JP2011006027A - ブレーキ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 負圧の十分な確保が難しい車両において、既存のブレーキシステムからの変更を抑制することができるブレーキ制御装置を提供すること。
【解決手段】 マスタシリンダ3とは別の液圧源であるポンプ212によってブレーキ液圧を発生させるためのVDC液圧回路30と、マスタシリンダ3とVDC液圧回路30との間のブレーキ液路に設けられ、ホイルシリンダ5に対してマスタシリンダ3及び液圧源であるポンプ212とは別の液圧源であるポンプ10によってブレーキ液圧を発生させるためのポンプアップ倍力用液圧回路2を備えた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ブレーキ制御装置の技術分野に属する。
従来では、アンチロックブレーキ制御や車両の姿勢安定化制御、ブレーキアシストを行うブレーキのシステムにおいて、ハイブリッド車両のようにブレーキブースタが十分な負圧を得られない場合に、ポンプアップにより制動力を確保している。また、このポンプアップによって回生協調時の制動力の確保を行っている。
特開2007−288905号公報
しかしながら、従来では、既存のブレーキシステムに対して、大きな変更を強いるという課題がある。詳細には、負圧による倍力が十分得られないことによって、ポンプアップによる倍力頻度が高くなることが、装置の大型化や駆動負荷を高めることになり、また、回生協調時などへの対応から装置が複雑化することなどによるものである。
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、負圧の十分な確保が難しい車両において、既存のブレーキシステムからの変更を抑制することができるブレーキ制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、ドライバのブレーキ操作に応じてホイルシリンダに対してブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダ及び前記ホイルシリンダ間のブレーキ液路に設けられ前記ホイルシリンダに対して前記マスタシリンダとは別の液圧源によってブレーキ液圧を発生させるための第1の液圧ユニットと、前記マスタシリンダと前記第1の液圧ユニットとの間のブレーキ液路に設けられ、前記ホイルシリンダに対して前記マスタシリンダ及び前記液圧源とは別の液圧源によってブレーキ液圧を発生させるための第2の液圧ユニットと、を備えたことを特徴とする。
よって、本発明にあっては、負圧の十分な確保が難しい車両において、既存のブレーキシステムからの変更を抑制することができる。
実施例1のブレーキ制御装置の液圧回路図である。 実施例1のブレーキ制御装置のVDC液圧回路の液圧回路図である。 実施例1のブレーキ制御装置のコントロールユニットで実行されるポンプアップ倍力の制御を含むブレーキ制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1における通常ブレーキ状態の増圧時・保持時・減圧時の制御内容を示す表図である。 実施例1における通常ブレーキ状態、回生協調時の液圧、液溜り液量、各弁状態、モータ駆動状態のタイムチャートである。 実施例1におけるマスタシリンダ圧とホイルシリンダ圧の関係の一例を示すグラフ図である。 実施例1における通常ブレーキ状態の増圧時・保持時・減圧時の制御内容を示す表図である。 実施例1における通常ブレーキ状態の急増圧時とシステムフェール時の制御内容を示す表図である。 実施例1における通常ブレーキ状態の急増圧時の液圧、液溜り液量、各弁状態、モータ駆動状態のタイムチャートである。 実施例1におけるフェール制御時の液圧、液溜り液量、各弁状態、モータ駆動状態のタイムチャートである。 実施例1における自動ブレーキ時の制御内容を示す表図である。 実施例1における自動ブレーキ時の液圧、液溜り液量、各弁状態、モータ駆動状態のタイムチャートである。 実施例2のブレーキ制御装置の液圧回路図である。 実施例2におけるマスタシリンダ圧制御弁の構造を開弁状態と閉弁状態とともに示す説明図である。 実施例2における自動ブレーキ時の制御内容を示す表図である。 実施例2における自動ブレーキ時の液圧、液溜り液量、各弁状態、モータ駆動状態のタイムチャートである。
以下、本発明のブレーキ制御装置を実現する実施の形態を、実施例に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のブレーキ制御装置の液圧回路図である。
以下の説明において、4つの車輪FL,FR,RL,RRのそれぞれに対応して設けられている構成については、a,b,c,dの記号を添えて区別する。つまり、aは前左輪FL、bは前右輪FR、cは後左輪RL、dは後右輪RRに対応する構成を示す。
ブレーキペダル1は、運転者の操作力(踏力)により作動し、運転者のブレーキ操作をマスタシリンダ3へ伝達する。
ポンプアップ倍力用液圧回路2は、マスタシリンダ3からのブレーキ液圧を所定の倍力比で高めて、後述するVDC液圧回路30へ供給する液圧回路ユニットである。詳細構成は後述する。
