JP2011030524A - 濃厚すし酢 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来のすし酢や粉末すし酢の欠点を解消するため、炊飯米に混合する量が少なくてよいすし酢であって、且つ、炊飯米に混ぜ易いすし酢を提供するにあたり、‘長期保管に伴う酸度低下が生じにくい’濃厚すし酢を提供することを目的とする。
【解決手段】 酢酸濃度4.0質量/容量%以上、塩分10質量/容量%以上であって、4糖以下の糖質を含有しないか又は合計で50質量/容量%以下の量で含有し、且つ甘味度が55以上であることを特徴とする、長期保管に伴う酸度低下が生じにくい濃厚すし酢、;特に、甘味度10000以上の高甘味度甘味料を含有する前記濃厚すし酢、;を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、通常のすし酢より酢酸濃度の高い濃厚なすし酢に関する。
古くからすしは日本人に好まれる食品である。すしは酢飯と魚介類などの具材を併せて食するものであり、握りすしやちらしすしなど形態も様々である。
ここですしに用いる酢飯は防腐や風味付けのため、酸味、塩辛味、甘味を付与しているものが一般的であり、代表的な作り方としては食酢、糖類、食塩を混合した液を炊飯した白飯に混合して作る。例えば、炊飯米100に対して、食酢(酸度4〜4.5質量/容量%)を5〜7、砂糖を2〜6、食塩を0.5〜1.5程度の割合で用いる。
最近では、家庭において酢飯を作る場合、またすし屋やスーパーマーケット等が業務用として酢飯を作る場合に、手間をかけずに安定した風味に仕上げたいという要望から、食酢、糖類、食塩があらかじめ混合されているいわゆる「すし酢」が、各メーカーより提供されている。
酢飯を作る際に、例えば炊飯米100当たり前記すし酢を8〜11程度の割合で混合することで簡単に求める風味の酢飯が作れるため家庭用、業務用ともに重宝がられている。
業務用では大量の酢飯を作る必要があるため、例えば10L〜20L入りのすし酢を用いて酢飯を作ったりすることになるが、すし酢は比重が1.2〜1.3程度と非常に重いこともあり取扱いが不便であった。また、すし酢の比重が重いことは物流コストがかかることも問題であった。
これらの問題を解決する手段の一つとして、粉末のすし酢が提供されている(特許文献1参照)。粉末のすし酢は一般に炊飯米100当たり3〜4程度の量を用いればよいように設計されているため、重たいすし酢を炊飯米に大量に混合しなくて済むという点では優れている。しかし、粉末状であるが故に炊飯米に均一に混ざりにくいという欠点があった。
特開昭63−230044号公報
そこで、本発明者らは、上記のような従来のすし酢や粉末すし酢の欠点を解消するため、従来のすし酢よりも濃厚なすし酢を用いて酢飯を製造することによって、通常のすし酢を用いて同量の酢飯を製造する場合に比べてすし酢の使用量を減らすことができるのではないかと考えた。
そしてこれにより、取扱いが容易になるとともに、酢酸濃度当たりの容量および重量が小さくなるため物流コストも減らすことができ、また、液状であるため、粉末すし酢のような混ぜにくさの課題は生じなくなるものと考えた。
そこで、通常のすし酢より2倍濃厚なすし酢を作成するため、通常のすし酢よりも酸度の高い食酢を用いるとともに、砂糖、食塩を2倍量用いることで、酢酸濃度、砂糖含量、塩分含量が通常のすし酢の2倍となるようなすし酢を作製した。
作製した2倍濃度のすし酢は、通常のすし酢の半分の量を用いるだけで、通常のすし酢を用いた場合と同様の風味、食感の酢飯を製造することができた。
ところが、この2倍濃厚なすし酢は、包装用容器に充填した後、一定期間の保管した所、酢酸濃度(以下、単に‘酸度低下’と記載する場合あり)が著しく低下してしまうことが明らかになった。
