JP2011033396A - 窓構造体、電子線出射装置及びx線出射装置 - Google Patents

窓構造体、電子線出射装置及びx線出射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 窓部材が破損するのを防止しつつ、確実な気密封止を達成することができる窓構造体、そのような窓構造体を備える電子線出射装置及びX線出射装置を提供する。
【解決手段】 窓構造体20では、枠体21と窓部材23との間にOリング27が配置され、枠体22と窓部材23との間にシール36が配置されている。そのため、枠体21,22との接触に起因して薄膜状の窓部材23が破損するのを防止することができる。更に、窓部材23に対してOリング27が線状に接触するので、窓部材23に対してOリング27及びシール36による押圧力が集中し易くなる。しかも、窓部材23に対してシール36が面状に接触するので、窓部材23の一方の側と他方の側とで押圧力が作用する位置がずれ難くなる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、対向する環状の枠体によって窓部材が挟持されてなる窓構造体、そのような窓構造体を備える電子線出射装置及びX線出射装置に関する。
上記技術分野の窓構造体として、種々の構成を採用したものが提案されている。例えば、特許文献1には、一方の枠体と窓部材との間、及び他方の枠体と窓部材との間に、気密封止部材としてシート状のシールを介在させたもの記載されている。また、特許文献2には、一方の枠体と窓部材との間、及び他方の枠体と窓部材との間に、気密封止部材としてOリングを介在させたものが記載されている。更に、特許文献3には、一方の枠体と窓部材との間のみに、気密封止部材としてOリングを介在させたものが記載されている。
特開2004−4040号公報 特開平5−66299号公報 特開2004−354146号公報
しかしながら、上述したような窓構造体には、次のような問題が存在する。すなわち、特許文献1記載の窓構造体にあっては、窓部材に対して両側からシート状のシールが面状に接触することになるため、窓部材に対して押圧力が集中し難く、確実な気密封止が達成されないおそれがある。また、特許文献2記載の窓構造体にあっては、窓部材に対して両側からOリングが線状に接触することになるため、窓部材の一方の側と他方の側とで押圧力が作用する位置がずれ易く、確実な気密封止が達成されないおそれがある。更に、特許文献3記載の窓構造体にあっては、枠体同士に窓部材が直接挟まれることになるため、特に窓部材が薄膜状に形成されていると、窓部材が破損するおそれがあり、やはり確実な気密封止が達成されないおそれがある。
そこで、本発明は、確実な気密封止を達成することができる窓構造体、そのような窓構造体を備える電子線出射装置及びX線出射装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る窓構造体は、環状の第1の枠体及び第2の枠体によって窓部材が挟持されてなる窓構造体であって、第1の枠体と窓部材との間において環状に延在する第1の気密封止部材と、第1の気密封止部材と対向するように、第2の枠体と窓部材との間において環状に延在する第2の気密封止部材と、を備え、第1の気密封止部材は、窓部材と接触する面が曲面となるように形成されたものであり、第2の気密封止部材は、窓部材と接触する面が平面となるように形成されたものであることを特徴とする。
この窓構造体では、第1の枠体と窓部材との間に第1の気密封止部材が配置され、第2の枠体と窓部材との間に第2の気密封止部材が配置されている。そのため、窓部材が薄膜状に形成されていたとしても、枠体との接触に起因して窓部材が破損するのを防止することができる。更に、第1の気密封止部材において窓部材と接触する面が曲面となるように形成されているので、窓部材に対して第1の気密封止部材が線状に接触し、窓部材に対して押圧力が集中し易くなる。しかも、第2の気密封止部材において窓部材と接触する面が平面となるように形成されているので、窓部材の一方の側と他方の側とで押圧力が作用する位置がずれ難くなる。従って、この窓構造体によれば、確実な気密封止を達成することができる。
