JP2011015088A - 高周波結合器並びに通信装置 - Google Patents

高周波結合器並びに通信装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2011015088A
JP2011015088A JP2009156301A JP2009156301A JP2011015088A JP 2011015088 A JP2011015088 A JP 2011015088A JP 2009156301 A JP2009156301 A JP 2009156301A JP 2009156301 A JP2009156301 A JP 2009156301A JP 2011015088 A JP2011015088 A JP 2011015088A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coupling electrode
housing member
frequency coupler
resonance
frequency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009156301A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5310316B2 (ja
Inventor
Masanori Washiro
賢典 和城
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2009156301A priority Critical patent/JP5310316B2/ja
Priority to US12/778,452 priority patent/US8334728B2/en
Priority to CN2010102134110A priority patent/CN101938028B/zh
Priority to EP10167020.6A priority patent/EP2276106A3/en
Publication of JP2011015088A publication Critical patent/JP2011015088A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5310316B2 publication Critical patent/JP5310316B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P5/00Coupling devices of the waveguide type
    • H01P5/12Coupling devices having more than two ports
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P1/00Auxiliary devices
    • H01P1/04Fixed joints
    • H01P1/047Strip line joints
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P5/00Coupling devices of the waveguide type
    • H01P5/12Coupling devices having more than two ports
    • H01P5/16Conjugate devices, i.e. devices having at least one port decoupled from one other port
    • H01P5/18Conjugate devices, i.e. devices having at least one port decoupled from one other port consisting of two coupled guides, e.g. directional couplers
    • H01P5/184Conjugate devices, i.e. devices having at least one port decoupled from one other port consisting of two coupled guides, e.g. directional couplers the guides being strip lines or microstrips
    • H01P5/187Broadside coupled lines

Landscapes

  • Near-Field Transmission Systems (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Abstract

【課題】高周波の広帯域を用いる微弱UWB通信方式により近接距離で大容量データ伝送を行なう通信機用の、優れた高周波結合器を提供する。
【解決手段】第1のハウジング部材の内面には、共振部としての導体パターンなどが実装され、所定の部位にシールド・フィンガーがその下端部で接続される。第2のハウジング部材の内面には結合用電極となる導体パターンが形成されている。第2のハウジング部材を第1のハウジング部材に取り付けて蓋を閉じると、シールド・フィンガーの上端部は第2のハウジング部材の内面に形成された結合用電極125に当接し、結合用電極はシールド・フィンガーを介して給電される。
【選択図】 図9B

