パッケージ全体の厚さを低減する観点から、ワイヤ5のループ高さを低くする必要がある。このため、ワイヤ5と金属残渣42aが接触する危険性が上昇する。
このように、半導体チップの信頼性低下の原因となる金属残渣42aが形成されることを防止する観点からは、図20に示すように、金属パターン41aとガードリング36の距離を広く確保して、レーザ加工領域43のデバイス領域40a側の端部が、金属パターン41aの形成されていない領域となるように配置する方法も考えられる。しかし、この場合、レーザによる加工精度や、レーザを照射する際の熱影響等を考慮すると、金属パターン41aからガードリング36までの距離L1を広くとる必要がある。本願発明者の検討によれば、距離L1を40μm以上とする必要がある。
これに対し、図8に示すように、レーザ加工領域43の両端を、金属パターン41aと重なるように配置する場合、レーザ加工精度や、レーザ加工による熱影響の観点から、距離L1を40μmよりも小さく、必要最小限(例えば、10μm〜20μm程度)とすることができる。
つまり、図20に示すように、レーザ加工領域43のデバイス領域40a側の端部が、金属パターン41aの形成されていない領域となるように配置する場合、スクライブ領域40bの幅を広くとる必要がある。この結果、1枚のウエハ40から取得可能な半導体チップ(マイコンチップ3)の数が減少するので、製造効率が低下する、あるいは、材料コストが増加する、などの課題が生じる。
そこで、本願発明者は、製造効率の低下を抑制しつつ、かつ、金属残渣42aがマイコンチップ3の主面3aやメモリチップ4の主面4aの周縁部に残留することを防止する技術について検討し、以下のレーザ加工技術を見出した。
すなわち、まず、図8に示すように第1のエネルギーを有する第1のレーザを、金属パターン41aを含むレーザ加工領域43に主面3a側から照射して、絶縁層34を取り除く。その後、図9に示すように第1のエネルギーよりも低い第2のエネルギーを有する第2のレーザを、レーザ加工領域43のデバイス領域40a側の端部を含むレーザ加工領域44に主面3a側から照射する。
この場合、レーザ加工領域43の両端には、金属パターン41aが配置されるので、第1のレーザを照射した後は、図8に示すように金属残渣42aが形成される。しかし、次に、第2のレーザをレーザ加工領域43のデバイス領域40a側の端部を含むレーザ加工領域44に照射することにより、形成された金属残渣42aを選択的に取り除く。この結果、図3に示すように、得られるマイコンチップ3の周縁部には、金属パターン41a(図7参照)の一部であった金属パターン37が配置されるが、その表面の金属残渣42aは取り除かれた状態となる。
ここで、第1および第2のレーザのエネルギーについて説明する。レーザグルービング技術では、レーザ照射することにより加工エネルギーを被照射物に印加して、被照射物を溶融、あるいは気化させて取り除く。したがって、被照射物に印加される加工エネルギーを調整することにより、被照射物を選択的に取り除くことができる。つまり、本実施の形態では、第1のレーザにより、レーザ加工領域43に形成された絶縁層34、およびテストパターン41を構成する金属パターン41aを取り除く。続いて照射する第2のレーザの加工エネルギーで、図8に示す金属残渣42aは取り除くことができ、かつ、金属パターン41aは殆ど加工しない程度に加工エネルギーを十分に小さくすることで、金属残渣42aを選択的に取り除くことができる。
被照射物に印加される加工エネルギーは、照射するレーザの出力(エネルギー出力)、焦点深度、および周波数により規定される。したがって、被照射物に印加する加工エネルギーを調整する手段として、第2のレーザの出力を第1のレーザの出力よりも低くする方法、第2のレーザの照射面から焦点深度までの距離を第1のレーザから焦点深度までの距離よりも長くする方法、あるいはこれらを組み合わせる方法を用いることができる。本実施の形態では、例えば、第2のレーザの出力を、第1のレーザの出力に対して1/5とすることにより、金属残渣42aを選択的に取り除いている。
また、本実施の形態では、第1のレーザを照射するレーザ加工領域43の幅は、第2のレーザを照射するレーザ加工領域44の幅よりも太い。これは以下の理由による。すなわち、レーザ加工領域43は、ダイシングブレードを挿入するための溝を形成する領域であり、ダイシングブレードの位置合わせ精度、およびレーザ加工の位置合わせ精度の観点から、ある程度のマージンが必要となる。一方、第2のレーザを照射するレーザ加工領域44は、金属残渣42aに照射することができれば良いので、ダイシングブレードの位置合わせ精度は考慮しなくても良い。また、レーザ加工領域44はレーザ加工領域43よりも、デバイス領域40a側に配置されるので、レーザ加工領域43よりも幅を狭くした方が、ガードリング36までの距離を短くすることができる。このため、本実施の形態では、レーザ加工領域43の幅をレーザ加工領域44の幅よりも太くしている。
