JP2011021228A - 超高純度合金鋳塊の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】精錬剤は、金属CaとCaハライド組成フラックスとの混合物である。Caハライド組成フラックスは、フッ化カルシウムに酸化カルシウムを5〜30wt%配合したCaF2-CaO、フッ化カルシウムに塩化カルシウムを5〜30wt%配合したCaF2-CaCl2、または、フッ化カルシウムに酸化カルシウムおよび塩化カルシウムを5〜30wt%配合したCaF2-(CaO+CaCl2)である。合金溶湯プール6の重量に対する金属Caの添加率を0.5wt%以上とし、合金溶湯プール6の重量に対するCaハライド組成フラックスの添加率を、金属Caの添加率以上とする。
【選択図】図1
Description
前記したように、本発明は、コールドクルーシブル式誘導溶解装置1の水冷銅るつぼ3に例えば原料フィーダー2により合金原料を投入し、不活性ガス雰囲気下において、当該合金原料を例えばコイル5により誘導溶解させて、所定の合金組成に成分調整した合金溶湯プール6を形成する溶湯プール形成工程と、形成された合金溶湯プール6に精錬剤を添加して、少なくともリンを含む不純物元素を除去する精錬工程と、を備える超高純度合金鋳塊の製造方法である。そして、上記精錬剤は金属CaとCaハライド組成フラックスとの混合物である。このCaハライド組成フラックスは、フッ化カルシウムに酸化カルシウムを5〜30wt%配合したCaF2-CaO、フッ化カルシウムに塩化カルシウムを5〜30wt%配合したCaF2-CaCl2、または、フッ化カルシウムに酸化カルシウムおよび塩化カルシウムを5〜30wt%配合したCaF2-(CaO+CaCl2)である。本製造方法では、合金溶湯プール6の重量に対する金属Caの添加率を0.5wt%以上とし、合金溶湯プール6の重量に対するCaハライド組成フラックスの添加率を金属Caの添加率以上とする(番号は、添付の図1を参照)。
金属Caを用いる還元精錬法では、金属Caを安定に保持する必要がある。金属Ca単体の沸点は、1484℃である。CCIM法で形成される例えばFe基Ni基合金の溶湯プール温度は、1520℃前後(Fe基)から1450℃前後(Ni基)ほどである。そのため、単体で金属Caを合金溶湯プール6に添加すると、沸点が1484℃の金属Caは、ほぼ蒸発除去されてしまい、精錬反応のための金属Caが存在できない状況となる。したがい、金属Caの蒸気圧を低減させて、金属Caを合金溶湯プール6と共存させるための手段が必要となる。金属Caは、溶融フッ化カルシウム(CaF2)などの溶融Caハライドに溶解することが知られている。フッ化カルシウムの融点は、1410℃ほどであり、Fe基合金の場合は、合金溶湯プール6の温度が比較的高いことから、合金溶湯プール6からの伝熱により溶融スラグ層7を形成させることが可能である。
{Ca}M=WCa/M×100
{Flx}M=WFlx/M×100
WCa:添加する金属Caの重量(kg)
WFlx:添加するするCaハライド組成フラックスの重量(kg)
M:合金溶湯プール6の重量(kg)
なお、精錬剤として添加する金属Caの重量やフラックスの重量は、通常の取り扱いでは、フラックス中の濃度として整理されることが多い。しかしながら、合金溶湯プール6の重量M(kg)に対する重量割合として整理する方が、所要の金属Ca量やフラックス量を直接的に把握しやすいことから、ここでは、{Ca}Mや{Flx}Mのような定義の表示でそれらの重量を表すこととした。なお、合金溶湯プール6の重量Mは、水冷銅るつぼ3に投入する前の合金原料の重量と等しい。
0.5≦{Ca}M かつ {Ca}M≦{Flx}M
