JP2011017284A - 内燃機関の制御方法及び内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の低温始動時においてコモンレール圧力である実噴射圧を迅速に上昇できて、イグニッションキーをONした内燃機関の始動開始時から、目標とする燃料噴射量を燃料噴射できるようになるまでの時間を短縮できて、内燃機関の始動時間を短縮できる内燃機関の制御方法及び内燃機関を提供する。
【解決手段】コモンレール式燃料噴射システム1のコモンレール10の内圧である実噴射圧Pmが設定圧力Ptになるまでは、前記実噴射圧Pmの単位時間当たりの圧力上昇率ΔPmが予め設定された設定圧力上昇率ΔPtを下回る場合には、燃料噴射量を減量し、前記圧力上昇率ΔPmが前記設定圧力上昇率ΔPt以上の場合には、前記燃料噴射量の減量を止め、前記実噴射圧Pmが予め設定された前記設定圧力Ptになったら、前記燃料噴射量を減量する制御を行わない。
【選択図】図2

Description

本発明は、コモンレール式燃料噴射システムを備えた内燃機関の制御方法及び内燃機関に関し、より詳細には、内燃機関の低温始動時において、コモンレール圧力を迅速に上昇でき、内燃機関の始動時間を短縮できる内燃機関の制御方法及び内燃機関に関する。
ディーゼルエンジンの燃焼を改良するための一つの手段として、コモンレール式燃料噴射システムがある。図1に示すように、このコモンレールを用いる燃料噴射システム1では、高圧ポンプ(サプライポンプ)10で発生した高圧の燃料Fを、一旦コモンレール(蓄圧室)20に蓄えて、燃料噴射弁(インジェクタ)30内の電磁弁(図示しない)を制御して燃料噴射の開始と終了を決める電子制御燃料噴射システムである。
このコモンレール式燃料噴射システム1では、燃料噴射圧がエンジン回転速度に依存しなくなるので、非常に単純な噴射圧制御とノズルリフトの制御により、噴射圧、噴射量、噴射時期をそれぞれ独立に制御でき、通常噴射のみならず、パイロット噴射、多段噴射、ポスト噴射等が可能となる。
このシステム1では、通常はコモンレール20に取り付けた圧力計21により実際の燃料噴射圧(実噴射圧)Pmをモニターして、目標の設定圧力(目標噴射圧)Ptを維持するように、高圧ポンプ10の吐出量を吐出量制御バルブ11で制御するフィードバック制御を行っている。なお、高圧ポンプ10には、コモンレール20から燃料が逆流しないように、逆止弁12が設けられている。
図5に従来技術のコモンレール圧力の制御状況を示す。この図5では、圧力センサ21でモニターしている実噴射圧(コモンレール圧力)Pmが、予め設定された目標噴射圧(指示コモンレール圧)Ptになるように、通常ECU(エンジンコントロールユニット)と呼ばれるエンジンの制御装置40で制御している。この図5のエンジン回転は実際の回転数ではなく、制御装置40が認識しているエンジン回転数を示す。このエンジン回転数は、気筒判別ができるようになるまでは、0(ゼロ)rpmであると認識される。このエンジン回転数からは、実際にエンジンが回転し始めたタイミングを知ることは難しいが、バッテリー電圧(ECU駆動電圧)の電圧の変化により、実際にエンジンが回転し始めたタイミングを知ることができる。
また、図5の下側に示すPI値は高圧ポンプ10がコモンレール20に燃料Fを圧送する際の吐出量制御バルブ11への指示値であり、通常は圧力センサ21の測定値である実噴射圧Pmをフィードバックする。同じく図中のP値は燃料を圧送する際のPID制御の比例制御で使用するP値であり、I値は積分制御で使用するI値である。
図5は、外気温と冷却水温度がマイナス25℃の場合の低温始動時のデータであり、この時系列を見ると、時刻t1〜t2で示す第1の段階では、イグニッションキーをONにしてスタータースイッチをONにすると(t1)、エンジンが回転を始める。これは、エンジン回転数では分からないが、バッテリー電圧を見ると電圧が落ちていることからスターター駆動でバッテリーに負荷が掛かっていることが分かり、このことから実際にはエンジンが回転して始めていることが分かる。また、エンジンの圧縮上死点を通過すると電圧が落ちるので、エンジンの回転状況も分かる。
