JP2011021840A - 製氷機 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却エネルギーを無駄に消費することなく綿氷の発生を防止する。
【解決手段】製氷機Mは、製氷水タンク22から所定水位以上の製氷水を排出するオーバーフロー部と、製氷水タンク22に貯留された製氷水の下限水位を検知する水位検知手段40を備える。そして製氷機Mは、除氷運転において、規定の貯水量の製氷水が製氷水タンク22に貯留されるタイミングで供給を停止する供給停止手段C1を備える。また製氷機Mは、除氷運転において、給水停止から所定時間経過したことを条件として循環ポンプ25を駆動させる先行駆動手段C2を備える。更に製氷機Mは、製氷運転の間に、蒸発器35の出口温度Toに基づいて循環ポンプ25を一時停止する綿氷防止手段C3を備える。
【選択図】図2

Description

この発明は、製氷部から流下する製氷水を製氷水タンクで回収して製氷部に再循環させる製氷機に関するものである。
氷塊を自動的に製造する水循環式の製氷機として、図4に概略的に示すように、安価に大量の氷塊を生成し得る流下式の製氷機が知られている。この製氷機M1は、製氷室11と、製氷室11の下側方に形成された貯氷室12と、貯氷室12の上方に形成された機械室13とを有する製氷機本体10を備えている。製氷室11内には、氷塊Sを形成する製氷機構20が収容設置され、機械室13内には、製氷部21の冷却および加熱を行なう冷凍機構30が配設されている。
前記製氷機構20は、氷塊Sを形成する製氷部21と、製氷部21に供給される製氷水を貯留する製氷水タンク22と、製氷部21の上側に設けられ、製氷水タンク22から循環ポンプ25で圧送された製氷水を、製氷部21における製氷板23の製氷面に供給する製氷水散水器27とを備えている。製氷部21は、製氷水が流下するよう略垂直に立てて配設された製氷板23を備え、この製氷板23の背面に、前記冷凍機構30の蒸発器35が蛇行して配設されている。製氷水タンク22は、上方に開口しており、製氷部21で氷結に至らずに流れ落ちた製氷水を回収可能となっている。製氷水タンク22には、貯留される製氷水の下限水位を検知する水位検知手段40と、該製氷水の上限水位を規定するオーバーフロー部41が設けられ、上限水位を超えて供給された製氷水はオーバーフロー部41を介して外部に排出される。また製氷機構20は、外部水源に連結されて給水弁26Aを備えた給水部26を備えると共に、製氷板23の上部には、給水部26から供給された水道水を除氷水として製氷板23に散布する除氷水散水器28を備えている。なお、除氷水散水器28から散布された除氷水は、製氷水タンク22に回収され、これが次の製氷運転の際の製氷水として使用される。
前記冷凍機構30は、図4に示すように、気化冷媒を圧縮する圧縮機31と、ファンモータ32により圧縮した冷媒を液化する凝縮器33と、液化冷媒を膨張させる膨張弁34と、前記製氷部21に配設されて液化冷媒の気化により冷却されて該製氷部21の製氷板を冷却させる蒸発器35を備えている。また冷凍機構30は、圧縮機31からのホットガスを蒸発器35へバイパスするバイパス管36およびホットガス弁37等を備えている。そして、冷凍機構30における蒸発器35の出口側には、該蒸発器35の出口温度Toを検知する温度検知手段38が配設されている。
図5は、前記従来の製氷機M1における除氷運転および製氷運転に係るタイミングチャート図である。前記製氷機M1では、除氷運転の開始と同時に給水弁26Aを開いて(給水弁:ON)、次の製氷運転の際の製氷水となる除氷水を、除氷水散水器28から製氷部21へ散布するようになっている。そして、除氷運転において、供給された除氷水が製氷水タンク22に上限水位まで貯留する適宜のタイミングで給水弁26Aが閉じられて(給水弁:OFF)除氷水の供給が停止されるのと同時に、循環ポンプ25が駆動されるようになっている(循環ポンプ:ON)。このように、製氷運転を開始する前(除氷運転中)に循環ポンプ25を駆動するのは、製氷板23からの氷塊Sの離氷を補助するためである。
