JP2011027699A - 赤外線式ガス検知器および赤外線式ガス計測装置 - Google Patents

赤外線式ガス検知器および赤外線式ガス計測装置 Download PDF

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【課題】高感度化および低コスト化が可能な赤外線式ガス検知器および赤外線式ガス計測装置を提供する。
【解決手段】赤外線受光素子(赤外線受光部)40は、2つ1組の焦電素子(熱型赤外線検出素子)4,4が焦電素子形成用基板41において並設され逆直列に接続されている。赤外線光学フィルタ20が、赤外線透過材料からなるフィルタ形成用基板1と、当該フィルタ形成用基板1において焦電素子4,4に対応する部位に形成され所望の選択波長の赤外線を選択的に透過させる狭帯域透過フィルタ部2,2と、フィルタ形成用基板1に形成され狭帯域透過フィルタ部2,2の選択波長よりも長波長の赤外線を吸収する広帯域遮断フィルタ部3とで構成され互いに狭帯域透過フィルタ部2,2の選択波長の異なる複数のフィルタ要素部を備え、パッケージ7における赤外線受光素子40の前方の窓孔7aを閉塞する形でパッケージ7に接合されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線式ガス検知器および赤外線式ガス計測装置に関するものである。
ガスにより特定波長の赤外線が吸収されることを利用してガスの計測を行う赤外線式ガス計測装置が知られており、このような赤外線式ガス計測装置は、計測ガスの分子構造から決定する吸収波長の赤外線(赤外光)の吸光度を計測することにより、測定ガスの濃度を計測するものである。
ここにおいて、物質に入射する光の強度をI、物質中を光路長Lだけ通過した後の光の強度をIとすると、吸光度Dは、ランベルト・ベールの法則により、下記(1)式で与えられる。
D=−log10(I/I) (1)式
また、物質に固有の吸収係数(その物質の吸収波長および温度により決まる定数)をα、物質の濃度をC、光路長をLとすると、吸光度Dは、ランベルト・ベールの法則に従い、下記(2)式で与えられ、吸光度Dが物質の濃度Cおよび光路長Lに比例することが分かる。
D=αCL (2)式
また、透過率Tは、下記(3)式で表される。
T=I0/I (3)式
よって、(2)式および(3)式から、透過率Tは下記(4)式で与えられる。
T=10−D=10−αCL (4)式
したがって、赤外線光源から放射された任意の波長λの赤外線の光量をP、計測ガスを光路長Lだけ通過した後の赤外線受光素子で受光する赤外線の受光量(受光パワー)をIとすると、受光量Iは、下記(5)式で求められ、図29に示す関係が得られる。
I=P×10−αCL (5)式
上述の(5)式および図29から分かるように、受光量Iとガスの濃度との関係は、ガスの濃度が高くなるにつれて受光量Iが徐々に減衰する曲線となるので、受光量Iの減衰量を計測することでガスの濃度を計測することが可能となる。
したがって、測定ガスの吸収波長を含む狭帯域の赤外線を透過させる狭帯域透過フィルタと赤外線受光素子とを組み合わせて用いることで、ガスの濃度を測定することが可能となる。なお、吸収波長は、例えば、CH(メタン)が3.3μm、SO(三酸化硫黄)が4.0μm、CO(二酸化炭素)が4.3μm、CO(一酸化炭素)が4.7μm、NO(一酸化窒素)が5.3μmである。
しかしながら、一般的に、雑ガスによる影響や赤外線光源の出力パワーのばらつきがあることが多く、高精度の計測が要求される場合には、雑ガスや赤外線光源の出力パワーのばらつきに起因した誤差を補正するために、測定ガスの赤外線吸収波長帯の検出光をモニタする光学系と、測定ガスの赤外線吸収波長帯以外の赤外線の波長帯の参照光をモニタする光学系とを設け、2つの光学系それぞれの赤外線受光素子の出力信号に基づいて誤差を補正するようにした赤外線式ガス計測装置が用いられるのが一般的であった。
この種の赤外線式ガス計測装置としては、図30に示すように、ハロゲンランプなどからなる赤外線光源10と、赤外線光源10を駆動する駆動回路11と、赤外線光源10から放射された光をコリメートするレンズ12と、計測ガスが導入されるガス流入路13bおよび排出されるガス排出路13cが形成されたチャンバ13と、互いに透過波長域の異なる2つの狭帯域透過フィルタからなる赤外線光学フィルタ20,20と、各赤外線光学フィルタ20,20それぞれを透過した赤外線を各別に受光する2つの赤外線受光素子40,40と、各赤外線受光素子40,40それぞれの出力を各別に増幅する2つの増幅回路50,50と、両増幅回路50,50の出力に基づいてガスの濃度を求める演算を行う演算回路60とを備えたものが知られている。
ここにおいて、2つの赤外線光学フィルタ20,20と、2つの赤外線受光素子40,40と、両赤外線光学フィルタ20,20および両赤外線受光素子40,40を収納したパッケージ7とで、赤外線式ガス検知器(赤外線受光ユニット)が構成されている。また、2つの赤外線光学フィルタ20,20は、測定ガスの吸収波長の赤外線と参照光の波長として設定した波長の赤外線とを各別に透過できるように透過波長域を設定してある。なお、この種のパッケージ7としては、図31に示すように、金属製のステム71と金属製のキャップ72とで構成されるCANパッケージが用いられており、各赤外線光学フィルタ20,20が、キャップ72に設けられた2つの透光窓それぞれを閉塞する形でキャップ72に実装されている。
図30に示した構成の赤外線式ガス計測装置では、赤外線光源10から放射された赤外線がレンズ12によりコリメートされ、チャンバ13内を通過した赤外線のうち赤外線光学フィルタ20,20を透過した赤外線が赤外線受光素子40,40で受光される。ここで、チャンバ13内のガスの濃度と光路長に応じて特定波長(ガスの吸収波長)の赤外線が減衰する。
また、赤外線式ガス検知器(赤外線受光ユニット)のパッケージに収納して用いる赤外線受光モジュールとして、図32に示すように、MgO基板からなる基板300の一表面側に2つの赤外線受光素子400,400が形成され、各赤外線受光素子400,400それぞれに互いに透過波長の異なる狭帯域透過フィルタ部200,200が積層されたものが提案されている(特許文献1参照)。ここにおいて、各赤外線受光素子400,400および各狭帯域透過フィルタ部200,200はスパッタ法などを利用して形成されており、各赤外線受光素子400,400は、Pt膜からなる下部電極401,401と、下部電極401,401上のPbTiO膜からなる焦電体膜402,402と、焦電体膜402,402上のNiCr膜からなる上部電極403,403とからなる焦電素子で構成され、各狭帯域透過フィルタ部200,200となる各多層膜を構成する複数種類の薄膜の材料の組み合わせとしては、Si,Ge,Se,Te,LiF,NaF,CaF,MgFの群から選択した材料の組み合わせなどが採用されている。なお、図32に示した構成の赤外線光学モジュールでは、2つの赤外線受光素子400,400の下部電極401,401同士が連続一体に形成されて電気的に接続されている。
また、従来から、図33に示すように、互いに透過波長の異なる複数個の赤外線光学フィルタ20,20,20,20を同一厚さとして当該複数個の赤外線光学フィルタ20,20,20,20の隣り合う側面同士を接着剤からなる接着層19を介して接着することにより形成された赤外線光学フィルタモジュール5と、各赤外線光学フィルタ20,20,20,20それぞれを透過した赤外線を受光する複数個の赤外線受光素子40,40,40,40とが、金属製のステム71と金属製のキャップ72とで構成されるCANパッケージからなるパッケージ7内に収納されるとともに、キャップ72の前壁に設けられた窓孔7aがサファイア基板からなる赤外線透過部材80により閉塞され、パッケージ7内にNもしくは乾燥空気が封入された赤外線式ガス検知器(赤外線受光ユニット)が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
ここにおいて、上記特許文献2に開示された各赤外線光学フィルタ20,20,20,20は、Si基板からなるフィルタ形成用基板1の一表面側に、赤外線の所定の波長帯域を透過させる狭帯域透過フィルタ部2’が形成されるとともに、フィルタ形成用基板1の他表面側に、狭帯域透過フィルタ部2’での透過帯域以外のノイズ成分を除くために、赤外線の短波長帯域と長波長帯域とをカットする広帯域遮断フィルタ部3’が形成されている。ここで、上記特許文献2では、狭帯域透過フィルタ部2’および広帯域遮断フィルタ部3’それぞれを、Ge膜とSiO膜とを交互に積層した多層膜などで形成することが記載されている。
ところで、上述の透過率Tについて具体的な数値例を挙げれば、光路長Lが150mm、COガスの濃度Cが10ppmの場合、透過帯域の中心波長が4.7μmで帯域幅が0.2μmの赤外線光学フィルタを用いたとしても、透過率Tは約0.0023%という非常に小さな減衰率でしか変化しない。
そこで、赤外線式ガス検知器の分野においては、赤外線受光素子として、高感度の測定が可能な焦電素子が用いられることが多い。焦電素子の出力を増幅する方式としては、FETと当該FETのゲートに接続した抵抗とを用いた電流電圧変換回路や、演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間にコンデンサを接続した電流電圧変換回路(例えば、特許文献3参照)などがある。
特開平7−72078号公報 特開平3−205521号公報 特開平10−281866号公報
ところで、図32に示した構成の赤外線光学モジュールでは、赤外線受光素子400,400が焦電素子などの熱型赤外線受光素子であるにもかかわらず、赤外線受光素子400,400上に直接、狭帯域透過フィルタ部200,200が積層されているので、熱容量が大きくななるとともに熱絶縁性の確保が難しくなり、応答性が低下してしまうため、赤外線受光素子400,400が焦電素子などの熱型赤外線受光素子の場合に応答性の低下を防止するには、狭帯域フィルタ部200,200を赤外線受光素子400,400とは別途のフィルタとして設ける必要がある。
また、図33に示した構成の赤外線式ガス検知器では、キャップ72の前壁に設けられた窓孔7aがサファイア基板からなる赤外線透過部材80により閉塞されており、赤外線透過部材80が、赤外線光源から放射された遠赤外線を吸収により遮断する機能を含んでいる。その一方で、図33に示した構成の赤外線式ガス検知器の各赤外線光学フィルタ20,20,20,20における広帯域遮断フィルタ部3’および狭帯域透過フィルタ部2’が、Ge膜とSiO膜とを積層した多層膜により構成されているが、SiO膜は狭帯域透過フィルタ部2’の透過帯域よりも長波長帯域の赤外線を吸収する特性も有しており、逆に広帯域遮断フィルタ部3’自体、狭帯域透過フィルタ部2’自体の温度が高い場合は吸収波長帯の赤外線を放射しやすいという特性も有している。このような特性を持つフィルタ材料(SiO)を用いた図33に示す構成の赤外線式ガス検知器では、赤外線光学フィルタ20,20,20,20および赤外線受光素子40,40,40,40に温度分布が生じると、赤外線光学フィルタ20,20,20,20の遠赤外線の吸収に起因した長波長の赤外線放射強度と赤外線受光素子40,40,40,40の赤外線受光強度に差が生じて、温度分布に起因した出力が発生することが考えられる。
