JP2011017070A - 電気電子部品用銅合金材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的特性の異方性が小さく、かつ、高強度、高導電率であり、放熱特性が求め
られる電気電子部品(例えばLED用途向けのリードフレーム、大電流用途のコネクタ、
端子、リレーなど)に適した銅合金材料を提供する。
【解決手段】圧延方向に平行な断面の結晶粒の厚さをa、幅をbとし、b/aで示される
扁平率(アスペクト比)δが、2≦δ≦20で、圧延方向に平行な断面の結晶径の厚さが
0.1〜5μmであり、コバルト(Co)を0.5〜2.5mass%、ケイ素(Si)
を0.1〜1.0mass%含有し、残部が銅(Cu)および不可避不純物である、電気
電子部品用のCu−Co−Si合金系の銅合金材料。さらに、圧延平行方向と圧延垂直方
向の引張強度が共に500MPa以上、圧延平行方向と圧延垂直方向の引張強度の差が5
0MPa以下、導電率が50%IACS以上であることが好ましい。
【選択図】なし
られる電気電子部品(例えばLED用途向けのリードフレーム、大電流用途のコネクタ、
端子、リレーなど)に適した銅合金材料を提供する。
【解決手段】圧延方向に平行な断面の結晶粒の厚さをa、幅をbとし、b/aで示される
扁平率(アスペクト比)δが、2≦δ≦20で、圧延方向に平行な断面の結晶径の厚さが
0.1〜5μmであり、コバルト(Co)を0.5〜2.5mass%、ケイ素(Si)
を0.1〜1.0mass%含有し、残部が銅(Cu)および不可避不純物である、電気
電子部品用のCu−Co−Si合金系の銅合金材料。さらに、圧延平行方向と圧延垂直方
向の引張強度が共に500MPa以上、圧延平行方向と圧延垂直方向の引張強度の差が5
0MPa以下、導電率が50%IACS以上であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、例えばリードフレーム、リレー、スイッチ、コネクタ、端子等の、高導電性
や高放熱性、高強度が要求される電気電子部品に適用される銅合金材料に関する。
や高放熱性、高強度が要求される電気電子部品に適用される銅合金材料に関する。
電気電子機器用の部品として、導電性、熱放熱性(伝導性)に優れる銅合金が広く用い
られている。例えば、電子機器用のリードフレームには、CDA(Copper Dev
elopment Association)登録合金であるCDA−C19400,C
DA−C14410,CDA−C18040、CDA−C72500などの合金が用いら
れている。
られている。例えば、電子機器用のリードフレームには、CDA(Copper Dev
elopment Association)登録合金であるCDA−C19400,C
DA−C14410,CDA−C18040、CDA−C72500などの合金が用いら
れている。
しかしながら、電子機器の小型化、軽量化に伴ってこれらに搭載される部品は高密度実
装されるようになり、これらに用いられる銅合金材料にもさらに種々の特性が求められて
いる。例えば、部品の小型化、軽量化により使用される銅合金はより薄い材料が使用され
、材料が薄くなれば、従来と同じ機械的特性(例えば接圧荷重)を得るためには、より高
強度(高硬度)な材料が求められている。周知のとおり、汎用的な固溶強化された銅合金
は、強度が向上すれば導電率が低下するため、固溶強化された銅合金より導電率と強度が
共に高い析出強化型合金が用いられる。
装されるようになり、これらに用いられる銅合金材料にもさらに種々の特性が求められて
いる。例えば、部品の小型化、軽量化により使用される銅合金はより薄い材料が使用され
、材料が薄くなれば、従来と同じ機械的特性(例えば接圧荷重)を得るためには、より高
強度(高硬度)な材料が求められている。周知のとおり、汎用的な固溶強化された銅合金
は、強度が向上すれば導電率が低下するため、固溶強化された銅合金より導電率と強度が
共に高い析出強化型合金が用いられる。
また、近年、少ない消費電力で、高寿命性の特徴を有するLED(半導体素子)照明が
注目を浴びている。このLED照明の機構は半導体素子を利用するため、リードフレーム
材が多く用いられており、LED素子が発する熱を外部に放出するため、LED用途のリ
ードフレームには高い放熱性が求められている。さらに、LED用途のリードフレームは
汎用リードフレームと比較して、そのリード幅が広く、成形性の問題から機械的特性の異
方性が小さいことが望まれている。
注目を浴びている。このLED照明の機構は半導体素子を利用するため、リードフレーム
材が多く用いられており、LED素子が発する熱を外部に放出するため、LED用途のリ
ードフレームには高い放熱性が求められている。さらに、LED用途のリードフレームは
汎用リードフレームと比較して、そのリード幅が広く、成形性の問題から機械的特性の異
方性が小さいことが望まれている。
なお、金属材料の導電率(%IACS、International Anneale
d Copper Standard)と熱伝導率(W/mK)はヴィーデマン・フラン
ツの法則から比例関係が証明されており、銅合金も例外なく、導電率が高い材料は熱伝導
率が高い材料であるといわれている。
d Copper Standard)と熱伝導率(W/mK)はヴィーデマン・フラン
ツの法則から比例関係が証明されており、銅合金も例外なく、導電率が高い材料は熱伝導
率が高い材料であるといわれている。
ところで、高強度と高導電性の相反する特性を満足するために、固溶強化、加工強化、
析出強化などの種々の強化方法のうち、銅合金では析出強化による強度向上方法が導電性
と強度とのバランスがよいとされており、その中で、銅(Cu)中にコバルト(Co)と
ケイ素(Si)を加えてそのCoとSiから構成される析出物を形成させて強化させる合
金(Cu−Co−Si系合金)は、多くの析出型合金の中ではその強化する能力が比較的
高く、かつ、導電性が良好な特徴がある。
析出強化などの種々の強化方法のうち、銅合金では析出強化による強度向上方法が導電性
と強度とのバランスがよいとされており、その中で、銅(Cu)中にコバルト(Co)と