ところで、前記給水弁26Aを閉じた際には、該給水弁26Aから除氷水散水器28までの給水部26内、除氷水散水器28内、および製氷部21の製氷板23からなる除氷水経路R1に除氷水が存在している。この除氷水経路R1の除氷水は、給水弁26Aの閉成後に、製氷板23に沿って流下して製氷水タンク22に回収される。しかし、循環ポンプ25の駆動により、供給管24、製氷水散水器27、および製氷部21の製氷板23からなる製氷水経路R2へ製氷水タンク22内の製氷水が圧送されるため、除氷水経路R1から除氷水が流下しても、製氷水タンク22内の製氷水がオーバーフローしない。すなわち、給水弁26Aの閉成と循環ポンプ25の駆動とを同時に行なうようにした前記従来の製氷機M1では、製氷水タンク22の上限水位までの貯水量を超えた製氷水が製氷機構20を循環した状態で製氷運転に移行することになる。
実開昭63−132260号公報
前記製氷機M1では、製氷運転において、前記蒸発器35の出口温度Toに基づき、製氷水の過冷却による綿氷の発生を防止するために、製氷部21の製氷板23に氷塊Sが生成する前(例えば、出口温度Toが1℃となった時)のタイミングで循環ポンプ25を一時停止して、製氷部21への製氷水の供給を停止する綿氷防止運転を行なうことがある(図5参照)。ここで、循環ポンプ25の停止時間Pは、例えば10秒程度に設定される。このように綿氷防止運転において循環ポンプ25が停止すると、製氷水経路R2に供給されていた製氷水が、該停止中に製氷水タンク22へ回収される。すなわち、前述の如く、製氷機構20には、製氷水タンク22の上限水位を超えた貯水量の製氷水が循環しているので、製氷板23に氷塊Sが生成する前あるいは僅かに生成されているタイミングで循環ポンプ25を停止すると、製氷水経路R2にあった製氷水の分が製氷水タンク22の上限水位を超えてオーバーフロー部41から外部に排出されてしまう。
オーバーフロー部41から外部へ排出される製氷水は、製氷部21を循環して既に冷却されている。このため、綿氷防止運転を行なうことで、冷却された製氷水を排出してしまうのは、排出した該製氷水を冷却する分の冷却エネルギーを無駄にすることになる。従って、従来の前記製氷機M1では、綿氷の発生を防止するための綿氷防止運転を行なうと、製氷運転で余剰な製氷水を冷却して冷却エネルギーを無駄に消費することになり、製氷能力の悪化を招来したり、製氷運転サイクル毎の製氷量が安定しない不都合がある。
すなわち本発明は、従来の技術に係る製氷機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、冷却エネルギーを無駄に消費することなく綿氷の発生を防止し得る製氷機を提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の製氷機は、製氷運転に際して、製氷水が製氷水タンクから循環ポンプにより製氷部に供給されて、該製氷部を流下して該製氷水タンクに回収されるまでの製氷水経路を循環し、除氷運転に際して、除氷水供給手段により除氷水を製氷部に供給して、この製氷部から流下する除氷水を前記製氷水タンクで回収して次回の製氷運転における製氷水とする製氷機において、
前記製氷水タンクに設けられ、該製氷水タンクから所定水位以上の製氷水を排出するオーバーフロー部と、
除氷運転において前記製氷水タンクに所定水位以上の製氷水が貯留されるタイミングで除氷水供給手段からの除氷水の供給を停止する供給停止手段と、
除氷運転において前記除氷水供給手段からの除氷水の供給を停止してから所定時間経過したことを条件として、前記蒸発器によって前記製氷部が冷却される製氷運転に先立って前記循環ポンプを駆動させる先行駆動手段と、
