JP2011002110A - 潜熱回収型熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】潜熱回収型熱交換器1を、所定のピッチで配置された複数の金属製のフィン2と、これらのフィンに設けられた孔部3に挿入された金属製のパイプ4とを有するものとし、フィン2およびパイプ4の外面を電着性物質からなる樹脂層5で被覆する。これにより、パイプ4内に供給された加熱対象液が、フィン2およびパイプ4の外面に接触する燃焼ガスから回収された潜熱で加熱されるとともに、フィン2およびパイプ4が樹脂層5によって耐食性を付与される。
【選択図】 図2
Description
本発明は上述のような実情に鑑みてなされたものであり、優れた耐食性を有し熱回収効率が高く、かつ、システムの小型化、簡素化が可能な潜熱回収型熱交換器を提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記フィンおよびパイプの材質は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金のいずれかであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記樹脂層は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーンの少なくとも1種を含有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記樹脂層の厚みは、5〜50μmの範囲であるような構成とした。
図1は本発明の潜熱回収型熱交換器の一実施形態を示す平面図であり、図2は図1に示される潜熱回収型熱交換器の円で囲まれた箇所におけるパイプの中心軸に沿った断面を示す拡大断面図である。図1および図2において、本発明の潜熱回収型熱交換器1は、所定のピッチで配置された複数のフィン2と、これらのフィン2に設けられた孔部3に挿入されたパイプ4とを有している。そして、フィン2およびパイプ4の外面は樹脂層5で被覆され、この樹脂層5は電着性物質を用いて電着により形成されたものである。
潜熱回収型熱交換器1を構成するパイプ4は、内部に加熱対象液を供給するための部材であり、パイプ4内を移動中の加熱対象液が、フィン2とパイプ4で回収した燃焼ガスの潜熱によって加熱される。このようなパイプ4の材質は、通常、フィン2と同材質とされるが、これに限定されるものでない。また、パイプ4の外径、内径は、使用する材質、フィン2の孔部3の内径、潜熱回収型熱交換器の用途等を考慮して適宜設定することができる。尚、図示例では、パイプ4は一方の端部でU字形状に折り返された構造であり、個々のフィン2において2箇所にパイプが貫通しているが、パイプ4の構造はこれに限定されるものではない。
また、上記の電着性を有する合成高分子樹脂に粘着性を付与するために、ロジン系、テルペン系、石油樹脂等の粘着性付与樹脂を必要に応じて添加してもよい。
電着により形成された樹脂層5の厚みは、5〜50μm、好ましくは10〜25μmの範囲とすることができる。樹脂層5の厚みが5μm未満であると、ピンホール等の発生により、良好な耐食性が確保できないことがあり、50μmを超えると、熱回収効率が低下し、また、乾燥固化後のヒビ割れ等の発生や、生産性の低下、コスト高といった問題が発生し好ましくない。
図3に示されるシステム11は、ケース体12内にバーナー13が配置され、この上方に顕熱交換器14が配置されている。また、顕熱交換器14において熱交換が行われた後の燃焼ガスと接触する位置に潜熱回収型熱交換器15が配設されている。顕熱交換器14と潜熱回収型熱交換器15は、それぞれ所定のピッチで配置された複数のフィンと、これらのフィンに設けられた孔部に挿入されたパイプ16とで構成されている。そして、顕熱交換器14と潜熱回収型熱交換器15を構成するパイプ16の一方の端部は、ケース体12内部で接続されており、潜熱回収型熱交換器15から顕熱交換器14へと加熱対象液が移送可能となっている。また、顕熱交換器14と潜熱回収型熱交換器15を構成するパイプ16の他方の端部はケース体12の外部に導出されている。さらに、潜熱回収型熱交換器15にてバーナー13の燃焼ガスから潜熱を回収する際に、燃焼ガス中の水蒸気系が凝縮して酸性の凝縮水が生じるので、これを集めるドレンパン17が配設されている。
上述の本発明の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
[実施例1]
(試料1の作製)
厚み1mmの銅基材(100mm×50mm)を準備した。
次いで、エポキシ電着液に、カーボンナノチューブ(昭和電工(株)製 気相法炭素繊維 VGCF)を樹脂固形分に対して60重量%添加し分散させて、電着液とした。
上記の電着液を20℃に保って撹拌し、この中に上記の銅基材を浸漬し、極間40mm、電圧50Vで1分間電着を行い、引き上げた銅基材を純水洗浄した。その後、ホットプレート上で150℃、3分間乾燥し、さらに、窒素雰囲気中で180℃、1時間の加熱硬化処理を施した。これにより、厚み15μmの均一な樹脂層が銅基材上に形成された試料1を得た。
まず、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(エポキシ当量910)1000重量部を撹拌下に70℃に保ちながら、エチレングリコールモノエチルエーテル463重量部に溶解させ、さらに、ジエチルアミン80.3重量部を加えて100℃で2時間反応させてアミンエポキシ付加物(A)を調製した。