金属CaとCaハライド組成フラックスとの混合物を合金溶湯プール6に添加すると、直ちに金属Caの蒸発が始まり、黒色の煙が発生する。金属Ca添加率が少ない条件({Ca}M<0.1)では、初期添加のCa蒸発損失により、添加したCaの多くが失われるため、除去精錬効果がほとんど得られない結果となる。金属Caの添加量を増加させると(0.4<{Ca}M)、添加後、数秒から数十秒で、発生する黒煙が真空チャンバー4内に立ち込めて、合金溶湯プール6表面からの放射光も遮られる状況となり、合金溶湯プール6の表面状況を観察することが困難となる。
ηp=([P]0−[P])/[P]0×100
ηN=([N]0−[N])/[N]0×100
[P]0:精錬前[P]濃度(wt%)、[P]:精錬後[P]濃度(wt%)
[N]0:精錬前[N]濃度(wt%)、[N]:精錬後[N]濃度(wt%)
内径φ220mmの水冷銅るつぼ3を有するコールドクルーシブル式誘導溶解装置1を用い、ステンレス鋼材(Fe−20Ni25Cr、Fe−35Ni25Cr)などを水冷銅るつぼ3に投入して、重量M(20kg、40kg、50kg)の合金溶湯プール6を形成させる。その後、Caハライド組成フラックス(CaF2−CaO(8:2)、CaF2−CaCl2−CaO(8:1:1)など)を添加({Flx}M0=1.5%)して溶融スラグ層7をあらかじめ形成させる。その後、{Ca}M=1.0%、{Flx}M=1.5%の条件で、金属CaとCaハライド組成フラックスとの混合物である精錬剤を添加して、ある一定時間、合金溶湯プール6と溶融スラグ層7とを保持(2分〜60分)する。その後、直ちに高周波加熱電源を停止させて、合金溶湯プール6を、水冷銅るつぼ3内で急冷凝固させる。その後、急冷凝固させた鋳塊中のリン[P]、窒素[N]などの不純物元素を分析する。
2[P]+3(Ca)→(Ca3P2)
2[N]+3(Ca)→(Ca3N2)
(Ca)→Ca(g)↑
(Ca3P2)→2[P]+3(Ca)
(Ca3N2)→2[N]+3(Ca)
合金溶湯プール6からの伝熱により、合金溶湯プール6の上部に添加した金属CaとCaハライド組成フラックスとが順次溶解して、溶融スラグ層7が形成される(図4の時間ステップ0から4への段階)。溶融スラグ層7が形成されると、溶融スラグ層7中のCaとの局所平衡により、合金溶湯プール6中の[P]濃度および[N]濃度、溶融スラグ層7中の(Ca3P2)濃度および(Ca3N2)濃度などが定まり、脱[P]、脱[N]反応が進行する。しかしながら、一旦完全に溶融スラグ層7が形成された(図4の時間ステップ4の段階)後は、溶融スラグ層7からのCa蒸発損失のために、時間と共に溶融スラグ層7中のCa濃度が低下する。このCa濃度の低下に応じて、局所平衡の反応により、再び、合金溶湯プール6中の[P]濃度や[N]濃度が増加する、という反応モデルである。
T1(min)は、精錬剤(金属CaとCaハライド組成フラックスとの混合物)の添加後、当該精錬剤が完全溶融するために要する所要時間の1/2である。
T1=WCa+Flx/S/Kmelt(Ca+Flx) /60/2
WCa+Flx=M×({Ca}M+{Flx}M)/100
WCa+Flx:精錬剤の合計重量(kg)
S: πD2/4:水冷銅るつぼ3内の水平断面積(m2)、D:水冷銅るつぼ3の内径(m)
Kmelt(Ca+Flx) (kg/s/m2)=0.1として計算される上記時間T1の2倍の時間が、添加した精練剤が完全溶解して、溶融スラグ層7を形成するための所要時間である。この時間(T1×2)が最も精錬効果が最大となる時間であるが、実際にはばらつきも大きい。そのため、その時間の1/2の時間T1を最短の合金溶湯プール6保持時間とした。T1以上の時間、溶湯を保持する必要がある。
T2=WCa/2/S/Kev(Ca)/60
WCa=M×{Ca}M/100