ここで、第1の気密封止部材は、延在する方向に略垂直な断面形状が円形状となるように形成されたものであり、第2の気密封止部材は、延在する方向に略垂直な断面形状が四角形状となるように形成されたものであることが好ましい。この構成によれば、第1の気密封止部材において窓部材と接触する面を確実に曲面とすることができると共に、第2の気密封止部材において窓部材と接触する面を確実に平面とすることができる。
また、第2の気密封止部材は、第1の気密封止部材と対向する方向から見た場合に、第1の気密封止部材を含んでいることが好ましい。この構成によれば、窓部材の一方の側と他方の側とで押圧力が作用する位置をより一層ずれ難くすることができる。
また、第1の枠体において窓部材に臨む第1の開口部の縁部、及び第2の枠体において窓部材に臨む第2の開口部の縁部は、曲面状に面取りされていることが好ましい。この構成によれば、例えば窓構造体を組み立てる際に窓部材と枠体とが接触したとしても、窓部材が破損するのを防止することで、確実な気密封止を達成することができる。
また、第1の枠体は、窓部材に臨む第1の面を有し、第1の面には、第1の気密封止部材の一部が窓部材側に突出するように第1の気密封止部材が配置される環状の溝が形成されており、第2の枠体は、溝と対向した状態で窓部材に臨む第2の面を有し、第2の面は、第2の気密封止部材を窓部材側に押圧することが好ましい。この構成によれば、第1の気密封止部材と第2の気密封止部材とを確実に対向させることができ、窓部材の一方の側と他方の側とで押圧力が作用する位置がずれ難くなる。
このとき、第2の面には、第2の気密封止部材の内側において第2の気密封止部材に沿うように環状の凸部が形成されていることが好ましい。この構成によれば、例えば窓部材を透過する電子線等が第2の気密封止部材に入射して第2の気密封止部材が劣化するのを防止することができ、確実な気密封止を達成することができる。
更に、第1の枠体は、第1の気密封止部材と第2の気密封止部材とが対向する方向において、第2の枠体に対向する第1の接触部を有し、第2の枠体は、第1の気密封止部材と第2の気密封止部材とが対向する方向において、第1の枠体に対向する第2の接触部を有し、第1の枠体と第2の枠体とは、第1の接触部と第2の接触部とが接触した状態で互いに固定され、第1の面と第2の面とは、第1の接触部と第2の接触部とが接触した状態で所定の間隔を有していることが好ましい。この構成によれば、第1の気密封止部材及び第2の気密封止部材を適度に変形させることができ、しかも、その状態で、第1の枠体の第1の面と第2の枠体の第2の面との間隔が所定の間隔に維持されるので、過大な押圧力に起因して窓部材が破損するのを防止することができる。
また、第1の枠体及び第2の枠体、並びに窓部材は、所定の方向に沿って長尺状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、窓部材の面積を抑制しつつ、所定の方向に沿った窓部材の長さを十分に確保することができる。
このとき、第1の枠体は、第1の気密封止部材を窓部材側に押圧する第1の押圧部を有し、第2の枠体は、第2の気密封止部材を窓部材側に押圧する第2の押圧部を有し、第1の押圧部及び第2の押圧部、並びに窓部材は、第1の気密封止部材と第2の気密封止部材とが対向する方向から見た場合に、所定の方向における一端部及び他端部にて互いに略同形状となるように形成されていることが好ましい。この構成によれば、窓部材が薄膜状に形成されていたとしても、所定の方向における一端部及び他端部にて窓部材に皺が寄ったり、窓部材が破損したりするのを防止することができる。
そして、本発明に係る電子線出射装置は、本発明に係る窓構造体を備え、窓部材を介して電子線を出射させることを特徴とする。また、本発明に係るX線出射装置は、本発明に係る窓構造体を備え、窓部材に電子線を照射することにより、窓部材からX線を出射させることを特徴とする。
