JP2011016883A - 白色遮蔽度評価方法、白色インクの製造方法、白色インクの製造支援装置及び白色印刷物の製造方法 - Google Patents

白色遮蔽度評価方法、白色インクの製造方法、白色インクの製造支援装置及び白色印刷物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】白色インク印刷物の白さの定義として、新たな定義として「白色遮蔽度」を「L値」と「可視光領域における透過率の積分値」の相互に関連した数値である「(L値−α)/積分値×1000」(以降LS値(Lightness Shielding)と称する。)(αは、60〜70の間の予め設定された数値)を用いて白色遮蔽度を評価する新たな白色遮蔽度評価方法を提供する。
【解決手段】白色印刷物の白色遮蔽度を求めて評価する白色遮蔽度評価方法であって、前記白色印刷物のL値を測定するステップと、前記白色印刷物の可視光線領域における透過率の積分値を求めるステップと、前記L値及び積分値から白色遮蔽度を求めるステップとを含む白色遮蔽度評価方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、白色インクによる白色インク印刷物に関するものであり、特に、インク吸収性のない透明な基材に対して印刷された白色印刷物の白色遮蔽度を評価する新たな白色遮蔽度評価方法を提供すると共に、白色遮蔽度に基づいて白色インクの製造をする白色インクの製造方法、白色インク印刷物の記録方法、白色インクの製造支援装置及び白色インク印刷物の製造方法に関する。
インクジェット記録方法は、比較的簡単な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。また、使用される用途も多岐にわたり、それぞれの目的にあった記録媒体あるいはインクが使用される。
そして、白色インクを使用した白色インク印刷物の評価の指標としては、L値(反射光による光の明るさを表す度合い)を用いるのが普通であった。
また、従来から酸化チタン等の白色色材(顔料)を用いて視認性をあげることが行われている。しかし、カラー画像のドット部分はインク層が厚くなり、白色層を介した活性エネルギー線照射による硬化が十分進まず、カラーインク層の硬化不良によるカラーブリード等が発生する要因となっていた。
白色インクに関するものとして、透明な記録媒体や明度が低い記録媒体に対しても良好な視認性および階調再現性を有するインクジェット記録方法が知られている。(特許文献1参照)
上記特許文献1には、以下の記載がなされている。
被記録媒体上に画像を見る場合に、階調再現手段を有したインクジェットプリンターを用いて被記録媒体上に白色インクで白画像を形成し、その上にカラーインクを用いて階調性のあるカラー画像を正像で形成する。
また、被記録媒体を介して画像を見る場合には、まず被記録媒体上にカラーインクを用いて階調性のあるカラー画像を逆像で形成し、その上に白色インクで白画像の形成を行う。
このような場合に、カラー画像の良好な発色性および階調性を得るためには、透過濃度が0.15以上で、かつL値が65以上の白色インク層が好ましい。
より好ましくは透過濃度が0.2以上で、かつL値が70以上である。これより低い場合や白色インク層がない場合、被記録媒体とカラー画像間のコントラストが取れず、視認性が悪くなったり、特に低濃度領域では階調性が得られず画質劣化を招いてしまう。特に上限はないが、インク製造上高濃度とし得るレベルとして、透過濃度としては0.5以下、L値として100以下である。
以上の如く、特許文献1に記載の発明は、カラー画像の良好な発色性および階調性を得るためには、透過濃度が0.15以上で、かつL値が65以上、より好ましくは透過濃度が0.2以上で、かつL値が70以上という記載からみて、透過濃度及びL値の双方がより高いものを特定しているものである。
特開2003−182061号公報
上記特許文献1に記載の白色インクはカラー画像の良好な発色性および階調性を得るための限定である。
本出願人は、従来の白色印刷物の評価の指標としては、L値(反射光による光の明るさを表す度合い)を用いるのが普通であったが、白色印刷物の遮蔽性(遮蔽度)は、L値が同じでも、異なって見えることが多く、それは白インクに用いる樹脂の種類及び含有量によって異なるという知見を見い出した。
本発明の課題(目的)は、白色印刷物の遮蔽性は、L値が同じでも、異なって見えることが多いという知見に基づいて、白色インク印刷物の白さの定義として、新たな定義として「白色遮蔽度」を「L値」と「可視光領域における透過率の積分値」の相互に関連した数値である「(L値−α)/積分値×1000」(以降LS値(Lightness Shielding)と称する。)を用いて白色遮蔽度を評価する新たな白色遮蔽度評価方法を提供すると共に、当該白色遮蔽度に基づいて白色インクの製造をする白色インクの製造方法、白色インクの製造支援装置及び白色印刷物の製造方法を提供することにある。
本発明の白色遮蔽度評価方法は、白色印刷物の白色遮蔽度を求めて評価する白色遮蔽度評価方法であって、前記白色印刷物のL値を測定するステップと、前記白色印刷物の可視光線領域における透過率の積分値を求めるステップと、前記L値及び積分値から白色遮蔽度を求めるステップとを含むことを特徴とする。
また、前記透過率の積分値は、波長が380nm〜700nmにおける透過率の積分値であることを特徴とする。
また、前記白色印刷物は、透明メディアに白色インクで記録された印刷物であって、前記白色遮蔽度(LS値)は、「(L値−α)/積分値×1000」であることを特徴とする。
