JP2011002074A - 作業機の油圧装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ローリング用シリンダ11が操作限界位置に達してリリーフ弁36が圧油を油タンクT側へ排出すると、ローリング制御弁39を中立位置39cに戻し、流量分配弁38を分配供給位置38bに切換え、リリーフ弁36の排出作動中に昇降制御弁42が操作されると、その昇降制御弁42による昇降用シリンダ9側への圧油供給量の増加率を、リリーフ弁36の排出作動中以外の時点で操作されるときの圧油供給量の増加率よりも緩やかにする制御手段14Aを備えた。
【選択図】図4
Description
[1]ポンプからの吐出油を、昇降用シリンダへの圧油供給路と、ローリング用シリンダへの圧油供給路とに分配供給可能に構成し、その分配供給を、ポンプから前記両圧油供給回路への分岐箇所に設けたフロープライオリティバルブで行い、ローリング用シリンダ側へ制御流を供給し、昇降用シリンダ側へ余剰流を供給するように構成したもの(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記従来構造のものでは、制御流としてローリング用シリンダへの圧油供給路側へ供給される油量は、昇降用シリンダ側へは供給することができないので、その分、昇降用シリンダ側の油量を多く確保したい場合は、ポンプ容量そのものを大きくする必要があった。
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、走行機体に連結された作業装置を昇降用シリンダで駆動昇降自在に構成するとともに、前記作業装置をローリング用シリンダでローリング制御可能に構成してある作業機の油圧装置において、前記昇降用シリンダへの圧油供給路に昇降制御弁を備え、前記ローリング用シリンダへの圧油供給路にローリング制御弁を備え、前記昇降制御弁と前記ローリング制御弁との双方に対して圧油を分配供給可能な分配供給位置と、ローリング制御弁側のみへ圧油を供給するローリング供給位置とに、圧油の供給形態を切換制御する流量分配弁を備え、前記ローリング用シリンダが操作限界位置に達して前記流量分配弁への圧油供給路に設けられているリリーフ弁が圧油を油タンク側へ排出すると、前記ローリング制御弁を中立位置に戻し、かつ、前記流量分配弁を分配供給位置に切換操作するように制御するとともに、前記リリーフ弁の油タンク側へ排出作動中に前記昇降制御弁が操作されると、その昇降制御弁による昇降用シリンダ側への圧油供給量の増加率を、前記リリーフ弁の油タンク側への排出作動中以外の時点で操作されるときの圧油供給量の増加率よりも緩やかになるように制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
上記のように、解決手段1にかかる本発明の作業機の油圧装置では、昇降用シリンダへの圧油供給路に昇降制御弁を備え、ローリング用シリンダへの圧油供給路にローリング制御弁を備え、前記昇降制御弁とローリング制御弁との双方に対して圧油を分配供給可能な分配供給位置と、ローリング制御弁側のみへ圧油を供給するローリング供給位置とに、圧油の供給形態を切換制御する流量分配弁を備えている。
このように、ローリング供給位置と分配供給位置とに圧油の供給形態を切換制御する流量分配弁を備えたことにより、ローリング用シリンダ側へ制御流を供給するようにして、使用頻度が高いローリング用シリンダ側へ常時必要な流量の圧油を確保し、昇降用シリンダが使用されているときにローリング用シリンダ側への供給油量が不足してローリング作動が良好に行えないというような不具合を避け得て、ローリング制御の安定化を図ることができる。
しかしながら、このように構成すると、次のような新たな問題点がある。
便宜上、本発明の図面、「図4乃至図6」に記載の符号を用いて説明すると、流量分配弁38が分配供給位置38cにあって、ローリング制御弁(電磁比例弁39)が上昇側位置39uまたは下降側位置39dに操作されている状態で、ローリング用シリンダ11がストロークエンドにまで操作されると、流量分配弁38の両端に作用するパイロット圧力が等しくなって、流量分配弁38はスプリング38dによってローリング制御弁供給位置38aに戻され、一時的に行き場を失ったポンプ26からの吐出油はリリーフ弁36を介してタンクT側へ戻される。このままでは、昇降制御弁42側にも圧油が供給されないのでローリング制御弁(電磁比例弁39)は中立位置に戻され、これに伴って流量分配弁38が分配供給位置38cに戻された状態となる。
