JP2011029836A - 撮像装置及び撮像方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】異なる効果をもたらす2つのモードを選択的に採用できるようにする。
【解決手段】画素信号を生成する少なくとも2つの領域に分割された画素部と、画素部の分割された各領域20a,20bに対応して設けられ、領域20a,20bからの画素信号の読み出しを制御する駆動制御部30とを備える。また、画素部から出力された1画面分の画素信号を蓄積する蓄積部と、入力されたフレームレートの設定値に基づいて蓄積部からの画素信号の読み出しを制御するタイミング制御部とを備えた。その上で、フレームレートが所定の閾値を超えている場合は、画素部の各領域20a,20bからの画素信号の読み出しを時間的に並行に行わせるための制御を行う。一方、フレームレートが所定の閾値以下である場合には、画素部の各領域20a,20bからの画素信号の読み出しを時間的に連続して行わせるための制御を行うようにした。
【選択図】図7

Description

本発明は、例えば、一画面上での露光のタイミングがイメージエリア内でずれる方式のイメージセンサを備えた撮像装置及び撮像方法に関する。
従来、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)方式のイメージセンサにおいてセンサの読み出し高速化を図る手法として、イメージエリア(画素部)をいくつかの領域に分割して、それぞれの領域の画素を独立して読み出す手法が知られている。例えば特許文献2には、イメージエリアを2つの領域に分割し、それぞれを独立に読み出せるようにする技術が記載されている。
特開2005−323331号公報 特開2008−160438号公報
しかしながら、CMOSイメージセンサのように、画素信号を出力した画素がその時点から再び電荷の蓄積を開始するタイプのイメージセンサでは、イメージエリアの一画面上での露光のタイミングが画面内でずれてしまうという問題が発生する。これに起因して、動く被写体を撮影して得られた画像にひずみ(ローリング歪み)が生じてしまうことがあった。
図16(a)に示すように、2160行(ライン)で構成されるイメージエリア200内の各画素で得られた画素信号を、1ライン目から2160ライン目まで順に読み出す(スキャンする)例を考えてみる。イメージエリア200の上側には、イメージエリア200内の各画素列に対応したADC201が設けられている。なお、図16においてはADC201を1つのみ示しているが、実際には、画素列の数に対応する数だけADC201が個別に設けられているものとする。
イメージエリア200をこのようにスキャンする場合で、図16(b)〜図16(d)に示すように、時間の経過に従ってオブジェクトO1が画面の左方向から右方向に移動する場合を想定する。この場合は、最終的に得られる画像は、図16(e)に示すように歪んだものとなってしまう。つまり、オブジェクトO1を構成する垂直の線が斜め左の方向に傾いた絵が生成されてしまう。
イメージエリアを分割してそれぞれを独立に読み出す方式を採用した場合には、このローリング歪みはより顕著なものとなる。図17に示すように、イメージエリア200を上下方向の2つの領域に分割し、上側の領域200−1は上から下の方向に、下側の領域200−2は下から上の方向にスキャンする場合を想定する。図17(a)に示すように、上側の領域200−1で得られた画素信号のAD変換はADC201−1が行い、下側の領域200−2で得られた画素信号のAD変換はADC201−2が行う。
つまり、動作的には、イメージエリア200−1の1ライン目の読み出しとイメージエリア200−2の2160ライン目の読み出しとが同時に開始される。そして、1080ライン目の読み出し完了と1081ライン目の読み出し完了のタイミングが一致するようになる。
イメージエリア200をこのようにスキャンする場合で、図16(b)〜図16(d)に示すように、時間の経過に従ってオブジェクトO1が画面の左方向から右方向に移動する場合を想定する。この場合は、最終的に得られる画像は、図16(e)に示すように歪んだものとなってしまう。つまり、画面の上半分ではオブジェクトO1を構成する垂直の線が左斜め方向に傾き、下半分では右斜め方向に傾いたような絵が生成されてしまう。
図18に示すように、イメージエリア200−1とイメージエリア200−2の両方において、画面の上から下の方向に読み出すようにした場合にも、ローリング歪みは発生する。図16や図17に示した例と同様に、オブジェクトO1が画面内を左から右方向に移動する場合は、最終的に得られる画像は図18(e)に示すように、オブジェクトO1を構成する垂直の線が両イメージエリア200において左斜め方向に傾いたものとなる。つまり、垂直方向の線がギザギザとなった絵が生成されてしまう。
つまり、図17〜図18に示すように、イメージエリア200を分割してそれぞれを独立に読み出す場合には、読み出しの速度を高速化することができるが、最終的に得られる画像にローリング歪みが発生してしまうことを避けられない。一方、図16に示すようにイメージエリア200を上側から下側に向かって順番にスキャンすれば、読み出し時間の短縮は図れないものの、ローリング歪みをより自然なものとすることができる。
従来のイメージセンサにおいても、イメージエリア200の読み出し方向やイメージエリア200の分割数を変えることはできる。しかし、読み出し速度の高速化とローリング歪みの低減とのいずれかの効果を択一的に選択できるようにはなっていないという問題があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、1画面内の露光タイミングの同時性が保たれないイメージセンサを用いる場合に、異なる効果をもたらす2つのモードを選択的に採用できるようにすることを目的とする。
本発明の撮像装置は、レンズを通して入射される被写体の像光を光電変換して画素信号を生成する少なくとも2つの領域に分割された画素部と、画素部の分割された各領域に対応して設けられ、領域からの画素信号の読み出しを制御する駆動制御部とを備える。また、画素から出力された1画面分の画素信号を蓄積する蓄積部と、入力されたフレームレートの設定値に基づいて、蓄積部からの画素信号の読み出しタイミングを制御するタイミング制御部とを備えた。その上で、フレームレートが所定の閾値を超えている場合は、画素部の各領域からの画素信号の読み出しを時間的に並行に行わせるための制御を行う。一方、フレームレートが所定の閾値以下である場合には、画素部の各領域からの画素信号の読み出しを時間的に連続して行わせるための制御を行うようにした。
このように構成したことで、フレームレートの設定値の大きさに応じて、画素部の各領域からの画素信号の読み出しを時間的に並行に行うモードと、画素部の各領域からの画素信号の読み出しを時間的に連続して行うモードとが自動的に切り替えられる。すなわち、異なる効果をもたらす2つのモードが選択的に採用されるようになる。
本発明の一実施の形態による撮像装置の内部構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態によるロータリシャッタの構成例を示す説明図である。 本発明の一実施の形態によるロータリシャッタとイメージエリアとの位置的な対応を示す説明図である。 本発明の一実施の形態によるロータリシャッタの回転速度とイメージエリアの各位置における遮光又は露光のタイミングとの関係の例を示す説明図であり、(a)はa=0の場合のロータリシャッタの回転速度とイメージエリアの各位置における遮光又は露光タイミングとの関係を示し、(b)はa=0となるロータリシャッタと撮像素子との位置関係の例を示し、(c)はa=0.5の場合のロータリシャッタの回転速度とイメージエリアの各位置における遮光又は露光タイミングとの関係を示し、(d)はa=0.5となるロータリシャッタと撮像素子との位置関係の例を示す。 本発明の一実施の形態による、ロータリシャッタによるイメージエリアの遮光時間とイメージエリアの読み出し時間との対応を示した図であり、(a)はFPSが60Pの場合の例を示し、(b)はFPSが24Pの場合の例を示し、(c)はFPSが8Pの場合の例を示す。 本発明の一実施の形態によるイメージエリアの分割例を示した説明図であり、(a)は分割された領域の例を示し、(b)は第1のモード選択時のイメージエリアの読み出し方法の例を示し、(c)は第2のモード選択時のイメージエリアの読み出し方法の例を示す。 本発明の一実施の形態による撮像素子の内部構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態によるタイミング発生回路の内部構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態によるレジスタの構成例を示す説明図である。 本発明の一実施の形態による第1のモード実現用の設定の例を示す説明図であり、(a)はイメージエリアの読み出し方法の例を示し、(b)はVリセット信号とブロック選択信号とマスタ・カウンタとの関係の例を示し、(c)はレジスタの設定例を示す。 本発明の一実施の形態による第2のモード及びADダミー信号の有効画素読み出し後の読み出しを実現するための設定の例を示す説明図であり、(a)はイメージエリアの読み出し方法の例を示し、(b)はVリセット信号とブロック選択信号とマスタ・カウンタとの関係の例を示し、(c)はレジスタの設定例を示す。 