JP2011013237A - 可変性バルブ装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明はバルブ構造を有する試料プロセッシングデバイスを提供すること。
【解決手段】可変性バルブ構造を有する試料プロセッシングデバイスおよびその使用法を開示する。このバルブ構造によって、プロセスチャンバー内に位置する試料材料の選択された部分の除去が可能となる。選択された部分の除去は、バルブセプタム中の所望の位置で開口を形成することによって達成される。プロセスチャンバー中の試料材料の特性に基づく開口の位置調節を可能にするために、バルブセプタムは十分大きい。開口の形成後、試料プロセッシングデバイスを回転させる時、回転軸のより近位に位置する材料の選択された部分は開口を通してプロセスチャンバーを出る。試料材料の残部は回転軸から開口よりも遠位に位置するため、開口を通して出ることは不可能である。
【選択図】なし

Description

背景
様々な化学的または生物学的プロセスが実行されるプロセスチャンバーを備えた試料プロセッシングデバイスは、科学的および/または診断的研究において益々高まる役割を果たしている。かかるデバイス中に提供されるプロセスチャンバーは、好ましくはプロセスを実行するために必要とされる試料材料の量を減少させるように体積が小さい。
プロセスチャンバーを備えた試料プロセッシングデバイスに関連する継続的な問題の1つは、デバイス中の異なる特徴間での流体の転送にある。プロセスチャンバーの流体内容物を分離および転送するための従来のアプローチ法は、しばしば人間の介在(例えば手動ピペット操作)および/またはロボット操作を必要としていた。かかる転送プロセスは、限定されないが、誤差の可能性、複雑さおよび関連する高いコスト等を含む多くの不都合を被る。
流体転送の問題を解決する試みでは、例えばバルブ、蛇行経路等を通してプロセスチャンバーの全流体内容物を転送することに焦点が合わせられている。
発明の概要
本発明はバルブ構造を有する試料プロセッシングデバイスを提供する。このバルブ構造によって、プロセスチャンバー内に位置する試料材料の選択された部分の除去が可能となる。選択された部分の除去は、バルブセプタム中の所望の位置で開口を形成することによって達成される。
プロセスチャンバー中の試料材料の特性に基づく開口の位置調節を可能にするために、バルブセプタムは好ましくは十分長い。開口の形成後、試料プロセッシングデバイスを回転させる時、回転軸のより近位に位置する材料の選択された部分は開口を通してプロセスチャンバーを出る。試料材料の残部は回転軸から開口よりも遠位に位置するため、開口を通して出ることは不可能である。
バルブセプタム中の開口は、プロセスチャンバー内で検出された試料材料の1つ以上の特性に基づく位置に形成されてよい。好ましくは、プロセスチャンバーは、プロセスチャンバーの中へ、および/またはプロセスチャンバーから外へ光を伝達する検出窓を備える。試料材料の検出された特性としては、例えば試料材料の自由表面(プロセスチャンバー中の試料材料の体積を示す)が挙げられる。バルブセプタム中、自由表面の外側に向かって選択された半径距離で開口を形成することによって、試料材料の選択された体積をプロセスチャンバーから除去する機能を提供することが可能である。
様々な構成成分へと分離可能な試料材料、例えば全血に関して、試料プロセッシングデバイスの回転によって血漿および赤血球構成成分の分離が生じ、従って、例えば異なるプロセスチャンバーへの構成成分の選択的な除去が可能となる。
いくつかの実施形態において、1個以上のバルブセプタム中の選択された位置で開口を形成することによって、試料材料の選択されたアリコートを除去することが可能である。(回転軸に関して測定された)開口間の半径距離および開口間のプロセスチャンバーの断面積に基づき、選択されたアリコート体積を決定することができる。
バルブセプタム中の開口は、好ましくは、例えばレーザーアブレーション、集束光加熱等を通して物理的接触のない状態で形成される。結果として試料プロセッシングデバイスの最外層を穿孔することなく開口が好ましく形成され得、従って、試料プロセッシングデバイスからの試料材料の漏出の可能性が制限される。
一態様において、本発明は、試料プロセッシングデバイスの対向する第1および第2の主側面の間に位置するプロセスチャンバー体積を有し、試料プロセッシングデバイス上の幅より大きい長さと長さに対して横断方向の幅とを有するプロセスチャンバー領域を占有するプロセスチャンバーを備えた、試料プロセッシングデバイス上のバルブ付きプロセスチャンバーを提供する。バルブ付きプロセスチャンバーは、プロセスチャンバー領域内に位置し、プロセスチャンバー体積と試料プロセッシングデバイスの第2の主側面との間に位置し、バルブチャンバーとプロセスチャンバーとを分離するバルブセプタムによってプロセスチャンバーから隔離されており、そしてプロセスチャンバー体積の一部分がバルブセプタムと試料プロセッシングデバイスの第1の主側面との間に位置するバルブチャンバーも備える。検出窓はプロセスチャンバー領域内に位置し、プロセスチャンバー体積中へと、および/または外へと指向する選択された電磁エネルギーに対して透過性である。
もう1つの態様において、本発明は、試料プロセッシングデバイスの対向する第1および第2の主側面の間に位置するプロセスチャンバー体積を有し、試料プロセッシングデバイス上の幅より大きい長さと長さに対して横断方向の幅とを有するプロセスチャンバー領域を占有するプロセスチャンバーを備えた、試料プロセッシングデバイス上のバルブ付きプロセスチャンバーを提供する。バルブ付きプロセスチャンバーは、プロセスチャンバー領域内に位置し、プロセスチャンバー体積と試料プロセッシングデバイスの第2の主側面との間に位置し、バルブチャンバーとプロセスチャンバーとを分離するバルブセプタムによってプロセスチャンバーから隔離されており、そしてプロセスチャンバー体積の一部分がバルブセプタムと試料プロセッシングデバイスの第1の主側面との間に位置し、さらにバルブチャンバーおよび検出窓がプロセスチャンバー領域の互いに排他的な部分を占有し、なおさらにバルブチャンバーの少なくとも一部分がプロセスチャンバー領域中に延在するバルブリップ内に位置し、そしてバルブセプタムがバルブリップ中に形成されるバルブチャンバーも備える。検出窓はプロセスチャンバー領域内に位置し、プロセスチャンバー体積中へと、および/または外へと指向する選択された電磁エネルギーに対して透過性である。
もう1つの態様において、本発明は、プロセスチャンバーから試料材料を選択的に除去する方法を含む。この方法は、プロセスチャンバー体積を有し、試料プロセッシングデバイス上のプロセスチャンバー領域を占有するプロセスチャンバーと;プロセスチャンバー領域内に位置し、バルブチャンバーとプロセスチャンバーとの間に位置するバルブセプタムによってプロセスチャンバーから隔離されたバルブチャンバーと;プロセスチャンバー領域内に位置し、選択された電磁エネルギーに対して透過性である検出窓とを備えた試料プロセッシングデバイスを提供する工程を含む。この方法は、プロセスチャンバー中で試料材料を提供する工程と;検出窓を通してプロセスチャンバー中の試料材料の特性を検出する工程と;試料材料の検出された特性に関係してプロセスチャンバーの長さに沿って選択された位置で、バルブセプタム中に開口を形成する工程とをさらに含む。この方法は、バルブセプタム中に形成された開口を通してプロセスチャンバーからバルブチャンバー中へと試料材料の一部分のみを移動させる工程も含む。
もう1つの態様において、本発明は、プロセスチャンバーから試料材料を選択的に除去する方法を提供する。この方法は、プロセスチャンバー体積を有し、試料プロセッシングデバイス上の幅より大きい長さと長さに対して横断方向の幅とを含むプロセスチャンバー領域を占有するプロセスチャンバーを有する試料プロセッシングデバイスを提供する工程を含む。また試料プロセッシングデバイスは、プロセスチャンバー領域内に位置し、バルブチャンバーとプロセスチャンバーとの間に位置するバルブセプタムによってプロセスチャンバーから隔離されたバルブチャンバーと;プロセスチャンバー領域内に位置し、選択された電磁エネルギーに対して透過性である検出窓とを備える。この方法は、プロセスチャンバー中で試料材料を提供する工程と;検出窓を通してプロセスチャンバー中の試料材料の特性を検出する工程と;試料材料の検出された特性に関係して、プロセスチャンバー領域内の選択された位置でバルブセプタム中に開口を形成する工程と;試料プロセッシングデバイスを回転させることによって、バルブセプタム中に形成された開口を通してプロセスチャンバーからバルブチャンバー中へと試料材料の一部分のみを移動させる工程とを含む。
もう1つの実施形態において、本発明は、全血から核酸を単離する方法を提供する。この方法は、装填チャンバーと可変性バルブ付きプロセスチャンバーとを備えたデバイスを提供する工程と;装填チャンバー中で全血を配置する工程と;全血をバルブ付きプロセスチャンバーへと転送する工程と;バルブ付きプロセスチャンバー中で全血を遠心分離にかけて、血漿層(しばしば、上層)と、赤血球層(しばしば、下層)と、白血球を含む界面層とを形成する工程と;界面層の少なくとも一部分を除去する工程と;分離された界面層中の白血球を溶解させ、そして任意にその中の核を溶解させて、抑制物質および/または核酸を遊離させる工程とを含む。
所望により、この方法は、白血球を溶解させる前に、試料の分離された界面層を水(好ましくは、RNA分解酵素(RNAse)を含まない無菌水)または緩衝液で希釈する工程と、任意に希釈された層をさらに濃縮して核酸材料の濃度を増加させる工程と、任意にさらに濃縮された領域を分離する工程と、任意に、希釈、次いで濃縮および分離が続くこのプロセスを繰り返して、増幅法を妨害しない濃度まで抑制物質濃度を低下させる工程とを含み得る。
あるいは白血球を溶解させる工程の前か、それと同時か、または後に、所望により、この方法は、分離された界面層を固体相材料との接触のための分離チャンバーへと転送して、抑制物質の少なくとも一部分を固体相材料へと優先的に接着させる工程を含み得、ここで固体相材料は捕獲部位(キレート官能基)、固体相材料上に被覆されたコーティング試薬または両方を含み;コーティング試薬は界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的浸透性高分子バリアおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明のもう1つの実施形態は、密度勾配材料を使用して全血から核酸を単離する方法を含む。この実施形態において、この方法は、装填チャンバーと可変性バルブ付きプロセスチャンバーとを備えたデバイスを提供する工程と;装填チャンバー中で全血を配置する工程と;全血をバルブ付きプロセスチャンバーへと転送する工程と;全血を密度勾配材料と接触させる工程と;バルブ付きプロセスチャンバー中で全血および密度勾配材料を遠心分離にかけて、少なくとも一層が対象の細胞を含有する層を形成する工程と;対象の細胞を含む層の少なくとも一部分を除去する工程と;分離された対象の細胞を溶解させて核酸を遊離させる工程とを含む。
もう1つの実施形態において、本発明は、病原体を含む全血から核酸を単離する方法を提供する。この方法は、装填チャンバーと、可変性バルブ付きプロセスチャンバーと、病原体捕獲材料を有する分離チャンバーとを備えたデバイスを提供する工程と;装填チャンバー中で全血を配置する工程と;全血をバルブ付きプロセスチャンバーへと転送する工程と;バルブ付きプロセスチャンバー中で全血を遠心分離にかけて、病原体を含む血漿層と、赤血球層と、白血球を含む界面層とを形成する工程と;病原体を含む血漿層の少なくとも一部分を病原体捕獲材料を含む分離チャンバーへと転送する工程と;病原体捕獲材料から病原体の少なくとも一部分を分離する工程と;病原体を溶解させて核酸を遊離させる工程とを含む。
また本発明は、本発明の様々な方法を実行するためのキットを提供する。
以下、本発明のデバイスおよび方法の様々な実例となる実施形態に関連して、本発明のこれらおよび他の特徴と利点を記載する。
定義
「核酸」は当該分野で既知の意味を有し、DNA(例えばゲノムDNA、cDNAまたはプラスミドDNA)、RNA(例えばmRNA、tRNAまたはrRNA)およびPNAを指す。限定されないが、これは二重鎖または一重鎖配置、円形、プラスミド、相対的に短いオリゴヌクレオチド、ペプチド核酸(PNAとも呼ばれる)(ニールセン(Nielsen)ら、ケミカル ソサエティ レビューズ(Chem.Soc.Rev.)、26、73−78(1997)に記載の通り)等を含む多種多様の形態であり得る。核酸は、全染色体または染色体の一部分を含み得るゲノムDNAであり得る。DNAは、コード配列(例えばコーディングmRNA、tRNAおよび/またはrRNA)および/または非コード配列(例えばセントロメア、テロメア、遺伝子間領域、イントロン、トランスポゾンおよび/またはマイクロサテライト配列)を含み得る。核酸は、天然ヌクレオチドならびに人工または化学的に変性されたヌクレオチド、突然変異ヌクレオチド等のいずれも含み得る。核酸は、非核酸構成成分、例えば、ペプチド(PNA中のような)、標識(放射性同位元素または蛍光性マーカー)等を含み得る。
「核酸含有材料」は、細胞(例えば白血球、除核赤血球)、核またはウイルス、あるいは核酸を含む構造を収容するいずれかの他の構成(例えばプラスミド、コスミドまたはウイロイド、アルケオバクテリア(archeobacteriae))のような核酸の供給源を指す。細胞は原核(例えばグラム陽性またはグラム陰性バクテリア)または真核(例えば血球または組織細胞)であり得る。核酸含有材料がウイルスである場合、RNAまたはDNAゲノムを含み得;毒性であり得るか、弱毒化され得るか、または非伝染性であり得;そして原核または真核細胞に感染し得る。核酸含有材料は、天然であり得るか、人工的に変性され得るか、または人工的に作成され得る。
「単離された」とは、試料中の抑制物質の少なくとも一部分(すなわち、少なくとも一種類の抑制物質の少なくとも一部分)から分離された核酸(または核酸含有材料)を指す。これは、他の材料、例えば、タンパク質、脂質、塩および他の抑制物質のような細胞の構成成分から所望の核酸を分離する工程を含む。より好ましくは、単離された核酸は実質的に精製される。「実質的に精製される」とは、最初の試料から少なくとも20%まで、好ましくは少なくとも80%まで、そしてより好ましくは少なくとも99%まで抑制物質の量を減少させながら、1マイクロリットルあたり少なくとも3ピコグラム(pg/μL)、好ましくは少なくとも2ナノグラム/マイクロリットル(ng/μL)、そしてより好ましくは少なくとも15ng/μLの核酸の単離を指す。汚染物質は典型的に、試料中の溶媒以外のヘムおよび関連生成物(ヘミン、ヘマチン)および金属イオン、タンパク質、脂質、塩等のような細胞構成成分および核構成成分である。従って「実質的に精製される」という用語は、一般的に、単離された核酸のその後の使用を妨害する可能性のある化合物を少なくとも部分的に除去するために、試料から抑制物質(例えば、ヘムおよびその分解生成物)の大部分を分離することを指す。
「接着する」もしくは「接着」または「結合」は、ファンデルワース相互作用、静電的相互作用、親和力または物理的トラッピングのような弱い力を含む多種多様の機構を介して、任意の固体相材料への抑制物質の可逆的保持を指す。この用語の使用は作用機構を暗示せず、吸着および吸収機構を含む。
「固体相材料」(本発明の方法のデバイス内に任意に含まれ得る)は無機および/または有機材料、好ましくは天然および/または合成由来の有機および/または無機化合物の同一であっても異なってもよい繰り返し単位から製造された高分子を指す。これはホモポリマーおよびヘテロポリマー(例えば、ランダムまたはブロックであってもよい、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマー等)を含む。この用語には、当該分野において周知の方法によって容易に調製可能な高分子の繊維状または粒子状が含まれる。特定の実施形態に関して、固体相は高分子材料の非多孔性シートのような固体表面も指すが、かかる材料は典型的に多孔性マトリックスを形成する。
