JP2011005642A - 水変色性布帛シート及びそれを用いた水変色性描画玩具セット - Google Patents
水変色性布帛シート及びそれを用いた水変色性描画玩具セット Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011005642A JP2011005642A JP2009148250A JP2009148250A JP2011005642A JP 2011005642 A JP2011005642 A JP 2011005642A JP 2009148250 A JP2009148250 A JP 2009148250A JP 2009148250 A JP2009148250 A JP 2009148250A JP 2011005642 A JP2011005642 A JP 2011005642A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- fabric
- resistant resin
- discolorable
- layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Pens And Brushes (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Toys (AREA)
Abstract
【解決手段】織物からなる布帛2上の少なくとも一部に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層3を設けてなる水変色性布帛シート1において、前記布帛2の外周部分に、全周にわたって耐水性樹脂を用いた耐水性樹脂層4を設けてなる。前記水変色性布帛シート1と、水付着具とからなる水変色性描画玩具セット。
【選択図】図2
Description
前記水変色性布帛シートは、多孔質層に水等の液体を吸液させることにより透明化して下層の色調を視認させることで像を形成できるものであるが、織物からなる布帛を用いた場合、外周部分(布帛端部)からのほつれが生じ易く、特に、綿を含む布帛においては外周部分に水が付着することで膨潤するため、ほつれの発生頻度が高くなる。
そこで前記シートでは、布帛の外周部分を縫製してほつれ止め効果を付与している。
しかしながら、縫製作業を用いる場合には、多孔質層を印刷する工程の前後での作業が必要になるため製造コストが高くなると共に、シート端部近傍に付着した水がシート外周部分(縫い代)に移動し易くなるため、外周部分から水が漏れてしまうことがあった。
また、織物からなる布帛の表面に低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層を設けてなり、前記多孔質層の外周の布帛表面に耐水性樹脂を用いた耐水性樹脂層を形成した後、前記耐水性樹脂層又はその外周に沿って栽断することで形成される水変色性布帛シートを要件とする。
更に、前記耐水性樹脂層が顔料を含むこと、前記耐水性樹脂層が、湿潤状態での摩擦堅牢度が4級以上であること、前記耐水性樹脂層内周且つ多孔質層外周に、前記耐水性樹脂層に用いた樹脂と同様の耐水性樹脂をバインダーとした着色像が形成されること、前記耐水性樹脂がウレタン樹脂であること、前記耐水性樹脂層の布帛への浸透率が50%以上であること、前記布帛の目付量A(g/m2)と、耐水性樹脂層の目付量B(g/m2)が、0.1≦B/A<1.0の関係を満たすこと、前記布帛が、綿を30%以上含有することを要件とする。
更に、前記いずれかの水変色性布帛シートと、水付着具とからなる水変色性描画玩具セットを要件とし、前記水付着具は、連続気孔を有するプラスチック多孔体又は繊維加工体をペン先部材として適用した筆記具又は塗布具形態であることを要件とする。
前記布帛の構成繊維としては、綿、麻、羊毛等の天然繊維、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系の合成繊維、アセテート系の半合成繊維、レーヨン等の再生繊維が挙げられる。尚、好適に用いられる繊維は、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系合成繊維、アセテート系の半合成繊維、レーヨン等の再生繊維及び綿が挙げられる。
また、前記構成繊維のうちで綿を30%以上用いたものは、布帛基材に適度な吸水性を有するため汎用性の高いものであるが、液体吸収による膨潤が大きくなりほつれが発生し易くなるため、本願発明の効果がより顕著なものとなる。
目付け量が30g/m2未満では、布帛上に形成される多孔質層が粗になるため、明瞭な像を形成し難くなる。一方、目付け量が1000g/m2を超えると、布帛が必要以上に肉厚となり、加工性に乏しくなる。また、布帛が大面積の場合、折り畳み保存性や軽量性を損ない易くなる。
前記低屈折率顔料としては、珪酸及びその塩、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
前記低屈折率顔料は、屈折率が1.4〜1.8の範囲にあり、液体を吸液すると良好な透明性を示すものである。
なお、前記珪酸の塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
