JP2011032904A - 内燃機関の可変バルブタイミング制御装置 - Google Patents

Abstract

【課題】中間ロック機構付きの可変バルブタイミング制御装置において、油圧制御弁内の異物の噛み込みを解除する異物解除制御の実行中にロックピンが繰り返しロック穴側の壁面に衝突することによる異音の発生や部品の劣化を防止できるようにする。
【解決手段】異常が検出されたときに異物解除制御を実行する際に、異常内容（異常モード）に応じて油圧制御弁２５の制御デューティの変動パターン（変動範囲）を変更する。これにより、ロックピン５８を突出させないように制御している期間に異常が発生して異物解除制御を実行する場合には、油圧制御弁２５の制御デューティの変動範囲を、ロックモードの制御領域以外の制御領域内に制限することが可能となり、異物解除制御の実行中にロックピン５８が繰り返しロック穴側の壁面に衝突することによる異音の発生や部品の劣化を防止できる。
【選択図】図２

Description

本発明は、内燃機関のクランク軸に対するカム軸の回転位相（以下「ＶＣＴ位相」という）をその調整可能範囲内に位置する中間ロック位相でロックする中間ロック機構を備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置に関する発明である。

従来より、油圧駆動式の可変バルブタイミング装置においては、特許文献１（特開平９−３２４６１３号公報）、特許文献２（特開２００１−１５９３３０号公報）に記載されているように、エンジン停止時のロック位相をＶＣＴ位相の調整可能範囲の略中間に設定して、バルブタイミング（ＶＣＴ位相）の調整可能範囲を拡大するようにしたものがある。このものは、エンジン停止時にロックする中間ロック位相を始動に適した位相に設定して、この中間ロック位相で始動し、始動完了後のエンジン回転上昇（オイルポンプ回転上昇）により油圧が適正な油圧に上昇してから、ロックを解除してＶＣＴ位相をエンジン運転状態に応じて設定した目標ＶＣＴ位相に制御するようにしている。

この可変バルブタイミング装置を駆動する油圧は、油圧制御弁によって制御されるが、油圧制御弁の内部を流通するオイル中の不純物等の異物が弁体に噛み込まれて油圧制御弁が動作不良になることがあり、その結果、例えばロックできない、ロック解除できない、ＶＣＴ位相を目標位相に制御できない等の異常が発生することがある。

そこで、例えば、特許文献３（特開平９−１９５８０５号公報）、特許文献４（特開２００１−２３４７６８号公報）に記載されているように、異物解除要求（クリーニング要求）が発生したときに、油圧制御弁の制御量（制御デューティ）を、最小値（０％）と最大値（１００％）とに所定時間毎に交互に切り替えて、異物の噛み込みを解除するようにしたものがある。

特開平９−３２４６１３号公報 特開２００１−１５９３３０号公報 特開平９−１９５８０５号公報 特開２００１−２３４７６８号公報

ところで、中間ロック機構付きの可変バルブタイミング装置は、ＶＣＴ位相を駆動する油圧を制御する位相制御用の油圧制御弁と、ロックピンを駆動する油圧を制御するロック制御用の油圧制御弁とを別々に設けたものがあるが、本出願人は、部品点数削減・低コスト化のために、１つの油圧制御弁でＶＣＴ位相の駆動油圧とロックピンの駆動油圧の両方を制御する中間ロック機構付きの可変バルブタイミング装置を研究・開発している（特願２００８−３１２８４４）。この場合、油圧制御弁の制御量に応じて、ＶＣＴ位相を遅角方向に駆動する遅角モードの制御領域と、ＶＣＴ位相を一定に保持する保持モードの制御領域と、ＶＣＴ位相を進角方向に駆動する進角モードの制御領域と、前記ロックピンをロック方向である突出方向に付勢するロックモードの制御領域とに区分された構成となっている。

しかし、この構成では、異物解除要求が発生したときに、油圧制御弁の制御量（制御デューティ）を、最小値（０％）と最大値（１００％）とに所定時間毎に交互に切り替えると、ロックピンを周期的に突出させてしまい、ロックピンが繰り返しロック穴側の壁面に衝突することによる異音の発生や部品の劣化等が懸念される。

そこで、本発明が解決しようとする課題は、油圧制御弁内の異物の噛み込みを解除する異物解除制御の実行中にロックピンが繰り返しロック穴側の壁面に衝突することによる異音の発生や部品の劣化を防止できるようにすることである。

上記課題を解決するために、請求項１に係る発明は、内燃機関のクランク軸に対するカム軸の回転位相（以下「ＶＣＴ位相」という）を変化させてバルブタイミングを調整する油圧駆動式の可変バルブタイミング装置と、ＶＣＴ位相をその調整可能範囲内に位置する中間ロック位相でロックするロックピンと、前記可変バルブタイミング装置及び前記ロックピンを駆動する油圧を制御する油圧制御弁とを備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置において、ＶＣＴ位相を目標位相に制御するＶＣＴ位相制御と前記ロックピンを突出させるロックピン突出制御とを運転状態に応じて切り替えるＶＣＴ制御手段と、異常が発生したときに前記油圧制御弁の制御量を所定パターンで変動させる異物解除制御を実行する異物解除制御手段とを備え、前記異物解除制御手段は、前記異物解除制御を実行する際に、前記異常の内容に応じて前記油圧制御弁の制御量の変動パターンを変更するようにしたものである。

このようにすれば、例えば、ロックピンを突出させないように制御している期間に異常が発生して異物解除制御を実行する場合には、油圧制御弁の制御量の変動範囲を、ロックピン突出制御の制御領域以外の制御領域内（つまりＶＣＴ位相制御の制御領域内）に制限することが可能となり、異物解除制御の実行中にロックピンが繰り返しロック穴側の壁面に衝突することによる異音の発生や部品の劣化を防止できる。

この場合、請求項２のように、油圧制御弁は、ＶＣＴ位相を駆動する油圧を制御する位相制御用の油圧制御弁機能と前記ロックピンを駆動する油圧を制御するロック制御用の油圧制御弁機能とを一体化した油圧制御弁を用い、該油圧制御弁の制御量に応じて、ＶＣＴ位相を遅角方向に駆動する遅角モードの制御領域と、ＶＣＴ位相を一定に保持する保持モードの制御領域と、ＶＣＴ位相を進角方向に駆動する進角モードの制御領域と、前記ロックピンをロック方向である突出方向に付勢するロックモードの制御領域とに区分された構成とし、前記ＶＣＴ制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御を行う際に、前記遅角モード、前記保持モード及び前記進角モードの制御領域を前記ＶＣＴ位相制御の制御領域として使用してＶＣＴ位相を目標位相に制御し、前記ロックピン突出制御を行う際に、前記ロックモードの制御領域を使用して前記ロックピンを突出させるように構成すれば良い。

また、請求項３のように、前記異物解除制御手段は、(1) 前記ロックピン突出制御中、(2) 前記ＶＣＴ位相制御中、(3) 前記ロックピン突出制御から前記ＶＣＴ位相制御への切り替え時、(4) 前記ＶＣＴ位相制御から前記ロックピン突出制御への切り替え時のうちの少なくとも１つにおいて、前記異常が発生したときに、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲を、前記ロックモードの制御領域と前記ＶＣＴ位相制御の制御領域を跨ぐように設定するか、どちらかの制御領域内に制限するかを決定して前記異物解除制御を実行するようにすれば良い。

例えば、請求項４のように、前記異物解除制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御から前記ロックピン突出制御に切り替えてから所定時間が経過してもＶＣＴ位相が前記中間ロック位相で安定しない場合、又は、前記ロックピン突出制御から前記ロックピンの突出を解除する制御又は前記ＶＣＴ位相制御に切り替えてから所定時間が経過しても前記ロックピンの突出を解除できない場合若しくはＶＣＴ位相が前記目標位相で安定しない場合には、ロックできない異常又はロック解除できない異常が発生していると判断して、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲を、前記ロックモードの制御領域と前記ＶＣＴ位相制御の制御領域を跨ぐように設定して前記異物解除制御を実行するようにすれば良い。

請求項５のように、前記異物解除制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御中にＶＣＴ位相が前記目標位相で安定しなくなった場合には、ＶＣＴ位相制御できない異常が発生していると判断して、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲を、前記ＶＣＴ位相制御の制御領域内に設定して前記異物解除制御を実行するようにすれば良い。

請求項６のように、前記異物解除制御手段は、前記異物解除制御を行う際に、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲の上限値と下限値とそれら以外の制御値を含む少なくとも３つの制御値を所定パターンで切り替えるようにしても良い。このようにすれば、異物解除制御の実行中に、例えば、ロックピンがロック穴の側壁に強く押し付けられてロックピンがロック穴から抜け出せなくなる状態となることを回避できる。

請求項７のように、前記異物解除制御手段は、前記異物解除制御開始時の前記油圧制御弁の制御量の初期値を制御モードに応じて変更するようにしても良い。この際、例えば、異物解除制御開始時にそれまでＶＣＴ位相制御が行われていれば、油圧制御弁の制御量の初期値をＶＣＴ位相の急変を避ける制御値に設定したり、また、異物解除制御開始時にそれまでロックピン突出制御が行われていれば、油圧制御弁の制御量の初期値をロックピンがロック穴の側壁に強く押し付けられないような制御値に設定すれば良い。

請求項８のように、前記異物解除制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御から前記ロックピン突出制御に切り替えてから所定時間が経過してもＶＣＴ位相が前記中間ロック位相で安定しない場合は、ロックできない異常が発生していると判断して、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲を、前記ＶＣＴ位相制御の制御領域と前記ロックモードの制御領域とを跨ぐように設定すると共に、前記異物解除制御開始時の前記油圧制御弁の制御量の初期値を前記ＶＣＴ位相制御の制御領域の端に設定して前記異物解除制御を実行するようにしても良い。