つまり、制御装置(ECU)が回転数センサの出力で認識するエンジン回転数は0(ゼロ)rpmを示しているが実際にエンジン回転が始まり、エンジンスピードは上がってきている。そのため、エンジンの回転で駆動される高圧ポンプが回転を始め、実噴射圧が上昇し始める。この第1の段階では、高圧ポンプは、まだ未制御で吐出圧力を制御できていない。
時刻t2〜t3で示す第2の段階では、高圧ポンプの回転数が上昇し、吐出圧力の制御を始める。但し、この段階でも、制御装置はエンジンの回転を認識できないので目標噴射圧は0(ゼロ)MPaのままとなる。そのため、高圧ポンプは、この0(ゼロ)MPaの目標噴射圧になるように、吐出圧力を下げる制御、即ち、負の制御を行う。このように、エンジンの回転を認識する前に制御値が負の値を持っていると、回転を認識した直後も負の値(特にI項)を持っているために、その後の吐出圧力に対する上昇要求に対して、実際に必要とされる適正な吐出量の制御値を出力できなくなってしまう。
時刻t2〜t3で示す第3の段階では、制御装置エンジンの回転を認識する。この認識により、目標噴射圧Ptが示されるので、高圧ポンプはこの目標噴射圧Ptになるように圧力を上げるための正の信号を出す。この制御により、実際のコモンレール圧力である実噴射圧は上昇を始める。
時刻t3〜t4で示す第4の段階では、第3の段階で実噴射圧Pmが急激に上昇して目標噴射圧Ptとの差が少なくなるため、PID制御におけるP値(比例制御値)が大きく減少してしまう。
時刻t4〜t5で示す第5の段階では、第4の段階でP値が減少するため実噴射圧Pmが減少を始める。そのための、その直後から高圧ポンプは圧送量を増やして実噴射圧Pmを上げようとするが、なかなか追従してこない。これはPI値の上昇スピードが低いことと、エンジンが暖機しておらず、燃料温度が低く燃料の粘度が高いので、常温で可能な燃料噴射量を確保できないためである。
上述のように、従来技術における燃料噴射システムの燃料の噴射圧に関する制御では、エンジンが回転を認識できるようになるまでは、噴射圧を制御できないという問題がある。例えば、エンジンの回転認識に0.5secを要し、噴射圧を制御できるようになるまでに約0.4secを要するので、この間は噴射圧の制御ができない。
また、エンジンの始動時においては、噴射圧(コモンレール圧力)の目標値である目標噴射圧と、実際の値である実噴射圧との間の乖離が大きいため、高圧ポンプの制御において、本来は噴射圧を上げる必要があるのに、制御用の初期値に噴射圧を下げる値が残ってしまい噴射圧を下げる制御を行ってしまうという問題がある。
つまり、エンジンの始動開始時では、噴射圧を早く上昇させたいが、一旦、噴射圧が落ちると再び噴射圧が上昇するまでに多くの時間を要するため、噴射圧が目標値に到達するのに多くの時間を要してしまう。そのため、燃料噴射弁(インジェクタ)に必要な最小噴射圧力を確保できない時期が生じ、この期間は、無噴射となってしまう。このことが、エンジンの始動時間が延びる原因の一つとなっている。
更に、低温状態(例えば−25℃)の燃料の粘度が高い状態においては、噴射圧を上昇させる制御で常温状態と同じような制御を行うことができず、ここでは最低噴射圧を確保できないので始動時に無噴射となり、始動時間が延びるという問題もある。
これに関連して、機関始動開始から、気筒判別が完了して内燃機関の回転位置に基づく燃料吸入弁の閉弁タイミング制御が実行可能となるまでの期間にわたって、燃料吸入弁を制御するためのソレノイドを連続通電する始動時制御手段を備えて、ソレノイドの通電による発熱を回避しつつ、内燃機関の始動直後の高圧ポンプの燃料吐出行程から最大量の燃料圧送を確実に行うことにより、蓄圧室の燃圧を迅速に昇圧して始動時の燃焼状態や排ガスの悪化を防止した内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2008−223528号公報
