JP2011000824A - 熱伝導性ポリイミド成形体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚さ方向の熱伝導率の高いポリイミド成形体を提供する。
【解決手段】非球状の熱伝導性フィラーが分散したポリアミック酸溶液を、支持体に塗布し、塗布膜を形成する工程(A);塗布膜の厚さ方向に沿った磁場を印加しつつ塗布膜を乾燥し、ポリアミック酸フィルムを得る工程(B);および得られたポリアミック酸フィルムを成形型にセットし、イミド化する工程(C)、を含む方法によって、熱伝導性ポリイミド成形体を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性に異方性を有し、厚さ方向の熱伝導性に優れるポリイミド成形体およびその製造方法に関する。
従来より、ポリイミド樹脂材料は、その高い機械的強度、耐熱性等の理由から、宇宙航空分野から電気電子材料分野まで幅広い分野において活用されている。このポリイミド樹脂材料は、その用途に応じて、様々な形状、例えば、筒型、コップ型、傘型、ドーム型、波型等の形状に成形加工される。
近年では、高い熱伝導性が付与されたポリイミド成形体も開発されている。例えば、特許文献1では、固形分の10〜30重量%の熱伝導性粉体を含むポリイミド前駆体溶液を遠心注型して、無端円筒状のポリイミド前駆体フィルムを得、これを加熱してイミド閉環反応せしめることにより、円筒状のポリイミドフィルムを得ることが提案されている。しかし、このポリイミドフィルムの熱伝導率は、その実施例では、0.56W/mkであり、改善の余地があった。熱伝導率を上げるために、熱伝導性粉体の含有量を増加させることも考えられるが、単に熱伝導性粉体の含有量を増加させたのでは、フィルムの機械的特性等が損なわれる。従って、特許文献1に記載の製造方法では、実用的には、ポリイミド成形体の熱伝導率を上げることには限界があった。
特許第3240435号公報
本発明は、厚さ方向の熱伝導率の高いポリイミド成形体を提供することを目的とする。
上記課題を解決した本発明は、非球状の熱伝導性フィラーが分散したポリアミック酸溶液を、支持体に塗布し、塗布膜を形成する工程(A);
塗布膜の厚さ方向に沿った磁場を印加しつつ塗布膜を乾燥し、ポリアミック酸フィルムを得る工程(B);および
得られたポリアミック酸フィルムを成形型にセットし、イミド化する工程(C)、
を含む熱伝導性ポリイミド成形体の製造方法である。
工程(B)で得られるポリアミック酸フィルムの、引張弾性率が900〜1500MPaであり、かつ伸びが30〜60%であることが好ましい。
前記熱伝導性フィラーは、六方晶窒化ホウ素および/またはカーボン繊維であることが好ましい。
本発明はまた、上記の製造方法により得られる熱伝導性ポリイミド成形体である。
本発明によれば、熱伝導性フィラーの配合量が従来量であっても、厚さ方向の熱伝導率の高いポリイミド成形体を提供することができる。
まず、本発明の熱伝導性ポリイミド成形体の製造方法について説明する。当該製造方法は、非球状の熱伝導性フィラーが分散したポリアミック酸溶液を、支持体に塗布し、塗布膜を形成する工程(A);塗布膜の厚さ方向に沿った磁場を印加しつつ塗布膜を乾燥し、ポリアミック酸フィルムを得る工程(B);および得られたポリアミック酸フィルムを成形型にセットし、イミド化する工程(C)を含む。
工程(A)
工程(A)では、ポリアミック酸溶液に非球状の熱伝導性フィラーが分散した塗布液をまず調製する。
ポリアミック酸は、酸二無水物とジアミンとを重合反応させて得られる構造を有する。機械的強度および耐熱性の観点から、ポリアミック酸は、芳香族ポリアミック酸が好ましく、酸二無水物の好適な例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。ジアミンの例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン等が挙げられる。
