JP2011024377A - 圧縮機駆動装置および冷凍サイクル装置 - Google Patents

圧縮機駆動装置および冷凍サイクル装置 Download PDF

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Abstract

【課題】スイッチ素子の特性を生かし、安価で電磁ノイズを低減した圧縮機駆動装置およびこれを用いた冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】本圧縮機駆動装置は、圧縮機モータの2組の相巻線の各々に給電する2個のインバータ回路を備え、一方側のインバータ回路のスイッチング素子のうち、少なくとも1つは、ワイドバンドギャップ化合物半導体素子からなり、一方側のインバータ回路中でワイドバンドギャップ化合物半導体素子がスイッチング素子に使用されている回路中の位置に対応する位置にある他方側のインバータ回路のスイッチング素子のうち、少なくとも1つが、ワイドバンドギャップ化合物半導体素子より遅いスイッチングスピードの半導体素子からなる。
【選択図】 図3

Description

本発明は圧縮機駆動装置およびこれを用いた冷凍サイクル装置に係り、特に、インバータ回路のスイッチング素子の一部にワイドバンドギャップ化合物半導体素子を採用した圧縮機駆動装置およびこれを用いた冷凍サイクル装置に関する。
一般に空気調和機用等の密閉型圧縮機の圧縮機モータには、高効率が得られるブラシレスDCモータが用いられることが多い。
このブラシレスDCモータは、相巻線および永久磁石ロータを有し、相巻線から発せられる磁界の作用により永久磁石ロータが回転する。
相巻線には、インバータ回路が接続され、このインバータ回路から発せられる駆動電力が供給される。
そして、圧縮機モータが大容量の場合、大容量のインバータ回路が採用され、このインバータ回路から大電流の出力が行われ、給電用のケーブル、端子、およびリード線に流れる電流は、例えば60Aにも達する。
このようなケーブル、端子、およびリード線を通して流れる電流が50Aを超えると、端子およびリード線の発熱が無視できないほど大きくなり、特別な熱対策等が必要となってコストの上昇を招くなどの問題がある。
そのため、ケーブル、端子、およびリード線を通して流れる電流を減じる対策が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の圧縮機駆動装置は、圧縮機モータに設けた2組の相巻線のうちの一方に第1のインバータ回路を接続し、他方に第2のインバータ回路を接続し、両インバータ回路は、直流電圧の印加方向に沿って上流側および下流側となる2つのスイッチング素子の直列回路を複数備え、これら直列回路における各スイッチング素子の相互接続点を各相巻線に接続する構成である。
このような構成をとることで各インバータ回路が賄う電力を1台のインバータ回路を用いる場合の半分にすることができ、各インバータ回路のスイッチング素子として、通常の半分程度の容量のものを用いることができ、さらに、ケーブル、端子、リード線などの発熱を小さく抑えることができコストの低減を図ることができる。特に、大容量のスイッチング素子よりも小容量のスイッチング素子を2個使用する場合のほうが、安価になる場合が多い。特に小容量のスイッチング素子が家庭用の空調機等に使用されるもので済めば、極めて大量生産されているため大幅に安価なものとなる。
そして、特許文献1に記載の圧縮機駆動装置は、第1のインバータ回路の上流側および下流側のスイッチング素子にシリコンデバイスであるIGBTを用い、第2のインバータ回路の上流側および下流側のスイッチング素子にシリコンデバイスであるスーパージャンクションMOSFET(以下、SJ−MOSFETという。)を用いている。
一般に各種半導体素子は、図7に示すような電流起動波形特性(素子オン時)を持つ。
近年、開発されているワイドバンドギャップ化合物半導体素子(SiC、GaN等)、例えば、SiC−MOSFETは、SJ−MOSFETを超える超低オン抵抗で、150〜200℃でも通常動作可能であり、しかも、内蔵ダイオードが高速であるため、逆回復損失が小さい。
