JP2011020839A - アウトリガを備えた作業機の制御装置 - Google Patents

アウトリガを備えた作業機の制御装置 Download PDF

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明宏 遠山
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Abstract

【課題】アウトリガを備えた作業機において、アウトリガの張出幅によって作業機の定格性能が必要以上に制約されるのを回避し、該作業機の許容作業領域の拡大を図るようにした制御装置を提供する。
【解決手段】複数のアウトリガ111〜114を備えた作業機において、作業機の作業状態を検出する作業状態検出手段1と、各アウトリガ111〜114の張出幅を検出するアウトリガ張出幅検出手段2と、最小の張出幅をもつ特定のアウトリガ114を選定するアウトリガ選定手段6と、特定のアウトリガ114の接地点P4とこれに隣接する他のアウトリガ113の接地点P3を結ぶ直線Rに対する旋回中心Qからの垂直距離S1を算出する最小垂直距離出力手段7と、作業状態と最小垂直距離を受けて現在の作業状態下での定格性能を算出する定格性能算出手段5とを備える。
【選択図】図1

Description

本願発明は、アウトリガを備えた作業機において、アウトリガの張出幅に基づいて変化する作業機の定格性能を、実際の作業状態に対応させて最適に制御するようにした制御装置に関するものである。
車両上に旋回動可能に搭載した旋回台に、起伏可能に伸縮ブームを取付けて構成されるクレーン車、高所作業車等の作業機においては、車体の前後及び左右の四位置にそれぞれアウトリガを備え、作業時には、これらアウトリガをそれぞれ張出させて接地することで、その作業時の安定性を確保するようにしている。
即ち、各アウトリガの張出幅に応じて、現在の作業状態下(即ち、伸縮ブームの伸縮長さ、起伏角度)での上記伸縮ブームの全旋回範囲での定格性能を求め、この定格性能の範囲内で安全に作業を行なえるようにしている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、各アウトリガの張出幅のうち、最小張出幅のアウトリガを選定し、この最小張出幅を他の全てのアウトリガの張出幅と仮定し、この最小張出幅に基づいて得られる性能を全周の定格性能として制御を行なうようにしている。係る制御手法は、旋回位置を検出する構成の作業機においても、旋回位置を検出しない構成の作業機においても、同様である。
特許第3634010号公報
ところが、上述のような定格性能の設定手法によれば、例えば、全アウトリガのうち特定の一本のアウトリガのみが最小張出幅とされ、他のアウトリガは最大張出幅であるような場合であっても、即ち、他のアウトリガの張出幅からすれば、より大きい作業領域が確保できる状態であっても、このようなアウトリガ張出幅は考慮されず、あくまでも最小張出幅のアウトリガを基準に作業機の定格性能が設定されるため、作業機の作業性能の向上という点において、問題となる。
そこで、本願発明は、最小張出幅のアウトリガとこれに隣接するアウトリガの張出幅の双方を考慮して作業機の定格性能を設定することで、定格性能が必要以上に制限されるのを回避し、これによって作業機の許容作業領域の拡大を図ることを目的としてなされたものである。
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
本願の第1の発明では、車体を浮上支持する複数のアウトリガを備えるとともに、ブームを起伏動自在に取付けた旋回台を上記車体上に旋回自在に搭載してなるアウトリガを備えた作業機において、上記作業機の定格性能の算出に係る作業状態を検出してこれを出力する作業状態検出手段と、上記複数のアウトリガの張出幅をそれぞれ検出してこれを出力する複数のアウトリガ張出幅検出手段と、上記複数のアウトリガ張出幅検出手段からの各張出幅を受けて最小の張出幅をもつ特定のアウトリガを選定するアウトリガ選定手段と、上記特定のアウトリガの接地点と上記特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離を算出してこれを出力する最小垂直距離出力手段と、上記作業状態検出手段からの作業状態と上記最小垂直距離出力手段からの最小垂直距離を受けて現在の作業状態下での定格性能を算出する定格性能算出手段とを備えたことを特徴としている。
本願の第2の発明では、車体を浮上支持する複数のアウトリガを備えるとともに、ブームを起伏動自在に取付けた旋回台を上記車体上に旋回自在に搭載してなるアウトリガを備えた作業機において、上記旋回台の旋回位置を検出してこれを出力する旋回位置検出手段と、該旋回位置検出手段以外の検出手段であって上記作業機の定格性能の算出に係る旋回位置以外の作業状態を検出してこれを出力する作業状態検出手段と、上記複数のアウトリガの張出幅をそれぞれ検出してこれを出力する複数のアウトリガ張出幅検出手段と、上記複数のアウトリガ張出幅検出手段からの各張出幅を受けて最小の張出幅をもつ特定のアウトリガを選定するアウトリガ選定手段と、上記特定のアウトリガの接地点と上記特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接して車体前方側又は車体後方側に位置する他のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離を算出してこれを出力する最小垂直距離出力手段と、上記旋回位置検出手段からの旋回位置を受けてその旋回位置検出値が異常であるかどうかを判定し異常である場合に異常信号を出力する旋回位置検出値異常判定手段と、上記旋回位置検出値異常判定手段からの異常信号が入力された場合には上記最小垂直距離出力手段からの最小垂直距離を上記複数のアウトリガのそれぞれの張出幅として該最小垂直距離に基づいて定格性能を算出する定格性能算出手段とを備えたことを特徴としている。
本願の第3の発明では、上記第2の発明に係るアウトリガを備えた作業機の制御装置において、上記アウトリガ選定手段は、上記複数のアウトリガ張出幅検出手段からの各張出幅を受けて、該複数のアウトリガのうち上記車体の一方の側部に配置された複数のアウトリガのうち最小の張出幅をもつ一方側の特定のアウトリガと、上記車体の他方の側部に配置された複数のアウトリガのうち最小の張出幅をもつ他方側の特定のアウトリガをそれぞれ選定する構成であり、上記最小垂直距離出力手段は、上記一方側の特定のアウトリガの接地点と該一方側の特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接して車体前方側又は車体後方側に位置する他のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離を一方側の垂直距離として、上記他方側の特定のアウトリガの接地点と該他方側の特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接して車体前方側又は車体後方側に位置する他のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離を他方側の垂直距離として、それぞれ算出するとともに、これら一方側の垂直距離と他方側の垂直距離のうち小さい方を選択してこれを最小垂直距離として出力する構成であることを特徴としている。
