JP2011031455A - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 発明の目的は、各種食品や医薬品、工業製品の包装用途、高温高湿の環境下に置かれたり長期の安定したガスバリア性、耐久性が求められる太陽電池、電子ペーパー、有機EL素子、半導体素子、等の工業用途に用いることができるガスバリア性積層フィルムを提供することである。
【解決手段】 プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面に無機薄膜層、ガスバリア性樹脂組成物層をこの順に積層してなるガスバリア性積層フィルムであって、該ガスバリア性樹脂組成物層は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体からなるガスバリア性樹脂と無機層状化合物と添加剤とからなるガスバリア性樹脂組成物により形成され、該ガスバリア性樹脂組成物中の無機層状化合物の含有量がガスバリア性樹脂組成物100質量%に対して0.1〜9.0質量%の範囲であることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性を有し、水蒸気や酸素などに対するガスバリア性に優れ、食品、医薬品などの包装フィルムとして好適なガスバリア性積層フィルムに関する。更に詳しくは、レトルト処理によっても良好なガスバリア性、密着性が得られるようなガスバリア性積層フィルムに関する。
従来、ガスバリア性フィルムとしてプラスチックフィルムの表面にアルミニウムなどの金属薄膜、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの無機酸化物の薄膜を積層させたフィルムが知られていた。なかでも、酸化ケイ素や酸化アルミニウム、これらの混合物などの無機酸化物の薄膜を積層させたフィルムは、透明であり内容物の確認が可能であることから食品用途で広く用いられている。(例えば、特許文献1参照)
これらの無機薄膜は薄膜形成の工程でピンホールやクラック等が発生し易く、さらに加工工程において無機薄膜層がひび割れてクラックが発生し、期待通りの十分なガスバリア性は得られていない。特に、レトルト包装用途に用いた場合には、レトルト後のガスバリア性の低下が大きく、また無機薄膜とそれに接する樹脂間の層間接着強度が低下してレトルト中やレトルト後に内容物が漏れ出たりする問題が発生していた。
また、樹脂組成物をコートすることによるガスバリア性フィルムも多く提案されている。特にポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体はそれ自体高い酸素バリア性を持ちガスバリアコート剤として実用化されている。
さらに、ガスバリア性の発現方法として樹脂中に無機層状化合物などの扁平形態の無機物を分散させる方法も知られており、上記ビニルアルコール系樹脂にモンモリロナイトなどの無機層状化合物を配合したバリア層を樹脂フィルムにコートしたガスバリア性フィルムも提案されている。例えば、基材フィルム上にポリビニルアルコール、架橋剤、無機層状化合物で構成されたバリアコート層を設ける例、基材フィルム上にエチレン−ビニルアルコール系共重合体、水溶性ジルコニウム系架橋剤、無機層状化合物からなるバリアコート層を設ける例(例えば、特許文献2、3参照)が挙げられる。これらのガスバリア性フィルムは樹脂を架橋しているため、耐湿性や、ボイル程度の耐水性には耐えられるものの、レトルト用に用いた場合には120−130℃の加圧下で行われるレトルト処理後のガスバリア性、ラミネート強度が十分満足できるものではなかった。
一方、無機薄膜のガスバリア性フィルムの欠点を改善する方法として、無機薄膜の上にガスバリア性層を設けようとする試みがなされている。その例として、無機薄膜上に水溶性高分子と無機層状化合物および金属アルコキシドあるいはその加水分解物をコートしてゾルゲル法により無機薄膜上に無機層状化合物を含有する無機と水溶性高分子の複合体を形成させる方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この方法はレトルト後も優れた特性を示すが、ゾルゲル法故にコート液の安定性が低く、コートの開始と終了時(すなわち工業的に流通するロールフィルムとした場合のロール外周部分と内周部分)で特性が異なる、フィルム巾方向の乾燥・熱処理の僅かな違いにより特性が異なる、製造時の環境により品質の違いが大きい、といった問題を抱えていた。さらには、ゾルゲルコートが柔軟性に乏しいため、フィルムに折り曲げや衝撃が加わった際にピンホールが発生しやすく、ガスバリア性が低下する場合があるといった問題も指摘されている。
このような背景のもと、無機薄膜層上にゾルゲル反応などを伴わないコート法、すなわち、樹脂を主体としコート時には架橋反応を伴う程度のコート法による改良が望まれていた。このような方法のガスバリア性フィルムとしては、無機薄膜上に特定の粒径およびアスペクト比の無機層状化合物を含有する樹脂層をコートしたガスバリア性フィルム(例えば、特許文献5)、無機薄膜上にシランカップリング剤を含むバリア性樹脂をコートしたガスバリア性フィルム(例えば、特許文献6)が開示されている。
しかし、これらの方法であっても、ボイルや高湿下での特性の改良は認められるものの、レトルト後のガスバリア性、ラミネート強度が十分満足できかつ安定した品質のガスバリア性フィルムは得られていないのが現状であった。
特許2929609号公報 特開2005−349769号公報 特開2008−297527号公報 特開2000−43182号公報 特許3681426号公報 特許3441594号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、各種食品や医薬品、工業製品の包装用途、高温高湿の環境下に置かれたり長期の安定したガスバリア性、耐久性が求められる太陽電池、電子ペーパー、有機EL素子、半導体素子、等の工業用途に用いることができる、優れたガスバリア性、層間密着性を有するガスバリア性積層フィルムを提供するものであり、特に、レトルト処理後であってもガスバリア性の低下が少なく層間剥離の起こらないレトルト耐性に優れたガスバリア性積層フィルムを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面に無機薄膜層、ガスバリア性樹脂組成物層を積層してなるガスバリア性積層フィルムであって、該ガスバリア性樹脂組成物層は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体からなるガスバリア性樹脂と無機層状化合物と添加剤とからなるガスバリア性樹脂組成物により形成され、該ガスバリア性樹脂組成物中の無機層状化合物の含有量が、ガスバリア性樹脂組成物100質量%に対して0.1〜9.0質量%の範囲であって、かつ、該ガスバリア性樹脂組成物中に、添加剤としてカップリング剤あるいは架橋剤の少なくとも1種を含有していることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
この場合において、前記無機層状化合物が、スメクタイト粘土鉱物であることが好適である。
また、この場合において、前記添加剤が有機官能基を少なくとも1種類以上含むシランカップリング剤を少なくとも1種以上含むことが好適である。
さらにまた、この場合において、前記添加剤が水素結合性基用架橋剤を少なくとも1種類以上含むことが好適である。
さらにまた、この場合において、前記カップリング剤、架橋剤の添加量が、1〜20質量%であることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記無機薄膜層が少なくとも酸化ケイ素、酸化アルムニウムを含む多元系無機酸化物を少なくとも1種類以上含有することが好適である。