任意の固体相材料は捕獲部位を含み得る。「捕獲部位」は、材料を接着させる固体相材料上の部位を指す。典型的に捕獲部位は、固体相材料に共有結合したか、または他の様式で結合(例えば、疎水性結合)したいずれかの官能基または分子を含む。
「固体相材料上に被覆されたコーティング試薬」という句は、固体相材料の少なくとも一部分上に、例えばフィブリルマトリックスおよび/または吸着粒子の少なくとも一部分上に被覆された材料を指す。
「界面活性剤」は、それが溶解されている媒体の表面または界面張力を低下させる物質を指す。
「強塩基」は、水中で完全に解離する塩基、例えばNaOHを指す。
「高分子電解質」は、典型的に比較的高分子量の荷電高分子である電解質、例えばポリスチレンスルホン酸を指す。
「選択的浸透性高分子バリア」は、サイズおよび電荷をベースとして流体の選択的輸送を可能にする高分子バリアを指す。
「濃縮された領域」は、より濃縮されていない領域と関連して、ペレットの形態であり得るより高濃度の核酸含有材料、核および/または核酸を有する試料領域に関する。
「実質的に分離する」とは、本明細書で特に試料のより濃縮されていない領域から試料の濃縮された領域を分離する文脈において使用される場合、試料の総体積の25%未満で核酸(遊離状態であっても、核内にあっても、または他の核酸含有材料内にあってもよい)の総量の少なくとも40%を除去することを意味する。好ましくは試料の総体積の10%未満で核酸の総量の少なくとも75%が試料の残部から分離される。より好ましくは試料の総体積の5%未満で核酸の総量の少なくとも95%が試料の残部から分離される。
「抑制物質」は、例えば増幅反応において使用される酵素の抑制物質を指す。かかる抑制物質の例としては、典型的に鉄イオンまたはそれらの塩(例えばFe2+またはそれらの塩)および他の金属塩(例えばアルカリ金属イオン、遷移金属イオン)が挙げられる。他の抑制物質としては、タンパク質、ペプチド、脂質、炭水化物、ヘムおよびその分解生成物、尿素、胆汁酸、フミン酸、多糖類、細胞膜ならびにサイトゾル構成成分が挙げられる。PCRに関して、ヒト血液中の主要な抑制物質はヘモグロビン、ラクトフェリンおよびIgGであり、これらはそれぞれ、赤血球、白血球および血漿中に存在する。本発明の方法は、核酸含有材料から抑制物質(すなわち、少なくとも一種類の抑制物質の少なくとも一部分)の少なくとも一部分を分離する。本明細書で説明される場合、抑制物質を含有する細胞は、核または他の核酸含有材料を含有する細胞と同一であり得る。抑制物質は細胞中に含有され得るか、または細胞外であり得る。細胞外の抑制物質とは細胞内に含有されない全ての抑制物質を含み、例えば血清またはウイルス中に存在する抑制物質が挙げられる。
「抑制物質の少なくとも一部分を固体相材料に優先的に接着させる」とは、一種以上の抑制物質を、核酸含有材料(例えば核)および/または核酸よりも高い程度まで任意の固体相材料へと接着させることを意味する。ここで典型的に、核酸含有材料および/または核の実質的な部分は固体相材料に接着されない。
「マイクロ流体」(本明細書で使用される場合)は、500μm未満であり、典型的に0.1μmと500μmとの間である少なくとも1つの内部断面寸法、例えば深さ、幅、長さ、直径等を有する1個以上の流体流路、チャンバーまたは導管を有するデバイスを指す。本明細書で使用されるデバイスにおいて、マイクロスケールのチャネルまたはチャンバーは、好ましくは0.1μmと200μmとの間、より好ましくは0.1μmと100μmとの間、そしてしばしば1μmと20μmとの間の少なくとも1つの断面寸法を有し得る。典型的にマイクロ流体デバイスは、各チャンバーが試料を含有する体積を画定する複数のチャンバー(プロセスチャンバー、分離チャンバー、混合チャンバー、廃棄物チャンバー、希釈試薬チャンバー、増幅反応チャンバー、装填チャンバー等)と;配列の複数のチャンバーを連結する少なくとも1つの流通チャネルとを備える。例えば、配列内の少なくとも1つのチャンバーが固体相材料を含み得(従って、しばしば分離チャンバーとも呼ばれる)、そして/または配列内の少なくとも1つのプロセスチャンバーが溶解試薬を含み得る(従って、しばしば混合チャンバーと呼ばれる)。
用語「含んでなる(備える)」およびその変形は、明細書および請求の範囲にある場合、限定的な意味を有さない。
また本明細書において、終点による数範囲の記載は、範囲内に包括される全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。
本発明の上記概要では、本発明のそれぞれの開示された実施形態または全ての実装例を記載する意図はない。以下の記載は、実例となる実施形態を特に例証する。明細書を通していくつかの箇所では、様々な組み合わせで使用されてよい例のリストによってガイダンスが提供される。各例において記載されたリストは代表的な群としてのみ役割を果たし、そして排他的なリストとして解釈されるべきではない。さらに様々な実施形態が記載されており、特記されなくても各実施形態の様々な要素が他の実施形態において使用可能である。
図1は、本発明による1つの代表的な試料プロセッシングデバイスの平面図である。 図2は、図1の線2−2に沿った、図1の試料プロセッシングデバイスの一部分の拡大断面図である。 図3Aは、プロセスチャンバーおよびバルブチャンバーを備えたプロセス配列を通して流体を移動させる1つの代表的な方法を示す図である。 図3Bは、プロセスチャンバーおよびバルブチャンバーを備えたプロセス配列を通して流体を移動させる1つの代表的な方法を示す図である。 図3Cは、プロセスチャンバーおよびバルブチャンバーを備えたプロセス配列を通して流体を移動させる1つの代表的な方法を示す図である。 図3Dは、プロセスチャンバーおよびバルブチャンバーを備えたプロセス配列を通して流体を移動させる1つの代表的な方法を示す図である。 図4は、本発明による別のプロセスチャンバーおよび複数のバルブチャンバーの平面図である。 図5は、試料プロセッシングデバイスの両方の主側面に面する任意の検出装置を備えた、本発明によるもう1つの別のプロセスチャンバーおよびバルブチャンバー構造の断面図である。 図6は、本発明の特定の方法で使用されるデバイスを示す図である。
発明の例証的実施態様の詳細な説明
本発明の実例となる実施形態の以下の詳細な記述において、その一部を形成し、図示によって本発明が実施され得る具体的な実施形態が示される添付の図面が参照される。本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態が利用されてもよいこと、および構造の変更がなされてもよいことは理解されるべきである。
本発明は、所望の反応、例えば、PCR増幅、リガーゼ連鎖反応(LCR)、自立性配列複製(self−sustaining sequence replication)、酵素の動力学的研究、均質配位子結合アッセイおよび他の化学的、生化学的または他の反応であって、例えば正確および/または迅速な熱的変動を必要とする反応を得るための複数のプロセスチャンバーにおける液体試料材料(または液体に同伴された試料材料)のプロセッシングにおいて使用可能な試料プロセッシングデバイスを提供する。特に本発明は、各プロセス配列が好ましくは装填チャンバー、少なくとも1つのプロセスチャンバー、バルブチャンバーおよびプロセス配列の様々な構成要素間で流体を移動させるための導管を備え得る1個以上のプロセス配列を備えた試料プロセッシングデバイスを提供する。本発明のデバイスは、マイクロ流体特徴を含んでも含まなくてもよい。
実例となる実施形態の様々な構造が以下に記載されるが、本発明の試料プロセッシングデバイスは、例えば米国特許公報第2002/0064885号明細書(ベディンハム(Bedingham)ら);米国特許公報第2002/0048533号明細書(ベディンハム(Bedingham)ら);米国特許公報第2002/0047003号明細書(ベディンハム(Bedingham)ら);米国特許公報第2003/138779号明細書(パータサラティ(Parthasarathy)ら);ならびに米国特許第6,627,159B1号明細書(ベディンハム(Bedingham)ら)に記載のものと同様であってもよい。上記文献は全て、本発明の原理に従う試料プロセッシングデバイスを製造するために使用可能な様々な異なる構造の試料プロセッシングデバイスを開示する。
本発明の原理に従って製造される1つの実例となる試料プロセッシングデバイスを図1および図2に具体的に説明する。ここで図1は1つの試料プロセッシングデバイス10の平面図であり、そして図2は試料プロセッシングデバイス10の一部分の拡大断面図である(図1の線2−2に沿ったもの)。試料プロセッシングデバイス10は、好ましくは図1に図示されるように円形ディスクの形状であり得るが、回転可能ないずれの他の形状も円形ディスクの代わりに使用可能である。
試料プロセッシングデバイス10は、少なくとも1個、好ましくは複数のプロセス配列20を備える。描写されるように試料プロセッシングデバイス10が円形である場合、描写された各プロセス配列20が、試料プロセッシングデバイス10の中心12付近から試料プロセッシングデバイス10の周辺の方向へと延在することが好ましい。プロセス配列20は、試料プロセッシングデバイス10の中心12に関して実質的に半径方向に整列するように描写される。この配列は好ましいが、プロセス配列20のいずれの配列も代用され得ることは理解されるだろう。また図示される試料プロセッシングデバイス10は4個のプロセス配列20を備えるが、本発明に従って製造される試料プロセッシングデバイスに関連して提供されるプロセス配列の正確な数は4を超えていても4未満であってもよい。
(図1に描写される実施形態において)各プロセス配列20は導管32に沿ってプロセスチャンバー40に連結した装填チャンバー30を備える。プロセス配列20は、導管62によって第2のプロセスチャンバー70に連結したバルブチャンバー60も備える。バルブチャンバー60は、好ましくは試料プロセッシングデバイス10上のプロセスチャンバー40によって占有される領域中へと延在しているバルブリップ50内に位置する。
プロセス配列20の1個以上と関連する多くの特徴が任意であってよいことは理解されるべきである。例えば、異なる装填構造を通して試料材料がプロセスチャンバー40中に直接的に導入され得る装填チャンバー30および関連する導管32は、任意であってよい。同時に、プロセス配列20の1個以上に追加的な特徴が提供されてもよい。例えば、2個以上のバルブチャンバー60がプロセス配列20の1個以上と関連してもよい。追加的なバルブチャンバーが追加的なプロセスチャンバーまたは他の特徴と関連してもよい。
プロセス配列20と関連して提供されるいずれの装填構造も、試料材料を受け取る外部装置(例えば、ピペット、中空注射器または他の流体送達装置)と組み合わせて設計されてよい。装填構造自体が体積を画定してもよく(例えば、図1の装填チャンバー30のように)、または装填構造が特定の体積を画定しないが、代わりに試料材料が導入される位置であり得る。例えば、ピペットまたは針が挿入されるポートの形態で装填構造が提供されてよい。一実施形態において、装填構造は、例えばピペット、注射器針等を受け取るように適応された導管に沿って設定された位置であり得る。手動または自動化システム(例えば、ロボット等)によって装填が実行されてもよい。さらに、もう1つのデバイスから直接的に試料プロセッシングデバイス10が装填されてもよい(自動化システムを使用して、または手動)。
図2は、図1の線2−2に沿ったプロセッシングデバイス10の拡大断面図である。いずれの数の適切な構造技術を使用して本発明の試料プロセッシングデバイスが製造されてもよいが、図2の断面図において1つの実例となる構造体が示される。試料プロセッシングデバイス10は、バルブ層16に結合されたベース層14を備える。カバー層18は、ベース層14から外方に向くバルブ層16の側面上でバルブ層16に結合される。
いずれかの適切な材料または材料の組み合わせから試料プロセッシングデバイス10の層を製造してよい。ベース層14および/またはバルブ層16のためのいくつかの適切な材料の例としては、限定されないが、高分子材料、ガラス、ケイ素、石英、セラミックス等が挙げられる。層が試料材料と直接接触する試料プロセッシングデバイス10に関して、層のために使用される材料が試料材料と非反応性であることが好ましい。多くの異なる生物学的分析の用途において基材のために使用可能ないくつかの適切な高分子材料の例としては、限定されないが、ポリカーボネート、ポリプロピレン(例えば、アイソタクチックポリプロピレン)、ポリエチレン、ポリエステル等が挙げられる。
いずれかの適切な技術または技術の組み合わせによって、試料プロセッシングデバイス10を形成する層を互いに結合することができる。適切な結合技術は、好ましくはプロセスチャンバー中での試料材料のプロセッシング間に経験する力に結合が耐性を示すような十分な完全性を有する。いくつかの適切な結合技術の例としては、例えば、接着結合(感圧接着剤、硬化性接着剤、ホットメルト接着剤等を使用する)、ヒートシール、熱溶接、超音波溶接、化学溶接、溶媒結合、共押出、押出キャスティング等およびそれらの組み合わせが挙げられる。さらに、異なる層を結合するために使用される技術は同一であっても異なってもよい。例えば、ベース層14およびバルブ層16を結合するために使用された技術は、カバー層18およびバルブ層16を結合するために使用された技術と同一であっても異なってもよい。
図2はプロセスチャンバー40の断面図を描写する。また、描写された実施形態においてプロセスチャンバーによって占有される領域、すなわち、プロセスチャンバー領域中に位置するバルブリップ50も図2に示されている。プロセスチャンバーは、好ましくは、試料プロセッシングデバイス10の主側面のいずれか上にプロセスチャンバー境界を突出させることによって画定される。図2に描写される実施形態において、試料プロセッシングデバイス10の第1の主側面15はベース層14の最低表面(すなわち、バルブ層16から離れた表面)によって画定され、そして第2の主側面19はカバー層18の最上表面(すなわち、バルブ層16から離れた表面)によって画定される。「上部」および「低部」が本明細書で使用される場合、図2のみに関してであり、そして使用中の試料プロセッシングデバイス10の配向を限定するように解釈されないことは理解されるべきである。
バルブリップ50は、プロセスチャンバー40の最外境界によって画定されるプロセスチャンバー領域中へ延在するように描写される。バルブリップ50がプロセスチャンバー領域の範囲内に位置するため、バルブリップ50は、プロセスチャンバー40の一部分上に張出すように、またはプロセスチャンバー40の一部分上に飛出すように記載されてもよい。
本発明の好ましいプロセスチャンバーは、プロセスチャンバー40中のいずれかの試料材料の1つ以上の特性の検出を可能にする検出窓を備えてもよい。選択された光を使用して検出を達成することが好ましく、ここで「光」という用語は、人間の目に可視であるかどうかに関係なく電磁エネルギーを指す。光が紫外線から赤外線の電磁エネルギーの範囲にあることが好ましく、そしていくつかの例において、光が人間の目に可視のスペクトルの電磁エネルギーを含むことが好ましい。さらに選択された光は、例えば、1以上の特定の波長、1以上の波長範囲、1以上の偏光状態またはそれらの組み合わせの光であってもよい。
