JP2011011223A - 固形粉末成型体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粉体原料中に含まれる板状粉体の配向性が向上し、該板状粉体に起因する特徴が顕著に発現する固形粉末成型体を製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】板状粉体を含有する粉体原料20を、杵によって超音波振動を印加しながら、加圧成型する工程を含む固形粉末成型体21の製造方法である。該杵を介した粉体原料20への超音波振動の印加を、該粉体原料20の密度がタッピング固め密度に相当する密度未満の間に開始する。
【選択図】図3

Description

本発明は、粉末の圧縮成型体の製造方法に関する。
アイシャドウなどを初めとして、粉末の圧縮成型体からなる化粧料が種々知られている。そのような化粧料においては、光輝感を演出する目的で大粒径の板状粉体を配合することがしばしば行われている。大粒径の板状粉体は肌に塗布された状態で光を反射して光輝感を演出することになるが、この板状粉体を配合した粉末圧縮成型体も光輝感が高い方が消費者へのアピール度が高く、商品の価値としても高くなる。そのため、大粒径の板状粉体はただ配合されていればよいというのではなく、成形された状態でどの方向を向いているかが重要である。すなわち、板状粉体の板面が成型体表面に露出していなければ光を反射せず、光輝感はない。光輝感を演出するには板状粉体の板面は成型体表面に露出している必要がある。尤も、光輝感が高いのは板面が成型体表面と平行になっており、しかも多数の板状粉体がそのように揃っている状態、すなわち水平方向に配向している状態である。
そこで、成型体の表面と平行に板状粉体を配向させるために、板状粉体を含む粉体を金型内に充填した後に、スクレーパー等で擦り切ることによって、表面の板状粉体をある程度水平に揃える方法が考えられる。しかし、光輝感はそれほど満足できるものではない。また光輝感は表面のみで、内部は全く配向していないので、使用していくと光輝感はすぐに失われ、満足のできるものとはなっていない。
また、大粒径の板状粒子を大量に配合した場合、成型体の強度が弱くなる傾向がある。そこで強度を向上させるため、高い荷重を与えて圧縮成型しようとすると、板状粒子は粒径に対して厚みが薄いので厚み方向の荷重には弱く、高い荷重を加えることによって大粒径の板状粒子は荷重に耐えられずに破壊される場合がある。
アイシャドウ以外の固形粉末化粧料においても、大粒径の板状粒子を配合する場合、同様な問題があり、強度が高く、大粒径の板状粒子を破壊せずに、しかも表面あるいは成型体内部において水平方向に配向させる成型方法が望まれていた。
ところで、粉末の圧縮成型体の製造において、超音波を与えながら成型を行う方法が知られている。例えば特許文献1においては、粉体化粧料を金皿に入れ、これを凹部に設置し、該凹部内にホーンを降下させて、ホーンを介して粉体化粧料を押圧しつつ超音波を与える方法が提案されている。
特開昭63−275511号公報
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法のようにホーンで押圧しながら超音波を与え続けるだけでは、板状粉体を含有する粉末原料を圧縮成型しても、板状粉体を配向し、光輝感を与えることは容易ではない。
本発明は、粉体原料中に含まれる板状粉体の配向性が向上し、該板状粉体に起因する特徴、例えば光輝感が顕著に発現する固形粉末成型体を製造し得る方法を提供するものである。
本発明は、板状粉体を含有する粉体原料を、杵によって超音波振動を印加しながら、加圧成型する工程を含む固形粉末成型体の製造方法であって、
該杵を介した粉体原料への超音波振動の印加を、該粉体原料の密度がタッピング固め密度に相当する密度未満の間に開始する固形粉末成型体の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、粉体原料中に含まれる板状粉体の配向性が向上し、高配向した板状粉体に起因する特徴、例えば光輝感が顕著に発現した固形粉末成型体が得られる。
