JP2011011967A - チタン酸ナノロッド - Google Patents

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Abstract

【課題】汎用性の高い適度な大きさの粒子径(長軸長)と(長軸長/短軸長)の比を有するチタン酸ナノロッド、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】一次粒子の長軸長が30〜1000nmであり、(長軸長/短軸長)の比が3〜20であるチタン酸ナノロッド、及びチタン酸ナノシート水分散液中の水を溶媒で置換する溶媒置換工程を含む、チタン酸ナノロッドの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、チタン酸ナノロッド、及びその製造方法に関する。
チタン酸化物は、セラミックスや複合酸化物等の原料、光触媒、白色顔料、高屈折率材料、色素増感太陽電池用電極材料、樹脂フィラー等として、工業的に広く用いられている。
チタン酸化物の中では、アナターゼ型やルチル型の酸化チタンが汎用されており、機能性やハンドリング性等の観点から、その粒子形態(粒子形状、粒子径)を制御した酸化チタンが利用されている。特に、平板状、繊維状(ウィスカー状)、ロッド状等の粒子形状を有する酸化チタンは、樹脂、溶媒、粉体等と混合して複合化した場合、粒子形状由来の特異な物性、機能を発現することから注目されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかしながら、アナターゼ型やルチル型の光触媒活性を示す酸化チタンを樹脂や有機溶媒等の有機マトリクスに混合して複合化すると、有機マトリクスを光触媒的に分解し、劣化させるという問題がある。
チタン酸化物の中でも、六チタン酸やレピドクロサイトチタン酸等のチタン酸は、アナターゼ型やルチル型の酸化チタンよりも光触媒活性が低いことから、有機マトリクスの光触媒的分解、劣化を抑制できることが知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、チタン酸の粒子形態を制御した例は少ない。
チタン酸の粒子形態を制御した例として、特許文献4には、チタン源、カリウム源及びホウ素化合物からなる原料中のホウ素化合物量を変えることにより、アスペクト比の異なるウィスカー状の六チタン酸カリウムを製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、原料混合物を650〜1200℃程度で焼成する工程を含み、得られる六チタン酸の粒子径は通常10μm以上である。すなわち、焼成、溶融工程を含むチタン酸の製造方法では、粒子径1μm以下の領域において、粒子径とアスペクト比が制御されたチタン酸の製造例はない。
また、特許文献5には、アミン類共存下でチタンアルコキシドを加水分解、縮合反応させるゾル−ゲル法により、平均粒子径2〜100nm程度の大きさを持つ平板状(シート状)のチタン酸の水分散液を得る方法が開示されている。しかしながら、ゾル−ゲル法等の液相法でも、粒子径(長軸長)1μm以下のロッド状のチタン酸が製造された例はない。
特開2004−315356号公報 特開2008−189497号公報 特開2006−289220号公報 特開平10−139431号公報 特開2008−254968号公報
特許文献4に開示するように、アスペクト比が大きいウィスカー状の六チタン酸カリウムは、樹脂等の有機マトリクスに配合すると、粘度上昇が著しいことやウィスカーが折れる等の問題があり、アスペクト比が比較的小さいロッド状のチタン酸の開発が望まれる。特に、有機マトリクス中の分散性や、白色顔料、高屈折率材料、樹脂フィラー等としての性能発現の観点から、粒子径が1μm以下のロッド状のチタン酸(チタン酸ナノロッド)が切望される。
本発明は、汎用性の高い適度な大きさの粒子径(長軸長)と、特定の(長軸長/短軸長)の比を有するチタン酸ナノロッド、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、アミン類等を含有するチタン酸ナノシート水分散液中の水を溶媒で置換することにより、粒子径(長軸長)と(長軸長/短軸長)の比を制御した汎用性の高いチタン酸ナノロッドを効率的に得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)一次粒子の長軸長が30〜1000nmであり、(長軸長/短軸長)の比が3〜20であるチタン酸ナノロッド。
(2)チタン酸ナノシート水分散液中の水を溶媒で置換する溶媒置換する工程を含む、チタン酸ナノロッドの製造方法。
本発明によれば、汎用性の高い適度な大きさの粒子径(長軸長)と(長軸長/短軸長)の比を有するチタン酸ナノロッド、及びその製造方法を提供することができる。
