JP2011014543A - 光電変換素子の製造方法および光電変換素子、光電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、エネルギー変換効率が高く、低コストで製造が可能で使用可能な支持体の選択肢を増やした色素増感半導体型の光電変換素子および光電池を提供することである。
【解決手段】多孔質半導体微粒子層と電荷輸送層および対極を含む積層構造からなり、該多孔質半導体微粒子層が、半導体微粒子と分散溶媒を除く添加剤の含量が分散液の1質量%以下の粒子分散液を塗布し加熱する工程によって製造されることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は光電変換と光センシングの技術分野に関連し、焼成の工程もしくは高温下の加熱処理を含まない低コストな製造工程によって作られる光電変換素子に関する。
光電変換素子は、エネルギー変換と光センシングの両産業分野で広く利用されており、これまで、Siのp−n接合や化合物半導体のヘテロ接合を代表とする固体素子が高感度型素子として用いられてきた。高感度、高耐久性がネックとなる太陽光発電用の光電池(photovoltaic(PV)cell)としては、現在、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の化合物半導体の固体接合を用いるものが、主力技術となっている。しかし、これらの光電池はいずれも高温下での結晶生成あるいは真空技術を用いた高純度の薄膜の積層などを必要とするために、製造工程のエネルギー消費が大きく、したがってコスト高となる問題を含んでいる。
性能とコストの比において最も有力とされるアモルファスシリコン太陽電池は、800nmまでの可視光を利用でき、0.7V以上の開回路電圧と10%に近いエネルギー変換効率を与える。しかし真空蒸着の工程を必要とし大幅なコストダウンには限界がある。
こうした状況の中で、非特許文献1および特許文献1等に開示される色素増感半導体微粒子を用いた光電変換素子および太陽電池が代替技術として注目されている。その典型が、耐光性に優れるルテニウム錯体を色素に用いて分光増感された二酸化チタン多孔質薄膜からなる電気化学的光電池、いわゆる湿式太陽電池である。この湿式太陽電池の利点は、二酸化チタン等の安価な酸化物半導体を用いて低コストで光電変換素子を提供できる点であり、第二の利点は用いられる色素の種類によって光吸収の波長を選択あるいはより長波長に拡張できることである。この方式の構成上の特徴である多孔質の半導体微粒子層は、色素吸着量を増やし、高い光吸収率を実現するための必須要素であり、通常は半導体微粒子を含む高粘度の分散物を分散材料とともに電極基板上に塗布し、これを比較的高温(400〜500℃)で焼成して分散材料を除去することで得られる。しかし、高温焼成の工程では焼成にかかる時間・エネルギーが低コスト化の障害となるばかりでなく、半導体微粒子層を担持する電極支持体の種類を限定してしまうために、プラスチック基板などへの電極層形成が困難であった。
米国特許第4927721号明細書
Nature(第353巻、第737〜740頁、1991年)
本発明の目的は、エネルギー変換効率が高く、低コストで製造が可能で使用可能な支持体の選択肢を増やした色素増感半導体型の光電変換素子および光電池を提供することである。
本発明の課題は本発明を特定する下記の事項およびその好ましい態様により達成された。
(1)多孔質半導体微粒子層と電荷輸送層および対極を含む積層構造からなり、多孔質半導体微粒子層が、半導体微粒子と分散溶媒を除く添加剤(バインダーなど)の含量が分散液の1質量%以下の粒子分散液を塗布し100℃以上250℃以下で加熱する工程によって製造される光電変換素子の製造方法。
(2)多孔質半導体微粒子層と電荷輸送層および対極を含む積層構造からなり、多孔質半導体微粒子層が、半導体微粒子と分散溶媒を除く添加剤(バインダーなど)の含量が分散液の0.5質量%以下の粒子分散液を塗布し100℃以上250℃以下で加熱する工程によって製造される光電変換素子。
(3)多孔質半導体微粒子層と電荷輸送層および対極を含む積層構造からなり、多孔質半導体微粒子層が、半導体微粒子と分散溶媒を除く添加剤(バインダーなど)の含量が分散液の0.5質量%以下の粒子分散液を塗布し100℃以上150℃以下で加熱する工程によって製造される光電変換素子。
(4)半導体微粒子の一次粒子の平均径が2nm以上50nm以下である多孔質半導体微粒子層を用いて製造される上記の光電変換素子。
(5)半導体微粒子の一次粒子の平均径が2nm以上30nm以下である多孔質半導体微粒子層を用いて製造される上記の光電変換素子。
(6)加熱工程の一部もしくは全部が、半導体微粒子が吸収する光の照射下で行われることで製造される上記の光電変換素子。
(7)多孔質半導体微粒子層の支持体に導電性のプラスチック材料を用いて製造される上記の光電変換素子。
(8)多孔質半導体微粒子層の半導体が、少なくともチタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、タングステン酸化物、ニオブ酸化物またはこれらの複合体から選ばれる半導体である上記の光電変換素子。
(9)電荷移動層としてイオン伝導性電解質を用いる光電変換素子。
(10)イオン伝導性電解質として室温溶融塩電解質を用いる光電変換素子。
(11)上記のように作られ構成される光電変換素子を、光電池、太陽電池、光センサーとして用いること。
本発明によって、エネルギー変換効率とコストパーフォーマンスに優れた色素増感型の光電変換素子ならびに光電気化学電池が得られる。
本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。 実施例で作成した光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
以下に本発明について詳細に説明する。
〔1〕光電変換素子
本発明の光電変換素子は、色素で増感された多孔質の半導体微粒子層に対して、電荷輸送層と対極とを接合して作られるものであり、多孔質半導体微粒子層が、従来の塗布と高温焼成による方法でなく、粒子を結着させる目的で添加されるバインダーを実質的に含まないあるいはバインダー含量の極めて少ない粒子分散液を塗布し加熱することよって形成されることを特徴とする。
つぎに、本発明の光電変換素子の構成と材料について詳述する。
本発明の光電変換素子は、好ましくは図1に示すように、導電層10、下塗り層60、感光層20、電荷移動層30、対極導電層40の順に積層され、前記感光層20は、色素22によって増感された半導体微粒子21と当該半導体微粒子21の間の空隙に浸透した電荷輸送材料23とから構成される多孔質半導体微粒子層である。電荷輸送材料23は、電荷移動層30に用いる材料と同じ成分からなる。また光電変換素子に強度を付与するため、導電層10側および/または対極導電層40側に、基板50を設けてもよい。以下、本発明では、導電層10および任意で設ける基板50からなる層を「導電性支持体」、対極導電層40および任意で設ける基板50からなる層を「対極」と呼ぶ。なお、図1中の導電層10、対極導電層40、基板50は、それぞれ透明導電層10a、透明対極導電層40a、透明基板50aであってもよい。この光電変換素子を外部負荷に接続して電気的仕事をさせる目的(発電)で作られたものが光電池であり、光学的情報のセンシングを目的に作られたものが光センサーである。光電池のうち、電荷輸送材料23が主としてイオン輸送材料からなる場合を特に光電気化学電池と呼び、また、太陽光による発電を主目的とする場合を太陽電池と呼ぶ。
図1の光電変換素子において、半導体としてn型半導体電極を用いた場合は、色素22により増感された半導体微粒子21を含む感光層20に入射した光は色素22等を励起し、色素22等の励起電子が半導体微粒子21に渡され、さらに拡散により導電層10に到達する。このとき色素22等の分子は酸化体となっている。光電池においては、導電層10中の電子が外部回路で仕事をしながら対極導電層40および電荷移動層30を経て色素22等の酸化体に戻り、色素22が再生する。感光層20は負極として働く。それぞれの層の境界(例えば導電層10と感光層20との境界、感光層20と電荷移動層30との境界、電荷移動層30と対極導電層40との境界等)では、各層の構成成分同士が相互に拡散混合していてもよい。
