JP2011031219A - ナノホール分離膜とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】分画性、透水性、及び耐ファウリング性に優れるナノホール分離膜を提供する。
【解決手段】テーパー形状の細孔を有する分離膜であって、該分離膜の片面における該細孔の開口部直径Aが該片面の裏面における該細孔の開口部直径Bより小さく、該細孔の細孔ピッチが30〜1000nmであり、該細孔の細孔径が10〜300nmであり、該分離膜の厚さが30〜1000nmであり、そして該開口部直径Aの孔径分布における標準偏差が平均値の30%以下であるナノホール分離膜。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナノサイズのテーパー形状細孔を有する高機能分離膜とその製造方法に関する。
直径が10〜300nm程度の微細なサイズの細孔を有する分離膜としては、精密濾過膜、限外濾過膜などを挙げることができる。しかしながら、これらの分離膜は、通常、溶剤誘起相分離、熱誘起相分離等の動的な相分離を利用して製造されているため、孔径分布が広く、すなわち、孔径分布の平均値に対する標準偏差が大きく、細孔の大きさや形状が不規則である。それゆえ、分画性と透水性を高いレベルで両立することは困難である。例えば、相分離法で製造した分離膜を濾過工程に用いる場合、孔径分布が広いため該分離膜の平均孔径を濾過で除去すべき物質のサイズの1/3〜1/6に設定しないと該物質を高収率で回収することができない。その結果、濾過時の水の透過量は落ち、高い透水性を得ることができない(以下、非特許文献1参照)。
一方、トラック・エッチングを利用して製造した分離膜は、孔径分布はシャープであるが、レーザー加工により個別に孔を形成する手法であるため開孔率を上げることは困難であり、高い透水性を得ることができず、詰まり易い、すなわち、耐ファウリング性が悪いという欠点を有している(以下、非特許文献2参照)。
さらに、陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として用いてニッケル(以下、Niとも記載する)ナノピラーを作製し、このNiナノピラーを鋳型としてナノホールアレーを作製する方法と、触媒、センサー、電子・光学デバイスへの応用も提案されている(以下、特許文献1参照)。
一方、陽極酸化と孔径拡大処理を組み合わせることで、連続的に細孔径が変化するテーパー形状を付与した陽極酸化ポーラスアルミナを、又は該陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したスタンパを、鋳型として用いることを特徴とする反射防止膜の製造方法も提案されている(以下、特許文献2参照)。
特開2006−68827号公報 特開2005−156695号公報
Raja Ghosh, Protein Bioseparation Using Ultrafiltration, Imperial College Press, p.92-94, 2003. EM Tracey, RH Davis, Journal of Colloid and Interface Science, Vol.167, No.1, p.104-116, 1994.
前述したように、従来技術のナノホール分離膜においては、高分画性は、高透水性及び耐ファウリング性と相反し、ともに優れた分離膜を得ることは困難であった。
また、特許文献1に記載されたナノホールアレーを分離膜として用いることも考えられるが、耐ファウリング性が悪く、性能低下が大きいことが予想される。
これらの従来技術のナノホール分離膜の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、分画性、透水性、及び耐ファウリング性に優れるナノホール分離膜及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、実験を重ねた結果、テーパー形状の細孔を有し、細孔の孔径分布が極めて狭いナノホール分離膜が高分画性、高透水性、及び耐ファウリング性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]テーパー形状の細孔を有する分離膜であって、該分離膜の片面における該細孔の開口部直径Aが該片面の裏面における該細孔の開口部直径Bより小さく、該細孔の細孔ピッチが30〜1000nmであり、該細孔の細孔径が10〜300nmであり、該分離膜の厚さが30〜1000nmであり、そして該開口部直径Aの孔径分布における標準偏差が平均値の30%以下であるナノホール分離膜。
[2]前記細孔の開口部直径Bの平均値に対する前記細孔の開口部直径Aの平均値の比が0.1以上0.8以下である、前記[1]に記載のナノホール分離膜。
[3]以下の工程:
テーパー形状の細孔からなる凹部を有する第1の鋳型の凹凸を第2の鋳型に転写する工程、及び
該第2の鋳型の凹凸を高分子からなる膜に転写する工程、
を含む、前記[1]又は[2]に記載のナノホール分離膜の製造方法。