図2に描写される実施形態において、検出窓はカバー層18もしくはベース層14(または両方)に提供されてよい。いずれの構成要素が検出窓として使用されるかにかかわらず、使用された材料は、好ましくは選択された光のかなりの部分を伝送する。本発明の目的に関して、かなりの部分とは、例えば、選択された垂直入射光の50%以上、より好ましくは、選択された垂直入射光の75%以上であってよい。検出窓のためのいくつかの適切な材料の例としては、限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン−ポリエチレンコポリマー、シクロオレフィン高分子(例えば、ポリジシクロペンタジエン)等が挙げられる。
いくつかの例において、試料プロセッシングデバイス10がプロセスチャンバー体積14と試料プロセッシングデバイス10の少なくとも一側面との間で不透明となるように、試料プロセッシングデバイス10のベース層14および/またはカバー層18が不透明であることが好ましい。不透明とは、上記の選択された光の伝送が実質的に防止される(例えば、かかる垂直入射光の5%以下が伝送される)ことを意味する。
バルブチャンバー60は図2に描写されており、好ましくは、図2に示されるようにバルブリップ50の範囲内に少なくとも部分的に位置してよい。バルブチャンバー60の少なくとも一部分は、好ましくは、試料プロセッシングデバイス10の第2の主側面19とプロセスチャンバー40の少なくとも一部分との間に位置する。またバルブチャンバー60は、好ましくは、バルブチャンバー64およびプロセスチャンバー40を分離しているバルブセプタム64によって、プロセスチャンバー40の体積の一部分がバルブセプタム64と試料プロセッシングデバイス10の第1の主側面15との間にあるようにプロセスチャンバー40から隔離される。描写された実施形態において、カバー層18は、好ましくは、バルブチャンバー60をプロセスチャンバー50から隔離するように、表面52に沿ってバルブリップ50にシールされる。
バルブセプタム64は、好ましくは、非接触方法、例えば、レーザーアブレーション等によって開口が形成可能である材料から形成される。セプタム64中で使用されるかかる材料として、セプタム64を開放するために使用されるエネルギーを優先的に吸収する材料が挙げられる。例えば、セプタム64としては、例えば、カーボンブラック、UV/IR吸収剤等のような材料が挙げられる。
バルブセプタム64の開口を形成するために使用されるエネルギーは、カバー層18を通して、もしくはベース層14を通して(または両方とも通して)、バルブセプタム64上へ指向される。しかしながら、バルブセプタム64に達する前にプロセスチャンバー40中で試料材料を通してエネルギーが指向されることに関係する問題を避けるために、バルブセプタム64においてカバー層18を通してエネルギーが指向されることが好ましい。
プロセス配列120の使用方法の1つの実例を図3A〜3Dに記載する。各図は、本発明に従う1つの実例となる方法の様々な段階におけるプロセス配列の平面図である。各図に描写されるプロセス配列120は、導管132を通してプロセスチャンバー140に連結された装填チャンバー130を備える。またプロセス配列は、バルブリップ150およびバルブリップ150の一部分の範囲内に位置するバルブチャンバー160も備える。いずれかの開口がバルブセプタム164を通して形成される前に、バルブリップ150およびバルブチャンバー160はプロセスチャンバー140からバルブチャンバー160を分離および隔離するバルブセプタム164を画定する。バルブセプタム164境界は裸眼では見えないため、図中では破線として描写される。
プロセス配列120のもう1つの特徴は、それを通してプロセスチャンバー140中へ、および/またはプロセスチャンバー140から外へ選択された光を伝送することができる検出窓142である。検出窓142は、プロセス配列120が位置するデバイスのいずれかの主側面を通して(または所望であれば両方の主側面を通して)形成されてよい。描写された実施形態において、検出窓142は、好ましくは、バルブリップ150によって占有されないプロセスチャンバー140によって占有される領域部分によって画定される。検出窓142を特徴づけるもう1つの様式において、検出窓142およびバルブリップ150(および/またはその中に含有されるバルブチャンバー160)がプロセスチャンバー140の領域の互いに排他的な部分を占有するように記載されてもよい。
プロセス配列120は、導管162を通してバルブチャンバー160に連結されたアウトプットプロセスチャンバー170も備える。アウトプットプロセスチャンバー170は、例えば、そこに位置する一種以上の試薬172を含み得る。試薬172はプロセスチャンバー170内に固定されても、またはプロセスチャンバー内で自由状態であってもよい。プロセスチャンバー170中に描写されているが、プロセス配列120内のいずれかの適切な位置、例えば、装填チャンバー130、導管132および162、プロセスチャンバー140、バルブチャンバー160等において一種以上の試薬が提供されてもよい。
試薬の使用は任意であり、すなわち、本発明の試料プロセッシングデバイスはプロセスチャンバー中にいずれかの試薬を含んでも、含まなくてもよい。もう1つの変形においては、異なるプロセス配列中のいくつかのプロセスチャンバーが試薬を含み、他が含まなくてもよい。なおもう1つの変形において、異なるプロセスチャンバーが異なる試薬を含有してもよい。さらに試薬の接着力を制御するために、プロセスチャンバー構造の内部が被覆または他の様式で加工されていてもよい。
プロセスチャンバー140(およびその関連するプロセスチャンバー領域)は、好ましくは、プロセスチャンバー140の幅より大きい長さ(例えば、図3Aにおいて軸121に沿って測定される)を有し得る。プロセスチャンバー幅は、プロセスチャンバー長さに対して垂直方向で測定される。プロセスチャンバー140自体は「伸長された」ものとして記載される。それに沿ってプロセスチャンバー140が伸長される軸121が、プロセス配列を含有する試料プロセッシングデバイスが回転する回転軸から延在する半径方向で整列されることが好ましい(回転が流体転送をもたらすために使用される推進力である場合)。
他の態様において、検出窓142がプロセスチャンバー140の長さに沿ってバルブセプタム164と少なくとも同延であることが好ましい。描写された検出窓142は単一ユニタリー特徴であるが、2個以上の検出窓が各プロセスチャンバー140に提供され得ることは理解される。例えば、プロセスチャンバー140の長さに沿って複数の独立した検出窓を配置することができる(例えば、バルブセプタム164と並んで)。
様々な特徴の相対的なサイズを特徴付けるもう1つの様式は、例えば、バルブセプタム164が(その伸長軸121に沿って)プロセスチャンバー140の最大長さの30%以上(または50%以上)でプロセスチャンバー領域の長さに沿って延在することである。バルブセプタム164の寸法のかかる特徴づけは多くの試料プロセッシングデバイスに関して実際の尺度で表されてもよく、例えば、バルブセプタム164は、プロセスチャンバー140の長さに沿って1ミリメートル以上の長さで延在するものとして記載されてもよい。
描写された方法の第1段階を図3Aに示す。ここで装填チャンバー130は、そこに位置する試料材料180を含む。図示された方法の目的のため、試料材料180は全血である。装填後、好ましくは、導管132を通して血液180をプロセスチャンバー140へ転送する。好ましくは、回転軸111に対してプロセス配列120を回転させることによって転送を実行してよい。プロセスチャンバー140から装填チャンバー130の反対側に位置する点に対してプロセスチャンバー140が弧状に移動される点111に対するいずれの回転も許容できるが、好ましくは、例えば図3Aが位置する紙の平面上で回転が生じ得る。核酸を除去するための全血のプロセッシングの好ましいプロセスに関するさらなる記載は、以下に提供される。
本発明の試料プロセッシングデバイスにおいて使用されるプロセス配列は、好ましくは「非換気型」であってよい。本発明と関連して使用される場合、「非換気型プロセス配列」はプロセス配列中に導かれる開口のみが装填構造、例えば、装填チャンバーに位置するプロセス配列(すなわち、少なくとも2個の連結されたチャンバー)である。言い換えると、非換気型プロセス配列内のプロセスチャンバーに到達するように、試料材料は装填チャンバーに送達されなければならない。同様に、試料材料の装填前のプロセス配列内に位置するいずれの空気または他の流体も、装填チャンバーを通してプロセス配列から逃がされなければならない。対照的に、換気型プロセス配列は、装填チャンバーの外側に少なくとも1個の開口を備える。この開口は、装填前のプロセス配列内に位置するいずれの空気または他の流体も逃がすことができる。
非換気型プロセス配列を備えた試料プロセッシングデバイスを通しての試料材料の移動は、回転間、デバイスを交互に加速および減速することによって促進され得、そして導管およびプロセスチャンバーを通して本質的に試料材料が脱気される。少なくとも2回の加速/減速サイクル、すなわち初期加速、それに続く減速、第2回目の加速および第2回目の減速を使用して、回転を実行してよい。加速および/または減速が迅速である場合、それはさらに有益である。また好ましくは回転は一方向のみであり、すなわち、装填プロセス間に回転方向を逆にする必要はない。かかる装填プロセスによって、デバイスの回転中心からより遠くに位置するプロセス配列中の部分中の空気を試料材料に置き換えることが可能となる。実際の加速および減速の速度は、温度、デバイスのサイズ、回転軸からの試料材料の距離、デバイスの製造材料、試料材料の特性(例えば粘度)等のような様々な要因に基づいて変更されてよい。
図3Bは、プロセスチャンバー140中への血液180の移動後のプロセス配列を描写する。バルブチャンバー160がバルブセプタム164によってプロセスチャンバー140から隔離されているため、血液180はプロセスチャンバー140中に残って、すなわち、バルブチャンバー160中へと移動しない。
図3Cに示されるように、プロセス配列120の追加的な回転によって、好ましくは赤血球182、バフィーコート層184および血漿186への血液180の構成成分の分離が得られる。典型的に、分離は遠心力および材料の相対密度の結果である。
各血液試料180の異なる構成成分の正確な体積(または血液試料180自体の体積)が未知である場合、異なる分離された層間の境界の位置は未知である。しかしながら本発明と関連して、好ましくは異なる分離された構成成分間の境界の位置を検出することが可能である。
かかる検出は、好ましくは、いずれかの適切な選択された光を使用して検出窓を通して生じ得る。プロセスチャンバー140中の試料材料の像を得るために、光が血液構成成分182、184と186を通して伝達されても、またはそれらから反射されてもよい。もう1つの別法において、吸光度を使用して、1以上の選択された構成成分の境界または位置を検出することもできる。例えば、血液を回転後、充填された赤血球層、バフィー層(白血球)および血漿の間で境界を検出することが可能である。ビーズを回転後、充填ビーズ層および上澄み層の間で境界を検出することも可能である。
試料材料の全ての特徴または特性の位置、すなわち、血漿186の自由表面187を含む全ての境界の位置を決定することは好ましい。他の例においては、1つのみの特徴の位置、例えば、バフィーコート層184と血漿186との間の境界を決定することが十分であり、ここで検出された特徴は本方法において次の工程を実行するために十分な情報を提供する。
プロセスチャンバー140中の材料の適切な特性の検出後、開口168が、好ましくはバルブセプタム164の所望の位置で形成される。描写された方法において、開口168の所望の位置は、プロセスチャンバー140から血漿186の一部分を除去するために選択される。プロセスチャンバー140中に少量(図3Dの186rを参照せよ)のみを残して、血漿186の実質的に全てが除去されることが望ましい。プロセスチャンバー140から赤血球182の転送を制限または防止するために、プロセスチャンバー140中に少量の血漿を残す必要がある。
開口168は、いずれかの適切な非接触技術によって形成され得る。かかる技術の1つは、例えばバルブセプタム168のレーザーアブレーションであり得る。他の技術としては、限定されないが、例えば集束光加熱等が挙げられる。
開口168の形成後、プロセス配列120の追加的な回転によって、好ましくは、開口168を通してバルブチャンバー160へとプロセスチャンバー140から血漿186が移動して、従って、導管162を通してアウトプットプロセスチャンバー170へと転送する。結果として、プロセスチャンバー140中にバフィーコート層184および赤血球182と一緒に血漿の少量の残部186rがあって、血漿186はプロセスチャンバー170中に位置する。
本発明に従うプロセスチャンバー240およびバルブ構造を備えたプロセス配列220のもう1つの実施形態の一部分を図4に描写する。描写された実施形態において、プロセスチャンバー240は軸221に沿って伸長され、そしてプロセス配列220は、回転によって流体を移動させる力が提供されるように設計される。回転は、描写された実施形態において軸221上にある点211に対するものである。しかしながら、それに対してプロセス配列が回転する点が軸221上にある必要がないことは理解されるべきである。
プロセスチャンバー240は、バルブリップ250a、250bおよび250cがプロセスチャンバー領域へと延在する点線で、そしてバルブリップ250a、250bおよび250cがプロセスチャンバー領域へと延在しない実線で示される。バルブリップ250a、250bおよび250cによって占有されないプロセスチャンバー領域のそれらの部分において、プロセスチャンバー240がプロセスチャンバー240中へ、および/またはプロセスチャンバー240から外への選択された光の伝達を可能にする検出窓242を備え、プロセスチャンバー240中の試料材料280の検出が可能となることが好ましい。
プロセス配列220は、プロセスチャンバー240から隔離および分離されたバルブチャンバー260a、260bおよび260cも備える。バルブチャンバー260a、260bおよび260cは、それぞれチャンバー270a、270bおよび270cと連絡する(それぞれ)。バルブチャンバー260a、260bおよび260cは、図4に示されるように導管によってそれらの各チャンバー270a、270bおよび270cに連結され得る。
各バルブチャンバー260a、260bおよび260cは、好ましくは、少なくとも部分的に(それぞれ)バルブリップ250a、250bおよび250c上に位置する。また各バルブチャンバー260a、260bおよび260cは、好ましくは、各バルブチャンバー260a、260bおよび260c内に位置するバルブセプタム264a、264bおよび264cによってプロセスチャンバー240から隔離および分離されてよい。各バルブセプタム264a、264bおよび264cは、部分的にプロセスチャンバー240の破線によって画定される。
プロセスチャンバー240と関連して提供された複数のバルブチャンバー260a、260bおよび260cは、プロセスチャンバー中のいずれかの試料材料の異なる部分を選択的に除去する能力およびその試料材料を異なるチャンバー270a、270bおよび270cのへと移動させる能力を提供し得る。例えば、バルブチャンバー260aのバルブセプタム264aに開口268aを形成することによって、プロセスチャンバー240中の試料材料280の第1の部分がチャンバー270a中に移動され得る。