前記αは、予め設定した数値(60〜70の間の数値)で、白色領域におけるL値の変化分の影響を高めるためであって、「65」が好ましいが、必ずしもこの数値である必要はなく、他の数値を用いても良い。
また、前記白色遮蔽度(LS値)を、所定の数値以上であるか否かで、複数のレベル(AA,A,B,C,D)に評価することを特徴とする。
また、前記白色インクは、少なくとも色材、定着樹脂を含むことを特徴とする。
また、前記色材は、二酸化チタン粒子又は中空樹脂微粒子であることを特徴とする。
本発明の白色インクの製造方法は、色材種類入力手段と、白色遮蔽度設定手段と、前記色材に応じた定着樹脂種類と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを格納した記憶部と、演算処理部とを具備した白色インク製造支援装置を使用するインクの製造方法であって、色材の種類を決定するステップと、希望白色遮蔽度を設定するステップと、設定された白色遮蔽度の数値に応じて、予め格納された前記テーブルを参照して、定着樹脂の種類を決定するステップとを含むことを特徴とする。
また、前記テーブルは、製造された白色インクによる白色印刷物の白色遮蔽度を測定することによって、内容が追加更新されることを特徴とする。
本発明の白色インクの製造支援装置は、少なくとも色材、定着樹脂を含む白色インクの製造支援装置であって、使用色材種類入力手段と、希望白色遮蔽度設定手段と、色材毎の定着樹脂種類と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを格納する記憶部と、設定された白色遮蔽度の数値に応じて、前記テーブルを参照して、定着樹脂の種類を決定する演算手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の白色印刷物の製造方法は、白色インクの製造法で製造された白色インクを使用して、白色遮蔽度(LS値)として予め設定された、「(L値−α)/積分値×1000」で印刷された白色印刷物の製造方法であることを特徴とする。
前記αは、予め設定した数値(60〜70間の数値)で、白色領域におけるL値の変化分の影響を高めるためであって、「65」が好ましいが、必ずしもこの数値である必要はなく、他の数値を用いても良い。
本発明によれば、白色印刷物の遮蔽性の新たな定義として「白色遮蔽度」を「L値」と「可視光領域における透過率の積分値」の相互に関連した数値である「(L値−α)/積分値×1000」と定義すると共に、定義された白色遮蔽度を用いて白色遮蔽度を評価する新たな白色遮蔽度評価方法を実現すると共に、当該白色遮蔽度に基づいて白色インクの製造をする白色インクの製造方法、白色インクの製造支援装置及び白色インク印刷物の製造方法を実現することができる。
本発明の白色印刷物の白色遮蔽度を求めて評価する白色遮蔽度評価方法の基本的な動作を説明するフローチャートである。 本発明の白色インク組成物の製造支援装置の構成を示す図である。 本発明の白色インクの製造方法における定着樹脂の種類を決定する詳細な動作を説明するフローチャートである。 表1は、前記白色遮蔽度(LS値)の評価が、複数のレベル(AA,A,B,C,D,E)になる代表例を示すものである。 表2は、図4の樹脂例2−1の遮蔽度(評価)がBになる他の実施例を示す。 表3は、図4の樹脂例3−1の遮蔽度(評価)がAになる他の実施例を示す。 表4は、図4の樹脂例4−1の遮蔽度(評価)がAAになる他の実施例を示す。 色材として二酸化チタンを使用した際の、定着樹脂の種類と見た目(レベル)及び定着樹脂の組成との関係を規定したテーブルの1例である。 色材として二酸化チタンを使用した際の、定着樹脂の種類とL値、積分値、見た目(レベル)及び白色遮蔽度(LS値)との関係を規定したテーブルの1例である。
本発明を実施するための形態は、以下のとおりである。
本発明の白色遮蔽度評価方法は、白色印刷物のL値を測定するステップと、前記白色印刷物の可視光線領域における透過率の積分値を求めるステップと、前記L値及び積分値から白色遮蔽度を求めるステップとを含み、白色印刷物の白色遮蔽度を求めて評価する。
本発明において、「白色遮蔽度」は、透明メディアに白色インクで印刷された印刷物を蛍光灯の光を透かして見た際の、蛍光灯の光の見える度合いで白色遮蔽度の評価を1例としてAA,A,B,C,D,Eの6段階に評価している。
本発明の白色インクの製造方法は、以下のとおりである。
色材の種類を決定するステップと、希望白色遮蔽度を設定するステップと、設定された白色遮蔽度の数値に応じて、予め格納された色材に応じて定着樹脂と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを参照して、定着樹脂の種類を決定するステップとを含むことを特徴とする。
本発明の白色インクの製造支援装置は、以下のとおりである。
使用する色材の種類を入力する色材種類入力手段と、希望白色遮蔽度を設定する白色遮蔽度設定手段と、定着樹脂種類と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルと、設定された白色遮蔽度の数値に応じて、前記テーブルを参照して、定着樹脂の種類を決定する手段とを備えたことを特徴とする。
1.白色インク組成物
1.1 色材
本発明の実施形態にかかる白色インク組成物は、白色色材としては、例えば、金属化合物又は中空樹脂粒子を含んでいることが好ましい。
