JP2011000326A - 曲げ駆動装置及びこれを備えた内視鏡、並びに内視鏡用の曲げ駆動装置 - Google Patents

曲げ駆動装置及びこれを備えた内視鏡、並びに内視鏡用の曲げ駆動装置 Download PDF

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聡 小西
Toru Tani
徹 谷
Yoshimasa Kurumi
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Abstract

【課題】内視鏡に設けられた処置具のシースような長尺部材を曲げ駆動することができる曲げ駆動装置を提供する。
【解決手段】曲げ駆動装置10は、流体圧力の変化により膨張・収縮するとともに、膨張することによって曲げ方向とは反対側の長尺部材11の側面を押圧する押圧部38を有する駆動要素13を備えている。駆動要素13は、長尺部材11の外周を囲むように複数設けることができ、押圧部38はバルーンによって構成することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、可撓性を有する長尺部材を曲げ駆動する曲げ駆動装置及びこれを備えた内視鏡、並びに内視鏡用の曲げ駆動装置に関する。
従来、体内組織の採取、切除、摘出などの各種処置を行うための処置具を備えた内視鏡が知られている(例えば特許文献1参照)。処置具は、内視鏡の内部に挿通された細長いシースと、このシースの先端に取り付けられた鉗子等の処置部材とを備え、シースの基端部に接続された操作部によって処置部材を手元で操作できるように構成されている。また、処置具は、内視鏡の先端部に設けられたCCD等の撮像部によって撮像され、その映像をモニタ等を介して視覚的に確認しながら処置を行うことが可能である。
特開2009−90087号公報
従来の内視鏡は、体腔の形状等に合わせて挿入部をワイヤー駆動により湾曲させることが可能であるが、処置具のシースは内視鏡とともに湾曲するだけで、これを独立して曲げることができない。そのため、撮像部によって撮像される映像(視野)と処置具とは常に一緒に移動し、固定された視野内で処置具のみを移動させて処置を行うことはできなかった。これにより、医師が思うように処置を行うことができない場合があり、より一層の操作性の向上が望まれていた。
また、内視鏡の挿入部と同様に、ワイヤー駆動等によって処置具のシースを単独で湾曲させることも考えられるが、この場合、処置具の構造に大きな変更が必要であり、従来から存在する処置具にそのまま適用することができない。
本発明は、内視鏡に設けられた処置具のシースような長尺部材を曲げることができる曲げ駆動装置及びこれを備えた内視鏡、並びに内視鏡用の曲げ駆動装置を提供することを目的とする。
本発明の曲げ駆動装置は、可撓性を有する長尺部材を曲げ駆動する曲げ駆動装置であって、流体圧力の変化により膨張・収縮するとともに、膨張することによって曲げ方向とは反対側の長尺部材の側面を押圧する押圧部を有する駆動要素を備えていることを特徴としている。
この曲げ駆動装置によれば、駆動要素の押圧部に流体を供給して圧力を高めることによって押圧部を膨張させ、この押圧部によって長尺部材の側面を押圧することによって、長尺部材を曲げることが可能である。つまり、駆動要素の押圧部は、長尺部材の側面に対して外側から作用することによって長尺部材を曲げるので、長尺部材自身に曲げ駆動のための機構を備える必要はなく、既存の長尺部材を曲げるために好適に適用することができる。
前記駆動要素は、前記長尺部材の周囲に複数配置されていることが好ましい。これによって、長尺部材を複数の方向に曲げることが可能となる。
特に、前記駆動要素は、前記長尺部材の周囲を4方から囲むように4個配置されていることが好ましい。これによって、各駆動要素の押圧部をそれぞれ単独で、又は隣接する2つの押圧部を同時に膨張させることによって、長尺部材を4方又はそれ以上の方向に曲げることができる。
上記曲げ駆動装置は、前記駆動要素が取り付けられる取付部材と、この取付部材に固定されるとともに、前記駆動要素から前記長尺部材の長さ方向に離れた位置で当該長尺部材を保持する保持部材と、を備えていることが好ましい。
この構成によれば、保持部材によって長尺部材を保持した状態で駆動要素の押圧部を膨張させると、保持部材による保持位置を支点として長尺部材を確実に曲げることが可能となる。
上記曲げ駆動装置は、前記長尺部材が挿通される筒形状の取付部材を備え、前記駆動要素が取付部材の筒内に取り付けられていることが好ましい。
これにより、押圧部と長尺部材との相対位置関係を適切に設定し、押圧部によって長尺部材を確実に押圧することができる。
前記押圧部は、その素材の伸張を伴って膨張するバルーンによって構成されていることが好ましい。このように押圧部自身の表面が伸張することによって、押圧部の膨張量(押圧量)を大きくすることができ、長尺部材を大きく曲げることが可能となる。
本発明の内視鏡は、人体に挿入される挿入部と、この挿入部内に挿通されるとともに当該挿入部の先端に形成された開口から突出可能なシースを有する処置具と、前記シースを曲げ駆動する曲げ駆動装置とを備えている内視鏡であって、
前記曲げ駆動装置が、流体圧力の変化により膨張・収縮するとともに、膨張することによって曲げ方向とは反対側の前記シースの側面を押圧する押圧部を有する駆動要素を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、駆動要素の押圧部を膨張させることによって処置具のシースを挿入部とは独立して曲げることができる。したがって、固定された視野内で処置具のみを移動させて処置を行うことが可能となり、処置具の操作性を向上することができる。また、シースの側面に対して外側から押圧部を作用させるため、シース自体の構造を変更する必要なく、既存の処置具に対しても適用することができる。
上記曲げ駆動装置は、前記挿入部の先端部に設けられており、前記駆動要素は、前記挿入部の先端面の外側に配置されていることが好ましい。
このような構成によって、内視鏡の挿入部の内部構造の変更をほとんど伴うことなく曲げ駆動装置を設けることが可能となる。
前記曲げ駆動装置の駆動要素は、前記開口の中心周りに回転可能に設けられていることが好ましい。この場合、駆動要素を回転させることによってシースの曲げ方向を変更することが可能となる。そのため、少ない駆動要素により多方向にシースを曲げることができる。
前記曲げ駆動装置は、前記挿入部内に配置されていてもよい。
このような構成によって曲げ駆動装置が外部に露出せず、体腔の内壁等、周囲と接触することがない。
本発明の内視鏡用の曲げ駆動装置は、内視鏡の挿入部の先端面に形成された開口から突出可能な処置具のシースを曲げ駆動する曲げ駆動装置であって、
前記開口に装着される装着部と、
前記装着部に取り付けられ、かつ流体圧力の変化により膨張・収縮するとともに、膨張することによって曲げ方向とは反対側の前記シースの側面を押圧する押圧部を有する駆動要素と、を備えていることを特徴としている。
このような構成によって、既存の内視鏡における挿入部の開口に曲げ駆動装置を装着し、駆動要素の押圧部によってシースを独立して曲げることが可能となる。
本発明によれば、可撓性を有する長尺部材を曲げ駆動することができる。
本発明の実施形態に係る曲げ駆動装置の斜視図である。 図1に示される曲げ駆動装置の平面図(図1のII矢視図)である。 図1に示される曲げ駆動装置の分解斜視図である。 曲げ駆動装置の駆動要素を示す斜視図である。 曲げ駆動機構の概略的な断面図である。 曲げ駆動装置の作用を示す模式図である。 駆動要素の数を変更した場合の曲げ駆動装置の作用を示す模式図である。 (a)は内視鏡の概略斜視図、(b)は(a)のB部拡大図である。 他の実施形態に係る内視鏡の概略斜視図である。 同内視鏡の先端面付近の概略的な正面図である。
〔曲げ駆動装置の構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る曲げ駆動装置の斜視図、図2は、曲げ駆動装置の平面図(図1のA矢視図)である。この曲げ駆動装置10は、例えば内視鏡に使用される処置具のシースのような長尺部材を曲げるための装置であり、外骨格12と、この外骨格12に取り付けられた駆動要素13とを備えている。
外骨格12は、合成樹脂材等により形成され、駆動要素13を取り付けるための取付部材14と、この取付部材14の端部(図1の下端部)に連結され、長尺部材11を保持するための保持部材15とから構成されている。取付部材14は、その外面が略円筒形状であり、内面が略四角筒形状に形成されている。そして、駆動要素13は、取付部材14の4つの内面にそれぞれ取り付けられている。
図3は、曲げ駆動装置10の分解斜視図である。取付部材14は、周方向に4つの分割体(支持体)17から構成されており、各分割体17は、取付部材14の外面の略1/4の長さの円弧と、この円弧の両端近傍を結ぶ弦とを外形とする切片形状とされている。4つの分割体17は、弾性を有するヒンジ片18を介して相互に屈曲可能に連結されている。分割体17の内面には、駆動要素13が挿入される凹部19が形成され、さらにこの凹部19の内側には、駆動要素13に接着されたコネクタ部材20が挿入される開口部21が形成されている。
開口部21の下側端縁と分割体17の下面との間には、駆動要素13にエアを供給するための供給チューブ22(図1参照)を通すための第1挿通孔23が貫通して形成されている。また、各分割体17の下端面には、保持部材15との連結に用いられる連結突起24が設けられている。
保持部材15は、略円柱形状のブロックであり、その中心位置には保持孔25が軸方向に貫通して形成されている。保持部材15は、長尺部材11を保持孔25に挿通することによって当該長尺部材11を保持するように構成されている。また、保持部材15の外周部の4箇所には供給チューブ22を通すための第2挿通孔26が軸方向に貫通して形成されている。また、4つの挿通孔の各間には、連結突起24が挿入される連結穴27が形成されている。したがって、取付部材14における4つの分割体17を筒形状に曲げ、各分割体17の連結突起24を連結孔27に挿入することによって外骨格12が形成される。
なお、外骨格12を構成する取付部材14は、必ずしも筒形状である必要はなく、複数の分割体17がそれぞれ分離した状態で設けられていてもよい。また、取付部材14の分割体(支持体)17は、例えば、ポリイミドフィルム等の伸縮しにくい薄膜により構成することができ、これにより駆動要素13を含めた全体を薄肉化することができる。
駆動要素13は、流体圧力の変化によって膨張・収縮を行うバルーンアクチュエータとされている。図4は、駆動要素13の斜視図、図5は、曲げ駆動機構の概略的な断面図である。駆動要素13は、正面視矩形状の板材であり、全体の厚さが1mm程度の薄く柔軟な構造とされている。具体的に、駆動要素13は、伸縮自在なシリコーンラバーフィルムからなる2つの層(第1層29、第2層30)から構成されている。なお、駆動要素13の素材であるシリコーンラバー(PDMS)は、人体への親和性(適合性)が高く、後述のように内視鏡に対して駆動要素を使用した場合であっても人体(体内)に対する害や負担を少なくすることができる。
具体的に、第1層29及び第2層30は、いずれもシリコーンラバーの一種であるPDMS(ポリジメチルシロキサン)の薄膜であり、特に、第1層29は第2層30よりも硬度が低く、より柔軟に形成されている。なお、図5においては、駆動要素13の構造を理解し易くするために、当該駆動要素13を特に分厚く図示してある。
また、駆動要素13の内部(第1層29と第2層30との間)には中空部33が形成されている。この中空部33は、第1層29の背面側に凹所を設けることによって形成され、膨張部34と、エア通路35と、エア注入部36とに区画されている。
図4に示すように、膨張部34とエア注入部36とはそれぞれ円形状に形成されているが、特に膨張部34の直径はエア導入部の直径よりも大きく形成され、例えば約3倍〜4倍の直径とされている。また、エア注入部36は駆動要素13の背面側で開口している。エア通路35は、膨張部34とエア注入部36とを連通する細長い通路とされている。
エア注入部36にエアが注入されると、当該エアはエア通路35を通って膨張部34へ供給される。そして、このエアの供給によって、図5に2点鎖線で示すように、膨張部34の範囲に配置された第1層29の一部が伸びることによって面積を拡げ、表面側に膨張するようになっている。以下において、膨張部34の範囲に配置された第1層29の一部を特にバルーン(押圧部)38と呼称する。
駆動要素13の背面には、供給チューブ22との接続に用いられるコネクタ部材20が設けられている。このコネクタ部材20は、直方体のブロック形状に形成され、駆動要素13よりも厚肉で硬度が高くなっている。コネクタ部材20の内部には、エア中継路40が形成され、このエア中継路40は、コネクタ部材20の表面(駆動要素側)で開口してエア注入部36に連通するとともに、コネクタ部材20の下面で開口して供給チューブ22に接続されている。
長尺部材11は、保持部材15に形成された保持孔25に長さ方向に移動可能に挿入され、さらに取付部材14の筒内に挿入されている。取付部材14の筒内に挿入された長尺部材11は、図2に示すように、取付部材14の内面に取り付けられた駆動要素13によって4方から囲まれている。
また、供給チューブ22の一端部は、保持部材15に形成された第2挿通孔26と、取付部材14の下部に形成された第1挿通孔23とに挿入され、コネクタ部材20の下面に接続されている。供給チューブ22の他端部は、駆動要素13へのエアの供給量を調節する調節バルブ等を含む調整部42を介してポンプPに接続されている。この調整部42を操作することによって各駆動要素13へのエアの供給量が調整され、バルーン38の大きさ(膨張量)を調整することができる。
図6は、曲げ駆動装置10の作用を示す模式図である。図6(a)は、4つのバルーン38に均等にエアが供給され、4つのバルーン38が同程度に膨張している状態を示している。この状態では、長尺部材11は、4つの駆動要素13の中心位置に配置され、曲げられることなく直線状に支持されている。
図6(b)は、1つのバルーン38を更に膨張させ、このバルーン38に対向する他のバルーン38を収縮させた状態を示している。この状態では、長尺部材11はバルーン38で押圧されることによって矢印a方向に移動する。この状態を、図5を用いてさらに説明すると、長尺部材11は、保持孔25に挿入されることによって保持部材15により保持されているので、2点鎖線で示すように、保持部材15の上端位置Pを支点として矢印a方向に曲げられる。
長尺部材11の曲げ量(曲げ角度)は、バルーン38の膨張量に依存しているが、本実施形態では、長尺部材11の支点位置Lと、バルーン38の位置Hとの距離Dにも依存している。すなわち、長尺部材11の支点位置Lとバルーン38の位置Hとの距離Dを小さく設定すれば、長尺部材11の曲げ量を大きくすることができ、逆に、長尺部材11の支点位置Lとバルーン38の位置Hとの距離Dを大きく設定すれば、長尺部材11の曲げ量を小さくすることができる。
図6(c)は、隣接する2つのバルーン38を更に均等に膨張させ、他の2つのバルーン38を均等に収縮させた状態を示している。この状態では、長尺部材11は、膨張した2つのバルーン38に押圧されることによって斜め方向(矢印b方向)に移動する。すなわち、長尺部材11は、膨張した2つのバルーン38とは反対側に曲げられることとなる。
以上より、4個の駆動要素13によって長尺部材11を4方から囲んだ場合、各バルーン38を個別に膨張させることによって、図2に示す4つの方向a、c、e、gに長尺部材11を曲げることができ、隣接する2つのバルーン38を均等に膨張させることによって、図2に示す4つの斜め方向b、d、f、hに長尺部材11を曲げることができる。すなわち、合計で8方向a〜hに長尺部材11を曲げることが可能となる。
また、図6(c)に示すように2つのバルーン38を均等に膨張させるのではなく、一方を他方よりも大きく膨張させれば、より細かく曲げ方向を設定することも可能である。
なお、上記実施形態では、4個の駆動要素(バルーン)を用いることによって長尺部材11を8方向又はそれ以上の方向に曲げることが可能となっているが、必ずしも4個の駆動要素13を備えていなくてもよい。
図7は、駆動要素13の数を変更した場合の曲げ駆動装置10の作用を示す模式図である。図7(a)は、1つの駆動要素13を備えた曲げ駆動装置10を示しており、この場合、バルーン38を膨張させることによって長尺部材11を矢印aの一方向にのみ曲げることができる。
図7(b)は、2つの駆動要素13を備えた曲げ駆動装置10を示しており、この場合には、各バルーン38を個別に膨張させることによって長尺部材11を矢印a、c方向に曲げることができ、各バルーン38を同時に均等に膨張させることによって長尺部材11を矢印b方向に曲げることができる。したがって、この曲げ駆動装置10は、長尺部材11を3方向に曲げることができる。なお、この例の場合にも、一方のバルーン38を他方のバルーン38よりも大きく膨張させることによって、より細かく曲げ方向を設定することができる。
図7(c)は、3つの駆動要素13を備えた曲げ駆動装置10を示しており、この場合、各バルーン38を個別に膨張させることによって、矢印a、c、e方向に長尺部材11を曲げることができ、3つのバルーン38のうち、隣接する2つを同時に均等に膨張させることによって、矢印b、d方向に長尺部材11を曲げることができる。したがって、この曲げ駆動装置10は、長尺部材11を5方向に曲げることが可能である。また、隣接する2つのバルーン38の一方を他方よりも大きく膨張させることによって、より細かく曲げ方向を設定することができる。
図7(d)は、3つの駆動要素13を備えた曲げ駆動装置10を示しているが、この3つの駆動要素13を等間隔(120°間隔)で配置した点で図7(c)に示したものと異なっている。この例では、各バルーン38を個別に膨張させることによって矢印a、o、p方向に長尺部材11を曲げることができる。
また、図7(c)に示したものの場合、長尺部材11は左及び上下から駆動要素13によって囲まれているので、右方向への移動の自由度は大きいが、左方向及び上下方向への移動の自由度が小さい。これに対して、図7(d)に示すものは、少なくとも3方向a、o、pへの移動の自由度が大きくなっている。そのため、長尺部材11に外力が付与された場合には、長尺部材11自身が移動することによってその外力を逃がすことが可能となっている。これは、後述のように、曲げ駆動装置10を内視鏡の処置具を曲げるために適用した場合に非常に有用であり、例えば、体腔に挿入された処置具が体腔の内壁等に当たり、その反力が処置具に加わった場合であっても、処置具自身が移動することによって反力を逃がし、体内に対する負担を軽減することができる。
なお、図6及び図7においては、1〜4個の駆動要素13を備えた例を示しているが、長尺部材11の周囲を囲むように5個以上の駆動要素13を設けてもよい。
〔駆動要素(バルーンアクチュエータ)の製法〕
図5に示すように、駆動要素13を構成する第1層29は、中空部(膨張部34、エア通路35、エア注入部36)を形成するための凹部を有しているので、この凹部に対応した凸部を有するモールドを使用して成型される。第1層29を成形するモールドは、例えば、フォトリソグラフィによってシリコン基板上に形成される。そして、このモールド上に本剤と硬化用触媒との混合比が8:1のPDMSをスピンコートし、熱硬化させることによって第1層29を成形する。
ついで、ガラス基板上などに触媒との混合比が12:1のPDMSをスピンコートし、熱硬化させることによって第2層30を成形する。そして、第2層30上に第1層29を重ね合わせて接合することにより、駆動要素13を製作する。
PDMSと硬化用触媒との混合比は、触媒の比率が大きいほど硬度が低く、柔軟となる。したがって、本実施形態では第1層29をより柔軟にすることで、バルーン38を膨張させ易くしている。
〔曲げ駆動装置の内視鏡への適用〕
次に、以上のような曲げ駆動装置10を内視鏡に適用した実施形態について説明する。
図8(a)は、内視鏡43の一実施形態を示す概略斜視図であり、(b)は、(a)のA部拡大図である。この内視鏡43は、人体の内部(体腔)に挿入部45を挿入することによって観察や治療を行うものであり、操作部44を操作することによって挿入部45の湾曲操作等が可能となっている。
図8(b)に示すように、挿入部45の先端面には、CCD等の撮像素子を備えた撮像部46と、LED等からなる2つの照明47が設けられている。また、挿入部45の先端面には、鉗子口(開口)48が形成されている。
挿入部45の内部には、可撓性を有するシース49と、このシース49の先端部に設けられた鉗子等の処置部材50とを備えた処置具51が挿入され、この処置具51は、鉗子口48を介して挿入部45から出退自在とされている。また、処置部材50は、その基端部に設けられた操作具(図示略)によって操作される。
挿入部45の先端部付近の内部には、図1に示したものと略同様の曲げ駆動装置10が内蔵されており、曲げ駆動装置10の外骨格12の内側に処置具51のシース49が挿通されている。そして、外骨格12の内面に設けられた駆動要素13のバルーン38によってシース49を曲げることが可能となっている。
したがって、本実施形態の内視鏡43は、撮像部46によって撮像される視野を固定した状態で、シース49を曲げることによって処置部材50を移動させながら処置を行うことができ、処置の作業性を向上することができる。また、シース49は、駆動要素13のバルーン38の膨張によってある程度の弾力性をもって押圧されるので、例えば処置部材50が体腔内の壁等に不慮に当たったとしてもバルーン38が弾性により凹むことで体腔内に与える負担を小さくすることができる。
なお、本実施形態において、曲げ駆動装置10の駆動要素13の数量は、図6,図7に示すように、1〜4個としてもよいし、それ以上としてもよい。また、曲げ駆動装置10は挿入部45の内部に固定してもよいし、シース49に固定してもよい。前者の場合、外骨格12の取付部材14の一部又は全部を、挿入部45の管内面で兼用することも可能である。
図9は、内視鏡の他の実施形態を示す概略斜視図、図10は、同内視鏡の鉗子口付近を拡大して示す概略的な正面図である。
本実施形態では、曲げ駆動装置10が、内視鏡43の挿入部45の鉗子口48に装着されている。具体的には、曲げ駆動装置10の外骨格12(保持部材15)が鉗子口48に装着され、駆動要素13は挿入部45の先端面の外側に配置されている。したがって、本実施形態では、外骨格12が鉗子口48に対する装着部を構成している。そして、曲げ駆動装置10は、挿入部45の先端面に設けられているので、内視鏡43の内部構造を大きく変更する必要はなく、既存の内視鏡43に後付けにより装着することも可能となる。
また、この実施形態では、駆動要素13が1つのみ設けられており、取付部材14は筒形ではなく1つの駆動要素13の背面のみに設けられている。したがって、この駆動要素13のバルーン38を膨張することによって処置具51のシース49を一方向(矢印m方向)に曲げることができる。なお、駆動要素13のバルーン38にエアを供給するための供給チューブ22は、内視鏡43の挿入部45の外側を通してポンプPに接続されている。駆動要素13は、挿入部45の先端面からの突出量を小さくするためにシース長さ方向に関する長さよりも幅のほうが広く形成され、これによってバルーン38の面積を十分に確保している。なお、駆動要素13の挿入部45の先端面からの突出量は5mm以内とするのが好ましい。
外骨格12の保持部材15は、ベアリング52を介して鉗子口48に装着されており、この鉗子口48の中心回りに回転可能に構成されている。また、保持部材15に形成された保持孔25は、一側部が切り欠かれた形状とされており、この保持孔25に挿入されるシース49の外周面も、保持孔25と同様に一側部が切り欠かれた形状とされ、両者は一体回転可能に係合している。
したがって、図示しない操作具を介して処置具51を矢印jのように回転操作すると、保持部材15も矢印kのように回転し、この回転に伴って駆動要素13も回転する。したがって、処置具51を回転操作することにより、駆動要素13によるシース49の曲げ方向を変更することができる。そのため、本実施形態の曲げ駆動装置10は、1つの駆動要素13のみでシース49を多方向に曲げ駆動することができる。
ただし、本実施形態の曲げ駆動装置10においても、複数の駆動要素13、すなわち、シース49を2方向以上から囲むように2個以上の駆動要素13を備えていてもよい。また、駆動要素13を取り付ける取付部材14として、前述のようにポリイミドフィルム等の薄膜を用いた場合には、挿入部45の先端面から突出する部分全体(駆動要素13及び取付部材14)を薄くすることができ、その分、シース49の曲げ可能な範囲を拡げることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。
例えば、曲げ駆動装置10は、内視鏡43の処置具51に限定されず、種々の長尺部材11を曲げの対象とすることができる。また、駆動要素13に供給される流体はエア等の気体に限らず液体であってもよい。
10 曲げ駆動装置
11 長尺部材
13 駆動要素
14 取付部材
15 保持部材
38 バルーン
43 内視鏡
45 挿入部
48 鉗子口(開口)
49 シース
50 処置部材
51 処置具

Claims (11)

  1. 可撓性を有する長尺部材を曲げ駆動する曲げ駆動装置であって、
    流体圧力の変化により膨張・収縮するとともに、膨張することによって曲げ方向とは反対側の長尺部材の側面を押圧する押圧部を有する駆動要素を備えていることを特徴とする曲げ駆動装置。
  2. 前記駆動要素が、前記長尺部材の周囲に複数配置されている請求項1に記載の曲げ駆動装置。
  3. 前記駆動要素が、前記長尺部材の周囲を4方から囲むように4個配置されている請求項1に記載の曲げ駆動装置。
  4. 前記長尺部材が挿通される筒形状の取付部材を更に備え、前記駆動要素が前記取付部材の筒内面に取り付けられている請求項1〜3のいずれかに記載の曲げ駆動装置。
  5. 前記駆動要素が取り付けられる取付部材と、この取付部材に固定されるとともに、前記駆動要素から前記長尺部材の長さ方向に離れた位置で当該長尺部材を保持する保持部材と、を更に備えている請求項1〜3のいずれかに記載の曲げ駆動装置。
  6. 前記押圧部は、その素材の伸張を伴って膨張するバルーンによって構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の曲げ駆動装置。
  7. 人体に挿入される挿入部と、この挿入部内に挿通されるとともに当該挿入部の先端に形成された開口から突出可能なシースを有する処置具と、前記シースを曲げ駆動する曲げ駆動装置とを備えている内視鏡であって、
    前記曲げ駆動装置が、流体圧力の変化により膨張・収縮するとともに、膨張することによって曲げ方向とは反対側の前記シースの側面を押圧する押圧部を有する駆動要素を備えていることを特徴とする内視鏡。
  8. 前記曲げ駆動装置が、前記挿入部の先端部に設けられており、前記駆動要素が、前記挿入部の先端面の外側に配置されている請求項7に記載の内視鏡。
  9. 前記駆動要素が、前記開口の中心周りに回転可能に設けられている請求項7又は8に記載の内視鏡。
  10. 前記曲げ駆動装置が、前記挿入部内に配置されている請求項7に記載の内視鏡。
  11. 内視鏡の挿入部の先端面に形成された開口から突出可能な処置具のシースを曲げ駆動する、内視鏡用の曲げ駆動装置であって、
    前記開口に装着される装着部と、
    前記装着部に取り付けられ、かつ流体圧力の変化により膨張・収縮するとともに、膨張することによって曲げ方向とは反対側の前記シースの側面を押圧する押圧部を有する駆動要素と、を備えていることを特徴とする内視鏡用の曲げ駆動装置。
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