レーザ加工を行う場合には、被照射物(本実施の形態では、金属パターン41aおよび絶縁層34)の表面に、例えば、PVA(Polyvinyl Alcohol)など、水溶性の有機化合物からなる薄膜を形成し、該薄膜の上面側からレーザを照射する。これは、レーザ加工時に発生する塵などを、レーザ加工後の洗浄により、除去しやすくするためである。本実施の形態では、金属残渣42aを取り除く第2のレーザを、第1のレーザを照射した後から照射するので、第2のレーザを照射する工程では、金属残渣42aが薄膜から露出した状態で第2のレーザを照射する。このため、第1のレーザと比較して加工エネルギーが低い第2のレーザは、薄膜によってさらに加工エネルギーが低下するため、薄膜に覆われている金属残渣42a以外の領域はより加工され難くなる。すなわち、金属残渣42aを選択的に取り除き易くなる点で有利である。
第2のレーザによるレーザ加工により金属残渣42aを選択的に取り除くと、後述するダイシングブレードを用いた切断工程の前の前処理が完了する。なお、ダイシングブレードによる切断を行う前に洗浄工程を行って、レーザ加工時に形成した水溶性の薄膜とともに、レーザ加工時に発生した塵などを除去しても良いが、切断工程時にも切断屑が発生するので、洗浄工程は、切断後に一括して行うこともできる。
また、本実施の形態では、第1のレーザによるレーザ加工において、ダイシングブレードを用いて切削する切削加工領域40c全体の絶縁層34を除去する訳ではなく、切削加工領域40cの両端に第1のレーザによるレーザ加工を施して2つの溝を形成している。すなわち、切削加工領域40cの両端にそれぞれ第1のレーザにより加工されるレーザ加工領域43を配置している。換言すれば、本実施の形態では第1のレーザおよび第2のレーザを照射してレーザ加工を完了した時点で、切削加工領域40c内に絶縁層34およびテストパターン41の一部が残っている。これにより、切削加工領域40c全体をレーザ加工領域とする場合と比較して、レーザ加工領域43の幅を狭くすることができる。レーザ加工領域43の幅を狭くすると、レーザ加工位置の位置精度を向上させることができるので、レーザ加工精度に起因して必要なマージン(スクライブ領域40bの幅)を小さくすることができる。したがって、図8および図9の変形例としては、レーザ加工領域43の幅を切削加工領域40cの幅よりも太くして、切削加工領域40c内の絶縁層34を全て第1のレーザにより取り除くこともできるが、上記観点からは、図8および図9に示すように切削加工領域40cの両端にそれぞれ第1のレーザにより加工されるレーザ加工領域43を配置することが好ましい。
次に、ダイシングブレードを用いてスクライブ領域40bを切削加工し、ウエハ40を切断して、複数のマイコンチップ3を取得する。ダイシングブレードを用いた切断方法は、以下に説明する方法の他、種々の変形例を適用することができるが、本実施の形態では、一例として、ブレード幅の異なる複数(2種類)のダイシングブレードを用いて切断する方法について説明する。
図10は、図9に示す半導体ウエハに第1のダイシングブレードを挿入している状態を示す要部拡大断面図、図11は図10に示す半導体ウエハを第2のダイシングブレードを用いて切断した状態を示す要部拡大断面図である。
図10および図11に示すブレード51、52は、基体となる樹脂あるいは金属に、例えばダイヤモンドからなる砥粒を結合させた、所謂、レジンボンドブレード、あるいはメタルボンドブレードと呼ばれる切削治具(切断治具)である。ブレード51、52は、それぞれ環状に形成され、回転させながら、その周縁部(すなわち、ブレードの先端部)を切削対象物に押し当てることにより切削する。
本工程では、まず、ウエハ40の裏面3bにダイシングテープ53を貼着する。ダイシングテープ53は、本工程において、ウエハ40の裏面3b側を保護する機能、ダイシングテープ53の周縁部に配置される図示しない枠体と、ウエハ40を一体化して、ウエハ40の位置を固定する機能、あるいは、ウエハ40から個片化された半導体チップ(マイコンチップ3)が飛散するのを防止する機能を有している。
第1のブレード51をスクライブ領域40b内の切削加工領域40cに配置して、ブレード51を回転させながら、図5に示すスクライブ領域40bに沿って移動させる。ブレード51は、両側面51aが前記した第1のレーザによるレーザ加工領域43(図8参照)に形成された溝の延長線上に位置するように配置する。したがって、レーザ加工領域43は、ブレード51を配置する位置精度を考慮して、側面51aがレーザ加工領域43内に収まるような幅を有している。
