JP2011005370A - 浄化槽汚泥処理車 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】浄化槽内の汚泥水を内部に収容する貯槽と、貯槽に連結されて貯槽内部を減圧して貯槽内に汚泥水を取り入れる吸引機構とを具備してなる浄化槽汚泥処理車であって、貯槽の内部は、前方から後方に向けて下向きに傾斜した傾斜部を有する仕切板により仕切られており、仕切板の上部には汚泥水を固液分離させるためのリサイクル槽が設けられ、下部にはリサイクル槽にて分離された固形分を収容する汚泥槽が設けられており、リサイクル槽の内部後端には、前方に向けて延びる回転軸を有する攪拌羽根が配設されている。
【選択図】図5
Description
しかしながら、このバキューム車を使用する従来の方法では、浄化槽内の汚泥水の全量をそのまま回収運搬しているため、処理効率が非常に悪く、処理コストが高くなるという問題があった。
この浄化槽清掃車は、凝集剤による凝集反応を利用して汚泥水の固液分離を行っているため、特許文献1の開示技術のようにサイクロン式の汚水分離器等を必要としない。
また、リサイクル槽の内部後端には、前方に向けて延びる回転軸を有する攪拌羽根が配設されているため、凝集剤をリサイクル槽内に分散させて汚泥の凝集効率を高めることができるとともに、攪拌羽根の駆動により生じる水流によって水中に浮遊するフロックを仕切板の方へと集めることができるため、仕切板の傾斜を利用した固液分離の効率を大きく向上させることが可能となる。
また、排水装置は、リサイクル槽にて分離された液体を濾過するフィルタを内蔵したフィルタ室と、該フィルタ室のフィルタ前方側とリサイクル槽とを連結する管路と、該管路内の液体の流通を遮断可能な遮断手段と、該遮断手段とフィルタの間に設けられた分岐路と、フィルタ室のフィルタ後方側を開閉可能な蓋とを備えているため、濃縮汚泥上に存在するリサイクル槽内の分離水をフィルタを介して濾過して清浄水として浄化槽に戻し、最後に分離水上に浮遊していたフロックを分岐路を介して汚泥槽内へと移送することができる。つまり、リサイクル槽内にて三層に分離して存在する濃縮汚泥と分離水と浮遊フロックとを、浄化槽と汚泥槽とに順次振り分けながら作業性良く排出することができる。
また、管路及びフィルタ室が、貯槽の後端部において前後方向に連設されているため、作業終了後にフィルタ室の蓋を開けて内部を目視で確認しながら、洗浄ガンでフィルタを洗浄して目詰まりを解消することが可能となる。
図1は本発明に係る処理車の全体を示す外観側面図、図2は本発明に係る処理車の全体を示す外観平面図、図3は本発明に係る処理車の全体を示す外観背面図、図4は本発明に係る処理車の全体構成を示すフローシートである。
本発明に係る処理車は、浄化槽内の汚泥水を内部に収容する貯槽(1)と、この貯槽(1)に連結されて貯槽内部を減圧して貯槽内に汚泥水を取り入れる吸引機構(2)とが、車両(3)上に搭載されている。尚、図4において、破線の四角形枠で囲まれた領域内の構成が車両(3)上に搭載される部分である。
貯槽(1)は略円筒形状のタンクであって、その内部は仕切板(4)により2つの区画(槽)に仕切られている。
仕切板(4)は図5に示すように貯槽の前方から後方に向けて下向きに傾斜するように配設されている。仕切板(4)の上部(後方)には、収容された汚泥水を固液分離させるためのリサイクル槽(12)が設けられ、下部(前方)にはリサイクル槽(12)にて分離された固形分を収容する汚泥槽(13)が設けられている。
リサイクル槽(12)の側面(助手席側)には凝集剤供給管(34)が連結されており(図4参照)、リサイクル槽(12)内に収容された汚泥水に凝集剤供給管(34)を通して凝集剤を供給することにより、汚泥水中にフロック(濃縮汚泥)が形成されて固液分離が生じる。