WCa:添加する金属Caの重量(kg)
Kev(Ca) ) (kg/s/m2)=0.002として計算される上記時間T2が、添加した金属Caの1/2が蒸発して失われる時間であり、T2以下の時間で溶湯保持を終了させる必要がある。
以上より、ここで示した関係式(T1≦T≦T2)を用いることにより、φ200m以上の水冷銅るつぼ3内に形成させる合金溶湯プール6に対して施す金属Ca+Caハライド組成フラックスの添加による精錬操作の適正な時間範囲を設定することが可能となる。
前記したように、金属CaとCaハライド組成フラックスとの混合物を精錬剤として用いるCa還元精錬方法により、リン[P]などの不純物元素含有量が2ppm以下となる実用規模の合金鋳塊を製造することができる。
[C]+[O]→CO(g)↑
この反応を進めるには、合金溶湯プール6中に酸素[O]を供給するとともに、発生するCO(g(ガス))を除去して、CO分圧を低下させ、反応を促進させる必要がある。この具体的な手段として、合金溶湯プール6への酸素供給のために、酸素ガスを使用することも可能ではある。しかし、CO(g)の除去には、真空排気を行い、発生COガスを排出し続けることが有効となるため、ガス状での酸素供給よりは、固体状での酸素源となる酸化鉄などの所定の合金組成主要成分元素の酸化物である酸化剤を添加する方が有効である。特に、金属Caにより還元精錬された合金鋳塊中には、残留酸素[O]は多くの場合5ppm以下となっており、酸素源のない状態となっていることから、脱炭反応用の酸素源の供給が不可欠となる。酸化剤としては、Fe基合金の場合は酸化鉄(Fe3O4,Fe2O3など)、Fe−Ni基合金の場合は酸化鉄や酸化ニッケルが、Ni基合金では酸化ニッケルが、Co基合金の場合は、酸化コバルトなどが適用できる。これらの酸化剤は、固体の酸化剤であり、換言すれば酸化金属からなる酸化剤である。
[Si]+2[O]→(SiO2)
2[Al]+3[O]→(Al2O3)
[Ti]+2[O]→(TiO2)
[Zr]+2[O]→(ZrO2)
2[B]+3[O]→(B2O3)
[Ca]+[O]→(CaO)
代表的な酸素源となる酸化鉄としては、Fe2O3、またはFe3O4などを使用する。反応の結果、発生する酸化物を、溶融スラグ層7中に安定して吸収させる必要がある。そこで、酸化物吸収能の高いフラックスとして、フッ化カルシウム(CaF2)や塩化カルシウム(CaCl2)などのCaハライド系フラックスに、CaOを添加したフラックスとしている。
これらCaハライド組成フラックスの成分は、前記したCa還元精錬で用いたCaハライド組成フラックスと同じ組成としている。これは、フラックスを低融点化させて、合金溶湯プール6からの伝熱により添加フラックスが容易に溶融して、溶融スラグ層7を形成させることが、反応推進にとって有効なためである。酸化反応により生成する酸化物を吸収するためには、CaOを含有するフラックスがより有効である。発生する酸化物を安定な化合物にするために必要なCaO量を、あらかじめフラックスに含有させた成分系がより有効となる。
Caハライド組成フラックスの添加率が少なすぎると、発生酸化物の吸収効果が得られないことから、少なくとも合金溶湯プール6の重量の0.5wt%のフラックス量は必要である。一方、金属Ca還元精錬の場合と同様に{Flx}Mが5.0wt%以上になると、合金溶湯プール6からの伝熱が不足し、溶融スラグ層7が形成されにくくなるため、5.0wt%を上限とする。
0.2×MFeO≦WFexOy≦4.0×MFeO
ここで、
MFeO=M/100×([C/12.01+2×[Si]/28.09+1.5×[Al]/26.98+2×[Ti]/47.9+2×[Zr]/91.22+2×[Hf]/178.49+1.5×[B]/10.811+[Ca]/40.08−[O]/15.9994)/y×(55.85×x+16.0×y)
M:合金溶湯プール6の重量(kg)
[C]:合金溶湯プール6中のC濃度(wt%)
[Si]: 合金溶湯プール6中のSi濃度(wt%)
[Al]合金溶湯プール6中のAl濃度(wt%)
[Ti]: 合金溶湯プール6中のTi濃度(wt%)
[Zr]: 合金溶湯プール6中のZr濃度(wt%)
[Hf]: 合金溶湯プール6中のHf濃度(wt%)
[B]: 合金溶湯プール6中のB濃度(wt%)
[Ca]: 合金溶湯プール6中のCa濃度(wt%)
[O]: 合金溶湯プール6中のO濃度(wt%)
Caハライド組成フラックスと酸化鉄との混合物である精錬剤を合金溶湯プール6に添加して、溶融スラグ層7が形成されれば、例えば油回転ポンプでチャンバー内の真空排気を行う。必要に応じて、メカニカルブースターポンプ、拡散ポンプなどによる真空排気を行い、真空雰囲気下での酸化精錬を行う。
前記したCa還元精錬方法と、前記した酸化精錬方法とを適宜組み合わせて精錬処理を実施することも好ましい。所定の合金組成に成分調整した合金溶湯プール6から、不純物元素として、リン[P],硫黄[S],窒素[N],トレーストランプ元素([Sn],[Pb],[As],[Sb],[Bi],[Se]など),硼素[B]などをCa還元精錬により除去する。さらに、硼素[B],炭素[C],珪素[Si],アルミニウム[Al],チタン[Ti],Zr[Zr],カルシウム[Ca],アルカリ金属元素などを、酸化鉄添加真空酸化精錬により除去する。これらにより、リン[P],硫黄[S],錫[Sn],鉛[Pb]などの不純物元素を2ppm以下までに低減できる。また、窒素[N]を5ppm以下までに、珪素[Si],アルミニウム[Al],チタン[Ti],ジルコニウム[Zr]などを100ppm以下までに低減できる。さらに、炭素[C]を50ppm以下までに,珪素[B],カルシウム[Ca]などを1ppm以下までに低減できる。
前記した酸化精錬方法により溶製した鋳塊、または前記したCa還元精錬方法と前記した酸化精錬方法とを適宜組み合わせて溶製した鋳塊を溶解原料として、当該溶解原料に脱酸元素系の合金成分を添加して合金化することが好ましい。脱酸元素系の合金成分としては、[Si],[Al],[Ti],[Zr],[B]などがある。これにより、所定の合金組成の超高純度(極低不純物)Fe基Ni基合金鋳塊を溶製することができる。
前記したCa還元精錬方法と前記した酸化精錬方法とを適宜組み合わせて溶製した鋳塊、または当該鋳塊に脱酸元素系の合金成分を添加して合金化した鋳塊、を2次鋳塊(合金原料)として、以下に記述するコールドハース式電子ビーム溶解方法で、さらなる脱炭[C]、脱酸[O]を行うことが好ましい。
脱炭反応は、真空度が高いほど促進されやすいため、極限までの脱[C]を行わせるには、高真空雰囲気下であることが望ましい。なお、「<5×10−4mbar」としたのは、真空チャンバー4内に微量のArガスを導入する場合があるからである。真空チャンバー4内にArガスなどの不活性ガスを導入しない場合は、1×10−4mbarよりも低い気圧下で溶製を行うことが望ましい。
溶解原料12中の酸素濃度が不足する場合は、高真空条件下においても、脱[C]されることはない。そのため、[C]の酸化に必要な[O]を供給する必要がある。しかし、電子ビーム溶解法は、高真空下で実施されるため、酸素ガスを供給することは困難である。そこで、固体の酸素源として、高純度な酸化鉄などの所定の合金組成主要成分元素の酸化物である酸化剤を溶解原料とともに供給する方式が有効である。この場合、微粉状の酸化鉄は、電子ビーム溶解の最初の真空排気の段階で、ガスの流れに巻き込まれて飛散し、真空ポンプにまで達して、当該真空ポンプを傷める結果となる。よって、事前に酸化鉄の焼結処理などを行い、顆粒状にした酸化鉄を添加することが望ましい。酸化剤としては、Fe基合金の場合は酸化鉄(Fe3O4,Fe2O3など)、Fe−Ni基合金の場合は酸化鉄や酸化ニッケルが、Ni基合金では酸化ニッケルが、Co基合金の場合は、酸化コバルトなどが適用できる。これらの酸化剤は、固体の酸化剤であり、換言すれば酸化金属からなる酸化剤である。