本願の第4の発明では、上記第2又は第3の発明に係るアウトリガを備えた作業機の制御装置において、上記最小垂直距離出力手段が、上記複数のアウトリガ張出幅検出手段からの各張出幅を受けて、上記複数のアウトリガのうち上記車体の一方の側部と他方の側部においてそれぞれ車体前後方向に位置する各一対のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離をそれぞれ算出するのに加えて、上記車体の前部側に位置する左右一対のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離と、上記車体の後部側に位置する左右一対のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離をそれぞれ算出し、これら各垂直距離のうちから最小垂直距離を選択してこれを最小垂直距離として出力するように構成されたことを特徴としている。
本願発明では次のような効果が得られる。
(a)本願の第1の発明に係るアウトリガを備えた作業機の制御装置によれば、アウトリガ選定手段により選定された最小の張出幅をもつ特定のアウトリガの接地点と上記特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離を上記最小垂直距離出力手段において算出し、上記定格性能算出手段では上記作業状態検出手段からの作業状態と上記最小垂直距離出力手段からの最小垂直距離を受けて現在の作業状態下での定格性能を算出し、この算出された定格性能に基づいて作業機の作動が制御されることから、例えば、従来のように、全アウトリガのうち最小張出幅をもつアウトリガの張出幅を、他の全てのアウトリガの張出幅と仮定して該最小張出幅を基準として作業機の定格性能を設定する場合に比して、上記特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガの張出幅が考慮された分だけ、上記作業機の定格性能が高性能側に設定され、その許容作業領域の拡大によって作業性能が向上することになる。
(b) 本願の第2の発明に係るアウトリガを備えた作業機の制御装置によれば、アウトリガ選定手段により選定された最小の張出幅をもつ特定のアウトリガの接地点と上記特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離を上記最小垂直距離出力手段において算出するとともに、旋回位置検出値異常判定手段においては上記旋回位置検出手段からの旋回位置を受けてその旋回位置検出値が異常であるかどうかが判定され、上記定格性能算出手段では、上記旋回位置検出値異常判定手段から異常信号が入力された場合には上記定格性能算出手段において、上記最小垂直距離出力手段からの最小垂直距離を上記複数のアウトリガのそれぞれの張出幅とし、該最小垂直距離に基づいて定格性能を算出することから、上記旋回位置検出手段の故障等によって旋回位置検出値が異常である場合、例えば、従来のように、全アウトリガのうち最小張出幅をもつアウトリガの張出幅を、他の全てのアウトリガの張出幅と仮定して該最小張出幅を基準として作業機の定格性能を設定する場合に比して、上記特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガの張出幅が考慮された分だけ、旋回位置検出値の異常時における上記作業機の定格性能が高性能側に設定され、その許容作業領域の拡大によって作業性能が向上することになる。
(c) 本願の第3の発明に係るアウトリガを備えた作業機の制御装置によれば、上記(b)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記車体の一方の側部に配置された複数のアウトリガのうち最小の張出幅をもつ上記一方側の特定のアウトリガの接地点と該一方側の特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接して車体前方側又は車体後方側に位置する他のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離を、そのまま上記作業機における最小垂直距離として出力するのではなく、上記一方側の垂直距離の他に、上記車体の他方の側部に配置された特定のアウトリガの接地点と該他方側の特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接して車体前方側又は車体後方側に位置する他のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離を他方側の垂直距離として算出し、これら一方側の垂直距離と他方側の垂直距離のうち小さい方を選択してこれを上記作業機における最小垂直距離として出力する構成であることから、旋回位置検出値の異常時における定格性能を、作業機の作業状況に応じてより精度良く設定することができ、旋回位置検出値の異常時における上記作業機の作業性能のみならず、作業上の信頼性も向上することになる。
(d) 本願の第4の発明に係るアウトリガを備えた作業機の制御装置によれば、上記(b)又は(c)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記第2又は第3の発明に係るアウトリガを備えた作業機の制御装置において、上記複数のアウトリガ張出幅検出手段からの各張出幅を受けて、上記複数のアウトリガのうち上記車体の一方の側部と他方の側部においてそれぞれ車体前後方向に位置する各一対のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離をそれぞれ算出するのに加えて、上記車体の前部側に位置する左右一対のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離と、上記車体の後部側に位置する左右一対のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離をそれぞれ算出し、これら四つの垂直距離のうちから最小垂直距離を選択してこれを最小垂直距離として出力するように構成しているので、車体前部側における垂直距離と車体後部側における垂直距離をも考慮する分だけ、旋回位置検出値の異常時における定格性能を、作業機の作業状況に応じてより一層精度良く設定することができ、旋回位置検出値の異常時における上記作業機の作業性能及び作業上の信頼性がさらに向上することになる。
本願発明の第1の実施の形態に係る作業機の制御装置の機能ブロック図である。 図1に示した作業機の制御装置における定格性能説明図である。 図1に示した作業機の制御装置における制御フローチャートである。 本願発明の第2の実施の形態に係る作業機の制御装置の機能ブロック図である。 図4に示した作業機の制御装置における定格性能説明図である。 図4に示した作業機の制御装置における制御フローチャートである。 本願発明の第3の実施の形態に係る作業機の制御装置の機能ブロック図である。 図7に示した作業機の制御装置における定格性能説明図である。 図7に示した作業機の制御装置における制御フローチャートである。 本願発明の第4の実施の形態に係る作業機の制御装置の機能ブロック図である。 図10に示した作業機の制御装置における定格性能説明図である。 図10に示した作業機の制御装置における制御フローチャートである。