ケイ素(Si)を加えてそのCoとSiから構成される析出物を形成させて強化させる合
金(Cu−Co−Si系合金)は、多くの析出型合金の中ではその強化する能力が比較的
高く、かつ、導電性が良好な特徴がある。
しかしながら、析出型強化型合金にも問題点がある。その一つがCoとSiからなる析
出物を形成する時効熱処理後の機械的特性(引張強度)に異方性が見られることである。
析出強化型銅合金の製造方法は、時効熱処理工程より前の工程で、晶出または析出した粒
子を再固溶させる溶体化処理を行うことが一般的だが、その溶体化処理後に時効熱処理を
行うと上記した機械的特性の異方性(特に強度の差としての異方性)が更に顕著にあらわ
れる。よって、Cu−Co−Si系合金をリードフレームとして用いるためには、この問
題点を解決することが重要である。
出物を形成する時効熱処理後の機械的特性(引張強度)に異方性が見られることである。
析出強化型銅合金の製造方法は、時効熱処理工程より前の工程で、晶出または析出した粒
子を再固溶させる溶体化処理を行うことが一般的だが、その溶体化処理後に時効熱処理を
行うと上記した機械的特性の異方性(特に強度の差としての異方性)が更に顕著にあらわ
れる。よって、Cu−Co−Si系合金をリードフレームとして用いるためには、この問
題点を解決することが重要である。
このCu−Co−Si合金の強度と導電性などを述べた先行技術として、以下のような
ものがある。
例えば、特許文献1には熱間加工性の改善が示されている。特許文献2には用途が半導
体リードフレームではんだ濡れ性を改善することが記載されている。特許文献3には最終
工程が時効熱処理であることが示されている。特許文献4には工程途中に950℃の溶体
化処理を行うことが示されている。特許文献5には熱間加工工程の改善により微細な表面
欠陥の発生を抑制させる技術が示されている。特許文献6〜7には溶体化処理を800〜
900℃の範囲で行うことが示されている。特許文献8は実施例で700〜1050℃の
溶体化処理を行い、次いで冷間加工と時効熱処理を繰り返すことが示されている。特許文
献9は700℃以上1000℃以下の溶体化処理を施すことが示されている。
ものがある。
例えば、特許文献1には熱間加工性の改善が示されている。特許文献2には用途が半導
体リードフレームではんだ濡れ性を改善することが記載されている。特許文献3には最終
工程が時効熱処理であることが示されている。特許文献4には工程途中に950℃の溶体
化処理を行うことが示されている。特許文献5には熱間加工工程の改善により微細な表面
欠陥の発生を抑制させる技術が示されている。特許文献6〜7には溶体化処理を800〜
900℃の範囲で行うことが示されている。特許文献8は実施例で700〜1050℃の
溶体化処理を行い、次いで冷間加工と時効熱処理を繰り返すことが示されている。特許文
献9は700℃以上1000℃以下の溶体化処理を施すことが示されている。
しかし、上述の各特許文献は、以下のような問題点を有する。
特許文献1には、熱間加工以降の下工程の明示はなく、機械的特性や導電率は明確では
ない。特許文献2には、Co2Si濃度が高く導電率が50%IACSを下回る例も記載
され、リードフレーム材料への適用は困難である。特許文献3は最終工程が時効熱処理の
ため、圧延方向に平行な方向(以下、圧延平行方向)と圧延方向に垂直な方向(以下、圧
延垂直方向)の強度差(強度の異方性)があると考えられる。特許文献4は最終工程が時
効工程のために、強度の異方性があると考えられる。特許文献5は微細な表面欠陥の発生
抑制が主目的であり、その原因は鋳造欠陥であるとされているが、現行の鋳塊製造技術水
準ではこのような問題は発生しない。特許文献6〜7には導電率の記載がなく、また、C
uめっき層を有することが特徴であり、リードフレーム材料への適用は困難である。特許
文献8は、溶体化処理後に冷間加工と時効熱処理を繰り返すため、強度の異方性を小さく
することは考慮されていないと考えられる。特許文献9はめっき密着性などを重視したも
ので、強度の異方性を小さくすることは考慮されていないと考えられる。
特許文献1には、熱間加工以降の下工程の明示はなく、機械的特性や導電率は明確では
ない。特許文献2には、Co2Si濃度が高く導電率が50%IACSを下回る例も記載
され、リードフレーム材料への適用は困難である。特許文献3は最終工程が時効熱処理の
ため、圧延方向に平行な方向(以下、圧延平行方向)と圧延方向に垂直な方向(以下、圧
延垂直方向)の強度差(強度の異方性)があると考えられる。特許文献4は最終工程が時
効工程のために、強度の異方性があると考えられる。特許文献5は微細な表面欠陥の発生
抑制が主目的であり、その原因は鋳造欠陥であるとされているが、現行の鋳塊製造技術水
準ではこのような問題は発生しない。特許文献6〜7には導電率の記載がなく、また、C
uめっき層を有することが特徴であり、リードフレーム材料への適用は困難である。特許
文献8は、溶体化処理後に冷間加工と時効熱処理を繰り返すため、強度の異方性を小さく
することは考慮されていないと考えられる。特許文献9はめっき密着性などを重視したも
ので、強度の異方性を小さくすることは考慮されていないと考えられる。
そこで、結晶粒の扁平率(アスペクト比)を制御することにより、圧延平行方向と圧延
垂直方向の強度の差を小さくすることを検討する。圧延方向に平行な断面の結晶粒の厚さ
をa、幅をbとし、b/aで示される扁平率(アスペクト比:δ)が2未満では圧延平行
方向と圧延垂直方向の強度差が見られる。Co、Si量やその他の添加元素量で違いはあ
るが、圧延平行方向の引張強度が圧延垂直方向の引張強度と比較して約60〜100MP
a高い傾向がある。このような材料では、リードフレームなどの四方向共に加工されるよ
うな部材であれば、加工後のスプリングバック量が違うために成形性が悪いと判断される
。一方、扁平率(アスペクト比:δ)が20を超える場合は、逆に圧延垂直方向の強度が
高くなるため同じ問題を生じる。
垂直方向の強度の差を小さくすることを検討する。圧延方向に平行な断面の結晶粒の厚さ
をa、幅をbとし、b/aで示される扁平率(アスペクト比:δ)が2未満では圧延平行