MFeO=WM/100×([C]/12.01)/y×(55.85×x+16.0×y)
WM:溶解原料の重量(kg)、[C]:溶解原料中のC濃度(wt%)
酸化鉄の添加重量は、目的とする炭素のCOガス化に必要な計算量と同程度か、4倍ほど多い量を添加することが、試験の結果、有効と判明している。添加量が少なすぎると、脱[C]が不十分となり、多すぎると、鋳塊中の酸素[O]濃度が高くなる傾向があり、経験的には、計算量の2から3倍程度の添加量が適正な場合が多い。
精錬効果の確認に用いた試験装置の構造模式図は、図1および図8に示す通りであり、設備の概略仕様は、以下の通りである。
(1)コールドクルシ−ブル式誘導溶解(CCIM)装置1
高周波電源 最大出力:400kW,周波数:3000Hz
水冷銅るつぼ3 内径:φ220,セグメント数:24
到達真空度 10−2mbar台
真空排気装置 ロータリーポンプ、メカニカルブースターポンプ
(2)コールドハース式電子ビーム溶解(EBCHR)装置11
高圧電源 加速電圧:40kV,最大出力:300kW
電子ビーム銃14 2基
到達真空度 10−6mbar台
真空排気装置 ロータリーポンプ、メカニカルブースターポンプ、拡散ポンプ
原料供給機構 最大φ210×1000Lmm
鋳塊引抜機構 最大φ200×1000Lmm
金属CaとCaハライド組成フラックスとの混合物である精錬剤を用いてのCa還元精錬試験の効果について表2に示す。このCa還元精錬試験では、内径φ220mmの水冷銅るつぼ3を有するコールドクルーシブル式誘導溶解装置1を使用した。不純物元素含有量の多い、廉価原料であるフェロクロム材や低炭素鋼材を合金原料として用い、Fe−20Ni25Cr組成、あるいはFe−35Ni25Cr組成の合金溶湯プール6を形成させた。その合金溶湯プール6に、金属CaとCaハライド組成フラックスを添加して、Ca還元精錬試験を実施し、脱リン[P]効果についてまとめると表2に示す通りとなる。
また、Ca還元精錬を施した鋳塊(試験結果を表2に示した)について、酸化鉄とCaハライド組成フラックスとの混合物である精錬剤(第2精錬剤)を用いての酸化精錬試験の効果について表3に示す。この酸化精錬試験はCCIM装置を用いている。また、この酸化精錬試験では、フェロクロム(FeCr)、極低炭素鋼、および電解Niを溶解原料としている。
さらに、φ220mmの水冷銅るつぼ3を有するCCIM装置(コールドクルーシブル式誘導溶解装置1)で、Ca還元精錬、酸化精錬(真空酸化精錬)の順で精錬処理を施した鋳塊を溶解原料として、コールドハース式電子ビーム溶解装置11により、当該溶解原料に酸化鉄を添加して溶解を行った場合の、脱[C]効果は、表4に示す通りである。
2:原料フィーダー
3:水冷銅るつぼ
4:真空チャンバー
6:合金溶湯プール
7:溶融スラグ層
Claims (6)
- コールドクルーシブル式誘導溶解装置の水冷銅るつぼに合金原料を投入して、不活性ガス雰囲気下において、所定の合金組成に成分調整した合金溶湯プールを形成する溶湯プール形成工程と、
前記合金溶湯プールに精錬剤を添加して、少なくともリンを含む不純物元素を除去する精錬工程と、
を備え、
前記精錬剤は、金属CaとCaハライド組成フラックスとの混合物であり、
