JP2011016686A - 二フッ化カルボニルの精製方法 - Google Patents

二フッ化カルボニルの精製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物(フッ化水素)を含む粗二フッ化カルボニルから目的物(二フッ化カルボニル)が吸着剤に共吸着されることを低減し、不純物(フッ化水素)を選択的に吸着・除去して、効率的かつ安価・簡便に高純度な二フッ化カルボニルを得ることができる二フッ化カルボニルの精製方法を提供すること。
【解決手段】本発明の二フッ化カルボニルの精製方法は、二フッ化カルボニルと不純物としてフッ化水素とを含有する粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンに接触させて、前記粗二フッ化カルボニルからフッ化水素を除去することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、二フッ化カルボニルの精製方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、半導体用エッチングガス、半導体用クリーニングガス等として注目されている二フッ化カルボニルの精製方法に関する。
二フッ化カルボニル(COF2)は、半導体用エッチングガスや半導体用クリーニングガス等として注目されている重要な化合物である。従来の、この二フッ化カルボニルを製造する方法としては、例えば、下記特許文献1〜3に開示された製造方法が挙げられる。
(1)特許文献1には、原料ガスとして一酸化炭素およびフッ素ガスと、希釈ガスとしてフッ化水素または二フッ化カルボニルとを反応容器内に連続的に供給し、原料ガスを反応させて、二フッ化カルボニルを製造する方法が記載されている。
(2)特許文献2には、二酸化炭素とフッ素ガスとを気体状で反応させて、二フッ化カルボニルを製造する方法が記載されている。
(3)特許文献3には、同一容器内で、一酸化炭素と金属フッ化物とを反応させる工程と、金属フッ化物とフッ素を反応させる工程をと交互に繰り返して、二フッ化カルボニルを製造する方法が記載されている。
これらの製造方法などにより、二フッ化カルボニルを製造することができるが、得られた二フッ化カルボニルには、目的物である二フッ化カルボニルの他に、不純物が含まれている。この不純物とは、反応しなかった原料(一酸化炭素や二酸化炭素)や、下記反応式(1)に示されるように、二フッ化カルボニルが水分に接触することで副生したフッ化水素等である。
COF2+H2O→CO2+2HF (1)
二フッ化カルボニルに、これらの不純物が一定の濃度以上含まれる場合、このような二フッ化カルボニルをエッチングガスやクリーニングガスなどに使用すると、様々な問題を引き起こすことがある。特に、フッ化水素は、反応性、腐食性が高く、この濃度が高い二フッ化カルボニルを使用すると、半導体製造工程を精密に制御することが困難になる。また、二フッ化カルボニルを輸送するための容器や、半導体装置を腐食してしまう場合がある。
二フッ化カルボニルに不純物が含まれることによる問題点を考慮すると、これらの不純物(特にフッ化水素)を除去して、二フッ化カルボニルを精製して高純度化することは、重要な課題である。
しかしながら、原料である一酸化炭素や二酸化炭素と、生成物である二フッ化カルボニルとは、沸点が近似しているために、公知の分離精製手段では、粗二フッ化カルボニルから原料(一酸化炭素や二酸化炭素)と目的物とを分離することは極めて困難である。また、脱酸剤を用いてフッ化水素を除去するにも、脱酸効率は低いものであり、粗二フッ化カルボニルからフッ化水素と目的物とを分離することも極めて困難である。
そこで、不純物を除去するための二フッ化カルボニルの精製方法が開発されている。このような二フッ化カルボニルの精製方法としては、例えば、下記特許文献4〜7に記載されている精製方法が挙げられる。
(4)特許文献4には、不純物として四フッ化珪素を含む二フッ化カルボニルを、ガス状態または超臨界状態で、かつ所定の温度条件下で金属フッ化物と接触させて、四フッ化珪素を除去する二フッ化カルボニルの精製方法が記載されている。
(5)特許文献5には、不純物としてフッ化水素を含む二フッ化カルボニルを、所定の金属フッ化物脱酸剤に接触させて、フッ化水素の濃度を低減する二フッ化カルボニルの精製方法が記載されている。
(6)特許文献6には、不純物として二酸化炭素を含む二フッ化カルボニルを、膜分離装置に供給し、二酸化炭素を分離する二フッ化カルボニルの精製方法が記載されている。