バルブチャンバー260aの開口268aを通してチャンバー270a中に試料材料280の第1の部分を移動させた後、チャンバー270b中に試料材料280の第2の部分を移動させるために、もう1つの開口268bをバルブチャンバー260bのバルブセプタム264bに提供してもよい。第2の部分は、典型的に、開口268aおよび268bの間に位置する試料材料280を含む。プロセスチャンバー240の長さに沿って、それら2個の開口を分離する距離は図4においてxによって示される。結果として、(軸221に対して垂直な平面に取られる)プロセスチャンバー240の断面積が既知である場合、試料材料280の第2の部分の体積は決定され得る。結果として、互いに選択された距離で開口268aおよび268bを形成することによって、チャンバー270b中に試料材料の既知または選択された体積を移動させることが可能である。
またプロセスチャンバー240は、それに対してプロセス配列220が回転する点211から最も遠くのプロセスチャンバー240の終端においてバルブリップ250cに位置する第3のバルブチャンバー260cも備える。バルブリップ250cはプロセスチャンバー240の全ての幅上に延在する(プロセスチャンバー240の幅の一部分のみの上に延在するバルブリップ250aおよび250bと対照的)。
図5は、本発明と関連するもう1つのプロセスチャンバー340の断面を描写する。ベース層313、中間層314、バルブ層316およびカバー層318を備えた試料プロセッシングデバイス310中にプロセスチャンバー340が形成される。いずれかの適切な技術の組み合わせによって、様々な層が互いに結合され得る。
層は単一の均質構造として描写されているが、複数の材料および/または層から1以上の層を形成可能であることは理解される。さらに、いくつかの層を組み合わせることが可能である。例えば、層313および314が組み合わされてもよい(例として、図2の断面図の層14を参照のこと)。あるいは、例えば、成型、押出等によって形成可能な単一構造へと層314および316を組み合わせることが可能である。
図5に示される構造は、バルブセプタム364によってプロセスチャンバー340から分離されたバルブチャンバー360を備える。バルブチャンバー360は、カバー層318によってさらに画定される。デバイス390も図5に描写され、これは、例えばバルブセプタム364に開口を形成するために使用することができる。デバイス390は、例えばレーザー等であってよく、これは、カバー層318に開口を形成することなくバルブセプタム364に開口を形成するために必要なエネルギーを好ましく送達し得る。
バルブセプタム364に開口を形成するために必要とされるエネルギーがカバー層318を通して指向される場合、かかるエネルギーを妨害し得るいずれかの材料からベース層313が形成されてよい。例えば、ベース層313は金属ホイル等の材料から製造されてよい。バルブ層316および/またはバルブセプタム364が、選択された波長の光の十分量の流路を与える場合、バルブ層316および/またはバルブセプタム364を通してプロセスチャンバー340中の試料材料を検出することが可能となり得る。
あるいは、プロセスチャンバー340中の試料材料の検出が実行されないように、バルブ層316およびバルブセプタム364が光の流路を妨害する場合、ベース層313を通してプロセスチャンバー340中の試料材料を検出することが望ましい。図5に示されるように、層313を通してプロセスチャンバー340中の試料材料を検出することができる検出デバイス392を使用して、かかる検出を達成することができる。いくつかの例において、層313を通してエネルギーが指向されるデバイス392を使用して、バルブセプタム364に開口を形成することが可能である(プロセスチャンバー340中の試料材料を通るかかるエネルギー流路が許容される場合)。
全血を使用する方法の実例
本発明は、核含有細胞(例えば、白血球)内に含まれる核酸(例えば、DNA、RNA、PNA)を含む全血から核酸を単離する方法およびキットも提供する。
この方法は核酸を試料から単離させることに関するが、この方法が必ずしも核酸を核酸含有材料(例えば、核)から除去するわけではないことは理解されるべきである。すなわち、例えば核酸を核からさらに分離するために、さらに工程が必要とされてもよい。
本発明の特定の方法は、増幅反応(例えばPCR反応において使用される場合)を抑制し得るため望ましくないヘムおよびその分解生成物(例えば鉄塩)のような抑制物質から核酸を最終的に分離する工程を伴ってよい。具体的には、本発明の特定の方法は、試料中の核酸の少なくとも一部分を少なくとも一種類の抑制物質の少なくとも一部分から分離する工程を伴う。好ましい方法は、核酸が実質的に純粋であるように、核酸を含有する試料中の実質的に全ての抑制物質を除去する工程を伴い得る。例えば、鉄を含有する抑制物質の最終濃度は、好ましくは約0.8マイクロモル(μM)以下であり、これは従来のPCR系で耐容性を示す現在のレベルである。
全血からクリーンなDNAを得るために、ヘモグロビンならびに血漿タンパク質を除去することが典型的に望ましい。赤血球が溶解されると、Taqポリメラーゼを抑制するヘムおよび関連化合物が遊離する。全血中の通常のヘモグロビン濃度は100ミリリットル(mL)あたり15グラム(g)であり、これに基づき、溶血された全血中のヘム濃度は約10ミリモル(mM)である。PCRで満足な分析が得られるように、ヘムの濃度はマイクロモル(μM)レベルまで低下されるべきである。例えば、これは希釈によって、または抑制物質を結合する材料を使用して抑制物質を除去することによって達成され得る。
一実施形態において、本発明は、全血から核酸を単離する方法を提供する。この方法は、装填チャンバーと可変性バルブ付きプロセスチャンバーとを備えたデバイスを提供する工程と;装填チャンバー中で全血を配置する工程と;全血をバルブ付きプロセスチャンバーへと転送する工程と;バルブ付きプロセスチャンバー中で全血を遠心分離にかけて、血漿層(しばしば、上層)と、赤血球層(しばしば、下層)と、白血球を含む界面層(血漿層と赤血球層との間に位置する)とを形成する工程と;界面層の少なくとも一部分を除去する工程と;分離された界面層中の白血球を溶解させ、そして任意にその中の核を溶解させて、抑制物質および/または核酸を遊離させる工程とを含む。特定の実施形態において、溶解工程は、任意に加熱しながら白血球に強塩基を受けさせて核酸を遊離させる工程を含む。所望であれば、この方法は、遊離核酸を含む試料のpHが7.5〜9の範囲内となるように調節する工程をさらに含み得る。あるいは、溶解工程は白血球に界面活性剤を受けさせる工程を含み得る。
従って所望であれば、白血球の溶解と同時にまたは後に、この方法は、抑制物質の少なくとも一部分を固体相材料へと優先的に接着させる固体相材料との接触のため、分離チャンバーへと分離された界面層を転送する工程を含み得る。具体的には、本方法の特定の実施形態において、デバイスはその中に固体相材料を有する分離チャンバーをさらに備える。固体相材料は、好ましくは捕獲部位(例えばキレート官能基)、固体相材料上に被覆されたコーティング試薬または両方を含み、ここでコーティング試薬は、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的浸透性高分子バリアおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
固体相材料が存在する場合、この方法は、分離チャンバー中で溶解試料を固体相材料と接触させて抑制物質の少なくとも一部分を固体相材料に優先的に接着させる工程を含み;ここでは溶解工程が固体相材料への接触の前か、それと同時か、または後に生じ得る。この方法は典型的に、次いで、抑制物質の少なくとも一部分を接着させた固体相材料から核および/または核酸の少なくとも一部分を分離する工程を含む。
固体相材料が使用されない特定の実施形態において、この方法は、溶解試料を水(好ましくはRNA分解酵素を含まない無菌水)または緩衝液で希釈して、増幅法を妨害しない濃度まで抑制物質濃度を低下させる工程と;任意に核をさらに溶解させて核酸を遊離させる工程と;任意に試料を加熱してタンパク質を変性させる工程および任意に遊離された核酸を含む試料のpHを調整する工程と、任意にPCRを実行する工程とを含み得る。ヘム濃度を2マイクロモル未満まで低下させるために十分な水で、希釈を達成することができる。あるいは、溶解試料の2倍〜1000倍希釈物を形成するために十分な水で、希釈を達成することができる。
あるいは、所望であれば白血球を溶解させる前に、この方法は、試料の分離された界面層を水または緩衝液で希釈する工程と、任意に希釈された層をさらに濃縮して核酸材料の濃度を増加させる工程と、任意にさらに濃縮された領域を分離する工程と、任意に、希釈、次いで濃縮および分離が続くこのプロセスを繰り返して、増幅法を妨害しない濃度まで抑制物質濃度を低下させる工程とを含み得る。
図6を参照すると、これらの実施形態による用途のために適切なデバイスの1つの潜在的に好ましい実施形態の例は、装填チャンバー670、可変性バルブ付きプロセスチャンバー672、任意の分離チャンバー676、溶出試薬チャンバー678、廃棄物チャンバー680および任意の増幅チャンバー682を備える。全血試料が装填チャンバー670中へ装填され得、次いで、可変性バルブ付きプロセスチャンバー672へ転送され得るように、これらのチャンバーは互いに流体連通状態にある。バルブ付きプロセスチャンバー672中で全血を遠心分離にかけて、血漿層(しばしば上層)、赤血球層(しばしば下層)および白血球を含む界面層を形成する時に、界面層の少なくとも一部分(および好ましくは実質的な部分)が任意の分離チャンバー676へと転送されて、少なくとも赤血球層から、そして好ましくは全血の他の2層(血漿層および赤血球層)の両方から白血球(バフィーコート)を分離する。これは任意の廃棄物チャンバー680へと転送される。そこでバフィーコート中の白血球を溶解して、抑制物質ならびに核および/または核酸を遊離させることができる。分離チャンバー676が固体相材料を含む場合、このプロセスは、抑制物質の少なくとも一部分を固体相材料へと優先的に接着させる工程を含み得る。次いで標的の核酸含有材料および/または核酸の少なくとも一部分を除去するために、溶出試薬チャンバー678中の溶出試薬を分離チャンバー676へと転送する。特定の実施形態において、例えば、PCRプロセスを実行するための増幅反応チャンバー682へとこの材料を直接的に転送することができる。増幅反応チャンバー682は、増幅反応(例えばPCR)のための予め配置された反応物を任意に含み得る。
溶解試薬および条件
本発明の特定の実施形態に関して、プロセス間のいくつかの点で、試料内の細胞、特に核酸含有細胞(例えば、白血球、バクテリア細胞、ウィルス細胞)は溶解され、細胞内容物を遊離し、そして試料を形成する(すなわち可溶化液)。本明細書で使用される場合、細胞溶解は細胞膜の物理的分裂であり、ここで、細胞膜とは外側の細胞膜および存在する場合は核膜を指す。これは、プロテイナーゼの熱失活を伴うプロテイナーゼによる加水分解、界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤またはドデシル硫酸ナトリウム)、グアニジニウム塩または強塩基(例えばNaOH)による処理、物理的分裂(例えば、超音波による)、煮沸、または冷凍/解凍プロセスを含み得る加熱/冷却(例えば、少なくとも55℃(典型的に95℃)まで加熱、および室温以下(典型的に8℃)まで冷却)のような標準的な技術を使用して実行可能である。溶解試薬が使用される場合、必要に応じて有機溶媒が使用され得るが、典型的に水性媒体中である。
溶解剤(すなわち、溶解試薬)として水を使用することによって(すなわち水性希釈)、全血中の白血球(WBC)を破壊することなく赤血球(RBC)を溶解して、抑制物質を遊離することが可能である。あるいは、塩化アンモニウムまたは第四級アンモニウム塩もRBCを破壊するために使用可能である。また低張緩衝液の使用によって、低張ショックによってRBCを溶解することができる。完全なWBCまたはそれらの核を、例えば遠心分離によって回収できる。
典型的に、界面活性剤のようなより強い溶解試薬を使用して、RBCならびに核酸含有細胞(例えば、白血球(WBC)、バクテリア細胞、ウィルス細胞)を溶解させ、抑制物質、核および/または核酸を遊離させることができる。例えば、非イオン性界面活性剤を使用して、核が完全なままでRBCならびにWBCを溶解させることができる。細胞を溶解させるために、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤および双性イオン性界面活性剤を使用することができる。非イオン性界面活性剤が特に有用である。所望であれば、界面活性剤の組み合わせを使用することができる。核の単離のため、サッカロースおよびマグネシウム塩を含有するトリス(TRIS)緩衝液に、トリトン(TRITON)X−100のような非イオン性界面活性剤を添加することができる。
溶解のために使用される界面活性剤の量は、試料を有効に溶解させるために十分高いが、例えば沈殿を回避するように十分低い。溶解手順において使用される界面活性剤の濃度は、試料の総重量を基準として典型的に少なくとも0.1重量%である。溶解手順において使用される界面活性剤の濃度は、試料の総重量を基準として典型的に4.0重量%以下、そして好ましくは1.0重量%以下である。濃度は、通常、得られる混合物がPCRに対して適合性を有しながら、可能な最短の時間で完全な細胞溶解が得られるように最適化される。実際に、PCRカクテルに添加される配合物中の核酸は、リアルタイムPCRを抑制するべきではない。
所望であれば、界面活性剤との混合物中に緩衝液を使用することができる。典型的に、かかる緩衝液は少なくとも7、そして典型的に9以下のpHの試料を提供する。
典型的に、強塩基のようなさらにより強い溶解試薬を使用して、核酸含有細胞(白血球のような)に含有されるいずれの核も溶解させて核酸を遊離することができる。例えば、米国特許第5,620,852号明細書(リン(Lin)ら)に記載の方法は、1分程度の短い時間枠で室温でのアルカリ処理(例えばNaOH)によって全血からDNAの抽出を伴う方法であるが、本発明の特定の方法に適合し得る。一般的に、多種多様の強塩基を使用して、アルカリ細胞溶解手順において有効なpH(例えば8〜13、好ましくは13)を生じ得る。強塩基は典型的に、NaOH、LiOH、KOHのような水酸化物;第四級窒素含有カチオン(例えば、第四級アンモニウム)による水酸化物、ならびに第三級、第二級または第一級アミンのような塩基である。典型的に強塩基の濃度は少なくとも0.01規定(N)であり、そして典型的に1N以下である。次いで、特に核酸にPCRを受けさせる場合、典型的に混合物を中和することができる。もう1つの手順において、塩基による溶解に続いて加熱を使用して、タンパク質特性をさらに変性し、その後に試料を中和することができる。
加熱しながらプロテイナーゼKを使用して、その後、より高温でプロテイナーゼKを熱失活させて、核またはWBCから核酸を単離することも可能である。
所望であれば、例えば、マイクロ流体の寸法にスケール減少されたシグマズ エクザクト−N−アンプ ブラッド PCR キット(Sigma’s Extract−N−Amp Blood PCR kit)のような市販品として入手可能な溶解剤および中和剤を使用することも可能である。ブドウ球菌、連鎖球菌等のような困難なバクテリアを溶解させるため、ジェンポイント(GenPoint)(ノルウェー、オスロ(Oslo,Norway))からパワーリス(POWERLYSE)のようなより強い溶解溶液を使用することは、本発明の特定の方法において有利となり得る。
もう1つの手順において、煮沸方法を使用して、同時に細胞および核を溶解させ、DNAを遊離し、そしてヘモグロビンを沈殿させることができる。上澄み中のDNAを濃縮工程なしでPCRに直接的に使用することができるため、低コピー数試料に関してこの手順は有用となる。
伝染病に関して、全血からバクテリアまたはウイルスを分析する必要がある。例えばバクテリアの場合、白血球はバクテリア細胞と関連して存在し得る。デバイス中で赤血球を溶解させて抑制物質を遊離させることが可能であり、次いで例えば、さらなる溶解の前に遠心分離によってバクテリア細胞および白血球を分離することができる。核酸含有細胞のこの濃縮スラグ(バクテリアおよび白血球/核)を、抑制物質を除去するためのチャンバーへと移動させることができる。次いで、例えば、バクテリア細胞を溶解することができる。