図1は、本発明の製造方法を実施するために用いられる好ましい装置を示す模式図である。 図2は、図1示す装置を用いた固形粉末成型体の製造工程を示す図である。 図3(a)ないし(c)は、実施例1及び2並びに比較例1で得られた固形粉末化粧料の表面写真である。 図4(a)ないし(c)は、実施例1及び2並びに比較例1で得られた固形粉末化粧料の表面の顕微鏡写真である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。しかしながら本発明の実施形態は以下のものに限定されるものではない。図1には、本発明の製造方法を実施するために用いられる好ましい装置の模式図が示されている。装置10は枠体11を備えている。枠体11の高さ方向の中央部には、打錠テーブル12が水平方向に取り付けられている。打錠テーブル12の中央部には貫通孔が設けられており、その貫通孔に成型用の金型13が嵌合されている。金型13はその上下が開口した筒状の形状をしており、筒状の内部がキャビティを構成する。金型13はその上部に側方へ張り出すフランジ13aを有している。フランジ13aは打錠テーブル12へボルト締め(図示せず)されている。
金型13のキャビティの上下の位置には超音波振動素子14a,14bが配されている。各素子14a,14bはエアシリンダ15a,15bによって支持されている。上部エアシリンダ15aは、枠体11の天板11aに取り付けられ、それから垂下している。一方、下部エアシリンダ15bは、枠体11の底板11b上に取り付けられている。これによって、各超音波振動素子14a,14bはそれぞれ上下方向へ移動可能になっている。なお、超音波振動素子の移動手段はエアシリンダに限定されず、他に油圧シリンダや、電動モータを用いたボールネジプレス等の機器を用いても良い。
各超音波振動素子14a,14bの先端にはホーン16a,16bが取り付けられている。各ホーン16a,16bの先端は成型用の金型13のキャビティと同一形状をなしている。これら三者は同一軸線上に位置している。各ホーン16a,16bは、板状粉体を含む粉末原料の混合物を圧縮成型する際に、該混合物に超音波振動を与える役割、及び該混合物を圧縮するための成型用杵としての役割を有している。したがって以下の説明では、これらのホーンをそれぞれ上杵16a、下杵16bと呼ぶことにする。
以上の構造を有する装置10を用いた固形粉末成型物の製造方法を図2(a)ないし(c)を参照しながら説明すると、先ず図2(a)に示すように、下部エアシリンダ15bを動作させ、金型13のキャビティ内に予め挿入されている下杵16bを、原料粉末を充填するためにキャビティ内で下降させる。また上部エアシリンダ15aを動作させ、上杵16aを上昇させて打錠テーブル12上の空間に待避させる。これによって、金型13にはキャビティと下杵16bとで画成される臼としての凹部が形成される。この凹部に、板状粉体を含む粉末原料の混合物(以下、粉末混合物という)20を充填する。
なお、容器(例えば浅底の皿状の容器)内に原料粉末を充填して成型を行ってもよく、その場合には下杵16bを金型内で下降させる前に下杵16bの上に容器(図示せず)を載せ、その後に下杵16bを降下させる。あるいは下杵16bを降下させた後に容器(図示せず)を金型内の下杵16b上に置く。その後、容器内に原料粉末を充填して圧縮成型する工程は、容器を用いない場合と同様である。
粉末混合物20は、板状粉体を初めとする各種の粉末原料及び必要に応じて配合される油性成分等の各種成分を含み、これらの成分が混合されたものからなる。
次に、エアシリンダ15aを動作させて、上杵16aを降下させ、粉末混合物20が充填されている前記の凹部内へ上杵16aを挿入する。これによって図2(b)に示すように粉末混合物20の圧縮成型を行う。本製造方法は、粉末混合物20を挟んで相対向してそれぞれ配された上下の杵16a,16bを介して超音波振動を与えつつ圧縮成型を行うに際し、超音波振動の印加のタイミングに特徴の一つを有する。詳細には、超音波振動は、粉末混合物20の密度がタッピング固め密度に相当する密度未満の間に印加を開始する。好ましくは上杵16aが、凹部内に充填された粉末混合物20の上面に接してから、粉末混合物20の密度がタッピング固め密度に相当する密度未満の間に印加を開始する。このような操作を行うことで、板状粉体の配向と粉末混合物20の圧密化とが同時に進行し、表面から中心域にわたって光輝性を有し、かつ硬度が均一な成型体を得ることができる。
板状粉体が成型体の表面と平行に配向するメカニズムの詳細は以下のように考えられる。粉末混合物20の密度がタッピング固め密度に相当する密度未満の間に超音波振動の印加を開始すると、粉末混合物20にはまだ本格的なプレス荷重がかかっておらず、粉末混合物20中の粒子は自由に運動しやすい状態にある。このことに起因して、超音波振動によって板状粉体の粒子は、その投影面積が最も大きい面が、超音波振動が印加される方向と直交する方向に徐々に方向を揃えていく。すなわち配向していく。超音波振動が印加される方向と直交するに配向する理由は、前記の状態が粒子にとって最も安定な状態となるからである。仮に粒子の投影面積の最も大きい面が、超音波振動が印加される方向と直交する方向からずれると、超音波振動によって、ずれと反対方向のモーメントを受けて、直交する状態に戻ろうとする。この効果は、超音波振動が印加されている粉体混合物20の内部であっても同じように生じるので、板状粉体は粉末混合物20の内部においても十分に配向ことができる。その上、板状粉体のアスペクト比(板径/板厚)が大きい場合であっても該板状粉体が破壊されにくく、配向することができる。