以下各層について、素材とその製法について具体的に説明する。
(A)透明導電性支持体
透明導電性支持体は、導電層とそれを担持する基板の2層によって構成される。
導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、酸化スズにフッ素、アンチモンなどをドープしたもの等)が挙げられる。このなかで光学的透明性の点から好ましいものは、導電性金属酸化物であり、その導電層の厚さは0.02〜10μm程度が好ましい。
導電性支持体は表面抵抗が低い程良い。好ましい表面抵抗の範囲は100Ω/cm2以下であり、さらに好ましくは40Ω/cm2以下である。表面抵抗の下限には特に制限はないが、通常0.1Ω/cm2程度である。
透明導電性支持体の支持体材料としては、ガラスなどのセラミックスを用いることができるが、本発明で好ましいのは、フレキシブルな電池を組み立てる目的で有用な、透明なプラスチック支持体あるいはポリマーフィルムである。プラスチックあるいはポリマーフィルムの材料としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等がある。
透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金属リードを支持体に設けることが好ましい。金属リードの材質は銅、銀、金、白金、チタン、アルミニウム、ニッケル等の金属が好ましい。金属リードは透明基板に蒸着、スパッタリング等で設置し、その上に酸化スズまたはITO膜からなる透明導電層を設けるのが好ましい。また透明導電層を透明基板に設けた後、透明導電層上に金属リードを設置するのも好ましい。
金属リードを設置した部分は、不透明となるために、本発明の素子の透明開口率を減じる結果になる。したがって、金属リードが受光面積に占める割合は、20%以内であることが必要であり、10%以内が好ましく、1〜5%がより好ましい。
(B)感光層
感光層は、色素で増感された多孔質の半導体微粒子層であり、光電池としては、電極(感光性電極)として機能する。
(1)半導体材料およびその微粒子材料
感光層に用いる半導体の材料としてはシリコン、ゲルマニウムのような単体半導体の他に、金属の酸化物、および金属カルコゲニド(例えば硫化物、セレン化物等)に代表されるいわゆる化合物半導体またはペロブスカイト構造を有する化合物等を使用することができる。これら酸化物およびカルコゲニドの金属として、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウムヒ素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が挙げられる。
また、ペロブスカイト構造を有する金属化合物として好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムが挙げられる。
半導体には伝導に関わるキャリアーが電子であるn型とキャリアーが正孔であるp型が存在するが、本発明の素子ではn型を用いることが変換効率の点で好ましい。
n型半導体には、不純物準位をもたず伝導帯電子と価電子帯正孔によるキャリアーの濃度が等しい固有半導体(あるいは真性半導体)の他に、不純物に由来する構造欠陥により電子キャリアー濃度の高いn型半導体が存在する。
本発明で好ましく用いられるn型の無機半導体は、TiO2、TiSrO3、ZnO、Nb2O3、SnO2、WO3、Si、CdS、CdSe、V2O5、ZnS、ZnSe、SnSe、KTaO3、FeS2、PbS、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2などである。これらのうち最も好ましいn型半導体はTiO2、ZnO、SnO2、WO3、ならびにNb2O3である。また、これらの半導体の複数を複合させた半導体材料も好ましく用いられる。
本発明の光電変換素子において感光層は、単結晶や多結晶の半導体で層を形成してもよいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム等の点で多結晶の半導体層や多孔質半導体微粒子層が優れ、特に多孔質半導体微粒子層が好ましい。
多孔質半導体微粒子層に用いる半導体微粒子の粒径は、本発明に従って作る塗布分散液の粘度を高く保つ目的で、一次粒子の平均粒径が2nm以上50nm以下であることが好ましく、また一次粒子の平均粒径が2nm以上30nm以下の超微粒子であることがより好ましい。
粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは5nm以下であるのが好ましい。また、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、上記の超微粒子に対して平均粒径が50nmを越える大きな粒子を、低含率で添加することもできる。この場合、大粒子の含率は、平均粒径が50nm以下の粒子の質量の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。上記の目的で添加混合する大粒子の平均粒径は、100nm以上が好ましく、250nm以上がより好ましい。
半導体微粒子の作製法としては、作花済夫の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」、まてりあ,第35巻,第9号,1012〜1018頁(1996年)に記載のゲル−ゾル法が好ましい。またDegussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。
半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾル−ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)に記載の硫酸法および塩素法を用いることもできる。さらにゾル−ゲル法として、バルべらのジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻,第12号,3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、バーンサイドらのケミストリー・オブ・マテリアルズ,第10巻,第9号,2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
(2)多孔質半導体微粒子層の形成
本発明の多孔質半導体微粒子層は、バインダー材料や結合材などの固形分を実質的に含まない半導体微粒子分散物を導電性支持体上に塗布し、適度に加熱することによって乾燥し支持体上に固定化される。半導体微粒子の分散液を作製する方法としては、前述のゾル−ゲル法の他に、半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法、微粒子に超音波などを照射して超微粒子に粉砕する方法、あるいはミルや乳鉢などを使って機械的に粉砕しすり潰す方法、等が挙げられる。
分散溶媒としては、水および/または各種の有機溶媒を用いることができる。
有機溶媒としては、メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,シトロネロール,ターピネオールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、ジクロロメタン、アセトニトリル等が挙げられる。分散の際、必要に応じて例えばポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのようなポリマー、界面活性剤、酸、またはキレート剤等を分散助剤として少量用いてもよい。しかし、これらの分散助剤は、支持体上へ製膜する工程の前に、ろ過法や分離膜を用いる方法、あるいは遠心分離法などによって大部分を除去しておく必要がある。
本発明では、製膜に用いられる粒子分散液は、半導体微粒子と分散溶媒(水および/または有機溶媒)を除く添加剤の含量が1質量%以下であることが必要であり、この濃度は好ましくは0.5%以下であり、さらに好ましくは0.2%である。すなわち、粒子分散液は実質的に半導体微粒子と分散溶媒のみからなる。