種類次第で加熱を使用してバクテリア細胞溶解を達成してよい。あるいは、酵素法(例えばリソチーム、ムタノリシン(mutanolysin))または化学的方法を使用してバクテリア細胞溶解が生じ得る。好ましくは、バクテリア細胞はアルカリ細胞溶解によって溶解される。
プラスミド増殖のためのバクテリアの使用は、ゲノム学、分析分子生物学、予備分子生物学等の研究で共通である。プラスミドを含有するバクテリアの場合、バクテリアおよびプラスミドの両方からの遺伝物質が存在する。ゲノムDNAから細胞タンパク質および細胞断片を分離するクリーンアップ手順は、本発明の方法を使用して実行可能である。そのようにして得られたプラスミドDNAを含有する上澄みは、「クリアな可溶化液(cleared lysate)」と呼ばれる。アニオン交換クロマトグラフィ、ゲル濾過またはアルコールによる沈殿のような様々な手段を使用して、クリアな可溶化液をさらに精製することができる。
デバイス中に組み入れることができるバクテリアの培養手順の具体例において、大腸菌細胞培養液を遠心分離にかけ、TE緩衝液(10mMトリス(TRIS)、1mM EDTA、pH7.5)中で再懸濁し、そして0.1M NaOH/1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の添加によって溶解させる。3M(3モル)酢酸カリウム(pH4.8)の1体積の添加によって細胞溶解は停止され、そして上澄みを遠心分離にかける。細胞可溶化液をさらに精製して、クリーンなプラスミドDNAを得る。
血漿および血清は、ウイルスを含む分子試験のために提出される大多数の試験片を表す。全血の分画後、ウイルス(すなわちウィルス粒子)の抽出のために血漿または血清試料を使用することができる。例えば、ウイルスからDNAを単離するために、血液を回転させることによって血清から最初に分離することが可能である。可変性バルブの使用によって、血清を単独でもう1つのチャンバーへと移動することが可能である。次いで、血清を遠心分離にかけてウイルスを濃縮するか、または、例えば本明細書で記載されるような固体相材料を使用して抑制物質を除去した後、その次の細胞溶解工程で直接使用することができる。ウイルス粒子が材料を通過しないように、固体相材料は溶液を吸収可能である。次いでウイルス粒子を少量の溶出体積で抽出除去することができる。加熱または、酵素または化学的手段によって、例えば、界面活性剤の使用によってウイルスを溶解することが可能であり、そしてPCRまたはリアルタイムPCRのようなダウンストリームの適用に使用することができる。ウィルスRNAが必要とされる場合、RNAの分解を防止するために溶液に添加されたRNA分解酵素抑制物質を有する必要がある。
任意の固体相材料
本発明の特定の実施形態に関して、いずれかの形態(例えば、粒子、フィブリル、膜)の、好ましくは、それに結合された捕獲部位(例えばキレート官能基)、固体相材料上で被覆されたコーティング試薬(好ましくは界面活性剤)または両方を有する固体マトリックスを含む固体相材料に抑制物質が接着されることが見出された。コーティング試薬はカチオン性、アニオン性、非イオン性または双性イオン性界面活性剤であり得る。あるいはコーティング試薬は高分子電解質または強塩基であり得る。所望であれば、コーティング試薬の様々な組み合わせを使用することができる。
本発明の方法において有用な固体相材料は、例えばヘムおよびヘム分解生成物、特に鉄イオンのような抑制物質を保持する多種多様な有機および/または無機材料を含み得る。かかる材料は捕獲部位(好ましくはキレート基)で官能化されるか、一種以上のコーティング試薬(例えば界面活性剤、高分子電解質または強塩基)で被覆されるか、または両方である。典型的に、固体相材料は有機高分子マトリックスを含む。
一般的に適切な材料は化学的に不活性であって、物理的および化学的に安定しており、そして様々な生体試料に適応性を有する。固体相材料の例としては、シリカ、酸化ジルコニウム、アルミナビーズ、金のような金属コロイド、例えば捕獲部位を生じるためにメルカプト化学によって官能化された金被覆シートが挙げられる。適切な高分子の例としては、例えばポリオレフィンおよびフッ素化高分子が挙げられる。固体相材料は、典型的に使用前に塩および他の汚染物質を除去するために洗浄される。それは乾燥保存することも、すぐに使用できるように水性懸濁液中で保存することもできる。固体相材料は、好ましくは例えば、ピペット、シリンジもしくはより大きいカラム、マイクロタイタープレートまたは他のデバイスのような流入式容器で使用されるが、かかる入れ物を伴わない懸濁液方法も使用可能である。
本発明の方法において有用な固体相材料は、多種多様の材料を多種多様の形態で含み得る。それは例えば、自由状態であっても固定されてもよい粒子またはビーズ、繊維、フォーム、フリット、微孔性フィルム、膜、またはマイクロ複製された(microreplicated)表面を有する基材の形態であってよい。固体相材料が粒子を含む場合、良好な流体流れ特性を確実にするために、それらは好ましくは均一な球形で、かつ剛性である。
本発明の流入式適用に関して、かかる材料は典型的に自由状態で多孔性の網状組織の形態であって、大きい分子の均一かつ損なわれない出入りを可能にし、そして大きい表面積を提供する。好ましくは、かかる適用に関して、固体相材料は、例えば1グラムあたり1平方メートル(m2/g)を超えるような比較的高い表面積を有する。流入式デバイスの使用を含まない適用に関して、固体相材料が多孔性マトリックス中にあっても、またはなくてもよい。従って、膜も本発明の特定の方法において有用であり得る。
粒子またはビーズを使用する適用に関して、それらは試料、または粒子/ビーズの床に導入された試料に導入されてよく、そして例えば遠心分離によってそこから除去することができる。あるいは、様々な方法(例えばスプレー乾燥)によって接着剤で任意に被覆された不活発な基材(例えばポリカーボネートまたはポリエチレン)上へ粒子/ビーズを被覆(例えばパターン被覆)することができる。所望であれば、表面積の増加およびクリーンアップの強化のために基材をマイクロ複製することができる。また酸素プラズマ、電子ビームまたは紫外線放射線、熱またはコロナ処理プロセスによって前処理しておくことも可能である。この基材を例えばカバーフィルムとして使用することができるか、またはデバイス中の貯蔵器上のカバーフィルムに積層することができる。
一実施形態において、固体相材料はフィブリルマトリックスを含み、これは、その内部に巻き込まれた粒子を有しても有さなくてもよい。フィブリルマトリックスは、多種多様な繊維のいずれかを含み得る。典型的に繊維は水性環境において不溶性である。例としては、ガラス繊維、ポリオレフィン繊維、特にポリプロピレンおよびポリエチレンマイクロ繊維、アラミド繊維、フッ素化高分子、特にポリテトラフルオロエチレン繊維および天然セルロース繊維が挙げられる。繊維の混合物は使用可能であり、それは核酸の結合に対して活性であっても不活発であってもよい。好ましくは、フィブリルマトリックスは少なくとも約15ミクロン、そして約1ミリメートル以下、そしてより好ましくは約500ミクロン以下の厚さであるウェブを形成する。
使用される場合、粒子は水性環境において典型的に不溶性である。それらは、一種の材料から、または被覆された粒子の場合のように材料の組み合わせから製造可能である。それらは膨潤性または非膨潤性であり得るが、好ましくは、それらは水および有機液体において非膨潤性である。好ましくは、粒子が接着している場合、それは非膨潤性の疎水性材料から製造される。それらは核酸への親和力に関して選択され得る。いくつかの水膨潤性粒子の例は、米国特許第4,565,663号明細書(エレド(Errede)ら)、米国特許第4,460,642号明細書(エレド(Errede)ら)および米国特許第4,373,519号明細書(エレド(Errede)ら)に記載される。水中で非膨潤性である粒子は、米国特許第4,810,381号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)、米国特許第4,906,378号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)、米国特許第4,971,736号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)および米国特許第5,279,742号明細書(マーケル(Markell)ら)に記載される。好ましい粒子は、ポリプロピレン粒子(例えば、粉末)のようなポリオレフィン粒子である。粒子の混合物は使用可能であり、それは核酸の結合に対して活性であっても不活発であってもよい。
被覆された粒子が使用される場合、好ましくはコーティングは水不溶性または有機不溶性の非膨潤性材料である。コーティングは核酸が接着するものであっても、またはしないものでもよい。従って、被覆されるベース粒子は無機または有機であり得る。ベース粒子は、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化ジルコニウム等のような無機酸化物を含み得、それに対して有機基が共有結合される。例えば、鎖長(C2、C4、C8またはC18基)の異なる脂肪族基のような共有結合された有機基が使用可能である。
フィブリルマトリックスを含む適切な固体相材料の例としては、米国特許第5,279,742号明細書(マーケル(Markell)ら)、米国特許第4,906,378号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)、米国特許第4,153,661号明細書(リー(Ree)ら)、米国特許第5,071,610号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)、米国特許第5,147,539号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)、米国特許第5,207,915号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)および米国特許第5,238,621号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)に記載される。かかる材料は、3M カンパニー(3M Company)(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN))から商標名SDB−RPS(スチレン-ジビニルベンゼン逆相スルホネート(Styrene−Divinyl Benzene Reverse Phase Sulfonate)(3M製品番号2241))、カチオン−SR膜(3M製品番号2251)、C−8膜(3M製品番号2214)およびアニオン−SR膜(3M製品番号2252)で市販品として入手可能である。
ポリテトラフルオロエチレンマトリックス(PTFE)を含むものが特に好ましい。例えば米国特許第4,810,381号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)は、ポリテトラフルオロエチレンフィブリルマトリックスおよびマトリックス中に巻き込まれた非膨潤性吸着粒子を含む固体相材料を開示する。ここで、非膨潤性吸着粒子とポリテトラフルオロエチレンとの比率は重量で19:1〜4:1であり、そしてさらに複合固体相材料が1メートルあたり20〜300ミリニュートンの範囲で正味表面エネルギーを有する。米国再発行特許第36,811号明細書(マーケル(Markell)ら)は、PTFEフィブリルマトリックスおよびマトリックス中に巻き込まれた吸着粒子を含む固体相抽出媒体を開示する。ここで粒子は30重量%超かつ100重量%までの多孔性有機粒子と、70重量%未満〜0重量%の多孔性無機(有機被覆されたか、または被覆されていない)粒子とを含み、吸着粒子とPTFEとの比率は重量で40:1〜1:4である。
特に好ましい固体相材料は、3M カンパニー(3M Company)(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN))から商標名エンポア(EMPORE)で入手可能である。エンポア(EMPORE)の技術の基礎は、いずれかの吸収剤粒子を使用して、粒子が装填された膜またはディスクを製造する機能である。粒子はポリテトラフルオロエチレンの不活性マトリックス内で一緒に密接に保持される(90重量%吸収剤:10重量%PTFE)。PTFEフィブリルは、いずれの形態であっても粒子の活性を妨害しない。エンポア(EMPORE)膜製造プロセスでは、同一サイズ粒子で調製された従来の固体相抽出(Solid Phase Extraction)(SPE)カラムまたはカートリッジにおいて達成できるものよりも高密度で均一な抽出媒体が得られる。
好ましいもう1つの実施形態において、固体相(例えば、微孔性熱可塑性高分子支持体)は、フィブリルによって連結された熱可塑性物質高分子の、複数の間隔をあけられ、ランダムに分散し、不均一性の形状を有し、等軸である粒子を特徴とする微孔構造を有する。粒子は互いに間隔をあけて配置され、その間で微孔網状組織を提供する。各粒子から隣接粒子まで放射するフィブリルによって粒子は互いに連結する。粒子またはフィブリルの一方または両方が疎水性であってもよい。かかる材料の好ましい例は高い表面積を有し、しばしばHg表面積技術で測定される40平方メートル/グラム程度の高さであり、そして約5ミクロンまでの孔サイズを有する。
相分離誘発の使用を伴う好ましい技術によって、この種類の繊維材料を製造することができる。これは、均一な混合物を形成するために十分な温度で熱可塑性高分子と非混和性液体とを溶融ブレンドする工程と、溶液から所望の形状へと物品を形成する工程と、液体および高分子の相分離を誘発するように成形物品を冷却して、最終的に高分子を凝固して液体の実質的な部分を除去し、微孔性高分子マトリックスを残す工程とを伴う。この方法および好ましい材料は、米国特許第4,726,989号明細書(ムロジンスキー(Mrozinski))、米国特許第4,957,943号明細書(マカリスター(McAllister)ら)および米国特許第4,539,256号明細書(シップマン(Shipman))に詳述される。かかる材料は熱的に誘発された相分離膜(TIPS膜)と呼ばれ、特に好ましい。
他の適切な固体相材料としては、米国特許第5,328,758号明細書(マーケル(Markell)ら)に開示されるような不織材料が挙げられる。この材料は、収着効率の高いクロマトグラフィ級粒子を含む圧縮または溶融粒子含有不織ウェブ(好ましくはブローンマイクロ)を含む。
他の適切な固体相材料としては、HIPEフォーム(HIPE Foams)として既知のものが挙げられる。これは、例えば米国特許公報第2003/0011092号明細書(タン(Tan)ら)に記載されている。「HIPE」または「高内相エマルジョン」は、連続反応相、典型的に油相と、油相と非混和性である不連続または共連続相、典型的に水相とを含み、非混和性の相がエマルジョンの少なくとも74体積%で含まれるエマルジョンを意味する。典型的に、HIPEから製造される多くの高分子フォームは相対的に連続気泡状である。これは、ほとんどまたは全ての気泡が、隣接する気泡と遮断のない連絡状態にあることを意味する。かかる実質的に連続気泡状のフォーム構造の中の気泡は、フォーム構造内で1個の気泡からもう1個への流体転送を可能にするために十分な典型的に大きい細胞間ウインドウを有する。
固体相材料は、抑制物質に対する捕獲部位を含み得る。本明細書において「捕獲部位」とは、共有結合によって結合された基(例えば官能基)、または非共有結合(例えば疎水性)によって固体相材料に結合された分子を指す。
