JP2011012739A - 制震装置及び制震装置の諸元設定方法 - Google Patents

制震装置及び制震装置の諸元設定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回転慣性質量ダンパーを備える制震装置の性能を向上させて、構造物を効果的に制震する。
【解決手段】ω/ωd<1.0とし、且つ倍率αmが1よりも大きくなるように、回転慣性質量ダンパー200及びバネ400の諸元を設定することで、回転慣性質量mdが増幅される。言い換えると、回転慣性質量による外力に対する抵抗(ダイナミックマス効果)が増幅される。よって、小さな質量体178で大きな回転慣性質量が得れるので、構造物10が効果的に制震される。
【選択図】図9

Description

本発明は、制震装置及び制震装置の諸元設定方法に関する。
回転慣性質量を利用した回転慣性質量ダンパーを用いて構造物を制震することが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
また、回転慣性質量ダンパーと直列に付加バネを設置し、回転慣性質量と付加バネとにより定まる固有振動数を、構造物の固有振動数に同調するように、回転慣性質量ダンパーと付加バネの諸元を設定することによって、この固有振動数における構造物の応答を低減させることが提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
特開2006−125110号公報 特開2008−002165号公報 特開2008−133947号公報
回転慣性質量ダンパーを備える制震装置の性能を向上させて、構造物を効果的に制震することが望まれている。
本発明は、上記を考慮し、回転慣性質量ダンパーを備える制震装置の性能を向上させて、構造物を効果的に制震することが目的である。
請求項1の発明は、外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置であって、前記第一部位と前記第二部位との間に、質量体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーとバネとを直列に配置し、前記回転慣性質量と前記バネとにより定まる固有円振動数をωdとし、前記構造物の固有円振動数をωとし、前記回転慣性質量の倍率をαmとすると、ω/ωd<1、且つ、減衰定数に応じて、αm>1、となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元が設定されている。
請求項1の発明では、ω/ωd<1、且つ、減衰定数に応じて、αm>1となるように、回転慣性質量ダンパー及びバネの諸元が設定されている。
回転慣性質量ダンパーの荷重変形履歴は、ω/ωd=1.0を境に回転慣性質量ダンパーの入力に対する位相が入れ替わる。つまり、傾きが負から正へ反転する。回転慣性質量は、加速度に対する値であるので、回転慣性質量ダンパーが外力に対して抵抗を持つためには傾きが負となる必要がある。よって、ω/ωd≧1の場合は、回転慣性質量による慣性抵抗が生じない。
したがって、回転慣性質量による制震効果を得るためには、ω/ωd<1とする必要がある。また、回転慣性質量を増幅させるためには、倍率αmをαm>1とする必要がある。更に、減衰定数によってαm>1となる範囲が異なる。
よって、ω/ωd<1、且つ、減衰定数に応じて、αm>1となるように、回転慣性質量ダンパー及びバネの諸元を設定することによって、回転慣性質量が増幅される。言い換えると、小さな質量体で大きな回転慣性質量が得られる。このように、制震装置の性能が向上するので、構造物が効果的に制震される。
請求項2の発明は、前記回転慣性質量の倍率αmが最大となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元が設定されている。
請求項2の発明では、回転慣性質量ダンパーの回転慣性質量の倍率が最大となるので、更に効果的に制震される。
請求項3の発明は、外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置であって、前記第一部位と前記第二部位との間に、質量体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーとバネとを直列に配置し、前記回転慣性質量と前記バネとにより定まる固有円振動数をωdとし、前記構造物の固有円振動数をωとし、前記バネのバネ剛性の倍率をγkとすると、ω/ωd>1、且つ、減衰定数に応じて、γk>1、となるように前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元が設定されている。
請求項3の発明では、ω/ωd>1、且つ、減衰定数に応じて、γk>1、となるように前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元が設定されている。
バネの荷重変形履歴は、ω/ωd=1.0を境にバネの入力に対する位相が入れ替わる。つまり、傾きが負から正へ反転する。バネが外力に対して抵抗を持つためには傾きが正となる必要がある。よって、ω/ωd≦1の場合は、バネのバネ剛性による抵抗が生じない。
したがって、バネによる制震効果を得るためには、ω/ωd>1とする必要がある。また、バネのバネ剛性を増幅させるためには、倍率γkをγk>1とする必要がある。更に減衰定数よって、γk>1となる範囲が異なる。
よって、ω/ωd>1、且つ、減衰定数に応じて、γk>1となるように、回転慣性質量ダンパー及びバネの諸元を設定することによって、バネのバネ剛性が増幅される。言い換えると、バネ剛性の小さなバネで大きなバネ剛性が得られる。このように、制震装置の性能が向上するので、構造物が効果的に制震される。
請求項4の発明は、前記バネのバネ剛性の倍率γkが最大となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元が設定されている。
請求項4の発明では、バネのバネ剛性の倍率が最大となるので、更に効果的に制震される。