これらの電子線出射装置及びX線出射装置では、上述した窓構造体を備えているので、窓部材の破損が防止されると共に、確実な気密封止が達成されることになり、その結果、信頼性の向上を図ることができる。
本発明によれば、窓部材が破損するのを防止しつつ、確実な気密封止を達成することができる。
本発明に係る窓構造体の一実施形態が適用された電子線出射装置の縦断面図である。 図1の電子線出射装置の平面図である。 図2のIII−III線に沿っての断面図である。 図2のIV−IV線に沿っての断面図である。 図3の窓構造体の要部分解断面図である。 本発明に係る窓構造体の実施例及び比較例の写真を示す図である。 本発明に係る窓構造体の他の実施形態の要部縦断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明に係る窓構造体の一実施形態が適用された電子線出射装置の縦断面図である。図1に示されるように、電子線出射装置1は、電子線通過孔2を形成するチャンバ3と、電子線通過孔2の後端2aを塞ぐようにチャンバ3に気密に取り付けられた電子銃部10と、電子線通過孔2の前端2bを塞ぐようにチャンバ3に気密に取り付けられた窓構造体20と、を備えている。電子銃部10は、電子線EBをZ軸方向に沿って前側に出射する。電子銃部10から出射された電子線EBは、電子線通過孔2内を前側に向かって進行し、窓構造体20を介して外部に出射させられる。
窓構造体20においては、Y軸方向を長手方向とする長方形環状の枠体(第1の枠体)21及び枠体(第2の枠体)22によって、Y軸方向を長手方向とする長方形薄膜状の窓部材23が挟持されている。電子線出射装置1では、窓部材23のY軸方向の略全長にわたって電子線EBがスキャンされるように、電子銃部10から出射された電子線EBがY軸方向に偏向されることで、窓部材23を透過する電子線EBが線状になって外部へと出射させられる。
チャンバ3は、電子銃部10が取り付けられるチャンバ3、及び窓構造体20が取り付けられるチャンバ3を有している。チャンバ3は、金属により円柱状に形成されている。チャンバ3が形成する電子線通過孔2の横断面形状は円形状であり、電子線通過孔2は、前側の小径部と後側の大径部とが接続された形状となっている。一方、チャンバ3は、金属により台形板状に形成されている。チャンバ3が形成する電子線通過孔2の断面形状は、Y軸方向を長手方向とする長方形状であり、電子線通過孔2は、前側に向かってY軸方向のみに末広がりの形状となっている。
チャンバ3の後端部には、金属により円板状に形成されたフランジ4が設けられており、フランジ4の後面は、チャンバ3の前端面と接触している。チャンバ3は、チャンバ3に対してZ軸回りに回転自在となっており、フランジ4を貫通するボルト5によってチャンバ3に所望の角度で固定される。
チャンバ3には、電子線通過孔2の小径部を挟んで対になるようにアライメントコイル6及び集束コイル6が配置されている。アライメントコイル6は、電子銃部10から出射された電子線EBを電子線通過孔2の中心軸に一致させる。集束コイル6は、アライメントコイル6によってずれが補正された電子線EBを窓構造体20の窓部材23に集束する。また、フランジ4の前面には、偏向コイル7が配置されている。偏向コイル7は、集束コイル6によって窓部材23に集束された電子線EBをY軸方向に偏向する。
チャンバ3には、電子線通過孔2と真空ポンプ(図示せず)とを接続する排気管8が形成されている。これにより、チャンバ3内(すなわち、電子線通過孔2)が真空引きされる。また、電子線出射装置1は、その全体を制御する制御部9を備えている。
電子銃部10は、金属により直方体状に形成されたケース11、絶縁ブロック12及び高耐圧型のコネクタ13を有している。ケース11は、チャンバ3の後端部に気密に固定されている。ケース11の前壁には、ケース11内とチャンバ3内とを連通させる開口11aが設けられている。また、ケース11の側壁には、コネクタ13を取り付けるための開口11bが設けられている。