このため、SiC素子は極めて高速で立ち上がり、MOSFETはこれに次ぎ、IGBTはさらに劣る。
SJ−MOSFETはSiデバイスの限界を超えた素子であり、Siデバイスに比べて大幅に改良された低オン抵抗が実現されているが、SiC−MOSFETには及ばない。
また、図8に示すように、各種半導体素子の損失イメージを示し、低負荷域では、IGBTの損失が最も大きく、MOSFETがこれに次ぎ、SiC―MOSFETが最も小さく、SJ−MOSFETがこれに次ぐ。中負荷域では、MOSFETが最も大きく、IGBTがこれに次ぎ、SiC―MOSFETが最も小さく、SJ−MOSFETがこれに次ぐ。さらに、高負荷域では、SJ−MOSFETが最も大きく、IGBTがこれに次ぎ、SiC―MOSFETが最も小さい。いずれの負荷域においても、SiC―MOSFETは損失が小さい。
このため、特許文献1に記載の圧縮機駆動装置のように、第1インバータ回路のスイッチング素子にIGBTを用い、第2インバータ回路のスイッチング素子にSJ−MOSFETを用いているため、スイッチング素子の立ち上がり遅れが生じ、さらに、低負荷域および中負荷域で損失を生じるおそれがある。
しかしながら、SiC−MOSFETの特性を生かし、第1インバータ回路および第2インバータ回路のスイッチング素子全体にSiC−MOSFETを用いると、SiC−MOSFETは未だ高価であり、圧縮機駆動装置が高価になり、さらに、この圧縮機駆動装置を用いた冷凍サイクル装置も高価になる。さらに、SiC−MOSFETを各インバータ回路のスイッチング素子全体に用いた場合、スイッチング素子の立ち上りは速いが、同時に立ち上がるため、電磁ノイズを発生するおそれがある。
特開2008−193870号公報
そこで、SiC−MOSFET等のワイドバンドギャップ化合物半導体素子およびこの素子以外のSJ−MOSFET等のスイッチング素子の特性を有効に生かしかつ、これら素子の特性を発揮させるように、第1、第2のインバータ回路の電気回路上の配置を工夫した圧縮機駆動装置が要望されていた。
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、スイッチ素子の特性を生かし、安価で電磁ノイズを低減した圧縮機駆動装置およびこれを用いた冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係る圧縮機駆動装置は、2組の相巻線を有する圧縮機モータと、直流電圧の印加方向に沿って上流側と下流側とからなる2個のスイッチング素子の直列回路を複数備え、これら直列回路に設けた前記各スイッチング素子の相互接点が前記相巻線の一方の組の相巻線に接続される一方側のインバータ回路と、直流電圧の印加方向に沿って上流側および下流側となる2個のスイッチング素子の直列回路を複数備え、これら直列回路における前記各スイッチング素子の相互接続点が前記相巻線の他方の組の相巻線に接続される他方側のインバータ回路を備え、前記スイッチング素子のうち、いずれか一方のインバータ回路に設けたスイッチング素子の上流側および下流側の少なくとも一方のスイッチング素子、あるいは一方のインバータ回路に設けた全スイッチング素子と他方のインバータ回路に設けたスイッチング素子の上下流側のいずれか一方側のスイッチング素子は、ワイドバンドギャップ化合物半導体素子からなり、このワイドバンドギャップ化合物半導体素子以外のスイッチング素子は、前記ワイドバンドギャップ化合物半導体素子より遅いスイッチングスピードの半導体素子からなることを特徴とする。
本発明によれば、スイッチ素子の特性を生かし、安価で電磁ノイズを低減した圧縮機駆動装置およびこれを用いた冷凍サイクル装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態の圧縮機駆動装置を用いた冷凍サイクル装置図。 本発明の第1の実施形態の圧縮機駆動装置により制御される密閉型圧縮機の概念図。 本発明の第1の実施形態の圧縮機駆動装置の概略的な回路図。 本発明の第1の実施形態の圧縮機駆動装置に用いる逆電圧印加回路図。 本発明の第2の実施形態の圧縮機駆動装置の概略的な回路図。 本発明の第3の実施形態の圧縮機駆動装置の概略的な回路図。 各種半導体素子のスイッチング特性を示す概念図。 各種半導体素子の負荷域と損失と相関を示す概念図。