本発明の一実施の形態による第2のモード及びADダミー信号の有効画素読み出し前の読み出しを実現するための設定の例を示す説明図であり、(a)はイメージエリアの読み出し方法の例を示し、(b)はVリセット信号とブロック選択信号とマスタ・カウンタとの関係の例を示し、(c)はレジスタの設定例を示す。 本発明の一実施の形態による、Vリセット信号の供給間隔が短い場合の、第2のモード及びADダミー信号の有効画素読み出し後の読み出しを実現するための設定の例を示す説明図であり、(a)はイメージエリアの読み出し方法の例を示し、(b)はVリセット信号とブロック選択信号とマスタ・カウンタとの関係の例を示し、(c)はレジスタの設定例を示す。 本発明の一実施の形態による、Vリセット信号の供給間隔が少し長い場合の、第2のモード及びADダミー信号の有効画素読み出し後の読み出しを実現するための設定の例を示す説明図であり、(a)はイメージエリアの読み出し方法の例を示し、(b)はVリセット信号とブロック選択信号とマスタ・カウンタとの関係の例を示し、(c)はレジスタの設定例を示す。 本発明の一実施の形態の他の例による、イメージエリアの分割例を示す図である。 従来のイメージエリアを上から下方向にスキャンした場合のローリング歪みの発生例を示す説明図であり、(a)はイメージエリアでのスキャン方向の例を示し、(b)〜(d)はスキャン位置の移動に伴うオブジェクトの位置の遷移を示し、(e)は最終的に得られた画像において発生するローリング歪みの例を示す。 従来の、上下2つの領域に分割された各イメージエリアを、上の領域は上から下の方向に、下の領域は下から上にスキャンした場合のローリング歪みの発生例を示す説明図であり、(a)はイメージエリアでのスキャン方向の例を示し、(b)〜(d)はスキャン位置の移動に伴うオブジェクトの位置の遷移を示し、(e)は最終的に得られた画像において発生するローリング歪みの例を示す。 従来の、上下2つの領域に分割された各イメージエリアを、上下の領域ともに上から下にスキャンした場合のローリング歪みの発生例を示す説明図であり、(a)はイメージエリアでのスキャン方向の例を示し、(b)〜(d)はスキャン位置の移動に伴うオブジェクトの位置の遷移を示し、(e)は最終的に得られた画像において発生するローリング歪みの例を示す。
以下、発明を実施するための形態(以下、本例とも称する)について説明する。本例の撮像装置は、フレームレート(Frame Per Second;以下FPSと称する)を任意の値に設定可能に構成してあるとともに、機械的回転シャッタを用いることにより、一画面での露光タイミングを一定のタイミングに制御可能に構成したものである。本例では、機械的回転シャッタとしてロータリシャッタを採用した場合を例に挙げるが、フォーカルプレーンシャッタ等の他のシャッタを用いるようにしてもよい。
さらに、本例の撮像装置は、ロータリシャッタのイメージエリアの走査速度に応じて、画素信号の読み出し速度高速化を優先する第1のモードと、ローリング歪みの軽減を優先する第2のモードとを選択的に切り替えることを行う。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.撮像装置の全体構成例
2.ロータリシャッタの回転速度とローリング歪みとの関係性について
3.第1のモードと第2のモードの概要説明
4.第1のモードと第2のモードの実現手段の詳細(撮像素子及び撮像素子内のタイミング発生回路の構成例)
5.第1のモードと第2のモードの具体的な設定例
6.変形例
1.撮像装置の全体構成例
まず、図1と図2を参照して、本実施の形態による撮像装置の全体構成例について説明する。ここでは主にロータリシャッタ使用による露光タイミングの制御を実現する構成について説明し、上述した第1のモードと第2のモード実現の具体的手段については、図3以降の図を参照して後述する。なお、本例では、ローリング歪みの軽減を優先する第2のモード選択時においては、ロータリシャッタ3を使用した露光タイミングの制御は行わないようにする。
図1は、本実施の形態による撮像装置100の構成例を示した図である。撮像装置100はカメラコントロールユニット10(以下、CCU10と称する)と接続してある。そして、撮像装置100とCCU10との間では、例えばHD−SDI(High Definition-Serial Digital Interface)の規格に基づいて映像信号や制御信号がやりとりされる。
CCU10から撮像装置100に対しては同期信号が送信され、その同期信号に基づいて撮像装置100のフレーム同期周波数が決定される。そしてこのフレーム同期周波数は、撮像装置100においてだけでなく、撮像装置100に接続された記録再生装置や表示装置(いずれも図示略)においても統一的に使用される。
また、CCU10から撮像装置100に対しては、撮像素子2での撮影間隔を規定するFPSの情報も送信される。フレーム同期周波数をP_Fとすると、フレーム同期周波数P_FとFPSは、下記に示す関係で使用される。
P_F≧FPS
例えば、撮像装置100の撮像素子2の駆動最高速度が240P(240frames/s progressive)である場合には、フレーム同期周波数は240Pに設定される。そしてこの場合、FPSの値は、ユーザによって1〜240Pまでの範囲内での任意の値に設定される。フレーム同期周波数P_Fと映像信号との位相関係は、P_F=FPSである場合のみ一定の位相関係に固定することもできるが、それ以外の場合はロックすることができない。つまり一般に不定と考えてよく、FPSの値は、フレーム同期周波数P_Fに縛られることなく、P_Fを超えない範囲内で自由に設定することができる。
図1に示す撮像装置100は、レンズ1と、レンズ1を通して入射した被写体の像光を光電変換して映像信号を生成する撮像素子2と、撮像素子2のイメージエリアを所定の間隔で開口又は遮光するロータリシャッタ3とを備える。撮像素子2は、例えばCMOSイメージセンサで構成される。
また、レンズ1と撮像素子2の間には、ロータリシャッタ3を設けてある。ロータリシャッタ3の回転は、シャッタ駆動モータ4と、シャッタ制御部5と、シャッタ位置検出部6とによって制御される。シャッタ駆動モータ4は、ロータリシャッタ3を回転駆動させる。シャッタ制御部5は、シャッタ駆動モータを制御する。シャッタ位置検出部6は、ロータリシャッタ3の回転位置(回転位相)を検出してシャッタ制御部5に出力する。
ここで、図2を参照して、ロータリシャッタ3の構成例について説明する。ロータリシャッタ3は、図中に斜線で示した2箇所遮光部Clのと、それ以外の部分である開口部Opとで構成され、ロータリシャッタ3が一回転する間に、遮光と開口とが2回繰り返されるよう構成してある。なお、本実施の形態ではロータリシャッタ3に2箇所の遮光部Clを設けた例を挙げたが、この構成に限定されるものではなく、1箇所や3箇所等に設けるようにしてもよい。
このように構成されたロータリシャッタ3の開口部Opが撮像素子2のイメージエリアの前面に配置されたときには、レンズ1から入射した被写体光がイメージエリアに取り込まれて、受光信号が蓄積される。一方、撮像素子2のイメージエリアの前面に遮光部Clが配置されたときには、イメージエリアには受光信号が蓄積されない。
ロータリシャッタ3の円板の円周部には、円周上の位置を示す白と黒のマーキングMaが、例えば1周に30個等、所定の等間隔で配置されている。シャッタ位置検出部6は、これらのマーキングを読み取ることによりロータリシャッタ3の回転位置(位相)を検出する。具体的には、図示せぬセンサで黒のマーキングを読み取ったタイミングでパルス信号Paを立ち上げ、白のマーキングを読み取るとパルス信号を立ち下げる。
ロータリシャッタ3の円周上に設けられた黒のマーキングのうち、1周に1箇所だけ他とは形状を変えてあり、シャッタ位置検出部6は、このマーキングMbを読み取ったタイミングで、パルス幅の異なるパルス信号Pbを生成してシャッタ制御部5に供給する。なお、本実施の形態では、他とは形状を異ならせたマーキングMb(第2の印)を1周で1箇所設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、1周に2箇所等に設けるようにしてもよい。
シャッタ制御部5は、シャッタ位置検出部6から入力されるパルス信号Paの出力回数をカウントするカウンタ(図示略)を備えている。このカウンタの値は、パルス信号Pbが入力されるタイミングでリセットされる。これにより、シャッタ制御部5は、カウンタによるカウント値Crによって、映像信号のフレームの開始地点や、ロータリシャッタ3が撮像素子2を実際に遮光しているか否かといった、ロータリシャッタ3の物理的な配置位置情報を把握することができる。
本実施の形態では、ロータリシャッタ3の遮光部Clが撮像素子2を遮光する位置に来たときに、シャッタ制御部5がフレームの読み出し開始を指示するフレーム開始信号を生成して、撮像素子制御部7に出力する。
また、シャッタ制御部5は、CCU10から伝送されたFPS情報に基づいてロータリシャッタ3の回転数を制御する。シャッタ制御部5には、FPS情報とともに、シャッタ位置検出部6から出力されたシャッタ位置情報も入力される。そしてこれらの情報に基づいて、FPS情報により定まるロータリシャッタ3の目標回転位置(位相)と、シャッタ位置検出部6で検出された実際の回転位置(位相)との誤差を吸収する方向に修正したモータ制御信号を生成して、シャッタ駆動モータ4に供給する。つまり、シャッタ位置検出部6とシャッタ制御部5とシャッタ駆動モータ4とで、フィードバックループが形成されている。