塗布液の粘度は高い方が好ましいが、高すぎると液が凝集してしまい膜を形成することができない。逆に低すぎると液が流れてしまい膜が形成できない。したがって塗布液の粘度は、100〜3000P(=10〜300N・s/m2)が好ましい。さらに、500〜2000P(=50〜200N・s/m2)がより好ましい。
塗布方法としては、アプリケーション系としてローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメータリングを同一部分にできるものとして、特公昭58-4589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好ましい。湿式印刷方法としては、凸版、オフセットおよびグラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。
また本発明の粒子分散液は低バインダーで粘稠性を有するために、凝集力が強いことがあり、塗布時に支持体とうまく馴染まない場合がある。この様な場合に、UVオゾン処理で表面のクリーニングと親水化を行うことにより、塗布した分散液と支持体表面の結着力が増し、分散液の塗布が行い易くなる。
半導体微粒子層全体の好ましい厚さは0.1〜100μmである。太陽電池に用いる場合、半導体微粒子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たり担持量は0.5g〜400gが好ましく、5〜100gがより好ましい。
塗設した半導体微粒子の層に対し、半導体微粒子同士の電子的接触の強化と、支持体との密着性の向上のため、また塗布した粒子分散液を乾燥させるために、加熱処理が施される。
本発明で用いる加熱処理の温度範囲としては100℃以上250℃以下が効果があるが、導電層とその支持体の加熱による抵抗上昇や変形を小さくする目的から、好ましい温度の範囲は100℃以上150℃以下である。支持体にポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い支持体を用いる場合は、熱処理温度はできる限り低温(150℃以下)であるのが好ましい。
また、加熱処理の代わりに同様な目的で光のエネルギーを用いることもできる。
本発明で用いる照射光は適宜選ばれる。例えば、酸化チタンにおける紫外光のような半導体微粒子が吸収する光を与えることで表面を活性化してもよいし、レーザー光などで半導体粒子表面のみを活性化することで、支持体に影響を及ぼすことなく上記の加熱処理と同等な効果を得ることができる。
また、本発明では、上記の目的以外に光の照射を行うこともできる。これは、半導体微粒子に対して該微粒子が吸収する光を照射することで、粒子表面に吸着した不純物が粒子表面の活性化によって分解され、上記の目的のために好ましい状態となることによる。
光の照射を加熱処理と組合わせてもよく、その場合は、半導体微粒子に対して該微粒子が吸収する光を照射しながら、加熱が100℃以上250℃以下あるいは好ましくは100℃以上150℃以下で行われることが好ましい。このように、半導体を光励起することによって、微粒子層内に混入した不純物を光分解により洗浄するとともに、微粒子の間の物理的接合を強めることができると予想される。照射する光として好ましいのは、半導体が強く吸収する紫外光である。
多孔質半導体微粒子層は、色素の吸着量を増やす目的で表面積が大きいことが好ましく、表面積が層の投影面積に対して与える比(roughness factor)が10倍以上であるのが好ましく、さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は特に制限はないが、通常1000倍程度である。
(3)色素
半導体微粒子を増感する色素の種類としては、有機金属錯体色素、ポルフィリン系、フタロシアニン系の色素またはメチン色素が好ましい。これらの色素は、光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上を混合して用いることができる。また目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する色素とその割合を選ぶことができる。
こうした色素は半導体微粒子の表面に対して吸着能力の有る適当な結合基(interlocking group)を有しているのが好ましい。好ましい結合基としては、COOH基、OH基、SO3H基、-P(O)(OH)2基または-OP(O)(OH)2基のような酸性基、あるいはオキシム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリチレートまたはα-ケトエノレートのようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。なかでもCOOH基、-P(O)(OH)2基または-OP(O)(OH)2基が特に好ましい。これらの基はアルカリ金属等と塩を形成していてもよく、また分子内塩を形成していてもよい。またポリメチン色素の場合、メチン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含有するなら、この部分を結合基としてもよい。
以下、感光層に用いる好ましい増感色素を具体的に説明する。
(a)有機金属錯体色素
色素が金属錯体色素である場合、金属フタロシアニン色素、金属ポルフィリン色素またはルテニウム錯体色素が好ましく、ルテニウム錯体色素が特に好ましい。ルテニウム錯体色素としては、例えば米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、特開平7-249790号、特表平10-504512号、世界特許98/50393号、特開2000-26487号等に記載の錯体色素が挙げられる。
さらに本発明で用いるルテニウム錯体色素は下記一般式(I):
(A1)pRu(B-a)(B-b)(B-c) ・・・(I)により表されるのが好ましい。一般式(I)中、A1は1または2座の配位子を表し、Cl、SCN、H2O、Br、I、CN、NCOおよびSeCN、ならびにβ−ジケトン類、シュウ酸およびジチオカルバミン酸の誘導体からなる群から選ばれた配位子が好ましい。pは0〜3の整数である。B-a、B-bおよびB-cはそれぞれ独立に下記式B-1〜B-10:
Figure 2011014543
(ただし、Raは水素原子または置換基を表し、置換基としてはたとえば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12の置換または無置換のアルキル基、炭素原子数7〜12の置換または無置換のアラルキル基、炭素原子数6〜12の置換または無置換のアリール基、あるいは前述の酸性基(これらの酸性基は塩を形成していてもよい)やキレート化基が挙げられ、アルキル基およびアラルキル基のアルキル部分は直鎖状でも分岐状でもよく、またアリール基およびアラルキル基のアリール部分は単環でも多環(縮合環、環集合)でもよい。)により表される化合物から選ばれた有機配位子を表す。B-a、B-bおよびB-cは同一でも異なっていてもよく、いずれか1つまたは2つでもよい。
有機金属錯体色素の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011014543
Figure 2011014543
(b)メチン色素
本発明に使用する色素の好ましいメチン色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素などのポリメチン色素である。本発明で好ましく用いられるポリメチン色素の例は、特開平11−35836号、特開平11−67285号、特開平11−86916号、特開平11−97725号、特開平11−158395号、特開平11−163378号、特開平11−214730号、特開平11−214731号、特開平11−238905号、特開2000−26487号、欧州特許892411号、同911841号および同991092号の各明細書に記載の色素である。好ましいメチン色素の具体例を下に示す。
Figure 2011014543