さらにまた、この場合において、前記無機蒸着層と前記ガスバリア性樹脂組成物層間にアンカーコート層を積層してなることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記アンカーコート層がウレタン系、ポリエステル系などの接着剤に、有機官能基を少なくとも1種類以上含むシランカップリング剤、乃至は硬化剤を少なくとも1種類以上含有している組成物からなることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記アンカーコート層に添加されるカップリング剤の添加量が、0.1〜10質量%であることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
本発明により、酸素、水蒸気などに対する高いガスバリア性を持ちながら層間接着力が高くラミネート強度に優れたガスバリア性積層フィルムが得られる。特に、レトルト処理を行ってもバリア性、層間接着力の低下が少なく、各種用途に適した実用性の高いガスバリア性積層フィルムを得ることができる。また、生産安定性に優れ、均質の特性が得られやすいガスバリア性積層フィルムとなる。
以下、本発明を詳述する。
1.ガスバリア性樹脂組成物層
本発明のガスバリア性複合フィルムを構成するガスバリア層を設けるために使用するガスバリア性樹脂組成物層について説明する。本発明のガスバリア性樹脂組成物層は、ガスバリア性樹脂としてエチレンービニルアルコール系共重合体(EVOH)からなるガスバリア性樹脂と無機層状化合物と添加剤とからなるガスバリア性樹脂組成物により形成されていることを特徴とする。そして無機層状化合物の含有量は、ガスバリア性樹脂組成物100質量%に対して0.1〜9.0質量%の範囲が好ましい。より好ましくは0.5〜7.0質量%の範囲である。さらに好ましくは1.0〜6.0質量%の範囲で、特に好ましくは1.2〜5.0質量%の範囲である。無機層状化合物が0.1質量%未満になると、ガスバリア性が低下する場合があったり、レトルト処理後のラミネート強度が低下する場合がある。無機層状化合物が9.0質量%を超えると、レトルト処理後のラミネート強度が低下するだけでなく、レトルト処理後のガスバリア性が低下する場合がある。これは、レトルト処理により層間剥離強度が低下するために無機薄膜層とガスバリア性樹脂層間で剥離が生じる、ガスバリア性樹脂層の柔軟性が低下するためにレトルト処理時のシャワー水の応力によりガスバリア性樹脂層に亀裂が入る等の理由によりガスバリア性が低下していると推定している。
従来、無機層状化合物の量が少ないとガスバリア性は低く、多くなるとガスバリア性は高くなるとされていたが、無機薄膜との積層においては、ガスバリア性樹脂組成物層中の無機層状化合物含有量が比較的少ない場合であっても無機薄膜との相乗効果により高いガスバリア性を示す。これは、無機薄膜層上のガスバリア性樹脂組成物層は無機薄膜のピンホールや割れによって生じた欠点を埋めるだけでなく、無機薄膜の割れなどの破損を防ぐ機能を持つが、無機層状化合物含有量が少ない量であっても欠点を埋める機能は十分に果たしていることによると考えられる。逆に無機層状化合物含有量が多くなるとレトルト処理時の層間接着力の低下、膜の柔軟性の低下といった現象が現れ、無機薄膜の破損を防ぐ機能が低下して、全体としてはそれ以上のガスバリア性の向上効果が得られないだけでなく、逆にガスバリア性の低下につながっていると考えられる。
次に、ガスバリア性樹脂組成物層の個々の構成に関して説明する。
(1)ガスバリア性樹脂
本発明において用いることができるエチレン−ビニルアルコール系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られるものが使用できる。上記エチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られるものの具体例としては、エチレン及び酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られるもの、並びに、エチレン及び酢酸ビニルとともに、その他の単量体を共重合して得られるエチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られるものが挙げられる。エチレン−酢酸ビニル系共重合体の共重合前の単量体におけるエチレン比率が20〜60モル%であることが好ましい。エチレン比率が20モル%未満であると、高湿度下におけるガスバリア性が低下し、また、レトルト後のラミネート強度が低下することがある。一方、エチレン比率が60モル%を超えると、全般に渡ってのガスバリア性が低下する傾向がある。上記エチレン−酢酸ビニル系共重合体は、酢酸ビニル成分のケン化度が95モル%以上のものが好ましく、95モル%未満ではガスバリア性や耐油性が不充分になる傾向がある。
また、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、溶剤中での溶解安定性を向上させるために、過酸化物等により処理して分子鎖切断して低分子量化したものであっても良い。
上記過酸化物としては、以下の(1)〜(7)が挙げられる。
(1)H
(2)M型(M:Na、K、NH、Rb、Cs、Ag、Li等)
(3)M’O型(M’:Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cs、Hg等)
(4)R−O−O−R型(Rはアルキル基を表す。以下同様):過酸化ジエチル等の過酸化ジアルキル類
(5)R−CO−O−O−CO−R型:過酸化ジアセチル、過酸化ジアミル、過酸化ジベンゾイル等の過酸化アシル等
(6)過酸化酸型
a)−O−O−結合を持つ酸:過硫酸(HSO)、過リン酸(HPO)等
b)R−CO−O−OH:過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸等
(7)過酸化水素包含物:(NaOOH)/H、(KOOH)/3H
このなかでも特に過酸化水素は、後から還元剤、還元性酵素や触媒を用いて、容易に分解処理することが可能であるために好適である。
エチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られた重合体を過酸化物で処理する方法としては特に限定されず、公知の処理方法を用いることができ、具体的には以下の方法を挙げることができる。例えば、(1)ケン化して得られた重合体を溶解した溶液に、過酸化物、分子鎖切断を行うための触媒、例えば硫酸鉄などを添加し、攪拌下で40〜90℃で加熱する方法が挙げられる。
より詳しくは、過酸化物として過酸化水素を使用する方法を例にとると、該EVOH溶液を後記する溶剤中に溶解した溶液に過酸化水素(通常は35質量%水溶液)を添加し、攪拌下で、温度40〜90℃、時間1〜50時間の条件で処理する。過酸化水素(35質量%水溶液)の添加量は、溶液中のEVOH100質量部に対して3〜300質量部程度である。また、分子鎖切断を行うための触媒として、酸化分解の反応速度を調整するため、金属触媒(CuCl2、CuSO4、MoO3、FeSO4、TiCl4、SeO2等)をEVOH溶液当たり1〜5000ppm程度添加してもよい。かかる処理の終了時点は、溶液の粘度が初期の1割程度以下となった点を一つの目安とすることができる。該溶液より公知の方法にて溶媒を除去することにより、分子末端に0.03〜0.2meq/g程度のカルボキシル基を含有した、末端カルボン酸変性EVOHを得ることができる。
(2)無機層状化合物