本発明における金属化合物としては、顔料として使用可能な金属原子含有化合物であれば特に限定されることがなく、好ましくは、従来から白色顔料として用いられている金属酸化物、硫酸バリウムや炭酸カルシウムが挙げられる。金属酸化物としては、特に制限されないが、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。本発明における金属化合物としては、中でも二酸化チタン、アルミナが好ましい。
上記金属化合物の含有量は、白色インク組成物の全質量に対して、好ましくは1.0〜20.0質量%であり、より好ましくは5.0〜10.0質量%である。金属酸化物の含有量が20.0質量%を超えると、インクジェット式記録ヘッドの目詰まりなど信頼性を損なうことがある。一方、1.0質量%未満であると、白色度等の色濃度が不足する傾向にある。
金属化合物の平均粒子径(外径)は、好ましくは30〜600nmであり、より好ましくは200〜400nmである。外径が600nmを超えると、粒子が沈降するなどして分散安定性を損なうことがあり、またインクジェット式記録ヘッドの目詰まりなど信頼性を損なうことがある。一方、外径30nm未満であると、白色度等の色濃度が不足する傾向にある。
金属化合物の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置として、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)を用いることができる。
本発明における中空樹脂粒子としては、その内部に空洞を有しており、その外殻が液体透過性を有する樹脂から形成されていることが好ましい。かかる構成により、中空樹脂粒子が水性インク組成物中に存在する場合には、内部の空洞は水性媒質で満たされることになる。水性媒質で満たされた粒子は、外部の水性媒質とほぼ等しい比重を有するため、水性インク組成物中で沈降することなく分散安定性を保つことができる。これにより、白色インク組成物の貯蔵安定性や吐出安定性を高めることができる。
また、中空樹脂粒子を含む白色インク組成物を、紙その他の記録媒体上に吐出させると、粒子の内部の水性媒質が乾燥時に抜けることにより空洞となる。粒子が内部に空気を含有することにより、粒子は屈折率の異なる樹脂層および空気層を形成し、入射光を効果的に散乱させるため、白色を呈することができる。尚、中空樹脂粒子を形成する樹脂層を光透過性を残した状態で着色することで、白色以外の色を呈することも可能である。
本発明で用いられる中空樹脂粒子は、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。例えば、米国特許第4,880,465号や特許第3,562,754号などの明細書に記載されている中空樹脂粒子を好ましく用いることができる。
中空樹脂粒子の平均粒子径(外径)は、好ましくは0.2〜1.0μmであり、より好ましくは0.4〜0.8μmである。外径が1.0μmを超えると、粒子が沈降するなどして分散安定性を損なうことがあり、またインクジェット式記録ヘッドの目詰まりなど信頼性を損なうことがある。一方、外径が0.2μm未満であると、白色度等の色濃度が不足する傾向にある。また、内径は、0.1〜0.8μm程度が適当である。
中空樹脂粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置として、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)を用いることができる。
上記中空樹脂粒子の含有量(固形分)は、白色インク組成物の全質量に対して、好ましくは5〜20質量%であり、より好ましくは8〜15質量%である。中空樹脂粒子の含有量(固形分)が20質量%を超えると、インクジェット式記録ヘッドの目詰まりなど信頼性を損なうことがある。一方、5質量%未満であると、白色度等の色濃度が不足する傾向にある。
上記中空樹脂粒子の調製方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を適用することができる。中空樹脂粒子の調製方法として、例えば、ビニルモノマー、界面活性剤、重合開始剤、および水系分散媒を窒素雰囲気下で加熱しながら撹拌することにより中空樹脂粒子エマルジョンを形成する、いわゆる乳化重合法を適用することができる。
ビニルモノマーとしては、非イオン性モノエチレン不飽和モノマーが挙げられ、例えば、スチレン、ビニルトルエン、エチレン、ビニルアセテート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、ビニルモノマーとして、二官能性ビニルモノマーを用いることもできる。二官能性ビニルモノマーとして、例えば、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタン−ジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが挙げられる。上記単官能性ビニルモノマーと上記二官能性ビニルモノマーとを共重合させて高度に架橋することにより、光散乱特性だけでなく、耐熱性、耐溶剤性、溶剤分散性などの特性を備えた中空樹脂粒子を得ることができる。
界面活性剤としては、水中でミセルなどの分子集合体を形成するものであればよく、例えば、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
重合開始剤としては、水に可溶な公知の化合物を用いることができ、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウムなどが挙げられる。
水系分散媒としては、例えば、水、親水性有機溶媒を含有する水などが挙げられる。
1.2 定着樹脂
本発明の実施形態にかかる白色インク組成物は、色材を定着させるための定着樹脂を含むことが好ましい。