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(4)半導体微粒子への色素の吸着
半導体微粒子に色素を吸着させるには、よく乾燥した多孔質半導体微粒子層を有する導電性支持体を色素の溶液中に浸漬するか、色素の溶液を多孔質半導体微粒子層に塗布する方法を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等が使用可能である。浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7-249790号に記載されているように加熱還流して行ってもよい。また後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等がある。色素を溶解する溶媒として好ましいのは、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、t-ブタノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプロピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド等)、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、2-ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)やこれらの混合溶媒が挙げられる。
色素の全吸着量は、多孔質半導体微粒子層の単位表面積(1m2)当たり0.01〜100mmolが好ましい。また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.01〜1mmolの範囲であるのが好ましい。このような色素の吸着量とすることにより半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素が少なすぎると増感効果が不十分となり、また色素が多すぎると半導体に付着していない色素が浮遊し、増感効果を低減させる原因となる。色素の吸着量を増大させるためには、吸着前に加熱処理を行うのが好ましい。加熱処理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さずに、多孔質半導体微粒子層の温度が60〜150℃の間で素早く色素の吸着操作を行うのが好ましい。また、色素間の凝集などの相互作用を低減する目的で、無色の化合物を色素に添加し、半導体微粒子に共吸着させてもよい。この目的で有効な化合物は界面活性な性質、構造をもった化合物であり、例えば、カルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばケノデオキシコール酸)や下記の例のようなスルホン酸塩類が挙げられる。
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(C)電荷輸送層
電荷輸送層は色素の酸化体に電子を補充する機能を有する電荷輸送材料を含有する層である。本発明で用いることのできる代表的な電荷輸送材料の例としては、(i)イオン輸送材料として、酸化還元対のイオンが溶解した溶液(電解液)、酸化還元対の溶液をポリマーマトリクスのゲルに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対イオンを含有する溶融塩電解質、さらには固体電解質が挙げられる。
また、イオンがかかわる電荷輸送材料のほかに、(ii)固体中のキャリアー移動がかかわる電荷輸送材料として、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料を用いることもできる。これらの電荷輸送材料は、併用することができる。
(1)溶融塩電解質
溶融塩電解質は、光電変換効率と耐久性の両立という観点から特に好ましい。
溶融塩電解質とは、室温において液状であるか、または低融点の電解質であり、例えばWO95/18456号、特開平8-259543号、電気化学,第65巻,11号,923頁(1997年)等に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知の電解質を挙げることができる。100℃以下、特に室温付近において液状となる溶融塩が好ましい。
好ましく用いることのできる溶融塩としては、下記一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)のいずれかにより表されるものが挙げられる。
Figure 2011014543
一般式(Y-a)中、Qy1は窒素原子と共に5又は6員環の芳香族カチオンを形成しうる原子団を表す。Qy1は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上の原子により構成されるのが好ましい。Qy1により形成される5員環は、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、インドール環またはピロール環であるのが好ましく、オキサゾール環、チアゾール環又はイミダゾール環であるのがより好ましく、オキサゾール環又はイミダゾール環であるのが特に好ましい。Qy1により形成される6員環は、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環又はトリアジン環であるのが好ましく、ピリジン環であるのがより好ましい。
一般式(Y-b)中、Ay1は窒素原子又はリン原子を表す。
一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のRy1〜Ry6はそれぞれ独立に置換又は無置換のアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜24、直鎖状であっても分岐状であっても、また環式であってもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、t-オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、2-ヘキシルデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、或いは置換又は無置換のアルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜24、直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えばビニル基、アリル基等)を表し、より好ましくは炭素原子数2〜18のアルキル基又は炭素原子数2〜18のアルケニル基であり、特に好ましくは炭素原子数2〜6のアルキル基である。
また、一般式(Y-b)中のRy1〜Ry4のうち2つ以上が互いに連結してAy1を含む非芳香族環を形成してもよく、一般式(Y-c)中のRy1〜Ry6のうち2つ以上が互いに連結して環構造を形成してもよい。
一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のQy1及びRy1〜Ry6は置換基を有していてもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等)、アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(エトキシカルボニル基等)、炭酸エステル基(エトキシカルボニルオキシ基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等)、ホスホニル基(ジエチルホスホニル基等)、アミド基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、カルバモイル基(N,N-ジメチルカルバモイル基等)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、トルイル基等)、複素環基(ピリジル基、イミダゾリル基、フラニル基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、シリル基、シリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(Y-a)、(Y-b)又は(Y-c)により表される化合物は、Qy1又はRy1〜Ry6を介して多量体を形成してもよい。