(7)特許文献7には、不純物としてトリフルオロメチルハイポフルオライト(CF3OF)を含む二フッ化カルボニルを、活性炭と接触させて除去する二フッ化カルボニルの精製方法が記載されている。
国際公開第05/56472号パンフレット 特開平11−116216号公報 特開2003−146620号公報 特開2005−187312号公報 特開2008−214187号公報 特開2005−154203号公報 特開2003−221213号公報
しかしながら、上記の特許文献4〜5の精製方法は、以下のような課題を有している。
(i)処理剤の処理量(フッ化水素や四フッ化珪素の吸着量)が少ない。
(ii)特許文献5の精製方法の場合、金属フッ化物を二フッ化カルボニルガスやフッ素ガスを含む前処理ガスに接触させて調製した金属フッ化物脱酸剤を使用するという、煩雑な前処理や再生の工程を必要としている。さらに、高価なフッ素ガスを必要とし、目的物(二フッ化カルボニル)の損失も伴うといった経済的な課題を有している。
また、特許文献6の膜分離を用いた精製方法も、処理量(二酸化炭素の除去量)が少ないことなどの課題を有している。
さらに、特許文献7の活性炭を用いた精製方法では、比較的簡便であるものの、不純物とともに目的物である二フッ化カルボニルも活性炭に共吸着されてしまうといった課題を有しており、工業的に安価かつ高純度の二フッ化カルボニルを得るための精製方法としては依然として改善の余地がある。
本発明は、上記のような従来技術に伴う課題等を解決しようとするものであって、不純物(フッ化水素)を含む粗二フッ化カルボニルから、不純物とともに目的物(二フッ化カルボニル)が吸着剤に共吸着されることを低減し、不純物(フッ化水素)を選択的に吸着・除去して、効率的かつ安価・簡便に高純度な二フッ化カルボニルを得ることができる二フッ化カルボニルの精製方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、粗二フッ化カルボニルからフッ化水素を低減・除去するため各種の吸着剤について検討したところ、以下のような知見が得られた。
まず、吸着剤として、シリカアルミナやモレキュラーシーブス(ゼオライト製)を用いた場合、二フッ化カルボニルの分解やそれによる二酸化炭素の副生が生じる。また、シリカアルミナやモレキュラシーブスは二フッ化カルボニルとの反応によってフッ素化が起こる点で好ましくない。
また、吸着剤として、活性炭を用いた場合、活性炭に、二フッ化カルボニルの分解を引き起こさないものの、不純物であるフッ化水素とともに目的物である二フッ化カルボニルも共吸着されてしまうといった問題がある。
一方、吸着剤としてモレキュラーシービングカーボンを用いた場合、不純物であるフッ化水素とともに目的物(二フッ化カルボニル)が吸着剤に共吸着されることを低減し、不純物(フッ化水素)を選択的に吸着・除去し、効率的かつ安価・簡便に高純度な二フッ化カルボニルを得ることができる。
このことは、おそらく一般に活性炭では、平均細孔径が10Å〜30Åであり、さらに細孔径分布がブロードであるのに対して、モレキュラーシービングカーボンでは、細孔径分布がシャープであることに起因していると考えられる。
そして、本発明者らは、このような知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[6]に関する。
[1]二フッ化カルボニルと、不純物としてフッ化水素と、を含有する粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンに接触させて、前記粗二フッ化カルボニルからフッ化水素を除去することを特徴とする二フッ化カルボニルの精製方法。
[2] 前記モレキュラーシービングカーボンが、3〜10Åの平均細孔径を有することを特徴とする[1]に記載の二フッ化カルボニルの精製方法。
[3] 前記モレキュラーシービングカーボンが、モレキュラーシービングカーボン3A、モレキュラーシービングカーボン4Aおよびモレキュラーシービングカーボン5Aからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする[1]または[2]に記載の二フッ化カルボニルの精製方法。
[4] 前記粗二フッ化カルボニルを前記モレキュラーシービングカーボンに、60℃以下の温度で、接触させることを特徴とする[1]〜[3]の何れかに記載の二フッ化カルボニルの精製方法。
[5] 前記粗二フッ化カルボニルに含有されるフッ化水素の量が、粗二フッ化カルボニル全体量100体積%に対して、0.5体積%以下であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの精製方法。