実施例1で得られた紡錘状のチタン酸ナノロッドを示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
本発明のチタン酸ナノロッドは、一次粒子の長軸長が30〜1000nmであり、(長軸長/短軸長)の比が3〜20であることを特徴とする。
(チタン酸ナノロッドの形状)
本発明のチタン酸ナノロッドは、透過型電子顕微鏡(TEM)写真から求められる一次粒子の形状がロッド状(棒状)であり、長軸長が30〜1000nm、(長軸長/短軸長)の比が3〜20である。チタン酸ナノロッドの用途にもよるが、チタン酸ナノロッドの有機マトリクス中の分散性やハンドリング性、及びチタン酸ナノロッドの白色顔料、高屈折率材料、樹脂フィラー等としての性能発現の観点から、チタン酸ナノロッドの長軸長は、好ましくは30〜200nm、より好ましくは30〜100nm、更に好ましくは40〜80nmであり、チタン酸ナノロッドの(長軸長/短軸長)の比は、好ましくは5〜15、より好ましくは8〜12である。
ここで、チタン酸ナノロッドの長軸長とは、チタン酸ナノロッドの一次粒子の長軸方向における最大長さを意味し、短軸長とは、該長軸方向に対して垂直な方向におけるチタン酸ナノロッドの一次粒子の最大長さを意味する。
チタン酸ナノロッドの形状は、円筒状のように、粒子中央部と粒子両端部の長さが同じで形状であってもよいし、紡錘状のように、粒子中央部が粒子両端部より膨らんだ形状であってもよいが、白色顔料、高屈折率材料、樹脂フィラー等としての性能発現の観点から、紡錘状の方が好ましい。
(チタン酸ナノロッドの結晶構造)
本発明のチタン酸ナノロッドは、三チタン酸、四チタン酸、五チタン酸、六チタン酸、レピドクロサイト型チタン酸等のチタン酸の結晶構造を有する。これらのチタン酸の結晶構造は、チタンを中心として6個の酸素が配位した8面体構造を基本ユニットとし、このユニットが二次元平面状に広がった分子レベルの厚み(例えば、0.3〜0.8nm)を持ったシート構造を有する。チタン酸ナノロッドは、このチタン酸シートと、アミン類やホスホニウム類等との塩の形態で存在し、アミン類やホスホニウム類等がチタン酸シートの間に含まれ、チタン酸シートとアミン類やホスホニウム類等からなる層状構造を形成していると考えられる。
本発明のチタン酸ナノロッドは、ラマンスペクトルで波数が260〜305cm-1、440〜490cm-1及び650〜1000cm-1の領域にそれぞれチタン酸の結晶構造由来のピークを有する。なお、従来の代表的な酸化チタンであるアナターゼ型チタニアは、ラマンスペクトルで波数が140〜160cm-1、390〜410cm-1、510〜520cm-1及び630〜650cm-1の領域にピークを有し、ルチル型チタニアは、ラマンスペクトルで波数が230〜250cm-1、440〜460cm-1及び600〜620cm-1の領域にピークを有する。
本発明のチタン酸ナノロッドは、構造安定性及び白色顔料、高屈折率材料、樹脂フィラー等としての性能発現の観点から、粉末X線回折(XRD)パターンのd=1〜5nmの範囲において層状構造由来のXRDピークが見られるのが好ましく、d=1〜3nmの範囲にXRDピークが見られるのがより好ましい。
本発明のチタン酸ナノロッドは、紫外−可視吸収スペクトルの吸収立ち上がり波長が、アナターゼ型(380nm)やルチル型(410nm)の酸化チタンよりも短波長側(320nm)にあり、紫外光の吸収量が少ないことが好ましい。アナターゼ型やルチル型の酸化チタンよりも紫外光の吸収量が少なければ、光触媒活性が低く、樹脂や溶媒等の有機マトリクスと混合、複合化しても有機マトリクスが光触媒的に分解、劣化しにくいからである。
(チタン酸ナノロッドの製造方法)
本発明のチタン酸ナノロッドの製造方法は特に限定されないが、まずチタン酸ナノシート水分散液を製造し、該水分散液中の水を溶媒で置換する溶媒置換工程を含む方法によれば、効率的に製造することができる。
(1)チタン酸ナノシート水分散液の製造
本発明において、チタン酸ナノシート水分散液の製造方法は特に限定されないが、チタンアルコキシド及び/又はチタン塩(以下、これらを総称して、単に「チタン源」ともいう)を、アミン類及び/又はホスホニウム類の存在下で加水分解し、縮合反応させて、チタン酸ナノシート分散原液を製造し、更に、得られたチタン酸ナノシート分散原液を水熱処理や、種結晶を添加しての水熱処理により、チタン酸ナノシートの粒子径や結晶性を増大させて、チタン酸ナノシート水分散液を得る方法が好ましい。
(チタン源)
上記方法において、チタン源としては、加水分解反応により水酸化チタンを生成するものが好ましく、チタンアルコキシド及び/又はチタン塩がより好ましい。ここで、水酸化チタンは、Ti(OH)2、Ti(OH)3、Ti(OH)4又はH4TiO4で表される組成式を有するものを包含する。
