本特許出願は、独国特許出願第102007049772.7号および独国特許出願第102008021403.5号の優先権を主張し、これらの文書の開示内容は参照によって本出願に組み込まれている。
本発明の課題は、改良されたオプトエレクトロニクス半導体本体を提供することである。
この課題は、請求項1の特徴を有する半導体本体によって解決される。改良形態および実施形態は、従属請求項の主題である。
一実施形態においては、オプトエレクトロニクス半導体本体は、表側と裏側とを有する基板を備えている。基板の表側は、電磁放射を放出するように設けられている。本オプトエレクトロニクス半導体本体は、半導体層列と、第1の接続層および第2の接続層とを、さらに備えている。半導体層列は、基板の裏側に配置されている。半導体層列は、電磁放射を発生させるために適する活性層を有する。第1の電気接続層および第2の電気接続層は、基板とは反対を向いている、半導体層列の第1の面に配置されている。
基板の裏側は、基板の下側とすることができる。基板の下側とは、半導体本体の実装時に接続リードの方を向いている、基板の側とすることができる。基板の表側は、基板の上側とすることができる。
半導体層列は、エピタキシャル成長させることができる。半導体層列は、基板上にエピタキシャルに堆積させることができる。
2つの電気接続層が、基板とは反対を向いている半導体層列の第1の面に位置しているため、電磁放射をオプトエレクトロニクス半導体本体の表側を通じて放出することと、活性層のための電気エネルギを半導体本体の裏側を介して供給することとが可能である。したがって、2つの電気接続層によって、表側を通じての放射の取出しが妨げられず、したがって、高い取出し効率(outcoupling efficiency)が達成される。基板の表側は、オプトエレクトロニクス半導体本体の表側を形成していることが好ましい。その一方で、2つの電気接続層がオプトエレクトロニクス半導体本体の裏側を形成していることができる。
基板は、格子整合基板(lattice-matched substrate)とすることができる。その場合、基板は、半導体層列の結晶格子と整合している。これにより、基板上への半導体層列のエピタキシャル堆積が単純になる。特に、基板は、基板の裏側に堆積される半導体層列の第1の層と整合する。
一実施形態においては、半導体本体、例えば、基板もしくは半導体層列またはその両方は、窒化物系化合物半導体を含んでいる。窒化物系化合物半導体を含んでいる、とは、半導体本体、特に基板もしくは半導体層列またはその両方が、III属窒化物系化合物半導体材料、好ましくはAlnGamIn1−n−mN(0≦n≦1、0≦m≦1、n+m≦1)を含んでいることを意味する。この材料は、上の化学式に従って数学的に正確な組成を有する必要はない。そうではなく、この材料は、1つまたは複数のドーパントと、AlnGanIn1−n−mN材料の特徴的な物理特性を本質的に変化させることのない追加の構成成分とを含んでいることができる。しかしながら、説明を簡潔にする目的で、上の化学式は、結晶格子の本質的な構成成分(Al、Ga、In、およびN)を含んでいるのみであり、これらの構成成分は、その一部をわずかな量のさらなる物質に置き換えることができる。
一実施形態においては、基板は、第1の窒化物系化合物半導体を含んでいる。半導体層列は、第2の窒化物系化合物半導体を含んでいる。
一実施形態においては、第1の窒化物系化合物半導体と第2の窒化物系化合物半導体とが異なる。代替実施形態においては、第1の窒化物系化合物半導体と第2の窒化物系化合物半導体とが同じである。基板および半導体層列の両方に窒化物系化合物半導体を使用することによって、基板が半導体層列と良好に整合する。
基板は、結晶性の窒化ガリウムを含んでいることができる。基板は、窒化ガリウム単結晶として形成されていることが好ましい。窒化ガリウムを含んでいる基板上に、窒化ガリウムをベースとするエピタキシャル層を堆積させることによって、基板と半導体層列との間の屈折率の不連続性を小さく維持する、または回避することができる。このようにして、基板の裏側における導波路効果を低減または回避することができる。ホモエピタキシャルに堆積させることによって、半導体層列内の転位の数が最小になる。転位密度を、1平方センチメートルあたり107を大きく下回る転位とすることができる。
