JP2011011134A - 汚染除去方法および汚染除去剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコーン油などの油脂系汚染物質で汚れた機器や油脂系汚染物質または油溶性汚染物質により汚染された土壌などの被汚染物を、油脂系汚染物質または油溶性汚染物質の種類に拘わらず同じ汚染除去剤を用いて短時間で効果的に除去することが可能な被汚染物の新規な汚染除去方法と汚染除去剤を提供する。
【解決手段】水媒体中で自己組織化して微分散した両親媒性物質の分散液、又は、水媒体中で自己組織化して微分散した両親媒性物質の分散液を用いて油剤を乳化させ得られたエマルションで、被汚染物中の油脂系汚染又は油溶性汚染を除去する。両親媒性物質としては、ポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体を用いる。
【選択図】図2

Description

本発明は、シリコーン油や炭化水素系油などの油脂系汚染物質や油溶性汚染物質が付着した機器や汚染物などの被汚染物からこれらの油脂系汚染や油溶性汚染を除去する場合に有効な汚染除去方法および汚染除去剤に関する。
シリコーン油は、主骨格が−Si−O−Si−のシロキサン結合であり、側鎖にメチル基などの有機部位を有し、無機質と有機質の両方の性質を併せ持っているので、炭化水素系化合物のC−C結合では見られない、耐熱性、耐寒性、耐候性、電気特性、撥水性などの優れた機能性を有しており、例えば、消泡剤や、撥水剤、化粧品などに幅広く利用されている(特許文献1、2、3等参照)。
しかし、シリコーン含有製品を製造する過程で用いられる装置などに付着したシリコーン油は、静電気を帯びやすく、浮遊塵を吸着して汚れが生じやすくなるため、汚染除去することが好ましい。このため、従来においては、汚染除去の際にシリコーン油の種類に応じて最適な界面活性剤を2−3種類選択して使用したり、相溶性があるシロキサン部位を含有したシリコーン型界面活性剤を利用することが行われていた。
また、土壌汚染は、事業所における不適切な化学薬品の管理やガソリンスタンドの地下タンクからの燃料油の漏出のほか、工場で使用される駆動系での潤滑油や燃料となる重油・軽油などの流出に起因して発生しており、深刻な問題となっている。このような土壌汚染に対しては、従来、現場の汚染状況に合わせて、ランドファーミング法、バイオパイル法、バイオペンティング法、など各種のバイオレメディエーション手法とよばれる石油分解微生物を用いた手法によって浄化処理が行われている(特許文献4等参照)。
特開平10−286404号公報 特開2003−277735号公報 特開2000−281523号公報 特開2009−039616号公報
しかしながら、シリコーン油が付着した被汚染物を浄化するにあたり、界面活性剤を用いる場合においては、多量の界面活性剤が必要となり、また、シリコーン型界面活性剤は高価であり、それぞれのシリコーン油の種類に適したシリコーン型界面活性剤を用いなければうまく乳化、除去することができない不都合がある。さらに、シリコーン油は一般的に粘着性が高く僅かに残っても化学的手法だけでは除去するのが難しく、綿棒、綿布等による人手によるふき取りなど、物理的な手段を併用しなくてはならないことが多い。
また、油脂類により汚染された土壌は、従来、微生物を用いていたことから、多くの場合、通気性、透水性の良い土壌が必要になる等、微生物の存在・育成条件が限定され、また、その土地の気候・温度変化などに依存しやすく、培養条件を満たす環境を作り上げるための費用が非常に大きくなる不都合がある。また、高濃度の油脂汚染土壌の処理には長時間(1、2年間)を要し、しかも完全には浄化することは出来ない不都合がある。
油脂類による土壌汚染に対しても、界面活性剤を用いた浄化法が従来から検討されているが、多量の界面活性剤を要することが多く、また、汚染油に対しての界面活性剤の選択が煩雑であるという不都合がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、シリコーン油などの油脂系汚染物質で汚れた機器や油脂系汚染物質又は油溶性汚染物質により汚染された土壌などの被汚染物を、油脂系汚染物質または油溶性汚染物質の種類に拘わらず同じ除去剤を用いて短時間で効果的に除去することが可能な被汚染物の新規な除去方法と除去剤を提供することを主たる課題としている。
従来においては、油脂系汚染物質を除去する場合において、油脂系汚染物質の所要HLBや顆粒表面の性質に応じて界面活性剤を選択し、この界面活性剤を用いて除去を行うようにしていた。
しかしながら、従来の界面活性剤を用いた除去法では、油と水との界面に界面活性剤が吸着し、その界面エネルギーを低下させることを基本としていたので、その界面張力を低下させるために多量の界面活性剤を必要とするものであり、また、最適な界面活性剤を選択するために非常に煩雑かつ多大な労力を有し、まして、多種類の油が混在していると、適切な界面活性剤を選択すること(被汚染物を除去すること)は殆ど不可能であった。
そこで、本発明者らは、油/両親媒性物質/水系の中で独立相として存在する両親媒性物質のナノ粒子をファンデルワールス力により油剤に付着させることで乳化を行なう技術、即ち、油や水の粒子に対して乳化分散剤相のナノ粒子を付着させ、これにより、水相−乳化分散剤相−油相の三相構造を形成し、従来の界面活性剤とは異なり、相溶性による油水界面の界面エネルギーを低下させることなく、熱衝突による合一を起こりにくくして乳化させる新規な乳化技術(以下、三相乳化法という)について先に提案している(特許3855203号、特許3858230号参照)。
このような乳化技術を油脂系汚染物質または油溶性汚染物質の除去に利用すれば、一種類の乳化粒子で、従来の界面活性剤では除去することができないような油汚れを除去することが可能となる。
