JP2011025583A - インク受容層用塗工液、ならびにインクジェット用記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録画像の耐オゾン性が良好となるインク受容層用塗工液、ならびにその塗工液を用いて製造したインク受容層を有するインクジェット用記録媒体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】基材上に塗工するインク受容層用塗工液であって、下記(一般式1)で示されるシランカップリング剤および該シランカップリング剤のシロキサン重合体を含有する水溶液と、アルミナ水和物と、バインダーとを含有し、該シランカップリング剤および該シランカップリング剤のシロキサン重合体を含有する水溶液は、C13−NMRによって測定したケミカルシフト7.4ppm以上8.4ppm以下の積分値を100としたときに、該ケミカルシフト7.8ppm以上8.4ppm以下の積分値が5以上80以下であることを特徴とするインク受容層用塗工液。RpSiX4-p(一般式1)
【選択図】なし
【解決手段】基材上に塗工するインク受容層用塗工液であって、下記(一般式1)で示されるシランカップリング剤および該シランカップリング剤のシロキサン重合体を含有する水溶液と、アルミナ水和物と、バインダーとを含有し、該シランカップリング剤および該シランカップリング剤のシロキサン重合体を含有する水溶液は、C13−NMRによって測定したケミカルシフト7.4ppm以上8.4ppm以下の積分値を100としたときに、該ケミカルシフト7.8ppm以上8.4ppm以下の積分値が5以上80以下であることを特徴とするインク受容層用塗工液。RpSiX4-p(一般式1)
【選択図】なし
Description
本発明は、インク受容層用塗工液、ならびにその塗工液を用いて製造したインク受容層を有するインクジェット用記録媒体およびその製造方法に関する。
インクジェット記録画像の耐オゾン性などの保存性を向上させる目的で、インク受容層中のインク受容材として用いる無機顔料の表面を、シランカップリング剤で処理することが知られている。特許文献1には、基材と、インク受容層と、そのインク受容層上に積層される表面層とからなるインクジェット記録用シートにおいて、表面層にシランカップリング剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用シートが開示されている。特許文献2には、酸性条件下で、アミノ基を有するシランカップリング剤により処理されたシリカ微粒子を含有する層を有するインクジェット用記録シートが開示されている。
上記特許文献に記載のインクジェット用記録媒体は、まず、シリカやアルミナ等の無機顔料を水等の溶媒に分散した分散液に、シランカップリング剤あるいはシランカップリング剤を含む溶液を添加してインク受容層用塗工液を調製する。そして、その塗工液を用いて基材上にインク受容層を形成し記録媒体を作製する。これらの記録媒体は、本発明者らの検討によれば、記録画像の耐オゾン性などの保存性の向上効果が十分でない場合があった。この要因としては、上記特許文献に記載のインクジェット用記録媒体は、シランカップリング剤が十分に加水分解されていないことが考えられ、無機顔料と反応しない未反応のシランカップリング剤がインク受容層中に多量に存在していることが考えられる。また、上記特許文献に記載のインクジェット用記録媒体の製造条件では、シランカップリング剤の加水分解が進んだとしても、シラノール基が非常に安定に存在することがある。このため、シランカップリング剤は縮合せずにモノマーとして多量に存在し、シランカップリング剤の記録画像の耐オゾン性などの保存性に対する向上効果を十分に発揮することが困難な場合があった。
例えば、未反応のシランカップリング剤を低級アルコールに溶解して用いた場合、アルコール存在下ではシランカップリング剤の加水分解速度は遅いことがある。この場合、シロキサン重合体は生成しにくく、シランカップリング剤の耐オゾン性に対する優れた効果を発揮することができないことがある。さらに、未反応のシランカップリング剤とポリエーテル変性ポリシロキサンとを混合した液状組成物を用いて記録媒体を作製すると、記録媒体の画像濃度が低下することがあり、耐オゾン性の向上効果がみられないことがある。
このため、本発明の目的は、記録画像の耐オゾン性が良好となるインク受容層用塗工液、ならびにその塗工液を用いて製造したインク受容層を有するインクジェット用記録媒体およびその製造方法を提供することである。
本発明により、基材上に塗工するインク受容層用塗工液であって、下記一般式(1)で示されるシランカップリング剤および該シランカップリング剤のシロキサン重合体を含有する水溶液と、アルミナ水和物と、バインダーとを含有し、該シランカップリング剤および該シランカップリング剤のシロキサン重合体を含有する水溶液は、C13−NMRによって測定したケミカルシフト7.4ppm以上8.4ppm以下の積分値を100としたときに、該ケミカルシフト7.8ppm以上8.4ppm以下の積分値が5以上80以下の水溶液であることを特徴とするインク受容層用塗工液が提供される。
一般式(1)
RpSiX4-p
(Rは、置換されていても置換されていなくても良い炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表し、pは1または2を表す。ただし、pが2の場合、Rは互いに同一であっても異なっていても良い。Xは互いに同一であっても異なっていても良い。)
一般式(1)
RpSiX4-p
(Rは、置換されていても置換されていなくても良い炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表し、pは1または2を表す。ただし、pが2の場合、Rは互いに同一であっても異なっていても良い。Xは互いに同一であっても異なっていても良い。)
本発明により、記録画像の耐オゾン性が良好となるインク受容層用塗工液、ならびにその塗工液を用いて製造したインク受容層を有するインクジェット用記録媒体およびその製造方法が提供される。
以下に本発明のインク受容層用塗工液、ならびにその塗工液を用いて製造するインク受容層を有するインクジェット用記録媒体およびその製造方法を詳細に説明する。
本発明を用いて製造されるインク受容層を有するインクジェット用記録媒体は、図1に示すように、基材(101)上にインク受容層(102)を有することができる。
<<インク受容層>>
インク受容層は、基材上にインク受容層用塗工液を塗工して形成することができる。また、インク受容層は、インク受容層用塗工液の固化物であることができる。
インク受容層は、基材上にインク受容層用塗工液を塗工して形成することができる。また、インク受容層は、インク受容層用塗工液の固化物であることができる。
<インク受容層用塗工液>
前記インク受容層用塗工液は、下記一般式(1)で示されるシランカップリング剤(未反応)およびそのシランカップリング剤のシロキサン重合体を含有する水溶液と、アルミナ水和物と、バインダーとを含有する。これを以降、塗工液と呼ぶこともある。また、以降、「シランカップリング剤およびそのシランカップリング剤のシロキサン重合体を含有する水溶液」を、「シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液」、あるいは「シロキサン重合体を含む水溶液」と呼ぶこともある。
前記インク受容層用塗工液は、下記一般式(1)で示されるシランカップリング剤(未反応)およびそのシランカップリング剤のシロキサン重合体を含有する水溶液と、アルミナ水和物と、バインダーとを含有する。これを以降、塗工液と呼ぶこともある。また、以降、「シランカップリング剤およびそのシランカップリング剤のシロキサン重合体を含有する水溶液」を、「シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液」、あるいは「シロキサン重合体を含む水溶液」と呼ぶこともある。
一般式(1)
RpSiX4-p
(Rは、置換されていても置換されていなくても良い炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表し、pは1または2を表す。ただし、pが2の場合、Rは互いに同一であっても異なっていても良い。pが1または2の場合、Xは互いに同一であっても異なっていても良い。)
(シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液)
・シランカップリング剤
本発明に用いるシランカップリング剤は、下記一般式で表される。
RpSiX4-p
(Rは、置換されていても置換されていなくても良い炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表し、pは1または2を表す。ただし、pが2の場合、Rは互いに同一であっても異なっていても良い。pが1または2の場合、Xは互いに同一であっても異なっていても良い。)
(シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液)
・シランカップリング剤
本発明に用いるシランカップリング剤は、下記一般式で表される。
一般式(1)
RpSiX4-p
(Rは、置換されていても置換されていなくても良い炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表し、pは1または2を表す。ただし、pが2の場合、Rは互いに同一であっても異なっていても良い。pが1または2の場合、Xは互いに同一であっても異なっていても良い。)
Rとしては、例えば、置換されていてもあるいは置換されていなくても良い、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキニル基、アラルキル基等の炭化水素基が挙げられる。これらの炭化水素基の置換基としては、アミノ基、ジアミノ基、エポキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、クロル基およびシアノ基等が挙げられる。また、X(加水分解性基)の具体例としては、アルコキシル基、アルコキシアルコキシル基、ハロゲン基およびアシルオキシ基などの加水分解可能な置換基が挙げられる。さらに、アルコキシル基としては、例えばメトキシ基およびエトキシ基等が挙げられ、ハロゲン基としては、例えば、クロル基等が挙げられる。
RpSiX4-p
(Rは、置換されていても置換されていなくても良い炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表し、pは1または2を表す。ただし、pが2の場合、Rは互いに同一であっても異なっていても良い。pが1または2の場合、Xは互いに同一であっても異なっていても良い。)
Rとしては、例えば、置換されていてもあるいは置換されていなくても良い、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキニル基、アラルキル基等の炭化水素基が挙げられる。これらの炭化水素基の置換基としては、アミノ基、ジアミノ基、エポキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、クロル基およびシアノ基等が挙げられる。また、X(加水分解性基)の具体例としては、アルコキシル基、アルコキシアルコキシル基、ハロゲン基およびアシルオキシ基などの加水分解可能な置換基が挙げられる。さらに、アルコキシル基としては、例えばメトキシ基およびエトキシ基等が挙げられ、ハロゲン基としては、例えば、クロル基等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ジアルコキシシラン化合物、ジアシルオキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物、トリアシルオキシシラン化合物およびトリフェノキシシラン化合物等が挙げられる。さらに、シランカップリング剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランおよびγ−アニリノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。なお、本発明に用いるシランカップリング剤には、列挙したシランカップリング剤以外のものも使用することができ、記録画像の耐オゾン性に対する効果を発揮することができる。上記シランカップリング剤は1種を単独で、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