代替実施形態においては、基板は、補助キャリア、好ましくは結晶性の補助キャリアを備えており、この補助キャリアは、基板の表側の方に、好ましくは基板の表側に配置されている。半導体層列は、窒化物系化合物半導体を含んでいる。窒化物系化合物半導体は、上の化学式による窒化アルミニウムインジウムガリウム系化合物半導体として実現されていることが好ましい。半導体層列は、基板の裏側にヘテロエピタキシャルに堆積されている。補助キャリアは結晶性とすることができる。補助キャリアは、成長基板として形成することができる。補助キャリアは、窒化物系化合物半導体をベースとする半導体層列の材料とは異なる材料を含んでいることが好ましい。補助キャリアを使用することによって、オプトエレクトロニクス半導体本体の、費用効果の高い製造が促進される。
一実施形態においては、補助キャリアは、結晶性の酸化アルミニウムAl2O3を備えている。補助キャリアは、酸化アルミニウムの単結晶として実現されていることが好ましい。酸化アルミニウムの単結晶は、一般にはサファイアと称する。
一改良形態においては、基板の裏側は、補助キャリアと半導体層列との屈折率の差の影響が低減するように実現されている。これにより、放射収率(radiation yield)がさらに高まる。
一改良形態においては、補助キャリアの第1の主面があらかじめ所定の構造にされている。補助キャリアのこの第1の主面は半導体層列に面しており、したがって、基板の表側とは反対を向いている。このようなあらかじめパターン化された基板(略してPPS)によって、半導体層列のエピタキシャル堆積を容易にすることができる。
一実施形態においては、基板は、補助キャリアの第1の主面に配置されている、特に、堆積されている、核形成層を有することができる。この核形成層は、所定の構造を有する核形成層として構築することができる。核形成層は、5nm〜100nmの範囲内の寸法を有するラテラル構造を有することができる。核形成層は、5nm〜100nmの範囲内の横方向寸法および縦方向寸法を有する構造を備えていることが好ましい。一般的な寸法の値は30nmである。核形成層は金属を含んでいることができる。核形成層の寸法が小さいため、核形成層において表面プラズモンが発生し得る。
一改良形態においては、基板は、補助キャリアの第1の主面に配置されている、特に、堆積されている、バッファ層を有することができる。このバッファ層は、オプションとして、核形成層の上に配置する、特に、堆積させることができる。バッファ層は、誘電体層を含んでいることができる。誘電体層は、シリコン酸化物またはシリコン窒化物(それぞれ略してSiOx、SiNx)を含んでいることができる。これに代えて、またはこれに加えて、バッファ層は、窒化アルミニウムガリウムもしくは窒化ガリウム、またはその両方を含んでいる。バッファ層は、窒化アルミニウムガリウムと窒化ガリウムの接合(略してAlGaN−GaN接合)を含んでいることができる。AlGaN−GaN接合は、エピタキシャルに堆積させることができる。バッファ層は、半導体層列と整合している基板の裏側を形成することができ、したがって、半導体層列をエピタキシャルに堆積させることができ、高い放射収率を達成することができる。
一改良形態においては、バッファ層は所定の構造を有する。バッファ層の横方向寸法および横方向寸法は、5nm〜5μmの範囲内とすることができる。バッファ層の横方向寸法および縦方向寸法は、60nm〜500nmの範囲内とすることができる。バッファ層は、凹凸構造を有することができる。凹凸構造は、不規則な構造とすることができる。
バッファ層は、オプションとして、周期的な格子構造として実現される。
一改良形態においては、半導体層列または半導体層列の第1の層を、所定の構造にエピタキシーを行う方法(method of structuring the epitaxy)によって基板の裏側に堆積させる。この目的のため、例えば、補助キャリア、核形成層、バッファ層のうちの少なくとも1つが、所定の構造を有することができる。半導体層列の第1の層が基板の裏側に配置される。この第1の層を、オプションとして、所定の構造にすることができる。所定の構造にエピタキシーを行うことによって、5nm〜5μmの範囲内の横方向寸法および縦方向寸法を有する構造を実現することができる。第1の層は、凹凸構造として、または周期的な格子構造として、実現することができる。構造の横方向寸法および縦方向寸法は、60nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。構造的なエピタキシーを行う方法は、所定の構造にエピタキシーを行う方法(method for structured epitaxy)として、または選択的なエピタキシーを行う方法(method for selective epitaxy)として、またはエピタキシャルオーバーグロースの方法(method for epitaxial overgrowth)として、設定することができる。エピタキシャルオーバーグロースの方法は、エピタキシャルラテラルオーバーグロース(略してELOG)としても公知である。ELOG方法においては、エピタキシャル堆積が基板上の個々の場所において開始される。エピタキシャル層(最初は島の形としてのみ存在する)は、エピタキシャル工程の過程において連続的なエピタキシャル層に成長し、これが第1の層を構成する。この工程において、エピタキシャル層の成長が開始される場所の間の領域は、オーバーグロースする。横方向にオーバーグロースさせる隙間領域は、マスク層によって形成することができる。したがって、エピタキシャル層は、少なくとも基板側に所定の構造を有する。