請求項９のように、前記異物解除制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御から前記ロックピン突出制御に切り替えてから所定時間が経過してもＶＣＴ位相が前記中間ロック位相で安定しない場合に、ロックできない異常が発生していると判断して前記異物解除制御を実行している期間に、運転状態がロック要求条件から外れた時点で前記異物解除制御を中止してＶＣＴ位相制御に移行するようにしても良い。

請求項１０のように、前記異物解除制御手段は、前記ロックピン突出制御から前記ロックピンの突出を解除する制御に切り替えてから所定時間が経過しても前記ロックピンの突出を解除できない場合には、ロック解除できない異常が発生していると判断して、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲を、前記ロックモードの制御領域と前記ＶＣＴ位相制御の制御領域を跨ぐように設定すると共に、前記異物解除制御開始時の前記油圧制御弁の制御量の初期値を前記変動範囲の両端以外の制御値（例えば保持モードの制御領域内）に設定して前記異物解除制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、ロック解除できない異常が発生している場合に、油圧制御弁の制御量の初期値を例えば保持モードの制御領域内に設定して異物解除制御を開始することが可能となり、異物解除制御開始時にロックピンがロック穴の側壁に強く押しつけられることを防止でき、ロックピンをロック穴から抜き出しやすくすることができる。

請求項１１のように、前記異物解除制御手段は、前記ロックピン突出制御から前記ロックピンの突出を解除する制御に切り替えてから所定時間が経過しても前記ロックピンの突出を解除できない場合に、ロック解除できない異常が発生していると判断して前記異物解除制御を実行している期間に、運転状態がロック解除要求条件から外れた時点、又はＶＣＴ位相が前記中間ロック位相から動いた時点で、前記異物解除制御を中止するようにすると良い。

請求項１２のように、前記異物解除制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御中にＶＣＴ位相が前記目標位相に追従できなくなった場合に、ＶＣＴ位相制御できない異常が発生していると判断して、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲を、前記ＶＣＴ位相制御の制御領域内に設定すると共に、前記異物解除制御開始時の前記油圧制御弁の制御量の初期値を前記変動範囲でＶＣＴ位相が前記目標位相に向かって最も速く動く制御値に設定して前記異物解除制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、異物解除制御開始時にＶＣＴ位相を目標位相に向かって大きな駆動力で駆動できる。

請求項１３のように、前記異物解除制御手段は、前記異物解除制御を実行する際に、２つ以上の制御値を周期的に切り替えると共に、運転状態から決まる本来実現したい状態に近付ける方向、又は運転状態を悪化させない方向の制御値の出力時間を、他の制御値の出力時間より長くするようにしても良い。このようにすれば、異物解除制御の実行中に本来実現したい状態に近付く方向や運転状態を悪化させない方向に制御することができる。

また、請求項１４，１５のように、前記ＶＣＴ制御手段は、ロック要求が発生したときにＶＣＴ位相を一旦前記中間ロック位相を所定量だけ通り越した位相まで移動させてから前記中間ロック位相へ向けて戻しながら前記ロックピン突出制御を行って前記ロックピンのロックを試行し（以下これら一連の制御を「ロック試行制御」という）、前記ロックピン突出制御の実行時間が所定時間経過しても、ロック完了状態とならない場合には、ＶＣＴ位相が前記中間ロック位相を通り越す量を調整した上で、再度、前記ロック試行制御をやり直すという処理をロック完了状態となるまで所定回数繰り返し、前記異物解除制御手段は、前記ロック試行制御のやり直し回数が前記所定回数に達してもロック完了状態とならない場合に、ロックできない異常が発生していると判断して、前記異物解除制御を実行するようにしても良い。

この場合、請求項１６のように、前記異物解除制御手段は、前記ロック試行制御のやり直し回数が前記所定回数に達してから前記異物解除制御を所定時間実行した後、再度、前記ロック試行制御を１回以上実行し、それでもなおロック完了状態とならない場合に、故障と判断して、警告手段により故障の警告を行い、前記ＶＣＴ制御手段は、前記警告手段による故障の警告が行われた後に、前記ロック要求が発生した場合には、前記ＶＣＴ位相制御によりＶＣＴ位相を前記中間ロック位相、最遅角位相、最進角位相のいずれかに保持するように制御するようにしても良い。

或は、請求項１７のように、ＶＣＴ位相制御の基準となる基準位相を学習する基準位相学習手段を備え、前記異物解除制御手段は、前記ロック試行制御のやり直し回数が前記所定回数に達してから前記異物解除制御を所定時間実行した後、前記基準位相学習手段による前記基準位相の学習を再実行し又は前記基準位相の学習値を初期化してから、再度、前記ロックピン突出制御を実行し、それでもなおロック完了状態とならない場合に、故障と判断して、警告手段により故障の警告を行い、前記ＶＣＴ制御手段は、前記警告手段による故障の警告が行われた後に、前記ロック要求が発生した場合には、前記ＶＣＴ位相制御によりＶＣＴ位相を前記中間ロック位相、最遅角位相、最進角位相のいずれかに保持するように制御するようにしても良い。

請求項１８のように、複数の気筒グループを持つ内燃機関の各気筒グループ毎にそれぞれ前記可変バルブタイミング装置が設けられ、前記異物解除制御手段は、いずれかの気筒グループで前記故障と判断された場合に、他の気筒グループについても前記故障と判断された気筒グループと同じ制御を行うようにしても良い。

また、請求項１９，２０のように、前記ＶＣＴ制御手段は、ロック解除要求が発生したときに、ＶＣＴ位相を進角側又は遅角側に駆動する駆動力が所定値以下となるように前記油圧制御弁の制御量を制限しながら前記ロックピンをロック解除方向である抜き出し方向に駆動するピン抜出制御を所定時間実行した後、前記ＶＣＴ位相制御によりＶＣＴ位相を前記目標位相へ駆動するロック解除制御を実行し、前記異物解除制御手段は、前記ピン抜出制御後に前記ＶＣＴ位相制御を所定時間実行してもＶＣＴ位相が前記中間ロック位相から動かないときには、再度、前記ロック解除制御を１回以上実行し、それでもなおＶＣＴ位相が前記中間ロック位相から動かない場合に、ロック解除できない異常が発生していると判断して、前記異物解除制御を実行するようにしても良い。

この場合、請求項２１のように、前記異物解除制御手段は、前記ロック解除できない異常が発生したときに前記異物解除制御を所定時間実行した後、再度、前記ロック解除制御を１回以上実行し、それでもなおＶＣＴ位相が前記中間ロック位相から動かない場合に、故障と判断して、警告手段により故障の警告を行い、前記ＶＣＴ制御手段は、前記警告手段による故障の警告が行われた後は、全運転条件下で前記油圧制御弁の制御量を前記ロックピン突出制御の制御領域内に設定するようにしても良い。

或は、請求項２２のように、前記異物解除制御手段は、前記ロック解除できない異常が発生したときに前記異物解除制御を所定時間実行した後、再度、前記ピン抜出制御の制御量及び／又は実行時間を変更して前記ロック解除制御を１回以上実行し、それでもなおＶＣＴ位相が前記中間ロック位相から動かない場合に、故障と判断して、警告手段により故障の警告を行い、前記ＶＣＴ制御手段は、前記警告手段による故障の警告が行われた後は、全運転条件下で前記油圧制御弁の制御量を前記ロックピン突出制御の制御領域内に設定するようにしても良い。

請求項２３のように、複数の気筒グループを持つ内燃機関の各気筒グループ毎にそれぞれ前記可変バルブタイミング装置が設けられ、前記異物解除制御手段は、いずれかの気筒グループで前記故障と判断された場合に、他の気筒グループについても前記故障と判断された気筒グループと同じ制御を行うようにしても良い。

尚、請求項１５乃至２３に係る発明においても、請求項２４のように、油圧制御弁は、ＶＣＴ位相を駆動する油圧を制御する位相制御用の油圧制御弁機能と前記ロックピンを駆動する油圧を制御するロック制御用の油圧制御弁機能とを一体化した油圧制御弁を用い、該油圧制御弁の制御量に応じて、ＶＣＴ位相を遅角方向に駆動する遅角モードの制御領域と、ＶＣＴ位相を一定に保持する保持モードの制御領域と、ＶＣＴ位相を進角方向に駆動する進角モードの制御領域と、前記ロックピンをロック方向である突出方向に付勢するロックモードの制御領域とに区分された構成とし、前記ＶＣＴ制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御を行う際に、前記遅角モード、前記保持モード及び前記進角モードの制御領域を前記ＶＣＴ位相制御の制御領域として使用してＶＣＴ位相を目標位相に制御し、前記ロックピン突出制御を行う際に、前記ロックモードの制御領域を使用して前記ロックピンを突出させるように構成すれば良い。

図１は本発明の一実施例で用いるエンジン制御システム全体の概略構成図である。 図２は可変バルブタイミング装置と油圧制御回路の構成を説明する縦断側面図である。 図３は可変バルブタイミング装置の縦断正面図である。 図４はロックピン（進角制限ピン）と遅角制限ピンの機能を説明するための図である。 図５（ａ）は、油圧制御弁の進角ポート、遅角ポート、ロックピン制御ポートの切り替えパターンを説明する図、同図（ｂ）は、ロックモード、進角モード、保持モード、遅角モードの４つの制御領域と位相変化速度との関係を説明する油圧制御弁の制御特性図である。 図６は異常モード判定ルーチンの処理の流れを説明するフローチャート（その１）である。 図７は異常モード判定ルーチンの処理の流れを説明するフローチャート（その２）である。 図８は『ロックできない』異常時の処理ルーチンの流れを説明するフローチャートである。 図９は『ロック解除できない』異常時の処理ルーチンの流れを説明するフローチャートである。 図１０は『ＶＣＴ位相制御できない』異常時の処理ルーチンの流れを説明するフローチャートである。 図１１は『ロックできない』異常時の異物解除制御を実行する場合の油圧制御弁の制御デューティの変動パターン１を説明するタイムチャートである。 図１２は『ロック解除できない』異常時の異物解除制御を実行する場合の油圧制御弁の制御デューティの変動パターン２を説明するタイムチャートである。 図１３（ａ）、（ｂ）は『ＶＣＴ位相制御できない』異常時の異物解除制御を実行する場合の油圧制御弁の制御デューティの２種類の変動パターン３ａ，３ｂを説明するタイムチャートである。 図１４は『ロックできない』異常時の処理の一例を説明するタイムチャートである。 図１５は『ロック解除できない』異常時の処理の一例を説明するタイムチャートである。 図１６は『ＶＣＴ位相制御できない』異常時の処理の一例を説明するタイムチャートである。