これらの溶融塩は、単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよく、また、ヨウ素アニオンを他のアニオンで置き換えた溶融塩と併用することもできる。ヨウ素アニオンと置き換えるアニオンとしては、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-等)、SCN-、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、(CF3SO2)2N-、(CF3CF2SO2)2N-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、CF3COO-、Ph4B-、(CF3SO2)3C-等が好ましい例として挙げられ、SCN-、CF3SO3 -、CF3COO-、(CF3SO2)2N-又はBF4 -であるのがより好ましい。また、LiIなど他のヨウ素塩やCF3COOLi、CF3COONa、LiSCN、NaSCNなどのアルカリ金属塩を添加することもできる。アルカリ金属塩の添加量は、0.02〜2質量%程度であるのが好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。
本発明で好ましく用いられる溶融塩の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるわけではない。
Figure 2011014543
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上記溶融塩電解質は常温で溶融状態であるものが好ましく、溶媒を用いない方が好ましい。後述する溶媒を添加しても構わないが、溶融塩の含有量は電解質組成物全体に対して50質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上であるのが特に好ましい。また、塩のうち、50質量%以上がヨウ素塩であることが好ましい。
上記電解質組成物にはヨウ素を添加するのが好ましく、この場合、ヨウ素の含有量は、電解質組成物全体に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
(2)電解液
電荷輸送層に電解液を使用する場合、電解液は電解質、溶媒、および添加物から構成されることが好ましい。本発明の電解質はI2とヨウ化物の組み合わせ(ヨウ化物としてはLiI、NaI、KI、CsI、CaI2 などの金属ヨウ化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩など)、Br2と臭化物の組み合わせ(臭化物としてはLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2 などの金属臭化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の臭素塩など)のほか、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノンなどを用いることができる。この中でもI2とLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩を組み合わせた電解質が好ましい。上述した電解質は混合して用いてもよい。
電解質の好ましい濃度は0.1M以上10M以下であり、さらに好ましくは0.2M以上4M以下である。また、電解液にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01M以上0.5M以下である。
電解質に使用する溶媒は、粘度が低くイオン易動度を向上したり、もしくは誘電率が高く有効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。このような溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、ジメチルスルフォキシド、スルフォランなど非プロトン極性物質、水などが挙げられ、これらを混合して用いることもできる。
また、本発明では、J. Am. Ceram. Soc .,80 (12)3157-3171(1997)に記載されているようなtert-ブチルピリジンや、2−ピコリン、2,6−ルチジン等の塩基性化合物を前述の溶融塩電解質や電解液に添加することが好ましい。塩基性化合物を添加する場合の好ましい濃度範囲は0.05M以上2M以下である。
(3)ゲル電解質
本発明では、電解質はポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法により、前述の溶融塩電解質や電解液をゲル化(固体化)させて使用することもできる。ポリマー添加によりゲル化させる場合は、“Polymer Electrolyte Revi ews-1および2”(J.R.MacCallumとC.A. Vincentの共編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)に記載された化合物を使用することができるが、特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを好ましく使用することができる。オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合はJ. Chem Soc. Japan, Ind. Chem. Sec., 46, 779(1943)、J. Am. Chem. Soc., 111, 5542(1989)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1993, 390、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 35, 1949(1996)、Chem. Lett., 1996, 885、J. Chm. Soc., Chem. Commun., 1997, 545に記載されている化合物を使用することができるが、好ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物である。電解液をゲル化した例は特開平11−185863号公報に、溶融塩電解質をゲル化した例は特開2000−58140号公報に記載されており、本発明にも適用できる。
また、ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマーおよび架橋剤を併用することが望ましい。この場合、好ましい架橋可能な反応性基は、アミノ基、含窒素複素環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環など)であり、好ましい架橋剤は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官能以上の試薬(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イソシアネート、α、β−不飽和スルホニル基、α、β−不飽和カルボニル基、α、β−不飽和ニトリル基など)であり、特開2000−17076号公報、同2000−86724号公報に記載されている架橋技術も適用できる。
(4)正孔輸送材料
本発明では、溶融塩などのイオン伝導性電解質の替わりに、有機または無機あるいはこの両者を組み合わせた固体の正孔輸送材料を使用することができる。
(a)有機正孔輸送材料
