JP2011029481A - 強誘電体膜の評価方法及びそれを用いた液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

強誘電体膜の評価方法及びそれを用いた液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】亀裂の原因を判別することができる強誘電体膜の評価方法、及びこれを用いた、製造工程にすぐにフィードバックをかけることができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】強誘電体膜の評価方法は、一対の電極間に形成した強誘電体膜に電圧を印加して、強誘電体膜にリークを生じさせるリーク発生工程と、発生したリークの発生数を測定し、発生数に基づいて強誘電体膜の評価を行う評価工程とを備える。液体噴射ヘッドの製造方法は、圧電素子形成工程後、この強誘電体膜の評価方法を行い、強誘電体膜の評価が良い場合には圧力発生室形成工程を行う。
【選択図】図7

Description

本発明は強誘電体膜の評価方法及びそれを用いた液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
圧電素子としては、電気機械変換機能を呈する強誘電体膜からなる圧電体層を、第1電極と第2電極との2つの電極で挟んで構成されたものがある。このようなアクチュエーター装置は、一般的に、撓み振動モードのアクチュエーター装置と呼ばれ、例えば、液体噴射ヘッド等に搭載されて使用されている。なお、液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド等がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−127366号公報(請求項1等)
このようなインクジェット式記録ヘッド等に搭載される圧電素子では、動作時に圧電体層にクラックが発生する場合があり、このようなクラックが生じた圧電素子はショートしてしまうので正常動作しないという問題がある。そこで、この圧電体層をクラック発生率の評価をするために、インクジェット式記録ヘッド製造後、任意のインクジェット式記録ヘッドの圧電素子に電圧を漸増させながら印加し、インクジェット式記録ヘッドを破壊するまで電圧を印加し、この耐電圧によりクラック発生率を評価する破壊評価を行うことが考えられている。この破壊評価では、所定の電圧よりも低い電圧でインクジェット式記録ヘッドが破壊されてばらばらになった場合には圧電体層に異常があったものと評価することができる。
しかしながら、このような破壊評価によれば、圧電素子自体が破壊されてばらばらになってしまうことから、クラック発生率については評価できるものの、圧電体層の異常が、圧電体膜の膜質の異常によるものなのか、また、異物混入などの圧電体膜の製造時のプロセスエラーによるものなのか判別することができず、製造工程にフィードバックがかけにくいという問題がある。また、破壊電圧を特定するために、例えば一秒間に1Vずつ電圧を上昇させていくために、評価を行うのに時間がかかるという問題がある。
このような問題は、インクジェット式記録ヘッドに搭載される圧電素子に限られず、強誘電体膜を用いる素子全般に生じることである。
さらに、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドの場合、ヘッドの製造後に評価を行うために、上流の製造工程である圧電素子の形成工程にすぐにフィードバックをかけることができないという問題もある。
そこで、本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、亀裂の原因を判別することができる強誘電体膜の評価方法、及びこれを用いた、製造工程にすぐにフィードバックをかけることができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の強誘電体膜の評価方法は、一対の電極間に形成した強誘電体膜に電圧を印加して、前記強誘電体膜にリークを生じさせるリーク発生工程と、発生した前記リークの発生数を測定し、該発生数に基づいて強誘電体膜の評価を行う評価工程とを備えたことを特徴とする。本発明においては、強誘電体膜にわざとリークを発生させ、発生した前記リークの発生数に基づいて前記強誘電体膜の評価を行うことで、強誘電体膜のクラックリスクの原因を判別することができる。
ここで、前記リークが、前記強誘電体膜表面を平面視した場合に点状である点状リークであり、前記評価工程で、前記点状リークの発生数と標準強誘電体膜の点状リークの発生数とを比較して前記強誘電体膜の評価を行うことが好ましく、また、前記リークが、前記強誘電体膜の平面視において線状である線状リークであり、前記評価工程で、前記線状リークの発生数と標準強誘電体膜の線状リークの発生数とを比較して前記強誘電体膜の評価を行うことが好ましい。点状リークと線状リークとはそれぞれ異なる原因により発生するものであることから、それぞれの発生数を測定し、標準強誘電体膜と比較することで、対象とする圧電素子のクラックリスクの原因を判別することができる。ここで、標準強誘電体膜とは、予め得られた所望の特性をもった正常な強誘電体膜を意味し、予め複数の標準強誘電体膜について同一の評価を行って標準強誘電体膜のリーク発生数を測定しておき、これらの平均値を標準強誘電体膜の点状リーク及び線状リークの発生数としている。