かかる定着樹脂としては、透明樹脂であれば特に限定されることはないが、アクリルスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、またはワックスが挙げられる。中でも、より高い白色遮蔽度にためにはポリウレタン系樹脂が好ましく、カーボネート系またはエーテル系の脂肪族ウレタン樹脂が特に好ましい。
本発明におけるポリウレタン樹脂としては、溶媒中に粒子状で分散されたエマルジョンタイプ、溶媒中に溶解した状態で存在している溶液タイプのいずれのタイプを用いてもよい。また、エマルジョンタイプは、その乳化方法によって強制乳化型と自己乳化型に分類することができるが、本発明においてはいずれの型式でも用いることができるが、好ましくは自己乳化型である。自己乳化型のディスパージョンは、強制乳化型に比べ、造膜性や耐水性に優れるためである。
ポリウレタン樹脂として上記のエマルジョンタイプを適用した場合、ポリウレタン樹脂の平均粒子径は、好ましい50〜200nmであり、より好ましくは60〜200nmである。ポリウレタンの樹脂の平均粒子径が上記範囲にあると、白色インク組成物中においてポリウレタン樹脂粒子を均一に分散させることができる。
上記ポリウレタン樹脂の含有量(固形分)は、インク組成物の全重量に対して、好ましくは0.5〜10重量%であり、より好ましくは0.5〜5重量%である。ポリウレタン樹脂の含有量が10重量%を超えると、インクの信頼性(目詰まりや吐出安定性など)を損なうことがあり、インクとしての適切な物性(粘度など)が得られないことがある。一方、0.5重量%未満であると、記録媒体上におけるインクの定着性に優れず、耐擦性に優れた画像を形成することができない。
1.3 浸透性有機溶剤
本発明の実施形態にかかる白色インク組成物は、アルカンジオールおよびグリコールエーテルから選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。アルカンジオールやグリコールエーテルは、記録媒体などの被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。
アルカンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールなどの炭素数が4〜8の1,2−アルカンジオールであることが好ましい。この中でも炭素数が6〜8の1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールは、記録媒体への浸透性が特に高いため、より好ましい。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテルを挙げることができる。この中でも、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いると良好な記録品質を得ることができる。
これらのアルカンジオールおよびグリコールエーテルから選択される少なくとも1種の含有量は、白色インク組成物の全質量に対して、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
1.4 界面活性剤
本発明の実施形態にかかる白色インク組成物は、アセチレングリコール系界面活性剤またはポリシロキサン系界面活性剤を含有することが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤またはポリシロキサン系界面活性剤は、記録媒体などの被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品を利用することもでき、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(以上、日信化学社製)、サーフィノール104、82、465、485、TG(以上、Air Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。
ポリシロキサン系界面活性剤としては、市販品を利用することができ、例えば、BYK−347、BYK−348(ビックケミー・ジャパン社製)などが挙げられる。
さらに、本発明の実施形態にかかる白色インク組成物は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などのその他の界面活性剤を含有することもできる。
上記界面活性剤の含有量は、白色インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。
1.5 多価アルコール
本発明の実施形態にかかる白色インク組成物は、多価アルコールを含有することが好ましい。多価アルコールは、本発明の白色インク組成物をインクジェット式記録装置に適用した場合に、インクの乾燥を抑制し、インクジェット式記録ヘッド部分におけるインクの目詰まりを防止す
ることができる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
上記多価アルコールの含有量は、白色インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.1〜30質量%であり、より好ましくは0.5〜20質量%である。
1.6 第三級アミン
本発明の実施形態にかかる白色インク組成物は、第三級アミンを含有することが好ましい。第三級アミンは、pH調整剤としての機能を有し、白色インク組成物のpHを容易に調整することができる。