本発明に適用可能な有機正孔輸送材料としては、J.Hagen et al.,Synthetic Metal 89(1997)215-220、Nature, Vol.395, 8 Oct. 1998, p583-585およびWO97/10617、特開昭59−194393号公報、特開平5−234681号公報、米国特許第4,923,774号、特開平4−308688号公報、米国特許第4,764,625号、特開平3−269084号公報、特開平4−129271号公報、特開平4−175395号公報、特開平4−264189号公報、特開平4−290851号公報、特開平4−364153号公報、特開平5−25473号公報、特開平5−239455号公報、特開平5−320634号公報、特開平6−1972号公報、特開平7-138562号公報、特開平7-252474号公報、特開平11-144773号公報等に示される芳香族アミン類や、特開平11-149821号公報、特開平11-148067号公報、特開平11-176489号公報等に記載のトリフェニレン誘導体類を好ましく用いることができる。また、Adv. Mater. 1997, 9, N0.7, p557、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, No.3, p303-307、JACS, Vol120, No.4, 1998, p664-672等に記載されているオリゴチオフェン化合物、K. Murakoshi et al.,;Chem. Lett. 1997, p471に記載のポリピロール、“Handbook of Organic Conductive Molecules and Polymers Vol.1,2,3,4” (NALWA著、WILEY出版)に記載されているポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ(p-フェニレン) およびその誘導体、ポリ( p-フェニレンビニレン) およびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリトルイジンおよびその誘導体等の導電性高分子を好ましく使用することができる。
正孔(ホール)輸送材料にはNature,Vol.395, 8 Oct. 1998, p583-585に記載されているようにドーパントレベルをコントロールするためにトリス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩を添加しても構わない。
(b)無機正孔輸送材料
無機正孔輸送材料としては、p型無機化合物半導体を用いることができる。この目的のp型無機化合物半導体は、バンドギャップが2eV以上であることが好ましく、さらに2.5eV以上であることが好ましい。また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルは色素の正孔を還元できる条件から、色素吸着電極のイオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によってp型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以上5.5eV以下であることが好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下であることが好ましい。好ましいp型無機化合物半導体は一価の銅を含む化合物半導体であり、一価の銅を含む化合物半導体の例としてはCuI, CuSCN, CuInSe2, Cu(In,Ga)Se2, CuGaSe2, Cu2O, CuS, CuGaS2, CuInS2, CuAlSe2などが挙げられる。この中でもCuIおよび CuSCNが好ましく、CuIが最も好ましい。このほかのp型無機化合物半導体として、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi2O3、MoO2、Cr2O3等を用いることができる。
(D)対極
対極は前記の導電性支持体と同様に、導電性材料からなる対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持基板から構成されていてもよい。対極導電層に用いる導電材としては、金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素、または導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドープ酸化スズ、等)が挙げられる。この中でも白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウムを対極層として好ましく使用することができる。対極の好ましい支持基板の例は、ガラスまたはプラスチックであり、これに上記の導電剤を塗布または蒸着して用いる。対極導電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極層の表面抵抗は低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては50Ω/cm2以下であり、さらに好ましくは20Ω/cm2以下である。
導電性支持体と対極のいずれか一方または両方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するためには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質的に透明であれば良い。発電効率の向上の観点からは、導電性支持体を透明にして、光を導電性支持体側から入射させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性質を有するのが好ましい。このような対極としては、金属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチック、あるいは金属薄膜を使用できる。
対極は、電荷輸送層上に直接導電材を塗布、メッキまたは蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する基板の導電層側を貼り付ければよい。また、導電性支持体の場合と同様に、特に対極が透明の場合には、対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。なお、好ましい金属リードの材質および設置方法、金属リード設置による入射光量の低下等は導電性支持体の場合と同じである。
(E)その他の層
対極と導電性支持体の短絡を防止するため、予め導電性支持体と感光層の間に緻密な半導体の薄膜層を下塗り層として塗設しておくことが好ましく、電荷輸送層に電子輸送材料や正孔輸送材料を用いる場合は、特に有効である。下塗り層として好ましいのはTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5であり、さらに好ましくはTiO2である。下塗り層は、例えばElectrochim. Acta 40, 643-652(1995)に記載されているスプレーパイロリシス法の他、スパッタ法等により塗設することができる。下塗り層の好ましい膜厚は5〜1000nm以下であり、10〜500nmがさらに好ましい。
また、電極として作用する導電性支持体と対極の一方または両方の外側表面、導電層と基板の間または基板の中間に、保護層、反射防止層等の機能性層を設けても良い。これらの機能性層の形成には、その材質に応じて塗布法、蒸着法、貼り付け法等を用いることができる。
(F)光電変換素子の内部構造の具体例
上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造が可能である。図2〜図9に本発明に好ましく適用できる光電変換素子の内部構造を例示する。
図2は、透明導電層10aと透明対極導電層40aとの間に、半導体微粒子感光層20と、電荷輸送層30とを介在させたものであり、両面から光が入射する構造となっている。
図3は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、さらに透明導電層10aを設け、下塗り層60、感光層20、電荷輸送層30および対極導電層40をこの順で設け、さらに支持基板50を配置したものであり、導電層側から光が入射する構造となっている。
図4は、支持基板50上にさらに導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷輸送層30と透明対極導電層40aとを設け、一部に金属リード11を設けた透明基板50aを、金属リード11側を内側にして配置したものであり、対極側から光が入射する構造である。