このとき、ポンプ26からの吐出油がリリーフ弁36を介してタンクT側へ戻されている状況で、ローリング制御弁(電磁比例弁39)が中立位置39cに戻るまでのごく僅かな時間間隔ではあるが、この時間間隔内で昇降用シリンダ9を上昇させるように昇降制御弁42が操作されると、流量分配弁38の分配供給位置38c側への切り替わりにともなって、流量分配弁38よりも上流側の圧油の全量が一気に昇降用シリンダ9側へ送り込まれ、昇降用シリンダ9の作動にショックを生じる虞がある。
これによって、流量分配弁38から制御流としてローリング用シリンダ11側へ供給されていた油量も、昇降用シリンダ9側へ供給することが可能となり、昇降用シリンダ9側の油量をより多く確保することができるようになった。したがって、ポンプ26容量自体を大きくする必要なく昇降用シリンダ9を操作性良く作動させられる利点がある。
したがって、ローリング用シリンダ11が操作限界位置に達してポンプ26からの吐出油がリリーフ弁36を介してタンクT側へ戻されている状況で、ローリング制御弁(電磁比例弁39)が中立位置に戻るまでの時間間隔内で、昇降制御弁42が昇降用シリンダ9を上昇させる側に操作されても、その昇降制御弁42による昇降用シリンダ9側への圧油供給量の増加率を緩やかにして、昇降用シリンダ9の作動時のショックを軽減できる利点がある。
図1はトラクタの全体右側面図である。この図に示すように、トラクタは、その前部にエンジン1を搭載してある。エンジン1には、フレーム兼用のミッションケース2を、エンジン1の後部から車体後方に向けて延出するように連結してある。エンジン1の左右両側方には、左右一対の前輪3を操舵可能かつ駆動可能に配備してある。ミッションケース2における後部の左右両側方には、左右一対の後輪4を駆動可能かつ制動可能に配備してある。ミッションケース2の上方には、前輪操舵用のステアリングホイール5や運転座席6などを配備して搭乗運転部7を形成してある。
上記昇降・ローリング用の油圧機構13の作動を制御する制御装置14は次のように構成されている。
制御装置14は、マイクロコンピュータを利用して構成してあり、各種入力信号に基づいて前記油圧機構13に対して出力する制御指令を制御プログラムとして備えた制御手段14Aと、昇降制御用のデータ、及びローリング制御用のデータを記憶する記憶手段14Bとを備えている。
搭乗運転部7における運転座席6の右側方の位置に位置保持可能に配備してある(図1参照)第1昇降レバー15を操作することにより、このトラクタの後部に連結した作業装置を、その第1昇降レバー15の操作位置に応じた高さ位置に位置させることができる。
つまり、制御手段14Aは、作業装置昇降用の第1昇降レバー15の操作位置を検出する第1レバーセンサ16の出力と、リフトアーム8の揺動角を検出するアームセンサ17の出力と、それらの出力を対応させた昇降用の相関関係データとに基づいて、リフトアーム8の揺動角が第1昇降レバー15の操作位置に対応するように油圧機構13の作動を制御する。
つまり、第2昇降レバー18を操作することにより、このトラクタの後部に連結した作業装置の高さ位置を、上限設定器20により設定した作業装置の上昇限界位置と、第1昇降レバー15により設定した作業装置の高さ位置とに切り換えることができる。
このトラクタには、トラクタ本体のローリング角度を検出する角度センサ22と、トラクタ本体のローリング角速度を検出する角速度センサ23とを装備してある。
そして、その設定値と、ローリング用シリンダ11の長さを検出するストロークセンサ25の出力とに基づいて、ストロークセンサ25の出力が設定値に対応するように油圧機構13の作動を制御する。これにより、作業装置を角度設定器24で設定した目標ローリング角度に維持することができる。
昇降・ローリング用の油圧機構13は、図4に示すように、エンジン1からの動力で作動する油圧ポンプ26に対して、第1供給油路27及び第2供給油路28を介して接続された第1バルブユニット29と、その第1バルブユニット29に対して接続された第2バルブユニット33との組み合わせで構成されている。
前記下降用比例バルブ44には第2排出油路51を接続し、アンロードバルブ47には第3排出油路52を接続してある。
また、前記分流バルブ38のローリング供給位置38a側には、ローリング用シリンダ11の負荷圧力を作用させるように第2パイロット通路PL2を設けてある。つまり、前記第1バルブユニット29に、ローリング用シリンダ11の負荷圧力を導く第3パイロット通路PL2u,PL2dと、その第3パイロット通路PL2u,PL2dの高圧側を選択する高圧選択弁53とが備えられ、高圧選択されたパイロット圧力を分流バルブ38のローリング供給位置38a側に作用させるように、前記第3パイロット通路PL2u,PL2dに対して前記第2パイロット通路PL2が接続されている。