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の低温始動時においてコモンレール圧力である実噴射圧を迅速に上昇できて、イグニッションキーをONした内燃機関の始動開始時から、目標とする燃料噴射量を燃料噴射できるようになるまでの時間を短縮できて、内燃機関の始動時間を短縮できる内燃機関の制御方法及び内燃機関を提供することにある。
上記のような目的を達成するための本発明の内燃機関の制御方法は、コモンレール式燃料噴射システムを備えた内燃機関の制御方法において、内燃機関が始動開始された時に、コモンレールへ燃料を供給する高圧ポンプの駆動を開始すると共に、高圧ポンプの燃料入口側に設けられた吐出量制御バルブを全開とし、圧力センサで検出される実噴射圧が予め設定された設定圧力になるまでは、前記実噴射圧によるフィードバック制御を行わず、前記実噴射圧が前記設定圧力に到達した後で、前記実噴射圧によるフィードバック制御を行い、更に、前記実噴射圧が前記設定圧力になるまでは、前記実噴射圧の単位時間当たりの圧力上昇率が予め設定された設定圧力上昇率を下回る場合には、燃料噴射量を減量し、前記圧力上昇率が前記設定圧力上昇率以上の場合には、前記燃料噴射量の減量を止め、前記実噴射圧が予め設定された前記設定圧力になったら、前記燃料噴射量を減量する制御を行わないことを特徴とする方法である。
この方法によれば、内燃機関が始動開始された時に、内燃機関の制御装置(ECU)が内燃機関が回転しているか否かの検出結果にかかわらず、内燃機関が始動を開始され、内燃機関が回転し始めると高圧ポンプでコモンレールに燃料を送ることになるので、これにより、高圧ポンプによる燃料圧送開始時期を早めることができる。
また、内燃機関の始動時に、圧力センサで検出される実噴射圧(コモンレール圧力)が予め設定された設定圧力(目標噴射圧)になるまでは、実噴射圧によるフィードバック制御を行わないことにより、昇圧過程における実噴射圧の低下を防止することができるので、これにより、一旦下がった実噴射圧を上げるのに要する時間を節約できる。なお、この昇圧過程における実噴射圧の低下は、フィードバック制御によるポンプ吐出量制御で、実噴射圧が目標噴射圧に近づいたときに、比例制御項(P項)が下がることにより生じる。
更に、実噴射圧が設定圧力になるまでは、実噴射圧の単位時間当たりの圧力上昇率が予め設定された設定圧力上昇率を下回る場合には、実噴射圧の上昇のために十分な量の燃料が供給されていないと判断して、燃料噴射量を減少するので、実噴射圧の上昇を優先することができ、これにより、実噴射圧の圧力上昇のスピードを早くでき、実噴射圧を早く目標噴射圧にすることができる。
上記のような目的を達成するための本発明の内燃機関は、コモンレール式燃料噴射システムを備えた内燃機関において、前記コモンレール式燃料噴射システムの制御装置が、内燃機関が始動開始された時に、コモンレールへ燃料を供給する高圧ポンプの駆動を開始すると共に、高圧ポンプの燃料入口側に設けられた吐出量制御バルブを全開とし、圧力センサで検出される実噴射圧が予め設定された設定圧力になるまでは、前記実噴射圧によるフィードバック制御を行わず、前記実噴射圧が前記設定圧力に到達した後で、前記実噴射圧によるフィードバック制御を行い、更に、前記実噴射圧が前記設定圧力になるまでは、前記実噴射圧の単位時間当たりの圧力上昇率が予め設定された設定圧力上昇率を下回る場合には、燃料噴射量を減量し、前記圧力上昇率が前記設定圧力上昇率以上の場合には、前記燃料噴射量の減量を止め、前記実噴射圧が予め設定された前記設定圧力になったら、前記燃料噴射量を減量する制御を行わないように構成される。