これに対して、超音波振動の印加開始のタイミングが、粉末混合物20の密度がタッピング固め密度に相当する密度又はそれを超えた後である場合には、粉末混合物20は圧縮されて密な状態となっているので、構成粒子が自由に振動しにくくなり、ほぼ粉体充填時のランダムな方向のまま成型されてしまい配向しにくい。
超音波振動の印加開始のタイミングは、粉末混合物20の密度がタッピング固め密度に相当する密度になる前であればよいが、固形粉末成型物表面の均一性の観点と固形粉末成型物内部における板状粉体の配向性の観点から、上杵16aが粉末混合物20の上面に接してから、粉末混合物20の密度がタッピング固め密度に相当する密度未満の間に印加を開始することが好ましい。
前記のタッピング固め密度は、ゆるみ見かけ密度の状態からタッピングすることにより、脱気され、粒子が再配列し、粉体がより密に充填されたときの見掛け密度である。ゆるみ見かけ密度とは粉体を自然落下させた状態の充填密度で、多量に空気を含んだ粉粒体の見掛け密度である。例えば23cmの高さから、粉体を自然落下させた状態の充填密度を、ゆるみ見かけ密度とすることができる。またタッピングとは、粉体を充填した容器を一定の高さから繰り返し落下させて容器の底部に軽い衝撃を与え、粉体を密充填にする操作をいう。
タッピング固め密度は、市販の装置によって測定することができ、例えばホソカワミクロン製のパウダテスタPT−Sを用いて測定することができる。パウダテスタPT−Sを用い、タッピングストローク18mm、速度50回/分、回数180回の条件でタッピングしたときの密度をタッピング高め密度とする。
この測定方法から明らかなように、タッピング固め密度は、実際に成型を行いながらその場で測定することはできない。そこで、本製造方法においては、成型の操作とは別に粉末混合物20のタッピング固め密度を測定しておく。また、装置10における凹部に粉末混合物20を充填して、上杵16aの挿入量と粉末混合物20の密度との関係を別途調べておく。更に、装置10に光電センサ17を取り付けるとともに、上杵16aの該センサ17の遮光板18を取り付ける。光電センサ17及び遮光板18の取り付け位置は、超音波の印加を開始すべき密度に上杵16aの挿入量が達したときに、遮光板18が光学センサ17を遮るような位置関係としておく。そして、遮光板18が光学センサ17を遮ることをトリガとして、超音波振動の印加を開始する。あるいは、タッピング固め密度に相当する粉体層の厚みになったときのプレス荷重から、超音波振動印加の開始タイミングを決定し、それに基づいて光学センサ17及び遮光板18の位置を決めてもよい。なお、杵の位置を検知できるセンサであればどのようなものを使ってもよく、光電センサ以外にも、機械式、渦電流式、静電容量式、超音波式スイッチや、レーザーを用いた変位計などを用いることができる。
超音波振動の照射は、上杵16a及び下杵16bのうちのいずれか一方のみでもよいが、双方の杵によって超音波振動の照射を行う方が、板状粉体の配向の程度が高くなるので好ましい。
上述のとおり、超音波振動の印加の開始時期は、上杵16aが粉末混合物20の上面に接してから、粉末混合物20の密度がタッピング固め密度に相当する密度未満の間とし、好ましくは上杵16aが粉末混合物20の上面に接してから粉末混合物20の密度がタッピング固め密度に相当する密度の90%の密度になるまでの間とする。
粉末混合物への超音波振動の印加は、所定の時間にわたって連続して行われる。超音波振動の印加の終了時期は、加圧(圧縮)による粉末混合物20への荷重が一定値に達した時点とすることが好ましい。粉末混合物20に加わる荷重が一定値に達した後も超音波振動の照射を継続すると成型体の表面のみが、中心域に比べて硬くなってしまい、硬度に不均一が生じることがある。また、板状粉体の破壊が起こりやすい。
杵16a,16bによる圧縮の荷重は、粉末混合物20の成分やその配合量、及び目的とする固形粉末成型体の具体的な用途等に応じ適切に設定することができる。一般に、荷重を0.3〜3MPa、特に0.5〜2.0MPaに設定することによって、満足すべき特性を有する固形粉末成型体を得ることができる。