チタンアルコキシドとしては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数2〜4のアルコキシドを有するチタンアルコキシドが好ましく、具体的には、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの中では、特にチタンテトラアルコキシドが好ましく、一般的な入手のし易さ、取り扱い性の観点から、チタンテトライソプロポキシドがより好ましい。
チタン塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、二塩化チタン等の塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、硝酸チタニル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、一般的な入手のし易さ、取り扱い性の観点から、四塩化チタン、硫酸チタン及び硫酸チタニルがより好ましい。
チタン塩は、水と混合することにより、又は水との混合後、加熱することにより水酸化チタンを生成するが、その際、更にアルカリを共存させてもよい。水酸化チタンを生成させる際に共存させるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類水酸化物が挙げられる。更にはアンモニアや上記アミン類もアルカリとして使用することができる。
これらの中では、入手のし易さ、取り扱い性の観点から、アルカリ金属水酸化物、アンモニア及びアミン類がより好ましい。アルカリの添加量は、チタン塩水溶液のpHが2以上となる量、より好ましくはpHが4以上となる量が好ましい。
チタン源は、水及び/又はチタン源と相溶性の高い溶媒に溶解しておいてもよい。かかる溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソペンチルアルコール等の炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6の脂肪族アルコールが挙げられる。
なお、チタンとともに、他の元素、例えば、バナジウム、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等を共存させて、複合化することもできる。
(アミン類)
アミン類としては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、及び第4級アンモニウム水酸化物からなる群から選ばれる1種以上が用いられるが、好ましくは炭素数1以上、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基又はアルケニル基を有するアミン類である。
アミン類の好適例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルオクチルアミン等が挙げられる。また、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の置換アミン類も用いることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの中では、チタン酸ナノシートの構造安定性及び製造容易性の観点から第4級アンモニウム水酸化物がより好ましく、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。
アミン類は、チタン酸ナノシート生成の観点から、アミン類濃度9mmol/Lの水溶液におけるpHが9以上であるアミン類が好ましい。
(ホスホニウム類)
ホスホニウム類としては、第4級ホスホニウム水酸化物が好ましい。第4級ホスホニウム水酸化物は、無機ホスホニウム化合物のリン原子と結合する4原子の水素をアルキル基、フェニル基等で置換した化合物をいう。
第4級ホスホニウム水酸化物としては、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、テトラプロピルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラペンチルホスホニウムヒドロキシド、及びテトラヘキシルホスホニウムヒドロキシド等の炭素数2〜8のアルキル基を有するテトラアルキルホスホニウムヒドロキシド;テトラフェニルホスホニウムヒドロキシド、エチルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド、ペンチルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド、2−ジメチルアミノエチルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド、メトキシメチルトリフェニルホスホニウムヒドロキシド等のトリフェニルホスホニウムヒドロキシドが挙げられる。
これらの中では、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、テトラプロピルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、及びテトラペンチルホスホニウムヒドロキシドから選ばれる1種以上が好ましい。