ここで、上記特許文献2には、効果として開示されていないが、図33に示す構成の赤外線式ガス検知器は、キャップ72の前壁に設けられた窓孔7aがサファイア基板からなる赤外線透過部材80により閉塞されたパッケージ7内に赤外線光学フィルタ20,20,20,20を配置してあることにより、赤外線光学フィルタ20,20,20,20の温度分布を抑制することができ、また、狭帯域透過フィルタ部2’の透過帯域よりも長波長の赤外線の吸収による温度分布が生じた場合に当該温度分布によって長波長の赤外線放射強度に分布が生じる特性を有する赤外線透過部材80からの長波長の赤外線放射強度の分布が、赤外線光学フィルタ20,20,20,20によって抑制されるものと推察される。
しかしながら、図33に示す構成の赤外線式ガス検知器では、高価なサファイア基板からなる赤外線透過部材80を赤外線光学フィルタ20,20,20,20とは別途に設ける必要があり、パッケージ7における光学系が赤外線透過部材80と赤外線光学フィルタ20,20,20,20とを用いた2段のフィルタ構成となっているので小型化が困難である、赤外線受光素子40,40,40,40がキャップ72の前壁の窓孔7aより後方においてパッケージ7内に配置されるため、開口角が狭くなって感度が低下するという、問題が生じる。
また、上記特許文献2に開示された図33に示す構成の赤外線式ガス検知器では、フィルタ特性の異なる複数種の赤外線光学フィルタ20,20,20,20を互いに異なるウェハに形成してから、各ウェハそれぞれから個別の赤外線光学フィルタ20,20,20,20にダイシングした後で、フィルタ特性の異なる赤外線光学フィルタ20,20,20,20同士を接着剤で接着する必要があり、コストが高くなるとともに、複数個の赤外線光学素子40,40,40,40により構成される赤外線光学素子モジュールの小型化が難しく赤外線受光素子40,40,40,40の中心間距離が大きくなって検出光と参照光との光路長の差が大きくなってしまうとともに各赤外線受光素子40,40,40,40の受光効率が低下してしまう。
また、図33に示す構成の赤外線式ガス検知器では、上述の赤外線透過部材80により太陽光や照明光などの外乱光の遠赤外線を遮断することができるが、サファイア基板は高価であるとともにダイシングなどの加工が難しいため、コストが高くなってしまう。また、図33に示す構成の赤外線式ガス検知器では、赤外線光学フィルタ20,20,20,20間で導通をとるために接着剤として銀ペーストなどの導電性接着剤を用いた場合には、機械的強度が低くなってしまう。また、図33に示した構成では、各赤外線光学フィルタ20,20,20,20それぞれの一表面および他表面の周部が露出しているので、不要な赤外線が赤外線受光素子40,40,40,40に入射しないように複数個の赤外線受光素子40,40,40,40を保持するホルダ90に複数個の収納部90,90,90,90を設け、各収納部90,90,90,90に各別に赤外線受光素子40,40,40,40を収納する必要がある。
また、上記特許文献3に記載された電流電圧変換回路により構成される増幅回路では、各赤外線受光素子の出力を各別に増幅する必要があるが、ガスの濃度Cを受光量Iの減衰量に基づいて求める場合、受光量Iには太陽光などの外乱光の直流バイアス成分があるので、増幅回路の出力の飽和により増幅回路のゲインを高めることが制限され、S/N比の向上が制限される。また、焦電素子は、赤外線を熱エネルギとして吸収し、その結果生じる電荷量の変化(焦電効果)を検出するいわゆる微分型の検出素子であるから、赤外線の変化分しか検出することができず、0.1〜10Hz程度という低周波の赤外線を検出する必要があり、上述の各電流電圧変換回路のインピーダンスは、100GΩ〜1TΩと非常に大きく、高インピーダンスによる高S/N化を図ることは効果的であるが、インピーダンスが高いため、外来の輻射ノイズの影響を受けやすい。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、低コストで高感度化が可能な赤外線式ガス検知器および赤外線式ガス計測装置を提供することにある。
請求項1の発明は、赤外線受光部がパッケージ内に収納され、赤外線受光部の前方に赤外線光学フィルタ部が配置された赤外線式ガス検知器であって、赤外線受光部は、複数の熱型赤外線検出素子が並設されてなり、赤外線光学フィルタ部は、赤外線透過材料からなるフィルタ形成用基板と、当該フィルタ形成用基板において熱型赤外線検出素子に対応する部位に形成され所望の選択波長の赤外線を選択的に透過させる狭帯域透過フィルタ部と、前記フィルタ形成用基板に形成され狭帯域透過フィルタ部の選択波長よりも長波長の赤外線を吸収する広帯域遮断フィルタ部とで構成され互いに狭帯域透過フィルタ部の選択波長の異なる複数のフィルタ要素部を備え、パッケージにおける赤外線受光部の前方の窓孔を閉塞する形でパッケージに接合されてなることを特徴とする。
この発明によれば、赤外線光学フィルタ部は、赤外線透過材料からなるフィルタ形成用基板と、当該フィルタ形成用基板において熱型赤外線検出素子に対応する部位に形成され所望の選択波長の赤外線を選択的に透過させる狭帯域透過フィルタ部と、前記フィルタ形成用基板に形成され狭帯域透過フィルタ部の選択波長よりも長波長の赤外線を吸収する広帯域遮断フィルタ部とで構成され互いに狭帯域透過フィルタ部の選択波長の異なる複数のフィルタ要素部を備え、パッケージにおける赤外線受光部の前方の窓孔を閉塞する形でパッケージに接合されているので、広帯域遮断フィルタ部において赤外線を吸収することにより発生した熱がパッケージを通して効率良く放熱されるから、狭帯域透過フィルタ部の温度上昇や温度分布を抑制でき、低コストで高感度化が可能となる。また、パッケージ内に赤外線受光部の出力を信号処理する増幅回路などの回路部品を収納してある場合には、回路部品の温度上昇により回路部品から放射されパッケージの内壁面で反射される赤外線を広帯域遮断フィルタ部により吸収することができ、S/N比の向上による高感度化を図れる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記熱型赤外線検出素子が焦電素子であり、前記赤外線受光部は、2つ1組の焦電素子が逆直列もしくは逆並列に接続されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記赤外線受光部は、2つ1組の焦電素子が逆直列もしくは逆並列に接続されているので、組をなす2つの焦電素子の直流バイアス成分を相殺することができるとともに、前記赤外線受光部の出力のダイナミックレンジを大きくでき、特に2つ1組の焦電素子が1枚の焦電素子形成基板に形成されている場合には、前記赤外線受光部の出力を増幅する増幅回路を前記パッケージ内に収納する場合の小型化を図りやすく、しかも、前記赤外線受光部の出力を増幅する増幅回路のゲインを大きくできてS/N比の向上が可能となる。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記熱型赤外線検出素子がサーモパイルであり、前記赤外線受光部は、2つ1組のサーモパイルが逆直列もしくは逆並列に接続されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記赤外線受光部は、2つ1組のサーモパイルが逆直列もしくは逆並列に接続されているので、組をなす2つのサーモパイルの直流バイアス成分を相殺することができるとともに、前記赤外線受光部の出力のダイナミックレンジを大きくでき、特に2つ1組のサーモパイルが1枚の支持基板に形成されている場合には、前記赤外線受光部の出力を増幅する増幅回路を前記パッケージ内に収納する場合の小型化を図りやすく、しかも、前記赤外線受光部の出力を増幅する増幅回路のゲインを大きくできてS/N比の向上が可能となる。
請求項4の発明は、請求項2または請求項3の発明において、前記赤外線受光部の出力を増幅する増幅回路の構成部品が前記パッケージ内に収納されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記赤外線受光部と増幅回路との電路を短くでき、S/N比のより一層の向上による高感度化を図れる。
請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記熱型赤外線検出素子が焦電素子もしくはサーモパイルであり、2つ1組の焦電素子もしくは2つ1組のサーモパイルの出力を差動増幅する増幅回路を備えることを特徴とする。
この発明によれば、各焦電素子それぞれの出力もしくは各サーモパイルそれぞれの出力を個別に増幅する複数の増幅回路を設ける場合に比べて、小型化および低コスト化を図れる。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記フィルタ形成用基板は、Si基板もしくはGe基板であることを特徴とする。
この発明によれば、前記フィルタ形成用基板がサファイア基板やMgO基板やZnS基板である場合に比べて低コスト化を図れ、しかも、前記フィルタ形成用基板の温度上昇を抑制でき、前記赤外線光学フィルタ部の温度上昇による赤外線放射を抑制できる。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記パッケージが、外部からの電磁波を遮蔽するシールド部を備え、前記赤外線光学フィルタ部は、前記フィルタ形成用基板が前記パッケージのシールド部に電気的に接続されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記フィルタ形成用基板と前記パッケージとで電磁シールドを行うことができ、前記赤外線受光部への外来の輻射ノイズ(電磁ノイズ)の影響を防止でき、S/N比の向上による高感度化を図れる。
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7の発明において、前記赤外線光学フィルタ部は、前記フィルタ形成用基板における前記熱型赤外線検出素子側である一表面側に前記狭帯域透過フィルタ部が形成され、前記フィルタ形成用基板の他表面側に前記広帯域遮断フィルタ部が形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記広帯域遮断フィルタ部において赤外線を吸収することにより発生した熱が前記熱型赤外線検出素子へ伝熱されにくくなり、前記広帯域遮断フィルタ部が前記熱型赤外線検出素子側となる形で配置されている場合に比べて、前記パッケージの低背化を図りながらも応答性の向上を図れる。また、この発明によれば、前記熱型赤外線検出素子側に前記狭帯域透過フィルタ部が形成されているので、前記赤外線光学フィルタ部に斜め方向から入射する赤外線に起因したクロストークの発生を抑制でき、前記熱型赤外線検出素子の受光領域を大きくすることによる高感度化を図れる。