方向と圧延垂直方向の強度差が見られる。Co、Si量やその他の添加元素量で違いはあ
るが、圧延平行方向の引張強度が圧延垂直方向の引張強度と比較して約60〜100MP
a高い傾向がある。このような材料では、リードフレームなどの四方向共に加工されるよ
うな部材であれば、加工後のスプリングバック量が違うために成形性が悪いと判断される
。一方、扁平率(アスペクト比:δ)が20を超える場合は、逆に圧延垂直方向の強度が
高くなるため同じ問題を生じる。
なお、この結晶粒の扁平率(アスペクト比)は冷間圧延で制御できると考えられる。上
記したように析出強化型銅合金は鋳造や熱間圧延時に形成された晶出物や析出物を再固溶
させる溶体化処理を行うことが一般的である。しかし、この溶体化処理は高温で行われる
ため、銅母相も再結晶を起こし、結晶粒は等軸粒(扁平率、アスペクト比≒1)となる。
次いで、析出強化のため時効熱処理を行うと結晶粒は変化せず、粒内に析出物が形成され
、強度が向上する。しかし、その強化量は圧延平行方向と圧延垂直方向では異なり、圧延
平行方向の方が強度は高くなる。この強度の差が異方性と呼ばれる。
記したように析出強化型銅合金は鋳造や熱間圧延時に形成された晶出物や析出物を再固溶
させる溶体化処理を行うことが一般的である。しかし、この溶体化処理は高温で行われる
ため、銅母相も再結晶を起こし、結晶粒は等軸粒(扁平率、アスペクト比≒1)となる。
次いで、析出強化のため時効熱処理を行うと結晶粒は変化せず、粒内に析出物が形成され
、強度が向上する。しかし、その強化量は圧延平行方向と圧延垂直方向では異なり、圧延
平行方向の方が強度は高くなる。この強度の差が異方性と呼ばれる。
この異方性を小さくするために冷間加工を行うが、例えば、再結晶時に等軸粒が形成し
、加工率が50%の冷間圧延率が施されると、計算では扁平率:δ≒4となる。(粒径の
幅:aは1が2へ、厚さ:bは1が1/2となるため、a/b≒2/(1/2)≒4とな
る。)しかし、析出状態や結晶粒の方位(集合組織)依存性などもあって、冷間加工率の
定義や計算だけでは実測された値とは異なることが多い。
、加工率が50%の冷間圧延率が施されると、計算では扁平率:δ≒4となる。(粒径の
幅:aは1が2へ、厚さ:bは1が1/2となるため、a/b≒2/(1/2)≒4とな
る。)しかし、析出状態や結晶粒の方位(集合組織)依存性などもあって、冷間加工率の
定義や計算だけでは実測された値とは異なることが多い。
前記したように機械的特性の異方性を減じるため、結晶粒の扁平率(アルペクト比)を
制御する技術を有する銅合金は、上記各特許文献で開示された情報や技術だけでは得られ
ないことがわかった。また、さらに引張強度と導電率を高い水準で維持できる材料とする
ため、必要に応じて種々の添加元素を加えることが有効であることがわかった。
上記のような問題点に鑑み、本発明の目的は、機械的特性の異方性が小さく、かつ、高
強度、高導電率であり、放熱特性が求められる電気電子部品(例えばLED用途向けのリ
ードフレーム、大電流用途のコネクタ、端子、リレーなど)に適した銅合金材料を提供す
ることにある。
制御する技術を有する銅合金は、上記各特許文献で開示された情報や技術だけでは得られ
ないことがわかった。また、さらに引張強度と導電率を高い水準で維持できる材料とする
ため、必要に応じて種々の添加元素を加えることが有効であることがわかった。
上記のような問題点に鑑み、本発明の目的は、機械的特性の異方性が小さく、かつ、高
強度、高導電率であり、放熱特性が求められる電気電子部品(例えばLED用途向けのリ
ードフレーム、大電流用途のコネクタ、端子、リレーなど)に適した銅合金材料を提供す
ることにある。
本発明者らは、これら高放熱性や高電流用途の電気電子部品用途に適した銅合金材料に
ついて鋭意検討を行い、引張強度が500MPa以上、導電率が50%IACS以上であ
ることがわかり、その時の結晶粒の扁平率(アスペクト比)が2から20以下であること
が分かった。そこで、本発明は機械的異方性が小さく、引張強度が500MPa以上で、
導電率が50%IACS以上の高強度、高導電性銅合金材料を得ることを目的とし、結晶
粒の扁平率(アスペクト比)の最適な関係を見出し、さらに検討を重ね発明を完成させる
に至った。
ついて鋭意検討を行い、引張強度が500MPa以上、導電率が50%IACS以上であ
ることがわかり、その時の結晶粒の扁平率(アスペクト比)が2から20以下であること
が分かった。そこで、本発明は機械的異方性が小さく、引張強度が500MPa以上で、
導電率が50%IACS以上の高強度、高導電性銅合金材料を得ることを目的とし、結晶
粒の扁平率(アスペクト比)の最適な関係を見出し、さらに検討を重ね発明を完成させる
に至った。
すなわち本発明は、以下の手段により課題を解決する。
(1)圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な断面の結晶粒の厚さをa、幅をbとし、b/a
で示される扁平率(アスペクト比)δが、2≦δ≦20を満足する電気電子部品用銅合金
材料であって、コバルト(Co)を0.5〜2.5mass%、ケイ素(Si)を0.1
〜1.0mass%含有し、残部が銅(Cu)および不可避不純物であることを特徴とす
る電気電子部品用銅合金材料。
(2)圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な前記断面の結晶径の厚さが0.1〜5μmであ
ることを特徴とする、前記(1)記載の電気電子部品用銅合金材料。
(3)圧延平行方向と圧延垂直方向の引張強度が共に500MPa以上、圧延平行方向と
圧延垂直方向の引張強度の差が50MPa以下、導電率が50%IACS以上であること
を特徴とする、前記(1)または(2)記載の電気電子部品用銅合金材料。
(4)前記銅合金材料が、さらにスズ(Sn)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、鉄(F
e)、ニッケル(Ni)およびマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれる少なくとも