[6] 前記粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンに接触させて、フッ化水素の濃度を、精製後の二フッ化カルボニル全体量に対して、20volppm以下に低減させることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの精製方法。
本発明の精製方法によれば、不純物(フッ化水素)を含む粗二フッ化カルボニルから、不純物とともに目的物(二フッ化カルボニル)が吸着剤に共吸着されることを低減し、不純物(フッ化水素)を選択的に吸着・除去して、効率的かつ安価・簡便に高純度な二フッ化カルボニルを得ることができる。
本発明の二フッ化カルボニルの精製方法は、二フッ化カルボニルと不純物としてフッ化水素とを含有する粗二フッ化カルボニルを、モレキュラーシービングカーボンに接触させて、粗二フッ化カルボニルからフッ化水素を除去することを特徴とする。
以下、本発明に係る二フッ化カルボニルの精製方法について、詳細に説明する。
本発明の精製方法の精製対象である粗二フッ化カルボニルは、二フッ化カルボニルと不純物としてフッ化水素とを含有する粗製物であり、公知の二フッ化カルボニルの製造方法により得られる。例えば、下記の製造方法が挙げられる。
(1)一酸化炭素とフッ素ガスとを反応させて、二フッ化カルボニルを製造する方法(例えば、国際公開第05/56472号パンフレット)
(2)二酸化炭素とフッ素ガスとを反応させて、二フッ化カルボニルを製造する方法(例えば、特開平11−116216号公報)
(3)一酸化炭素と金属フッ化物とを反応させる方法(例えば、特開2003−146620号公報)
また、粗二フッ化カルボニル中のフッ化水素の濃度は、粗二フッ化カルボニル全体量100体積%に対して、通常、0.1〜1.5体積%の範囲であるが、0.5体積%以下であることが好ましく、0.1〜0.5体積%の範囲にあることがより好ましい。フッ化水素の濃度が上記範囲にあれば、本願発明の精製方法を使って、より効率的にフッ化水素を除去することができる。
また、上記粗二フッ化カルボニル中のフッ化水素の濃度は、FT―IR(セル:CaF2)により分析して得られる値である。
本発明の精製方法では、粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンに接触させて、粗二フッ化カルボニルからフッ化水素を除去することを特徴としている。このようにフッ化水素の除去にモレキュラーシービングカーボンを使用することで、粗二フッ化カルボニルから不純物(フッ化水素)とともに、目的物(二フッ化カルボニル)が吸着剤に共吸着されることを低減し、不純物(フッ化水素)を選択的に吸着・除去して、効率的かつ安価・簡便に高純度な二フッ化カルボニルを得ることができる。
本発明の精製方法において使用されるモレキュラーシービングカーボンは、素材が炭素製であり、特有のシャープな細孔径分布を有する。それに対して、一般的な活性炭は、10〜30Åの平均細孔径を有し、さらにブロードな細孔径分布を有する点で異なる。
本発明の精製方法において使用されるモレキュラーシービングカーボンの平均細孔径は、3〜10Åであることが好ましく、3〜5Åであることがより好ましい。なお、上記平均細孔径は、Arガスを用いるガス吸着法により求められる。
本発明の精製方法において使用されるモレキュラーシービングカーボンは、特に限定されるものではないが、例えば、シャープな細孔径分布を有し、不純物(フッ化水素)をより選択的に吸着・除去できることから、モレキュラーシービングカーボン3A(平均細孔径:3Å)、モレキュラーシービングカーボン4A(平均細孔径:4Å)およびモレキュラーシービングカーボン5A(平均細孔径:5Å)からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
ここで、上記細孔径分布は、細孔径分布測定装置を用いて得られる窒素吸着等温線に基づいて算出される。具体的には、まず、細孔径分布測定装置のサンプルセルにサンプルを入れて、サンプルセル内部を77.4K(窒素の沸点)に冷却した状態で、サンプルセルに窒素ガスを導入し、容量法により窒素ガスの吸着量V〔cm3/g〕を測定する。このとき、サンプルセルに導入する窒素ガスの圧力P〔mmHg〕を徐々に上げる。次いで、その圧力P〔mmHg〕を窒素ガスの飽和蒸気圧P0〔mmHg〕で割った相対圧力P/P0に対し、吸着量V〔cm3/g〕をプロットすることにより、窒素吸着等温線を得られる。ここで、窒素吸着等温線に基づく細孔径分布解析としては、例えばBJH(Barrett-Joyner-Halenda)法が一般的に知られている。