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8の発明において、前記赤外線光学フィルタ部は、前記複数の前記フィルタ要素部で前記フィルタ形成用基板が共用されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記狭帯域透過フィルタ部が互いに異なる前記フィルタ形成用基板に形成されている場合に比べて、前記狭帯域透過フィルタ部同士の温度差をより低減でき、検出精度や感度の向上を図れる。また、この発明によれば、前記複数の前記フィルタ要素部を有する前記赤外線光学フィルタ部の小型化および低コスト化を図れ、しかも、複数の前記狭帯域透過フィルタ部の中心間距離を短くできて検出光と参照光との光路長の差を小さくすることができ、前記赤外線受光部の前記各熱型赤外線検出素子の受光効率の向上を図れる。
請求項10の発明によれば、請求項1ないし請求項9の発明において、前記各狭帯域透過フィルタ部は、屈折率が異なり且つ光学膜厚が等しい複数種類の薄膜が積層された第1のλ/4多層膜と、第1のλ/4多層膜における前記フィルタ形成用基板側とは反対側に形成され前記複数種類の薄膜が積層された第2のλ/4多層膜と、第1のλ/4多層膜と第2のλ/4多層膜との間に介在し前記選択波長に応じて光学膜厚を各薄膜の光学膜厚とは異ならせた波長選択層とを有し、前記広帯域遮断フィルタ部は、屈折率が異なる複数種類の薄膜が積層された多層膜からなり、当該複数種類の薄膜のうち少なくとも1種類の薄膜が遠赤外線を吸収する遠赤外線吸収材料により形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記広帯域遮断フィルタ部は、屈折率が異なる複数種類の薄膜が積層された多層膜からなり、当該複数種類の薄膜のうち少なくとも1種類の薄膜が遠赤外線を吸収する遠赤外線吸収材料により形成されているので、前記広帯域遮断フィルタ部を構成する多層膜による光の干渉効果と、当該多層膜を構成する薄膜の遠赤外線吸収効果とにより、サファイア基板を用いることなく、近赤外線から遠赤外線までの広帯域における赤外線遮断機能を実現することができ、低コスト化を図れる。
請求項11の発明は、赤外線光源から赤外線を所定空間へ放射させて所定空間内の検知対象ガスでの赤外線の吸収を利用して検知対象ガスを検出する赤外線式ガス計測装置であって、赤外線光源と、赤外線光源を駆動する駆動部と、赤外線光源から放射され所定空間を通過した赤外線を受光する赤外受光ユニットとを備え、赤外受光ユニットとして請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の赤外線式ガス検知器を備えてなることを特徴とする。
この発明によれば、赤外受光ユニットとして請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の赤外線式ガス検知器を備えているので、低コストで高感度化の赤外線式ガス計測装置を提供することが可能になる。
請求項1の発明は、低コストで高感度化が可能な赤外線式ガス検知器を提供することが可能になるという効果がある。
請求項11の発明は、低コストで高感度化が可能な赤外線式ガス計測装置を提供することが可能になるという効果がある。
実施形態の赤外線式ガス検知器を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略断面図である。 同上の赤外線式ガス検知器の概略分解斜視図である。 同上の赤外線式ガス検知器における赤外線受光素子を示し、(a)は概略平面図、(b)は回路図、(c)は他の構成例の回路図である。 同上の赤外線式ガス検知器における赤外線光学フィルタの概略断面図である。 同上の赤外線光学フィルタにおける設定波長と反射帯域との関係説明図である。 同上の赤外線光学フィルタの反射帯域幅を説明するための屈折率周期構造の透過スペクトル図である。 同上の屈折率周期構造における低屈折率材料の屈折率と反射帯域幅との関係説明図である。 同上の赤外線光学フィルタのフィルタ本体部の基本構成を示す概略断面図である。 同上の基本構成の特性説明図である。 同上の基本構成の特性説明図である。 同上の赤外線光学フィルタにおける遠赤外線吸収材料により形成した薄膜の透過スペクトル図である。 同上の赤外線光学フィルタの製造方法を説明するための主要工程断面図である。 同上の赤外線光学フィルタの2つの狭帯域透過フィルタ部により構成される部分の透過スペクトル図である。 同上におけるイオンビームアシスト蒸着装置を用いて形成した薄膜の膜質をFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)により分析した結果を示す図である。 (a)はSi基板上に膜厚が1μmのAl膜を成膜した参考例の透過スペクトル図、(b)は(a)の透過スペクトル図に基づいて算出したAl膜の光学パラメータ(屈折率、吸収係数)の説明図である。 同上の赤外線光学フィルタの透過スペクトル図である。 同上の赤外線光学フィルタの広帯域遮断フィルタ部の透過スペクトル図である。 同上の赤外線式ガス検知器を備えた赤外線式ガス計測装置の概略構成図である。 物体の温度と放射エネルギとの関係説明図である。 赤外線光源の他の構成例を示し、(a)は概略断面図、(b)は要部概略断面図である。 赤外線光源の出力の説明図である。 同上における赤外線光学フィルタの説明図である。 同上における赤外線受光素子の出力の説明図である。 同上の赤外線式ガス検知器における赤外線受光素子の他の構成例を示し、(a)は概略平面図、(b)は回路図、(c)は別の構成例の回路図である。 Siの透過特性の説明図である。 Geの透過特性の説明図である。 同上の赤外線式ガス検知器における熱型赤外線検出素子の他の構成例を示し、(a)は要部概略平面図、(b)は概略断面図である。 同上の赤外線式ガス検知器における赤外線受光素子の他の構成例を示し、(a)は概略平面図、(b)は回路図である。 ガスの濃度と透過率との関係説明図である。 従来の赤外線式ガス計測装置の概略構成図である。 従来例の赤外線式ガス検知器の概略構成図である。 従来の赤外線受光モジュールの概略断面図である。 他の従来例の赤外線式ガス検知器を示し、(a)は概略縦断面図、(b)は概略横断面図、(c)は赤外線受光素子の概略側面図である。
本実施形態の赤外線式ガス検知器(赤外線受光ユニット)は、図1および図2に示すように、複数(ここでは、2つ)の焦電素子4,4を有する赤外線受光素子40および赤外線受光素子40の出力を信号処理する信号処理回路が設けられた回路ブロック6と、回路ブロック6を収納するキャンパッケージからなるパッケージ7とを備えている。なお、本実施形態では、赤外線受光素子40が赤外線受光部を構成し、焦電素子4,4それぞれが熱型赤外線検出素子を構成している。
パッケージ7は、回路ブロック6が絶縁材料からなるスペーサ9を介して実装される金属製のステム71と、回路ブロック6を覆うようにステム71に固着される金属製のキャップ72とを備え、回路ブロック6の適宜部位と電気的に接続される複数本(ここでは、3本)の端子ピン75がステム71を貫通する形で設けられている。ここにおいて、ステム71は、円盤状に形成され、キャップ72は、後面が開放された有底円筒状の形状に形成されており、後面がステム71により閉塞されている。なお、スペーサ9と回路ブロック6およびステム71とは接着剤により固着されている。
また、パッケージ7の一部を構成する上述のキャップ72において赤外線受光素子40の前方に位置する前壁には、矩形状(本実施形態では、正方形状)の窓孔7aが形成されており、赤外線光学フィルタ20が窓孔7aを覆うようにキャップ72の内側から配設されている。要するに、赤外線光学フィルタ20は、赤外線受光素子40の前方においてパッケージ7の窓孔7aを閉塞する形でパッケージ7に接合されている。なお、本実施形態では、赤外線光学フィルタ20が赤外線光学フィルタ部を構成している。
また、ステム71は、上述の各端子ピン75それぞれが挿通される複数の端子用孔71bが厚み方向に貫設されており、各端子ピン75が端子用孔71bに挿通された形で封止部74により封着されている。
上述のキャップ72およびステム71は鋼板により形成されており、ステム71の周部に形成されたフランジ部71cに対して、キャップ72の後端縁から外方に延設された外鍔部72cを溶接により封着してある。
回路ブロック6は、上述の信号処理回路の構成要素であるIC63およびチップ状の電子部品64が互いに異なる面に実装されたプリント配線板(例えば、コンポジット銅張積層板など)からなる第1の回路基板62と、第1の回路基板62における電子部品64の実装面側に積層された樹脂層65と、ガラスエポキシなどからなる絶縁性基材の表面に金属材料(例えば、銅など)からなる金属層(以下、シールド層と称す)が形成され樹脂層65に積層されたシールド板66と、赤外線受光素子40が実装されるとともにシールド板66に積層されたプリント配線板(例えば、コンポジット銅張積層板)からなる第2の回路基板67とで構成されている。なお、シールド板66の代わりに、銅箔や金属板のみでシールド層を形成してもよい。
第1の回路基板62は、図2における下面側にIC63がフリップチップ実装され、図2における上面側に複数の電子部品64が半田リフローにより実装されている。
上述の赤外線受光素子40は、互いに極性の異なる2つ1組の焦電素子4,4が焦電材料(例えば、リチウムタンタレートなど)からなる焦電素子形成用基板41において並設され且つ2つの焦電素子4,4の差動出力が得られるように逆直列に接続されたデュアル素子であり(図3(b)参照)、IC63は、赤外線受光素子40の所定周波数帯域(例えば、0.1〜10Hz程度)の出力を増幅する増幅回路(バンドパスアンプ)63a(図18参照)や当該増幅回路63aの後段のウインドウコンパレータなどが集積化されている。ここで、本実施形態における回路ブロック6では、上述のシールド板66が設けられているので、赤外線受光素子40と上記増幅回路との容量結合などに起因した発振現象の発生を防止することができる。また、赤外線受光素子40は、2つ1組の焦電素子4,4の差動出力が得られるものであればよく、2つ1組の焦電素子4,4が逆直列に接続されたものに限らず、例えば、図3(c)に示すように、逆並列に接続されたものでもよい。
第2の回路基板67には、赤外線受光素子40の焦電素子4,4と第2の回路基板67とを熱絶縁するための熱絶縁用孔67aが厚み方向に貫設されているので、赤外線受光素子40の焦電素子4,4とシールド板66との間に空隙が形成され、感度が高くなる。なお、第2の回路基板67に熱絶縁用孔67を貫設する代わりに、第2の回路基板67に、赤外線受光素子40の焦電素子4,4と第2の回路基板67との間に空隙が形成される形で赤外線受光素子40を支持する支持部を突設してもよい。
回路ブロック6は、第1の回路基板62、樹脂層65、シールド板66、第2の回路基板67それぞれに、上述の端子ピン75が挿通されるスルーホール62b,65b,66b,67bが厚み方向に貫設されており、赤外線受光素子40と上記信号処理回路とが端子ピン75を介して電気的に接続されている。なお、第1の回路基板62、樹脂層65、シールド板66、第2の回路基板67を積層し、回路ブロック6の厚み方向に貫通する貫通孔を形成する1回の孔あけ加工でスルーホール62b,65b,66b,67bを形成するような部品内蔵基板工法を採用すれば、製造工程の簡略化を図れるとともに回路ブロック6内の電気的な接続が容易になる。
