JP2010094971A - 水変色性布帛及びそれを用いた水変色性描画玩具セット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 織物又は編物から選ばれる布帛2上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層3を設けた水変色性布帛であって、多孔質層を設ける側の布帛断面における繊維同士の重なりにより生じる凸部上の多孔質層の厚みT1(μm)と、繊維同士の重なりにより生じる凹部上の多孔質層の厚みT2(μm)が下記式(1)乃至(3)を満たす水変色性布帛1。
3≦T1≦100 (1)
10≦T2≦150 (2)
0.3≦T1/T2≦1.0 (3)
【選択図】 図1
Description
前記水変色性布帛は、多孔質層に水を吸液させることにより透明化して下層の色調を視認させることができる。
前記水変色性布帛に水を付着させる手段としては、水を塗布する水付着具の適用が開示されているが、水の付着量が少なかったり、早書きによって十分な水が付着しなかった場合、形成される像がかすれるといった不具合を生じる。
即ち、本発明は、織物又は編物から選ばれる布帛上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層を設けた水変色性布帛であって、多孔質層を設ける側の布帛断面における繊維同士の重なりにより生じる凸部上の多孔質層の厚みT1(μm)と、繊維同士の重なりにより生じる凹部上の多孔質層の厚みT2(μm)が下記式(1)乃至(3)を満たす水変色性布帛を要件とする。
3≦T1≦100 (1)
10≦T2≦150 (2)
0.3≦T1/T2≦1.0 (3)
更には、前記布帛と多孔質層の間に着色顔料を含む非変色層を設けてなること、前記多孔質層中に着色顔料を含んでなること、表面にカレンダー加工を施して繊維表面を平滑化した布帛を用いてなること、前記多孔質層の周囲の布帛上に、図柄層を設けてなること、前記布帛の背面に、水不浸透性シート材が貼着又は縫合されてなること、前記水不浸透性シート材がポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂から選ばれる樹脂であること等を要件とする。
更には、前記水変色性布帛と、水付着具とからなる水変色性描画玩具セットを要件とする。
前記布帛の構成繊維としては、綿、麻、羊毛等の天然繊維、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系の合成繊維、アセテート系の半合成繊維、レーヨン等の再生繊維が挙げられる。
なお、好適に用いられる繊維は、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系合成繊維、アセテート系の半合成繊維、レーヨン等の再生繊維を少なくとも50質量%以上含まれる繊維であり、前記繊維を50質量%以上、好ましくは60質量%以上、含むことにより、布帛表面の平滑性を向上させることができ、好適な厚みの多孔質層を形成し易くなる。
また、前記繊維の長さは100mm以上の長繊維であることが好ましく、100mm以上の繊維を選定することにより布帛表面の繊維による毛羽立ちを抑制することができ、均質な多孔質層を形成し易くなる。
前記布帛は目付量が30〜1000g/m2の織物又は編物が好適に用いられる。
目付け量が30g/m2未満では、布帛上に形成される多孔質層が粗になるため、明瞭な像を形成し難くなる。一方、目付け量が1000g/m2を超えると、布帛の肉厚が必要以上に肉厚となり、加工性に乏しくなる。また、布帛が大面積の場合、折り畳み保存性や軽量性を損ない易くなる。
更に、前記布帛は1cm2あたりの繊維同士の重なりにより生じる凸部の数が100〜10000、好ましくは200〜5000である。凸部の数が100未満では多孔質層の均一的な形成性に乏しくなると共に、水付着具を用いて描画する際、引っかかりを生じて滑らかに描画でき難くなる。一方、凸部の数が10000を超えると、多孔質層の均一的な形成性を満たすものの、コスト高になると共に、布帛としての風合いに乏しくなる。
更に、前記布帛表面に汎用のカレンダー装置の適用によりカレンダー加工を施して、繊維表面を平滑化することよって、繊維の凸部と凹部に形成される多孔質層の厚みの偏りを少なくすることができ、より均一な厚みの多孔質層を形成することができる。
なお、前記カレンダー加工は、繊維表面を平滑化すると同時に繊維表面の繊維密度を高密度化することもできるため、多孔質層を形成する際に低屈折率顔料とバインダー樹脂を含む塗布液が布帛内部に浸透することを抑制することもでき、より均一な厚みの多孔質層の形成に有効である。
前記低屈折率顔料としては、珪酸及びその塩、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
前記低屈折率顔料は、屈折率が1.4〜1.8の範囲にあり、液体を吸液すると良好な透明性を示すものである。
なお、前記珪酸の塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
前記低屈折率顔料の粒径は特に限定されるものではないが、0.03〜10.0μmのものが好適に用いられる。