溶媒としては、特に制限はないが、溶解性等の観点から極性溶媒が好適であり、具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が例示できる。これらは、単独でまたは2種以上で用いることができる。また、これらの極性溶媒に加え、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ベンゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等が単独でまたは併せて混合されていてもよい。
ポリアミック酸の溶液は、前述の溶媒中で、前述の酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。なお、水の存在によってポリアミック酸が加水分解して低分子量化するため、ポリアミック酸の合成および保存は、無水環境下で行うことが好ましい。反応の際のモノマー濃度(溶媒中の酸二無水物とジアミンの合計の濃度)は、種々の条件に応じて適宜決定すればよいが、5〜30重量%が好ましい。反応温度は80℃以下に設定することが好ましく、より好ましくは5〜50℃である。反応時間は0.5〜10時間が好ましい。
ポリアミック酸溶液の粘度は、例えば10〜10000ポイズ(1〜1000Pa・s)、好ましくは50〜5000ポイズ(5〜500Pa・s)である(B型粘度計、23℃)。粘度が10ポイズ未満であると、いわゆるタレや塗布層のハジキが生じやすくなり、均一な塗膜厚を得難くなるおそれがある。一方、10000ポイズを超えると、塗布時に吐出する際に高い圧力をかける必要があり、またレベリング性、脱泡性に劣る傾向にある。
熱伝導性フィラーとしては、公知の熱伝導性フィラーのうち、磁場により長径方向が磁場の方向に平行に配向することが可能なものが用いられ、好適な例としては、六方晶窒化ホウ素、カーボン繊維等が挙げられ、これらは単独で、または複数種を組み合わせて用いることができる。カーボン繊維としては、PAN系カーボン繊維、ピッチ系カーボン繊維、気相成長カーボン繊維、カーボンナノチューブ等が例示される。
使用する熱伝導性フィラーは、非球状である。非球状の熱伝導性フィラーを含む塗布膜に磁場を印加した場合には、フィラーの長径方向が磁場の方向に平行になるようにフィラーが配向していく。この配向により厚さ方向の熱伝導率向上効果が得られる。熱伝導性フィラーの平均アスペクト比(長径/短径の比の平均)としては5〜80が好ましく、10〜50がより好ましい。なお、長径とは、フィラーの顕微鏡像などにおいて、対象とするフィラー粒子に外接する長方形のうち面積が最小となる長方形を仮定した場合に、その長方形の長辺を意味し、短径とは、その長方形の短辺を意味する。
熱伝導性フィラーの粒子径としては、用途に応じて適宜決定すればよい。表面平滑性が必要な用途には、平均粒子径の小さい窒化ホウ素、乾式粉砕機で粉砕して細かくしたカーボン繊維、または気相成長カーボン繊維が好ましい。一方、高熱伝導が必要な用途には、粒子径は大きい方が好ましく、粒子径(特に長径)はポリイミド成形体の厚さ以上であってもよい。また、高誘電が要求される用途にはカーボン繊維を、電気絶縁性が要求される用途には、窒化ホウ素を使用することが好ましい。
熱伝導性フィラーの配合量としては、塗布液の全固形分中、1〜50体積%が好ましい。1体積%未満では、フィラーによる熱伝導性の付与効果が小さすぎるおそれがあり、50体積%を超えると、機械的強度が低下し、また外観にムラが発生しやすくなる。
ポリアミック酸溶液に熱伝導性フィラーを添加し、公知の方法によって攪拌することによって、ポリアミック酸溶液に熱伝導性フィラーが分散した塗布液を調製することができる。
なお、塗布液には、熱伝導性フィラー以外のフィラーを添加することもできる。例えば、成形体の誘電率を高くしたい場合には、チタン酸バリウム等を添加してもよく、成形体の摺動性を高くしたい場合には、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂を添加してもよい。また、界面活性剤等の添加剤を添加してもよい。
工程(A)では、続いて当該塗布液を支持体に塗布し、塗布膜を形成する。塗布方法については、均一な厚さの塗布膜が得られる限り特に制限がなく、公知の方法を採用することができる。
支持体としては、ポリアミック酸に対して化学的に耐性があるもの、例えば、ガラス板等を選択すればよい。また、フィルムの厚さの均一性を高めたい場合には、表面の円滑性の高い支持体を選択すればよい。支持体は、水平に配置することが好ましい。