上述の3本の端子ピン75は、1本が給電用の端子ピン75(75a)、他の1本が信号出力用の端子ピン75(75b)、残りの1本がグランド用の端子ピン75(75c)であり、シールド板66におけるシールド層はグランド用の端子ピン75cと電気的に接続されている。ここで、端子ピン75a,75bを封着する封止部74,74(74a,74b)は、絶縁性を有する封着用のガラスにより形成されており、端子ピン75cを封着する封止部74(74c)は、金属材料により形成されている。要するに、端子ピン75a,75bはステム71と電気的に絶縁されているのに対し、グランド用の端子ピン75cはステム71と同電位となっている。したがって、シールド板66の電位はグランド電位に設定されるが、シールド機能を果たすことが可能な特定の電位であれば、グランド電位以外の電位に設定してもよい。なお、本実施形態では、キャップ72とステム71とで、外部からの電磁波を遮蔽するシールド部を構成している。要するに、本実施形態では、パッケージ7が、シールド部を備えている。
本実施形態の赤外線式ガス検知器の製造にあたっては、赤外線受光素子40が搭載された回路ブロック6をステム71にスペーサ9を介して実装した後、赤外線光学フィルタ20が窓孔7aを閉塞する形で固着されたキャップ72の外鍔部72cとステム71のフランジ部71cとを溶接することにより、キャップ72とステム71とからなる金属製のパッケージ2内を封止すればよい。ここで、パッケージ7内は、湿度などの影響による赤外線受光素子40の特性変化を防止するために、ドライ窒素が封入されている。なお、本実施形態におけるパッケージ7は、上述のようにキャンパッケージであり、外来ノイズに対するシールド効果を高めるとともに、気密性の向上による耐候性の向上を図れる。ただし、パッケージ7は、シールド部として金属層からなるシールド層が設けられてシールド効果を有するセラミックスパッケージにより構成してもよい。
ところで、上述の赤外線光学フィルタ20は、後述の各狭帯域透過フィルタ部2,2および広帯域遮断フィルタ部3が形成されたフィルタ本体部20aと当該フィルタ本体部20aの周部から外方に延設されキャップ72における窓孔7aの周部に固着されるフランジ部20bとを有している。ここにおいて、赤外線光学フィルタ20は、フィルタ部20aの平面視形状が矩形状(本実施形態では、正方形状)であり、フランジ部20bの外周形状が矩形状(本実施形態では、正方形状)に形成されている。なお、本実施形態では、フィルタ本体部20aの平面形状を数mm□の正方形状としてあるが、フィルタ本体部20aの平面形状や寸法は特に限定するものではない。
赤外線光学フィルタ20は、図4に示すように、赤外線透過材料(例えば、Siなど)からなるフィルタ形成用基板1と、当該フィルタ形成用基板1の一表面側(図4における上面側)において各焦電素子4,4それぞれに対応する部位に形成され互いに異なる所望の選択波長の赤外線を選択的に透過させる2つ1組の狭帯域透過フィルタ部2,2と、フィルタ形成用基板1の他表面側(図4における下面側)に形成され、各狭帯域透過フィルタ部2,2により設定される赤外線の反射帯域よりも長波長の赤外線を吸収する広帯域遮断フィルタ部3とを備えている。つまり、広帯域遮断フィルタ部3は、各狭帯域透過フィルタ部2,2の選択波長よりも長波長の所定波長を超える赤外線を吸収する。なお、本実施形態では、1つの狭帯域透過フィルタ部2とフィルタ形成用基板1および広帯域遮断フィルタ部3それぞれにおいて狭帯域透過フィルタ部2に重なる各部位とで1つのフィルタ要素部が構成され、他の1つの狭帯域透過フィルタ部2とフィルタ形成用基板1および広帯域遮断フィルタ部3それぞれにおいて狭帯域透過フィルタ部2に重なる各部位とで他の1つのフィルタ要素部が構成されている。しかして、本実施形態では、複数のフィルタ要素部でフィルタ形成用基板1が共用されている。
上述の赤外線光学フィルタ20は、フィルタ形成用基板1の上記一表面側で2つ1組の狭帯域透過フィルタ部2,2が並設されており、各狭帯域透過フィルタ部2,2は、屈折率が異なり且つ光学膜厚が等しい複数種類(ここでは、2種類)の薄膜21b,21aが積層された第1のλ/4多層膜21と、第1のλ/4多層膜21におけるフィルタ形成用基板1側とは反対側に形成され上記複数種類の薄膜21a,21bが積層された第2のλ/4多層膜22と、第1のλ/4多層膜21と第2のλ/4多層膜22との間に介在し所望の選択波長に応じて光学膜厚を各薄膜21a,21bの光学膜厚とは異ならせた波長選択層23,23とを備えている。なお、2種類の薄膜21a,21bについての光学膜厚のばらつきの許容範囲は±1%程度であり、当該光学膜厚のばらつきに応じて物理膜厚のばらつきの許容範囲も決まる。
ところで、赤外線光学フィルタ20は、第1のλ/4多層膜21および第2のλ/4多層膜22における低屈折率層である薄膜21bの材料(低屈折率材料)として遠赤外線を吸収する遠赤外線吸収材料の一種であるAlを採用し、高屈折率層である薄膜21aの材料(高屈折率材料)としてGeを採用しており、波長選択層23,23の材料を当該波長選択層23,23直下の第1のλ/4多層膜21の上から2番目の薄膜21b,21aの材料と同じ材料とし、第2のλ/4多層膜22のうちフィルタ形成用基板1から最も遠い薄膜21b,21bが上述の低屈折率材料により形成されている。ここで、遠赤外線吸収材料としては、Alに限らず、Al以外の酸化物であるSiOや、Taを採用してもよく、SiOの方がAlよりも屈折率が低いので、高屈折率材料と低屈折率材料との屈折率差を大きくできる。
ところで、例えば住宅内などで発生する可能性のある各種ガスを検知(センシング)するための特定波長は、CH(メタン)が3.3μm、SO(三酸化硫黄)が4.0μm、CO(二酸化炭素)が4.3μm、CO(一酸化炭素)が4.7μm、NO(一酸化窒素)が5.3μmであり、ここに列挙した全ての特定波長を選択的に検知するためには、3.1μm〜5.5μm程度の赤外領域に反射帯域を有する必要があって、2.4μm以上の反射帯域幅Δλが必要不可欠である。なお、反射帯域は、各薄膜21a,21bに共通する光学膜厚の4倍に相当する設定波長をλとすれば、図5に示すように、入射光の波長の逆数である波数を横軸、透過率を縦軸とした透過スペクトル図において、1/λを中心として対称となる。
ここにおいて、本実施形態では、波長選択層23,23の各光学膜厚を適宜設定することによって上述の各種ガスの検出が可能となるように、第1のλ/4多層膜21および第2のλ/4多層膜22の設定波長λを4.0μmとしている。また、各薄膜21a,21bの物理膜厚は、薄膜21aの材料である高屈折率材料の屈折率をn、薄膜21bの材料である低屈折率材料の屈折率nとすると、それぞれλ/4n、λ/4nとなるように設定してある。具体的には、高屈折率材料がGe、低屈折率材料がAlの場合、n=4.0、n=1.7として、高屈折率材料により形成する薄膜21aの物理膜厚を250nmに設定し、低屈折率材料により形成する薄膜21bの物理膜厚を588nmに設定してある。
ここで、Si基板からなるフィルタ形成用基板1の一表面側に低屈折率材料からなる薄膜21bと高屈折率材料からなる薄膜21aとを交互に積層したλ/4多層膜(屈折率周期構造)の積層数を21とし、各薄膜21a,21bでの吸収がない(つまり、各薄膜21a,21bの消衰係数を0)と仮定して、設定波長λを4μmとした場合の透過スペクトルのシミュレーション結果を図6に示す。
図6は、横軸が入射光(赤外線)の波長、縦軸が透過率であり、同図中の「イ」は高屈折率材料をGe(n=4.0)、低屈折率材料をAl(n=1.7)とした場合の透過スペクトルを、同図中の「ロ」は高屈折率材料をGe(n=4.0)、低屈折率材料をSiO(n=1.5)とした場合の透過スペクトルを、同図中の「ハ」は高屈折率材料をGe(n=4.0)、低屈折率材料をZnS(n=2.3)とした場合の透過スペクトルを、それぞれ示している。
また、図7に、高屈折率材料をGeとして、低屈折率材料の屈折率を変化させた場合のλ/4多層膜(屈折率周期構造)の反射帯域幅Δλをシミュレーションした結果を示す。なお、図7中の「イ」、「ロ」、「ハ」は、それぞれ図6中の「イ」、「ロ」、「ハ」の点に対応している。
図6および図7から、高屈折率材料と低屈折率材料との屈折率差が大きくなるにつれて反射帯域幅Δλが増大することが分かり、高屈折率材料がGeの場合には、低屈折率材料としてAlもしくはSiOを採用することにより、少なくとも3.1μm〜5.5μmの赤外領域の反射帯域を確保できるとともに、反射帯域幅Δλを2.4μm以上とできることが分かる。
次に、図8に示すように、第1のλ/4多層膜21の積層数を4、第2のλ/多層膜22の積層数を6として、薄膜21aの高屈折率材料をGe、薄膜21bの低屈折率材料をAl、第1のλ/4多層膜21と第2のλ/4多層膜22との間に介在させる波長選択層23の材料を低屈折率材料であるAlとし、当該波長選択層23の光学膜厚を0nm〜1600nmの範囲で種々変化させた場合の透過スペクトルについてシミュレーションした結果を図9および図10に示す。ここで、図8中の矢印A1は入射光、矢印A2は透過光、矢印A3は反射光をそれぞれ示している。また、波長選択層23の光学膜厚は、当該波長選択層23の材料の屈折率をn、当該波長選択層23の物理膜厚をdとすると、屈折率nと物理膜厚dとの積、つまり、ndで求められる。なお、このシミュレーションにおいても、各薄膜21a,21bでの吸収がない(つまり、各薄膜21a,21bの消衰係数を0)と仮定して、設定波長λを4μm、薄膜21aの物理膜厚を250nm、薄膜21bの物理膜厚を588nmとした。
図9および図10から、第1のλ/4多層膜21および第2のλ/4多層膜22により、3μm〜6μmの赤外領域に反射帯域が形成されていることが分かるとともに、波長選択層23の光学膜厚ndを適宜設定することにより、3μm〜6μmの反射帯域の中に狭帯域の透過帯域が局在していることが分かる。具体的には、波長選択層23の光学膜厚ndを0nm〜1600nmの範囲で変化させることにより、透過ピーク波長を3.1μm〜5.5μmの範囲で連続的に変化させることが可能であることが分かる。より具体的には、波長選択層23の光学膜厚ndを、1390nm、0nm、95nm、235nm、495nmと変化させれば、透過ピーク波長がそれぞれ、3.3μm、4.0μm、4.3μm、4.7μm、5.3μmとなる。
したがって、第1のλ/4多層膜21および第2のλ/4多層膜22の設計を変えることなく波長選択層23の光学膜厚ndの設計のみを適宜変えることにより、特定波長が3.3μmのCH、特定波長が4.0μmのSO、特定波長が4.3μmのCO、特定波長が4.7μmのCO、特定波長が5.3μmのNOなどの種々のガスや、特定波長が4.3μmの炎のセンシングが可能となる。なお、光学膜厚ndの0nm〜1600nmの範囲は、物理膜厚dの0nm〜941nmの範囲に相当する。また、波長選択層23の光学膜厚ndが0nmの場合、つまり、図9において波長選択層23がない場合の透過ピーク波長が4000nmとなるのは、第1のλ/4多層膜21および第2のλ/4多層膜22の設定波長λを4μm(4000nm)に設定しているからであり、第1のλ/4多層膜21および第2のλ/4多層膜22の設定波長λを適宜変化させることにより、波長選択層23がない場合の透過ピーク波長を変化させることができる。