又、前記低屈折率顔料は2種以上を併用することもできる。
尚、好適に用いられる低屈折率顔料としては珪酸が挙げられる。
前記珪酸は、乾式法により製造させる珪酸(以下、乾式法珪酸と称する)であってもよいが、湿式法により製造される珪酸(以下、湿式法珪酸と称する)が好適である。
この点を以下に説明する。
珪酸は非晶質の無定形珪酸として製造され、その製造方法により、四塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素の熱分解等の気相反応を用いる乾式法によるものと、ケイ酸ナトリウム等の酸による分解等の液相反応を用いる湿式法によるものとに大別される。
乾式法珪酸と湿式法珪酸とでは構造が異なり、前記乾式法珪酸は珪酸が密に結合した構造であるのに対して、湿式法珪酸は、珪酸が縮合して長い分子配列を形成した構造部分を有している。
従って、湿式法珪酸は乾式法珪酸と比較して分子構造が粗になるため、湿式法珪酸を多孔質層に適用した場合、乾式法珪酸を用いた系と比較して乾燥状態における光の乱反射性に優れ、常態での隠蔽性が大きくなるものと推察される。
又、多孔質層は水を吸液させるものであるから、湿式法珪酸は乾式法珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く、親水性の度合いが大であり、好適に用いられる。
尚、前記多孔質層の常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を調整するために、湿式法珪酸と共に、他の低屈折率顔料を併用することもできる。
前記低屈折率顔料とこれらのバインダー樹脂の混合比率は、低屈折率顔料の種類及び性状に左右されるが、好ましくは、低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分0.5〜2質量部であり、より好ましくは、0.8〜1.5質量部である。低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分が0.5質量部未満の場合には、前記多孔質層の実用的な皮膜強度を得ることが困難であり、2質量部を越える場合には、前記多孔質層内部への水の浸透性が悪くなる。
前記多孔質層は、一般的な塗膜と比較して着色剤に対するバインダー樹脂の混合比率が小さいため、十分な皮膜強度が得られ難い。そこで、前記のバインダー樹脂のうち、ナイロン樹脂又はウレタン系樹脂を用いて耐擦過強度を高めることが好ましい。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、2種以上を併用することもできる。又、前記樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解乃至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。
尚、前記ウレタン系樹脂は水性ウレタン系樹脂又は油性ウレタン系樹脂のいずれを用いることもできるが、本発明においては水性ウレタン系樹脂、殊に、ウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。
前記ウレタン系樹脂は単独で用いることもできるが、布帛の種類や皮膜に必要とされる性能に応じて、他のバインダー樹脂を併用することもできる。ウレタン系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合、実用的な皮膜強度を得るためには、前記多孔質層のバインダー樹脂中にウレタン系樹脂を固形分質量比率で30%以上含有させることが好ましい。
前記バインダー樹脂において、架橋性のものは任意の架橋剤を添加して架橋させることにより、さらに皮膜強度を向上させることができる。
前記バインダー樹脂には、水との親和性に大小が存在するが、これらを組み合わせることにより、多孔質層中への浸透時間、浸透度合い、浸透後の乾燥の遅速を調整することができる。更には、適宜分散剤を添加して前記調整をコントロールすることができる。
前記多孔質層の塗布量は5〜50g/m2、好ましくは、10〜30g/m2である。
5g/m2未満では、常態で十分な隠蔽性を得ることが困難であり、又、50g/m2を越えると吸液時に十分な透明性を得ることが困難である。
前記着色顔料は、一般顔料や蛍光顔料の他、二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄−二酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、グアニン、絹雲母、塩基性炭酸鉛、酸性砒酸鉛、オキシ塩化ビスマス等の金属光沢顔料を例示できる。
又、温度変化により可逆的に色変化する可逆熱変色材料を混在させて、環境温度や付着させる水温により色変化させることができる。
3≦T1≦100 (1)
10≦T2≦150 (2)
0.3≦T1/T2≦1.0 (3)
これを詳しく説明すると、式(1)によって凸部上に形成された多孔質層の厚みT1は3〜100μm、好ましくは3〜80μmである。