なお、BJH法による細孔径分布解析自体は、公知の方法であり、例えばJ.Amer.Chem.Soc.,73巻,373ページ(1951年)に開示されている。
また、粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンに接触させるにあたり、気相で接触させてもよく、気液あるいは液相で接触させてもよい。この中でも、接触処理の速度が高く、効率性が良いことから、液相で接触させることが好ましい。
また、粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンに接触させる態様としては、回分式、連続式、固定床式、懸濁床式等の公知の方式であってよい。この中でも、この固定床に粗二フッ化カルボニルを連続的に流す方法が経済的に有利であるので、固定床式で粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンに接触させることが好ましい。
工業的には、固定床式吸着塔を2塔設け、一方の吸着塔にて不純物であるフッ化水素が飽和吸着すれば、別の吸着塔に二フッ化カルボニルが供給されるように、流路を切り替える公知の方法により連続的に精製を行なうことができる。
この場合、粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンと接触させるにあたり、粗二フッ化カルボニルの液基準の空間速度(LHSV:液空間速度)は、含まれるフッ化水素の濃度や粗二フッ化カルボニルの体積量によって適宣選択されるが、通常0.5〜10hr-1の範囲であることが好ましい。このような範囲のLHSV(液空間速度)にすると、二フッ化カルボニル中に含まれるフッ化水素を効率よく除去することができる。
粗二フッ化カルボニルとモレキュラーシービングカーボンとの接触を回分式で行う場合には、過剰な処理時間を労することなく精製処理するために、粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンと接触させる時間(接触時間)は、5〜100時間であることが好ましく、10〜50時間であることがより好ましい。
粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンと接触させる際の温度(接触温度)は、なるべく低い温度であることが好ましく、通常は60℃以下であり、好ましくは、−20〜60℃、より好ましくは−10〜40℃の範囲である。接触温度が上記範囲にあれば、エネルギ−損失を抑え経済的にも効率的にも有利に二フッ化カルボニルを精製することができる。
粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンと接触させる際の圧力(接触圧力)は、特に限定されないが、液相で接触させる場合は、二フッ化カルボニルが液相に保持される圧力であればよく、通常、0.3〜6MPa、好ましくは0.3〜2MPaの範囲である。このような範囲の接触圧力にすると、接触処理のための処理設備の費用等を抑えることができ、経済的である。
また、本発明の精製方法において、粗二フッ化カルボニルからのフッ化水素の除去量は、二フッ化カルボニルの用途や、精製条件等を考慮して適宜調節することができる。例えば、精製後の二フッ化カルボニル全体量(体積)に対して、フッ化水素の濃度を、好ましくは20volppm以下、より好ましくは10volppm以下に低減することがより好ましい。なお、上記の精製された二フッ化カルボニル中のフッ化水素の濃度は、FT―IR(セル:CaF2)により分析して得られる値である。
このような範囲のフッ化水素濃度を有する二フッ化カルボニルは、半導体製造工程を精密に制御することができ、二フッ化カルボニルを輸送する容器や、半導体装置を腐食することもない。このため、上記二フッ化カルボニルは、半導体製造工程における各用途(クリーニングガス用、エッチングガス用)として好適に使用され得る。
また、粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンと接触させる前に、モレキュラーシービングカーボンが、脱水処理されていることが好ましい。脱水処理されたモレキュラーシービングカーボンに、粗二フッ化カルボニルを接触させることにより、効率的に不純物を吸着することができ、不純物の吸着量を増加させることができる。この脱水処理方法としては、例えば、窒素、希ガス等の不活性ガス雰囲気で、150〜200℃の条件下で、5〜100時間加熱して、モレキュラーシービングカーボンを脱水する方法が挙げられる。