以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
図１に示すように、内燃機関であるエンジン１１は、クランク軸１２からの動力がタイミングチェーン１３により各スプロケット１４，１５を介して吸気側カム軸１６と排気側カム軸１７とに伝達されるようになっている。但し、吸気側カム軸１６には、クランク軸１２に対する吸気側カム軸１６の進角量（ＶＣＴ位相）を調整する可変バルブタイミング装置１８（ＶＣＴ）が設けられている。

また、吸気側カム軸１６の外周側には、所定カム角毎にカム角信号のパルスを出力するカム角センサ１９が設置され、一方、クランク軸１２の外周側には、所定クランク角毎にクランク角信号のパルスを出力するクランク角センサ２０が設置されている。これらカム角センサ１９及びクランク角センサ２０の出力信号は、エンジン制御回路２１に入力される。このエンジン制御回路２１は、特許請求の範囲でいうＶＣＴ位相演算手段として機能し、カム角センサ１９とクランク角センサ２０の出力信号パルスの位相差に基づいて吸気バルブの実バルブタイミング（実ＶＣＴ位相）を演算すると共に、クランク角センサ２０の出力パルスの周波数（パルス間隔）に基づいてエンジン回転速度を演算する。その他、エンジン運転状態を検出する各種センサ（吸気圧センサ２２、冷却水温センサ２３、スロットルセンサ２４等）の出力信号がエンジン制御回路２１に入力される。

このエンジン制御回路２１は、上記各種センサで検出したエンジン運転状態に応じて燃料噴射制御や点火制御を行うと共に、可変バルブタイミング制御（ＶＣＴ位相フィードバック制御）を行い、吸気バルブの実バルブタイミング（実ＶＣＴ位相）を、エンジン運転状態に応じて設定した目標バルブタイミング（目標ＶＣＴ位相）に一致させるように可変バルブタイミング装置１８を駆動する油圧をフィードバック制御する。

次に、図２乃至図４に基づいて可変バルブタイミング装置１８の構成を説明する。
可変バルブタイミング装置１８のハウジング３１は、吸気側カム軸１６の外周に回動自在に支持されたスプロケット１４にボルト３２で締め付け固定されている。これにより、クランク軸１２の回転がタイミングチェーン１３を介してスプロケット１４とハウジング３１に伝達され、スプロケット１４とハウジング３１がクランク軸１２と同期して回転する。

一方、吸気側カム軸１６の一端部には、ロータ３５がボルト３７で締め付け固定されている。このロータ３５は、ハウジング３１内に相対回動自在に収納されている。

図３に示すように、ハウジング３１の内部には、複数のベーン収容室４０が形成され、各ベーン収容室４０が、ロータ３５の外周部に形成されたベーン４１によって進角室４２と遅角室４３とに区画されている。少なくとも１つのベーン４１の両側部には、ハウジング３１に対するロータ３５（ベーン４１）の相対回動範囲を規制するストッパ部５６が形成され、このストッパ部５６によって実ＶＣＴ位相（カム軸位相）の調整可能範囲の最遅角位相と最進角位相が規制されている。

可変バルブタイミング装置１８には、ＶＣＴ位相をその調整可能範囲の最遅角位相と最進角位相との間（例えば略中間）に位置する中間ロック位相でロックする中間ロック機構５０が設けられている。この中間ロック機構５０の構成を説明すると、いずれか１つ（又は複数）のベーン４１にロックピン収容孔５７が設けられ、このロックピン収容孔５７に、ハウジング３１とロータ３５（ベーン４１）との相対回動をロックするためのロックピン５８が突出可能に収容され、このロックピン５８がスプロケット１４側に突出してスプロケット１４のロック穴５９（図４参照）に嵌り込むことで、ＶＣＴ位相がその調整可能範囲の略中間に位置する中間ロック位相でロックされる。この中間ロック位相は、エンジン１１の始動に適した位相に設定されている。尚、ロック穴５９をハウジング３１に設けた構成としても良い。

図４に示すように、ロックピン５８は、スプリング６２によってロック方向（突出方向）に付勢されている。また、ロックピン５８の外周部とロックピン収容孔５７との間には、ロックピン５８をロック解除方向に駆動する油圧を制御するためのロック解除用の油圧室が形成されている。

本実施例では、ロックピン５８は、中間ロック位相より遅角側で制御するＶＣＴ位相が不用意に中間ロック位相を越えて進角側に移動することを阻止する進角制限ピンとしても機能し、ロック穴５９と連続して、該ロック穴５９よりも浅底の進角制限溝６３が最遅角位相の近くの所定位相Ｃまで延びるように形成され、ロックピン５８（進角制限ピン）が進角制限溝６３に嵌まり込むことで、中間ロック位相より遅角側で制御するＶＣＴ位相の範囲が中間ロック位相から最遅角位相の近くの所定位相Ｃまでの範囲に制限されるようになっている。

目標位相が上記所定位相Ｃを超えて最遅角位相側に設定された場合は、油圧によりロックピン５８（進角制限ピン）を進角制限溝６３から抜き出すことで、ＶＣＴ位相を最遅角位相側に移動できるようにする。また、目標位相が中間ロック位相よりも進角側に設定された場合は、油圧によりロックピン５８（進角制限ピン）をロック穴５９から完全に抜き出して、ＶＣＴ位相が中間ロック位相より進角側に移動できるようにする。

同様に、進角側で制御するＶＣＴ位相が不用意に遅角側に移動することを阻止する遅角制限ピン６４と例えば２段の遅角制限溝６５ａ，６５ｂが設けられ、スプリング６６によって遅角制限ピン６４がいずれかの遅角制限溝６５ａ，６５ｂに嵌まり込むことで、進角側で制御するＶＣＴ位相の範囲が例えば２段階に制限されるようになっている。

尚、２段の遅角制限溝６５ａ，６５ｂのうちの一方を省いて１段のみの遅角制限溝としても良いし、３段以上の遅角制限溝としても良い。また、進角制限溝６３と遅角制限溝６５ａ，６５ｂと遅角制限ピン６４を省いた構成としても良い。

図４の構成例では、遅角制限溝６５ａ，６５ｂが最進角位相から中間ロック位相を超えて遅角側の所定位相Ｂ，Ａまで延びているため、中間ロック位相では、ロックピン５８（進角制限ピン）と遅角制限ピン６４がそれぞれロック穴５９と２段目（溝が深い方）の遅角制限溝６５ｂに嵌まり込んだ状態となる。

また、図２に示すように、ハウジング３１には、進角制御時にロータ３５を進角方向に相対回動させる油圧をばね力で補助（アシスト）する付勢手段としてねじりコイルばね等のばね５５が設けられている。吸気バルブの可変バルブタイミング装置１８では、吸気側カム軸１６のトルクがＶＣＴ位相を遅角させる方向に作用することから、上記ばね５５は、ＶＣＴ位相を吸気側カム軸１６のトルク方向と反対方向である進角方向に付勢することになる。

本実施例では、図４に示すように、ばね５５の付勢力が作用する範囲は、最遅角位相からほぼ中間ロック位相までの範囲に設定され、エンジンストール等の異常停止後の再始動時のフェールセーフを想定して、ロックピン５８がロック穴５９から外れた状態で中間ロック位相より遅角側の実ＶＣＴ位相で始動した場合に、スタータ（図示せず）によるクランキング中に、ばね５５のばね力により実ＶＣＴ位相を遅角側から中間ロック位相へ進角させる進角動作を補助してロックピン５８をロック穴５９に嵌まり込ませてロックできるように構成されている。

一方、中間ロック位相より進角側の実ＶＣＴ位相で始動した場合は、クランキング中に吸気側カム軸１６のトルクが遅角方向に作用するため、吸気側カム軸１６のトルクにより実ＶＣＴ位相を進角側から中間ロック位相へ遅角させてロックピン５８をロック穴５９に嵌まり込ませてロックさせることができる。

また、本実施例では、可変バルブタイミング装置１８のＶＣＴ位相、ロックピン５８及び遅角制限ピン６４を駆動する油圧を制御する油圧制御弁は、ＶＣＴ位相を駆動する油圧を制御する位相制御用の油圧制御弁機能とロックピン５８を駆動する油圧を制御するロック制御用の油圧制御弁機能とを一体化した油圧制御弁２５により構成され、エンジン１１の動力によって駆動されるオイルポンプ２８により、オイルパン２７内のオイル（作動油）が汲み上げられて油圧制御弁２５に供給される。この油圧制御弁２５は、例えば８ポート・４ポジション型のスプール弁により構成され、図５に示すように、油圧制御弁２５の制御デューティ（制御量）に応じて、ロックモードＬ１，Ｌ２、進角モードＡ、保持モードＨ、遅角モードＲの４つの制御領域に区分されている。

ロックモードＬ１，Ｌ２の制御領域では、ロックピン収容孔５７内のロック解除用油圧室へのオイル供給油路を遮断してロックピン収容孔５７内のロック解除用油圧室の油圧を抜いて、スプリング６２によってロックピン５８をロック方向に突出させる。

更に、ロックモードＬ１，Ｌ２の制御領域は、ロックピン５８を突出させながら進角室４２へのオイル供給油路を開放して進角室４２にオイルを供給するオイル充填モードＬ１の制御領域と、ロックピン５８を突出させながら進角室４２と遅角室４３の両方のオイル供給油路を遮断して両室４２，４３の油圧を保持するロック保持モードＬ２の制御領域とに区分されている。