Description

本発明は、高周波の広帯域を用いる微弱UWB通信方式により近接距離で大容量データ伝送を行なう通信機用の高周波結合器並びに通信装置に係り、特に、携帯端末など小型の機器に内蔵して用いることができ、小型且つ安価に製作することができる高周波結合器並びに通信装置に関する。
非接触通信は、認証情報や電子マネーその他の価値情報のメディアとして広く利用されてきた。最近では、非接触通信のさらなるアプリケーションとして、動画像や音楽などのダウンロードやストリーミングといった大容量データ伝送への適用が検討されている。
高速通信に適用可能な近接無線転送技術として、微弱なUWB(Ultra Wide Band)信号を用いた「TransferJet(登録商標)」(例えば、特許文献1、非特許文献1を参照のこと)を挙げることができる。この近接無線転送技術(TransferJet)は、基本的に、誘導電界の結合作用を利用して信号を伝送する方式であり、その通信装置は、高周波信号の処理を行なう通信回路部と、グランドに対しある程度の高さで離間して配置された結合用電極と、結合用電極に高周波信号を効率的に供給する共振部で構成される。結合用電極、又は結合用電極と共振部を含んだ部品のことを、本明細書では「高周波結合器」とも呼ぶ。
近接無線転送システムも、旧来のNFC(Near Field Communication)通信などと同様に(NFCは、ISO/IEC IS 18092として標準化されている)、要求コマンドを送信するリーダライタ(イニシエーター)と応答コマンドを返信するトランスポンダ(ターゲット)のペアとして構成することができる。
トランスポンダ側は、例えば携帯端末などの小型の機器に内蔵して用いることが想定される。このため、高周波結合器は、小型且つ安価に製作できることが望まれている。
特開2008−99236号公報
www.transferjet.org/en/index.html(平成21年6月23日現在)
本発明の目的は、高周波の広帯域を用いる微弱UWB通信方式により近接距離で大容量データ伝送を行なう通信機用の、優れた高周波結合器並びに通信装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、携帯端末など小型の機器に内蔵して用いることができ、小型且つ安価に製作することができる、高周波結合器並びに通信装置を提供することにある。
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の発明は、
グランドと、
前記グランドに対向して前記高周波信号の波長に対して無視し得る高さだけ離間するように支持される結合用電極と、
前記伝送路を介して前記結合用電極に流れ込む電流を大きくするための共振部と、
前記結合用電極の所定の位置にて前記共振部に接続する伸縮可能な接続部と、
を具備し、
前記結合用電極に蓄えられた前記電荷の中心と前記グランドに蓄えられた鏡像電荷の中心を結ぶ線分からなる微小ダイポールを形成し、前記微小ダイポールの方向となす角θがほぼ0度となるように対向して配置された通信相手側の高周波結合器に向けて前記高周波信号を伝送する、
ことを特徴とする高周波結合器である。
本願の請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の高周波結合器の接続部は、断面が略V字形状の板バネからなり、前記板バネの一方の端部で前記結合用電極に接続され、前記板バネの他方の端部で前記共振部に接続されている。
本願の請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の高周波結合器の接続部は、断面がポゴピンからなり、前記ポゴピンの一方の端部で前記結合用電極に接続され、前記ポゴピンの他方の端部で前記共振部に接続されている。
本願の請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3のいずれかに記載の高周波結合器において、前記グランド及び前記共振部を実装した回路基板が携帯機器の第1のハウジング部材の内面に配設され、前記接続部の一端が前記共振部に取り付けられ、前記結合用電極は前記携帯機器の第2のハウジング部材の内面に前記結合用電極となる導体パターンが形成されている。
本願の請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の高周波結合器において、前記第1のハウジング部材を前記第2のハウジング部材で閉じて、前記筐体の組み立てた状態で、前記接続部の他端が前記結合用電極の所定位置に当接して前記共振部と前記結合用電極を接続するように構成されている。
本願の請求項6に記載の発明によれば、請求項2に記載の高周波結合器の接続部は、前記断面が略V字形状の板バネの前記一方の端部は、前記他方の端部のほぼ真上で且つ前記結合用電極のほぼ中央で接続されている。
本願の請求項7に記載の発明によれば、請求項2に記載の高周波結合器において、前記板バネと前記結合用電極を合わせた長さは、使用周波数の波長のほぼ4分の1である。
また、本願の請求項8に記載の発明は、
グランドと、
前記グランドに対向して前記高周波信号の波長に対して無視し得る高さだけ離間するように支持される結合用電極と、
前記伝送路を介して前記結合用電極に流れ込む電流を大きくするための共振部と、
一端が前記共振部に取り付けられた伸縮可能な接続部と、
前記結合用電極の所定の位置にて前記共振部に接続する伸縮可能な接続部と、
前記グランド及び前記共振部を実装した回路基板を内面に配設した第1のハウジング部材と、
内面に前記結合用電極となる導体パターンが形成された第2のハウジング部材と、
を具備し、
前記第1のハウジング部材を前記第2のハウジング部材で閉じた状態で、前記接続部の他端が前記結合用電極の所定位置に当接して前記共振部と前記結合用電極を接続し、
前記結合用電極に蓄えられた前記電荷の中心と前記グランドに蓄えられた鏡像電荷の中心を結ぶ線分からなる微小ダイポールを形成し、前記微小ダイポールの方向となす角θがほぼ0度となるように対向して配置された通信相手側の高周波結合器に向けて前記高周波信号を伝送する、
ことを特徴とする通信装置である。
本発明によれば、携帯端末など小型の機器に内蔵して用いることができ、小型且つ安価に製作することができる、高周波結合器並びに通信装置を提供することができる。
本発明に係る高周波結合器並びに通信装置は、周波数の特性を保ちながら低背化及び結合用電極の小型化を実現し、近接無線転送には不要な電波の放射を抑制することができる。
本願の請求項1、8に記載の発明によれば、結合用電極と共振部が伸縮自在な接続部を介して接続されるので、高周波結合器は負荷に対して変形に強く、小型で勝つ安価に製作することができ、携帯端末など小型の機器に内蔵して用いることができる。
本願の請求項2、3に記載の発明によれば、シールド・フィンガーやポゴピンのような部材を用いて結合用電極を支持する構造とすることで、高周波結合器を小型且つ安価に構成して、携帯機器に好適に内蔵することができる。
本願の請求項4、5、8に記載の発明によれば、2つのハウジング部材を閉じることで、結合用電極を回路基板(グランド)から適当な高さに離間して支持して、不要な電波の放射を抑制することができる。また、シールド・フィンガーやポゴピンは伸縮可能であることから、ハウジング部材を介して支持部材に負荷が印加されても、接続部が屈曲して破壊されることはない。
本願の請求項6に記載の発明によれば、接続部である断面略V字形状の板バネの一方の端部は、他方の端部のほぼ真上で結合用電極に接続されるので、板バネに沿って水平方向に流れる電流同士を相殺する作用を最も効果的に実現することができる。また、接続部の一方の端部は結合用電極のほぼ中央で接続されるので、結合用電極表面で不要な電波が発生するのを抑制することができる。
本願の請求項7に記載の発明によれば、板バネと結合用電極を合わせた長さは、使用周波数の波長のほぼ4分の1であり、共振の特性を保ちながら、低背化と結合用電極の小型化を実現することができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