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
A:第1の実施形態
図2には、本願発明の第1の実施形態に係る制御装置が適用される作業機としてのクレーン車101、及び該クレーン車101の定格性能線Lを示している。
上記クレーン車101は、車体102上に旋回可能に搭載された旋回台103に、伸縮ブーム104を伸縮動及び起伏動可能に取り付けるとともに、上記車体102の前後左右の四ヶ所にはそれぞれアウトリガ111〜114を備えて構成され、クレーン作業に際しては、上記各アウトリガ111〜114をそれぞれ適宜の張出幅に張出させ、該各アウトリガ111〜114によって上記車体102を浮上支持した状態で作業を行なうようになっている。
このクレーン車101の制御のために、上記伸縮ブーム104にはブーム長さ検出器11が、上記旋回台103にはブーム起伏角度検出器12が、さらに上記各アウトリガ111〜114にはそれぞれアウトリガ張出幅検出器21〜24が配置されている。
図1には、上記クレーン車101の制御装置をブロック図として示している。この制御装置は、作業状態検出手段1とアウトリガ張出幅検出手段2及びコントロールユニット4を備えて構成される。
上記作業状態検出手段1は、上記クレーン車101の作業状態に関する情報を取得してこれを出力するものであって、上記伸縮ブーム104のブーム長さを検出するブーム長さ検出器11と、上記伸縮ブーム104の起伏角度を検出するブーム起伏角度検出器12を備えて構成され、これら各検出器11、12で検出されたブーム長さ及びブーム起伏角度はそれぞれ次述のコントロールユニット4の定格性能算出手段5に制御情報として入力される。
上記アウトリガ張出幅検出手段2は、上記クレーン車101に備えられた四つのアウトリガ111〜114の張出幅を検出するものであって、上記右前アウトリガ111に備えられた右前アウトリガ張出幅検出器21と、上記右後アウトリガ112に備えられた右後アウトリガ張出幅検出器22と、上記左前アウトリガ113に備えられた左前アウトリガ張出幅検出器23及び上記左後アウトリガ114に備えられた左後アウトリガ張出幅検出器24で構成されており、これら各アウトリガ張出幅検出器21〜24において検出された上記各アウトリガ111〜114の張出幅はそれぞれ次述のコントロールユニット4のアウトリガ選定手段6に制御情報として入力される。
上記コントロールユニット4は、次述の定格性能算出手段5とアウトリガ選定手段6及び最小垂直距離出力手段7を備えて構成される。
上記アウトリガ選定手段6は、上記各アウトリガ張出幅検出器21〜24において検出された上記各アウトリガ111〜114の張出幅を受けて該各張出幅を比較し、これら各アウトリガ111〜114のうち、張出幅が最小のアウトリガを選定してこれを特定アウトリガとするとともに、該特定アウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガを選定し、これら両アウトリガの張出幅に関する情報を次述の最小垂直距離出力手段7に出力する。尚、この実施形態では、図2に示すように、最も張出幅が小さい上記左後アウトリガ114が上記「特定アウトリガ」となり、上記左前アウトリガ113が上記「他のアウトリガ」となる。
上記最小垂直距離出力手段7は、上記アウトリガ選定手段6からの上記左後アウトリガ114の張出幅に関する情報と上記左前アウトリガ113の張出幅に関する情報を受けて、
上記左後アウトリガ114の接地点P4と上記左前アウトリガ113の接地点P3を結ぶ直線Rに対する旋回中心Qからの垂直距離S1を算出し、これを最小垂直距離として次述の定格性能算出手段5に出力する。
上記定格性能算出手段5は、上記ブーム長さ検出器11からのブーム長さに関する情報と上記ブーム起伏角度検出器12からのブーム起伏角度に関する情報を受けるとともに、上記最小垂直距離出力手段7からの最小垂直距離に関する情報を受けて、現在の作業状態下での定格性能を算出する。具体的には、図2に実線図示する定格性能線Lを算出する。
ここで、上記最小垂直距離出力手段7において算出された定格性能線Lは、従来手法によって算出された定格性能線L0より大きい作業半径に設定され、この定格性能線Lと定格性能線L0の差分だけ、安全に作業を行なうことができる作業領域が拡大され、それだけクレーン車101の作業性能が向上することになる。
尚、従来手法により求められる上記定格性能線L0は、図2に示すように、最小の張出幅をもつ左後アウトリガ114の張出幅を他の全てのアウトリガ111,112,113の張出幅と仮定し、上記左後アウトリガ114の接地点P4と上記左前アウトリガ113´の接地点P3´を結ぶ直線R0に対する旋回中心Qからの垂直距離S0に基づいて算出されるものであり、この垂直距離S0と本実施形態における上記垂直距離S1との差分に起因して上述のように定格性能に差が生じたものである。
ここで、図3を参照して、実際の制御フローを説明する。制御開始後、先ず、ステップS1において、ブーム長さ、ブーム起伏角度、及び各アウトリガ111〜114の張出幅を読み込む。
次に、ステップS2において、上記各アウトリガ111〜114の張出幅に基づいて、最小張出幅のアウトリガを選定するとともに、この最小張出幅のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガを選定する。
そして、ステップS3においては、ステップS2で選定された二つのアウトリガの張出幅に基づいて、最小垂直距離を算出する。さらに、ステップS4において、上記最小垂直距離に基づいて、定格性能を算出して出力するものである。
B:第2の実施形態
図5には、本願発明の第2の実施形態に係る制御装置が適用される作業機としてのクレーン車101、及び該クレーン車101の定格性能線Lを示している。上記クレーン車101の構成は上記第1の実施形態の場合と同じであるので、ここでの説明を省略する。これに対して、上記定格性能線Lは上記第1の実施形態における定格性能線Lとは異なったものとなっている。この定格性能線Lの相違は、次述するように、制御の基本思想の相違に基づくものである。以下、この実施形態における制御を具体的に説明する。
図4には、上記クレーン車101の制御装置をブロック図として示している。この制御装置は、作業状態検出手段1とアウトリガ張出幅検出手段2と旋回位置検出手段3、及びコントロールユニット4を備えて構成される。
上記作業状態検出手段1は、上記クレーン車101の作業状態に関する情報を取得してこれを出力するものであって、上記伸縮ブーム104のブーム長さを検出するブーム長さ検出器11と、上記伸縮ブーム104の起伏角度を検出するブーム起伏角度検出器12を備えて構成され、これら各検出器11、12で検出されたブーム長さ及びブーム起伏角度はそれぞれ次述のコントロールユニット4の定格性能算出手段5に制御情報として入力される。