[4]前記テーパー形状の細孔からなる凹部を有する第1の鋳型が、アルミニウム板を陽極酸化することにより作製される、前記[3]に記載のナノホール分離膜の製造方法。
[5]以下の工程:
テーパー形状の突起からなる凸部を有する第3の鋳型の凹凸を第1の鋳型に転写する工程、
該第1の鋳型の凹凸を第2の鋳型に転写する工程、及び
該第2の鋳型の凹凸を高分子からなる膜に転写する工程、
を含む、前記[1]又は[2]に記載のナノホール分離膜の製造方法。
[6]前記テーパー形状の突起からなる凸部を有する第3の鋳型が、基板上に積層されたフォトレジスト層を干渉露光して現像することにより作製される、前記[5]に記載のナノホール分離膜の製造方法。
[7]前記[1]又は[2]に記載のナノホール分離膜と多孔性フィルム基材とを積層させてなるナノホール分離膜積層体。
[8]以下の工程:
前記[1]又は[2]に記載のナノホール分離膜と多孔性フィルム基材とを積層する工程、及び
加熱により該多孔性フィルム基材を融かして該ナノホール分離膜に融着させる工程、
を含むナノホール分離膜積層体の製造方法。
本発明のナノホール分離膜は、細孔がテーパー構造を有し孔径分布が小さいため、分画性、透水性、及び耐ファウリング性に優れる。また、本発明のナノホール分離膜の製造方法は、本発明のナノホール分離膜の製造を可能とする。
本発明のナノホール分離膜の一態様を示す断面模式図である。 テーパー形状の細孔からなる凹部を有する陽極酸化ポーラスアルミナからなる鋳型を作製するプロセスを示す図である。 テーパー形状の突起からなる凸部を有する第3の鋳型の凹凸を第1の鋳型に転写するプロセスを示す図である。 テーパー形状の細孔からなる凹部を有する第1の鋳型からナノホール分離膜を作製するプロセスの一例を示す図である。 ナノホール分離膜と多孔性フィルム基材とが積層された積層体の一態様を示す断面模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のナノホール分離膜は、テーパー形状の細孔を多数有する分離膜であって、該分離膜の片面における該細孔の開口部直径Aが該片面の裏面における該細孔の開口部直径Bより小さく、該細孔の細孔ピッチが30〜1000nmであり、該細孔の細孔径が10〜300nmであり、該分離膜の厚さが30〜1000nmであり、そして該開口部直径Aの孔径分布における標準偏差が平均値の30%以下であるナノホール分離膜である。
ここで「テーパー形状の細孔」とは、一方の面(便宜上「裏面」と呼ぶ)における各細孔の開口部直径Aが、対向する面(便宜上「表面」と呼ぶ)における該細孔の開口部直径Bより小さい細孔を意味する。好ましくは、細孔径が表面から裏面に渡って深さ方向に連続的に小さくなる細孔である。
本発明の分離膜は、細孔が上記の条件を満たすことによって、分画性、透水性、及び耐ファウリング性に優れる。
以下に、本発明の分離膜の望ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明のナノホール分離膜の一態様を示す断面模式図である。本態様の細孔は、表面から裏面に渡って細孔径が直線的に変化するテーパー形状を有し、孔径が小さい側の細孔径Aの孔径分布が非常に小さいことで、分画性、透水性、及び耐ファウリング性に優れる分離膜を提供できる。
次に、本発明のナノホール分離膜の製造方法について説明する。
第1の製造方法は、テーパー形状の細孔からなる凹部を有する第1の鋳型の凹凸を第2の鋳型に転写する工程、該第2の鋳型の凹凸を高分子からなる膜に転写する工程を含むナノホール分離膜の製造方法である。ここで、該第1の鋳型は、たとえば、アルミニウム板を陽極酸化することにより好適に作製することができる。
第2の製造方法は、テーパー形状の突起からなる凸部を有する第3の鋳型の凹凸を第1の鋳型に転写する工程、該第1の鋳型の凹凸を第2の鋳型に転写する工程、該第2の鋳型の凹凸を高分子からなる膜に転写する工程を含むナノホール分離膜の製造方法である。ここで、該第3の鋳型は、例えば、基板上に積層されたフォトレジスト層を干渉露光して現像することにより好適に作製することができる。
上記2種の製造方法において、第1の鋳型は、本発明のナノホール分離膜と同様にテーパー形状の細孔からなる凹部を有する鋳型である。また、第2の鋳型、及び第3の鋳型は本発明のナノホール分離膜とは逆にテーパー形状の突起からなる凸部を有する鋳型であり、前記第1の鋳型とはポジとネガの関係にある。
上記第1の製造方法について、より詳細に説明する。
図2は、テーパー形状の細孔からなる凹部を有する第1の鋳型(陽極酸化ポーラスアルミナ)の作製方法を示す。陽極酸化ポーラスアルミナ3は、陽極酸化によりアルミニウム基材2の表面に形成されるが、陽極酸化ポーラスアルミナ3の細孔4の形状は、底部を除いてほぼ一定の径を有する円筒形状をしており、これをそのまま鋳型として用いても、分画性、透水性、及び耐ファウリング性に優れる分離膜を提供することは困難である。