請求項5の発明は、外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置であって、前記第一部位と前記第二部位との間に、質量体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーと減衰ダンパーとを並列に配置すると共に、並列に配置された前記回転慣性質量ダンパー及び前記減衰ダンパーとバネとを直列に配置し、前記回転慣性質量と前記バネとにより定まる固有円振動数をωdとし、前記構造物の固有円振動数をωとし、前記減衰ダンパーの減衰係数の倍率をαcとすると、ω/ωd<1、且つ、減衰定数に応じて、αc>1、となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元が設定されている。
請求項5の発明では、ω/ωd<1、且つ、減衰定数に応じて、αc>1、となるように、回転慣性質量ダンパー及びバネの諸元が設定されている。
減衰係数の倍率αcとω/ωdとの関係において、倍率αcのピーク値は、減衰定数(減衰係数と臨界減衰係数の比)hdが大きくなるにしたがって、ω/ωd=1よりも小さくなっていく(ω/ωd<1の範囲でピーク値となる)。
したがって、ω/ωd<1、且つ、減衰定数に応じて、αc>1となるように、回転慣性質量ダンパー及びバネの諸元を設定することによって、減衰ダンパーの減衰係数が増幅され、言い換えると、小さな減衰係数の減衰ダンパーで大きな減衰係数が得られる。このように制震装置の性能が向上するので、構造物が効果的に制震される。
請求項6の発明は、前記減衰係数の倍率αcが最大となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元が設定されている。
請求項6の発明では、減衰係数の倍率αcが最大となるので、更に効果的に制震される。
請求項7の発明は、外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置であって、前記第一部位に一端部が連結され他端部に開口部が形成された外筒と、前記外筒の中に、軸方向に移動可能、且つ軸回りに回転しないように設けられた移動部と、前記外筒の中における前記移動部よりも他端部側に設けられた当接部と前記移動部との間に配置され、前記移動部と前記当接部とに当接し、前記移動部の軸方向の移動に伴い伸縮するコイル状のバネと、前記移動部に設けられると共にコイル状の前記バネの中を軸方向に沿って他端部側に延在する軸体と、前記外筒の他端部に形成された前記開口部から前記外筒内のコイル状の前記バネの中に一端部側が挿入され且つ他端部が前記第二部位に連結された内筒と、前記内筒の中に軸回りに回転可能に保持されると共に前記軸体が挿入される回転体と、前記軸体の外周面と前記回転体の内周面とに設けられ前記軸体の軸方向の直線変位を前記回転体の軸周りの回転変位に変換する螺合手段と、前記回転体と一体となって軸周りに回転する質量体と、を有する回転慣性質量ダンパーと、を備えている。
請求項7の発明では、回転慣性質量ダンパーを構成する内筒、回転体、及び軸体が、コイル状のバネの中を軸方向に移動する。したがって、回転慣性質量ダンパーとバネとを単純に軸方向に連結した場合と比較し、制震装置における回転慣性質量及びバネとで構成されている部位の軸方向の全長が短くなる。
請求項8の発明は、外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置の諸元設定方法であって、前記第一部位と前記第二部位との間に、質量体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーとバネとを直列に配置し、前記回転慣性質量と前記バネとにより定まる固有円振動数をωdとし、前記構造物の固有円振動数をωとし、前記回転慣性質量の倍率をαmとすると、ω/ωd<1、且つ、減衰定数に応じて、αm>1、となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元を設定する。
請求項8の発明では、ω/ωd<1、且つ、減衰定数に応じて、αm>1となるように、回転慣性質量ダンパー及びバネの諸元を設定する。
回転慣性質量ダンパーの荷重変形履歴は、ω/ωd=1.0を境に回転慣性質量ダンパーの入力に対する位相が入れ替わる。つまり、傾きが負から正へ反転する。回転慣性質量は、加速度に対する値であるので、回転慣性質量ダンパーが外力に対して抵抗を持つためには傾きが負となる必要がある。よって、ω/ωd≧1の場合は、回転慣性質量による慣性抵抗が生じない。
したがって、回転慣性質量による制震効果を得るためには、ω/ωd<1とする必要がある。また、回転慣性質量を増幅させるためには、倍率αmをαm>1とする必要がある。更に、減衰定数によってαm>1となる範囲が異なる。
よって、ω/ωd<1、且つ、減衰定数に応じて、αm>1となるように、回転慣性質量ダンパー及びバネの諸元を設定することによって、回転慣性質量が増幅される。言い換えると、小さな質量体で大きな回転慣性質量が得られる。このように、制震装置の性能が向上するので、構造物が効果的に制震される。
請求項9の発明は、前記回転慣性質量の倍率αmが最大となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元を設定する。
請求項9の発明では、回転慣性質量ダンパーの回転慣性質量の倍率が最大となるので、更に効果的に制震される。
請求項10の発明は、外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置の諸元設定方法であって、前記第一部位と前記第二部位との間に、質量体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーとバネとを直列に配置し、前記回転慣性質量と前記バネとにより定まる固有円振動数をωdとし、前記構造物の固有円振動数をωとし、前記バネのバネ剛性の倍率をγkとすると、ω/ωd>1、且つ、減衰定数に応じて、γk>1、となるように前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元を設定する。