好ましくは、固体相材料は抑制物質を捕獲する官能基を含む。例えば、固体相材料はキレート基を含み得る。この文脈において、「キレート基」は多座であり、そして金属原子またはイオンとキレート錯体を形成可能であるものである(抑制物質はキレート化機構によって固体相材料上に保持されても、されなくてもよい)。キレート基の組み入れは様々な技術によって達成され得る。例えば不織材料は、キレート基によって官能化されたビーズを保持し得る。あるいは、不織材料の繊維をキレート基によって直接的に官能化することができる。
キレート基の例としては、例えば−(CH2−C(O)OH)2、トリス(2−アミノエチル)アミン基、イミノ二酢酸基、ニトリロ三酢酸基が挙げられる。様々な技術によって、キレート基を固体相材料中に組み入れることができる。材料を化学的に合成することによって、それらを組み入れることができる。あるいは、所望のキレート基を含有する高分子を不活性な基材(例えばポリカーボネートまたはポリエチレン)上に被覆することができる(例えばパターン被覆)。所望であれば、表面積の増加およびクリーンアップの強化のために基材をマイクロ複製することができる。また酸素プラズマ、電子ビームまたは紫外線放射線、熱またはコロナ処理プロセスによって前処理することも可能である。この基材を例えばカバーフィルムとして使用することができるか、またはデバイス中の貯蔵器上のカバーフィルムに積層することができる。
キレート固体相材料は市販品として入手可能であり、そして本発明の固体相材料として使用可能である。例えば本発明の特定の実施形態に関して、イミノ二酢酸(ナトリウム塩型)のようなキレート基を含むエンポア(EMPORE)膜が好ましい。かかる膜の例は米国特許第5,147,539号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)に開示されており、そして3M カンパニー(3M Company)からエンポア エクストラクション ディスク(EMPORE Extraction Disks)(47mm、No.2271または90mm、No.2371)として市販品として入手可能である。本発明の特定の実施形態に関して、キレート基を含むアンモニア誘導体化されたエンポア(EMPORE)膜が好ましい。ディスクをアンモニウム型にするため、pH5.3の0.1M酢酸アンモニウム緩衝液50mLで洗浄して、続いて数回、試薬水で洗浄することができる。
他のキレート材料の例としては、限定されないが、バイオ−ラド ラボラトリーズ,インコーポレイテッド(Bio−Rad Laboratories,Inc.)(カリフォルニア州ヘラクレス(Hercules,CA))から商標名ケレックス(CHELEX)で入手可能な架橋されたポリスチレンビーズ、トリス(2−アミノエチル)アミン、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ポリアミンおよびポリイミンによって架橋されたアガロースビーズ、ならびにローム アンド ハース(Rohm and Haas)(ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia,PA))から商標名デュオライト(DUOLITE)C−467およびデュオライト(DUOLITE)GT73、アンバーライト(AMBERLITE)IRC−748、ダイアイオン(DIAION)CR11、デュオライト(DUOLITE)C647で市販品として入手可能なキレートイオン交換樹脂が挙げられる。
典型的に、固体相材料上でのキレート基の所望の濃度密度は1平方ミリメートルあたり約0.02ナノモルであるが、より広範囲の濃度密度が可能であると考えられる。
他の種類の捕獲材料としては、アニオン交換材料、カチオン交換材料、活性化炭素、逆相、順相、スチレン−ジビニルベンゼン、アルミナ、シリカ、ジルコニアおよび金属コロイドが挙げられる。適切なアニオン交換材料の例としては、塩化物型の第四級アンモニウム、ジメチルエタノールアミン、第四級アルキルアミン、トリメチルベンジルアンモニウムおよびジメチルエタノールベンジルアンモニウムのような強アニオン交換体およびポリアミンのような弱アニオン交換体が挙げられる。適切なカチオン交換材料の例としては、典型的にナトリウム型のスルホン酸のような強カチオン交換体および典型的に水素型のカルボン酸のような弱カチオン交換体が挙げられる。適切な炭素をベースとする材料の例としては、エンポア(EMPORE)炭素材料、炭素ビーズが挙げられる。適切な逆相C8およびC18材料の例としては、オクタデシル基またはオクチル基によってエンドキャップされたシリカビーズ、ならびにC8およびC18シリカビーズを有するエンポア(EMPORE)材料(エンポア(EMPORE)材料はミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)の3M カンパニー(3M Co.)から入手可能である)が挙げられる。順相材料の例は、ヒドロキシ基およびジヒドロキシ基を含む。
また市販品として入手可能な材料は、本発明の方法において変性可能であるか、または直接使用可能である。例えば、商標名リス アンド ゴー(LYSE AND GO)(イリノイ州、ロックフォード、ピアス(Pierce,Rockford,IL))、リリース−イット(RELEASE−IT)(ニュージャージー州(NJ)、CPG)、ジーン フィズ(GENE FIZZ)(フランス、ユーロバイオ(Eurobio,France))、ジーン リリーサー(GENE RELEASER)(テネシー州、マーフリーズバラ、バイオベンチャー インコーポレイテッド(Bioventures Inc.,Murfreesboro,TN))およびバグズ N ビーズ(BUGS N BEADS)(ノルウェー、オスロ、ジェンポイント(GenPoint,Oslo,Norway)、ならびにザイモズ ビーズ(Zymo’s beads)(カリフォルニア州、オレンジ、ザイモ リサーチ(Zymo Research,Orange,CA))およびダイナルズ ビーズ(Dynal’s beads)(ノルウェー、オスロ、ダイナル(Dynal,Oslo,Norway))で入手可能な固体相材料を本発明の方法に、特にデバイス中に固体相の捕獲材料として組み入れることができる。
かかる方法の特定の実施形態において、固体相材料はコーティング試薬を含む。コーティング試薬は、好ましくは界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的浸透性高分子バリアおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。かかる方法の特定の実施形態において、固体相材料はポリテトラフルオロエチレンフィブリルマトリックス、マトリックス中に巻き込まれた吸着粒子および固体相材料上で被覆されたコーティング試薬を含み、コーティング試薬は、界面活性剤、強塩基、高分子電解質、選択的浸透性高分子バリアおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。本明細書において、「固体相材料上で被覆されたコーティング試薬」という句は、固体相材料の少なくとも一部分上に、例えばフィブリルマトリックスおよび/または吸着粒子の少なくとも一部分上に被覆された材料を指す。
適切な界面活性剤の例を以下に記載する。
適切な強塩基の例としては、NaOH、KOH、LiOH、NH4OH、ならびに第一級、第二級または第三級アミンが挙げられる。
適切な高分子電解質の例としては、ポリスチレンスルホン酸(例えば、ポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)またはPSSA)、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルホウ酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリスチレンホスホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、リグノスルホン酸塩、カラギーナン、ヘパリン、コンドリチン(chondritin)スルフェートおよびそれらの塩または他の誘導体が挙げられる。
適切な選択的浸透性高分子バリアの例としては、アクリレート、アクリルアミド、アズラクトン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、多糖類のような高分子が挙げられる。かかる高分子は様々な形態であり得る。それらは水溶性、水膨潤性、水不溶性、ヒドロゲル等であり得る。例えば、白血球、核、ウイルス、バクテリアならびにヒトゲノムDNAおよびタンパク質のような核酸のようなより大きい粒子のフィルタとして作用するように高分子バリアを調製することができる。官能性基の適切な選択によって、架橋によって等でサイズおよび/または電荷に基づいて分離するために、当業者はこれらの表面を調整することができる。当業者はかかる材料を容易に入手可能であるか、または調製するだろう。
好ましくは固体相材料を界面活性剤で被覆するが、所望であれば他のコーティング試薬はすすぎ除去されるが、いずれの界面活性剤も過剰に洗浄除去されない。典型的に、浸漬、回転、スプレー等のような様々な方法を使用してコーティングを実行することができる。次いで、例えば使用前に空気中で、コーティング試薬が装填された固体相材料を乾燥させる。
界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤で被覆された固体相材料が特に望ましい。これは、実施例の項目で明らかにされる手順に従って達成することができる。理論に制限される意図はないが、界面活性剤の添加が固体相材料の湿潤性を増加して、それによって抑制物質が固体相材料中に浸漬され、そこに結合されると考えられる。
固体相材料のコーティング試薬は、好ましくは水性溶液であるが、所望であれば有機溶媒(アルコール等)を使用可能である。試料が固体相材料を湿潤可能であるように、コーティング試薬の装填は十分に高くなければならない。しかしながら、コーティング試薬の著しい溶出があるほど高くてはならない。コーティング試薬が核酸で抽出される場合、好ましくは抽出試料中のコーティング試薬は約2重量%以下である。典型的にコーティング溶液濃度は、0.1重量%程度の低さの溶液中コーティング試薬および10重量%程度の高さの溶液中コーティング試薬であり得る。
界面活性剤
非イオン性界面活性剤。溶解試薬(上記で説明された)、溶出試薬(下記で説明される)および/または固体相材料上のコーティングとして使用可能である多種多様の適切な非イオン性界面活性剤は既知である。例えばポリオキシエチレン界面活性剤、カルボン酸エステル界面活性剤、カルボン酸アミド界面活性剤等が挙げられる。市販品として入手可能な非イオン性界面活性剤としては、n−ドデカノイルスクロース、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−オクチル−β−D−マルトピラノシド、n−オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、n−デカノイルスクロース、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−デシル−β−D−チオマルトシド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコピラノシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、n−ノニル−β−D−グルコピラノシド、n−オクタノイルスクロース、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、シクロヘキシル−n−ヘキシル−β−D−マルトシド、シクロヘキシル−n−メチル−β−D−マルトシド、ジギトニン、および商標名プルロニック(PLURONIC)、トリトン(TRITON)、トィーン(TWEEN)で入手可能であるもの、ならびに多数の他の市販品として入手可能であるものおよびカーク オスマー テクニカル エンサイクロ(登録商標)ペディア(Kirk Othmer Technical Encyclopedia)に記載のものが挙げられる。以下の表1に例を記載する。好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレン界面活性剤である。より好ましい界面活性剤としては、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールが挙げられる。
Figure 2011013237
また米国特許公報第2003/0139550号明細書(サブ(Savu)ら)および米国特許公報第2003/0139549号明細書(サブ(Savu)ら)に開示される種類のフッ素化非イオン性界面活性剤も適切である。他の非イオン性フッ素化界面活性剤としては、デュポン(DuPont)(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,DE))から商標名ゾニル(ZONYL)で入手可能なものが挙げられる。
双性イオン性界面活性剤。固体相材料上のコーティング、溶解試薬および/または溶出試薬として使用可能である多種多様の適切な双性イオン性界面活性剤が既知である。例えばアルキルアミドベタインおよびそれらのアミンオキシド、アルキルベタインおよびそれらのアミンオキシド、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン、アンホグリシネート(amphoglycinate)、アンホプロピオネート(amphopropionate)、平衡アンホポリカルボキシグリシネート(balanced amphopolycarboxyglycinate)およびアルキルポリアミノグリシネートが挙げられる。タンパク質は、pH次第で荷電されるか、または未荷電である性能を有し;従って、適切なpHでタンパク質は、好ましくは約8〜9のpIで例えば変性ウシ血清アルブミンまたはキモトリプシノーゲンは双性イオン性界面活性剤として機能し得る。双性イオン性界面活性剤の具体例は、シグマ(Sigma)から商標名チャップス(CHAPS)で入手可能なクラミド(cholamido)プロピルジメチルアンモニウムプロパンスルホネートである。より好ましい界面活性剤としては、N−ドデシルN,Nジメチル−3−アンモニア1−プロパンスルホネートが挙げられる。
カチオン性界面活性剤。溶解試薬、溶出試薬および/または固体相材料上のコーティングとして使用可能である多種多様の適切なカチオン性界面活性剤は既知である。例えば第四級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミンおよびアルキルアミンオキシドが挙げられる。典型的に適切な第四級アンモニウム塩は少なくとも1個の高分子量の基を含み、そして2個または3個のより低分子量の基が共通の窒素原子に結合してカチオンを生じ、ここで電気的に釣り合いの取れたアニオンは、ハライド(ブロミド、クロリド等)、アセテート、ニトリトおよび低級アルコスルフェート(メトスルフェート等)からなる群から選択される。窒素上のより高分子量の置換基は、約10個〜約20個の炭素原子を含有するより高級のアルキル基であることが多く、そしてより低分子量の置換基は、メチルまたはエチルのような約1個〜約4個の炭素原子のより低級のアルキルであってよく、これはいくつかの例において例えばヒドロキシで置換されていてもよい。1個以上の置換基がアリール部分を含んでもよく、またはベンジルもしくはフェニルのようなアリールで置換されていてもよい。中でも可能なより低分子量の置換基は、ポリオキシエチレン部分のような低級ポリアルコキシ部分で置換されたメチルおよびエチルのような約1個〜約4個の炭素原子の低級アルキルであり、ヒドロキシル末端基を有し、次一般式:
R(CH2CH2O)(n-1)CH2CH2OH
(式中、Rは窒素に結合された(C1−C4)二価アルキル基であり、そしてnは約1〜約15の整数を表す)の範囲内である。あるいは末端ヒドロキシルを有するかかるより低級のポリアルコキシ部分の1個または2個は、前記されたより低級のアルキルを通して結合される代わりに、第四級窒素に直接結合されていてもよい。本発明での使用のために有用な第四級アンモニウムハライド界面活性剤の例としては、限定されないが、アクゾ ケミカル インコーポレイテッド(Akzo Chemical Inc.)からのメチル−ビス(2−ヒドロキシエチル)ココ−アンモニウムクロリドまたはオレイル−アンモニウムクロリド(それぞれ、エトクワド(ETHOQUAD)C/12およびO/12)、ならびにメチルポリオキシエチレン(15)オクタデシルアンモニウムクロリド(エトクワド(ETHOQUAD)18/25)が挙げられる。
アニオン性界面活性剤。溶解試薬、溶出試薬および/または固体相材料上のコーティングとして使用可能である多種多様の適切なアニオン性界面活性剤は既知である。有用であるアニオン型界面活性剤としては、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルベンゼンエーテルスルフェート、アルキルスルホアセテート、第二級アルカンスルホネート、第二級アルキルスルフェート等のようなスルホネートおよびスルフェートが挙げられる。これらの多くは、ポリアルコキシレート基(例えばエチレンオキシド基および/またはプロピレンオキシド基、これはランダム、連続またはブロック配列であり得る)ならびに/あるいはNa、K、Li、アンモニウム、トリエタノールアミンのようなプロトン化第三級アミンまたは第四級アンモニウム基のようなカチオン対イオンを含み得る。例としては、ステパン カンパニー(Stepan Company)(イリノイ州、ノースフィールド(Northfield,IL))から商標名ポリステップ(POLYSTEP)B12およびB22で入手可能なラウリルエーテルスルフェートならびに日光ケミカルズ(日本、東京)から商標名ニッコル(NIKKOL)CMT30で入手可能なナトリウムメチルタウレートのようなアルキルエーテルスルホネート;クラリアント コーポレイション(Clariant Corp.)(ノースカロライナ州、シャーロット(Charlotte,NC))からのナトリウム(C14〜C17)第二級アルカンスルホネート(アルファ−オレフィンスルホネート)である商標名ホスタプア(HOSTAPUR)SASで入手可能な第二級アルカンスルホネート;ステパン カンパニー(Stepan Company)から商標名アルファスト(ALPHASTE)PC−48で入手可能なナトリウムメチル−2−スルホ(C12〜C16)エステルおよび二ナトリウム2−スルホ(C12〜C16)脂肪酸のようなメチル−2−スルホアルキルエステル;両方ともステパン カンパニー(Stepan Co.)から、ナトリウムラウリルスルホアセテート(商標名ランタノール(LANTHANOL)LAL)および二ナトリウムラウレススルホスクシネート(商標名ステパンマイルド(STEPANMILD)SL3)として入手可能なアルキルスルホアセテートおよびアルキルスルホスクシネート;ならびにステパン カンパニー(Stepan Co.)から商標名ステパノール(STEPANOL)AMで市販品として入手可能なアンモニウムラウリルスルフェートのようなアルキルスルフェートが挙げられる。
もう一種類の有用なアニオン性界面活性剤としては、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アラルキルホスフェートおよびアラルキルエーテルホスフェートのようなホスフェートが挙げられる。これらの多くは、ポリアルコキシレート基(例えばエチレンオキシド基および/またはプロピレンオキシド基、これはランダム、連続またはブロック配列であり得る)を含み得る。例としては、一般的にトリラウレス−4−ホスフェートと呼ばれ、クラリアント コーポレイション(Clariant Corp.)から商標名ホスタファト(HOSTAPHAT)340KLで市販品として入手可能であるモノ−、ジ−およびトリ−(アルキルテトラグリコールエーテル)−o−リン酸エステルの混合物、ならびにクロダ インコーポレイテッド(Croda Inc.)(ニュージャージー州、パーシパニー(Parsipanny,NJ)から商標名クロダホス(CRODAPHOS)SGで入手可能なPPG−5 セテス(ceteth)10 ホスフェート、ならびにアルキルおよびアルキルアミドアルキルジアルキルアミンオキシドが挙げられる。アミンオキシド界面活性剤の例としては、ステパン カンパニー(Stepan Co.)から商標名アモニックス(AMMONYX)LO、LMDOおよびCOで市販品として入手可能なものが挙げられ、これらはラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルアミドプロピルジメチルアミンオキシドおよびセチルアミンオキシドである。
溶出技術
抑制物質を保持するための固体相材料を使用する実施形態に関して、様々な溶出試薬を使用して、核酸含有材料(例えば核)および/または遊離された核酸を含む試料のより濃縮された領域を溶出することができる。かかる溶出試薬としては、水(好ましくはRNA分解酵素を含まない水)、緩衝液、カチオン性、アニオン性、非イオン性もしくは双性イオン性であり得る界面活性剤または強塩基が挙げられる。
好ましくは、溶出試薬は塩基性である(すなわち7より高い)。特定の実施形態に関して、溶出試薬のpHは少なくとも8である。特定の実施形態に関して、溶出試薬のpHは10までである。特定の実施形態に関して、溶出試薬のpHは13までである。溶出された核酸をPCRのような増幅プロセスで直接使用する場合、成分の濃度が酵素(例えば、Taqポリメラーゼ)を抑制しないように、または他の様式で増幅反応を阻止しないように溶出試薬を配合しなければならない。
適切な界面活性剤の例としては、上記のもの、特に、SDS、トリトン(TRITON)X−100、トィーン(TWEEN)、フッ素化界面活性剤およびプルロニックス(PLURONICS)として既知のものが挙げられる。典型的に、界面活性剤は水性ベースの溶液中で提供されるが、所望であれば、有機溶媒(アルコール等)を使用することができる。溶出試薬中の界面活性剤の濃度は、好ましくは溶出試薬の総重量に基づいて少なくとも0.1重量/体積%(w/v%)である。溶出試薬中の界面活性剤の濃度は、好ましくは溶出試薬の総重量に基づいて1w/v%以下である。ポリエチレングリコールのような安定剤を界面活性剤と一緒に任意に使用することができる。
適切な溶出緩衝液の例としては、トリス(TRIS)−HCl、N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸](HEPES)、3−[N−モルホリノ]プロパンスルホン酸(MOPS)、ピペラジン−N,N’−ビス[2−エタンスルホン酸](PIPES)、2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸(MES)、TRIS−EDTA(TE)緩衝液、クエン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、炭酸塩および重炭酸塩等が挙げられる。
溶出試薬中の溶出緩衝液の濃度は、好ましくは少なくとも10ミリモル(mM)である。溶出試薬の中の界面活性剤の濃度は、好ましくは2重量%(wt%)以下である。
典型的に核酸含有材料および/または遊離された核酸の溶出は、好ましくはアルカリ溶液を使用して達成される。理論に拘束される意図はないが、水による溶出と比較してアルカリ溶液は抑制物質の結合の改善をもたらすと考えられる。アルカリ溶液は核酸含有材料の細胞溶解も促進する。アルカリ溶液は、好ましくは8〜13、より好ましくは13のpHを有する。高pH供給源の例としては、NaOH、KOH、LiOH、第四級窒素ベースの水酸化物、第三級、第二級または第一級アミン等の水溶液が挙げられる。溶出のためにアルカリ溶液が使用される場合、例えばトリス(TRIS)緩衝液で、PCR実行可能試料を形成するために、典型的にその後の工程で中和される。
アルカリ溶液の使用によってRNAを選択的に破壊することができ、DNAの分析が可能となる。あるいはRNA分解酵素を配合物に添加してRNAを不活性化することができ、続いてRNA分解酵素を熱失活させる。同様に、DNA分解酵素を添加してDNAを選択的に破壊し、そしてRNAの分析が可能であるが、がかかる方法においてRNAを破壊しない他の細胞溶解緩衝液(例えばTE)使用される。リアルタイムPCRを受けるRNA調製のための配合物中で、RNAシン(RNAsin)のようなRNA分解酵素抑制物質の添加を使用することもできる。
溶出は典型的に室温で実行されるが、より高温ではより高い収量が生じ得る。例えば、所望であれば溶出試薬の温度は95℃まで可能である。溶出は典型的に10分以内で実行されるが、1〜3分の溶出時間が好ましい。
追加的な実施形態
他の場合、既知の密度勾配材料を選択的に使用して様々な細胞種を単離させることが望ましい。これらの密度勾配材料としては、ショ糖ならびに商標名フィコール(FICOLL)(ニュージャージー州、ピスカタウェイ、アマシャム バイオサイエンスズ(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ))、パーコール(PERCOLL)(ニュージャージー州、ピスカタウェイ、アマシャム バイオサイエンスズ(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ))、ヒストパク(HISTOPAQUE)(ミズーリ州、セントルイス、シグマ(Sigma,St.Louis,MO))、イソプレップ(ISOPREP)(カリフォルニア州、サニーヴェール、ロビンス サイエンティフィック コーポレイション(Robbins Scientific Corporation,Sunnyvale,CA))、ヒストデンズ(HISTODENZ)(ミズーリ州、セントルイス、シグマ(Sigma,St.Louis,MO))およびオプティプレップ(OPTIPREP)(ミズーリ州、セントルイス、シグマ(Sigma,St.Louis,MO))で市販品として入手可能な他のものが挙げられる。具体的な対象の細胞、例えば、末梢血液単核細胞(PBMC)は、可変性バルブデバイスの使用によって選択的に除去することができる。具体的な対象の細胞の抽出後、勾配材料がPCR適合性を有する限り、細胞溶解後にPCRを直接に実行することができる。勾配材料がPCR適合性ではない場合、(例えば水または緩衝液による)試料の適切な希釈を確実にするように配慮しなければならない。その後に細胞の濃縮が続き、このプロセスを数回繰返すことによって、PCR実行可能な試料が製造される。あるいは、簡単に著しく希釈することは、PCR実行可能な試料の製造のために十分であり得る。
例えば、本発明の1つの実施形態において、この方法は、装填チャンバーと可変性バルブ付きプロセスチャンバーとを備えたデバイスを提供する工程と;装填チャンバー中で全血を配置する工程と;全血をバルブ付きプロセスチャンバーへと転送する工程と;全血を密度勾配材料と接触させる工程と;バルブ付きプロセスチャンバー中で全血および密度勾配材料を遠心分離にかけて、少なくとも一層が対象の細胞を含有する層を形成する工程と;対象の細胞を含有する層の少なくとも一部分を除去する工程と;分離された対象の細胞を溶解させて核酸を遊離させる工程とを含む。この方法のもう1つの態様において、分離された対象の細胞を溶解させる前に、この方法は、分離された対象の細胞を水または緩衝液で希釈する工程と、任意に希釈された層をさらに濃縮して対象の細胞の濃度を増加させる工程と、任意にさらに濃縮された領域を分離する工程と、任意に、希釈、次いで濃縮および分離が続くこのプロセスを繰り返す工程とを含む。この方法のもう1つの態様において、分離された対象の細胞を溶解させる前に、この方法は、分離された対象の細胞を水で希釈して、好ましくは十分に希釈して20倍〜1000倍希釈物を形成する工程を含む。
本明細書に記載される通り、ビーズ上へのウィルス粒子の捕獲(例えば以下に説明される)の前または後に、固体相材料を使用して抑制物質を除去することができる(同様に、核酸の単離法および固体相材料を使用するキット(METHODS FOR NUCLEIC ACID ISOLATION AND KITS USING SOLID PHASE MATERIAL)と題された____________に出願された米国特許出願第_____________号明細書(代理人整理番号第59073US003号)に記載される)。本明細書に記載の様々な方法において、および様々な試料中で、かかる固体相材料を使用することができる。
これに加えて、例えば、核酸の単離法、ならびにマイクロ流体デバイスおよび濃縮工程を使用するキット(METHODS FOR NUCLEIC ACID ISOLATION AND KITS USING A MICROFLUIDIC DEVICE AND CONCENTRATION STEP)と題された____________に出願された米国特許出願第_____________号明細書(代理人整理番号第59801US002号)に開示の通り、濃縮/分離/任意の希釈工程を使用して抑制物質のレベルを減少することができる。
他の実施形態において、白血球中ウィルスのDNA/RNAを捕獲することが必要とされ得る。これらの場合、可変性バルブを使用して白血球を単離することが可能であり、そしてウィルスのDNA/RNAを捕獲するためにビーズを使用することができる。
例えば、特定の細胞、ウイルス、バクテリア、タンパク質、核酸等を単離するために適切な基でビーズを官能化することができる。遠心分離およびそれに続く分離によって、ビーズを試料から分離することができる。分離のために適切な密度およびサイズ(ナノメートル〜ミクロン)を有するようにビーズを設計することができる。例えばウィルス捕獲の場合、血清試料から少量の残留抑制物質の除去の前または後に、ウイルスの捕獲および濃縮のために、ウイルスのタンパク膜を認識するビーズを使用することができる。
細胞溶解によって分離されたウィルス粒子から核酸を抽出することができる。従って、ビーズによって、デバイス内の特定の領域で適切な材料を濃縮し、また不適切な材料の洗浄および捕獲された粒子からの適切な材料の溶出をもたらす方法が提供され得る。
かかるビーズの例としては、限定されないが、バイオ−ラド ラボラトリーズ,インコーポレイテッド(Bio−Rad Laboratories,Inc.)(カリフォルニア州、ヘラクレス(Hercules,CA))から商標名ケレックス(CHELEX)で入手可能な架橋されたポリスチレンビーズ、トリス(2−アミノエチル)アミン、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ポリアミンおよびポリイミンによって架橋されたアガロースビーズ、ならびにローム アンド ハース(Rohm and Haas)(ペンシルバニア州、フィラデルフィア(Philadelphia,PA))から商標名デュオライト(DUOLITE)C−467およびデュオライト(DUOLITE)GT73、アンバーライト(AMBERLITE)IRC−748、ダイアイオン(DIAION)CR11、デュオライト(DUOLITE)C647で市販品として入手可能なキレートイオン交換樹脂が挙げられる。またこれらのビーズは、上記のような固体相材料としての使用のために適切である。