製氷運転の間に、前記製氷部を冷却する蒸発器の出口温度に基づいて前記循環ポンプを一時停止する綿氷防止手段とを備えたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、除氷水の給水を終えてから、所定時間経過して循環ポンプを駆動する構成とすることで、全体として製氷水タンクの所定水位を超えない水量の製氷水で製氷運転を行なうことができ、製氷運転において綿氷の発生を防止するために循環ポンプを停止しても製氷水が外部に排出されることはない。すなわち製氷機は、除氷運転において、冷却される前の余剰製氷水を排出するようになっているので、製氷運転で余剰製氷水を冷却することがなく、冷却エネルギーの無駄を省き、設定された製氷能力を発揮することができ、また製氷運転と製氷運転との繰り返しサイクル毎の製氷量を安定させることができる。
請求項2に係る発明では、前記綿氷防止手段は、前記蒸発器の出口温度が第1設定温度以下になった際に、設定された停止時間に亘って前記循環ポンプを停止し、設定された運転時間に亘って該循環ポンプを駆動する綿氷防止サイクルを繰り返し、蒸発器の出口温度が前記第1設定温度より低く設定された第2設定温度になったことを条件として、前記綿氷防止サイクルを設定回数繰り返した後に該綿氷防止サイクルを停止することを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、温度検知手段で蒸発器の出口温度を検知して、該出口温度に基づいて循環ポンプを綿氷防止サイクルで駆動することで、製氷水の過冷却が抑止され、該製氷水の過冷却による綿氷の発生を防止し得る。しかも、製氷水の温度を直接検知する別途の温度検知手段を追加装備することなく綿氷の発生を防止し得るので、製氷機の製造コストアップを抑えつつ綿氷の発生を防止し得る。
本発明に係る製氷機によれば、冷却エネルギーを無駄に消費することなく綿氷の発生を防止することが可能である。
実施例に係る製氷機の運転状況を示すタイミングチャート図であり、除氷運転中に余剰製氷水がオーバーフローすることを示している。 実施例の製氷機における制御装置を中心とした制御態様を示すブロック図である。 実施例の製氷機の運転態様を示すフローチャート図である。 流下式の製氷機の概略構成を示す説明断面図である。 従来の製氷機の運転状況を示すタイミングチャート図であって、製氷運転中に余剰製氷水がオーバーフローすることを示している。
次に、本発明に係る製氷機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
実施例の製氷機Mは、図4に示す従来の製氷機M1と同じく流下式であり、該製氷機M1を基本としている。従って実施例では、従来の製氷機M1と同一部材、同一部位については、同一の符号で指示して説明する。実施例の製氷機Mは、製氷室11と、製氷室11の下側方に形成された貯氷室12と、貯氷室12の上方に形成された機械室13とを有する製氷機本体10を備えている。製氷室11内には、氷塊Sを形成する製氷機構20が収容設置され、機械室13内には、製氷部21の冷却および加熱を行なう冷凍機構30が配設されている。
前記製氷機構20は、氷塊Sを形成する製氷部21と、製氷部21に供給される製氷水を貯留する製氷水タンク22と、製氷部21の上側に設けられ、製氷水タンク22から循環ポンプ25で圧送された製氷水を、製氷部21における製氷板23の製氷面に供給する製氷水散水器27とを備えている。製氷部21は、製氷水が流下するよう略垂直に立てて配設された製氷板23を備え、この製氷板23の背面に、前記冷凍機構30の蒸発器35が蛇行して配設されている。製氷水タンク22は、上方に開口しており、製氷部21で氷結に至らずに流れ落ちた製氷水を回収可能となっている。製氷水タンク22には、貯留される製氷水の下限水位を検知する水位検知手段40と、該製氷水の上限水位を規定するオーバーフロー部41が設けられ、上限水位を超えて供給された製氷水はオーバーフロー部41を介して外部に排出される。また製氷機構20は、外部水源に連結されて給水弁26Aを備えた給水部26を備えると共に、製氷板23の上部には、給水部26から供給された水道水を除氷水として製氷板23に散布する除氷水散水器28を備えている。なお、除氷水散水器28から散布された除氷水は、製氷水タンク22に回収され、これが次の製氷運転の際の製氷水として使用される。