すなわち本発明は、上記のような従来のすし酢や粉末すし酢の欠点を解消するため、炊飯米に混合する量が少なくてよいすし酢であって、且つ、炊飯米に混ぜ易いすし酢を提供するにあたり、‘長期保管に伴う酸度低下が生じにくい’濃厚すし酢を提供することを課題とする。
本発明者らは、濃厚すし酢を製造するにおいて酢酸濃度低下の問題を解決することを新たな課題として鋭意検討した結果、前記酢酸濃度の低下は、砂糖などの糖質が関与している可能性が高いことを見出した。
そして、更に検討を重ねた結果、糖質の中でも甘味度とは無関係に4糖以下の糖質(重合度が1〜4の糖質)の総量が、酢酸濃度低下に深く関与していることを見出した。
これらの知見から、4糖以下の糖質の使用量を50質量/容量%以下に抑えつつ、4糖以下の糖質以外の甘味料(例えば、高甘味度甘味料等)を用いて濃厚すし酢に見合う甘味度に調整することにより、酸度低下を防ぐ濃厚すし酢を製造するに至り、本発明を完成した。
すなわち、請求項1に係る本発明は、酢酸濃度4.0質量/容量%以上、塩分10質量/容量%以上であって、4糖以下の糖質を含有しないか又は合計で50質量/容量%以下の量で含有し、且つ甘味度が55以上であることを特徴とする、濃厚すし酢に関するものである。
請求項2に係る本発明は、甘味度10000以上の高甘味度甘味料を含有する、請求項1に記載の濃厚すし酢に関するものである。
請求項3に係る本発明は、前記高甘味度甘味料が、スクラロース及び/又はステビアである、請求項2に記載の濃厚すし酢に関するものである。
請求項4に係る本発明は、前記濃厚すし酢が、長期保管に伴う酸度低下を生じにくいものである、請求項1〜3のいずれかに記載の濃厚すし酢に関するものである。
請求項5に係る本発明は、酢酸濃度4.0質量/容量%以上であり且つ塩分10質量/容量%以上の濃厚すし酢を製造するにあたり、;4糖以下の糖質を含有させないか又は合計で50質量/容量%以下の量で含有させ、且つ、高甘味度甘味料を用いて甘味度を55以上に調整することを特徴とする、長期保管に伴う酸度低下が生じにくい濃厚すし酢の製造方法に関するものである。
本発明の濃厚すし酢は、‘炊飯米に混合する量が少ない’にもかかわらず‘炊飯米に混合しやすい’すし酢を提供するものである。
これにより、本発明の濃厚すし酢は、酢飯を製造する際に少量のすし酢を用いればよく、また炊飯米への混合も容易であるため取扱いが極めて容易である。
また、本発明の濃厚すし酢は、酢酸濃度当たりの容量および重量が小さくなるため輸送コストが格段に小さくなる。
また、本発明の濃厚すし酢は、濃厚すし酢として‘満足の得られる風味を有する’ものである。
そして、単に食酢、糖類、食塩を濃厚にしたすし酢は長期保管による酸度の低下というすし酢としては決定的な欠点を有してしまうところ、本発明の濃厚すし酢は、そのような欠点を改善したものである。即ち、本発明の濃厚すし酢は、‘長期保管に伴う酸度低下が生じにくい’ものである。そのため、上記したような濃厚液状すし酢のメリットを十分に享受し得るものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における‘濃厚すし酢’とは、一般的なすし酢よりも濃厚に製造されており、所定の風味の酢飯を製造するに当たり、通常のすし酢よりも少量用いればよいように調整されたすし酢を指す。
ここで、すし酢とは、炊飯米(または炊飯時に浸漬米)に混合して酢飯を作ることを目的とした液状調味料を指す。
なお、液状とは、固形状や粉末状とは異なるという意味合いであって、粘度が付いたもの(例えば300cp程度)も当然に含まれるものであり、炊飯米との混合が可能な範囲においてペースト状、ゲル状などの商品形態であっても構わない。
また、本発明の濃厚すし酢の包装形態は特に限定はなく、例えば、比較的少量の包装用ビンやプラスチックボトル、20L程度のプラスチック包装材料、1tコンテナ、ローリー車、など様々な包装形態を採用することができる。