前記低屈折率顔料の粒径は特に限定されるものではないが、0.03〜10.0μmのものが好適に用いられる。
また、前記低屈折率顔料は二種以上を併用することもできる。
尚、好適に用いられる低屈折率顔料としては珪酸が挙げられる。
前記珪酸は、乾式法により製造させる珪酸(以下、乾式法珪酸と称する)であってもよいが、湿式法により製造される珪酸(以下、湿式法珪酸と称する)が好適である。
この点を以下に説明する。
珪酸は非晶質の無定形珪酸として製造され、その製造方法により、四塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素の熱分解等の気相反応を用いる乾式法によるものと、ケイ酸ナトリウム等の酸による分解等の液相反応を用いる湿式法によるものとに大別される。
乾式法珪酸と湿式法珪酸とでは構造が異なり、前記乾式法珪酸は珪酸が密に結合した構造であるのに対して、湿式法珪酸は、珪酸が縮合して長い分子配列を形成した構造部分を有している。
従って、湿式法珪酸は乾式法珪酸と比較して分子構造が粗になるため、湿式法珪酸を多孔質層に適用した場合、乾式法珪酸を用いた系と比較して乾燥状態における光の乱反射性に優れ、常態での隠蔽性が大きくなるものと推察される。
また、多孔質層は水を吸液させるものであるから、湿式法珪酸は乾式法珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く、親水性の度合いが大であり、好適に用いられる。
尚、前記多孔質層の常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を調整するために、湿式法珪酸と共に、他の低屈折率顔料を併用することもできる。
前記低屈折率顔料とこれらのバインダー樹脂の混合比率は、低屈折率顔料の種類及び性状に左右されるが、好ましくは、低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分0.5〜2質量部であり、より好ましくは、0.8〜1.5質量部である。低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分が0.5質量部未満の場合には、前記多孔質層の実用的な皮膜強度を得ることが困難であり、2質量部を越える場合には、前記多孔質層内部への水の浸透性が悪くなる。
前記多孔質層は、一般的な塗膜と比較して着色剤に対するバインダー樹脂の混合比率が小さいため、十分な皮膜強度が得られ難い。そこで、前記のバインダー樹脂のうち、ナイロン樹脂又はウレタン系樹脂を用いて耐擦過強度を高めることが好ましい。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、2種以上を併用することもできる。又、前記樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解乃至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。
尚、前記ウレタン系樹脂は水性ウレタン系樹脂又は油性ウレタン系樹脂のいずれを用いることもできるが、本発明においては水性ウレタン系樹脂、殊に、ウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。
前記ウレタン系樹脂は単独で用いることもできるが、布帛の種類や皮膜に必要とされる性能に応じて、他のバインダー樹脂を併用することもできる。ウレタン系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合、実用的な皮膜強度を得るためには、前記多孔質層のバインダー樹脂中にウレタン系樹脂を固形分質量比率で30%以上含有させることが好ましい。
前記バインダー樹脂において、架橋性のものは任意の架橋剤を添加して架橋させることにより、さらに皮膜強度を向上させることができる。
前記バインダー樹脂には、水との親和性に大小が存在するが、これらを組み合わせることにより、多孔質層中への浸透時間、浸透度合い、浸透後の乾燥の遅速を調整することができる。更には、適宜分散剤を添加して前記調整をコントロールすることができる。
前記多孔質層の塗布量は5〜50g/m2、好ましくは、10〜30g/m2である。
5g/m2未満では、常態で十分な隠蔽性を得ることが困難であり、又、50g/m2を越えると吸液時に十分な透明性を得ることが困難である。
前記着色顔料は、一般顔料や蛍光顔料の他、二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄−二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、グアニン、絹雲母、塩基性炭酸鉛、酸性砒酸鉛、オキシ塩化ビスマス等の金属光沢顔料を例示できる。
また、温度変化により可逆的に色変化する可逆熱変色材料を混在させて、環境温度や付着させる水温により色変化させることができる。
更に、前記多孔質層の上層や多孔質層の周囲の布帛上に絵柄等の着色像(図柄層)を配設して様相変化を更に多様化させたり、シートの装飾性を向上することもできる。この場合、多孔質層は布帛の中央部分に設けられ、且つ、多孔質層の周囲の布帛上(即ち、布帛上の多孔質層と耐水性樹脂層の空間部)に着色像を配設することが好ましい。前記着色像(図柄層)の像としては、絵柄の他、文字、記号、模様等が挙げられる。