マスタシリンダ3は、ブレーキペダル1の操作によりブレーキ液圧をマスタシリンダ圧として発生させ、2系統の液路101p,101sによりポンプアップ倍力用液圧回路2へ送る。なお、この2系統をp系統、s系統とし、この2系統に対応して設けられる構成については、p,sの記号を添えて区別する。
リザーバタンク4は、ブレーキ液を貯留するタンクであり、マスタシリンダ3に接続する。
実施例1では、マスタシリンダ3からのブレーキ液を、ポンプアップ倍力用液圧回路2を介して、VDC液圧回路30へ送るようにする。
VDC液圧回路30は、ホイルシリンダ5へのブレーキ液圧を制御することにより、車両の姿勢を安定させるために、車輪に制動を与えて走行安定性を向上させる車両挙動制御(以下、VDCという)を行う液圧回路である。また、VDC液圧回路30は、制動時に、車輪ロックを防止して車両の挙動を安定させ、制動距離の短縮を行うアンチスキッドブレーキ(以下、ABSという)装置としても機能するものとする。
ホイルシリンダ5(5a〜5d)は、VDC液圧回路30から供給されるブレーキ液により、ホイルシリンダ圧を発生させ、制動動作を各輪で行う。
次にポンプアップ倍力用液圧回路2の液圧回路構成について説明する。
マスタシリンダからポンプアップ倍力用液圧回路2へ接続されるブレーキ液路は、ブレーキ液路102p,102sと、ブレーキ液路103p,103sにそれぞれ分岐し、ポンプ10及びチェック弁14の下流で合流して、VDC液圧回路30へ接続する液路構成である。
このブレーキ液路102p,102sは、マスタシリンダ圧制御弁6(6p,6s)を設ける。
マスタシリンダ圧制御弁6(6p,6s)は、コントロールユニット20からの指令電流により開閉を行う、常閉の電磁弁である。また、コイルに流れる電流値によりバルブ開度が比例的に変化する、いわゆる比例弁である。
そして、マスタシリンダ圧制御弁6は、マスタシリンダ圧を制御するとともに、マスタシリンダ3からのブレーキ液をポンプ10の吸入側へ供給、又は、遮断する動作を行う。また、マスタシリンダ3と、倍力圧制御弁7及び液溜り9との間を断続する動作を行う。
ブレーキ液路104p,104sは、上流端をマスタシリンダ圧制御弁6とポンプ10の間のブレーキ液路102p,102sへ接続する。下流端はバイパス弁8の下流のブレーキ液路103p,103sへ接続する。
ブレーキ液路104p,104sには、倍力圧制御弁7(7p,7s)を設ける。倍力圧制御弁7(7p,7s)は、コントロールユニット20からの指令電流により開閉を行う、常閉の電磁弁である。また、コイルに流れる電流値によりバルブ開度が比例的に変化する、いわゆる比例弁である。そして、倍力圧制御弁7は、ポンプ10の吐出側、あるいは、ホイルシリンダ5と液溜り9の間を連通、又は遮断する動作を行い、ポンプ10の吐出圧、あるいはホイルシリンダ圧を制御する。
ブレーキ液路103(103p,103s)には、バイパス弁8(8p,8s)を設ける。バイパス弁8(8p,8s)は、コントロールユニット20からの指令電流により開閉を行う、常開の電磁弁である。バイパス弁8は、この開閉動作により、マスタシリンダ3とホイルシリンダ5との間を断続する動作を行う。
ブレーキ液路104p,104sには、液溜り9(9p,9s)を設ける。液溜り9(9p,9s)は、倍力圧制御弁7から送られるブレーキ液を一時的に蓄える。
マスタシリンダ圧制御弁6の下流のブレーキ液路102p,102sには、ポンプ10を設ける。ポンプ10(10p,10s)は、モータ11により駆動され、液溜り9に蓄えられたブレーキ液を吸入、またはマスタシリンダ圧制御弁6を介してマスタシリンダ3からブレーキ液を吸入し、ホイルシリンダ5の側へ増圧し吐出する。ポンプ10としては、ギヤ式ポンプやプランジャ式ポンプを挙げておく。
モータ11は、コントロールユニット20からの指令電流により回転数制御され、ポンプ10p,10sの共通の駆動源としてポンプ10を駆動する。モータ11としてはブラシレスDCモータを例として挙げておく。
チェック弁14の下流のブレーキ液路102p,102sには、ポンプ吐出圧センサ12(12p,12s)を設ける。ポンプ吐出圧センサ12(12p,12s)は、ポンプ10の吐出圧を検出し、検出した値をコントロールユニット20に入力する。
ブレーキ液路102p,102sとブレーキ液路103p,103sの分岐点より上流のブレーキ液路には、マスタシリンダ圧センサ13を設ける。マスタシリンダ圧センサ13は、マスタシリンダ圧を検出し、検出した値をコントロールユニット20に入力する。
ポンプ10より下流のブレーキ液路102p,102sには、チェック弁14(14p,14s)を設ける。チェック弁14(14p,14s)は、ホイルシリンダ5の側からポンプ10の吐出側への逆流を防止する。
コントロールユニット20は、ポンプ吐出圧センサ12、マスタシリンダ圧センサ13から送られる検出値、及び車両から送られる走行状態に関する情報が入力され、内蔵されるプログラムに基づき、マスタシリンダ圧制御弁6、倍力圧制御弁7、バイパス弁8、モータ11を制御する。
次に、VDC液圧回路30については、既存のものを用いるが、一例を以下に示す。
図2は実施例1のブレーキ制御装置のVDC液圧回路の液圧回路図である。
VDC液圧回路30は、p系統、s系統からなるいわゆるX配管構造にしている。