請求項10の発明では、ω/ωd>1、且つ、減衰定数に応じて、γk>1、となるように前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元を設定する。
バネの荷重変形履歴は、ω/ωd=1.0を境にバネの入力に対する位相が入れ替わる。つまり、傾きが負から正へ反転する。バネが外力に対して抵抗を持つためには傾きが正となる必要がある。よって、ω/ωd≦1の場合は、バネのバネ剛性による抵抗が生じない。
したがって、バネによる制震効果を得るためには、ω/ωd>1とする必要がある。また、バネのバネ剛性を増幅させるためには、倍率γkをγk>1とする必要がある。更に、減衰定数によってγk>1となる範囲が異なる。
よって、ω/ωd>1、且つ、減衰定数に応じて、γk>1となるように、回転慣性質量ダンパー及びバネの諸元を設定することによって、バネのバネ剛性が増幅される。言い換えると、バネ剛性の小さなバネで大きなバネ剛性が得られる。このように、制震装置の性能が向上するので、構造物が効果的に制震される。
請求項11の発明は、前記バネのバネ剛性の倍率γkが最大となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元を設定する。
請求項11の発明では、バネのバネ剛性の倍率が最大となるので、更に効果的に制震される。
請求項12の発明は、外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置の諸元設定方法であって、前記第一部位と前記第二部位との間に、質量体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーと減衰ダンパーとを並列に配置すると共に、並列に配置された前記回転慣性質量ダンパー及び前記減衰ダンパーとバネとを直列に配置し、前記回転慣性質量と前記バネとにより定まる固有円振動数をωdとし、前記構造物の固有円振動数をωとし、前記減衰ダンパーの減衰係数の倍率をαcとすると、ω/ωd<1、且つ、減衰定数に応じて、αc>1、となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元を設定する。
請求項12の発明では、ω/ωd<1、且つ、減衰定数に応じて、αc>1、となるように、回転慣性質量ダンパー及びバネの諸元を設定する。
減衰係数の倍率αcとω/ωdとの関係において、倍率αcのピーク値は、減衰定数(減衰係数と臨界減衰係数の比)hdが大きくなるにしたがって、ω/ωd=1よりも小さくなっていく(ω/ωd<1の範囲でピーク値となる)。
したがって、ω/ωd<1、且つ、減衰定数に応じて、αc>1となるように、回転慣性質量ダンパー及びバネの諸元を設定することによって、減衰ダンパーの減衰係数が増幅され、言い換えると、小さな減衰係数の減衰ダンパーで大きな減衰係数が得られる。このように制震装置の性能が向上するので、構造物が効果的に制震される。
請求項13の発明は、前記減衰係数の倍率αcが最大となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元を設定する。
請求項13の発明では、減衰係数の倍率αcが最大となるので、更に効果的に制震される。
請求項1に記載の発明によれば、本構成を適用しない場合と比較し、回転慣性質量ダンパーの回転慣性質量が増幅され、制震装置の性能が向上するので、構造物を効果的に制震することができる。
請求項2に記載の発明によれば、回転慣性質量が増幅される倍率が最大であるので、構造物を更に効果的に制震することができる。
請求項3に記載の発明によれば、本構成を適用しない場合と比較し、バネのバネ剛性が増幅され、制震装置の性能が向上するので、構造物を効果的に制震することができる。
請求項4に記載の発明によれば、バネのバネ剛性が増幅される倍率が最大であるので、構造物を更に効果的に制震することができる。
請求項5に記載の発明によれば、本構成を適用しない場合と比較し、減衰ダンパーの減衰係数が増幅され、制震装置の性能が向上するので、構造物を効果的に制震することができる。
請求項6に記載の発明によれば、減衰ダンパーの減衰係数が増幅される倍率が最大であるので、構造物を更に効果的に制震することができる。
請求項7に記載の発明によれば、回転慣性質量ダンパーとバネと単純に軸方向に連結した場合と比較し、制震装置における回転慣性質量とバネとで構成された部位の軸方向の全長を短くすることができる。
請求項8に記載の発明によれば、本諸元設定方法を適用しない場合と比較し、回転慣性質量ダンパーの回転慣性質量が増幅され、制震装置の性能が向上するので、構造物を効果的に制震することができる。
請求項9に記載の発明によれば、回転慣性質量が増幅される倍率が最大であるので、構造物を更に効果的に制震することができる。
請求項10に記載の発明によれば、本諸元設定方法を適用しない場合と比較し、バネのバネ剛性が増幅され、制震装置の性能が向上するので、構造物を効果的に制震することができる。
請求項11に記載の発明によれば、バネのバネ剛性が増幅される倍率が最大であるので、構造物を更に効果的に制震することができる。
請求項12に記載の発明によれば、本諸元設定方法を適用しない場合と比較し、減衰ダンパーの減衰係数が増幅され、制震装置の性能が向上するので、構造物を効果的に制震することができる。
請求項13に記載の発明によれば、減衰ダンパーの減衰係数が増幅される倍率が最大であるので、構造物を更に効果的に制震することができる。
本発明の実施形態に係る制震装置のモデル図である。 本発明の実施例の制震装置を示す軸方向に沿った断面図である。 本発明の実施例の制震装置の断面斜視図である。 本発明の実施例の制震装置が構造物を構成する架構に設けられている状態を示す正面図である。 (A)は、図4の状態から構造物が右側へ水平移動した状態の図あり、(B)は図4の状態から構造物が左側へ水平移動した状態の図ある。 制震装置の回転慣性質量ダンパーの回転慣性質量及びバネのバネ剛性の応答変位と時間との関係を示すグラフである。 回転質量ダンパーの荷重曲線とω/ωdとの関係を示すグラフである。 回転質量ダンパーの荷重曲線とω/ωdとの関係における等価な剛性の例を示すグラフである。 回転慣性質量の倍率αmとω/ωdとの関係を示すグラフである。 バネのバネ剛性の倍率γkとω/ωdとの関係を示すグラフである。 減衰係数の倍率αcとω/ωdとの関係を示すグラフである。 図11のグラフを書き直したグラフである。 図12を拡大したグラフである。