1つを合計で0.05〜1.0mass%含有することを特徴とする、前記(1)〜(3
)のいずれか1項に記載の電気電子部品用銅合金材料。
(5)熱間圧延後に高温再結晶熱処理を一度も行わずに時効熱処理を行い、次いで、冷間
圧延を行うことで製造される、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の電気電子部品
用銅合金材料。
(1)圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な断面の結晶粒の厚さをa、幅をbとし、b/a
で示される扁平率(アスペクト比)δが、2≦δ≦20を満足する電気電子部品用銅合金
材料であって、コバルト(Co)を0.5〜2.5mass%、ケイ素(Si)を0.1
〜1.0mass%含有し、残部が銅(Cu)および不可避不純物であることを特徴とす
る電気電子部品用銅合金材料。
(2)圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な前記断面の結晶径の厚さが0.1〜5μmであ
ることを特徴とする、前記(1)記載の電気電子部品用銅合金材料。
(3)圧延平行方向と圧延垂直方向の引張強度が共に500MPa以上、圧延平行方向と
圧延垂直方向の引張強度の差が50MPa以下、導電率が50%IACS以上であること
を特徴とする、前記(1)または(2)記載の電気電子部品用銅合金材料。
(4)前記銅合金材料が、さらにスズ(Sn)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、鉄(F
e)、ニッケル(Ni)およびマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれる少なくとも
1つを合計で0.05〜1.0mass%含有することを特徴とする、前記(1)〜(3
)のいずれか1項に記載の電気電子部品用銅合金材料。
(5)熱間圧延後に高温再結晶熱処理を一度も行わずに時効熱処理を行い、次いで、冷間
圧延を行うことで製造される、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の電気電子部品
用銅合金材料。
本発明の電気電子部品用銅合金材料は、圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な断面の結晶
粒の厚さをa、幅をbとし、b/aで示される扁平率(アスペクト比)δが、2≦δ≦2
0で、Coを0.5〜2.5mass%、Siを0.1〜1.0mass%含有し、残部
がCuおよび不可避不純物であるため、機械的特性の異方性が小さく、かつ、高強度、高
導電率であり、放熱特性が求められる電気電子部品(例えばLED用途向けのリードフレ
ーム、大電流用途のコネクタ、端子、リレーなど)に適した高性能な銅合金材料を得るこ
とができる。
粒の厚さをa、幅をbとし、b/aで示される扁平率(アスペクト比)δが、2≦δ≦2
0で、Coを0.5〜2.5mass%、Siを0.1〜1.0mass%含有し、残部
がCuおよび不可避不純物であるため、機械的特性の異方性が小さく、かつ、高強度、高
導電率であり、放熱特性が求められる電気電子部品(例えばLED用途向けのリードフレ
ーム、大電流用途のコネクタ、端子、リレーなど)に適した高性能な銅合金材料を得るこ
とができる。
本発明の銅合金材料の好ましい実施形態について、詳細に説明する。
本発明の銅合金材料は、特に形状を特定するものではないが、例えば板材、条材、箔な
どであり、どのような電気電子部品にも用いることができ、その部品は特に限定されるも
のではないが、例えば、リードフレーム、コネクタ、端子、リレーやスイッチなどであり
、特に部品自体に大電流が流れる用途に適する。
本発明の銅合金材料は、特に形状を特定するものではないが、例えば板材、条材、箔な
どであり、どのような電気電子部品にも用いることができ、その部品は特に限定されるも
のではないが、例えば、リードフレーム、コネクタ、端子、リレーやスイッチなどであり
、特に部品自体に大電流が流れる用途に適する。
ここで、本発明における結晶粒の扁平率(アスペクト比)を定義する。合金の結晶粒は
粒界に囲まれており、この結晶粒は、溶体化処理後はほぼ等軸粒であるが、その後の時効
熱処理後の圧延(または時効前に圧延を行うこともある)などの加工で、扁平(変形)す
る。しかし、時効は析出現象を伴う組織変化のため、圧延後の結晶粒ごとに変形挙動が異
なる。そこで、扁平度合いを測定するために、90°に交わる2本の線上で結晶粒の厚さ
と長さを測定することで、その扁平率(アスペクト比)を求めることとする。
粒界に囲まれており、この結晶粒は、溶体化処理後はほぼ等軸粒であるが、その後の時効
熱処理後の圧延(または時効前に圧延を行うこともある)などの加工で、扁平(変形)す
る。しかし、時効は析出現象を伴う組織変化のため、圧延後の結晶粒ごとに変形挙動が異
なる。そこで、扁平度合いを測定するために、90°に交わる2本の線上で結晶粒の厚さ
と長さを測定することで、その扁平率(アスペクト比)を求めることとする。
本発明で用いる結晶粒の測定方法は、圧延方向に平行な断面の組織を機械研磨、鏡面研
磨後にクロム酸水溶液でエッチングして粒界を観察しやすくした後、走査電子顕微鏡(S
EM)の反射電子像観察にて400〜2000倍の倍率で写真撮影を行い、個々の結晶粒
に対して、厚さ(a)、長さ(b)の2方向の距離を測定する。
磨後にクロム酸水溶液でエッチングして粒界を観察しやすくした後、走査電子顕微鏡(S
EM)の反射電子像観察にて400〜2000倍の倍率で写真撮影を行い、個々の結晶粒
に対して、厚さ(a)、長さ(b)の2方向の距離を測定する。
図1に圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な断面の一例を説明するための概略図を示し、
図2に圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な断面の断面組織とそこに観察された結晶粒の厚