イン側ゲート弁206は、VDC液圧回路30のVDCコントローラ220からの指令電流で開閉する常閉の制御弁であり、自動制動制御時及びアシスト制御時に、にポンプアップ倍力用液圧回路2からブレーキ液を取り込むブレーキ液路223(223p,223s)を形成するために開弁する制御弁である。
アウト側ゲート弁207は、VDCコントローラ220からの指令電流で開閉する常開の制御弁であり、自動制御時及びアシスト制御時に、ブレーキ液路218(218p,218s)を、ポンプ212からのブレーキ液をホイルシリンダ5へ送るために閉弁する制御弁である。なお、その際に、ホイルシリンダ圧の目標圧の制御のために開閉が制御される。
増圧制御弁208は、各輪に対応して設けられ(208a〜208d)、ポンプアップ倍力用液圧回路2からのブレーキ液路218(218p,218s)を分岐させ、ホイルシリンダ5(5a〜5d)へ送るブレーキ液路219(219a〜219d)の途中に設けられる常開の制御弁である。この増圧制御弁208は、マスタシリンダ3からポンプアップ倍力用液圧回路2を介して、ホイルシリンダ5へブレーキ液を供給して増圧する弁となる。
減圧制御弁209は、各輪に対応して設けられ(209a〜209d)、増圧制御弁208からホイルシリンダ5へのブレーキ液路の途中から分岐させたリターン路220(220a〜220d)に設けられる常閉の制御弁である。この減圧制御弁209は、ホイルシリンダ5へ供給されたブレーキ液によるホイルシリンダ圧を減圧する弁となる。
リザーバ210は、各系統に対応して設けられ(210p、210s)、リターン路220のうちの2つを合流させたリターン路221(221p,221s)に接続され、リターン路221で逃がされたブレーキ液を一時的に収容する。
ポンプ212は、各系統に対応して設けられ(212p,212s)、リザーバ210へ取入口側を接続し、ブレーキ液路218からブレーキ液路219への分岐部に接続されたブレーキ液路224(224p,224s)へ吐出口を接続するように設けられる。そしてモータ213の駆動で、吐出口からブレーキ液を吐出する作動を行う。
モータ213は、制御により、p系統のポンプ212pとs系統のポンプ212sを駆動する。
チェック弁214は、各系統に対応して設けられ(214p,214s)、リザーバ210からポンプ212の取入口及びブレーキ液路223への液路の移動を許可し、リザーバ210への液路の移動を禁止する逆止弁である。
チェック弁215は、各系統に対応して設けられ(215p,215s)、ポンプ212の取入口への液路の移動を許可し、ポンプ212の取入口からの液路の移動を禁止する逆止弁である。
チェック弁216は、各系統に対応して設けられ(216p,216s)、ポンプ212の吐出口からブレーキ液路224(224p,224s)への液路の移動を許可し、ブレーキ液路224からポンプ212への液路の移動を禁止する逆止弁である。
チェック弁225は、各系統に対応して設けられ(225p,225s)、アウト側ゲート弁207をバイパスするよう設けられる。そして、ブレーキ液路217からブレーキ液路218への液路の移動を許可し、ブレーキ液路218からブレーキ液路217への液路の移動を禁止する逆止弁である。
チェック弁229は、各輪に対応して設けられ(229a〜229d)、増圧制御弁208をバイパスするよう設けられる。そして、ホイルシリンダ5からブレーキ液路219への液路の移動を許可し、ブレーキ液路219からホイルシリンダ5への液路の移動を禁止する逆止弁である。
センサ226は、ポンプ212pからの送出圧を検出するセンサである。
センサ227は、アウト側ゲート弁227pの下流のブレーキ液路218pの液圧を検出するセンサである。
センサ228は、ポンプアップ倍力用液圧回路2からの送出圧をブレーキ液路217pで検出するセンサである。
次に、コントロールユニット20で実行されるブレーキ制御処理について説明する。図3は実施例1のブレーキ制御装置のコントロールユニット20で実行されるポンプアップ倍力の制御を含むブレーキ制御処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
ステップS101では、ドライバのブレーキペダル1の操作により発生するマスタシリンダ圧や車両から送られる走行状態に関する情報等に基づきポンプアップ倍力の制御を行うかどうかを判断し、ポンプアップ倍力の制御を行うならばステップS102へ移行し、ポンプアップ倍力の制御を行わないならばステップS104へ移行する。
ステップS102では、状況に応じて、図4、図7、図8、図11に示す方法によって、各弁及びモータ11を制御する。この処理の詳細は後述する。
ステップS103では、ポンプアップ倍力の制御が終了したかどうかを判断し、終了したならばステップS204へ移行し、終了していないならばステップS202へ移行し、引き続きポンプアップ倍力の制御を行う。
ステップS104では、マスタシリンダ圧制御弁6を閉状態にし、倍力圧制御弁7を閉状態にし、バイパス弁8を開状態にし、モータ11をオフにし、本制御を終了する。
[ステップS102における制御内容]