補助キャリアを有する基板の上記の実施形態によって、補助キャリアの格子と半導体層列の格子との間の格子整合が達成される。したがって、格子が整合していない場合に生じる転位密度のレベルが減少する。このような転位は、非発光再結合中心として振る舞うことがある。転位を回避することによって、半導体本体の効率が高まる。さらに、補助キャリアと半導体層列との間の屈折率の差の影響を低減することができる。基板の裏側は、補助キャリアの屈折率が半導体層列の屈折率と整合するように構築することができる。
一実施形態においては、オプトエレクトロニクス半導体本体は、取出し構造を備えている。取出し構造は、基板の表側に配置されている。取出し構造は、基板の表側に形成される層を備えていることができる。
一改良形態においては、基板は、取出し構造を備えている。この改良形態によると、取出し構造は基板において実現されている。したがって、電磁放射は取出し構造を通じて基板の表側から放出され、したがって、電磁放射の強度の角度依存性を調整することができる。
好ましい改良形態においては、取出し構造を備えている基板には、窒化物系化合物半導体、特に、窒化ガリウムが使用される。取出し構造に必要な構造、特にくぼみは、基板にエッチングすることができる。窒化物系化合物半導体はドライまたはウェットケミカルエッチングによって容易に所定の構造にすることができるため、取出し構造を基板に効率的に形成することができる。
一改良形態においては、オプトエレクトロニクス半導体本体は、ミラー、特に誘電体ミラーを備えており、このミラーは、半導体層列の第1の面(基板とは反対を向いている)に配置されている。このミラーは、半導体層列と、第1の電気接続層もしくは第2の電気接続層またはその両方との間の少なくとも特定の領域に、配置されていることが好ましい。活性層によって放出される電磁放射の一部分が、ミラーによって基板の表側の方向に反射される。これによって、放射取出し量が増大する。
一実施形態においては、ミラーは、誘電体層と金属層とを有する。誘電体層は、半導体層列上に堆積されている。誘電体層は、例えば、シリコン酸化物またはシリコン窒化物(それぞれ略してSiOx、SiNx)を含んでいることができる。金属層は、反射器としての役割を果たす。金属層は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、白金(Pt)、チタン(Ti)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタンタングステン(TiWN)、または合金を含んでいることができる。合金は、これらの金属または金属化合物の1つを含んでいることが好ましい。
一改良形態においては、誘電体層および金属層が少なくとも1つのくぼみを有し、したがって、第1の電気接続層もしくは第2の電気接続層、またはその両方が、半導体層列の層におけるこれら少なくとも1つのくぼみの中に配置されている。このようにして、第1の電気接続層もしくは第2の電気接続層、またはその両方と半導体層列との導電性接触が達成される。これによって、ミラーを貫通しての貫通式接続(through-connection)が形成される。
ミラーの誘電体層と金属層との間に接着促進層を配置することができる。接着促進層は、白金、チタン、チタンタングステン、または窒化チタンタングステンなどの金属を含んでいることができる。接着促進層の厚さは、5nmまたはそれ以下とすることができ、好ましくは1nmまたはそれ以下である。チタンタングステンおよび窒化チタンタングステンは、接着促進層のみならず拡散バリアとしても使用することができる。白金は、拡散バリアおよび反射器のいずれとしても良好な特性を有する。
一実施形態においては、第1の電気接続層もしくは第2の電気接続層、またはその両方は、多層構造を有する。