この内燃機関によれば、上記の内燃機関の制御方法を実施でき、同様な効果を奏することができる。
本発明に係る内燃機関の制御方法及び内燃機関によれば、内燃機関の低温始動時における、コモンレール圧力である実噴射圧の上昇速度を速くすることができ、イグニッションキーをONした内燃機関始動時から、目標とする燃料噴射量の燃料噴射を行えるようになるまでの時間を短縮でき、内燃機関の始動時間を短縮できる。
本発明に係る実施の形態の内燃機関が備えているコモンレール式燃料噴射システムの構成を示した模式図である。 本発明に係る実施の形態の内燃機関の制御方法のための制御フローの一例を示した図である。 本発明に係る実施の形態の内燃機関の制御方法におけるポンプ吐出量制御の時系列を示した図である。 本発明に係る実施の形態の内燃機関の制御方法における燃料噴射制御の時系列を示した図である。 従来技術におけるポンプ吐出量制御と実噴射圧等との関係を時系列で示した図である。
以下、本発明に係る実施の形態の内燃機関の制御方法及び内燃機関について、図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の実施の形態の内燃機関が備えているコモンレール燃料噴射システム1の構成を示す。この燃料噴射システム1は、燃料を昇圧する高圧ポンプ(サプライポンプ)10と、この高圧ポンプ10で発生した高圧の燃料Fを一時的に貯蔵するコモンレール(蓄圧室)20と、コモンレール20から供給される燃料Fを、内部の電磁弁(図示しない)の制御によりシリンダ(図示しない)内に噴射する燃料噴射弁(インジェクタ)30から構成される。なお、高圧ポンプ10には、コモンレール20から燃料が逆流しないように、逆止弁12が設けられ、コモンレール20にはコモンレール圧である実噴射圧Pmを測定するための圧力センサ21が設けられている。更に、エンジンの制御を行うECU(エンジンコントロールユニット)と呼ばれる制御装置40は、以下の述べるような高圧ポンプ10の燃料供給制御と燃料噴射弁30の燃料噴射制御を行うように構成される。
このシステム1では、燃料噴射圧はエンジン回転速度に依存しないので、噴射圧力制御とノズルリフトの制御により、噴射圧、噴射量、噴射時期をそれぞれ独立に制御して、通常噴射のみならず、パイロット噴射、多段噴射、ポスト噴射等を行う。
このシステム1では、制御装置40で、コモンレール20に取り付けた圧力計21により計測された実際の燃料噴射圧(実噴射圧)Pmをモニターして、目標の設定圧力(目標噴射圧)Ptを維持するように、高圧ポンプ10の吐出量を吐出量制御バルブ11で制御する。
次に、このコモンレール式燃料噴射システム1を備えた内燃機関の制御方法について図2の制御フローを参照しながら説明する。この制御フローはエンジンの始動時に使用する制御フローであるため、エンジンのイグニッションキーがONされると同時にスタートするように構成してもよいが、この図2の制御フローでは、常時スタートあるいはイグニッションキーをONする前にスタートしていて、特別に制御フローを終了する必要が生じた場合のみ、第2の割り込みにより終了する制御フローとして示してある。
この制御フローがスターとすると、最初にステップS11で、エンジンのイグニッションキーがONされたか否か、言い換えれば、エンジンの始動が指示された否かを判定する。エンジンのイグニッションキーがONされておらず、エンジンの始動が指示されていない場合は(NO)、所定の時間(イグニッションキーのON、OFFをチェックするインターバルに関係する時間)を経過した後に、再度、ステップS11に戻る。