進角モードＡの制御領域では、遅角室４３へのオイル供給油路を遮断して、油圧制御弁２５の遅角ポートをドレンポートに連通させて遅角室４３の油圧を抜いた状態で、油圧制御弁２５の制御デューティに応じて、進角室４２へのオイル供給油路を開放して、進角室４２にオイルを供給して進角室４２の油圧を変化させて実ＶＣＴ位相を進角させる。

保持モードＨの制御領域では、進角室４２と遅角室４３の両方のオイル供給油路を遮断して両室４２，４３の油圧を保持して、実ＶＣＴ位相が動かないように保持する。

遅角モードＲの制御領域では、進角室４２へのオイル供給油路を遮断して、油圧制御弁２５の進角ポートをドレンポートに連通させて進角室４２の油圧を抜いた状態で、油圧制御弁２５の制御デューティに応じて、遅角室４３へのオイル供給油路を開放して、遅角室４３にオイルを供給して遅角室４３の油圧を変化させて実ＶＣＴ位相を遅角させる。

ロックモードＬ１，Ｌ２以外の制御領域（進角モードＡ、保持モードＨ、遅角モードＲ）では、ロックピン収容孔５７内のロック解除用油圧室へのオイル供給油路を開放してロック解除用油圧室にオイルを充填してロック解除用油圧室の油圧を上昇させ、その油圧によりロックピン５８をロック穴５９から抜き出してロックピン５８のロックを解除する。

尚、本実施例では、油圧制御弁２５の制御デューティが大きくなるに従って、ロックモードＬ１，Ｌ２、進角モードＡ、保持モードＨ、遅角モードＲの順に制御モードが切り替わるように構成されているが、例えば、油圧制御弁２５の制御デューティが大きくなるに従って、遅角モードＲ、保持モードＨ、進角モードＡ、ロックモードＬ１，Ｌ２の順に制御モードが切り替わるように構成したり、或は、遅角モードＲと進角モードＡの順序を入れ替えて、ロックモードＬ１，Ｌ２、遅角モードＲ、保持モードＨ、進角モードＡの順に制御モードが切り替わるように構成しても良い。

エンジン制御回路２１は、特許請求の範囲でいうＶＣＴ制御手段として機能し、ＶＣＴ位相制御（可変バルブタイミング制御）中に、エンジン運転条件に応じた目標位相（目標バルブタイミング）を設定して、吸気側カム軸１６の実ＶＣＴ位相（吸気バルブの実バルブタイミング）を目標位相（目標バルブタイミング）に一致させるように油圧制御弁２５の制御デューティ（制御量）を例えばＰＤ制御等によりＦ／Ｂ制御して可変バルブタイミング装置１８の進角室４２と遅角室４３に供給する油圧をＦ／Ｂ制御する。ここで、「Ｆ／Ｂ」は「フィードバック」を意味する（以下、同じ）。このＶＣＴ位相制御の制御領域は、遅角モードＲ、保持モードＨ及び進角モードＡの制御領域に跨がっている。

更に、エンジン制御回路２１は、エンジン１１の回転を停止させる際に、ロック要求が発生して、ＶＣＴ位相を一旦中間ロック位相を所定量だけ通り越した位相まで移動させてから中間ロック位相へ向けて戻しながら、ロックピン５８をロック方向である突出方向に付勢するロックピン突出制御を行ってロックピン５８のロックを試行し（以下これら一連の制御を「ロック試行制御」という）、前記ロックピン突出制御の実行時間が所定時間経過しても、ロック完了状態と判定されない場合には、ＶＣＴ位相が中間ロック位相を通り越す量を調整した上で、再度、前記ロック試行制御をやり直すという処理をロック完了状態と判定されるまで所定回数繰り返す。そして、このロック試行制御のやり直し回数が前記所定回数に達してもロック完了状態と判定されない場合に、ロックできない異常が発生していると判断して、後述する異物解除制御を実行する。

また、エンジン制御回路２１は、ロック解除要求が発生したときに、ＶＣＴ位相を進角側又は遅角側に駆動する駆動力が所定値以下となるように油圧制御弁２５の制御デューティ（制御量）を制限しながらロックピン５８をロック解除方向である抜き出し方向に駆動するピン抜出制御を所定時間実行した後、ＶＣＴ位相制御によりＶＣＴ位相を目標位相へ駆動するロック解除制御を実行する。そして、ピン抜出制御後にＶＣＴ位相制御を所定時間実行してもＶＣＴ位相が中間ロック位相から動かないときには、再度、ロック解除制御（ピン抜出制御）を１回以上実行し、それでもなおＶＣＴ位相が中間ロック位相から動かない場合に、ロック解除できない異常が発生していると判断して、後述する異物解除制御を実行するようにしている。

また、エンジン制御回路２１は、異常が検出されて異物解除要求が発生したときに、異常内容（異常モード）に応じて油圧制御弁２５の制御デューティの変動パターン（変動範囲）を変更する異物解除制御手段として機能する。

具体的には、ＶＣＴ位相制御からロックピン突出制御に切り替えてから所定時間が経過してもＶＣＴ位相が中間ロック位相で安定しない場合、又は、ロックピン突出制御からロックピン５８の突出を解除する制御又はＶＣＴ位相制御に切り替えてから所定時間が経過してもロックピン５８の突出を解除できない場合若しくはＶＣＴ位相が目標位相で安定しない場合には、ロックできない異常又はロック解除できない異常が発生していると判断して、油圧制御弁２５の制御デューティの変動範囲を、ロックモードの制御領域とＶＣＴ位相制御の制御領域を跨ぐように設定して異物解除制御を実行する。ここで、ＶＣＴ位相制御の制御領域は、ロックモードの制御領域以外の制御領域（遅角モード、保持モード及び進角モードの制御領域）である。

また、ＶＣＴ位相制御中にＶＣＴ位相が目標位相で安定しなくなった場合には、ＶＣＴ位相制御できない異常が発生していると判断して、油圧制御弁２５の制御デューティの変動範囲を、ＶＣＴ位相制御の制御領域内に設定して異物解除制御を実行する。

更に、異物解除制御を行う際に、油圧制御弁２５の制御デューティの変動範囲の上限値と下限値とそれら以外の制御デューティ（例えば保持デューティ）を含む少なくとも３つの制御デューティを所定パターンで切り替えると共に、異物解除制御開始時の油圧制御弁２５の制御デューティの初期値を制御モードに応じて変更する。

具体的には、ＶＣＴ位相制御からロックピン突出制御に切り替えてから所定時間が経過してもＶＣＴ位相が前記中間ロック位相で安定しない場合は、ロックできない異常が発生していると判断して、油圧制御弁２５の制御デューティの変動範囲を、ＶＣＴ位相制御の制御領域とロックモードの制御領域とを跨ぐように設定すると共に、異物解除制御開始時の油圧制御弁２５の制御デューティの初期値をＶＣＴ位相制御の制御領域の端（例えば図５のＤ100 ）に設定して異物解除制御を実行する。ここで、「Ｄ100 」は、制御デューティ１００％を意味する。

また、ＶＣＴ位相制御からロックピン突出制御に切り替えてから所定時間が経過してもＶＣＴ位相が中間ロック位相で安定しない場合に、ロックできない異常が発生していると判断して、異物解除制御を実行している期間に、運転状態がロック要求条件から外れた時点で、異物解除制御を中止してＶＣＴ位相制御に移行する。

また、ロックピン突出制御からロックピン５８の突出を解除する制御に切り替えてから所定時間が経過してもロックピン５８の突出を解除できない場合には、ロック解除できない異常が発生していると判断して、油圧制御弁２５の制御デューティの変動範囲を、ロックモードの制御領域とＶＣＴ位相制御の制御領域を跨ぐように設定すると共に、異物解除制御開始時の油圧制御弁２５の制御デューティの初期値を変動範囲の両端以外の制御デューティ（例えば保持デューティＤh ）に設定して異物解除制御を実行する。

また、ロックピン突出制御からロックピン５８の突出を解除する制御に切り替えてから所定時間が経過してもロックピン５８の突出を解除できない場合に、ロック解除できない異常が発生していると判断して、異物解除制御を実行している期間に、運転状態がロック解除要求条件から外れた時点、又はＶＣＴ位相が中間ロック位相から動いた時点で、異物解除制御を中止する。

また、ＶＣＴ位相制御中にＶＣＴ位相が目標位相に追従できなくなった場合（ＶＣＴ位相と目標位相との偏差が所定値以上の状態が継続している場合）に、ＶＣＴ位相制御できない異常が発生していると判断して、油圧制御弁２５の制御デューティの変動範囲を、ＶＣＴ位相制御の制御領域内に設定すると共に、異物解除制御開始時の油圧制御弁２５の制御デューティの初期値を前記変動範囲においてＶＣＴ位相が目標位相に向かって最も速く動く制御デューティ（例えば図５のＤt 又はＤ100 ）に設定して異物解除制御を実行する。

また、異物解除制御を実行する際に、２つ以上の制御デューティを周期的に切り替えると共に、運転状態から決まる本来実現したい状態に近付ける方向、又は運転状態を悪化させない方向の制御デューティの出力時間を、他の制御デューティの出力時間より長くする。

以上説明した本実施例の異物解除制御は、エンジン制御回路２１によって図６乃至図１０の各ルーチンに従って実行される。以下、図６乃至図１０の各ルーチンの処理内容を説明する。これら各ルーチンによって特許請求の範囲でいう異物解除制御手段としての機能が実現される。

［異常モード判定］
図６及び図７の異常モード判定ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ１０１で、ロックピン突出制御中であるか否かを判定し、ロックピン突出制御中であれば、ステップ１０２に進み、ロックピン突出制御開始から所定時間経過し且つロック未完了であるか否かを判定し、その結果、「Ｎｏ」と判定されれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。