図1〜図5を用いて、本発明の実施形態の係る制震装置について説明する。
図1に示すモデル図のように、本発明の制震装置100は、構造物の任意の層に、層間変位が生じた際に軸方向の移動を質量体の回転運動に変換し回転慣性質量mdを生じさせ回転慣性質量ダンパー200とバネ剛性Kdのバネ400を直列に配置した構成とされている。
なお、回転慣性質量ダンパー200に対して並列に配置されている減衰係数Cdの減衰ダンパー300は、後述するように原理的に必要であるが、回転慣性質量ダンパー200の質量体を回転させる機構等の各種抵抗やグリスによる粘性抵抗などで必ず発生するので、必ずしも減衰ダンパー300を付加する必要はない。なお、減衰ダンパー300を付加する場合、回転慣性質量ダンパー200に一体的に組み込まれていてもよい。
回転慣性質量ダンパー200の構成(構造)は特に限定されるものではなく、所望の形式、特性のものを任意に採用すればよい。
つぎに、この図1に示すモデル図の制震装置100の構造を、実施例を挙げてより具体的に説明する。なお、実施例の制震装置100は、一例であって、この実施例の構造に限定されるものではない。例えば、特開2006−125110号公報及び特開2008−002165号公報に記載の回転慣性質量ダンパーも本発明に適用可能である。また、回転慣性質量ダンパーの原理は、特開2006−125110号公報及び特開2008−002165号公報に記載されている原理と同様である。
図4に示すように、構造物10を構成する左側の柱20L、右側の柱20R、上梁22A、及び下梁22Bで構成された架構24内に、制震装置100Lと制震装置100Rとが左右に並んで配設されている。また、左側の制震装置100Lと右側の制震装置100Rとは、架構24内に左右対称に配置されている。
具体的には、制震装置100Lは、一端部が上梁22Aの略中央部分に取り付けられた回転支承30に回転可能に連結され、他端部が下梁22Bと柱20Lとの隅部に取り付けられた回転支承40Lに回転可能に連結されている。制震装置100Rは、一端部が上梁22Aの略中央部分に取り付けられた回転支承36に回転可能に連結され、他端部が下梁22Bと柱20Rとの隅部に取り付けられた回転支承40Rに回転可能に連結されている。
なお、以降、左右を区別する必要がある場合は、符号の後にL,Rのいずれかを付し、区別する必要がない場合は、L,Rを省略する。
また、この図4のような制震装置の設置(配置)は一例であって、架構24の水平方向の変形(図5(A)と図5(B)を参照)を抑制できれば、どのように設置(配置)してもよい。更に、構造物10のいずれの層(階)の架構に設置してもよい。また、架構以外の部位に設置してもよい。つまり、構造物10が地震などの外乱によって相対移動する第一部位と第二部位との間に制振装置100を設けることによって、制震効果が得られるように設置すればよい。また、特開2008−002165号公報に記載されているようにトグル機構を適用してもよい。
つぎに、制震装置100について詳しく説明する説明する。なお、左右の制震装置100R,100Lは同じ構造であるので、LRを省略して説明する。
図2と図3とに示すように、実施例の制震装置100は、外筒110と内筒140とを有し、外筒110の中に内筒140が挿入されている。なお、内筒140は外筒110の開口部112から挿入され、外筒110の中を軸方向に沿って移動可能となっている。
外筒110の開口部112と反対側の端部には軸方向に沿って延びるアーム120が設けられ、アーム120の端部が回転支承30に回転可能に連結されている(図4を参照)。
内筒140の外筒110への挿入側と反対側の端部には軸方向に沿って延びるアーム190が設けられ、アーム192の端部が回転支承40に回転可能に連結されている(図4を参照)。
外筒110の中には軸方向に沿って移動可能に円盤180が設けられている。円盤180の側壁には軸方向に沿ってリブ182が形成されている。外筒110の内壁面110Aには、円盤180のリブ182が係合する凹溝115が軸方向に沿って形成されている。よって、円盤180は軸回りに回転することなく外筒110の中を軸方向に移動可能な構成となっている。なお、円盤180には小径部186が形成されている。
外筒110の開口部112にはフランジ114が形成されている。そして、フランジ114と円盤180との間にコイル状のバネ(コイルバネ)400が配置されている。また、このバネ400の両端部は、円盤180とフランジ114とに当接している。なお、バネ400の一方の端部は、円盤180の小径部186と外筒110の内壁面110Aとの間に嵌め込まれている。
円盤180の中心部にはシャフト160が設けられている。シャフト160は、バネ400中を開口部112に向けて軸方向に沿って延在している。
内筒140は、回転体保持部142及び連結部144で構成されている。回転体保持部142が外筒110に挿入され、連結部144が前述したアーム190に連結されている。
内筒140の回転体保持部142の中には、回転体150が軸回りに回転可能に保持されている。なお、回転体保持部142の内周面142Aと回転体150の外周面150Aと間には、ボール172が設けられている。なお、回転保持部142と回転体150との隙間に設けられている(或いは、設けてもよい)粘性体(粘性液)302については、後述する。
回転体150の一端側の先端部152は、回転体保持部142の外筒110に挿入されている側の開口部146から露出している。また、回転体150の他端部側は、回転体保持部142の外筒110に挿入されていない側の開口部148から露出し、他端部にフランジ部154が形成される。そして、この他端部のフランジ部154は、後述する連結部144の端部に形成された凹部145に嵌め込まれている。よって、回転体150は、内筒140(回転体保持部142)に対して軸方向に相対移動することなく軸回りに回転する構造となっている。また、回転体150の内部は空洞なっている(回転体150は中空構造となっている)。