ステップS102における制御内容について説明する。なお、制御内容が明確になるように一部作用を含め説明する。以下の説明において、ポンプアップ倍力用液圧回路2からVDC液圧回路30への供給圧は、ホイルシリンダ圧と同じになるので、ホイルシリンダ圧として説明する。
(通常ブレーキ時)
図4は実施例1における通常ブレーキ状態の増圧時・保持時・減圧時の制御内容を示す表図である。図5は実施例1における通常ブレーキ状態、回生協調時の液圧、液溜り液量、各弁状態、モータ駆動状態のタイムチャートである。
通常ブレーキ状態の増圧時では、ポンプアップ倍力用液圧回路2において、モータ11をオン状態にし、マスタシリンダ圧制御弁6、倍力圧制御弁7を中間開度にし、バイパス弁8を閉状態にする。液溜り9には液溜りのない状態となる。
この状態では、図5のt81〜t82に示すように、マスタシリンダ圧に対して所定の倍力比となるホイルシリンダ圧を発生させる。
つまり、マスタシリンダ圧制御弁6では、その前後圧を所定の圧力差となるように制御した中間開度にして、ブレーキ液路104によりポンプ10の吸入側にブレーキ液を送りつつ、マスタシリンダ圧とポンプ10の吸入側の圧力比(図6を参照)を所定の値にする。そして、倍力圧制御弁7では、閉又は中間開度にして、ホイルシリンダ圧の液圧を制御する。
例えば、マスタシリンダ圧制御弁6の中間開度の制御においては、開度を制御してもよいが、コントロールユニット20からの指令電流を、所定の開度を目標として制御するのではなく、マスタシリンダ圧制御弁6における前後圧、つまりマスタシリンダ圧とポンプ10の吸入側圧の差圧を所定圧につり合わせるようマスタシリンダ圧制御弁6のアーマチュアへ与える電磁力を制御してもよい。
次に通常ブレーキ状態の保持時では、ポンプアップ倍力用液圧回路2において、モータ11をオフ状態にし、マスタシリンダ圧制御弁6、倍力圧制御弁7、バイパス弁8を閉状態にする。これにより、図5のt82〜t83、t86〜t87に示すように、マスタシリンダ圧及びホイルシリンダ圧を保持する。
次に通常ブレーキ状態の減圧時では、ポンプアップ倍力用液圧回路2において、モータ11をオフ状態にし、マスタシリンダ圧制御弁6、倍力圧制御弁7を中間開度にし、バイパス弁8を閉状態にする。
この状態では、図5のt87〜t88に示すように、倍力圧制御弁7を中間開度にして、ブレーキ液路104によりホイルシリンダ圧を抜くようにする。そのため、液溜り9では、ホイルシリンダ5からのブレーキ液が溜まる。
さらに、マスタシリンダ圧制御弁6を中間開度に制御して、ブレーキ液路102により、マスタシリンダ3へブレーキ液を戻す。これにより液溜り9のブレーキ液はマスタシリンダ3へ戻る。
この際に、例えばマスタシリンダ圧制御弁6の中間開度は、マスタシリンダ圧とポンプ10の吸入側を所定圧差につり合わせるよう制御してもよく、その際には、所定圧差を超えてホイルシリンダ5から抜いたブレーキ液がマスタシリンダ3へ戻ることになる。
図6は、実施例1におけるマスタシリンダ圧とホイルシリンダ圧の関係の一例を示すグラフ図である。
通常ブレーキ時のホイルシリンダ圧の目標値としては、例えば図6に示すように、マスタシリンダ圧の所定倍の値となるようにする。あるいは、マスタシリンダ圧の代わりに、ブレーキペダル1のストロークセンサ(図示を省略)により検出したブレーキペダルストロークに基づき、目標ホイルシリンダ圧を決めてもよい。
(回生協調時)
図7は実施例1における通常ブレーキ状態の増圧時・保持時・減圧時の制御内容を示す表図である。
回生協調は、HEV車やEV車等において、制動時に車両駆動用モータをジェネレータ負荷となるようにして、電力回生を行い、これに協調してホイルシリンダ圧を減圧することが主となる。そのため、減圧時から説明する。
回生協調時の減圧時には、ポンプアップ倍力用液圧回路2において、モータ11をオフ状態にし、マスタシリンダ圧制御弁6を閉状態にし、倍力圧制御弁7を中間開度にし、バイパス弁8を閉状態にする。
これにより、図5のt83〜t84に示すように、倍力圧制御弁7を中間開度にして、ブレーキ液路104によりホイルシリンダ圧を抜くようにする。そのため、液溜り9では、ホイルシリンダ5からのブレーキ液が溜まる。
そして、回生協調では、所定圧を減圧した状態の保持が行われる。この回生協調の保持時には、ポンプアップ倍力用液圧回路2において、モータ11をオフ状態にし、マスタシリンダ圧制御弁6、倍力圧制御弁7、バイパス弁8を閉状態にする。これにより、図5のt84〜t85に示すように、マスタシリンダ圧及びホイルシリンダ圧を保持する。
そして、回生協調時から通常ブレーキ状態へ移行する場合には再増圧が行われる。あるいは回生協調時の減圧後に再増圧を行う場合がある。
この回生協調時の増圧時には、ポンプアップ倍力用液圧回路2において、モータ11をオン状態にし、マスタシリンダ圧制御弁6を閉状態にし、倍力圧制御弁7を閉又は中間開度にし、バイパス弁8を閉状態にする。
これにより、図5のt85〜t86に示すように、ホイルシリンダ圧の再増圧を行うようにする。
なお、液溜り9に溜めたブレーキ液は、ブレーキ液路104によりポンプ10へ吸引されるようにして、液量を減少させる。
(通常ブレーキ時のホイルシリンダ圧の急増圧時)
通常ブレーキ時のホイルシリンダ圧の急増圧時には、上記説明した通常ブレーキ時と異なる制御を行うため、ここで説明する。