一実施形態においては、第1の電気接続層もしくは第2の電気接続層、またはその両方は、透明導電性酸化物を有する。透明導電性酸化物(略してTCO)は、透明な導電性材料であり、一般的には金属酸化物(例えば、亜鉛酸化物、スズ酸化物、カドミウム酸化物、チタン酸化物、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物、またはインジウムスズ酸化物(略してITO))である。金属−酸素の二元化合物(例えば、ZnO、SnO2、In2O3)以外に、金属−酸素の三元化合物(例えば、Zn2SnO4、CdSnO3、ZnSnO3、MgIn2O4、GaInO3、Zn2In2O5、またはIn4Sn3O12)、あるいはさまざまな透明導電性酸化物の混合物も、TCOの群に属する。さらに、透明導電性酸化物は、必ずしも化学量論的組成に対応している必要はなく、p型にドープする、またはn型にドープすることもできる。このような透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物またはインジウム亜鉛酸化物を含んでいることが好ましい。透明導電性酸化物によって、第1の電気接続層もしくは第2の電気接続層、またはその両方における電流拡散が達成される。
オプトエレクトロニクス半導体本体は、発光ダイオードとして、特に、薄膜発光ダイオードチップとして実現することができ、特に、電磁放射は可視光とすることができる。
一実施形態においては、オプトエレクトロニクス半導体本体を製造する方法は、電磁放射を放出する表側と、裏側とを備えている基板、を設けるステップ、を含んでいる。基板の裏側に半導体層列をエピタキシャルに堆積させる。半導体層列は、電磁放射を発生させるために適している活性層を備えている。基板とは反対を向いている半導体層列の第1の面に、第1の電気接続層および第2の電気接続層を堆積させる。
本オプトエレクトロニクス半導体本体は、一方の側から接触可能であるオプトエレクトロニクス半導体本体として実現されていることが好ましい。オプトエレクトロニクス半導体本体の裏側から接触されているため、オプトエレクトロニクス半導体本体の表側における放射取出しが極めて効率的である。したがって、本オプトエレクトロニクス半導体本体は、フリップチップ技術においてキャリア、具体的には、回路基板またはハウジングに載せることができる。
以下では、本発明について、いくつかの実施形態に関連して図面を参照しながら詳しく説明する。同じ機能または効果を有する層、領域、および構造には、同じ参照数字を付してある。層、領域、または構造の機能が互いに一致している場合、図面のそれぞれにおいてその説明を繰り返さない。
図1Aは、提案する原理によるオプトエレクトロニクス半導体本体の例示的な実施形態を示している。オプトエレクトロニクス半導体本体10は、表側12および裏側13を有する基板11を備えている。オプトエレクトロニクス半導体本体10は、さらに、半導体層列14と、第1の電気接続層15および第2の電気接続層16とを備えている。半導体層列14は、基板11の裏側13に配置されている。半導体層列14は、第1の面17および第2の面18を有する。半導体層列14の第1の面17は基板11とは反対を向いている。これに対して、半導体層列14の第2の面18は、基板11の裏側13に配置されている。第1の電気接続層15および第2の電気接続層16は、半導体層列14の第1の面17に配置されている。半導体層列14は、活性層19と、少なくとも1つのn型層20と、少なくとも1つのp型層21とを、さらに備えている。少なくとも1つのn型層20は、活性層19と基板11との間、すなわち、活性層19と半導体層列14の第2の面18との間に、配置されている。少なくとも1つのp型層21は、活性層19と半導体層列14の第1の面17との間に配置されている。
基板11の裏側13は、基板11の下側とすることができる。基板11の下側とは、半導体本体10の実装時に接続リードの方を向いている、基板11の側である。基板11の表側12は、基板11の上側とすることができる。
p型層21および活性層19は、いくつかのくぼみ22を備えている。くぼみ22は、第1の接続層15をn型層20に接続している。第1の接続層15は、n型層20とのいくつかの導電性接触部を有する。図1Aには、n型層20との導電性接続層15の3つの接触部を示してある。第2の導電性(接続層16は、p型層21との接触部をさらに備えている。第1の絶縁体層23は、くぼみ22の側壁上と、p型層21の特定の領域上に配置されている。第1の電気接続層15は、くぼみ22におけるn型層20上と、第1の絶縁体層23上とに配置されている。第2の絶縁体層24は、第1の電気接続層15上の特定の領域に配置されている。第2の電気接続層16は、第2の絶縁体層24上とp型層21上とに配置されている。領域31においては、半導体層列14と第2の接続層16との間に第1の接続層15が配置されている。この領域31において、第1の接続層15は、第2の絶縁体層24によって第2の接続層16から電気的に絶縁されている。
第1の電気接続層15および第2の電気接続層16は、それぞれ、第1の接続面25および第2の接続面26を有する。第1の接続面25および第2の接続面26は、ほぼ平面内に配置されている。これら2つの接続面25,26は、第2の面18よりも半導体層列14の第1の面17の近くに配置されている。ミラー27は、p型層21と第1の絶縁体層23との間に配置されている。ミラー27は、誘電体層28と金属層29とを備えている。誘電体層28は、半導体層列14の第1の面17の特定の領域に堆積されている。金属層29は、誘電体層28上に配置されている。第2の電気接続層16は、自身がp型層21の上に配置されている領域に、透明導電性酸化物30を含んでいる。透明導電性酸化物30は、層として形成されている。基板11は、結晶性の窒化ガリウムを含んでいる。基板11は、窒化ガリウムの単結晶として実現されている。半導体層列14は、窒化物系化合物半導体を含んでいる。半導体層列14は、窒化ガリウム系化合物半導体または窒化インジウムガリウム化合物半導体を含んでいる。
第1の電気接続層15および第2の電気接続層16には、オプトエレクトロニクス半導体本体10の裏側から接続可能である。第1の電気接続層15およびn型層20と、第2の電気接続層16およびp型層21とによって、活性層19に電位が印加される。活性層19の両端の電圧降下によって電磁放射Sが発生し、この電磁放射は、第1の成分においてn型層20および基板11を通過し、基板11の表側12において放出される。電磁放射の第2の成分は、活性層19から半導体層列14の第1の面17の方向に放出される。電磁放射の第2の成分の一部はミラー27によって反射され、したがって、この部分も基板11の表側12から放出される。
n型層20にはいくつかのくぼみ22を介して複数箇所から接触されており、したがって、第1の接続面25からn型層20への低抵抗接続が達成されている。p型層21を貫通して層間接触させる効果として、第1の接続面25および第2の接続面26が、基板11とは反対を向いているオプトエレクトロニクス半導体本体10の裏側に配置されており、したがって、第1の接続面25および第2の接続面26を、キャリア(図示していない)、例えばハウジングの上に容易に実装できる。したがって、放射は、ハウジングを備えたオプトエレクトロニクス半導体本体10の電気的接触部によって妨げられることなく表側12において放出されることができ、したがって、放射収率が高まり、高い費用効率においてオプトエレクトロニクス半導体本体10を収容することができる。放射収率は、ミラー27によってさらに高まる。
図1Bは、提案する原理によるオプトエレクトロニクス半導体本体のさらなる例示的な実施形態を示している。半導体層列14、第1の電気接続層15および第2の電気接続層16、第1の絶縁体層23および第2の絶縁体層24、ミラー27、および透明導電性酸化物30は、図1Aと同様に実現されている。図1Aに示した例示的な実施形態とは異なる点として、図1Bによるオプトエレクトロニクス半導体本体10の基板11’は、補助キャリア40を有する。補助キャリア40は、基板11の表側12に配置されている。補助キャリア40は、結晶性の補助キャリアとして形成されている。補助キャリア40は、結晶性の酸化アルミニウムを含んでいる。基板11’は、補助キャリア40と基板11’の裏側13との間に配置されているバッファ層41をさらに備えている。バッファ層41は、取出し層として実現することもできる。バッファ層41は、窒化アルミニウムガリウムまたは窒化ガリウムを含んでいる。バッファ層41は、補助キャリア40の第1の主面42に配置されている。第1の主面42は、半導体層列14に面している、補助キャリア40の主面である。
基板11’および補助キャリア40は、電磁放射Sに対して透明である。基板11’は、バッファ層41によって半導体層列14と整合している。したがって、半導体層列14と基板11’との間の屈折率の不連続性の影響が低減し、したがって、表側12における放射収率が高い。さらに、バッファ層41によって、層列14の結晶格子定数と補助キャリア40の結晶格子定数とが整合し、したがって、転位密度が減少し、これによって放射収率が同様に高まる。
補助キャリア40は、酸化アルミニウムの単結晶として形成されていることが好ましい。
代替実施形態においては、バッファ層41は誘電体層を含んでいる。この誘電体層は、例えば、シリコン酸化物またはシリコン窒化物を含んでいることができる。