なお、粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンと接触させて、モレキュラーシービングカーボンが飽和吸着に達した場合、モレキュラーシービングカーボンに再生処理を行なうことにより、再使用も可能である。
このようなモレキュラーシービングカーボンの再生処理方法としては、例えば、該モレキュラーシービングカーボンをチャンバーに導入し、該チャンバー内に窒素ガスを供給しながら、チャンバー内の雰囲気温度を段階的に上昇させて加熱処理し、例えば200℃で、モレキュラーシービングカーボンからフッ化水素が検出されなくなるまで加熱処理を継続し、その後室温まで雰囲気温度を下げて再生する方法が挙げられる。
以下、本発明の二フッ化カルボニルの精製方法について、実施例を示して説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.粗二フッ化カルボニルの製造(合成例1)
一酸化炭素を供給するための供給口、フッ素ガスを供給するための供給口、生成ガスを排出するための排気口および反応器外部に冷却用のジャケットを備え、さらに、反応器内部の気体の混合をよくするために、反応器内部にニッケル製充填物が充填されたニッケル製反応器(内径1インチ、長さ1m)を準備した。
次いで、上記反応容器内部の温度を室温(約30℃)に維持し、窒素ガスを流しながら、一酸化炭素を4.8NL/hr、フッ素ガスを4.8NL/hrで供給した後、窒素ガスの供給を停止し、一酸化炭素とフッ素ガスとの反応を開始した。
反応開始後、約2時間で反応器内の最高温度が約220℃に達した。その後、排出ガス組成をFT−IRで分析したところ、二フッ化カルボニル収率は約93.2%であった。反応を継続しながら、排出ガスを冷却しながらSUS製シリンダー(容積2L)に液化物を捕集した。
さらに、得られた液化物を、以下の条件で蒸留し、液化粗二フッ化カルボニル(450g)を回収した。この回収した液化粗二フッ化カルボニルをFT−IR(セル:CaF2)により分析し、成分比率を分析した。分析結果は、表1に示す。
(蒸留条件および操作)
蒸留スケール:上記液化物 仕込み量 約350g
蒸留塔 :充填塔 16mm×1335mm
充填物 :ヘリパック No.2(東京特殊金網製) 約267ml
理論段数 :40段
圧力:約0.8MPa
塔頂温度 :約−40℃
還流比:15
2.吸着剤の調製
以下、本実施例および比較例において使用された各種吸着剤について説明する。
(1)吸着剤1の調製
モレキュラーシービングカーボン4A(MSC−4A:日本エンバイロケミカル(株)製、平均細孔径:4Å)を、不活性ガス雰囲気、160℃の条件下で24時間放置し、モレキュラーシービングカーボン4A中に含まれる水分を除去して、吸着剤1を調製した。なお、上記平均細孔径は、Arガスを用いるガス吸着法により測定された値である。
(2)吸着剤2の調製
モレキュラーシービングカーボン4Aの代わりに、モレキュラーシービングカーボン5A(MSC−5A:日本エンバイロケミカル(株)製、平均細孔径:5Å)に変更したこと以外は、吸着剤1と同様にして、吸着剤2を調製した。なお、上記平均細孔径は、Arガスを用いるガス吸着法により測定された値である。
(3)吸着剤3の調製
モレキュラーシービングカーボン4Aの代わりに、ゼオライト(ナトリウムアルミノシリケート)製のモレキュラーシーブス4A(ユニオン昭和(株)製、平均細孔径:4Å)に変更したこと以外は、吸着剤1と同様にして、吸着剤3を調製した。なお、上記平均細孔径は、Arガスを用いるガス吸着法により測定された値である。
(4)吸着剤4の調製
モレキュラーシービングカーボン4Aの代わりに、粒状活性炭である粒状白鷺KL(日本エンバイロケミカル(株)製、平均細孔径約30Å)に変更したこと以外は、吸着剤1と同様にして、吸着剤4を調製した。なお、上記平均細孔径は、Arガスを用いるガス吸着法により測定された値である。
[実施例1]
内容積が100mlのSUS製シリンダー容器に、上記吸着剤1(3.65g)を充填し、シリンダー容器内部を真空乾燥し、冷却した。
次いで、シリンダー容器内部に、合成例1で調製された液化粗二フッ化カルボニル(53.51g)を充填し、時々撹拌しながら室温(18℃)で、約12時間放置した。放置後、液相部の一部を抜き出して、FT−IR(セル:CaF2)にて分析を行なった。分析結果を表1に示す。