撮像装置100はさらに、撮像素子2の動作を制御する撮像素子制御部7と、信号処理部8と、送受信部9と、シリアルI/O(Input/Output)エンコーダ11と、位相比較部12と、電圧制御発振部13と、タイミング制御部14を備える。
撮像素子制御部7は、撮像素子2の図示せぬ水平・垂直走査回路を駆動して、画素信号の読み出しの制御を行う。撮像素子制御部7は、第1のモードが選択された場合には、シャッタ制御部5からフレーム開始信号を受信したタイミングで、撮像素子2に対して、1画面(フレーム)分の画素信号の読み出しを指示する同期信号を出力する。撮像素子2で読み出された1画面分の画素信号は、信号処理部8に出力される。1画面分の映像信号の読み出しを指示する同期信号は、シャッタ制御部5からフレーム開始信号が入力されない間は出力されない。
つまり、第1のモードが選択された場合には、撮像素子2からの画素信号の読み出しは、シャッタ位置検出部6からフレーム開始信号が入力されるときにのみ実行されるようになる。そして、シャッタ位置検出部6からフレーム開始信号が出力されたときには、前述したシャッタ制御部5の制御によってロータリシャッタ3の遮光部Clが撮像素子2の前面に配置されているはずである。これにより、撮像素子2からの画像信号の読み出しは、必ず遮光中に行われるようになる。
一方、第2のモードが選択された場合には、シャッタ制御部5によるシャッタ駆動モータ4の制御は、停止するようにする。すなわち、第2のモードが選択された場合には、ロータリシャッタ3は駆動されなくなる。
信号処理部8は、撮像素子2から読み出された画素信号に対して、信号の黒レベルを一定の基準値に固定するためのクランプ処理や、輪郭を強調する輪郭強調処理、表示デバイスのガンマ特性に合わせてガンマ値を調整するガンマ補正等の信号処理を施す。信号処理部8においてこのような処理が施されることにより、画素信号から映像信号が生成される。図1においては、これらの処理を行うモジュールの図示を省略してある。
信号処理部8は、これらの処理を行うモジュールの他に、撮像素子2から出力された映像信号から同期信号を分離する同期信号分離部81と、1画面分の映像信号を蓄積するフレームメモリ82(蓄積部)を有する。また、CCU10から伝送されたリターン映像に重畳されている同期信号を分離する同期信号分離部83を有する。
同期信号分離部81は、入力された映像信号に重畳されているSAV(Start Of Active Video)やEAV(End Of Active Video)等の同期コードを分離して同期信号を生成し、映像信号及び同期信号をフレームメモリ82に供給する。フレームメモリ82は、例えばアシンクロナスFIFO(First In First Out)メモリ等で構成され、同期信号分離部81から供給される同期信号によってフレーム同期をとりながら、映像信号の書き込みを行う。
一方、フレームメモリ82からの映像信号の読み出しは、CCU10から供給されるFPS情報に基づいて、かつCCU10から供給されるフレーム同期信号に同期して行われる。
送受信部9は、信号処理部8のフレームメモリ82から出力される映像信号をHD−SDI信号等の周波数多重化信号に変換してCCU10に伝送するとともに、CCU10から伝送された周波数多重化信号をエンコードする処理を行う。エンコードして得た戻り映像の信号は同期信号分離部83に出力し、FPS情報等が記載されたシリアルデータはシリアルI/Oエンコーダ11に出力する。シリアルI/Oエンコーダ11は、入力されたシリアルデータをその情報を必要とするモジュールに書き込む。シリアルデータとしてFPS情報が伝送された場合には、FPS情報をシャッタ制御部5に供給する。
同期信号分離部83は、映像信号に重畳されたSAVやEAV等の同期コードを分離して水平同期信号Hとフレーム同期信号Fを抽出し、抽出した水平同期信号Hをタイミング制御部14と位相比較部12に供給する。抽出したフレーム同期信号Fは、タイミング制御部14に出力する。タイミング制御部14は、同期信号分離部83から供給された水平同期信号Hと同じ周期の自走水平同期信号PHを生成して位相比較部12に出力する。
位相比較部12は、同期信号分離部83から入力された水平同期信号Hと、タイミング制御部14から入力された自走水平同期信号PHとの位相差を検出して、検出した位相差に応じた電圧を生成して電圧制御発振部13に供給する。電圧制御発振部13は、供給された電圧に応じて発振周波数を変化させることにより、同期信号分離部83から入力された水平同期信号Hと自走水平同期信号PHとの位相差がなくなるように調整する。そして、水平同期信号Hに位相がロックした発振周波数を有するシステムクロックCKを、タイミング制御部14やフレームメモリ82、シャッタ制御部5に出力する。
タイミング制御部14には、同期信号分離部83で分離されたフレーム同期信号Fも入力される。つまりタイミング制御部14は、CCU10から伝送された水平同期信号Hに同期しているとともに、フレーム同期信号Fにも同期して動作する。そして、位相を調整した水平同期信号PLHとフレーム同期信号PLFを、フレームメモリ82やシャッタ制御部5に供給する。
2.ロータリシャッタの回転速度とローリング歪みとの関係性について
次に、本例の撮像装置100におけるモード1とモード2の切り替え制御の説明を行うに際して、まず図3及び図5を参照して、ロータリシャッタ3の回転速度とローリング歪みとの関係性について説明する。
図3は、図2に示したロータリシャッタ3(1回転2開口)と、撮像素子2のイメージエリアとの位置的な対応を示した図である。図3において、図2と対応する箇所には同一の符号を付してある。ロータリシャッタ3の円板径は約70mm、円板の中央部分に設けられた光路径は約35mmであるものとする。
このようなロータリシャッタ3が、図3に示した右方向に回転することで、イメージエリア20が遮光又は開口される。図3においては、イメージエリア20の左上端の座標を(0,0)、右上端の座標を(1,0)、画面中央位置の座標を(0.5,0.5)、左下端の座標を(0,1)、右下端の座標を(1,1)と示してある。
図4(a)と図4(c)は、イメージエリア20の各位置をロータリシャッタ3が遮光又は開口するタイミングを、角度換算した値で示したものである。横軸はロータリシャッタ3の基準点A(図3参照)における角度θを示し、縦軸はロータリシャッタ3の透過率(相対的透過光量)を示す。
図4(a)は、
(ロータリシャッタ3の挿入位置から撮像素子2までの距離)/(瞳距離)=a
とした場合の、a=0の場合の例を示す。a=0とは、ロータリシャッタ3の回転面から撮像面までの距離q<<レンズ1の射出瞳からロータリシャッタ3の回転面までの距離pであることを意味する。すなわち、図4(b)に示すように、ロータリシャッタ3を撮像素子2の直前に配置した場合か、瞳距離が無限遠のレンズを使用した場合の例を示す。図4(c)は、a=0.5の場合の例を示したものである。a=0.5の場合とは、p=qであることを示す。すなわち、図4(d)に示すように、ロータリシャッタ3を、撮像素子2とレンズ1の射出瞳位置とのちょうど中間に配置した場合の例を示している。
図4(a)に示されるように、イメージエリア20の左上端の位置(0,0)が遮光されるタイミングと、左下端の位置(0,1)が遮光されるタイミングとが、角度に換算して約22°ずれている。これは、ロータリシャッタ3の回転速度が有限であることに起因する。つまり、イメージエリア20の遮光が開始されてから終了されるまでに、約22°に換算された時間がかかることになる。
図4(c)に示したa=0.5の場合の例、つまり、瞳との距離がより遠い場合には、イメージエリア20上の特定の位置において遮光(又は開口)が開始されてから終了されるまでの時間が、より長くなることが示されている。すなわち、イメージエリア20の特定の位置における遮光又は開口のタイミングが、イメージエリア20内の異なる位置間でより大きくずれることを意味する。
図5は、FPSを60P、24P、8Pのように変化させた場合の、ロータリシャッタ3によるイメージエリア20の遮光時間と、イメージエリア20の読み出しにかかる時間との関係を示した図である。図5では、これらの時間を回転角に換算して示している。図5(a)〜図5(c)の各図における横軸は回転角を示し、縦軸はロータリシャッタ3の透過率を示す。なお、図5におけるロータリシャッタ3の円板の大きさは図3に示したものと対応しているが、ロータリシャッタ3の構成は、説明を簡単にするために、1回転1開口であるものとして説明する。
図5(a)は、FPS=60Pとした場合の例を示した図である。この場合、360°で示される、ある画面を読んでから次の画面を読むまでにかかる時間は、16.7msとなる。また、ロータリシャッタ3によってイメージエリア20の一部が遮光され始めてからイメージエリア20の全面が完全に遮光されるまでの時間(遮光時間)をTsとすると、遮光時間Tsは、角度に換算して22°、時間で示すと1msとなる。一方、イメージエリア20を上方向から下方向に順方向に読み出す際にかかる時間(読み出し時間)をTrとすると、読み出し時間Trは、8.3msかかるものとする。