代替実施形態(図示していない)においては、バッファ層41の代わりに、核形成層を主面42に堆積させることができる。核形成層は、第1の単結晶面を形成することができる。
代替実施形態(図示していない)においては、主面42とバッファ層41との間に核形成層を配置することができる。バッファ層41は、半導体層列14に対する核形成層の格子整合を促進することができる。
図2A〜図2Dは、提案する原理による、さまざまな取出し構造を有するオプトエレクトロニクス半導体本体の合計4つの例示的な実施形態を示している。図2A〜図2Dに示した実施形態は、図1Aおよび図1Bに示した実施形態の改良形態である。図2A〜図2Dに示した実施形態の半導体層列14、第1の電気接続層15および第2の電気接続層16、第1の絶縁体層23および第2の絶縁体層24、ミラー27、および透明導電性酸化物は、図1Aおよび図1Bにおける各層に対応しており、したがって、以下では説明しない。
図2A〜図2Dのそれぞれには、断面図と、基板11の表側12における平面図とを示してある。基板11は長方形として形成されている。図2A〜図2Dによると、基板11は、それぞれの取出し構造50を備えている。取出し構造50は、基板11に形成されている。
図2Aによると、取出し構造50は、マイクロレンズ51として実現されている。マイクロレンズ51は、円形ライン52によって画定されている。円形ライン52の直径Dは、基板11の長方形の第1の辺の長さSL1より小さく、かつ第2の辺の長さSL2より小さい。
マイクロレンズ51は、電磁放射Sが基板11の表側12に直角の方向に高い強度にて放出されるように、電磁放射Sを集光(concentrates)する。基板11は、例えば、窒化物系化合物半導体を含んでおり、なぜなら、このような化合物半導体においては、小さい技術コストによってマイクロレンズ51をエッチングできるためである。エッチングにはドライエッチング法を使用する。
図2Bによると、取出し構造50’は、回折光学素子55(略してDOE)を備えている。回折光学素子55は、基板11に実現されている。回折光学素子55はマイクロレンズ56を備えており、マイクロレンズ56を中心として何本かのライン57が配置されている。マイクロレンズ56は、楕円境界58を有する。相応して、マイクロレンズ56の周りのライン57は、楕円形として実現されている。ライン57は、三角形断面を有する。
電磁放射Sを基板11に直角の方向に集光する、実質的に平面の構造が、回折光学素子55によって実現されている。
図2Cによると、取出し構造50’’は、フォトニック結晶(略してPhC)60として実現されている。フォトニック結晶60は、基板11に形成されている。この目的のため、表側12において基板11にくぼみ61がエッチングされている。くぼみ61は、平面視したとき円形である。くぼみ61は、規則的なパターンとして配置されている。図2Cに示した実施形態によると、フォトニック結晶は、4×4に配置されたくぼみ61を備えている。
図2Dによると、取出し構造50’’は、格子65として実現されている。この目的のため、基板11に帯状のくぼみがエッチングされている。帯状のくぼみ66は、平面視したとき長方形として形成されている。帯状のくぼみ66は、互いに平行に配置されている。このようにして基板11に格子65が形成されている。
したがって、格子65によって電磁放射Sの方向依存性を形成することができる。
あるいは、基板は、それぞれの取出し構造50を有する補助キャリア40を備えていることができる。この実施形態によると、取出し構造50は、補助キャリア40に形成される。
図3A〜図3C、図4A〜図4C、および図5A〜図5Cは、提案する原理による、所定の構造のエピタキシャル成長が行われるオプトエレクトロニクス半導体本体のいくつかの例示的な実施形態を示している。これらの図に示した実施形態は、図1Bに示した実施形態の改良形態である。したがって、基板11’は、補助キャリア40を備えている。オプトエレクトロニクス半導体本体10は、図1Aおよび図1Bに対応する半導体層列14、第1の電気接続層15および第2の電気接続層16、ミラー27、第1の絶縁体層23および第2の絶縁体層24、および透明導電性酸化物30を、さらに備えている。第1の電気接続層15および第2の電気接続層16、ミラー27、第1の絶縁体層23および第2の絶縁体層24、および透明導電性酸化物30は、明瞭さを目的として、図3A〜図3C、図4A〜図4C、および図5A〜図5Cには図示しておらず、図1Aに基づいてすでに詳しく説明してある。