絶縁ブロック12は、エポキシ樹脂等の絶縁性材料からなり、コネクタ13からカソード14への電力供給経路を外部から絶縁している。絶縁ブロック12は、ケース11内に収容された基部12a、及び基部12aから開口11aを通って電子線通過孔2の大径部内に突出する突出部12bを有している。突出部12bの前端部は、Z軸方向において電子線通過孔2の小径部の後端に対向している。
基部12aは、ケース11の開口11a側及び開口11b側の内面と接触している。基部12aにおいてケース11の内面と接触しない部分には、導電性材料からなるフィルム15が貼り付けられており、フィルム15は、接地電位であるケース11と電気的に接続されている。これにより、ケース11の内面に臨む絶縁ブロック12の表面電位が接地電位となり、動作時の安定性の向上が図られている。
コネクタ13は、電子線出射装置1の外部の電源装置からカソード14に高電圧を供給するためのものである。コネクタ13は、ケース11の側壁の開口11bに差し込まれ、コネクタ13の先端が絶縁ブロック12の中心付近に位置した状態で絶縁ブロック12中に埋没されて固定されている。コネクタ13の基端部には、電源装置と接続された外部配線の先端を保持する電源用プラグが挿入される挿入口13aが設けられている。また、コネクタ13の先端には、1対の内部配線16が接続されている。1対の内部配線16は、コネクタ13の先端から基部12aの中心に向かって延在すると共に、基部12aの中心で折り曲げられて突出部12bの前端部まで延在している。
各内部配線16の終端部には、突出部12bの前端部に埋設されたソケット17が接続されており、各ソケット17には、給電用ピン18が結合されている。各給電用ピン18において突出部12bの前端面から突出した前端部には、カソード14が掛け渡されている。なお、各給電用ピン18は、突出部12bの前端面上に配置されたセラミック板を貫通して、セラミック板にロウ付け等により固定されている。
カソード14は、電子線EBとなる電子を放出する薄板状部材である。すなわち、カソード14は、電子線EBを放出するために用いられる電源装置とは別の加熱用電源装置によって、内部配線16、ソケット17及び給電用ピン18を介して、電子放出部が電子を放出可能な温度まで通電加熱される。その後、カソード14は、電源装置によって、内部配線16の一方に高電圧が印加されることで、電子線EBとなる電子を放出する。カソード14の周囲には、いわゆるグリッドである中間電極19が設けられている。中間電極19は、所定の電圧が印加されることで、カソード14から放出された電子を引き出して電子線EBを集束する電界を発生させる。
以上のように構成された電子線出射装置1の動作について説明する。
まず、真空ポンプによって、排気管8を介してチャンバ3内(すなわち、電子線通過孔2)が真空引きされる。そして、電源装置によって、内部配線16、ソケット17及び給電用ピン18を介してカソード14に高電圧が印加されると、カソード14から電子が放出される。カソード14から放出された電子は、Z軸方向に沿って前側に放出され、中間電極19によって発生させられた電界により加速及び集束されて、電子線EBが電子銃部10からZ軸方向に沿って前側に出射される。
電子銃部10から出射されて電子線通過孔2を通過する電子線EBは、アライメントコイル6によって中心軸の補正がなされた後、集束コイル6によって窓構造体20の窓部材23に対して集束される。そして、集束コイル6によって集束されて電子線通過孔2を通過する電子線EBは、偏向コイル7によってY軸方向に偏向される。つまり、集束コイル6によって集束されて電子線通過孔2を通過する電子線EBの中心軸がY軸方向に沿って線状に繰り返し変化させられる。
偏向コイル7によってY軸方向に偏向された電子線EBは、窓構造体20の窓部材23を透過して外部へ出射される。外部へ出射された電子線EBは、窒素等の不活性ガス中においてライン上を流れる照射対象物に照射され、照射対象物の乾燥、殺菌、表面改質等が行われる。このように、電子線出射装置1は、電子線EBを照射すべき領域が比較的広い場合に特に有効である。