上記アウトリガ張出幅検出手段2は、上記クレーン車101に備えられた四つのアウトリガ111〜114の張出幅をそれぞれ検出するものであって、上記右前アウトリガ111に備えられた右前アウトリガ張出幅検出器21と、上記右後アウトリガ112に備えられた右後アウトリガ張出幅検出器22と、上記左前アウトリガ113に備えられた左前アウトリガ張出幅検出器23及び上記左後アウトリガ114に備えられた左後アウトリガ張出幅検出器24で構成されており、これら各アウトリガ張出幅検出器21〜24において検出された上記各アウトリガ111〜114の張出幅はそれぞれ次述のコントロールユニット4のアウトリガ選定手段6に制御情報として入力される。
上記旋回位置検出手段3は、上記旋回台103の旋回位置、即ち、上記伸縮ブーム104の旋回位置を検出し、この旋回位置に関する情報を次述のコントロールユニット4の旋回位置検出値異常判定手段8に制御情報として出力する。
上記コントロールユニット4は、次述の定格性能算出手段5とアウトリガ選定手段6と最小垂直距離出力手段7、及び旋回位置検出値異常判定手段8を備えて構成される。
上記アウトリガ選定手段6は、上記各アウトリガ張出幅検出器21〜24において検出された上記各アウトリガ111〜114の張出幅を受けて該各張出幅を比較し、これら各アウトリガ111〜114のうち、張出幅が最小のアウトリガを選定してこれを特定アウトリガとするとともに、該特定アウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガを選定し、これら両アウトリガの張出幅に関する情報を次述の最小垂直距離出力手段7に出力する。尚、この実施形態では、図5に示すように、最も張出幅が小さい上記左後アウトリガ114が上記「特定アウトリガ」となり、上記左前アウトリガ113が上記「他のアウトリガ」となる。
上記最小垂直距離出力手段7は、上記アウトリガ選定手段6からの上記左後アウトリガ114の張出幅に関する情報と上記左前アウトリガ113の張出幅に関する情報を受けて、
上記左後アウトリガ114の接地点P4と上記左前アウトリガ113の接地点P3を結ぶ直線Rに対する旋回中心Qからの垂直距離S1を算出し、これを最小垂直距離として次述の定格性能算出手段5に出力する。
上記旋回位置検出値異常判定手段8は、上記旋回位置検出手段からの旋回位置を受けてその旋回位置検出値が異常であるかどうかを判定し異常である場合に異常信号を出力するものであり、この異常信号は次述の定格性能算出手段5に入力される。
上記定格性能算出手段5は、上記ブーム長さ検出器11からのブーム長さに関する情報と上記ブーム起伏角度検出器12からのブーム起伏角度に関する情報を受けるとともに、上記最小垂直距離出力手段7からの最小垂直距離に関する情報と、上記旋回位置検出値異常判定手段8からの旋回位置検出値の異常に関する情報を受けて、現在の作業状態下での定格性能を算出する。具体的には、図5に実線図示する第1性能線L1と第2性能線L2からなる定格性能線L、及び破線図示する第3性能線L3を算出する。
ここで、上記第1性能線L1と第2性能線L2で構成される定格性能線Lは、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されていない場合の定格性能線であって、上記第1性能線L1は、安定性が最も低い旋回領域、即ち、上記旋回中心Qと上記左後アウトリガ114の接地点P4を結ぶ直線と、該直線から時計回り方向において上記旋回中心Qと上記左前アウトリガ113の接地点P3を結ぶ直線で囲まれた領域(反時計回り方向における点a〜点bの範囲)に対応するものであって、それ以外の安定性の高い領域に対応する第2性能線L2よりも小作業半径側に設定されている。
これに対して、上記第3性能線L3は、上記第2性能線L2に対応する領域において、上記第1性能線L1の延長上に設定されており(時計回り方向に点a〜bの領域)、上記第2性能線L2よりも小作業半径に設定されている。
従って、上記クレーン車101は、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されていない場合、即ち、上記ブーム起伏角度検出器12が正常に作動しておりその検出値の信頼性が担保されている場合には、第1性能線L1と第2性能線L2で構成される定格性能線Lによってその作業領域が制限される。これに対して、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されている場合、即ち、上記旋回位置検出手段3が正常に作動しておらずその検出値の信頼性が担保されていない場合には、実線図示する上記第1性能線L1と破線図示する上記第3性能線L3によってその作業領域が制限され、作業を安全に行なうことができる。
なお、図5に破線図示した定格性能線L0は、従来手法により求められる定格性能線であって、最小の張出幅をもつ左後アウトリガ114の張出幅を他の全てのアウトリガ111,112,113の張出幅と仮定し、上記左後アウトリガ114の接地点P4と上記左前アウトリガ113´の接地点P3´を結ぶ直線R0に対する旋回中心Qからの垂直距離S0に基づいて算出されるものであり、この垂直距離S0と本実施形態における上記垂直距離S1との差分に起因して定格性能に差が生じるものである。
因みに、従来手法の制御によれば、上記クレーン車101は、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されていない場合には、第3性能線L3の反時計回り方向に点c〜dの範囲と、第2性能線L2によってその作業領域が制限される。これに対して、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されている場合には、全旋回範囲にわたって第1性能線L1及び第3性能線L3によってその作業領域が制限される。
ここで、図6を参照して、実際の制御フローを説明する。制御開始後、先ず、ステップS1において、ブーム長さ、ブーム起伏角度、ブーム旋回位置及び各アウトリガ111〜114の張出幅を読み込む。
次に、ステップS2において、上記旋回位置検出手段3によって検出された旋回位置検出値が正常であるか、異常であるか、が判断される。そして、正常であると判断された場合には、ステップS3において、旋回位置に応じた全周の定格性能(即ち、上記第1性能線L1と第2性能線L2)を算出してこれを出力する。
これに対して、ステップS2において旋回位置検出値が異常であると判断された場合には、先ずステップS4において、最小張出幅のアウトリガを選定するとともに、この最小張出幅のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガを選定する。
次に、ステップS5においては、ステップS4で選定された二つのアウトリガの張出幅に基づいて、最小垂直距離を算出する。さらに、ステップS6において、上記最小垂直距離に基づいて、旋回位置検出値が異常である場合における定格性能(即ち、第1性能線L1と第3性能線L3)を算出して出力するものである。
尚、クレーン作業の途中で、旋回位置検出値の異常が発生した場合の対処法は、以下の通りである。
(a)旋回位置検出値の異常の発生時点において、上記伸縮ブーム104の旋回位置が第1性能線L1に対応する領域にある場合は、元々この第1性能線L1によって作業性能が制限されているため、何等特別な対処法を講じることなく、そのまま第1性能線L1による制限の下で作業を継続すれば良い。