ステップS11で、エンジンのイグニッションキーがONされて、エンジンの始動が開始された場合には(YES)、ステップS12に行き、高圧ポンプ10の駆動を開始してコモンレール20への燃料Fの供給を開始すると共に、高圧ポンプ10の吐出量制御バルブ11を全開にする指示を出力する。この全開の指示は、予め設定してある、全開に相当する駆動Duty(デューティ)比を出力して行う。この段階では、高圧ポンプ10は、圧力センサ21で測定される実噴射圧Pmによるフィードバック制御を行わない。このイグニッションキーONの状態で吐出量制御バルブ11を全開に固定することにより、実噴射圧Pmを早く上げることに焦点を置く。
次に、ステップS13で、イグニッションキーがONされてからの経過時間tpが予め設定された設定時間tcを越えたか否かを判定する。この判定で、経過時間tpが設定時間tcを超えた場合には(YES)、ステップS16の通常のフィードバック制御に行く。これにより、吐出量制御バルブ11を全開とする通電の時間が設定時間tcを超えないようにして、吐出量制御バルブ11が加熱状態となることを防止する。
ステップS13で、経過時間tpが設定時間tcを超えていない場合には(NO)、ステップS14の実噴射圧Pmの単位時間当たりの圧力上昇率ΔPmが予め設定された設定圧力上昇率ΔPtを下回るか否かを判定する。圧力上昇率ΔPmが予め設定された設定圧力上昇率ΔPtを下回る場合には(YES)、ステップS15に行き、燃料噴射量を予め設定した量だけ減量し、所定の時間(圧力上昇率ΔPmのチェックのインターバルに関係する時間)を経過したら、ステップS16に行く。即ち、一旦、噴射圧を上げてしまえば後の制御が比較的容易となるので、燃料噴射量を減少して噴射圧の上昇を優先する。また、ステップS14の判定で、圧力上昇率ΔPmが設定圧力上昇率ΔPt以上になった場合には(NO)、噴射量の減量をせずに、ステップS16に行く。
ステップS16では、実噴射圧Pmが予め設定された目標噴射圧Pt以上か否かを判定する。実噴射圧Pmが目標噴射圧Pt以上でない場合には(NO)、所定の時間(実噴射圧Pmのチェックのインターバルに関係する時間)を経過したら、ステップS13に戻る。
ステップS16で、実噴射圧Pmが目標噴射圧Pt以上の場合には(YES)、ステップS17に行き、フィードバック制御に移行する。つまり、通常行っている圧力センサ21で測定される実噴射圧Pmによるフィードバック制御に移行する。このフィードバック制御では、実噴射圧Pmを目標噴射圧Ptにするために、実噴射圧Pmを制御量にし、高圧ポンプ10の吐出量制御バルブ11の弁開度を操作量とする。なお、この移行後のフィードバック値のI項(積分制御項)の初期値はあらかじめ設定しておく。このフィードバック制御をエンジンの運転の終了まで、言い換えれば、イグニッションキーがOFFされるまで行う。
図2の制御フローでは、イグニッションキーがOFFされると、第1の割り込みにより、ステップS11に戻る。また、制御フローを終了する必要がある場合には、特別な信号を入力し、第2の割り込みにより制御フローを終了する。
上記の図2の制御フローに従った内燃機関の制御方法によれば、エンジン(内燃機関)が始動開始された時に、コモンレール20へ燃料Fを供給する高圧ポンプ10の駆動を開始すると共に、高圧ポンプ10の燃料入口側に設けられた吐出量制御バルブ11を全開とする(ステップS12)。
また、圧力センサ21で検出される実噴射圧Pmが予め設定された目標噴射圧(設定圧力)Ptになるまでは、実噴射圧Pmによるフィードバック制御を行わずに、実噴射圧Pmの単位時間当たりの圧力上昇率ΔPmが予め設定された設定圧力上昇率ΔPtを下回る場合には、燃料噴射量を減量し(ステップS15)、圧力上昇率ΔPmが前記設定圧力上昇率ΔPt以上の場合には、燃料噴射量の減量を止める制御を行うことができる。
そして、実噴射圧Pmが目標噴射圧Ptに到達した後で、実噴射圧Pmによるフィードバック制御を行う(ステップS17)。このフィードバック制御では、燃料噴射量を減量する制御を行わない。