粉末混合物20に加える超音波振動の条件は、粉末混合物20の成分やその配合量、及び目的とする固形粉末成型体の具体的な用途等に応じて適宜調整が可能である。一般に、超音波振動の周波数を10〜100kHz、特に15〜30kHzとすることで、板状粉体の板面を、振動の方向と直交する方向に首尾良く配向させることができる。また、この範囲の周波数とすることで、媒質である粉末混合物20内での超音波の減衰の程度が小さくなり、粉末混合物20の深部にまで振動が伝達される。
超音波振動の振幅も、粉末混合物20の成分やその配合量、及び目的とする固形粉末成型体の具体的な用途等に応じて適宜調整が可能である。一般に振幅の程度を、5〜100μm、特に10〜50μmに設定することが好ましい。この範囲の振幅とすることで、板状粉体の振動が十分に大きくなり、それに起因して板状粉体を首尾良く配向させることができる。
超音波振動の照射時間は短時間でも十分である。粉末混合物20の成分や固形粉末成型体の厚み(圧縮方向の長さ)にもよるが、余りに長時間照射すると、表面が高温になることに起因して、原料の劣化、杵への付着増加、色焼け等が発生する場合があるからである。照射時間は、好ましくは0.1〜5秒、更に好ましくは0.2〜2.0秒である。
上杵16a及び下杵16bによる圧縮は、超音波振動の印加を終了した後も引き続き行う。そして所定時間の圧縮が完了したら、図2(c)に示すように上部エアシリンダ15aを動作させ、上杵16aを上昇させて打錠テーブル12上の空間に待避させる。また下部エアシリンダ15bを動作させ、下杵16bも上昇させる。これによって金型13のキャビティから目的物である固形粉末成型体21を取り出す。
このようにして製造された固形粉末成型体21においては、成型体21の表面から中心域にわたって、板状粉体をその板面が、超音波振動の方向と概ね直交するように配向させることができる。その結果、固形粉末成型体21は光輝感が高く、外観や見映えが良好なものとなる。この光輝感は、固形粉末成型体21が使用によって減摩して新たな表面が生じても維持される。板状粉体の配向の程度は、固形粉末成型体21に照射した光の散乱の程度で評価することができる。具体的には、固形粉末成型体21の表面に入射角度30度で光線を入射させたときの、角度0度の散乱光強度をIdとし、正反射光強度をIrとしたとき、固形粉末成型体21の表面におけるIr/Idの値は1.75以上であり、特に2.0以上という高い値になる。
前記のIr/Idの値は、村上色彩技術研究所製変角分光光度計GCMS-4を用い、入射角30度に対する反射光強度を−20度から+60度の範囲で測定することで求めることができる。
粉末混合物20に含まれる板状粉体としては、体積平均粒子径が20〜300μm、特に40〜300μmのものを用いることが好ましい。このような粒子径を有する板状粉体を用いた場合に、これを効果的に配向させることができるからである。また、板状粉体として、アスペクト比(粒子径/板厚)が5〜400、特に20〜400のものを用いることも好ましい。本製造方法によれば、このようなアスペクト比の板状粉体を用いても、その破壊を効果的に防止することができる。板状粉体の平均粒子径は、レーザー回折粒子径測定装置(LA−920、ホリバ製作所)を用いて粉体をエタノールに分散させて測定したメジアン径の値である。板状粉体の平均厚さは、電子顕微鏡を用いて測定し、その合計値を測定個数(100個以上)で割った値である。なお板状粉体は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
粉末混合物20に含まれる板状粉体の配合量は、配合組成全成分の5〜90質量%、特に50〜90質量%とすることが好ましい。このような配合量の場合に、板状粉体にダメージを与えることなく、これを首尾良く配向させることができる。また、板状粉体を配合したことに起因する固形粉末成型体21の特徴が顕著なものとなる。
板状粉体を構成する材料としては、固形粉末成型体21の具体的な用途に応じ適切なものが選択される。例えば板状粉体として、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、合成マイカ、カオリン、窒化ホウ素、鱗片状ガラス、アルミニウム、オキシ塩化ビスマス、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、長鎖アルキルリン酸金属塩、N−モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、N−モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸金属塩等を用いることができる。特に、鱗片状ガラスや、金属酸化物を被覆した鱗片状ガラスのような、ガラス及び/又はガラスを基材とする材料を用いることで、得られる固形粉末成型体21の光輝感や透明感が一層増すので好ましい。本製造方法によれば、ガラス等の脆性材料からなる板状粉体を用いても、加圧成型の際にその破壊が起こりづらくなるという利点がある。