前記冷凍機構30は、図4に示すように、気化冷媒を圧縮する圧縮機31と、ファンモータ32により圧縮した冷媒を液化する凝縮器33と、液化冷媒を膨張させる膨張弁34と、前記製氷部21に配設されて液化冷媒の気化により冷却されて該製氷部21の製氷板を冷却させる蒸発器35を備えている。また冷凍機構30は、圧縮機31からのホットガスを蒸発器35へバイパスするバイパス管36およびホットガス弁37等を備えている。そして、冷凍機構30における蒸発器35の出口側には、該蒸発器35の出口温度Toを検知する温度検知手段38が配設されている。
実施例の製氷機Mを全般的に制御する制御装置Cには、図2に示す如く、前述した水位検知手段40、温度検知手段38、タイマTm、圧縮機31、ファンモータ32、ホットガス弁37、給水弁26A、循環ポンプ25等が接続されている。従って制御装置Cが、水位検知手段40が検知する製氷水タンク22内の製氷水の下限水位と、温度検知手段38が検出する前記蒸発器35の出口温度Toと、タイマTmの計時等に基づき、圧縮機31、ファンモータ32、ホットガス弁37、給水弁26A、循環ポンプ25を作動制御することで、製氷運転と除氷運転とが繰り返される。なお図2では、本願発明と関連する機器のみを記載している。
そして、実施例の製氷機Mは、除氷運転において製氷水タンク22に規定量の製氷水が貯留されるタイミングで、給水部(除氷水供給手段)26からの除氷水の供給を停止する供給停止手段C1を備えている。この供給停止手段C1は、前記タイマTmにより給水時間を計時して、この給水時間が経過すると、制御装置Cにより前記給水部26における給水弁26Aを閉成する制御を行なうものである。なお給水時間は、製氷水タンク22内に供給された製氷水の一部が、オーバーフロー部41から確実にオーバーフローするのに要する時間に設定されている。
また、実施例の製氷機Mは、除氷運転において給水部26からの除氷水の供給を停止してから所定の待機時間(所定時間)Twが経過したことを条件として、蒸発器35によって製氷部21が冷却される製氷運転に先立って循環ポンプ25を駆動させる先行駆動手段C2を備えている。すなわち先行駆動手段C2は、除氷水の供給停止から前記タイマTmが計時を開始し、該タイマTmが前記待機時間Tmを計時したら、前記制御装置Cにより循環ポンプ25を駆動させる。なお待機時間Twは、給水弁26Aを閉成した際に、除氷水経路R1内の除氷水の殆どが製氷水タンク22内へ回収されるのに要する時間以上に設定され、例えば実施例の製氷機Mでは10秒に設定されている。
更に、実施例の製氷機Mは、前述した製氷運転と除氷運転とを反復する制御とは別に、製氷運転の間に、前記製氷部21を冷却する蒸発器35の出口温度Toに基づき、循環ポンプ25を一時停止させる綿氷防止運転を行なう綿氷防止手段C3を備えている。このため制御装置Cには、この綿氷防止運転のために、蒸発器35の出口温度Toに関して、第1設定温度P1と、この第1設定温度P1より低く0℃より高い第2設定温度P2とが予め設定されている。
ここで綿氷は、製氷水が過冷却、すなわち0℃以下に冷却されることで発生するため、製氷水が0℃より高い温度の状態で綿氷防止運転を行なう必要がある。しかし、蒸発器35の出口温度Toと製氷水タンク22内の製氷水の温度とは各製氷機毎に異なり、製氷水が0℃近傍まで冷却された時点で綿氷防止運転を開始しても、綿氷防止運転中に該製氷水が0℃以下になることもあり得る。そこで実施例では、第1設定温度P1を10℃としたもので、蒸発器35の出口温度Toが10℃に到達したら、綿氷防止運転を開始するようになっている。すなわち、前述した如く、蒸発器35の出口温度Toと製氷水の温度との温度差が0〜3℃程度であるから、蒸発器35の出口温度Toが10℃に到達した際に綿氷防止運転を開始すれば、如何なる水循環式の製氷機にあっても、製氷水の温度が0℃より高い状態で綿氷防止運転を確実に開始することが可能である。