ところで、薄膜21bの低屈折率材料として、第1のλ/4多層膜21および第2のλ/4多層膜22により設定される赤外線の反射帯域(つまり、狭帯域透過フィルタ部2,2により設定される赤外線の反射帯域)よりも長波長域の赤外線を吸収する遠赤外線吸収材料であるAlを採用しているが、遠赤外線吸収材料としては、MgF、Al、SiO、Ta、SiNの5種類について検討した。具体的には、MgF膜、Al膜、SiO膜、Ta膜、SiN膜それぞれについて膜厚を1μmに設定してSi基板上に成膜する際の成膜条件を下記表1のように設定し、MgF膜、Al膜、SiO膜、Ta膜、SiN膜それぞれの透過スペクトルを測定した結果を図11に示す。ここで、MgF膜、Al膜、SiO膜、Ta膜、SiN膜の成膜装置としては、イオンビームアシスト蒸着装置を用いた。
Figure 2011027699
ここにおいて、表1中の「IB条件」は、イオンビームアシスト蒸着装置で成膜する際のイオンビームアシストの条件であり、「IBなし」は、イオンビームの照射なし、「酸素IB」は、酸素イオンビームの照射あり、「ArIB」は、アルゴンイオンビームの照射あり、を意味している。また、図11は、横軸が波長、縦軸が透過率であり、同図中の「イ」がAl膜、「ロ」がTa膜、「ハ」がSiO膜、「ニ」がSiN膜、「ホ」がMgF膜、それぞれの透過スペクトルを示している。
また、上述のMgF膜、Al膜、SiO膜、Ta膜、SiN膜について、「光学特性:吸収」、「屈折率」、「成膜容易性」を評価項目として、検討した結果を下記表2に示す。
Figure 2011027699
ここにおいて、「光学特性:吸収」の評価項目については、図11の透過スペクトルから算出した6μm以上の遠赤外線の吸収率により評価した。表2では、各評価項目それぞれについて、評価の高いランクから低いランクの順に「◎」、「○」、「△」、「×」を記載してある。ここで、「光学特性:吸収」の評価項目については、遠赤外線の吸収率が高い方が評価のランクを高く、遠赤外線の吸収率が低い方を評価のランクを低くしてある。また、「屈折率」の評価項目については、高屈折率材料との屈折率差を大きくする観点から、屈折率が低い方が評価のランクを高く、屈折率が高い方が評価のランクを低くしてある。また、「成膜容易性」の評価項目については、蒸着法もしくはスパッタ法により緻密な膜の得やすい方が評価のランクを高く、緻密な膜の得にくい方が評価のランクを低くしてある。ただし、各評価項目について、SiOはSiOとして、SiNはSiとして評価した結果である。
表2より、MgF、Al、SiO、Ta、SiNの5種類に関して、「成膜容易性」の評価項目については大差がなく、「光学特性:吸収」および「屈折率」の評価項目に着目した結果、遠赤外線吸収材料としては、Al、SiO、Ta、SiNのいずれかを採用することが好ましいとの結論に至った。ここにおいて、遠赤外線吸収材料としてAlもしくはTを採用する場合には、遠赤外線吸収材料がSiOやSiNである場合に比べて、遠赤外線の吸収性を向上させることができる。ただし、高屈折率材料との屈折率差を大きくするという観点からは、TよりもAlの方が好ましい。また、遠赤外線吸収材料としてSiNを採用する場合には、遠赤外線吸収材料により形成される薄膜21bの耐湿性を高めることができる。また、遠赤外線吸収材料としてSiOを採用すれば、高屈折率材料との屈折率差を大きくすることができ、第1のλ/4多層膜21および第2のλ/4多層膜22の積層数の低減を図れる。
以下、赤外線光学フィルタ20における狭帯域透過フィルタ部2,2の製造方法について図12を参照しながら説明する。
まず、Si基板からなるフィルタ形成用基板1の一表面側の全面に、低屈折率材料であるAlからなる所定の物理膜厚(ここでは、588nm)の薄膜21bと高屈折率材料であるGeからなる所定の物理膜厚(ここでは、250nm)の薄膜21aとを交互に積層することで第1のλ/4多層膜21を形成する第1のλ/4多層膜形成工程を行い、続いて、フィルタ形成用基板1の上記一表面側(ここでは、第1のλ/4多層膜21の表面側)の全面に、第1のλ/4多層膜21の上から2番目に位置する薄膜21bと同じ材料(ここでは、低屈折率材料であるAl)からなり1つの狭帯域透過フィルタ部2の選択波長に応じて光学膜厚を設定した波長選択層23を成膜する波長選択層成膜工程を行うことによって、図12(a)に示す構造を得る。なお、各薄膜21b,21aおよび波長選択層23の成膜方法としては、例えば、蒸着法やスパッタ法などを採用すれば2種類の薄膜21b,21aを連続的に成膜することができるが、低屈折率材料が上述のようにAlの場合には、イオンビームアシスト蒸着法を採用し、薄膜21bの成膜時に酸素イオンビームを照射するようにして薄膜21bの緻密性を高めることが好ましい。また、低屈折率材料としては、Al以外の遠赤外線吸収材料であるSiO、T、SiNを採用してもよい。いずれにしても、遠赤外線吸収材料からなる薄膜21bの成膜にあたっては、イオンビームアシスト蒸着法により成膜することが望ましく、低屈折率材料からなる薄膜21bの化学的組成を精密に制御できるとともに、薄膜21bの緻密性を高めることができる。
上述の波長選択層成膜工程の後、狭帯域透過フィルタ部2に対応する部位のみを覆うレジスト層31をフォトリソグラフィ技術を利用して形成するレジスト層形成工程を行うことによって、図12(b)に示す構造を得る。
その後、レジスト層31をマスクとし、第1のλ/4多層膜21の一番上の薄膜21aをエッチングストッパ層として波長選択層23の不要部分を選択的にエッチングする波長選択層パターニング工程を行うことによって、図12(c)に示す構造を得る。ここで、波長選択層パターニング工程では、上述のように低屈折率材料が酸化物(Al)、高屈折率材料が半導体材料(Ge)であれば、エッチング液としてフッ酸系溶液を用いたウェットエッチングを採用することにより、ドライエッチングを採用する場合に比べて、エッチング選択比の高いエッチングが可能となる。これは、AlやSiOのような酸化物はフッ酸系溶液に溶解しやすいのに対して、Geはフッ酸系溶液に非常に溶けにくいためである。一例を挙げれば、フッ酸系溶液としてフッ酸(HF)と純水(HO)との混合液からなる希フッ酸(例えば、フッ酸の濃度が2%の希フッ酸)を用いてウェットエッチングを行えば、Alのエッチングレートが300nm/min程度で、AlとGeとのエッチングレート比が500:1程度であり、エッチング選択比の高いエッチングを行うことができる。
上述の波長選択層パターニング工程の後、レジスト層31を除去するレジスト層除去工程を行うことによって、図12(d)に示す構造を得る。
上述のレジスト層除去工程の後、フィルタ形成用基板1の上記一表面側の全面に、高屈折率材料であるGeからなる所定の物理膜厚(250nm)の薄膜21aと低屈折率材料であるAlからなる所定の物理膜厚(588nm)の薄膜21bとを交互に積層することで第2のλ/4多層膜22を形成する第2のλ/4多層膜形成工程を行うことによって、図12(e)に示す構造を得る。ここにおいて、第2のλ/4多層膜形成工程を行うことによって、狭帯域透過フィルタ部2に対応する領域では、第1のλ/4多層膜21の最上層の薄膜21a上に直接、第2のλ/4多層膜22の最下層の薄膜21aが積層されることとなり、当該最上層の薄膜21aと当該最下層の薄膜21aとで狭帯域透過フィルタ部2の波長選択層23を構成している。ただし、この狭帯域透過フィルタ部2の透過スペクトルは、図10のシミュレーション結果では、光学膜厚ndが0nmの場合に相当する。なお、各薄膜21a,21bの成膜方法としては、例えば、蒸着法やスパッタ法などを採用すれば2種類の薄膜21a,21bを連続的に成膜することができるが、低屈折率材料が上述のようにAlの場合には、イオンビームアシスト蒸着法を採用し、薄膜21bの成膜時に酸素イオンビームを照射するようにして薄膜21bの緻密性を高めることが好ましい。
要するに、赤外線光学フィルタ20の狭帯域透過フィルタ部2,2の製造にあたっては、フィルタ形成用基板1の上記一表面側に屈折率が異なり且つ光学膜厚が等しい複数種類(ここでは、2種類)の薄膜21b,21aを積層する基本工程の途中で、当該途中における積層膜(ここでは、第1のλ/4多層膜21)の上から2番目の層と同じ材料からなる波長選択層23(ここでは、i=1)であって複数の狭帯域透過フィルタ部2,・・・,2(ここでは、m=2)うちの任意の1つの狭帯域透過フィルタ部2(ここでは、i=1)の選択波長に応じて光学膜厚を設定した波長選択層23を上記積層膜上に成膜する波長選択層成膜工程と、波長選択層成膜工程にて成膜した波長選択層23のうち上記任意の1つの狭帯域透過フィルタ部2に対応する部分以外の不要部分を上記積層膜の1番上の層をエッチングストッパ層としてエッチングする波長選択層パターニング工程とからなる波長選択層形成工程を1回行っており、複数の狭帯域透過フィルタ部2,2が形成される。ここで、上述の基本工程の途中で、波長選択層形成工程を複数回行うようにすれば、より多くの選択波長を有する赤外線光学フィルタ20を製造することができ、上述の全てのガスをセンシングする赤外線光学フィルタ20を1チップで実現することもできる。
また、上述の製造方法においては、基板1の上記一表面側に複数種類の薄膜21a,21bを積層する基本工程の途中で、当該途中における積層膜(ここでは、第1のλ/4多層膜21)の上から2番目の層と同じ材料からなる薄膜であって各狭帯域透過フィルタ部2,・・・,2(ここでは、m=2)のうちの任意の1つの狭帯域透過フィルタ部2(ここでは、i=1)の選択波長に応じて光学膜厚を設定した薄膜を上記積層膜上に成膜し、上記積層膜上に成膜した薄膜のうち上記任意の1つの狭帯域透過フィルタ部2(ここでは、i=1)に対応する部分以外の部分をエッチングすることで少なくとも1つの波長選択層231のパターンを形成しているが、少なくとも1つの波長選択層23のパターンを形成すればよく、例えば、波長選択層23が、波長選択層23と同じ材料であり且つ波長選択層23よりも光学膜厚が小さく設定されている場合には、上記積層膜上の薄膜を途中までエッチングすることで2つの波長選択層23,23のパターンを形成するようにしてもよい。
また、上述の製造方法に限らず、フィルタ形成用基板1の上記一表面側に第1のλ/4多層膜21を形成する第1のλ/4多層膜形成工程と、第1のλ/4多層膜におけるフィルタ形成用基板1側とは反対側に第2のλ/4多層膜22を形成する第2のλ/4多層膜形成工程との間で、各狭帯域透過フィルタ部2,・・・,2(ここでは、m=2)に対応する各部位それぞれに互いに光学膜厚の異なる波長選択層23,・・・,23(ここでは、m=2)をマスク蒸着により形成するようにしてもよい。
また、上述の製造方法において、上述の2種類の薄膜21a,21bのうち一方の薄膜21bの遠赤外線吸収材料がSiOもしくはSiNであり、他方の薄膜21aがSiである場合には、Siを蒸発源とするイオンビームアシスト蒸着装置を用い、Siからなる薄膜21aを成膜するときは真空雰囲気とし、酸化物であるSiOからなる薄膜21bを成膜するときは酸素イオンビームを照射し、窒化物であるSiNからなる薄膜21bを成膜するときは窒素イオンビームを照射するようにすれば、2種類の薄膜21a,21bの蒸発源を共通化することができるので、複数の蒸発源を備えたイオンビームアシスト蒸着装置を用意する必要がなく、製造コストの低コスト化を図れる。同様に、上述の製造方法において、上述の2種類の薄膜21a,21bのうち一方の薄膜21bの遠赤外線吸収材料がSiOもしくはSiNであり、他方の薄膜21aがSiである場合、Siをターゲットとするスパッタ装置を用い、Siからなる薄膜21aを成膜するときは真空雰囲気とし、SiOからなる薄膜21bを成膜するときは酸素雰囲気とし、SiNからなる薄膜21bを成膜するときは窒素雰囲気とするようにすれば、2種類の薄膜21a,21bのターゲットを共通化することができるので、複数のターゲットを備えたスパッタ装置を用意する必要がなく、製造コストの低コスト化を図れる。
上述の赤外線光学フィルタ20の狭帯域透過フィルタ部2,2では、波長選択層23,23それぞれの光学膜厚ndを適宜設定することにより、図13に示すように、3.8μmと4.3μmとに透過ピーク波長を有する赤外線光学フィルタ20を1チップで実現することができる。
なお、第1のλ/4多層膜21および第2のλ/4多層膜22は、屈折率周期構造を有していればよく、3種類以上の薄膜を積層したものでもよい。
次に、赤外線光学フィルタ20の広帯域遮断フィルタ部3について説明する。
広帯域遮断フィルタ部3は、屈折率が異なる複数種類(ここでは、2種類)の薄膜3a,3bが積層された多層膜により構成されている。ここにおいて、広帯域遮断フィルタ部3は、相対的に屈折率の低い低屈折率層である薄膜3aの材料として、遠赤外線を吸収する遠赤外線吸収材料の一種であるAlを採用し、相対的に屈折率の高い高屈折率層である薄膜3bの材料としてGeを採用しており、薄膜3aと薄膜3bとを交互に積層し積層数を11としてあるが、この積層数は特に限定するものではない。ただし、広帯域遮断フィルタ部3は、フィルタ形成用基板1から最も遠い最上層を低屈折率層である薄膜3aにより構成することが光学特性の安定性の観点から望ましい。ここで、遠赤外線吸収材料としては、Alに限らず、Al以外の酸化物であるSiO、Taを採用してもよく、SiOの方がAlよりも屈折率が低いので、高屈折率材料と低屈折率材料との屈折率差を大きくできる。また、遠赤外線吸収材料としては、窒化物であるSiNを採用してもよい。
上述のように、広帯域遮断フィルタ部3は、2種類の薄膜3a,3bのうちの1種類の薄膜3aが遠赤外線を吸収する遠赤外線吸収材料であるAlにより形成されているが、複数種類のうちの少なくとも1種類が遠赤外線吸収材料により形成されていればよく、例えば、3種類の薄膜としてGe膜とAl膜とSiO膜とが、Si基板よりなる半導体基板1に近い側からGe膜−Al膜−Ge膜−SiO膜−Ge膜−Al膜−Ge膜・・・の順に積層された多層膜としてもよく、この場合は、3種類の薄膜のうち2種類の薄膜が遠赤外線吸収材料により形成されることとなる。
ところで、上述の広帯域遮断フィルタ部3では、狭帯域透過フィルタ部2,2により設定される赤外線の反射帯域よりも長波長域の遠赤外線を吸収する。ここで、広帯域遮断フィルタ部3では、赤外線を吸収する遠赤外線吸収材料としてAlを採用しているが、上述の狭帯域透過フィルタ部2,2と同様、遠赤外線吸収材料としては、MgF、Al、SiO、Ta、SiNの5種類について検討した。
ここにおいて、本願発明者らは、イオンビームアシストの効果を確認するために、Si基板上にAl膜を成膜する時のイオンビームの照射量を種々変化させたサンプルを用意し、各サンプルのAl膜の膜質の違いをFT−IR(フーリエ変換赤外分光)により分析した。図14は、FT−IRによる分析結果を示し、横軸が波数、縦軸が吸収率であり、同図中の「イ」はイオンビームアシストなしの場合のサンプル、「ロ」、「ハ」、「ニ」、「ホ」、「ヘ」はイオンビームの照射量を少ない方から多い方へ変化させた場合の各サンプルそれぞれの分析結果を示しており、イオンビームを照射することにより、水分に起因した3400cm−1付近の吸収率を低減でき、イオンビームの照射量を多くするほど水分に起因した3400cm−1付近の吸収率が低下していることが分かる。要するに、イオンビームアシストによりAl膜の膜質を向上でき、緻密性を高めることができるものと推測される。
また、上述のように、遠赤外線吸収材料としてAlもしくはTを採用する場合には、遠赤外線吸収材料がSiOやSiNである場合に比べて、遠赤外線の吸収性を向上させることができる。
また、本願発明者らは、Si基板上に1μmのAl膜を成膜した参考例の透過スペクトルを測定したところ図15(a)の「イ」に示すような実測値が得られ、実測値「イ」が同図(a)中の「ロ」に示す計算値からずれているという知見を得て、Alにより形成される薄膜3aの光学パラメータ(屈折率、吸収係数)を図15(a)の実測値「イ」からCauchyの式により算出した。この算出した光学パラメータを図15(b)に示してある。図15(b)に示した新規の光学パラメータでは、屈折率および吸収係数のいずれも800nm〜20000nmの波長域で一定という訳ではなく、波長が長くなるにつれて屈折率が徐々に低下し、また、波長が7500nm〜15000nmの波長域では波長が長くなるにつれて吸収係数が徐々に大きくなる。
上述のAl膜の新規の光学パラメータを用いて赤外線光学フィルタ20として、下記表3の積層構造を有し透過ピーク波長が4.4μmの狭帯域透過フィルタ部2と、下記表4の積層構造を有する広帯域遮断フィルタ部3とがフィルタ形成用基板1の厚み方向において重なるように形成されている部分の透過スペクトルのシミュレーション結果を図16の「イ」に示す。また、上述のAl膜の新規の光学パラメータを用いずに、Al膜の屈折率を一定、吸収係数を0で一定とした比較例のシミュレーション結果を図16の「ロ」に示す。なお、実施例、比較例のいずれもGeの屈折率を4.0で一定、吸収係数を0.0で一定としてシミュレーションした。
Figure 2011027699
Figure 2011027699
上述の図16は、横軸が入射光(赤外線)の波長、縦軸が透過率であり、Al膜の新規の光学パラメータを用いていない比較例の透過スペクトル「ロ」では、9000nm〜20000nmの遠赤外線が遮断されていないのに対して、Al膜の新規の光学パラメータを用いた実施例の透過スペクトル「イ」では9000nm〜20000nmの遠赤外線も遮断されており、積層数が29層の広帯域遮断フィルタ部3と積層数が11層の狭帯域透過フィルタ部2とで波長が800nm〜20000nmの広帯域の赤外線を遮断でき、4.4μm付近のみに狭帯域の透過帯域を局在させ得ることが分かる。なお、広帯域遮断フィルタ部3の透過スペクトルは、例えば、図17に示すようになり、図17の例では、4μm以下の近赤外線と5.6μm以上の遠赤外線とが遮断される。
本実施形態の赤外線光学フィルタ20の製造にあたっては、まず、Si基板からなるフィルタ形成用基板1の上記他表面側に例えばAl膜からなる薄膜3aと例えばGe膜からなる薄膜3bとを交互に積層することで広帯域遮断フィルタ部3を形成する広域遮断フィルタ部形成工程を行い、その後、フィルタ形成用基板1の上記一表面側に上述のようにして狭帯域透過フィルタ部2,2を形成すればよい。
次に、本実施形態の赤外線式ガス検知器を用いた赤外線式ガス計測装置について図18を参照しながら説明する。
図18に示した赤外線式ガス計測装置は、ハロゲンランプなどからなる赤外線光源10と、赤外線光源10を駆動する駆動回路11と、赤外線光源10から放射された赤外線をコリメートするレンズ12と、計測ガス(検知対象ガス)が導入されるガス流入路13bおよび排出されるガス排出路13cが形成されたチャンバ13と、上述のように互いに極性の異なる2つ1組の焦電素子4,4が焦電素子形成用基板において並設され且つ逆直列に接続された赤外線受光素子40と、広帯域遮断フィルタ部3および互いに透過波長域の異なる2つの狭帯域透過フィルタ部2,2を有し赤外線受光素子40の前方に配置された赤外線光学フィルタ20と、赤外線受光素子40の出力(2つ1組の焦電素子4,4の差動出力)を増幅する増幅回路63aと、増幅回路63aの出力に基づいてガスの濃度を求める演算を行う演算回路(図示せず)とを備えている。要するに、図18に示した構成の赤外線ガス計測装置は、赤外線光源10から赤外線をチャンバ13の内部空間である所定空間へ放射させて所定空間内の検知対象ガスでの赤外線の吸収を利用して検知対象ガスを検出する赤外線式ガス計測装置であって、赤外線光源10と、赤外線光源10を駆動する駆動部たる駆動回路11とを備え、赤外線光源10から放射され所定空間を通過した赤外線を受光する赤外線受光ユニットとして上述の赤外線式ガス検知器を備えている。なお、増幅回路63aと演算回路とは上述のIC63に設けられているが、これらの回路は、パッケージ7の外側に設けてもよい。
ところで、図18に示した構成の赤外線式ガス計測装置では、赤外線光源10としてハロゲンランプのような熱の放射により赤外線を発生するものを用いる場合、放射スペクトルは発光ダイオードに比べて非常にブロードなスペクトルとなる。ここで、物体が黒体の場合、物体の温度と放射エネルギとの関係は図19に示すようになり、物体から放射される赤外線の放射エネルギ分布は、物体の温度に依存する。なお、ウィーンの変位側によれば、放射エネルギ分布の極大値を与える赤外線の波長をλ〔μm〕、物体の絶対温度をT〔K〕とすれば、波長λは、λ=2898/Tとなる。
ここにおいて、図18に示した構成の赤外線式ガス計測装置では、赤外線光源10としてハロゲンランプを用いる一方で、赤外線受光素子40のセンシングエレメントして焦電素子4,4を用いているので、駆動回路11によって赤外線光源10から放射される光の強度(発光パワー)を変調させる。ここで、駆動回路11は、赤外線光源10から放射される光の強度が一定周期で周期的に変化するようにしているが、連続的に変化させてもよいし間欠的に変化させてもよい。
また、赤外線光源10は、ハロゲンランプに限らず、例えば、図20に示すように、単結晶のシリコン基板(半導体基板)からなる支持基板111の一表面側にヒータ層(発熱体層)114が形成されるとともに、ヒータ層114と支持基板111との間に多孔質シリコン層からなる熱絶縁層113が形成された赤外線放射素子110と、当該赤外線放射素子110が収納されたキャンパッケージからなるパッケージ100とで構成されたものでもよい。ここにおいて、赤外線放射素子110は、ヒータ層114に電気的に接続された一対のパッド115,115を備えており、各パッド115,115それぞれがボンディングワイヤ124,124を介して端子ピン125,125と電気的に接続されている。しかして、図20に示した構成の赤外線光源10は、一対の端子ピン125,125間に通電してヒータ層114へ入力電力が与えることによりヒータ層114から赤外線を放射させることができる。なお、図20に示した構成の赤外線光源10は、パッケージ100における赤外線放射素子110の前方の窓孔100aが、赤外線を透過する光学部材130により閉塞されている。また、赤外線放射素子110は、支持基板111の上記一表面側において熱絶縁層113が形成されていない部分にシリコン酸化膜からなる絶縁膜112が形成されている。