(b)旋回位置検出値の異常の発生時点において、上記伸縮ブーム104の旋回位置が第2性能線L2に対応する領域にある場合は、異常の発生に伴って定格性能線が第2性能線L2から第3性能線L3に変更される。このため、例えば、異常の発生時点において作業性能が上記第3性能線L3と第2性能線L2の間にあった場合は、転倒モーメントが増加する方向の動作、即ち、伸縮ブーム104の伸長動及び倒伏動、及び伸縮ブーム104の旋回動がそれぞれ規制され、上記伸縮ブーム104は転倒モーメントが減少する方向の動作、即ち、縮小動と起仰動のみが許容される。従って、直ちに、上記伸縮ブーム104を縮小又は起仰させて作業性能を第3性能線L3の範囲内へ移行させることが必要となる。
(c)旋回位置検出値の異常の発生時点において作業性能が上記第3性能線L3の内側にあった場合は、異常の発生とともに定格性能が第2性能線L2から第3性能線L3側へ切り替わり、自動的に上記第3性能線L3によって作業性能が制限されるため、何等特別な対処法を講じることなく、そのまま第3性能線L3による制限の下で作業を継続すれば良い。
C:第3の実施形態
図8には、本願発明の第3の実施形態に係る制御装置が適用される作業機としてのクレーン車101、及び該クレーン車101の定格性能線Lを示している。上記クレーン車101の構成は上記第1の実施形態の場合と同じであるので、ここでの説明を省略する。
一方、この第3の実施形態に係る制御装置は、上記第2の実施形態に係る制御装置の展開例として位置づけられるものであるが、上記第2の実施形態では、全アウトリガのうち、最小張出幅のアウトリガを選定して、これに基づいて最小垂直距離を算出していたのに対して、この第3の実施形態の制御装置では、上記最小垂直距離の算出に、車体102の一方側に配置された前後一対のアウトリガと、他方側に配置された前後一対のアウトリガの双方を考慮するものであって、その具体的な内容は以下の通りである。
図7には、上記クレーン車101の制御装置をブロック図として示している。この制御装置は、作業状態検出手段1とアウトリガ張出幅検出手段2と旋回位置検出手段3、及びコントロールユニット4を備えて構成される。
上記作業状態検出手段1は、上記クレーン車101の作業状態に関する情報を取得してこれを出力するものであって、上記伸縮ブーム104のブーム長さを検出するブーム長さ検出器11と、上記伸縮ブーム104の起伏角度を検出するブーム起伏角度検出器12を備えて構成され、これら各検出器11、12で検出されたブーム長さ及びブーム起伏角度はそれぞれ次述のコントロールユニット4の定格性能算出手段5に制御情報として入力される。
上記アウトリガ張出幅検出手段2は、上記クレーン車101に備えられた四つのアウトリガ111〜114の張出幅を検出するものであって、上記右前アウトリガ111に備えられた右前アウトリガ張出幅検出器21と、上記右後アウトリガ112に備えられた右後アウトリガ張出幅検出器22と、上記左前アウトリガ113に備えられた左前アウトリガ張出幅検出器23及び上記左後アウトリガ114に備えられた左後アウトリガ張出幅検出器24で構成されており、これら各アウトリガ張出幅検出器21〜24において検出された上記各アウトリガ111〜114の張出幅はそれぞれ次述のコントロールユニット4のアウトリガ選定手段6に制御情報として入力される。
上記旋回位置検出手段3は、上記旋回台103の旋回位置、即ち、上記伸縮ブーム104の旋回位置を検出し、この旋回位置に関する情報を次述のコントロールユニット4の旋回位置検出値異常判定手段8に制御情報として出力する。
上記コントロールユニット4は、次述の定格性能算出手段5とアウトリガ選定手段6と最小垂直距離出力手段7、及び旋回位置検出値異常判定手段8を備えて構成される。
上記アウトリガ選定手段6は、上記各アウトリガ張出幅検出器21〜24において検出された上記各アウトリガ111〜114の張出幅を受けて、車体102の右側の前後二位置に配置された一対のアウトリガ111,112のうち、最小張出幅のアウトリガを選定してこれを特定のアウトリガとし、この特定のアウトリガの張出幅と選定されなかった他のアウトリガの張出幅に関する情報を次述の最小垂直距離出力手段7に出力する。また、車体102の左側の前後二位置に配置された一対のアウトリガ113,114のうち、最小張出幅のアウトリガを選定してこれを特定のアウトリガとし、この特定のアウトリガの張出幅と選定されなかった他のアウトリガの張出幅に関する情報を次述の最小垂直距離出力手段7に出力する。
尚、この実施形態では、図8に示すように、車体102の右側においては、右後アウトリガ112が上記「特定アウトリガ」となり、右前アウトリガ111が「他のアウトリガ」となる。また、車体102の左側においては、左後アウトリガ114が上記「特定アウトリガ」となり、左前アウトリガ113が「他のアウトリガ」となる。
上記最小垂直距離出力手段7は、右側最小垂直距離算出手段71と左側最小垂直距離算出手段72と比較手段75を備えて構成される。
上記右側最小垂直距離算出手段71では、上記アウトリガ選定手段6からの右前アウトリガ111と右後アウトリガ112の張出幅に関する情報を受けて、上記右前アウトリガ111の接地点P1と上記右後アウトリガ112の接地点P2を結ぶ直線R2に対する旋回中心Qからの垂直距離S2を算出し、これを最小垂直距離として次述の比較手段75に出力する。
上記左側最小垂直距離算出手段72では、上記アウトリガ選定手段6からの左前アウトリガ113と左後アウトリガ114の張出幅に関する情報を受けて、上記左前アウトリガ113の接地点P3と上記左後アウトリガ114の接地点P4を結ぶ直線R1に対する旋回中心Qからの垂直距離S1を算出し、これを最小垂直距離として次述の比較手段75に出力する。
上記比較手段75では、上記右側最小垂直距離算出手段71と上記左側最小垂直距離算出手段72からの情報を受けて、車体102の右側における最小垂直距離S2と車体102の左側における最小垂直距離S1とを比較し、これらのうち、距離が短い方の最小垂直距離をクレーン車101の「最小垂直距離」として選択し(この実施形態では、左側の垂直距離S1が最小垂直距離として選択される)、これを次述の定格性能算出手段5に出力する。
上記旋回位置検出値異常判定手段8は、上記旋回位置検出手段からの旋回位置を受けてその旋回位置検出値が異常であるかどうかを判定し異常である場合に異常信号を出力するものであり、この異常信号は次述の定格性能算出手段5に入力される。
上記定格性能算出手段5は、上記ブーム長さ検出器11からのブーム長さに関する情報と上記ブーム起伏角度検出器12からのブーム起伏角度に関する情報を受けるとともに、上記最小垂直距離出力手段7からの最小垂直距離に関する情報と、上記旋回位置検出値異常判定手段8からの旋回位置検出値の異常に関する情報を受けて、現在の作業状態下での定格性能を算出する。具体的には、図8に実線図示する第1性能線L1と第2性能線L2からなる定格性能線L、及び破線図示する第3性能線L3を算出する。