次に、前記綿氷防止手段C3について、具体的に説明する。先ず、前記綿氷防止手段C3は、製氷運転において、温度検知手段38が前記第1設定温度P1を検知することにより、循環ポンプ25を連続運転から間欠運転に切り替える制御を行なうようになっている。この間欠運転は、予め設定された停止時間に亘る循環ポンプ25の停止と、予め設定された運転時間に亘る該循環ポンプ25の駆動とを繰り返す運転である。ここで、実施例の制御装置Cでは、間欠運転における循環ポンプ25の停止時間が10秒、運転時間が50秒に設定され、前記タイマTmがこれを計時するよう構成されている。従って、実施例の製氷機Mは、蒸発器35の出口温度Toが第1設定温度P1に到達すると、循環ポンプ25を10秒間の停止および50秒間の駆動からなる綿氷防止サイクルを繰り返す間欠運転に切り替えて、製氷部21へ製氷水を断続的に供給して該製氷水の冷却を遅らせるようになっている。
また、前記綿氷防止手段C3は、間欠運転において、温度検知手段38が前記第1設定温度P1より低く0℃より高い前記第2設定温度P2を検知すると、更に所定の間欠運転を行なうようになっている。ここで、実施例の制御装置Cでは、出口温度Toが第2設定温度P2に到達した時点での綿氷防止サイクルが終了してから、更に2回の綿氷防止サイクルを実行するように設定されている。すなわち、実施例の製氷機Mは、製氷水が第2設定温度P2まで冷却された後も、循環ポンプ25を所定時間に亘って間欠運転することで、製氷水が0℃以下に過冷却されることを確実に抑止して綿氷の発生を適切に防止するよう制御される。なお実施例では、第2設定温度P2を1℃に設定してある。
次に、前述のように構成された実施例に係る製氷機の作用につき、図1および図3を引用して説明する。
実施例の製氷機Mでは、除氷運転の開始(ステップS1)と同時に給水弁26Aを開放して(給水弁:ON)、次の製氷運転の際の製氷水となる除氷水を、除氷水散水器28から製氷部21へ散布する(ステップS2)。そして、前記供給停止手段C1により、除氷運転において、タイマTmが給水時間を計時して、供給された除氷水が製氷水タンク22に上限水位まで貯留されると(ステップS3)、前記給水弁26Aが閉じられて(給水弁:OFF)除氷水の供給が停止される(ステップS4)。
次いで、タイマTmが、給水停止から待機時間Tw(10秒)を計時するまで待機する(ステップS5)。この間に、除氷水経路R1の除氷水が、製氷部21から製氷水タンク22内に回収される。これにより、製氷水タンク22内には規定量以上の製氷水が供給されることとなり、余剰となった製氷水は、オーバーフロー部41から外部へ排出される。従って、図1に示すように、製氷水タンク22内には、規定量の製氷水が貯留された状態となる。
次に、前記先行駆動手段C2により、ステップS5において待機時間Twが経過したら、循環ポンプ25を駆動して(循環ポンプ:ON)連続運転する(ステップS6)。これにより、全体として規定量の製氷水が製氷機構20を循環し、図1に示すように、製氷水経路R2に圧送されている製氷水の分だけ製氷水タンク22内の貯水量が減少する。そして、蒸発器35の出口温度Toが、予め設定された除氷完了温度に到達したことを前記温度検知手段38が検知したら(ステップS7)、ホットガス弁37を閉成して当該の除氷運転を停止し(ステップS8)、製氷運転を開始する(ステップS9)。
製氷運転が開始されると、冷凍機構30の冷凍運転により蒸発器35が冷却され、製氷部21の製氷板23を蒸発器35との熱交換により強制冷却する。このもとで、製氷部21に供給された製氷水は、製氷板23の上部から下部に向けて流下し、この流下過程で製氷板23の冷却されている部位に製氷水が接触することで徐々に冷却される。なお、製氷水はまだ氷結しないので、製氷板23から流下する製氷水は、図4に示すように、その全量が製氷水タンク22に回収された後、循環ポンプ25により再び製氷部21に供給される。