通常のすし酢は、一般的には酢酸濃度が2.0〜3.5質量/容量%程度、塩分は5〜8%程度、砂糖などの糖類は30〜50%程度であるところ、本発明の濃厚すし酢は、酢酸濃度4.0質量/容量%以上、塩分10質量/容量%以上、甘味度55以上に調整されたものである。
そのため、通常のすし酢は酢飯を作る際に炊飯米100(1kg)当たり8〜11(80〜110g)程度の割合で混合することが一般的であるが、本発明の濃厚すし酢は炊飯米100(1kg)当たり例えば1〜6(10〜60g)程度の割合で混合することで、通常のすし酢を用いた場合と変わらない品質の酢飯を製造することができるものである。
<酢酸濃度>
ここで酢酸濃度とは、すし酢の容量当たりの酢酸の含有質量であり、例えば、食酢JASにも示されている通り水酸化ナトリウム溶液による滴定によって測定することができる。
一般的なすし酢は、酢酸濃度が2.0〜3.5質量/容量%程度である。そのため、酢酸濃度が4.0質量/容量%未満のすし酢は、本発明の目的を達成する濃厚なすし酢とは言えず、少ない量で酢飯を製造することが達成できない。このことから、本発明においては、酢酸濃度の下限を4.0質量/容量%とした。
本発明の濃厚すし酢の酢酸濃度範囲は、求める濃厚度合いによるが、好ましくは4.0質量/容量%以上9質量/容量%以下、さらに好ましくは4.2質量/容量%以上8質量/容量%以下とする。
酢酸濃度は、濃厚にすればするほど炊飯米当たりの使用量を減少させることができる面では好ましいが、その反面濃厚過ぎると炊飯米当たりの使用量が少なくなり過ぎて炊飯米への均一分散が困難になるため、前記した範囲が好ましい。
なお、本発明のすし酢は、保管中の酢酸濃度の低下(酸度低下)が気にならない程度まで少なくなるように工夫されたものであるが、4糖以下の糖質の使用量によっては若干の酸度低下は発生し得る。
酢酸濃度は、消費者の所で使用する場合の濃度が重要であるため、本発明におけるすし酢の酢酸濃度は、包装容器への充填直後の酢酸濃度ではなく、所定期間(例えば8週間)経過後の酢酸濃度で見ることが妥当である。
<塩分濃度>
本発明における塩分は、酢飯に塩味を付与するためにすし酢に含有する塩化ナトリウム、塩化カリウム等の食用塩類の、すし酢の容量当たりの含有質量である。例えば、硝酸銀溶液による電位差滴定によって測定することができる。
塩分が10質量/容量%未満のすし酢は、本発明の目的を達成する濃厚なすし酢とは言えず、少ない量で酢飯を製造することが達成できないため、本発明においては塩分の下限を10質量/容量%とした。
本発明の濃厚すし酢の塩分の範囲は、求める濃厚度合いによるが、好ましくは10質量/容量%以上25質量/容量%以下、さらに好ましくは12質量/容量%以上20質量/容量%以下とする。
塩分濃度は、濃厚にすればするほど当たりの使用量を減少させることができる面では好ましいが、その反面濃厚過ぎると炊飯米当たりの使用量が少なくなり過ぎて炊飯米への均一分散が困難になるため前記した範囲が好ましい。
<酸度低下の克服>
本発明の濃厚すし酢は、後述する特定範囲の甘味度を有するように、甘味料を含むものである。そして、本発明の濃厚すし酢は、甘味料として、糖質、非糖質の甘味料のいずれのものを含有させることができるが、4糖以下の糖質を含まないか、もしくは、4糖以下の糖質を含む場合には、50質量/容量%以下の量で含有させるものである。
なお、4糖以下の糖質を、50質量%以上含有させた場合、酢酸濃度の著しい低下がもたらされる。この原因は定かではないが、本発明者らは4糖以下の糖質のヒドロキシル基に酢酸が結合することに起因するのではないかと推察している。