一方、前記したように、陽極酸化とエッチングによる細孔の拡大処理とを組み合わせることにより、所望のテーパー形状の孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナからなる反射防止膜作製用のスタンパを製造する方法が知られている。
上記方法について簡単に述べると、アルミニウム基材2に所定の時間、陽極酸化を実施して所望の深さの細孔を形成した後、適当な酸溶液中に浸漬することにより孔径の拡大処理を行う。その後、再び陽極酸化を行うことで、1段階目に比較して孔径の小さな細孔を形成する。この操作を繰り返すことにより、テーパー形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得ることができ。繰り返し段数を増やすことで、より滑らかなテーパー形状の細孔を得ることができる。陽極酸化時間と孔径拡大処理時間とを調整することで、様々なテーパー形状を有する細孔の形成が可能であり、この方法をナノホール分離膜の製造に利用することで、ピッチ、孔の深さに合わせて最適なナノホール分離膜の構造設計が可能となると考えられる。
また、定電圧で長時間陽極酸化を施した後、一旦酸化膜を除去し、再び同一条件で陽極酸化を施すことで作製した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることで、高い孔配列規則性を有する陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型とすることが可能となる。
使用する陽極酸化ポーラスアルミナとしては、例えば、シュウ酸を電解液として用い、化成電圧30V〜60Vにおいて作製した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることができる。また、硫酸を電解液として用い、化成電圧25V〜30Vにおいて作製した陽極酸化ポーラスアルミナを用いることもできる。このような陽極酸化ポーラスアルミナを用いることで、より高い規則性を有する窪み配列を有する鋳型とすることができる。
さらに、陽極酸化ポーラスアルミナの作製において、陽極酸化に先立ちアルミニウム表面に微細な窪みを形成し、これを陽極酸化時の細孔発生点とすることもでき、任意の配列を有する窪み配列を鋳型とすることが可能となる。
上記方法により作製した第1の鋳型の細孔に、金属、金属酸化物、高分子などの物質を充填した後、第1の鋳型を除去することにより第2の鋳型を得ることができる。
金属、金属酸化物としては、特に限定されるものではないが、一般的にはNi、Ta、SiO、炭素、有機SOG等が使用される。
また、高分子としては、加工性を有するものであれば限定されないが、代表的なものとして、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシ3フッ化エチレン共重合体、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、ポリ3フッ化塩化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テフロンAF(登録商標:DuPont社製)、ハイフロンAD(登録商標:Solvay Solexis社製)、サイトップ(登録商標:旭硝子社製))、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ナイロン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、それらの共重合体等を挙げることができる。また、前記ポリマーのモノマーを第1の鋳型に充填後、UV等の光、熱で重合させてもよい。これらの中で、フッ素系樹脂は第1の鋳型からの離型性に優れるため好ましい。
さらに、上記第2の鋳型に高分子を転写し、その後、該第2の鋳型より高分子膜を離型することによって、ナノホール分離膜を得ることができる。
第2の鋳型に高分子を転写する方法としては、特に限定はされないが、光インプリント、熱インプリント、室温インプリント、ナノキャスティングインプリント等の方法を用いることができる。高分子としては、第2の鋳型に充填したときに、第2の鋳型の材料と接着、融着等して問題が起こるものでなければ特に限定されないが、代表的なものとして、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシ3フッ化エチレン共重合体、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、ポリ3フッ化塩化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テフロンAF(登録商標)、ハイフロンAD(登録商標)、サイトップ(登録商標))、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ナイロン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、それらの共重合体等を挙げることができる。また、前記ポリマーのモノマーを第2の鋳型に充填後、UV等の光、熱で重合させてもよい。