高分子凝集剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の凝集剤がいずれも使用可能であり、アニオン系としてはポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸ソーダ系、変性ポリアクリルアミド系、カチオン系としてはポリメタアクリル酸エステル系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミン系、ノニオン系としてはポリアクリルアミド系、変性ポリアクリルアミド系のものが挙げられる。具体的な製品としては、クリフロック(商品名、クリタ工業社製)、スーパーフロック、アコフロック(いずれも商品名、三井サイテック社製)等を例示することができる。
無機系凝集剤としては、鉄系、アルミニウム系等の金属系凝集剤、カルシウム系の粉体凝集剤(沈降剤)のいずれも使用可能であり、金属系凝集剤の製品の具体例としては、鉄系のものとしてポリテツ(商品名、日鉄鉱業社製)、アルミニウム系のものとしてポリアルミニウムクロライド(通称パック)、粉体凝集剤の製品の具体例としては、モスナイト(商品名)、スーパーナミット(商品名、ノアテック社製)、ハイパーフロック(ホウショウEG製)を例示することができる。
これにより、リサイクル槽(12)内で形成されたフロックが水中に長時間浮遊することがなくなる。その結果、汚泥水の固液分離を短時間で良好に行うことが可能となり、浄化槽の汚泥処理作業の効率を大きく向上させることができる。
傾斜部(43)をこのような船底形状とすることで、フロックを傾斜部(43)に沿って迅速に且つ確実に流下させることが可能となる。そのため、傾斜部の傾斜角度(α)を20〜30°という小さい角度に設定してもフロックを流下させる効果が十分に発揮できるようになる。その結果、多量のフロックを受けることとフロックを迅速に流下させることという相反する要求を両立させることが可能となる。
また、傾斜部(43)を上記船底形状とすることで、平板形状とした場合に比べて仕切板(4)の強度を格段に向上させることができる。そのため、仕切板(4)の下面側に補強を施す必要がなくなり、補強を施すことによって生じる貯槽容量の減少や車両重量の増加といった不具合が全く生じない。
傾斜部(43)の船底形状を形成する円弧状湾曲の曲率半径は、貯槽の大きさ等により適宜設定することができ特に限定されないが、例えば0.5〜1.0mの範囲に設定することが好ましい。
すなわち、仕切板(4)を上向き部(41)と下向き部(42)を有さない傾斜部(43)のみの形状とした場合には、仕切板(4)の上端部と貯槽上面の間および仕切板(4)の下端部と貯槽底面の間に側面視鋭角状の空間が形成され、この空間に汚泥やフロックが詰まる虞があるが、上向き部(41)及び下向き部(42)を有することでかかる不具合を回避できる。
尚、図5(b)において、上向き部(41)及び下向き部(42)に描かれた縦線は、上向き部(41)及び下向き部(42)を補強する補強板を表している。
距離(D1)を距離(D2)よりも長く設定することにより、リサイクル槽(12)の底面を広くとることができる。
リサイクル槽(12)の底面には、汚泥水への凝集剤の添加により比重の大きいフロックが沈殿堆積する。このとき、リサイクル槽(12)の底面を広くとることで、堆積したフロックの層が過度に厚くなることがなく、底部に堆積したフロックが傾斜部(43)に沿ったフロックの流下を阻害することがない。
車両(3)の車台上には、上面が前方から後方に向けて下向きに傾斜した支持台(6)が設けられており、貯槽(1)はこの支持台(6)の上面に固定されることにより、その中心軸(C)が前方から後方に向けて下向きに傾斜している(図5(a)参照)。中心軸(C)の水平方向に対する傾斜角度は、例えば2°〜5°の範囲に設定される。
このように貯槽(1)を傾斜させることにより、仕切板自体の傾斜をあまり大きくせずとも、貯槽の傾斜により仕切板の傾斜を大きくすることが可能となる。
その結果、多量のフロックを受けることとフロックを迅速に流下させることという相反する要求を両立させることがより容易となる。
リサイクル槽(12)の内部後端には、攪拌羽根(5)が配設されている。
攪拌羽根(5)は、前方に向けて延びる回転軸(51)を有しており、貯槽外部に配設されたモータ(52)の駆動により回転する。
攪拌羽根(5)は、リサイクル槽(12)内に供給された凝集剤を分散させて凝集効率を高める機能を有するとともに、攪拌羽根の駆動により生じる水流によって水中に浮遊するフロックを仕切板(4)の方へと集める機能も有している。