塗布液の支持体への塗布量は、最終的な成形体の厚さが10〜500μmとなるような量に設定することが好ましい。最終的な成形体の厚さが10μmより薄いと、剛性が不足して折れや座屈が発生しやすくなる。一方、厚さが500μmを超えると、成形体の収縮量が大きくなって、成形型の細かい凹凸形状に追従しにくくなる。また、割れも生じやすくなる。
工程(B)
工程(B)では、塗布膜の厚さ方向に沿った磁場を印加しつつ、塗布膜を乾燥する。
磁場の印加は、塗布膜の厚さ方向に平行に磁場がかかるように磁石を配置して行えばよい。磁場強度は1T(テスラ)以上が好ましく、2T以上がより好ましい。1T未満では、フィラーを10体積%以上配合したときに、フィラーを配向させることが難しくなる。
塗布膜の厚さ方向に沿って磁場をかけることにより、非球状の熱伝導性フィラーの長径方向が磁場の方向に平行になるようにフィラーが配向していく。この配向によって厚さ方向の熱伝導率向上効果が得られる。この配向に関して、フィラーの長径方向とフィルムの厚さ方向との間の角度が60°以下であることが好ましい。この角度が小さければ小さいほど厚さ方向の熱伝導率を増加させることができる。
塗布膜の乾燥は、乾燥後のポリアミック酸フィルムの引張弾性率が900〜1500MPa、かつ伸びが30〜60%となるように温度、風速および時間条件を制御して行うことが好ましい。引張弾性率が900MPa未満の場合には、フィルムが脆くなり、破断等が起きる可能性がある。引張弾性率が1500MPaを超えると、成形型にフィルムを固定するのに必要な力が高くなるとともに、絞り量が大きい場合には、シワが発生しやすくなる。また、伸びが30%未満の場合には、成形型の鋭角な面にフィルムが追従しにくくなり、所望の形状の成形体を得ることが困難となる。伸びが60%を超えると、成形型にセットする際にフィルムが不均一に伸びやすくなり、最終的に厚さがバラつくおそれがある。引張弾性率は、好ましくは1000〜1400MPaである。伸びは、好ましくは35〜55%である。また、乾燥時間は、フィラーが配列するのに十分に長い時間を選択するとよい。
なお、塗布膜の残存溶媒量が5〜20質量%まで減少するように乾燥させた場合には、引張弾性率が900〜1500MPa、伸びが30〜60%のポリアミック酸フィルムを得やすい。
上記のように乾燥することにより、成形に適したポリアミック酸フィルムが得られる。
工程(C)
工程(C)では、得られたポリアミック酸フィルムを支持体から剥離して成形型にセットし、イミド化する。
ポリアミック酸フィルムの成形型へのセットの方法には特に制限はなく、例えば、成形型の内面にフィルムを沿わせてセットしてもよいし(成形型の内側にセット)、成形型をフィルムで覆い、成形型の外面にフィルムを沿わせてセットしてもよいし(成形型の外側にセット)、2枚の成形型でフィルムを挟んでセットしてもよい。
イミド化は、ポリアミック酸フィルムをイミド化温度以上まで加熱して行ってもよいし、化学的に脱水して行ってもよい。加熱によるイミド化の場合には、ポリイミドの組成や触媒の有無にもよるが、例えば、300〜400℃で10〜60分間加熱すればよい。
化学的に脱水する場合には、工程(A)の塗布液に脱水剤を添加しておけばよい。脱水剤として、例えば、有機カルボン酸無水物、N,N’−ジアルキルカルボジイミド類、低級脂肪酸ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物等を用いることができ、これらの中でも、有機カルボン酸無水物が好ましい。有機カルボン酸無水物の例としては、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、およびこれらの分子間無水物が挙げられる。また、芳香族モノカルボン酸の無水物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等の無水物、および炭酸、蟻酸および脂肪族ケテン類(ケテンおよびジメチルケテン)の無水物などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上の混合物として用いることができ、中でも、無水酢酸が好ましい。