前記リーク発生工程では、電源と、該電源に対し前記強誘電体膜と直列に接続された抵抗とからなる検査用回路により前記強誘電体膜に電圧を印加することが好ましい。このような検査用回路によれば、圧電素子が破壊されにくく、かつ均一に負荷をかけることができる。
この場合、前記抵抗は、抵抗の抵抗値Rt及び強誘電体膜の抵抗値Rsが、0.25<=Rs/(Rt+Rs)<=0.91を満たし、かつ、Rt>=8MΩであることが好ましい。この範囲であることでより評価を行いやすいからである。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板の一方面側に、第1電極、強誘電体膜及び第2電極をこの順で積層して圧電素子を形成する圧電素子形成工程と、その後流路形成基板に圧力発生室を形成する圧力発生室形成工程とを備え、前記圧電素子形成工程後、上記の強誘電体膜の評価方法を行い、強誘電体膜の評価が良い場合には圧力発生室形成工程を行うことを特徴とする。前記した強誘電体膜の評価方法を行うことで、圧電素子形成工程後、すぐに製造工程にフィードバックをかけることが可能であり、これによりクラックの発生を抑制することができる。
実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す模式的要部断面図である。 (a)検査回路図、(b)印加電圧を示すグラフである。 電流モニターの結果を示すグラフである。 点状リーク及び線状リークの状態を示すSEM写真である。 測定結果を示すグラフである。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す模式的要部断面図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図である。流路形成基板10は、表面の結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には酸化膜からなる弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるマニホールド100の一部を構成する連通部13が形成されている。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。例えば、本実施形態では、インク供給路14は、マニホールド100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の短手方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の短手方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とからなる液体流路が複数の隔壁11により区画されて設けられている。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
一方、このような流路形成基板10のノズルプレート20とは反対側の面には、上述したように弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、第1電極60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、第2電極80とが、積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいい、圧電体層70は、本実施形態ではチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である強誘電体膜からなる。なお、この圧電体層70は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)に限定されるものではなく、ペロブスカイト型構造のものであればよい。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。また、各圧電素子300の第2電極80には、流路形成基板10のインク供給路14とは反対側の端部近傍まで延設された金(Au)等のリード電極90がそれぞれ接続されている。このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加され、圧電素子300が変位するように構成されている。
流路形成基板10の圧電素子300側の面には、保護基板30が接着剤等の接着層を介して接合されている。保護基板30には、連通部13に対向する領域に連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100を構成するマニホールド部31が設けられている。
また、保護基板30には、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300を保護するための圧電素子保持部32が設けられている。なお、圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
なお、本実施形態では、流路形成基板10の連通部13と保護基板30のマニホールド部31とがマニホールド100を構成するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、マニホールド部31のみをマニホールドとしてもよい。また、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にマニホールドと各圧力発生室12とを連通するインク供給路を設けるようにしてもよい。