・シロキサン重合体
本発明に用いるシロキサン重合体は、一般式(1)で示されるシランカップリング剤の加水分解および縮合反応を進行させることで形成される。すなわち、シロキサン重合体は、前記シランカップリング剤の加水分解縮合物である。また、シロキサン重合体とは、前記シランカップリング剤の加水分解と自己縮合によって生成した、シロキサン結合を含む化合物である。一例として、一般式(1)のp=2のときと、p=1のときの、シロキサン重合体の例を下記に示す。
本発明に用いるシロキサン重合体は、一般式(1)で示されるシランカップリング剤の加水分解および縮合反応を進行させることで形成される。すなわち、シロキサン重合体は、前記シランカップリング剤の加水分解縮合物である。また、シロキサン重合体とは、前記シランカップリング剤の加水分解と自己縮合によって生成した、シロキサン結合を含む化合物である。一例として、一般式(1)のp=2のときと、p=1のときの、シロキサン重合体の例を下記に示す。
(Rは、置換されていてもあるいは置換されていなくても良い、アルキル基、アルケニル基およびアリール基等の炭化水素基を表す。また、酸素原子はケイ素と結合するか、あるいは、ヒドロキシル基中の酸素原子、または加水分解性基中の酸素原子として存在する。nは2以上であればよく、上限は特に規定されるものではない。)
・相対積分値(ピーク面積)
特開2003−292626号公報に記載されるように、従来のシランカップリング剤およびシロキサン重合体のNMR測定は、測定核種を29Siとして行われていた。しかし、この手法では、感度が低く、緩和時間が長いことなどから測定に多大な時間を要することがあった。本発明では、シランカップリング剤およびシロキサン重合体のSiのα位の炭素のケミカルシフトが7.4ppm以上8.4ppm以下に検出されることが見込めたため、測定核種をC13として行った。
・相対積分値(ピーク面積)
特開2003−292626号公報に記載されるように、従来のシランカップリング剤およびシロキサン重合体のNMR測定は、測定核種を29Siとして行われていた。しかし、この手法では、感度が低く、緩和時間が長いことなどから測定に多大な時間を要することがあった。本発明では、シランカップリング剤およびシロキサン重合体のSiのα位の炭素のケミカルシフトが7.4ppm以上8.4ppm以下に検出されることが見込めたため、測定核種をC13として行った。
本発明では、C13−NMRによって測定した、一般式(1)で示されるシランカップリング剤(未反応)のSiのα位の炭素の積分値は、図2に示すスペクトルのケミカルシフトが7.4ppm以上7.5ppm以下にあるピークの積分値(ピーク面積)とした。また、シランカップリング剤の複数の加水分解性基のうちの一つが加水分解したシラノール基、及び重合したシランカップリング剤中のシラノール基のα位の炭素のケミカルシフトが7.7ppm以上7.8ppm未満に見られることが予測された。さらに、シロキサン重合したことを示すケミカルシフトが7.8ppm以上8.4ppm以下に見られることが予測された。本発明に用いるシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液は、その水溶液をC13−NMRによって測定したデータ中のケミカルシフト7.4ppm以上8.4ppm以下の全積分値を100としたときに、そのケミカルシフト7.8ppm以上8.4ppm以下の積分値が、5以上80以下の水溶液である。また、以降では、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液のC13−NMRデータ中のケミカルシフト7.4ppm以上8.4ppm以下の合計の全積分値を100としたときの、そのケミカルシフト7.8ppm以上8.4ppm以下の積分値のことを、「相対積分値」と呼ぶこととする。
なお、水溶液中のシランカップリング剤が加水分解縮合せずに、全て未反応シランカップリング剤で存在する状態、すなわち仕込み時の状態では、ケミカルシフト7.8ppm以上8.4ppm以下の合計の積分値は0となる。なお、この全て未反応シランカップリング剤で存在する仕込み時の状態の水溶液を、「シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液」と区別して、「未反応シランカップリング剤の水溶液」と呼ぶ。また、水溶液中のシランカップリング剤中の加水分解性基が全て、加水分解縮合し、シロキサン結合を形成し、シロキサン重合体となる状態では、シランカップリング剤のケミカルシフト7.8ppm以上8.4ppm以下の合計の積分値は100となる。ただし、極限まで重合が続いていったとしても、末端のシラノール基は最後まで残ることが考えられることから、実際には積分値が100となることはないと考えられる。
なお、水溶液中のシランカップリング剤が加水分解縮合せずに、全て未反応シランカップリング剤で存在する状態、すなわち仕込み時の状態では、ケミカルシフト7.8ppm以上8.4ppm以下の合計の積分値は0となる。なお、この全て未反応シランカップリング剤で存在する仕込み時の状態の水溶液を、「シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液」と区別して、「未反応シランカップリング剤の水溶液」と呼ぶ。また、水溶液中のシランカップリング剤中の加水分解性基が全て、加水分解縮合し、シロキサン結合を形成し、シロキサン重合体となる状態では、シランカップリング剤のケミカルシフト7.8ppm以上8.4ppm以下の合計の積分値は100となる。ただし、極限まで重合が続いていったとしても、末端のシラノール基は最後まで残ることが考えられることから、実際には積分値が100となることはないと考えられる。
耐オゾン性に関してみてみると、オゾンガスによる劣化の原因の一つとして、固体酸強度が考えられる。アルミナ水和物表面には酸点が存在し、この酸点に依存する固体酸強度と、耐オゾン性との間には負の相関関係があると考えられる。このため、インク受容層用塗工液中の固体酸強度を弱めること、すなわちアルミナ水和物表面の酸点を被覆することで、耐オゾン性の優れたインクジェット用記録媒体を製造することができる。
本発明では、相対積分値が5以上80以下であるシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液中に、アルミナ水和物およびバインダーを添加したインク受容層用塗工液を用いることが好ましい。
本発明のインク受容層用塗工液のシロキサン重合体を含む水溶液として、相対積分値が5以上80以下の水溶液を用いた場合はシランカップリング剤の加水分解と自己縮合によるシロキサン重合体がアルミナ水和物表面を均一に被覆するのに十分な量形成される。そしてそのシロキサン重合体のもつ水酸基がアルミナ水和物表面の水酸基と結合することでアルミナ水和物表面を均一に被覆し、上記固体酸強度を効果的に弱めることができ、耐オゾン性の優れたインクジェット用記録媒体を製造することができると考えられる。逆に、相対積分値が5未満のシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液を用いた場合は、シランカップリング剤のシロキサン重合体が、アルミナ水和物表面を均一に被覆するのに十分な量形成されていない。すなわち、アルミナ水和物表面を均一に被覆しにくくなり、記録画像の耐オゾン性などの保存性が優れた記録媒体を作製することが困難になると考えられる。また、相対積分値が80を超える場合は、シロキサン重合体中の水酸基の数が少なくなり、アルミナ水和物を均一に被覆しにくくなり、記録画像の耐オゾン性が優れた記録媒体を作製することが困難になると考えられる。
特開2006−315354号公報には、Si基含有ポリシロキサンに、アリルアルコールのアルキレンオキサイドの重合体あるいはこれらのランダムまたはブロック共重合体等のポリエーテルを付加させた、ポリエーテル変性ポリシロキサンの添加が示されている。このポリエーテル変性ポリシロキサンは、構造中に水酸基をほぼもっていないため、ポリエーテル変性ポリシロキサン自体は、アルミナ水和物表面を均一に被覆しにくいことが考えられる。このため、ポリエーテル変性ポリシロキサンを添加することによる記録媒体の耐オゾン性効果はあまりみられないと考えられる。
・シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液の調製
本発明に用いる相対積分値が5以上80以下のシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液は、上記一般式(1)で示される未反応シランカップリング剤の水溶液を用いて、調製することができる。また、相対積分値が5以上80以下のシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液は、シランカップリング剤の濃度が10質量%以上30質量%以下の未反応シランカップリング剤の水溶液を用いて、酸性条件下で調製するのが好ましい。以後、「シランカップリング剤の濃度」とは、未反応シランカップリング剤の水溶液中のシランカップリング剤の濃度を意味することとする。ただし、酸性条件とするために、酸を添加する場合は、酸添加前のシランカップリング剤の仕込み時の濃度、即ち酸添加前の未反応シランカップリング剤の水溶液時での濃度を意味することとする。なお、前記未反応シランカップリング剤の水溶液は、一般式(1)で表されるシランカップリング剤と溶媒とからなることができる。前記未反応シランカップリング剤の水溶液中の溶媒としては、水の他に有機溶媒を用いることができる。しかし、シロキサン重合体を生成する際に、極性を持つ有機溶媒が存在するとシランカップリング剤が加水分解してもシラノール基が特に安定に存在することから、前記溶媒は純水のみであることが好ましい。しかし、相対積分値が5以上80以下を満たすのであれば、シランカップリング剤の水溶液に対する溶解性、および反応性の調整のために、未反応シランカップリング剤の水溶液に、極性の有機溶媒を添加することもできる。前記極性の有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブタノール、アセトン、トリメチルケトン(MEK)、ジアセトンアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド(DMF)およびジメチルスルホキシド(DMSO)などを挙げることができる。
また、前記酸性条件は、上記濃度範囲に調整した未反応シランカップリング剤の水溶液に、酸を加えてつくることができる。この酸性条件は、具体的には、pH値が、1以上3以下であることが好ましい。以後、「pH値」とは、未反応シランカップリング剤の水溶液のpH値を意味することとする。ただし、前記「pH値」は、酸を添加した場合は、酸添加後のpH値を意味することとする。前記pH値が1以上3以下、かつ、シランカップリング剤の濃度が10質量%以上30質量%以下では、シランカップリング剤の加水分解によって生成するシラノール基が非常に安定に存在することを優れて防ぐことができる。この場合、シロキサン重合体が短時間で生成し、結果として優れた耐オゾン性を持つ記録媒体を得ることができる。シランカップリング剤の濃度が30質量%以下では、シロキサン重合体の過剰生成による、短時間でのシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液のゲル化を優れて防ぎ、特に安定した水溶液を調製することができる。
一方、シランカップリング剤の濃度が10質量%以上では、シロキサン重合体が生成しにくくなることを優れて防ぐことができる。さらにpHが3以下であれば、シロキサン重合体が生成しにくくなることを優れて防ぐことができる。また、pHが1以上であれば、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液を用いて製造した塗工液が低粘度となることを優れて防ぎ、塗膜形成に弊害を及ぼすこと、および、ひび割れが生じやすくなることを優れて防ぐことができる。さらに、pHが1以上であれば、塗膜形成して製造した被記録媒体がブロンズ現象を引き起こす弊害をもたらすことを優れて防ぐことができる。