さらに、分流バルブ38のローリング供給位置38a側には、ローリング供給位置38a側から昇降供給位置38b側に向けて分流バルブ38を押し付け付勢する付勢バネ38dを設けている。
電磁比例バルブ39が上昇側位置39u、または下降側位置39dに操作されている場合には、ローリング用シリンダ11の負荷圧力が第3パイロット通路PL2u,PL2dに伝わり、高圧選択弁53、第2パイロット通路PL2を経て分流バルブ38のローリング供給位置38a側に作用する。
さらに、分流バルブ38のローリング供給位置38a側には、ローリング供給位置38a側から昇降供給位置38b側に向けて分流バルブ38を押し付け付勢する付勢バネ38dの付勢力が作用している。
このため分流バルブ38は、前記付勢バネ38dの付勢力と前記負荷圧力による油圧力との合計が、前記昇降供給位置38b側に作用する電磁比例弁39の上流圧力による油圧力とが釣り合うように、分流バルブ38の中間部に設けられた分配供給位置38cでの絞り量を調節可能に構成されている。(図5(a)、及び図5(b)参照)
そして、前記ローリング用シリンダ11がストロークエンドに達して急激に負荷圧力が増大したり、走行路面の凹凸などによってローリング用シリンダ11に作用する負荷圧力が急激に増大した場合などには、図5(b)に示すように、分流バルブ38が過渡的にローリング供給位置38a側に操作される場合がある。
前記負荷圧力の急増が走行路面の凹凸などの自然に解消するものであれば、その負荷圧力の変動の解消とともに元の分配供給位置38cに戻るように制御される。また、ストロークエンドに達して生じた負荷圧力であれば、そのストロークエンドの検出に伴って前記電磁比例バルブ39が、図6(a)、(b)に示すように中立位置39cに操作されるので、これにともなって分流バルブ38も後述するように分配供給位置38cに操作されることになる。
電磁比例バルブ39が中立位置39cに操作されると、第3パイロット通路PL2u,PL2dがともにタンクTに通じるので、第2パイロット通路PL2を経て分流バルブ38のローリング供給位置38a側に作用していたパイロット圧が消失する。これによって、分流バルブ38は、昇降供給位置38b側に作用する第1パイロット通路PL1のパイロット圧が、他端側の付勢バネ38dの付勢力に打ち勝って、分流バルブ38を中間の分配供給位置38c側、もしくは昇降供給位置38b側に切換操作するように構成されている。(図6(a)、及び図6(b)参照)
また、図6(b)に示すように、電磁比例バルブ39が中立位置39cに操作された状態で分流バルブ38が昇降供給位置38b側に操作された場合にも、ローリング用シリンダ11側へは圧油の給排が停止されているので、油圧ポンプ26側から供給される圧油は、その全量が第2バルブユニット33側へ供給される。ただし、このような状態は、例えば、図5(a)又は図5(b)に示すように、電磁比例バルブ39を上昇側位置39u、または下降側位置39dに操作してローリング用シリンダ11に対する圧油の給排を行っていた状態から、電磁比例バルブ39を急激に中立位置39cに操作した直後などの特異な状況で過渡的に生じるものであって、その後、他端側の付勢バネ38dの付勢力によって分流バルブ38は分配供給位置38c側に操作され、結局、図6(a)に示す状態になる。
上昇用比例バルブ42が上昇位置42bのとき、アンロードバルブ47のバネ室には昇降シリンダ9の負荷圧力が導かれるため、第3供給油路32の圧力を、「Pu(第3供給油路32の圧力)=Pf(昇降シリンダ9の負荷圧力)+Ps(バネ47cの付勢力に対抗する圧力)」に制御する。
リリーフバルブ36のリリーフ圧力は、前記の「Pf+Ps」よりも高く設定されているので、電磁比例バルブ39が中立位置39cに操作されている場合は、第2バルブユニット33の第3供給油路32がオンロード状態かアンロード状態かによらず、分流バルブ38は分配供給位置38cに制御され、油圧ポンプ26からの供給作動油は、その全量が第3供給油路32側に供給される。
そして、制御装置14の前記制御手段14A側では、ストロークセンサ25の検出信号が入力されると、同時に電磁比例バルブ39を中立位置39cに戻し操作するように制御指令を出力するのではなく、ストロークセンサ25によるストロークエンドの検出信号が所定時間dt続いたことが確認されると、その所定時間dt後に電磁比例バルブ39を中立位置39cに戻し操作する制御指令を出力するようにプログラム設定されている。この所定時間dtの遅れは前記ローリング用シリンダ11がストロークエンドに達した状態であることを確実に認識するためのものである。