本発明の第1の実施形態に係る圧縮機駆動装置およびこれを用いた冷凍サイクル装置について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本第1の実施形態に係る圧縮機駆動装置1は、例えば空気調和機に用いる冷凍サイクル装置2の一部を構成する密閉型の圧縮機10の駆動に用いられる。
そして、冷凍サイクル装置2は、圧縮機10、四方弁3、第1の熱交換器としての室外側熱交換器4、絞り機構5、第2の熱交換器としての室内側熱交換器6および四方弁3が順次配管接続されてなる。
冷房運転時、実線矢示のように、圧縮機10で圧縮された気相冷媒は、四方弁3を介して室外熱交換器4に流れて凝縮され、液相になった冷媒は、絞り機構5で減圧され、室内側熱交換器6に流れて蒸発し、室内を冷房し、気相冷媒は四方弁3を介して圧縮機10に戻る。
一方、暖房運転時は、破線矢示のように、圧縮機10で圧縮された気相冷媒は、四方弁3を介して室内側熱交換器6に流れて室内を暖房する一方、凝縮されて液相になった冷媒は、絞り機構5で減圧され、室外側熱交換器4に流れて蒸発し、気相になった冷媒は四方弁3を介して圧縮機10に戻る。
このように、冷房運転時および暖房運転時、冷媒を圧縮する圧縮機10は、図2に示すように、密閉ケース11に電動機部としてブラシレスDCモータ12を用い、このブラシレスDCモータ12により回転軸13を介して回転駆動されるロータリ式圧縮機部14を収容してなる。
ブラシレスDCモータ12は、回転軸13の周囲に永久磁石ロータ15を配置し、この永久磁石ロータ15の周りのステータに一方の組の相巻線である第1の三相巻線16および他方の組の相巻線である第2の三相巻線17を装着したもので、両三相巻線16、17から発せられる磁界と永久磁石ロータ15の永久磁石が発する磁界との相互作用により、永久磁石ロータ15および回転軸13が回転する。
圧縮機10の密閉ケース11の外周面に2個の端子18a、18bが設けられ、これら端子18a、18bと三相巻線16、17とがそれぞれリード線19a、19bを介して接続される。そして、端子18a、18bが後述のインバータ回路30、40にそれぞれ配線接続される。
上記ブラシレスDCモータ12の三相巻線16、17は、図3に示すように、それぞれ星形結線された3つの相巻線16u、16v、16wおよび3つの相巻線17u、17v、17wからなる。これら相巻線16u、…、17wが重ね巻き状態でステータに装着されている。なお、三相巻線16、17の巻き方は、この重ね巻以外に回転軸に対して60°ごとに設けられた6つのステータの内で120°間隔の位置にある3つのステータに一方の相巻線16u、16v、16wを残りの3つのステータに相巻線17u、17v、17wをそれぞれ巻きつける集中巻としてもよい。
圧縮機駆動装置1は圧縮機10の駆動を制御する。具体的には、圧縮機駆動装置1は、商用交流電源20の交流電圧が倍電圧整流回路21で直流電圧に変換され、その直流電圧が一方側のインバータ回路である第1のインバータ回路30および他方側のインバータ回路である第2のインバータ回路40にそれぞれ印加される構成をなす。第1のインバータ回路30および第2のインバータ回路40は、それぞれ6つのスイッチ素子を備えた三相インバータである。
本第1実施形態においては、第1のインバータ回路のスイッチング素子には、ワイドバンドギャップ化合物半導体素子を用い、第2のインバータ回路のスイッチング素子には、このワイドバンドギャップ化合物半導体素子より遅いスイッチングスピードの半導体素子を用いる。
ワイドバンドギャップ化合物半導体とは、バンドギャップの大きい半導体を指す。ここでいう「大きい」とは、一般に、シリコンのバンドギャップが1.12eVであることから、その2倍程度である2.2eV程度以上のバンドギャップを持つ場合をワイドバンドギャップと呼ばれる。主にIII−V族半導体、特に窒化物半導体は大きなバンドギャップを持ち、ワイドバンドギャップ半導体となる。