第三級アミンとしては、例えば、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
上記第三級アミンの含有量は、白色インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜2質量%である。
1.7 溶剤および添加剤
本発明の実施形態にかかる白色インク組成物は、通常溶媒として水を含有する。水は、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を紫外線照射または過酸化水素添加などにより滅菌処理した水は、長期間に亘りカビやバクテリアの発生を抑制することができるので好ましい。
本発明の実施形態にかかる白色インク組成物は、必要に応じて、水溶性ロジンなどの定着剤、安息香酸ナトリウムなどの防黴剤・防腐剤、アロハネート類などの酸化防止剤・紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤などの添加剤を含有させることができる。これらの添加剤は、1種単独で用いることもできるし、もちろん2種以上組み合わせて用いることもできる。
1.8 調整方法
本発明の実施形態にかかる白色インク組成物は、従来公知の装置、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミルなどを使用して、従来の顔料インクと同様に調製することができる。調製に際しては、メンブランフィルターやメッシュフィルターなどを用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
本発明の実施形態にかかる白色インク組成物は、各種記録媒体に塗布することにより白色画像を形成することができる。記録媒体としては、例えば、紙、厚紙、繊維製品、シートまたはフィルム、プラスチック、ガラス、セラミックスなどが挙げられる。
本発明の実施形態にかかる白色インク組成物は、その用途は特に限定されないが、各種インクジェット記録方式に適用することができる。インクジェット記録方式としては、例えば、サーマルジェット式インクジェット、ピエゾ式インクジェット、連続インクジェット、ローラーアプリケーション、スプレーアプリケーションなどが挙げられる。
上述のインク組成物を組み合わせた白色インクを製造した際の白色インクの白色遮蔽度を測定することによって、9のテーブル内容を更新して、テーブルの内容をより豊富にすることによって、希望する白色遮蔽度の種々の材料を使用した白色インクの製造が可能になる。
本発明の白色印刷物の白色遮蔽度を求めて評価する白色遮蔽度評価方法の実施例の1例の基本的な動作を図1のフローチャートを用いて説明する。
・白色インクによって印刷された白色印刷物のL値を測定する。(ステップS1)
・前記白色印刷物の可視光線領域における透過率の積分値を求める。(ステップS2)
・ステップS1及びS2で求めた、L値及び積分値から白色遮蔽度を求める。(ステップS3)
L*値の測定は、市販の黒が基板となっている測色機、例えばGretag Macbeth SpetroscanおよびSpectrolino(X-Rite社製)を用いて、印刷、測色を行なった。
白の印刷には記載の白色インク組成物を、インクジェットプリンタ(「PX−G930」セイコーエプソン株式会社製)の専用カートリッジのバイオレット室に充填した。このようにして作製されたインクカートリッジをプリンタに装着し、印刷試験を行った。
次いで、出力はルミラー S10−100μm(東レ社製)に対して、1440×720dpiの解像度で行った。
本明細書において、「duty」とは、下式で算出される値である。
duty(%)=実印字ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実印字ドット数」は単位面積当たりの実印字ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。100%dutyとは、画素に対する単色の最大インク質量を意味する。)
また、サンプル白色印刷物の透過率の積分は、可視光線領域(例えば、380nm〜700nm)における透過率の積分値である。なお、本実施例では上記所定の波長範囲としたが、可視光線領域内における他の所定の波長範囲としてもよく、その場合、LS値と基準レベルとの対応つけも本実施例とは異なるものとすればよい。
透過率の積分値は、本発明では以下の方法で求める。
サンプル白色印刷物を透過した光を分光光度計によって可視光線領域(本発明では、380nm〜700nm)を1nm間隔の各波長について計測し、計測された値は0〜100の範囲の値(単位は%)として出力される。
計測された値を積分することによって透過率の積分値(以下、単に積分値という)が得られる。
得られる積分値は、0〜32000の間の数値で、完全な遮蔽では0、完全な透過では32000となる。
上記計測では、分光光度計を使用して計測しているが、反射型計測による反射率の計測で求めても良い。
・L値及び積分値から白色遮蔽度を求める式は、以下のとおりである。
白色遮蔽度(LS値)=(L値−α)/積分値×1000
ここで、L値からαを引いているのは、白色領域におけるL値の変化分の影響を高めるためであって、前記αは、予め設定した数値(60〜70の間の数値)で、「65」が好ましいが、必ずしもこの数値である必要はなく、他の数値を用いても良い。
本実施例では、ステップS3で求めた白色遮蔽度(LS値)の評価は、所定の数値以上であるか否かで、判断する。
即ち、白色遮蔽度を、観測者の目視による官能評価の結果に対応した複数のレベル(AA,A,B,C,D,E)に設定し、各レベルに対応した白色遮蔽度の数値を実測に基づき設定する。