本発明で用いる無機層状化合物は、スメクタイト、カオリン、雲母、ハイドロタルサイト、クロライト等の粘土鉱物を挙げることができる。具体的には、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト、加水ハロイサイト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、金雲母、タルク、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、バーミキュライト、ザンソフィライト、緑泥石等を挙げることができる。また鱗片状シリカ等も使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうちでも、特にスメクタイト(その合成品も含む)が望ましい。また、無機層状化合物中に酸化還元性を有する金属イオン、特に鉄イオンが存在するものが有効である。更に、これらの中でも、塗工適性、ガスバリア性からモンモリロナイトの使用が好ましい。モンモリロナイトとしては、従来からガスバリア剤に使用されている公知のものが使用できる。例えば、一般式:(X,Y)2〜310(OH)・mHO・(Wω)(式中、Xは、Al、FeIII、CrIIIを表す。Yは、Mg、FeII、MnII、Ni、Zn、Liを表す。Zは、Si、Alを表す。Wは、K、Na、Caを表す。HOは、層間水を表す。)で示されるモンモリロン石群鉱物を使用することができる。これらの中でも、WはNaであるものが水性媒体中でへき開する点から好ましい。さらに、無機層状化合物の粒径としては、5μm以下、アスペクト比としては50〜5000、とりわけ200〜3000の範囲がより好ましい。
(3)添加剤
本発明では、ガスバリア性樹脂組成物層に添加剤としてカップリング剤あるいは架橋剤の少なくとも一種を含有している。ガスバリア性樹脂組成物100質量%に対して、カップリング剤および架橋剤の合計量で0.3〜20質量%添加されていることが好ましい。より好ましくは0.5〜18質量%であり、さらに好ましくは1〜15質量%である。上記未満であるとレトルト処理後のラミネート強度低下となることがある。
架橋剤としては水素結合性用架橋剤が好ましく、カップリング剤としては有機官能基を少なくとも1種類以上含むシランカップリング剤が好ましく、これらを単独、併用で用いても良く少なくとも1種類以上含んでいる。
(水素結合用架橋剤)
水素結合性基用架橋剤としては、水溶性ジルコニウム化合物、水溶性チタン化合物などが挙げられる。水溶性ジルコニウム化合物は、具体的に塩酸化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、塩基性硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムナトリウム、乳酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、等が例示でき、塗布凝集力の向上による熱水処理後の熱水処理適性及びラミネート用ガスバリア性コーティング組成物の安定性の点から、塩酸化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウムが好ましく、特に塩酸化ジルコニウムが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水溶性チタン化合物は、チタン化合物の一例はチタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、ジイソプロポキシチタン(トリエタノールアミネート)、ジ−n−ブトキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)等であり、ジルコニウム化合物の一例はモノヒドロキシトリス(ラクテート)ジルコニウムアンモニウム、テトラキス(ラクテート)ジルコニウムアンモニウム、モニヒドロキシトリス(スレート)ジルコニウムアンモニウム等であるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(シランカップリング剤)
有機官能基含有シランカップリング剤は、有機官能基を少なくとも1種類以上含む。有機官能基としては、エポキシ基、アミノ基、アルコキシ基、イソシアネート基などが挙げられる。
具体的には、エポキシ基含有シランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
アミノ基含有シランカップリング剤としては2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
アルコキシ基含有シランカップリング剤としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
イソシアネート基含有シランカップリング剤としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(4)積層方法
ガスバリア性樹脂組成物層を無機薄膜層上に積層させる方法としては、ガスバリア性樹脂組成物の各材料を溶媒に溶解・分散させた塗工液を無機薄膜層を有するフィルムの無機薄膜層上に塗工する方法、ガスバリア性樹脂組成物を溶融して無機薄膜層を有するフィルムの無機薄膜層上に押し出してラミネートする方法、ガスバリア性樹脂組成物のフィルムを別途作成してこれを無機薄膜層を有するフィルムの無機薄膜層上に接着剤等で貼り合わせる方法が挙げられる。中でも、塗工による方法が簡便性、生産性等の面から好ましい。なお、この際に無機薄膜層上にアンカーコート層を設け、アンカーコート層上にガスバリア性樹脂組成物層を設けても良い。
以下、好ましい積層方法として、ガスバリア性樹脂組成物の各材料を溶媒に溶解・分散させた塗工液を無機薄膜層を有するフィルムの無機薄膜層上に塗工する方法について記載する。
ガスバリア性樹脂組成物の溶媒(溶剤)としては、エチレンービニルアルコール系共重合体を溶解し得る水性及び非水性のどちらの溶剤でも使用できるが、水と低級アルコールとの混合溶剤用いることが好ましい。具体的には、水と、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数2〜4の低級アルコールの少なくとも1種を15〜70質量%含む混合溶剤を使用すると、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の溶解性が良好となり、適度な固形分を維持するためにも好適である。混合溶剤中の低級アルコールの含有量が70質量%を超えると、後述する無機層状化合物を分散した場合、へき開が不充分になることがある。一方、混合溶剤中の低級アルコールが15質量%未満であると、ガスバリア性樹脂組成物を溶解・分散させた塗工液の塗工適性が低下する傾向がある。
そして、ガスバリア性樹脂組成物を溶剤に溶解、分散させる方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−ビニルアルコール系共重合体溶液に、無機層状化合物(必要により予め水等の分散媒体中に膨潤・へき開させておいてもよい)を添加混合し、無機層状化合物を分散させる方法;水等の分散媒体中に無機層状化合物を膨潤・へき開させた分散液に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(必要により予め溶剤に溶解させておいてもよい)を添加(溶解)する方法等が挙げられる。このとき、エチレン−ビニルアルコール系共重合体からなるガスバリア性樹脂と無機層状化合物との質量比率が、無機層状化合物の含有量が、ガスバリア性樹脂組成物100質量%に対して0.1〜9.0質量%の範囲となる量で混合する。