ホスホニウム類は、チタン酸ナノシート生成の観点から、第4級ホスホニウム水酸化物濃度9mmol/Lの水溶液におけるpHが9以上である第4級ホスホニウム水酸化物が好ましい。
(チタン酸ナノシート分散原液の製造)
チタン酸ナノシート分散原液は、チタン源を、前記アミン類及び/又はホスホニウム類(以下、総称して「アミン類等」ともいう)の存在下で、加水分解し、縮合反応させることにより得ることができる。
加水分解において加える水分量は、水酸化チタンを得るために必要な量以上であればよい。通常、チタン源の質量に対して3〜50倍の質量が好ましく、5〜15倍の質量がより好ましい。加水分解及び縮合反応の温度及び時間は、用いるチタンアルコキシド及び/又はチタン塩に応じ、適宜選択することができる。
アミン類等を含有するチタン酸ナノシート分散原液の製法は特に限定されないが、以下に示す第1方法及び第2方法によれば、効率的に製造することができる。
[第1方法]
第1方法は、アミン類等の含水溶液とチタン源とを混合する方法である。
アミン類等の含水溶液には、アミン類等の溶解を容易にするため、有機溶媒が含有されていてもよい。かかる有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソペンチルアルコール等の炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6の脂肪族アルコールが好ましい。
アミン類等の含水溶液とチタン源とを混合する場合の、チタン源とアミン類等の混合比率は、(アミン類等/Ti)のモル比が0.2〜5であることが好ましく、0.3〜3であることがより好ましく、0.4〜1であることが更に好ましい。チタン酸ナノシートを製造する際の、チタン源に対するアミン類等の割合を増加させることで、より低極性の有機溶媒に対しても透明なチタン酸ナノシート分散原液を得ることができる。ここで、(アミン類等/Ti)のモル比とは、それぞれ、チタン酸ナノシート水分散液中の、チタン原子当りのアミン類、又は第4級ホスホニウム水酸化物の分子のモル比を意味する。
アミン類等の含水溶液とチタン源との混合液中のチタン濃度は、酸化チタン(TiO2)換算で0.01〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、1〜8質量%が更に好ましい。
アミン類等の含水溶液とチタン源の混合に際し、チタン化合物の白濁を生じることがあるが、継続的に撹拌を行うことにより、無色透明〜薄黄色の液を得ることができる。
チタン源を混合する際の温度は、特に限定されない。2〜200℃でアミン類等含有チタン酸のナノシートが生成するが、長鎖アミンの安定性の観点から、10〜150℃がより好ましく、20〜100℃が更に好ましい。反応時間は0.1〜20時間が好ましく、1〜10時間がより好ましい。
[第2方法]
第2方法は、アミン類等とチタン源を予め混合しておき、その後、水を混合してチタン酸ナノシート分散原液を製造する方法である。アミン類等には、第1方法と同様の有機溶媒が含有されていてもよい。
アミン類等及びチタン源の混合物に水を加える際、水の量はチタンが分解するのに必要な量であればよい。添加する水の量は、アミン類等及びチタン源の混合物の質量に対して5〜50倍の質量が好ましく、10〜15倍の質量がより好ましい。水を添加する温度は、特に限定はされないが、2〜200℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。また、水の滴下時間は、0.01〜5時間が好ましく、0.02〜2時間がより好ましい。更に、水の添加後、0.1〜20時間の熟成を行うことが好ましい。
アミン類等を含有するチタン酸ナノシート水分散液中のチタン濃度は、酸化チタン(TiO2)換算で0.01〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、1〜8質量%が更に好ましい。
(チタン酸ナノシート水分散液の製造)
チタン酸ナノシート水分散液は、上記の方法で得られたチタン酸ナノシート分散原液(以下、単に「分散原液」ともいう)を水熱処理する方法(a)、チタン酸ナノシート分散原液を水熱処理して得られる種結晶の1部又は全部が存在する分散液を更に水熱処理する方法(b)、又はチタン含有原料を高温で焼成して得られたレピドクロサイト型層状チタン酸ナノシートを、塩酸水溶液と、アミン類及び/又はホスホニウム類を含有する溶液でシート状に剥離させて得られる種結晶の1部が存在する分散液を水熱処理する方法(c)等により好適に製造することができる。