前述した円盤180に設けられたシャフト160の外周面には、雌ネジ溝162が形成されている。この雌ネジ溝は回転体150の先端部152の貫通孔151に挿入されている。そして、回転体150の先端部152の貫通孔151の内周面には、雌ネジ溝162が螺合する雄ネジ溝(図示略)が形成されている。よって、シャフト160が回転体150の先端部152を軸方向に移動すると。回転体150が軸回りに回転する構造となっている。
内筒140の回転体保持部142の開口部148から露出した回転体150に外周面には、回転体150よりも大径の質量体178が設けられている。よって、質量体178は回転体150と一体となって回転する。そして、連結部144は、この質量体178の外側を囲うように(干渉しないよう)、側面視略四角枠状に形成されている(図4も参照)。
なお、シャフト160、内筒140、回転体150、及び質量体178が回転慣性質量ダンパー200を構成する。
また、回転体150の軸心、円盤180の軸心、質量体178の軸心、シャフト160の軸心は同一軸線上にある。また、これらが回転慣性質量ダンパー200の軸心であると共に、コイル状のバネ400のコイル中心(軸心)とも一致する。
ここで、前述したように、内筒140の回転体保持部142と回転体150との間(ボール172が設けられている間)にオイルなどの粘性体(粘性液)302を入れ減衰ダンパー(オイルダンパー)300を備える構造としてもよい(回転慣性質量ダンパーと減衰ダンパー(オイルダンパー)とが一体的に構成されたダンパーであってもよい)。なお、粘性体302は、オイルシール(図示略)等で封止され、漏れ出ない構造となっている。
つぎに、本実施例の制震装置100の動作について説明する
図5(A)に示すように、地震動等の振動(外乱)により、構造物10が右側へ水平移動すると、架構24が右方向へ水平変形(平行四辺形状に変形)する。すなわち、上梁22Aが右側に水平移動する(上梁22Aと下梁22Aとが相対移動する)。
よって、架構24内において、回転支承30と回転支承40Lとの距離が長くなり、回転支承30と回転支承40Lとの距離が短くなる。このように回転支承30と回転支承40L,40Rとの距離の変化によって、制震装置100Lは全長が伸長し、制震装置100Rは全長が収縮する。
また、図5(B)に示すように、構造物10が左側へ水平移動すると、架構24が左方向へ水平変形(平行四辺形状に変形)する。すなわち、上梁22Aが左側に水平移動する(上梁22Aと下梁22Aとが相対移動する)。
よって、架構24内において、回転支承30と回転支承40Lとの距離が短くなり、回転支承30と回転支承40Rとの距離が長くなる。このように回転支承30と回転支承40L,40Rとの距離の変化によって、制震装置100Rは全長が収縮し、制震装置100Lは全長が伸長する。
よって、地震等の外乱(振動)によって、架構24が左右に振動すると回転支承30と回転支承40R,40Lとの距離が変化し、制震装置100の全長が伸縮する。
この伸縮(全長の変化)により、円盤180が軸方向に移動する。円盤180の軸方向の移動によって、コイル状のバネ400が伸縮する。また、回転体150が軸周りに回転し回転体150と一体となった質量体178が軸回りに回転する(回転体150と質量体178とが一体となって回転する)。
つぎに、回転慣性質量が増幅された制震装置、及び回転慣性質量mdの倍率αmを大きくする第一の諸元設定方法について説明する。
制震装置100の質量体178が回転することによって発生する回転慣性質量mdとバネ400とにより定まる固有円振動数をωdとし、
構造物10の固有円振動数(図5(A)と図5(B)とに示すように、架構24が左右に振動(変形)する際の固有円振動数)をωとすると、
ω/ωd<1、且つ、倍率αm>1
となるように、回転慣性質量ダンパー200とバネ400の諸元(具体的には、バネ400のバネ定数、バネ400の全長、質量体178の重さ、質量体178の直径、質量体178の回転量(軸方向の移動と回転量との比)等)を設定する。
ここで、図6は、制震装置100の回転慣性質量ダンパー200の回転慣性質量及びバネ400のバネ剛性の応答変位と時間との関係を示すグラフである。なお、DMC−Mの線が回転慣性質量ダンパー200の回転慣性質量を指し、Kの線がバネ400のバネ剛性を指す。また、図7と図8は回転質量ダンパー200の荷重曲線とω/ωdとの関係を示すグラフである。
図6〜図8に示すように、回転慣性質量ダンパー200の入力に対する位相が、ω/ωd=1.0を境に入れ替わる。つまり、傾きが負から正へ反転する。
回転慣性質量(ダイナミックマス(DM))mdは、加速度に対する値であるので、回転慣性質量mdが外力に対して抵抗を持つためには傾きが負となる必要がある。つまり、ω/ωd≧1では、回転慣性質量mdによる外力に対する抵抗(ダイナミックマス効果)が得られない。言い換えると、回転慣性質量mdによる抵抗(ダイナミックマス効果)を得るためには、ω/ωd<1とすることが必要条件であることが判る。なお、ω/ωd=1は、構造物10と制震装置100とを共振させた状態である。
ここで、倍率αmについて説明する。
減衰のある場合の履歴から求まる等価剛性を制震装置100の全長の最大変位点での剛性とし、回転慣性質量体(ダイナミックマス単体)の剛性との比を、減衰のある場合のダイナミックマスの倍率(質量体178によって発生する回転慣性質量mdの倍率)と定義する。そして、倍率αmを計算する式が、[数1]である。また、この[数1]をグラフ化したものが、図9のグラフである。
Figure 2011012739
Figure 2011012739
なお、各符号の意味は下記である。
Figure 2011012739
:回転慣性質量の倍率
Figure 2011012739
:直列したばねにより増幅された回転慣性質量