ここで、上記第1性能線L1と第2性能線L2で構成される定格性能線Lは、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されていない場合の定格性能線であって、上記第1性能線L1は、安定性が最も低い旋回領域、即ち、上記旋回中心Qと上記左後アウトリガ114の接地点P4を結ぶ直線と、該直線から時計回り方向において上記旋回中心Qと上記左前アウトリガ113の接地点P3を結ぶ直線で囲まれた領域(反時計回り方向における点a〜点bの範囲)に対応するものであって、それ以外の安定性の高い領域に対応する第2性能線L2よりも小作業半径側に設定されている。
これに対して、上記第3性能線L3は、上記第2性能線L2に対応する領域において、上記第1性能線L1の延長上に設定されており(時計回り方向に点a〜bの領域)、上記第2性能線L2よりも小作業半径に設定されている。
従って、上記クレーン車101は、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されていない場合、即ち、上記ブーム起伏角度検出器12が正常に作動しておりその検出値の信頼性が担保されている場合には、第1性能線L1と第2性能線L2で構成される定格性能線Lによってその作業領域が制限される。これに対して、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されている場合、即ち、上記ブーム起伏角度検出器12が正常に作動しておらずその検出値の信頼性が担保されていない場合には、実線図示する上記第1性能線L1と破線図示する上記第3性能線L3によってその作業領域が制限され、作業を安全に行なうことができる。
なお、図8に破線図示した定格性能線L0は、従来手法により求められる定格性能線であって、最小の張出幅をもつ左後アウトリガ114の張出幅を他の全てのアウトリガ111,112,113の張出幅と仮定し、上記左後アウトリガ114の接地点P4と上記左前アウトリガ113´の接地点P3´を結ぶ直線R0に対する旋回中心Qからの垂直距離S0に基づいて算出されるものであり、この垂直距離S0と本実施形態における上記垂直距離S1との差分に起因して定格性能に差が生じるものである。
因みに、従来手法の制御によれば、上記クレーン車101は、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されていない場合には、第3性能線L3の反時計回り方向に点c〜dの範囲と、第2性能線L2によってその作業領域が制限される。これに対して、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されている場合には、全旋回範囲にわたって第3性能線L3によってその作業領域が制限される。
ここで、図9を参照して、実際の制御フローを説明する。制御開始後、先ず、ステップS1において、ブーム長さ、ブーム起伏角度、ブーム旋回位置及び各アウトリガ111〜114の張出幅を読み込む。
次に、ステップS2において、上記旋回位置検出手段3によって検出された旋回位置検出値が正常であるか、異常であるか、が判断される。そして、正常であると判断された場合には、ステップS3において、旋回位置に応じた全周の定格性能(即ち、上記第1性能線L1と第2性能線L2)を算出してこれを出力する。
これに対して、ステップS2において旋回位置検出値が異常であると判断された場合には、先ずステップS4において、車体102の左側において最小張出幅のアウトリガを選定するとともに、この最小張出幅のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガを選定する。そして、ステップS5においては、ステップS4で選定された二つのアウトリガの張出幅に基づいて、最小垂直距離を算出する。
さらに、ステップS6において、車体102の右側において最小張出幅のアウトリガを選定するとともに、この最小張出幅のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガを選定する。そして、ステップS7においては、ステップS6で選定された二つのアウトリガの張出幅に基づいて、最小垂直距離を算出する。
そして、ステップS8では、車体102の右側における最小垂直距離S2と車体102の左側における最小垂直距離S1とを比較し、距離が短い方の最小垂直距離を最終的な最小垂直距離とし、これに基づいて、旋回位置検出値が異常である場合における定格性能(即ち、第1性能線L1と第3性能線L3)を算出して出力するものである。
尚、クレーン作業の途中で、旋回位置検出値の異常が発生した場合の対処法は、上記第2の実施形態の場合と同様である。
D:第4の実施形態
図11には、本願発明の第4の実施形態に係る制御装置が適用される作業機としてのクレーン車101、及び該クレーン車101の定格性能線Lを示している。上記クレーン車101の構成は上記第1の実施形態の場合と同じであるので、ここでの説明を省略する。
一方、この第4の実施形態に係る制御装置は、上記第3の実施形態に係る制御装置の展開例として位置づけられるものであるが、上記第3の実施形態では、最小垂直距離の算出に、車体102の一方側に配置された前後一対のアウトリガと、他方側に配置された前後一対のアウトリガの双方を考慮するものであるのに対して、この第4の実施形態の制御装置では、最小垂直距離の算出に、車体102の一方側に配置された前後一対のアウトリガと、他方側に配置された前後一対のアウトリガの双方を考慮するのに加えて、さらに車体102の前部側の左右両側に位置する一対のアウトリガと、車体102の後部側の左右両側に位置する一対のアウトリガをも考慮するようにしたものであって、その具体的な内容は以下の通りである。
図10には、上記クレーン車101の制御装置をブロック図として示している。この制御装置は、作業状態検出手段1とアウトリガ張出幅検出手段2と旋回位置検出手段3、及びコントロールユニット4を備えて構成される。
上記作業状態検出手段1は、上記クレーン車101の作業状態に関する情報を取得してこれを出力するものであって、上記伸縮ブーム104のブーム長さを検出するブーム長さ検出器11と、上記伸縮ブーム104の起伏角度を検出するブーム起伏角度検出器12を備えて構成され、これら各検出器11、12で検出されたブーム長さ及びブーム起伏角度はそれぞれ次述のコントロールユニット4の定格性能算出手段5に制御情報として入力される。
上記アウトリガ張出幅検出手段2は、上記クレーン車101に備えられた四つのアウトリガ111〜114の張出幅を検出するものであって、上記右前アウトリガ111に備えられた右前アウトリガ張出幅検出器21と、上記右後アウトリガ112に備えられた右後アウトリガ張出幅検出器22と、上記左前アウトリガ113に備えられた左前アウトリガ張出幅検出器23及び上記左後アウトリガ114に備えられた左後アウトリガ張出幅検出器24で構成されており、これら各アウトリガ張出幅検出器21〜24において検出された上記各アウトリガ111〜114の張出幅はそれぞれ次述のコントロールユニット4のアウトリガ選定手段6に制御情報として入力される。
上記旋回位置検出手段3は、上記旋回台103の旋回位置、即ち、上記伸縮ブーム104の旋回位置を検出し、この旋回位置に関する情報を次述のコントロールユニット4の旋回位置検出値異常判定手段8に制御情報として出力する。
上記コントロールユニット4は、次述の定格性能算出手段5とアウトリガ選定手段6と最小垂直距離出力手段7、及び旋回位置検出値異常判定手段8を備えて構成される。