本発明者らが実際に、食品に用いる代表的な甘味料を広く用いて酸度低下を試験した結果、4糖以下の糖質では漏れなく酸度低下をもたらし、それ以外の甘味料では全く酸度低下をもたらさなかったのである。
4糖以下の糖質の例としては、グルコース(ぶどう糖)、フルクトース(果糖)、ソルビトールなどの単糖、スクロース(砂糖)、マルトース、トレハロース、マルチトール、などの2糖、マルトトリオースなどの3糖、マルトテトラオースなどの4糖が挙げられる。また、4糖以下の糖質が複数含まれている水飴や異性化糖なども挙げられる。これらはいずれも酸度低下をもたらすことが確認できた。
なお、後述する実施例においてその一部(グルコース、フルクトース、砂糖、マルトトリオース、マルトテトラオース)を示した。
また、「4糖以下の糖質」ではない甘味料の例としては、非糖質系の天然甘味料であるステビア、甘草(グリチルリチン)、非糖質系の人工甘味料であるサッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、5糖以上の糖質であるマルトペンタオース、シクロデキストリンなどが挙げられる。これらは、スクラロース以外はいずれも酸度低下をもたらさないことが確認できた。
本発明の濃厚すし酢においては、酢酸濃度の著しい低下を防ぐため、4糖以下の糖質を50質量/容量%以下、好ましくは40質量/容量%以下で含有するものである。また本発明の濃厚すし酢には、前記4糖以下の糖質を含まない(つまり、0質量%で含有する)ものも含まれるが、4糖以下の糖質が所望の場合は、著しい酸度低下をもたらさない範囲であれば含ませても構わない。
なお、スクラロースは上記の通り4糖以下の糖質と同様に酢酸濃度の低下をもたらすことがわかったが(実施例参照)、スクラロースの甘味度は、スクロース(砂糖)の約600倍(甘味度60000)の甘味を有することから、極少量(例えば、甘味度が132で酢酸濃度12%の濃厚すし酢を作製する場合であっても、約0.2質量/容量%以下)で用いることになる。そのため、濃厚すし酢を製造する際の酸度低下に与えるスクラロースの影響は、実質的には無視できる程度のものと認められる。
なお、スクラロースが酢酸濃度低下をもたらす原因は定かではないが、スクラロースはスクロース(砂糖)のハロゲン誘導体であり、スクロースと非常に似た構造をしていることから4糖以下の糖質が酸度低下をもたらすのと同様の原因によるものと本発明者らは推察している。
<甘味度調整>
本発明の濃厚すし酢は、甘味度を55以上に調整するものであり、また、求める濃厚度合いによるが、好ましくは55以上200以下、さらに好ましくは60以上180以下、最も好ましくは60以上150以下とするものである。
ここで、本発明における甘味度とは、砂糖の甘味を100としたときの甘味の強さを表した値である。
甘味度は、濃厚にすればするほど炊飯米当たりの使用量を減少させることができる面では好ましいが、その反面濃厚過ぎると炊飯米当たりの使用量が少なくなり過ぎて炊飯米への均一分散が困難になるため前記した範囲が好ましい。
なお、上記甘味度を有する濃厚なすし酢の製造において、例えば、甘味料として砂糖(2糖の糖質)のみを用いた場合、砂糖を50質量/容量%以上含有させる必要があるため、酢酸濃度の低下を招いてしまう。また、砂糖を50質量/容量%以下とすると濃厚なすし酢としては甘味が不十分となってしまう。
そこで、本発明においては、砂糖(4糖以下の糖質)は50質量/容量%以下として、後述する甘味料を用いて甘味を補うことによって、濃厚なすし酢として満足の得られる甘味に調整することができる。
本発明において甘味度調整に用いる甘味料としては、「4糖以下の糖質」以外の甘味料を用いることができる。例えば、前記した5糖以上の糖質、非糖質系の天然甘味料や人工甘味料、などを用いることができる。
この内、甘味度が高い甘味料である‘高甘味度甘味料’を用いる方が、少量で甘味度を向上させることができるため好ましい。