Figure 2011012739
:回転慣性質量体(ダイナミックマス単体)の質量
Figure 2011012739
:バネ剛性
Figure 2011012739
:制震装置の固有円振動数
Figure 2011012739
:構造物の固有円振動数
Figure 2011012739
:位相角
Figure 2011012739
:減衰定数(減衰係数と臨界減衰係数との比)
図9に示すように、ωd=1.0の場合、倍率αmは、−1.0となる。よって、前述したω/ωd<1.0とし、且つ倍率αmが1よりも大きくなるように、回転慣性質量ダンパー200及びバネ400の諸元を設定することで、回転慣性質量mdが増幅される。言い換えると、回転慣性質量による外力に対する抵抗(ダイナミックマス効果)が増幅される。よって、小さな質量体178で大きな回転慣性質量が得られるので、構造物10が効果的に制震される。
また、図9に示すように、減衰ダンパー300の減衰係数Cdの減衰定数hdが大きいと、倍率αmが抑えられている。よって、減衰定数hdを小さくすることで、大きな効果が得られることが判る。
なお、αm>1.0及びαmが最大となるω/ωdは、減衰定数hdによって変わるので、hdの値によって計算して決定すればよい。
例えは、hd=0.2の場合は、αm>1となるω/ωdの範囲は、0.54<ω/ωd<0.74となる。また、hd=0.02の場合は、ω/ωd=0.97で、倍率αmが最大となるので、最適とされる。なお、必ずしも倍率αmが最大でなくとも、αmが1よりも大きければよい。
なお、hd=0の場合は、ω/ωd=1で連続とならないで、発散してしまうので、hd>0である必要がある(減衰が必要である)。しかし、減衰ダンパー300(粘性体302)が組み込まれていない場合であっても、回転慣性質量ダンパー200の質量体178を回転させる機構等の各種摩擦抵抗やグリスによる粘性抵抗などで必ず減衰が発生する。よって、必ずしも減衰ダンパー300(粘性体302)が付加されている(組み込まれている)必要はない。
ここで、回転慣性質量ダンパー(回転慣性質量)を用いた構造物の制震効果として、入力低減効果による制震効果やモード制御による制震効果がある。そして、モード制御は構造物の振動モードを制御して、高次モードをなくすことによって、構造物を効果的に制震する技術である。
しかし、モード制御を行なうためには、構造物の質量よりも大きな回転慣性質量を発生させる必要がある。つまり大きくて重い質量体178が必要である。しかし、大きくて重い質量体178を備える構成とすると、設置スペースの増大や重い質量体178を支える制震装置100全体の十分な強度が必要とされ(例えばアーム120、190の増大等)、実用上、障害が発生する場合がある。
しかし、本諸元の設定方法で設定された制震装置100は、回転慣性質量(質量体178)を大きくすることなく、回転慣性質量(ダイナミックマス効果)を増幅させるので、モード制御を行なう際に非常に有効である。
つぎに、バネ剛性が増幅された制震装置、及びバネ400バネ剛性Kdの倍率γkを大きくする第二の諸元設定方法について説明する。また、制震装置自体は同様の構成であるので、説明を省略する。
図6〜図7で説明したように、バネ400への入力に対する位相がω/ωd=1.0を境に入れ替わる。つまり、傾きが負から正へ反転する。バネ400が外力に対して抵抗を持つためには傾きが正となる必要がある。つまり、ω/ωd≦1では、外力に対して抵抗が。言い換えると、バネ400が外力に対して抵抗を持つためには、ω/ωd>1とすることが必要条件であることが判る。
ここで、倍率γkについて説明する。
すなわち、バネ400のバネ剛性との比をバネ剛性の倍率γkと定義する。そして、倍率γkを計算する式が[数2]である。また、この[数2]をグラフ化したものが図10のグラフである。
Figure 2011012739
Figure 2011012739
Figure 2011012739
:減衰のある場合の制震装置100の最大変形時と荷重の関係から求まる剛性が等価バネ剛性
なお、上記以外の各符号は、[数1]で説明したものと同様である。
この図10のグラフを見ると判るように、ω/ωd>1となるように、回転慣性質量ダンパー200及びバネ400の諸元を設定することで、γk>1、すなわちバネ剛性Kdの増幅効果が生じる。しかし、ω/ωdを大きくしていくと、γkは0に収束していく、つまり、γk≦1となる。よって、γk>1となるω/ωdの範囲となるように、回転慣性質量ダンパー200及びバネ400の諸元を設定する。
したがって、ω/ωd>1、且つ、γk>1となるように回転慣性質量ダンパー200及びバネ400の諸元を設定することによって、バネ400のバネ剛性が増幅され、言い換えると、バネ剛性が小さなバネ400で大きなバネ剛性が得られるので、構造物10が効果的に制震される。
また、図10に示すように、減衰ダンパー300の減衰係数Cdの減衰定数hdが大きいと、倍率γkが抑えられている。よって、減衰定数hdを小さくすることで、大きな効果が得られることが判る。
なお、γk>1.0及びγkが最大となるω/ωdは、減衰定数hdによって変わるので、hdの値によって計算して決定すればよい。
例えは、hd0.01の場合は、1.0<ω/ωd<1.415で、γk>1となる。また、hd=0.02の場合は、ω/ωd=1.03で、倍率γkが最大となるので、最適とされる。なお、必ずしも倍率γkが最大でなくとも、γkが1よりも大きければよい。
つぎに、減衰ダンパー(オイルダンパー)300の減衰係数Cdが増幅された制震装置、及び減衰ダンパー(オイルダンパー)300の減衰係数Cdの倍率αcを大きくする第三の諸元設定方法について説明する。また、制震装置自体は同様の構成であるので、説明を省略する。
倍率αcについて説明する。
減衰のある場合の履歴面積から求まる等価な減衰係数を求め、減衰ダンパー300単体(オイルダンパー単体)の場合の減衰係数との比を、減衰のある場合の減衰係数の倍率αcと定義する。倍率αcは、回転慣性質量md(ダイナミックマス)の応答倍率の二乗となる。そして、倍率αmを求める式が[数3]である。また、この[数3]をグラフ化したものが図11である、