フロックが仕切板(4)の方へと集められることにより、多量のフロックを連続的に効率良く仕切板(4)の傾斜部(43)に沿わせて流下させることができ、固液分離の効率を大きく高めることが可能となる。
これにより、リサイクル槽(12)から排出される液体中に含まれる固形分をフィルタにより除去して清浄水として浄化槽(S)へと戻すことができる。
先ず、リサイクル槽(12)の底部に沈殿堆積した比重の大きいフロック(濃縮汚泥)を、バルブ(92)(図4参照)を開放することにより排水口(90)から配管(91)を介して汚泥槽(13)内へと移送する。移送状態は、配管(91)の中途部に設けた透視管(94)で確認することができる。
次いで、中間層の清浄水を、バルブ(9)を閉鎖してポンプ(63)を駆動することにより、フィルタ(711)を通過させて濾過した後、浄化槽(S)に戻す。
中間層の清浄水が排出されると、水面に浮遊していた比重の小さいフロックが底部に堆積するので、リサイクル槽(12)を加圧側に切り替えた後、バルブ(92)を開放して、このフロックを排水口(90)から配管(91)を介して汚泥槽(13)内へと移送する。
このように、リサイクル槽(12)内にて三層に分離した濃縮汚泥と清浄水と浮遊フロックとを、浄化槽(S)と汚泥槽(13)とに振り分けながら順次作業性良く排出することができる。
このような構造とすることで、フィルタの強度を維持しながら開口率を大きくすることができる。そのため、リサイクル槽(12)からの排水時間を短縮して作業効率を向上させることが可能となる。
これにより、作業終了後にフィルタ室(71)の蓋(75)を開けて内部を目視で確認しながら、洗浄ガン(8)でフィルタ(711)を洗浄して目詰まりを解消することが可能となる。
洗浄ガン(8)への洗浄水の供給は、水タンク(81)内の水をポンプ(82)により圧送することにより行われる(図4参照)。
尚、図4において、細い矢印は空気の流れ、太い黒矢印は濃縮汚泥の流れ、太い白矢印は水(排水)の流れ、太い斜線矢印は浄化槽からの汚泥水の流れを夫々表わしている。
リサイクル槽(12)内を加圧して三方弁(30)を排気側に切り替えることにより、リサイクル槽(12)の内容物を、排水口(90)から中途部にバルブ(92)を備えた配管(91)を介して汚泥槽(13)へと移送することができる。
ホース(60)は、配管(35)及びバルブ(36)を介してリサイクル槽(12)と連結されるとともに、配管(37)及びバルブ(38)を介して汚泥槽(13)とも連結されている。
これら配管(35)(37)は、浄化槽(S)内に挿入されたホース(60)から汚泥水を吸引してリサイクル槽(12)及び汚泥槽(13)内へと回収する吸引管として作用する。実際の作業では、先ず浄化槽(S)の底部に存在する濃い汚泥水をホース(60)を介して汚泥槽(13)へと回収した後、上方に存在する薄い汚泥水を同じホース(60)を介してリサイクル槽(12)へと回収する。
配管(62)とフィルタ室(71)との中途部には、排水ポンプ(63)、透視管(64)、バルブ(65)が設けられている。
これにより、排水ポンプ(63)を駆動してバルブ(65)を開放することによって、リサイクル槽(12)内の液体(固液分離後の清浄水)を、透視管(64)で目視確認しながらホース(60)を通して浄化槽(S)内へと排出することができる。
12 リサイクル槽
13 汚泥槽
2 吸引機構
3 車両
4 仕切板
41 上向き部
42 下向き部
43 傾斜部
5 攪拌羽根
51 回転軸
60 ホース
61 ホースリール
62 配管
63 排水ポンプ
64 透視管
7 排水装置
71 フィルタ室
72 管路
73 遮断手段
74 分岐路
75 蓋
9 バルブ
91 配管
94 透視管
S 浄化槽
また、リサイクル槽の内部後端には、前方に向けて延びる回転軸を有する攪拌羽根が配設されているため、凝集剤をリサイクル槽内に分散させて汚泥の凝集効率を高めることができるとともに、攪拌羽根の駆動により生じる水流によって水中に浮遊するフロックを仕切板の方へと集めることができるため、仕切板の傾斜を利用した固液分離の効率を大きく向上させることが可能となる。