図1は、微弱UWB通信方式による近接無線転送システムの構成を模式的に示した図である。 図2は、送信機10及び受信機20のそれぞれに配置される高周波結合器の基本構成を示した図である。 図3は、図2に示した高周波結合器の一実装例を示した図である。 図4は、微小ダイポールによる電界を表した図である。 図5は、図4に示した電界を結合用電極上にマッピングした図である。 図6は、容量装荷型アンテナの構成例を示した図である。 図7は、共振部に分布定数回路を用いた高周波結合器の構成例を示した図である。 図8は、図7に示した高周波結合器において、スタブ73上に定在波が発生している様子を示した図である。 図9Aは、結合用電極91をシールド・フィンガー92で支持し、共振部(スタブ)93に接続した高周波結合器の構造の一例を示した図である。 図9Bは、結合用電極91をシールド・フィンガー92で支持し、共振部(スタブ)93に接続した高周波結合器の構造の一例を示した図である。 図10Aは、シールド・フィンガーで結合用電極を支持するという高周波結合器の基本構造を利用した実装例を示した図である。 図10Bは、シールド・フィンガーで結合用電極を支持するという高周波結合器の基本構造を利用した実装例を示した図である。 図11は、結合用電極111をポゴピン112で支持し、共振部(スタブ)113に接続した高周波結合器の構造の一例を示した図である。 図12Aは、ポゴピンで結合用電極を支持するという高周波結合器の基本構造を利用した実装例を示した図である。 図12Bは、ポゴピンで結合用電極を支持するという高周波結合器の基本構造を利用した実装例を示した図である。 図13は、第2のハウジング部材122を第1のハウジング部材121に取り付けて蓋を閉じた状態で、ポゴピン124を介して結合用電極125が給電される様子を示した図である。 図14は、第2のハウジング部材102を第1のハウジング部材101に取り付けて蓋を閉じた状態で、シールド・フィンガー104を介して結合用電極105が給電される様子を示した図である。 図15は、第1のハウジング部材101側の共振部103とシールド・フィンガー104の下端部の接点(接続点B)及びシールド・フィンガー104の上端部と結合用電極105の接点(接続点A)の最適な配置例を示した図である。 図16Aは、結合用電極の中心に給電点を配設したときに結合用電極内を流れる電流の様子を示した図である。 図16Bは、結合用電極の中心からオフセットのある位置に給電点を配設したときに、結合用電極内に不均等な電流が流れて不要電波を放射する様子を示した図である。 図17Aは、モノポール・アンテナにおける共振現象を説明するための図である。 図17Bは、容量装荷型アンテナにおける共振現象を説明するための図である。 図17Cは、容量装荷型アンテナにおける共振現象を説明するための図である。 図18Aは、使用周波数帯での共振作用を保ちながら高周波結合器を小型、低背化するための仕組みを説明するための図である。 図18Bは、使用周波数帯での共振作用を保ちながら高周波結合器を小型、低背化するための仕組みを説明するための図である。 図18Cは、使用周波数帯での共振作用を保ちながら高周波結合器を小型、低背化するための仕組みを説明するための図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
まず、微弱UWB通信方式による近接無線転送の動作原理について説明する。
図1には、電界結合作用を利用した微弱UWB通信方式による近接無線転送システムの構成を模式的に示している。同図において、送信機10及び受信機20がそれぞれ持つ送受信に用いられる結合用電極14及び24は、例えば3cm程度(若しくは使用周波数帯の2分の1波長程度)だけ離間して対向して配置され、電界結合が可能である。送信機側の送信回路部11は、上位アプリケーションから送信要求が生じると、送信データに基づいてUWB信号などの高周波送信信号を生成し、送信用電極14から受信用電極24へ電界信号として伝搬する。そして、受信機20側の受信回路部21は、受信した高周波の電界信号を復調及び復号処理して、再現したデータを上位アプリケーションへ渡す。
近接無線転送においてUWBを使用すると、100Mbps程度の超高速データ伝送を実現することができる。また、近接無線転送では、後述するように放射電界ではなく静電界若しくは誘導電界の結合作用を利用する。その電界強度は距離の3乗若しくは2乗に反比例することから、無線設備から3メートルの距離での電界強度が所定レベル以下に抑制することで、近接無線転送システムは、無線局の免許が不要となる微弱無線とすることが可能であり、安価に構成することができる。また、近接無線転送では、電界結合方式によりデータ通信を行なうので、周辺に存在する反射物からの反射波が小さいため干渉の影響が少ない、伝送路上でハッキングの防止や秘匿性の確保を考慮する必要がない、といった利点がある。
一方、無線通信では、波長に対する伝搬距離の大きさに応じて伝搬損が大きくなる。UWB信号のように高周波数の広帯域信号を利用した近接無線転送では、3cm程度の通信距離は約2分の1波長に相当する。すなわち、通信距離は近接といえども無視することはできない長さであり、伝搬損を十分低く抑える必要がある。とりわけ、高周波回路では、低周波回路に比べると特性インピーダンスの問題はより深刻であり、送受信機の電極間の結合点においてインピーダンス不整合による影響は顕在化する。
例えば、図1に示した近接無線転送システムにおいて、送信回路部11と送信用電極14を結ぶ高周波電界信号の伝送路が例えば50Ωのインピーダンス整合がとられた同軸線路であったとしても、送信用電極14と受信用電極24間の結合部におけるインピーダンスが不整合であると、電界信号は反射して伝搬損を生じることから、通信効率が低下する。
そこで、図2に示すように、送信機10及び受信機20のそれぞれに配置される高周波結合器を、平板状の電極14、24と、直列インダクタ12、22、並びに、並列インダクタ13、23からなる共振部を高周波信号伝送路に接続して構成している。ここで言う高周波信号伝送路とは、同軸ケーブル、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路などで構成することができる。このような高周波結合器を向かい合わせて配置すると、準静電界が支配的な極近距離では結合部分がバンドパス・フィルタのように動作して、高周波信号を伝達することができる。また、誘導電界が支配的な、波長に対して無視できない距離であっても、結合用電極とグランドにそれぞれたまる電荷並びに鏡像電荷によって形成される微小ダイポール(後述)から発生する誘導電界を介して2つの高周波結合器の間で効率よく高周波信号を伝達することができる。
ここで、送信機10と受信機20の電極間すなわち結合部分において、単にインピーダンス・マッチングを取り、反射波を抑えることだけを目的とするのであれば、各結合器を平板状の電極14、24と直列インダクタ12、22を高周波信号伝送路上に直列接続するという簡素な構造であっても、結合部分におけるインピーダンスが連続的となるように設計することは可能である。しかしながら、結合部分の前後における特性インピーダンスに変化はないので電流の大きさも変わらない。これに対し、並列インダクタ13、23を設けることによって、より大きな電荷を結合用電極14に送り込み、結合用電極14、24間で強い電界結合作用を生じさせることができる。また、結合用電極14の表面の近傍に大きな電界を誘起したとき、発生した電界は進行方向(微小ダイポールの方向:後述)に振動する縦波の電界信号として、結合用電極14の表面から伝搬する。この電界の波により、結合用電極14、24間の距離(位相長さ)が比較的大きな場合であっても電界信号を伝搬することが可能になる。
以上を要約すると、微弱UWB通信方式による近接無線転送システムでは、高周波結合器として必須の条件は以下の通りとなる。
(1)グランドに対向して高周波信号の波長に対して無視し得る高さだけ離間した位置に電界で結合するための結合用電極があること。
(2)より強い電界で結合させるための共振部があること。