尚、前記着色像は、耐水性樹脂層に用いる樹脂と同様の耐水性樹脂をバインダーとして適用することが好ましい。
耐水性樹脂層に用いられる樹脂としては、バインダー効果のある樹脂のうちで耐水性を備えたものであれば前述のバインダー樹脂から適宜選択して用いることができるが、強度や柔軟性に優れている点からウレタン系樹脂が好適である。また、前記樹脂と共に任意の架橋剤を併用して硬化させたものも好適である。
更に、前記樹脂と共に着色剤を用いて耐水性樹脂層を着色することもできる。その場合、着色剤としては染料であってもよいが、耐水性に優れる顔料を用いることが好ましい。
尚、前記摩擦堅牢度はJIS L0849に記される方法で、摩擦試験機2形を用いて測定される湿潤状態の値から導かれるものである。
前記範囲内で各目付量を設定することで、布帛の目付に応じた強度の耐水性樹脂層が形成できるので、折り曲げによる耐水性樹脂層の損傷を生じることなく、ほつれ防止や外周部分からの余剰液体の漏れ出しを抑制できる。
前記連続気孔を有するプラスチック多孔体又は繊維加工体は、水を適宜量、吸収し、吐出させるものであればよく、汎用のポリオレフィン系、ポリウレタン系、その他各種プラスチックの連続気孔体や繊維を集束させた毛筆状のもの、繊維の樹脂加工又は熱溶着加工によるもの、フェルト、不織布形態のものを挙げることができ、形状、寸法は目的に応じて任意に設定できる。
更に、前記した各種材料をペン先部材として適用し、水収容容器の先端に取り付けた筆記具又は塗布具形態のものが有効である。
前記水変色性布帛シートと、水付着具を組み合わせることにより、携帯性に優れた任意の像を簡便に形成可能な水変色性描画玩具セットが得られる。
水変色性布帛シートの作製(図1、2参照)
布帛2として白色のポリエステルが65%、コットン35%からなる織物(ブロード生地、目付量:120g/cm2)の上面に、青色の非変色性インキを用いて、60cm×80cmの大きさの長方形状にベタ印刷して非変色層5を形成し、次いで、前記非変色層5上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて61cm×81cmの大きさでベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層3を形成した。
次いで、前記布帛2上の多孔質層3の全周を囲むように布帛端部を含むその近傍部分に、赤色顔料とウレタン樹脂エマルジョンとイソシアネート系架橋剤からなる赤色インキを100メッシュのスクリーン版にて印刷することで耐水性樹脂層4(幅3cm、目付量20g/m2)を形成し、更に、該耐水性樹脂層4内側の多孔質層3の周囲の布帛2上に黒色、青色、赤色、黄色、緑色、紫色からなる非変色性インキを用いて図柄層6を形成した。尚、前記図柄層6を形成するバインダー樹脂は、耐水性樹脂層4で用いた樹脂と同様のものを適用した。
前記各層を積層した布帛2を、耐水性樹脂層4の外側5mmの位置(即ち、耐水性樹脂層4の幅が2.5cmとなる位置)に沿って裁断することで、大きさ80cm×100cmの水変色性布帛シート1を得た。
また、前記水変色性布帛シート1の耐水性樹脂層4は、布帛2に対する浸透率が75%であり、湿潤状態の摩擦堅牢度は5級であった。
更に、布帛2の目付量Aと耐水性樹脂層4の目付量Bは、B/A=0.17であった。
前記水変色性布帛シート1と、水付着手段として先端部に砲弾型の繊維ペン体(ナイロン樹脂製、直径7mm)を有し、軸筒内に水を収容可能に構成したペン7とを組み合わせて水変色性描画玩具セットを得た。
前記水変色性描画玩具セットでは、水付着具7を用いて水変色性布帛シート1の多孔質層3に筆記すると5〜6mm幅の明瞭な青色の筆跡71が形成された。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は淡くなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
また、前記ペン7の繊維ペン体で耐水性樹脂層4を擦過しても剥がれたり、色移りすることはなく、更に、ペン先から塗布される水がシート2の外側に漏れ出すこともなかった。その際、布帛2の外周部分からのほつれは生じなかった。
水変色性布帛シートの作製(図3参照)
布帛2として青色のポリエステルが35%、コットン65%からなる直径80cmの円形織物(ツイル生地、目付量:225g/cm2)の上面の略中心に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて直径50cmの大きさの円形状にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層3を形成した。
次いで、前記布帛2の外周部分に、赤色顔料を含むウレタン樹脂エマルジョンとイソシアネート系架橋剤からなるインキを用いて全周に亘って印刷することで耐水性樹脂層4(幅5cm、目付量45g/m2)を形成し、更に、該耐水性樹脂層4内側の多孔質層3の周囲の布帛2上に黒色、青色、赤色、黄色、緑色、紫色からなる非変色性インキを用いて図柄層6を形成することで直径80cmの円形水変色性布帛シート1を得た。尚、前記図柄層6を形成するバインダー樹脂は、耐水性樹脂層4で用いた樹脂と同様のものを適用した。