即ち、本発明に係る汚染除去方法は、水媒体中で自己組織化して微分散した両親媒性物質の分散液で、被汚染物中の油脂系汚染又は油溶性汚染を除去することを特徴としている。
ここで、被汚染物中の油脂系汚染又は油溶性汚染の除去は、前記被汚染物を前記分散液と接触させた状態で攪拌させること、即ち、油脂系または油溶性の汚染物質が付着した被汚染物と水媒体中で自己組織体を形成する両親媒性物質とを水媒体中で接触させる接触工程と、前記被汚染物に対して前記両親媒性物質の相対的な流動状態を形成する攪拌工程とを具備するとよい。
このような構成により、両親媒性物質により形成された自己組織体を油脂系汚染物質で構成する油滴表面又は油溶性汚染物質表面に付着させ、これにより、水相―乳化分散剤相―油相の三相構造を形成して、油脂系汚染物質、又は、油溶性汚染物質を乳化(以下、三相乳化という)させることで汚染物を除去するようにしたものである。自発的に組織体を形成する両親媒性物質においては、油と水の界面張力の違いがありさえすれば(水と油の間にエネルギー差があれば)、ファンデルワールス力により油性成分の表面に付着するため、本発明に係る汚染物除去においては、油/粒子状両親媒性物質/水系の中で独立相として存在する両親媒性物質のナノ粒子をファンデルワールス力によって油脂系汚染物質を構成する油滴表面や油溶性汚染物質表面に付着させ、油滴間に隔壁を生成させることで油脂系汚染物質または油溶性汚染物質を被汚染物から分離させて除去するものである。したがって、界面活性剤によるものと異なり、両親媒性物質のナノ粒子が油滴の周囲に付着することで乳化機能を発現させるものであることから、一種類のナノ粒子を用いて広範囲な種類の油性成分(鉱油、植物油、シリコーン油、炭化水素系油、フッ素系油等)及び油溶成物質を乳化して除去することが可能になる。
このように、本発明に係る汚染除去方法は、前記微分散した両親媒性物質の油滴表面へのファンデルワールス力による付着で発現する乳化作用によって、前記油脂系汚染又は油溶性汚染を前記被汚染物から除去することを特徴とするものである。
また、本発明に係る汚染除去方法は、水媒体中で自己組織化して微分散した両親媒性物質の分散液を用いて油剤を乳化させ得られたエマルションで、被汚染物中の油脂系汚染又は油溶性汚染を除去するようにしてもよい。
ここで、被汚染物中の油脂系汚染又は油溶性汚染の除去は、被汚染物をエマルションと接触させた状態で攪拌させること、即ち、油脂系または油溶性の汚染物質が付着した被汚染物と水媒体中で自己組織体を形成する両親媒性物質によって任意の油剤を水媒体中で乳化させたエマルションとを接触させる接触工程と、前記被汚染物に対して前記エマルションの相対的な流動状態を形成する攪拌工程とを採用してもよい。
このような汚染除去方法は、被汚染物に付着した油脂系汚染物質または油溶性汚染物質を、任意の油剤のエマルション液を汚染除去液として用いることで除去するもので、油性汚れをエマルション中の油剤によって吸収、除去するものである。即ち、両親媒性物質により水媒体中で形成された自己組織体ナノ粒子により任意の油剤を乳化させたエマルションを被汚染物に付着している油脂系汚染物質または油溶性汚染物質と接触させることで、三相乳化している油剤の親和力で被汚染物に付着している油脂系汚染物質または油溶性汚染物質を吸収、除去するものである。このようなエマルション型油剤によって油脂系汚染または油溶性汚染を除去する方法は、油脂類で汚染された土壌や、油脂系汚染物質で汚染されたパイプ内から汚染を除去する場合等でも有効となる。
ここで、上述の水媒体中で自己組織体を形成する両親媒性物質としては、例えば、下記の一般式(化1)で表されるポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体(HCO−E)のうちエチレンオキシドの平均付加モル数(E)が5〜100である誘導体を用いるとよい。
また、汚染除去効果を高めると共に汚染除去に要する時間を短くするために、上述した汚染除去方法を加熱下で行うようにしてもよい。
上述した方法は、特に疎水性油脂系汚染物質において効果があるが、被汚染物に付着した油脂系汚染物質が除去しにくい場合には、被汚染物を水によりすすぎ洗いするすすぎ工程を設け、特に被汚染物がシリコーン油系汚染を受けている場合には、前記すすぎ工程において、被汚染物に対して水によるシャワリングを行うようにしてもよい。
また、特に被汚染物がシリコーン油系汚染を受けている場合には、酸、弱酸、及び中性塩の少なくとも一を用いて前記シリコーン分子中のシロキサン結合を切断するようにしてもよい。このような酸、弱酸、及び中性塩の少なくとも一の使用は、前記分散液を用いる前に行うことが有効である。
さらに、被汚染物が油脂類により汚染された汚染土の場合には、濯ぎ洗いや遠心分離ができないことから、被汚染物中の油脂系汚染又は油溶性汚染の除去後に(前記攪拌工程の後に)、所定時間静置させる静置工程を設けるようにするとよい。また、汚染物質を効果的に除去するために、前記分散液の使用開始から静置工程の一連の工程(前記接触工程、前記攪拌工程、及び、前記静置工程の一連の工程)を繰り返して行うようにしてもよい。この際、汚染土と両親媒性物質ナノ粒子分散液又は両親媒性物質ナノ粒子で安定化されたエマルションとの重量比を1:5以上とし、攪拌時間を3〜10分に設定するとよい。
尚、以上から明らかなように、本発明に係る汚染除去剤としては、水媒体中で両親媒性物質を自己組織化させて微分散した分散液を含むものや、水媒体中で両親媒性物質を自己組織化させて微分散した分散液を用いて油剤を乳化させ得られたエマルションを含むものが用いられる。
以上述べたように、本発明によれば、両親媒性物質により形成された自己組織体を油脂系汚染物質を構成する油滴の表面、又は、油溶性汚染物質の表面に付着させて油脂系汚染物質または油溶性汚染物質を被汚染物から分離除去させることができ、また、乳化させた任意の油剤で被汚染物に付着した油脂系汚染物質、又は、油溶性汚染物質を溶解させることができ、油脂系汚染物質や油溶性汚染物質の種類に拘わらず同じ両親媒性物質を用いて被汚染物から短時間で汚染除去することが可能となる。