前記Caハライド組成フラックスは、フッ化カルシウムに酸化カルシウムを5〜30wt%配合したCaF2-CaO、フッ化カルシウムに塩化カルシウムを5〜30wt%配合したCaF2-CaCl2、または、フッ化カルシウムに酸化カルシウムおよび塩化カルシウムを5〜30wt%配合したCaF2-(CaO+CaCl2)であり、
前記合金溶湯プールの重量に対する前記金属Caの添加率を、0.5wt%以上とし、
前記合金溶湯プールの重量に対する前記Caハライド組成フラックスの添加率を、前記金属Caの添加率以上とすることを特徴とする、超高純度合金鋳塊の製造方法。 - 請求項1に記載の超高純度合金鋳塊の製造方法において、
前記合金溶湯プールに前記精錬剤を添加した後、添加した前記精錬剤が全て溶融するのに要する時間の1/2に当たる時間T1以上、添加した前記金属Caの1/2が蒸発により失われる時間T2以下の間、前記合金溶湯プールを保持することを特徴とする、超高純度合金鋳塊の製造方法。 - 請求項2に記載の超高純度合金鋳塊の製造方法において、
前記溶湯プール形成工程および前記精錬工程を複数回行って、少なくともリンの含有量が2ppm以下の超高純度合金鋳塊を製造することを特徴とする、超高純度合金鋳塊の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の超高純度合金鋳塊の製造方法により製造した鋳塊を1次鋳塊とし、
前記コールドクルーシブル式誘導溶解装置の水冷銅るつぼに前記1次鋳塊を投入して、合金溶湯プールを形成する第2溶湯プール形成工程と、
前記1次鋳塊の合金溶湯プールに第2精錬剤を添加した後、チャンバー内の不活性ガスを排気して排気状態を15分以上保持し、少なくとも炭素およびカルシウムを含む不純物元素を除去する第2精錬工程と、
を備え、
前記第2精錬剤は、酸化鉄などの所定の合金組成主要成分元素の酸化物である酸化剤と前記Caハライド組成フラックスとの混合物であり、
前記酸化剤の添加重量を、前記1次鋳塊の合金溶湯プール中の前記少なくとも炭素およびカルシウムを含む不純物元素を全量酸化させるために算出される算出重量の0.2倍以上、4.0倍以下とし、
前記第2精錬工程において、前記1次鋳塊の合金溶湯プールの重量に対する前記Caハライド組成フラックスの添加率を、0.5wt%以上、5.0wt%以下とすることを特徴とする、超高純度合金鋳塊の製造方法。 - 請求項4に記載の超高純度合金鋳塊の製造方法により製造した鋳塊に、脱酸元素系の合金成分を添加して、合金化することを特徴とする、超高純度合金鋳塊の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の超高純度合金鋳塊の製造方法により製造した鋳塊を2次鋳塊とし、
コールドハース式電子ビーム溶解装置の水冷銅製皿状容器に前記2次鋳塊を供給して、5×10−4mbarよりも低い気圧下において、当該水冷銅製皿状容器内と当該水冷銅製皿状容器に隣接する水冷銅鋳型内とに、合金溶湯プールを形成する第3溶湯プール形成工程と、
前記水冷銅製皿状容器内の合金溶湯プールに第3精錬剤を添加して、不純物元素である炭素を除去する第3精錬工程と、
を備え、
前記第3精錬剤は酸化鉄などの所定の合金組成主要成分元素の酸化物である酸化剤であり、
前記第3精錬剤の添加重量を、前記2次鋳塊の合金溶湯プール中の前記不純物元素である炭素を全量酸化させるために算出される算出重量の1.0倍以上、4.0倍以下とすることを特徴とする、超高純度合金鋳塊の製造方法。
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- 2009-07-15 JP JP2009166725A patent/JP5395545B2/ja active Active
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