そして、前記綿氷防止手段C3により、蒸発器35の出口温度Toが、予め設定された第1設定温度P1である10℃に到達したことを温度検知手段38が検知したら(ステップS10)、循環ポンプ25を連続運転から間欠運転に切り替える(ステップS11)。循環ポンプ25が間欠運転に切り替わると、綿氷防止手段C3は、10秒間の停止および50秒間の駆動からなる綿氷防止サイクルを繰り返す。そして、循環ポンプ25が停止する毎に、製氷水経路R2にある製氷水が製氷部21を流下して製氷水タンク22へ回収されるが、製氷水が上限水位以上にならないので、冷却された該製氷水がオーバーフロー部41から外部へ排出されることはない。なお、この間欠運転における循環ポンプ25の停止時には製氷水の冷却がなされないので、製氷水の冷却速度が遅くなる。
綿氷防止手段C3は、製氷部21における製氷板23の冷却が進行して、蒸発器35の出口温度Toが、予め設定された第2設定温度P2である1℃に到達したことを温度検知手段38が検知したら(ステップS12)、循環ポンプ25の間欠運転を維持する。そして綿氷防止手段C3は、出口温度Toが第2設定温度P2に到達した時点での綿氷防止サイクルが終了してから、更に2回の綿氷防止サイクルを実行した後、当該の綿氷防止運転が終了する(ステップS13)。これにより製氷水が過冷却されず、綿氷の発生が防止される。
綿氷防止運転が終了した後は、当該の製氷運転が終了するまで循環ポンプ25が連続運転される(ステップS14)。これにより、製氷部21の製氷板23に製氷水が徐々に氷結するようになり、所要製氷時間の経過後に氷塊Sが形成されるに至る。製氷部21での氷塊Sの形成が完了して、水位検知手段40が製氷水タンク22内の製氷水の下限水位を検知すると(ステップS15)、製氷部21での氷塊Sの成形が完了したと判断して当該の製氷運転を終了する(ステップS16)。製氷運転が終了したら、ステップS1に戻って除氷運転に切り替わり、ホットガス弁37が開放されると共に、給水弁26Aが開放されて除氷水が供給され、ステップS1以降を繰り返すようになる。
従って、実施例の製氷機Mによれば、次のような作用効果を奏する。
(1) 供給停止手段C1により、除氷水の供給を終えた後、先行駆動手段C2により、予め設定された待機時間Twが経過してから循環ポンプ25を駆動する構成としたので、全体として製氷水タンク22の上限水位を超えない水量で製氷運転を行なうことができる。従って、綿氷防止手段C3により、製氷運転において綿氷の発生を防止する綿氷防止運転を行なうために循環ポンプ25を停止しても、製氷水が製氷水タンク22から外部へ排出されることはない。すなわち製氷機Mは、除氷運転において、冷却される前の余剰製氷水を排出するようになっているので、製氷運転で余剰な製氷水を冷却することがなく、冷却エネルギーの無駄を省き、設定された製氷能力を発揮することができ、また製氷運転サイクル毎の製氷量を安定させることができる。
(2) 綿氷防止手段C3により、蒸発器35の出口温度Toが、製氷水の温度が0℃以下になっていない第1設定温度P1である10℃に到達したら、綿氷防止手段C3により綿氷防止運転へ切り替わるようにしたので、製氷水が過冷却状態となっていない状態で綿氷防止運転が開始され、該綿氷防止運転を効率的に行なうことができる。
(3) 綿氷防止手段C3により、綿氷防止運転における間欠運転では、循環ポンプ25を10秒間停止して50秒間駆動する綿氷防止サイクルを繰り返すので、製氷部21における氷塊Sの生成に支障を来すことなく製氷水の冷却を遅らせて該製氷水の過冷却を抑止しながら、該循環ポンプ25の停止中には製氷板23において氷塊Sの成長が始まるので綿氷の発生を防止し得る。
(4) 綿氷防止手段C3により、蒸発器35の出口温度Toが、0℃より高い第2設定温度P2である1℃となった後も、循環ポンプ25の間欠運転をしばらく継続するので、製氷水の過冷却が確実に抑止され、綿氷の発生を適切に防止し得る。
(5) 製氷水の水温を直接検知する温度検知手段を製氷水タンク22に追加装備する必要がないので、製造コストを抑えつつ綿氷の発生を好適に防止し得る。しかも、制御装置Cにおける循環ポンプ25の運転制御プログラムを変更するだけで、綿氷の発生を好適に防止するようにし得る。