図5は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、さらに透明導電層10a(または40a)を設けたもの1組の間に下塗り層60と感光層20と電荷輸送層30とを介在させたものであり、両面から光が入射する構造である。
図6は、透明基板50a上に透明導電層10a、下塗り層60、感光層20、電荷輸送層30および対極導電層40を設け、この上に支持基板50を配置したものであり導電層側から光が入射する構造である。
図7は、支持基板50上に導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷輸送層30および透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、対極側から光が入射する構造である。
図8は、透明基板50a上に透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷輸送層30および透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、両面から光が入射する構造となっている。
図9は、支持基板50上に導電層10を設け、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに固体の電荷輸送層30を設け、この上に一部対極導電層40または金属リード11を有するものであり、対極側から光が入射する構造となっている。
〔2〕光電池
本発明の光電池は、上記光電変換素子に外部負荷で仕事をさせるようにしたものである。光電池のうち、電荷輸送材料が主としてイオン輸送材料からなる場合を、特に光電気化学電池と呼び、また、太陽光による発電を主目的とする場合を太陽電池と呼ぶ。
本発明の光電気化学電池(別称として電気化学光電池)は、半導体微粒子層に色素を吸着して得られる色素増感半導体薄膜を感光性電極とするものである。光電気化学電池においては、電極間の電荷輸送を担う電荷輸送層としてイオン導電性の電解質が用いられる。半導体上の増感色素は、光励起下で電子もしくは正孔を半導体に注入して、方向の制御された増感光電流を生じる。たとえば、色素増感n型半導体は光アノードとなって色素からの電子注入によりアノード光電流を生じ、色素増感されたp型半導体は正孔の注入の結果、光カソードとして働きカソード光電流を生じる。
通常、効率の良い色素増感は、n型半導体を色素増感した光アノードにおいて得られる。光アノード上の吸着色素を励起すると、色素はエネルギーの高い励起電子をn型半導体の伝導帯に注入し、伝導帯電子は半導体の表面からバルクに移行し半導体を担持する導電性支持体(あるいは導電性層)に到達する。電子注入した後の色素分子は電子の欠損した酸化体ラジカルとなるが、色素と接する電荷輸送材料中の電子供与体(電解液においてはイオン性還元剤)によって電子的に還元され速やかに再生される。導電性支持体が受け取った電子は外部回路を通り対極に移行する。このとき、光励起下で発生する電流が外部回路でアノード光電流として観測される。また、色素が吸着したp型半導体の光カソードにおいては、色素の励起によって励起電子が電荷輸送層中の電子受容体に渡され、一方、色素の酸化体(正孔)はp型半導体の価電子帯に注入され半導体バルクに移行し、結果として、外部回路では光アノードの場合とは逆方向に整流された光電流が観測される。
本発明で感光性電極を構成する半導体材料として好ましい半導体は、伝導に関わるキャリアーの濃度が1014〜1020個/cm3の範囲の半導体である。このような半導体電極を用いた電気化学色素増感の機構は、本多健一、藤嶋昭、化学総説No7、p77(1976)、渡辺正、滝澤卓朗、本多健一、触媒、20、p370(1978)に詳解されている。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
下記の方法に従って、色素増感半導体太陽電池(光電気化学電池)を作製した。
1)透明導電性支持体の作製
厚さ1.9mmの無アルカリガラスの基板に、CVD法によってフッ素ドープ型の二酸化スズを全面に均一にコーティングし、厚さ600nm、面抵抗約15Ω/cm2、光透過率(500nm)が85%の導電性二酸化スズ膜を片面に被覆した透明導電性支持体を形成した。
2)半導体微粒子の準備(i)粒子A
C.J.BarbeらのJ.Am.Ceramic Soc.80巻,p3157の論文に記載の製造方法に従い、チタン原料にチタニウムテトライソプロポキシドを用い、オートクレーブ中での重合反応の温度を230℃に設定して二酸化チタン濃度11質量%のアナターゼ型二酸化チタンの分散液を合成した。得られた二酸化チタン粒子の一次粒子のサイズは10〜30nmであった。得られた分散液を、超遠心分離機にかけて、粒子を分離し、凝集物を乾燥した後、メノウ乳鉢上で粉砕して白色粉末とした。
(ii)粒子B
日本アエロジル社製のP−25を使用した。気相中の焼成法によって作られた一次粒径20nm、BET比表面積50m2/g、アナターゼ含有率77%の酸化チタン(TiO2)粒子である。
(iii)粒子C
アルドリッチ社製のアナターゼ型酸化チタン(TiO2)を使用した。粒径が大きく、その分布が60〜300nmの範囲に広がり、アナターゼ含有率99%の白色度の高い粒子である。
(iv)粒子D
平均粒径40nm、BET比表面積30m2/g、の六方晶系多面体からなる気相法で合成された酸化亜鉛(ZnO)粒子である。
3)多孔質半導体微粒子層の作製
水とアセトニトリルの容量比4:1からなる混合溶媒に、上記2)の各々の半導体微粒子を溶媒100ccあたり32gの濃度で添加し、自転/公転併用式のミキシングコンディショナーを使って均一に分散、混合した。
この結果、得られた白色の分散液は、粒子A、B、Dについては500〜1500P(=50〜150N・s/m2)の高粘度のペースト状となり、このまま塗布に用いるのに適した液物性をもっていることがわかった。しかし、粒径の分布が50nmを上回る粒子Cについては粘度が低く、塗布液として試験塗布を行った際に、塗布不良を引き起こす事がわかった。そこで、粒子A、B,Dを使って得られたペーストについて、1)で作製した導電性二酸化スズ膜が被覆された透明導電性支持体に、アプリケータを使って40〜70μmの均一な液厚みで塗布し、塗布層を室温下でおよそ1時間乾燥させた。さらに、塗布層を120℃のもとで30分間乾燥した後に、100Wの水銀灯紫外線光源のUV光に30分間露光して、後処理を行った。このようにして色素増感のための多孔質半導体微粒子層を作製した。
半導体微粒子以外に含まれる固形分の質量を調べるために、塗布層を空気中で550℃のもとで焼成し、焼成前後の質量変化を測定した。この結果、塗布層の単位面積あたり0〜1.0%の質量減少が認められた。この変化は、焼成によって焼失する固形分の量に相当し、該固形分が、もともと塗布の分散物原液の全体に占める濃度に換算すると0〜0.3%に相当する。
なお、比較実験として、塗布の分散液に、半導体粒子以外の固形分として平均分子量が50万であるポリエチレングリコール(PEG)の粉末を分散液あたりの質量含率として0.7%〜1.8%添加したものを塗布、加熱乾燥させた基板を作製した。同じく、比較のために加熱処理の温度を低くした実験(<100℃)、高くした実験(>150℃)も行った。
以上のようにして、透明導電性支持体上に粒子Aを10g/m2、粒子Bを9.5g/m2、粒子Dを9.5g/m2、の塗布量で塗設し基板を形成した。このときの塗布層の平均膜厚みは、基板A:6.5μm、基板B:6.2μm、基板D:6.3μm、であった。
4)色素吸着溶液の調製
長波長側に750nmまで吸収を持ち、青色〜緑色領域に吸収ピークを有する増感色素として、前述具体例のRu錯体色素(色素R−1)を、乾燥したアセトニトリル:t−ブタノール:エタノール(2:1:1)の混合溶媒に濃度3×10-4モル/リットルに溶解した。
この色素溶液に添加剤として、p-C919−C64−O−(CH2CH2−O)3−(CH24−SO3Naの構造の有機スルホン酸誘導体を0.025モル/リットルの濃度となるように溶解して色素吸着用の溶液を調製した。
5)色素の吸着
