JP2011000711A - 熱可塑性樹脂板の突合せ溶着方法、熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置、突合せ溶着した熱可塑性樹脂板 - Google Patents

熱可塑性樹脂板の突合せ溶着方法、熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置、突合せ溶着した熱可塑性樹脂板 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の熱可塑性樹脂板の端面を突合せて、突合せ面を高周波誘電溶着した場合に、突合せ面に凹みが出来てしまうという欠点や、高周波誘電溶着後に、突合せ面の溶着部分が収縮する際に反りが生じるという欠点が生じない溶着方法を提供する。
【解決手段】第一の電極板12aの端面12cを上面に向けるとともにその両側面を絶縁断熱材13、13で挟んでアンビルを形成し、アンビルの第一の電極板12aの端面12c上に、溶着対象である一対の熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分を載置し、突合せ部分の上に第二の電極板14の下表面を配置して押圧し、熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分を第一の電極板12aの端面と第二の電極板14の下表面で挟持した状態で、第一の電極板12aの端面12cと第二の電極板14の下表面の間に高周波電流を通電し、熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分を高周波誘電加熱して溶着した。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂板の突合せ溶着方法、熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置、および突合せ溶着した熱可塑性樹脂板に関する。
従来から、所定の大きさをした長方形の熱可塑性樹脂板を多数製造して、それぞれの端面を突合せ溶着して大面積の熱可塑性樹脂板を製造することが行われている。その突合せ溶着方法の一つとして高周波誘電加熱が利用されている。高周波誘電加熱は、有極性のプラスチックに高周波を印加すると、高周波の極性の変化に応じてプラスチックの分子の極が反転し続け、分子運動が活発となり発熱するというもので、ポリ塩化ビニル(PVC)などの熱可塑性樹脂が好適な材料とされている。そして実際に、PVCなどの熱可塑性樹脂板の端面を突合せて、高周波誘電加熱して溶着し、大面積の樹脂板を製造することが行われている(例えば、特許文献1、参照)。
この、熱可塑性樹脂板を多数製造して、端面を突合せ溶着して大面積の熱可塑性樹脂板を得る方法の応用例の一つとして、印刷用の原版から大面積の刷版を作ることが考えられる。すなわち、印刷用の原版として金属板に彫刻した凹凸形状を複数の熱可塑性樹脂板の表面にプレス転写し、その熱可塑性樹脂板を突合せ溶着して大面積の熱可塑性樹脂板をつくり、大面積の熱可塑性樹脂板の表面に電気メッキ等で金属膜を形成し、この金属膜を剥離して、大面積の刷版として印刷に利用することができる。
図9から図12を用いて、印刷用の原版から大面積の刷版を作る手順を示す。図9から説明する。まず長方形の金属板の表面に所定の図形を彫刻した原版1を作り、原版1に彫刻した図形である○や△の凹凸形状をプレス転写により複数枚の熱可塑性樹脂板2の表面に写し取る。そして、一つの熱可塑性樹脂板2の端面に、他の熱可塑性樹脂板2の端面を次々と突合せ溶着していく。
図10に、熱可塑性樹脂板を突合せ溶着する従来の高周波誘電加熱装置の構成を示す。なお図10の高周波誘電加熱装置では、電極の周囲に絶縁断熱体を配置して電極の下面を面一にした例を示す。電極の周囲に絶縁断熱体を配置することにより、熱可塑性樹脂板の端面を突合せ溶着して接合する際に、押圧電極の押圧部両側部位にビードが発生しないようにすることができる(例えば、特許文献2、参照)。
図10(a)の高周波誘電加熱装置は、絶縁ベース6の上に下電極板7を一体に設けている。下電極板7の上には、熱可塑性樹脂板2a、2bをそれぞれの端面を突合せた状態で載せている。熱可塑性樹脂板2a、2bを突合せた突合せ部分の上には、絶縁断熱体9で両側を挟み、絶縁断熱体9の下面と面一にした上電極板8を配置している。絶縁断熱体9と上電極板8は、図示しない駆動手段により上下動するヘッド部10に一体に取り付けている。ヘッド部10を下げることにより絶縁断熱体9と上電極板8で熱可塑性樹脂板2a、2bの突合せ部分を押圧する。上電極板8と下電極板7は高周波電源16に接続していて、高周波電源16により、上電極板8と下電極板7に10MHzから40MHzの高周波電流を通電する。
上電極板8と下電極板7で熱可塑性樹脂板2a、2bの突合せ部分を挟んだ状態で、高周波電源16により高周波電流を通電すると、上電極板8と下電極板7で挟まれた熱可塑性樹脂板2a、2bの突合せ部分が高周波誘電により発熱して溶着する。