これらの混合に際しては通常の攪拌装置や分散装置を利用して、無機層状化合物を均一に分散することができるが、特に透明で安定な無機層状化合物分散液を得るために、高圧分散機を使用することができる。そして、そのために利用する高圧分散機としては、例えば、ゴーリン(APVゴーリン社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、マイクロフルイタイザー(マイクロフライデックス社製)、アルチマイザー(スギノマシン社製)、DeBee(Bee社製)等が挙げられ、これら高圧分散機の圧力条件として100MPa以下で分散処理を行うことが好ましい。圧力条件が100MPaを超えると、無機層状化合物の粉砕が起こり易くなり、目的であるガスバリア性が低下する場合もある。
なお、添加剤の添加は攪拌だけで行えるため、どの時期で添加してもよいが、できるだけ添加剤の影響を抑えるという観点から、最終段階で添加することが好ましい。
塗工の方式は、グラビアコート、バーコート、ダイコート、スプレーコートなど従来の物が塗液の特性に合わせて採用することができる。
(5)ガスバリア性樹脂組成物層厚み
ガスバリア性樹脂組成物層の厚み(μm)は好ましくは0.01〜0.70μmであり、より好ましくは0.05〜0.50μmであり、特に好ましくは0.08〜0.30μmである。0.01μm未満であるとレトルト処理後のガスバリア性が低下し、0.70μmを超えるとコート時に乾燥不足が生じて膜が脆くなりレトルト処理後のラミネート強度測定時に凝集破壊が発生しラミネート強度の低下が生じる。
(6)ガスバリア性樹脂組成物層乾燥条件
ガスバリア性樹脂組成物層のコート後の乾燥温度は好ましくは100〜200℃であり、より好ましくは130〜200℃であり、さらに好ましくは150〜200℃である。別処理工程での追加の熱処理(150〜200℃)も効果的である。100℃未満であるとコート層の乾燥不足が生じて、コート層の結晶性、架橋が進行せずレトルト処理後のガスバリア性、ラミネート強度が低下する。一方、200℃を超えるとフィルムに熱がかかりすぎてしまいフィルムが脆くなったり、収縮してしまい加工性が悪くなってしまう。
2.基材フィルム
本発明で用いる基材フィルムは、有機高分子樹脂からなり、溶融押出し後、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ナイロン4・6、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12などで代表されるポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどで代表されるポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどで代表されるポリオレフィンの他、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸などを挙げることができる。
また本発明における基材層は、積層型フィルムであってもよい。積層型フィルムとする場合の積層体の種類、積層数、積層方法等は特に限定されず、目的に応じて公知の方法から任意に選択することができる。
また基材フィルムにはシリカなどの他の有機重合体を少量共重合したり、ブレンドしたりしてもよい。基材層の製造方法については、共押出し法、キャスト法など、既存の方法を使用することができる。
これらの中でも、好ましいポリアミドの具体例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ‐ε‐アミノへプタン酸(ナイロン7)、ポリ‐ε‐アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2・6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4・6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6・6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6・10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6・12)、ポリオクタメチレンドデカミド(ナイロン6・12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8・6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10・6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10・10)、ポリドデカメチレンドデカミド(ナイロン12・12)、メタキシレンジアミン‐6ナイロン(MXD6)などを挙げることができ、これらを主成分とする共重合体であってもよく、その例としては、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体、エチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体などを挙げることができる。これらのポリアミドには、フィルムの柔軟性改質成分として、芳香族スルホンアミド類、p‐ヒドロキシ安息香酸、エステル類などの可塑剤や低弾性率のエラストマー成分やラクタム類を配合することも有効である。
また、好ましいポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン‐2,6‐ナフタレートなどが用いられるが、これらを主成分とする共重合体であっても良く、ポリエステル共重合体を用いる場合、そのジカルボン酸成分の主成分がテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸又は2,6‐ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、トリメリロット酸及びピロメリロット酸などの多官能カルボン酸の他にアジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などが用いられる。また、グリコール成分の主成分がエチレングリコール又は1,4‐ブタンジオールである他ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール、p‐キシリレングリコールなどの芳香族グリコール、1,4‐シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、平均分子量が150〜20000のポリエチレングリコールなどが用いられる。ポリエステル中の好ましい共重合成分の比率は2%以下である。共重合成分が20%を超えるときはフィルム強度、透明性、耐熱性などが劣る場合がある。これらの有機高分子は、さらに他の有機高分子を少量共重合したり、ブレンドしても良い。
さらに上記の有機高分子には、公知の添加物,例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、などを添加されてもよく、フィルムとしての透明度は特に限定するものではないが、透明性を有する包装材料積層体として使用する場合には、50%以上の透過率をもつものが望ましい。本発明におけるプラスチックフィルムは、本発明の目的を損なわないかぎりにおいて、薄膜層を積層するに先行して、前記プラスチックフィルムをコロナ放電処理、グロー放電、火炎処理、表面粗面化処理等の表面処理を施しても良く、また、公知のアンカーコート処理、印刷、装飾が施されても良い。本発明におけるプラスチックフィルムは、その厚さとして1〜500μmの範囲が望ましく、さらに好ましくは2〜300μmの範囲で、最も好ましくは3〜100μmである。