チタン酸ナノシート分散原液を水熱処理することで、チタン酸ナノシートの粒子径を成長させることができる。ここで、水熱処理とは、(a)法における分散原液、又は(b)、(c)法における種結晶添加後の分散原液に、温度と圧力を加えて熟成させることを意味する。温度と圧力の両方を加えて分散原液中のチタン酸ナノシート粒子の熟成を行うと、チタン酸ナノシート粒子の溶解・析出反応が起こって粒子が成長し、粒子径が大きくなるものと考えられる。
(1)チタン酸ナノシート分散原液の水熱処理法
(a)法における水熱処理の温度は、好ましくは75〜200℃、より好ましく95〜150℃、更に好ましく100〜130℃である。温度が高すぎるとアミン類等を含有するチタン酸ナノシートがアナターゼ型酸化チタンに結晶転移してしまい、温度が低すぎると粒子径を大きくするための制御が効率よく行えない場合がある。
水熱処理の圧力は、用いる溶媒により異なるが、0.8MPa以上、好ましくは1MPa以上であり、上限は概ね1.5MPa以下が好ましい。
処理時間は溶媒や圧力、温度によって異なるが、通常0.5時間以上、好ましくは1時間以上であり、処理時間が長くなるほど粒子径は成長するが、時間をかけ過ぎると、アナターゼ型に転移してしまうため、処理時間の上限としては、通常24時間以下、好ましくは12時間以下である。
水熱処理を行う際の分散原液のpH(25℃)は、チタン酸ナノシート合成時のpH範囲である10〜13程度が好ましい。分散原液のpHが10未満であると水熱処理中に結晶がアナターゼに転移し易く、pHが13を超えると粒子径制御が困難となる場合がある。
水熱処理時における分散原液の撹拌は、チタン酸ナノシート粒子の沈降がなければ無撹拌でもよいが、熱の伝導性を考慮すると撹拌する方が好ましい。撹拌速度の上限、下限は特にないが、水熱処理装置に負担のない程度でよい。
その他、チタン酸ナノシートの粒子径に影響する因子として、分散原液中のチタン酸濃度があり、分散原液中のチタン酸濃度はTiO2換算で、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、最も好ましくは1〜8質量%である。
(2)種結晶を添加して水熱処理する方法
チタン酸ナノシートの粒子径を更に大きくするためには、種結晶チタン酸ナノシートを用いる(b)法がより好ましい。すなわち、チタン源をアミン類及び/又はホスホニウム類の存在下で、加水分解し、縮合反応させることにより得られるチタン酸ナノシート分散原液を水熱処理して得られる種結晶の1部又は全部が存在する分散液を、更に水熱処理する方法が好ましい。なお、この際の分散原液は、種結晶チタン酸ナノシートを調製するために水熱処理を行うチタン酸ナノシート分散液とは異なる方法で調製した分散原液であってもよい。
(種結晶チタン酸ナノシート)
種結晶チタン酸ナノシートは、チタン酸ナノシートの粒子径を大きくするもの、又はチタン酸ナノシートを成長させるものである。特に体積基準平均粒子径が5nm以上のチタン酸ナノシートを調製する場合は、種結晶を用いることが好ましい。種結晶チタン酸ナノシートとしては、(i)チタン酸ナノシート分散液を一旦水熱処理して結晶性を向上させたもの、又は(ii)チタン含有原料を高温で焼成して得られたレピドクロサイト型層状チタン酸ナノシートを、塩酸水溶液と、アミン類及び/又はホスホニウム類を含有する溶液でシート状に剥離させたものを、分散液の形態で用いることができる。前記(ii)の場合は、遠心分離操作により余分なチタン酸を除去したものを種結晶として用いることが好ましい。
(種結晶チタン酸ナノシートの調製)
種結晶チタン酸ナノシートの調製法としては、(i)チタン酸ナノシート分散液を水熱処理する方法が好ましい。なお、チタン酸ナノシート分散液を水熱処理することで、チタン酸ナノシートを成長させることができるが、種結晶の粒子径が大きくなりすぎると、アナターゼ型に転移しやすくなる。それを抑制するためには、種結晶チタン酸ナノシートをチタン酸ナノシート分散液に添加する方法を用いることが好ましい。
種結晶を調製するために使用するチタン酸ナノシート分散液は、その(アミン類等/Ti)のモル比が、好ましくは0.2〜5、より好ましくは0.3〜3、更に好ましくは0.4〜1である。また、該分散液中のTiO2濃度は、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10%、更に好ましくは1〜8%である。従って、得られる種結晶チタン酸ナノシート分散液中のTiO2濃度も同様の数値となる。
種結晶を調製するための水熱処理の温度は、好ましくは75〜200℃、より好ましくは100〜150℃である。該温度が高すぎると結晶がアナターゼに転移してしまい、該温度が低すぎると結晶性が向上しない場合がある。水熱処理時間は、好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは1〜12時間である。
種結晶の粒子径を大きくするためには、水熱処理温度が低い場合には長時間、高い場合には短時間の処理を行えばよいが、効率的な製造を考えると上記時間が好ましい。なお、その他の水熱処理の条件としては、前記の水熱処理の条件を用いることができる。