そして、ストロークセンサ25からの検出信号を入力された制御手段14Aは、ストロークエンドの検出信号発生時点t0から、予め設定された所定時間dt経過後の時点t1に、電磁比例制御弁39に対して中立位置39cへの戻し操作指令を出力する。
そうすると、電磁比例制御弁39が中立位置39cへ戻されていて、ローリング用シリンダ11側へは圧油が供給されないので、油圧ポンプ26からの吐出油の全量が昇降用シリンダ9側の圧油供給回路である第2バルブユニット33の第3供給油路32に送り込まれることになる。そして、この第3供給油路32に設けられたアンロードバルブ47が作動し、分流バルブ38よりも上流側の第1供給油路27及び第2供給油路28の回路圧を下げ、リリーフバルブ36が閉じられることになる。
このため、前記操作開始時点t2と、電磁比例制御弁39が中立位置39cへ戻し操作される時点t1との間における経過時間t3内で徐々に弁開度を大きくし始めた第2バルブユニット33の上昇用比例バルブ42は、圧油が供給され始める前記時点t1では、図7中に「上昇用比例バルブの動作(1)」で示す開度表示線L1上の開度h1として示すように、既にある程度開放された状態となっている。
この状態で第2バルブユニット33の第3供給油路32に圧油が送り込まれてくると、第2バルブユニット33の上昇用比例バルブ42は、閉止状態から弁開度を徐々に開き始めるのではなく、図7に示すように、前記経過時間t3を過ぎて開度h1、または開度h2に、ある程度開かれた状態からさらに開度を増すように操作される。
前記開度h2は、上記のような、ローリング用シリンダ11がストロークエンドに達したことがストロークセンサ25で検出された時点t0と、電磁比例制御弁39が中立位置39cへ戻し操作される時点t1との間以外の、つまり、前記時点t0と前記時点t1との間で上昇用比例バルブ42が操作されるのではなく、前記リリーフバルブ36がリリーフ作動している間ではない時点で、第2バルブユニット33の上昇用比例バルブ42が操作された場合における制御状態での開度を示している。
この開度表示線L2上において、上昇用比例バルブ42の操作開始時点を、開度表示線L1上における上昇用比例バルブ42の操作開始時点と一致させた場合を仮定すると、前記時点t1では、上昇用比例バルブ42は開度h2だけ開放された状態となる。
つまり、リリーフバルブ36によって圧油が油タンクT側へ排出作動中に上昇用比例バルブ42の操作が開始されると、図7で開度h1を有した「上昇用比例バルブの動作(1)」に示すように、開度表示線L1が緩やかに変化し、圧油供給量の増加率を、図7で開度h2を有した「上昇用比例バルブの動作(2)」に示す開度表示線L2で示される場合よりも緩やかになるように上昇用比例バルブ42の開閉操作を制御手段14Aによって制御している。
したがって、開度h1で開かれた範囲での圧油は一時的に流れるので、この開かれた範囲での油量によるショックは避けられないが、その開度h1が大きいものでないことから、ショックとしては無視できる程度の小さなもので済む。
11 ローリング用シリンダ
14A 制御手段
36 リリーフバルブ
38 流量分配弁(分流バルブ)
38a ローリング供給位置
38b 昇降供給位置
38c 分配供給位置
39 ローリング制御弁(電磁比例バルブ)
39u 上昇側位置
39d 下降側位置
39c 中立位置
42 昇降制御弁
T 油タンク
Claims (1)
- 走行機体に連結された作業装置を昇降用シリンダで駆動昇降自在に構成するとともに、前記作業装置をローリング用シリンダでローリング制御可能に構成してある作業機の油圧装置であって、
前記昇降用シリンダへの圧油供給路に昇降制御弁を備え、前記ローリング用シリンダへの圧油供給路にローリング制御弁を備え、
前記昇降制御弁と前記ローリング制御弁との双方に対して圧油を分配供給可能な分配供給位置と、ローリング制御弁側のみへ圧油を供給するローリング供給位置とに、圧油の供給形態を切換制御する流量分配弁を備え、
前記ローリング用シリンダが操作限界位置に達して前記流量分配弁への圧油供給路に設けられているリリーフ弁が圧油を油タンク側へ排出すると、前記ローリング制御弁を中立位置に戻し、かつ、前記流量分配弁を分配供給位置に切換操作するように制御するとともに、前記リリーフ弁の油タンク側へ排出作動中に前記昇降制御弁が操作されると、その昇降制御弁による昇降用シリンダ側への圧油供給量の増加率を、前記リリーフ弁の油タンク側への排出作動中以外の時点で操作されるときの圧油供給量の増加率よりも緩やかになるように制御する制御手段を備えたことを特徴とする作業機の油圧装置。
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