ブレード51による切削工程では、ブレード51の先端が、切削加工領域40c内に残っている絶縁層34(図9参照)およびテストパターン41(図9参照)の一部を順次切削する。絶縁層34は前記したように、SiOと比較して脆弱な低誘電率膜からなるため、切削中に、絶縁層34にクラックやチッピングなどが発生する場合もある。しかし、本実施の形態では、予め切削加工領域40cの両端にレーザ加工による溝を形成しているので、仮に切削加工領域40c内の絶縁層34にクラックやチッピングが発生した場合であっても、デバイス領域40aに形成された絶縁層34には進展しない。つまり、ダイシング工程における絶縁層34の剥離等の不具合を防止することができる。
また、本実施の形態では、ブレード51によりウエハ40を完全に切断せず、ウエハ40の途中(例えば、図10に示すように半導体基板31の途中)まで切削する、ハーフカットを行う。このように、切削工程を複数回に分けて段階的に切断することにより、1回の切削工程でウエハ40を裏面3b側まで切断する場合と比較して、切削抵抗を低減することができるので、切削工程時にウエハ40に加わる応力を低減することができる。
次に、図11に示すように、第2のブレード52を用いて、ウエハ40の裏面3b側を貫通してダイシングテープ53の一部まで切削する第2の切削工程を行う。本工程では、ウエハ40を完全に切断する、フルカットを行う。ウエハ40をフルカットすると、デバイス領域40aの主面3a側の端部が、スクライブ領域40bの方向に傾く場合がある。この時、主面3a側に形成されたデバイス領域40aの絶縁層34がブレード52に接触すると、接触箇所にチッピングなどが発生する可能性がある。この観点からは、本実施の形態のようにフルカットを行う第2の切削工程においてはブレード51よりも幅の狭いブレード52を用いる方が好ましい。デバイス領域40aの主面3a側の端部からブレード52までの距離を広くすることにより、第2の切削工程におけるチッピングの発生をより確実に防止できるからである。
本工程が完了すると、ウエハ40のデバイス領域40aは、それぞれ個片化され、図3に示すマイコンチップ3を複数取得する。
次に、図1に示すSIP1を製造する、その他の工程について説明する。図12は、配線基板に、図1に示すマイコンチップ、メモリチップを順に搭載し、配線基板の端子と電気的に接続した状態を示す要部拡大断面図である。また、図13は、図12に示す配線基板の上面側を樹脂封止した状態を示す要部拡大断面図である。
図12において配線基板55は、複数個分の配線基板2(図1参照)が、例えばマトリクス状に複数個並べられた状態で一体に形成された、所謂多数個取り配線基板である。
配線基板55の上面2aには、図1に示す配線基板2に相当する製品形成領域55aが複数形成され、それぞれに図1および図2に示す複数の端子11、12が形成されている。以下半導体チップを順次搭載する工程、および半導体チップと配線基板の端子を電気的に接続する工程について簡単に説明する。
本工程では、まず、マイコンチップ3をフリップチップ接続により、配線基板55の上面に搭載する。詳しくは、図1に示す配線基板の端子11上に、バンプ22と接合させる半田(迎え半田)をそれぞれ配置して、マイコンチップ3の主面3a側に形成された複数のバンプ22と半田とを接合する。この時、マイコンチップ3の主面3a側の端部に、図8に示すような金属残渣42aが残留しており、これが落下すると、隣り合う端子11が短絡する原因となるが、本実施の形態では、前記したように、金属残渣42aを確実に除去することができるので、これを防止することができる。マイコンチップ3の複数のパッド21と配線基板55の複数の端子11をそれぞれ電気的に接続した後、マイコンチップ3の主面3aと配線基板55の上面2aの間にアンダフィル樹脂を配置して、接合部を保護する。アンダフィル樹脂15は、例えばマイコンチップ3の周縁部の隣に図示しない充填ノズルを配置してマイコンチップ3の一方の辺から対向辺の方向に向かってアンダフィル樹脂を注入することにより配置する。この時、図8に示すような金属残渣42aが残留していると、アンダフィル樹脂15を注入する際の圧力により、金属残渣42aがマイコンチップ3の端部から脱落し易くなる。しかし、本実施の形態では、前記したように、金属残渣42aを確実に除去することができるので、これを防止することができる。
次に、マイコンチップ3の裏面3b側にメモリチップ4をフェイスアップ実装により搭載する。詳しくは、図1に示すようにメモリチップ4の裏面4bとマイコンチップ3の裏面3bを対向させた状態で、例えばDAF(Die Attach Film)と呼ばれる接着シートを介して接着する。本実施の形態では、2枚のメモリチップ4を搭載する例を示しているが、複数のメモリチップを積層する場合、図1に示すように下層のメモリチップ4のパッド4dが、露出するように上層のメモリチップ4を下層のメモリチップ4の主面4a上に積層する。