また、前記水変色性布帛シート1の耐水性樹脂層4は、布帛2に対する浸透率が75%であり、湿潤状態の摩擦堅牢度は5級であった。
更に、布帛2の目付量Aと耐水性樹脂層4の目付量Bは、B/A=0.20であった。
前記水変色性布帛シート1と、水付着手段として先端部に砲弾型の繊維ペン体(ナイロン樹脂製、直径7mm)を有し、軸筒内に水を収容可能に構成したペン7とを組み合わせて水変色性描画玩具セットを得た。
前記水変色性描画玩具セットでは、水付着具7を用いて水変色性布帛シート1の多孔質層3に筆記すると5〜6mm幅の明瞭な青色の筆跡71が形成された。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は淡くなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
また、前記ペン7の繊維ペン体で耐水性樹脂層4を擦過しても剥がれたり、色移りすることはなく、更に、ペン先から塗布される水がシート2の外側に漏れ出すこともなかった。その際、布帛2の外周部分からのほつれは生じなかった。
水変色性布帛シートの作製(図4参照)
耐水層21用に裏面をエチレン酢酸ビニル樹脂コートしてなる、綿100%の白色織物(サテン生地、目付量:150g/cm2)を布帛2として、該布帛の上面に、赤色の非変色性インキを用いて、直径60cmの大きさの円形状にベタ印刷して非変色層5を形成し、次いで、前記非変色層5上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて直径61cmの大きさでベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層3を形成した。
次いで、前記布帛2上の多孔質層3の全周を星型状に囲むように、黄色顔料を含むウレタン樹脂エマルジョンを100メッシュのスクリーン版にて印刷することで耐水性樹脂層4(幅3cm、目付量40g/m2)を形成し、更に、該耐水性樹脂層4内側の多孔質層3の周囲の布帛2上に黒色、青色、赤色、黄色、緑色、紫色からなる非変色性インキを用いて図柄層6を形成した。尚、前記図柄層6を形成するバインダー樹脂は、耐水性樹脂層4で用いた樹脂と同様のものを適用した。
前記各層を積層した布帛2を、耐水性樹脂層4の外側5mmの位置(即ち、耐水性樹脂層4の幅が2.5cmとなる位置)に沿って裁断することで、星型の水変色性布帛シート1を得た。
また、前記水変色性布帛シート1の耐水性樹脂層4は、布帛2に対する浸透率が80%であり、湿潤状態の摩擦堅牢度は5級であった。
更に、布帛2の目付量Aと耐水性樹脂層4の目付量Bは、B/A=0.25であった。
前記水変色性布帛シート1と、水付着手段として先端部に砲弾型の繊維ペン体(ナイロン樹脂製、直径7mm)を有し、軸筒内に水を収容可能に構成したペン7とを組み合わせて水変色性描画玩具セットを得た。
前記水変色性描画玩具セットでは、水付着具7を用いて水変色性布帛シート1の多孔質層3に筆記すると5〜6mm幅の明瞭なピンク色の筆跡71が形成された。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々にピンク色は淡くなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
また、前記ペン7の繊維ペン体で耐水性樹脂層4を擦過しても剥がれたり、色移りすることはなく、更に、ペン先から塗布される水がシート2の外側に漏れ出すこともなかった。その際、布帛2の外周部分からのほつれは生じなかった。
水変色性布帛シートの作製
実施例2において、耐水性樹脂層4を形成しない以外は同様の方法にて水変色性布帛シート1を得た。
前記水変色性布帛シート1の多孔質層3への筆記では、実施例2と同様の色変化を呈するものの、布帛2に水が塗布された際には、シート2の外側に水が漏れ出してしまった。また、水が外周部分に付着することで、布帛2が膨潤して外周部分からのほつれが生じてしまった。
耐水性樹脂層4を形成する赤色顔料に変えて赤色染料を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて水変色性布帛シートと水変色性描画玩具セットを得た。
その際、前記耐水性樹脂層4の布帛への浸透率は75%であり、湿潤状態の摩擦堅牢度は3級に低下した。また、目付量は20g/cm2であり、布帛2の目付量Aと、耐水性樹脂層4の目付量Bは、B/A=0.17であった。
そのため、前記耐水性樹脂層4の強度は十分ではなく、ペン7での擦過により色移りを生じてしまった。
耐水性樹脂層4を形成するスクリーン版を180メッシュとした以外は、実施例1と同様の方法にて水変色性布帛シートと水変色性描画玩具セットを得た。
その際、前記耐水性樹脂層4の布帛への浸透率は30%と低下したが、湿潤状態の摩擦堅牢度は5級であった。また、目付量は10g/cm2であり、布帛2の目付量Aと、耐水性樹脂層4の目付量Bは、B/A=0.08であった。
そのため、前記耐水性樹脂層4の強度は十分ではなく、布帛2の外周端部からほつれを生じてしまった。