3.無機薄膜層
本発明における無機薄膜層を形成する材料としては金属薄膜の場合はマグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、インジウムなど薄膜にできるものなら特に制限はないが、コスト等の点で、より好ましくはアルミニウムである。
本発明における無機薄膜層は上記金属薄膜に加え、無機酸化物薄膜が挙げられる。例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなど薄膜にできるものなら特に制限はないが、好ましくは酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムであり、さらに好ましくは、酸化ケイ素、酸化アルミニウムを含む多元系無機酸化物薄膜の方がガスバリア性に優れる。その理由としては、多元系無機酸化物薄膜は薄膜中の無機物の比率により膜のフレキシブル性・バリア性を変化させることが可能であり、性能バランスの取れた、良好な薄膜を得ることができるためである。また酸化ケイ素、酸化アルミニウムを含む多元系無機酸化物薄膜と接着剤層との間において高い密着力が得られやすく、ヒートシール性樹脂層が剥離しにくいからである。ここでいう、酸化ケイ素、酸化アルミニウムを含む多元系無機酸化物薄膜とは、無機酸化物からそれ自体公知の方法で形成された薄膜であって、無機酸化物とは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなど薄膜化できる無機酸化物であれば特に制限はないが、好ましい無機酸化物は酸化アルミニウム、酸化ケイ素を含む多元系無機酸化物薄膜、より好ましくは酸化ケイ素・酸化アルミニウム二元系無機酸化物薄膜である。ここでいう酸化ケイ素とはSi、SiOやSiOなどの各種珪素酸化物の混合物からなり、酸化アルミニウムとは、AlOやAlなどの各種アルミニウム酸化物の混合物からなり、各酸化物内における酸素の結合量はそれぞれの製造条件によって異なってくるが、酸化ケイと酸化アルミニウムとを併用する場合は無機酸化物薄膜中に占める酸化アルミニウムの含有量が、20〜99質量%であるのが好ましく、20〜75質量%であるのがより好ましい。
また、無機酸化物薄膜の比重の値が、無機酸化物薄膜中の酸化アルミニウムの含有量(質量%)との関係を、D=0.01A+b(D:薄膜の比重、A:薄膜中の酸化アルミニウムの質量%)で示すとき、b値が1.6よりも小さい領域のときには、酸化ケイ素・酸化アルミニウム系薄膜の構造が粗となり、また、b値が2.2よりも大きい領域の場合、酸化ケイ素・酸化アルミニウム系薄膜が硬くなる傾向にある。
このため、無機酸化物薄膜としての酸化ケイ素・酸化アルミニウム系薄膜の比重は、前記薄膜の比重と薄膜中の酸化アルミニウムの含有量(質量%)D=0.01A+b(D:薄膜の比重、A:薄膜中の酸化アルミニウムの含有量)という関係式であらわすとき、b値が1.6〜2.2であるのが好ましく、さらに好ましくは1.7〜2.1であるが、もちろんこの範囲に限定されるものではない。酸化ケイ素・酸化アルミニウムを含み、さらに他の無機酸化物を含む多元系無機酸化物薄膜もガスバリア性積層体としての効果は大きい。
前記の場合において、酸化ケイ素・酸化アルミニウム系二元系無機酸化物薄膜中の酸化アルミニウムの含有量が20質量%未満になると、ガスバリア性が必ずしも十分ではなくなり、また、酸化ケイ素・酸化アルミニウム系二元系無機酸化物薄膜中の酸化アルミニウム量が99質量%を超えると、蒸着膜の柔軟性が低下し、ガスバリア性積層体の曲げや寸法変化に比較的弱く、二者併用の効果が低下するといった問題が生じることがある。
本発明において、無機薄膜層の膜厚は、通常1〜800nm、好ましくは5〜500nmである。膜厚が1nm未満では満足のいくガスバリア性が得られ難く、また、800nmを超えて過度に厚くしても、それに相当するガスバリア性の向上の効果は得られず、耐屈曲性や製造コストの点でかえって不利となる。
無機薄膜層を形成する典型的な製法を酸化ケイ素・酸化アルミニウム系薄膜の形成により説明すると、蒸着法による薄膜形成法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理蒸着法、あるいはCVD法(化学蒸着法)などが適宜用いられる。例えば真空蒸着法を採用する場合は、蒸着原料としてSiOとAlの混合物、あるいはSiOとAlの混合物などが用いられる。加熱には、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱などを採用することができ、また、反応ガスとして酸素、窒素、水素、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気などを導入したり、オゾン添加、イオンアシストなどの手段を用いた反応性蒸着を採用することも可能である。さらに、プラスチックフィルムにバイアスを印加したり、プラスチックフィルムを加熱したり冷却するなど、成膜条件も任意に変更することができる。上記蒸着材料、反応ガス、基板バイアス、加熱・冷却などは、スパッタリング法やCVD法を採用する場合にも同様に変更可能である。
このような方法により透明で、ガスバリア性に優れ各種処理、例えば、煮沸処理やレトルト処理、さらにはゲルボ試験(耐屈曲性試験)にも耐えることができる優れた性能のガスバリア性積層フィルムを得ることが可能となる。
4.アンカーコート層
アンカーコート層に用いる組成物としては、樹脂組成物にウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、チタン系、イソシアネート系、イミン系、ポリブタジエン系などの樹脂を使用することができ、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系など、少なくとも1種類以上の硬化剤を添加して使用することができる。
上記樹脂組成物、硬化剤を溶解又は分散させる溶媒(溶剤)としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤;メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール誘導体等が挙げられる。
また、少なくとも1種類以上含むシランカップリング剤も添加して使用することができ、シランカップリング剤としては、有機官能基含有シランカップリング剤は、有機官能基を少なくとも1種類以上含む。有機官能基としては、アルコキシ基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基などが挙げられ、少なくとも1種類以上のシランカップリング剤を添加して使用することができる。添加量としては、アンカーコート剤樹脂組成物100質量%に対して、カップリング剤の合計量で0.10〜10質量%の添加が好ましく、さらに好ましくは3〜7質量%である。添加量が0.10質量%未満であるとレトルト処理後のラミネート強度が低下する。
アンカーコート層の厚み(μm)は好ましくは0.01〜0.70μmであり、より好ましくは0.05〜0.50μmであり、特に好ましくは0.10〜0.30μmである。0.01μm未満であるとレトルト処理後のラミネート強度が低下し、0.70μmを超えるとコート斑が発生しバリア性の低下や、ブロッキングが発生してしまう。
本発明のバリア性積層フィルムは食品包装用途を初め、様々な用途に用いることができ、それに合わせてさらに、ヒートシール層、印刷層、他の樹脂フィルム、これらの層を接着するための接着剤層等、他の素材と積層することが出来る。積層の際には、本発明のバリア性積層フィルムの上に直接溶融押し出しラミネートする方法、コーティングによる方法、フィルム同士を直接または接着剤を介してラミネートする方法など、公知の手段を採用することが出来る。