粉末混合物20には、板状粉体以外の粉体が含まれていてもよい。そのような粉体としては、例えば球状の粉体、針状の粉体、紡錘状の粉体、不定形の粉体等が挙げられる。固形粉末成型体21の具体的な用途にもよるが、固形粉末成型体21が例えばファンデーションやチーク等の化粧料である場合には、配合組成全成分のうち、粉体成分が好ましくは85〜97質量%、更に好ましくは85〜95質量%含有される。この粉末成分は、例えばタルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等の着色顔料、パール顔料などの光輝顔料を包含する。
粉末混合物20は粉体成分以外の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、固体油性成分、液状油性成分、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、殺菌剤などがある。
本製造方法に従い得られた固形粉末成型物21は、例えばファンデーション、アイシャドウ、アイブロウ、固形白粉、チーク等の固形粉末圧縮化粧料として好適に用いることができる。なお、本製造方法は板状粉体を含む固形粉末成型物であれば、化粧料以外のどのような物品にも利用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。実施例及び比較例における評価方法は以下のとおりである。評価結果を、以下の表1及び図3(a)及び(b)に示す。
(1)耐衝撃性:
縦14mm、横26mmの中皿に充填加圧成型した固形粉末化粧料を容器にセットし、30cmの高さから厚さ25mmのSUS板上に繰り返し落下させた。かけや割れなどの異常が生じるまでの回数により、以下の基準で評価した。
A;15回以上。
B:10〜14回。
C:5〜9回。
D:1〜4回。
(2)使用性:
10人の専門パネラーにより、各固形粉末化粧料を用いたときの、塗布具への粉とれの均一さ、肌へのつきの均一さ、塗布時のしっとり感、なめらかさ、成型された化粧料表面の光輝感・透明感、化粧料の使用による減摩で表面に露出した化粧料内部の光輝感・透明感、塗布膜の光輝感・透明感を官能評価し、下記基準により判定した。
A;7人以上が良いと評価した。
B:4〜6人が良いと評価した。
C:2〜3人が良いと評価した。
D:1人以下が良いと評価した。
(3)写真による光輝感評価
光輝感を評価するため、固形粉末化粧料の表面全体を写真撮影した。その結果を図3に示す。更に、細部を観察するため、固形粉末化粧料の表面を光学顕微鏡で写真撮影した。その結果を図4に示す。顕微鏡下での写真撮影にはKEYENCE製超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK-9500を使用し、倍率20倍で撮影した。照明の方向を撮影方向と同じ方向とすることによって、水平に配向している板状粒子は反射光が強く、明るく観察される。
(4)表面及び内部の光輝感
固形粉末化粧料の表面の光輝感を定量的に評価するため、変角分光光度計による正反射光強度を測定した。板状粒子が水平に配向していると入射光角度に対する正反射方向の光強度が他の角度よりも高くピークを持つ。入射光角度を30度とし、角度0度の散乱光強度をId、正反射光強度をIrとしたとき、Ir/Id>1.75であると、光輝感があると知覚される。
〔実施例1〕
表1に示す粉体成分を混合して80〜90℃に加熱したものに、別途油性成分を80〜90℃に加熱して融解したものを添加し、均一に混合した。冷却した後に粉砕し粉体原料とした。ホソカワミクロン製パウダテスタPT−S型を使用し、この粉体原料のタッピング固め密度を測定した。タッピング動作はストローク18mm、速度50回/分、タッピング回数180回とした。その結果、タッピング固め密度は0.668g/cm3であった。