図1は、シリコーン油の種類と、それぞれのシリコーン油の動粘度と用途を示した表である。 図2は、溜め洗いによる汚染除去のやり方を示すフローチャートである。 図3は、溜め洗いによる各シリコーン油の除去結果を示す表である。 図4は、溜め洗いが有効でないシリコーン油を分類した表である。 図5は、ストレート型5000/cStについての動粘度と除去時間の温度変化を示す特性線図である。 図6は、シャワーボールから噴射する高圧水により汚染除去する後処理を説明する説明図である。 図7は、図2の処理に対してシャワーボールによる汚染除去を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図8は、前処理の分類表である。 図9は、高粘度シリコーン油にアルコールを添加する処理を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図10は、高粘度シリコーン油に水添ポリイソブテンを添加する処理を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図11は、高粘度シリコーン油にドデシルベンゼンスルホン酸を添加する処理を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図12は、高粘度シリコーン油にカチオン界面活性剤を添加する処理を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図13は、薄膜を形成するシリコーン油に弱酸を添加する処理を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図14は、薄膜を形成するシリコーン油に中性塩を添加する処理を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図15は、ガム状化するシリコーン油に弱酸を添加する処理を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図16は、固形膜を形成するシリコーン油にドデシルベンゼンスルホン酸を添加する処理を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図17は、高粘度シリコーン油又はアミノグリコール変性シリコーン油に膨潤させたベントナイトを添加する処理を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図18は、高粘度シリコーン油又はアミノグリコール変性シリコーン油に膨潤させたベントナイトと中性塩とを添加する処理を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図19は、高粘度シリコーン油又はアミノグリコール変性シリコーン油にフィラーを添加する処理を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図20は、高粘度シリコーン油又はアミノグリコール変性シリコーン油に乳化剤と弱酸とを添加する処理を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図21は、高粘度シリコーン油又はアミノグリコール変性シリコーン油に過剰の酸を添加する処理を加えた汚染除去フローを示すフローチャートである。 図22は、それぞれのシリコーン油に有効な汚染除去方法を列記した表である。 図23は、油汚染土の調製フローを示したフローチャートである。 図24は、HCO−20によるエマルションの調製フローを示したフローチャートである。 図25は、汚染除去後、汚染土とエマルションを分離させるために24時間放置した場合の外観の変化を示す図である。 図26は、図25の汚染除去後のエマルション汚染除去剤による油の除去率を示すグラフである。 図27は、10wt%汚染土と汚染除去用エマルション溶液の重量比を1:5として、汚染除去時間1min〜10minで汚染除去し、24時間放置した場合の外観の変化を示す図である。 図28は、汚染除去時間の変化による汚染油の除去率を測定した図である。 図29は、エマルションの油分を変化させて汚染除去し、24時間放置した場合の外観の変化を示す図である。 図30は、1回目汚染除去を汚染除去用エマルションで汚染除去し、2回目汚染除去を汚染除去用エマルションを使用せずに純水で汚染除去する場合と汚染除去用エマルションで汚染除去する場合とを比較した結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
本発明に係る被汚染物の汚染除去方法に用いる汚染除去剤としては、油脂系汚染物質を構成する油滴の粒子に対して両親媒性物質のナノ粒子を付着させ、これにより、水相―粒子状両親媒性物質―油相の三相構造を形成し、従来の界面活性剤と異なり、相溶性による油水界面の界面エネルギーの低下を必要条件とすることなく、熱衝突による合一を起こりにくくするものが用いられる。
このような汚染除去剤としては、水媒体中で自己組織体(親水性ナノ粒子)を形成する両親媒性物質を用いるのが有効であり、例えば、下記の一般式(化2)で表されるポリオキシエチレン硬化ひまし油誘導体を採用するとよい。硬化ひまし油の誘導体(HCO−E)としては、エチレンオキシドの平均付加モル数(E)が5〜100である誘導体が使用可能である。尚、目的に応じて上記の自己組織体の安定性を向上させるために、上記両親媒性物質と他のイオン性界面活性剤・両性界面活性剤その他の非イオン界面活性剤を併用することも可能である。