図10(b)は、突合せ溶着後、ヘッド10を上げたときの高周波誘電加熱装置の状態を示す。熱可塑性樹脂板2a、2bは突合せ部分で一体に溶着している。なお、図中2cは、突合せ部分が一度溶融した後、固化した際に収縮した凹みである。
この突合せ溶着を熱可塑性樹脂板の各端面について繰り返し行うことにより、図11(a)のように、原版1の図形を写し取った熱可塑性樹脂板2を多数接続した大面積の熱可塑性樹脂板3が得られる。次に、図11(b)のように、大面積の熱可塑性樹脂板3の表面に、電気メッキ等で所定の厚さの金属膜4を形成する。そして図11(c)のように、金属膜4を大面積の熱可塑性樹脂板3から剥がして、刷版4aとする。この刷版4aを図12のように、印刷機の印刷ドラム5に巻きつけて印刷すれば、一つの原版から作った大面積の刷版により、原版に彫刻した図形を一度に多数印刷することが出来る。
特開昭60−165631号公報 特公平6−17073号公報
しかし、上記従来の熱可塑性樹脂板の突合せ溶着方法では、図10(b)で示したように熱可塑性樹脂板2a、2bの突合せ部分の表面に凹み2cが出来てしまうという欠点があった。また同じく、図10(b)で矢印Gとして示したように、熱可塑性樹脂板2a、2bが突合せ部分を中心に両端側が上方に反ってしまうという欠点があった。
従来の熱可塑性樹脂板の突合せ溶着方法では、熱可塑性樹脂板の押圧電極の押圧部両側部位にビードが発生しないように工夫されていたのであるが、電極の周囲に絶縁断熱体を配置して電極の下面を面一にしていたため、熱可塑性樹脂板の突合せ部分の上電極板8側が下電極板7側より遅く冷えて固化して、突合せ部分の上電極板8側に凹み2cができていた。
単純に、多数製造した熱可塑性樹脂板を突合せ溶着して、大面積の熱可塑性樹脂板を製造するというだけであれば、上記の凹み2cや反りは問題にならなかった。しかし、印刷用の原版の凹凸形状を複数の熱可塑性樹脂板にプレス転写し、その熱可塑性樹脂板を突合せ溶着して大面積の熱可塑性樹脂板の接合体をつくり、これから大面積の刷版を作る場合には、凹み2cがあると、大面積の熱可塑性樹脂板3の表面に電気メッキで形成した金属膜4に凹み4cが出来てしまう。金属膜4を剥がして刷版4aとして印刷ドラム5に巻きつけて印刷すると、凹み4cにインクが入って余分な線を印刷してしまうという問題を生じた。また、大面積の熱可塑性樹脂板3の反りは、刷版4aに反りを生じ、印刷ドラム5に刷版4aが巻きつけにくいという問題も生じた。
本発明は、熱可塑性樹脂板の突合せ溶着部に凹みを生じさせること無く、また全体として反りが少なく一つの平面を保った状態の大面積の熱可塑性樹脂板を得ることができる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着方法、熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置、突合せ溶着した熱可塑性樹脂板を提供することを課題としている。
本発明は、熱可塑性樹脂板を突合せ溶着するに際して、第一の極薄の電極板の端面を上面に向けるとともにその両側面を絶縁断熱材で挟んだアンビルを用い、第一の電極板の端面上に、溶着対象である一対の熱可塑性樹脂板を転写面を上にしつつ加圧手段により互いに押し合う状態で突合せた突合せ部分を載置し、この熱可塑性樹脂板の突合せ部分の上に第二の電極板の下表面を当て、熱可塑性樹脂板の突合せ部分を第一の電極板の端面と第二の電極板の下表面で挟持した状態で、第一の電極板の端面と第二の電極板の下表面の間に高周波電流を通電して、熱可塑性樹脂板の突合せ部分を高周波誘電加熱して溶着している。
本発明では、第一の電極板の端面と第二の電極板の下表面の間に高周波電流を通電して、一対の熱可塑性樹脂板の突合せ部分の内、第一の電極板の端面から第二の電極板の下表面にいたる略V字型断面領域の熱可塑性樹脂板を高周波誘電加熱して発熱させ、突合せ溶着している。このことにより、熱可塑性樹脂板の突合せ部分が冷えたときの凹みをアンビル側である第一の電極板側に生じさせ、転写面である第二の電極板側の突合せ部分の表面をフラットな接合面になるようにしている。
また熱可塑性樹脂板の突合せ部分を第二の電極板の下表面で押圧した状態で高周波誘電加熱して発熱させ、突合せ部分が冷えたときの凹みをアンビル側の第一の電極板側に生じさせるようにしたことにより、熱可塑性樹脂板の突合せ溶着時の反りを抑制している。
そして、熱可塑性樹脂板の転写面における突合せ溶着部に凹みを生じさせること無く、また全体として反りが少なく一つの平面を保った状態の大面積の熱可塑性樹脂板を得ることができる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着方法、熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置、突合せ溶着した熱可塑性樹脂板を実現している。