上記ステップ１０２の判定結果が「Ｙｅｓ」の場合（つまりロックピン突出制御開始から所定時間経過し且つロック未完了である場合）には、ステップ１０３に進み、故障フラグ１が「ＯＮ」であるか否かを判定する。この故障フラグ１は、後述する図８の『ロックできない』異常時の処理ルーチンによって『ロックできない』故障と判定された場合に故障フラグ１＝ＯＮにセットされる。

上記ステップ１０３で、故障フラグ１＝ＯＮ（『ロックできない』故障）と判定されれば、ステップ１０４に進み、警告ランプ７０（警告手段）を点灯又は点滅したり、運転席のインストルメントパネルの表示部に警告表示したり、警告音を発生したりして、運転者に故障を通知する。この後、ステップ１０５に進み、目標位相を安全側の位相である最遅角位相に設定して、ＶＣＴ位相を最遅角位相に固定する。

一方、上記ステップ１０３で、故障フラグ１＝ＯＦＦ（『ロックできない』故障ではない）と判定されれば、ステップ１０６に進み、ロック試行制御のやり直し回数が所定回数以上になったか否かを判定し、ロック試行制御のやり直し回数が所定回数に達していなければ、ステップ１０７に進み、ロック試行制御をやり直す。ロック試行制御では、ＶＣＴ位相を一旦中間ロック位相を所定量だけ通り越した位相まで移動させてから中間ロック位相へ向けて戻しながらロックピン突出制御を行ってロックピン５８をロック穴５９に嵌まり込ませるように制御する。

上記ステップ１０６で、ロック試行制御のやり直し回数が所定回数以上になったと判定されれば、『ロックできない』異常が発生していると判断して、ステップ１０８に進み、異物解除制御実行フラグ１をＯＮにセットして、後述する図８の『ロックできない』異常時の処理ルーチンを実行する。

また、上記ステップ１０１で、ロックピン突出制御中ではないと判定されれば、図７のステップ１１０に進み、ロック解除制御開始から所定時間経過したか否かを判定し、ロック解除制御開始から所定時間経過していなければ、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。

その後、ロック解除制御開始から所定時間経過した時点で、上記ステップ１１０からステップ１１１に進み、ロック解除未完了であるか否かを判定し、ロック解除未完了であれば、ステップ１１２に進み、故障フラグ２が「ＯＮ」であるか否かを判定する。この故障フラグ２は、後述する図９の『ロック解除できない』異常時の処理ルーチンによって『ロック解除できない』故障と判定された場合に故障フラグ２＝ＯＮにセットされる。

上記ステップ１１２で、故障フラグ２＝ＯＮ（『ロック解除できない』故障）と判定されれば、ステップ１１３に進み、警告ランプ７０を点灯又は点滅したり、運転席のインストルメントパネルの表示部に警告表示したり、警告音を発生したりして、運転者に故障を通知する。この後、ステップ１１４に進み、目標位相を中間ロック位相に設定して、ＶＣＴ位相を中間ロック位相に固定する。

一方、上記ステップ１１２で、故障フラグ２＝ＯＦＦ（『ロック解除できない』故障ではない）と判定されれば、ステップ１１５に進み、ロック解除制御のピン抜出制御のやり直し回数が所定回数以上になったか否かを判定し、ピン抜出制御のやり直し回数が所定回数に達していなければ、ステップ１１６に進み、ピン抜出制御をやり直す。ピン抜出制御では、ＶＣＴ位相を進角側又は遅角側に駆動する駆動力が所定値以下となるように油圧制御弁２５の制御デューティを制限しながらロックピン５８をロック解除方向である抜き出し方向に駆動して、ロックピン５８をロック穴５９から抜き出すように制御する。

上記ステップ１１５で、ピン抜出制御のやり直し回数が所定回数以上になったと判定されれば、『ロック解除できない』異常が発生していると判断して、ステップ１１７に進み、異物解除制御実行フラグ２をＯＮにセットして、後述する図９の『ロック解除できない』異常時の処理ルーチンを実行する。

一方、上記ステップ１１１の判定結果が「Ｎｏ」の場合（つまりロック解除が完了している場合）には、ステップ１１８に進み、ＶＣＴ位相と目標位相との偏差（絶対値）が所定値以上の状態が継続しているか否かを判定し、ＶＣＴ位相と目標位相との偏差（絶対値）が所定値未満であれば、ＶＣＴ位相制御によりＶＣＴ位相が目標位相に向かって正常に制御されていると判断して、そのまま本ルーチンを終了する。

上記ステップ１１８で、ＶＣＴ位相と目標位相との偏差（絶対値）が所定値以上の状態が継続していると判定されれば、『ＶＣＴ位相制御できない』異常が発生していると判断して、ステップ１１９に進み、故障フラグ３が「ＯＮ」であるか否かを判定する。この故障フラグ３は、後述する図１０の『ＶＣＴ位相制御できない』異常時の処理ルーチンによって『ＶＣＴ位相制御できない』故障と判定された場合に故障フラグ３＝ＯＮにセットされる。

上記ステップ１１９で、故障フラグ３＝ＯＮ（『ＶＣＴ位相制御できない』故障）と判定されれば、ステップ１２０に進み、警告ランプ７０を点灯又は点滅したり、運転席のインストルメントパネルの表示部に警告表示したり、警告音を発生したりして、運転者に故障を通知する。

これに対し、上記ステップ１１９で、故障フラグ３＝ＯＦＦ（『ＶＣＴ位相制御できない』故障ではない）と判定されれば、ステップ１２１に進み、異物解除制御実行フラグ３をＯＮにセットして、後述する図１０の『ＶＣＴ位相制御できない』異常時の処理ルーチンを実行する。

［『ロックできない』異常時の処理］
図８の『ロックできない』異常時の処理ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ２０１で、異物解除制御実行フラグ１がＯＮにセットされているか否かを判定し、異物解除制御実行フラグ１がＯＦＦであれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。

上記ステップ２０１で、異物解除制御実行フラグ１がＯＮにセットされていると判定されれば、ステップ２０２に進み、異物解除制御の制御デューティの変動パターンとして図１１の変動パターン１を選択する。『ロックできない』異常時の異物解除制御で選択する制御デューティの変動パターン１は、ロックモードの制御領域とＶＣＴ位相制御の制御領域を跨ぐように設定され、制御デューティの変動範囲の上限値Ｄ100 （制御デューティ１００％）と下限値Ｄ0 （制御デューティ０％）とを周期的に切り替える。この異物解除制御開始時の制御デューティの初期値を、ＶＣＴ位相制御の制御領域の端（上限値Ｄ100 ）に設定する。

『ロックできない』異常時では、本来実現させたいのはロックであるが、ロックピン５８が突出できない状態で、ロックモードの制御領域の端の制御デューティＤ0 を出力する時間を長くすると、ＶＣＴ位相が不安定になりやすいため、ＶＣＴ位相制御の制御領域の端の制御デューティＤ100 （遅角速度が最大となる制御デューティ）を出力する時間の方を長くする。

この後、ステップ２０３に進み、油圧制御弁２５の制御デューティを図１１の変動パターン１で変動させて異物解除制御を実行する。そして、次のステップ２０４で、異物解除制御開始から所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していなければ、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。

一方、上記ステップ２０４で、異物解除制御開始から所定時間が経過したと判定されれば、ステップ２０５に進み、異物解除制御実行フラグ１をＯＦＦにリセットして、ステップ２０６に進み、ＶＣＴ位相を最遅角位相側の壁に突き当たるまで遅角させて最遅角位相を学習する。

この後、ステップ２０７に進み、中間ロック位相の学習値を初期化した後、ステップ２０８に進み、故障フラグ１をＯＮにセットして本ルーチンを終了する。
［『ロック解除できない』異常時の処理］
図９の『ロック解除できない』異常時の処理ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ３０１で、異物解除制御実行フラグ２がＯＮにセットされているか否かを判定し、異物解除制御実行フラグ２がＯＦＦであれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。

上記ステップ３０１で、異物解除制御実行フラグ２がＯＮにセットされていると判定されれば、ステップ３０２に進み、異物解除制御の制御デューティの変動パターンとして図１２の変動パターン２を選択する。『ロック解除できない』異常時の異物解除制御で選択する制御デューティの変動パターン２は、ロックモードの制御領域とＶＣＴ位相制御の制御領域を跨ぐように設定され、制御デューティの変動範囲の上限値Ｄ100 と下限値Ｄ0 とそれら以外の制御デューティ（例えば保持デューティＤh ）を含む少なくとも３つの制御デューティを所定パターンで切り替える。異物解除制御開始時の制御デューティの初期値を、制御デューティの変動範囲の両端以外の制御デューティ（例えば保持デューティＤh ）に設定する。

『ロック解除できない』異常時では、本来実現させたいのはロック解除であるため、ＶＣＴ位相を進角側又は遅角側に駆動する駆動力が所定値以下となるように保持デューティＤh を出力する時間を長めに設定して、ロックピン５８がロック穴５９から抜ける時間を確保すると共に、制御デューティの変動範囲の上限値Ｄ100 （遅角速度が最大となる制御デューティ）を出力する時間の方を下限値Ｄ0 を出力する時間よりも長くして、ＶＣＴ位相を中間ロック位相から安全方向である遅角方向に動かすようにする。

この後、ステップ３０３に進み、油圧制御弁２５の制御デューティを図１２の変動パターン２で変動させて異物解除制御を実行する。そして、次のステップ３０４で、ＶＣＴ位相が動いたか否かを判定し、ＶＣＴ位相が動いたと判定されれば、ロック解除完了と判断して、ステップ３０５に進み、異物解除制御実行フラグ２をＯＦＦにリセットして本ルーチンを終了する。

これに対し、上記ステップ３０４で、ＶＣＴ位相が動かないと判定されれば、まだロック解除が完了していないと判断して、ステップ３０６に進み、異物解除制御開始から所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していなければ、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。