また、保護基板30上には、圧電素子300を駆動するための駆動回路120が実装されている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とはボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
また、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料からなり、この封止膜41によってマニホールド部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料で形成される。この固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1では、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの駆動信号S1に従い、圧電素子300を駆動させ、弾性膜50、絶縁体膜55、第1電極60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出される。
本実施形態のインクジェット式記録ヘッドにおいては、後述するように製造工程において圧電体層70の評価を行い、評価の良い圧電体層70が形成されているもののみインクジェット式記録ヘッド1としていることから、圧電体層70にクラックが発生することを抑制している。
以下、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの製造方法について説明する。図3及び図8は、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明するための要部断面図である。まず、図3(a)に示すように、流路形成基板10となるシリコン単結晶基板のウェハーを約1100℃の拡散炉で熱酸化し、流路形成基板10の表面に弾性膜50を形成し、この弾性膜50の圧電素子形成面側に、絶縁体膜55を形成する。次に、図3(b)に示すように、例えば、白金等からなる第1電極60を絶縁体膜55の全面に形成後、所定形状にパターニングする。次に、図3(c)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多くの金属、あるいは導電性酸化物等からなる第2電極80とを順次積層し、これらを同時にパターニングして圧電素子300を形成する。次いで、図3(d)に示すように、例えば、金(Au)等からなるリード電極90を流路形成基板10の全面に亘って形成すると共に、各圧電素子300毎にパターニングする。
本実施形態においては、ここで強誘電体膜である圧電体層70の評価を行う。即ち、インクジェット式記録ヘッドの製造工程中の複数のウェハーから任意のウェハーを抜き取りサンプルウェハー(以下、サンプルとする)とする。このサンプルの圧電素子300に対して検査回路を用いて所定の電圧となるまで電圧を漸増させながら印加して圧電体層70にリークを発生させる(リーク発生工程)。そして、発生したリークの数を測定し、このリークの数を基にして圧電体層70に異常があるかどうかを評価する(評価工程)。このとき、サンプルの評価が良い場合には、このサンプルと同一の設定条件で形成された残りのウェハー(例えば同一のロットのウェハーや同一のウェハーカセットに収容されていたウェハー)に対し後工程を続けて行う。この圧電体層70の評価について、以下詳細に説明する。
まず、評価に用いる検査用回路について図4を用いて説明する。図4(a)に示すように検査回路は、電源Vに対し、サンプルSと抵抗Rとが直列に接続されている。サンプルSと抵抗Rとを直列に接続するのは、以下のような理由である。つまり、抵抗Rがないと、サンプルSに電圧を印加してサンプルに電荷が蓄積された場合に、蓄積された電荷量が大きくなることにより大電流が発生し、これによりサンプルSが破壊されてばらばらになってしまう。そこで、本実施形態では、抵抗Rを直接接続することで、サンプルSに蓄積される電荷量を減少させ負荷の集中を抑制でき、サンプル全体に負荷をかけることができるのでサンプルSが破壊されてばらばらになってしまうことを抑制できる。なお、本実施形態のように抵抗を直接サンプルに接続するのではなく例えば遮断器のようなものを接続するとすれば、リークが発生した後に電流を電圧に流し続けることができず、本実施形態のような亀裂の原因を特定するような評価を実施することができない。
この抵抗Rは、その抵抗値Rt及びサンプルの抵抗値Rsが、0.25<=Rs/(Rt+Rs)<=0.91を満たし、かつ、Rt>=8MΩであることが好ましい。この範囲であることで、圧電体層70を正確に評価しやすい。即ち、Rs/(Rt+Rs)が0.25よりも小さいと、抵抗Rの抵抗値が大きすぎて圧電体層が破壊されにくい場合があり、Rs/(Rt+Rs)が0.91よりも大きいと第1電極60の端部に負荷がかかりすぎ、圧電体層70全体に均等に負荷がかかりにくくなる結果、正確に評価することができない場合がある。また、Rtが8MΩよりも小さいと、第1電極60の端部に負荷がかかりすぎ、圧電体層70全体に均等に負荷がかかりにくくなる結果、正確に評価することができない場合がある。なお、サンプルSの抵抗値Rsは、40〜140MΩであり、また、本実施形態では、抵抗Rの抵抗値Rtは20MΩとしている。
そして、電源Vから、電圧をサンプルSの圧電素子300に印加する。この場合、ウェハーの全ての圧電素子300に印加してもよいが、最低30個程度の圧電素子300に印加すればよい。印加する圧電素子300が少ないと精度が落ちるからである。印加電圧は、具体的には図4(b)に示すように0〜t秒で電圧を0VからVまで漸増させ、次いでt〜t秒で電圧をVで一定に保持し、その後t〜t秒で電圧を0Vまで漸減させる。本実施形態では、t=1秒、t=2秒、t=3秒、V=200Vである。従って、本評価に要するのは3秒であり、1秒で1Vずつ増加させていた従来に比べて非常に短時間で評価を行うことが可能である。