前記レベル(AA,A,B,C,D,E)の基準(程度)は以下のとおりである。
・白色遮蔽度 E:蛍光灯の光を透かして見た際に、白色印刷物ではなく、完全に蛍光灯の光が見える程度
・白色遮蔽度 D:蛍光灯の光を透かして見た際に、白色印刷物ではあるがはっきり蛍光灯の光が見える程度
・白色遮蔽度 C:蛍光灯の光を透かして見た際に、蛍光灯の光がはっきり見えるがやや曇った程度
・白色遮蔽度 B:蛍光灯の光を透かして見た際に、蛍光灯の光が見えるがかなり曇った程度
・白色遮蔽度 A:蛍光灯の光を透かして見た際に、蛍光灯の光がほとんど見えない程度
・白色遮蔽度AA:蛍光灯の光を透かして見た際に、蛍光灯の光が全く見えない程度
本明細書では、レベル(AA,A,B,C,D,E)の白色遮蔽度(LS値)閾値を以下のとおりで説明しているが、必ずしもその数値である必要はない。また、観測者の目視による官能評価の結果によるレベルも上記6種のレベルに限定される必要はない。
・白色遮蔽度 Eは、透明メディア(白色印刷物ではない)
・白色遮蔽度 Dは、LS値が0より大きく54未満の白色印刷物
・白色遮蔽度 Cは、LS値が54以上の白色印刷物
・白色遮蔽度 Bは、LS値が64以上の白色印刷物
・白色遮蔽度 Aは、LS値が82以上の白色印刷物
・白色遮蔽度AAは、LS値が87以上の白色印刷物
次に、本発明の少なくとも色材および定着樹脂を含む白色インク組成物の製造方法の実施形態を説明する。
本発明の白色インク組成物は、色材種類入力手段と、白色遮蔽度設定手段と、前記色材に応じた定着樹脂種類と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを格納した記憶部と、演算処理部とを具備した白色インク製造支援装置を使用するインクの製造方法であって、色材の種類を決定するステップと、希望白色遮蔽度を設定するステップと、設定された白色遮蔽度の数値に応じて、予め格納された色材に応じた定着樹脂と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを参照して、定着樹脂の種類を決定するステップとを含むことを特徴とする。
次に、本発明の白色インク組成物の製造支援装置の実施形態を図2を用いて説明する。
図2は、本発明の白色インク組成物の製造支援装置の構成を示す図である。
図2において、1は色材種類入力手段、2は白色遮蔽度(LS値)設定手段、3は前記色材に応じた定着樹脂種類と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを格納した記憶部、4は演算処理部であり、全体として白色インク製造支援装置5を示している。
色材種類入力手段、白色遮蔽度(LS値)設定手段、記憶部は内部バス6を介して演算処理部に接続されている。
この白色インク製造支援装置5の使用方は、白色インクの製造に際しての、白色遮蔽度を基本としたインクの組成設計時に、
・希望する色材の種類を決定して色材種類入力手段1から入力する。
・希望する白色遮蔽度を決定して白色遮蔽度設定手段2から入力する。
・上記色材と、白色遮蔽度が設定されると、演算処理部4が設定された白色遮蔽度の数値に応じて、予め格納された色材に応じた定着樹脂と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを参照して、定着樹脂の種類の候補を検索して、前記図3のフローチャートの如く、動作する。
次に、本発明のインクの製造方法の詳細な動作を図3のフローチャートを用いて説明する。
・製造する白色インクで、使用する色材及び希望白色遮蔽度(LS値)を設定する。(ステップS11)なお、設定するLS値は、白色インクで印刷する白色印刷物の利用方法などによって所望の値を設定すればよい。
・色材に対応したテーブルを読み出す。(ステップS12)
・設定されたLS値が54未満か否かの判断をする。(ステップS13)
・ステップS13の判断がYesの場合は、この白色インクの製造方法での希望白色遮蔽度の範囲外であるので、ERROR(ステップS14)として処理を終了する。
・ステップS13の判断がNoの場合は、設定されたLS値が87以上か否かの判断をする。(ステップS15)
・ステップS15の判断がYesの場合、ステップS12で読み出した色材に応じて定着樹脂と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを参照して、樹脂としてエーテル系のウレタン樹脂(D2020)を用いる旨仮決定する。(ステップS16)
なお、エーテル系ウレタン樹脂+カーボネート系ウレタン樹脂のブレンド(D4200),エステル系ウレタン樹脂(WS5000)でも良く、それらを考慮して本決定にする。
・ステップS15の判断がNoの場合は、設定されたLS値が82以上か否かの判断をする。(ステップS17)
・ ステップS17の判断がYesの場合、ステップS12で読み出した色材に応じて定着樹脂と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを参照して、樹脂としてカーボネート系のウレタン樹脂(D6455)を用いる旨の仮決定をする。(ステップS18)
なお、エーテル系ウレタン樹脂(WS6021)でも良く、それらを考慮して本決定にする。
・ステップS17の判断がNoの場合は、設定されたLS値が64以上か否かの判断をする。(ステップS19)
・ステップS19の判断がYesの場合、ステップS12で読み出した色材に応じて定着樹脂と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを参照して、樹脂としてカーボネート系のウレタン樹脂(D6300)を用いる旨仮決定する。(ステップS20)