さ(a)・長さ(b)の一例を示す。図2の写真は、図1の断面の一部を表す。今回測定
した結晶粒の数は20〜50個で、個々のδ:扁平率(アスペクト比)を求め、平均値を
算出した。そのδは、2≦δ≦20の範囲であることが好ましい。より好ましくは4≦δ
≦16であり、さらに好ましくは8≦δ≦12である。
図2に圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な断面の断面組織とそこに観察された結晶粒の厚
さ(a)・長さ(b)の一例を示す。図2の写真は、図1の断面の一部を表す。今回測定
した結晶粒の数は20〜50個で、個々のδ:扁平率(アスペクト比)を求め、平均値を
算出した。そのδは、2≦δ≦20の範囲であることが好ましい。より好ましくは4≦δ
≦16であり、さらに好ましくは8≦δ≦12である。
また、結晶粒の厚さ(b)を0.1〜5.0μmとしたのは、5.0μmを超えると曲
げ加工したときに曲げ部にシワが発生しやすくなるためである。また、下限を0.1μm
としたのは、これより薄くなると材料が強圧延されることになり、表面欠陥などの不具合
を生じやすくなるためである。なお、結晶粒の厚さ(b)が0.1μmより薄くなれば、
粒界が明確に確認できない結晶粒が多数生じて、その判定に苦慮するためである。結晶粒
の厚さ(b)の範囲は、0.5〜3.0μmが最も好ましい。
げ加工したときに曲げ部にシワが発生しやすくなるためである。また、下限を0.1μm
としたのは、これより薄くなると材料が強圧延されることになり、表面欠陥などの不具合
を生じやすくなるためである。なお、結晶粒の厚さ(b)が0.1μmより薄くなれば、
粒界が明確に確認できない結晶粒が多数生じて、その判定に苦慮するためである。結晶粒
の厚さ(b)の範囲は、0.5〜3.0μmが最も好ましい。
次に、添加元素について述べる。
本発明の銅合金組成では、CoとSiが必須の添加成分である。銅合金中のCoとSi
は、主としてCo2Si金属間化合物の析出物を形成して強度および導電率を向上する。
Coの添加量は、0.5〜2.5mass%であり、好ましくは0.5〜1.5mass
%、さらに好ましくは0.8〜1.4mass%である。また、Siの添加量は0.1〜
1.0mass%であり、好ましくは0.1〜0.5mass%、さらに好ましくは0.
18〜0.35mass%である。
本発明の銅合金組成では、CoとSiが必須の添加成分である。銅合金中のCoとSi
は、主としてCo2Si金属間化合物の析出物を形成して強度および導電率を向上する。
Coの添加量は、0.5〜2.5mass%であり、好ましくは0.5〜1.5mass
%、さらに好ましくは0.8〜1.4mass%である。また、Siの添加量は0.1〜
1.0mass%であり、好ましくは0.1〜0.5mass%、さらに好ましくは0.
18〜0.35mass%である。
銅合金中のCoとSiの添加量をこのように規定する理由は、前記したようにこれらは
主としてCo2Siの金属間化合物の析出物を形成し、析出強化に寄与する。Co量が0
.5mass%未満では析出強化量が小さく、2.5mass%以上ではその効果が飽和
してしまう。また、この化合物の化学量論比から最適な添加比は、Co/Si≒4.2で
あり、この範囲になるようにSiの添加量を定めることが好ましいが、この値を中心にC
o/Siを3.0〜6.0、より好ましくは3.8〜4.6の範囲内になるように調整す
る。なお、Fe、Ni、Crを同時添加する場合は、最適なSi添加量が変わり、そのC
oとの比も変化する。
主としてCo2Siの金属間化合物の析出物を形成し、析出強化に寄与する。Co量が0
.5mass%未満では析出強化量が小さく、2.5mass%以上ではその効果が飽和
してしまう。また、この化合物の化学量論比から最適な添加比は、Co/Si≒4.2で
あり、この範囲になるようにSiの添加量を定めることが好ましいが、この値を中心にC
o/Siを3.0〜6.0、より好ましくは3.8〜4.6の範囲内になるように調整す
る。なお、Fe、Ni、Crを同時添加する場合は、最適なSi添加量が変わり、そのC
oとの比も変化する。
さらに、本発明の銅合金にはSn、Zn、Cr、Fe、NiおよびMgのいずれか1種
または2種以上を添加するのが好ましく、その量は0.05〜1.0mass%、好まし
くは0.2〜0.4mass%である。
または2種以上を添加するのが好ましく、その量は0.05〜1.0mass%、好まし
くは0.2〜0.4mass%である。
これらの中でFe、Ni、Crは主析出相のCoの一部と置換して、(Co、χ)2S
i化合物(χ=Fe、Ni、Cr)を形成して強度を向上させる働きがある。その添加量
は0.01%mass未満では添加の効果が少なく、1.0mass%を超えると、逆に
銅母相に固溶して電気伝導性を阻害したり、強度を向上させる作用をもたない化合物(非
整合析出物)を形成したりするためである。よって、Siとの添加比も変わり、(Co+
χ)/Si≒3.0〜6.0、より好ましくは3.8〜4.6の範囲になるように調整す
ることが好ましい。
i化合物(χ=Fe、Ni、Cr)を形成して強度を向上させる働きがある。その添加量
は0.01%mass未満では添加の効果が少なく、1.0mass%を超えると、逆に
銅母相に固溶して電気伝導性を阻害したり、強度を向上させる作用をもたない化合物(非
整合析出物)を形成したりするためである。よって、Siとの添加比も変わり、(Co+
χ)/Si≒3.0〜6.0、より好ましくは3.8〜4.6の範囲になるように調整す
ることが好ましい。
次に、Sn、Zn、Mgは銅母相に固溶して銅合金を強化する特徴作用があり、強度の
向上に寄与するが、その量は0.01〜1.0mass%、好ましくは0.2〜0.4m
ass%で、0.01mass%未満ではその効果が少なく、1.0mass%を超える
とその効果が飽和するだけでなく、導電性を阻害するためである。なお、Znは半田耐候
性の改善、Mgは応力緩和の改善にも寄与することが分かっている。
もちろん、Fe、Ni、CrとSn、Zn、Mgを制限された範囲で複合添加しても、
上記規定した範囲内であれば、個々の特性を阻害することはない。