(a)本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置の基本構成を示した概略断面図(b)本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置の溶着動作前の概略断面図。 本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置の突合せ溶着中の突合せ部分の断面図。 本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置の突合せ部分の断面図。 本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置の突合せ溶着中の突合せ部分の断面図。 (a)本発明の実施の形態1の熱可塑性樹脂板を突合せたときの断面図(b)本発明の実施の形態1の熱可塑性樹脂板を突合せ溶着した後の断面図。 (a)本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置の溶着動作中の概略断面図(b)本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置の溶着後の概略断面図。 本発明の実施の形態1にかかる突合せ溶着後の大面積の熱可塑性樹脂板の外観斜視図。 本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置で接合した大面積の熱可塑性樹脂板を用いて製作した刷版を印刷ドラムに巻きつけた状態の外観斜視図。 従来の、印刷用の刷版を製作するための熱可塑性樹脂板の接合手順を示す外観斜視図。 (a)従来の、熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置の溶着動作前の概略断面図(b)従来の、熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置の溶着動作後の概略断面図。 (a)従来の、印刷用の刷版を製作するために接合した熱可塑性樹脂板の斜視図(b)従来の、接合した熱可塑性樹脂板に金属膜を電気メッキで形成した状態を示す斜視図(c)従来の、接合した熱可塑性樹脂板から金属膜を剥離した状態を示す斜視図。 従来の、接合した熱可塑性樹脂板から剥離した金属膜を刷版として印刷ドラムに巻きつけた状態を示す外観斜視図。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着方法、熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置、突合せ溶着した熱可塑性樹脂板について、図面とともに説明する。
図1(a)に、本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置である高周波誘電加熱装置の概略構成を断面図として示す。本発明の実施の形態1にかかる高周波誘電加熱装置は、絶縁材料からなるベース板100の上に、厚さ5mmのアルミ板11を置き、その上に厚さ0.15mm程度の銅板12a、12bを載せている。銅板12aは先端部12cをL字形に折り曲げ、垂直に立ち上げた形にしている。銅板12aとその先端部12cは第一の電極板として機能する。銅板12bはスペーサであり、銅板12aと離して配置している。銅板12a、12bの上には絶縁断熱材であるポリアセタール樹脂の絶縁断熱板13、13を載せ、銅板12aの先端部12cの両側面を絶縁断熱板13、13で挟んでいる。これらベース板100、アルミ板11、銅板12a、12bそして絶縁断熱板13、13でアンビル110を構成している。
アンビル110の上には、一対のPVCなどの熱可塑性樹脂板20a、20bを、それぞれの端面を突合せた形でかつ、互いに押し合う状態で載せ、突合せた部分(以下、突合せ部分という)の上にL字形の断面を持つ黄銅(真鍮)板でできた第二の電極板14を配置している。なお、この熱可塑性樹脂板20a、20bは、原版に彫刻された凹凸形状がプレス転写された転写面を上面として載置されており、第二の電極板14はこの転写面に形成されている凹凸部分にかぶらないよう配置されるものである。第二の電極板14の水平部分14aの下表面は、熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分に均一に当接するように、アンビル110の上表面と平行な平面にしている。そして、第二の電極板14の垂直部分14bは、図示しない昇降手段により上下動するヘッド部15に取り付けてあり、ヘッド部15とともに上下動し、熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分を第二の電極板14の水平部分14aで押圧するようにしている。第一の電極板である銅板12aと、第二の電極板14は、高周波電源16に接続していて、高周波電源16により10MHzから40MHzの高周波電流を所定時間、通電するようにしている。
図1(b)に、本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置の溶着動作前の概略断面図を示す。第一の電極板である銅板12aの先端部12cに、熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分を載せ、その突合せ部分を第二の電極板の水平部分14aの下表面で押圧して挟んでいる。なお、第二の電極板の水平部分14aの下表面は、熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分の上表面を平滑な一つの平面として押圧しているため、熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分の上表面は段差の無い平面として保持される。
この図1(b)の状態、つまり熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分の上表面を面一に押圧した状態で、高周波電源16で第一の電極板である銅板の先端部12cと第二の電極板14間に高周波電流を通電すると、第一の電極板である銅板の先端部12cと第二の電極板の水平部分14aの下表面に挟まれた略V字型断面領域の突合せ部分に高周波電流が流れる。
図2に、高周波電流を通電しているときの熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分の断面図を示す。第一の電極板である銅板の先端部12cは、0.15mm程度の厚さであり、対向する第二の電極板の水平部分14aの下表面は平面である。そのため、図2で示したように、第一の電極板である銅板の先端部12cから第二の電極板の水平部分14aの下表面に向けて、所定角度範囲内で放射状に概ね矢印A1のように略V字型断面領域で高周波電流が流れる。すなわち、第一の電極板である銅板の先端部12cと第二の電極板の水平部分14aの下表面の間で高周波電流が流れる高周波電流通電領域は、破線B、Bで囲まれた領域になる。そして、この高周波電流通電領域内の熱可塑性樹脂が、高周波の極性の変化に応じて分子の極が反転し続け、分子運動が活発となり発熱して溶融する。第二の電極板14の中では、水平部分14aから垂直部分14bに概ね矢印A2のように高周波電流が流れる。
図3に、高周波電流通電領域を図示する。第一の電極板である銅板の先端部12cの幅C2と第二の電極板の水平部分14aの下表面で高周波電流が流れる幅C1を上底あるいは下底とする台形状の略V字型断面領域Dが熱可塑性樹脂板20a、20bの高周波電流通電領域となる。この高周波電流通電領域Dにある熱可塑性樹脂は高周波電流により短時間で均一に内部発熱し、溶融する。
図4は、本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置の突合せ溶着中の突合せ部分の断面図を示している。図中の矢印Eは、アンビル110と第二の電極板の水平部分14aの下表面が熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分を押圧している力の様子を示している。破線の矢印F1、F2、F3は、第二の電極板の水平部分14aの表面から、発生した熱が放熱される熱の流れの様子を示している。図4のように、熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分では、高周波電流通電領域Dで発熱し溶融するが、高周波電流の通電を切ると新たな発熱は起きなくなる。そのため、第二の電極板の水平部分14aの下表面が当接している熱可塑性樹脂板の突合せ部分の上表面が、面一の状態に押圧されたまま先に冷えて固化し、その後、第一の電極板の先端部12c側が冷えて固化する。そのため、図5(a)のように、一対の熱可塑性樹脂板20a、20bの端面が突き合わされた突合せ部は、図5(b)のように、第二の電極板の水平部分14aが当接していた突合せ部の上表面が平滑な平面を保ったまま先に固化し、反対側である第一の電極板側の下表面が引けて凹み20cを作った状態で固化する。
図6(a)に、本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置の溶着動作中の概略断面図を示し、図6(b)に、本発明の実施の形態1にかかる熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置の溶着動作後の概略断面図を示す。図6(b)に示したように、高周波誘電加熱による溶着動作後、ヘッド部15を上げると、熱可塑性樹脂板20a、20bは、突合せ部分の上表面が面一で、熱可塑性樹脂板20a、20bの全体が平滑な平面を保った、反りを抑制した大面積の熱可塑性樹脂板として取り出すことが出来る。