脱水剤の量は、フィルムを構成するポリアミック酸のアミド酸単位1モルに対して0.5〜4モルが好ましく、特には1〜3モルが好ましい。脱水剤の量が当該アミド酸単位1モルに対して0.5モルより少ない場合には、イミド化反応が十分に進行せず、得られるポリイミド成形体の機械物性が大きく低下するおそれがある。一方、脱水剤の量が4モルより多い場合には、余分な脱水剤を蒸発させるために温度を上げる必要があるため、結果として得られるポリイミド成形体の機械物性が大きく低下するおそれがある。
また、イミド化を促進するために3級アミンを添加してもよく、3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリン、ルチジン等が挙げられ、好ましくは、ピリジン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、イソキノリンである。3級アミンの量は、フィルムを構成するポリアミック酸のアミド酸単位1モルに対して0.1〜2モル、さらに好ましくは0.2〜1モルである。3級アミンの量が当該アミド酸単位1モルに対して0.1モルより少ない場合には、得られるポリイミド成形体の機械物性が大きく低下するおそれがある。2モルを超える量では成形体中に3級アミンが残留するおそれがあり、余分な3級アミンを蒸発させるために温度を上げる必要がある。
イミド化により、厚さ方向の熱伝導率の高いポリイミド成形体を得ることができる。
本発明は、別の側面から、上述の製造方法により得られる熱伝導性ポリイミド成形体である。上記の製造方法により得られる熱伝導性ポリイミド成形体は、厚さ方向の熱伝導率が1W/mK以上にもなるものである。また、得られるポリイミド成形体は、厚さの均一性にも優れ、曲率半径の小さい部位でも一定の厚さを有し得る。ポリイミド成形体は、好適には10〜500μmの厚さを有する。ポリイミド成形体が含む熱伝導性フィラーは、六方晶窒化ホウ素および/またはカーボン繊維であることが好ましい。また、熱伝導性フィラーの含有量は、ポリイミド成形体中、1〜50体積%が好ましい。また、熱伝導性フィラーは、フィラーの長径方向とフィルムの厚さ方向との間の角度が60°以下となるように配向していることが好ましい。
上記のポリイミド成形体は、熱を効率よく厚さ方向に移動させることができ、例えば、レーザープリンター等のトナー加熱定着用部材、放熱カバーなどに用いることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。まず、本実施例で採用した評価方法について説明する。
〔引張弾性率および伸び〕
JIS K6251(2004)に従って測定した。引張試験機にはテンシロンUTM1000(オリエンテック製)を用い、サンプルはダンベル状3号形、チャック間距離は30mm、引張速度は100mm/分とした。
〔ポリイミド成形体の厚さ〕
1/1000mmダイヤルゲージを用いて測定した。測定点は、成形体の底面の中心1点、底面の外周付近4点(π/2おき)、側面中央4点(π/2おき)の計9点とした。厚さは、変動係数(%)=(標準偏差/平均)×100より評価した。
〔熱伝導率〕
熱伝導率を下記式から求めた。
熱伝導率=熱拡散率×比熱×密度
なお、熱拡散率は、キセノンフラッシュアナライザー(ブルカー・エイエックスエス製)を用いて測定した。比熱は、DSC(SIIナノテクノロジー製)を用いて測定した(昇温速度:10℃/分)。比重は、ブタノール浸漬法より測定した。熱伝導率は、成形体の底面の中心1点と側面中央1点の計2点を測定した。
実施例1
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に、酸二無水物成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、ジアミン成分としてp−フェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの混合物(モル比5:5)を、略当モル溶解させ(モノマー濃度20重量%)、室温で攪拌しながら反応させた。次いで70℃に加温しつつ攪拌し、23℃におけるB型粘度計による粘度が100Pa・sのポリアミック酸溶液を調製した。