例えば、炭化珪素のバンドギャップは2.20〜3.02eV、窒化ガリウムのバンドギャップは3.39eV、ダイヤモンドのバンドギャップは5.47eVである。
ワイドバンドギャップ化合物半導体素子の大きな特長の一つに高温動作があり、また、図7、図8からもわかるように、高耐圧、低損失、高速スイッチングの特性を兼ね備える。
ワイドバンドギャップ化合物半導体素子より遅いスイッチングスピード(立ち上がり速度)の半導体素子としては、シリコン基板を用いたSJ−MOSFET、MOSFET、IGBTなどである(図7)。
例えば、第1のインバータ回路30は、直流電圧の印加方向に沿って上流側および下流側となる2個のスイッチング素子として、ワイドバンドギャップ化合物半導体素子であるSiC−MOSFETの直列回路を三相分有するもので、各相の上流側と下流側にSiC−MOSFET31u、32u、31v、32v、31w、32wを備えている。
上流側SiC−MOSFET31u、31v、31wに対し還流ダイオードD+がそれぞれ逆並列接続され、下流側SiC−MOSFET32u、32v、32wに対し還流ダイオードD−がそれぞれ逆並列接続されている。
また、SiC−MOSFET31u、32uの相互接続点、SiC−MOSFET31v、32vの相互接続点、SiC−MOSFET31w、32wの相互接続点に、相巻線16u、16v、16wのそれぞれ非結線端が接続される。
なお、第1のインバータ回路30の各直列回路には、ブラシレスDCモータ12の回転数を検出するのに用いる電流検出用抵抗Rがそれぞれ接続されている。
第1のインバータ回路30およびドライブ回路33a〜33fを1個のパッケージに組み込んだ形のドライブ回路内蔵スイッチングモジュール34が形成されている。
ドライブ回路33a〜33fは、SiC−MOSFET31u〜32wにそれぞれ対応し、制御回路であるMCU50から供給される駆動信号に応じて対応するSiC−MOSFET31u〜32wをオン、オフ駆動する。
第2のインバータ回路40は、直流電圧の印加方向に沿って上流側および下流側となる2個のスイッチング素子として、ワイドバンドギャップ化合物半導体素子より遅いスイッチングスピードの半導体素子、例えばシリコン製のSJ−MOSFETの直列回路を三相分有するもので、SJ−MOSFET41u、42u、41v、42v、41w、42wを備える。
そして、MOSFETの場合、MOSFETに対して逆並列接続された寄生ダイオードDが製造過程で不可避的に形成される。このため、上流側SJ−MOSFET41u、41v、41wに対し寄生ダイオードD+がそれぞれ逆並列接続され、下流側SJ−MOSFET42u、42v、42wに対し寄生ダイオードD−がそれぞれ逆並列接続される。
さらに、SJ−MOSFET41u、42uの相互接続点、SJ−MOSFET41v、42vの相互接続点、SJ−MOSFET41w、42wの相互接続点に、相巻線17u、17v、17wのそれぞれ非結線端が接続される。
また、第2のインバータ回路40は、誘導性負荷である相巻線17u、17v、17wに蓄えられたエネルギによって上流側SJ−MOSFET41u、41v、41wのそれぞれの寄生ダイオードD+に順方向電流(還流電流)が流れた場合に、下流側SJ−MOSFET42u、42v、42wのオンに伴って各寄生ダイオードD+に流れる逆方向電流を抑制するため、下流側SJ−MOSFET42u、42v、42wのそれぞれオンに先立って各寄生ダイオードD+に逆電圧を印加する逆電圧印加回路(RA回路)45a〜45cを備えている。
さらに、第2のインバータ回路40は、相巻線17u、17v、17wに蓄えられたエネルギによって下流側SJ−MOSFET42u、42v、42wの各寄生ダイオードD−に順方向電流(還流電流)が流れた場合に、上流側SJ−MOSFET41u、41v、41wのオンに伴って各寄生ダイオードD−に流れる逆方向電流を抑制するため、上流側SJ−MOSFET41u、41v、41wのそれぞれオンに先立って各寄生ダイオードD−に逆電圧を印加する図4に示すようなRA回路45d〜45fを備えている。