次に、上述した窓構造体20について、より詳細に説明する。図2は、図1の電子線出射装置の平面図である。図3は、図2のIII−III線に沿っての断面図であり、図4は、図2のIV−IV線に沿っての断面図である。
図2〜4に示されるように、窓構造体20は、チャンバ3の前端部に設けられた内向きフランジ部51に気密に取り付けられている。内向きフランジ部51の外形は、Y軸方向を長手方向とする長方形環状である。窓構造体20の枠体21は、金属によって長方形環状に形成されている。枠体21は、電子線EBが通過する開口24を包囲する押圧部(第1の押圧部)25を有し、押圧部25の後端部には、外向きフランジ部(第1の接触部)26が一体的に形成されている。開口24及び押圧部25の横断面形状は、Y軸方向を長手方向とする長円形状であり、外向きフランジ部26の外形は、Y軸方向を長手方向とする長方形環状である。
枠体21は、外向きフランジ部26を貫通する複数本のボルト52によって、チャンバ3の内向きフランジ部51に固定されている。このとき、外向きフランジ部26の後端面26aと内向きフランジ部51の前端面51bとが接触しており、内向きフランジ部51の前端面51bに長方形環状に形成された溝53内にゴム製のOリング54が押圧された状態で配置されている。これにより、枠体21とチャンバ3との間の気密性が確保されることになる。
枠体21と窓部材23との間には、長方形環状に延在するOリング(第1の気密封止部材)27が配置されている。Oリング27は、例えばゴムによって、延在する方向に略垂直な断面形状が円形状となるように形成されたものである。枠体21の押圧部25において窓部材23に臨む前端面(第1の面)25bには、Oリング27の一部が窓部材23側に突出するようにOリング27が配置される溝28が長方形環状に形成されている。これにより、押圧部25がOリング27を窓部材23側に押圧することになる。
窓構造体20の枠体22は、金属によって長方形環状に形成されている。枠体22は、枠体21の外向きフランジ部26と接触する固定部(第2の接触部)29を有し、固定部29の後端面29aには、枠体21の押圧部25の前端部が嵌め合わされる凹部31が設けられている。凹部31の底面には、電子線EBが通過する開口32が設けられており、開口32を包囲する部分は、押圧部(第2の押圧部)33となっている。開口32及び押圧部33の横断面形状は、Y軸方向を長手方向とする長円形状であり、固定部29の外形は、Y軸方向を長手方向とする長方形環状である。
枠体22は、固定部29を貫通する複数本のボルト34によって、枠体21の外向きフランジ部26に固定されている。このとき、固定部29の後端面29aと外向きフランジ部26の前端面26bとは接触しており、一方、押圧部33の後端面33aと押圧部25の前端面25bとは離間している。なお、固定部29には、枠体21をチャンバ3に固定するためのボルト52の頭を前側に露出させるように複数の切欠部35が設けられている。
枠体22と窓部材23との間には、長方形環状に延在するシール(第2の気密封止部材)36が配置されている。シール36は、例えばゴムによって、延在する方向に略垂直な断面形状が長方形状となるようにシート状に形成されたものである。枠体22の押圧部33において窓部材23に臨む後端面(第2の面)33aは、シール36を窓部材23側に押圧している。これにより、押圧部33がシール36を窓部材23側に押圧することになる。押圧部33の後端面33aは、Z軸方向において枠体21の溝28と対向した状態で窓部材23に臨んでいる。
Oリング27とシール36とは、Z軸方向において対向している。そして、Oリング27及びシール36が延在する方向及びZ軸方向に略垂直な方向において、シール36の幅は、Oリング27の幅よりも大きくなっている。つまり、シール36は、Oリング27と対向する方向(すなわち、Z軸方向)から見た場合に、Oリング27を含んでいる。