つまり、図5(a)に示すようにFPS=60Pの場合には、
(遮光時間Ts)/(読み出し時間Tr)≒1/8
となる。
この場合は、ロータリシャッタ3を使用することにより、画面の一番上端を読み出す時間と一番下端を読み出す時間との時間差を、1/8に短縮することができる。従って、その分ローリング歪みを抑制することができる。
これに対して、図5(b)に示すように、FPS=24Pの場合は、
(遮光時間Ts)/(読み出し時間Tr)
=2.5(ms)/8.3ms≒3/10となる。
つまり、ロータリシャッタ3を使用することによってもたらされるローリング歪みの改善効果が、FPSが60Pの場合と比べて弱くなってしまう。
さらに、図5(c)に示すように、FPS=8Pの場合は、
(遮光時間Ts)/(読み出し時間Tr)
=8(ms)/8.3ms≒1となる。
つまり、ロータリシャッタ3を使用することによってもたらされるローリング歪みの改善効果は、殆ど無いに等しいものとなってしまう。
すなわち、FPSをある一定の値(本例では8P)以下に設定して使用する場合には、イメージエリア20の露光位置と被写体の位置との関係によっては、ロータリシャッタ3を使用することで、ローリング歪みをより増大させてしまうこととなってしまう。
このような問題を解決するため、本例の撮像装置100では、FPSが8P以下に設定された場合には、ロータリシャッタ3の駆動を行わないようにする。それとともに、ローリング歪みをより自然なものとするために、イメージエリア20の読み出しを画面の上方向から下方向の順方向で行う。このようなモードを、第2のモードと称する。
一方、FPSが8Pより大きい値に設定された場合には、ロータリシャッタ3を駆動させてローリング歪みを抑制するとともに、イメージエリア20を分割した各領域を独立に読み出すことによって、おおよそ、Tr/2の時間で読み出せることになる。すなわち、読み出しの高速化を図ることができる。以下の説明では、このモードを、第1のモードと称する。このとき、ロータリシャッタ3の回転位相は、イメージエリア20における有効画素読み取り時にイメージエリア20を遮光するように制御される。
なお、本例では、モード切り替えの閾値としてFPS=8Pを採用しているが、この値に限定されるものではない。この値は、ロータリシャッタ3の円板の大きさや構成、イメージエリア20の読み出し速度等によって定まるものであるためである。モード切り替えの条件をより抽象的に表現すると、以下のようになる。
遮光時間Ts<読み出し時間Tr→第1のモード
遮光時間Ts≧読み出し時間Tr→第2のモード
3.第1のモードと第2のモードの概要説明
次に、図6と図7とを参照して、本例の撮像装置100による第1のモードと第2のモードとの実現手段の概要について説明する。本例の撮像装置100では、図6(a)に示すように、イメージエリア20を上下方向の2つの領域に分割している。そして、それぞれのエリアで得られた画素信号を、エリア内の各画素列に対応して設けたADC26a及び/又はADC26bがそれぞれ独立して読み取る。
また本例の撮像装置100は、ADC26aとADC26bのみを動作させた状態で得られる信号(以下、ADダミー信号と称する)をADC26bに読み取らせ、有効画素との差分をとることで、固定パターンノイズの除去も行えるようにしている。
モード1が選択された場合には、図6(b)に示すように、ADC26aによる画素信号の読み出しと、ADC26bによる画素信号の読み出しとを並行して行う。このとき、上側のイメージエリア20aの読み出しはライン1からライン1080の方向に行い、下側のイメージエリア20bの読み出しは、二点鎖線で示すようにライン2160からライン1081の方向に行うようにする。
なお、ADダミー信号の読み取りは、図6(b)に示した例では、有効画素領域内の画素信号の読み取りの終了後に行うようにしている。
このような方法で読み出しを行うことにより、画素信号の読み出しが高速化される。また、1080ライン目と1081ライン目とをほぼ同時に読み出すことで、外来ノイズ等が入ってきた場合でも、ノイズに対する影響の差が画面の上下の境目において出にくくなる。これにより、不自然な画になってしまうことを最小限にとどめることができる。
モード2が選択された場合には、まず、ADC26aが上側のイメージエリア20aの画素信号の読み出しを行い、続いてADC26bが下側のイメージエリア20bの読み出しを行うようにする。この場合の画素信号の物理的配置上における読み出し方向は、イメージエリア20aと20bのいずれにおいても、画面の上から下の方向に行う。(イメージエリア20aでは実線で示す方向、イメージエリア20bでは一点鎖線で示す方向)この場合も、ADダミー信号の読み取りは、各エリアにおいて画素信号の読み取りが終了したタイミング(上側のイメージエリア20aであれば1081ライン目のアドレスが指定されたタイミング)から開始するようにしている。
このような方法で読み出しを行うことにより、読み出しの高速化を図ることはできないが、最終的に得られる画像におけるローリング歪みが、図16(e)に示したもののようになる。つまり、図17(e)や図18(e)に示したものよりも、より自然な絵とすることができる。
4.第1のモードと第2のモードの実現手段の詳細
[撮像素子の内部構成例]
次に、図7〜図9を参照して、本例の撮像装置100による第1のモードと第2のモードとの具体的な実現手段について説明する。まず、図7のブロック図を参照して、撮像素子2(図1参照)の内部構成例について説明する。
図7に示す撮像素子2は、イメージエリア20a及びイメージエリア20bと、駆動制御部30a,30bと、カラム毎に配置されたADC26a及びADC26bとにより構成される。駆動制御部30には、行デコーダ・ドライバ回路21a,22a,21b,22bと、列選択回路27a,16bとが含まれる。なお、図7は機能ブロックの説明図であるため、図7に示した配置とシリコン・チップ上の実際の配置とは異なる。
イメージエリア20a内の各画素(図示略)が蓄積した電荷は、行デコーダ・ドライバ回路21aと22aによって指定された行毎に、列方向の信号線上に画素信号として読み出され、ADC26aに供給される。ADC26aでは、画素信号がデジタルの信号に変換する処理が行われる。なお、図7においてもADC26a(ADC26b)を1つのみ示してあるが、実際は各画素列単位で個別にADCが設けられているものとする。
ADC26aを構成する各ADCでデジタルの信号に変換された画素信号は、列選択回路27aで選択された列毎に読み出され、図1に示した信号処理部8に出力される。
なお、イメージエリア20bを駆動する各ブロックも、上述したイメージエリア20aを駆動する各ブロックと同様の動作を行うものであるため、これらについての説明は省略する。
タイミング発生回路31は、外部から入力される同期信号やセンサ駆動用クロック、センサリセット用信号、シリアル通信等(いずれも図示略)に基づいてタイミング信号を生成する。そして、生成したタイミング信号を、行デコーダ・ドライバ回路21a,22aと、行デコーダ・ドライバ回路21b,22bとに供給する。また、本例のタイミング発生回路31は、行デコーダ・ドライバ回路21a,22aと行デコーダ・ドライバ回路21b,22bに対応して、2つ設けられる。そして、各タイミング発生回路31がモード(第1のモードと第2のモード)の設定に応じて内容の異なる駆動信号を生成し、生成した駆動信号を、行デコーダ・ドライバ回路21a,22a又は行デコーダ・ドライバ回路21b,22bに供給する。タイミング発生回路31の詳細については、次の図8及び図9を参照して説明する。
[タイミング発生回路の内部構成例]
図8は、タイミング発生回路31の内部構成例を示すブロック図である。タイミング発生回路31は、マスタ・カウンタ310と、イメージエリア20aと20bに対応して設けられた制御部311a及び制御部311b(制御部311bは図示略)とで構成される。
マスタ・カウンタ310には、Hリセット信号とVリセット信号が入力される。そして、Vリセット信号が入力されたタイミングでカウント値をリセットし、Hリセット信号が入力される毎にカウント値を1ずつアップする。マスタ・カウンタ310でカウントされたカウント値は、制御部311a内の比較器312aに供給される。
図8の左側に図示された「開始カウンタ_ブロック1」や「開始画素行_ブロック1」の文字は、図示せぬレジスタ(記憶部)内に予め設定された設定値を示す。ここで、図9を参照して、レジスタ内に設定される各設定値について説明する。
レジスタ内に設定される設定値としては、図9に示すように、「開始カウンタ」、「開始画素行」、「読み出しライン数」、「読み出し方向」がある。これらの設定値は、分割されたイメージエリア20毎に、かつ「ブロック1」と「ブロック2」という2つのパターン毎に異なる値が設定される。
「ブロック1」として設定された内容は、Vリセット信号の立ち下がり時にブロック選択信号がLowである場合に実行され、「ブロック2」として設定された内容は、Vリセット信号の立ち下がり時にブロック選択信号がHighである場合に実行される。
そして、ブロック選択信号は、ロータリシャッタ3によるイメージエリア20の遮光が完了したタイミングでLowに設定され、イメージエリア20が完全に露光されたタイミングでHighに設定される。この設定の切り替えは、シャッタ制御部5(図1)から供給される信号に基づいて行われる。