タッピング固め密度の測定とは別に、粉体原料を図1に示す装置10の凹部に1.5g充填し、加圧成型を行った。先ず、装置10の凹部内に、内寸が幅14.3mm×長さ26mm×高さ3.5mmの浅底の容器を載置し、その後に凹部内に粉体原料を充填した。この状態での粉体原料の高さは11mmであった。容器の断面積と粉体原料の充填量及びタッピング固め密度とに基づいて、タッピング固め密度相当の粉体原料の高さを計算すると6mmとなる。そこで光学センサ17の位置を、この高さ(6mm)よりも1.2mm高い位置、すなわち粉体原料高さが7.2mmとなった時点で超音波振動を印加するように設定した。このときの粉体原料の密度は、タッピング固め密度の83%であった。超音波振動の印加は、粉体原料に加わる荷重が0.68MPaで一定となった時点で終了した。超音波振動の印加時間は0.5秒であった。この後、1秒にわたって前記の荷重を一定して加え続けた後に、上杵16aを上昇させて加圧成型を終了した。装置10における超音波振動素子14a,14bとしては、精電舎電子工業製のランジュバン素子(発振周波数19kHz、最大出力1200W、最大振幅26μm)を用いた。印加した超音波振動の周波数は19kHz、振幅は15μmであった。このようにして固形粉末化粧料としてのアイシャドウを得た。
〔実施例2〕
実施例1において、上杵16aが凹部内の粉体原料の上面に接触する前、具体的には、上杵16aの位置が、粉体原料が充填された時点での高さ(11mm)よりも1.4mm高い位置となった時点で超音波振動を印加するように、光学センサ17を上方に移動して、超音波印加のタイミングを早くした。これ以外は実施例1と同様にして、0.5秒間超音波振動を印加し、固形粉末化粧料としてのアイシャドウを得た。
〔比較例1〕
実施例1において、粉体原料高さが4.1mmとなった時点で超音波振動を印加するように、光学センサ17を下方に移動して、超音波印加のタイミングを遅くした。このときの粉体原料の密度は、タッピング固め密度を超えていた。これ以外は実施例1と同様にして、0.5秒間超音波振動を印加し、固形粉末化粧料としてのアイシャドウを得た。
表1に示す結果から明らかなように、実施例1及び2で得られた固形粉末化粧料は、比較例1に比べて表面の光輝感及び透明感が非常に優れたものであることが判る。また実施例1及び2の方が、比較例1に比べ、板状粉体が水平に配向していることに起因して、正反射光強度が高く、しかも実際に化粧料を使用した後の評価でも、内部まで板状粉体が配向して光輝感が強いという評価であった。実施例1は実施例2に比べ、使用によって表面が減摩し、新たな表面が生じても更に光輝感が強いという評価であった。また、図3を見ると、比較例1は板状粉体がランダムな方向を向いているため、全体に光輝感の強い粒子が極めて少ないのに対し、実施例1及び2は光輝感の強い粒子が多いことが判る。また、実施例1は実施例2に比べ、粒子が均一に存在しており、表面にムラがないことが判る。更に図4(a)と(c)との対比から、実施例1で得られた固形粉末化粧料では水平方向に配向した板状粒子が多く観察されるのに対し、比較例1では板状粒子がランダムな方向を向いていることが判る。
10 タブレット製造装置
12 打錠テーブル
13 成型用金型
14a,14b 超音波振動素子
15a,15b エアシリンダ
16a,16b 成型用杵
20 粉末混合物
21 固形粉末成型体

Claims (6)

  1. 板状粉体を含有する粉体原料を、杵によって超音波振動を印加しながら、加圧成型する工程を含む固形粉末成型体の製造方法であって、
    該杵を介した粉体原料への超音波振動の印加を、該粉体原料の密度がタッピング固め密度に相当する密度未満の間に開始する固形粉末成型体の製造方法。
  2. 板状粉体として、体積平均粒子径が20〜300μmで、アスペクト比が5〜400のものを用い、該板状粉体が粉体原料中に5〜90質量%含有されており、
    印加する超音波振動を、周波数10〜100kHz、振幅5〜100μmに設定する請求項1記載の製造方法。
  3. 成型時に粉体原料に加えられる圧力を、0.3〜3MPaに設定する請求項1又は2記載の固形粉末成型体の製造方法。
  4. 板状粉体として、ガラス及び/又はガラスを基材とするものを用いる請求項1ないし3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の製造方法によって得られる固形粉末成型体。
  6. 成型体の表面に入射角度30度で光線を入射させたときの、角度0度の散乱光強度をIdとし、正反射光強度をIrとしたとき、成型体の表面におけるIr/Idの値が1.75以上である請求項5記載の固形粉末成型体。
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