次に、このポリアミック酸溶液に六方晶窒化ホウ素(電気化学工業製、SGP;鱗片状)をポリイミド固形分に対して38体積%となるように添加し、自転公転式攪拌機で分散させ、塗布液を得た。得られた塗布液をガラス板に0.5mmの厚さとなるように塗布し、塗布膜を形成した。
この塗布膜の厚さ方向に沿って2T(テスラ)の磁場を印加しつつ、80℃で40分間加熱し、ポリアミック酸フィルムを得た。このポリアミック酸フィルムの引張弾性率は、1380MPaであり、伸びは40%であった。このポリアミック酸フィルムを、コップ型の成形型に被せ、フィルムが成形型の円筒側面上に沿うようにしてセットした。次いで340℃で20分間イミド化を行い、コップ型のポリイミド成形体を得た。膜厚を測定したところ、変動係数は3%であった。熱伝導率を測定したところ、厚さ方向の熱伝導率は、コップ底中心2.7W/mK、コップ側面2.5W/mKであり、面方向の熱伝導率は、コップ底中心4.7W/mK、コップ側面4.8W/mKであった。
実施例2
実施例1の熱伝導性フィラーをカーボン繊維(日本グラファイト製、Granoc XN−100−05M;繊維状)に変更した以外は実施例1と同様にして、コップ型のポリイミド成形体を作製した。なお、成形前のポリアミック酸フィルムの引張弾性率は、1400MPaであり、伸びは38%であった。ポリイミド成形体の膜厚を測定したところ、変動係数は5%であった。熱伝導率を測定したところ、厚さ方向の熱伝導率は、コップ底中心12.7W/mK、コップ側面10.7W/mKであり、面方向の熱伝導率は、コップ底中心4.0W/mK、コップ側面4.7W/mKであった。
比較例1
磁場を印加しなかった以外は実施例1と同様にしてコップ型のポリイミド成形体を作製した。熱伝導率を測定したところ、厚さ方向の熱伝導率は、コップ底中心1.5W/mK、コップ側面1.6W/mKであり、面方向の熱伝導率は、コップ底中心5.1W/mK、コップ側面4.9W/mKと、実施例1に比べ、厚さ方向の熱伝導率が低く、面方向の熱伝導率が高かった。
比較例2
磁場を印加しなかった以外は実施例2と同様にしてコップ型のポリイミド成形体を作製した。熱伝導率を測定したところ、厚さ方向の熱伝導率は、コップ底中心1.4W/mK、コップ側面2.0W/mKであり、面方向の熱伝導率は、コップ底中心17.4W/mK、コップ側面14.7W/mKと、実施例2に比べ、厚さ方向の熱伝導率が低く、面方向の熱伝導率が高かった。
比較例3
実施例1の熱伝導性フィラーをアルミナ(昭和電工製、CB−A10;球状)に変更した以外は実施例1と同様にして、コップ型のポリイミド成形体を作製した。なお、成形前のポリアミック酸フィルムの引張弾性率は、1340MPaであり、伸びは42%であった。ポリイミド成形体の膜厚を測定したところ、変動係数は3%と良好であったが、熱伝導率を測定したところ、厚さ方向の熱伝導率は、コップ底中心0.9W/mK、コップ側面0.8W/mKと低かった。一方、面方向の熱伝導率は、コップ底中心1.0W/mK、コップ側面0.8W/mKと厚さ方向と同程度であった。
本発明に係るポリイミド成形体は、レーザープリンター等のトナー加熱定着用部材、放熱カバー等に用いることができる。

Claims (4)

  1. 非球状の熱伝導性フィラーが分散したポリアミック酸溶液を、支持体に塗布し、塗布膜を形成する工程(A);
    塗布膜の厚さ方向に沿った磁場を印加しつつ塗布膜を乾燥し、ポリアミック酸フィルムを得る工程(B);および
    得られたポリアミック酸フィルムを成形型にセットし、イミド化する工程(C)、
    を含む熱伝導性ポリイミド成形体の製造方法。
  2. 工程(B)で得られるポリアミック酸フィルムの、引張弾性率が900〜1500MPaであり、かつ伸びが30〜60%である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記熱伝導性フィラーが、六方晶窒化ホウ素および/またはカーボン繊維である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られる熱伝導性ポリイミド成形体。
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