向上に寄与するが、その量は0.01〜1.0mass%、好ましくは0.2〜0.4m
ass%で、0.01mass%未満ではその効果が少なく、1.0mass%を超える
とその効果が飽和するだけでなく、導電性を阻害するためである。なお、Znは半田耐候
性の改善、Mgは応力緩和の改善にも寄与することが分かっている。
もちろん、Fe、Ni、CrとSn、Zn、Mgを制限された範囲で複合添加しても、
上記規定した範囲内であれば、個々の特性を阻害することはない。
また、本発明の銅合金材料の特性として、圧延平行方向と圧延垂直方向の引張強度がと
もに500MPa以上であり、かつ圧延平行方向と圧延垂直方向の引張強度の差が50M
Pa以下であることが好ましい。これは、前記したように電子機器の小型化が進む中で、
部品のサイズダウンが著しく、そのため使用される銅合金の板厚が薄くなる傾向があり、
500MPa以上の引張強度が必要と考えられる。なお、強度は高いほど好ましく、より
好ましくは600MPa以上、さらに好ましくは700MPa以上であるが、本合金成分
で銅合金板を製造する実験を行った範囲では、他の特性に悪影響を与えない引張強度の上
限値は約820MPaであった。引張強度をそれ以上の値にすると、材料を強圧延するこ
とが必要となり、材料の表面欠陥を多数発生させ、引張試験が正しくできない場合が生じ
る。なお、これは、圧延垂直方向も同様の理由である。
もに500MPa以上であり、かつ圧延平行方向と圧延垂直方向の引張強度の差が50M
Pa以下であることが好ましい。これは、前記したように電子機器の小型化が進む中で、
部品のサイズダウンが著しく、そのため使用される銅合金の板厚が薄くなる傾向があり、
500MPa以上の引張強度が必要と考えられる。なお、強度は高いほど好ましく、より
好ましくは600MPa以上、さらに好ましくは700MPa以上であるが、本合金成分
で銅合金板を製造する実験を行った範囲では、他の特性に悪影響を与えない引張強度の上
限値は約820MPaであった。引張強度をそれ以上の値にすると、材料を強圧延するこ
とが必要となり、材料の表面欠陥を多数発生させ、引張試験が正しくできない場合が生じ
る。なお、これは、圧延垂直方向も同様の理由である。
次に、導電率を50%IACS以上としたのは、放熱性や高電流端子への使用を考慮し
た結果である。例えば、LED向けリードフレームはその特徴として、高い放熱性が求め
られており、電気自動車やハイブリット自動車に使用される高電流端子は電流を流す目的
の他に、同時に発熱を抑制するためにも導電性の高い材料が望まれている。よって、好ま
しくは55%IACS以上、さらに好ましくは60%IACS以上の材料が求められてい
る。なお、ここでは特に導電率の上限は設けないが、CoおよびSiの添加量をそれぞれ
下限値にした場合の導電率は、約75%IACSである。また、導電率の異方性を本実験
範囲の板材で確認したところ、最大でも≦1%IACSと異方性が小さいことが確認され
たため、圧延平行方向のみの導電率を測定することとした。
た結果である。例えば、LED向けリードフレームはその特徴として、高い放熱性が求め
られており、電気自動車やハイブリット自動車に使用される高電流端子は電流を流す目的
の他に、同時に発熱を抑制するためにも導電性の高い材料が望まれている。よって、好ま
しくは55%IACS以上、さらに好ましくは60%IACS以上の材料が求められてい
る。なお、ここでは特に導電率の上限は設けないが、CoおよびSiの添加量をそれぞれ
下限値にした場合の導電率は、約75%IACSである。また、導電率の異方性を本実験
範囲の板材で確認したところ、最大でも≦1%IACSと異方性が小さいことが確認され
たため、圧延平行方向のみの導電率を測定することとした。
ゆえに、本発明の銅合金材料では、導電率が50%IACS以上、圧延平行方向および
圧延垂直方向の引張強度がともに500MPa以上、かつ圧延平行方向と圧延垂直方向の
引張強度の差が50MPa以下の特性を有するものが好ましい。電気電子機器が小型化・
高性能化を希求するに伴い市場の要求する電気電子部品に必要な最低の導電性と引張強度
を満たすために上記のように規定したことに基づくものである。
圧延垂直方向の引張強度がともに500MPa以上、かつ圧延平行方向と圧延垂直方向の
引張強度の差が50MPa以下の特性を有するものが好ましい。電気電子機器が小型化・
高性能化を希求するに伴い市場の要求する電気電子部品に必要な最低の導電性と引張強度
を満たすために上記のように規定したことに基づくものである。
また、本発明の銅合金材料は、熱間圧延後に高温再結晶熱処理を一度も行わずに時効熱
処理を行い、次いで、冷間圧延を行う製造法を採用して製造することが好ましい。この製
法が、圧延平行方向と圧延垂直方向の引張強度の差が最も小さい材料を製造することが確
認された。一般の析出強化型銅合金の製造方法は最終材料までの間に1回以上の再結晶処
理(溶体化処理)を行うが、それだけでは、次いで行われる時効工程後に引張強度の異方
性が顕著に現れる。よって、再結晶処理を一度も行わず、熱間圧延後に冷間圧延を行って
時効処理を施し、最終冷間圧延を行う工程が最適である。熱間圧延後の冷間加工率は90
%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。また、時効後
の最終冷間加工率は逆に圧延垂直方向の強度が高くなるので、50%以下、より好ましく
は30%以下、さらに好ましくは20%以下である。
処理を行い、次いで、冷間圧延を行う製造法を採用して製造することが好ましい。この製
法が、圧延平行方向と圧延垂直方向の引張強度の差が最も小さい材料を製造することが確
認された。一般の析出強化型銅合金の製造方法は最終材料までの間に1回以上の再結晶処
理(溶体化処理)を行うが、それだけでは、次いで行われる時効工程後に引張強度の異方
性が顕著に現れる。よって、再結晶処理を一度も行わず、熱間圧延後に冷間圧延を行って
時効処理を施し、最終冷間圧延を行う工程が最適である。熱間圧延後の冷間加工率は90
%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。また、時効後