特に、甘味度10000以上の甘味料が好ましく、さらには甘味度20000以上の甘味料が好ましい。例えば、ステビア(甘味度20000)、甘草(甘味度5000)、サッカリン(甘味度50000)、アスパルテーム(甘味度20000)、アセスルファムカリウム(甘味度20000)、スクラロース(甘味度60000)などを好適に用いることができる。
後述する実施例においてその一部(スクラロース、ステビア、アセスルファムカリウム、アスパルテーム)を示したが、この中でもスクラロースやステビア(特にスクラロース)は、砂糖の味質に近く、また酸性化の安定性の面からも本発明の濃厚すし酢に用いる甘味料として最も適している。なお、前述した通り、スクラロースは多量(例えば50質量/容量%以上)用いれば酢酸濃度低下をもたらすが、実質的には極少量(例えば、甘味度が132で酢酸濃度12%の濃厚すし酢を作製する場合であっても、約0.2質量/容量%以下)しか用いないため、甘味調整剤として問題なく用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の技術範囲はこれらにより限定されるものではない。
<試験例1> (濃厚すし酢の酢酸濃度低下の検証)
表1の処方の原料を均一に混合し、1L用PET製容器に1Lずつ充填してすし酢1〜3を完成した。
作製したすし酢1〜3について、充填直後のもの及び30℃で120日間保管したものについて酢酸濃度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2011030524
表1が示すように、保管によって酢酸濃度が低下していることが分った。特に、濃厚程度が高くなるに連れて、酢酸濃度低下が著しくなることが分った。詳しく見ると、濃厚程度が高くなるに連れて酢酸濃度の低下の絶対値が大きくなるだけでなく、相対的な割合も低下していることが分った。
この結果から、通常のすし酢においては問題にならない酢酸濃度の低下が、濃厚なすし酢にすることによって許容できないほどの酢酸濃度の低下をもたらすことが明らかとなった。
<試験例2> (酢酸濃度低下の原因の検証)
表2の処方にした以外は試験例1と同様にして、すし酢4〜6を作製した。なお、ここで作製したすし酢4〜6は、試験例1のすし酢1における酢酸濃度、塩分、糖質含量を別々に2倍の濃度としたものであり、それぞれの成分が酢酸濃度低下に与える影響を調べるためのものである。
作製したすし酢について、充填直後のもの及び30℃で120日間保管したものについて酢酸濃度を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2011030524
表2が示すように、酢酸濃度を2倍にしたすし酢(すし酢4)と塩分を2倍にしたすし酢(すし酢5)では、酢酸濃度の低下割合は表1の通常濃度のすし酢(すし酢1)と同程度であることが分った。つまり、酢酸濃度の低下は、塩分濃度と酢酸濃度とは関係がないことが示された。
それに対して、砂糖(糖質)を2倍にしたすし酢(すし酢6)では、酢酸濃度が低下する割合が格段に大きいことが分った。つまり、糖質含量と酢酸濃度低下が密接に関係していることが判明した。
<試験例3> (酢酸濃度低下と甘味料の種類との関係)
続いて、表3に記載の様々な甘味料を用い、表4の処方に従って、試験例1と同様にしてすし酢7〜16を作製した。なお、すし酢7〜16は、高甘味度甘味料(ステビア、スクラロース)の溶解度に合せて甘味料の含量を20質量/重量%に調整した。
作製したすし酢について、充填直後のもの及び40℃で40日間保管したものについて酢酸濃度を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2011030524
Figure 2011030524