また、式(2)によって凹部上に形成された多孔質層の厚みT2は10〜150μm、好ましくは20〜130μmである。
多孔質層の厚みT1が3μm未満、或いは、多孔質層の厚みT2が10μm未満では、乾燥状態で下層の色調が視認され易くなるため、変色前後の様相変化に乏しくなる。
一方、多孔質層の厚みT1が100μmを超える、或いは、多孔質層の厚みT2が150μmを超えると、多孔質層に水が浸透するのに時間を要するため、吸液時に下層の色調が現れ難く、よって、変色鋭敏性に乏しくなる。
式(3)によって、凸部上に形成された多孔質層の厚みと、凹部上に形成された多孔質層の厚みの比率が0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0である。
よって、凹部と凸部の多孔質層の厚みに差が少なく、多孔質層に均一的に吸液されるため、像がかすれたように視認されることなく、しかも、均一的に乾燥するため、像の消去性も満足させる。
なお、式(3)において、凹部上に形成された多孔質層の厚みT2は、凸部上に形成された多孔質層の厚みT1よりも厚い、あるいは、T1と等しい。これは、布帛上に各種印刷方法や塗布方法により多孔質層を形成した際、布帛の凹部に形成される多孔質層は、凸部に形成される多孔質層よりも厚くなる傾向を示すからであり、必要以上に凹部上に形成された多孔質層が厚い〔式(3)の数値が1を超える〕と、水が多孔質層に不均一的に吸液されるため、像がかすれたように視認される。
よって、前述の式(1)乃至(3)を全て満たすことにより、水の付着量が少なかったり、早書きによって十分な水が付着しなかった場合でも形成される像のかすれを生じ難く、明瞭な像を形成可能な水変色性布帛が得られる。
更には、前記多孔質層の上層や多孔質層の周囲の布帛上に絵柄等の図柄層を配設して様相変化を更に多様化させることもできる。
この場合、多孔質層は布帛の中央部分に設けられ、且つ、多孔質層の周囲の布帛上に図柄層を配設することが好ましい。
前記図柄層は、絵柄の他、文字、記号、模様等が挙げられる。
前記多孔質層、着色層、図柄層は、公知の手段、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等により適宜、形成できる。
前記連続気孔を有するプラスチック多孔体又は繊維加工体は、水を適宜量、吸収し、吐出させるものであればよく、汎用のポリオレフィン系、ポリウレタン系、その他各種プラスチックの連続気孔体や繊維を集束させた毛筆状のもの、繊維の樹脂加工又は熱溶着加工によるもの、フェルト、不織布形態のものを挙げることができ、形状、寸法は目的に応じて任意に設定できる。
更に、前記した各種材料をペン先部材として適用し、水収容容器の先端に取り付けた筆記具又は塗布具形態のものが有効である。
前記水変色性布帛と、水付着具を組み合わせることにより、携帯性に優れた任意の像を簡便に形成可能な水変色性描画玩具セットが得られる。
実施例中における布帛断面の繊維の重なりによって生じる凸部上に形成された多孔質層の平均厚み(T1)と、凸部と凸部間で形成される繊維が最も凹んだ箇所の凹部上に形成される多孔質層の平均厚み(T2)は、水変色性布帛を垂直方向にカットして光学顕微鏡で布帛断面を観察し、凸部上に形成された多孔質層の厚み(T1)と凹部上に形成される多孔質層の厚み(T2)をそれぞれ測定し、T1及びT2ともに各20箇所測定した数値を平均して算出した。
なお、実施例中の部は質量部を示す。
水変色性布帛の作製(図1参照)
布帛2として白色のポリエステル繊維からなる織物(トロピカル生地、目付量:100g/cm2)の上面に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、青色顔料0.1部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる青色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて60cm×60cmの大きさで全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層3を形成した。
次いで、前記多孔質層の周囲の支持体上に黒色、青色、赤色、黄色、緑色、紫色からなる非変色性インキを用いて図柄層を形成し、80cm×80cmの大きさに裁断して水変色性布帛1を得た。
なお、前記布帛は、1cm2あたりの繊維同士の重なりにより生じる凸部が900個であり、布帛断面における凸部上の多孔質層の平均の厚み(T1)は25μmであり、凹部上に形成された多孔質層の平均の厚み(T2)は48μmであった。その結果、式(3)で表される数値は0.52であった。
前記水変色性布帛は多孔質層が乾燥状態では淡青色を呈しているが、水の適用により多孔質層が透明化して濃青色が視認される。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は薄くなり、完全に乾燥した状態では再び元の淡青色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
前記水変色性布帛と、水付着手段として先端部に砲弾型の繊維ペン体(ナイロン樹脂製、直径7mm)を有し、軸筒内に水を収容可能に構成したペンとを組み合わせて水変色性描画玩具セットを得た。