(3)通信に使用する周波数帯において、結合用電極を向かい合わせに置いたときにインピーダンス・マッチングが取れるように、直列・並列インダクタ、及び、結合用電極によるコンデンサの定数、あるいはスタブの長さが設定されていること。
図1に示した近接無線転送システムにおいて、送信機10及び受信機20の各結合用電極14及び24が適当な距離を隔てて対向すると、2つの高周波結合器は、所望の高周波数帯の電界信号を通過するバンドパス・フィルタとして動作するとともに、単体の高周波結合器としては電流を増幅するインピーダンス変換回路として作用して、結合用電極には振幅の大きな電流が流入する。他方、高周波結合器が自由空間に単独で置かれるとき、高周波結合器の入力インピーダンスは高周波信号伝送路の特性インピーダンスと一致しないので、高周波信号伝送路に入った信号は高周波結合器内で反射され、外部に放射されないことから、近隣の他の通信システムへの影響はない。すなわち、送信機側では、通信相手が存在しないときには、旧来のアンテナのように電波を垂れ流すことはなく、通信相手が近づいたときのみインピーダンス整合がとれることによって高周波の電界信号の伝達が行なわれる。
図3には、図2に示した高周波結合器の一実装例を示している。送信機10及び受信機20側のいずれの高周波結合器も同様に構成することができる。同図において、結合用電極14は誘電体からなるスペーサー15の上面に配設され、プリント基板17上の高周波信号伝送路とはこのスペーサー15内を貫挿するスルーホール16を通して電気的に接続されている。同図では、スペーサー15は略円柱状で、結合用電極14は略円形あるが、特定の形状に限定されるものではない。
例えば、所望の高さを持つ誘電体にスルーホール16を形成した後、スルーホール16中に導体を充填させるとともに、この誘電体の上端面に結合用電極14となるべき導体パターンを、例えば鍍金技術により蒸着する。また、プリント基板17上には、高周波伝送線路となる配線パターンが形成されている。そして、プリント基板17上にこのスペーサー15をリフロー半田などにより実装することによって、高周波結合器を製作することができる。プリント基板17の回路実装面(若しくはグランド18)から結合用電極14までの高さ、すなわちスルーホール16の長さ(位相長さ)を使用波長に応じて適当に調整することで、スルーホール16がインダクタンスを持ち、図2に示した直列インダクタ12と代用することができる。また、高周波信号伝送路はチップ状の並列インダクタ13を介してグランド18に接続されている。
ここで、送信機10側の結合用電極14において発生する電磁界について考察してみる。
図1並びに図2に示すように、結合用電極14は、高周波信号の伝送路の一端に接続され、送信回路部11から出力される高周波信号が流れ込んで、電荷を蓄える。このとき、直列インダクタ12及び並列インダクタ13からなる共振部の共振作用によって、伝送路を介して結合用電極14に流れ込む電流は増幅され、より大きな電荷が蓄えられる。
また、結合用電極14に対向するように、高周波信号の波長に対して無視し得る高さ(位相長さ)だけ離間して、グランド18が配置されている。そして、上述のように結合用電極14に蓄えられると、グランド18には鏡像電荷が蓄えられる。平面導体の外部に点電荷Qを置くと、平面導体内には(表面電荷分布を置き換えた仮想的な)鏡像電荷−Qが配置されるが、このことは、例えば溝口正著「電磁気学」(裳華房、第54頁乃至第57頁)にも記載されているように、当業界で周知である。
上述のように点電荷Q及び鏡像電荷−Qが蓄えられた結果、結合用電極14に蓄えられた電荷の中心とグランド18に蓄えられた鏡像電荷の中心を結ぶ線分からなる微小ダイポールが形成される。厳密に言うと、電荷Qと鏡像電荷−Qは体積を持ち、微小ダイポールが電荷の中心と鏡像電荷の中心を結ぶように形成される。ここで言う「微小ダイポール」は、「電気ダイポールの電荷間の距離が非常に短いもの」を指す。例えば虫明康人著「アンテナ・電波伝搬」(コロナ社、16頁〜18頁)にも、「微小ダイポール」が記載されている。そして、微小ダイポールによって、電界の横波成分Eθ、電界の縦波成分ER、微小ダイポール回りの磁界Hφが発生する。
図4には、微小ダイポールによる電界を表している。また、図5には、この電界を結合用電極上にマッピングした様子を示している。図示のように、電界の横波成分Eθは伝搬方向と垂直な方向に振動し、電界の縦波成分ERは伝搬方向と平行な向きに振動する。また、微小ダイポール回りには磁界Hφが発生する。下式(1)〜(3)は微小ダイポールによって生成される電磁界を表している。同式中、距離Rの3乗に反比例する成分は静電界、距離Rの2乗に反比例する成分は誘導電界、距離Rに反比例する成分は放射電界である。
図1に示した近接無線転送システムにおいて、周辺システムへの妨害波を抑制するには、放射電界の成分を含む横波Eθを抑制しながら、放射電界の成分を含まない縦波ERを利用することが好ましいと考えられる。何故ならば、上式(1)、(2)から分かるように、電界の横波成分Eθは距離に反比例する(すなわち、距離減衰の小さい)放射電界を含むのに対して、縦波成分ERは放射電界を含まないからである。
まず、電界の横波成分Eθを生じないようにするには、高周波結合器がアンテナとして動作しないようにする必要がある。図2に示した高周波結合器は、一見すると、アンテナ素子の先端に金属を取り付けて静電容量を持たせ、アンテナの高さを短縮させる「容量装荷型」のアンテナと構造が類似する。したがって、高周波結合器が容量装荷型アンテナとして動作しないようにする必要がある。図6には、容量装荷型アンテナの構成例を示しているが、同図中で矢印A方向に主に電界の縦波成分ERが発生するとともに、矢印B1、B2方向には電界の横波成分Eθが発生する。
図3に示した結合用電極の構成例では、誘電体15とスルーホール16は、結合用電極14とグランド18との結合を回避する役割と、直列インダクタ12を形成する役割を兼ね備えている。プリント基板17の回路実装面から電極14まで十分な高さをとって直列インダクタ12を構成することによって、グランド18と電極14との電界結合を回避して、受信機側の高周波結合器との電界結合作用を確保する。但し、誘電体15の高さが大きい、すなわちプリント基板17の回路実装面から電極14までの距離が使用波長に対して無視できない長さになると、高周波結合器が容量装荷型アンテナとして作用してしまい、図6中の矢印B1、B2方向で示したような横波成分Eθが発生する。よって、誘電体15の高さは、電極14とグランド18との結合を回避して高周波結合器としての特性を得るとともに、インピーダンス・マッチング回路として作用するために必要な直列インダクタ12を構成するために十分な長さとし、直列インダクタ12に流れる電流による不要電波Eθの放射が大きくならない程度に短いことが条件となる。
他方、上式(2)から、縦波ER成分は微小ダイポールの方向となす角θ=0度で極大となることが分かる。したがって、電界の縦波ERを効率的に利用して非接触通信を行なうには、微小ダイポールの方向となす角θがほぼ0度となるように対向して通信相手側の高周波結合器を配置して、高周波の電界信号を伝送することが好ましい。
また、直列インダクタ12と並列インダクタ13からなる共振部によって、結合用電極14に流れ込む高周波信号の電流をより大きくすることができる。この結果、結合用電極14に蓄積される電荷とグランド側の鏡像電荷によって形成される微小ダイポールのモーメントを大きくすることができ、微小ダイポールの方向となす角θがほぼ0度となる伝搬方向に向かって、縦波ERからなる高周波の電界信号を効率的に放出することができる。
図2に示した高周波結合器では、インピーダンス整合部は並列インダクタ及び直列インダクタの定数L1、L2により動作周波数f0が決定される。ところが、高周波回路では集中定数回路は分布定数回路よりも帯域が狭いことが知られており、また周波数が高いときインダクタの定数は小さくなるので、定数のばらつきによって共振周波数がずれるという問題がある。これに対し、インピーダンス整合部や共振部を集中定数回路から分布定数回路に代えて高周波結合器を構成することで、広帯域化を実現するという解決方法が考えられる。