例えば「ブロック1」に有効画素を読み出すための設定をし、「ブロック2」ではADダミー信号を読み出すための設定をしておけば、Vリセット信号が入力され、そのときにイメージエリア20が遮光状態であれば、有効画素の読み出しが行われるようになる。一方、Vリセット信号が入力されたタイミングにおいて、イメージエリア20が露光状態である場合には、ADダミー信号の読み出しが行われるようになる。
再びレジスタの設定値の説明に戻ると、「開始カウンタ」には、指定された上又は下のイメージエリア20の読み出しを開始させるためのトリガとなるカウント値が設定される。「開始画素行」には、画素信号の読み出しを行うイメージエリア20内の行番号を指定する値が設定される。「読み出しライン数」には、読み出しを行う行数を指定する値が設定される。「読み出し方向」には、イメージエリア20の読み出しを画面の上端から行うのか、下端から行うのかを指定する値が設定される。具体的には、ライン数がカウントアップされる方向を指定する場合には「Up」が設定され、ライン数がカウントダウンされる方向を指定する場合には「Down」が設定される。
つまり、マスタ・カウンタ310から入力されるカウント値が「開始カウンタ」に設定されたカウント値と一致したときに、レジスタ内の同じ行で設定した各設定値に基づいて画素信号の読み出しが行われる。すなわち、指定されたイメージエリア20において、「開始画素行」として指定された行を起点として、「読み出し方向」で指定された方向に、「読み出しライン数」で設定された行数分の画素信号が読み出される。
ここで、再び図8に戻って説明を続ける。スイッチSWは、「ブロック1」と「ブロック2」の設定とを切り替えるためのスイッチであり、その接続先の制御は、ブロック切替部315によって行われる。ブロック切替部315によるスイッチSWの切り替え制御は、前述したブロック選択信号と、「読み出し方向設定信号」とに基づいて行われる。
「読み出し方法設定信号」とは、スイッチSWの切り替え方を制御する信号である。具体的な値としては、「パラレル」と「シーケンシャル」の2値を有しており、第1のモードが選択された場合に「パラレル」が選択され、第2のモードが選択された場合に「シーケンシャル」が選択される。
「パラレル」が選択された場合には、「ブロック選択信号」が意味を持つ。すなわち、Vリセット信号が入力されたときに、「ブロック選択信号」がLowであれば、「ブロック1」の設定内容に従ってイメージエリア20(ADダミー信号も含む)の読み出しが行われる。Highである場合には、「ブロック2」の設定内容に従ってイメージエリア20が読み出される。一方、「シーケンシャル」が選択された場合には、Vリセット信号が入力されると、まず「ブロック1」の設定内容が読み出された後に、自動的に「ブロック2」の設定内容が読み出され、読み出された設定内容に従ってイメージエリア20が読み出されるようになる。
比較器312aには、「ブロック1」において設定された開始カウンタの値(開始カウンタ_ブロック1)か、「ブロック2」において設定された開始カウンタの値(開始カウンタ_ブロック2)のうち、スイッチSWによって選択された方の値が入力される。また、比較器312aには、マスタ・カウンタ310から供給されるカウント値も入力される。
つまり比較器312aは、マスタ・カウンタ310から供給されたカウント値と、「開始カウンタ_ブロック1(又は2)」として設定されたカウンタ値とを比較する。そして、マスタ・カウンタ310から供給されたカウント値が、「開始カウンタ_ブロック1(又は2)」として設定されたカウンタ値と一致した場合に、“true”を示す信号を駆動信号生成部314に供給する。一致しなかった場合には、“faulse”を示す信号を駆動信号生成部314に供給する。
駆動信号生成部314は、カウントアップとカウントダウンの切り替えが可能なカウンタで構成される。そして駆動信号生成部314には、比較器312aから供給された信号と、「開始画素行_ブロック1(又は2)」の設定値と、「読み出し方向_ブロック1(又は2)」の設定値と、Hリセット信号とが入力される。駆動信号生成部314は、比較器312aから“true”を示す信号が入力されたタイミングで、「開始画素行_ブロック1(又は2)」に設定された値を初期値としてロードする。そして、「読み出し方向_ブロック1(又は2)」の設定値に基づいて、Hリセット信号が入力される毎に、駆動信号生成部314のカウント値がカウントアップ又はカウントダウンされる。そのカウント結果が画素信号の読み出し行を指定する駆動信号となり、Hリセット信号に同期して行デコーダ・ドライバ回路21a,22aに供給される。
駆動信号生成部314とブロック切替部315には、比較器313aから供給される信号も入力される。比較器313aでは、「読み出しライン数_ブロック1(又は2)」として設定された行数と、実際に駆動信号生成部314から出力された駆動信号内で指定された行数との比較が行われる。そして、実際に読み出されたラインの行数が「読み出しライン数_ブロック1(又は2)」として設定された行数と一致したときに、読み出しを停止するための信号を生成して駆動信号生成部314に供給する。そのとき、「読み出し方法設定信号」の値が「シーケンシャル」であり、かつスイッチSWが「ブロック1」を選択していた場合は、ブロック切り替え315は、比較器313aからの入力を受けてスイッチSWを「ブロック2」に切り替える。
5.第1のモードと第2のモードの具体的な設定例
[第1のモード・有効画素の読み出し後にADダミー信号を読み出し]
次に、第1のモードと第2のモードの具体的な設定例について、図10〜図14を参照して説明する。図10は、第1のモードを実現する場合の設定例を示したものである。
第1のモードでは、イメージエリア20aの読み出しとイメージエリア20bの読み出しとを同時に行うとともに、イメージエリア20aの読み出しは画面の上から下の方向に、イメージエリア20bの読み出しは画面の下から上の方向に行う。
すなわち、図10(a)に示すようにイメージエリア20aにおける1ライン目から1080ライン目までの読み出しと、イメージエリア20bにおける2160ライン目から1081ライン目までの読み出しとを並行して行う。両イメージエリア20の並行読み出しは、ことにより実現される。
また、ADC26aとADC26bで生成された各ADダミー信号を、有効画素の読み出しが完了した後に読み出すようにしている。
これらの動作は、レジスタに対して行われた図10(c)に示した設定に基づいて、図8に示した駆動信号生成部314によって読み出し行を指定する駆動信号が生成され、その駆動信号に基づいて画素信号が読み出されることにより実現する。
「上AD・ブロック1」の行には、イメージエリア20の上側の領域であるイメージエリア20aでの、「ブロック1」が選択された場合の動作を実現するための設定が記載されている。「開始カウンタ」には“0”が設定してある。図10(b)に示した例によれば、マスタ・カウンタ310から供給されるカウント値が“0”になった時で、(ハ)として示したVリセット信号が入力された時には、ブロック選択信号は(ニ)に示すようにLowである。これにより、イメージエリア20a側の駆動信号生成部314(図8参照)には、図10(c)の「上AD・ブロック1」として設定された内容が供給される。
「開始画素行」には、“1/win_start1”が設定されている。“/(スラッシュ)”は「又は」を意味する記号として使用されているものであり、設定値として“1”又は“win_start1”が設定されていることを意味する。“win_start1”とは、画像の一番上からではなく任意の行から読み出しを開始させる「ウィンドウ読み出し」の動作時に選択される設定値であり、“1”〜“1079”の間の任意の値が設定される。
「読み出しライン数」には、“1080/win_width”が設定されている。ここでの“win_width”も、「ウィンドウ読み出し」の動作時に設定される読み出す行数を指定するための設定値であり、“1”〜“1080”の間の任意の値が設定される。「読み出し方向」には、“Up”が設定されている。
「上AD・ブロック2」の行には、イメージエリア20aでの、「ブロック2」が選択された場合の動作を実現するための設定が記載されている。「開始カウンタ」には“0”が設定してある。
「開始画素行」には、“2161”が設定されている。つまり、有効画素領域の画素信号の読み出しが終了する2160ライン目の、次のラインである2161ライン目が、読み出しを開始する行数として指定されている。本例の撮像素子2(図1参照)では、このライン(“2161”以上)が指定されたときには、ADC26aがどの画素の読み出しも行わないままA/D変換のみを動作させる。この動作は、ADC26の各列の特性のばらつきを知る目的で行うものである。そして、このようにして生成された信号を「ADダミー信号」と呼んでいる。そして、CCU10(図1参照)が、このADダミー信号を元に、ADC26の各列を構成する各AD変換器のばらつき(画面上に縦筋模様として現れることが多い)を補正する。以下、この補正を「タテスジ補正」と称する。なお、ADダミー信号の読み出しは、有効画素領域以外の領域であればどこで行ってもよい。従って、図10(c)の(ホ)と(へ)に示す「開始カウンタ」を任意の値に設定することで、好みのタイミングでADダミー信号の読み出しを行うことができる。