サンプルSに対して図4(a)に示す検査用回路を用いて電圧を印加することにより、圧電体層70に均等に負荷がかかり、異物混入、構造不良等や圧電体層70の靱性不良部分などにはリークが発生し、圧電体層70に電流が流れる。この電流について図5を用いて説明する。図5は、t=0〜t秒における電流モニターによる電流の測定結果を示し、横軸が電圧、縦軸が電流を示す。このように、電圧をVまで漸増させる際、一定以上の電圧V(この電圧を耐電圧という)が印加されると、圧電体層70にリークが発生して電流が流れる。さらに電圧が印加され電圧Vになるとさらにリークが発生しより多くの電流が流れるようになる。このように、従来の圧電素子300の評価であれば、圧電素子300が破壊されてばらばらになってしまうが、本実施形態では、図4(a)に示す検査用回路により図4(b)に示す波形の電圧を印加することにより複数のリークを発生させることで圧電素子300が破壊されることなく、圧電素子の異常を判別することができる。
電圧を印加した後に、リークを外観検査により検査する。具体的には、圧電体層70には点状リーク及び線状リークが発生するので、これらの発生数を顕微鏡等により測定する。この点状リーク及び線状リークについて、圧電素子300を上面側(第2電極80側)から撮影したSEM写真である図6を用いて説明する。点状リークとは、図6(a)に示すように、圧電体層70の厚さ方向を貫通する孔状のリークであり、圧電体層70の電極との接合面を平面視した場合に点状に見えるリークをいう。線状リークとは、図6(b)に示すように、圧電体層70の厚さ方向に形成された亀裂状のリークであり、圧電体層70の電極との接合面を平面視した場合に線状に見えるリークをいう。なお、これらの各リークは、第1電極60及び第2電極80を溶融するので、このように圧電素子300の上面から黒い点又は黒い線となって観察することができるものである。この場合、点状リークとしては、例えば同心円でかつ直径が2〜9μmのものを点状リークとして認定し、また、線状リークとしてはその幅が0.5μm以上のものを線状リークとして認定する。このように設定することで、より精度を上げることが可能である。
点状リーク及び線状リークは、それぞれ発生原因が異なる。点状リークは、圧電体層70自体の膜質、即ち耐電圧性が低いと多く発生しやすい。また、線状リークは、異物混入や洗浄工程における傷などによるプロセス上のエラーがあった場合に発生しやすい。従って、これらのリークの各発生数を標準ウェハーにおける発生数と比較することで、圧電体層70に異常がある場合に、それが圧電体膜そのものによるものなのかプロセス上のエラーによるものなのかどうかを判別でき、製造工程にフィードバックをかけることができる。なお、標準ウェハーとは予め得られた所望の特性をもった正常な強誘電体膜である圧電体層が形成されたウェハーを意味し、複数の標準ウェハーの圧電体層に対し同一の評価を行って標準ウェハーでのリーク発生数を測定しておき、それらの平均を取って標準ウェハーの点状リーク及び線状リークの発生数としている。
即ち、これらのリークの発生数と標準ウェハーの圧電体層の点状リーク及び線状リーク発生数(以下、これを標準数とする)、並びに耐電圧と標準ウェハーの耐電圧とを比較して、圧電体層70の評価を行う。詳細に説明すると、測定した点状リーク数が標準点状リーク数の何倍であるか、また、測定した耐電圧が標準耐電圧の何倍であるか、線状リーク数がいくつ発生したかを測定する。この測定結果は、本実施形態では例えば図7(a)〜(c)に示すようになる。即ち、標準ウェハーの場合は、(a)線状リークについては発生数0であるが、プロセスエラーによる異物が多いものは線状リークが5個発生した。また、(b)点状リークについては、標準ウェハーに対し、膜質が悪いものは1.12倍点状リークが発生した。さらに、(c)耐電圧についても、膜質が悪いウェハーに関しては標準ウェハーよりも耐電圧がやや高かったが、異物が多いウェハーについては耐電圧は0.92倍程度となった。
このように、膜質が悪いものとプロセスエラーがあったものとでは点状リークや線状リークの発生数や耐電圧値にそれぞれ違いがでるのでこれらの違いに基づいて圧電体膜の評価を行い、原因を判別することができる。即ち、従来の評価方法では、サンプルがばらばらに破壊されてしまったが、本実施形態においては抵抗値の大きい抵抗と直列にサンプルを接続することでサンプルがばらばらに破壊されることを抑制しており、上述のように異常の原因を判別することが可能である。
そして、従来よりも早い段階で製造工程にフィードバックをかけることができるため、よりはやく製造工程にエラーの原因を反映させることが可能である。
評価がよい場合には、即ち標準ウェハーとはほとんどリーク数等に違いがなかった場合には同一条件で形成された残りのウェハーに対して後製造工程を行う。図8(a)に示すように予めマニホールド部31、圧電素子保持部32等が形成された保護基板30を、上記膜形成プロセス終了後の流路形成基板10上に接着剤によって接着する。次いで、図8(b)に示すように、流路形成基板10を所望の厚さにし、その後、シリコン単結晶基板である流路形成基板10の異方性エッチングを行い、図8(c)に示すように、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15を形成する。