窓構造体20の窓部材23は、例えばチタンによって、長方形薄膜状(例えば厚さ8μm)に形成されている。Y軸方向における窓部材23の一端部及び他端部は、押圧部25の前端面25b及び押圧部33の後端面33aと略同形状となっている。つまり、押圧部25,33及び窓部材23は、Oリング27とシール36とが対向する方向(すなわち、Z軸方向)から見た場合に、Y軸方向における一端部及び他端部にて互いに略同形状となるように形成されている。
一方、X軸方向において、窓部材23の幅は、押圧部25の前端面25bの幅及び押圧部33の後端面33aの幅よりも大きくなっている。これにより、X軸方向における窓部材23の一端部及び他端部は、固定部29の後端面29aと外向きフランジ部26の前端面26bとの間に達している。なお、枠体21の開口24において窓部材23に臨む開口部(第1の開口部)24bの縁部、及び枠体22の開口32において窓部材23に臨む開口部(第2の開口部)32aの縁部は、曲面状に面取りされている。
ここで、Oリング27及びシール36の寸法について説明する。図5は、図3の窓構造体の要部分解断面図である。
図5に示されるように、シール36は、Oリング27と対向する方向(すなわち、Z軸方向)における厚さ(窓構造体20の組立前の厚さ:t2)が、押圧部25の前端面25bと押圧部33の後端面33aとの間隔(窓構造体20の組立後の間隔:C−B)よりも小さくなるように形成される。そして、Oリング27は、シール36と対向する方向(すなわち、Z軸方向)における厚さ(窓構造体20の組立前の厚さ:t1)が、押圧部25の前端面25bと押圧部33の後端面33aとの間隔(C−B)に溝28の深さ(A)を加えた和(C−B+A)からシール36の厚さ(t2)を引いた差(C−B+A−t2)よりも大きくなるように形成される。
このような寸法でOリング27及びシール36が形成されることにより、枠体21の前端面25bと枠体22の後端面33aとの間において、Oリング27及びシール36を適度に変形させることができる。しかも、その状態で、外向きフランジ部26の前端面26bと固定部29の後端面29aとが接触し、枠体21の前端面25bと枠体22の後端面33aとの間隔が所定の間隔(窓構造体20の組立後の間隔C−B)に維持されるので、過大な押圧力に起因して窓部材23が破損するのを防止することができる。つまり、前述した寸法要素の中で、押圧部25の前端面25bと押圧部33の後端面33aとの間隔(窓構造体20の組立後の間隔:C−B)がボルト34の締め付けによって必要以上に小さくならないことが重要である。そこで、枠体22への枠体21の固定において、枠体22の固定部29の後端面29aが、枠体21の外向きフランジ部26の前端面26bに当接することで、所定間隔以上に小さくなることを防止している。
以上説明したように、電子線出射装置1に適用された窓構造体20では、枠体21と窓部材23との間にOリング27が配置され、枠体22と窓部材23との間にシール36が配置されている。そのため、枠体21,22との接触に起因して薄膜状の窓部材23が破損するのを防止することができる。更に、窓部材23に対してOリング27が線状に接触するので、窓部材23に対してOリング27及びシール36による押圧力が集中し易くなる。しかも、窓部材23に対してシール36が面状に接触するので、窓部材23の一方の側と他方の側とで押圧力が作用する位置がずれ難くなる。従って、窓構造体20によれば、窓部材23が破損するのを防止しつつ、確実な気密封止を達成することができる。
そして、窓構造体20では、シール36が、Oリング27と対向する方向(すなわち、Z軸方向)から見た場合に、Oリング27を含んでいる。そのため、窓部材23の一方の側と他方の側とで押圧力が作用する位置がより一層ずれ難くなっている。
また、窓構造体20では、枠体21の開口24において窓部材23に臨む開口部24bの縁部、及び枠体22の開口32において窓部材23に臨む開口部32aの縁部が、曲面状に面取りされている。これにより、例えば窓構造体20を組み立てる際に窓部材23と枠体21,22とが接触したとしても、窓部材23が破損するのを防止することができる。