前記水変色性描画玩具セットは、水付着具を用いて水変色性布帛の多孔質層に筆記すると5〜6mm幅の明瞭な濃青色の筆跡が形成される。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は淡くなり、完全に乾燥した状態では再び元の淡青色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
また、500g荷重で10cm/s(通常の筆記速度)で筆記しても、20cm/s(速い筆記速度)で筆記しても共に明瞭な青色の筆跡を形成することができ、幼児等が速書きしても十分に明瞭な筆跡を形成できるため、水変色性描画玩具セットとして実用性に優れていた。
水変色性布帛の作製
布帛として白色のポリエステル繊維からなる織物(トロピカル生地、目付量:100g/cm2)の上面に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ピンク色顔料0.1部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなるピンク色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて60cm×60cmの大きさで全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。
次いで、前記多孔質層の周囲の支持体上に黒色、青色、赤色、黄色、緑色、紫色からなる非変色性インキを用いて図柄層を形成し、80cm×80cmの大きさに裁断して、裏面に水不浸透性シート材としてポリウレタン樹脂製白色シート(厚さ0.1mm)を接着剤にて貼着して水変色性布帛を得た。
なお、前記布帛は、1cm2あたりの繊維同士の重なりにより生じる凸部が900個であり、布帛断面における凸部上の多孔質層の平均の厚み(T1)は25μmであり、凹部上に形成された多孔質層の平均の厚み(T2)は48μmであった。その結果、式(3)で表される数値は0.52であった。
前記水変色性布帛は多孔質層が乾燥状態では淡ピンク色を呈しているが、水の適用により多孔質層が透明化して濃ピンク色が視認される。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々にピンク色は薄くなり、完全に乾燥した状態では再び元の淡ピンク色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
前記水変色性布帛と、水付着手段として先端部に砲弾型の繊維ペン体(ナイロン樹脂製、直径7mm)を有し、軸筒内に水を収容可能に構成したペンとを組み合わせて水変色性描画玩具セットを得た。
前記水変色性描画玩具セットは、水付着具を用いて水変色性布帛の多孔質層に筆記すると5〜6mm幅の明瞭な濃ピンク色の筆跡が形成される。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々にピンク色は淡くなり、完全に乾燥した状態では再び元の淡ピンク色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
また、500g荷重で10cm/s(通常の筆記速度)で筆記しても、20cm/s(速い筆記速度)で筆記しても共に明瞭なピンク色の筆跡を形成することができ、幼児等が速書きしても十分に明瞭な筆跡を形成できるため、水変色性描画玩具セットとして実用性に優れていた。
水変色性布帛の作製
布帛として白色のナイロン繊維からなる織物(タフタ生地、目付量:60g/cm2)の上面に、青色の非変色性インキを用いて、全面にベタ印刷して非変色層を形成した。
次いで、前記非変色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成して水変色性布帛を得た。
なお、前記布帛は、1cm2あたりの繊維同士の重なりにより生じる凸部が1600個であり、布帛断面における凸部上の多孔質層の平均の厚み(T1)は25μmであり、凹部上に形成された多孔質層の平均の厚み(T2)は48μmであった。その結果、式(3)で表される数値は0.52であった。
前記水変色性布帛は、多孔質層が乾燥状態では白色を呈しているが、水の適用により多孔質層が透明化して非変色層の青色が視認される。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
前記水変色性布帛と、水付着手段として先端部に砲弾型の繊維ペン体(ナイロン樹脂製、直径5mm)を有し、軸筒内に水を収容可能に構成したペンとを組み合わせて水変色性描画玩具セットを得た。
前記水変色性描画玩具セットは、水付着具を用いて水変色性布帛の多孔質層に筆記すると3〜4mm幅の明瞭な青色の筆跡が形成される。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
また、500g荷重で10cm/s(通常の筆記速度)で筆記しても、20cm/s(速い筆記速度)で筆記しても共に明瞭な青色の筆跡を形成することができ、幼児等が速書きしても十分に明瞭な筆跡を形成できるため、水変色性描画玩具セットとして実用性に優れていた。