図3Aは、提案する原理によるオプトエレクトロニクス半導体本体の例示的な実施形態を示しており、この実施形態においては、基板11’は核形成層70を備えている。核形成層70は、補助キャリア40の第1の主面42に配置されている。したがって、核形成層70は、補助キャリア40と半導体層列14との間に配置されている。核形成層70は、くぼみ71として形成されている構造を有する。くぼみ71は、核形成層70を所定の構造にする、すなわち所定の構造にエピタキシーを行う役割を果たしている。半導体層列14は、核形成層70の上と、核形成層70が除去される部分における補助キャリア40の上とに堆積されている。核形成層70は、1nm〜1μmの範囲内の厚さを有する。核形成層70の一般的な厚さは25nmである。核形成層70は、成長開始層と称することもできる。核形成層70は、化合物半導体を含んでいる。この化合物半導体は、窒化物系化合物半導体である。この化合物半導体層は、例えば窒化ガリウムまたは窒化アルミニウムから作製することができる。核形成層70は凹凸面を有することができる。
図3Aに示した断面を形成するためには、核形成層70を補助キャリア40の上に堆積させる。次に、フォトリソグラフィステップおよびエッチングステップにおいて、核形成層70を所定の構造にする。次に、半導体層列14をエピタキシャルに堆積させる。核形成層70は、補助キャリア40上における半導体層列14の成長を促進する。
図3Bは、オプトエレクトロニクス半導体本体の代替実施形態を示している。図3Aとは異なり、基板11’は、バッファ層41をさらに有する。バッファ層41は、図3Aに示した、所定の構造を有する核形成層70の上、または、核形成層70が除去された部分における補助キャリア40の上に、堆積されている。このバッファ層41の上には半導体層列14が配置されている。この実施形態によると、所定の構造を有する核形成層70およびバッファ層41は、補助キャリア40と半導体層列14との間の格子整合の役割を果たしている。核形成層70を所定の構造にすることによって、半導体層列14と補助キャリア40との間の接合面における導波路効果が低減する。
図3Bに示した断面を形成するためには、核形成層70を補助キャリア40の上に堆積させる。次に、フォトリソグラフィステップおよびエッチングステップにおいて、核形成層70を所定の構造にする。その後、バッファ層41をエピタキシャルに堆積させ、次いで半導体層列14をエピタキシャルに堆積させる。
図3Cは、図3Aおよび図3Bに示したオプトエレクトロニクス半導体本体の断面の例示的な実施形態を示している。図3Cには、核形成層70の断面を示してある。核形成層70は、円形くぼみ71を有する。くぼみ71は、10nm〜3μmの範囲内の直径D’を有する。くぼみ71の一般的な直径D’は、2μmである。1つのくぼみ71から次のくぼみ71までの距離A’は、20nm〜10μmの範囲内の値を有することができる。一般的な距離A’の値は5μmである。距離A’(「ピッチ」とも称する)は、くぼみ71の一カ所の縁部と、それに最も近いくぼみ71の最も近い縁部との間の距離を表す。
代替実施形態においては、くぼみ71は、六角形構造またはその他の幾何学構造を有する。
図4Aは、提案する原理による、所定の構造を有するバッファ層41を有するオプトエレクトロニクス半導体本体の例示的な実施形態を示している。バッファ層41は、補助キャリア40の第1の主面42に配置されている。バッファ層41は、くぼみ72として形成されている構造を有する。くぼみ72は、バッファ層41を所定の構造にする、すなわち所定の構造にエピタキシーを行う役割を果たす。半導体層列14は、バッファ層41の上と、バッファ層41が除去された部分における補助キャリア40の上とに堆積されている。
図4Aに示した断面を形成するためには、バッファ層41を補助キャリア40上に堆積させる。フォトリソグラフィおよびエッチングステップにおいて、バッファ層41を所定の構造にしてくぼみ72を形成する。次に、半導体層列14をエピタキシャルに堆積させる。バッファ層41の厚さは、0.5μm〜8μmの範囲内の値を有する。バッファ層41の厚さの一般的な値は、3μmである。
図4Bは、図4Aに示した実施形態の改良形態である、オプトエレクトロニクス半導体本体の例示的な実施形態を示している。図4Bによると、基板11’は、核形成層71をさらに備えている。核形成層70は、補助キャリア40の第1の主面42に堆積されている。したがって、核形成層70は、補助キャリア40とバッファ層41との間に位置している。半導体層列14は、この場合も、バッファ層41の上、または、バッファ層41が構造化されている部分における核形成層70の上に、堆積されている。