また、窓構造体20では、枠体21が、窓部材23に臨む前端面25bを有し、その前端面25bに、Oリング27の一部が窓部材23側に突出するようにOリング27が配置される環状の溝28が形成されている。更に、窓構造体20では、枠体22が、溝28と対向した状態で窓部材23に臨む後端面33aを有し、その後端面33aが、シール36を窓部材23側に押圧する。これにより、Oリング27とシール36とが確実に対向することになる。
また、窓構造体20では、枠体21,22及び窓部材23がY軸方向に沿って長尺状に形成されている。そのため、装置内部と外部との圧力差に耐える必要性から大面積化の困難な窓部材23の面積を抑制しつつ、Y軸方向に沿った窓部材23の長さを十分に確保することができる。
このとき、窓構造体20では、Y軸方向における窓部材23の一端部及び他端部が、押圧部25の前端面25b及び押圧部33の後端面33aと略同形状となっている。これにより、図6(a)に示されるように、Y軸方向における一端部及び他端部にて薄膜状の窓部材23に皺が寄ったり、薄膜状の窓部材23が破損したりするのを防止することができる。これに対し、Y軸方向において、窓部材23の幅が、押圧部25の前端面25bの幅及び押圧部33の後端面33aの幅よりも大きくなっていると、図6(b)に示されるように、Y軸方向における一端部及び他端部にて薄膜状の窓部材23に皺が寄ったり、薄膜状の窓部材23が破損したりする。
なお、図6(a)において、Y軸方向における窓部材23の一端部及び他端部から突出する部分は、固定部29の後端面29aと外向きフランジ部26の前端面26bとの間に達する部分であり、Y軸方向における窓部材23の張りを高めるような効果が期待できる。この部分においては、幅の大きさに制限があるものの、皺が寄るような変形を強いられ難い。従って、薄膜状の窓部材23に皺が寄ったり、薄膜状の窓部材23が破損したりするのを防止するためには、少なくとも窓部材23の角部が押圧部25の前端面25b及び押圧部33の後端面33aと略同形状となっている必要がある。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、図7に示されるように、枠体22の押圧部33の後端面33aには、シール36の内側においてシール36に沿うように凸部37が環状に形成されていても良い。このような凸部37によって、窓部材23を透過する電子線EBがシール36に入射してシール36が劣化するのを防止することができる。なお、凸部37の高さは、枠体22が枠体21に固定された状態において、凸部37の後端(先端)が窓部材23から離間するように設定される必要がある。
また、窓部材と接触する面が曲面となるように形成された気密封止部材であれば、Oリング27に代えて窓構造体に用いることができ、窓部材と接触する面が平面となるように形成された気密封止部材であれば、シール36に代えて窓構造体に用いることができる。また、気密封止部材の材料は、ゴムに限定されず、窓部材の材料よりも、押圧に対する変形性が高い(剛性が低い)ものであれば良い。
また、上記実施形態は、窓構造体が電子線出射装置に適用される場合であったが、窓構造体として、窓部材の後面(内面)にタングステン等の蒸着によってターゲットを形成したものを用意すれば、窓構造体をX線出射装置に適用することも可能である。この場合、窓部材の後面に電子線が照射されると、窓部材の前面からX線が出射されることになる。そして、電子線出射装置及びX線出射装置のいずれの場合にでも、上述した窓構造体を備えているので、窓部材の破損が防止されると共に、確実な気密封止が達成されることになり、その結果、信頼性の向上を図ることができる。
1…電子線出射装置、20…窓構造体、21…枠体(第1の枠体)、22…枠体(第2の枠体)、23…窓部材、24b…開口部(第1の開口部)、25…押圧部(第1の押圧部)、25b…前端面(第1の面)、26…外向きフランジ部(第1の接触部)、27…Oリング(第1の気密封止部材)、28…溝、29…固定部(第2の接触部)、32a…開口部(第2の開口部)、33…押圧部(第2の押圧部)、33a…後端面(第2の面)、36…シール(第2の気密封止部材)、37…凸部。