図7には、インピーダンス整合部や共振部に分布定数回路を用いた高周波結合器の構成例を示している。図示の例では、下面にグランド導体72が形成されるとともに、上面に印刷パターンが形成されたプリント基板上71に、高周波結合器が配設されている。高周波結合器のインピーダンス整合部並びに共振部として、並列インダクタと直列インダクタの代わりに、分布定数回路として作用するマイクロストリップライン又はコプレーナ導波路すなわちスタブ73が形成され、信号線パターン74を介して送受信回路モジュール75と結線している。スタブ73は、先端においてプリント基板71を貫挿するスルーホール76を介して下面のグランド72に接続してショートされる。また、スタブ73の中央付近において、細い金属線からなる1本の端子77を介して結合用電極78に接続される。
なお、電子工学の技術分野で言う「スタブ(stub)」は、一端を接続、他端を未接続又はグランド接続した電線の総称であり、調整、測定、インピーダンス整合、フィルタなどの用途で回路の途中に設けられる。
ここで、信号線を介して送受信回路から入力された信号は、スタブ73の先端部で反射し、スタブ73内には定在波が立つことになる。スタブ73の位相長さは高周波信号の2分の1波長(位相にして、180度)程度とし、信号線74とスタブ73はプリント基板71上のマイクロストリップ線路、コプレーナ線路などで形成される。図8に示すように、スタブ73の位相長さが2分の1波長で先端がショートしているときには、スタブ73内に発生する定在波の電圧振幅はスタブ73の先端で0となり、スタブ73の中央、すなわちスタブ73の先端から4分の1波長(90度)のところで最大となる。定在波の電圧振幅が最大となるスタブ73の中央付近に結合用電極78を1本の端子77で接続することで、伝搬効率の良い高周波結合器を作ることができる。
図7中に示すスタブ73は、プリント基板71上のマイクロストリップライン又はコプレーナ導波路であり、その直流抵抗が小さいことから、高周波信号でも損失が少なく、高周波結合器間の伝搬損を小さくすることができる。また、分布定数回路を構成するスタブ73のサイズは高周波信号の2分の1波長程度と大きいことから、製造時の公差による寸法の誤差は全体の位相長さに比較すると微量であり、特性のバラツキが生じにくい。
高周波結合器の最も基本的な構造は、図7に示したように、スタブなどの共振部の上にキノコ形状の結合用電極を金属線で接続したものである。しかしながら、図示のように、線状の部材のみで結合用電極を支持すると機械的強度が不十分であり、変形し易い。例えば、結合用電極の上面で下向きの過負荷が加わると、支持部材が屈曲して元の形状に復元できなくなってしまう。
他方、図3に示したように、誘電体(絶縁体)からなるスペーサー15で結合用電極14を支持すると、機械的強度が増して結合用電極14が変形する心配はなくなるものの、コスト増が懸念される。また、スペーサー15を樹脂で形成した際、その樹脂の誘電率が大きいと、高周波結合器の動作帯域が狭くなってしまう。さらに、その樹脂の誘電正接が大きいと、損失が増大して、高周波結合器の結合強度が弱くなってしまうという問題がある。
高周波結合器として電気的特性がよいのは、図7に示したように、結合用電極78をスペーサーで支持しない構造である。したがって、結合用電極78をスペーサーで支持しない構造の高周波結合器を、容易で安価に、しかも変形し難い形で実現することが望ましい。
本発明者は、変形に強い支持構造の一例として、図9A並びに図9Bに示すように、結合用電極91をシールド・フィンガー92で支持し、共振部(スタブ)93に接続する構造を提案する。ちなみに、シールド・フィンガーは、板バネ状に成型された小型のチップ部品であり、小型の接触子として広く利用されている。周知のシールド・フィンガーの形状はさまざまであるが、本実施形態では、図示のように断面が略V字形状で、両端は開放端(オープンエンド)のタイプとする。
シールド・フィンガー92は、上端部で結合用電極91を支持し、他端部で共振部(スタブ)93に接続されている。同図からも分かるように、シールド・フィンガー92は高さ方向に可撓性を有している。例えば、結合用電極91の上面で下向きの負荷が加わると、シールド・フィンガー92が変形して一時的に結合用電極91の姿勢が変化するが、負荷が取り除かれるとシールド・フィンガー92が復元して、結合用電極91は元の姿勢を回復することができる。
図10A及び図10Bには、図9に示した、シールド・フィンガーで結合用電極を支持するという高周波結合器の基本構造を利用した実装例を示している。図示の例では、高周波結合器は、第1のハウジング部材101と第2のハウジング部材102からなる携帯機器の筐体の内部に配設されている。
第1のハウジング部材101の内面には、共振部(スタブ)103としての導体パターンなどが表面に実装された回路基板106が取り付けられている。回路基板106は、例えば裏面にグランド・パターン(図示しない)を含むものとする。共振部(スタブ)103の所定の部位に、シールド・フィンガー104がその下端部で取り付けられている。また、第2のハウジング部材101の内面には、例えばメッキなどにより結合用電極105となる導体パターンが形成されている。
図10Aに示すように、第2のハウジング部材102を第1のハウジング部材101から取り外した状態(すなわち、携帯機器の筐体を分解した状態)では、シールド・フィンガー104の上端部はいずれにも接続されず、開放端となる。これに対し、図10Bに示すように、第2のハウジング部材102を第1のハウジング部材101に取り付けて蓋を閉じた状態(すなわち、携帯機器の筐体を組み立てた状態)にすると、シールド・フィンガー104の上端部は第2のハウジング部材102の内面に形成された結合用電極105に当接する。この結果、結合用電極105はシールド・フィンガー104を介して給電され、結合用電極105に電荷が貯まることで、図4を参照しながら説明した作用によって、電界の縦波成分を放射するようになる。
また、本発明者は、図11に示すように、結合用電極111をポゴピン112で支持し、共振部(スタブ)113に接続する構造を他の例として提案する。ここで、ポゴピンとは、先端がバネで伸縮する可動型プローブ・ピンとして広く知られている。ちなみに、ポゴピンは、2枚の基板を繋ぐコネクタ、バッテリ端子のコネクタとして利用されることが多い。
ポゴピン112は、上端部で結合用電極111を支持し、他端部で共振部(スタブ)113に接続されている。同図からも分かるように、ポゴピン112は、内部のバネ弾性により高さ方向に伸縮自在な構造体である。例えば、結合用電極111の上面で下向きの負荷が加わると、ポゴピン112が収縮して一時的に結合用電極111が退避するが、負荷が取り除かれるとポゴピン112内部のバネが復元して、結合用電極111は元の高さを回復することができる。
図12A及び図12Bには、図11に示した、ポゴピンで結合用電極を支持するという高周波結合器の基本構造を利用した実装例を示している。図示の例では、高周波結合器は、第1のハウジング部材121と第2のハウジング部材122からなる携帯機器の筐体の内部に配設されている。
第1のハウジング部材121の内面には、共振部(スタブ)123としての導体パターンなどが表面に実装された回路基板126が取り付けられている。回路基板126は、例えば裏面にグランド・パターン(図示しない)を含むものとする。共振部(スタブ)123の所定の部位に、ポゴピン124がその下端部で取り付けられている。また、第2のハウジング部材121の内面には、例えばメッキなどにより結合用電極125となる導体パターンが形成されている。
図12Aに示すように、第2のハウジング部材122を第1のハウジング部材121から取り外した状態(すなわち、携帯機器の筐体を分解した状態)では、ポゴピン124の上端部は第1のハウジング部材121から離間して、開放端となる。これに対し、図12Bに示すように、第2のハウジング部材122を第1のハウジング部材121に取り付けて蓋を閉じた状態(すなわち、携帯機器の筐体を組み立てた状態)にすると、ポゴピン124の上端部は第2のハウジング部材122の内面に形成された結合用電極125に当接する。この結果、結合用電極125はポゴピン124を介して給電され、結合用電極125に電荷が貯まることで、図4を参照しながら説明した作用によって、電界の縦波成分を放射するようになる。