また、コロネートL(日本ポリウレタン(株)製 ジイソシアネート:NCO13%の不揮発分75重量%)875重量部にジブチル錫ラウレート0.05重量部を加え50℃に加熱し、これに2−エチルヘキサノール390重量部を添加し、その後、120℃で90分間反応させた。得られた反応生成物をエチレングリコールモノエチルエーテル130重量部で希釈した成分(B)を得た。
次に、上記のアミンエポキシ付加物(A)1000重量部と成分(B)400重量部からなる混合物を、氷酢酸30重量部で中和した後、脱イオン水570重量部を用いて希釈し、不揮発分50重量%の樹脂Aを調製した。この樹脂A200.2重量部(樹脂成分86.3容量)、脱イオン水583.3重量部、およびジブチル錫ラウレート2.4重量部を配合してエポキシ電着液を調製した。
厚み1mmのアルミニウム基材(100mm×50mm)を準備した。
次いで、実施例1と同じ電着液を20℃に保って撹拌し、この中に上記のアルミニウム基材を浸漬し、極間40mm、電圧50Vで1分間電着を行い、引き上げたアルミニウム基材を純水洗浄した。その後、ホットプレート上で150℃、3分間乾燥し、さらに、窒素雰囲気中で180℃、1時間の加熱硬化処理を施した。これにより、厚み15μmの均一な樹脂層がアルミニウム基材上に形成された試料2を得た。
上述のように作製した試料1、2と、樹脂層が形成されていない厚み1mmの銅基材(100mm×50mm)からなる試料3、および、樹脂層が形成されていない厚み1mmのアルミニウム基材(100mm×50mm)からなる試料4について、それぞれ室温でpH2のリン酸水溶液に1000時間浸漬し、浸漬前後の重量減少量(g)を測定して下記の表1に示した。
これに対して、樹脂層で被覆されていない試料3、4はpH2のリン酸水溶液による腐食を受けて大幅な重量減少を示した。
(試料Aの作製)
フィンとして、厚み0.3mmの銅基材(100mm×150mm)を15枚準備し、各銅基材の中央に直径50mmの孔部を穿孔した。
次に、外径が49.5mmの銅パイプを上記のフィンの孔部に挿嵌し、パイプと各フィンをろう付けした。各フィンのピッチは、下記の表2に示す3種とした。次いで、所定のピッチで配置された複数のフィンの両外側に位置する銅パイプを、最外側に位置するフィンから25mmの位置で、同一方向に90°曲げた。
試料Aと同様にして、下記の表2に示されるピッチ(3種)でフィンを配置し、パイプと各フィンをろう付けし、その後、所定のピッチで配置された複数のフィンの両外側に位置する銅パイプを、最外側に位置するフィンから25mmの位置で、同一方向に90°曲げた。
次に、20%水酸化ナトリウム水溶液に過酸化水素を30g/L添加したアルカリ水溶液を準備し、この中に上記のフィンとパイプからなる熱交換器を、フィン部分が完全に液中に漬かり、パイプの両開口端が液面から出るようにして5分間浸漬し、その後、引き上げて120℃、30分間乾燥した。
次いで、フッ素系樹脂塗料(旭硝子(株)製 ルミフロン)に、カーボンナノチューブ(昭和電工(株)製 気相法炭素繊維 VGCF)を樹脂固形分に対して60重量%添加し分散させて、耐食性皮膜形成用の塗料とした。この塗料の中に上記のフィンとパイプからなる熱交換器を、フィン部分が完全に液中に漬かり、曲げられたパイプの両開口端が液面から出るようにして10分間浸漬し、その後、引き上げて400℃、60分間乾燥した。
上述のように作製した試料A、B(計6種)について、それぞれ室温でpH2のリン酸水溶液に1000時間浸漬して引き上げ、表面状態を顕微鏡で観察して結果を下記の表2に示した。
これに対して、試料Bでは、フィンピッチが1mm、2mmの場合、フィン間に位置する耐食性皮膜に欠陥があり、フィン間のパイプに腐食が発生した。また、いずれのフィンピッチであっても、フィンの周辺端部に耐食性皮膜の薄い箇所が存在し、この部位で腐食が発生した。
2…フィン
3…孔部
4…パイプ
5…樹脂層
11…システム
14…顕熱交換器
Claims (4)
- 所定のピッチで配置された複数のフィンと、これらのフィンに設けられた孔部に挿入されたパイプとを有し、前記フィンおよびパイプの外面に燃焼ガスが接触し、パイプ内に供給された加熱対象液を加熱する潜熱回収型熱交換器において、
前記フィンおよびパイプは金属製であり、その外面が樹脂層で被覆され、該樹脂層は電着性物質を用いて電着により形成されたものであることを特徴とする潜熱回収型熱交換器。 - 前記フィンおよびパイプの材質は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の潜熱回収型熱交換器。
- 前記樹脂層は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーンの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の潜熱回収型熱交換器。
- 前記樹脂層の厚みは、5〜50μmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の潜熱回収型熱交換器。
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Cited By (1)
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-
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