一方、上記ステップ３０６で、異物解除制御開始から所定時間が経過したと判定されれば、ステップ３０７に進み、異物解除制御実行フラグ２をＯＦＦにリセットして、ステップ３０８に進み、ピン抜出制御の制御量及び／又は実行時間を変更する。この後、ステップ３０９に進み、故障フラグ２をＯＮにセットして本ルーチンを終了する。

［『ＶＣＴ位相制御できない』異常時の処理］
図１０の『ＶＣＴ位相制御できない』異常時の処理ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ４０１で、異物解除制御実行フラグ３がＯＮにセットされているか否かを判定し、異物解除制御実行フラグ３がＯＦＦであれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。

上記ステップ４０１で、異物解除制御実行フラグ３がＯＮにセットされていると判定されれば、ステップ４０２に進み、目標位相が現在のＶＣＴ位相よりも進角側であるか否かを判定し、進角側であると判定されれば、ステップ４０３に進み、『ＶＣＴ位相制御できない』異常時の異物解除制御で選択する制御デューティの変動パターンとして、図１３（ａ）の変動パターン３ａを選択する。

『ＶＣＴ位相制御できない』異常時の異物解除制御で選択する制御デューティの変動パターン３ａは、ＶＣＴ位相制御の制御領域の下限値Ｄt と上限値Ｄ100 とを周期的に切り替える。異物解除制御開始時の制御デューティの初期値を、ＶＣＴ位相が目標位相の方向である進角側に向かって最も速く動く制御デューティ（進角側への駆動力が最大となる制御デューティ）であるＶＣＴ位相制御の制御領域の下限値Ｄt に設定すると共に、ＶＣＴ位相制御の制御領域の下限値Ｄt （進角速度が最大となる制御デューティ）を出力する時間の方を上限値Ｄ100 （遅角速度が最大となる制御デューティ）を出力する時間よりも長くする。

これに対し、上記ステップ４０２で、目標位相が現在のＶＣＴ位相よりも遅角側であると判定されれば、ステップ４０４に進み、『ＶＣＴ位相制御できない』異常時の異物解除制御で選択する制御デューティの変動パターンとして、図１３（ｂ）の変動パターン３ｂを選択する。

『ＶＣＴ位相制御できない』異常時の異物解除制御で選択する制御デューティの変動パターン３ｂは、ＶＣＴ位相制御の制御領域の上限値Ｄ100 と下限値Ｄt とを周期的に切り替える。異物解除制御開始時の制御デューティの初期値を、ＶＣＴ位相が目標位相の方向である遅角側に向かって最も速く動く制御デューティ（遅角側への駆動力が最大となる制御デューティ）であるＶＣＴ位相制御の制御領域の上限値Ｄ100 に設定すると共に、ＶＣＴ位相制御の制御領域の上限値Ｄ100 （遅角速度が最大となる制御デューティ）を出力する時間の方を下限値Ｄt （進角速度が最大となる制御デューティ）を出力する時間よりも長くする。

以上のようにして、制御デューティの変動パターンを選択した後、ステップ４０５に進み、目標位相の方向にＶＣＴ位相が動いたか否かを判定し、目標位相の方向にＶＣＴ位相が動いたと判定されれば、ステップ４０８に進み、異物解除制御実行フラグ３をＯＦＦにリセットして本ルーチンを終了する。

これに対し、上記ステップ４０５で、目標位相の方向にＶＣＴ位相が動いていないと判定されれば、ステップ４０６に進み、異物解除制御開始から所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していなければ、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。

一方、上記ステップ４０６で、異物解除制御開始から所定時間が経過したと判定されれば、『ＶＣＴ位相制御できない』故障と判断して、ステップ４０７に進み、故障フラグ３をＯＮにセットして、ステップ４０８に進み、異物解除制御実行フラグ３をＯＦＦにリセットして本ルーチンを終了する。

以上説明した図６乃至図１０の各ルーチンによって実行される異常時の処理の一例を、図１４乃至図１６を用いて説明する。
図１４は、『ロックできない』異常時の処理の一例を示すタイムチャートである。
図１４の例では、ＶＣＴ位相制御中にＶＣＴ位相を中間ロック位相よりも進角側に設定した目標位相に制御しているときに、ロック要求が発生すると、その時点で、目標位相を中間ロック位相よりも遅角側に所定量だけ通り越した位相に設定して、ＶＣＴ位相を中間ロック位相よりも遅角側に所定量だけ通り越した位相にまで移動させてから、油圧制御弁２５の制御デューティをロックモードの制御領域内に設定して、ＶＣＴ位相を中間ロック位相へ向けて戻しながらロックピン突出制御を行ってロックピン５８のロックを試行する“ロック試行制御”を実行する。そして、ロックピン突出制御の実行時間が所定時間経過しても、ロック完了状態とならない場合には、ＶＣＴ位相が中間ロック位相を通り越す量を増加させた上で、再度、ロック試行制御をやり直すという処理をロック完了状態となるまで所定回数繰り返す。

ロック試行制御のやり直し回数が所定回数に達してもロック完了状態とならない場合には、その時点で、『ロックできない』異常が発生していると判断して、異物解除制御を開始する。『ロックできない』異常時の異物解除制御では、油圧制御弁２５の制御デューティを、ＶＣＴ位相制御の制御領域の上限値Ｄ100 とロックモードの制御領域の端の制御デューティＤ0 とを周期的に切り替える。この際、異物解除制御開始時の制御デューティの初期値を、ＶＣＴ位相が目標位相の方向である遅角側に向かって最も速く動く制御デューティ（遅角側への駆動力が最大となる制御デューティ）であるＶＣＴ位相制御の制御領域の上限値Ｄ100 に設定すると共に、ＶＣＴ位相制御の制御領域の上限値Ｄ100 （遅角速度が最大となる制御デューティ）を出力する時間の方をロックモードの制御領域の端の制御デューティＤ0 を出力する時間よりも長くする。

この異物解除制御を所定時間実行した時点で、油圧制御弁２５の制御デューティをＶＣＴ位相制御の制御領域の端の制御デューティＤ100 に設定して、ＶＣＴ位相を最遅角位相（基準位相）に駆動して最遅角位相の学習を再実行すると共に、中間ロック位相の学習値を初期化する。その後、再度、油圧制御弁２５の制御デューティをロックモードの制御領域内に設定して、ロックピン突出制御（ロック試行制御）を実行して、ロックピン５８のロックを試みる。

尚、このロックピン突出制御（ロック試行制御）を１回以上実行し、それでもなおロック完了状態とならない場合に、『ロックできない』故障と判断して、警告ランプ７０を点灯又は点滅したり、運転席のインストルメントパネルの表示部に警告表示したり、警告音を発生したりして、運転者に故障を通知する。この後は、ロック要求が発生したときに、ＶＣＴ位相制御によりＶＣＴ位相を中間ロック位相、最遅角位相、最進角位相のいずれかに保持するように制御するようにすると良い。

図１５は、『ロック解除できない』異常時の処理の一例を示すタイムチャートである。 図１５の例では、ＶＣＴ位相を中間ロック位相にロックしているときに、ロック解除要求が発生すると、その時点で、ロック解除制御のピン抜出制御を開始する。ピン抜出制御では、油圧制御弁２５の制御デューティを保持デューティＤh に設定して、ＶＣＴ位相を中間ロック位相付近に保持してＶＣＴ位相を進角側又は遅角側に駆動する駆動力を所定値以下に制限しながらロックピン５８をロック解除方向である抜き出し方向に駆動する。

このピン抜出制御を所定時間実行した後、ＶＣＴ位相制御を開始してＶＣＴ位相を目標位相へ駆動し、ＶＣＴ位相制御を所定時間実行してもＶＣＴ位相が中間ロック位相から動かないときには、再度、ロック解除制御（ピン抜出制御とＶＣＴ位相制御）を１回以上実行する。それでもなおＶＣＴ位相が中間ロック位相から動かない場合に、『ロック解除できない』異常が発生していると判断して、異物解除制御を実行する。

『ロック解除できない』異常時の異物解除制御では、油圧制御弁２５の制御デューティを、ＶＣＴ位相を中間ロック位相付近に保持する保持デューティＤh と、遅角速度が最大となる制御デューティＤ100 と、ロックモードの制御領域の端の制御デューティＤ0 とを周期的に切り替える。この際、異物解除制御開始時の制御デューティの初期値を、ＶＣＴ位相を中間ロック位相付近に保持する保持デューティＤh に設定すると共に、保持デューティＤh を出力する時間を長めに設定して、ロックピン５８がロック穴５９から抜ける時間を確保すると共に、遅角速度が最大となる制御デューティＤ100 を出力する時間の方をロックモードの制御領域の端の制御デューティＤ0 を出力する時間よりも長くして、ＶＣＴ位相を中間ロック位相から安全方向である遅角方向に動かすようにする。

この異物解除制御を所定時間実行した後、再度、油圧制御弁２５の制御デューティを保持デューティＤh に設定してロック解除制御（ピン抜出制御）を実行する。図１５の例では、このロック解除制御（ピン抜出制御）によりＶＣＴ位相が中間ロック位相から動いてロック解除が完了したことが確認され、通常のＶＣＴ位相制御に移行する。

異物解除制御終了後のロック解除制御のピン抜出制御は、通常のロック解除制御のピン抜出制御と同じ制御デューティと実行時間で実施しても良いし、通常のロック解除制御のピン抜出制御とは異なる制御デューティ又は実行時間で実施しても良い。

尚、異物解除制御終了後のロック解除制御（ピン抜出制御）を１回以上実行しても、なおＶＣＴ位相が中間ロック位相から動かない場合には、『ロック解除できない』故障と判断して、警告ランプ７０を点灯又は点滅したり、運転席のインストルメントパネルの表示部に警告表示したり、警告音を発生したりして、運転者に故障を通知する。この後は、全運転条件下で油圧制御弁２５の制御デューティをロックモードの制御領域内に設定してロックピン５８をロック解除方向である抜き出し方向に駆動する。

