JP2011033949A - 会話漏洩防止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】室外にマスカ音を放音している間における室外のターゲット音の不明瞭性の程度を室内の話者に提示する。
【解決手段】会話漏洩防止装置10は、音量調整ボリューム21の操作に応じて部屋91に放音するマスカ音Mの音量レベルLMをマニュアル調整するモードAと部屋92内におけるターゲット音Rの了解度WISが上限値WISLIMIT以下に保たれるようにマスカ音Mの音量レベルLMを自動調整するモードBで動作する。モードAでは、マスカ音Mの音量レベルLMを小さくしたときは、マイクロホン95が収音した話声Sに与える利得を大きくし、話声Sの音量レベルLMが見かけ上大きくなったものとして、マスカ音Mと話声Sの音量レベル比TMを求め、この音量レベル比TMからターゲット音Rの了解度WISを求める。
【選択図】図1
Description
しかしながら、ターゲット音の不明瞭性は、ターゲット音とマスカ音の音圧レベル比に依存する。よって、マスカ音の音量レベルを低くしたときはそれに合わせて話者の話声も小さくしないと、その話声のターゲット音の十分な不明瞭性が確保できなくなってしまうという問題がある。
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、話者がマスカ音の音量を下げたときにその話声の大きさを抑えることを促すような仕組みを提供することを目的とする。
図1は、本発明の実施の形態である会話漏洩防止装置10が設置される部屋91,92を模式的に示した図である。図2は、会話漏洩防止装置10の構成を示すブロック図である。図1に示すように、会話漏洩防止装置10は、第1および第2の領域を構成する2つの部屋91,92のうち一方の部屋91に置かれ、他方の部屋92のスピーカ97とケーブル93により接続される。部屋91内において、会話漏洩防止装置10は、部屋91内の話者から1m程度離れた位置に置くとよい。
たとえば、マスカ音Mの音量レベルLMを一定にしてその周波数スペクトルを変えた場合、マスカ音Mとターゲット音Rの周波数スペクトルが似ているほどターゲット音Rの不明瞭性は高まる。また、マスカ音Mの周波数スペクトルを変えずにその音量レベルLMを変えた場合、マスカ音Mの音量レベルLMが大きいほどターゲット音Rの不明瞭性は高まる。
a1.ノイズのみを含む音(以下、「ノイズ音」)
b1.ノイズと人声を所定の比率で混合した音(以下、「ミックス音」)
c1.人声のみを含む音(以下、「人声音」)
図2において、マスカ音メモリ11は、ノイズ音、ミックス音、および人声音の各々のマスカ音データM−dataを記憶したメモリである。マスカ音データM−dataは、ノイズ音、ミックス音、および人声音の各々の音波形を示すデータである。
テーブルtbl−nは、マスカ音Mがノイズ音である場合における、ターゲット音Rとマスカ音Mとの音量レベル比TM(TM=R−M)と部屋92におけるターゲット音Rの了解度WISとを対応づけるテーブルである。
テーブルtbl−mは、マスカ音Mがミックス音である場合における、ターゲット音Rとマスカ音Mとの音量レベル比TM(TM=R−M)と部屋92におけるターゲット音Rの了解度WISとを対応づけるテーブルである。
テーブルtbl−vは、マスカ音Mが人声音である場合における、ターゲット音Rとマスカ音Mとの音量レベル比TM(TM=R−M)と部屋92におけるターゲット音Rの了解度WISとを対応づけるテーブルである。
a2.マスカ選択操作
これは、ノイズ音、ミックス音、人声音のうち1つを部屋92に放音するマスカ音Mとして選択する操作である。
b2.遮音等級選択操作
これは、JIS A 1419−1に規定されている各遮音等級i(i=10,15,20…)のうちから会話漏洩防止装置10が設置される部屋91と隣の部屋92とを隔てる壁90の遮音等級iを選択する操作である。
c2.モード選択操作
これは、会話漏洩防止装置10の動作モードであるモードAとモードBのうち一方を選択する操作である。モードAは、音量調整ボリューム21の操作に応じてマスカ音Mの音量レベルLMをマニュアル調整するモードであり、モードBは、部屋92内におけるターゲット音Rの了解度WISが予め指定された上限値WISLIMIT(たとえば、WISLIMIT=0.010とする)以下に保たれるようにマスカ音Mの音量レベルLMを自動調整するモードである。
マスカ音生成部30は、マスカ音Mをスピーカ97から部屋92に放音する手段である。マスカ音生成部30は、再生部31、イコライザ32、メインアンプ33、モードA用アンプ34、モードB用アンプ35、およびD/A変換部36を有する。このマスカ音生成部30内の各部の動作内容は、以下の通りである。再生部31は、マスカ音メモリ11に記憶されている3種類のマスカ音データM−dataのうちマスカ選択操作によって選択された音のマスカ音データM−dataを再生対象とし、この再生対象としたマスカ音データM−dataを信号M(k)として出力する処理を繰り返す。
イコライザ32は、制御部70によって設定されるパラメータPara−Eに従い、再生部31の出力信号M(k)の周波数特性を壁90を透過した場合と同等の周波数特性に調整する。制御部70によるパラメータPara−Eの設定の詳細は、後述する。
メインアンプ33、モードA用アンプ34、モードB用アンプ35は、各々の利得g−33,g−34、g−35が可変なアンプである。
メインアンプ33には、マスカ選択操作によってマスカ音Mの種類が切り換えられる度に、切り換え後の種類に対応づけられた利得g−33が制御部70によって設定される。ノイズ音、ミックス音、人声音の各々におけるメインアンプ33の利得g−33は、利得g−33を乗じた信号の再生音レベルが以下の表2に示す再生音レベルとなるように設定されている。