(変更例)
本願は、前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1)除氷運転における給水停止から循環ポンプ25の駆動まで待機時間(所定時間)Twは、実施例の如く10秒に限定されず、各製氷機M毎に変更可能である。すなわち、給水停止から除氷水経路R1の除氷水全量が製氷水タンク22に回収されるのに要する時間は各製氷機毎に異なり得るので、各々の製氷機Mに適合した待機時間Twとすればよい。
(2)実施例では、第1設定温度P1および第2設定温度P2を設定して、蒸発器35の出口温度Toが第1設定温度P1を検知して第2設定温度P2を検知した後も、循環ポンプ25の間欠運転による綿氷防止サイクルを実行するようにした綿氷防止手段C3を例示したが、綿氷防止手段C3はこれに限定されない。例えば、図5に示した従来の運転のように、第2設定温度P2に対応する設定温度(図5では1℃)が設定されて、蒸発器35の出口温度Toが該設定温度を検知した後に1回だけ循環ポンプ25を停止させる綿氷防止運転を実行する綿氷防止手段C3でもよい。
(3)実施例では、第1設定温度P1を10℃、第2設定温度P2を1℃としたが、これら第1設定温度P1および第2設定温度P2は、綿氷防止運転を実行する製氷機に合わせて適宜変更することが可能である。
(4)実施例では、綿氷防止運転において、循環ポンプ25の間欠運転における停止時間を10秒、運転時間を50秒としたが、これら停止時間および運転時間も変更可能である。
(5)実施例では、オープンセル方式の製氷機構を備える製氷機を例に挙げたが、水循環式であれば、クローズド方式やその他のタイプの製氷機構を備える製氷機であってもよい。
21 製氷部,22 製氷水タンク,25 循環ポンプ,26 給水部(除氷水供給手段)
35 蒸発器,41 オーバーフロー部,C1 供給停止手段,C2 先行駆動手段
C3 綿氷防止手段,P1 第1設定温度,P2 第2設定温度,To 出口温度

Claims (2)

  1. 製氷運転に際して、製氷水が製氷水タンク(22)から循環ポンプ(25)により製氷部(21)に供給されて、該製氷部(21)を流下して該製氷水タンク(22)に回収されるまでの製氷水経路を循環し、除氷運転に際して、除氷水供給手段(26)により除氷水を製氷部(21)に供給して、この製氷部(21)から流下する除氷水を前記製氷水タンク(22)で回収して次回の製氷運転における製氷水とする製氷機において、
    前記製氷水タンク(22)に設けられ、該製氷水タンク(22)から所定水位以上の製氷水を排出するオーバーフロー部(41)と、
    除氷運転において前記製氷水タンク(22)に所定水位以上の製氷水が貯留されるタイミングで除氷水供給手段(26)からの除氷水の供給を停止する供給停止手段(C1)と、
    除氷運転において前記除氷水供給手段(26)からの除氷水の供給を停止してから所定時間経過したことを条件として、前記蒸発器(35)によって前記製氷部(21)が冷却される製氷運転に先立って前記循環ポンプ(25)を駆動させる先行駆動手段(C2)と、
    製氷運転の間に、前記製氷部(21)を冷却する蒸発器(35)の出口温度(To)に基づいて前記循環ポンプ(25)を一時停止する綿氷防止手段(C3)とを備えた
    ことを特徴とする製氷機。
  2. 前記綿氷防止手段(C3)は、前記蒸発器(35)の出口温度(To)が第1設定温度(P1)以下になった際に、設定された停止時間に亘って前記循環ポンプ(25)を停止し、設定された運転時間に亘って該循環ポンプ(25)を駆動する綿氷防止サイクルを繰り返し、蒸発器(35)の出口温度(To)が前記第1設定温度(P1)より低く設定された第2設定温度(P2)になったことを条件として、前記綿氷防止サイクルを設定回数繰り返した後に該綿氷防止サイクルを停止する請求項1記載の製氷機。
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