「読み出しライン数」には、“1〜1080”が設定されている。実際には、“1〜1080”の中のいずれかの値(本数)が設定されるものとする。この値を大きく設定することで、ADダミー信号の読み出しライン数を大きくすることができる。反対に、小さくすれば、ADダミー信号の読み出しライン数を小さくすることができる。
ADダミー信号の読み出しライン数を大きくすることにより、より多くのADダミー信号を使用してノイズのキャンセルを行える。これにより、CCU10(図1参照)が、複数行分のADダミー信号の同期加算平均をとったものを用いて、ADC26a又はADC26bが動作することにより発生するランダムノイズを抑制した、タテスジ補正を行うことができる。しかし、ADダミー信号の読み出し本数を増やすことによって、消費電力の増大や処理時間の遅延といった問題も発生してしまう。
このため、ADダミー信号を読み出す場合の「読み出しライン数」では、補正したい有効画素に含まれるノイズの量等に応じて適切な値を設定できるようにしてある。
「上AD・ブロック2」の「読み出し方向」には、「Up」が設定されている。
「下AD・ブロック1」の「開始カウンタ」には、“0”が設定されている。また、「開始画素行」には、“2160/win_start2”が設定されている。ここでの“win_start2”も、「ウィンドウ読み出し」の動作時にされる設定値であり、“1”〜“1079”の間の任意の値が設定される。「読み出しライン数」には、“1080/win_width”が設定されている。ここでの“win_width”も、「ウィンドウ読み出し」の動作時に設定される読み出す行数を指定するための設定値であり、“1”〜“1080”の間の任意の値が設定される。「読み出し方向」には、“Down”が設定されている。
「下AD・ブロック2」の「開始カウンタ」には、“0”が設定されている。また、「開始画素行」には、“2161”が設定されており、「読み出しライン数」には、“1〜1080”のうちの任意の値(本数)が設定されている。また、「読み出し方向」には、“Up”が設定されている。
このような設定がされた状態で、FPSが8Pより大きい値に設定されると、「第1のモード」の動作を実現するために、まず「読み出し方法設定信号」が「パラレル」に設定される。続いて、Vリセット信号が入力され、そのときに「ブロック選択信号」が“Low”であった場合には、「ブロック1」の設定が読み出される。
図10(b)に、Vリセット信号とブロック選択信号、そしてマスタ・カウンタ310でのカウント値との関係を示してある。Vリセット信号が供給される毎に、ブロック選択信号の値が“High”と“Low”とで切り替わっていることが示されている。上述したように、ブロック選択信号は、ロータリシャッタ3によるイメージエリア20の遮光が完了したタイミングでLowに設定され、イメージエリア20が完全に露光されたタイミングでHighに設定される。
すなわち、ブロック選択信号が“High”である間は、イメージエリア20は露光状態にあり、ブロック選択信号が“Low”である間は、イメージエリア20は遮光状態にあることになる。また、図10(b)には、マスタ・カウンタ310のカウント値が、Vリセット信号が供給される毎に“0”にリセットされることが示されている。
これにより、まず上側のイメージエリア20aにおいて、マスタ・カウンタ310(図8参照)から入力されたカウンタ値が「開始カウンタ」として指定された“0”となったタイミングで、「開始画素行」として指定された1ライン目の画素信号が読み出される。そして、画素信号の読み出しが、「読み出しライン数」として指定された1080本目まで行われる。このときの読み出し方向は、「読み出し方向」として「Up」が設定されているため、ライン数が増える方向(画面の上から下の方向)に向かって行われる。
この動作と並行して、下側のイメージエリア20bにおいても、マスタ・カウンタ310(図8参照)から入力されたカウンタ値=“0”となったタイミングで、「開始画素行」として指定された2160ライン目の画素信号が読み出される。そして、画素信号の読み出しが、「読み出しライン数」として指定された1080本目まで行われる。このときの読み出し方向は、「読み出し方向」として「Down」が設定されているため、ライン数が減る方向(画面の下から上の方向)に向かって行われる。
このように、図10(c)に示した設定値に基づいて、イメージエリア20aとイメージエリア20bの読み出しが並行して行われることで、画素信号の読み出しが高速に(倍速で)行われるようになる。
続いて、次のVリセット信号が入力されてマスタ・カウンタ310のカウント値が“0”にリセットされると、そのときに「ブロック選択信号」が“High”であった場合には、「ブロック2」の設定が読み出される。
これにより、まず上側のイメージエリア20aにおいて、マスタ・カウンタ310から入力されたカウンタ値が「開始カウンタ」として指定された“0”となったタイミングで、「開始画素行」として指定された2161ライン目のADダミー信号が読み出される。そして、ADダミー信号の読み出しが、「読み出しライン数」として指定された所定の本数分まで行われる。このときの読み出し方向は、「読み出し方向」として「Up」が設定されているため、ライン数が増える方向(画面の上から下の方向)に向かって行われる。このとき、2161ライン目以降はずっとADダミー信号が読まれるように設定されているため、ADダミー信号を所望の本数だけ読むことができる。
この動作と並行して、下側のイメージエリア20bにおいても、マスタ・カウンタ310から入力されたカウンタ値=“0”となったタイミングで、「開始画素行」として指定された2161ライン目のADダミー信号が読み出される。そして、ADダミー信号の読み出しが、「読み出しライン数」として指定された所定の本数分まで行われる。このときの読み出し方向は、「読み出し方向」として「Up」が設定されているため、ライン数が増える方向(画面の上から下の方向)に向かって行われる。ここでも、2161ライン目以降はずっとADダミー信号が読まれるように設定されているため、ADダミー信号を所望の本数だけ読むことができる。
このようにして読み出された所定の本数分のADダミー信号は、CCU10(図1参照)内の信号処理部で同期加算平均がとられる。そして、同期加算平均によって得られた値と有効画素との差分を取ることにより、固定パターンノイズの除去が行われる。
[第2のモード・有効画素の読み出し後にADダミー信号を読み出し]
次に、図11〜図14を参照して、第2のモードを実現するための設定例及びその動作について説明する。図11は、ADダミー信号の読み出しを有効画素の読み出し終了後に行う場合の例を示したものである。
第2のモードでは、イメージエリア20aの読み出しが終了した後に、イメージエリア20bの読み出しを行う。このときの読み出し方向は、イメージエリア20aとイメージエリア20bのいずれにおいても、画面の上から下の方向に行う。
すなわち、図11(a)に示すように、まず、イメージエリア20aにおける1ライン目から1080ライン目までの読み出しを行い、その後で、イメージエリア20bにおける1081ライン目から2160ライン目までの読み出しを行う。このような読み出しは、「ブロック1」において有効画素の読み出し設定を行い、「ブロック2」においてADダミー信号の読み出し設定を行うとともに、「読み出し方法設定信号」を「シーケンシャル」に設定することにより実現できる。
そしてこのような動作は、レジスタに対して行われた図11(c)に示した設定に基づいて、図8に示した駆動信号生成部314によって読み出し行を指定する駆動信号が生成され、その駆動信号に基づいて画素信号が読み出されることにより実現する。
なお、第2のモードが選択される場合、すなわちFPSの値が8P以下に設定された場合には、ロータリシャッタ3の駆動を行わないようにしているため、ロータリシャッタ3を駆動するシャッタ制御部5(図1参照)からの信号も供給されない。従って、Vリセット信号の供給時におけるイメージエリア20の露光/遮光状態を判断するためのブロック選択信号も、出力されない。よって、マスタ・カウンタ310のカウント値は、Vリセット信号の入力時にのみ“0”にリセットされる。
図11(c)の「上AD・ブロック1」の「開始カウンタ」には“0”が設定してあり、「開始画素行」には、“1/win_start1”が設定されている。また、「読み出しライン数」には、“1080/win_width1”が設定されており、「読み出し方向」には、“Up”が設定されている。“win_start1”と“win_width1”については既に説明済みであるため、ここでの説明は省略する。
「上AD・ブロック2」の「開始カウンタ」には、“1080/win_width1+1”が設定されている。つまり、「上AD・ブロック2」の行に設定された内容は、上側のイメージエリア20aでの有効画素の読み出しがで終了し、マスタ・カウンタ310の値がインクリメントされたタイミングで実行される。
「開始画素行」には、“2161”が設定されている。このラインが指定されたときに、ADC26aによるADダミー信号の生成が開始される。
「読み出しライン数」には、“1〜1080”の中の任意の値(本数)が設定されており、「読み出し方向」には“Up”が設定されている。