なお、カーボネート系ウレタン樹脂(W635),ポリエチレン系樹脂(AQ515),エステル系ウレタン樹脂(W605)でも良く、それらを考慮して本決定にする。
あるいは、色材として中空樹脂粒子も設定されていた場合は、色材として中空樹脂粒子かつウレタン樹脂としてD6455(実施例5)でも良く、これも考慮して本決定しても良い。
・ステップS19の判断がNoの場合、ステップS12で読み出した色材に応じた定着樹脂と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを参照して、樹脂としてアクリルスチレン系樹脂(ジョンクリル62J)を用いる旨の決定をする。(ステップS21)
なお、上記のように各ステップにおいて、候補となる白色インク組成物として複数存在した場合に、それらを考慮して本決定する方法は、複数の候補を、該白色インク組成物の製造支援装置の表示装置に表示して、該装置の使用者が表示の中から選択する方法でもよい。あるいは、更に他の条件を該装置に入力して、当該他の条件も考慮して決定してもよい。他の条件としては、例えば、LS値の更に詳細な条件でもよいし、現在入手可能な材料名でもよいし、色材として二酸化チタン粒子を優先して使用することが決定された場合は、二酸化チタンを使用するインク組成物であることなどでもよい。
上記フローチャートの手順の如く、希望する設定された白色遮蔽度の数値に応じて、予め格納された色材に応じて定着樹脂と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを参照して、定着樹脂の種類を決定することによって、希望する白色遮蔽度の白色インクを得ることができる。
上記フローチャートの説明では、レベルを(AA,A,B,C)の4段階で、各レベル間の白色遮蔽度(LS値)閾値をそれぞれ、(54,64,82,87)としているが、必ずしもその数値である必要はない。
次に、図9を用いて、予め格納された色材に応じて定着樹脂と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルについて説明する。
図8は、色材として二酸化チタンを使用した際の、定着樹脂の種類と見た目(レベル)及び定着樹脂の組成との関係を規定したテーブルの1例である。
このテーブルは、製造された白色インクの白色遮蔽度を測定することによって、内容を更新して、テーブルの内容をより豊富にすることができる。
図9は、色材として二酸化チタンを使用した際の、定着樹脂の種類とL、積分値、見た目(レベル)及び白色遮蔽度(LS値)との関係を規定したテーブルの1例であって、図8のテーブルでは、レベルEの例が1種類、レベルDの例が1種類、レベルCの例が1種類、レベルBの例が4種類、レベルAの例が1種類、レベルAAの例が4種類、色材として中空樹脂を用いた例が1種類挙げられている。
このテーブルは、製造された白色インクの白色遮蔽度を測定することによって、内容を更新して、テーブルの内容をより豊富にすることができる。
次に、図8及び9のテーブルの個々の例の根拠となった代表的な実施例について説明する。
図4の(表1)は、前記白色遮蔽度(LS値)の評価が、複数のレベル(AA,A,B,C,D,E)になる代表例を示すものである。
図4では、色材として二酸化チタン及び中空樹脂を使用(色材を使用しない場合も含む)し、定着樹脂として代表的なアクリルスチレン系樹脂(BASF社製「ジョンクリル62J」,ウレタン樹脂A:大日精化社製「D−6300」,ウレタン樹脂B:大日精化社製「D−6455」,ウレタン樹脂C:大日精化社製「D−2020」)を使用し(定着樹脂を使用しない場合も含む)た実施例である。
図4の実施例から、参考例1は色材及び定着樹脂を使用しない場合(記録媒体のPETのみ)で、L値は測定できず、積分値は光がほぼ透過するので、12136でLS値は0で、遮蔽度の評価はEになる。
参考例2は色材として二酸化チタン10(質量%)を使用し、定着樹脂を使用せず、界面活性剤を1質量%、プロピレングリコールを2質量%、1.2−ヘキサンジオールを5質量%、2−ピロリドンを2質量%、残量水の場合で、L値は70.3、積分値は1113.9でLS値は4.7で、遮蔽度の評価はDになる。なお、参考例2の結果から、色材として二酸化チタンを用いていても定着樹脂を含まない白色インクの場合は、定着樹脂を含む白色インクよりも遮蔽度が大幅に劣ることがわかる。
よって、白色遮蔽度の高い白色インクを得たい場合は、二酸化チタン及び定着樹脂を含む白インクを用いることが好ましい。
それに対して、実施例1−1は、色材として二酸化チタン粒子を10(質量%)を使用し、定着樹脂としてアクリルスチレン樹脂(:BASF社製「ジョンクリル62J」を4(質量%)使用し、界面活性剤を1質量%、プロピレングリコールを2質量%、1.2−ヘキサンジオールを5質量%、2−ピロリドンを2質量%、残量水の場合で、L値は76.8、積分値は194.3でLS値は60で、遮蔽度の評価はCになる。
また、実施例2−1は、色材として二酸化チタン粒子を10(質量%)を使用し、定着樹脂としてウレタン樹脂(A:大日精化社製「D6300」を4(質量%)使用し、界面活性剤を1質量%、プロピレングリコールを2質量%、1.2−ヘキサンジオールを5質量%、2−ピロリドンを2質量%、残量水の場合で、L値は74.8、積分値は151.76でLS値は64で、遮蔽度の評価はBになる。