Figure 2011012739

Figure 2011012739
また、
Figure 2011012739
:減衰のある場合の履歴面積から求まる等価な減衰係数
なお、上記以外の各符号は、[数1]及び[数2]で説明したものと同様である。
図11に示すように、減衰係数Cdの倍率αcとω/ωdとの関係において、倍率αcのピーク値は、減衰定数hdが大きくなるにしたがって、ω/ωd=1よりも小さくなっていく(ω/ωd<1の範囲でピーク値となる)。
したがって、ω/ωd<1、且つ、αc>1となるように諸元を設定することによって、減衰ダンパー300の減衰係数Cdが増幅され、言い換えると、小さな減衰係数Cdの減衰ダンパー300で大きな減衰係数が得られるので、構造物10が効果的に制震される。
また、αc>1.0及びαcが最大となるω/ωdは、減衰定数hdによって変わるので、hdの値によって計算して決定すればよい。
また、図11のグラフを見ると判るように、減衰係数Cdの減衰定数hdを小さくすると、倍率αcが大きくなる。
よって、hdの値に応じて、倍率αcと減衰ダンパー300単体の減衰係数Cdとの積が最大となるように、ω/ωdを計算し、つまり最も増幅後の減衰係数Cdが最も大きくなるように、回転慣性質量ダンパー、バネ、及び減衰ダンパーの諸元を決定すればよい。
より詳しく説明すると、ω/ωd=1(共振点)では、
Figure 2011012739
となる。
倍率αcは減衰定数hdの二乗に反比例して高まるので、前述したように、ω/ωd=1付近(共振点付近)では、減衰係数Cdを小さくした方が、倍率αcを考えると大きな減衰係数を得ることになる。
そこで、図11のグラフを描き直して、
Figure 2011012739
を満足する
Figure 2011012739
に対する増幅された等価減衰定数
Figure 2011012739
の比率を求めると、図12と図13となる。なお、図13は、図12のグラフを拡大したグラフである。
この図12、図13のグラフをみると判るように、ω/ωd=0.95付近の場合は、減衰定数hd=0.10よりも、減衰定数hdを半分にしたhd=0.05の方が、より大きな等価減衰定数が
Figure 2011012739
得られることが分かる。
この機構のように減衰係数Cdを増幅させて使用する場合、ω/ωd=0.90〜0.95で、hd=0.05〜0.10が、効果的に減衰効果を得ることができる。
なお、第一の諸元設定方法(回転慣性質量の倍率αmを増幅させる諸元設定方法)と第三の諸元設定方法(減衰係数の倍率αcを増幅させる諸元設定方法)とは、両立が可能である。よって、増幅された回転慣性質量と増幅された減衰係数とで、更に効果的に構造物10を制震することができる。また、このとき、増幅された回転慣性質量と増幅された減衰係数とで、最も効果的に制震効果を発揮するように、制震方法、構造物の構成、制震装置の設置方法などを考慮して、回転慣性質量ダンパー、バネ、及び減衰ダンパーの諸元を決定すればよい。
ここで、回転慣性質量ダンパーとバネとを直列に配置した制振装置における回転慣性質量の増幅現象、バネ剛性の増幅現象、及び減衰係数の増幅現象は、本発明者らが初めて発見し且つ理論化(数式化)したものである。また、実験によって理論が正しいことが確認されている。
また、[数1]〜[数3]は、あくまでも理論式であり、実際の設計においては、各種ノイズ等が加わるので、これらの数式から所望する諸元が外れることがある。よって、実際の設計においては、これらの数式を基準として、適宜調整(チューニング)すればよい。
なお、回転慣性ダンパー200に対して直列に配置したバネ400は、所定の変形量を超えると降伏し、鋼材系の弾塑性ダンパーとして機能するようになる。よって、このようにバネ400を直列に配置する構成とすると、直地震動入力が想定より大きい場合にフェールセイフ機能を有する。
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
10 構造物
24 架構
30 回転支承(第一部位)
40L 回転支承(第二部位)
40R 回転支承(第二部位)
100 制振装置
110 外筒
114 フランジ(当接部)
140 内筒
160 シャフト(軸体)
178 質量体
180 円盤(移動部)
200 回転慣性質量ダンパー
300 減衰ダンパー
400 バネ
142 回転体
md 回転慣性質量
Cd 減衰係数
Kd バネ剛性

Claims (13)

  1. 外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置であって、
    前記第一部位と前記第二部位との間に、質量体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーとバネとを直列に配置し、
    前記回転慣性質量と前記バネとにより定まる固有円振動数をωdとし、
    前記構造物の固有円振動数をωとし、
    前記回転慣性質量の倍率をαmとすると、
    ω/ωd<1
    且つ、
    減衰定数hdに応じて、
    αm>1となるように、
    前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元が設定された制震装置。
  2. 前記回転慣性質量の倍率αmが最大となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元が設定された請求項1に記載の制震装置。
  3. 外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置であって、
    前記第一部位と前記第二部位との間に、質量体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーとバネとを直列に配置し、
    前記回転慣性質量と前記バネとにより定まる固有円振動数をωdとし、
    前記構造物の固有円振動数をωとし、
    前記バネのバネ剛性の倍率をγkとすると、
    ω/ωd>1
    且つ、