各寄生ダイオードDは主回路電圧(例えば、約300V)に比べて十分に低い電圧(1/20以下、例えば、5〜15V)の別個の補助電源により、主回路電圧印加前に予め逆回復させる。これにより、印加する電圧が低いため、逆回復電流は数十分の一程度となり、大幅に逆回復損失を低減できる。
なお、第2のインバータ回路40の各直列回路には、ブラシレスDCモータ12の回転数を検出するのに用いる電流検出用抵抗Rがそれぞれ接続され、両方で回転数を検出し、例えば平均値を得るなどの手段で検出精度を向上させているが、第1、第2のインバータ回路は1個のモータを駆動しているため、回転数検出に用いる電流検出用抵抗Rは、第1、第2のインバータ回路のいずれか一方にのみ設けることでも良い。
第2のインバータ回路40、RA回路45a〜45f、RAドライブ回路46a〜46f、およびドライブ回路47a〜47fは1個のパッケージに組み込んだ形のドライブ回路内蔵スイッチングモジュール48で形成される。
RAドライブ回路46a〜46fは、RA回路45a〜45fにそれぞれ対応し、MCU50から供給されるRA駆動信号に応じてRA回路45a〜45fを駆動する。ドライブ回路47a〜47fは、SJ−MOSFET41u〜42wにそれぞれ対応し、MCU50から供給される駆動信号に応じて対応するSJ−MOSFETをオン、オフ駆動する。
これら整流回路21、ドライブ回路内蔵スイッチングモジュール34、ドライブ回路内蔵スイッチングモジュール48は、コントローラであるMCU50と共に、多数の配線パターンが形成された1個のインバータ基板60に搭載される。
上記MCU50は、PWM生成器51、第2のインバータ回路40側のRAドライブ回路46a〜46fを動作させるためのRA駆動信号を出力するRAドライブ制御器52を有している。
PWM生成器51は、6つのPWM信号を出力し、これが分岐されて第1のインバータ回路30と第2のインバータ回路40に供給される。
PWM生成器51は、予め定められた周波数のキャリア信号の電圧レベルと回転数設定用の指令値の電圧レベルとの比較により、指令値の電圧レベルに応じてオン、オフデューティが変化するPWM信号(パルス幅変調信号)として、位相が互いに120°異なる上素子駆動信号および位相が互いに120°異なる下素子駆動信号をそれぞれ生成する。
第1のインバータ回路30において、上素子駆動信号が供給されるドライブ回路33a、33c、33eは、上素子駆動信号がHighレベルのとき、第1のインバータ回路30の上素子側のSiC−MOSFET31u、31v、31wをオンし、上素子駆動信号がLowレベルのとき、これらSiC−MOSFET31u、31v、31wをオフする。
一方、下素子駆動信号が供給されるドライブ回路33b、33d、33fは、下素子駆動信号がHighレベルのときSiC−MOSFET32u、32v、32wをオンし、下素子駆動信号がLowレベルのときSiC−MOSFET32u、32v、32wをオフする。なお、下流側のSiC−MOSFET32u、32v、32wがオフするタイミングと上流側のSiC−MOSFET31u、31v、31wがオンするタイミングとの間に、それぞれデッドタイムが確保される。上流側のSiC−MOSFET31u、31v、31wがオフするタイミングと下流側のSiC−MOSFET32u、32v、32wがオンするタイミングとの間にも、それぞれデッドタイムが確保される。
同様にドライブ回路47a〜47fは、第2のインバータ回路40のSJ−MOSFET41u〜42wにそれぞれ対応し、MCU50内のPWM生成器51から供給される駆動信号(PWM信号)に応じて対応するSJ−MOSFETをオン、オフ駆動する。
1つのPWM生成器51からは、第1のインバータ回路30と第2のインバータ回路40における同じ位置にあるスイッチング素子に対して同じPWM信号が供給されるようになっている。例えば、第1のインバータ回路30のu相の上流側SiC−MOSFET31uを駆動するドライブ回路33aと第2のインバータ回路30のu相の上流側SJ−MOSFET41uのドライブ回路47aにはPWM生成器51から同じPWM信号が供給される。