水変色性布帛の作製
布帛として白色のポリエステル繊維からなる織物(トロピカル生地、目付量:100g/cm2)の上面に、ピンク色の非変色性インキを用いて、60cm×60cmの大きさにベタ印刷して非変色層を形成し、次いで、前記非変色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて61cm×61cmの大きさでベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。
次いで、前記多孔質層の周囲の支持体上に黒色、青色、赤色、黄色、緑色、紫色からなる非変色性インキを用いて図柄層を形成し、80cm×80cmの大きさに裁断して、裏面に水不浸透性シート材としてエチレン酢酸ビニル樹脂製白色シート(厚さ0.2mm)を縫合(パイピング)して水変色性布帛を得た。
なお、前記布帛は、1cm2あたりの繊維同士の重なりにより生じる凸部が600個であり、布帛断面における凸部上の多孔質層の平均の厚み(T1)は30μmであり、凹部上に形成された多孔質層の平均の厚み(T2)は62μmであった。その結果、式(3)で表される数値は0.48であった。
前記水変色性布帛は、多孔質層が乾燥状態では白色を呈しているが、水の適用により多孔質層が透明化して非変色層のピンク色が視認される。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々にピンク色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
前記水変色性布帛と、水付着手段として先端部に砲弾型の繊維ペン体(ナイロン樹脂製、直径5mm)を有し、軸筒内に水を収容可能に構成したペンとを組み合わせて水変色性描画玩具セットを得た。
前記水変色性描画玩具セットは、水付着具を用いて水変色性布帛の多孔質層に筆記すると3〜4mm幅の明瞭なピンク色の筆跡が形成される。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々にピンク色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
また、500g荷重で10cm/s(通常の筆記速度)で筆記しても、20cm/s(速い筆記速度)で筆記しても共に明瞭な青色の筆跡を形成することができ、幼児等が速書きしても十分に明瞭な筆跡を形成できるため、水変色性描画玩具セットとして実用性に優れていた。
水変色性布帛の作製
布帛として白色のポリエステルが65%、コットン35%からなる織物(ブロード生地、目付量:120g/cm2)の上面に、青色の非変色性インキを用いて、60cm×80cmの大きさにベタ印刷して非変色層を形成し、次いで、前記非変色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて61cm×81cmの大きさでベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。
次いで、前記多孔質層の周囲の支持体上に黒色、青色、赤色、黄色、緑色、紫色からなる非変色性インキを用いて図柄層を形成し、80cm×100cmの大きさに裁断して、裏面に水不浸透性シート材として軟質塩化ビニル樹脂製白色シート(厚さ0.3mm)を縫合(パイピング)して水変色性布帛を得た。
なお、前記布帛は、1cm2あたりの繊維同士の重なりにより生じる凸部が1200個であり、布帛断面における凸部上の多孔質層の平均の厚み(T1)は32μmであり、凹部上に形成された多孔質層の平均の厚み(T2)は76μmであった。その結果、式(3)で表される数値は0.42であった。
前記水変色性布帛は多孔質層が乾燥状態では白色を呈しているが、水の適用により多孔質層が透明化して非変色層の青色が視認される。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
前記水変色性布帛と、水付着手段として先端部に砲弾型の繊維ペン体(ナイロン樹脂製、直径5mm)を有し、軸筒内に水を収容可能に構成したペンとを組み合わせて水変色性描画玩具セットを得た。
前記水変色性描画玩具セットは、水付着具を用いて水変色性布帛の多孔質層に筆記すると3〜4mm幅の明瞭な青色の筆跡が形成される。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
また、500g荷重で10cm/s(通常の筆記速度)で筆記しても、20cm/s(速い筆記速度)で筆記しても共に明瞭な青色の筆跡を形成することができ、幼児等が速書きしても十分に明瞭な筆跡を形成できるため、水変色性描画玩具セットとして実用性に優れていた。
水変色性布帛の作製
布帛として白色のポリエステルが65%、コットン35%からなる織物(ブロード生地、目付量:120g/cm2)の表面にカレンダー加工(温度:180℃、圧力:10t/ロール)を行ない、布帛表面を平滑化させた。
次いで、前記布帛表面に、青色の非変色性インキを用いて、60cm×80cmの大きさにベタ印刷して非変色層を形成した。