表4が示すように、重合度が1〜4の糖質(すし酢7〜11)、スクラロース(すし酢16)を用いたすし酢では、酢酸濃度の低下がほぼ同レベルで生じることが分った。
それに対して、重合度が5以上の糖質(すし酢12,13)、ステビア(すし酢14)、アセスルファムカリウム(すし酢15)を用いたすし酢では、酢酸濃度の低下が生じないことがわかった。
このことから、酢酸濃度の低下は、甘味度に起因するのではなく、甘味料の種類、構造に影響することが明らかとなった。
<試験例4> (酢酸濃度低下と糖質量の関係)
(1)酢酸濃度の測定
次に、表5の処方のように4糖以下の糖質である砂糖とぶどう糖の配合量を変化させて試験例1と同様にしてすし酢17〜22を作製した。
作製したすし酢について酢酸濃度を測定し、その後40℃で40日間保管した。保管後のすし酢についても酢酸濃度を測定した。結果を表5に示す。
(2)官能評価
また、別途前記と同様にしてすし酢17〜22を作製したもの(40℃保管していない容器充填直後のもの)を用意し、充填直後のすし酢及び40℃で40日間保管したすし酢をそれぞれ、炊飯米1kgに45mlずつ混合してすし飯を作製した。
作製したすし飯について、充填直後のすし酢を用いたすし飯と40℃で40日間保管したすし酢を用いたすし飯を比較して、酸味の強さの官能検査を行った。
また、保管後のすし酢を用いて作製したすし飯について、試験例1のすし酢1(通常すし酢。甘味度32.5)を炊飯米1kgに90ml(2倍濃厚のすし酢17〜22の倍量)混合して作製したすし飯と比較して甘味についても官能検査を行った。
結果を表5に示す。なお、官能検査結果は◎(好ましい)、○(許容範囲内)、×(好ましくない)の記号を付した。なお、表6にコメントを付した。
Figure 2011030524
Figure 2011030524
表5,6が示すように、4糖以下の糖質の量が50質量/容量%以下(500g/1000ml以下)(すし酢17、18、21)であれば、保管による酢酸濃度の低下が許容できる範囲であるが、それより多く含有すると(すし酢19、20、22)酢酸濃度の低下が著しく、すし酢として好ましくないことがわかった。しかし、これらの量が50質量/容量%以下としたすし酢は、甘味度も低く、すし酢としての甘味は不十分であることがわかった。
なお、すし酢22は、4糖以下の糖質を55質量/容量%含むが、甘味度が49と低いため甘味が不十分と評価された。なお、試験例1のすし酢1(甘味度32.5)はすし酢17〜22の倍量用いているので2倍濃厚すし酢の甘味度65と同等の甘味となることが予想されたが、すし酢20の方が強い甘味を感じたのは、おそらく酢酸濃度が低下したことによって相対的に甘さを強く感じたものと推察される。
<試験例5> (甘味度及び甘味度調整の検証)
表7の処方のように砂糖(4糖以下の糖質)の配合量、非糖質の高甘味度甘味料(ステビア、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム)の配合量を変化させて、試験例1と同様にしてすし酢23〜30を作製した。なお、表7において、これらの高甘味度甘味料を、「ステ」、「スク」、「アセ」、「アス」と略して記載した。
作製したすし酢について試験例4と同様にして保管、分析及び評価を行った。酢酸濃度を測定し、その後40℃で40日間保管した。保管後のすし酢についても酢酸濃度を測定した。
結果を表7に示す。なお、官能検査結果は◎(好ましい)、○(許容範囲内)、×(好ましくない)の記号を付した。なお、表8にコメントを付した。
Figure 2011030524
Figure 2011030524
表7,8の結果を見てわかるように、4糖以下の糖質の含量を50質量%以下とすることで不足した甘味を、4糖以下の糖質以外の甘味料(高甘味度甘味料など)により補うことで、すし酢として満足のいく甘味にすることができることがわかった。なお、もちろん、4糖以下の糖質以外の甘味料によって甘味を補っているため、酢酸濃度低下の問題も生じないことも確認できた。