次に、図3に示す高圧ポンプ10の吐出量制御に関係する時系列について説明する。図3では、イグニッションキーがONされて(ta)から、スターターがスタートする(tb)までの間は、図3の上側に示す、制御装置(ECU)40への供給電圧、即ち、バッテリー電圧が一定であるが、制御装置40はエンジンの回転を認識していない。また、図3の中央と下側に示すように、噴射圧(コモンレール圧力)に関して、目標量Ptと実際量Pmはゼロになる。
次に、スターターがスタートして(tb)から制御装置40が回転を認識する(tc)までは、ECU電圧はスターターの回転により降下するが、制御装置40は回転を認識していない。しかし、高圧ポンプ10が回転しているので、実線で示す実噴射圧Pmは増加する。一方、細い一点鎖線で示す目標燃料圧Ptはゼロのままである。この状態でエンジンの回転速度が増加し、エンジンの上死点とカムの位相確認ができるようになると、気筒判別が完了し、制御装置40による回転の認識が出来るようになる(tc)。
制御装置40が回転を認識して(tc)から目標噴射圧到達(td)までは、制御装置40が回転を認識すると、目標噴射圧Ptが設定され、高圧ポンプ10は実噴射圧Pmが目標噴射圧Ptになるように、可吐出量制御バルブ11を制御する。この期間の制御は、可吐出量制御バルブ11を全開とする制御であり、駆動Duty比は最大にされ、制御値のP項(比例制御項)、I項(積分制御項)も一定値とされる。
目標噴射圧ΔPtに到達した(td)後は、実噴射圧Pmを目標噴射圧Ptに維持するように可吐出量制御バルブ11の弁開度を調整する通常のフィードバック制御が行われる。
次に、図4に示す燃料噴射制御に関係する時系列について説明する。図4では、イグニッションキーがONされて(ta)から、スターターがスタートする(tb)までの間は、図4の上側に示す、制御装置(ECU)40への供給電圧、即ち、バッテリー電圧が一定であるが、制御装置はエンジンの回転(回転しているか否か)を認識していない。また、図4の中央と下側に示すように、噴射圧(コモンレール圧力)と噴射量に関して、目標量と実際の量はゼロになる。
次に、スターターがスタートして(tb)から制御装置40が回転を認識する(tc)までは、ECU電圧はスターターの回転により降下するが、制御装置40は回転を認識していない。しかし、高圧ポンプ10が回転しているので、実線で示す実噴射圧Pmは増加するが、細い一点鎖線で示す目標燃料圧Ptはゼロのままである。この状態でエンジンの回転速度が増加し、エンジンの上死点とカムの位相確認ができるようになると、気筒判別が完了し、制御装置40による回転の認識が出来るようになる。
制御装置40が回転を認識して(tc)から目標噴射圧到達(td)までは、制御装置40が回転を認識すると、燃焼噴射が可能となるので、燃料噴射弁30は燃料噴射を開始する。燃料噴射弁30が燃料Fを噴射すると、コモンレール20内の圧力である実噴射圧Pmが下がる。そのため、高圧ポンプ10側からコモンレール20側への燃料の供給を増加して、実噴射圧Pmを上昇させる制御が行われるが、エンジンの暖機時に噴射される燃料の噴射量は暖機を促進するために常温状態に比べて多く設定されているので、この噴射量に対して高圧ポンプ10の吐出量が不足してコモンレール20内の圧力上昇に十分に寄与できない場合がある。その場合、圧力上昇の速度が減少し、単位時間当たりの圧力上昇率ΔPmが小さくなる。そのため、図4の中央に示すように、太い実線で示す実噴射圧Pmが点線で示すように下がってしまうことがある。
この現象に対して、本発明では、図4の下側に示すように、時間単位当たりの圧力上昇率ΔPmが予め実験等で求められた設定圧力上昇率ΔPtよりも少ないと判断された場合は、燃料Fの噴射量を減量し、コモンレール20の実燃料圧Pmの低下を少なくする。つまり、圧力上昇率ΔPmが設定圧力上昇率ΔPtになるまで噴射量の減量を継続する。そして、圧力上昇率ΔPmが設定圧力上昇率ΔPtになったら噴射量の減量を止めて、目標噴射圧ΔPtになるまで、この噴射量のままで噴射を継続する。