上記アウトリガ選定手段6は、上記各アウトリガ張出幅検出器21〜24において検出された上記各アウトリガ111〜114の張出幅を受けて、車体102の右側の前後二位置に配置された一対のアウトリガ111,112のうち、最小張出幅のアウトリガを選定してこれを特定のアウトリガとし、この特定のアウトリガの張出幅と選定されなかった他のアウトリガの張出幅に関する情報を次述の最小垂直距離出力手段7に出力する。また、車体102の左側の前後二位置に配置された一対のアウトリガ113,114のうち、最小張出幅のアウトリガを選定してこれを特定のアウトリガとし、この特定のアウトリガの張出幅と選定されなかった他のアウトリガの張出幅に関する情報を次述の最小垂直距離出力手段7に出力する。
尚、この実施形態では、図8に示すように、車体102の右側においては、右後アウトリガ112が上記「特定アウトリガ」となり、右前アウトリガ111が「他のアウトリガ」となる。また、車体102の左側においては、左後アウトリガ114が上記「特定アウトリガ」となり、左前アウトリガ113が「他のアウトリガ」となる。
上記最小垂直距離出力手段7は、右側最小垂直距離算出手段71と左側最小垂直距離算出手段72と前側最小垂直距離算出手段73と後側最小垂直距離算出手段74及び比較手段75を備えて構成される。
上記右側最小垂直距離算出手段71では、上記アウトリガ選定手段6からの右前アウトリガ111と右後アウトリガ112の張出幅に関する情報を受けて、上記右前アウトリガ111の接地点P1と上記右後アウトリガ112の接地点P2を結ぶ直線R2に対する旋回中心Qからの垂直距離S2を算出し、これを最小垂直距離として次述の比較手段75に出力する。
上記左側最小垂直距離算出手段72では、上記アウトリガ選定手段6からの左前アウトリガ113と左後アウトリガ114の張出幅に関する情報を受けて、上記左前アウトリガ113の接地点P3と上記左後アウトリガ114の接地点P4を結ぶ直線R1に対する旋回中心Qからの垂直距離S1を算出し、これを最小垂直距離として次述の比較手段75に出力する。
上記前側最小垂直距離算出手段73では、図11に示すように、右前アウトリガ111の接地点P1と左前アウトリガ113の接地点P3を結ぶ直線R3に対する旋回中心Qからの垂直距離S3を算出し、これを最小垂直距離として次述の比較手段75に出力する。
上記後側最小垂直距離算出手段74では、右後アウトリガ112の接地点P2と左後アウトリガ114の接地点P4を結ぶ直線R4に対する旋回中心Qからの垂直距離S4を算出し、これを最小垂直距離として次述の比較手段75に出力する。
上記比較手段75では、上記右側最小垂直距離算出手段71と上記左側最小垂直距離算出手段72と上記前側最小垂直距離算出手段73及び上記後側最小垂直距離算出手段74からそれぞれ入力される情報を受けて、車体102の右側における最小垂直距離S2と車体102の左側における最小垂直距離S1と、車体102の前部側における最小垂直距離S3と車体102の後部側における最小垂直距離S4とを比較し、これらのうち、距離が最も短い最小垂直距離をクレーン車101の「最小垂直距離」として選択し(この実施形態では、車体102の左側の垂直距離S1が最小垂直距離として選択される)、これを次述の定格性能算出手段5に出力する。
上記旋回位置検出値異常判定手段8は、上記旋回位置検出手段からの旋回位置を受けてその旋回位置検出値が異常であるかどうかを判定し異常である場合に異常信号を出力するものであり、この異常信号は次述の定格性能算出手段5に入力される。
上記定格性能算出手段5は、上記ブーム長さ検出器11からのブーム長さに関する情報と上記ブーム起伏角度検出器12からのブーム起伏角度に関する情報を受けるとともに、上記最小垂直距離出力手段7からの最小垂直距離に関する情報と、上記旋回位置検出値異常判定手段8からの旋回位置検出値の異常に関する情報を受けて、現在の作業状態下での定格性能を算出する。具体的には、図11に実線図示する第1性能線L1と第2性能線L2からなる定格性能線L、及び破線図示する第3性能線L3を算出する。
ここで、上記第1性能線L1と第2性能線L2で構成される定格性能線Lは、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されていない場合の定格性能線であって、上記第1性能線L1は、安定性が最も低い旋回領域、即ち、上記旋回中心Qと上記左後アウトリガ114の接地点P4を結ぶ直線と、該直線から時計回り方向において、上記旋回中心Qと上記左前アウトリガ113の接地点P3を結ぶ直線で囲まれた領域(反時計回り方向における点a〜点bの範囲)に対応するものであって、それ以外の安定性の高い領域に対応する第2性能線L2よりも小作業半径側に設定されている。
これに対して、上記第3性能線L3は、上記第2性能線L2に対応する領域において、上記第1性能線L1の延長上に設定されており(時計回り方向に点a〜bの領域)、上記第2性能線L2よりも小作業半径に設定されている。
従って、上記クレーン車101は、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されていない場合、即ち、上記ブーム起伏角度検出器12が正常に作動しておりその検出値の信頼性が担保されている場合には、第1性能線L1と第2性能線L2で構成される定格性能線Lによってその作業領域が制限される。これに対して、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されている場合、即ち、上記ブーム起伏角度検出器12が正常に作動しておらずその検出値の信頼性が担保されていない場合には、実線図示する上記第1性能線L1と破線図示する上記第3性能線L3によってその作業領域が制限され、作業を安全に行なうことができる。
なお、図11に破線図示した定格性能線L0は、従来手法により求められる定格性能線であって、最小の張出幅をもつ左後アウトリガ114の張出幅を他の全てのアウトリガ111,112,113の張出幅と仮定し、上記左後アウトリガ114の接地点P4と上記左前アウトリガ113´の接地点P3´を結ぶ直線R0に対する旋回中心Qからの垂直距離S0に基づいて算出されるものであり、この垂直距離S0と本実施形態における上記垂直距離S1との差分に起因して定格性能に差が生じるものである。
因みに、従来手法の制御によれば、上記クレーン車101は、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されていない場合には、第3性能線L3の反時計回り方向に点c〜dの範囲と、第2性能線L2によってその作業領域が制限される。これに対して、上記旋回位置検出値異常判定手段8から異常信号が入力されている場合には、全旋回範囲にわたって第3性能線L3によってその作業領域が制限される。
ここで、図12を参照して、実際の制御フローを説明する。制御開始後、先ず、ステップS1において、ブーム長さ、ブーム起伏角度、ブーム旋回位置及び各アウトリガ111〜114の張出幅を読み込む。
次に、ステップS2において、上記旋回位置検出手段3によって検出された旋回位置検出値が正常であるか、異常であるか、が判断される。そして、正常であると判断された場合には、ステップS3において、旋回位置に応じた全周の定格性能(即ち、上記第1性能線L1と第2性能線L2)を算出してこれを出力する。