図8は実施例1における通常ブレーキ状態の急増圧時とシステムフェール時の制御内容を示す表図である。図9は実施例1における通常ブレーキ状態の急増圧時の液圧、液溜り液量、各弁状態、モータ駆動状態のタイムチャートである。
通常ブレーキ時のホイルシリンダ圧の急増圧時に、ポンプアップ倍力用液圧回路2では、バイパス弁8を開弁状態にする。これにより、ドライバが強くブレーキペダル1を踏み、ポンプ10の吐出圧よりも素早く立上るマスタシリンダ圧をブレーキ液路103により、直接ホイルシリンダ5へ送り、急増圧に対応可能な状態にする。この状態は、図9では、t91〜t92の区間となる。この時のポンプ10の吐出圧が図9の符号a´となる。
そして、t92以降では、ポンプ10の吐出圧≧マスタシリンダ圧となるので、バイパス弁8を閉状態とし、ポンプアップによる倍力を行う。
(システムフェール時)
図10は実施例1におけるフェール制御時の液圧、液溜り液量、各弁状態、モータ駆動状態のタイムチャートである。
なお、制御内容については、図8に示す。システムフェール時に、ポンプアップ倍力用液圧回路2では、モータ11をオフ状態にし、マスタシリンダ圧制御弁6と倍力圧制御弁7を閉状態にし、バイパス弁8を開状態にする。
これにより、ドライバのブレーキペダル1の操作によるマスタシリンダ圧を、直接ホイルシリンダ5へ送り、制動力を確保する。
(自動ブレーキ時)
図11は実施例1における自動ブレーキ時の制御内容を示す表図である。図12は実施例1における自動ブレーキ時の液圧、液溜り液量、各弁状態、モータ駆動状態のタイムチャートである。
車両の姿勢制御、運転支援のための自動的な制動などの自動ブレーキ時について説明する。
自動ブレーキ時の増圧時では、ポンプアップ倍力用液圧回路2において、モータ11をオン状態にし、マスタシリンダ圧制御弁6を開状態とし、倍力圧制御弁7を閉状態又は中間開度にし、バイパス弁8を閉状態にする。液溜り9には液溜りのない状態となる。
この状態では、図12のt111〜t112に示すように、マスタシリンダ圧は発生していないが、自動ブレーキのための所定のホイルシリンダ圧を発生させるように増圧を行う。
つまり、マスタシリンダ圧制御弁6では、開状態にして、マスタシリンダ3からブレーキ液路102,104によりポンプ10の吸入側にブレーキ液を送る。これにより自動ブレーキの増圧のためのブレーキ液を確保する。そして、倍力圧制御弁7では、閉又は中間開度にして、ホイルシリンダ圧の液圧を制御する。
次に自動ブレーキ時の保持時では、ポンプアップ倍力用液圧回路2において、モータ11をオフ状態にし、マスタシリンダ圧制御弁6、倍力圧制御弁7、バイパス弁8を閉状態にする。これにより、図12のt112〜t113、t116〜t117に示すように、ホイルシリンダ圧を保持する。
次に自動ブレーキ時の減圧時では、ポンプアップ倍力用液圧回路2において、モータ11をオフ状態にし、マスタシリンダ圧制御弁6を開状態にし、倍力圧制御弁7を中間開度にし、バイパス弁8を閉状態にする。
この状態では、図12のt117〜t118に示すように、倍力圧制御弁7を中間開度にして、ブレーキ液路104によりホイルシリンダ圧を抜くようにする。そのため、液溜り9では、ホイルシリンダ5からのブレーキ液が溜まる。
さらに、マスタシリンダ圧制御弁6は開状態に制御されているので、ブレーキ液路102により、マスタシリンダ3へブレーキ液を戻す。これにより液溜り9のブレーキ液はマスタシリンダ3へ戻る。
作用を説明する。
[ポンプアップによる倍力作用]
実施例1のブレーキ制御装置では、ポンプアップ倍力用液圧回路2がマスタシリンダ圧の倍力を行うため、VDC液圧回路30を電気自動車のような負圧レスの車両に用いるような場合でも、VDC液圧回路30が既存のものを、システム変更を行わずに用いることが可能となる。そして、既存のVDC液圧回路30を用いて電気自動車のような負圧レスの車両、すなわち、図1に示すような負圧ブースタのない構成に対しても十分な制動力を確保する。
また、回生協調時で、回生制動力が低下した場合に、マスタシリンダ圧に対してポンプアップ倍力を行い、制動力を十分に確保する。
なお、負圧レスの車両以外でも、例えば、ハイブリッド車のような負圧ブースタを備えた車両で負圧低下により、倍力が低下した場合においても、ポンプアップ倍力用液圧回路2により、マスタシリンダ圧をポンプアップ倍力し、制動力を十分に確保する。また、ハイブリッド車において、回生協調を行う場合にも、回生制動力が低下した場合に、マスタシリンダ圧に対してポンプアップ倍力を行い、制動力を十分に確保する。
また、回生協調時のホイルシリンダ減圧において、ホイルシリンダ5からの減圧分の液量を一時的に蓄える液溜り9をポンプアップ倍力用液圧回路2に設け、ホイルシリンダ圧の再増圧の際、液溜り9の内部のブレーキ液をポンプ10で吸入し、増圧する。これにより、図5(b)に示すようにマスタシリンダ圧を変動させることなく、すなわち、ブレーキペダルフィーリングに影響を与えることなく、回生協調を行うことが可能となる。
加えて、ドライバからブレーキペダルを操作していない場合の自動ブレーキに対しても、マスタシリンダ3のリザーバタンク4の内部のブレーキ液をポンプ10で吸入し増圧することにより、実現することができ、ITS(Intelligent Transfer System)に対応した機能を実現することに寄与する。
効果を説明する。
実施例1のブレーキ制御装置にあっては、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)ドライバのブレーキ操作に応じてホイルシリンダ5に対してブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダ3及びホイルシリンダ間のブレーキ液路に設けられホイルシリンダ5に対してマスタシリンダ3とは別の液圧源であるポンプ212によってブレーキ液圧を発生させるためのVDC液圧回路30と、マスタシリンダ3とVDC液圧回路30との間のブレーキ液路に設けられ、ホイルシリンダ5に対してマスタシリンダ3及び液圧源であるポンプ212とは別の液圧源であるポンプ10によってブレーキ液圧を発生させるためのポンプアップ倍力用液圧回路2を備えたため、負圧の十分な確保が難しい車両において、既存のブレーキシステムからの変更を抑制することができる。
(2)マスタシリンダ3とホイルシリンダ間のブレーキ液路に、VDC液圧回路30とポンプアップ倍力用液圧回路2を直列に設けたため、ドライバの操作で行われるマスタシリンダ圧を、ポンプアップ倍力用液圧回路2により、ポンプアップ倍力を行い、ポンプアップした液圧をVDC液圧回路30へ供給する。また、必要に応じて、ブレーキ液のリザーバタンク4へのリターンを行う。そのため、VDC液圧回路30を既存のものとして、変更することなく機能させ、負圧レスの状態が生じる車両に適応させ、十分な負圧を得ることができない場合や、回生協調時の回生制動力の低下時に対して、十分な制動力を確保でき、且つ既存のブレーキシステムからの変更を抑制することができる。
(3)第2の液圧ユニットは、ドライバのブレーキ操作に対して発生するブレーキ液圧を倍力するポンプアップ倍力用液圧回路2であり、第1の液圧ユニットは、アンチロック制御及び車両挙動制御用のVDC液圧回路30であるため、負圧レスの状態が生じる車両において、ポンプアップ倍力用液圧回路2によるポンプアップでマスタシリンダ圧の倍力を行い、負圧レスの状態が生じてもVDC液圧回路30によるアンチロック制御及び車両挙動制御を十分に機能させることができる。
実施例2は、ポンプアップ倍力用液圧回路2におけるマスタシリンダ圧制御弁を、マスタシリンダ圧とポンプ吸入圧とに基づき開閉動作を行うものにした例である。
構成を説明する。
図13は実施例2のブレーキ制御装置の液圧回路図である。
実施例2では、ポンプアップ倍力用液圧回路2において、図13に示すようにブレーキ液路102p,102sにマスタシリンダ圧制御弁16(16p,16s)を設ける。その他の液圧回路構成は実施例1と同様であるので、同じ符号を付し説明を省略する。
図14は実施例2におけるマスタシリンダ圧制御弁の構造を開弁状態と閉弁状態とともに示す説明図である。
マスタシリンダ圧制御弁16は、ボール81、ピン82、ピストン83、シール84、ばね85、ハウジング86、マスタシリンダ圧ポート87、ポンプ吸入圧ポート88を備えている。
ハウジング86の内部には、ボール81を収容し、ボール81との当接により液密シールを行うシート面86aを設ける。シート面86aは、所定の角度で傾斜したすり鉢状の面とする。ハウジング86には、シート面86aとボール81の液密シールの内側で円筒状に延長する穴を設け、その円筒穴の延長先を大きく拡径し、2段の円筒穴を設ける。拡径した円筒穴は袋状に外部と連通しない形状である。
ボール81を収容したハウジング86の内部には、シート面86aと反対側に、マスタシリンダ側のブレーキ液路102に連通するマスタシリンダ圧ポート87を設ける。そして、シート面86aに連通する円筒穴の途中には、ポンプ側のブレーキ液路102に連通するポンプ吸入圧ポート88を設ける。
ハウジング86の径大な円筒穴の内部には、円板状のピストン83を設け、ピストン83の円板状の外周には、弾性体であるシール84を設ける。シール84により、径大な円筒穴の内壁86cとピストン83の間のシールを、内壁86cに対して摺動して行うようにする。
また、ハウジング86の円筒穴を拡径した面である内面86bとピストン83は、面接が可能な形状にする。そして、ピストン83の内面86bの反対側の面は、ばね85により内面86bへ向かって付勢する構成である。
ピストン83の内面86bの側の面の中央にはピン82を立設する。ピン82は、小径な円筒穴の内部に嵌入した配置となる。
マスタシリンダ圧制御弁16は、この構成により、マスタシリンダ圧ポート87からマスタシリンダ圧が加わらない状態では、図14(a)に示すように、ピストン83は、内面86bに当接した状態となる。この状態では、ピン82がその長さによって、ボール81に当接し、ボール81をシート面86aから離間させた状態となる構造である。
なお、マスタシリンダ圧制御弁16の通路面積や形状等については、後述する調圧作用に基づいて決められるものとする。その際には、後述する第1所定値〜第3所定値の設定がと、要求される開閉動作とを一致させるものとする。
その他の構成は実施例1と同様であるので説明を省略する。
作用を説明する。
[マスタシリンダ圧制御弁の動作]
マスタシリンダ圧制御弁16によって、マスタシリンダ圧が加わった状態でポンプ10を作動する際、マスタシリンダ圧をポンプ10で吸入・吐出し、且つマスタシリンダ3からポンプ10の吸入側に加わる圧力を調圧する作用について説明する。
まず、図14(a)に示すボール81がシート面86aから離間した状態において、マスタシリンダ圧Pmが加わると、ピストン83はばね85を圧縮する方向に押すことになる。一方、ばね85は、ばね力f1でピストン83をボール81の方向へ押すことになる。この状態では、ボール81とハウジング86のシート面86aは離間し、マスタシリンダ圧ポート87とポンプ吸入ポート88との間は連通しているため、マスタシリンダ3とポンプ10の吸入側も連通している。
次に、ピストン83の断面積をs1とすると、Pm×s1>f1となると、ピストン83はばね85を圧縮する方向に移動する。すると、ピストン83に設けたピン82がばね85の側へ移動する。これにより、ボール81はピン82で支持されなくなるため、シート面86aへ向かって移動する。
ボール81がシート面86aに当接するまで移動すると、図14(b)の状態となる。この状態では、ボール81とシート面86aのシールにより、マスタシリンダ3とポンプ10の吸入側の間を遮断する。この時、ボール81の前後の圧力は、ボール81のマスタシリンダ側の圧力はマスタシリンダ3の圧力Pmとなる。そして、ボール81のポンプ10の吸入側の圧力Psは、Ps=f1/s1となる。
従って、ポンプ吸入側圧力Psはf1/s1以上にはならず、ポンプ吸入側に加わる圧力はマスタシリンダ圧Pm以下に保たれる。
ここで、ポンプ10が作動すると、ピストン83からポンプ10の吸入側までの間のブレーキ液を吸入・吐出する。ブレーキ液を吸入した空間を図14(b)に符号86dにより示す。また、圧力Psが低下するため、ピストン83はばね力f1によりボール81の側へ押され、ボール81はばね85と反対側に押される。
この時、Pm×s2<f1であれば、ボール81はばね85と反対側に移動し、シート面86aから離れ、マスタシリンダ3とポンプ10の吸入側が連通し、ポンプ10はマスタシリンダ3からのブレーキ液を吸入、吐出する。なお、s2はポンプ10がマスタシリンダ3からのブレーキ液を吸入する際の通路面積である。
そして、マスタシリンダ圧Pmがピストン83に加わり、ピストン83を、ばね85を圧縮する方向に向かって押すと、上記説明した動作を繰り返し、ポンプ10の吸入側に加わる圧力を調圧しつつ、ポンプ10が吸入・吐出を行う。
なお、マスタシリンダ圧制御弁16の動作において、ピストン83がばね85を圧縮する方向に移動し、ボール81がシート面86aに接し、マスタシリンダ3からポンプ10の吸入側の間を遮断するために、Pm×s1>f1を成立させる。
また、ポンプ10により、ピストン83からポンプ10の吸入側の間のブレーキ液を吸入し、ポンプ10の吸入側の圧力が低下した場合に、ボール81がばね85と反対側に移動し、マスタシリンダ3とポンプ10の吸入側の間を連通させるために、Pm×s2<f1を成立させる。
またさらに、第1所定値をPm1とし、Pm1=f1/s1となるように設定する。また、第2所定値をPm2とし、Pm2=f1/s2となるように設定する。また、0〜f1/s1の間、すなわち、0から第1所定値の間で設定される値を第3所定値とする。
すると、マスタシリンダ圧制御弁16は、第1所定値以上、第2所定値以下のマスタシリンダ圧が加わった時、ポンプ10の吸入側圧が第3所定値以上で閉状態、第3所定値以下で開状態となる。また、マスタシリンダ圧が第1所定値以下では開状態、第2所定値以上では閉状態となる。
このように実施例2では、マスタシリンダ圧制御弁16が、コントロールユニット20からの指令電流によらず、マスタシリンダ圧とポンプ10の吸入側圧に基づいて開閉動作を行う。
[ポンプアップによる倍力作用]
マスタシリンダ圧制御弁16の前後圧力差による開閉動作によって、通常ブレーキ時、回生協調時の増圧、保持、減圧、通常ブレーキ時のホイルシリンダ圧の急増圧、システムフェール時について、実施例1と同様に、ポンプアップにより倍力したブレーキ液制御が達成される。
自動ブレーキ時については、実施例1と異なるため、以下に説明する。
図15は実施例2における自動ブレーキ時の制御内容を示す表図である。図16は実施例2における自動ブレーキ時の液圧、液溜り液量、各弁状態、モータ駆動状態のタイムチャートである。
実施例2の自動ブレーキ時の増圧時では、ポンプアップ倍力用液圧回路2において、モータ11をオン状態にし、倍力圧制御弁7を閉状態又は中間開度にし、バイパス弁8を閉状態にする。液溜り9には液溜りのない状態となる。
この自動ブレーキ時の増圧時にマスタシリンダ圧制御弁16は、マスタシリンダ圧が発生していないため、ばね力f1によりボール81がシート面86aと離間した開状態となる。言い換えると、マスタシリンダ圧が第1所定値以下となるため、開状態となる。
この状態では、図16のt111〜t112に示すように、マスタシリンダ圧は発生していないが、自動ブレーキのための所定のホイルシリンダ圧を発生させるように増圧を行う。
マスタシリンダ圧制御弁16は、開状態となっているため、ブレーキ液路104によりポンプ10の吸入側にブレーキ液を送る。そして、倍力圧制御弁7では、閉又は中間開度にして、ホイルシリンダ圧の液圧を制御する。
次に自動ブレーキ時の保持時では、ポンプアップ倍力用液圧回路2において、モータ11をオフ状態にし、倍力圧制御弁7、バイパス弁8を閉状態にする。
この自動ブレーキ時の保持時にマスタシリンダ圧制御弁16は、マスタシリンダ圧が発生していないため、ばね力f1によりボール81がシート面86aと離間した開状態となる。言い換えると、マスタシリンダ圧が第1所定値以下となるため、開状態となる。
この状態では、マスタシリンダ圧制御弁16は開状態となるが、倍力圧制御弁7、バイパス弁8が閉状態となるため、オフ時のポンプ10の前後を通過するブレーキ液は微量で、マスタシリンダ圧を増加させることは無視できる範囲となる。
そのため、図16のt112〜t113、t116〜t117に示すように、ホイルシリンダ圧を保持する。
次に自動ブレーキ時の減圧時では、ポンプアップ倍力用液圧回路2において、モータ11をオフ状態にし、倍力圧制御弁7を中間開度にし、バイパス弁8を閉状態にする。
この自動ブレーキ時の減圧時にマスタシリンダ圧制御弁16は、マスタシリンダ圧が発生していないため、ばね力f1によりボール81がシート面86aと離間した開状態となる。言い換えると、マスタシリンダ圧が第1所定値以下となるため、開状態となる。
この状態では、図16のt117〜t118に示すように、倍力圧制御弁7を中間開度にして、ブレーキ液路104によりホイルシリンダ圧を抜くようにする。そのため、液溜り9では、ホイルシリンダ5からのブレーキ液が溜まる。
さらに、マスタシリンダ圧制御弁16は開状態であるので、ブレーキ液路102により、マスタシリンダ3へブレーキ液を戻す。これにより液溜り9のブレーキ液はマスタシリンダ3へ戻る。
このように、実施例2では、マスタシリンダ圧制御弁16が、コントロールユニット20からの指令電流によらず、マスタシリンダ圧とポンプ10の吸入側圧に基づき、開閉動作を行う。この開閉動作により、ブレーキ液が吸入・吐出され、結果的にポンプ10の吸入側圧が指令電流によらず制御される。このことは、ポンプ10及びモータ11への吸入時の負荷を抑制することになり、ポンプ10の信頼性を高めることにつながる。また、マスタシリンダ圧制御弁16が、コントロールユニット20からの指令電流によらず開閉動作することは、コントロールユニット20の制御ロジックを簡略化することになる。
その他の作用は実施例1と同様であるので説明を省略する。
効果を説明する。実施例2のブレーキ制御装置にあっては、実施例1の(1)〜(3)と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明のブレーキ制御装置を実施例1、実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
VDC制御回路30の例として、図2の液圧回路構成を示したが、他の液圧回路構成であってよい。図2にはp系統とs系統の2系統でVDC制御回路30への供給を行う例を示したが、1系統を供給するものであってもよい。
1 ブレーキペダル
2 ポンプアップ倍力用液圧回路
3 マスタシリンダ
4 リザーバタンク
5(5a〜5d) ホイルシリンダ
6(6p,6s) マスタシリンダ圧制御弁
7(7p,7s) 倍力圧制御弁
8(8p,8s) バイパス弁
10(10p,10s) ポンプ
11 モータ
12(12p,12s) ポンプ吐出圧センサ
13 マスタシリンダ圧センサ
14(14p,14s) チェック弁
16 マスタシリンダ圧制御弁
20 コントロールユニット
30 VDC液圧回路
101(101p,101s) ブレーキ液路
102(102p,102s) ブレーキ液路
103(103p,103s) ブレーキ液路
104(104p,104s) ブレーキ液路

Claims (3)

  1. ドライバのブレーキ操作に応じてホイルシリンダに対してブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダ及び前記ホイルシリンダ間のブレーキ液路に設けられ前記ホイルシリンダに対して前記マスタシリンダとは別の液圧源によってブレーキ液圧を発生させるための第1の液圧ユニットと、
    前記マスタシリンダと前記第1の液圧ユニットとの間のブレーキ液路に設けられ、前記ホイルシリンダに対して前記マスタシリンダ及び前記液圧源とは別の液圧源によってブレーキ液圧を発生させるための第2の液圧ユニットと、
    を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 請求項1に記載のブレーキシステムにおいて、
    前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダ間のブレーキ液路に、前記第1の液圧ユニットと前記第2の液圧ユニットを直列に設けたことを特徴とするブレーキ制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記第2の液圧ユニットは、ドライバのブレーキ操作に対して発生するブレーキ液圧を倍力する倍力液圧ユニットであり、前記第1の液圧ユニットは、アンチロック制御及び車両挙動制御用の液圧ユニットであることを特徴とするブレーキ制御装置。
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