実噴射圧Pmが目標噴射圧ΔPtに到達した(td)後は、噴射量の減量を行わずに、目標噴射量で燃料の噴射を行う。つまり、通常の燃料噴射制御で燃料噴射を行う。
本発明では、図3及び図4に示すように、イグニッションキーがONされて(ta)から、実噴射圧Pmが目標噴射圧Ptに到達する(td)までは、高圧ポンプ10のフィードバック制御をせずに、可吐出量制御バルブ11を全開とする高圧ポンプの吐出量制御を行う。それと共に、制御装置40が回転を認識して(tc)から実噴射圧Pmが目標噴射圧Ptに到達する(td)までは、圧力上昇率ΔPmをモニターし、圧力上昇率ΔPmが設定圧力上昇率ΔPtになるまで噴射量の減量を継続して、実噴射圧Pmを噴射量よりも優先して目標噴射圧Ptを早急に上昇させる噴射量制御を行う。
従って、上記の内燃機関の制御方法及び内燃機関によれば、高圧ポンプ10の吐出量制御と燃料噴射弁30の噴射量制御との組合せにより、低温始動時における、実噴射圧Pmの上昇速度を速くすることができ、イグニッションキーをONした内燃機関始動時から、目標噴射圧に到達して目標とする燃料噴射量の燃料噴射を行えるようになるまでの時間を短縮でき、内燃機関の始動時間を短縮できる。
本発明の内燃機関の制御方法及び内燃機関は、低温始動時における、コモンレール圧力の上昇速度を速くすることができ、内燃機関の始動時間を短縮できるので、自動車搭載等の内燃機関の制御方法及び内燃機関として利用できる。
1 コモンレール式燃料噴射システム
10 高圧ポンプ
11 吐出量制御バルブ
12 逆止弁
20 コモンレール(蓄圧室)
21 圧力計
30 燃料噴射弁(インジェクタ)
40 制御装置
F 燃料
Pm 実噴射圧
Pt 目標噴射圧

Claims (2)

  1. コモンレール式燃料噴射システムを備えた内燃機関の制御方法において、
    内燃機関が始動開始された時に、コモンレールへ燃料を供給する高圧ポンプの駆動を開始すると共に、高圧ポンプの燃料入口側に設けられた吐出量制御バルブを全開とし、
    圧力センサで検出される実噴射圧が予め設定された設定圧力になるまでは、前記実噴射圧によるフィードバック制御を行わず、前記実噴射圧が前記設定圧力に到達した後で、前記実噴射圧によるフィードバック制御を行い、
    更に、前記実噴射圧が前記設定圧力になるまでは、前記実噴射圧の単位時間当たりの圧力上昇率が予め設定された設定圧力上昇率を下回る場合には、燃料噴射量を減量し、前記圧力上昇率が前記設定圧力上昇率以上の場合には、前記燃料噴射量の減量を止め、前記実噴射圧が予め設定された前記設定圧力になったら、前記燃料噴射量を減量する制御を行わないことを特徴とする内燃機関の制御方法。
  2. コモンレール式燃料噴射システムを備えた内燃機関において、
    前記コモンレール式燃料噴射システムの制御装置が、内燃機関が始動開始された時に、コモンレールへ燃料を供給する高圧ポンプの駆動を開始すると共に、高圧ポンプの燃料入口側に設けられた吐出量制御バルブを全開とし、
    圧力センサで検出される実噴射圧が予め設定された設定圧力になるまでは、前記実噴射圧によるフィードバック制御を行わず、前記実噴射圧が前記設定圧力に到達した後で、前記実噴射圧によるフィードバック制御を行い、
    更に、前記実噴射圧が前記設定圧力になるまでは、前記実噴射圧の単位時間当たりの圧力上昇率が予め設定された設定圧力上昇率を下回る場合には、燃料噴射量を減量し、前記圧力上昇率が前記設定圧力上昇率以上の場合には、前記燃料噴射量の減量を止め、前記実噴射圧が予め設定された前記設定圧力になったら、前記燃料噴射量を減量する制御を行わないように構成されたことを特徴とする内燃機関。
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