中でも、スクラロースを用いると、甘味の質が砂糖に近いため、味への影響が少なく好ましいこともわかった。酸度低下を抑えることが可能であり
<実施例1> (濃厚倍率を増やした場合の酸度低下と混ぜ具合の検証)
表9の処方にした以外は試験例1と同様にしてすし酢31〜33(濃厚すし酢)を作製した。
作製したすし酢について酢酸濃度を測定し、その後40℃で40日間保管した。保管後のすし酢についても酢酸濃度を測定した。
また、40日間保管後のすし酢31〜33を炊飯米に混合して酢飯を作製した。なお、炊飯米への混合量は、炊飯米100当たりの理論上の酢酸濃度が0.3質量/容量%となる量に調整して混合した(混合量は表9に記載)。
炊飯米への混合のしやすさは、混合具合と混合後のむらの有無を官能的に評価した。
結果を表9に示した。なお、官能検査結果は◎(好ましい)、○(許容範囲内)、×(好ましくない)の記号を付した。なお、表10にコメントを付した。
Figure 2011030524
Figure 2011030524
すし酢31〜33(濃厚すし酢)は、酢酸濃度の低下は少なく、商品として問題ないものであった。
また、炊飯米への混合程度は濃厚程度が少ない方が混合しやすいが、例えば4倍に濃縮したすし酢33(濃厚すし酢)であっても商品としては許容できる範囲であり、水に希釈するなどによって用いれば全く問題ない。
本発明の濃厚すし酢によれば、酢飯を製造する際に少量のすし酢を用いればよく、また炊飯米への混合も容易であるため取扱いが極めて容易である。
また、本発明の濃厚すし酢は酢酸濃度当たりの容量ならびに重量が小さくなるため輸送コストが格段に小さくなる。
なお、単に食酢、糖類、食塩を濃厚にしたすし酢は長期保管による酢酸濃度の低下というすし酢としては決定的な欠点を有してしまうところ、本発明の濃厚すし酢はそのような欠点を改善したものであるため、上記したような濃厚液状すし酢のメリットを十分に享受し得るものである。

Claims (5)

  1. 酢酸濃度4.0質量/容量%以上、塩分10質量/容量%以上であって、4糖以下の糖質を含有しないか又は合計で50質量/容量%以下の量で含有し、且つ甘味度が55以上であることを特徴とする、濃厚すし酢。
  2. 甘味度10000以上の高甘味度甘味料を含有する、請求項1に記載の濃厚すし酢。
  3. 前記高甘味度甘味料が、スクラロース及び/又はステビアである、請求項2に記載の濃厚すし酢。
  4. 前記濃厚すし酢が、長期保管に伴う酸度低下を生じにくいものである、請求項1〜3のいずれかに記載の濃厚すし酢。
  5. 酢酸濃度4.0質量/容量%以上であり且つ塩分10質量/容量%以上の濃厚すし酢を製造するにあたり、;4糖以下の糖質を含有させないか又は合計で50質量/容量%以下の量で含有させ、且つ、高甘味度甘味料を用いて甘味度を55以上に調整することを特徴とする、長期保管に伴う酸度低下が生じにくい濃厚すし酢の製造方法。
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JP2015027263A (ja) * 2013-07-30 2015-02-12 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 寿司酢及びそれを用いた寿司飯の食感改良方法
JP2021168633A (ja) * 2020-04-17 2021-10-28 日清オイリオグループ株式会社 米飯類の製造方法、調味液、及び米飯類の芯の抑制方法

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