(チタン酸ナノシート分散原液の水熱処理)
上記の方法により得られた種結晶を分散原液に添加した後、水熱処理してチタン酸ナノシート水分散液を製造する場合、チタン酸ナノシートの粒子径を大きくするためには、通常、種結晶チタン酸ナノシートの割合を増やせばよいが、粒子径を十分成長させるために、
分散原液中及び種結晶チタン酸ナノシート分散液中のTiO2濃度は、好ましくは0.1質量%以上が好ましく、結晶転移を抑制する観点から、分散原液中及び種結晶チタン酸ナノシート分散液中のTiO2濃度は15質量%以下が好ましい。かかる観点から、分散原液中及び種結晶チタン酸ナノシート分散液中のTiO2濃度は、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10%、更に好ましくは1〜8%である。また、分散原液中及び種結晶チタン酸ナノシート分散液中の(アミン類等/Ti)のモル比は、好ましくは0.2〜5、より好ましくは0.3〜3、更に好ましくは0.4〜1である。
また、種結晶チタン酸ナノシートは、分散液の形態でチタン酸ナノシート分散原液に添加、混合すること好ましい。種結晶チタン酸ナノシートの添加量は、(種結晶チタン酸ナノシートの量/分散原液に含まれるチタン酸ナノシートと種結晶チタン酸ナノシートとの合計量)の割合が、TiO2換算濃度で好ましくは10〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは100質量%になる範囲に調整することが好ましい。
種結晶を添加した後の分散原液の水熱処理の条件は、前記(a)法と同じ条件(段落〔0022〕〜〔0023〕)で行うことができる。すなわち、温度75〜200℃、圧力0.8〜1.5MPa、pH10〜13(25℃)、処理時間0.5〜24時間の条件下で水熱処理することができる。
(チタン酸ナノシート水分散液中のチタン酸ナノシートの確認)
チタン酸ナノシートの生成は、ラマン分光法、紫外−可視吸収スペクトル、透過型電子顕微鏡(TEM)観察等により確認することができる。
チタン酸ナノシート水分散液中には、アミン類等を含むチタン酸シートが形成されていると推定される。これは、アルゴンイオンレーザー(波長488nm)を光源とし、レーザー出力100〜600mW、積算時間30〜300秒の条件下における透過法ラマンスペクトルの測定において、波数が260〜305cm-1、440〜490cm-1及び650〜1000cm-1の領域にそれぞれピークを有し、チタン原子及びチタン酸シートの構造が導出されたためである。
なお、アミン類等を含有するチタン酸ナノシートの紫外−可視吸収スペクトルは、吸収スペクトルの立ち上がり波長が320nmに見られる。これに対し、アナターゼ型チタニアでは、380nmに、ルチル型チタニアでは、波長410nmに吸収スペクトルの立ち上がり波長が見られる。
また、チタン酸ナノシート水分散液を乾燥させて、X線回折を行うことにより、層状構造を確認することができる。層間隔はアミン類のカチオンサイズが大きくなるにしたがって増大することが確認されており、アミン類等は層間に存在しているものと考えられる。
(チタン酸ナノロッドの製造)
本発明のチタン酸ナノロッドは、上記方法等で得られたチタン酸ナノシート水分散液中の水を溶媒で置換する溶媒置換工程を含む方法により製造される。
チタン酸ナノシート水分散液中の水を溶媒で置換することによりチタン酸ナノシートの分散性が向上し、所定の長軸長及び(長軸長/短軸長)の比を有するチタン酸ナノロッドの一次粒子を効率的に得ることができる。その理由は必ずしも明確ではないが、チタン酸ナノシート表面に吸着している水が除去される時に、チタン酸ナノシート粒子同士の凝集、融着、再配列等に伴い形状変化が誘起されたと考えられる。溶媒は、チタン酸ナノシート表面の吸着水の除去を促進するとともに、生成したチタン酸ナノロッドの形状の安定化にも寄与していると考えられる。
溶媒置換の方法は特に限定されず、常圧下又は減圧下で連続式又はバッチ式で行うことができる。例えば、(i)エバポレーターを使用してチタン酸ナノシート水分散液を濃縮後、溶媒を加えて再分散する操作を繰り返す方法、(ii)チタン酸ナノシート水分散液に置換溶媒を連続滴下しながら、連続的に溶媒を留去する方法、(iii)チタン酸ナノシート水分散液を一度乾燥後、溶媒に再分散する方法等の常法により溶媒置換を行うことができる。これらの中では、製造容易性や、チタン酸ナノロッドの白色顔料、高屈折率材料、樹脂フィラー等としての性能発現の観点から、前記(i)及び(ii)の方法が好ましい。
溶媒を濃縮、留去する場合は加熱してもよいが、チタン酸ナノロッドの製造コストや前記性能発現の観点から、加熱する場合の温度は20〜100℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。また、同様の観点から、溶媒置換時の分散液のTiO2換算濃度は0.1〜15質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましい。
ここで、溶媒置換に用いる溶媒は特に限定されないが、製造容易性の観点から、水と共沸する有機溶媒が好ましい。かかる有機溶媒としては、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素等が挙げられる。
アルコールとしては、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、4−メチル−1−ブタノール、2−メトキシエタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール等の炭素数2〜8の脂肪族アルコール、フルフリルアルコール等の炭素数4〜7の複素環アルコール、フェノール、ベンジルアルコール等の炭素数6〜10の芳香族アルコール等が挙げられる。
エーテルとしては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等が挙げられ、エステルとしては、γ−ブチロラクトン等の5〜6員環のラクトンが挙げられる。
また、芳香族炭化水素としては、トルエン、エチルベンゼン、m−キシレン、ナフタレン等の炭素数6〜12の芳香族炭化水素が挙げられる。
これらの中では、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール等の炭素数2〜5の脂肪族アルコール、トルエン、エチルベンゼン、m−キシレン、ナフタレン等の炭素数6〜10の芳香族炭化水素が好ましく、トルエン、2−プロパノールが特に好ましい。
(チタン酸ナノロッドの形態確認)
チタン酸ナノロッドの形態、その長軸長、短軸長、(長軸長/短軸長)の比は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察等により確認することができる。
以下の実施例及び比較例で得られたチタン酸ナノロッドの構造確認及び形態観察は、以下の方法で行った。
(1)ラマン分光法によるチタン酸構造の確認
ラマン分光測定装置(東京インスツルメント株式会社製、Nanofinder30)を用いて、アルゴンイオンレーザー(波長633nm)を光源とし、グレーティング600grp/mm、積算時間400秒の条件で室温にて、ラマンスペクトル測定を行った。
(2)粉末X線回折法(XRD)による層状構造の確認
粉末X線回折装置(理学電機株式会社製、RINT2500VPC、光源:Cu−Kα、管電圧:40kV、管電流:120mA)を用いて、2θ=4〜60°の範囲を走査間隔0.01°、走査速度10°/min、発散縦制限スリット10mm、発散スリット1°、受光スリット0.3mm、散乱スリット自動の条件で、室温にて粉末X線回折測定を行った。また、2θ=2〜10°の範囲を走査間隔0.01°、走査速度1°/min、発散縦制限スリット10mm、発散スリット1/2°、受光スリット0.15mm、散乱スリット自動の条件で室温にて測定した。
(3)紫外−可視吸収スペクトルによる吸収端波長の測定
光路長1cmの石英セルにTiO2換算濃度4×10-4質量%のチタン酸ナノロッド分散液を入れ、紫外−可視吸収分光光度計(株式会社島津製作所製、SolidSpec−3700)を用いて、紫外−可視吸収スペクトルを測定し、吸収の立ち上がり波長を吸収端波長とした。
(4)透過型電子顕微鏡(TEM)による粒子形態観察
TiO2換算濃度0.04質量%のチタン酸ナノロッド分散液をTEMグリッドに滴下し、室温乾燥して作製した試料を透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JEM−2100)を用いて、5万〜10万倍の倍率で粒子形態を観察した。
また、チタン酸ナノロッドの一次粒子の長軸方向における最大長さを長軸長、長軸方向に対し垂直な方向における一次粒子の最大長さを短軸長として測定した。
実施例1
(1)チタン酸ナノシート分散原液の製造
テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(10質量%水溶液、和光純薬工業株式会社製)153gを蒸留水42gに溶解した水溶液に、室温、撹拌下、2−プロパノール(和光純薬工業株式会社製)7.8gにチタンテトライソプロポキサイド〔Ti(OiPr)4〕(和光純薬工業株式会社製)33.6gを溶解させた液を5分かけて滴下した。滴下に伴い溶液は白濁したが、撹拌を続行することで、チタン酸ナノシートを含む透明なチタン酸ナノシート分散原液(TiO2換算濃度:4質量%、アミン類等/Ti(モル比)=0.5)を得た。
(2)種結晶チタン酸ナノシートの製造
上記(1)で得られたチタン酸ナノシート分散原液80gを100mLオートクレーブ(テフロン(デュポン社、登録商標)ライニング)に仕込み、110℃で6時間の水熱処理を行い、種結晶チタン酸ナノシートの透明分散液(TiO2換算濃度:4質量%、アミン類等/Ti(モル比)=0.5)を得た。