「下AD・ブロック1」の「開始カウンタ」には、“1080/win_width1+1”が設定されている。つまり、「下AD・ブロック1」の行に設定された内容は、イメージエリア20aでの有効画素の読み出しが1080(win_width1)ライン目で終了し、マスタ・カウンタ310の値が“1081(win_width1+1)”となった時に実行される。
「開始画素行」には、“1081”が設定されており、「読み出しライン数」には“1080/win_width2”が設定されている。また、「読み出し方向」には、“Up”が設定されている。
「下AD・ブロック2」の「開始カウンタ」には、“2160”が設定されている。つまり、「下AD・ブロック2」の行に設定された内容は、下側のイメージエリア20bにおいて2060ライン目の有効画素の読み出しが完了した後に、マスタ・カウンタ310のカウント値が“2161”となった時点で実行される。
「開始画素行」には、“2161”が設定されており、「読み出しライン数」には“1〜1080”の中の任意の値(本数)が設定されている。また、「読み出し方向」には、“Up”が設定されている。
これにより、まず上側のイメージエリア20aにおいて、マスタ・カウンタ310から入力されたカウンタ値が「開始カウンタ」として指定された“0”となったタイミングで、「開始画素行」として指定された1ライン目の画素信号が読み出される。そして、画素信号の読み出しが、「読み出しライン数」として指定された1080本目まで行われる。このときの読み出し方向は、「読み出し方向」として「Up」が設定されているため、ライン数が増える方向(画面の上から下の方向)に向かって行われる。
イメージエリア20aでの画素信号の読み出しが1080(/win_width1)ライン目まで行われると、「読み出し設定方法」の値が「シーケンシャル」であるため、比較器313a(図8参照)の比較結果に基づいてスイッチSWが「ブロック2」側に切り替わる。マスタ・カウンタ310から出力されるカウント値は“1081(/win_width1+1)”となる。つまり、「上AD・ブロック2」の「開始カウンタ」として設定された値及び、「下AD・ブロック1」の「開始カウンタ」として設定された値と一致する。
これにより、「上AD・ブロック2」の「開始画素行」として設定された行(1081/win_width1+1)から、「読み出しライン数」として設定された本数分のADダミー信号が読み出される。このときの読み出し方向は、“Up”の設定に基づいて、ライン数が増える方向(画面の上から下方向)に行われる。
また、「下AD・ブロック1」の「開始画素行」として設定された行(1081/win_width1+1)から、「読み出しライン数」として設定された“1080(/win_width2)”本分の画素信号が読み出される。このときの読み出し方向は、“Up”の設定に基づいて、ライン数が増える方向(画面の上から下方向)に行われる。
イメージエリア20bにおいて、1081(/win_width2+1)ライン目から1080(/win_width)本分の画素信号が読み出された後にもカウントは続けられ、マスタ・カウンタ310のカウント値は“2161”となる。つまり、「下AD・ブロック2」の「開始カウンタ」として設定された値と同値となる。従って、「下AD・ブロック2」の「開始画素行」として設定された2161ライン目から、「読み出しライン数」として設定された所定の本数分のADダミー信号が読み出される。このときの読み出し方向は、“Up”の設定に基づいて、ライン数が増える方向(画面の上から下方向)に行われる。
このようにして、図11(c)に示した設定値に基づいて、イメージエリア20aの読み出しに続いてイメージエリア20bの読み出しが行われることで、ローリング歪みの現れ方を、図16に示したようなより自然なものにすることができる。
[第2のモード・ADダミー信号の読み出し後に有効画素を読み出し]
なお、図10及び図11では、ADダミー信号の読み出しを有効画素の読み出しが終了した後に行う場合を例に挙げたが、有効画素の読み出しの前に行うようにしてもよい。
図12は、第2のモードにおいて、ADダミー信号の読み出しを有効画素の読み出しの前に行う場合の設定例を示したものである。このような読み出しは、「ブロック1」においてADダミー信号の読み出し設定を行い、「ブロック2」において画素信号の読み出し設定を行うことで実現できる。
具体的には、「上AD・ブロック1」の「開始画素行」として、ADダミー信号の読み出しを開始させたい行(“2161”)を設定し、「読み出しライン数」として、ADダミー信号の読み出しを行いたい行数を設定する。「開始カウンタ」の値は、“0”等に設定しておく。その上で、有効画素の読み出し設定を規定する「上AD・ブロック2」の「開始カウンタ」を、“ADダミー信号の読み出しライン数+1”に設定する。そして、「上AD・ブロック2」の「開始画素行」として、“1(/win_start1)”を設定し、「読み出しライン数」として“1080(/win_width1)”を設定する。
このような設定とすれば、マスタ・カウンタ310のカウント値が“0”となったタイミングで、まず、イメージエリア20aの「開始画素行」として指定された行から「読み出しライン数」として指定された本数分のADダミー信号が読み出される。そして、マスタ・カウンタ310のカウント値が“ADダミー信号の読み出しライン+1”となった時点で、イメージエリア20aの1(/win_start1)ライン目から、1080(/win_width1)本分の画素信号が読み出されるようになる。
「下AD・ブロック1」と「下AD・ブロック2」においても同様の設定を行っておくことで、イメージエリア20bにおける読み出しも、同様にして行われるようになる。
なお、「下AD・ブロック1」の「開始カウンタ」の設定値を「上AD・ブロック1」における「開始画素行」と同じ値(0)にすれば、ADダミー信号の読み取りタイミングをイメージエリア20aとイメージエリア20bとで同タイミングとすることもできる。
また、ここまでは、Vリセット信号の入力間隔が一定であるものと想定して説明を行ってきたが、Vリセット信号の入力間隔より短い場合であっても、レジスタの設定値を調整することにより対応は可能である。
[Vリセット信号の供給間隔が最も短い場合の例]
図13(a)は、イメージエリア20bでの有効画素の読み出しが終了した直後に、イメージエリア20aでの有効画素の読み出しを開始させる場合の例を示したものである。このような場合には、イメージエリア20bで2160ライン目の画素信号の読み出しが完了した直後にVリセット信号が供給される。このため、マスタ・カウンタ310のカウント値は、図13(b)に示すように、“2160”までカウントアップされた時点ですぐに“0”にリセットされる。
従って、図13(c)に示すように「下AD・ブロック2」の「開始カウンタ」を“0”に設定することで、イメージエリア20bでの2160ライン目の画素信号読み出し完了直後に、ADダミー信号の読み出しが開始されるようになる。
[Vリセット信号の供給間隔が少し長い場合の例]
図14(a)及び(b)は、Vリセット信号の入力間隔が少し長い場合、すなわち、イメージエリア20bでの有効画素の読み出し完了後からイメージエリア20aでの有効画素の読み出しが開始されるまでの期間が空く場合の例を示したものである。
このような場合には、イメージエリア20bで2160ライン目の画素信号の読み出しが完了した後にも、マスタ・カウンタ310でのカウントアップは続けられる。従って、「下AD・ブロック2」の「開始カウンタ」を“2160”等に設定することで、イメージエリア20bでの2160ライン目の画素信号読み出し完了直後に、ADダミー信号の読み出しが開始されるようになる。
[本実施の形態による効果]
上述した実施の形態によれば、画素信号の読み出しを高速に行える第1のモードと、画素信号の読み出しは低速であるがローリング歪みの抑制を行える第2のモードとが、FPSの設定値に基づいて切り替えることができるようになる。つまり、異なる効果をもたらす2つのモードが選択的に採用できるようになる。
つまり、FPSが8Pより大きい値に設定された場合には、第1のモードが選択され、分割された2つのイメージエリア20a,20bでの読み出しが並行して行われるようにできる。これにより、画素信号の読み出しが高速に行われるようになる。また、第1のモードが選択された場合には、ロータリシャッタ3によるイメージエリア20の露光タイミングの制御も行われるため、ローリング歪みも抑えられるようになる。
一方、FPSが8P以下の値に設定された場合には、第2のモードが選択され、ロータリシャッタ3の駆動が停止されるようにできる。これによって、ロータリシャッタ3の動作に起因して発生するローリング歪みを防止することができる。さらに、第2のモード選択時には、イメージエリア20内の画素信号が、1ライン目から有効画素領域の最終ライン目までの間で順方向に読み出されるため、ローリング歪みの発生のし方がより自然なものとなる。
また、上述した実施の形態によれば、ADダミー信号を用いた固定パターンノイズのキャンセル処理も行われるため、カラムADCを構成する各ADCでのバラツキが大きい場合にも、得られる画像を良好なものとすることができる。