の最終冷間加工率は逆に圧延垂直方向の強度が高くなるので、50%以下、より好ましく
は30%以下、さらに好ましくは20%以下である。
次に、本発明の銅合金材料を得るのに好ましい製造工程は、例えば次のような工程であ
る。その概略は、溶解→鋳造→熱間圧延→面削→冷間圧延→時効熱処理→最終冷間圧延→
低温焼鈍である。なお、低温焼鈍は必要に応じて行い、時効熱処理後冷却速度は、時効保
持温度から300℃までの平均冷却速度は1〜50℃/分で行うことが好ましい。その理
由は、析出状態をさらに良好にするためである。
る。その概略は、溶解→鋳造→熱間圧延→面削→冷間圧延→時効熱処理→最終冷間圧延→
低温焼鈍である。なお、低温焼鈍は必要に応じて行い、時効熱処理後冷却速度は、時効保
持温度から300℃までの平均冷却速度は1〜50℃/分で行うことが好ましい。その理
由は、析出状態をさらに良好にするためである。
さらに、熱間圧延の前の鋳塊の再熱処理の条件は、鋳造時の凝固組織の均質化を目的に
、温度800〜1030℃で1〜10時間とすることが好ましい。その理由は、800℃
より低い温度では凝固組織(柱状晶、その粒内のデンドライト(樹枝状晶))を消失させる
ことができず、金属組織内に欠陥を生じる。一方、1030℃より高い温度では、融点直
下となり部分溶融が生じるため圧延することができない。また、再熱時間を1時間以上は
凝固組織の均質化に必要で、10時間より長くても効果が飽和し、工業的に無駄である。
なお、低温焼鈍の目的は伸びとバネ性の回復であり、結晶粒径は変化せず、わずかに機
械的特性(強度)が低下するだけである。
、温度800〜1030℃で1〜10時間とすることが好ましい。その理由は、800℃
より低い温度では凝固組織(柱状晶、その粒内のデンドライト(樹枝状晶))を消失させる
ことができず、金属組織内に欠陥を生じる。一方、1030℃より高い温度では、融点直
下となり部分溶融が生じるため圧延することができない。また、再熱時間を1時間以上は
凝固組織の均質化に必要で、10時間より長くても効果が飽和し、工業的に無駄である。
なお、低温焼鈍の目的は伸びとバネ性の回復であり、結晶粒径は変化せず、わずかに機
械的特性(強度)が低下するだけである。
次に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定される
ものではない。
ものではない。
(実施例1)
本発明の実施例(本発明例および比較例)に用いた銅合金は、表1、2に示した成分を
含有し、残部がCuと不可避不純物から成る合金(本発明例No.1〜35、比較例No
.101〜123)である。これらの各合金を高周波溶解炉により溶解し、これらを10
〜30℃/秒の冷却速度で鋳造して厚さ30mm、幅100mm、長さ150mmの鋳塊
を得た。
得られた鋳塊を温度800〜1030℃で1〜10時間の保持(=再熱処理)後、熱間
圧延を行い板厚t≒12mmの熱延板を作製し、その両面を各約1mm面削して板厚t≒
10mmとし、次いで冷間圧延により板厚t=0.4〜0.15mmに仕上げた。
次いで、t=0.4〜0.15mmの板材を表1〜表2に示す温度400〜600℃で
1〜5時間の時効熱処理を行った後、5〜50%の最終圧延を行って銅合金材料を作製し
た。このとき、時効温度から300℃までの平均冷却速度を測定した。また、必要に応じ
て、最終圧延後、温度200〜350℃で0.5〜3時間の低温焼鈍を行って特性を試験
した。
本発明の実施例(本発明例および比較例)に用いた銅合金は、表1、2に示した成分を
含有し、残部がCuと不可避不純物から成る合金(本発明例No.1〜35、比較例No
.101〜123)である。これらの各合金を高周波溶解炉により溶解し、これらを10
〜30℃/秒の冷却速度で鋳造して厚さ30mm、幅100mm、長さ150mmの鋳塊
を得た。
得られた鋳塊を温度800〜1030℃で1〜10時間の保持(=再熱処理)後、熱間
圧延を行い板厚t≒12mmの熱延板を作製し、その両面を各約1mm面削して板厚t≒
10mmとし、次いで冷間圧延により板厚t=0.4〜0.15mmに仕上げた。
次いで、t=0.4〜0.15mmの板材を表1〜表2に示す温度400〜600℃で
1〜5時間の時効熱処理を行った後、5〜50%の最終圧延を行って銅合金材料を作製し
た。このとき、時効温度から300℃までの平均冷却速度を測定した。また、必要に応じ
て、最終圧延後、温度200〜350℃で0.5〜3時間の低温焼鈍を行って特性を試験
した。
この得られた各銅合金材料の供試材について下記の特性調査を行い、得られた結果を表
1、2に示した。この供試材について下記の特性試験を行い、その結果を表1、2に記し
た。
1、2に示した。この供試材について下記の特性試験を行い、その結果を表1、2に記し
た。
a.導電率
圧延平行方向から試験片を切り出し、20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で四端
子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。
b.引張強度
圧延平行方向と圧延垂直方向からそれぞれ切り出したJIS Z 2201−13B号
の試験片をJIS Z 2241に準じて各3本測定しその平均値を示した。
c.結晶粒の厚さと長さ
結晶粒の測定は、JIS H 0501(切断法)に準拠して測定した。板材の厚さ方
向に平行でかつ最終冷間圧延方向(最終塑性加工方向)と平行な断面において、最終冷間
圧延方向と平行な結晶粒を測定した。圧延平行方向に伸びている長さの測定値をa、板厚
方向の測定値をbとし、それぞれのaとbのδ=a/bの整数倍に丸めて示した。なお、
観察方法として、湿式研磨、バフ研磨により鏡面に仕上げた後、クロム酸:水=1:1の
液で数秒研磨面を腐食した後、走査型電子顕微鏡(SEM)の反射電子像を用いて400
〜2000倍の倍率で写真をとり、その写真から判定した。
d.冷却速度
時効熱処理時の冷却速度の測定はサンプルにK熱電対(JIS C1602−1995
参照)を装着して実測した。その際、冷却速度を変えるには、同時に熱処理する量を増減