これに対して、ステップS2において旋回位置検出値が異常であると判断された場合には、先ずステップS4において、車体102の左側において最小張出幅のアウトリガを選定し且つこの最小張出幅のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガを選定するとともに、車体102の右側において最小張出幅のアウトリガを選定し且つこの最小張出幅のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガを選定する。
次に、ステップS5においては、車体102の左側における最小垂直距離S1と車体102の右側における最小垂直距離S2と、車体102の前部側における最小垂直距離S3と車体102の後部側における最小垂直距離S4をそれぞれ算出する。そして、ステップS6では、これら各最小垂直距離S1〜S4を比較して、距離が最も短い垂直距離を最終的な最小垂直距離とし、これに基づいて、旋回位置検出値が異常である場合における定格性能(即ち、第1性能線L1と第3性能線L3)を算出して出力する。
尚、クレーン作業の途中で、旋回位置検出値の異常が発生した場合の対処法は、上記第2の実施形態の場合と同様である。
1 ・・作業状態検出手段
2 ・・アウトリガ張出幅検出手段
3 ・・旋回位置検出手段
4 ・・コントロールユニット
5 ・・定格性能算出手段
6 ・・アウトリガ選定手段
7 ・・最小垂直距離出力手段
8 ・・旋回位置検出値異常判定手段
11 ・・ブーム長さ検出器
12 ・・ブーム起伏角度検出器
21〜24 ・・アウトリガ張出幅検出器
71〜74 ・・最小垂直距離算出手段
75 ・・比較手段
101 ・・クレーン車
102 ・・車体
103 ・・旋回台
104 ・・伸縮ブーム
111〜114 ・・アウトリガ
L0,L ・・定格性能線
L1 ・・第1性能線
L2 ・・第2性能線
Q ・・旋回中心
P1〜P4 ・・接地点
R0,R ・・直線
S0〜S4 ・・垂直距離

Claims (4)

  1. 車体を浮上支持する複数のアウトリガを備えるとともに、ブームを起伏動自在に取付けた旋回台を上記車体上に旋回自在に搭載してなるアウトリガを備えた作業機において、
    上記作業機の定格性能の算出に係る作業状態を検出してこれを出力する作業状態検出手段と、上記複数のアウトリガの張出幅をそれぞれ検出してこれを出力する複数のアウトリガ張出幅検出手段と、上記複数のアウトリガ張出幅検出手段からの各張出幅を受けて最小の張出幅をもつ特定のアウトリガを選定するアウトリガ選定手段と、上記特定のアウトリガの接地点と上記特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接する他のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離を算出してこれを出力する最小垂直距離出力手段と、上記作業状態検出手段からの作業状態と上記最小垂直距離出力手段からの最小垂直距離を受けて現在の作業状態下での定格性能を算出する定格性能算出手段と、を備えたことを特徴とするアウトリガを備えた作業機の制御装置。
  2. 車体を浮上支持する複数のアウトリガを備えるとともに、ブームを起伏動自在に取付けた旋回台を上記車体上に旋回自在に搭載してなるアウトリガを備えた作業機において、
    上記旋回台の旋回位置を検出してこれを出力する旋回位置検出手段と、該旋回位置検出手段以外の検出手段であって上記作業機の定格性能の算出に係る旋回位置以外の作業状態を検出してこれを出力する作業状態検出手段と、上記複数のアウトリガの張出幅をそれぞれ検出してこれをそれぞれ出力する複数のアウトリガ張出幅検出手段と、上記複数のアウトリガ張出幅検出手段からの各張出幅を受けて最小の張出幅をもつ特定のアウトリガを選定するアウトリガ選定手段と、上記特定のアウトリガの接地点と上記特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接して車体前方側又は車体後方側に位置する他のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離を最小垂直距離として算出してこれを出力する最小垂直距離出力手段と、上記旋回位置検出手段からの旋回位置を受けてその旋回位置検出値が異常であるかどうかを判定し異常である場合に異常信号を出力する旋回位置検出値異常判定手段と、上記旋回位置検出値異常判定手段からの異常信号が入力された場合には上記最小垂直距離出力手段からの最小垂直距離を上記複数のアウトリガのそれぞれの張出幅として該最小垂直距離に基づいて定格性能を算出する定格性能算出手段と、を備えたことを特徴とするアウトリガを備えた作業機の制御装置。
  3. 請求項2において、
    上記アウトリガ選定手段は、上記複数のアウトリガ張出幅検出手段からの各張出幅を受けて、該複数のアウトリガのうち上記車体の一方の側部に配置された複数のアウトリガのうち最小の張出幅をもつ一方側の特定のアウトリガと、上記車体の他方の側部に配置された複数のアウトリガのうち最小の張出幅をもつ他方側の特定のアウトリガをそれぞれ選定する構成であり、
    上記最小垂直距離出力手段は、上記一方側の特定のアウトリガの接地点と該一方側の特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接して車体前方側又は車体後方側に位置する他のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離を一方側の垂直距離として、上記他方側の特定のアウトリガの接地点と該他方側の特定のアウトリガに対して旋回の周方向において隣接して車体前方側又は車体後方側に位置する他のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離を他方側の垂直距離として、それぞれ算出するとともに、これら一方側の垂直距離と他方側の垂直距離のうち小さい方を選択してこれを最小垂直距離として出力する構成であることを特徴とするアウトリガを備えた作業機の制御装置。
  4. 請求項2又は3において、
    上記最小垂直距離出力手段が、上記複数のアウトリガ張出幅検出手段からの各張出幅を受けて、上記複数のアウトリガのうち上記車体の一方の側部と他方の側部においてそれぞれ車体前後方向に位置する各一対のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離をそれぞれ算出するのに加えて、上記車体の前部側に位置する左右一対のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離と、上記車体の後部側に位置する左右一対のアウトリガの接地点を結ぶ直線に対する旋回中心からの垂直距離をそれぞれ算出し、これら各垂直距離のうちから最小垂直距離を選択してこれを最小垂直距離として出力するように構成されたことを特徴とするアウトリガを備えた作業機の制御装置。
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