また、高いバリア性が求められる場合には、本発明のバリア性積層フィルムを2枚以上積層することもできる。また、ガスバリア性樹脂組成物層の上にさらに無機蒸着層を設けたり、さらにその上にガスバリア性樹脂組成物層を設けるなど、交互に積層しても良い。さらには、基材フィルムの両面に無機蒸着層とガスバリア性樹脂組成物層および必要に応じてアンカー層等を設けても良い。
例えば、レトルトパウチ等やレトルト食品の蓋材として用いる場合には、ガスバリア性樹脂組成物層の上にポリエチレンやポリプロピレンなどのヒートシール層を設けることが好ましい。また、ガスバリア性樹脂層とヒートシール層の間に他の樹脂フィルムを積層しても良い。他の樹脂フィルムとしては基材フィルムとして挙げたような樹脂フィルムを用いることができる。これらの積層の際には接着剤を介して積層することができる。
以下に実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。なお、以下の実施例、比較例における物性の評価方法は以下の通りである。
(1)ラミネートガスバリア性積層フィルムの作成
実施例、比較例で得られたガスバリア性積層フィルムのガスバリア性樹脂層の上に、ウレタン系2液硬化型接着剤を用いてドライラミネート法により熱接着性樹脂として厚み70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製、P1147)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングして実施例1〜11、比較例1〜6のラミネートガスバリア性積層フィルムを得た。なお、アンカーコート層の厚みは乾燥後0.30μm、ガスバリア性樹脂層の厚みは乾燥後0.25μm、接着層の厚みは乾燥後3μmであった。
(2)水蒸気透過度
上記(1)で作成したラミネートガスバリア性積層フィルムを121℃、30分の熱水処理後、40℃にて1日間乾燥後、JIS K7129 B法に準じて、水蒸気透過度測定装置(PERMATRAN−W3/33MG MOCOM社製)を用い、温度40℃、湿度100%RHの雰囲気下で水蒸気透過度を測定した。なお、ガスバリア性フィルムへの調湿は、基材層側からガスバリア層側に水蒸気が透過する方向とした。
(3)酸素透過度
上記(1)で作成したラミネートガスバリア性積層フィルムを121℃、30分の熱水処理後、40℃にて1日間乾燥後、JIS K7126 B法に準じて、酸素透過度測定装置(OX−TRAN 2/20 MOCOM社製)を用い、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で酸素透過度を測定した。
(4)ラミネート強度の測定方法
上記(1)で作成したラミネートガスバリア性積層フィルムを121℃、30分の熱水処理後、ラミネートフィルムを幅15mm、長さ200mmに切り出して試験片とし、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、東洋ボールドウイン社製の「テンシロンUMT−II−500型」を用いてラミネート強度測定した。なお、引張速度は200mm/分、ガスバリア性積層フィルム層と無延伸ポリオレフィンフィルム層との層間に水を付けて剥離角度90度で剥離したときの強度を測定した。
(ガスバリア性樹脂組成物層を形成するための塗工液の調製)
以下に実施例、比較例で使用するガスバリア性樹脂組成物層を形成するための塗工液の調製について説明する。
<エチレン−ビニルアルコール系共重合体溶液の調製>
精製水20.996質量部とn−プロピルアルコール(NPA)51質量部の混合溶媒に、エチレン−ビニルアルコール共重合体(商品名:ソアノール V2603、日本合成化学社製、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られた重合体、エチレン比率26モル%、酢酸ビニル成分のケン化度約100%、以下、EVOHと略記)15質量部を加え、更に濃度が30%の過酸化水素水13質量部とFeSOの0.004質量部を添加して攪拌下で80℃に加温し、約2時間反応させた。その後冷却してカタラーゼを3000ppmになるように添加し、残存過酸化水素を除去し、これにより固形分15%のほぼ透明なエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液(EVOH溶液)を得た。
<ポリビニルアルコール樹脂溶液の調製>
精製水40質量%、n−プロピルアルコール(NPA)60質量%からなる混合溶剤(以後、混合溶剤Aと記載)70質量部に、完全けん化ポリビニルアルコール樹脂(商品名:ゴーセノールNL−05、日本合成化学社製、けん化度99.5%以上)30質量部を加え、溶解させ、これにより固形分30%の透明なポリビニルアルコール溶液を得た。
<無機層状化合物分散液の調製>
無機層状化合物であるモンモリロナイト(商品名:クニピアF、クニミネ工業社製)4質量部を精製水96質量部中に攪拌しながら添加し、高圧分散装置にて圧力50MPaの設定にて充分に分散した。その後、40℃にて1日間保温し固形分4%の無機層状化合物分散液を得た。
<添加剤>
塩酸化ジルコニウム(第一稀元素化学社製、商品名 Zc−20、固形分20%)
チタンラクテート(松本製薬工業社製、商品名 オルガチックス TC−310、固形分約45%)
シランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、商品名:KBE−403、固形分100%)
<実施例1のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A62.30質量部に、EVOH溶液を31.75質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液5.95質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対して塩酸化ジルコニウムの0.75質量部と、混合溶剤A2.25質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の実施例1のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
<実施例2のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A65.76質量部に、EVOH溶液を33.00質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液1.24質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97.00質量部に対して塩酸化ジルコニウムの0.75質量部と、混合溶剤A2.25質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の実施例2のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
<実施例3のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A64.00質量部に、EVOH溶液を32.36質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液3.64質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対して塩酸化ジルコニウムの0.75質量部と、混合溶剤A2.25質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の実施例3のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