図１６は、『ＶＣＴ位相制御できない』異常時の処理の一例を示すタイムチャートである。図１６の例では、通常のＶＣＴ位相制御を実行しているときに、ＶＣＴ位相と目標位相との偏差（絶対値）が所定値Ｋ１以上の状態が継続していると判断された時点で、『ＶＣＴ位相制御できない』異常であると判断して、異物解除制御を実行する。

『ＶＣＴ位相制御できない』異常時の異物解除制御では、油圧制御弁２５の制御デューティを、ＶＣＴ位相制御の制御領域の上限値Ｄ100 と下限値Ｄt とを周期的に切り替える。この際、異物解除制御開始時の制御デューティの初期値を、ＶＣＴ位相が目標位相の方向（図１６の例では遅角方向）に向かって最も速く動く制御デューティ（遅角側への駆動力が最大となる制御デューティ）であるＶＣＴ位相制御の制御領域の上限値Ｄ100 に設定すると共に、ＶＣＴ位相制御の制御領域の上限値Ｄ100 （遅角速度が最大となる制御デューティ）を出力する時間の方を下限値Ｄt （進角速度が最大となる制御デューティ）を出力する時間よりも長くする。

この異物解除制御により、ＶＣＴ位相と目標位相との偏差（絶対値）が所定値Ｋ２以下になった時点で、『ＶＣＴ位相制御できない』異常が解消されたと判断して、通常のＶＣＴ位相制御に復帰する。ここで、所定値Ｋ２は、前記所定値Ｋ１よりも小さい値に設定されている。

以上説明した本実施例では、異常が検出されたときに異物解除制御を実行する際に、異常内容（異常モード）に応じて油圧制御弁２５の制御デューティの変動パターン（変動範囲）を変更するようにしたので、例えば、ロックピン５８を突出させないように制御している期間に異常が発生して異物解除制御を実行する場合には、油圧制御弁２５の制御デューティの変動範囲を、ロックモードの制御領域以外の制御領域内（つまりＶＣＴ位相制御の制御領域内）に制限することが可能となり、異物解除制御の実行中にロックピン５８が繰り返しロック穴５９側の壁面に衝突することによる異音の発生や部品の劣化を防止できる。

尚、複数の気筒グループを持つエンジンの各気筒グループ毎にそれぞれ可変バルブタイミング装置を設けたシステムに本発明を適用する場合は、いずれかの気筒グループで故障と判断されたときに、他の気筒グループについても故障と判断された気筒グループと同じ制御を行うようにすると良い。

また、上記実施例は、本発明を吸気バルブの可変バルブタイミング装置に適用して具体化した実施例であるが、排気バルブの可変バルブタイミング制御装置に適用して実施しても良い。本発明を排気バルブの可変バルブタイミング制御装置に適用する場合は、排気バルブのＶＣＴ位相の制御方向（「進角」と「遅角」の関係）を吸気バルブのＶＣＴ位相の制御方向とは反対にすれば良い。

また、本発明は、ＶＣＴ位相を駆動する油圧を制御するＶＣＴ位相制御用の油圧制御弁とロックピン５８を駆動する油圧を制御するロック制御用の油圧制御弁とを別々に設けた構成としても良い。

その他、本発明は、可変バルブタイミング装置１８の構成や油圧制御弁２５の構成等を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。

１１…エンジン（内燃機関）、１２…クランク軸、１３…タイミングチェーン、１４，１５…スプロケット、１６…吸気カム軸、１７…排気カム軸、１８…可変バルブタイミング装置（ＶＣＴ）、１９…カム角センサ、２０…クランク角センサ、２１…エンジン制御回路（ＶＣＴ制御手段，異物解除制御手段）、２３…冷却水温センサ、２５…油圧制御弁、２８…オイルポンプ、３１…ハウジング、３５…ロータ、４０…ベーン収容室、４１…ベーン、４２…進角室、４３…遅角室、５０…中間ロック機構、５５…ばね、５８…ロックピン（進角制限ピン）、５９…ロック穴、６３…進角制限溝、６４…遅角制限ピン、６５ａ，６５ｂ…遅角制限溝、７０…警告ランプ（警告手段）

Claims (24)