このような両親媒性物質を用いて除去することができる油種としては、鉱油、植物油、シリコーン油、炭化水素系油、フッ素系油等、特に限定されるものではない。油滴の表面に自己組織体(親水性ナノ粒子)を付着させることができれば、油種に拘わらず、油脂系汚染物質による汚れを前記三相乳化法により水系で乳化できるので、特に、従来の界面活性剤では除去することができない油汚れを除去する場合に有効である。
以下において、被汚染物がシリコーン油の付着した機器である場合と油脂類により汚染された土壌である場合とについて、それぞれの汚染除去方法を説明する。
[被汚染物がシリコーン油の付着した機器である場合]
被汚染物に付着した油脂系汚染物質としては、図1に示される各種シリコーン油を想定した。ここで、ストレート型シリコーン油として、動粘度500/cSt、5000/cSt、30000/cStの3種類を用い、変性型シリコーン油として、両末端アミノ変性、両末端ポリエーテル変性、アミノポリエーテル変性、高重合型ジメチコノール、アミドアルキル・ポリエーテル変性、アミノ・グリコール変性、アミノフェニル変性、フェニル変性を用いた。また、環状シリコーンとして環状5量体を用い、シリコーンレジンとしてMQレジンを用いた。
尚、被汚染物となる機器としては、真空下での乳化、攪拌試験を行うことができ、乳化槽内の製品を加熱、冷却することが可能であるみづほ工業株式会社製の上下トリプル攪拌型真空乳化攪拌装置(APVT−1−25C型:ホモミキサ:2.2kW、 1000〜8000rpm、パドルミキサ:1.5kW、5〜120rpm、掻取ミキサ:2.2kW、5〜120rpm)を用いた。
I. 攪拌による汚染除去
上述した汚染除去剤と油脂系汚染物質としてのシリコーン油とを用いて、先ず、上記真空乳化装置の容器内にシリコーン油を塗布により付着させて水を溜め、その状態で装置を稼働させて装置内を攪拌して汚染除去を行った。具体的手法を図2に示す。
まず、それぞれのシリコーン油を攪拌槽の内面および攪拌羽根に500g付着し、この攪拌槽に水を20リットル注入して攪拌槽内面や攪拌羽根を水に浸し、攪拌槽内のシリコーン油の濃度が水に対して2.5wt%となるように設定した。
その後、攪拌槽を加熱して水の温度を60℃とし、その状態で、硬化ひまし油の誘導体であるHCO−10を200g(水量に対して1.0wt%)添加し、シリコーン油の付着した被汚染物とHCO−10とを水媒体中で接触させた。
しかる後に、乳化装置を作動させて(ホモミキサを6500rpmで回転させ、パドルミキサと掻取ミキサを100rpmで回転させて)攪拌槽内を攪拌することで、被汚染物に対してHCO−10を含有する水溶液の流動状態を形成することで汚染除去を行った。汚染除去処理時間(攪拌時間)を5分とし、目視により、シリコーン油が除去されていなければ、1時間攪拌を続けた。
その後、被汚染物(攪拌槽の内面および攪拌羽根)を水ですすいで(すすぎ工程)、被汚染物のシリコーン油の付着状態を目視により確認した。
以上の工程による各種シリコーン油を付着させた後の汚染除去結果を図3に示す。図中汚染除去時間の項で「5」と記載されている部分は、5分の攪拌時間で攪拌槽や攪拌羽根から綺麗に除去された場合を示し、△と×は、1時間の攪拌後にシリコーンの付着状態を目視により確認した結果であり、△は、シリコーンの一部が残存していた場合であり、×は、シリコーンの付着状態が攪拌前と変わらず、除去ができなかった状態を示す。
以上の結果から、ストレート型の低動粘度(500/cSt、5000/cSt)のもの、両末端ポリエーテル変性、フェニル変性、環状5量体、MQレジンについては、HCO−10を添加しただけの攪拌によって綺麗に汚染除去ができ、ストレート型の高動粘度のもの、両末端アミノ変性、アミドアルキル・ポリエーテル変性、アミノフェニル変性についてはシリコーンの一部が残存し、アミノポリエーテル変性、高重合型ジメチコノール、アミノ・グリコール変性は、除去が困難であった。
この攪拌で汚染除去できなかったシリコーン油を分類すると、図4に示されるように、高粘度のシリコーン油(ストレート型30000/cSt)、薄膜化するシリコーン油(両末端型/アミノ変性、アミドアルキル・ポリエーテル変性、アミノフェニル変性)、ガム状化するシリコーン油(アミノポリエーテル変性、アミノ・グリコール変性)、固形膜化するシリコーン油(高重合型ジメチコノール)に分類できる。
尚、上述の攪拌によって綺麗に除去できたストレート型5000/cStについて、動粘度と時間の温度変化について調べた結果を図5に示す。この図から分かるように、温度を上げれば動粘度が低くなり、汚染除去に要する時間が短くなることが判るため、温度を調整することも有効であることが確認できた。
II. 後処理
次に、汚染除去が不十分、若しくは、除去ができなかった上述のシリコーン油(図3の△、×で示されるシリコーン油)について、攪拌後の後処理を行った。この後処理は、図6に示すように、水をポンプで圧送してシャワーボールから噴射する高圧水を被汚染物である攪拌槽内壁や攪拌羽根に吹き付け、この吹付けられた水により被汚染物の表面に残存するシリコーン油を除去するものである。
このようなシャワーボールによる汚染除去は、図7に示されるように、すすぎ工程の一貫として採用されるもので、攪拌で除去できなかったシリコーン油のうち、薄膜を形成するシリコーン油(両末端型アミノ変性、アミドアルキル・ポリエーテル変性、アミノフェニル変性)について、シャワーボールによる除去が効果的であることが確認できた。
これに対して、攪拌で効果がなかったシリコーン油のうち、高粘度シリコーン油(ストレート型30000/cSt)と、ガム状物質を形成するシリコーン油(アミノポリエーテル変性、アミノグリコール変性)と、固形化膜を形成するシリコーン油(高重合型ジメチコノール)については、シャワーボールによっても除去できなかった。
III. 前処理