第2のインバータ回路40において、上素子用のRAドライブ回路46a、46c、46eは、RAドライブ制御器52から出力される動作信号がHighレベルのとき、上素子駆動信号がHighレベルに立ち上がるのに同期して、単安定マルチバイブレータの動作による一定時間だけHighレベルとなる上素子用逆電圧印加信号(上素子用RAパルス信号ともいう)を出力する。この上素子用逆電圧印加信号がHighレベルになると、RA回路45a、45c、45eが動作して上流側の各寄生ダイオードD+に逆電圧が印加される。上素子用逆電圧印加信号eがHighレベルに立ち上がるタイミング(逆電圧印加タイミング)は、上流側のSJ−MOSFET41u、41v、41wがオンする直前である。
さらに、下素子用のRAドライブ回路46b、46d、46fは、RAドライブ制御器52から出力される動作信号がHighレベルのとき、下素子駆動信号がHighレベルに立ち上がるのに同期して、単安定マルチバイブレータの動作による一定時間だけHighレベルとなる下素子用逆電圧印加信号(下素子用RAパルス信号ともいう)を出力する。この下素子用逆電圧印加信号がHighレベルになると、RA回路45b、45d、45fが動作して下流側の各寄生ダイオードD−に逆電圧が印加される。
上素子用逆電圧印加信号がHighレベルに立ち上がるタイミング(逆電圧印加タイミング)は、下流側のSJ−MOSFET42u、42v、42wがオンする直前である。
このような構成において、第2のインバータ回路40では、1個の直列回路の一方(例えば上流側)のSJ−MOSFETがオン、オフして別の1個の直列回路の他方(例えば下流側)のSJ−MOSFETがオンする二相通電に際し、例えばSJ−MOSFET41uおよびSJ−MOSFET42vが共にオンのとき、整流回路21の正側出力端子からSJ−MOSFET41u、相巻線17u、17v、SJ−MOSFET42v、および整流回路21の負側出力端子の経路で電流が流れる。この状態からSJ−MOSFET41uがオフすると(SJ−MOSFET42vはオンのまま)、相巻線17u、17vに蓄えられたエネルギに基づく電流が、相巻線17u、17vからSJ−MOSFET42vを経てSJ−MOSFET42uの寄生ダイオードD−を順方向(上方向)に流れる。こうして、寄生ダイオードDu−に順方向電流(還流電流)が流れている状態において、上流側のSJ−MOSFET41uがオンに変ると、そのSJ−MOSFET41uを通してSJ−MOSFET42uの寄生ダイオードD−に整流回路21の直流電圧が加わる。このとき、SJ−MOSFET42uの寄生ダイオードD−に短絡電流のような大きな逆方向電流(スパイク電流ともいう)が流れてしまう。この逆方向電流は大きな電力損失を招いてしまうものであり、それを抑制するために、RA回路45a〜45fがそれぞれ所定のタイミングで動作する。
上記のような圧縮機10の制御過程において、第1のインバータ回路30のスイッチング素子には、スイッチ素子の特性を生かし、スイッチングスピードが速いSiC−MOSFETを用い、第2のインバータ回路40のスイッチング素子には、SiC−MOSFETよりスイッチングスピードが遅いSJ−MOSFETを用いるので、1個のPWM生成器から同じ駆動信号(PWM信号)を供給することで、SiC−MOSFETとSJ−MOSFET間のわずかな立ち上り遅れを利用して、同時に立ち上がる場合に比べて電磁ノイズを低減することができる。また、一方のインバータ回路においてSJ−MOSFETの代わりにIGBTを用いてもSiC−MOSFETよりもIGBTの立ち上がりが遅れるため、電磁ノイズを低減することができる。
また、ブラシレスDCモータの巻線を2組の三相巻線に分け、各々の三相巻線に対してインバータ回路を設ける構成にし、インバータ回路の個々が賄う電力を1個のインバータ回路を用いる場合の半分にすることができる。これにより、インバータ回路のスイッチング素子として、通常の半分程度の容量のものを用いることができるので、コストの低減が図れる。仮に、モータが大容量のものであっても、三相巻線に流れる巻線電流がそれぞれ通常の半分程度(例えば30A程度)ですむので、インバータ回路と三相巻線との間のケーブル、端子、リード線などの発熱を小さく抑えることができる。これにより、熱対策も容易になるとともに、コストの低減が図れる。