(3)水熱処理
上記(2)で得られた種結晶チタン酸ナノシートの分散液80gを100mLオートクレーブ(テフロン(デュポン社、登録商標)ライニング)に仕込み、110℃で6時間の水熱処理を更に行った。得られたチタン酸ナノシート水分散液は白色コロイド状であった。
得られたチタン酸ナノシートを前記ラマン分光測定装置により測定した結果、チタン酸構造であることが確認された。またXRDパターンにおいて、アナターゼ型やルチル型等の結晶性化合物のピークは見られず、面間隔1.7nmの層状構造に由来するピークのみが認められたことから、チタン酸ナノシート固体が層状構造であることが確認できた。
TEM観察の結果、得られたチタン酸ナノシートは、20nmの平板状の一次粒子であり、紫外−可視吸収スペクトル測定の結果、吸収端波長が320nmであった。
(4)溶媒置換
上記(3)で得られたチタン酸ナノシート水分散液50gに2−プロパノール(和光純薬工業株式会社製)50gを混合した。混合直後、一瞬白濁したが、すぐにほぼ透明分散液となった。この分散液をエバポレーター(60℃)を用いて2倍に濃縮した。得られた透明濃縮液(TiO2換算濃度:4質量%)に2−プロパノール50gを添加し、均一に混合した後、エバポレーター(60℃)を用いて再度2倍濃縮を行った。この2−プロパノール希釈−濃縮工程を10回繰り返すことにより、チタン酸ナノロッドの2−プロパノール分散液(白濁、TiO2換算濃度:4質量%、アミン類等/Ti(モル比)=0.5、水分:0.7質量%)を得た。
得られたチタン酸ナノロッドを前記ラマン分光測定装置により測定した結果、チタン酸構造であることが確認された。またXRDパターンにおいて、アナターゼ型やルチル型等の結晶性化合物のピークは見られず、面間隔1.8nmの層状構造に由来するピークのみが認められたことから、チタン酸ナノロッド固体が層状構造であることが確認できた。
TEM観察の結果、得られたチタン酸ナノロッドの一次粒子は、長軸長60nm、短軸長6nm、(長軸長/短軸長)の比が10である紡錘状のナノロッドであり、紫外−可視吸収スペクトル測定の結果、吸収端波長が320nmであった。図1に、得られたTEM写真を示す。
実施例2
実施例1(3)で得られたチタン酸ナノシート水分散液50gにトルエン(和光純薬工業株式会社製)50gを混合した。混合直後、白濁し、白色沈殿物と上澄み透明溶液に分離した。この透明溶液をエバポレーター(60℃)を用いて2倍に濃縮した。得られた白濁濃縮液(TiO2換算濃度:4質量%)にトルエン50gを添加し、均一に混合した後、エバポレーター(60℃)を用いて再度2倍濃縮を行った。このトルエン希釈−濃縮工程を14回繰り返すことにより、チタン酸ナノロッドのトルエン分散液(白濁、TiO2換算濃度:4質量%、アミン類等/Ti(モル比)=0.5、水分:11質量%)を得た。
得られたチタン酸ナノロッドを前記ラマン分光測定装置により測定した結果、チタン酸構造であることが確認された。またXRDパターンにおいて、アナターゼ型やルチル型等の結晶性化合物のピークは見られず、面間隔1.8nmの層状構造に由来するピークのみが認められたことから、チタン酸ナノロッド固体が層状構造であることが確認できた。
TEM観察の結果、得られたチタン酸ナノロッドの一次粒子は、長軸長60nm、短軸長6nm、(長軸長/短軸長)の比が10である紡錘状のナノロッドであり、紫外−可視吸収スペクトル測定の結果、吸収端波長が320nmであった。
本発明のチタン酸ナノロッドは、汎用性の高い適度な粒子形態に制御されており、紫外光の吸収量が少なく、光触媒活性が低いことから、白色顔料、高屈折率材料、樹脂フィラー等として、有機マトリクスと混合、複合化して利用することもできる。

Claims (5)

  1. 一次粒子の長軸長が30〜1000nmであり、(長軸長/短軸長)の比が3〜20であるチタン酸ナノロッド。
  2. 形状が紡錘状である、請求項1に記載のチタン酸ナノロッド。
  3. 一次粒子の長軸長が30〜1000nmであり、(長軸長/短軸長)の比が3〜20であるチタン酸ナノロッドの製造方法であって、チタン酸ナノシート水分散液中の水を溶媒で置換する溶媒置換工程を含むチタン酸ナノロッドの製造方法。
  4. チタン酸ナノシート水分散液が、チタンアルコキシド及び/又はチタン塩を、アミン類及び/又はホスホニウム類の存在下で加水分解反応して得られるチタン酸ナノシート分散原液を水熱処理して得られたものである、請求項3に記載のチタン酸ナノロッドの製造方法。
  5. 溶媒が、炭素数2〜5の脂肪族アルコール及び/又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素である、請求項3又は4に記載のチタン酸ナノロッドの製造方法。
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