上述のヒータ層114の材料は特に限定するものではないが、例えば、W、Ta、Ti、Pt、Ir、Nb、Mo、Ni、TaN、TiN、NiCr、導電性アモルファスシリコンなどを採用できる。図20にて説明した赤外線放射素子110は、支持基板111が単結晶のシリコン基板により形成されるとともに、熱絶縁層113が多孔質シリコン層により形成されており、支持基板111の熱容量および熱伝導率それぞれが熱絶縁層113よりも大きく、支持基板111がヒートシンクとしての機能を有するので、小型で入力電圧または入力電流に対する応答速度が速く且つ赤外線の放射特性の安定性を向上させることができる。
ここで、測定対象のガスがCOであり、狭帯域透過フィルタ部2,2の透過ピーク波長がλ=3.9μm、λ=4.3μmであるとし、ハロゲンランプよりなる赤外線光源10から放射される光の強度(発光パワー)が図21に示す曲線のように変化するとして、赤外線光学フィルタ20が図22に示すような透過特性を有すると仮定する。ここにおいて、赤外線光学フィルタ20の狭帯域透過フィルタ部2の波長λでの透過率をτ、狭帯域透過フィルタ部2の波長λでの透過率をτとし、図21の曲線の振幅をP、バイアス成分(太陽光などの外来光による直流成分)をP、角振動数をω(=2πf)として、測定対象のガスによる赤外線の吸収率をT(C)とすると、狭帯域透過フィルタ部2,2それぞれを透過した赤外線の強度(パワー)P,Pは、それぞれ下記(6)式、下記(7)式で表される。
=τ(Psin(ωt)+P) (6)式
=T(C)τ(Psin(ωt)+P) (7)式
また、狭帯域透過フィルタ部2を透過した赤外線を受光する焦電素子4の受光面側の極性を+、狭帯域透過フィルタ部2を透過した赤外線を受光する焦電素子4の受光面側の極性を−とすると、各焦電素子4,4の出力I,Iは、それぞれ下記(8)式、下記(9)式で表される(ただし、焦電素子4,4での電流変換による定数は省いてある)。
=ωτcos(ωt) (8)式
=−T(C)ωτcos(ωt) (9)式
ここで、赤外線受光素子40は、焦電素子形成用基板41上で2つの焦電素子4,4の差動出力が得られるように両焦電素子4,4が図3(b)のように接続されているから、赤外線受光素子40の出力をIとすると、出力Iは下記(10)式で表される。
I=I+I=ωτcos(ωt)−T(C)ωτcos(ωt) (10)式
ここにおいて、τ=τとすれば、赤外線受光素子40の出力Iは、下記(11)式で表される。
I=ωτcos(ωt)(1−T(C)) (11)式
ここで、赤外線の吸収率T(C)は、上述のランベルト・ベールの法則に基づいて求められる(4)式より、ガスの濃度をC、光路長をLとすれば、下記(12)で表される。
T(C)=10−αCL (12)式
したがって、赤外線受光素子40の出力Iは、(11)式に(12)式を代入することにより、下記(13)式で表される。
I=ωτcos(ωt)(1−10−αCL) (13)式
この(13)式に基づいて、ガスの濃度Cと赤外線受光素子40の出力信号(出力I)との関係をグラフにすると、図23に示すようになるから、赤外線受光素子40の出力信号の振幅を計測することでガスの濃度を求めることができる。
以上説明した本実施形態の赤外線式ガス検知器では、赤外線受光素子40は、互いに極性の異なる2つ1組の焦電素子4,4が逆直列に接続されているので、組をなす2つの焦電素子4,4の直流バイアス成分(雑ガスや太陽光などの外来光によるバイアス成分)を相殺することができる(つまり、測定対象のガスの濃度が零の場合には、赤外線受光素子40の出力も零となる)とともに、赤外線受光素子40の出力のダイナミックレンジを大きくでき、特に2つ1組の焦電素子4,4が1枚の焦電素子形成基板41に形成されている場合には赤外線検出素子40の出力を増幅する増幅回路63aをパッケージ7内に収納する場合の小型化を図りやすく、しかも、赤外線受光素子40の出力を増幅する増幅回路63aのゲインを大きくできてS/N比の向上が可能となる。
また、本実施形態の赤外線ガス検知器では、赤外線光学フィルタ20が、赤外線透過材料からなるフィルタ形成用基板1と、当該フィルタ形成用基板1において焦電素子(熱型赤外線検出素子)4,4に対応する部位に形成され所望の選択波長の赤外線を選択的に透過させる狭帯域透過フィルタ部2,2と、フィルタ形成用基板1に形成され狭帯域透過フィルタ部2,2の選択波長よりも長波長の赤外線を吸収する広帯域遮断フィルタ部3とで構成され互いに狭帯域透過フィルタ部2,2の選択波長の異なる複数のフィルタ要素部を備え、パッケージ7における赤外線受光素子(赤外線受光部)40の前方の窓孔7aを閉塞する形でパッケージ7に接合されているので、広帯域遮断フィルタ部3において赤外線を吸収することにより発生した熱がパッケージ7を通して効率良く放熱されるから、狭帯域透過フィルタ部2,2の温度上昇や温度分布を抑制でき、低コストで高感度化が可能となる。また、本実施形態の赤外線式ガス検知器では、パッケージ7内に赤外線受光素子40の出力を信号処理する増幅回路63aなどの回路部品を含む回路ブロック9を収納してあるが、回路部品の温度上昇により回路部品から放射されパッケージ7の内壁面で反射される赤外線を広帯域遮断フィルタ部3により吸収することができ、S/N比の向上による高感度化を図れる。ここで、本実施形態では、2つ1組の焦電素子4,4を焦電素子形成基板41上で逆直列もしくは逆並列に接続してあるが、2つ1組の焦電素子4,4を接続せず、2つ1組の焦電素子4,4の出力を差動増幅する増幅回路を備えるようにしてもよく、この場合には、各焦電素子4,4それぞれの出力を個別に増幅する複数の増幅回路を設ける場合に比べて、小型化および低コスト化を図れる。
また、本実施形態の赤外線式ガス検知器では、赤外線光学フィルタ20のフィルタ形成用基板1における焦電素子(熱型赤外線検出素子)4,4側である上記一表面側に狭帯域透過フィルタ部2,2が形成され、フィルタ形成用基板1の上記他表面側に広帯域遮断フィルタ部3が形成されているので、広帯域遮断フィルタ部3において赤外線を吸収することにより発生した熱が焦電素子4,4へ伝熱されにくくなり、広帯域遮断フィルタ部3が焦電素子4,4側となる形で配置されている場合に比べて、パッケージ7の低背化を図りながらも応答性の向上を図れる。また、本実施形態では、焦電素子4,4側に狭帯域透過フィルタ部2,2が形成されているので、赤外線光学フィルタ20に斜め方向から入射する赤外線に起因したクロストークの発生を抑制でき、焦電素子4,4の受光領域を大きくすることによる高感度化を図れる。
なお、上述の赤外線受光素子40は、2つ1組の焦電素子4,4の組が1組だけであるが、これに限らず、例えば、図24(a)に示すように、更に、2つ1組の焦電素子4,4を設けて、これら焦電素子4,4,4,4を同図(b)や同図(c)に示すように接続することで差動出力が得られるようにして、赤外線光学フィルタ20において各焦電素子4,4,4,4に対応する部位に狭帯域透過フィルタ部を形成するようにしてもよく、図24(b)の場合には、2種類のガスの検知が可能となる。
また、本実施形態の赤外線式ガス検知器では、赤外線光学フィルタ20は、赤外線透過材料からなるフィルタ形成用基板1と、当該フィルタ形成用基板1の上記一表面側において各焦電素子4,4それぞれに対応する部位に形成され互いに異なる所望の選択波長の赤外線を選択的に透過させる2つ1組の狭帯域透過フィルタ部2,2と、フィルタ形成用基板1の上記他表面側に形成され、各狭帯域透過フィルタ部2,2により設定される赤外線の反射帯域よりも長波長の赤外線を吸収する広帯域遮断フィルタ部3とを備え、各狭帯域透過フィルタ部2,2は、屈折率が異なり且つ光学膜厚が等しい複数種類の薄膜21a,21bが積層された第1のλ/4多層膜21と、第1のλ/4多層膜21におけるフィルタ形成用基板1側とは反対側に形成され複数種類の薄膜21a,21bが積層された第2のλ/4多層膜22と、第1のλ/4多層膜21と第2のλ/4多層膜22との間に介在し上記選択波長に応じて光学膜厚を各薄膜21a,21bの光学膜厚とは異ならせた波長選択層23,23とを有しているので、複数の狭帯域透過フィルタ部2,2を有する赤外線光学フィルタ20の小型化による低コスト化を図れ、しかも、複数の狭帯域透過フィルタ部2,2の中心間距離を短くできて検出光と参照光との光路長の差を小さくすることができ、赤外線受光素子40の各焦電素子4,4の受光効率の向上を図れる。また、本実施形態の赤外線式ガス検知器では、赤外線光学フィルタ部たる赤外線光学フィルタ20の複数のフィルタ要素部でフィルタ形成用基板1が共用されているので、狭帯域透過フィルタ部2,2が互いに異なるフィルタ形成用基板1に形成されている場合に比べて、狭帯域透過フィルタ部2,2同士の温度差をより低減でき、検出精度や感度の向上を図れる。なお、赤外線光学フィルタ部は、複数のフィルタ要素部を個別部品として、パッケージ7に窓孔7aをフィルタ要素部の数だけ設けてもよい。
また、本実施形態の赤外線式ガス検知器では、赤外線光学フィルタ20の広帯域遮断フィルタ部3は、屈折率が異なる複数種類の薄膜3a,3bが積層された多層膜からなり、当該複数種類の薄膜3a,3bのうち少なくとも1種類の薄膜3aが遠赤外線を吸収する遠赤外線吸収材料により形成されているので、広帯域遮断フィルタ部3を構成する多層膜による光の干渉効果と、当該多層膜を構成する薄膜3aの遠赤外線吸収効果とにより、サファイア基板を用いることなく、近赤外線から遠赤外線までの広帯域における赤外線遮断機能を実現することができ、低コスト化を図れる。
また、本実施形態の赤外線式ガス検知器では、赤外線光学フィルタ20の狭帯域透過フィルタ部21,22においても、第1のλ/4多層膜21および第2のλ/4多層膜22による光の干渉効果と、第1のλ/4多層膜21と波長選択層23,23と第2のλ/4多層膜22とで構成される多層膜における薄膜21bの遠赤外線吸収材料での遠赤外線吸収効果とにより、近赤外線から遠赤外線までの広帯域における赤外線遮断機能を有するから、近赤外線から遠赤外線までの広帯域における赤外線遮断機能を有し、且つ、所望の選択波長の赤外線を選択的に透過させることが可能な低コストの赤外線光学フィルタ20を実現できる。
また、上述の赤外線光学フィルタ20では、遠赤外線吸収材料として、酸化物もしくは窒化物を採用しているので、遠赤外線吸収材料からなる薄膜3a,21bが酸化して光学特性が変化するのを防止することができる。また、上述の赤外線光学フィルタ20では、広帯域遮断フィルタ部3および各狭帯域透過フィルタ部2,2のいずれもフィルタ形成用基板1から最も遠い最上層が上述の酸化物もしくは窒化物により形成されているので、空気中の水分や酸素などとの反応や不純物の吸着や付着などに起因して最上層の薄膜3a,21bの物性が変化するのを防止できてフィルタ性能の安定性が高くなるとともに、広帯域遮断フィルタ部3および各狭帯域透過フィルタ部2,2の表面での反射を低減でき、フィルタ性能の向上を図れる。
また、上述の赤外線光学フィルタ20では、遠赤外線吸収材料により形成された薄膜3aと、遠赤外線吸収材料よりも高屈折率材料であるGeにより形成された薄膜3bとが交互に積層されて広帯域遮断フィルタ部3の多層膜が構成されているので、高屈折率材料がSiやPbTeやZnSである場合に比べて、高屈折率材料と低屈折率材料との屈折率差を大きくすることができ、当該多層膜の積層数を低減できる。また、高屈折率材料としてSiを採用した場合には、高屈折率材料がZnSである場合に比べて、多層膜における高屈折率材料と低屈折率材料との屈折率差を大きくすることができ、多層膜の積層数を低減できる。また、狭帯域透過フィルタ部2,2に関しても、同様の理由により積層数を低減できる。