繰り返しの説明になるが、本発明によれば、第一の電極板の先端部12cの端面と第二の電極板14の下表面の間で熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分を挟んで高周波電流を通電している。そのため、高周波電流は第一の電極板の先端部12cの端面から第二の電極板14の下表面に至る略V字型断面領域に流れる。高周波電流の通電領域内の熱可塑性樹脂部分が発熱して溶融する。そして、高周波電流が止まると発熱が止まる。発熱が止まったとき、第二の電極板14は表面を外部に露出しているため熱が逃げやすく、第一の電極板側は、第一の電極板の両側面が絶縁断熱材13、13で挟まれているため熱が逃げにくくなっている。第二の電極板14側の突合せ部分は早く冷えて先に固化する。第二の電極板14の下表面に当接している部分は平面を保ったまま固化する。第一の電極板側の突合せ部分は遅く固化するので、第一の電極板側で熱可塑性樹脂の引けが起こり、凹み20cは第一の電極板側に生じる。
本発明による高周波誘電加熱装置を用いて、複数の熱可塑性樹脂板を次々に突合せ溶着していくと、図7に示すように、転写面における突合せ部分に段差が無く面一で、全体的にも同一平面を保った形で接合した大面積の熱可塑性樹脂板30が得られる。段差が無く面一で、全体的にも平滑な平面を保った形で接合した熱可塑性樹脂板30の表面に電気メッキで金属膜を形成し、剥離すれば、余分な凹みのない刷版40ができる。それを図8のように印刷ドラム5に貼り付けて、紙やシートに印刷すれば、個々の刷版間に余分なインクを付けずに印刷することが出来る。この刷版を用いて印刷した印刷シートを所定単位の大きさに裁断して印刷シート片を作れば、原版の印刷面と同一の印刷をした印刷シート片を安定的に大量に作成することが出来る。
なお、上記では第二の電極板14をL字形の断面を持つ黄銅(真鍮)板とした例を説明したが、熱可塑性樹脂板20a、20bの突合せ部分を第一の電極板の端面より広い所定幅の平面で押圧できる下表面があれば、L字形に限られるものではなく、例えばI字形断面、あるいはロの字形断面等の電極としてもよい。
本発明は、複数の熱可塑性樹脂板を突合せ溶着して大面積の熱可塑性樹脂板を製作する場合に適用できる。
また、本発明を一つの原版を用いて刷版を製作する方法に適用して、大面積の刷版を製作することが出来る。本発明による大面積の熱可塑性樹脂板から製作した大面積の刷版は切手や有価証券などの同一図形を一度に多数印刷するための刷版として広く利用することができる。
11 アルミ板
12a 銅板(第一の電極板)
12c 銅板の先端部(第一の電極板)
13 絶縁断熱板
14 第二の電極板
15 ヘッド部
16 高周波電源
20a、20b 熱可塑性樹脂板
100 ベース板
110 アンビル

Claims (3)

  1. 少なくとも一対の熱可塑性樹脂板の突合せ溶着方法であって、
    第一の電極板の端面を上面に向けるとともにその両側面を絶縁断熱材で挟んでアンビルを形成し、
    前記アンビルの第一の電極板の端面上に、溶着対象である一対の熱可塑性樹脂板の突合せ部分を載置し、
    前記熱可塑性樹脂板の突合せ部分の上に第二の電極板の下表面を配置して押圧し、
    前記熱可塑性樹脂板の突合せ部分を前記第一の電極板の端面と前記第二の電極板の下表面で挟持した状態で、
    前記第一の電極板の端面と前記第二の電極板の下表面の間に高周波電流を通電し、
    前記熱可塑性樹脂板の突合せ部分を高周波誘電加熱して溶着したことを特徴とする
    熱可塑性樹脂板の突合せ溶着方法。
  2. 少なくとも一対の熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置であって、
    第一の電極板の端面を上面に向けるとともにその両側面を絶縁断熱材で挟んでアンビルを形成し、
    前記アンビルの第一の電極板の端面上に、溶着対象である一対の熱可塑性樹脂板の突合せ部分を載置し、
    前記熱可塑性樹脂板の突合せ部分の上に第二の電極板の下表面を配置して押圧し、
    前記熱可塑性樹脂板の突合せ部分を前記第一の電極板の端面と前記第二の電極板の下表面で挟持した状態で、
    前記第一の電極板の端面と前記第二の電極板の下表面の間に高周波電流を通電し、
    前記熱可塑性樹脂板の突合せ部分を高周波誘電加熱して溶着したことを特徴とする
    熱可塑性樹脂板の突合せ溶着装置。
  3. 少なくとも一対の熱可塑性樹脂板を突合せ溶着した熱可塑性樹脂板であって、
    第一の電極板の端面を上面に向けるとともにその両側面を絶縁断熱材で挟んだアンビルを用い、
    前記アンビルの第一の電極板の端面上に、溶着対象である一対の熱可塑性樹脂板の突合せ部分を載置し、
    前記熱可塑性樹脂板の突合せ部分の上に第二の電極板の下表面を配置して押圧し、
    前記熱可塑性樹脂板の突合せ部分を前記第一の電極板の端面と前記第二の電極板の下表面で挟持した状態で、
    前記第一の電極板の端面と前記第二の電極板の下表面の間に高周波電流を通電し、
    前記熱可塑性樹脂板の突合せ部分を高周波誘電加熱して溶着したことを特徴とする
    突合せ溶着した熱可塑性樹脂板。
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