ビーズの他の例としては、商標名ジーン フィズ(GENE FIZZ)(フランス、ユーロバイオ(Eurobio,France))、ジーン リリーサー(GENE RELEASER)(テネシー州、マーフリーズバラ、バイオベンチャー インコーポレイテッド(Bioventures Inc.,Murfreesboro,TN))およびバグズ N ビーズ(BUGS N BEADS)(ノルウェー、オスロ、ジェンポイント(GenPoint,Oslo,Norway)、ならびにザイモズ ビーズ(Zymo’s beads)(カリフォルニア州、オレンジ、ザイモ リサーチ(Zymo Research,Orange,CA))およびダイナルズ ビーズ(Dynal’s beads)(ノルウェー、オスロ、ダイナル(Dynal,Oslo,Norway))で入手可能なものが挙げられる。
他の材料も病原体捕獲のために利用可能である。例えば、本発明の特定の実施形態において、特定の細胞、ウイルス、バクテリア、タンパク質、核酸等を単離させるために、高分子コーティングも使用可能である。例えば、これらの高分子コーティングをデバイスのカバーフィルム上へ直接スプレー噴射することが可能である。
ビーズ表面上へ抗体を共有結合させることによって、ウィルス粒子をビーズ上に捕獲することができる。抗体は、ウィルスのコートタンパク質に対して産生され得る。例えば、ダイナル(DYNAL)ビーズを使用して抗体を共有結合させることができる。あるいは、合成高分子、例えばアニオン交換高分子を使用して、ウィルス粒子を濃縮することができる。バラフィニティ(viraffinity)(ニュージャージー州、イースト ブランスウィック、バイオテック サポート グループ(Biotech Support Group,East Brunswick,NJ))のような市販品として入手可能な樹脂を使用してビーズを被覆することができるか、またはウィルス粒子を濃縮するためのデバイス中の選択位置上へ高分子コーティングとして適用することができる。バグズ N ビーズ(BUGS N BEADS)(ノルウェー、オスロ、ジェンポイント(GenPoint,Oslo,Norway)を、例えばバクテリア抽出のために使用することができる。本発明において、これらのビーズを使用してブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、サルモネラおよびクラミジア基本小体のようなバクテリアを捕獲することができる。
従って本発明の1つの実施形態において、試料がウィルス粒子または他の病原体(例えばバクテリア)を含む場合、デバイスはウィルス捕獲ビーズまたは他の病原体捕獲材料の形態の固体相材料を含み得る。この方法において、試料はウィルス捕獲ビーズと接触する。特に、1つの事例において、ウィルス捕獲ビーズをウイルスまたはバクテリアの濃縮のみのために使用することが可能であり、例えば、続いてもう1つのチャンバーへとビーズを分離し、そしてウイルスまたはバクテリアの細胞溶解によって終了する。もう1つの事例において、ビーズをウイルスまたはバクテリアの濃縮のために使用することが可能であり、続いて同一ビーズ上へ核酸の細胞溶解および捕獲、ビーズの希釈、ビーズの濃縮、ビーズの分離を行ない、そして捕獲された核酸の溶出の前に複数回、このプロセスを繰返す。
具体的な実施形態において、方法は、装填チャンバーと、可変性バルブ付きプロセスチャンバーと、病原体捕獲材料を含む分離チャンバーとを備えたデバイスを提供する工程と;装填チャンバー中で全血を配置する工程と;全血をバルブ付きプロセスチャンバーへと転送する工程と;バルブ付きプロセスチャンバー中で全血を遠心分離にかけて、一種以上の病原体を含む血漿層と、赤血球層と、白血球を含む(その間の)界面層とを形成する工程と;一種以上の病原体を含む血漿層の少なくとも一部分を病原体捕獲材料を有する分離チャンバーへと転送する工程と;病原体捕獲材料から一種以上の病原体の少なくとも一部分を分離する工程と;一種以上の病原体を溶解させて核酸を遊離させる工程とを含む。
あるいはビーズ(または他の病原体捕獲材料)がウィルス捕獲(または他の病原体捕獲)のための選択方法ではない場合、超遠心分離機を使用して血清または血漿からウィルス粒子をペレット除去するように選択してもよい。ウィルスRNAを単離して、続いて増幅反応(RT−PCR)をする必要がある場合、これらの濃縮されたウィルス粒子を、例えばRNA分解酵素抑制物質の添加を伴って界面活性剤を含む溶解デバイスへと転送することができる。
核酸のダウンストリーム適用がPCRのような増幅プロセスを受ける場合、この方法で使用される全ての試薬は、好ましくはかかるプロセスに適合性(例えばPCR適合性)を有する。さらに、特に診断の目的のために、PCR促進薬の添加が有用であり得る。また増幅される材料を増幅前に加熱することは有益であり得る。
抑制物質が完全に除去されない実施形態において、緩衝液、酵素およびPCR促進薬の使用は、抑制物質の存在下で増幅プロセスの補助を追加し得る。例えば、抑制物質により高い耐性を示すrTthのようなTaqポリメラーゼ以外の酵素を使用することが可能であり、それによってPCR増幅に関して大きな利益が提供される。増幅プロセスにおいてなおさらに補助となることが知られているため、ウシ血清アルブミン、ベタイン、プロテイナーゼ抑制物質、ウシトランスフェリン等の添加を使用することができる。あるいは広範囲の精製を必要とせずに、全血からの直接増幅のためのノバゲンズ ブラッド ダイレクト PCR バッファー キット(Novagen’s Blood Direct PCR Buffer kit)(ドイツ、ダルムシュタット、EMD バイオサイエンスズ(EMD Biosciences,Darmstadt,Germany))のような市販品として入手可能な製品を使用することができる。
以下の実施例によって本発明の目的および利点をさらに説明するが、これらの実施例に記載される特定の材料およびその量、ならびに他の条件および詳細は過度に本発明を限定するように解釈されるべきではない。
実施例1:トリトン(TRITON)−X100による固体相材料:アンモニアフォームの調製
3M No.2271 エンポア エクストラクション キレーティング ディスク(EMPORE Extraction Chelating Disk)をガラスフィルターホルダー中に配置した。抽出ディスクをアンモニア型へと変換し、添付文書に印刷された手順に従った。ディスクをバイアル瓶中に配置し、そして1%トリトン(TRITON)−X100(ミズーリ州、セントルイス、シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO))溶液(10mLの水中0.1グラム(g)のトリトン(TRITON)−X100)中に浸漬し、サーモリン バリ−ミックス モデルM48725ロッカー(Thermolyne Vari−Mix Model M48725 Rocker)(アイオワ州、デュビュク、バーンステッド/サーモリン(Barnstead/Thermolyne,Dubuque,IA))上で約6〜8時間混合させる。ディスクを洗浄またはすすがないことに配慮して、ディスクをガラスフィルターホルダー中に配置して、約20分間、真空を適用することによって乾燥させ、次いで室温(約21℃)で一晩乾燥させた。
実施例2A:PCRにおける抑制物質/DNAの影響:固定されたDNA濃度での抑制物質濃度の変更
PCR上での抑制物質の影響を調査するために、クリーンなヒトゲノムDNAによるスパイクの前に抑制物質の一連の希釈を実行した。1マイクロリットルあたり15ナノグラム(ng/μL)のヒトゲノムDNA10μLに、1μLの異なるミックス(Mix)I(そのまま、または希釈物)を添加し(試料2、抑制物質は添加しなかった、2D−そのまま、2E−1:10、2F−1:30、2G−1:100、2H−1:300)、そしてボルテックスした。各試料の2μLアリコートは20μL PCRと考えられた。結果を表2に示す。
ミックス(Mix)I:100μLの全血を1μLのニートのトリトン(TRITON)−X100に添加した。溶液を約5分間、室温(約21℃)で温置し、そして断続的に溶液をボルテックスした(20秒毎に約5秒間)。次の工程に進む前に、透明であることを確認するために溶液を調査した。約10分間、400rcfでエッペンドルフ モデル(Eppendorf Model)5415D遠心分離機において溶液を回転させた。マイクロ遠心分離管の上部約80μLをミックスIと指定した。
実施例2B:PCRにおける抑制物質/DNAの影響:固定された抑制物質濃度でのDNA濃度の変更
ヒトゲノムDNA10μLに、1μLの1:3希釈されたミックス(Mix)I(上記)を添加した。調査されたDNA濃度は以下の通りであった:試料2J−15ng/μL、2K−7.5ng/μL、2L−3.75ng/μL、2M−1.5ng/μL。各試料の2μLアリコートは20μL PCRと考えられた。結果を表2に示す。
実施例2C:PCRにおける抑制物質/DNAの影響:抑制物質添加のないDNA
抑制物質の代わりに1μLの水を各DNA試料に添加することによって、以下の試料を調製した:試料2N−15ng/μL、2P−7.5ng/μL、2Q−3.75ng/μL、2R−1.5ng/μL。各試料の2μLアリコートは20μL PCRと考えられた。結果を表2に示す。
Figure 2011013237
実施例3:キレート固体相材料の使用による全血からのゲノムDNAの単離手順
600μLの全血を10分間2500rpmで回転させた。上澄みを分離して廃棄し、そしてバフィーコートを界面層から抽出した。5μLのバフィーコートを5μLの2%トリトン(TRITON)−Xに添加した。溶液を徹底的に混合し、そして装填溶液として1%トリトン(TRITON)−X100の代わりに10%トリトン(TRITON)−X100を使用して、実施例1に記載されるように調製された3M No.2271 エンポア エクストラクション キレーティング ディスク(EMPORE Extraction Chelating Disk)上に配置した。溶液をディスク中に浸漬した後、試料を20μLアリコートの0.1M NaOHで抽出した。400rcfでエッペンドルフ モデル(Eppendorf Model)5415D遠心分離機において溶液を簡単に回転させた。試料の11μLのアリコートを3分間95℃で加熱し、次いで3μLの1M トリス(TRIS)−HCl(pH7.4)に添加した。
実施例4:全血からのゲノムDNAの単離手順
600μLの全血を10分間2500rpmで回転させた。上澄みを分離して廃棄し、そしてバフィーコートを界面層から抽出した。5μLのバフィーコートを95μLのRNA分解酵素を含まない無菌水に添加した。色が均一になるまで溶液を混合し、そして約2分間、400rcfでエッペンドルフ モデル(Eppendorf Model)5415D遠心分離機において回転させた。上部から溶液の95μLのアリコートを分離して廃棄し、遠心分離管の底部に約5μLの濃縮された材料を残した。濃縮された材料の最後の5μLにRNA分解酵素を含まない無菌水95μLを添加した。色が均一になるまで試料を混合した。約2分間、400rcfでエッペンドルフ モデル(Eppendorf Model)5415D遠心分離機において溶液を回転させた。上部の95μLの溶液を分離して廃棄し、そして遠心分離管の底部に約10μLの濃縮された材料を残した。濃縮された材料の最後の10μLに、1μLの1M NaOHを添加した。1分間の温置後、試料を95℃で3分間加熱した。3μLの1Mトリス(TRIS)−HCl(pH7.4)を11μLの試料に添加した。
結果
表3は、実施例1〜2に関して10μL PCR試料(10μLのSYBRグリーン マスター ミックス(SYBR Green Master Mix)、4μLのβ−アクチン、4μLの水中の2μLの試料)の調製に関するクワンティテック SYBR グリーン PCR ハンドブック(QuantiTech SYBR Green PCR Handbook)の第10〜12頁の指示に従って、ABI 7700 QPCR マシン(カリフォルニア州、フォスターシティ、アプレラ(Applera,Foster City,CA))上で得られた結果を報告し;実施例3〜4に関する結果は、10μLのPCR試料(5.5μLのRNA分解酵素を含まない無菌水、1μLの10x ファクター V ライデン リアクション ミックス(Factor V Leiden Reaction Mix)および1μLの10x ファクター V ライデン ミューテーション ディテクション ミックス(Factor V Leiden Mutation Detection Mix)中の2.5μLの試料)の調製に関するライトシティ ファクター V ライデン ミューテーション キット(LightCycler Factor V Leiden Mutation Kit)の添付文書の第2〜3頁の指示に従って、ライトサイクラー(LightCycler)2.0(インディアナ州、インディアナポリス、ロシュ アプライド サイエンス(Roche Applied Science,Indianapolis,IN))上で得られた。405nmでのスペクトラマックス プラス(SpectraMax Plus)384分光光度計(カリフォルニア州、サニーヴェール、モレキュラー デバイス コーポレイション(Molecular Devices Corporation,Sunnyvale,CA.))上でスペクトル測定を実行した。各試料に関する2、3または4個の値は二重、三重または四重を表す。
Figure 2011013237
本明細書および添付の請求の範囲において使用される場合、文脈で明白に記載されない限り、単数形(「a」「and」および「the」)は複数形の指示を含む。従って、例えば、「バルブリップ」の言及は複数のバルブリップを含み、そして「プロセスチャンバー」の言及は1以上のプロセスチャンバーおよび当業者に既知のその均等物を含む。
本発明の実例となる実施形態が説明されており、そして本発明の範囲内で可能な変更に対する引用がなされている。本発明におけるこれらおよび他の変更および改造は本発明の範囲から逸脱することなく当業者に明らかであり、そして本発明が本明細書で明示された実例となる実施形態に限定されないことは理解されるべきである。従って、本発明は添付の請求の範囲およびその均等物によってのみ限定される。

Claims (3)

  1. 試料プロセッシングデバイス上のバルブ付きプロセスチャンバー
    であって、
    試料プロセッシングデバイスの第1および第2の主側面の間に位置するプロセスチャンバー体積を含み、該第2の主側面は該第1の主側面に対向し、該プロセスチャンバーは、試料プロセッシングデバイス上のプロセスチャンバー領域を占有し、および長さを含む、プロセスチャンバー;並びに
    プロセスチャンバー領域内に少なくとも部分的に位置するバルブチャンバー、ここで、バルブチャンバーは、プロセスチャンバー体積と試料プロセッシングデバイスの第2の主側面との間に位置し、バルブチャンバーとプロセスチャンバーとを分離するバルブセプタムによってプロセスチャンバーから隔離され、そしてプロセスチャンバー体積の一部分がバルブセプタムと試料プロセッシングデバイスの第1の主側面との間に位置し、バルブセプタムは、プロセスチャンバーの軸に沿ってプロセスチャンバーの最大長さの30%以上でプロセスチャンバー領域の長さに沿って延在し、開口が、プロセスチャンバーの長さに沿って選択された位置でバルブセプタムに形成される、
    を備える、前記プロセスチャンバー。
  2. 前記プロセスチャンバーが延在し、プロセスチャンバーの軸が試料プロセッシングデバイスの回転軸に関して半径方向に向いている、請求項1記載のバルブ付きプロセスチャンバー。
  3. プロセスチャンバー領域内に位置する検出窓であって、プロセスチャンバー体積中へと、および/または外へと指向する選択された電磁エネルギーに対して透過性である検出窓を更に含む、請求項1または2記載のバルブ付きプロセスチャンバー。
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