次に、メモリチップ4の複数のパッド4d(図1参照)と配線基板55の端子12(図1参照)を、ワイヤ5を介して電気的に接続する。この時、メモリチップ4の主面4a側の端部に、図8に示す金属残渣42aが残留している場合、ワイヤ5のループ高さが低いとワイヤ5と金属残渣42aが接触してしまう場合がある。しかし、本実施の形態によれば、メモリチップ4(すなわち、フェイスアップ実装する半導体チップ)の製造工程においても、金属残渣42aを確実に除去することができるので、ワイヤ5のループ高さによらず、これを防止することができる。この結果、ワイヤ5のループ高さを低く抑えることができるので、複数枚の半導体チップが積層されるSIP1のような半導体装置であっても、パッケージ高さの上昇を抑制することができる。
次に、図13に示すように、配線基板55の上面2a側に配置されたマイコンチップ3、メモリチップ4、および複数のワイヤ5を樹脂封止して、これらを保護する。本工程は、例えば、図13に示すように、上型56aおよび下型56bよりなる成型金型56のキャビティ56c内に図12に示す配線基板55を配置した後、キャビティ56c内に封止樹脂6を注入することにより行う。この時、メモリチップ4の主面4aの周縁部に図8に示すような金属残渣42aが残留していると、封止樹脂6の注入時の圧力により、金属残渣42aあるいはワイヤ5が僅かに変形して短絡する可能性がある。しかし、本実施の形態によれば、メモリチップ4の製造工程においても、金属残渣42aを確実に除去することができるので、これを防止することができる。
次に、ボールマウント工程として、配線基板55の下面2b側に、図1に示す複数の半田ボール14を形成する。その後、複数の製品形成領域55a(図12参照)を有する配線基板55を封止樹脂6とともに切断し、個片化して、複数のSIP1を取得する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ダイシングブレードで切削加工を施す前に、レーザ加工をおこなって、スクライブ領域40bの絶縁層34を取り除くので、ダイシング工程において、半導体チップの層間絶縁膜である絶縁層34にクラックやチッピングが発生し、半導体基板31から剥離してしまうことを防止することができる。
また、レーザ加工工程では、絶縁層34を取り除くための、エネルギーの強い第1のレーザを照射するレーザ加工領域43の両端が、スクライブ領域40bの主面3a上に形成される金属パターン41aと重なるように配置することにより、ガードリング36と金属パターン41aの距離を40μmよりも小さく、例えば10μm〜20μmとすることができる。この結果、ウエハ40におけるスクライブ領域40bの占める面積を低減することができるので、1枚のウエハ40から取得できる半導体チップ(マイコンチップ3、メモリチップ4)の数が増加する。
また、第1のレーザを照射すると、レーザ加工領域43のデバイス領域40a側の端部に、金属残渣42aが残留するが、第1のレーザよりもエネルギーの低い第2のレーザを照射することにより、金属残渣42aを選択的に取り除くことができる。したがって、金属残渣42aが半導体チップの端部に残留することに起因する短絡などの問題を防止することができる。つまり、半導体チップの信頼性を向上させることができる。
(実施の形態2)
前記実施の形態では、第1のレーザにより絶縁層34を取り除く際に発生する金属残渣42aを第2のレーザで選択的に取り除く実施態様について説明した。本実施の形態では、絶縁層34を取り除く前に、予め、主面3a上の金属パターンを取り除く実施態様について説明する。
図14は、本実施の形態の半導体ウエハの主面側から、第1のレーザを照射した状態を示す要部拡大断面図、図15は図14に示す半導体ウエハの主面側から、第2のレーザを照射した状態を示す要部拡大断面図である。なお、本実施の形態の半導体装置の製造方法と前記実施の形態で説明した半導体装置の製造方法の相違点は、半導体ウエハの主面側をレーザ加工する工程である。したがって、前記実施の形態と重複する説明は省略する。
本願発明者が、前記実施の形態で説明した金属残渣42aについて成分分析を行った所、金属残渣42aに含まれる金属成分は、金属パターン41aを構成する金属材料であるアルミニウムが大半を占めることが判った。これは、ウエハ40の主面3a側に形成される複数層の配線のうち、表面配線33(すなわち、金属パターン41a)が最も厚い配線であるためと考えられる。また、絶縁層34を取り除くことができる程度の比較的高い加工エネルギーを有するレーザを金属に照射すると、金属は溶融し、溶融金属が表面(主面3a側)に吹き出ることとなる。表面に吹き出た溶融金属は、大気(雰囲気)に暴露することにより急激に冷却されて凝固し、金属残渣42になると考えられる。特に、レーザ加工領域の端部に大気に露出する金属パターン41aが形成されている場合、金属パターン41aが放熱材として機能するため、レーザ加工領域に隣接する金属パターン41aの端部にヒゲ状に残留すると考えられる。
したがって、絶縁層34を取り除くことができる程度の比較的高い加工エネルギーを有するレーザを金属に照射する前に、予めレーザ加工領域内の金属パターン41aを取り除いておくことにより、金属残渣42の形成を防止ないしは抑制することができる。第1に、レーザ加工領域内の金属量を大幅に低減することができるからである。また、第2に、前記実施の形態1で説明したレーザ加工領域43に、銅からなる内層の配線32が含まれる場合であっても、主面3a上に形成された金属パターン41aを取り除くことにより、配線32に起因した溶融金属が主面3a上で凝固しても、主面3a上に残留し難い。つまり、凝固した溶融金属は金属残渣42とはならずに、周囲に落下するので、洗浄する際に取り除くことができるからである。
そこで、本実施の形態では、レーザ加工により絶縁層34を取り除く前に、予めレーザ加工領域内の金属パターン41aを取り除くレーザ加工技術について説明する。すなわち、まず、図14に示すように第1のエネルギーを有する第1のレーザを、テストパターン41を含むレーザ加工領域45に照射して、レーザ加工領域45内の金属パターン41aを取り除く。その後、図15に示すように第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを有する第2のレーザを、レーザ加工領域46に照射して、レーザ加工領域46内の絶縁層34を取り除く。ここで、レーザ加工領域46のデバイス領域40a側の端部が、レーザ加工領域45内に位置するように配置するものである。
本実施の形態によれば、絶縁層34を取り除くための、強い加工エネルギーを有する第2のレーザを照射する際には、テストパターン41の金属パターン41aが、予め除去されているので、前記実施の形態1で説明した金属残渣42aが形成されることを防止することができる。また、図15に示すように、レーザ加工領域46のスクライブ領域40b側の端部には、テストパターン41の表面配線33上に金属残渣42bが形成されるが、金属残渣42bは、前記実施の形態で説明したように、ブレードを用いてウエハ40を切断する際に取り除くことができる。
ここで、第1のレーザおよび第2のレーザがそれぞれ有するエネルギーとは、前記実施の形態で説明したように、被照射物に印加される加工エネルギーを意味し、照射するレーザの出力(エネルギー出力)、焦点深度、および周波数のうち、いずれか1つ、あるいは複数を変化させることにより調整することができる。
本実施の形態によれば、レーザ加工領域45に照射する第1のレーザのエネルギーをレーザ加工領域46に照射する第2のレーザのエネルギーと比較して低くすることにより、図8に示すような金属残渣42aの発生を、導電性異物としての実効上無視できる程度まで抑制しつつ、テストパターン41の表面配線33を選択的に取り除くことができる。この場合、表面配線33が取り除かれた後に露出する絶縁層34は、その露出面が僅かに加工される程度の状態となる。
また、本実施の形態においても、レーザ加工を行う際には、前記実施の形態で説明した水溶性の薄膜を形成した状態で行うが、本実施の形態では、相対的にエネルギーの低い第1のレーザを照射する工程を、ウエハ40の表面全体が、薄膜に覆われた状態で行うこととなるので、加工安定性の観点から好ましい。
以上、本願発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、実施の形態1、2では、半導体チップの主面に形成される層間絶縁膜として、SiOよりも比誘電率が低い低誘電率材料からなる絶縁層34を用いる実施態様を示したが、例えば、絶縁層34に代えて、SiOからなる絶縁層を用いる半導体装置に適用しても良い。この場合であっても、ダイシング工程において、レーザ加工を行う場合には、実施の形態1、2で説明した課題が発生するので技術を適用することにより、これを解決することができる。
また、例えば、実施の形態1、2では、配線基板上に複数の半導体チップを積層した半導体装置の例を取り上げて説明したが、半導体チップを搭載する基板や、半導体チップの数は、これに限定されない。例えば、半導体チップを搭載する基板を、配線基板に代えて、リードフレームとする場合もある。
例えば、図1に示す半導体装置の変形例を示す図16では、リードフレームに半導体チップを搭載して製造する、リードフレームタイプの半導体装置の一例を示している。図16に示す半導体装置57では、マイコンチップ3は、タブ(チップ搭載領域、ダイパッド)58上に搭載され、マイコンチップ3の複数のパッド21は、ワイヤ5を介して外部端子である複数のリード59とそれぞれ電気的に接続されている。また、マイコンチップ3および複数のワイヤ5は、封止樹脂(封止体)6により封止され、複数のリード59は、それぞれ一方の端部が封止樹脂6の内部に封止され、他方の端部は封止樹脂6の外部に配置されている。このタブ58および複数のリード59はリードフレームの一部を構成し、半導体装置57の製造工程において、マイコンチップ3を搭載する時点では、これらは一体に形成されている。このように、実施の形態1、2で説明した技術をリードフレームタイプの半導体装置に適用することもできる。また、リードフレームタイプの半導体装置において、1つのパッケージ内に複数の半導体チップを有する構造とすることもできる。
また、例えば、図1に示す半導体装置の変形例を示す図17のように、配線基板61上に1枚の半導体チップ62をフェイスアップ実装により搭載した半導体装置60に適用することができる。図17に示す半導体装置60では、半導体チップ62の主面3aに形成された複数のパッド63と配線基板の上面2aに形成された複数の端子(ボンディングリード)64が、複数のワイヤ65を介して電気的に接続されている。この複数のワイヤ65により端子64とパッド63を電気的に接続する工程では、まず、ワイヤ65の一方の端部を端子64の表面に接合した後、他方をパッド63に接合する、所謂逆ボンディングにより行われている。この逆ボンディングによる接続方法は、所謂正ボンディングと比較して端子64と半導体チップ62の距離を近付けることができるので、半導体装置の平面寸法を小型化する場合に有効である。また、ワイヤ65のループ高さも、正ボンディングと比較して、低くすることができる。しかし、ループ高さを低くすると、実施の形態1で説明したように、金属残渣42aが半導体チップ62の端部に形成されていた場合に、短絡などが発生する危険性が増大する。したがって、逆ボンディングを行う半導体装置60に用いる半導体チップ62の製造工程において、実施の形態1、2で説明した技術を適用することは特に有効である。
また、実施の形態1、2では、絶縁層34を取り除くためのレーザ加工において、ダイシングブレードを用いて切削する切削加工領域40c全体の絶縁層34を除去する訳ではなく、切削加工領域40cの両端にレーザ加工を施して2つの溝を形成する実施態様を説明した。しかし、例えば、図8に対する変形例を示す図18のように、レーザ加工領域43の幅を広くして、ダイシングブレードにより切削加工する切削加工領域40c内に配置されるテストパターンと絶縁層34全体を取り除くこともできる。この場合、レーザ加工精度に起因して必要となるマージンの幅が、実施の形態1、2と比較して広くなるため、スクライブ領域40bの幅は、実施の形態1と比較すると太くなるが、比較例である図20に示す例と比較すると大幅に低減することができる。また、図9に対する変形例を示す図19に示すように、金属残渣42a(図8参照)を取り除くためのレーザ加工領域44の幅を太くしても良いことは言うまでもない。この場合、図8に示す金属残渣42bも一括して取り除くことができる。
また、実施の形態1、2では、レーザ加工工程の後、ダイシングブレードを用いて切断する実施態様について説明したが、レーザ加工工程の後、ウエハ40を切断する手段は、ダイシングブレードを用いた切断方法には限定されない。例えば、実施の形態1、2で説明したレーザ加工工程の後、ウエハ40の裏面3b側まで、レーザにより切断する技術を適用することもできる。ただし、ウエハ40を切断するためには、実施の形態1、2で説明した第1および第2のレーザと比較して、より強い加工エネルギーを有するレーザを用いる必要があるので、デバイス領域40aへの熱影響を考慮すると、実施の形態1、2で説明したように、ダイシングブレードで切断した方が、スクライブ領域40bの幅をより狭くすることができる点で好ましい。
本発明は、特に半導体ウエハを切断して複数の半導体チップを取得するダイシング工程を行う半導体装置に利用可能である。
1 SIP(半導体装置)
2 配線基板
2a 上面
2b 下面
2c チップ搭載領域
3 マイコンチップ(半導体チップ)
3a、4a 主面
3b、4b 裏面
4 メモリチップ(半導体チップ)
4d パッド(電極)
5 ワイヤ
6 封止樹脂(封止体)
11、12 端子(ボンディングリード)
13 ランド
14 半田ボール
15 アンダフィル樹脂
21 パッド
22 バンプ
31 半導体基板
31a 半導体素子層
32 配線
33 表面配線
34、35 絶縁層
36 ガードリング
37 金属パターン
40 ウエハ(半導体ウエハ)
40a デバイス領域
40b スクライブ領域
40c 切削加工領域
41 テストパターン
41a 金属パターン
42、42a、42b 金属残渣(金属溶融残渣)
43、44、45、46 レーザ加工領域
51、52 ブレード(ダイシングブレード)
51a 側面
53 ダイシングテープ
55 配線基板(多数個取り基板)
55a 製品形成領域
56 成型金型
56a 上型
56b 下型
56c キャビティ
57、60 半導体装置
58 タブ(チップ搭載領域、ダイパッド)
59 リード
61 配線基板
62 半導体チップ
63 パッド
64 端子(ボンディングリード)
65 ワイヤ
L1 距離

Claims (14)

  1. 主面、前記主面に形成された複数のデバイス領域、前記複数のデバイス領域のうちの隣り合うデバイス領域の間に形成されたスクライブ領域、および前記主面とは反対側に位置する裏面を有する半導体ウエハを準備する半導体ウエハ準備工程、
    前記半導体ウエハを前記スクライブ領域に沿って切断して、複数の半導体チップを取得するダイシング工程、を有し、
    前記半導体ウエハ準備工程で準備する前記半導体ウエハは、
    前記主面に形成される、複数の半導体素子が形成される半導体素子層、および前記半導体素子層上に複数の第1絶縁層を介して積層され、前記複数の半導体素子と電気的に接続される複数の第1配線、
    前記主面上に形成される、複数の第1電極、前記複数の第1電極と前記複数の半導体素子を電気的に接続する複数の第2配線、
    前記スクライブ領域の前記主面上に形成される金属パターン、を有し、
    前記ダイシング工程は、前記半導体ウエハを切断する前に、前記スクライブ領域にレーザを照射するレーザ加工工程を含み、
    前記レーザ加工工程には、
    第1のエネルギーを有する第1のレーザを、前記金属パターンを含む第1のレーザ加工領域に前記主面側から照射して、前記第1絶縁層を取り除く工程と、
    前記第1のエネルギーよりも低い第2のエネルギーを有する第2のレーザを、前記第1のレーザ加工領域の前記デバイス領域側の端部を含む第2のレーザ加工領域に照射して、前記第2のレーザ加工領域に形成された金属残渣を取り除く工程と、を有していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記第1絶縁層は、SiOよりも比誘電率が低い低誘電率材料からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 請求項2において、
    前記ダイシング工程は、前記レーザ加工工程の後、ダイシングブレードを用いて前記半導体ウエハの前記スクライブ領域を切削加工して切断する工程、を含んでいることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 請求項3において、
    前記ダイシングブレードで切削する切削加工領域の両端に、それぞれ前記第1のレーザ加工領域を配置することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 請求項4において、
    前記第2のレーザ加工領域の幅は、前記第1のレーザ加工領域の幅よりも狭いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 請求項1において、
    前記レーザ加工工程では、
    前記金属パターンおよび前記第1絶縁層の表面に水溶性の有機化合物からなる膜を形成し、前記第1のレーザは、前記膜の上面側から照射することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 請求項1において、
    前記デバイス領域の外周には、前記デバイス領域の外周に沿ってガードリングが配置され、
    前記ガードリングから前記金属パターンまでの距離は、40μmよりも小さいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  8. 請求項1において、
    上面、前記上面と反対側に位置する下面、および前記上面に形成される複数の端子を有する基板を準備する基板準備工程、
    前記基板の上面に、前記半導体チップを搭載する半導体チップ搭載工程、をさらに有し、
    前記半導体チップ搭載工程では、
    前記半導体チップの前記主面と、前記基板の前記上面を対向させた状態で、前記半導体チップの前記複数の第1電極と、前記基板の前記複数の端子とをそれぞれ電気的に接続することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 請求項1において、
    上面、前記上面と反対側に位置する下面、および前記上面に形成される複数の端子を有する基板を準備する基板準備工程、
    前記基板の上面に、前記半導体チップを搭載する半導体チップ搭載工程、