<実施例4のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A66.21質量部に、EVOH溶液を33.17質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液0.62質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対して塩酸化ジルコニウムの0.75質量部と、混合溶剤A2.25質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の実施例4のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
<実施例5のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A60.67質量部に、EVOH溶液を31.15質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液8.18質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対して塩酸化ジルコニウムの0.75質量部と、混合溶剤A2.25質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の実施例5のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
<実施例6のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A62.30質量部に、EVOH溶液を31.75質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液5.95質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対して3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(商品名:)の0.15質量部と、混合溶剤A2.85質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の実施例6のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
<実施例7のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A62.30質量部に、EVOH溶液を31.75質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液5.95質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対してチタンラクテートの0.33質量部と、混合溶剤A2.67質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の実施例7のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
<実施例8のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A59.10質量部に、EVOH溶液を30.58質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液10.32質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対して塩酸化ジルコニウムの0.75質量部と、混合溶剤A2.25質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の実施例8のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
<実施例9のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A61.52質量部に、EVOH溶液を32.40質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液6.08質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対して塩酸化ジルコニウムの0.25質量部と、混合溶剤A2.75質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の実施例9のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
<実施例10のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A65.02質量部に、EVOH溶液を29.46質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液5.52質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対して塩酸化ジルコニウムの2.50質量部と、混合溶剤A0.50質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の実施例10のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
<実施例11のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
実施例1で得たものを使用した。
<比較例3のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A66.67質量部に、EVOH溶液を33.33質量部添加し、充分に攪拌混合した。更に、この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
この様にして得られた混合液97質量部に対して、塩酸化ジルコニウムの0.75質量部と、混合溶剤A2.25質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の比較例3のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
<比較例4のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A78.17質量部に、ポリビニルアルコール樹脂溶液を15.87質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液5.95質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対して塩酸化ジルコニウムの0.75質量部と、混合溶剤A2.25質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の比較例4のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
<比較例5のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A62.30質量部に、EVOH溶液を31.75質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液5.95質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の比較例5のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
<比較例6のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液の調製>
混合溶剤A56.85質量部に、EVOH溶液を29.76質量部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液に、高速攪拌を行いながら無機層状化合物分散液13.39質量部を添加した。この混合溶液100質量部に対して、3質量部の陽イオン交換樹脂を添加しイオン交換樹脂の破砕が起きない程度の攪拌速度で1時間攪拌して、陽イオンの除去を行った後、陽イオン交換樹脂のみをストレーナで濾別した。
以上の操作から得られた混合溶液を、更に高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理した後、分散処理した混合液97質量部に対して塩酸化ジルコニウムの0.75質量部と、混合溶剤A2.25質量部とを添加し混合攪拌を行い、それを255メッシュのフィルターにて濾過し固形分5%の比較例6のガスバリア性樹脂組成物層形成用塗工液を得た。
(実施例1〜10、比較例3〜6のガスバリア性積層フィルム)
酸化ケイ素と酸化アルミニウムの2元系酸化物無機薄膜層(酸化ケイ素/酸化アルミナの比率=60/40)を形成した厚み12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムの無機薄膜層上に、ウレタン系の樹脂(三井化学ポリウレタン株式会社製 タケラック A525−S)にイソシアネート系の硬化剤(三井化学ポリウレタン株式会社製 タケラック A−50)を添加し、溶媒に酢酸エチルを用いて、固形分濃度が6.5%になるよう調製し、アンカーコート剤樹脂組成物100質量%に対して、エポキシ系カップリング剤(信越化学工業株式会社製 KBM403)を5質量%添加して得たアンカーコート剤をグラビアロールコート法によって塗布し乾燥させアンカーコート層を形成した。アンカーコート層上に実施例1〜10のガスバリア性樹脂組成物をグラビアロールコート法によって塗布し、160℃で乾燥させガスバリア性樹脂層を形成し、ガスバリア性積層フィルムを作製した。
なお、アンカーコート層の厚みは乾燥後0.30μm、ガスバリア性樹脂層の厚みは乾燥後0.25μmであった。
(実施例11のガスバリア性樹脂フィルム)
2元系酸化物無機薄膜層の酸化ケイ素と酸化アルミニウムの比率を50/50に変更したこと以外は、実施例1と同様にガスバリア性積層フィルムを得た。
(実施例12のガスバリア性樹脂フィルム)
アンカーコート剤で用いるカップリング剤をイソシアネート系(信越化学工業株式会社製 KBE9007に代えた以外は実施例11と同様にしてガスバリア性積層フィルムを作成した。
(実施例13のガスバリア性樹脂フィルム)
アンカーコート剤で用いるカップリング剤をアミン系(信越化学工業株式会社製 KBM603に代えた以外は実施例11と同様にしてガスバリア性積層フィルムを作成した。
(実施例14のガスバリア性樹脂フィルム)
アンカーコート剤の樹脂を東洋モートン株式会社製 EL−530A、硬化剤を東洋モートン株式会社製 EL−530Bとし、エポキシ系カップリング剤を信越化学工業株式会社製 KBE403)とした以外は実施例11と同様にしてガスバリア性樹脂フィルムを作成した。
(実施例15のガスバリア性樹脂フィルム)
アンカーコート剤のシランカップリング剤を用いなかった以外は実施例11と同様にしてガスバリア性積層フィルムを作成した。
(比較例1)
ガスバリア性樹脂層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にガスバリア性積層フィルムを得た。
(比較例2)
無機薄膜層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にガスバリア性積層フィルムを得た。
上記結果を表1、表2に示す。
Figure 2011031455
Figure 2011031455
本発明により、酸素、水蒸気などに対する高いガスバリア性を持ちながら層間接着力が高くラミネート強度に優れたガスバリア性積層フィルムが得られる。特に、レトルト処理を行ってもガスバリア性、層間接着力の低下が少なく、各種用途に適した実用性の高いガスバリア性積層フィルムを得ることができる。また、生産安定性に優れ、均質の特性が得られやすいガスバリア性積層フィルムとなる。
本発明のガスバリア性フィルムは、レトルト用の食品包装に止まらず、各種食品や医薬品、工業製品の包装用途、高温高湿の環境下に置かれたり長期の安定したガスバリア性、耐久性が求められる太陽電池、電子ペーパー、有機EL素子、半導体素子、等の工業用途にも広く用いることができる。

Claims (9)

  1. プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面に無機薄膜層、ガスバリア性樹脂組成物層をこの順に積層してなるガスバリア性積層フィルムであって、該ガスバリア性樹脂組成物層は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体からなるガスバリア性樹脂と無機層状化合物と添加剤とからなるガスバリア性樹脂組成物により形成され、該ガスバリア性樹脂組成物中の無機層状化合物の含有量が、ガスバリア性樹脂組成物100質量%に対して0.1〜9.0質量%の範囲であり、かつ、該ガスバリア性樹脂組成物中に、添加剤としてカップリング剤あるいは架橋剤の少なくとも一種を含有していることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  2. 無機層状化合物が、スメクタイト粘土鉱物である請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
  3. 添加剤が有機官能基を少なくとも1種類以上含むシランカップリング剤を少なくとも1種以上含む請求項1〜2のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
  4. 架橋剤が水素結合性基用架橋剤を少なくとも1種類以上含む請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
  5. ガスバリア性組成物における添加剤としてのカップリング剤および架橋剤の添加量合計がガスバリア性樹脂組成物100質量%に対して1〜20質量%である請求項1〜4記載のガスバリア性積層フィルム。
  6. 無機薄膜層として、無機酸化物を少なくとも1種類以上含有する請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
  7. 無機薄膜層とガスバリア性樹脂層間にアンカーコート層を積層してなる請求項1〜6記載のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
  8. アンカーコート層に、有機官能基を少なくとも1種類以上含むシランカップリング剤を、少なくとも1種類以上含有している請求項1〜7のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
  9. アンカーコート層に添加されるシランカップリング剤の添加量がアンカーコート剤樹脂組成物100質量%に対して0.1〜10質量%である請求項8記載のガスバリア性積層フィルム。
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