次に、汚染除去が不十分、若しくは、除去ができなかった上述のシリコーン油(図3の△、×で示されるシリコーン油)に対して、HCO−Eを添加して攪拌する前に被汚染物からの油脂系汚染物質の離脱を助成するための前処理を行った。この前処理は、図8に示されるような種々の処理が可能であり、大別すると、高粘度シリコーン油に対する前処理、薄膜状化するシリコーン油に対する前処理、ガム状化するシリコーン油に対する前処理、固形膜を形成するシリコーン油に対する前処理があり、それぞれ、次のような処理を行った。
1.高粘度シリコーン油(ストレート型30000/cSt)に対する前処理
(1)アルコールの添加、EO基の変化
アルコールの添加やポリオキシエチレン硬化ひまし油のエチレンオキシドの平均付加モル数を変化させることで乳化粒子(汚染除去用粒子)の状態を変化させることを試みた。
図9に示されるように、高粘度シリコーン油を50g(2.5wt%相当)付着させた装置内に、水を注入すると共に有機溶媒として用いられるアルコール(2−propanol)を1.0wt%、20g 添加し、その後、60℃まで加熱してHCO−10又はHCO−30を20g(1.0wt%相当)添加して攪拌した(ホモミキサを7500rpm、パドルミキサと掻取ミキサを110rpmで攪拌した)。水によるすすぎは、通常のすすぎを行い、前記シャワーボールによる後処理は行わなかった。
汚染除去結果:高粘度シリコーン油の汚染に対してはアルコールの添加やエチレンオキシドの平均付加モル数の変化で効果は改善されなかった。
(2)水添ポリイソブテンの添加
ストレート型シリコーン油に対して良溶媒である水添ポリイソブテンを添加することで乳化条件を変化させることを試みた。
図10に示されるように、高粘度シリコーン油を50g(2.5wt%相当)付着させた装置内に、水を注入すると共に水添ポリイソブテンを20g(1.0wt%相当)添加し、その後、60℃まで加熱し、HCO−30を20g(1.0wt%相当) 添加して攪拌した(ホモミキサを7500rpm、パドルミキサと掻取ミキサを110rpmで攪拌した)。水によるすすぎは、通常のすすぎを行い、前記シャワーボールによる後処理は行わなかった。
汚染除去結果:高粘度シリコーン油の汚染に対しては水添ポリイソブテンの添加で効果は改善されなかった。
(3)シロキサン結合の切断
シリコーン油は化学的に安定であり、耐熱性、耐気候性に優れている。この安定性は、シロキサン結合(Si−O−Si)の強さによるので、ドデシルベンゼンスルホン酸によって、この結合を切断し、シリコーン油の粘度を下げて汚染除去剤で容易に除去できるようにすることを試みた。
図11に示されるように、高粘度シリコーン油を50g(2.5wt%相当)付着させた装置内に、ドデシルベンゼンスルホン酸を10g(0.5wt%相当)添加して撹拌し(パドルミキサと掻取ミキサを110rpmで攪拌し)、その後、水を添加して60℃まで加熱し、そこにHCO−30を20g(1.0wt%相当)添加してさらに攪拌した(ホモミキサーを7000rpm、パドルミキサと掻取ミキサを110rpmで攪拌した)。水によるすすぎは、通常のすすぎを行い、前記シャワーボールによる後処理は行わなかった。
汚染除去結果:低粘度化された部分は除去できたが、攪拌羽根に付着したシリコーン油は、低粘度化されずに残った。
(4)カチオン界面活性剤の添加
上述したシロキサン結合の切断を行うにあたり、カチオン界面活性剤を添加して効率よく高粘度のシリコーン油を低粘度化させることを試みた。
図12に示されるように、まず、カチオン界面活性剤であるセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CATB)をHCO−30に0.0044g(0.022wt%相当、モル分率:Xs=0.12相当)添加し、エタノールを20g(1.0wt%相当)加えた後に80℃に加熱し、攪拌してエタノールを蒸発させ、陽イオン混合結晶(HCO-30+CTAB)を形成した。
その後、高粘度シリコーン油を50g(2.5wt%相当)付着させた装置内に、この陽イオン混合結晶(HCO-30+CTAB)を添加すると共にドデシルベンゼンスルホン酸を10g(0.5wt%相当)添加し、これに水を添加して、室温又は60℃まで加熱して攪拌した(ホモミキサーを7000rpm、パドルミキサと掻取ミキサを110rpmで攪拌した)。水によるすすぎは、通常のすすぎを行い、前記シャワーボールによる後処理は行わなかった。
汚染除去結果:攪拌羽根に付着したシリコーン油は、依然として低粘度化されずに残った。
2.薄膜状化するシリコーン油に対する前処理
(1)弱酸(酢酸)の添加
薄膜を形成するシリコーン油に対して、弱酸を添加して、シリコーン油がタンク及び攪拌羽根に付着するのを防ぐことを試みた。
図13に示されるように、薄膜状化するシリコーン油を500g(2.5wt%相当)付着させた装置内に、水を注入すると共に弱酸である酢酸を300g(1.5wt%相当)添加し、その後、60℃まで加熱し、HCO−30を200g(1.0wt%相当)添加して攪拌した(ホモミキサーを6500rpm、パドルミキサと掻取ミキサを100rpmで攪拌した)。水によるすすぎは、通常のすすぎを10分行い、前記シャワーボールによる後処理は行わなかった。
汚染除去結果:薄膜状化するシリコーン油のうち、アミドアルキル・ポリエーテル変性シリコーン油や、アミノフェニス変性シリコーン油について、酢酸を添加した場合は、すすぎのみでほぼ完全に除去することが出来た。
(2)中性塩(CaCl)の添加
中性塩を添加して、アミノ変性系シリコーン油がタンク及び攪拌羽根に付着するのを防ぐことを試みた。
図14に示されるように、薄膜状化するシリコーン油を500g(2.5wt%相当)付着させた装置内に、水を注入すると共に中性塩であるCaCl2を300g(1.5wt%相当)添加し、その後、60℃まで加熱し、HCO−30を200g(1.0wt%相当)添加して攪拌した(ホモミキサーを6500rpm、パドルミキサと掻取ミキサを100rpmで攪拌した)。水によるすすぎは、通常のすすぎを10分行い、前記シャワーボールによる後処理は行わなかった。