また、スイッチ素子の特性を生かし、一方のインバータ回路にSiC−MOSFETを用いることで、低負荷域および中負荷域で損失を抑制することができ、さらに、他方の回路に安価なSJ−MOSFETを用いるので、両方のインバータ回路にSiC−MOSFETを用いるのに比べて、圧縮機駆動装置を安価にすることができる。
次に本発明の第2の実施形態に係る圧縮機駆動装置について説明する。 本第2の実施形態は、第1の実施形態が第1のインバータ回路にSiC−MOSFETを用い、第2のインバータ回路にSJ−MOSFETを用いるのに対して、第1のインバータ回路全体および第2のインバータ回路の上流側にSiC−MOSFETを用い、第2のインバータ回路の下流側にはSJ−MOSFETを用いる。
例えば、図5に示すように、第2実施形態に係る圧縮機駆動装置は、第1のインバータ回路30は、6個のSiC−MOSFET31u、32u、31v、32v、31w、32wを備えている。
また、第2のインバータ回路40の上流側はU相にSiC−MOSFET41u、V相にSiC−MOSFET41v、W相にSiC−MOSFET41wを備え、下流側はU相にSJ−MOSFET42u、V相にSJ−MOSFET42v、W相にSiC−MOSFET42wを備える。
なお、他の構成は図3に示す圧縮機駆動装置と異ならないので、同一部分に同一符号を付して説明は省略する。
第2実施形態に係る圧縮機駆動装置によれば、両インバータ回路の全部にSiC−MOSFETあるいはSJ−MOSFETを用い、スイッチ素子の特性を生かし、同時に立ち上がるのに比べて電磁ノイズを低減することができ、両インバータ回路の全部にSiC−MOSFETを用いるのに比べて、圧縮機駆動装置を安価にすることができる。
また、スイッチ素子の特性を生かし、第1、第2の回路の全部にSJ−MOSFETを用いるのに比べて、低負荷域および中負荷域で損失を抑制することができる。
また、本発明の第3の実施形態に係る圧縮機駆動装置について説明する。
本第3の実施形態は、第1の実施形態が第1のインバータ回路にSiC−MOSFETを用い、第2のインバータ回路にSJ−MOSFETを用いるのに対して、第1のインバータ回路の上流側にSiC−MOSFETを用い、第1のインバータ回路の下流側および第2のインバータ回路全てにSJ−MOSFETを用いる。
例えば、図6に示すように、第3実施形態に係る圧縮機駆動装置は、第1のインバータ回路30の上流側にSiC−MOSFET31u、31v、31wを備え、下流側にSJ−MOSFET32u、32v、32wを備える。
また、第2のインバータ回路40の上流側にSJ−MOSFET41u、41v、41wを備え、42u、42v、42wを備える。
第1のインバータ回路30の下流側のSJ−MOSFET32u、32v、32wおよび第2のインバータ回路40の上、下流側のSJ−MOSFET41u、41v、41w、42u、42v、42wはRA回路45g〜45i、45a〜45fを備える。
第3実施形態に係る圧縮機駆動装置によれば、第1、第2のインバータ回路の全部にSiC−MOSFETあるいはSJ−MOSFETを用い、スイッチ素子の特性を生かし、同時に立ち上がるのに比べて電磁ノイズを低減することができ、第1、第2の回路の全部にSiC−MOSFETを用いるのに比べて、圧縮機駆動装置を安価にすることができる。
また、スイッチ素子の特性を生かし、第1、第2の回路の全部にSJ−MOSFETを用いるのに比べて、低負荷域および中負荷域で損失を抑制することができる。
上記各実施形態に係る圧縮機駆動装置により制御される圧縮機を用いた冷凍サイクル装置では、直流電圧の印加方向に沿って上流側と下流側とからなる2個のスイッチング素子の直列回路を複数備え、これら直列回路に設けた各スイッチング素子の相互接点が相巻線の一方の組の相巻線に接続される一方側のインバータ回路と、直流電圧の印加方向に沿って上流側および下流側となる2個のスイッチング素子の直列回路を複数備え、これら直列回路における各スイッチング素子の相互接続点が相巻線の他方の組の相巻線に接続される他方側のインバータ回路を備え、一方側のインバータ回路のスイッチング素子のうち、少なくとも1つは、ワイドバンドギャップ化合物半導体素子からなり、一方側のインバータ回路中でワイドバンドギャップ化合物半導体素子がスイッチング素子に使用されている回路中の位置に対応する位置にある他方側のインバータ回路のスイッチング素子のうち、少なくとも1つが、ワイドバンドギャップ化合物半導体素子より遅いスイッチングスピードの半導体素子からなるようにしたため、スイッチング動作遅れが改善され、安価で電磁ノイズの低減を図ることができる。