前記非変色層上に、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて61cm×81cmの大きさでベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。
更に、前記多孔質層の周囲の支持体上に黒色、青色、赤色、黄色、緑色、紫色からなる非変色性インキを用いて図柄層を形成し、80cm×100cmの大きさに裁断して、裏面に水不浸透性シート材として軟質塩化ビニル樹脂製白色シート(厚さ0.3mm)を縫合(パイピング)して水変色性布帛を得た。
なお、前記布帛は、1cm2あたりの繊維同士の重なりにより生じる凸部が1200個であり、布帛断面における凸部上の多孔質層の平均の厚み(T1)は40μmであり、凹部上に形成された多孔質層の平均の厚み(T2)は65μmであった。その結果、式(3)で表される数値は0.62であった。
前記水変色性布帛は多孔質層が乾燥状態では白色を呈しているが、水の適用により多孔質層が透明化して非変色層の青色が視認される。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
前記水変色性布帛と、水付着手段として先端部に砲弾型の繊維ペン体(ナイロン樹脂製、直径5mm)を有し、軸筒内に水を収容可能に構成したペンとを組み合わせて水変色性描画玩具セットを得た。
前記水変色性描画玩具セットは、水付着具を用いて水変色性布帛の多孔質層に筆記すると3〜4mm幅の明瞭な青色の筆跡が形成される。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
また、500g荷重で10cm/s(通常の筆記速度)で筆記しても、20cm/s(速い筆記速度)で筆記しても共に明瞭な青色の筆跡を形成することができ、幼児等が速書きしても十分に明瞭な筆跡を形成できるため、水変色性描画玩具セットとして実用性に優れていた。
水変色性布帛の作製
布帛として白色のコットン100%からなる織物(ブロード生地、目付量:120g/cm2)を用いた以外は、実施例2と同様の方法にて水変色性布帛を得た。
なお、前記布帛は、1cm2あたりの繊維同士の重なりにより生じる凸部が1050個であり、布帛断面における凸部上の多孔質層の平均の厚み(T1)は25μmであり、凹部上に形成された多孔質層の平均の厚み(T2)は89μmであった。その結果、式(3)で表される数値は0.28であった。
前記水変色性布帛は多孔質層が乾燥状態では白色を呈しているが、水の適用により多孔質層が透明化して非変色層の青色が視認される。水が付着した状態では前記様相を呈していたが、乾燥するにつれて徐々に青色は視認されなくなり、完全に乾燥した状態では再び元の白色に戻った。前記様相変化は繰り返し行うことができた。
前記水変色性布帛と、水付着手段として先端部に砲弾型の繊維ペン体(ナイロン樹脂製、直径5mm)を有し、軸筒内に水を収容可能に構成したペンとを組み合わせて水変色性描画玩具セットを得た。
前記水変色性描画玩具セットは、水付着具を用いて水変色性布帛の多孔質層に筆記する際、500g荷重で10cm/s(通常の筆記速度)で筆記した場合は3〜4mm幅の明瞭な青色の筆跡を形成できるものの、500g荷重で20cm/s(速い筆記速度)で筆記すると筆跡がかすれて明瞭な青色の筆跡を形成できなかった。
2 布帛
3 多孔質層
Claims (9)
- 織物又は編物から選ばれる布帛上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層を設けた水変色性布帛であって、多孔質層を設ける側の布帛断面における繊維同士の重なりにより生じる凸部上の多孔質層の厚みT1(μm)と、繊維同士の重なりにより生じる凹部上の多孔質層の厚みT2(μm)が下記式(1)乃至(3)を満たすことを特徴とする水変色性布帛。
3≦T1≦100 (1)
10≦T2≦150 (2)
0.3≦T1/T2≦1.0 (3) - 前記布帛と多孔質層の間に着色顔料を含む非変色層を設けてなる請求項1記載の水変色性布帛。
- 前記多孔質層中に着色顔料を含んでなる請求項1記載の水変色性布帛。
- 表面にカレンダー加工を施して繊維表面を平滑化した布帛を用いてなる請求項1乃至3記載の水変色性布帛。
- 前記多孔質層の周囲の布帛上に、図柄層を設けてなる請求1乃至4のいずれか一項に記載の水変色性布帛。
- 前記布帛の背面に、水不浸透性シート材が貼着又は縫合されてなる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の水変色性布帛。
- 前記水不浸透性シート材がポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂から選ばれる樹脂である請求項6記載の水変色性布帛。
- 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の水変色性布帛と、水付着具とからなる水変色性描画玩具セット。
- 前記水付着具は、連続気孔を有するプラスチック多孔体又は繊維加工体をペン先部材として適用した筆記具又は塗布具形態である請求項8記載の水変色性描画玩具セット。
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