本発明に用いる相対積分値が5以上80以下のシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液は、上記一般式(1)で示される未反応シランカップリング剤の水溶液を用いて、調製することができる。また、相対積分値が5以上80以下のシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液は、シランカップリング剤の濃度が10質量%以上30質量%以下の未反応シランカップリング剤の水溶液を用いて、酸性条件下で調製するのが好ましい。以後、「シランカップリング剤の濃度」とは、未反応シランカップリング剤の水溶液中のシランカップリング剤の濃度を意味することとする。ただし、酸性条件とするために、酸を添加する場合は、酸添加前のシランカップリング剤の仕込み時の濃度、即ち酸添加前の未反応シランカップリング剤の水溶液時での濃度を意味することとする。なお、前記未反応シランカップリング剤の水溶液は、一般式(1)で表されるシランカップリング剤と溶媒とからなることができる。前記未反応シランカップリング剤の水溶液中の溶媒としては、水の他に有機溶媒を用いることができる。しかし、シロキサン重合体を生成する際に、極性を持つ有機溶媒が存在するとシランカップリング剤が加水分解してもシラノール基が特に安定に存在することから、前記溶媒は純水のみであることが好ましい。しかし、相対積分値が5以上80以下を満たすのであれば、シランカップリング剤の水溶液に対する溶解性、および反応性の調整のために、未反応シランカップリング剤の水溶液に、極性の有機溶媒を添加することもできる。前記極性の有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブタノール、アセトン、トリメチルケトン(MEK)、ジアセトンアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド(DMF)およびジメチルスルホキシド(DMSO)などを挙げることができる。
また、前記酸性条件は、上記濃度範囲に調整した未反応シランカップリング剤の水溶液に、酸を加えてつくることができる。この酸性条件は、具体的には、pH値が、1以上3以下であることが好ましい。以後、「pH値」とは、未反応シランカップリング剤の水溶液のpH値を意味することとする。ただし、前記「pH値」は、酸を添加した場合は、酸添加後のpH値を意味することとする。前記pH値が1以上3以下、かつ、シランカップリング剤の濃度が10質量%以上30質量%以下では、シランカップリング剤の加水分解によって生成するシラノール基が非常に安定に存在することを優れて防ぐことができる。この場合、シロキサン重合体が短時間で生成し、結果として優れた耐オゾン性を持つ記録媒体を得ることができる。シランカップリング剤の濃度が30質量%以下では、シロキサン重合体の過剰生成による、短時間でのシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液のゲル化を優れて防ぎ、特に安定した水溶液を調製することができる。
一方、シランカップリング剤の濃度が10質量%以上では、シロキサン重合体が生成しにくくなることを優れて防ぐことができる。さらにpHが3以下であれば、シロキサン重合体が生成しにくくなることを優れて防ぐことができる。また、pHが1以上であれば、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液を用いて製造した塗工液が低粘度となることを優れて防ぎ、塗膜形成に弊害を及ぼすこと、および、ひび割れが生じやすくなることを優れて防ぐことができる。さらに、pHが1以上であれば、塗膜形成して製造した被記録媒体がブロンズ現象を引き起こす弊害をもたらすことを優れて防ぐことができる。
また、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液は、シランカップリング剤の濃度を15質量%以上30質量%以下にして、酸性条件下で調製するのがより好ましい。シランカップリング剤の濃度を15質量%以上にすることで、シロキサン重合体をより容易に生成することができ、未反応シランカップリング剤のケミカルシフトが7.4ppm以上7.5ppm以下にあるピークの積分値を速やかに減少させることができる。
未反応シランカップリング剤を含む水溶液を酸性条件にするために、添加する酸は、特に限定されるものではないが、蟻酸、酢酸およびメタンスルホン酸などの有機酸、あるいは、硝酸および塩酸などの無機酸を用いることが好ましいが、特にアルキルスルホン酸が好ましく、メタンスルホン酸がさらに好ましい。
なお、シロキサン重合体の生成は未反応シランカップリング剤の水溶液の攪拌時間によって決まり、長時間攪拌することでシロキサン重合体の生成を促すことができる。また、反応温度の依存性はない。
上述したように、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液を、上記範囲を満たす低pHおよび高濃度の未反応シランカップリング剤の水溶液を用いて調製すれば、シロキサン重合体を特に容易に形成することができる。また、シロキサン重合体の生成反応は、前記シランカップリング剤の濃度が10質量%以下となる純水量で希釈することで停止させることができる。ただし、シロキサン重合体の生成反応を未反応シランカップリング剤の水溶液に酸を添加し酸性条件下で行った場合は、前記酸量および前記純水量の合計量で、前記シランカップリング剤の濃度が10質量%以下となるように希釈して反応を停止させることができる。なお、本発明に用いる「シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液」は、シロキサン重合体の生成反応を停止させた(希釈)水溶液のことを指す。
さらに、本発明では、上記シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液中に、アルミナ等の無機顔料を添加してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液とし、ついでバインダーを添加して塗工液を作製することができる。この場合、無機顔料を水等の溶媒に分散した分散液中に未反応のシランカップリング剤(モノマー)を添加した場合と異なり、無機顔料添加時にはすでにシロキサン重合体が生成していると考えられる。このため、その塗工液を用いて作製した記録媒体は、シロキサン重合体がアルミナ水和物表面を均一に被覆し、上記固体酸強度を効果的に弱めることができ、耐オゾン性に対する優れた効果を得ることができる。
(アルミナ水和物)
本発明に用いるアルミナ水和物は、下記一般式により表されるものである。
Al2O3-n(OH)2n・mH2 O
(nは0以上3以下の整数を表し、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下の数を表す。また、mとnとは同時に0にはならない。mH2 Oは多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でない値をとることができる。また、アルミナ水和物にか焼操作を加えることで、mが0となることもある。)
本発明に用いるのに好適なアルミナ水和物は、X線回折法による分析でベーマイト構造もしくは非晶質を示すアルミナ水和物である。また、特に特許第2714350号公報、特許第2714351号公報および特許第2714352号公報に記載のアルミナ水和物を用いるのが好ましい。特に透明性、発色性およびインク吸着性の観点から、アルミナ水和物がベーマイト構造もしくは無定形化合物(非晶質)であることが好ましく、また、平均アスペクト比が3以上10以下の平板状アルミナ水和物であることが好ましい。
本発明に用いるアルミナ水和物は、下記一般式により表されるものである。
Al2O3-n(OH)2n・mH2 O
(nは0以上3以下の整数を表し、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下の数を表す。また、mとnとは同時に0にはならない。mH2 Oは多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でない値をとることができる。また、アルミナ水和物にか焼操作を加えることで、mが0となることもある。)
本発明に用いるのに好適なアルミナ水和物は、X線回折法による分析でベーマイト構造もしくは非晶質を示すアルミナ水和物である。また、特に特許第2714350号公報、特許第2714351号公報および特許第2714352号公報に記載のアルミナ水和物を用いるのが好ましい。特に透明性、発色性およびインク吸着性の観点から、アルミナ水和物がベーマイト構造もしくは無定形化合物(非晶質)であることが好ましく、また、平均アスペクト比が3以上10以下の平板状アルミナ水和物であることが好ましい。
前記アルミナ水和物は、製造過程において細孔物性の調整がなされるが、細孔容積が0.1ml/g以上1.0ml/g以下であるアルミナ水和物を用いることが好ましい。
また、BET比表面積が40m2/g以上500m2/g以下であるアルミナ水和物を用いることが好ましい。BET比表面積が、40m2/g以上のアルミナ水和物を用いた場合、インク受容層の光沢性の低下、およびヘイズの増加による画像の白モヤを優れて防ぐことができる。また、BET比表面積が、500m2/g以下のアルミナ水和物を用いた場合、インク受容層のクラックを優れて防ぐことができる。
前記BET比表面積および細孔容積は、アルミナ水和物を24時間、80℃で脱気処理した後、窒素吸着脱離方法により求めることができる。
アルミナ水和物の具体例としては、市販のアルミナ水和物((Sasol社製、商品名:Disperal(登録商標)HP14、BET比表面積:(180m2/g)および(Sasol社製、商品名:Disperal(登録商標)HP18、BET比表面積:(150m2/g)))などを用いることができる。上記アルミナ水和物は、単独で用いても、併用してもよい。
・顔料
本発明に用いるアルミナ水和物には、以下のような顔料を混合して用いてもよい。
本発明に用いるアルミナ水和物には、以下のような顔料を混合して用いてもよい。
本発明を用いて製造されるインク受容層を有する記録媒体に使用可能な顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタニア、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、ケイ酸、ケイ酸ントリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムおよびシリカなどの無機系顔料、ならびに、プラスチックピグメントおよび尿素樹脂顔料などの有機系顔料が挙げられる。また、これら顔料は1つを単独で、または2つ以上併用して用いることが可能である。
(アルミナ水和物に対するシランカップリング剤の使用量)
シランカップリング剤の仕込み時の使用量は、アルミナ水和物の表面積に対するアルミナ水和物のカップリング処理されている被覆面積の割合が、好ましくは0.1%以上30%以下となる量である。また、アルミナ水和物に対してより効率的に処理するための、シランカップリング剤の使用量は、上記被覆面積の割合が、より好ましくは0.5%以上20%以下、更に好ましくは0.7%以上15%以下となる量である。なお、上記被覆面積の割合が100%となるシランカップリング剤の使用量は、計算式:{アルミナ水和物の質量(g)×アルミナ水和物の比表面積(m2/g)/シランカップリング剤の最小被覆面積(m2/g)}により算出することできる。アルミナ水和物の表面積に対する被覆面積の割合が0.1%以上の場合は、後述する加水分解性基を有する樹脂バインダーとの結着性が低下することを優れて防ぐことができる。一方、アルミナ水和物の表面積に対する被覆面積の割合が30%以下の場合では、分散液の安定性や塗膜性能は特に向上し、記録媒体の基本性能であるインク吸収性、解像性および色再現性が低下することを優れて防ぐことができる。本発明に用いるシランカップリング剤の使用量は、アルミナ水和物の表面積に対するアルミナ水和物のカップリング処理されている被覆面積の割合が、0.1%以上30%以下となる範囲内において、シランカップリング剤の使用量の増加に伴って効果が増大する。