1. 内燃機関のクランク軸に対するカム軸の回転位相（以下「ＶＣＴ位相」という）を変化させてバルブタイミングを調整する油圧駆動式の可変バルブタイミング装置と、ＶＣＴ位相をその調整可能範囲内に位置する中間ロック位相でロックするロックピンと、前記可変バルブタイミング装置及び前記ロックピンを駆動する油圧を制御する油圧制御弁とを備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置において、
   ＶＣＴ位相を目標位相に制御するＶＣＴ位相制御と前記ロックピンを突出させるロックピン突出制御とを運転状態に応じて切り替えるＶＣＴ制御手段と、
   異常が発生したときに前記油圧制御弁の制御量を所定パターンで変動させる異物解除制御を実行する異物解除制御手段とを備え、
   前記異物解除制御手段は、前記異物解除制御を実行する際に、前記異常の内容に応じて前記油圧制御弁の制御量の変動パターンを変更することを特徴とする内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
2. 前記油圧制御弁は、ＶＣＴ位相を駆動する油圧を制御する位相制御用の油圧制御弁機能と前記ロックピンを駆動する油圧を制御するロック制御用の油圧制御弁機能とを一体化した油圧制御弁を用い、該油圧制御弁の制御量に応じて、ＶＣＴ位相を遅角方向に駆動する遅角モードの制御領域と、ＶＣＴ位相を一定に保持する保持モードの制御領域と、ＶＣＴ位相を進角方向に駆動する進角モードの制御領域と、前記ロックピンをロック方向である突出方向に付勢するロックモードの制御領域とに区分され、
   前記ＶＣＴ制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御を行う際に、前記遅角モード、前記保持モード及び前記進角モードの制御領域を前記ＶＣＴ位相制御の制御領域として使用してＶＣＴ位相を目標位相に制御し、前記ロックピン突出制御を行う際に、前記ロックモードの制御領域を使用して前記ロックピンを突出させることを特徴とする請求項１に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
3. 前記異物解除制御手段は、(1) 前記ロックピン突出制御中、(2) 前記ＶＣＴ位相制御中、(3) 前記ロックピン突出制御から前記ＶＣＴ位相制御への切り替え時、(4) 前記ＶＣＴ位相制御から前記ロックピン突出制御への切り替え時のうちの少なくとも１つにおいて、前記異常が発生したときに、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲を、前記ロックモードの制御領域と前記ＶＣＴ位相制御の制御領域を跨ぐように設定するか、どちらかの制御領域内に制限するかを決定して前記異物解除制御を実行することを特徴とする請求項２に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
4. 前記異物解除制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御から前記ロックピン突出制御に切り替えてから所定時間が経過してもＶＣＴ位相が前記中間ロック位相で安定しない場合、又は、前記ロックピン突出制御から前記ロックピンの突出を解除する制御又は前記ＶＣＴ位相制御に切り替えてから所定時間が経過しても前記ロックピンの突出を解除できない場合若しくはＶＣＴ位相が前記目標位相で安定しない場合には、ロックできない異常又はロック解除できない異常が発生していると判断して、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲を、前記ロックモードの制御領域と前記ＶＣＴ位相制御の制御領域を跨ぐように設定して前記異物解除制御を実行することを特徴とする請求項２又は３に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
5. 前記異物解除制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御中にＶＣＴ位相が前記目標位相で安定しなくなった場合には、ＶＣＴ位相制御できない異常と判断して、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲を、前記ＶＣＴ位相制御の制御領域内に設定して前記異物解除制御を実行することを特徴とする請求項２乃至４のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
6. 前記異物解除制御手段は、前記異物解除制御を行う際に、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲の上限値と下限値とそれら以外の制御値を含む少なくとも３つの制御値を所定パターンで切り替えることを特徴とする請求項２乃至５のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
7. 前記異物解除制御手段は、前記異物解除制御開始時の前記油圧制御弁の制御量の初期値を制御モードに応じて変更することを特徴とする請求項２乃至６のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
8. 前記異物解除制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御から前記ロックピン突出制御に切り替えてから所定時間が経過してもＶＣＴ位相が前記中間ロック位相で安定しない場合は、ロックできない異常が発生していると判断して、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲を、前記ＶＣＴ位相制御の制御領域と前記ロックモードの制御領域とを跨ぐように設定すると共に、前記異物解除制御開始時の前記油圧制御弁の制御量の初期値を前記ＶＣＴ位相制御の制御領域の端に設定して前記異物解除制御を実行することを特徴とする請求項２乃至７のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
9. 前記異物解除制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御から前記ロックピン突出制御に切り替えてから所定時間が経過してもＶＣＴ位相が前記中間ロック位相で安定しない場合に、ロックできない異常が発生していると判断して前記異物解除制御を実行している期間に、運転状態がロック要求条件から外れた時点で前記異物解除制御を中止することを特徴とする請求項８に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
10. 前記異物解除制御手段は、前記ロックピン突出制御から前記ロックピンの突出を解除する制御に切り替えてから所定時間が経過しても前記ロックピンの突出を解除できない場合には、ロック解除できない異常が発生していると判断して、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲を、前記ロックモードの制御領域と前記ＶＣＴ位相制御の制御領域を跨ぐように設定すると共に、前記異物解除制御開始時の前記油圧制御弁の制御量の初期値を前記変動範囲の両端以外の制御値に設定して前記異物解除制御を実行することを特徴とする請求項２乃至９のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
11. 前記異物解除制御手段は、前記ロックピン突出制御から前記ロックピンの突出を解除する制御に切り替えてから所定時間が経過しても前記ロックピンの突出を解除できない場合に、異常と判断して前記異物解除制御を実行している期間に、運転状態がロック解除要求条件から外れた時点、又はＶＣＴ位相が前記中間ロック位相から動いた時点で、前記異物解除制御を中止することを特徴とする請求項１０に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
12. 前記異物解除制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御中にＶＣＴ位相が前記目標位相に追従できなくなった場合に、ＶＣＴ位相制御できない異常が発生していると判断して、前記油圧制御弁の制御量の変動範囲を、前記ＶＣＴ位相制御の制御領域内に設定すると共に、前記異物解除制御開始時の前記油圧制御弁の制御量の初期値を前記変動範囲でＶＣＴ位相が前記目標位相に向かって最も速く動く制御値に設定して前記異物解除制御を実行することを特徴とする請求項２乃至１１のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
13. 前記異物解除制御手段は、前記異物解除制御を実行する際に、２つ以上の制御値を周期的に切り替えると共に、運転状態から決まる本来実現したい状態に近付ける方向、又は運転状態を悪化させない方向の制御値の出力時間を、他の制御値の出力時間より長くすることを特徴とする請求項２乃至１２のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
14. 前記ＶＣＴ制御手段は、ロック要求が発生したときにＶＣＴ位相を一旦前記中間ロック位相を所定量だけ通り越した位相まで移動させてから前記中間ロック位相へ向けて戻しながら前記ロックピン突出制御を行って前記ロックピンのロックを試行し（以下これら一連の制御を「ロック試行制御」という）、前記ロックピン突出制御の実行時間が所定時間経過しても、ロック完了状態とならない場合には、ＶＣＴ位相が前記中間ロック位相を通り越す量を調整した上で、再度、前記ロック試行制御をやり直すという処理をロック完了状態となるまで所定回数繰り返し、
    前記異物解除制御手段は、前記ロック試行制御のやり直し回数が前記所定回数に達してもロック完了状態とならない場合に、ロックできない異常と判断して、前記異物解除制御を実行することを特徴とする請求項２乃至１３のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
15. 内燃機関のクランク軸に対するカム軸の回転位相（以下「ＶＣＴ位相」という）を変化させてバルブタイミングを調整する油圧駆動式の可変バルブタイミング装置と、ＶＣＴ位相をその調整可能範囲内に位置する中間ロック位相でロックするロックピンと、前記可変バルブタイミング装置及び前記ロックピンを駆動する油圧を制御する油圧制御弁とを備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置において、
    ＶＣＴ位相を目標位相に制御するＶＣＴ位相制御と前記ロックピンを突出させるロックピン突出制御とを運転状態に応じて切り替えるＶＣＴ制御手段と、
    異常が発生したときに前記油圧制御弁の制御量を所定パターンで変動させる異物解除制御を実行する異物解除制御手段とを備え、
    前記ＶＣＴ制御手段は、ロック要求が発生したときにＶＣＴ位相を一旦前記中間ロック位相を所定量だけ通り越した位相まで移動させてから前記中間ロック位相へ向けて戻しながら前記ロックピン突出制御を行って前記ロックピンのロックを試行し（以下これら一連の制御を「ロック試行制御」という）、前記ロックピン突出制御の実行時間が所定時間経過しても、ロック完了状態とならない場合には、ＶＣＴ位相が前記中間ロック位相を通り越す量を調整した上で、再度、前記ロック試行制御をやり直すという処理をロック完了状態となるまで所定回数繰り返し、
    前記異物解除制御手段は、前記ロック試行制御のやり直し回数が前記所定回数に達してもロック完了状態とならない場合に、ロックできない異常と判断して、前記異物解除制御を実行することを特徴とする内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
16. 前記異物解除制御手段は、前記ロック試行制御のやり直し回数が前記所定回数に達してから前記異物解除制御を所定時間実行した後、再度、前記ロック試行制御を１回以上実行し、それでもなおロック完了状態とならない場合に、故障と判断して、警告手段により故障の警告を行い、
    前記ＶＣＴ制御手段は、前記警告手段による故障の警告が行われた後に、前記ロック要求が発生した場合には、前記ＶＣＴ位相制御によりＶＣＴ位相を前記中間ロック位相、最遅角位相、最進角位相のいずれかに保持するように制御することを特徴とする請求項１５に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
17. ＶＣＴ位相制御の基準となる基準位相を学習する基準位相学習手段を備え、
    前記異物解除制御手段は、前記ロック試行制御のやり直し回数が前記所定回数に達してから前記異物解除制御を所定時間実行した後、前記基準位相学習手段による前記基準位相の学習を再実行し又は前記基準位相の学習値を初期化してから、再度、前記ロックピン突出制御を実行し、それでもなおロック完了状態とならない場合に、故障と判断して、警告手段により故障の警告を行い、
    前記ＶＣＴ制御手段は、前記警告手段による故障の警告が行われた後に、前記ロック要求が発生した場合には、前記ＶＣＴ位相制御によりＶＣＴ位相を前記中間ロック位相、最遅角位相、最進角位相のいずれかに保持するように制御することを特徴とする請求項１５に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
18. 複数の気筒グループを持つ内燃機関の各気筒グループ毎にそれぞれ前記可変バルブタイミング装置が設けられ、
    前記異物解除制御手段は、いずれかの気筒グループで前記故障と判断された場合に、他の気筒グループについても前記故障と判断された気筒グループと同じ制御を行うことを特徴とする請求項１５乃至１７のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
19. 前記ＶＣＴ制御手段は、ロック解除要求が発生したときに、ＶＣＴ位相を進角側又は遅角側に駆動する駆動力が所定値以下となるように前記油圧制御弁の制御量を制限しながら前記ロックピンをロック解除方向である抜き出し方向に駆動するピン抜出制御を所定時間実行した後、前記ＶＣＴ位相制御によりＶＣＴ位相を前記目標位相へ駆動するロック解除制御を実行し、
    前記異物解除制御手段は、前記ピン抜出制御後に前記ＶＣＴ位相制御を所定時間実行してもＶＣＴ位相が前記中間ロック位相から動かないときには、再度、前記ロック解除制御を１回以上実行し、それでもなおＶＣＴ位相が前記中間ロック位相から動かない場合に、ロック解除できない異常と判断して、前記異物解除制御を実行することを特徴とする請求項１５乃至１８のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
20. 内燃機関のクランク軸に対するカム軸の回転位相（以下「ＶＣＴ位相」という）を変化させてバルブタイミングを調整する油圧駆動式の可変バルブタイミング装置と、ＶＣＴ位相をその調整可能範囲内に位置する中間ロック位相でロックするロックピンと、前記可変バルブタイミング装置及び前記ロックピンを駆動する油圧を制御する油圧制御弁を備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置において、
    ＶＣＴ位相を目標位相に制御するＶＣＴ位相制御と前記ロックピンを突出させるロックピン突出制御とを運転状態に応じて切り替えるＶＣＴ制御手段と、
    異常が発生したときに前記油圧制御弁の制御量を所定パターンで変動させる異物解除制御を実行する異物解除制御手段とを備え、
    前記ＶＣＴ制御手段は、ロック解除要求が発生したときに、ＶＣＴ位相を進角側又は遅角側に駆動する駆動力が所定値以下となるように前記油圧制御弁の制御量を制限しながら前記ロックピンをロック解除方向である抜き出し方向に駆動するピン抜出制御を所定時間実行した後、前記ＶＣＴ位相制御によりＶＣＴ位相を前記目標位相へ駆動するロック解除制御を実行し、
    前記異物解除制御手段は、前記ピン抜出制御後に前記ＶＣＴ位相制御を所定時間実行してもＶＣＴ位相が前記中間ロック位相から動かないときには、再度、前記ロック解除制御を１回以上実行し、それでもなおＶＣＴ位相が前記中間ロック位相から動かない場合に、ロック解除できない異常と判断して、前記異物解除制御を実行することを特徴とする内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
21. 前記異物解除制御手段は、前記ロック解除できない異常が発生したときに前記異物解除制御を所定時間実行した後、再度、前記ロック解除制御を１回以上実行し、それでもなおＶＣＴ位相が前記中間ロック位相から動かない場合に、故障と判断して、警告手段により故障の警告を行い、
    前記ＶＣＴ制御手段は、前記警告手段による故障の警告が行われた後は、全運転条件下で前記油圧制御弁の制御量を前記ロックピン突出制御の制御領域内に設定することを特徴とする請求項１９又は２０に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
22. 前記異物解除制御手段は、前記ロック解除できない異常が発生したときに前記異物解除制御を所定時間実行した後、再度、前記ピン抜出制御の制御量及び／又は実行時間を変更して前記ロック解除制御を１回以上実行し、それでもなおＶＣＴ位相が前記中間ロック位相から動かない場合に、故障と判断して、警告手段により故障の警告を行い、
    前記ＶＣＴ制御手段は、前記警告手段による故障の警告が行われた後は、全運転条件下で前記油圧制御弁の制御量を前記ロックピン突出制御の制御領域内に設定することを特徴とする請求項１９又は２０に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
23. 複数の気筒グループを持つ内燃機関の各気筒グループ毎にそれぞれ前記可変バルブタイミング装置が設けられ、
    前記異物解除制御手段は、いずれかの気筒グループで前記故障と判断された場合に、他の気筒グループについても前記故障と判断された気筒グループと同じ制御を行うことを特徴とする請求項１９乃至２２のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
24. 前記油圧制御弁は、ＶＣＴ位相を駆動する油圧を制御する位相制御用の油圧制御弁機能と前記ロックピンを駆動する油圧を制御するロック制御用の油圧制御弁機能とを一体化した油圧制御弁を用い、該油圧制御弁の制御量に応じて、ＶＣＴ位相を遅角方向に駆動する遅角モードの制御領域と、ＶＣＴ位相を一定に保持する保持モードの制御領域と、ＶＣＴ位相を進角方向に駆動する進角モードの制御領域と、前記ロックピンをロック方向である突出方向に付勢するロックモードの制御領域とに区分され、
    前記ＶＣＴ制御手段は、前記ＶＣＴ位相制御を行う際に、前記遅角モード、前記保持モード及び前記進角モードの制御領域を前記ＶＣＴ位相制御の制御領域として使用してＶＣＴ位相を目標位相に制御し、前記ロックピン突出制御を行う際に、前記ロックモードの制御領域を使用して前記ロックピンを突出させることを特徴とする請求項１５乃至２３のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。

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