Claims (11)

  1. 環状の第1の枠体及び第2の枠体によって窓部材が挟持されてなる窓構造体であって、
    前記第1の枠体と前記窓部材との間において環状に延在する第1の気密封止部材と、
    前記第1の気密封止部材と対向するように、前記第2の枠体と前記窓部材との間において環状に延在する第2の気密封止部材と、を備え、
    前記第1の気密封止部材は、前記窓部材と接触する面が曲面となるように形成されたものであり、
    前記第2の気密封止部材は、前記窓部材と接触する面が平面となるように形成されたものであることを特徴とする窓構造体。
  2. 前記第1の気密封止部材は、延在する方向に略垂直な断面形状が円形状となるように形成されたものであり、
    前記第2の気密封止部材は、延在する方向に略垂直な断面形状が四角形状となるように形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の窓構造体。
  3. 前記第2の気密封止部材は、前記第1の気密封止部材と対向する方向から見た場合に、前記第1の気密封止部材を含んでいることを特徴とする請求項1又は2記載の窓構造体。
  4. 前記第1の枠体において前記窓部材に臨む第1の開口部の縁部、及び前記第2の枠体において前記窓部材に臨む第2の開口部の縁部は、曲面状に面取りされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の窓構造体。
  5. 前記第1の枠体は、前記窓部材に臨む第1の面を有し、前記第1の面には、前記第1の気密封止部材の一部が前記窓部材側に突出するように前記第1の気密封止部材が配置される環状の溝が形成されており、
    前記第2の枠体は、前記溝と対向した状態で前記窓部材に臨む第2の面を有し、前記第2の面は、前記第2の気密封止部材を前記窓部材側に押圧することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の窓構造体。
  6. 前記第2の面には、前記第2の気密封止部材の内側において前記第2の気密封止部材に沿うように環状の凸部が形成されていることを特徴とする請求項5記載の窓構造体。
  7. 前記第1の枠体は、前記第1の気密封止部材と前記第2の気密封止部材とが対向する方向において、前記第2の枠体に対向する第1の接触部を有し、
    前記第2の枠体は、前記第1の気密封止部材と前記第2の気密封止部材とが対向する方向において、前記第1の枠体に対向する第2の接触部を有し、
    前記第1の枠体と前記第2の枠体とは、前記第1の接触部と前記第2の接触部とが接触した状態で互いに固定され、
    前記第1の面と前記第2の面とは、前記第1の接触部と前記第2の接触部とが接触した状態で所定の間隔を有していることを特徴とする請求項5又は6記載の窓構造体。
  8. 前記第1の枠体及び前記第2の枠体、並びに前記窓部材は、所定の方向に沿って長尺状に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の窓構造体。
  9. 前記第1の枠体は、前記第1の気密封止部材を前記窓部材側に押圧する第1の押圧部を有し、
    前記第2の枠体は、前記第2の気密封止部材を前記窓部材側に押圧する第2の押圧部を有し、
    前記第1の押圧部及び前記第2の押圧部、並びに前記窓部材は、前記第1の気密封止部材と前記第2の気密封止部材とが対向する方向から見た場合に、前記所定の方向における一端部及び他端部にて互いに略同形状となるように形成されていることを特徴とする請求項8記載の窓構造体。
  10. 請求項1〜9記載の窓構造体を備え、
    前記窓部材を介して電子線を出射させることを特徴とする電子線出射装置。
  11. 請求項1〜9記載の窓構造体を備え、
    前記窓部材に電子線を照射することにより、前記窓部材からX線を出射させることを特徴とするX線出射装置。
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