また、実施例3−1は、色材として二酸化チタン粒子を10(質量%)を使用し、定着樹脂としてウレタン樹脂(B:大日精化社製「D6455」を4(質量%)使用し、界面活性剤を1質量%、プロピレングリコールを2質量%、1.2−ヘキサンジオールを5質量%、2−ピロリドンを2質量%、残量水の場合で、L値は75.3、積分値は119.17でLS値は86で、遮蔽度の評価はAになる。
また、実施例4−1は、色材として二酸化チタン10(質量%)を使用し、定着樹脂としてウレタン樹脂(C:大日精化社製「D2020」を4(質量%)使用し、界面活性剤を1質量%、プロピレングリコールを2質量%、1.2−ヘキサンジオールを5質量%、2−ピロリドンを2質量%、残量水の場合で、L値は74.9、積分値は102.45でLS値は96で、遮蔽度の評価はAAになる。
また、実施例5は、色材として中空樹脂10(質量%)を使用し、定着樹脂としてウレタン樹脂(B:大日精化社製「D6455」を4(質量%)使用し、界面活性剤を1質量%、プロピレングリコールを2質量%、1.2−ヘキサンジオールを5質量%、2−ピロリドンを2質量%、残量水の場合で、L値は78.5、積分値は194.5でLS値は69で、遮蔽度の評価はBになる。
図4の結果から、色材として二酸化チタン粒子を用いて、定着樹脂としてウレタン樹脂を使用した場合には、ウレタン樹脂の種類によってLS値差があるが、全体としてLS値が優れていることが理解できる。
また、色材として中空樹脂粒子を用いた場合には、L値は高いが、同じウレタン樹脂を用いた場合に比較してLS値はそれ程高くないことが理解できる。
次に、図4の実施例とLS値の遮蔽度(評価)が同じレベルなる他の実施例が存在する場合を図5,6,7に示す。
図5(表2)は、図4の樹脂例2−1の遮蔽度(評価)がBになる他の実施例として、定着樹脂としてW635(実施例2−2)、AQ515(実施例2−3)及びW605(実施例2−4)をそれぞれ4質量%用いた場合で、それ以外の条件は実施例2−1と同じである。
図6の(表3)は、図4の樹脂例3−1の遮蔽度(評価)がAになる他の実施例として、定着樹脂としてWS6021(実施例3−2)をそれぞれ4質量%用いた場合で、それ以外の条件は実施例2−1と同じである。
図7の(表4)は、図4の樹脂例4−1の遮蔽度(評価)がAAになる他の実施例として、定着樹脂としてD4200(実施例4−2)及びWS5000(実施例4−3)をそれぞれ4質量%用いた場合で、それ以外の条件は実施例2−1と同じである。
上記説明では、色材として二酸化チタン及び中空樹脂を用い、定着樹脂として図7に示すウレタンの例を説明したが、本発明は必ずしも上記材料に限定されるものではない。

Claims (10)

  1. 白色印刷物の白色遮蔽度を求めて評価する白色遮蔽度評価方法であって、
    前記白色印刷物のL値を測定するステップと、
    前記白色印刷物の可視光線領域における透過率の積分値を求めるステップと、
    前記L値及び積分値から白色遮蔽度を求めるステップと、
    を含むことを特徴とする白色遮蔽度評価方法。
  2. 前記透過率の積分値は、波長が380nm〜700nmにおける透過率の積分値であることを特徴とする請求項1に記載の白色遮蔽度評価方法。
  3. 前記白色印刷物は、透明メディアに白色インクで記録された印刷物であって、
    前記白色遮蔽度(LS値)は、「(L値−α)/積分値×1000」であることを特徴とする請求項1又は2に記載の白色遮蔽度評価方法。(αは、60〜70の間の予め設定された数値)
  4. 前記白色遮蔽度(LS値)を、所定の数値以上であるか否かで、複数のレベル(AA,A,B,C,D)に評価することを特徴とする請求項3に記載の白色遮蔽度評価方法。
  5. 前記白色インクは、少なくとも色材、定着樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の白色遮蔽度評価方法。
  6. 前記色材は、二酸化チタン粒子又は中空樹脂微粒子であることを特徴とする請求項5に記載の白色遮蔽度評価方法。
  7. 色材種類入力手段と、白色遮蔽度設定手段と、前記色材に応じた定着樹脂種類と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを格納した記憶部と、演算処理部とを具備した白色インク製造支援装置を使用するインクの製造方法であって、
    色材の種類を決定するステップと、
    希望白色遮蔽度を設定するステップと、
    設定された白色遮蔽度の数値に応じて、予め格納された前記テーブルを参照して、定着樹脂の種類を決定するステップと、
    を含むことを特徴とする白色インクの製造方法。
  8. 前記テーブルは、製造された白色インクによる白色印刷物の白色遮蔽度を測定することによって、内容が追加更新されることを特徴とする請求項7に記載の白色インクの製造方法。
  9. 少なくとも色材、定着樹脂を含む白色インクの製造支援装置であって、
    使用色材種類入力手段と、
    希望白色遮蔽度設定手段と、
    色材毎の定着樹脂種類と白色遮蔽度の関係を規定したテーブルを格納する記憶部と、
    設定された白色遮蔽度の数値に応じて、前記テーブルを参照して、定着樹脂の種類を決定する演算手段と、
    を備えたことを特徴とする白色インクの製造支援装置。
  10. 請求項7又は8に記載の白色インクの製造方法で製造された白色インクを使用して、白色遮蔽度(LS値)として予め設定された、「(L値−α)/積分値×1000」で印刷された白色印刷物の製造方法。(αは、60〜70の間の予め設定された数値)
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