次いで、流路形成基板10の保護基板30とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板30上にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板10、保護基板30等の各基板をチップサイズに分割することにより、図1に示すような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
本実施形態では、圧電素子300毎にパターニングした後にすぐに圧電素子300の評価を行ったが、第2電極80を形成した後、圧力発生室12を形成する前であればどの段階で行っても良い。これは、圧力発生室12を形成した後に評価用の電圧を印加すると電圧値が通常の駆動電圧よりも大きいために変位が大きすぎて圧電素子300が破壊されてしまい、クラックリスクを評価することができないからである。
本実施形態では、圧電素子300にリークを発生させたが、例えばインクの吐出を行わない試験用圧電素子を並設された圧電素子300の両端部に設け、この試験用圧電素子300に対して評価を行ってもよい。これにより、試験用圧電素子が破壊されたとしても圧電素子300自体が残っているので、他の部分が破壊されていなければ評価が高い場合には同じウェハーに対して後工程を行うことができる。ただし、本実施形態のように製造ラインから任意のウェハーを抜き取って評価を行う方が好ましい。この試験用圧電素子を用いて評価を行う場合には、実際に吐出をしない圧電素子を用いており、また、試験用圧電素子を圧電素子300と同数作製することがなく評価を行う圧電素子数が少ないため、評価精度が劣るためである。
本実施形態では、耐電圧についても併せて測定したが、リーク発生数のみで評価することももちろん可能である。また、本実施形態では、点状リーク発生数が何倍であるかどうかを算出したが、標準ウェハーの点状リーク発生数を基準としてこの数より多いか否かで評価を行っても良い。
さらに、上述した実施形態では、基板(流路形成基板10)上に第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を順次積層した圧電素子300を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子にも本発明を適用することができる。
また、本実施形態では、液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドに基づいて説明したが、本発明の強誘電体膜の評価方法は、例えばメモリーなどに使用される強誘電体膜であっても用いることができる。
1 インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 15 連通路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板(結晶基板)、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 70 圧電体層、 90 リード電極、 100 マニホールド、 120 駆動回路、 300 圧電素子

Claims (6)

  1. 一対の電極間に形成した強誘電体膜に電圧を印加して、前記強誘電体膜にリークを生じさせるリーク発生工程と、発生した前記リークの発生数を測定し、該発生数に基づいて強誘電体膜の評価を行う評価工程とを備えたことを特徴とする強誘電体膜の評価方法。
  2. 前記リークが、前記強誘電体膜表面を平面視した場合に点状である点状リークであり、
    前記評価工程で、前記点状リークの発生数と標準強誘電体膜の点状リークの発生数とを比較して前記強誘電体膜の評価を行うことを特徴とする請求項1に記載の強誘電体膜の評価方法。
  3. 前記リークが、前記強誘電体膜表面を平面視した場合に線状である線状リークであり、
    前記評価工程で、前記線状リークの発生数と標準強誘電体膜の線状リークの発生数とを比較して前記強誘電体膜の評価を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の強誘電体膜の評価方法。
  4. 前記リーク発生工程では、電源と、該電源に対し前記強誘電体膜と直列に接続された抵抗とからなる検査用回路により前記強誘電体膜に電圧を印加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の強誘電体膜の評価方法。
  5. 前記抵抗は、抵抗の抵抗値Rt及び強誘電体膜の抵抗値Rsが、
    0.25<=Rs/(Rt+Rs)<=0.91
    を満たし、かつ、Rt>=8MΩであることを特徴とする請求項4に記載の強誘電体膜の評価方法。
  6. 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板の一方面側に、第1電極、強誘電体膜及び第2電極をこの順で積層して圧電素子を形成する圧電素子形成工程と、
    その後流路形成基板に圧力発生室を形成する圧力発生室形成工程とを備え、
    前記圧電素子形成工程後、請求項1〜5のいずれかに記載の強誘電体膜の評価方法を行い、強誘電体膜の評価が良い場合には前記圧力発生室形成工程を行うことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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