なお、「対応する位置」とは、第1のインバータ回路と第2のインバータ回路における同じ相の同じ側(上流側か下流側である)ことを意味する。具体的には、例えば、第1のインバータ回路のu相の上流側のスイッチング素子と第2のインバータ回路のu相の上流側のスイッチング素子を対応する位置にあることをいう。
1…圧縮機駆動装置、2…冷凍サイクル装置、3…四方弁、4…室外側熱交換器、5…絞り機構、6…室内側熱交換器、10…圧縮機、11…密閉ケース、12…ブラシレスDCモータ、13…回転軸、14…ロータリ式圧縮機部、15…永久磁石ロータ、16…三相巻線、17…三相巻線、16u、16v、16w…相巻線、17u、17v、17w…相巻線、18a、18b…端子、19a、19b…リード線、20…商用交流電源、21…倍電圧整流回路、30…第1のインバータ回路、31u、31v、31w…SiC−MOSFET、32u、32v、32w…SiC−MOSFET、33a〜33f…ドライブ回路、34…ドライブ回路内蔵スイッチングモジュール、40…第2のインバータ回路、41u、41v、41w…SJ−MOSFET、42u、42v、42w…SJ−MOSFET、45a〜45f…逆電圧印加回路(RA回路)、46a〜46f…RAドライブ回路、47a〜47f…ドライブ回路、48…ドライブ回路内蔵スイッチングモジュール、50…MCU、51…PWM生成器、52…RAドライブ制御器、60…インバータ基板。

Claims (4)

  1. 2組の相巻線を有する圧縮機モータと、
    直流電圧の印加方向に沿って上流側と下流側とからなる2個のスイッチング素子の直列回路を複数備え、これら直列回路に設けた前記各スイッチング素子の相互接点が前記相巻線の一方の組の相巻線に接続される一方側のインバータ回路と、
    直流電圧の印加方向に沿って上流側および下流側となる2個のスイッチング素子の直列回路を複数備え、これら直列回路における前記各スイッチング素子の相互接続点が前記相巻線の他方の組の相巻線に接続される他方側のインバータ回路を備え、
    前記一方側のインバータ回路の前記スイッチング素子のうち、少なくとも1つは、ワイドバンドギャップ化合物半導体素子からなり、
    前記一方側のインバータ回路中でワイドバンドギャップ化合物半導体素子が前記スイッチング素子に使用されている回路中の位置に対応する位置にある前記他方側のインバータ回路の前記スイッチング素子のうち、少なくとも1つが、前記ワイドバンドギャップ化合物半導体素子より遅いスイッチングスピードの半導体素子からなることを特徴とする圧縮機駆動装置。
  2. 前記ワイドバンドギャップ化合物半導体素子以外のスイッチング素子としてMOSFETを用い、このMOSFETの寄生ダイオードを前記直流電圧に比べて十分に低い電圧の別個の制御電源により、前記MOSFETへの直流電圧印加前に予め逆回復させる前記寄生ダイオードの逆回復支援回路を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機駆動装置。
  3. 前記一方側のインバータ回路および他方側のインバータ回路の各スイッチ素子は、1個のPWM生成器が生成するPWM信号によって制御されることを特徴とする請求項1または2に記載の圧縮機駆動装置。
  4. 請求項1〜3に記載の圧縮機駆動装置によって駆動される圧縮機と、第1の熱交換器と、絞り機構と、第2の熱交換器とを備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。
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