図9乃至図12を参照しながら説明したように、シールド・フィンガーやポゴピンのような部材を用いて結合用電極を支持する構造とすることで、高周波結合器を小型且つ安価に構成して、携帯機器に好適に内蔵することができる。また、容量装荷型アンテナ(図6を参照のこと)として不要電波の放射が大きくならないようにするためには、結合用電極を回路基板(グランド)から適当な高さに離間して支持する必要があるが、2つのハウジング部材を閉じることで所望の高さで結合用電極を支持することになる。また、結合用電極の支持並びに接続に用いるシールド・フィンガーやポゴピンは伸縮可能であることから、ハウジング部材を介して支持部材に負荷が印加されても、屈曲して破壊されることはない。
続いて、結合用電極をシールド・フィンガーで支持する場合とポゴピンで支持する場合の動作特性について比較してみる。
図13には、第2のハウジング部材122を第1のハウジング部材121に取り付けて蓋を閉じた状態(すなわち、携帯機器の筐体を組み立てた状態)で、ポゴピン124を介して結合用電極125が給電される様子を示している。図示のように、ポゴピン124の表面を紙面の垂直方向に電流が流れると、図6に示したように、電流の向きと垂直な方向、すなわち紙面の水平方向に電界の横波成分の放射を引き起こす。この横波は、近接無線転送には不要となる電波である。
また、図14には、第2のハウジング部材102を第1のハウジング部材101に取り付けて蓋を閉じた状態(すなわち、携帯機器の筐体を組み立てた状態)で、シールド・フィンガー104を介して結合用電極105が給電される様子を示している。本実施形態では、図示のように断面が略V字形状で、両端は開放端(オープンエンド)のタイプのシールド・フィンガー104を使用している。したがって、シールド・フィンガー104の下端部から給電されると、電流は断面略V字の板バネに沿って上端部に流れる際に、このV字の一方の脚と他方の脚の各々で電流A、Bはほぼ紙面の水平方向の逆向きとなり互いの作用を打ち消し合うことから、近接無線転送にとって不要な電波を抑制することができる。
上述したように板バネに沿って水平方向に流れる電流同士を相殺する作用を最も効果的に実現するには、図15に示すように、第1のハウジング部材101側の共振部103とシールド・フィンガー104の下端部の接点(接続点B)のほぼ真上(すなわち、紙面の垂直上方)に相当する位置(接続点A)で、シールド・フィンガー104の上端部と結合用電極105が接するようにすることが好ましい。
なお、結合用電極の支持部材にポゴピン又はシールド・フィンガーのいずれを用いる場合であっても、給電点が結合用電極のほぼ中央部となるようにすることが好ましい。何故ならば、オフセットに起因して結合用電極表面で電流が流れ、不要電波を発生させてしまうからである。結合用電極のほぼ中央から給電することによって電界の縦波成分ERが最大となるようにすることができる(図16Aを参照のこと)。これに対し、給電点を結合用電極の中心からオフセットさせた場合には、このオフセットに起因して、結合用電極に対して平行な方向に対する電流成分が増加する(図16Bを参照のこと)。そして、この電流成分に応じて結合用電極の正面方向の横波成分Eθが増加してしまう。
続いて、シールド・フィンガーを結合用電極の支持部材に用いる場合の小型、低背化について考察する。
図6に示した容量装荷型のアンテナは、モノポール・アンテナを低背化するときの形状である。一般に、使用周波数の長さ4分の1波長の金属線をグランドに垂直に立てると、その使用周波数で共振し、図17Aに示すような電流分布となる。同図に示すように、金属線の先端では、これ以上電流が流れないため、電流分布が0(すなわち、振幅が0の節)となる。他方、金属線の根元の給電点では、電流分布が最大(すなわち、振幅が最大の腹)となる。
ここで、図17Bに示すように、金属線の高さを低くし、その先端に面積の広い金属線を取り付けると、図6に示したと同様の容量装荷型アンテナとなる。このとき、金属線と金属板を併せた長さが使用周波数の4分の1波長になるとき、図17Aの場合と同様に共振させることができる。また、金属線と金属板を併せた長さが使用周波数の4分の1波長という条件を保ちながら、金属板を広くすることで、図17Cに示すように、アンテナをさらに低背化することができる。
このように、容量装荷型に構成することでアンテナを低背化することができるが、電波の放射に有効に寄与している金属線の部分が短くなるため、アンテナの放射効率(電界の横波成分の放射)は低下する。しかしながら、使用周波数で共振させるためには、金属線と金属板を併せた長さを使用周波数の4分の1波長にしなければならず、金属線の長さを短くした分だけ金属板の面積をより大きくする必要があり、高周波結合器は低背化しつつも金属板が大面積化する。
他方、アンテナではなく高周波結合器の場合、むしろ電波(電界の横波成分)の放射はできるだけ小さくなるよう抑制して、その代わりに誘導電界(電界の縦波成分)の放射が大きくなることが望ましい。したがって、金属線の部分をさらに短くして、放射効率(電界の横波成分の放射)を抑制するとともに、上記の金属板に相当する結合用電極を広くして誘導電界(電界の縦波成分)の放射を強めるようにすればよい(図18Cを参照のこと)。
結合用電極に相当する金属板に給電する金属線の部分を、図9乃至図10に示したように、シールド・フィンガーで構成すると、金属板の高さが同じであっても、断面V字ゆえ、金属線の長さを長く取ることができる。このことは、図18Aと図18Bを比較すれば理解できよう。また、金属線と金属板を併せた長さが使用周波数の4分の1波長であればよいことから、V字の屈曲形状により金属線の長さが長くなる分だけ、金属線が屈曲形状でない場合と比較すると、金属板を小面積化することができる(図18B、図18Cを参照のこと)。
アンテナを小型化する技術として、容量装荷や放射エレメントの折り曲げなどが一般に知られているが、いずれにおいても小型化と引き換えにアンテナの放射効率が低下する。これに対し、近接無線転送においてはむしろ不要な電波の放射を抑制できて望ましいことから、高周波結合器に対してアンテナと同様の小型化技術を適用して、小型化と特性の改善の両方を同時に実現することができる訳である。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳細に説明してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本明細書では、UWB信号を電界結合によりケーブルレスでデータ伝送する通信システムに適用した実施形態を中心に説明してきたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。例えば、UWB通信方式以外の高周波信号を使用する通信システムや、比較的低い周波数信号を用いて電界結合によりデータ伝送を行なう通信システムに対しても、同様に本発明を適用することができる。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
10…送信機、
11…送信回路部
12、22…直列インダクタ
13、23…並列インダクタ
14…送信用電極
15…誘電体(スペーサー)
16…スルーホール
17…プリント基板
18…グランド
20…受信機
21…受信回路部
24…受信用電極
71…プリント基板
72…グランド導体
73…スタブ
74…信号線パターン
75…送受信回路モジュール
76…スルーホール
77…端子
78…結合用電極
91…結合用電極
92…シールド・フィンガー
93…共振部(スタブ)
101…第1のハウジング部材
102…第2のハウジング部材
103…共振部(スタブ)
104…シールド・フィンガー
105…結合用電極
106…回路基板
111…結合用電極
112…ポゴピン
113…共振部(スタブ)
121…第1のハウジング部材
122…第2のハウジング部材
123…共振部(スタブ)
124…ポゴピン
125…結合用電極
126…回路基板