シランカップリング剤の仕込み時の使用量は、アルミナ水和物の表面積に対するアルミナ水和物のカップリング処理されている被覆面積の割合が、好ましくは0.1%以上30%以下となる量である。また、アルミナ水和物に対してより効率的に処理するための、シランカップリング剤の使用量は、上記被覆面積の割合が、より好ましくは0.5%以上20%以下、更に好ましくは0.7%以上15%以下となる量である。なお、上記被覆面積の割合が100%となるシランカップリング剤の使用量は、計算式:{アルミナ水和物の質量(g)×アルミナ水和物の比表面積(m2/g)/シランカップリング剤の最小被覆面積(m2/g)}により算出することできる。アルミナ水和物の表面積に対する被覆面積の割合が0.1%以上の場合は、後述する加水分解性基を有する樹脂バインダーとの結着性が低下することを優れて防ぐことができる。一方、アルミナ水和物の表面積に対する被覆面積の割合が30%以下の場合では、分散液の安定性や塗膜性能は特に向上し、記録媒体の基本性能であるインク吸収性、解像性および色再現性が低下することを優れて防ぐことができる。本発明に用いるシランカップリング剤の使用量は、アルミナ水和物の表面積に対するアルミナ水和物のカップリング処理されている被覆面積の割合が、0.1%以上30%以下となる範囲内において、シランカップリング剤の使用量の増加に伴って効果が増大する。
アルミナ水和物を、シロキサン重合体を含む水溶液に加える際、さらに酸を加えることが望ましい。pH調整したシロキサン重合体を含む水溶液にさらに酸を加えておくことで、前記水溶液にアルミナ水和物を加えたときに、ゲル化することを優れて防ぐことができる。この酸の添加量は、アルミナ水和物100質量部に対して0.05質量部以上0.3質量部以下が好ましい。このとき、pHを1以上2以下にすることがゲル化を防ぐ上で好ましい。1以上であれば、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液を用いて製造した塗工液が低粘度となることを優れて防ぎ、塗膜形成に弊害を及ぼすこと、および、ひび割れが生じやすくなることを優れて防ぐことができる。酸の種類は各有機酸、無機酸を使用することができるが、シロキサン重合体を含む水溶液のpHを調整するのに用いた酸が好ましい。
シランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液の固形分濃度は分散の安定性から10質量%以上30質量%以下が好ましく、20質量%以上30質量%以下が特に好ましい。
(バインダー)
本発明に用いるバインダーとしては、ポリビニルアルコールまたはその変性体;澱粉またはその変性体;ゼラチンまたはその変性体;カゼインまたはその変性体;アラビアゴム;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;SBRラテックス、NBRラテックスおよびメチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス;官能基変性重合体ラテックスおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス;ポリビニルピロリドン;無水マレイン酸またはその共重合体;アクリル酸エステル共重合体、等の公知のバインダーを使用することができる。なお、本発明においては、バインダーとしてポリビニルアルコールを使用することが好ましく、ポリビニルアルコールと他の公知のバインダーを併用することも好ましい。
本発明に用いるバインダーとしては、ポリビニルアルコールまたはその変性体;澱粉またはその変性体;ゼラチンまたはその変性体;カゼインまたはその変性体;アラビアゴム;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;SBRラテックス、NBRラテックスおよびメチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス;官能基変性重合体ラテックスおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス;ポリビニルピロリドン;無水マレイン酸またはその共重合体;アクリル酸エステル共重合体、等の公知のバインダーを使用することができる。なお、本発明においては、バインダーとしてポリビニルアルコールを使用することが好ましく、ポリビニルアルコールと他の公知のバインダーを併用することも好ましい。
バインダーの配合量は、シランカップリング処理アルミナ水和物固形分100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下とすることが好ましい。5質量部以上であれば、塗膜形成に弊害を及ぼすことを優れて防ぐことができ、20質量部以下であれば、塗工適性に弊害を及ぼすことを優れて防ぐことができる。
(添加剤)
また、インク受容層用塗工液に、ホウ酸およびホウ酸塩の少なくとも1つを含有させることは、インク受容層(102)の形成上、極めて有効である。また、前記シランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液にバインダーとともにホウ酸およびホウ酸塩の少なくとも一つを加えることができる。なおバインダーと、ホウ酸およびホウ酸塩との添加順序については、どちらが先であっても良い。ホウ酸としては、例えば、オルトホウ酸(H3BO3)、メタホウ酸および次ホウ酸等が挙げられる。また、ホウ酸塩は、上記ホウ酸の水溶性の塩であることが好ましい。具体的には、例えば、ホウ酸のナトリウム塩(Na2B4O7・10H2O、NaBO2・4H2O等)およびカリウム塩(K2B4O7・5H2O、KBO2等)等のアルカリ金属塩、ならびに、ホウ酸のアンモニウム塩(NH4B4O9・3H2O、NH4BO2等)、ならびに、ホウ酸のマグネシウム塩およびカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
また、インク受容層用塗工液に、ホウ酸およびホウ酸塩の少なくとも1つを含有させることは、インク受容層(102)の形成上、極めて有効である。また、前記シランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液にバインダーとともにホウ酸およびホウ酸塩の少なくとも一つを加えることができる。なおバインダーと、ホウ酸およびホウ酸塩との添加順序については、どちらが先であっても良い。ホウ酸としては、例えば、オルトホウ酸(H3BO3)、メタホウ酸および次ホウ酸等が挙げられる。また、ホウ酸塩は、上記ホウ酸の水溶性の塩であることが好ましい。具体的には、例えば、ホウ酸のナトリウム塩(Na2B4O7・10H2O、NaBO2・4H2O等)およびカリウム塩(K2B4O7・5H2O、KBO2等)等のアルカリ金属塩、ならびに、ホウ酸のアンモニウム塩(NH4B4O9・3H2O、NH4BO2等)、ならびに、ホウ酸のマグネシウム塩およびカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
ホウ酸およびホウ酸塩の配合量としては、インク受容層中のバインダー固形分100質量部に対して、ホウ酸およびホウ酸塩の固形分合計量を5質量部以上50質量部以下の範囲で用いることが好ましい。50質量部以下であれば、塗工液の経時安定性が低下することを優れて防ぐことができる。5質量部以上であれば、架橋剤としての効果が低くなることを優れて防ぐことができる。
更に、インク受容層(102)を形成するためのインク受容層用塗工液には、必要に応じて、その他の添加剤を添加することもできる。また、その他の添加剤は、前記シランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液に加えることができる。その他の添加剤としては、例えば、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤および染料定着剤等が挙げられ、適宜インク受容層用塗工液に含有させることができる。
<基材>
次に、基材(101)について説明する。基材(101)は、特に限定されないが、例えば、フィルム、キャストコート紙、バライタ紙、レジンコート紙(両面がポリオレフィンなどの樹脂で被覆された樹脂皮膜紙)などの紙類からなるものなどが好ましい。また、フィルムとしては、例えば、透明な熱可塑性樹脂フィルムを使用することができる。透明な熱可塑性樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどが挙げられる。
次に、基材(101)について説明する。基材(101)は、特に限定されないが、例えば、フィルム、キャストコート紙、バライタ紙、レジンコート紙(両面がポリオレフィンなどの樹脂で被覆された樹脂皮膜紙)などの紙類からなるものなどが好ましい。また、フィルムとしては、例えば、透明な熱可塑性樹脂フィルムを使用することができる。透明な熱可塑性樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどが挙げられる。
また、上記以外にも、適度なサイジングが施された紙である無サイズ紙、コート紙、無機物の充填もしくは微細な発泡により不透明化されたフィルムからなるシート状物質(合成紙など)を使用することもできる。また、ガラスまたは金属などからなるシートなどを使用しても良い。さらに、これらの基材とインク受容層との接着強度を向上させるため、基材の表面にコロナ放電処理や各種アンダーコート処理を施すことも可能である。
<塗工>
上記基材上に、上記のインク受容層用塗工液を塗工してインク受容層を形成することができる。高いインク吸収性を考慮して、前記塗工液の塗布量は、乾燥固形分換算で0.5g/m2以上60g/m2以下が好ましく、良好なインク吸収性および解像性を得るには、5g/m2以上45g/m2以下がより好ましい。
上記基材上に、上記のインク受容層用塗工液を塗工してインク受容層を形成することができる。高いインク吸収性を考慮して、前記塗工液の塗布量は、乾燥固形分換算で0.5g/m2以上60g/m2以下が好ましく、良好なインク吸収性および解像性を得るには、5g/m2以上45g/m2以下がより好ましい。
本発明に用いるインク受容層を形成するための前記塗工液の塗工は、塗布量が上記範囲を満たすように、例えば、各種ブレードコーター、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーター、サイズプレス等の各種塗工装置を適宜選択して用い、オンマシンあるいはオフマシンで塗工される。塗工時に、塗工液の粘度調整等を目的として、塗工液を加温してもよく、またコーターヘッドを加温してもよい。
塗工後の乾燥としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を、適宜選択して用いることができる。
<<インクジェット用記録媒体>>
本発明を用いて製造されるインクジェット用記録媒体は、図1に示すように基材(101)とインク受容層(102)を含むことができる。また、上記インク用記録媒体は、基材(101)の裏面(インク受容層を形成する側と反対側の面)にインク受容層(裏面層と呼ぶこととする)を設けても良い。さらに、基材表面側には、基材とインク受容層との間に別の層(下塗り層と呼ぶこととする)を設けても良い。上記裏面層を形成することは、印字前や印字後において生じるカール低減のために有効である。このカール発生の抑制効果を考慮すると、基材が紙の場合は、吸湿時に、基材表面側の下塗り層およびインク受容層の少なくとも一つと同様の収縮を生じるものが好ましく、これらの層と同系統の顔料やバインダーを用いることが好ましい。特に、厚めの層であるインク受容層の形成材料と同系統の、顔料やバインダーを用いることがより好ましい。更に、必要に応じて、上記裏面層と基材との間に、前記下塗り層のような別の層を設けてもよい。このように裏面側にも下塗り層を設けた場合には、裏面側にも光沢面を形成することも可能となり、表裏両面に光沢面を有する記録媒体を得ることができる。また、裏面層および別層の少なくとも一つに印字性能を付与すれば両面印字も可能となる。