汚染除去結果:薄膜を形成するシリコーン油のうち、両末端アミノ変性について、CaClを添加した場合は、すすぎのみで良好な結果が得られた。
3.ガム状化するシリコーン油に対する前処理
(1)弱酸(酢酸)の添加
ガム状化するシリコーン油に対して、弱酸を添加して、シリコーン油がタンク及び攪拌羽根に付着するのを防ぐことを試みた。
図15に示されるように、ガム状化するシリコーン油を50g(2.5wt%相当)付着させた装置内に、水を注入すると共に弱酸である酢酸を10g(0.5wt%相当) 添加し、その後、60℃まで加熱し、HCO−30を20g(1.0wt%相当)添加して20分攪拌した(ホモミキサーを7000rpm、パドルミキサと掻取ミキサを110rpmで攪拌した)。水によるすすぎは、通常のすすぎを行い、前記シャワーボールによる後処理は行わなかった。
汚染除去結果:ガム状化するシリコーン油のうち、アミノポリエーテル変性シリコーン油について、酢酸を添加した場合は、すすぎのみで良好な結果が得られた。アミノ・グリコール変性シリコーン油について、同じ条件で行ったものでは、若干ではあるが、攪拌羽根にシリコーン油の付着した状態が残った。
4.固形膜化するシリコーン油の除去
(1)粘度を下げる
ドデシルベンゼンスルホン酸によって、シリコーン油の粘度を下げ、汚染除去剤で容易に洗い流せるようにすることを試みた。
図16に示されるように、固形膜化するシリコーン油を50g(2.5wt%相当)付着させた装置内にドデシルベンゼンスルホン酸を10g(0.5wt%相当)添加し、パドルミキサと掻取ミキサを110rpmで攪拌し、その後、水を添加し、加熱せずに(加熱すると重合するため)HCO−30を20g(1.0wt%相当) 添加し、さらに酢酸を10g(0.5wt%相当)添加し、攪拌した(ホモミキサーを7000rpm、パドルミキサと掻取ミキサを110rpmで攪拌した)。水によるすすぎは、通常のすすぎを行い、前記シャワーボールによる後処理は行わなかった。
汚染除去結果:固形化膜を形成するシリコーン油である高重合型ジメチコノールについて、ドデシルベンゼンスルホン酸と酢酸を添加した場合には、すすぎのみで良好な結果が得られた。
5.以上の処理で汚染除去できなかったストレート型30000/cStと、アミノ・グリコール変性については、さらに次のような前処理を加えた除去を試みた。
(1)ベントナイトの添加
水に膨潤させたベントナイトを添加し、シリコーン油を研磨作用で除去することを試みた。
図17に示されるように、シリコーン油を50g(2.5wt%相当)付着させた装置内に、水を注入すると共に膨潤させたベントナイトを添加し、その後、60℃まで加熱し、HCO−30を20g(1.0wt%相当) 添加して攪拌した(ホモミキサーを7000rpm、パドルミキサと掻取ミキサを110rpmで攪拌した)。水によるすすぎは、通常のすすぎを行い、前記シャワーボールによる後処理は行わなかった。
汚染除去結果: ベントナイトの濃度が2.5wt%以上では、攪拌羽根にベントナイトが付着する現象が見られた。
(2)ベントナイト+中性塩(カルシウム塩 or カリウム塩)の添加
水に膨潤させたベントナイトを添加し、シリコーン油を研磨作用で除去すると共に、中性塩を添加してシリコーン油がタンク及び攪拌羽根に付着するのを防ぐことを試みた。
図18に示されるように、シリコーン油を50g(2.5wt%相当)付着させた装置内に水を注入した後、膨潤させたベントナイトを添加すると共に、塩化カルシウム(CaCl)、又は、塩化カリウム(KCl)を添加し、その後、60℃まで加熱し、HCO−30を20g(1.0wt%相当)添加して攪拌した(ホモミキサーを7000rpm、パドルミキサと掻取ミキサを110rpmで攪拌した)。水によるすすぎは、通常のすすぎを行い、前記シャワーボールによる後処理は行わなかった。
汚染除去結果: 塩化カルシウムの濃度が高いときでは発泡し、泡の付着が見られた。いずれの濃度の場合においても、完全に除去することはできなかった。これに対して、塩化カリウムにおいて、塩化カルシウムの場合に比べて泡の付着は少なかったが、いずれの濃度の場合においても、完全に除去することはできなかった。
(3)フィラー(Talc、CaSO、CaCO)の添加
図19に示されるように、シリコーン油を50g(2.5wt%相当)付着させた装置内に、水を注入すると共にTalc、CaSO、又は、CaCOを添加し、その後、60℃まで加熱し、HCO−30を20g(1.0wt%相当)添加して攪拌した(ホモミキサーを7000rpm、パドルミキサと掻取ミキサを110rpmで攪拌した)。水によるすすぎは、通常のすすぎを行い、前記シャワーボールによる後処理は行わなかった。
汚染除去結果: いずれの場合もシリコーン油を完全に除去することはできなかった。
(4)乳化剤+酢酸の添加
図20に示されるように、シリコーン油を50g(2.5wt%相当)付着させた装置内に水を注入した後、ヒドロキシエチルセルロース(HEC SP 400 又は HEC SP 900)、又は、3SV−10を2000g(0.1wt%相当)添加すると共に、酢酸を30g(1.5wt%相当) 添加し、その後、60℃まで加熱して攪拌した(ホモミキサーを7000rpm、パドルミキサと掻取ミキサを110rpmで攪拌した)。水によるすすぎは、通常のすすぎを行い、前記シャワーボールによる後処理は行わなかった。
汚染除去結果:いずれの乳化剤を用いた場合でも、完全に除去することはできなかった。
(5)過剰の酸を添加
図21に示されるように、シリコーン油を50g(2.5wt%相当)付着させた装置内に水を注入した後、酢酸を100g(5.0wt%相当)添加するか、ドデシルベンゼンスルホン酸を50g(2.5wt%相当)添加し、その後、60℃まで加熱してHCO−30を20g (1.0wt%相当)添加し、攪拌した(ホモミキサーを7000rpm、パドルミキサと掻取ミキサを110rpmで攪拌した)。水によるすすぎは、通常のすすぎを行い、前記シャワーボールによる後処理は行わなかった。
汚染除去結果:酢酸を過剰に入れた場合には、攪拌羽根にシリコーン油の付着が若干残ったが、ドデシルベンゼンスルホン酸を過剰に入れた場合には、攪拌とすすぎのみで、ほぼ完全な除去が可能であった。
以上の結果をまとめると、図22に示されるように、シリコーン油の種類に応じて、有効な除去方法を見出すことができ、攪拌をベースとし、これで除去が不十分であったもの又は除去できなかったものは、後処理または前処理を加えることで効果的に除去することが可能であった。
[被汚染物が油脂類や油溶性物質により汚染された土壌である場合]
次に、油脂類や油溶性物質により汚染された土壌の汚染除去効果を確認するために、モデル土にモデル汚染油を混練りして油汚染土を調製し、これに水媒体中で自己組織体を形成する両親媒性物質を用いて調製したエマルションからなる油脂系汚染除去剤を添加してモデル土からの汚染除去を試みた。
モデル土
モデル土として、市販の鹿沼土を乾燥機に入れ約1500℃で加熱処理した。その後、粉砕機で粉砕し粒子径50〜1000μmになるようにふるい分けしたものをモデル土として用いた。
汚染モデル油
汚染モデル油として、和光(株)より購入した流動パラフィンをそのまま使用した。
(密度0.85〜0.88 g/cm3 、凝固点−15℃以下)
両親媒性物質
水媒体中で自己組織体を形成する両親媒性物質として、三鎖型で非イオン性であるポリオキシエチレン硬化ひまし油誘導体であるHCO−20(1820g/cm3 )を日光ケミカルズ(株)から購入してそのまま用いた。
着色料
汚染油の除去など油成分の分量を評価するために、油溶性染料を用いた。1一(O-tolylazo)-2-naphthol (以下、Orange OTという(Mw=262.31)) ((株 )ALDRICH)を添加した。構造式を以下に示す。
1.油汚染土の調製
所定の重量パーセントになるように汚染油を秤量し、図23に示されるように、クロロホルムに溶解させてモデル土と撹持機で混練した。窒素ガスでクロロホルムを完全に除去して調製した。また、汚染油はOrange OTを10mmo1/dm3 になるように予め流動パラフィンに溶かし着色させたものを使用した。
2.HCO−20分散液の調製とHCO−20によるエマルションの調製
図24に示されるように、水に所定の濃度のHCO−20を加え、マグネチックスターラーで20分間攪拌してHCO−20分散液(三相乳化用のベシクル粒子)を調製した。
その後、HCO−20分散液を質量分率Wo=Xとなるように油剤を添加し、ホモミキサー(DIAX900 株式会社アーンスト・ハンセン商会)を用いて16000rpmで10分間攪拌し、エマルション液を調製した。このエマルション液を油汚染除去剤として使用した。
3.油汚染土からの汚染除去方法
所定の重量パーセントになるように調製した油汚染土と上述のように調製したエマルション(Wo=0 .5)の重量比を1:2〜1:6に変化させて攪拌時間5minで所定量の油汚染土(油汚染土中の油重量パーセントは10wt%)に対して試験を行った。攪拌後、エマルションと油汚染土を分離させるための遠心分離機は使用しないで、24時間静置した。その様子を図25に示す。
これから解るように、1:2 . 1:3 . 1:4 の実験では、油汚染土とエマルションが混ざってしまい24時間静置しても土が沈降せず分離できないことがわかった。これは、油汚染土に対してエマルションが少なすぎたことが原因として考えられる。
エマルションによる油の除去率を図26に示す。図26から汚染油の除去率は重量比1:5、1:6による実験で50〜60%の除去率が確認された。攪拌時間5minにおいては、重量比1:5以上で汚染除去効果が期待できることがわかった。
4.油汚染土の攪拌時間の検討
次に、油汚染土(油汚染土中の油重量パーセントは10wt%)とエマルションの重量比を1:5として、攪拌時間1min〜10minで処理し、時間の変化による汚染油の除去率を測定した。結果を図27に、汚染油の除去率を図28に示す。
この結果から、重量比が1:5の攪拌時間1min〜10minでは、時間の変化によって汚染土とエマルションの分離性悪化は見られなかった。また、1min〜10minの除去率は約50%の結果が得られた。図28で示すように、攪拌時間による除去率の差は攪拌時間1min、2minでは、わずかに低いが、3min以上で除去率が一定になり効果的にエマルションが油汚染土から汚染除去できた。また、攪拌時間を20min、30minとした結果、エマルションと土が混合してしまい、24時間経過しても土が沈降しなかった。以上の結果、効果が期待できる重量比は1:5以上であり、より効果的な攪拌時間は、3〜5分であることが判った。
5.エマルションの油分濃度の検討
つぎにエマルションの油分濃度を変化させて、汚染除去性能を検討した。攪拌時間3minとし、重量比(soil:emulsion)1:5でエマルションの油分濃度をWo=10、20、30、40、50、60、70wt%に変化させた。油分を含まない、0.5wt%HCO−20分散液と水単独のものも検討した。その外観を図31に示す。
油分濃度70wt%では、土がエマルションと混合してしまい24時間静置したが、土が沈降しなかったため除去率は求められなかった。油分濃度=10〜60wt%では、図32に示すように20wt%のエマルションを用いたとき、もっとも効果的に処理できた。また、三回目では除去率が平均5%以下となっていることから、三相乳化法によるエマルション型油汚染除去剤では二回目で十分な効果が得られていると考えられる。
水単独では一回目で約10%以下の除去率を示し、二回目では1%以下の除去率を確認したことから、水単独では油汚染土を清浄化できないことがわかった。処理後乾燥させた土の外観は、いずれの油分濃度でも大きな差異がなく、また、汚染される前の土と変わらないくらい清浄化されていた。油分を含まないベシクル粒子液の0.5wt%HCO−20分散液による油汚染除去実験では、一回で40%前半の除去率が得られ二回目でも約20%の除去率が得られた。分散液でもエマルションの場合と同等の効果が得られることから、微粒子分散液によるものでも油汚染土から汚染除去できることがわかった。しかし、汚染油が時間の経過などにより固化・酸化されているなどの場合には、溶媒効果が期待できるためにエマルション液による汚染除去がより有効になると考えられる。
6.複数回処理の検討
1回目をエマルションで行い、2回目をエマルションを使用せずに純水だけ用いた場合と、エマルションを使用した場合とを比較した結果を図32に示す。2回目を純水だけ使用した結果、その除去率は平均15%以下であったことから、二回目をエマルションで処理する場合よりも汚染除去率が低下した。
7.総括
以上の結果から、油汚染土から汚染除去する最適な条件は、以下の条件であった。
油汚染量(土に対する油の割合) 〜10wt% の場合
エマルション中の油分濃度 Wo=0.2
油汚染土:エマルション 1:5
処理時間 3〜10分
処理回数 2回
もちろん、本願明細書中に開示した油汚染土からの汚染除去実験例は、前記のように、市販の鹿沼土を乾燥機に入れ約1500℃で加熱処理し、その後、粉砕機で粉砕し粒子径50〜1000μmの粒度分布にある土を使用しての限定的結果であり、したがって、そこで得られる知見はあくまで相対的なものとならざるを得ない。現実に対象とされる汚染土には様々な形状、性状、物性等、無限に近い存在態様があることから、それら全てを網羅的に実験することは不可能であって、例示が少ないからといって汚染土からの汚染除去に係る発明に関して得られた知見は、本願明細書中に開示のない範囲を排除することにはならない。

Claims (18)

  1. 水媒体中で自己組織化して微分散した両親媒性物質の分散液で、被汚染物中の油脂系汚染又は油溶性汚染を除去することを特徴とする汚染除去方法。
  2. 前記被汚染物を前記分散液と接触させた状態で攪拌させることを特徴とする請求項1記載の汚染除去方法。
  3. 前記微分散した両親媒性物質の油滴表面へのファンデルワールス力による付着で発現する乳化作用によって、前記油脂系汚染又は油溶性汚染を前記被汚染物から除去することを特徴とする請求項1又は2記載の汚染除去方法。
  4. 水媒体中で自己組織化して微分散した両親媒性物質の分散液を用いて油剤を乳化させ得られたエマルションで、被汚染物中の油脂系汚染又は油溶性汚染を除去することを特徴とする汚染除去方法。
  5. 前記被汚染物を前記エマルションと接触させた状態で攪拌させることを特徴とする請求項4記載の汚染除去方法。
  6. 前記エマルション中の分散粒子が前記油脂系汚染又は油溶性汚染の汚染面への付着で発現する、前記エマルション中の油剤の前記油脂系汚染又は油溶性汚染に対する親和作用によって、前記油脂系汚染又は油溶性汚染を前記被汚染物から吸着、除去することを特徴とする請求項4又は5記載の汚染除去方法。
  7. 前記両親媒性物質は、下記の一般式(化1)で表されるポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体のうちエチレンオキシドの平均付加モル数(E)が5〜100である誘導体である請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の汚染除去方法。
  8. さらに加熱下で行なわれることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の汚染除去方法。
  9. さらに前記被汚染物のすすぎ工程を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の汚染除去方法。
  10. 前記被汚染物がシリコーン油系汚染を受けている場合、前記すすぎ工程において、前記被汚染物に対して水によるシャワリングを行うことを特徴とする請求項9記載の汚染除去方法。
  11. 前記被汚染物がシリコーン油系汚染を受けている場合、酸、弱酸、及び中性塩の少なくとも一を用いて前記シリコーン分子中のシロキサン結合を切断することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の汚染除去方法。
  12. 前記酸、弱酸、及び中性塩の少なくとも一の使用は、前記分散液を用いる前に行うことを特徴とする請求項11記載の汚染除去方法。
  13. 前記被汚染物中の油脂系汚染又は油溶性汚染除去後に、所定時間静置させる静置工程をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の汚染除去方法。
  14. 前記分散液の使用開始から前記静置工程の一連の工程を繰り返すことを特徴とする請求項13記載の汚染除去方法。
  15. 前記被汚染物が汚染土の場合、汚染土と前記エマルションとの重量比を、1:5としたことを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の汚染除去方法。
  16. 前記攪拌させる時間を3〜10分に設定したことを特徴とする請求項2又は5記載の汚染除去方法。
  17. 水媒体中で両親媒性物質を自己組織化させて微分散した分散液を含む汚染除去剤。
  18. 水媒体中で両親媒性物質を自己組織化させて微分散した分散液を用いて油剤を乳化させ得られたエマルションを含む汚染除去剤。


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