転写に使用する高分子の量を第2の鋳型の突起からなる凹凸の空隙の量より多く使用した場合は、ナノホール分離膜の孔径の小さい側の細孔が余分の残膜で塞がれたナノホール分離膜前駆体となっているため、離型前又は離型後に、この残膜をエッチング処理することにより除去してナノホール分離膜とする必要がある。エッチング方法としては、プラズマ等を利用した高真空ドライエッチング、大気圧ドライエッチング、溶剤を用いたウェットエッチング等を挙げることができる。これらの中でも大気圧ドライエッチングは低コストでエッチング精度が高いため好ましい。
以上の工程によって、ナノホール分離膜を製造するプロセスの一例を図4に示す。
陽極酸化ポーラスアルミナからなる第1の鋳型の表面に、無電解メッキ又はスパッタリングによりNi−P、Au、Cr等からなる表面導電層を形成した後、Ni等の電解メッキにより第2の鋳型を形成する。第1の鋳型から第2の鋳型を剥離させるか、第1の鋳型を選択的に溶解除去することにより第2の鋳型を得る。次に、第2の鋳型に高分子、例えば、ポリスルホンを溶媒に溶解させた溶液を充填し、溶媒を乾燥させて高分子からなるナノホール分離膜前駆体を得る。ナノホール分離膜前駆体から余分に充填された高分子膜をプラズマエッチングで除去した後、第2の鋳型から剥離してナノホール分離膜を得る。該ナノホール分離膜は、多孔性フィルム基材と積層させることでナノホール分離膜積層体を得ることができる。
次に、上記第2の製造方法について、より詳細に説明する。
図3は、テーパー形状の突起からなる凸部を有する第3の鋳型から、テーパー形状の細孔からなる凹部を有する第1の鋳型を作製する方法を示す。
上記第3の鋳型は、干渉露光法によって好適に作製することができる。まず、平滑な基板、例えば研磨されたガラス原盤7上に、ポジ型フォトレジストを塗布する。ポジ型フォトレジストは半導体装置製造の技術分野において周知のレジストであり、フェノール性水酸基を有する樹脂と、光酸発生剤とを含む組成物である。この組成物は光照射前のアルカリ性現像液に対する溶解性は低いが、光照射によって酸が発生しアルカリ性現像液に対する溶解性が高くなる。この現像液に対する光照射部と光未照射部の溶解性の差異を利用してパターニングを行うことが可能となる。以下においては、上記光未照射部のことを硬化部、上記光照射部のことを未硬化部ともいう。
次に、レーザー光を用いた干渉露光法(以下「レーザー干渉露光法」ともいう。)により露光を行い、微細なテーパー形状の突起からなる硬化部と残余の未硬化部を得る。露光後、現像を行い未硬化部を除去することによって、テーパー形状の突起からなる凸部8を有する第3の鋳型9として得る。
フォトレジストに形成された凸部8は、レーザー干渉露光法により、凸部の頂上部8aが細くなる一方、底部8bが太くなる、いわゆるテーパー形状となる。この現象は、レーザー光のパワー強度がフォトレジスト表面で強く、フォトレジストの中を進むに従って弱くなり、その結果、フォトレジスト表面で露光量が大きくなって頂上部8aが浸食され、フォトレジストの深さ方向へ進むに従って露光量が小さくなって深さ方向への浸食が弱くなり、底面部8bが広がるためであると考えられる。従ってフォトレジストの感光性の度合い(γ値)によってテーパーの角度を調整することができる。
なお、レーザー干渉露光法とは、特定の波長のレーザー光を角度θ’の2つの方向から照射して形成される干渉縞を利用した露光法であり、角度θ’を変化させることで使用するレーザーの波長で制限される範囲内で色々なピッチを有する凹凸格子の構造を得ることができる。例えば、方向を120度ずつずらした3組の上記干渉縞を重ね合わせて露光することで、上記のテーパー形状の突起からなる凹凸パターンを形成することができる。
干渉露光に使用できるレーザーとしては、TEM00モードのレーザーに限定される。TEM00モードのレーザー発振できる紫外光レーザーとしては、アルゴンレーザー(波長364nm、351nm、333nm)や、YAGレーザーの4倍波(波長266nm)などが挙げられる。
また、形成されたパターンのエッチングによってもテーパーの角度を変化させることが可能である。すなわち、高真空プラズマエッチングにおいて、エッチングの異方性を制御することによりテーパーの角度を変えることができる。
一般的に入射する反応性イオンの平均自由行程を低圧力にして長くする程、垂直にガスが入射して異方性が大きくなるが、この場合、垂直方向に一様にエッチングされるためテーパーの角度の変化は小さい。逆に圧力を高めに設定することにより、横方向への反応性イオンの入射が増加して横方向にもエッチングされ、テーパーの角度が変化する。
上記方法により作製した第3の鋳型に対して、図3(b)に示すように、表面導電層を形成した後Ni電鋳を行い、第1の鋳型を形成する。該第3の鋳型を除去すると凹凸が反転して転写された凹凸を有する第1の鋳型10が得られる(図3(c))。
上記方法により作製した第1の鋳型を用いて、その孔に、金属、金属酸化物、高分子などの物質を充填した後、該第1の鋳型を除去することにより第2の鋳型を得ることができる。