図4Bに示した断面を実現するためには、核形成層70を補助キャリア40の上に堆積させ、次に、バッファ層41を核形成層70の上に堆積させる。バッファ層41の堆積プロセスは、エピタキシャル的に行う。次に、フォトリソグラフィおよびエッチングステップにおいて、バッファ層41を所定の構造にしてくぼみ72を形成する。次に、半導体層列14をエピタキシャルに堆積させる。
図4Cは、図4Aまたは図4Bに示したオプトエレクトロニクス半導体本体の断面を示している。図4Cには、バッファ層41の断面を示してある。バッファ層41は円形くぼみ72を有する。くぼみ72の直径D’’は、80nm〜3μmの範囲内の値を有する。72の直径D’’の一般的な値は、2μmである。2つのくぼみの間の距離A’’は、120nm〜10μmの範囲内の値を有する。距離A’’の一般的な値は、5μmである。
図5Aは、提案する原理による、所定の構造を有する基板を有するオプトエレクトロニクス半導体本体の例示的な実施形態を示している。基板11’の補助キャリア40も、くぼみ73として形成されている構造を有する。補助キャリア40は、第1の主面42におけるくぼみ73を有する。くぼみ73は、10nm〜2μmの範囲内の深さを有する。くぼみ73の深さの一般的な値は、500nmである。くぼみ73は、補助キャリア40を所定の構造にする、すなわち所定の構造にエピタキシーを行う役割を果たしている。補助キャリア40は、半導体層列14の上に堆積されている。図5Aに示した断面を形成するためには、フォトリソグラフィステップおよびエッチングステップによって補助キャリア41を所定の構造にする。次に、半導体層列14を堆積させる。
図5Bは、図5Aに示した実施形態の改良形態であるオプトエレクトロニクス半導体本体の例示的な実施形態を示している。図5Bによると、基板11’は、所定の構造を有する補助キャリア40と、核形成層70と、バッファ層41とを備えている。核形成層70は、この実施形態においては、補助キャリア40の上に配置されており、バッファ層41は核形成層70の上に配置されている。
図5Bに示した断面を実現するためには、フォトリソグラフィステップおよびエッチングステップによって、補助キャリア40を所定の構造にしてくぼみ73を形成する。次に、エピタキシーシステムにおいて、核形成層70を補助キャリア40の上に堆積させる。核形成層70の上にバッファ層41をエピタキシャルに堆積させ、バッファ層41の上に半導体層列14をエピタキシャルに堆積させる。本方法の一実施形態においては、核形成層70の堆積と、バッファ層41および半導体層列14の堆積は、真空を中断することなく実行することができ、したがって、高品質の層が達成される。
代替実施形態(図示していない)においては、核形成層70を省くことができ、したがって、バッファ層41が補助キャリア40の上に直接堆積される。
図5Cは、図5Aおよび図5Bに示したオプトエレクトロニクス半導体本体の断面の例示的な実施形態を示している。補助層40の断面を示してある。補助層40は円形くぼみ73を有する。くぼみ73は、80nm〜3μmの範囲内の直径D’’’を有する。直径D’’’の一般的な値は、2μmである。2つのくぼみ73の間の距離A’’’は、120nm〜10μmの範囲内の値を有する。距離A’’’の一般的な値は、5μmである。
代替実施形態においては、くぼみ73は、六角形構造またはその他の幾何学構造を有する。
図3A〜図3C、図4A〜図4C、および図5A〜図5Cによると、核形成層70、バッファ層41、または補助キャリア40が所定の構造を有することによって、補助キャリア40と半導体層列14との間の導波路効果が低減する。核形成層70もしくはバッファ層41、またはその両方は、補助キャリア40と半導体層列14との間の格子整合を促進する。核形成層70におけるくぼみ71、バッファ層41におけるくぼみ72、または補助キャリア40におけるくぼみ73には、半導体層列14がエピタキシャル的にオーバーグローン(overgrown)する。
核形成層70は、エピタキシーシステムにおいて堆積させることができる。バッファ層41は、同様にエピタキシーシステムにおいて堆積させることができる。
核形成層70、バッファ層41、または補助キャリア40を所定の構造にすることによって、フォトニック結晶の効果を達成することができる。
ここまで本発明について実施形態を参照しながら説明したが、本発明はこれらの説明に制限されない。本発明は、特徴のすべてと、特徴の組合せすべて(特に、請求項における特徴のすべての組合せを含む)を包含し、このことは、その特徴自体、またはその組合せ自体が、請求項または例示的な実施形態に明示的に記載されていない場合にも該当する。