表1から明らかなように、吸着剤1を用いることによりCOF2の分解や、吸着剤1によるCOF2の吸着は認められなかった。また、吸着剤1によってフッ化水素を選択的に除去し、フッ化水素の含有量を10volppm未満に低減することができた。
[実施例2]
内容積が100mlのSUS製シリンダー容器に、上記吸着剤2(3.71g)を充填し、シリンダー容器内部を真空乾燥し、冷却した。
次いで、シリンダー容器内部に上記液化粗二フッ化カルボニル(51.52g)を充填し、時々撹拌しながら0℃で、約12時間放置した。放置後、液相部の一部を抜き出して、FT−IR(セル:CaF2)にて分析を行なった。分析結果を表1に示す。
表1から明らかなように、吸着剤2を用いることによりCOF2の分解や、吸着剤2によるCOF2の吸着は認められなかった。また、吸着剤2によって、フッ化水素を選択的に除去し、フッ化水素の含有量を10volppm未満に低減することができた。
[比較例1]
内容積が100mlのSUS製シリンダー容器に、上記吸着剤3(12.1g)を充填し、シリンダー容器内部を真空乾燥し、冷却した。
次いで、シリンダー容器内部に上記液化粗二フッ化カルボニル(50.21g)を充填し、時々撹拌しながら室温(19℃)で、約12時間放置した。放置後、液相部の一部を抜き出して、FT−IR(セル:CaF2)にて分析を行なった。分析結果を表1に示す。
表1から明らかなように、吸着剤3を使用することにより、COF2が分解されてしまい、二酸化炭素が生成した。また、吸着剤3を使用した場合、吸着剤1〜2を使用した場合に比べて、フッ化水素が有効に除去されなかった。
[比較例2]
内容積が100mlのSUS製シリンダー容器に、上記吸着剤4(3.9g)を充填し、シリンダー容器内部を真空乾燥し、冷却した。
次いで、シリンダー容器内部に上記液化粗二フッ化カルボニル(52.65g)を充填し、時々撹拌しながら室温(18℃)で、約12時間放置した。放置後、液相部の一部を抜き出して、FT−IR(セル:CaF2)にて分析を行なった。分析結果を表1に示す。
表1から明らかなように、吸着剤4を使用した場合、COF2の分解は起こらないものの、粗二フッ化カルボニルのガス成分が、種類を問わず、吸着剤4に吸着された。すなわち、吸着剤4を使用した場合、不純物であるフッ化水素等とともに、目的物である二フッ化カルボニルも共吸着されてしまい、フッ化水素が選択的に吸着・除去されなかった。
Figure 2011016686
本発明の二フッ化カルボニルの精製方法によれば、不純物(フッ化水素)を含む粗二フッ化カルボニルから目的物(二フッ化カルボニル)が吸着剤に共吸着されることを低減し、不純物(フッ化水素)を選択的に吸着・除去して、効率的かつ安価・簡便に高純度な二フッ化カルボニルを得ることができる二フッ化カルボニルの精製方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 二フッ化カルボニルと不純物としてフッ化水素とを含有する粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンに接触させて、前記粗二フッ化カルボニルからフッ化水素を除去することを特徴とする二フッ化カルボニルの精製方法。
  2. 前記モレキュラーシービングカーボンが、3〜10Åの平均細孔径を有することを特徴とする請求項1に記載の二フッ化カルボニルの精製方法。
  3. 前記モレキュラーシービングカーボンが、モレキュラーシービングカーボン3A、モレキュラーシービングカーボン4Aおよびモレキュラーシービングカーボン5Aからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の二フッ化カルボニルの精製方法。
  4. 前記粗二フッ化カルボニルを前記モレキュラーシービングカーボンに、60℃以下の温度で、接触させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの精製方法。
  5. 前記粗二フッ化カルボニルに含有されるフッ化水素の量が、粗二フッ化カルボニル全体量100体積%に対して、0.5体積%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの精製方法。
  6. 前記粗二フッ化カルボニルをモレキュラーシービングカーボンに接触させて、フッ化水素の濃度を、精製後の二フッ化カルボニル全体量に対して、20volppm以下に低減させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの精製方法。
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