Claims (8)

  1. グランドと、
    前記グランドに対向して前記高周波信号の波長に対して無視し得る高さだけ離間するように支持される結合用電極と、
    前記伝送路を介して前記結合用電極に流れ込む電流を大きくするための共振部と、
    前記結合用電極の所定の位置にて前記共振部に接続する伸縮可能な接続部と、
    を具備し、
    前記結合用電極に蓄えられた前記電荷の中心と前記グランドに蓄えられた鏡像電荷の中心を結ぶ線分からなる微小ダイポールを形成し、前記微小ダイポールの方向となす角θがほぼ0度となるように対向して配置された通信相手側の高周波結合器に向けて前記高周波信号を伝送する、
    ことを特徴とする高周波結合器。
  2. 前記接続部は、断面が略V字形状の板バネからなり、前記板バネの一方の端部で前記結合用電極に接続され、前記板バネの他方の端部で前記共振部に接続される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の高周波結合器。
  3. 前記接続部は、断面がポゴピンからなり、前記ポゴピンの一方の端部で前記結合用電極に接続され、前記ポゴピンの他方の端部で前記共振部に接続される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の高周波結合器。
  4. 前記グランド及び前記共振部を実装した回路基板が携帯機器の第1のハウジング部材の内面に配設され、前記接続部の一端が前記共振部に取り付けられ、
    前記結合用電極は前記携帯機器の第2のハウジング部材の内面に前記結合用電極となる導体パターンが形成される、
    ことを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の高周波結合器。
  5. 前記第1のハウジング部材を前記第2のハウジング部材で閉じて、前記筐体の組み立てた状態で、前記接続部の他端が前記結合用電極の所定位置に当接して前記共振部と前記結合用電極を接続する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の高周波結合器。
  6. 前記接続部は、前記断面が略V字形状の板バネの前記一方の端部は、前記他方の端部のほぼ真上で且つ前記結合用電極のほぼ中央で接続される、
    ことを特徴とする請求項2に記載の高周波結合器。
  7. 前記板バネと前記結合用電極を合わせた長さは、使用周波数の波長のほぼ4分の1である、
    ことを特徴とする請求項2に記載の高周波結合器。
  8. グランドと、
    前記グランドに対向して前記高周波信号の波長に対して無視し得る高さだけ離間するように支持される結合用電極と、
    前記伝送路を介して前記結合用電極に流れ込む電流を大きくするための共振部と、
    一端が前記共振部に取り付けられた伸縮可能な接続部と、
    前記結合用電極の所定の位置にて前記共振部に接続する伸縮可能な接続部と、
    前記グランド及び前記共振部を実装した回路基板を内面に配設した第1のハウジング部材と、
    内面に前記結合用電極となる導体パターンが形成された第2のハウジング部材と、
    を具備し、
    前記第1のハウジング部材を前記第2のハウジング部材で閉じた状態で、前記接続部の他端が前記結合用電極の所定位置に当接して前記共振部と前記結合用電極を接続し、
    前記結合用電極に蓄えられた前記電荷の中心と前記グランドに蓄えられた鏡像電荷の中心を結ぶ線分からなる微小ダイポールを形成し、前記微小ダイポールの方向となす角θがほぼ0度となるように対向して配置された通信相手側の高周波結合器に向けて前記高周波信号を伝送する、
    ことを特徴とする通信装置。
JP2009156301A 2009-06-30 2009-06-30 高周波結合器並びに通信装置 Expired - Fee Related JP5310316B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009156301A JP5310316B2 (ja) 2009-06-30 2009-06-30 高周波結合器並びに通信装置
US12/778,452 US8334728B2 (en) 2009-06-30 2010-05-12 High-frequency coupler and communication device
CN2010102134110A CN101938028B (zh) 2009-06-30 2010-06-23 高频耦合器和通信装置
EP10167020.6A EP2276106A3 (en) 2009-06-30 2010-06-23 High-frequency coupler and communication device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009156301A JP5310316B2 (ja) 2009-06-30 2009-06-30 高周波結合器並びに通信装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011015088A true JP2011015088A (ja) 2011-01-20
JP5310316B2 JP5310316B2 (ja) 2013-10-09