    前記半導体チップの前記複数の第1電極と、前記基板の前記複数の端子を、複数のワイヤを介して電気的に接続する、ワイヤボンディング工程、をさらに有し、
    前記半導体チップ搭載工程では、
    前記半導体チップの前記裏面を、前記基板の前記上面に接着することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  10. 請求項1において、
    前記金属パターンは、前記スクライブ領域に形成されたテスト用の半導体素子と電気的に接続され、
    前記ダイシング工程の前に、前記金属パターンにプローブ端子を接触させて、前記金属パターンに電気的に接続される前記テスト用の半導体素子の電気的特性を確認する工程を有していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  11. 主面、前記主面に形成された複数のデバイス領域、前記複数のデバイス領域のうちの隣り合うデバイス領域の間に形成されたスクライブ領域、および前記主面とは反対側に位置する裏面を有する半導体ウエハを準備する半導体ウエハ準備工程、
    前記半導体ウエハを前記スクライブ領域に沿って切断して、複数の半導体チップを取得するダイシング工程、を有し、
    前記半導体ウエハ準備工程で準備する前記半導体ウエハは、
    前記主面に形成される、複数の半導体素子が形成される半導体素子層、および前記半導体素子層上に複数の第1絶縁層を介して積層され、前記複数の半導体素子と電気的に接続される複数の第1配線、
    前記主面上に形成される、複数の第1電極、前記複数の第1電極と前記複数の半導体素子を電気的に接続する複数の第2配線、
    前記スクライブ領域の前記主面上に形成される金属パターン、を有し、
    前記ダイシング工程は、前記半導体ウエハを切断する前に、前記スクライブ領域にレーザを照射するレーザ加工工程を含み、
    前記レーザ加工工程には、
    第1のエネルギーを有する第1のレーザを、前記金属パターンを含む第1のレーザ加工領域に前記主面側から照射して、前記第1のレーザ加工領域内の前記金属パターンを取り除く工程と、
    前記第1のエネルギーよりも高い第2のエネルギーを有する第2のレーザを、第2のレーザ加工領域に照射して、前記第2のレーザ加工領域内の前記第1絶縁層を取り除く工程と、を有し、
    前記第2のレーザ加工領域の前記デバイス領域側の端部は、前記第1のレーザ加工領域内に位置するように配置することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  12. 請求項11において、
    前記第1絶縁層は、SiOよりも比誘電率が低い低誘電率材料からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  13. 主面、前記主面に形成された複数のデバイス領域、前記複数のデバイス領域のうちの隣り合うデバイス領域の間に形成されたスクライブ領域、および前記主面とは反対側に位置する裏面を有する半導体ウエハを準備する半導体ウエハ準備工程、
    前記半導体ウエハを前記スクライブ領域に沿って切断して、複数の半導体チップを取得するダイシング工程、を有し、
    前記半導体ウエハ準備工程で準備する前記半導体ウエハは、
    前記主面に形成される、複数の半導体素子が形成される半導体素子層、および前記半導体素子層上に複数の第1絶縁層を介して積層され、前記複数の半導体素子と電気的に接続される複数の第1配線、
    前記主面上に形成される、複数の第1電極、前記複数の第1電極と前記複数の半導体素子を電気的に接続する複数の第2配線、
    前記スクライブ領域の前記主面上に形成される金属パターン、を有し、
    前記ダイシング工程は、前記半導体ウエハを切断する前に、前記スクライブ領域にレーザを照射するレーザ加工工程を含み、
    前記レーザ加工工程には、
    第1のエネルギーを有する第1のレーザを、第1のレーザ加工領域に前記主面側から照射する工程と、
    前記第1のエネルギーよりも低い第2のエネルギーを有する第2のレーザを、前記第1のレーザ加工領域の前記デバイス領域側の端部を含む第2のレーザ加工領域に照射する工程と、を有し、
    前記第1のレーザ加工領域の両端は、前記金属パターンと重なる位置に配置されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  14. 請求項13において、
    前記第1絶縁層は、SiOよりも比誘電率が低い低誘電率材料からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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