暗騒音発生部46は、暗騒音メモリ12に記憶されている暗騒音データMa−dataを信号Ma(k)として出力する処理を繰り返す。暗騒音発生部46の出力信号Ma(k)は判定部47に入力される。
TM=LR’−((LM+LMa)*−LMx)…(2)
この式(2)において、LMxは、マスカ音の種類の違いによるマスキング効果(了解度WISの数値)の違いを補正する補正係数である。ノイズ音、ミックス音、および人声音の各々におけるLMxの値は以下の表3に示す通りである。
マスカ音切換処理では、制御部70は、マスカ選択操作によってマスカ音Mの種類が切り換えられる度に、切り換え後の音の種類を示す音種類信号M−kindを再生部31と判定部47に供給する。再生部31は、制御部70から与えられる音種類信号M−kindに従って再生対象のマスカ音データM−dataを切り換え、判定部47は、制御部70から与えられる音種類信号M−kindに従って参照先のテーブルtblを切り換える。
壁特性設定処理では、制御部70は、遮音等級選択操作によって選択された遮音等級iに応じてイコライザ32のパラメータPara−Eと壁特性フィルタ44のパラメータPara−Fを設定する。より具体的に説明すると、制御部70は、遮音等級選択操作によって選択された遮音等級iをもった壁90の透過損失特性(具体的には、125Hzから4kHzまでの1オクターブ帯域毎の壁90の透過前後の音量レベル比:以下、単に「透過損失特性」という)とイコライザ32の振幅特性が同じになるようなパラメータPara−Eをイコライザ32に設定するとともに、その透過損失特性と壁特性フィルタ44の振幅特性が同じになるようなパラメータPara−Fを壁特性フィルタ44に設定する。
利得マニュアル調整処理では、制御部70は、音量調整ボリューム21の操作に応じてモードA用アンプ34の利得g−34を調整する。また、制御部70は、この調整により、モードA用アンプ34の利得g−34が大きくなるときには、それに連動させて収音信号用アンプ42の利得g−42を小さくし、モードA用アンプ34の利得g−34が小さくなるときには、それに連動させて収音信号用アンプ42の利得g−42を大きくする。すなわち、制御部70は、モードA用アンプ34の利得g−34を調整する度に、モードA用アンプ34の利得g−34の調整分(dB値)と絶対値が同じで符号を反転した値と収音信号用アンプ42の利得g−42の調整分(dB値)が一致するように音信号用アンプ42の利得g−42を調整する。
利得自動調整処理では、制御部70は、判定部47からその判定処理において求めた了解度WISを示すデータの供給を受ける。そして、制御部70は、判定部47から供給されたデータが示す了解度WISが上限値WISLIMIT(WISLIMIT=0.010)を超えると、了解度WISを上限値WISLIMIT以下にするために必要なマスカ音Mの不足音量レベルを算出し、モードB用アンプ35の利得g−35をこの不足音量レベルに応じて制御する。
(1)上記実施形態では、ターゲット音Rの音量レベルRLと各種のマスカ音Mと音量レベルLMとの音量レベル比TMと部屋92におけるターゲット音Rの了解度WISの関係を示す関数をテーブルtblの代わりに準備し、この関数を用いて了解度WISを求めるようにしてもよい。
Claims (4)
- 音を収音する収音手段と、
操作手段と、
前記音が収音された第1の領域から前記第1の領域と異なる第2の領域へと伝搬されるターゲット音の了解度を低下させるマスカ音を前記第2の領域に放音するマスカ音生成手段と、
前記第2の領域におけるターゲット音の了解度を報知する報知手段と、
前記マスカ音生成手段が放音するマスカ音の音量を前記操作手段の操作に応じた音量とするとともに、前記収音手段によって収音された音の音量と前記マスカ音生成手段が放音するマスカ音の音量との相対比に応じた了解度を前記報知手段に報知させる制御手段と
を具備することを特徴とする会話漏洩防止装置。 - 了解度の複数のランクと各々対応づけられた複数の報知灯
を備え、
前記報知手段は、
前記収音手段によって収音される音の音量と前記マスカ音生成手段が放音するマスカ音の音量との相対比に基づいて前記第2の領域内における前記ターゲット音の了解度を算出し、算出した了解度が属するランクと対応づけられた報知灯を点灯させる
ことを特徴とする請求項1に記載の会話漏洩防止装置。 - 音を収音する収音手段と、
操作手段と、
前記音が収音された第1の領域から前記第1の領域と異なる第2の領域へと伝搬されるターゲット音の了解度を低下させるマスカ音を前記第2の領域に放音するマスカ音生成手段と、
前記操作手段によって第1の動作モードが選択された場合、前記操作手段の操作に応じて前記マスカ音の音量を制御し、前記操作手段によって第2の動作モードが選択された場合、前記第2の領域における前記ターゲット音の了解度が指定レベル以下を保つように、前記収音手段によって収音された音の音量に応じて前記マスカ音の音量を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする会話漏洩防止装置。 - 前記制御手段は、前記第1の動作モードおよび前記第2の動作モードのうちの一方から他方への切り換えが行われた場合、切り換え前の動作モードにおける切り換えの直前の前記マスカ音の音量を切り換え後の動作モードにおける前記マスカ音の音量の初期値とし、以降はこの初期値とした音量を前記操作手段の操作または前記収音手段によって収音された音の音量に応じて制御することを特徴とする請求項3に記載の会話漏洩防止装置。
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