Family

ID=43033404

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009156301A Expired - Fee Related JP5310316B2 (ja) 2009-06-30 2009-06-30 高周波結合器並びに通信装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US8334728B2 (ja)
EP (1) EP2276106A3 (ja)
JP (1) JP5310316B2 (ja)
CN (1) CN101938028B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013165414A (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 Nissan Motor Co Ltd 車載通信バスアダプタ及び変換プラグ

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4605203B2 (ja) * 2007-10-15 2011-01-05 ソニー株式会社 通信システム並びに通信装置
JP5282626B2 (ja) * 2009-03-30 2013-09-04 ソニー株式会社 通信装置並びに高周波結合器
JP2011193151A (ja) * 2010-03-12 2011-09-29 Sony Corp 高周波結合器並びに通信装置
JP2011193088A (ja) * 2010-03-12 2011-09-29 Sony Corp 高周波結合器並びに通信装置
JP2012023440A (ja) * 2010-07-12 2012-02-02 Sony Corp 通信装置、通信システム及び通信方法
JP5786483B2 (ja) 2011-06-20 2015-09-30 ソニー株式会社 通信装置
JP2015012363A (ja) * 2013-06-27 2015-01-19 ソニー株式会社 通信装置及び検出方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11312998A (ja) * 1998-04-28 1999-11-09 Kyocera Corp 携帯無線機
JP2003110453A (ja) * 2001-09-28 2003-04-11 Matsushita Electric Ind Co Ltd 携帯無線機器
JP2007288360A (ja) * 2006-04-13 2007-11-01 Toshiba Corp 移動通信端末
JP2008099236A (ja) * 2006-09-11 2008-04-24 Sony Corp 通信システム、通信装置、並びに高周波結合器

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE1291807B (de) * 1965-09-30 1969-04-03 Siemens Ag Mikrowellenbauteil mit wenigstens einem Doppelleitungsabschnitt
US6464510B1 (en) * 1999-05-24 2002-10-15 Anaren Microwave, Inc. Microwave circuit connector
FI115172B (fi) * 2003-07-24 2005-03-15 Filtronic Lk Oy Antennijärjestely ulkoisen laitteen liittämiseksi radiolaitteeseen
KR20070048131A (ko) * 2004-08-27 2007-05-08 히구치, 토시아키 고주파결합기, 고주파전송기 및 안테나
US7551140B2 (en) * 2005-11-03 2009-06-23 Symbol Technologies, Inc. Low return loss rugged RFID antenna
CN101145811B (zh) * 2006-09-11 2012-09-05 索尼株式会社 通信系统、通信装置以及高频耦合器
EP1926223B1 (en) * 2006-11-21 2018-02-28 Sony Corporation Communication system and communication apparatus
JP2008134170A (ja) * 2006-11-29 2008-06-12 Micronics Japan Co Ltd 電気的接続装置
JP4403431B2 (ja) * 2007-06-14 2010-01-27 ソニー株式会社 通信システム並びに通信装置
JP4544289B2 (ja) * 2007-11-09 2010-09-15 ソニー株式会社 通信装置、通信方法及び通信システム

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11312998A (ja) * 1998-04-28 1999-11-09 Kyocera Corp 携帯無線機
JP2003110453A (ja) * 2001-09-28 2003-04-11 Matsushita Electric Ind Co Ltd 携帯無線機器
JP2007288360A (ja) * 2006-04-13 2007-11-01 Toshiba Corp 移動通信端末
JP2008099236A (ja) * 2006-09-11 2008-04-24 Sony Corp 通信システム、通信装置、並びに高周波結合器

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013165414A (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 Nissan Motor Co Ltd 車載通信バスアダプタ及び変換プラグ

Also Published As

Publication number Publication date
US8334728B2 (en) 2012-12-18
CN101938028B (zh) 2013-10-30
US20100327997A1 (en) 2010-12-30
JP5310316B2 (ja) 2013-10-09
EP2276106A3 (en) 2013-04-24
EP2276106A2 (en) 2011-01-19
CN101938028A (zh) 2011-01-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5282626B2 (ja) 通信装置並びに高周波結合器
JP5560802B2 (ja) 通信装置
JP5310316B2 (ja) 高周波結合器並びに通信装置
JP5287423B2 (ja) 通信装置並びに高周波結合器
US8547184B2 (en) High-frequency coupler and communication device
JP2011199484A (ja) 通信装置
JP4345849B2 (ja) 通信システム、通信装置、並びに高周波結合器
JP5287377B2 (ja) 通信装置、高周波結合器、並びに複合通信装置
TWI425778B (zh) 高頻耦合器及通訊裝置
EP2573870A1 (en) Antenna device and portable wireless terminal equipped with same
US8299868B2 (en) High frequency coupler and communication device
JP4983425B2 (ja) 通信装置
US8331859B2 (en) Communication apparatus
JP4983749B2 (ja) 高周波結合器並びに電界信号放射エレメント
JP2011205316A (ja) アンテナ装置及びこれを搭載した携帯無線端末
JP5649472B2 (ja) 多方向通信特性を有する通信カプラ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130604

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130617

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees