JP2011000647A - 研磨監視方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】膜の厚さのばらつきに起因する影響を排除して、正確な研磨の進捗を監視することができる研磨監視方法を提供する。
【解決手段】本研磨監視方法は、基板の研磨中に、積層構造を有する基板の表面に光を照射し、基板から戻る反射光を受光し、反射光を波長に従って分解して分光波形を生成し、所定の光学干渉成分を選択的に除去するための数値フィルタを分光波形に適用して監視用分光波形を生成し、監視用分光波形の変化を研磨中に監視する。
【選択図】図7

Description

本発明は、絶縁膜を有する基板の研磨を監視する方法に関し、特に基板からの反射光に基づいて基板の研磨を監視する方法に関する。
半導体デバイスの製造工程では、シリコンウェハ上に種々の材料が膜状に繰り返し形成され、積層構造を形成する。この積層構造を形成するためには、最上層の表面を平坦にする技術が重要となっている。このような平坦化の一手段として、化学機械研磨(CMP)を行う研磨装置が用いられている。
この種の研磨装置は、一般に、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、基板(膜が形成されたウェハ)を保持するトップリングと、研磨液を研磨パッド上に供給する研磨液供給機構とを備えている。基板を研磨するときは、研磨液供給機構から研磨液を研磨パッド上に供給しながら、トップリングにより基板を研磨パッドに押し付け、さらにトップリングと研磨テーブルとを相対移動させることにより、基板を研磨して基板の膜を平坦にする。研磨装置は、膜が所定の厚さにまで除去されたときに研磨終点に達したと判断する研磨終点検知装置を備えている。
研磨終点検知装置の一つの例として、基板の表面に光を照射し、基板からの反射光に含まれる情報に基づいて研磨終点を判断する、いわゆる光学式研磨終点検知装置が挙げられる。光学式研磨終点検知装置は、投光部、受光部、および分光器を一般に備えている。分光器は、基板からの反射光を波長に従って分解し、波長ごとの反射強度を測定する。例えば、特許文献1に示す方法では、基板から戻ってくる反射光の強度(反射強度)にノイズ成分を除去するための所定の処理が施されて特性値が生成され、この特性値の時間的変化の特徴点(極大点または極小点)から研磨終点が検知される。
光透過性を有する膜を研磨すると、特性値は、図1に示すように、研磨時間とともに周期的に変化し、極大点と極小点が交互に現れる。これは、光同士の干渉による現象である。つまり、基板に照射された光は、媒質と膜との界面と、膜とこの膜の下地層との界面で反射し、これらの界面で反射した光が互いに干渉する。この光の干渉の仕方は、膜の厚さ(すなわち光路長)に応じて変化する。このため、基板から戻ってくる反射光の強度は、膜の厚さに従って周期的に変化する。
上述した光学式研磨終点検知装置は、図1に示すように、研磨開始後に現れる特性値の変化の特徴点(極大点または極小点)の数をカウントし、特徴点の数が所定の値に達した時点を検知する。そして、この検知された時点から所定時間経過した時点で、研磨を停止させる。
ここで、特性値は、波長ごとの反射強度を基にして得られる指数である。特性値としては、例えば、反射強度を元に生成された相対反射率を用いることができる。この相対反射率は、光の基準強度(基準反射強度−背景強度)に対する反射光の強度(測定された反射強度−背景強度)の比である。相対反射率は、研磨対象基板の研磨中の各波長での反射強度、及びある研磨条件の下で取得された各波長での基準反射強度のそれぞれから、反射対象物がない状態で測定された背景強度を減算し、得られた2つの反射強度のうち前者を後者で除算することで求められる。具体的には、相対反射率は次の式から求められる。
相対反射率R(λ)={E(λ)−D(λ)}/{B(λ)−D(λ)}・・・(1)
ここで、λは波長であり、E(λ)は研磨対象となる基板の反射強度であり、B(λ)は基準反射強度であり、D(λ)は基板が存在しない状態で取得された背景強度(ダークレベル)である。基準反射強度B(λ)としては、例えば、研磨パッド上に純水を供給しながらシリコンウェハを水研磨しているときに、このシリコンウェハからの反射光の強度を用いることができる。このような演算によれば、光源や光伝送部の影響を排除して、一貫した特性値を得ることができる。
上述の相対反射率に、ノイズを除去するための所定の処理を施して特性値を求めることもできる。例えば、特性値は、次の式(2)を用いて求められる。
特性値S(λ1)=R(λ1)/(R(λ1)+R(λ2)+…
+R(λk)) ・・・(2)
ここで、λは光の波長を表し、R(λk)は、波長λkにおける相対反射率を表す。なお、特性値の算出に使用される光の波長λの数は、好ましくは、2つまたは3つである(すなわち、k=2または3)。式(2)から分かるように、相対反射率を相対反射率で割ることによって、波長に依存しないノイズ成分を相対反射率から除去することができる。したがって、ノイズのない特性値を得ることができる。
図1に示す特性値は、研磨によって減少する光透過性膜厚さに従って周期的に変動する。したがって、特性値は、膜の研磨の進捗を示すものと考えることができる。しかしながら、基板は、通常、異なるパターンの金属配線や光透過性を有する絶縁膜が幾重にも形成された多層構造を有する。このため、光学式研磨終点検知装置は、最上層の絶縁膜のみならず、その下層の絶縁膜をも反映した膜厚を検知してしまう。例えば、図2に示す例では、シリコンウェハの上に下層絶縁膜が形成され、その上に金属配線および上層絶縁膜が形成されている。本来研磨中に監視すべき膜厚は、上層酸化膜の厚さである。しかしながら、光学式研磨終点検知装置の光の一部は、上層絶縁膜および下層絶縁膜を透過し、その下層の金属配線や光透過性を持たない要素、およびシリコンウェハで反射する。このため、光学式研磨終点検知装置によって算出される特性値は、上層絶縁膜および下層絶縁膜の両方の膜厚を反映した値となる。この場合において、下層絶縁膜の膜厚が領域によって異なっていると(図2のd,d参照)、安定した特性値が得られず、結果として研磨終点検知の精度が低下してしまう。これに加え、基板が同一の構造を有する場合であっても、下層絶縁膜の厚さが基板間で異なることがある。このような場合も研磨終点検知の精度が低下してしまう。
特開2004−154928号公報 特開2007−27781号公報 特開平10−112449号公報
本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたもので、研磨対象膜の下にある下層膜の厚さのばらつきに起因する影響を排除して、正確な研磨の進捗を監視することができる研磨監視方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、積層構造を有する基板の研磨を監視する方法であって、前記基板の研磨中に、前記基板の表面に光を照射し、前記基板から戻る反射光を受光し、前記反射光を波長に従って分解して分光波形を生成し、所定の光学干渉成分を選択的に除去するための数値フィルタを前記分光波形に適用して監視用分光波形を生成し、前記監視用分光波形の変化を研磨中に監視することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記数値フィルタが適用される前記分光波形は、前記光の波数に従った相対反射率の分布を示す分光波形であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記数値フィルタは、ローパスフィルタであることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記積層構造は、光透過性を有する絶縁部を有し、前記ローパスフィルタは、研磨終点において、前記絶縁部内に存在する第1の反射面からの反射光に起因して前記分光波形に現われる光学干渉成分を通過させ、前記第1の反射面よりも下方にある第2の反射面からの反射光に起因して前記分光波形上に現われる光学干渉成分を遮断する応答特性を有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ローパスフィルタは、前記基板の表面上の段差が除去された時点において、前記第1の反射面からの反射光に起因して前記分光波形に現われる光学干渉成分を通過させる応答特性を有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1の反射面は、前記積層構造の所定の階層に属する金属配線の上面であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記監視用分光波形の変化に基づいて、前記基板の研磨終点を検知することを特徴とする。
本発明によれば、研磨対象膜の下にある下層膜を透過した反射光による光学干渉成分を数値フィルタによって除去または低減することができる。したがって、下層膜の厚さのばらつきの影響を排除することができ、最上層の膜の厚さに基づいた研磨の進捗状況の正確な監視が可能となる。
研磨時間と共に特性値が変化する様子を示すグラフである。 積層構造の一例を模式的に示す断面図である。 図3(a)は、本発明の一実施形態に係る研磨監視方法の原理を説明するための模式図であり、図3(b)は基板と研磨テーブルとの位置関係を示す平面図である。 積層構造を有する基板の断面の一部を示す模式図である。 研磨終点時に取得された分光波形を示すグラフである。 図5に示す横軸上の波長を波数に変換したときの分光波形を示すグラフである。 数値フィルタの周波数応答特性を示すグラフである。 図6に示す分光波形に図7に示す特性を持つ数値フィルタを適用して得られた分光波形を示すグラフである。 図8の横軸上の波数を波長に変換して得られるグラフである。 フィルタリング前の分光波形上に現われる極大点および極小点を座標系上にプロットしたグラフである。 フィルタリング後の分光波形上に現われる極大点および極小点を座標系上にプロットしたグラフである。 研磨中における波長600nmでの相対反射率の変化を示すグラフである。 重み関数の例を示すグラフである。 特性値の変化を示すグラフである。 研磨中の監視装置の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 フィルタリング前の分光波形から推定された膜厚の変化を示すグラフである。 フィルタリング後の分光波形から推定された膜厚の変化を示すグラフである。 基板の断面を示す模式図である。 図19(a)および図19(b)は、フィルタリング前の正規化された分光波形上に現われる極大点及び極小点を座標系上にプロットして得られたグラフである。 フィルタリング前の分光波形に基づいて算出された特性値の時間変化を示すグラフである。 図21(a)および図21(b)は、フィルタリング後の正規化された分光波形上に現われる極大点及び極小点を座標系上にプロットして得られたグラフである。 フィルタリング後の分光波形に基づいて算出された特性値の時間変化を示すグラフである。 研磨装置を模式的に示す断面図である。 図23に示す研磨装置の他の変形例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。図3(a)は、本発明の一実施形態に係る研磨監視方法の原理を説明するための模式図であり、図3(b)は基板と研磨テーブルとの位置関係を示す平面図である。図3(a)に示すように、基板Wは、下地層(例えば、シリコン層や金属配線)と、その上に形成された膜(例えば、光透過性を有するSiOなどの絶縁膜)を有している。投光部11および受光部12は、基板Wの表面に対向して配置される。基板Wの研磨中は、図3(b)に示すように、研磨テーブル20および基板Wが回転し、研磨テーブル20上の研磨パッド(図示せず)と基板Wとの相対移動により基板Wの表面が研磨される。
投光部11は、基板Wの表面に対してほぼ垂直に光を照射し、受光部12は基板Wから戻ってくる光を受光する。投光部11および受光部12は、研磨テーブル20が一回転するたびに基板Wを横切って移動する。このとき、投光部11は、基板Wの中心部を含む複数の測定点に光を投光し、受光部12は反射光を受光する。受光部12には分光器13が接続されており、分光器13は、反射光の強さ(すなわち反射強度)を波長ごとに測定する。より具体的には、分光器13は、反射光を波長に従って分解し、波長ごとの反射強度を測定する。
分光器13には、監視装置15が接続されている。この監視装置15は、分光器13によって測定された反射強度を正規化し、相対反射率を生成する。この相対反射率は、光の基準強度(基準反射強度−背景強度)に対する反射光の強度(測定された反射強度−背景強度)の比である。例えば、相対反射率は、研磨対象基板の研磨中の各波長での反射強度、及びある研磨条件の下で取得された各波長での基準反射強度のそれぞれから、反射対象物がない状態で測定された背景強度を減算し、得られた2つの反射強度のうち前者を後者で除算することで求められる。具体的には、相対反射率は次の式から求められる。
相対反射率R(λ)={E(λ)−D(λ)}/{B(λ)−D(λ)}・・・(1)
ここで、λは波長であり、E(λ)は研磨対象となる基板の反射強度であり、B(λ)は基準反射強度であり、D(λ)は基板が存在しない状態で取得された背景強度(ダークレベル)である。基準反射強度B(λ)としては、例えば、研磨パッド上に純水を供給しながらシリコンウェハを水研磨しているときに、このシリコンウェハからの反射光の強度を用いることができる。
監視装置15には、基準強度の光の波長に従った分布を示す基準分光波形が記憶されている。監視装置15は、各波長での反射光の強度を、対応する基準強度で割り算することで、波長ごとの相対反射率を求め、相対反射率と光の波長との関係を示す分光波形(分光プロファイル)を生成する。この分光波形は、波長に従った相対反射率の分布である。
図3(a)において、膜の屈折率をn、膜に接触している媒質の屈折率をn’、下地層の屈折率をn”とする。膜の屈折率nが媒質の屈折率n’よりも大きく、下地層の屈折率n”が膜の屈折率nよりも大きい場合(n’<n<n”)は、媒質と膜との界面および膜と下地層との界面で反射する光の位相は、入射光に対してπだけずれる。基板からの反射光は、媒質と膜との界面で反射した光と、膜と下地層との界面で反射した光とが干渉した光であるので、反射光の強さは、2つの光の位相差によって変化する。したがって、膜の厚さXの変化(すなわち光路長の変化)に応じて、反射光の強度は周期的に変化する。
上述した分光波形は反射光の強度に基づいて生成されるので、分光波形は膜厚の減少に従って変化する。分光器13は、研磨テーブル20が一回転するごとに反射強度を測定し、その測定された反射強度から監視装置15は分光波形を生成する。そして、監視装置15は、分光波形に基づいて研磨の進捗(すなわち、膜厚の減少)を監視する。監視装置15としては、汎用または専用のコンピュータを使用することができる。
このように、監視装置15は膜の厚さに依存して変化する分光波形を利用して研磨の進捗を監視する。しかしながら、研磨対象となる実際の基板は、複雑な積層構造を有する。例えば、図2に示すように、研磨対象となる最上層の絶縁膜の下に、光透過性を有する絶縁膜が存在する場合がある。このような場合、投光部11からの光は、上層絶縁膜のみならず下層絶縁膜をも透過するため、取得される分光波形は上層絶縁膜および下層絶縁膜の両方の厚さを反映する。この場合において、下層絶縁膜の膜厚が、基板の領域によって、または基板間で異なっていると、研磨終点検知の精度が低下してしまう。そこで、本発明では、数値フィルタを用いて、下層膜の膜厚のばらつきに起因する影響を低減する。以下、本発明の実施形態に用いられる数値フィルタについて詳細に説明する。
図4は、積層構造を有する基板の断面の一部を示す模式図である。この基板Wは、シリコンウェハの上に下層酸化膜(この例では、SiO膜)が形成され、その上に金属配線(例えば、アルミニウムや銅からなる配線)が形成され、さらに下層酸化膜および金属配線を覆うように上層酸化膜(この例では、SiO膜)が形成されている。下層酸化膜の厚さは500nm、金属配線の厚さは500nm、上層酸化膜の厚さは1500nmである。金属配線に起因して、上層酸化膜の表面には段差が形成されている。この表面段差の高さは、金属配線の厚さにほぼ等しく、約500nmである。
この例では、研磨終点は、表面段差を除去して表面を平坦化するのに十分な除去量1000nmに設定されている。この研磨終点は、金属配線上の上層酸化膜の厚さから決定される。なお、上層酸化膜および下層酸化膜はいずれも絶縁材料から構成された層間絶縁膜である。以下の説明では、上層酸化膜と下層酸化膜を総称するときは絶縁部という。
研磨終点時に取得された分光波形を図5に示す。ここで、基板に接触する媒質としては純水が用いられている。図5において、縦軸は相対反射率[%]を表し、横軸は反射光の波長[nm]を表している。図5に示すように、相対反射率は、横軸(波長軸)に沿って増減を繰り返す。あるいは、短波長側に見られるように、相対反射率そのものは波長に関して単調増加(または単調減少)するとしても、その傾きは波長軸に沿って繰り返し大きくなったり小さくなったりする。これは、絶縁部内の光路上に存在する光の波の数が波長によって変わるため、光の干渉の仕方が波長に従って変化するからである。図5から分かるように、相対反射率の極大点間の間隔は、長波長側でより大きくなる。以下、分光波形上に現われる相対反射率のこのような変動成分を、光学干渉成分または単に干渉成分という。また、本明細書では、相対反射率の極大点間の間隔を、極値間隔という。
図5に示す分光波形には、2つの干渉成分が混在している。1つは、図5から明らかに視認できるように、約5回の増減の繰り返しからなる干渉成分である。これに加えて、図5では直接視認できないが、より長い極値間隔を持つ干渉成分が存在する。この極値間隔の長い干渉成分は、金属配線が形成されている領域での光の干渉によるものであり、具体的には、上層酸化膜の上面(被研磨面)からの反射光と金属配線の上面からの反射光との光学干渉によるものである。一方、極値間隔の短い干渉成分は、金属配線が形成されていない領域での光の干渉によるものであり、具体的には、上層酸化膜の上面からの反射光とSiウェハの上面からの反射光との光学干渉によるものである。
図6は、図5に示す横軸上の波長を波数[nm−1]に変換したときの分光波形を示すグラフである。ここで、波数とは、単位長さ当たりの光の波の数であり、波長の逆数として表される。図5とは異なり、図6に示す分光波形上の干渉成分は周期的に変動する。すなわち、波数軸に沿って現われる周期の短い干渉成分の周期T1はほぼ一定であり、凡そ1/2nd(ただし、nは酸化膜の屈折率、dは金属配線が形成されていない部位での酸化膜の厚さ)である。一方、図5からは直接視認できないが、周期の長い干渉成分の周期T2は、凡そ1/2nd(ただし、dは金属配線上の酸化膜の厚さであり、d<d(図4参照))である。
このように、図4に示す基板では、絶縁部の厚さが領域によって異なっているため、分光波形上には周期の異なる干渉成分が現われる。通常、基板は複雑な多層構造を有しているため、研磨される膜の下に、光透過性を有する膜が形成されている場合がある。この下層膜の厚さが基板の領域間で、または基板間で異なっていると、基板内を進む光の光路長が基板の領域間で、または基板間で異なることとなる。その結果、研磨される最上層の膜の厚さが同じであっても、得られる分光波形が基板の領域ごとに、または基板間で異なってしまう。研磨の進捗を監視するためには、このような下層膜の厚さのばらつきの影響を排除して、最上層の膜の厚さのみを抽出する必要がある。そこで、本発明では、数値フィルタを分光波形に適用して、下層膜の厚さのばらつきによる影響を排除する。具体的には、被研磨面から所定の深さまでの厚さ範囲での干渉成分のみを通過させる数値フィルタを用いて、不要な干渉成分を減衰させる。
この数値フィルタはデジタルフィルタであり、ローパスフィルタである。すなわち、数値フィルタは、予め設定されたしきい値以上の厚さに相当する周期を持つ干渉成分を分光波形から除去し、しきい値よりも小さい厚さに相当する周期を持つ干渉成分を通過させる。この数値フィルタは、分光波形の後処理としてフィルタリングを実行する。
数値フィルタは、絶縁部の厚さがしきい値以上の領域での光の干渉成分を分光波形から除去する。より具体的には、数値フィルタは、所定の厚さに対応する周期以上(周波数以下)の周期を持つ干渉成分を通過させ、上記所定の厚さに対応する周期よりも小さい周期(大きい周波数)を持つ干渉成分を減衰させる。絶縁部の厚さdと干渉成分の周期Tとの関係は、式T=1/2ndにより一意的に求められる。この式は、厚さと周期とが反比例の関係にあることを示している。
分光波形のグラフの横軸を波長軸から波数軸に変換することにより、図6に示すように、横軸に沿った干渉成分の周期が一定(=1/2nd)となる。これにより、絶縁部の厚さと干渉成分の周期とが一意的に対応する。したがって、遮断すべき干渉成分を絶縁部の厚さによって特定することができ、意図した応答特性を持つ数値フィルタの設計がしやすくなる。なお、監視すべき厚さ(図4のd参照)と遮断すべき厚さ(図4のd参照)とが大きく異なる場合においては、波長−波数変換を行わなくてもよい。この場合は、波長軸を横軸とする分光波形に対して適当な数値フィルタ(ローパスフィルタ)が適用される。
図7は、数値フィルタの周波数応答特性を示すグラフである。図7のグラフにおいて、縦軸はゲイン[dB]を表し、横軸は絶縁部の表面からの厚さ(深さ)を表している。この横軸は、屈折率n、膜厚dの絶縁部に関する干渉成分の周期Tが1/2ndであるとの仮定の下に、干渉成分の周期Tから変換された絶縁部の厚さ(深さ)を示している。屈折率の異なる複数の光透過膜が積層されて絶縁部が構成されている場合は、その光学特性(屈折率や消衰係数)が大きく異ならない限り、それぞれの光透過膜の厚さを屈折率に基づき絶縁部相当厚さに変換して、それらの和を求めることにより、絶縁部相当厚さを求めることができる。すなわち、絶縁部相当厚さは、次の式から求めることができる。
絶縁部相当厚さ=Σ(光透過膜の厚さ×光透過膜の屈折率/基準とする絶縁膜の屈折率)
この例では、研磨終点時の金属配線が形成されていない領域での干渉成分を十分に遮断するために、絶縁部の厚さ1500nm(図4のd参照)に対応するゲインは−40dB以下(振幅比1%以下)に設定されている。一方、段差除去時の金属配線上の絶縁部での干渉成分を通過させるために、絶縁部の厚さ1000nm(図4のd参照)に対応するゲインは−0.0873dB以上(振幅比99%以上)に設定されている。したがって、研磨終点時においては、金属配線の上面からの反射光による干渉成分は数値フィルタを通過し、一方、金属配線の上面よりも低い位置にある反射面(この例では、Siウェハの上面)からの反射光による干渉成分は、数値フィルタによって分光波形から除去される。
このように、分光波形に数値フィルタを適用することによって、絶縁部内の第1の反射面(金属配線の上面)よりも下の第2の反射面(Siウェハの上面)に対応する干渉成分を除去することができる。ここで、第1の反射面とは、絶縁部の内部に存在する反射面であって、かつ原則として最も高い位置にある、すなわち被研磨面に最も近い位置にある反射面である。ただし、最上階層の金属配線よりも、その下の階層の金属配線の上面面積が広い場合は、その下層階層の金属配線の上面を第1の反射面としてもよい。
数値フィルタの設計には、例えば、市販の会話型数値解析ソフトウェアMATLABを利用することができる。この例では、上記ソフトウェアを用いて、上述の遮断帯域を示すゲイン−40dB、通過帯域を示すゲイン−0.0873dBをそれぞれ1/2倍した値をゲインとする12次のバターワースフィルタを設計した。この数値フィルタはゼロ位相フィルタとして使用される。すなわち、数値フィルタは、図6に示す分光波形の波数軸に関して前方から適用され、次いで後方から適用される。これにより、フィルタリングによる位相ずれが相殺されるとともに、設定したゲインの2倍の減衰特性を得ることができる。
図8は、図6に示す分光波形に図7に示す特性を持つ数値フィルタを適用して得られた分光波形を示すグラフである。図8から分かるように、短い周期T1を持つ干渉成分が除去され、長い周期T2を持つ干渉成分のみが分光波形上に現われている。図9は、図8の横軸上の波数を波長に変換して得られるグラフである。
図10は、フィルタリング前の分光波形上に現われる極大点および極小点を座標系上にプロットしたグラフである。図11は、フィルタリング後の分光波形上に現われる極大点および極小点を座標系上にプロットしたグラフである。図10および図11に示す座標系は、波長を縦軸に、膜の除去量を横軸に有している。図10および図11において、記号○は極大点の座標を表し、記号×は極小点の座標を表す。極大点の座標は、その極大点の位置を特定する波長と、その極大点が現われたときの膜の除去量とからなる。極小点の座標も同様に、波長と膜の除去量とからなる。膜の除去量は、金属配線上の酸化膜の除去量である。なお、図10および図11に示す極大点および極小点(以下、総称するときは単に極値点という)の分布図を得るために使用された分光波形は、金属配線などの下地の影響を排除するために、正規化された分光波形である。この正規化された分光波形は、各波長での相対反射率を、その相対反射率の研磨中の平均値で除算することにより得られる。
監視装置15は、研磨テーブル20が一回転するごとに、分光波形を取得する。その分光波形に示される相対反射率の極大点および極小点を座標系上にプロットすると、図10および図11に示す分布図が得られる。分布図の作成は、監視装置15で取得した分光波形を別のコンピュータに取り込み、このコンピュータにより実施してもよい。なお、図2(b)に示すように、研磨テーブル20が一回転するごとに、複数の測定点において複数の分光波形が得られる。分布図の作成では、少なくとも1つの測定点(例えば、基板Wの中心)で得られた分光波形を用いてもよく、または近傍の測定点で得られた分光波形を平均化して得られた平均分光波形を用いてもよい。また、研磨テーブル20が複数回回転するごとに、分光波形を取得するようにしてもよい。さらに、研磨テーブル20が所定の回数だけ回転した間に取得される分光波形を平均化(例えば、移動平均)してもよい。
図10に示す極大点および極小点の分布図では、絶縁部の厚さが大きい部位(図4のd参照)の影響により、極大点と極小点との間の波長軸方向の間隔が小さく、また極大点および極小点は全体的に緩やかな減少傾向を示す。さらに、絶縁部の厚さが小さい部位(図4のd,d参照)の影響により、極大点および極小点の軌跡には段差が現われ、単調な減少を示さない。これに対し、図11に示す分布図では、極大点と極小点との間の波長軸方向の間隔が大きく、また研磨初期段階を除いて、極大点および極小点は直線的な減少傾向を示す。したがって、極大点および極小点の変化から、膜の除去の進捗状況を正確に監視することができる。
図12は、研磨中における波長600nmでの相対反射率の変化を示すグラフである。図12の縦軸は相対反射率を示し、横軸は膜の除去量(すなわち、研磨時間)を示している。図12には3つのグラフが示されている。上側のグラフは、金属配線の下に形成されている下層酸化膜の厚さが450nmの場合の相対反射率を示し、中央のグラフは、下層酸化膜の厚さが500nmの場合の相対反射率を示し、下側のグラフは、下層酸化膜の厚さが550nmの場合の相対反射率を示している。実線はフィルタリング後の相対反射率の変化を示し、破線はフィルタリング前の相対反射率の変化を示している。
図12から分かるように、フィルタリング前の相対反射率は、金属配線の下に形成されている下層酸化膜の膜厚に依存して異なる振幅および異なる位相で変動する。一方、フィルタリング後の相対反射率は、3つのグラフにおいて、下層酸化膜の膜厚によらず、同様の振幅および同様の位相で変動し、相対反射率の極大点および極小点はほぼ同一の時間で現われている。これは、フィルタリング後の相対反射率が金属配線上の酸化膜のみに依存して変化していること意味している。したがって、監視装置15は、金属配線上の酸化膜の厚さに基づいて研磨の進捗を正確に監視することができる。さらには、相対反射率の極大点または極小点を検出することによって、研磨終点を決定することができる。例えば、監視装置15は、所定の極値点が検知された時点から所定の時間だけ経過したときに研磨を停止させることができる。
金属配線はアルミニウムや銅などの金属であり、500nmの厚さを有する金属配線は光を全く通過させない。したがって、金属配線の高さにばらつきがあったとしても、膜の表面段差が除去された後には、同様の結果が得られる。すなわち、金属配線のばらつきは、金属配線の上面より下方に位置する絶縁部の厚さのばらつきとして検知される。よって、この場合も、分光波形に数値フィルタを適用することによって、金属配線のばらつきを除去または低減することができる。さらに、光路長(nd)の観点からは、膜厚が増すことと屈折率が増すこととは同義であるから、同様の方法により下層酸化膜の厚さのばらつきだけでなく、屈折率のばらつきの影響も排除することができる。
次に、図9に示す分光波形から得られる相対反射率を用いて特性値を算出する方法について説明する。監視装置15は、複数の波長λk(k=1,…,K)における相対反射率を用いて、次の式から特性値S(λ1,λ2,…,λK)を算出する。
P(λk)=∫R(λ)・Wk(λ)dλ ・・・(3)
S(λ1,λ2,…,λK)=P(λ1)/{P(λ1)+P(λ2)+…
+P(λK)}=P(λ1)/ΣP(λk)・・・(4)
ここで、Wk(λ)は波長λkに中心を持つ(すなわち波長λkで最大値を示す)重み関数を表す。図13に重み関数の例を示す。図13に示す重み関数の最大値および幅は、適宜変更することができる。式(3)において、積分区間は、分光器13が測定可能な最小波長から最大波長までである。例えば、分光器13の測定可能な波長が400nm以上、800nm以下であれば、式(3)の積分区間は〔400,800〕となる。特性値の算出に使用される光の波長λの数は、好ましくは、2つまたは3つである。なお、使用する特性値はこれに限られるものではなく、例えば、式(2)を用いて特性値を算出してもよい。
図14は、上述の式(4)により求められた特性値S(λ1=600nm,λ2=500nm)の変化を示すグラフである。図14の縦軸は特性値を示し、横軸は膜の除去量(すなわち、研磨時間)を示している。図14には3つのグラフが示されている。上側のグラフは、下層酸化膜の厚さが450nmの場合の特性値を示し、中心のグラフは、下層酸化膜の厚さが500nmの場合の特性値を示し、下側のグラフは、下層酸化膜の厚さが550nmの場合の特性値を示している。実線はフィルタリング後の特性値の変化を示し、破線はフィルタリング前の特性値の変化を示している。
図14から分かるように、特性値は、金属配線の下に形成されている下層酸化膜の膜厚の影響を受けずに、研磨時間の経過とともに、同様の振幅および同様の位相で変化する。すなわち、金属配線上の酸化膜の厚さに基づいた特性値が得られていることが図14から分かる。したがって、監視装置15は、金属配線上の酸化膜の厚さに基づいた研磨の進捗を正確に監視でき、精度のよい研磨終点を実現することができる。この場合も、監視装置15は、特性値の所定の極値点が検知された時点から所定の時間だけ経過したときに研磨を停止させることができる。
次に、研磨中の監視装置15の処理の流れについて図15を参照して説明する。
ステップ1では、監視装置15は、研磨中に取得された反射強度の測定値を分光器13から受け取り、式(1)により相対反射率を算出し、そして波長に従った相対反射率の分布を示す分光波形を生成する。ステップ2では、波長を波数に変換して、波数と相対反射率との関係を示す分光波形を生成する。具体的には、波長軸に沿ったデータを波数軸に沿ったデータに変換した後、スプライン補間を行って適当な波数間隔の分光波形を得る。
ステップ3では、監視装置15は、変換された分光波形に、波数軸に沿って前方から数値フィルタを適用し、次いで後方から数値フィルタを適用する。ステップ4では、監視装置15は、波数を波長に再び変換して、フィルタリングされた分光波形から監視用分光波形を生成する。この場合も、波数軸に沿ったデータを波長軸に沿ったデータに変換した後、スプライン補間を行って適当な波長間隔(例えば、オリジナルの分光波形と同じ間隔)の分光波形を得る。
ステップ5では、監視装置15は、得られた監視用分光波形から、研磨監視用の指標としての特性値を上述した方法に従って算出する。ステップ6では、監視装置15は、得られた特性値が所定の研磨終点の要件を満たしているか否かを判断する。研磨終点の要件とは、例えば、特性値が所定の極大値または極小値を示した時点である。特性値が研磨終点の要件を満たしているときは、監視装置15は研磨を終了させる。この場合、研磨を終了させる前に所定の時間だけ基板をオーバーポリッシュしてもよい。一方、特性値が研磨終点の要件を満たしていないときは、処理ステップはステップ1に戻り、監視装置15は次の分光波形を取得する。
研磨監視用の指標として、特性値に代えて、分光波形の形状から決定される推定膜厚を用いてもよい。推定膜厚は次のようにして監視装置15により求められる。まず、研磨対象であるプロダクト基板の研磨の前に、このプロダクト基板と同種のサンプル基板が用意され、サンプル基板の初期膜厚が膜厚測定器により測定される。膜厚測定器としては、光学式膜厚測定器が用いられる。この膜厚測定器は、スタンドアロンタイプのもの、または研磨装置に組み込まれたインラインタイプのものが用いられる。次に、プロダクト基板と同一の研磨条件の下でサンプル基板が研磨される。サンプル基板の研磨中、所定の時間間隔で上述した方法に従って複数の分光波形が生成される。これらの分光波形は、それぞれ、各研磨時間での分光波形である。
研磨終了後、サンプル基板の膜厚が上記膜厚測定器により測定される。研磨前の膜厚と、研磨後の膜厚と、総研磨時間とから、研磨レートが求められる。上述した分光波形が取得された各研磨時間での膜厚は、研磨前の膜厚と、研磨レートと、その研磨時間とから算出することができる。したがって、各分光波形は、各研磨時間での膜厚を示すものと考えることができる。各分光波形は膜厚と関連付けられ、監視装置15に保存される。なお、サンプル基板の研磨中の研磨レートは、必ずしも一定とは限らないから、上記のようにして算出された膜厚は、サンプル基板を基準とする相対膜厚である。
プロダクト基板の研磨中、同様に分光波形が監視装置15により生成される。監視装置15は、生成されたプロダクト基板の分光波形と、保存されているサンプル基板の分光波形とを比較し、最も近いサンプル基板の分光波形からプロダクト基板の膜厚(相対膜厚)を推定する。
図16は、フィルタリング前の分光波形から推定された膜厚の変化を示すグラフであり、図17は、フィルタリング後の分光波形から推定された膜厚の変化を示すグラフである。図16および図17において、縦軸は金属配線上の酸化膜の推定膜厚を示し、横軸は金属配線上の酸化膜の除去量を示している。グラフ中の破線は、金属配線の下にある酸化膜の厚さが500nmであるサンプル基板から得られた基準膜厚を示し、実線は、金属配線の下にある酸化膜の厚さが450nmであるプロダクト基板から得られた推定膜厚を示している。
図16に示すように、フィルタリング前の分光波形から得られた推定膜厚は、表面の段差が除去されるまで、すなわち除去量が500nmに達するまでは、ほぼ基準膜厚に一致する。しかしながら、表面の段差が除去された後は、下層の酸化膜の影響により膜厚が過大に推定されている。これに対し、フィルタリング後の分光波形から得られた推定膜厚は、研磨初期段階においては、基準膜厚と一致しない。これは、研磨初期段階では膜厚が大きいために、金属配線上の酸化膜での干渉成分が数値フィルタによりある程度減衰されるからである。しかしながら、表面段差が除去された後は、推定膜厚は概ね基準膜厚に一致する。したがって、分光波形を数値フィルタによってフィルタリングすることによって、金属配線上の酸化膜の厚さに基づいて、正確に研磨の進捗を監視することができ、さらには正確に研磨終点を検知することができる。
このように、研磨対象膜の下層膜の厚さにばらつきがある場合でも、その影響を受けずに研磨の進捗を正確に監視することができる。は、層間絶縁膜の研磨や、シャロートレンチアイソレーション(STI)工程などに好適に用いることができる。ここで、STIのようにトレンチの上に絶縁膜を形成する場合は、製造工程にかかわらず、トレンチ内の絶縁材が下層膜であるとして本研磨監視方法を適用することができる。
次に、本研磨監視方法を、より複雑な積層構造に適用した例について説明する。図18は研磨の対象となる基板の断面を示す模式図である。シリコンウェハの上には酸化膜(SiO膜)が形成され、さらにビアホールで接続された2層の銅配線、すなわち上層銅配線M2及び下層銅配線M1が形成されている。酸化膜の各層の間にはSiCN層が形成されている。上側の3層の酸化膜の厚さはそれぞれ100〜200nmの範囲にあり、各SiCN層の厚さは30nm程度である。最下層の酸化膜の厚さは1000nm程度である。上述したように、最下層の酸化膜の厚さは、基板の領域間で、または基板間で比較的大きくばらつくことがある。そこで、以下の説明では、最下層の酸化膜の厚さが約1000nmの基板(以下、基板Iという)と、最下層の酸化膜の厚さが約900nmの基板(以下、基板IIという)の2種類の基板を研磨した結果を示す。この研磨プロセスは、上層銅配線M2の高さを調節することを目的としている。上層銅配線M2の高さを研磨中に監視する方法としては、例えば、下層銅配線M1の上面から被研磨面までの厚さ(図18中に矢印で示す)に対応する信号を検知し監視することが考えられる。しかし、この例では、下層銅配線M1の上面の基板面内における面積比率が小さいため、対応する信号を反射光から取り出すことは難しい。基板の表面の多くの部分は絶縁層(SiO膜及びSiCN膜)からなり、絶縁層に入射する光は、その多くがシリコンウェハの上面に達して反射される。
図19(a)および図19(b)は、バリア層(Ta/TaN)、及び最上層の酸化膜を約100nmだけ研磨したときに得られた分光波形上の極大点及び極小点の分布を示すグラフである。図19(a)および図19(b)において、横軸は研磨時間を示している。これらのグラフは、図10と同様にして、正規化されたフィルタリング前の分光波形上に現われる極大点(○印)及び極小点(×印)を座標系上にプロットして得られたものである。図19(a)は、基板I(最下層の酸化膜の厚さが約1000nm)を研磨したときの極値点の分布を示し、図19(b)は、基板II(最下層の酸化膜の厚さが約900nm)を研磨したときの極値点の分布を示す。最下層の酸化膜に起因する光学干渉の影響で、研磨中の各時点において、分光波形には4〜5個の極大点が現われている。各グラフにおいて、研磨の進捗によらず、極大点及び極小点に対応する波長は大きくは変わらないが、最下層の酸化膜の厚みの違いによって、図19(a)と図19(b)とで極大点及び極小点の波長が異なっている。
図20は、フィルタリング前の分光波形に基づいて算出された特性値の時間変化を示すグラフである。特性値は上述の式(4)を用いて算出され、最下層酸化膜の厚さが1000nmの基板Iを研磨する場合に研磨時間50秒付近で極大点が現われるような波長が選択されている(λ1=535nm,λ2=465nm)。図20の実線は基板Iを研磨したときの特性値を示し、破線は基板IIを研磨したときの特性値を示している。図20から分かるように、基板II(膜厚900nm)を研磨した場合には、特性値の軌跡が基板I(膜厚1000nm)を研磨した場合とは大きく異なっている。したがって、基板Iとは異なる最下層酸化膜の厚さを持つ基板IIの研磨では、基板Iと共通の波長をパラメータとする特性値を用いて研磨の進捗を監視することはできない。
これに対して、図21(a)および図21(b)は、図11と同様にして、フィルタリング後の正規化された分光波形上に現われる極大点及び極小点を座標系上にプロットして得られたグラフである。この例では、酸化膜に換算した膜厚が1000nmに対応するゲインが−40dB以下、300nmに対応するゲインが−0.0873dB以上である応答特性を持つ数値フィルタを用いた。図21(a)は基板Iを研磨したときの極大点及び極小点の分布図を示し、図21(b)は基板IIを研磨したときの極大点及び極小点の分布図を示す。これらの分布図から、数値フィルタを適用すると、極値点の分布は疎になることが分かる。さらに、図21(a)と図21(b)とでは、極大点及び極小点が概ね等しい波長で現われて、最下層酸化膜の厚さの影響が軽減されていることが分かる。
図22は、フィルタリング後の分光波形に基づいて算出された特性値の時間変化を示すグラフである。この例でも、特性値は式(4)を用いて算出され、最下層酸化膜の厚さが1000nmの基板Iを研磨する場合に研磨時間50秒付近で極大点を持つような波長が選択されている(λ1=560nm、λ2=460nm)。図22から分かるように、基板Iの特性値(実線)と、基板IIの特性値(破線)は、研磨時間と共に同様の軌跡を描いて変化する。また、2つの場合において、研磨後に測定された最上層の酸化膜の厚さはそれぞれ77nm、90nmであった。この測定結果は、基板IIよりも、基板Iの方が研磨が進んでいることを示す2つの特性値の軌跡に一致する。このように、分光波形のフィルタリングによって、下層絶縁膜の膜厚ばらつきが特性値に与える影響を軽減することができる。その結果、下層絶縁膜の厚さが未知であったとしても、共通の波長をパラメータとする特性値の時間変化に基づいて研磨の進捗を監視することが可能であり、さらには特性値の極大点または極小点を検知して研磨終点を検出することが可能である。
次に、研磨監視装置を組み込んだ研磨装置について説明する。図23は、研磨装置を模式的に示す断面図である。図23に示すように、研磨装置は、研磨パッド22を支持する研磨テーブル20と、基板Wを保持して研磨パッド22に押圧するトップリング24と、研磨パッド22に研磨液(スラリ)を供給する研磨液供給ノズル25とを備えている。研磨テーブル20は、その下方に配置されるモータ(図示せず)に連結されており、軸心周りに回転可能になっている。研磨パッド22は、研磨テーブル20の上面に固定されている。
研磨パッド22の上面22aは、基板Wが摺接される研磨面を構成している。トップリング24は、トップリングシャフト28を介してモータ及び昇降シリンダ(図示せず)に連結されている。これにより、トップリング24は昇降可能かつトップリングシャフト28周りに回転可能となっている。このトップリング24の下面には、基板Wが真空吸着等によって保持される。
トップリング24の下面に保持された基板Wはトップリング24によって回転させられつつ、回転している研磨テーブル20上の研磨パッド22にトップリング24によって押圧される。このとき、研磨液供給ノズル25から研磨パッド22の研磨面22aに研磨液が供給され、基板Wの表面と研磨パッド22との間に研磨液が存在した状態で基板Wの表面が研磨される。本実施形態においては、基板Wの表面と研磨パッド22とを摺接させる相対移動機構は、研磨テーブル20およびトップリング24によって構成される。
研磨テーブル20には、その上面で開口する孔30が形成されている。また、研磨パッド22には、この孔30に対応する位置に通孔31が形成されており、孔30と通孔31とは連通している。通孔31は、研磨面22aで開口しており、通孔31の径は3×6mm程度の長孔であり、その長手方向は研磨テーブル20の周方向に一致する。孔30は液体供給路33およびロータリージョイント32を介して液体供給源35に連結されている。研磨中は、液体供給源35からは、透明な液体として水(好ましくは純水)が孔30に供給され、基板Wの下面と通孔31とによって形成される空間を満たし、液体排出路34を通じて排出される。研磨液は水と共に排出され、これにより光の光路が確保される。液体供給路33には、研磨テーブル20の回転に連動して作動するバルブ(図示せず)が設けられている。このバルブは、通孔31の上に基板Wが位置しないときは水の流れを止める、または水の流量を少なくするように動作する。
研磨装置は、上述した方法に従って研磨の進捗を監視する研磨監視装置を有している。この研磨監視装置は、光を基板Wの被研磨面に照射する投光部11と、基板Wから戻ってくる光を受光する受光部としての光ファイバー12と、光ファイバー12によって受光された光を波長に従って分解し、波長ごとの反射強度を測定する分光器13と、分光器13によって得られた反射強度から分光波形を生成し、この分光波形から基板Wの研磨の進捗を監視する監視装置15とを備えている。
投光部11は、光源40と、光源40に接続された光ファイバー41とを備えている。光ファイバー41は、光源40の光を基板Wの表面まで導く光伝送部である。光ファイバー41は、光源40から孔30および通孔31を通って基板Wの被研磨面の近傍位置まで延びている。光ファイバー41および光ファイバー12の各先端は、トップリング24に保持された基板Wの中心に対向して配置され、研磨テーブル20が回転するたびに基板Wの中心を含む領域に光が照射されるようになっている。なお、研磨パッド22の交換作業が容易に行えるように、光ファイバー41の先端が研磨テーブル20の上面より突き出ず、孔30に納まる位置に、光ファイバ41を設置してもよい。
光源40としては、発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、キセノンランプなどを用いることができる。光ファイバー41と光ファイバー12は互いに並列に配置されている。光ファイバー41および光ファイバー12の各先端は、基板Wの表面に対して垂直に配置されており、光ファイバー41は基板Wの表面に垂直に光を照射するようになっている。
基板Wの研磨中は、投光部11から光が基板Wに照射され、受光部としての光ファイバー12によって基板Wからの反射光が受光される。光が照射される間、孔30には水が供給され、これにより、光ファイバー41および光ファイバー12の各先端と、基板Wの表面との間の空間は水で満たされる。分光器13は、波長ごとに反射光の強さを測定し、監視装置15は、測定された反射強度から分光波形を生成する。監視装置15は、分光波形から基板Wの研磨の進捗を監視し、さらに上述した特性値または推定膜厚に基づいて研磨終点を決定する。
図24は、図23に示す研磨装置の他の変形例を示す断面図である。図23に示す例では、液体供給路、液体排出路、液体供給源は設けられていない。これに代えて、研磨パッド22には透明窓50が形成されている。投光部11の光ファイバー41は、この透明窓50を通じて研磨パッド22上の基板Wの表面に光を照射し、受光部としての光ファイバー12は、透明窓50を通じて基板Wからの反射光を受光する。その他の構成は、図23に示す研磨装置と同様である。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
11 投光部
12 受光部
13 分光器
15 監視装置
20 研磨テーブル
22 研磨パッド
24 トップリング
25 研磨液供給ノズル
28 トップリングシャフト
30 孔
31 通孔
32 ロータリージョイント
33 液体供給路
34 液体排出路
35 液体供給源
40 光源
41 光ファイバー
50 透明窓

Claims (7)

  1. 積層構造を有する基板の研磨を監視する方法であって、
    前記基板の研磨中に、前記基板の表面に光を照射し、
    前記基板から戻る反射光を受光し、
    前記反射光を波長に従って分解して分光波形を生成し、
    所定の光学干渉成分を選択的に除去するための数値フィルタを前記分光波形に適用して監視用分光波形を生成し、
    前記監視用分光波形の変化を研磨中に監視することを特徴とする研磨監視方法。
  2. 前記数値フィルタが適用される前記分光波形は、前記光の波数に従った相対反射率の分布を示す分光波形であることを特徴とする請求項1に記載の研磨監視方法。
  3. 前記数値フィルタは、ローパスフィルタであることを特徴とする請求項1に記載の研磨監視方法。
  4. 前記積層構造は、光透過性を有する絶縁部を有し、
    前記ローパスフィルタは、研磨終点において、前記絶縁部内に存在する第1の反射面からの反射光に起因して前記分光波形に現われる光学干渉成分を通過させ、前記第1の反射面よりも下方にある第2の反射面からの反射光に起因して前記分光波形上に現われる光学干渉成分を遮断する応答特性を有することを特徴とする請求項3に記載の研磨監視方法。
  5. 前記ローパスフィルタは、前記基板の表面上の段差が除去された時点において、前記第1の反射面からの反射光に起因して前記分光波形に現われる光学干渉成分を通過させる応答特性を有することを特徴とする請求項4に記載の研磨監視方法。
  6. 前記第1の反射面は、前記積層構造の所定の階層に属する金属配線の上面であることを特徴とする請求項4に記載の研磨監視方法。
  7. 前記監視用分光波形の変化に基づいて、前記基板の研磨終点を検知することを特徴とする請求項1に記載の研磨監視方法。
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