耐水性樹脂層4を形成する樹脂エマルジョンの濃度を50%とした以外は、実施例1と同様の方法にて水変色性布帛シートと水変色性描画玩具セットを得た。
その際、前記耐水性樹脂層4の布帛への浸透率は75%であり、湿潤状態の摩擦堅牢度は5級であった。しかし、目付量が10g/cm2となり、布帛2の目付量Aと、耐水性樹脂層4の目付量Bは、B/A=0.08であった。
そのため、前記耐水性樹脂層4の強度は十分ではなく、ペン7での擦過や折り畳みによって樹脂層4が剥がれを生じ、更に布帛2の外周端部からほつれを生じてしまった。
2 布帛
21 耐水層
3 多孔質層
4 耐水性樹脂層
5 着色層
6 図柄層(着色像)
7 ペン(塗布具)
71 筆跡
Claims (11)
- 織物からなる布帛上の少なくとも一部に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層を設けてなる水変色性布帛シートであって、前記布帛の外周部分に、全周にわたって耐水性樹脂を用いた耐水性樹脂層を設けてなる水変色性布帛シート。
- 織物からなる布帛の表面に低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層を設けてなり、前記多孔質層の外周の布帛表面に耐水性樹脂を用いた耐水性樹脂層を形成した後、前記耐水性樹脂層又はその外周に沿って栽断することで形成される水変色性布帛シート。
- 前記耐水性樹脂層が顔料を含む請求項1又は2に記載の水変色性布帛シート。
- 前記耐水性樹脂層が、湿潤状態での摩擦堅牢度が4級以上である請求項3記載の水変色性布帛シート。
- 前記耐水性樹脂層内周且つ多孔質層外周に、前記耐水性樹脂層に用いた樹脂と同様の耐水性樹脂をバインダーとした着色像が形成される請求項1乃至4のいずれかに記載の水変色性布帛シート。
- 前記耐水性樹脂がウレタン樹脂である請求項1乃至5のいずれかに記載の水変色性布帛シート。
- 前記耐水性樹脂層の布帛への浸透率が50%以上である請求項1乃至6のいずれかに記載の水変色性布帛シート。
- 前記布帛の目付量A(g/m2)と、耐水性樹脂層の目付量B(g/m2)が、0.1≦B/A<1.0の関係を満たす請求項1乃至7のいずれかに記載の水変色性布帛シート。
- 前記布帛が、綿を30%以上含有する請求項1乃至8のいずれかに記載の水変色性布帛シート。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載の水変色性布帛シートと、水付着具とからなる水変色性描画玩具セット。
- 前記水付着具は、連続気孔を有するプラスチック多孔体又は繊維加工体をペン先部材として適用した筆記具又は塗布具形態である請求項10記載の水変色性描画玩具セット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009148250A JP5436948B2 (ja) | 2009-06-23 | 2009-06-23 | 水変色性布帛シート及びそれを用いた水変色性描画玩具セット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009148250A JP5436948B2 (ja) | 2009-06-23 | 2009-06-23 | 水変色性布帛シート及びそれを用いた水変色性描画玩具セット |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011005642A true JP2011005642A (ja) | 2011-01-13 |
JP5436948B2 JP5436948B2 (ja) | 2014-03-05 |
Family
ID=43562893
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009148250A Active JP5436948B2 (ja) | 2009-06-23 | 2009-06-23 | 水変色性布帛シート及びそれを用いた水変色性描画玩具セット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5436948B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100898986B1 (ko) * | 2008-11-28 | 2009-05-25 | 정세기 | 타악기 소리 제어용 차음장치 |
WO2013125680A1 (ja) * | 2012-02-22 | 2013-08-29 | パイロットインキ株式会社 | 水変色性積層体の製造方法 |
JP2015006295A (ja) * | 2013-06-26 | 2015-01-15 | パイロットインキ株式会社 | 変色体セット |
JP2016221854A (ja) * | 2015-05-30 | 2016-12-28 | パイロットインキ株式会社 | 光輝性変色体及びそれを用いた光輝性変色体セット |
JP2017185741A (ja) * | 2016-04-08 | 2017-10-12 | パイロットインキ株式会社 | 水変色性被筆記体及びそれを用いた水変色性被筆記体セット |
-
2009