上記の多孔質半導体微粒子層を塗設した基板A,B,Dを、上記の吸着用色素溶液に浸漬して、攪拌下40℃で3時間放置した。このようにして半導体微粒子層に色素を吸着、感光層に用いる色素増感電極(感光性電極)を作製した。
6)光電気化学電池の作製
色素吸着した多孔質半導体微粒子層を掻き落として、受光面積1.0cm2(直径約1.1cm)の円系の感光性電極を形成した。この電極に対して、対極の白金蒸着ガラス基板を、熱圧着性のポリエチレンフイルム製のフレーム型スペーサー(厚さ20μm)を挿入して重ね合わせ、スペーサー部分を120℃に加熱し両基板を圧着した。さらにセルのエッジ部をエポキシ樹脂接着剤でシールした。対極の基板のコーナー部にあらかじめ設けた電解液注液用の小孔を通して、電解液としてY7-2/Y8-1/ヨウ素=15:35:1(質量比)の組成から成る室温溶融塩を基板の小孔から毛細管現象を利用して電極間の空間にしみこませた。以上のセル組立て工程と、電解液注入の工程をすべて上記の露点−60℃の乾燥空気中で実施した。溶融塩の注入後、真空下でセルを数時間吸引し多孔質電極および溶融塩を含めたセル内部の脱気を行い、最終的に小孔を低融点ガラスで封じた。
同様な方法で、増感色素として、上記の実施例で用いたR1に替えて900nmまでの可視および近赤外領域に吸収をもつ長波長色素R−10を用いて本発明の光電気化学電池を作製した。
本実施例により、図10に示したとおり、導電性支持体1(支持体2上に導電剤層3が設層されたもの)、色素を吸着させたTiO2電極4、電解液5、白金層6および支持体7が順に積層された光電気化学電池が作成された。
7)光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプ(ウシオ電気)に太陽光シミュレーション用補正フィルター(Oriel社製AM1.5direct)を装着し、上記光電気化学電池に対し、入射光強度が100mW/cm2の模擬太陽光を、多孔質半導体微粒子層を担持した透明電極の側から照射した。素子は恒温装置のステージ上に密着して固定し、照射中の素子の温度を50℃に制御した。
電流電圧測定装置(ケースレー製ソースメジャーユニット238型)を用いて、素子に印加するDC電圧を10mV/秒の定速でスキャンし、素子の出力する光電流を計測することにより、光電流―電圧特性を測定した。これにより求められた上記の各種素子の光電流密度(Jsc)、開放回路起電力(Voc)、エネルギー変換効率(η)を、セルの構成要素(半導体微粒子、増感色素)の内容とともに表1に記載した。
Figure 2011014543
表1の結果から、以下のことが明らかである。
変換効率の高い電池は、本発明に従い、塗布分散液中の半導体微粒子を除く固形分の含量が1%を超えない塗布分散液を塗設し、加熱乾燥した電極によって得られる。特に、変換効率の高い(>2%)電池は、半導体微粒子を除く固形分の含量が0.5%を超えない塗布分散液を用いて得られる。
加熱乾燥処理については、少なくとも100℃以上の温度による処理が効率を高く保つために必要である。100℃より低い熱処理では十分な光電変換性能が得られない。また、250℃以上の高い加熱処理温度では、光電変換性能は一定となって飽和する傾向が見られるために、250℃以上の加熱処理は工程上の余分なエネルギー消費とコストアップにつながる。したがって、本実験例のように電極基板にガラスを用いる場合は、性能と製造コストを考慮した熱処理温度の好ましい範囲は、100℃〜250℃である。
結果として、半導体微粒子を除く固形分の含量が1%を超えない塗布分散液を用いて形成した塗布層を100℃〜250℃の範囲内で加熱処理して得られた半導体微粒子層を用いて、変換効率がおよそ2%以上の太陽電池が得られる。
(実施例2)
実施例1で用いた透明導電性ガラス支持体(作用極)と白金蒸着ガラス(対極)に替えて、下記のプラスチック製の透明導電性シートをそれぞれ用いた以外は、基本的に実施例1と同様な工程によって、色素増感半導体作用極と対極の両方がプラスチック基板から成るプラスチック製のシート型光電気化学電池を作製した。
(作用極用の透明導電性プラスチックシート)
表面がフッ素コートされた厚さ0.4mmのポリエステルシートの片面に、導電性の酸化スズの薄膜を厚さ200nmで均一にコーティングして作ったフレキシブルな基板であり、面抵抗約20Ω/cm2、光透過率(500nm)が85%の透明導電性プラスチックシート。
(対極用の導電性プラスチックシート)
厚さ0.4mmのポリイミド製カプトンフイルムの片面に、真空スパッタリング法によって白金の膜を厚さ300nmで均一に被覆した、面抵抗約5Ω/cm2、の導電性プラスチックシート。
表2に、これらのプラスチック電極基板を用いて組み立てた光電気化学電池の構成と性能を示した。表1に示したガラス基板を用いた結果に比べると、SnO2/ポリエステル基板の面抵抗が高いこと(導電性が低いこと)に起因しFF(フィルファクター)が下がった結果として、ガラス基板を用いたセルほどの性能は得られていないものの、実用レベルの光電変換性能が得られていることがわかる。また、プラスチック基板を用いたことにより、150℃を越える熱処理温度ではプラスチックの耐熱性の限界を超えることから、表面導電層の変形による電気抵抗の増加が原因と見られる電池の性能の低下がおこった。この傾向は、ポリエステル以外のほかの多くのプラスチック基板(PETなど)でも同様であった。また、熱処理温度が100℃より低い条件では、塗布層に含まれる水分の除去が不完全となるために十分な性能が得られていない。したがって、プラスチック基板への半導体層の形成を行う場合は、多孔質半導体微粒子層を100℃〜150℃の範囲内で加熱乾燥することが良好な効果をもたらすと判明した。
Figure 2011014543
以上のように、本発明に開示する方法に従って作った多孔質半導体微粒子層を感光層に用いることによって、色素増感型の光電変換素子を高温の焼成工程を含まない安価な手段で作ることができるとともに、太陽電池としても有用な性能を備えた素子をプラスチックシートなどフレキシブルな基板を用いて提供することができる。
1 導電性ガラス
2 導電剤層
3 TiO2電極
4 色素層
5 電解液
6 白金層
7 ガラス
10 導電層
10a 透明導電層
11 金属リード
20 感光層
21 半導体微粒子
22 色素
23 電荷輸送材料
30 電荷移動層
40 対極導電層
40a 透明対極導電層
50 基板
50a 透明基板
60 下塗り層

Claims (10)

  1. 多孔質半導体微粒子層と電荷輸送層および対極を含む積層構造からなり、該多孔質半導体微粒子層が、半導体微粒子と分散溶媒を除く添加剤の含量が分散液の1質量%以下の粒子分散液を塗布し加熱する工程によって製造されることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  2. 多孔質半導体微粒子の一次粒子の平均粒径が2nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
  3. 請求項1または2において、塗布した粒子分散液を100℃以上250℃以下で加熱する工程によって製造されることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  4. 加熱工程の一部もしくは全部が、光の照射下で行われることを特徴とする請求項1〜3に記載の光電変換素子の製造方法。
  5. 多孔質半導体微粒子層の支持体が導電性のプラスチック材料であることを特徴とする請求項1〜4に記載の光電変換素子の製造方法。
  6. 半導体微粒子が、少なくともチタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、タングステン酸化物、ニオブ酸化物、またはこれらの複合体から選ばれる半導体からなることを特徴とする請求項1〜5に記載の光電変換素子の製造方法。
  7. 電荷移動層がイオン伝導性電解質であることを特徴とする請求項1〜6に記載の光電変換素子の製造方法。
  8. 請求項1〜7に記載の方法で製造された光電変換素子。
  9. 請求項8に記載の光電変換素子を用いた光電池。
  10. 請求項8に記載の光電変換素子を用いた光センサー。
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