上記第2の製造方法で作製した第2の鋳型は、前記第1の製造方法で作製した第2の鋳型と同様に、高分子を充填し該第2の鋳型より離型することによって、連続的に細孔径が変化するテーパー形状を有し、孔径が小さい側の細孔径Aの孔径分布が非常に小さいナノホール分離膜を得ることができる。
上記の製造方法によって、細孔ピッチが30〜1000nmであり、細孔径が10〜300nmであり、細孔深さが30nm〜1000nmであり、連続的に細孔径が変化するテーパー形状を有し、そして孔径が小さい側の細孔径Aの孔径分布が極めて狭いことを特徴とするナノホール分離膜を得ることができる。
本発明のナノホール分離膜は、細孔をテーパー形状とすることで、高分画性、高透水性及び耐ファウリング性を達成することが可能となるとともに、先に述べた第2の鋳型より高分子を離型する工程において、ナノホール分離膜の剥離をスムーズに行うことができる。テーパー形状を有しない真直ぐなピラー構造の場合は、この剥離がうまく行かずナノホール分離膜に欠陥等が生じる可能性が高くなる。
細孔のテーパー形状は、用いる鋳型と充填する高分子の接着強度によって変わってくるが、孔径が小さい側の細孔の開口部直径Aと孔径が大きい側の細孔の開口部直径Bとの比が0.1以上0.8以下であることが好ましい。更に好ましくは、0.1以上0.6以下、特に好ましくは、0.1以上0.4以下である。
孔径が小さい側の細孔径Aの孔径分布が極めて狭いとは、孔径(孔の直径)Aの孔径分布における標準偏差が平均値の30%以下であること、好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下であることを言う。
また、本発明のナノホール分離膜の気孔率は、特に限定されないが、通常25%以上95%以下、好ましくは、40%以上、更に好ましくは、50%以上、特に好ましくは60%以上である。25%以上であれば透水性にすぐれ、95%以下であれば細孔のテーパー形状を保つことができる。
上記製造方法によって得られたナノホール分離膜はそのままフィルターとして用いることも可能であるが、機械的強度を高めるため多孔性フィルム基材と積層してナノホール分離膜積層体として用いることが好ましい。多孔性フィルム基材としては、微多孔膜、不織布、相分離膜、延伸開口膜等を挙げることができる。
多孔性フィルム基材の材質としては、ステンレス等の金属、シリカ、アルミナ、炭素等の無機物、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシ3フッ化エチレン共重合体、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、ポリ3フッ化塩化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テフロンAF(登録商標)、ハイフロンAD(登録商標)、サイトップ(登録商標))、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ナイロン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、それらの共重合体等に代表される有機物を挙げることができる。
多孔性フィルム基材の孔径は、ナノホール分離膜の孔径より大きいものが好ましく、1〜100μmの範囲にあることがより好ましい。また、多孔性フィルム基材の厚みは10〜1000μmであることが強度と透水性のバランス上好ましい。
ナノホール分離膜と多孔性フィルム基材は、単に積層して使用することも可能であるが、熱融着、接着剤による接着を行ってもよい。熱融着の場合、多孔性フィルム基材を構成する材料の溶融温度がナノホール分離膜を構成する材料の溶融温度よりも低い方が、熱融着時にナノホール分離膜の細孔形状への影響が少ないので、より好ましい。熱融着の場合の加熱法としては、加熱板を当てる、熱風を当てる、赤外線を照射する等の方法が挙げられる。
次に、実施例に基づいて、本発明を更に具体的に説明する。
[鋳型、及びナノホール分離膜の構造観察]
走査型電子顕微鏡による観察:作製した鋳型、及びナノホール分離膜から任意の大きさに切り取った試料を導電性両面テープにより試料台に固定し、白金を3nm程度の厚みにスパッタリングして検視鏡試料とした。高分解能走査型電子顕微鏡装置(日立株式会社製 S−3000N)を用い、加速電圧1.0kV、及び所定の倍率で試料の表面、及び断面を観察した。鋳型の凸部の径、鋳型及び膜の厚み、細孔系、細孔ピッチについて50箇所測定し、平均値を求めた。
原子間力顕微鏡による観察:作製したナノホール分離膜から任意の大きさに切り取った膜試料を両面テープにより試料台に固定し観察試料とした。原子間力顕微鏡(デジタルインスツルメント社製 NanoScopeIII )を用い、Veeco社製のNCHVの探針を用いて所定の倍率で膜の表面形状を観察した。
[膜厚]
積層膜、及び相分離膜:膜厚計(Mitutoyo社製 Digimatic Indicator IDF−130)を用いて測定した。異なる10点の箇所で測定し、平均値を求めた。
ナノホール分離膜:走査型電子顕微鏡によるナノホール分離膜の断面観察より膜厚を測定した。
[気孔率]
走査型電子顕微鏡によるナノホール分離膜の観察により、ナノホール分離膜の測定範囲にある孔の体積を測定し、次式(1)によって気孔率を算出した。ここで、孔の体積は上面の直径がAで底面の直径がBで高さが膜の厚さに等しい円錐台形状と仮定して計算した。
気孔率(%)=(測定範囲内の孔の体積)/測定範囲のナノホール分離膜の体積×100・・・(1)
[透水量]
ナノホール分離膜から任意に直径25mmの円形状に切り抜いた膜を評価膜とした。膜厚は前述の方法で測定した。評価膜をフィルターホルダー(アドバンテック株式会社製 PP−25)にセットし、温度25℃の純水を空気圧0.1MPaで加圧して一定時間透過させ、その透過量を測定した。評価膜の膜面積、膜厚から次式(2)によって透水量を算出した。
透水量(L/m/hr/(0.1MPa)/100μm)=(純水の透過量[L])/(膜面積[m]/(純水の透過時間[hr]/(膜間圧差[0.1MPa]/{100/(膜厚[μm])・・・(2)
[分画性評価試験]
ナノ粒子水溶液(日産化学製:スノーテックス50、含まれるナノ粒子のサイズ20〜30nm、及びスノーテックスXL、含まれるナノ粒子のサイズ40〜60nm)を用いて濾過を行い、濾過前後のナノ粒子を原子間力顕微鏡で観察し、各粒子径毎にカウントしてナノ粒子の粒径分布を調べ、平均粒径と標準偏差を求めた。
[耐ファウリング性評価試験]
分画性評価試験が終了した膜を水でかるくリンスし自然乾燥した。この膜について電子顕微鏡および原子間力顕微鏡で膜表面のナノ粒子の吸着状況を観察した。
以下の評価基準(格付け)に従って耐ファウリング性(濾過後のナノ粒子の付着状態)を評価した:
「○」:濾過後にナノ粒子の付着がほとんど見られない;
「△」:濾過後にナノ粒子の付着が見られる;
「×」:濾過後にナノ粒子の付着がかなり見られる。
<実施例1>
0.3Mシュウ酸を電解液として用い、化成電圧40Vで、純度99.99%のアルミニウム板に50秒間陽極酸化を行った。その後、2重量%リン酸30℃中に5分間浸漬し、孔径拡大処理を行った。この操作を5回繰り返し、縦横ともに200mmで、細孔ピッチ100nm、細孔径開口部80nm、底部20nm、孔の深さ300nmのテーパー形状細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナからなる鋳型1を得た。
次にこの鋳型1の電鋳を行った。まず、ニッケルスパッタにより表面電極処理を行い、その上にニッケルの電気メッキを施した。金属メッキを鋳型から剥離することによって、ニッケルからなる鋳型2を得た。
得られた鋳型2を、蒸留水中で十分に洗浄した。事前に調製したポリスルホン(帝人アモコ社製、UDEL−P3500)のN−メチルピロリドン溶液2wt%をこの鋳型2にスピンコートし、80℃で乾燥し、鋳型2上に厚さ400nmのナノホール分離膜前駆体を形成した。ナノホール分離膜前駆体の表面にある残膜をプラズマエッチングにより厚さ110nm程度除去した。
多孔性フィルム基材として縦横ともに200mmのポリプロピレン不織布(シンテックス(登録商標)MB MO18YY 三井化学株式会社製)を用いて鋳型2上のナノホール分離膜と160℃(ポリスルホンの熱変形温度は約175℃、ポリプロピレンの融点は約160℃)で熱融着させることによってナノホール分離膜の鋳型2からの剥離と多孔性フィルム基材との積層を同時に行い、ポリプロピレン不織布上にポリスルホンからなるナノホール分離膜が積層されたナノホール分離膜積層体を得た。積層体の厚みは157μmであった。この積層体のナノホール分離膜の細孔のテーパーの方向はナノホール分離膜を上面にしてろ過した場合、膜の深さ方向に次第に径が小さくなっていく方向である。
このナノホール分離膜を電子顕微鏡及び原子間力顕微鏡で解析したところ、小さい側の細孔径は50個測定して最小値23nm、最大値27nm、平均値25nm、標準偏差0.90であった。大きい側の細孔径は平均値80nmであり、膜厚は平均値290nmであった。
このナノホール分離膜積層体について分画性、透水性、耐ファウリング性を評価した。濾過される液は積層体のナノホール分離膜側に配置した。分画性に関しては、ナノ粒子としてスノーテックス50を用いた。濾過前のナノ粒子の粒径分布は標準偏差2.12、平均粒径25.0nm、濾過後は標準偏差1.40、平均粒径22.9nmであった。20〜25nmの範囲での粒子径分布にほとんど変化はみられなかったが、粒径26nm以上の粒子は除去されて観察されなかった。濾過後のナノ粒子の付着はほとんど見られず、耐ファウリング性は良好であった。透水性の測定結果も含めて、以下の表1にまとめて示す。
<実施例2>
実施例1と同様にして作製した鋳型2上のナノホール分離膜を100mmφのゴム製弱粘着ロールに鋳型2から剥離しながら移し取った。これを縦横200mmのポリプロピレン不織布(シンテックス(登録商標)MB MO18YY 三井化学株式会社製)からなる多孔性フィルム基材に160℃で熱融着を行い、ポリプロピレン不織布上にポリスルホンからなるナノホール分離膜が積層されたナノホール分離膜積層体を得た。積層体の厚みは153μmであった。この積層体のナノホール分離膜の微細孔のテーパーの方向はナノホール分離膜を上面にしてろ過した場合、膜の深さ方向に次第に径が大きくなっていく方向である。
このナノホール分離膜を電子顕微鏡および原子間力顕微鏡で解析したところ、小さい側の細孔径は50個測定して最小値23nm、最大値27nm、平均値25nm、標準偏差0.90であった。大きい側の細孔径は平均値80nm、膜厚は平均値290nmであった。
上記ナノホール分離膜と多孔性フィルム基材とが積層されたナノホール分離膜積層体の断面模式図を図5に示す。
このナノホール分離膜積層体について分画性、透水性、耐ファウリング性を評価した。濾過される液は積層体のナノホール分離膜側に配置した。分画性に関しては、ナノ粒子としてスノーテックス50を用いた。濾過前のナノ粒子の粒径分布は標準偏差2.12、平均粒径25.0nm、濾過後は標準偏差1.42、平均粒径23.2nmであった。20〜25nmの範囲での粒子径分布にほとんど変化はみられなかったが、26nm以上の粒子は除去されて観察されなかった。濾過後のナノ粒子の付着はほとんど見られず、耐ファウリング性は良好であった。透水性の測定結果も含めて、以下の表1にまとめて示す。
<実施例3>
平滑に研磨された縦横ともに200mmのガラス板上にポジ型のフォトレジストを厚み300nmで塗布してフォトレジスト付基板を得た。TEM00モードのアルゴンレーザ(波長364nm)から出射される光をミラーで2分割して45度の角度で2方向から照射して重ね合わせることで干渉縞を形成させ、形成された干渉縞を120度間隔で3方向からフォトレジスト付基板に照射してフォトレジストを露光した。露光後、現像を行い、未硬化部を除去することによって、鋳型3を得た。
この鋳型3の突起はピッチ230nmで、凸部の径は底部で200nm、頂部で50nmであり、高さは300nmであった。
次にこの鋳型3の電鋳を行った。まず、ニッケルスパッタにより表面電極処理を行った。その上にニッケルの電気メッキを施し、金属メッキを鋳型3から剥離することによって、鋳型3の凹凸構造を反転して転写された鋳型1を得た。
次に第二の電鋳の剥離のための処理として、鋳型1の表面を酸化処理して金属の酸化被膜を形成した。そして、電鋳として鋳型1の表面にニッケルメッキを施した。鋳型1から金属メッキを剥離して鋳型2を得ることができた。この鋳型2は鋳型2を原盤として作製されるため、壊れても補充が可能である。
事前に調製したポリスルホン(帝人アモコ社製、UDEL−P3500)のN−メチルピロリドン溶液2wt%をこの鋳型2にスピンコートし、80℃で乾燥し、厚さ400nmのナノホール分離膜前駆体を鋳型2上に得た。ナノホール分離膜前駆体の表面にある残膜をプラズマエッチングにより厚さ110nm程度除去してナノホール分離膜を形成した。
多孔性フィルム基材として縦横ともに200mmのポリプロピレン不織布(シンテックス(登録商標)MB MO18YY 三井化学株式会社製)を用いて鋳型2上のナノホール分離膜と160℃で熱融着を行いポリスルホンからなるナノホール分離膜の鋳型2からの剥離と多孔性フィルム基材との積層を同時に行い、ポリプロピレン不織布上にポリスルホンからなるナノホール分離膜が積層されたナノホール分離膜積層体を得た。積層体の厚みは157μmであった。この積層体のナノホール分離膜の細孔のテーパーの方向はナノホール分離膜を上面にしてろ過した場合、膜の深さ方向に次第に径が小さくなっていく方向である。
このナノホール分離膜を電子顕微鏡及び原子間力顕微鏡で解析したところ、小さい側の細孔径は50個測定して最小値48nm、最大値53nm、平均値50nm、標準偏差0.93であった。大きい側の細孔径は平均値200nmであり、膜厚は平均値290nmであった。
このナノホール分離膜積層体について分画性、透水性、耐ファウリング性を評価した。分画性に関しては、ナノ粒子としてスノーテックスXLを用いた。濾過前のナノ粒子の粒径分布は標準偏差2.36、平均粒径50.0nm、濾過後は標準偏差1.49、平均粒径46.0nmであった。40〜50nmの範囲での粒子径分布にほとんど変化はみられなかったが、51nm以上の粒子は除去されて観察されなかった。濾過後のナノ粒子の付着はほとんど見られず、耐ファウリング性は良好であった。透水性の測定結果も含めて、以下の表1にまとめて示す。
<比較例1>
リン酸による孔径拡大処理を行わず、陽極酸化処理を10分間行うこと以外は実施例1と同様にして、テーパー形状のない、膜の厚さ方向に均一な孔径をもつナノホール分離膜と該ナノホール分離膜がポリプロピレン不織布に積層されたナノホール分離膜積層体を作製した。積層体の厚みは155μmであった。
このナノホール分離膜を電子顕微鏡及び原子間力顕微鏡で解析したところ、細孔径は50個測定して最小23nm、最大27nm、平均25nm、標準偏差0.90であった。膜厚は約290nmであった。
このナノホール分離膜積層体について分画性、透水性、耐ファウリング性を評価した。分画性に関しては、ナノ粒子としてスノーテックス50を用いた。濾過前のナノ粒子の粒径分布は標準偏差2.12、平均粒径25.0nm、濾過後は標準偏差1.52、平均粒径24.9nmであった。20〜25nmの範囲での粒子径分布は広がり、26nm以上の粒子は完全に除去されなかった。濾過後のナノ粒子の付着が見られた。透水性の測定結果も含めて、以下の表1にまとめて示す。
<比較例2>
ポリスルホン(帝人アモコ社製、UDEL−P3500)16gに開孔剤としてポリビニルピロリドン(和光純薬製 K−90)4gを加えたものを、N−メチルピロリドン80gに60℃に加熱して溶解した。縦横20cmのガラス板にギャップ100μmのドクターブレードを用いて該溶液を流延した。これを30℃に温度調節した水/N−メチルピロリドン=70/30の恒温槽に浸漬し、相分離を誘起させ膜を形成させた。この膜を60℃の温水で5回洗浄し、N−メチルピロリドンと余分なポリビニルピロリドンを除去した。洗浄した膜を60℃1時間真空乾燥してポリスルホン相分離膜を得た。膜厚は51μm、孔径は走査型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡では観察することができなかった。
この膜について分画性と透水性を評価した。分画性に関しては、ナノ粒子としてスノーテックス50を用いた。濾過前のナノ粒子の粒径分布は標準偏差2.12、平均粒径25.0nm、濾過後は標準偏差2.06、平均粒径24.6nmであった。20〜25nmの範囲での粒子径分布は広がり、26nm以上の粒子は完全に除去されなかった。透水性の測定結果も含めて、以下の表1にまとめて示す。耐ファウリング性は評価できなかった。
Figure 2011031219
本発明のナノホール分離膜は、精密濾過及び限外濾過の分野で好適に利用できる。
1 第1の製造方法による鋳型2
2 アルミニウム
3 陽極酸化ポーラスアルミナ
4 細孔
5 ナノホール分離膜
6 多孔性フィルム基材
7 基板
8 テーパー形状の突起からなる凸部
8a 凸部の頂上部
8b 凸部の底部
9 第2の製造方法による鋳型3
10 第2の製造方法による鋳型2

Claims (8)

  1. テーパー形状の細孔を有する分離膜であって、該分離膜の片面における該細孔の開口部直径Aが該片面の裏面における該細孔の開口部直径Bより小さく、該細孔の細孔ピッチが30〜1000nmであり、該細孔の細孔径が10〜300nmであり、該分離膜の厚さが30〜1000nmであり、そして該開口部直径Aの孔径分布における標準偏差が平均値の30%以下であるナノホール分離膜。
  2. 前記細孔の開口部直径Bの平均値に対する前記細孔の開口部直径Aの平均値の比が0.1以上0.8以下である、請求項1に記載のナノホール分離膜。
  3. 以下の工程:
    テーパー形状の細孔からなる凹部を有する第1の鋳型の凹凸を第2の鋳型に転写する工程、及び
    該第2の鋳型の凹凸を高分子からなる膜に転写する工程、
    を含む、請求項1又は2に記載のナノホール分離膜の製造方法。
  4. 前記テーパー形状の細孔からなる凹部を有する第1の鋳型が、アルミニウム板を陽極酸化することにより作製される、請求項3に記載のナノホール分離膜の製造方法。
  5. 以下の工程:
    テーパー形状の突起からなる凸部を有する第3の鋳型の凹凸を第1の鋳型に転写する工程、
    該第1の鋳型の凹凸を第2の鋳型に転写する工程、及び
    該第2の鋳型の凹凸を高分子からなる膜に転写する工程、
    を含む、請求項1又は2に記載のナノホール分離膜の製造方法。
  6. 前記テーパー形状の突起からなる凸部を有する第3の鋳型が、基板上に積層されたフォトレジスト層を干渉露光して現像することにより作製される、請求項5に記載のナノホール分離膜の製造方法。
  7. 請求項1又は2に記載のナノホール分離膜と多孔性フィルム基材とを積層させてなるナノホール分離膜積層体。
  8. 以下の工程:
    請求項1又は2に記載のナノホール分離膜と多孔性フィルム基材とを積層する工程、及び
    加熱により該多孔性フィルム基材を融かして該ナノホール分離膜に融着させる工程、
    を含むナノホール分離膜積層体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013204146A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Asahi Kasei Corp アルカリ水電解用隔膜及びその製造方法
KR101469142B1 (ko) * 2012-06-18 2014-12-04 서울대학교산학협력단 등방 공경 분리막 및 그 제조방법
JP2015199069A (ja) * 2009-12-14 2015-11-12 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 微小穿孔ポリマーフィルム

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