また、上述した実施の形態によれば、ADダミー信号の読み出し本数や読み出しタイミングを、レジスタの設定値として自由に設定することができるため、状況に応じた適切な補正を行えるようになる。例えば、ADダミー信号を読む時間を十分にとれない図13に示したような例においては、ADダミー信号の読み出し本数を少なく設定することで、処理の高速化を図ることができる。また、ADダミー信号を読む時間を十分にとれる図11に示したような例においては、ADダミー信号の読み出し本数を例えば4000本等のように多く設定するようにする。これにより、ADC26a又はADC26bに起因するランダムノイズが抑制された状態で、固定パターンノイズの低減処理を行うことができる。
6.変形例
なお、上述した実施の形態では、ADダミー信号のレベルを一定のものとして処理を行っているが、これに限定されるものではない。例えば、レベル方向に差をつけた複数種類のADダミー信号を用いることにより、より固定パターンノイズの補正をより細かいレベルで行えるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、ADダミー信号を用いて固定パターンノイズを低減させる例を挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、オプティカルブラック信号等を用いて、同様の処理を行うようにしてもよい。オプティカルブラック信号は、その構成が有効画素とほぼ同一であるため、黒レベルの補正等の精度を上げることを優先したい場合等には、オプティカルブラック信号を使用する方が好ましい。
また、上述した実施の形態では、イメージエリア20を上下の2つの領域に分割した例を挙げたが、左右の2つの領域に分割するようにしてもよい。もしくは、図15に示したように、4つの領域等に分割するようにしてもよい。図15は、イメージエリア20を、上下の方向に4つ(イメージエリア20a,20b,20c,20d)に分割した場合の例を示したものである。
このように構成した場合には、第1のモードにおいては、イメージエリア20aと20bの読み出し方向は画面の上方向から下方向とし、イメージエリア20cと20cの読み出し方向は画面の下方向から上方向とすればよい。この場合、イメージエリア20aと20bの読み出しと、イメージエリア20cと20cの読み出しとを並行して行う。
また、第2のモードにおいては、イメージエリア20a,20bの読み出しを画面の上方向から下方向に向かって行った後に、イメージエリア20c,20dの読み出しも画面の上方向から下方向に向かって行えばよい。
もしくは、イメージエリア20を上下や左右の方向に分割するのではなく、斜めの方向に分割するようにしてもよい。
3…ロータリシャッタ、4…シャッタ駆動モータ、5…シャッタ制御部、6…シャッタ位置検出部、7…撮像素子制御部、8…信号処理部、9…送受信部、10…カメラコントロールユニット、11…シリアルI/Oエンコーダ、12…位相比較部、13…電圧制御発振部、14…タイミング制御部、20,20a,20b,20c…イメージエリア、21a,21b,22a,22b…行デコーダ・ドライバ回路、26a,26b…ADC、27a,27b…列選択回路、30…駆動制御部、31…タイミング発生回路、81…同期信号分離部、82…フレームメモリ、83…同期信号分離部、100…撮像装置、200…イメージエリア、201…ADC、310…マスタ・カウンタ、311a,311b…制御部、312a,313a…比較器、314…駆動信号生成部、315…ブロック切替部、201−1,201−2、ADC、CK…システムクロック、Cl…遮光部、Cr…カウント値、F…フレーム同期信号、H…水平同期信号、Ma…マーキング、Mb…マーキング、O1…オブジェクト、Op…開口部、P…フレーム同期周波数、PH…自走水平同期信号、PLF…フレーム同期信号、PLH…水平同期信号、Pb…パルス信号、SW…スイッチ

Claims (10)

  1. レンズを通して入射される被写体の像光を光電変換して画素信号を生成する、少なくとも2つの領域に分割された画素部と、
    前記画素部の分割された各領域に対応して設けられ、前記領域からの前記画素信号の読み出しを制御する駆動制御部と、
    前記画素から出力された1画面分の画素信号を蓄積する蓄積部と、
    入力されたフレームレートの設定値に基づいて、前記蓄積部からの前記画素信号の読み出しタイミングを制御するタイミング制御部と、
    前記フレームレートが所定の閾値を超えている場合は、前記画素部の各領域からの前記画素信号の読み出しを時間的に並行に行わせるための駆動信号を生成し、前記フレームレートが所定の閾値以下である場合には、前記画素部の各領域からの前記画素信号の読み出しを時間的に連続して行わせるための駆動信号を生成して、前記生成した駆動信号を前記駆動制御部に供給するタイミング発生部とを備えた
    撮像装置。
  2. 前記タイミング発生部は、前記フレームレートが所定の閾値以下である場合に生成する前記駆動信号によって、前記画素部の各領域における前記画素信号の物理的配置上における読み出し方向を、前記各領域においてすべて同一とするための指示を行う
    請求項1記載の撮像装置。
  3. 前記タイミング発生部は、前記フレームレートが所定の閾値を超えている場合に生成する前記駆動信号によって、前記画素部の各領域における前記画素信号の読み出し方向を、前記各領域で異ならせるための指示を行う
    請求項2記載の撮像装置。
  4. 前記画素部への入射光を遮光する遮光部と、前記画素部への入射光を透過する透過部とを有する機械的シャッタと、
    前記シャッタの遮光部が前記画素部の前面に位置するときに、前記画素部からの前記画素信号の読み出しを前記撮像素子制御部に開始させるシャッタ制御部とを備え、
    前記シャッタ制御部による前記機械的シャッタの制御は、前記フレームレートが所定の閾値以下である場合は停止される
    請求項3記載の撮像装置。
  5. 前記機械的シャッタは、モータにより回転駆動される円板状のシャッタであり、
    前記シャッタの回転位置を検出するシャッタ位置検出部を備え、
    前記シャッタ制御部は、前記シャッタの遮光部が前記撮像素子の前面に位置するか否かを、前記シャッタ位置検出部で検出された前記シャッタの回転位置情報に基づいて判断する
    請求項4記載の撮像装置。
  6. 前記各領域に分割された前記画素部を構成する各画素列に対応して設けられ、前記画素で生成された前記画素信号をデジタルの信号に変換するとともに、前記画素信号を含まないダミー信号の生成も行うアナログ・デジタルコンバータと、
    前記ダミー信号の同期加算平均を算出し、前記画素信号との差分を取ることにより固定ノイズパターンの除去を行う信号処理部とを備え、
    前記タイミング発生部は、前記ダミー信号を、ユーザによって指定された行数分だけ、前記画素信号の読み取りが行われない期間中に読み出すための駆動信号を生成する
    請求項5記載の撮像装置。
  7. 前記タイミング発生部は、
    垂直リセット信号の入力時にその値がクリアされ、水平リセット信号の入力毎にカウント値を1つ増加するカウンタと、前記有効画素の読み取り動作を行わせるための第1の設定と、前記ダミー信号の読み取り動作を行わせるための第2の設定とが記憶される記憶部と、
    前記第1の設定又は前記第2の設定において設定された開始カウンタの値と前記カウンタでの前記カウント値とが一致した場合に、前記第1の設定又は前記第2の設定に基づいて前記画素信号の読み出し行を指定するための駆動信号を生成して前記駆動制御部に出力する駆動信号生成部と、
    前記第1の設定と前記第2の設定のいずれかの選択を指示する設定選択信号及び、前記分割された前記画素部の各領域の前記画素信号を、時間的に並行して読み出すのか時間的に連続して読み出すのかを指示する読み出し方法設定信号とに基づいて、前記第1の設定又は前記第2の設定として設定された値のいずれかを選択して前記駆動信号生成部に出力する切替部とを備えた
    請求項6記載の撮像装置。
  8. 前記第1の設定又は前記第2の設定には、前記画素信号又は前記ダミー信号の読み出し開始行を指定する開始行設定と、前記画素信号又は前記ダミー信号の読み出し方向を指定する読み出し方向設定と、前記読み出し開始行を起点とした読み出しの行数を指定する読み出し行数設定とが含まれる
    請求項7記載の撮像装置。
  9. 前記画素部は、一画面上での露光のタイミングがイメージエリア内でずれる方式のイメージセンサによって構成される
    請求項8記載の撮像装置。
  10. レンズを通して入射される被写体の像光を光電変換して画素信号を生成する、少なくとも2つの領域に分割された画素部の、前記分割された各領域に対応して設けられ、前記領域からの前記画素信号の読み出しを制御するステップと、
    前記画素から出力された1画面分の画素信号を蓄積するステップと、
    入力されたフレームレートの設定値に基づいて、前記蓄積された前記画素信号の読み出しタイミングを制御するステップと、
    前記フレームレートが所定の閾値を超えている場合は、前記画素部の各領域からの前記画素信号の読み出しを時間的に並行に行わせ、前記フレームレートが所定の閾値以下である場合には、前記画素部の各領域からの前記画素信号の読み出しを時間的に連続して行わせるための制御を行うステップとを含む
    撮像方法。
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