本発明を用いて製造されるインクジェット用記録媒体は、図1に示すように基材(101)とインク受容層(102)を含むことができる。また、上記インク用記録媒体は、基材(101)の裏面(インク受容層を形成する側と反対側の面)にインク受容層(裏面層と呼ぶこととする)を設けても良い。さらに、基材表面側には、基材とインク受容層との間に別の層(下塗り層と呼ぶこととする)を設けても良い。上記裏面層を形成することは、印字前や印字後において生じるカール低減のために有効である。このカール発生の抑制効果を考慮すると、基材が紙の場合は、吸湿時に、基材表面側の下塗り層およびインク受容層の少なくとも一つと同様の収縮を生じるものが好ましく、これらの層と同系統の顔料やバインダーを用いることが好ましい。特に、厚めの層であるインク受容層の形成材料と同系統の、顔料やバインダーを用いることがより好ましい。更に、必要に応じて、上記裏面層と基材との間に、前記下塗り層のような別の層を設けてもよい。このように裏面側にも下塗り層を設けた場合には、裏面側にも光沢面を形成することも可能となり、表裏両面に光沢面を有する記録媒体を得ることができる。また、裏面層および別層の少なくとも一つに印字性能を付与すれば両面印字も可能となる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の「部」とあるのは、特に断わらない限り、「質量部」を表す。
前記相対積分値測定方法を以下に示す。また、実施例および比較例にて作製する記録媒体の耐オゾン性測定方法、その記録媒体に印字物を形成する具体的な方法(記録媒体に印字物を形成したものを、記録物と呼ぶこととする)、およびその記録物の評価方法は、下記の通りである。
<C13−NMR測定>
(測定試料作製)
本発明ではシロキサン重合がより顕著にわかるようにシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液5mlに、重水1mlを加えて測定試料とした。しかし、実際には塗工液の状態であっても、濃縮することで測定できると推定される。
(測定試料作製)
本発明ではシロキサン重合がより顕著にわかるようにシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液5mlに、重水1mlを加えて測定試料とした。しかし、実際には塗工液の状態であっても、濃縮することで測定できると推定される。
(測定方法)
500MHzフーリエ変換NMR分光計(Bruker社製、商品名:Avance500)を用いて、C13−NMRをInverse−gate decoupling法で測定した。また、測定温度30℃、90°パルス使用、パルス間隔3sec、回転数20Hz、観測中心125.77MHz、周波数範囲30kHz、データポイント64kおよび積算回数1kで測定を行った。各シグナルのケミカルシフト値より、シロキサン重合したシランカップリング剤のα位の炭素のピークを7.8ppm以上8.4ppm以下とした。このシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液をC13−NMRによって測定したデータ中のケミカルシフト7.4ppm以上8.4ppm以下の合計の全積分値を100として、7.8ppm以上8.4ppm以下の積分値を算出した。
500MHzフーリエ変換NMR分光計(Bruker社製、商品名:Avance500)を用いて、C13−NMRをInverse−gate decoupling法で測定した。また、測定温度30℃、90°パルス使用、パルス間隔3sec、回転数20Hz、観測中心125.77MHz、周波数範囲30kHz、データポイント64kおよび積算回数1kで測定を行った。各シグナルのケミカルシフト値より、シロキサン重合したシランカップリング剤のα位の炭素のピークを7.8ppm以上8.4ppm以下とした。このシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液をC13−NMRによって測定したデータ中のケミカルシフト7.4ppm以上8.4ppm以下の合計の全積分値を100として、7.8ppm以上8.4ppm以下の積分値を算出した。
<耐オゾン性試験>
(記録物作製)
インクジェット方式を用いたフォトプリンタ(商品名:ip4500、キヤノン製)を用いて、下記の各記録媒体の記録表面にO.D.(光学濃度)1.0のシアンパッチを形成して記録物とし、これを耐オゾン性試験に用いた。
(記録物作製)
インクジェット方式を用いたフォトプリンタ(商品名:ip4500、キヤノン製)を用いて、下記の各記録媒体の記録表面にO.D.(光学濃度)1.0のシアンパッチを形成して記録物とし、これを耐オゾン性試験に用いた。
(測定方法)
上記記録物の試験前の画像濃度および試験後の画像濃度を、分光光度計・スペクトリノ(グレタグマクベス社製)を用いて測定した。
上記記録物の試験前の画像濃度および試験後の画像濃度を、分光光度計・スペクトリノ(グレタグマクベス社製)を用いて測定した。
(試験方法)
耐オゾン性評価は、オゾン曝露試験機(スガ試験機製)を用いて、上記記録物の画像に対して耐オゾン曝露試験を行なった。試験条件は以下の通りである。
耐オゾン性評価は、オゾン曝露試験機(スガ試験機製)を用いて、上記記録物の画像に対して耐オゾン曝露試験を行なった。試験条件は以下の通りである。
・試験条件
オゾン濃度:2.5ppm(体積基準)、
試験時間:16時間、
試験層内温湿度条件:23℃、50%RH(相対湿度)。
上記条件を耐オゾン性試験の1サイクルとし、このサイクルを濃度残存率が70%となるまで繰り返し行い、以下の基準に基づいて評価した。評価結果を表1および2に示す。
オゾン濃度:2.5ppm(体積基準)、
試験時間:16時間、
試験層内温湿度条件:23℃、50%RH(相対湿度)。
上記条件を耐オゾン性試験の1サイクルとし、このサイクルを濃度残存率が70%となるまで繰り返し行い、以下の基準に基づいて評価した。評価結果を表1および2に示す。
・評価基準
◎:比較例1と比較して耐オゾン性が150%以上向上した(濃度残存率が70%となるまでに、比較例1と比較して、上記サイクルの回数が1.5倍以上かかった)もの。
○:比較例1と比較して耐オゾン性が120%以上150%未満向上したもの。
△:比較例1と比較して耐オゾン性の向上が120%未満のもの。
×:シロキサン重合体を含む水溶液、もしくはアルミナ水和物を含む塗工液がゲル化して塗工不可のもの、あるいは受容層がひび割れしたもの。
◎:比較例1と比較して耐オゾン性が150%以上向上した(濃度残存率が70%となるまでに、比較例1と比較して、上記サイクルの回数が1.5倍以上かかった)もの。
○:比較例1と比較して耐オゾン性が120%以上150%未満向上したもの。
△:比較例1と比較して耐オゾン性の向上が120%未満のもの。
×:シロキサン重合体を含む水溶液、もしくはアルミナ水和物を含む塗工液がゲル化して塗工不可のもの、あるいは受容層がひび割れしたもの。
<実施例1>
(シランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液の調製)
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学製、商品名:KBE−403、最小被覆面積:280m2/g)5.57質量部を31.58質量部の純水に加えた。なお、仕込み時のシランカップリング剤の濃度は、計算式:{((5.57)/(5.57+31.58))×100}より、15質量%であった。そして、pH値が3となるように、酸として、メタンスルホン酸0.09質量部を添加し、これを0.5時間攪拌した。続いてさらに、仕込み時のシランカップリング剤の濃度が1.7質量%となるように、296.89質量部の純水を加えて希釈してシロキサン重合体の生成反応を停止させた。この際の計算式は、((5.57)/(5.57+31.58+296.89+0.09)×100=1.7である。そして、所望のシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液を調製した。この水溶液のNMRスペクトルを上記C13−NMR測定条件で観察し、相対積分値を算出した。
(シランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液の調製)
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学製、商品名:KBE−403、最小被覆面積:280m2/g)5.57質量部を31.58質量部の純水に加えた。なお、仕込み時のシランカップリング剤の濃度は、計算式:{((5.57)/(5.57+31.58))×100}より、15質量%であった。そして、pH値が3となるように、酸として、メタンスルホン酸0.09質量部を添加し、これを0.5時間攪拌した。続いてさらに、仕込み時のシランカップリング剤の濃度が1.7質量%となるように、296.89質量部の純水を加えて希釈してシロキサン重合体の生成反応を停止させた。この際の計算式は、((5.57)/(5.57+31.58+296.89+0.09)×100=1.7である。そして、所望のシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液を調製した。この水溶液のNMRスペクトルを上記C13−NMR測定条件で観察し、相対積分値を算出した。
次いで前記水溶液に添加後のアルミナ水和物がゲル化しないよう0.74質量部のメタンスルホン酸を添加し、さらにアルミナ水和物(Sasol社製、商品名:Disperal(登録商標)HP14、比表面積:180m2/g)100質量部を徐々に添加した。次に、このアルミナ水和物を添加した水溶液を分散機(特殊機化工業製、商品名:T.K.ロボミックス)を用いて4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液を得た。また、シランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液の固形分濃度は、24.5質量%である。なお、固形分濃度とは、水溶液の仕込み全質量に対する乾固物の濃度のことである。すなわち、実施例1のシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液の固形分濃度は、{(シランカップリング剤+酸+アルミナ水和物)/(シランカップリング剤+酸+アルミナ水和物+純水)×100}により算出できる。
(インク受容層用塗工液の調製)
続いて、上記シランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液に、バインダーとして、純水に溶解した固形分濃度86質量%のポリビニルアルコール(クラレ製、商品名:PVA235、ケン化度88%、重合度3500)水溶液を加えた。その際、バインダーは固形分比でシランカップリング処理アルミナ水和物100質量部に対して9質量部となる量であった。さらに、ホウ酸水溶液(固形分濃度5質量%)をシランカップリング処理アルミナ水和物100質量部に対して固形分比で1質量部添加し、真空攪拌脱泡ミキサー(EME製、商品名:VMX−N360)を用いて真空脱泡してインク受容層用塗工液を調製した。
続いて、上記シランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液に、バインダーとして、純水に溶解した固形分濃度86質量%のポリビニルアルコール(クラレ製、商品名:PVA235、ケン化度88%、重合度3500)水溶液を加えた。その際、バインダーは固形分比でシランカップリング処理アルミナ水和物100質量部に対して9質量部となる量であった。さらに、ホウ酸水溶液(固形分濃度5質量%)をシランカップリング処理アルミナ水和物100質量部に対して固形分比で1質量部添加し、真空攪拌脱泡ミキサー(EME製、商品名:VMX−N360)を用いて真空脱泡してインク受容層用塗工液を調製した。
(記録媒体の製造)
基材として、レジンコート紙(厚み270μm)を用いた。基材上に上記塗工液を、バーコーターを用いて乾燥固形分換算で30g/m2となるよう塗布量を調整して塗工し、50℃でDF610(商品名、ヤマト科学社製)を用いて乾燥してインクジェット用記録媒体Aを作製した。
基材として、レジンコート紙(厚み270μm)を用いた。基材上に上記塗工液を、バーコーターを用いて乾燥固形分換算で30g/m2となるよう塗布量を調整して塗工し、50℃でDF610(商品名、ヤマト科学社製)を用いて乾燥してインクジェット用記録媒体Aを作製した。
この記録媒体Aに対して、上述した方法で画像を記録した記録物を作製し、その記録物に対して、耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例2>
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を50.13質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:10質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.07質量部を添加した。
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を50.13質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:10質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.07質量部を添加した。
0.5時間攪拌した後、さらに、シランカップリング剤の濃度が1.7質量%となるように、278.34質量部の純水で希釈してシロキサン重合反応を停止させた。得られたシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液のC13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。
次いで、0.74質量部のメタンスルホン酸を添加し、さらにアルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を徐々に添加した。次に、このアルミナ水和物を添加した水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度24.5質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、基材にその塗工液を塗工して記録媒体Bを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例3>
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を22.28質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:20質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.13質量部を添加した。
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を22.28質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:20質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.13質量部を添加した。
0.5時間攪拌した後、さらに、シランカップリング剤の濃度が1.7質量%となるように、306.19質量部の純水で希釈してシロキサン重合反応を停止させた。得られたシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液のC13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。
次いで、0.74質量部のメタンスルホン酸を添加し、さらにアルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を徐々に添加した。次に、このアルミナ水和物を添加した水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度24.5質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、基材にその塗工液を塗工して記録媒体Cを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例4>
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を12.87質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:30質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.18質量部を添加した。
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を12.87質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:30質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.18質量部を添加した。
0.5時間攪拌した後、さらに、シランカップリング剤の濃度が1.7質量%となるように、315.60質量部の純水で希釈してシロキサン重合反応を停止させた。得られたシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含有する水溶液のC13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。
次いで、0.74質量部のメタンスルホン酸を添加し、さらにアルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を徐々に添加した。次に、このアルミナ水和物を添加した水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度24.5質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、基材にその塗工液を塗工して記録媒体Dを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例5>
シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液の製造の際のシランカップリング剤の攪拌時間を0.5時間から2時間に変更した以外は実施例1と同様にして、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液を得た。その後、C13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。更に、実施例1と同様に処理してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液およびインク受容層用塗工液を調製後、その塗工液を塗工して記録媒体Eを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液の製造の際のシランカップリング剤の攪拌時間を0.5時間から2時間に変更した以外は実施例1と同様にして、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液を得た。その後、C13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。更に、実施例1と同様に処理してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液およびインク受容層用塗工液を調製後、その塗工液を塗工して記録媒体Eを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例6>
シランカップリングおよびシロキサン重合体を含む水溶液の製造の際のシランカップリング剤の攪拌時間を0.5時間から8時間に変更した以外は実施例1と同様にして、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液を得た。その後、C13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。更に、実施例1と同様に処理してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液およびインク受容層用塗工液を調製後、その塗工液を塗工して記録媒体Fを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
シランカップリングおよびシロキサン重合体を含む水溶液の製造の際のシランカップリング剤の攪拌時間を0.5時間から8時間に変更した以外は実施例1と同様にして、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液を得た。その後、C13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。更に、実施例1と同様に処理してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液およびインク受容層用塗工液を調製後、その塗工液を塗工して記録媒体Fを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例7>
シランカップリングおよびシロキサン重合体を含む水溶液の製造の際のシランカップリング剤の攪拌時間を0.5時間から24時間に変更した以外は実施例1と同様にして、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液を得た。その後、C13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。更に、実施例1と同様に処理してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液およびインク受容層用塗工液を調製後、その塗工液を塗工して記録媒体Gを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
シランカップリングおよびシロキサン重合体を含む水溶液の製造の際のシランカップリング剤の攪拌時間を0.5時間から24時間に変更した以外は実施例1と同様にして、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液を得た。その後、C13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。更に、実施例1と同様に処理してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液およびインク受容層用塗工液を調製後、その塗工液を塗工して記録媒体Gを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例8>
シランカップリング剤として、ビニルトリエトキシシラン(信越化学製、商品名:KBE−1003、最小被覆面積:410m2/g)2.97質量部を16.83質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:15質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.09質量部を添加した。
シランカップリング剤として、ビニルトリエトキシシラン(信越化学製、商品名:KBE−1003、最小被覆面積:410m2/g)2.97質量部を16.83質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:15質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.09質量部を添加した。
0.5時間攪拌した後、さらに、シランカップリング剤の濃度が0.9質量%となるように314.24質量部の純水で希釈してシロキサン重合反応を停止させた。得られたシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液のC13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。
次いで、0.74質量部のメタンスルホン酸を添加し、さらにアルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を徐々に添加した。次に、このアルミナ水和物を添加した水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度23.9質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、基材にその塗工液を塗工して記録媒体Hを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例9>
シランカップリング剤として、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学製、商品名:KBM−803、最小被覆面積:398m2/g)3.92質量部を22.21質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:15質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.10質量部を添加した。
シランカップリング剤として、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学製、商品名:KBM−803、最小被覆面積:398m2/g)3.92質量部を22.21質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:15質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.10質量部を添加した。
0.5時間攪拌した後、さらに、シランカップリング剤の濃度が1.2質量%となるように307.91質量部の純水で希釈してシロキサン重合反応を停止させた。得られたシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液のC13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。
次いで、0.74質量部のメタンスルホン酸を添加し、さらにアルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を徐々に添加した。次に、このアルミナ水和物を添加した水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度24.1質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、基材にその塗工液を塗工して記録媒体Iを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例10>
シランカップリング剤としてγ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(信越化学製、商品名:KBE−9007、最小被覆面積:315m2/g)4.95質量部を28.05質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:15質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.10質量部を添加した。
シランカップリング剤としてγ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(信越化学製、商品名:KBE−9007、最小被覆面積:315m2/g)4.95質量部を28.05質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:15質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.10質量部を添加した。
0.5時間攪拌した後、さらに、シランカップリング剤の濃度が1.5質量%となるように301.04質量部の純水で希釈してシロキサン重合反応を停止させた。得られたシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液のC13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。
次いで、0.74質量部のメタンスルホン酸を添加し、さらにアルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を徐々に添加した。次に、このアルミナ水和物を添加した水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度24.3質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、基材にその塗工液を塗工して記録媒体Jを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例11>
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を31.58質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:15質量%)。そして、pH値が1となるようにメタンスルホン酸0.23質量部を添加した。
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を31.58質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:15質量%)。そして、pH値が1となるようにメタンスルホン酸0.23質量部を添加した。
0.5時間攪拌した後、さらに、シランカップリング剤の濃度が1.7質量%となるように296.89質量部の純水で希釈してシロキサン重合反応を停止させた。得られたシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液のC13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。
次いで、アルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を徐々に添加した。次に、このアルミナ水和物を添加した水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度24.4質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、基材にその塗工液を塗工して記録媒体Kを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表1に示す。
<比較例1>
純水334.73部とメタンスルホン酸1.5部を攪拌しながら、アルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100部を徐々に添加した。次に、この水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してアルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度23.3質量%)を得た。
純水334.73部とメタンスルホン酸1.5部を攪拌しながら、アルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100部を徐々に添加した。次に、この水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してアルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度23.3質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、基材にその塗工液を塗工して記録媒体Lを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を測定した。なお、比較例1の記録媒体Lが耐オゾン性の基準となる。
<比較例2>
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を56.32質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:9質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.06質量部を添加した。
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を56.32質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:9質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.06質量部を添加した。
0.5時間攪拌した後、さらに、シランカップリング剤の濃度が1.7質量%となるように272.15の純水で希釈してシロキサン重合反応を停止させた。得られたシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液のC13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。
次いで、0.74質量部のメタンスルホン酸を添加し、さらにアルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を徐々に添加した。次に、このアルミナ水和物を添加した水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度24.5質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、基材にその塗工液を塗工して記録媒体Mを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表2に示す。
<比較例3>
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を12.40質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:31質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.25質量部を添加した。
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を12.40質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:31質量%)。そして、pH値が3となるようにメタンスルホン酸0.25質量部を添加した。
0.5時間攪拌した後、さらに、シランカップリング剤の濃度が1.7質量%となるように316.07質量部の純水で希釈してシロキサン重合反応を停止させた。得られたシランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液のC13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。
次いで、0.74質量部のメタンスルホン酸を添加し、さらにアルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を徐々に添加した。次に、このアルミナ水和物を添加した水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度24.5質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、記録媒体Nを製造しようとしたが、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液がゲル化して受容層形成できなかった。評価結果を表2に示す。
<比較例4>
純水327.86質量部およびメタンスルホン酸1.5質量部の混合液に、アルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を添加および攪拌した。次に、シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を徐々に添加した。そして、4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度24.6質量%)を得た。
純水327.86質量部およびメタンスルホン酸1.5質量部の混合液に、アルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を添加および攪拌した。次に、シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を徐々に添加した。そして、4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度24.6質量%)を得た。
更に実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、基材にその塗工液を塗工し、記録媒体Oを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表2に示す。なお、比較例4は、シロキサン重合体を生成せずに、アルミナ水和物にシランカップリング剤をモノマーとして添加した例であるため、シランカップリング剤の濃度、pH値、シロキサン重合体を含む水溶液の相対積分値は、測定しなかった。
<比較例5>
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を31.58質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:15質量%)。そして、pH値が4となるようにメタンスルホン酸0.06質量部を添加した。
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を31.58質量部の純水に加えた(シランカップリング剤の濃度:15質量%)。そして、pH値が4となるようにメタンスルホン酸0.06質量部を添加した。
0.5時間攪拌した後、さらに、シランカップリング剤の濃度が1.7質量%となるように296.89質量部の純水で希釈してシロキサン重合反応を停止させ、C13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。
次いで、0.74質量部のメタンスルホン酸を添加し、さらにアルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を徐々に添加した。次に、このアルミナ水和物を添加した水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度24.5質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、基材にその塗工液を塗工し、記録媒体Pを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表2に示す。
<比較例6>
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を31.58質量部の純水に加えた(pH値は6であった)。
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を31.58質量部の純水に加えた(pH値は6であった)。
0.5時間攪拌した後、さらに、シランカップリング剤の濃度が1.7質量%となるように296.89質量部の純水で希釈してシロキサン重合反応を停止させ、C13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。
次いで、0.74質量部のメタンスルホン酸を添加し、さらにアルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を徐々に添加した。次に、このアルミナ水和物を添加した水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度24.5質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、基材にその塗工液を塗工し、記録媒体Qを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表2に示す。
<比較例7>
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を31.58質量部の純水に加えた。そして、pH値が10となるようにアンモニア水2.0質量部を添加した。
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(実施例1で用いたものと同じ)5.57質量部を31.58質量部の純水に加えた。そして、pH値が10となるようにアンモニア水2.0質量部を添加した。
0.5時間攪拌した後、さらに、シランカップリング剤の濃度が1.7質量%となるように296.89質量部の純水で希釈してシロキサン重合反応を停止させ、C13−NMRスペクトルを上記条件で観察し、相対積分値を算出した。
次いで、0.74質量部のメタンスルホン酸を添加し、さらにアルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を徐々に添加した。次に、このアルミナ水和物を添加した水溶液を分散機(実施例1で用いたものと同じ)を用いて4000rpmで60分間攪拌してシランカップリング処理アルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度24.5質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記水溶液を用いて塗工液を調製し、記録媒体Rを製造しようとしたところ、塗工液がゲル化してインク受容層が形成できなかった。評価結果を表2に示す。
<比較例8>
純水283.40質量部およびメタンスルホン酸1.5質量部の混合液に、アルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を添加し、30分攪拌してアルミナ水和物を含む水溶液を得た。
純水283.40質量部およびメタンスルホン酸1.5質量部の混合液に、アルミナ水和物(実施例1で用いたものと同じ)100質量部を添加し、30分攪拌してアルミナ水和物を含む水溶液を得た。
さらに攪拌を続け、シリコーンオイル(東レダウコーニング社製、商品名:SH190)10.00部を純水40.02部に分散した分散液を上記水溶液に徐々に添加し、4000rpmで10時間攪拌した。そして、シリコーンオイルを含有するアルミナ水和物を含む水溶液(固形分濃度25.6質量%)を得た。
更に、実施例1と同様に上記シリコーンオイルを含有するアルミナ水和物を含む水溶液を用いて塗工液を調製し、基材にその塗工液を塗工し、記録媒体Sを製造した。そして、記録物を作製し耐オゾン性を評価した。評価結果を表2に示す。
表1および2の評価結果が示すように、記録媒体AからKでは、記録媒体L(評価基準)と比較して、120%以上の耐オゾン性の向上が見られた。前記記録媒体AからKは、シランカップリング剤の相対積分値が5以上の水溶液を含む塗工液を用いて作製した記録媒体であり、前記記録媒体Lは、シランカップリング剤を含まない(シランカップリング処理しない)塗工液を用いて作製した記録媒体である。一方、相対積分値が5未満である記録媒体M、P、およびQは、前記記録媒体L(評価基準)に対する耐オゾン性の向上は120%未満であった。前記記録媒体Mは、シランカップリング剤を10質量%未満の低濃度で加水分解させて調製した水溶液を含む塗工液を用いて作製した記録媒体である。また、記録媒体PはpHが3以上であり、記録媒体Qは、酸性条件下ではなく、中性付近(pH6)にてシランカップリング剤の加水分解を行い作製した記録媒体である。シランカップリング剤を水溶液とせずに添加して調整した塗工液を用いて作製した記録媒体Oは、シランカップリング剤の加水分解縮合物であるシロキサン重合体を含む水溶液としてではなく、シランカップリング剤(モノマー)を添加して作製した記録媒体である。記録媒体NおよびRでは、シランカップリング剤およびシロキサン重合体を含む水溶液がゲル化したため、基材(レジンコート紙)を塗工することができなかった。また、前記記録媒体Nは、シランカップリング剤を30質量%を超える高濃度にて加水分解させて調製した水溶液を含む塗工液を用いて作製した記録媒体である。また、前記記録媒体Rは、アルカリ性条件下(pH10)でシランカップリング剤の加水分解を行い作製した記録媒体である。さらに、シランカップリング剤の代わりにシリコーンオイルを添加する条件にて作製した記録媒体Sは、記録媒体Kに対して耐オゾン性は120%未満であり、画像濃度の低下が顕著に見られた。
以上より、本発明の塗工液により製造されるインク受容層を有するインクジェット用記録媒体が優れた耐オゾン性を示すことがわかった。
101 基材
102 インク受容層
102 インク受容層
Claims (4)
- 基材上に塗工するインク受容層用塗工液であって、
下記一般式(1)で示されるシランカップリング剤および該シランカップリング剤のシロキサン重合体を含有する水溶液と、アルミナ水和物と、バインダーとを含有し、
該シランカップリング剤および該シランカップリング剤のシロキサン重合体を含有する水溶液は、C13−NMRによって測定したケミカルシフト7.4ppm以上8.4ppm以下の積分値を100としたときに、該ケミカルシフト7.8ppm以上8.4ppm以下の積分値が5以上80以下の水溶液である
ことを特徴とするインク受容層用塗工液。
一般式(1)
RpSiX4-p
(Rは、置換されていても置換されていなくても良い炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表し、pは1または2を表す。ただし、pが2の場合、Rは互いに同一であっても異なっていても良い。Xは互いに同一であっても異なっていても良い。) - 該シランカップリング剤および該シランカップリング剤のシロキサン重合体を含有する水溶液が、シランカップリング剤の濃度が10質量%以上30質量%以下、かつpH値が1以上3以下である該シランカップリング剤の水溶液を用いて調製される水溶液である、請求項1に記載のインク受容層用塗工液。
- 前記基材と、該基材上にインク受容層用塗工液を塗工して得られるインク受容層とを有するインクジェット用記録媒体であって、
該インク受容層用塗工液が、請求項1または2に記載のインク受容層用塗工液であることを特徴とするインクジェット用記録媒体。 - 前記基材と、該基材上にインク受容層用塗工液を塗工して得られるインク受容層とを有するインクジェット用記録媒体の製造方法であって、
該インク受容層用塗工液が、請求項1または2に記載のインク受容層用塗工液であることを特徴とするインクジェット用記録媒体の製造方法。
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JP2009175138A JP2011025583A (ja) | 2009-07-28 | 2009-07-28 | インク受容層用塗工液、ならびにインクジェット用記録媒体およびその製造方法 |
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JP2012192539A (ja) * | 2011-03-15 | 2012-10-11 | Seiko Epson Corp | 印刷方法、および半導体装置 |
JP2012214338A (ja) * | 2011-03-31 | 2012-11-08 | Dainippon Printing Co Ltd | アルミナナノ粒子分散液、及びこれを含む樹脂組成物 |
CN110927196A (zh) * | 2019-12-10 | 2020-03-27 | 南京曙光精细化工有限公司 | 一种评价硅烷偶联剂聚合体的相对含量的方法 |
-
2009
- 2009-07-28 JP JP2009175138A patent/JP2011025583A/ja active Pending
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