したり、または、ダミーとして銅板に挟んだりして調整を行った。時効温度から300℃
までの冷却は電気炉の加熱帯を入れたまま行い、300℃以下になったら、加熱帯を炉か
ら取り出して自然冷却した。また、80℃以下になったら不活性ガス中から大気中に取り
出して放冷却した。なお、熱処理はアルゴンまたは窒素ガスの不活性ガス中で実施した。
e.鋳塊の再熱温度
熱間圧延前の大気電気炉に鋳塊を入れたときに、K熱電対を針金で留めて実測し、熱間
圧延直前に取り外して、熱間圧延を行った。その熱電対で測定された所望の温度(±10
℃)での保持時間を記録した。
圧延平行方向から試験片を切り出し、20℃(±0.5℃)に保たれた恒温漕中で四端
子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。
b.引張強度
圧延平行方向と圧延垂直方向からそれぞれ切り出したJIS Z 2201−13B号
の試験片をJIS Z 2241に準じて各3本測定しその平均値を示した。
c.結晶粒の厚さと長さ
結晶粒の測定は、JIS H 0501(切断法)に準拠して測定した。板材の厚さ方
向に平行でかつ最終冷間圧延方向(最終塑性加工方向)と平行な断面において、最終冷間
圧延方向と平行な結晶粒を測定した。圧延平行方向に伸びている長さの測定値をa、板厚
方向の測定値をbとし、それぞれのaとbのδ=a/bの整数倍に丸めて示した。なお、
観察方法として、湿式研磨、バフ研磨により鏡面に仕上げた後、クロム酸:水=1:1の
液で数秒研磨面を腐食した後、走査型電子顕微鏡(SEM)の反射電子像を用いて400
〜2000倍の倍率で写真をとり、その写真から判定した。
d.冷却速度
時効熱処理時の冷却速度の測定はサンプルにK熱電対(JIS C1602−1995
参照)を装着して実測した。その際、冷却速度を変えるには、同時に熱処理する量を増減
したり、または、ダミーとして銅板に挟んだりして調整を行った。時効温度から300℃
までの冷却は電気炉の加熱帯を入れたまま行い、300℃以下になったら、加熱帯を炉か
ら取り出して自然冷却した。また、80℃以下になったら不活性ガス中から大気中に取り
出して放冷却した。なお、熱処理はアルゴンまたは窒素ガスの不活性ガス中で実施した。
e.鋳塊の再熱温度
熱間圧延前の大気電気炉に鋳塊を入れたときに、K熱電対を針金で留めて実測し、熱間
圧延直前に取り外して、熱間圧延を行った。その熱電対で測定された所望の温度(±10
℃)での保持時間を記録した。
表1からわかるように、本発明例No.1〜35の銅合金材は、いずれも引張強度の異
方性が小さくなり、引張強度が500MPa以上、かつ導電率50%IACS以上となっ
た。一方、表2からわかるように、比較例101〜123の銅合金材は、本発明で必要と
される条件を満たさないため、特性が本発明例より劣る結果となり、組織欠陥、表面欠陥
、割れが発生するものもあった。
方性が小さくなり、引張強度が500MPa以上、かつ導電率50%IACS以上となっ
た。一方、表2からわかるように、比較例101〜123の銅合金材は、本発明で必要と
される条件を満たさないため、特性が本発明例より劣る結果となり、組織欠陥、表面欠陥
、割れが発生するものもあった。
Claims (5)
- 圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な断面の結晶粒の厚さをa、幅をbとし、b/aで示
される扁平率(アスペクト比)δが、2≦δ≦20を満足する電気電子部品用銅合金材料
であって、コバルト(Co)を0.5〜2.5mass%、ケイ素(Si)を0.1〜1
.0mass%含有し、残部が銅(Cu)および不可避不純物であることを特徴とする電
気電子部品用銅合金材料。 - 圧延方向に平行かつ圧延面に垂直な前記断面の結晶径の厚さが0.1〜5μmであるこ
とを特徴とする、請求項1記載の電気電子部品用銅合金材料。 - 圧延平行方向と圧延垂直方向の引張強度が共に500MPa以上、圧延平行方向と圧延
垂直方向の引張強度の差が50MPa以下、導電率が50%IACS以上であることを特
徴とする、請求項1または請求項2記載の電気電子部品用銅合金材料。 - 前記銅合金材料が、さらにスズ(Sn)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、鉄(Fe)
、ニッケル(Ni)およびマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれる少なくとも1つ
を合計で0.05〜1.0mass%含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれ
か1項に記載の電気電子部品用銅合金材料。 - 熱間圧延後に高温再結晶熱処理を一度も行わずに時効熱処理を行い、次いで、冷間圧延
を行うことで製造される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気電子部品用銅合金材
料。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009164133A JP2011017070A (ja) | 2009-07-10 | 2009-07-10 | 電気電子部品用銅合金材料 |
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---|---|---|---|---|
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CN116240423A (zh) * | 2023-02-22 | 2023-06-09 | 河南科技大学 | 具有高密度孪晶与低失配度析出相的铜合金及其制备方法 |
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-
2009
- 2009-07-10 JP JP2009164133A patent/JP2011017070A/ja active Pending
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