    減衰定数に応じて、
    γk>1となるように、
    前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元が設定された制震装置。
  4. 前記バネのバネ剛性の倍率γkが最大となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元が設定された請求項3に記載の制震装置。
  5. 外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置であって、
    前記第一部位と前記第二部位との間に、質量体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーと減衰ダンパーとを並列に配置すると共に、並列に配置された前記回転慣性質量ダンパー及び前記減衰ダンパーとバネとを直列に配置し、
    前記回転慣性質量と前記バネとにより定まる固有円振動数をωdとし、
    前記構造物の固有円振動数をωとし、
    前記減衰ダンパーの減衰係数の倍率をαcとすると、
    ω/ωd<1
    且つ、
    減衰定数に応じて、
    αc>1となるように、
    前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元が設定された制震装置。
  6. 前記減衰係数の倍率αcが最大となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元が設定された請求項5に記載の制震装置。
  7. 外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置であって、
    前記第一部位に一端部が連結され他端部に開口部が形成された外筒と、
    前記外筒の中に、軸方向に移動可能、且つ軸回りに回転しないように設けられた移動部と、
    前記外筒の中における前記移動部よりも他端部側に設けられた当接部と前記移動部との間に配置され、前記移動部と前記当接部とに当接し、前記移動部の軸方向の移動に伴い伸縮するコイル状のバネと、
    前記移動部に設けられると共にコイル状の前記バネの中を軸方向に沿って他端部側に延在する軸体と、前記外筒の他端部に形成された前記開口部から前記外筒内のコイル状の前記バネの中に一端部側が挿入され且つ他端部が前記第二部位に連結された内筒と、前記内筒の中に軸回りに回転可能に保持されると共に前記軸体が挿入される回転体と、前記軸体の外周面と前記回転体の内周面とに設けられ前記軸体の軸方向の直線変位を前記回転体の軸周りの回転変位に変換する螺合手段と、前記回転体と一体となって軸周りに回転する質量体と、を有する回転慣性質量ダンパーと、
    を備える制震装置。
  8. 外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置の諸元設定方法であって、
    前記第一部位と前記第二部位との間に、質量体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーとバネとを直列に配置し、
    前記回転慣性質量と前記バネとにより定まる固有円振動数をωdとし、
    前記構造物の固有円振動数をωとし、
    前記回転慣性質量の倍率をαmとすると、
    ω/ωd<1
    且つ、
    減衰定数に応じて、
    αm>1
    となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元を設定する制震装置の諸元設定方法。
  9. 回転慣性質量の倍率αmが最大となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元を設定する請求項8に記載の制震装置の諸元設定方法。
  10. 外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置の諸元設定方法であって、
    前記第一部位と前記第二部位との間に、質量体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーとバネとを直列に配置し、
    前記回転慣性質量と前記バネとにより定まる固有円振動数をωdとし、
    前記構造物の固有円振動数をωとし、
    前記バネのバネ剛性の倍率をγkとすると、
    ω/ωd>1
    且つ、
    γk>1
    となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元を設定する制震装置の諸元設定方法。
  11. 前記バネのバネ剛性の倍率γkが最大となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元を設定する請求項10に記載の制震装置の諸元設定方法。
  12. 外乱によって相対移動する構造物の第一部位と第二部位との間に設けられる制振装置の諸元設定方法であって、
    前記第一部位と前記第二部位との間に、質量体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーと減衰ダンパーとを並列に配置すると共に、並列に配置された前記回転慣性質量ダンパー及び前記減衰ダンパーとバネとを直列に配置し、
    前記回転慣性質量と前記バネとにより定まる固有円振動数をωdとし、
    前記構造物の固有円振動数をωとし、
    前記減衰ダンパーの減衰係数の倍率をαcとすると、
    ω/ωd<1
    且つ、
    αc>1
    となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元を設定する制震装置の諸元設定方法。
  13. 前記減衰係数の倍率αcが最大となるように、前記回転慣性質量ダンパー及び前記バネの諸元を設定する請求項12に記載の制震装置の諸元設定方法。
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