ところで、本実施形態では、赤外線光学フィルタ20のフィルタ形成用基板1としてSi基板を用いているが、フィルタ形成用基板1はSi基板に限らず、Ge基板を用いてもよい。SiおよびGeそれぞれの透過特性についてインターネット上で開示されているデータをそれぞれ、図25,26に示す(〔平成21年2月25日検索〕、インターネット<URL:http://www.spectra.co.jp/kougaku.files/k_kessho.files/ktp.htm>)。
本実施形態の赤外線式ガス検知器では、上述のように、フィルタ形成用基板1としてSi基板もしくはGe基板を用いることにより、フィルタ形成用基板1がサファイア基板やMgO基板やZnS基板である場合に比べて低コスト化を図れ、しかも、フィルタ形成用基板1の温度上昇を抑制でき、赤外線光学フィルタ20の温度上昇による赤外線放射を抑制できる。
また、本実施形態の赤外線式ガス検知器は、パッケージ7が金属製であり、フィルタ形成用基板1がパッケージ7のキャップ72に対して導電性の接合材料(例えば、銀ペースト、半田など)からなる接合部58により接合して電気的に接続されているので、フィルタ形成用基板1とパッケージ7とで電磁シールドを行うことができ、赤外線受光素子40への外来の輻射ノイズ(電磁ノイズ)の影響を防止でき、S/N比の向上による高感度化を図れる。
また、本実施形態の赤外線式ガス検知器では、キャップ72の窓孔7aが矩形状に開口されるとともに、赤外線光学フィルタ20に、キャップ72における窓孔7aの内周面および周部に位置決めされる段差部20cが形成されており、赤外線光学フィルタ20における段差部20cを上記接合材料からなる接合部58を介してキャップ72に固着してある。したがって、赤外線光学フィルタ20と赤外線受光素子40との平行度を高めることができ、赤外線光学フィルタ20の各狭帯域透過フィルタ部2,2の光軸方向における各狭帯域透過フィルタ部2,2と赤外線受光素子40の各焦電素子4,4との距離精度を高めることができるとともに、各狭帯域透過フィルタ部2,2の光軸と各焦電素子4,4の受光面の光軸との合わせ精度を高めることができる。
また、本実施形態の赤外線式ガス検知器では、赤外線受光素子40の出力を増幅する増幅回路63aの構成部品がパッケージ7内に収納されているので、赤外線受光素子40と増幅回路63aとの電路を短くできるとともに、増幅回路63aも電磁シールドされるので、S/N比のより一層の向上による高感度化を図れる。
ところで、上述の実施形態では、赤外線受光部を構成する赤外線受光素子40の熱型赤外線検出素子として焦電素子4,4を例示したが、熱型赤外線検出素子は、これに限らず、例えば、図27に示すようなサーモパイル型の熱型赤外線検出素子や抵抗ボロメータ型の赤外線検出素子でもよく、2つ1組のサーモパイルの出力を差動増幅回路で差動増幅するようにしてもよいし、図28に示すように2つ1組のサーモパイルTP1,TP2を逆直列に接続して出力電圧Voutを増幅回路で増幅するようにしてもよいし、2つ1組のサーモパイルTP1、TP2を逆並列に接続して出力電圧を増幅回路で増幅するもよいし、2つ1組の抵抗ボロメータと互いに抵抗値の等しい2つの固定抵抗とでブリッジ回路を構成し、当該ブリッジ回路の出力に基づいて検知対象ガスの有無や濃度を求めるようにしてもよい。
上述の図27に示した構成の熱型赤外線検出素子は、主表面が{100}面の単結晶のシリコン基板からなる支持基板42と、支持基板42の主表面側に形成されて支持基板42に支持されたシリコン窒化膜からなるメンブレン部43と、メンブレン部43における支持基板42側とは反対側に形成されたサーモパイルTPとを備え、支持基板42に、メンブレン部3における支持基板42側の表面を露出させるように矩形状に開口された開孔部42aがエッチング速度の結晶方位依存性を利用した湿式の異方性エッチングにより形成されている。上述のサーモパイルTPは、メンブレン部43において支持基板42の開孔部42aに重なる領域と支持基板42の開孔部42aの周部に重なる領域とに跨って形成された細長の第1の熱電要素44および細長の第2の熱電要素45とで構成される複数の熱電対が直列接続されている。ここで、サーモパイルTPは、第1の熱電要素44と第2の熱電要素45との一端部同士の接合部で温接点を構成し、互いに異なる熱電対の第1の熱電要素44の他端部と第2の熱電要素45の他端部との接合部で冷接点を構成している。また、第1の熱電要素44は、ゼーベック係数が正の材料により形成し、第2の熱電要素は、ゼーベック係数が負の材料により形成してある。
また、図27に示した構成の熱型赤外線検出素子は、支持基板42の主表面側に各熱電要素44,45およびメンブレン部43において各熱電要素44,45が形成されていない部位を覆う絶縁膜46が形成され、絶縁膜46上においてサーモパイルTPの各温接点を含む所定領域を覆う赤外線吸収材料(例えば、金黒など)からなる赤外線吸収部47が形成されている。ここで、赤外線受光素子40の一対のパッド49,49は、絶縁膜46に形成された開口部(図示せず)を通して露出している。なお、絶縁膜46は、BPSG膜とPSG膜とNSG膜との積層膜により構成してあるが、これに限らず、例えば、BPSG膜とシリコン窒化膜との積層膜により構成してもよい。また、図27(b)は、図27(a)のX−X’断面に相当する概略断面図であり、図27(a)では、絶縁膜46の図示を省略してある。
また、図28に示した構成の赤外線受光素子40の基本構成は、図27に示した構成の熱型赤外線検出素子と略同じであり、図27におけるサーモパイルTPと同じ構成の2つのサーモパイルTP1,TP2を備え、これら2つのサーモパイルTP1,TP2が金属層48を介して逆直列に接続(逆極性で直列接続)されている点が相違するだけである。なお、上述の2つのサーモパイルTP1,TP2を逆並列に接続(逆極性で並列接続)してもよい。このように2つのサーモパイルTP1,TP2を逆直列もしくは逆並列に接続することにより、組をなす2つのサーモパイルの直流バイアス成分を相殺することができるとともに、赤外線受光部である赤外線受光素子40の出力のダイナミックレンジを大きくでき、特に2つ1組のサーモパイルTP1,TP2が1枚の支持基板42に形成されている場合には、赤外線受光素子40の出力を増幅する増幅回路63aをパッケージ7内に収納する場合の小型化を図りやすく、しかも、赤外線受光素子40の出力を増幅する増幅回路63aのゲインを大きくできてS/N比の向上が可能となる。
1 フィルタ形成用基板
,2 狭帯域透過フィルタ部
3 広帯域遮断フィルタ部
,4 焦電素子(熱型赤外線検出素子)
7 パッケージ
7a 窓孔
20 赤外線光学フィルタ(赤外線光学フィルタ部)
21 第1のλ/4多層膜
22 第2のλ/4多層膜
23,23 波長選択層
40 赤外線受光素子(赤外線受光部)
41 焦電素子形成用基板
63a 増幅回路
TP,TP1,TP2 サーモパイル

Claims (11)

  1. 赤外線受光部がパッケージ内に収納され、赤外線受光部の前方に赤外線光学フィルタ部が配置された赤外線式ガス検知器であって、赤外線受光部は、複数の熱型赤外線検出素子が並設されてなり、赤外線光学フィルタ部は、赤外線透過材料からなるフィルタ形成用基板と、当該フィルタ形成用基板において熱型赤外線検出素子に対応する部位に形成され所望の選択波長の赤外線を選択的に透過させる狭帯域透過フィルタ部と、前記フィルタ形成用基板に形成され狭帯域透過フィルタ部の選択波長よりも長波長の赤外線を吸収する広帯域遮断フィルタ部とで構成され互いに狭帯域透過フィルタ部の選択波長の異なる複数のフィルタ要素部を備え、パッケージにおける赤外線受光部の前方の窓孔を閉塞する形でパッケージに接合されてなることを特徴とする赤外線式ガス検知器。
  2. 前記熱型赤外線検出素子が焦電素子であり、前記赤外線受光部は、2つ1組の焦電素子が逆直列もしくは逆並列に接続されてなることを特徴とする請求項1記載の赤外線式ガス検知器。
  3. 前記熱型赤外線検出素子がサーモパイルであり、前記赤外線受光部は、2つ1組のサーモパイルが逆直列もしくは逆並列に接続されてなることを特徴とする請求項1記載の赤外線式ガス検知器。
  4. 前記赤外線受光部の出力を増幅する増幅回路の構成部品が前記パッケージ内に収納されてなることを特徴とする請求項2または請求項3記載の赤外線式ガス検知器。
  5. 前記熱型赤外線検出素子が焦電素子もしくはサーモパイルであり、2つ1組の焦電素子もしくは2つ1組のサーモパイルの出力を差動増幅する増幅回路を備えることを特徴とする請求項1記載の赤外線式ガス検知器。
  6. 前記フィルタ形成用基板は、Si基板もしくはGe基板であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の赤外線式ガス検知器。
  7. 前記パッケージが、外部からの電磁波を遮蔽するシールド部を備え、前記赤外線光学フィルタ部は、前記フィルタ形成用基板が前記パッケージのシールド部に電気的に接続されてなることを特徴とする請求項6記載の赤外線式ガス検知器。
  8. 前記赤外線光学フィルタ部は、前記フィルタ形成用基板における前記熱型赤外線検出素子側である一表面側に前記狭帯域透過フィルタ部が形成され、前記フィルタ形成用基板の他表面側に前記広帯域遮断フィルタ部が形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の赤外線式ガス検知器。
  9. 前記赤外線光学フィルタ部は、前記複数の前記フィルタ要素部で前記フィルタ形成用基板が共用されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の赤外線式ガス検知器。
  10. 前記各狭帯域透過フィルタ部は、屈折率が異なり且つ光学膜厚が等しい複数種類の薄膜が積層された第1のλ/4多層膜と、第1のλ/4多層膜における前記フィルタ形成用基板側とは反対側に形成され前記複数種類の薄膜が積層された第2のλ/4多層膜と、第1のλ/4多層膜と第2のλ/4多層膜との間に介在し前記選択波長に応じて光学膜厚を各薄膜の光学膜厚とは異ならせた波長選択層とを有し、前記広帯域遮断フィルタ部は、屈折率が異なる複数種類の薄膜が積層された多層膜からなり、当該複数種類の薄膜のうち少なくとも1種類の薄膜が遠赤外線を吸収する遠赤外線吸収材料により形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の赤外線式ガス検知器。
  11. 赤外線光源から赤外線を所定空間へ放射させて所定空間内の検知対象ガスでの赤外線の吸収を利用して検知対象ガスを検出する赤外線式ガス計測装置であって、赤外線光源と、赤外線光源を駆動する駆動部と、赤外線光源から放射され所定空間を通過した赤外線を受光する赤外線受光ユニットとを備え、赤外受光ユニットとして請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の赤外線式ガス検知器を備えてなることを特徴とする赤外線式ガス計測装置。
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