また、仕切板が、前端に貯槽の前後方向中心軸に対して直角上方向に延びる上向き部を有し、後端に前記中心軸に対して直角下方向に延びる下向き部を有することから、仕切板の上下端部と貯槽内面との間に鋭角状の空間が形成されることがなく、当該空間に汚泥やフロックが詰まることが防がれ、汚泥水の固液分離を良好に行うことができる。
また、排水装置は、リサイクル槽にて分離された液体を濾過するフィルタを内蔵したフィルタ室と、該フィルタ室のフィルタ前方側とリサイクル槽とを連結する管路と、該管路内の液体の流通を遮断可能な遮断手段と、該遮断手段とフィルタの間に設けられた分岐路と、フィルタ室のフィルタ後方側を開閉可能な蓋とを備えているため、濃縮汚泥上に存在するリサイクル槽内の分離水をフィルタを介して濾過して清浄水として浄化槽に戻し、最後に分離水上に浮遊していたフロックを分岐路を介して汚泥槽内へと移送することができる。つまり、リサイクル槽内にて三層に分離して存在する濃縮汚泥と分離水と浮遊フロックとを、浄化槽と汚泥槽とに順次振り分けながら作業性良く排出することができる。
また、管路及びフィルタ室が、貯槽の後端部において前後方向に連設されているため、作業終了後にフィルタ室の蓋を開けて内部を目視で確認しながら、洗浄ガンでフィルタを洗浄して目詰まりを解消することが可能となる。
Claims (8)
- 浄化槽内の汚泥水を内部に収容する貯槽と、該貯槽に連結されて貯槽内部を減圧して貯槽内に汚泥水を取り入れる吸引機構とを具備してなる浄化槽汚泥処理車であって、
前記貯槽の内部は、前方から後方に向けて下向きに傾斜した傾斜部を有する仕切板により仕切られており、
前記仕切板の上部には汚泥水を固液分離させるためのリサイクル槽が設けられ、下部には該リサイクル槽にて分離された固形分を収容する汚泥槽が設けられており、
前記リサイクル槽の内部後端には、前方に向けて延びる回転軸を有する攪拌羽根が配設されていることを特徴とする浄化槽汚泥処理車。 - 前記仕切板の傾斜部は、前記貯槽の左右方向における中央部が円弧状に窪んだ船底形状を有していることを特徴とする請求項1記載の浄化槽汚泥処理車。
- 前記仕切板は、前端に前記貯槽の前後方向中心軸に対して直角上方向に延びる上向き部を有し、後端に前記中心軸に対して直角下方向に延びる下向き部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の浄化槽汚泥処理車。
- 前記貯槽の後端から前記下向き部までの距離が、前記貯槽の前端から前記上向き部までの距離よりも長いことを特徴とする請求項3記載の浄化槽汚泥処理車。
- 前記リサイクル槽には、該リサイクル槽にて分離された液体をフィルタを通して外部へと排出する排水装置が連結されており、
該排水装置は、前記リサイクル槽にて分離された液体を濾過するフィルタを内蔵したフィルタ室と、該フィルタ室のフィルタ前方側と前記リサイクル槽とを連結する管路と、該管路内の液体の流通を遮断可能な遮断手段と、該遮断手段と前記フィルタの間に設けられた分岐路と、前記フィルタ室のフィルタ後方側を開閉可能な蓋とを備えており、
前記分岐路は、バルブを介して前記汚泥槽と連通連結されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の浄化槽汚泥処理車。 - 前記管路及び前記フィルタ室は、前記貯槽の後端部において前後方向に連設されており、
前記フィルタは、複数枚のパンチングメタルの間に金網を挟んだ構造を有していることを特徴とする請求項5記載の浄化槽汚泥処理車。 - 前記貯槽は、前方から後方に向けて下向きに傾斜するように車両上に固定されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の浄化槽汚泥処理車。
- 前記リサイクル槽と前記汚泥槽とを連通連結する配管と、前記排水装置に接続された排水ポンプと前記浄化槽内に挿入されるホースを巻回したホースリールとを連結する配管に、透視管を有していることを特徴とする請求項5乃至7いずれかに記載の浄化槽汚泥処理車。
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