- 2009-06-23 JP JP2009148250A patent/JP5436948B2/ja active Active
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100898986B1 (ko) * | 2008-11-28 | 2009-05-25 | 정세기 | 타악기 소리 제어용 차음장치 |
WO2013125680A1 (ja) * | 2012-02-22 | 2013-08-29 | パイロットインキ株式会社 | 水変色性積層体の製造方法 |
JP2015006295A (ja) * | 2013-06-26 | 2015-01-15 | パイロットインキ株式会社 | 変色体セット |
JP2016221854A (ja) * | 2015-05-30 | 2016-12-28 | パイロットインキ株式会社 | 光輝性変色体及びそれを用いた光輝性変色体セット |
JP2017185741A (ja) * | 2016-04-08 | 2017-10-12 | パイロットインキ株式会社 | 水変色性被筆記体及びそれを用いた水変色性被筆記体セット |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5436948B2 (ja) | 2014-03-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3801819B2 (ja) | 水変色性玩具セット | |
JP5436948B2 (ja) | 水変色性布帛シート及びそれを用いた水変色性描画玩具セット | |
ES2560505T3 (es) | Conjunto de juguete de dibujo por decoloración con agua | |
JP4786564B2 (ja) | 水変色性描画玩具及びそれを用いた水変色性描画玩具セット | |
JP2007118198A (ja) | 変色性積層体 | |
JP4976201B2 (ja) | 水変色性壁面貼着材及びそれを用いた水変色性壁面貼着材セット | |
JP2004175101A (ja) | 水変色性被筆記体及びそれを用いた水変色性筆記セット | |
JP2005271580A5 (ja) | ||
JP2005271580A (ja) | 水変色性布帛シート及びそれを用いた玩具セット | |
JP6716230B2 (ja) | 水変色性積層体 | |
JP3156569U (ja) | 学習具及びそれを用いた学習具セット | |
JP6412792B2 (ja) | 光輝性変色体及びそれを用いた光輝性変色体セット | |
JP2010094971A (ja) | 水変色性布帛及びそれを用いた水変色性描画玩具セット | |
JP4880317B2 (ja) | 可逆変色性表示体セット | |
JP2005326870A (ja) | 変色性塗り絵及びそれを用いた変色性塗り絵セット | |
JP3156570U (ja) | 水変色性描画用バッグ及びそれを用いた水変色性描画用バッグセット | |
JP3178550U (ja) | 水変色性透視シート及びそれを用いた水変色性透視シートセット | |
JP5751926B2 (ja) | 水変色性積層体 | |
JP6615393B2 (ja) | 変色体及びそれを用いた変色体セット | |
JP6738638B2 (ja) | 水変色性被筆記体及びそれを用いた水変色性被筆記体セット | |
JP2011005723A (ja) | 水変色性デスクマット及びそれを用いた水変色性デスクマットセット | |
JP3137148U (ja) | 変色性粘着シート | |
JP2007076052A (ja) | 可逆変色性筆記板及びそれを用いた可逆変色性筆記セット | |
JP3122318U (ja) | 可逆変色性衣類及びそれを用いた変色セット | |
JP2010284250A (ja) | 変色性テーブルクロス及びそれを用いた変色性テーブルクロスセット |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120511 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130123 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130205 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130329 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131210 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131211 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5436948 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313121 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |