JP2010538081A - Dheas吸入組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、DHEAS及び二価カチオンを含む水性懸濁物の組成物を提供する。噴霧器又は鼻ポンプスプレーと組み合わせた該懸濁物は、呼吸器疾患及び症状の治療用エアロゾルとして投与される。また、本発明は、DHEA及び二価カチオンの水性懸濁物の形態の組成物を作製する方法を提供する。

Description

相互参照
本出願は、米国仮出願第60/970,869号の利益を主張し、その全ては、本明細書中で参照により援用される。
本発明は、呼吸器系疾患及び症状の治療用のエアロゾル製剤に有用な、吸入用組成物に関する。また、本発明は、吸入用組成物を作製する方法に関する。前記吸入用組成物は、デヒドロエピアンドロステロンスルフェート(DHEAS)を含む組成物を基礎とし、例えば噴霧器又はアトマイザー等を用いて、呼吸器投与用の形態にされる。
COPD、喘息、アレルギー性鼻炎、急性呼吸器窮迫症候群(ARDS)、肺線維症、嚢胞性線維症、及び呼吸器系の癌等の呼吸器疾患及び症状は、先進国では一般的な疾患であり、米国だけを見ても、医療費の非常に大きな割合を占めている。最近、これらの疾患又は症状は、有病率、罹患率、及び死亡率のいずれの観点においても、憂慮すべき速度で増大している。それにもかかわらず、それらの根本原因は、未だに理解が不十分である。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気道において、継続的な気流閉塞を引き起こす。COPDは、慢性気管支炎若しくは肺気腫のいずれか、又はそれらの両方により一般に引き起こされる気流閉塞を特徴とする。通常、気流閉塞は、殆ど取り返しがつかない。慢性気管支炎において、気流閉塞は、慢性及び過剰の気道粘液の分泌、炎症、気管支けいれん及び感染を引き起こす。また、慢性気管支炎は、他の慢性の咳の原因のない条件下で、少なくとも連続2年以上の期間のうち、少なくとも3ヶ月にわたる慢性の咳、粘液生産、又はそれらの両方を特徴とする。肺気腫において、末梢気管支の構造的要素(エラスチン)が破壊され、これが気道壁の崩壊及びよどんだ呼気の吐出の困難につながる。肺気腫において、継続的な肺胞の破壊が生じる。肺気腫は、末梢気管支内壁の破壊を伴うが明らかな線維症を示さない、末端気管支の遠位の気室の異常な継続的肥大を特徴とする。また、COPDは、二次性肺高血圧症を引き起こし得る。二次性肺高血圧症自体は、肺動脈の血圧が以上の高くなる障害である。深刻なケースでは、高血圧により、血液を送り出すために、心臓の右側を通常より酷使することとなる。これが長期間続くと、心臓の右側が肥大し、機能が低下し、そして体液が足首(浮腫)及び腹部に蓄積する。
COPDは、中年及び高齢者に特徴的に発症し、世界の罹患及び死亡の主因の一つである。米国において、1400万人がこの疾患に罹患しており、米国において、死亡原因では第4位、そして身体障害の原因では第3位である。しかしながら、罹患率及び死亡率のいずれも上昇している。米国におけるこの疾患の有病率の推定は、1982年から41%増大しており、そして年齢調整死亡率では、1966年と1985年との間で71%増大している。これは、同じ期間中にかけて、全ての原因での年齢調整死亡率が減少しており(22%低下)、そして心血管疾患での死亡率も減少している(45%低下)のと対照的である。1998年には、米国でCOPDによる死亡は112584人を計上した。
喘息は、可変的な、そして多くの場合可逆的な気管の閉塞を特徴とする症状である。このプロセスは、肺の炎症に、場合によっては肺のアレルギーに関連する。多くの患者は、「喘息発作」と呼ばれる急性の発作を有するが、慢性の症状に苦しむものもいる。この喘息プロセスは、場合によっては、過敏性の患者が抗原を吸入したことが引き金となると考えられている。この症状は、一般に、「外因性喘息」と称される。他の喘息は、この症状に対する内因性の素因があり、そのため、「内因性喘息」と称され、これは、アデノシン受容体により媒介されるもの、IgE媒介免疫応答により媒介されるアレルギー症状等を含む、異なる起源の症状から構成され得る。多くの喘息患者は一群の症状を有し、この症状は:気管支収縮、肺の炎症、及び肺サーファクタント(lung surfactant)の減少を特徴とする。現在、公知の気管支拡張剤及び抗炎症剤が市販されており、喘息の治療用に処方されている。最も一般的な抗炎症剤であるコルチコステロイドは、深刻な副作用を有しているにも拘らず、通常処方されている。より重要なのは、喘息治療用の殆どの市販の薬物が、少数の患者に殆ど効果が無いことである。
急性呼吸器窮迫症候群(ARDS)も、医学分野で、肺硬化(stiff lung)、ショック肺(shock lung)、ポンプ肺(pump lung)及びうっ血性肺拡張不全として公知であり、100,000人に1人の割合で発症する。ARDSは、肺内部に体液が蓄積することにより肺が硬化することを特徴とする、呼吸器系の機能不全が引き金となると考えられている。この症状は、肺を傷付ける様々なプロセスにより引き起こされる。一般に、ARDSは、医学的救急疾患として生じる。これは、直接又は間接的に血管の肺への体液の「漏出」を引き起こす様々な症状により引き起こされ得る。ARDSにおいて、肺の伸展能力が深刻に低下し、そして肺胞及び肺のライニング(内皮)に対するダメージが拡大する。血中酸素濃度は、一般に患者に投与される酸素九期の濃度の高さに拘らず非常に低い値を維持する。肺の損傷の全身的原因として、外傷、頭部の損傷、感電(shock)、敗血症、複数回の輸血、及び薬物が挙げられる。肺における原因には、肺塞栓、重症肺炎、煙の吸引、放射線曝露、高地(high altitude)、溺水、及びその他喫煙等が挙げられる。通常、ARDSの症状は、損傷又は疾病が生じてから24〜48時間以内に発症する。
最も一般的なARDSの症状は、努力性呼吸(labored breathing)、呼吸促迫、鼻孔の拡大、組織の酸素不足による皮膚、口唇及び爪の蒼白、呼吸困難、不安神経症、ストレス、緊張、関節硬直、疼痛、並びに一次的な無呼吸である。ARDSは、通常、例えば単純な胸部聴診又は異常な症候性の呼吸音を見つけ出し得る聴診器を用いた診断等により、症候的兆候を試験することにより診断される。場合によっては、ARDSは、急性骨髄性白血病、シトシンアラビノシド等による処置後に発症する急性腫瘍溶解症候群(ATLS)に関連すると考えられる。しかしながら、一般に、ARDSは、外傷性損傷、敗血症等の重症の血液感染、又は他の全身性疾患、高線量放射線治療及び高用量化学治療、並びに複数の臓器機能不全を伴う炎症性応答に関連し、多くの場合致命的と考えられている。未成熟な乳児(「プレミー(preemies)」)において、肺はそれほど発達しておらず、故に、胎児は発生の過程で無酸素状態にある。プレミーがRDSを生き残ったとき、乳児期早期慢性肺疾患とも称される気管支肺異形成症(BPD)をしばしば発症し、これは通常致命的である。
鼻炎は、季節性又は通年性、アレルギー性又は非アレルギー性であり得る。非アレルギー性鼻炎は、ウイルス等の感染により誘導され得て、又はアスピリン過敏症の患者に発症した鼻茸に関連し得る。妊娠又は甲状腺機能低下症、及び職業的要因への曝露又は医薬等の医学的状態は、鼻炎を起こし得る。アレルギー性鼻炎は、米国人の5人に1人が発症しており、各年の医療費は40〜100億ドルにのぼり、全ての年齢に発症している。持続的な悪寒又は副鼻腔の不具合により多くの者が自分の症状を誤認するため、恐らくアレルギー性鼻炎は過小診断されている。典型的には、鼻の中でIgEがアレルゲンと結び付くことにより、化学仲介物質の放出、細胞プロセス、及び神経性刺激が生じ、根本的な炎症が引き起こされる。症状は、鼻詰まり、鼻水、くしゃみ及びかゆみ、並びに目のかゆみ、涙目、目の潤みを含む。やがて、アレルギー性鼻炎の患者は、しばしば副鼻腔炎、滲出を伴う耳炎、及び鼻茸を発症させ、そして喘息を悪化させ、気分障害及び認知障害、疲労及び過敏性を併発する。
肺線維症、間質性肺疾患(ILD)、又は間質性肺線維症は、肺組織にダメージを与え、肺胞の壁に炎症を生じさせ、間質(肺胞間の組織)に傷又は線維症を生じさせ、更に、肺を硬化させることにより肺に影響を与える130種類以上の慢性肺不全を含み、これが上記名称の由来となっている。肺線維症及び他のILDの進行及び症状は患者毎に異なるが、一つの共通点を有している:それらは、肺の複数の部分を冒している。炎症が気管支(末梢起動)の壁面に及んでいるとき、それは細気管支炎と称され、該壁面と肺胞(空気嚢)の空間に及んでいるとき、それは肺胞炎と称され、そして肺の微小血管(毛細血管)に及んでいるとき、それは血管炎と称される。炎症は治癒するものもあるが、肺組織に恒久的な傷を与え得て、その場合、それは肺線維症と称される。この肺組織の線維症又は傷は、その呼吸能力及び酸素運搬能力の恒久的な損失をもたらし、そして損傷の程度は、空気嚢、及び空気嚢間隙若しくは周囲肺組織、及び肺毛細血管の組織の損傷による破壊のため、生活上の不自由のレベルを規定する。疾患の多くは、それらに関連する職業に由来して名づけられ、この例として、穀物取扱い業者の肺(Grain handlier’s lung)、茸労働者の肺(Mushroom worker’s lung)、さとうきび肺(Bagassosis)、石鹸労働者の肺(Detergent worker’s lung)、メープル樹皮はぎ肺(Maple bark stripper’s lung)、麦苗労働者の肺(Malt worker’s lung)、パプリカ割りの肺(Paprika splitter’s lung)、及び鳥繁殖家の肺(Bird breeder’s lung)が挙げられる。「特発性」(原因不明)肺線維症(IPF)は、他の間質性肺疾患の原因が全て排除されたときに用いられる病名であり、ウイルス感染及びアレルギー又は環境曝露(喫煙を含む)により引き起こされると考えられている。最近及び他の微生物は、IPFの原因とは考えられていない。また、この疾患の家族型ものとして、家族型特発性肺線維症が存在し、主な症状は呼吸の短縮化である。多くの肺疾患はこの症状を有するため、正確な診断を行うのはしばしば困難である。呼吸の短縮化は、最初に、運動中に生じ、その状態は、あらゆる運動が不可能となるまで進行し得る。最終的には、呼吸の短縮化は、呼吸停止さえもたらすこともある。
癌は、現代で、最も一般的かつ恐れられている疾患である。この疾患は、一般に、様々な上皮の正常細胞が癌原性の形質転換をすることが原因である。癌及び他の種類の悪性細胞の最も有害な2つの特徴は、それらの調整の利かない増殖、及び宿主、特にヒト宿主の離れた部位に転移をする能力である。癌は、肺、気管支及び咽喉等の呼吸プロセスに関与する全ての器官を含む、呼吸器系を構成するいずれの組織にも生じ得る。肺癌、口腔癌及び咽頭癌は、呼吸器系癌の例である。現在、癌の治療は、手術、放射線治療、並びに全身治療、例えば化学治療、異なる免疫賦活化医薬及び手順、加温及び全身性、放射性標識モノクローナル抗体治療、免疫毒性並びに化学治療薬物に依存している。呼吸器系癌は、吸入剤として送達される薬物により処置され得る。
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は、明確な化学的防御能力を有する、副腎皮質により分泌される天然のステロイドである。疫学的研究により、DHEAの内性的なレベルの低下は、女性の閉経前乳癌及び両方の性の膀胱癌等の、幾つかの形態の癌の発生のリスクを増大させることが示されている。DHEA及びDHEA類似体、例えばデヒドロエピアンドロステロンスルフェート(DHEAS)の腫瘍形成阻害能力は明らかではないが、この作用は、それらがグルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)酵素の活性を非競合的に阻害することにより引き起こされると考察され得る。G6PDHは、細胞内のリボース−5−リン酸及びNADPHの主要な供給源である、ヘキソースリン酸経路の律速酵素である。リボース−5−リン酸は、RNA及びDNAの合成に必要なリボ−及びデオキシリボヌクレオチドの両方を合成するのに必須の基質である。NADPHは、核酸生合成及びヒドロキシメチルグルタリル補酵素A還元酵素(HMG CoA還元酵素)の合成に関与する補因子でもある。HMG CoA還元酵素は、1モルのメバロン酸塩(mevalonate)を生産するのに2モルのNADPHを必要とする、特異な酵素である。よって、HMG CoA還元酵素DHEA媒介性NADPH減耗に過敏であること、そしてDHEA処理細胞は、細胞内のメバロン酸塩プールの迅速な減耗を示すことが考えられる。メバロン酸塩はDNA合成に必要であり、DHEAは、直接的なHMG CoAの場合と酷似した方式で、細胞周期のG1期においてヒト細胞を拘束する。G6PDHは、タンパク質のイソプレニル化、及び糖タンパク質の生合成の前駆体であるトリコールの合成等の細胞プロセスにおいて使用されるメバロン酸(mevalonic acid)を生産するため、DHEAはメバロン酸の減耗により癌形成を阻害し、故に、タンパク質のイソプレニル化及び糖タンパク質の合成を阻害する。メバロン酸塩は、コレステロールの合成における、並びにファルネシルピロリン酸及びゲラニルピロリン酸等の、タンパク質の転写後修飾に関与する様々な非コレステロール化合物の合成における、中心的な前駆体である。また、メバロン酸塩は、細胞間連絡及び細胞構造に関与する糖タンパク質の合成に必要な、ドリコールの合成における中心的な前駆体である。また、メバロン酸塩は、細胞呼吸において確立した役割を有する抗酸化剤である、ユビキノンの生産に中心的な役割を果たす。薬学的に適切な用量の副腎皮質由来ステロイドホルモンを投与された患者が感染性疾患の罹患率の増大を示すことは、以前から知られている。
(3β)−3−ヒドロキシアントロスト−5−エン−17−オン、又はデヒドロイソアンドロステロンとしても知られるDHEAは、哺乳類において見出される定量的に主要な副腎皮質ステロイドホルモンの一種の17−ケトステロイドである。DHEAが生殖腺ステロイド合成の中間体とみなされると考えられているが、DHEAの主要な生理学的機能は十分に理解されていない。しかしながら、このホルモンのレベルが二十代で低下し始め、老年期では元のレベルの5%に至ることが知られている。臨床的には、DHEAは、乾癬、痛風、脂質異常症に苦しむ患者の処置に、全身的に及び/又は局所的に使用され、ポストコロナリー(post−coronary)患者に投与される。哺乳類において、DHEAは、体重の最適化、及び抗腫瘍形成作用を有することが示されており、そして欧州では、更年期障害を回復させるためにエストロゲンと組み合わせて臨床的に使用され、また、躁鬱病、統合失調症、及びアルツハイマー症の処置にも使用されている。また、DHEAは、進行した癌及び多発性硬化症の処置において、40mg/kg/日で臨床的に使用されている。穏和なアンドロゲン作用、多毛症、及び性欲の増大が、副作用として確認されている。これらの副作用は、用量のモニタリングにより、及び/又は類似体の使用により克服され得る。DHEA送達用パッチの使用のように、DHEAの皮下投与又は経口投与により感染に対する宿主の応答を改善することが知られている。また、DHEAは、最終的に哺乳類の免疫応答を増大させるより強力な分子を生じさせる代謝経路の前駆体としても知られる。即ち、DHEAは、二相性化合物として振舞い:アンドロステンジオール若しくはアンドロスト−5−エン−3.ベータ.,17.ベータ.−ジオール(.ベータ.AED)、又はアンドロステントリオール若しくはアンドロスト−5−エン−3.ベータ.,7.ベータ.,17.ベータ−トリオール(.ベータ.AET)に転換したとき、免疫賦活剤として振舞う。しかしながら、インビトロのDHEAは、PAED及び/又はPAETへの転換に先立ち、細胞増殖に対し、一定のリンパ球毒性及び抑制性作用を有する。従って、DHEAの投与により生じる過剰の免疫亢進能力は、より活性の代謝産物への転換によりもたらされると考えられている。
米国特許第5,660,835号(及び対応するPCT出願WO 96/25935)は、対象にデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)又はDHEA−関連化合物を投与することによる、対象中の喘息を処置する方法、又はアデノシンを減耗する方法を開示する。また、この特許は、呼吸可能な粒子サイズのDHEA又はDHEA関連化合物を含む吸入可能又は呼吸可能な製剤に関する新規医薬組成物を開示する。
米国特許第5,527,789号は、対象にDHEA又はDHEA関連化合物を投与することによる対象中の癌に対抗する方法、及びDHEA又はDHEA関連化合物により誘導される心不全に対抗するユビキノンを開示する。米国特許第6,087,351号は、対象にDHEA又はDHEA関連化合物を投与することによる、対象組織中のアデノシンをインビボで減少又は減耗する方法を開示する。米国特許第5,859,000号は、DHEA誘導体を投与することにより、マスト細胞誘導性のアレルギー及び喘息を含むアレルギー反応により誘導されるマスト細胞を減少させる方法を開示する。2003年6月3日に出願された米国特許出願第10/454,061号は、対象にDHEA又はDHEA関連化合物を投与することによる、対象中のCOPDを処置する方法を開示する。2003年6月17日に出願された米国特許出願第10/462,901号は、容器中に密封されたエアロゾル化可能な形態のDHEAの安定乾燥粉末製剤を開示する。2003年6月17日に出願された米国特許出願第10/462,927号は、喘息及びCOPDを処置するのに適した、二水和結晶形態の安定乾燥粉末製剤を開示する。
前記エアロゾル剤形は、呼吸器系内に薬物を送達するのに効果的な手段を提供する。エアロゾルは、例えば定量吸入器、噴霧器、又は乾燥粉末吸入器等により、気道に直接送達され得る。エアロゾル形態は、患者の呼吸器系上部又は下部にDHEA又はDHEASを送達するのに望ましい手段である。気管の下方及び/又は上方に送達され得る水性又は非水性のエアロゾル形態のDHEAの吸入製剤の需要が存在する。
本発明は、水性噴霧エアロゾル形態のDHEASを投与するための組成物、及びそのような組成物を作製する方法を提供する。
本発明の一つの側面は、DHEASの水性懸濁物を作製する二価カチオンを含む噴霧器を通じて投与される吸入用組成物である。幾つかの態様において、前記二価イオンは、アルカリ土類金属である。幾つかの態様において、前記二価イオンはマグネシウムを含む。もう一つの態様において、本発明は、DHEASの塩を含む吸入用組成物であり、ここで、DHEASの対イオンが二価のカチオンを含む。
幾つかの態様において、前記組成物中の二価カチオンのDHEASに対するモル比は、約0.5〜5である。幾つかの態様において、二価カチオンのDHEASに対するモル比は、約0.25〜4である。幾つかの態様において、二価カチオンのDHEASに対するモル比は、約0.75〜1.25である。
幾つかの態様において、前記懸濁物中のDHEASの量は、約0.5重量%〜10重量%である。幾つかの態様において、前記懸濁物中のDHEASの量は、約1重量%〜10重量%である。幾つかの態様において、前記懸濁物中のDHEASの量は、約2重量%〜5重量%である。幾つかの態様において、前記懸濁物中のDHEASの量は、約3.5重量%である。
前記組成物は更に賦形剤を含み得て、そして幾つかの態様において、前記賦形剤は糖及び糖アルコールを含み得る。幾つかの態様において、前記賦形剤は、製剤を安定化し、同時にそれらの甘味により風味変更剤としても振舞う、キシリトール、マンニトール、トレハロース、フルクトース、スクロースを含む。
更に、前記組成物は、糖又は糖アルコール由来ではない甘味料を含み、該甘味料は、サッカリン若しくはそのナトリウム塩、アスパルテーム又は医薬製品として認可されている他の甘味料を含み得る。
更に、前記組成物は香料を含み得て、該香料はレボメントールを含み得る。
更に、前記組成物は、保存料を含み得る。適切な保存料には、限定されないが、C12〜C15アルキルベンゾエート、及びアルキル−p−ヒドロキシベンゾエート(メチル4−ヒドロキシベンゾエート、エチル4−ヒドロキシベンゾエート、プロピル4−ヒドロキシベンゾエート、及びそれらの適切な塩を含む)が含まれる。幾つかの態様において、前記保存料は、プロピル4−ヒドロキシベンゾエートを含む。
幾つかの態様において、更に、前記組成物は、乳化剤又は界面活性剤を含む。幾つかの態様において、前記乳化剤又は界面活性剤は、ビタミンE−TPGSである。前記乳化剤のビタミンE−TPGSは、酸素又はラジカル捕捉剤として振舞い、そしてその抗酸化能力により前記製剤を安定化し得て、加えて乳化剤として振舞う。
幾つかの態様において、ビタミンE−TPGS以外の酸素又はラジカル捕捉剤が使用され得る。例えば、他のビタミンE誘導体が採用され得る。
本発明の一つの側面は:第一の水性液中にDHEASを混合し;第二の水性液中に二価カチオンを含む化合物を混合し:そして上記2つの水性液を組み合わせてDHEASの懸濁物を形成する工程を含む、吸入用組成物を作製する方法である。
更に、幾つかの態様は、前記DHEASの懸濁物をホモジナイズする工程を含む。
幾つかの態様において、前記二価カチオンは、アルカリ土類金属を含む。幾つかの態様において、前記二価カチオンは、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、又はアスパラギン酸マグネシウム等の、水溶性の塩の形態のマグネシウムを含む。
幾つかの態様において、前記二価カチオンを含む化合物は塩化マグネシウムである。
更に、幾つかの態様は、前記第一の水性液、前記第二の水性液、又は該第一及び第二の水性液の両方に、賦形剤を混合することを含む。幾つかの態様において、前記賦形剤は、キシリトール若しくはマンニトール等の糖アルコール、又はスクロース、トレハロース、若しくはフルクトース等の糖を含む。
更に、幾つかの態様は、前記第一の水性液、前記第二の水性液、又は該第一及び第二の水性液の両方に、甘味料を混合することを含む。幾つかの態様において、前記甘味料は、サッカリン又はサッカリンナトリウムを含む。
更に、幾つかの態様は、前記第一の水性液、前記第二の水性液、又は該第一及び第二の水性液の両方に、香料を混合することを含む。幾つかの態様において、前記香料はレボメントールを含む。
更に、幾つかの態様は、前記第一の水性液、前記第二の水性液、又は該第一及び第二の水性液の両方に、保存料を混合することを含む。幾つかの態様において、前記保存料はメチル、エチル、又はプロピル−4−ヒドロキシベンゾエートを含む。
更に、幾つかの態様は、前記第一の水性液、前記第二の水性液、又は該第一及び第二の水性液の両方に、乳化剤又は界面活性剤を混合することを含む。幾つかの態様において、前記乳化剤又は界面活性剤はビタミンE−TPGSを含む。幾つかの態様において、前記第一の水性液は酸性である。幾つかの態様において、水性緩衝液系を使用してpHを調整することにより、前記製剤の物理的及び化学的安定性を改善する。
更に、幾つかの態様は、第一の水性液にHClを添加することを含む。
更に、幾つかの態様は、前記第一及び第二の水性液を混合することにより形成された懸濁物をホモジナイズすることを含む。
本発明の一つの側面は:第一の水性液中に、DHEASナトリウム塩、賦形剤、保存料、甘味料、乳化剤及び香料を混合し;第二の水性液中に、塩化マグネシウムを含む化合物を混合し;上記第一及び第二の水性液を組み合わせてDHEASの懸濁物を形成する
工程を含む、吸入用組成物を作製する方法である。
幾つかの態様において、前記賦形剤はキシリトール又はマンニトールである。
幾つかの態様において、前記保存料は、メチル、エチル、又はプロピル−4−ヒドロキシベンゾエートを含む。
幾つかの態様において、前記甘味料はサッカリン又はサッカリンナトリウムである。
幾つかの態様において、前記乳化剤はビタミンE−TPGSである。
幾つかの態様において、前記香料はレボメントールである。
幾つかの態様において、前記第一及び第二の水性液を組み合わせる工程は、第一の水性液に第二の水性液を、制御可能な方式で添加することを含む。
本発明の一つの側面は;第一の水性液中にDHEASを混合し;第二の水性液中に二価カチオンを含む化合物を混合し:そして上記2つの水性液を組み合わせてDHEASの懸濁物を形成する工程を含むプロセスにより形成された水性懸濁物である。
幾つかの態様において、二価カチオンのDHEASに対するモル比は、約0.5〜5である。幾つかの態様において、二価カチオンのDHEASに対するモル比は、約0.25〜4である。幾つかの態様において、二価カチオンのDHEASに対するモル比は、約0.75〜1.25である。
幾つかの態様において、前記懸濁物中のDHEASの量は、約0.5重量%〜10重量%である。幾つかの態様において、前記懸濁物中のDHEASの量は、約1重量%〜10重量%である。幾つかの態様において、前記懸濁物中のDHEASの量は、約2重量%〜5重量%である。幾つかの態様において、前記懸濁物中のDHEASの量は、約3.5重量%である。
前記水性懸濁物は更に賦形剤を含み得て、そして幾つかの態様において、前記賦形剤は糖及び糖アルコールを含み得る。幾つかの態様において、前記賦形剤は、キシリトール又はマンニトールを含む。
更に、前記水性懸濁物は甘味料を含み得て、該甘味料は、サッカリン又はサッカリンナトリウムを含み得る。
更に、前記水性懸濁物は香料を含み得て、該香料は、レボメントールを含み得る。
更に、前記水性懸濁物は保存料を含み得て、該保存料は、メチル、エチル、又はプロピル−4−ヒドロキシベンゾエートを含み得る。
更に、幾つかの態様において、前記水性懸濁物は、前記製剤の物理的及び化学的安定性を改善するために、pH調整用の緩衝剤を含み得る。
更に、幾つかの態様において、前記水性懸濁物は、ビタミンE−TPGS等の乳化剤を含み得る。
幾つかの態様において、前記水性懸濁物は、該水性懸濁物のpHを約5〜約8に調整するために、医薬として許容される緩衝剤を含む。幾つかの態様において、前記医薬として許容される緩衝剤は、pHを約6〜約7.5に調整するためのものである。
幾つかの態様において、前記水性懸濁物は、浸透圧が200〜500mosmol/kgである。
本発明の一つの側面は:通常用量の50%を超える用量を放出し得る噴霧器を用いて、本発明に係る組成物を放出し、ここで放出された組成物の50%以上が、直径約5μm以下の液滴を含むように噴霧することを含む、動物を処置する方法である。幾つかの態様において、前記放出された用量は、マウスピース又はフェイスマスク越しに放出される。幾つかの態様において、前記放出された組成物の空気動力学的中央粒子径(MMAD)は、約2〜約5μmである。幾つかの態様において、前記放出された組成物の空気動力学的中央粒子径(MMAD)は、約3〜約4μmである。幾つかの態様において、前記放出された組成物の幾何学標準偏差(GSD)は2未満である。
参照による援用
本明細書中に示されている全ての文献及び特許出願は、本明細書中で、各個別の文献又は特許出願が具体的かつ個別に参照により援用されるべきことが示されている場合と同様に、参照により援用される。
発明の詳細な説明
本明細書中で使用されるとき、「薬剤」という用語は、化合物、化合物の混合物、合成された化合物、治療用化合物、有機化合物、無機化合物、核酸、オリゴヌクレオチド(オリゴ)、タンパク質、生体分子、高分子、脂質、油脂、充填剤、溶液、細胞又は組織を意味する。薬剤は、DHEAS、及びその医薬として又は獣医学的に許容される塩を含む。薬剤は、有効成分を含有する製剤を調製するために使用され、そして医薬としての、又は獣医学的な使用における製剤又はキットにおいて使用される。
本明細書中で使用されるとき、「気道」という用語は、空気に触れる対象の呼吸器系の部分又は全体を意味する。気道は、排他的ではないが、とりわけ咽頭、気管、鼻腔、副鼻腔、気道(respiratory tract)、肺、及び肺のライニング(lung lining)を含む。また、気道は、気管(trachea)、気管支、細気管支、終末細気管支、呼吸細気管支、肺胞管、及び肺胞を含む。
本明細書中で使用されるとき、「担体」という用語は、気体、液体、固体担体、及びそれらの混合物の形態の、異なる経路での投与に適切であることが意図される、生物学的に許容される担体を意味する。好ましくは、前記担体は、医薬として又は獣医学的に許容される。
前記組成物は、任意で、前記症状又は疾患を処置するものとして当業者に公知の他の治療用化合物、抗酸化剤、香料、着色料、充填剤、揮発性油脂、緩衝剤、分散剤、界面活性剤、RNA不活性化剤、噴射剤、及び保存料、並びに治療化合物として利用され得るものとして知られている他の薬剤を含む。
本明細書中で使用されるとき、「有効量」という用語は、治療的又は予防的利益を提供する量を意味する。
本明細書中で使用されるとき、「吸入用組成物」は、鼻腔又は口腔を含む呼吸器系を通じて動物又はヒト患者に導入され得る化合物の混合物である。
組成物
本発明の一つの側面は、二価カチオン及びDHEASの水性懸濁物を含む吸入用組成物である。吸入用組成物は、呼吸器疾患又は症状を治療するための患者への投与に使用され得る。
デヒドロエピアンドロステロンスルフェート、5−アンドロステン−3β−オル−17−オンスルフェート(DHEAS)は、DHEAの硫酸塩形態である。デヒドロエピアンドロステロンは、非グルココルチコイドステロイドである。プラステロン又は5アンドロステン−3β−オル−17−オンとしても知られるDHEA及びDHEASのいずれも、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の放出に応答して、霊長類及び少数の非霊長類種の副腎皮質により分泌される内性的ホルモンである。DHEAは、幾つかの内分泌プロセスに重要なアンドロゲン及びエストロゲンステロイドホルモンの両方の前駆体である。DHEAは、中枢神経(CNS)におけるDHEAのレベルにおいて、並びに精神医学的、内分泌的、婦人科医学的、産科学的、免疫学的、及び心臓血管学的機能において、一定の役割を果たすと考えられている。DHEAS又はその医薬として許容される塩は、妊娠後期の子宮頸部の成熟及びオキシトシンに対する子宮筋層の感受性を改善すると考えられている。DHEAS又はその医薬として許容される塩は、認知症の治療に、脂質異常症、骨粗鬆症、潰瘍の治療に、そしてステロイド依存性喘息等の高レベルのアデノシン若しくはアデノシン高感受性に関与する障害、及び他の呼吸器及び肺疾患に効果的であること考えられている。デヒドロエピアンドロステロン自体は、これまでに、臨床試験において、血管内、皮下、経皮、経膣、局所及び経口的に投与されていた。DHEASは硫酸塩であり、プロトン化形態又は塩として存在し、カチオンと関連する。DHEASナトリウム塩は、無水物形態、及び結晶二水和物形態として、粉末形態で存在し得る。無水形態は、通常の湿度で水を吸収し、水和形態に転換することが見出された。一般に、カチオンは獣医学的に又は医薬として許容されるものであることが望ましい。
本発明に係る組成物は、DHEASの水性懸濁物中に存在する1つ以上のカチオンを有し得る。例えば、組成物は、DHEASナトリウム塩の溶液と二価のカチオンを含有する溶液とを組み合わせることにより調製され得る。これらの条件下では、ナトリウム及び二価カチオンの両方が組成物中に存在する。複数の二価カチオンの組合せも使用され得る。
前記溶液中の二価カチオン及びDHEASを含む本発明に係る組成物のイオンは、完全に溶媒和されて解離していてもよく、又はイオン対として存在していてもよい。解離状態のDHEASは、一般に水溶液中でアニオンとして存在する。本発明において使用されるとき、水溶液又は懸濁物中のDHEASは、プロトン化し得て、又はカチオンと結合し得る。イオン対は、共有結合を形成せずにクーロン引力により結び付く、反対に荷電したイオンの対である。実験的に、イオン対は、伝導性、動的性状、浸透圧特性等を決定する一つの単位として振舞う。構成しているイオンが直接接触している(そして介在する溶媒又は他の中性分子により分離されない)イオン対は、「強固なイオン対」(又は「インティメイト(intimate)」又は「接触イオン対」)と称される。対照的に、構成しているイオンが1つ若しくは幾つかの溶媒又は他の中性分子により分離されるイオン対は、「緩いイオン対」と称される。緩いイオン対のメンバーは、溶液中で、他の遊離イオン又は緩く対を形成するイオンと容易に入れ替わる。
本発明に係る組成物のpHは、一般に中性pH(pH7)に近い。当該技術分野において、pHが極端に酸性又は塩基性であると、組成物と接触した呼吸器系に刺激が生じることが理解され得る。幾つかの態様において、pHは約7である。幾つかの態様において、pHは6.5〜7.5であり;幾つかの態様において、pHは約6〜7.5であり;幾つかの態様において、pHは約6〜8であり;幾つかの態様において、pHは5〜8であり;幾つかの態様において、pHは5〜9であり;幾つかの態様において、pHは4〜10である。pHが規定の範囲内に確実に維持されるように、適切な医薬として許容される緩衝系が使用され得る。また、pHを調整するために、酸又は塩基が使用される場合もある。
幾つかのケースにおいて、DHEASは、二価カチオンと結びつき、又はDHEASナトリウム塩より溶解し難い複合体を形成し得る。水溶液中で、DHEAS−Naの溶解度は約17mg/mlであり、DHEAS−Na+Mg2+の溶解度は約0.7mg/mlである。
本発明に係る組成物中の二価カチオンのモル量は、通常DHEASのモル量と同じオーダーである。二価カチオンは、例えば、微量のみ存在するものではない。幾つかの態様において、二価カチオンのDHEASに対するモル比は、約0.5、0.75、0.9、1、1.1、1.25、1.5、2、4、及び5である。幾つかの態様において、その範囲は、約0.1〜5であり、幾つかの態様において、その範囲は、約0.2〜5であり、幾つかの態様において、その範囲は、約0.25〜4であり、幾つかの態様において、その範囲は、約0.5〜2であり、幾つかの態様において、その範囲は、約0.75〜1.25であり、幾つかの態様において、その範囲は、約0.9〜1.1である。
前記水性懸濁物中のDHEASの量は、エアロゾルとして患者に投与されたとき、治療的に有効であるのに十分でなければならない。粘性、流動性、及び安定性が影響を受ける程高くあるべきではない。水性懸濁物中のDHEASの量は、DHEASナトリウム塩の重量に基づく重量パーセントとして表現するのが便利であり得る。幾つかの態様において、DHEASの量は、DHEASナトリウム塩に基づいて、水性懸濁液の重量の、約0.1、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、7、8、9、10、12、15重量パーセントである。
幾つかの態様において、DHEASの量は、DHEASナトリウム塩に基づいて、水性懸濁液の重量の、約2重量パーセントである。
幾つかの態様において、DHEASの量は、DHEASナトリウム塩に基づいて、水性懸濁液の重量の、約2.5重量パーセントである。
幾つかの態様において、DHEASの量は、DHEASナトリウム塩に基づいて、水性懸濁液の重量の、約3重量パーセントである。
幾つかの態様において、DHEASの量は、DHEASナトリウム塩に基づいて、水性懸濁液の重量の、約3.5重量パーセントである。
幾つかの態様において、DHEASの量は、DHEASナトリウム塩に基づいて、水性懸濁液の重量の、約4重量パーセントである。
幾つかの態様において、DHEASの量は、DHEASナトリウム塩に基づいて、水性懸濁液の重量の、約0.25〜5、0.5〜5、0.75〜4、又は2〜4重量パーセントである。
本明細書中で使用される懸濁物は、液体中又はガス中に分散された、微粉化分離相から成る二相系を意味する。分離相は、一般に固体であるが、液体でもあり得る。懸濁液中の粒子のサイズは、コロイド粒子から肉眼的粒子までの広い範囲にわたり変化し得る。吸入適用においては、一般的に、粒子は、呼吸器系に有効に送達されるのに十分に小さいのが好ましい。また、一般的に、粒子は迅速に沈殿せず、容易に再分散し得るのが好ましい。本発明に係るDHEASの懸濁物は、一般的に、呼吸可能な粒子から成る微細な分散相であるDHEASを有する。幾つかの態様において、90体積%の直径が5μm未満であり、より好ましくは3μm未満である。幾つかの態様において、50体積%の直径が2.5μm未満であり、より好ましくは1.5μm未満である。微細分散DHEASは、カチオンと結び付いたものであってもよく、又はプロトン化したものであってもよい。一般的に、微細分散DHEASのあるものは、二価カチオンと結び付いたものであり得る。前記吸入用組成物において、DHEASの一部は、水溶液中への溶解状態が維持され得る。
前記吸入用組成物中の主成分は水である。それは、ビヒクルとして使用され、並びに他の薬剤及び成分の溶媒としても使用される。水は、部分的には、その不活性性、流動性、低い粘性、無味性、無刺激性、及び医薬活性の欠如により、吸入用組成物の部分として望ましい。本発明に係る吸入用製剤において使用される水は、精製形態でなければならない。そのような水は、蒸留により、イオン交換樹脂の使用により、又は逆浸透法により調製され得る。様々な市販の蒸留器を、蒸留水を生産するために使用することができる。そのような水は、滅菌水であり得る。水の微生物学的な品質をモニタリングするための品質管理手順を、医薬生産者の生産施設内で行うべきである。イオン交換(脱イオン化、脱金属化)プロセスを使用することにより、効率的に及び経済的に、水中の殆どの主要な不純物を除去することができる。水中の主要な不純物は、しばしばカルシウム、鉄、マグネシウム、マンガン、ケイ素、及びナトリウムである。通常、カチオンは重炭酸アニオン、硫酸アニオン、又は塩素アニオンと組み合わされる。硬水は、カルシウム及びマグネシウムカチオンを含有する水である。重炭酸塩はアルカリ水中の主要な不純物である。紫外線放射エネルギー(240〜280nm)、加熱、又は濾過を使用することにより、水中の微生物の装飾を制限し、死滅させ、又は除去することができる。また、例えば有機分子を除去するために、半透膜を使用して水を精製するため、逆浸透を使用することができる。ウイルス及び最近は、一般に濾過により除去することができる。所望の水を生産するために、例えば濾過及び蒸留、又は濾過、逆浸透、及びイオン交換等の、2つ以上の方法が使用されることもたびたびある。
また、本発明に係る組成物は、1つ以上の賦形剤を含有し得る。賦形剤は、一般的に、様々な薬剤中でビヒクル、希釈剤、又は補助剤として機能する、不活性な物質である。幾つかのケースにおいて、賦形剤は、風味遮蔽機能又は甘味機能を提供し得る。適切な賦形剤は、ラクトース、デキストラン、ガラクトース、D−マンノース、ソルボース、トレハロース、スクロース、ラフィノース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、硫酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、L−リシン、L−アルギニン、グリセリン、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、及びそれらの混合物から選択されるいずれか1つである。幾つかの態様において、賦形剤としてキシリトールが使用される。添加される賦形剤の重量基準での量は、DHEASナトリウム塩の重量に基づくDHEASの重量と同一のオーダーである。幾つかの態様において、賦形剤とDHEASとの重量比は、約0.1、0.2、0.25. 0.5、0.75、0.9、1、1.1、1.25、1.5、2、4、5、及び10である。幾つかの態様において、賦形剤とDHEASとの重量比は、約0.1〜10であり、幾つかの態様において、賦形剤とDHEASとの重量比は、約0.2〜5であり、幾つかの態様において、賦形剤とDHEASとの重量比は、約0.25〜4であり、幾つかの態様において、賦形剤とDHEASとの重量比は、約0.5〜2であり、幾つかの態様において、賦形剤とDHEASとの重量比は、約0.75〜1.25である。
幾つかの態様において、エアロゾル形態での懸濁物の性能を改善するために、甘味料が添加される。幾つかのケースにおいて、上記賦形剤は、甘味を提供する糖又は糖アルコールである。幾つかのケースにおいて、追加的な甘味料の添加により、前記製剤の患者への口当たりを改善する。単位重量あたり高度の甘味を提供する高い甘味強度の甘味料を採用するのが有用であり得る。一般的に、甘味強度の高い甘味料は、少なくとも甘味料1gでスクロース約2gと等しい甘味強度を提供する甘味料を意味する。幾つかのケースにおいて、甘味強度の高い甘味料は、1gでスクロース約40gと等しい甘味強度を提供し得て、幾つかのケースにおいて、1gでスクロース約200gと等しい甘味強度を提供し得る。特定の甘味強度の高い甘味料、例えばネオテーム(neotame)は、約8,000gのスクロースに相当する甘味強度を提供し得る。多くの甘味強度の高い甘味料が、当業者に知られている。本発明に使用され得るものとして、アスパルテーム、アセスルファーム、サッカリン、シクラメート、ネオテーム、スクラロース、ブラジエン(brazien)及び他のタンパク質ベースの甘味料、ステビア及び羅漢果(luo hon guo)等の植物抽出物、並びに様々な塩、誘導体、及びそれらの組合せ又は混合物が挙げられる。幾つかの態様において、甘味料としてサッカリンナトリウムが使用される。
幾つかの態様において、メントール(レボメントールとも称される)等のミント香料が使用される。
幾つかの態様において、更に、前記組成物は、乳化剤又は界面活性剤を含む。乳化剤又は界面活性剤は、有効成分の水性懸濁物を安定化するのに役立つ。幾つかの態様において、乳化剤又は安定化剤は、ポリソルベート80/Tween(登録商標)80(PS80)、ポリオキサマー188/Lutrol(登録商標)F68(P188)、ポリオキサマー407/Lutrol(登録商標)F127(P407)、ビタミンE−TPGS(TPGS)、又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む。幾つかの態様において、前記乳化剤はビタミンE−TPGSである。
天然ゴム(例えばアカシア、キサンタン)、並びにセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等の粘性剤は、保護コロイドとして機能するように低濃度で使用され得る(<0.1%)が、高濃度では、それらは増粘剤として機能し、脱凝集粒子(deflocculated particle)の沈殿速度(rate of settling)を低下させ、又は凝集した懸濁物の安定化をもたらし得る。当業者は、幾つかのケースにおいて、製剤の粘度を増大させる薬剤を添加させることは、例えば吸入時間が延長し得る等、噴霧に負の影響をもたらし得るため望ましくない場合があることを理解し得る。
例えば前記薬物が、低い溶解度を維持するためにイオン化基を有するとしたら、前記製剤には緩衝剤が含まれ得る。また、緩衝剤は、保存料、イオン性増粘剤のイオン化を調整するために、又は適切な範囲内に懸濁物のpHを維持するためにも含まれ得る。
本発明に係る製剤は他の薬物を含有する場合があり、例えば治療剤の組合せが共に加工され得る。薬物の組合わせは、当業者にとって明らかなように、その薬物が与えられる対象の容態に依存し得る。
本発明の一つの側面は:第一の水性液中にDHEASを分散し、第二の水性液中に二価カチオンを含む化合物を混合し、そして上記2つの水性液を組み合わせてDHEASの懸濁物を形成する工程を含む吸入用組成物を作製する方法である。この方法は、水溶液中にDHEASの微細な懸濁物を形成することを可能とする。
本発明の幾つかの態様において、DHEASナトリウム塩は、DHEASを第一の水性液中に導入するのに使用される形態である。該ナトリウム塩は、一般にこの塩が医薬として許容される場合に望ましい。例えばリチウム、カリウム又はアンモニウム塩等の他のDHEAS塩も使用され得る。また、DHEASは、酸性溶液中にプロトン化形態で溶解している場合もある。
本明細書中に記載のDHEAS及び他の溶質の混合は、一般的に、該溶質を水又は水性混合物に添加して、加熱しながら、又は加熱せずに達成され得る。幾つかのケースにおいて、水又は水溶液の温度を上げることにより、混合又は溶解の速度が増大し得る。室温より5℃、10℃、15℃、20℃、又は30℃温度を挙げることにより、混合又は溶解が促進され得る。当業者であれば、前記温度が長時間にわたり高過ぎると、製剤中の化合物が分解する恐れがあることを理解し得る。
幾つかの態様において、前記組成物中に混合される化合物は、溶解されて、溶液を形成している。溶液は、固体、液体、又は気体をもう一つの液体に混合することにより調製され得て、その溶質又は溶解した物質の分子が溶媒の中に分散している調製物の群を表す。幾つかのケースにおいて、前記溶液は、均一な溶液である。均一な水溶液は、一般的に透明であり、これは、光を遮るのに十分な大きさの凝集物が殆どあるいは全く存在しないことを示している。幾つかのケースにおいて、均一な溶液は、完全に分子レベルで溶解している必要は無く、例えば溶液中に若干の凝集物が存在している場合もある。前記組成物中の一部の化合物は、溶液中に完全に溶解していない場合もあり、懸濁物中で部分的に又は完全に固体、半固体、又は液体形態である場合もある。懸濁物中で、一部の成分は、完全に溶解し、一方他の成分は部分的又は全く溶解していない場合もある。
水性懸濁物は、溶液又は液体連続相が水を含む懸濁物である。殆どの水溶液又は水性懸濁物において、溶媒は主に水である。また、該水溶液又は水性懸濁物は、水溶性の他の共溶媒(co−solvent)を含む場合もある。該共溶媒は、一般に、エタノール等のアルコールを含む、水に少なくとも部分的に溶解する溶媒である。幾つかの態様において、該共溶媒は、組成物が患者に提供される前に除去され得て、別のケースでは、共溶媒は、水溶液中に残される。前記水性溶媒が、患者に吸入される組成物中に残留する場合、該溶媒は、獣医学的に、又は医薬として許容されるものでなければならないことは、当該技術分野で理解される。
上述のように、DHEASの水性懸濁物のpHは一般的にほぼ中性であるが、前記第一及び第二の水性液は中性付近である必要は無い。幾つかのケースにおいて、前記第一及び第二の液のpHは、例えば1つ以上の成分の溶解度の改善等のために調整され得る。第一及び第二の水相を混合した結果のpHが、例えば中性から離れている等、所望のpHから離れていた場合、得られた組成物のpHは、酸又は塩基の添加により、及び/又は緩衝剤の使用により調整され得る。
本発明の一つの側面は、前記第一及び第二の水性液を混合して、DHEASの懸濁物を形成することである。幾つかの態様において、前記2つの液は、制御可能な方式で混合するのが望ましい。制御可能な方式での混合は、形成される懸濁物の粒子サイズに影響を与え得る。幾つかの態様において、第一の水性液中に、第二の水性液を、制御可能な方式で添加するのが望ましい。制御可能な方式での添加の一つの側面は、2つの溶液を組み合わせる速度の制御である。制御可能な方式での添加は、攪拌しながら、一つの溶液を他の溶液にゆっくりと添加することを含み得る。前記攪拌しながら、一つの溶液を他の溶液にゆっくりと添加することは、懸濁物の粒子サイズを小さく均一にし得る。該添加は、一定の分又は時間をかけて実行され得る。幾つかの態様において、該添加は、10分、20分、30分、40分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、6時間、又は8時間をかけて実行される。前記攪拌は、例えば、マグネチックスターラーを使用した攪拌、又はパドル型攪拌装置を用いることにより達成され得る。
第一及び第二の溶液の混合の制御は微細な懸濁物を生じ得るが、幾つかのケースでは、該懸濁物を精製するために、適切な技術により、更に処理するのが望ましい。幾つかのケースでは、インペラ型の装置が使用され得るが、幾つかのケースでは、更なる粒子サイズの微小化は、ウルトラツラックス(ultraturax)、又は高圧ホモジナイザーを使用して達成され得る。流体溶液を混合した時点で生じた最初の懸濁物は、微小破砕バルブと高圧シートとの間に該懸濁物を通すことにより、高圧ホモジナイズに付され得る。これは、実質的に、微細化した混合物が周囲の表面をたたくため、該微細化した混合物により受ける衝撃により微細化が亢進する。該ホモジナイザーは、例えば1,000〜3,000psiの圧力で操作され得て、そして微細分散物を生じ得る。異なるバルブ部品(valve assembly)、2段階バルブ部品、及び広範囲の容量を有する装備が使用され得る。2段階ホモジナイザーは、典型的には、第一のバルブ系で処理された後の液体水性製剤が、もう一つのバルブ系に運ばれて、そこで第二の処理を受けるように構築されている。該機械には、液体を様々な段階に処理するポンプが備えられ得る。小スケール調製において、手動ホモジナイザーが使用され得る。ホモジナイザーは、一般的に、最終産物中に空気を含ませない。前記懸濁物は、超音波装置を使用してホモジナイズし得る。例えば、高周波(100〜500kHz)発振器を、間に圧電水晶板を置いた2つの電極と接続する。発信機が作動している間、高周波が流体中に流れる。前記懸濁物は、微細流動化装置(microfluidizer)を使用してホモジナイズされ得て、該装置は、対象を反応チャンバー中で極端な高速度に付し;その結果、不溶性粒子は、せん断、衝突、及びキャビテーションに付される。
本発明の一つの側面は:第一の水性液に、DHEASナトリウム塩、賦形剤、安定化剤、及び甘味料を混合し;第二の水性液に、塩化マグネシウムを含有する化合物を混合し;該第一の水性液及び第二の水性液を混合してDHEASの懸濁物を形成し;そして該懸濁物をホモジナイズする工程を含む、吸入用組成物を生産する方法である。この側面において、DHEASナトリウム塩、賦形剤、保存料、及び甘味料は、全て第一の水性液中に混合される。幾つかの態様において、第一及び/又は第二の水性液中に、緩衝剤が含まれる。
幾つかの態様において、各成分は、個別に添加及び混合される。幾つかのケースにおいて、2つ以上の成分が、一緒に混合される。混合中に、例えば成分の溶解又は混合を補助等するために、温度が上げられ、又は下げられる場合がある。この側面において、例えば塩化マグネシウム等の二価カチオンを含む化合物が、第二の水性液中に混合される。幾つかの側面において、混合後、前記塩化マグネシウムは溶解し、均一な溶液を形成し、該溶液は、例えば外観上、透明な液体となり得る。第一の水性液及び第二の水性液は、通常、制御可能な方式で混合される。一つの態様において、第二の水溶液は、制御可能な方式で、撹拌された第一の水性液中に添加される。該添加は、一定の分又は時間をかけて実行され得る。幾つかの態様において、該添加は、10分、20分、30分、40分、60分、90分、2時間、3時間、又は4時間をかけて実行される。前記攪拌は、例えば、マグネチックスターラーを使用した攪拌、又はパドル型攪拌装置を用いることにより達成され得る。得られた懸濁物は、前述の如くホモジナイズされる。
使用
本発明に係る組成物は、鼻又は口を通じてヒト又は動物の気道に投与するために、噴霧によりエアロゾル化されるように設計されている。吸入による投与は、気道の上部及び下部に高濃度の薬物を効果的に送達することを可能とし、気道の上部又は下部に治療的に有効な用量の迅速な沈着をもたらす。この投与方法は、疾患の処置を必要とする身体の標的部位に薬物を誘導する薬物標的化を可能としつつ、該投与において、望ましくない副作用を引き起こし得る過剰な薬物の吸収及び全身薬物レベルを回避することを可能とする。従って、全身的な副作用は顕著に減少し、又は完全に回避され得る。薬物は、空気中に浮遊する微細粒子懸濁液であるエアロゾルとして吸入され得る。該粒子は、肺の深くに沈着するのに十分長く懸濁状態を維持する、液体の液滴又は固体のいずれかを含み得る。吸入された粒子によりもたらされる効果は、溶解度及び粒子サイズに依存する。液滴又は粒子を含有する溶液のエアロゾルのサイズは、直径1〜5μmであり得て、これにより、気管支肺粘膜表面を含む肺の中央及び末梢のいずれにも医薬を到達させることが可能となる。3μmより大きい粒子は、最も吸収条件が良好である肺胞に殆ど到達せず;約1μm未満の粒子は、一般に、肺に沈着せずに呼気として排出されてしまう。肺沈着は、第一に、粒子サイズ及び吸入パターンにより引き起こされる。エアロゾル化した粒子を高速で放出(例えば与圧MDA又はpMDA)するする吸入装置は、中咽頭に、高い程度に薬物の沈着をもたらし得る。エアロゾルが高速であると、装置の作動と連係して吸入するのが困難となり、作動と吸入の連係ができない場合、中咽頭への薬物の沈着という結果をもたらし得る。エアロゾル粒子の速度を低下させることで、気道中への薬物の送達を改善し得る。加えて、エアロゾル粒子のサイズを低下させることで、薬物送達を改善し得る。発明に係る水性製剤の投与は、例えばジェット噴霧器又は膜振動噴霧器を通じた噴霧により、最も良好に達成され得る。経口吸入又はフェイスマスクを通じての肺沈着において、孔の空いた振動膜を通じてエアロゾルを発生させる電子噴霧器(eFlow(登録商標), PARI Pharma GmbH)が好ましく、50%以上が呼吸可能な分画(液滴中の薬物<5μm)であり、空気動力学的中央粒子径(MMAD)が2〜5μm、好ましくは3〜4μmであり、そして幾何学的標準偏差が2未満であることを特徴とする。更に、前記噴霧器は、実施例3に基づく刺激された呼吸条件下でマウスピース又はフェイスマスクから放出される送達用量(DD)は、通常の用量の50%以上である。鼻又は副鼻腔等の気道上部に発明に係るDHEAS製剤を投与するのに、ジェット噴霧器又は振動膜噴霧器が使用され得る。あるいは、花粉症、鼻炎又は副鼻腔炎等の、アレルギー性又は非アレルギー性の鼻科的疾患等を治療するための、鼻腔内への薬物の沈着が主要な目的であるとしたら、鼻ポンプスプレーの形態のアトマイザーが利用され得る。
吸入経路を使用することにより、DHEAS及び他の治療剤が、肺、又は鼻若しくは副鼻腔等の気道上部における作用部位に直接投与できるため、気道への送達が容易になる。吸入の長所として:(i)医薬が標的部位に直接送達され;(ii)症状の予防又は処置に少量の薬物で足り;(iii)全身投与の場合よりも副作用が著しく低減され;そして(iv)作用が迅速かつ予測可能的に生じる点が挙げられる。
本発明に係る組成物は、噴霧器を使用して投与され得る。吸入噴霧器は、気道上部及び/又は下部のいずれかに異なるサイズの粒子を運ぶ、選択的なサイズ範囲の液滴から成るエアロゾルを形成することにより、治療的に有効な量の医薬を送達する。全ての薬物粒子が指定された標的部位に送達され、沈着が促進されることを保証するために、粒子サイズが液滴サイズよりも小さくなければならないことは明白である。更に、孔の空いた振動膜噴霧器を使用するとき、粒子が篩に阻まれるのを避けるため、粒子の大半が3μm未満であるのが望ましい。噴霧器のシステムは、薬物が自発的な潮汐呼吸(tidal breathing)を通じて投与され得て、患者による複雑な操作を必要としない点で、定量吸入器(MDI)及び乾燥粉末吸入器(DPI)よりも有利である。この特徴は、MDI及びDPIの場合よりも合理的に標的部位への薬物の沈着を促進し、複雑な吸入パターンを必要とするこれらの吸入送達システムと比較して、過誤の確率を減少させる。前記薬物は、MDI及びDPIに特徴的な単一又は二重ショットボーラスとしてではなく、多くの連続的な呼吸サイクルにおいて送達され、より合理的な肺の標的部位への薬物の沈着が達成され得る。予め薬物及び製剤の化学的及び物理的適合性が確認されているとすると、噴霧器において薬物が混合され、そして同時に投与され得る。様々な吸入噴霧器が知られている。ジェット噴霧器において、エアロゾルは、液体溶液の薄い膜に対して与圧された材料からの高速の気流により形成される。また、例えば、EP0170715A1は、圧縮ガス流を使用してエアロゾルを形成する。吸入噴霧器のアトマイザーチャンバー中で、ノズルはエアロゾル発生器として加工されており、圧縮ガスチャンネルに近接するように加工された吸引ダクトを有する。圧縮空気が圧縮ガスチャンネルを通過するとき、噴霧化されるべき液体は、液体貯蔵容器から吸引ダクトを通じて引き込まれる。この噴霧器は、連続的に操作する吸入噴霧器の代表的なもので、その内部で、エアロゾル発生器は、吸入の間だけでなく、患者が息を吐いているときもエアロゾルを発生させる。本発明に係る組成物は、振動板含む振動エアロゾル発生器等のエアロゾルを発生させる他の手段(vibrating diaphragm)(Knoch M. & Keller M.: The customized electronic nebuliser: a new category of liquid aerosol drug delivery systems. Expert Opinion Drug Deliv. 2005, 2(2), 377−390)を参照されたい)を利用する噴霧器を使用して投与され得る。発明に係るDHEAS製剤及び他の薬物を含む潜在的な組成物は、例えば米国特願第6,962,151号、米国特許第6,938,747号、米国特許第7,059,320号、米国特許出願第10/810,098号、米国特許出願第10/522,344号、米国特許出願第10/533,430号に記載される、噴霧器、エアロゾル発生器、又は流体液滴生成装置を用いての投与に適している。
本発明の一つの側面は、携帯可能な、バッテリー駆動式の噴霧器、例えばeFlow(登録商標)(PARI Pharma GmbH)電子噴霧器(Keller M. et al.: Nebulizer Nanosuspensios: Important Device and Formulation Interactions Proceddings Respiratory Delivery VIII, 2002, 197−205)等を用いた、本発明に係る組成物の投与である。携帯用噴霧器により、活発に移動する患者が、吸入組成物を容易に使用できるようになる。
本発明に係る組成物及び方法は、呼吸器系に関する疾患又は症状等の呼吸器疾患を処置するために使用され得る。例えば、限定されないが、気道炎症、アレルギー、喘息、呼吸障害(impeded respiration)、嚢胞性線維症(CF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎(AR)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺高血圧、気道炎症、気管支炎、気道閉塞、気管支収縮、微生物感染、肺癌、及びSARS等のウイルス感染等が挙げられる。
併用療法
本発明の一つの側面は、患者に総合的利益を提供するために、本明細書に記載の吸入用組成物としてDHEASを、もう一つの呼吸器治療剤と共に投与することである。それらの組成物の使用の一つの利点は、そのような予防又は治療を必要とする患者による服薬遵守である。殆どの患者は、疾患の異なる側面を緩和するために、複数の医薬により処置される。例えばDHEA−S等の第一の有効成分と下記の如き第二の有効成分との固定された組合せは、所定の患者部分集団において、より簡便でありながら標的の定められた治療を可能とする。患者の服薬遵守は、例えば、治療の単純化により、そして特定の症状が最も迅速な方式で対処されるように各患者の特異な疾患の特性に焦点を当てることにより、改善され得る。更に、1回の投与において第一及び第二の有効成分の両方を投与することで、簡便化又は時間の節約になるという追加的な利点もある。
幾つかのケースにおいて、DHEASと、他の治療剤が、いずれも吸入により投与される。他のケースにおいて、DHEASは本明細書中に記載のように吸入により投与され、そして、他の治療剤は、口腔、口、直腸、膣、鼻、肺内、目(ophthalmic)、目(optical)、腔内、気管内、器官内、局所(口腔、舌下、表皮、及び眼球内を含む)、非口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内及び関節内を含む)、並びに経皮投与等の他の方法により投与される。共投与は、DHEASと他の薬剤を同時に投与する場合を含み得て、そしてDHEASと他の薬剤を異なる時間に投与する場合も含み得る。
幾つかの態様において、本発明に係る組成物は、DHEAS及び抗ムスカリン剤の組合せを含むエアロゾル製剤を提供する。DHEA誘導体及び抗ムスカリン剤の組合せを用いた呼吸器系症状及び疾患の治療は、本明細書中に参照により援用されるWO 04/014293に記載される。適切な抗ムスカリン剤の例として、イプラトロピウム及びオキシトロピウムブロマイド、チオトロピウムブロマイド、並びにトロベントール(troventol)が含まれる。
幾つかの態様において、本発明は、本明細書中に記載の吸入用DHEAS組成物及びβ−2アゴニスト気管支拡張剤(bronchodilator)の投与を含む、ヒト又は動物を治療する方法を提供する。適切なβ−2アゴニスト気管支拡張剤の例として、アルブテロール(サルブタモルと同義)、テルブタリン、レバルブテロール、ホルモテロール、及びサルメテロールの遊離塩基又は医薬として許容される塩を含む。前記DHEA誘導体及びベータ−アゴニスト気管支拡張剤を用いた呼吸器症状及び疾患の治療は、本明細書中に参照により援用されるWO 05/011603に記載される。長時間及び短時間ベータ.2アゴニストの他の例として、エフェドリン、イソプロテレノール、イソエタリン、エピネフリン、メタプロテレノール、テルブタリン、フェノテロール、プロカテロール、アルブテロール、レバルブテロール、ホルモテロール、ビトルテロール、及びバムブテロールの任意の許容される医薬的塩形態又は異性体若しくは鏡像体が挙げられる。カルブテロール、インダカテロール、サルメテロール、ホルモテロール、及び本発明に係るDHEAS製剤と互換可能な製剤等の持続性ベータ.2−アゴニストの水安定性(Water stable)塩及び/又は水性製剤が好ましい。
幾つかの態様において、本発明は、本明細書中に記載の吸入用DHEAS組成物及びロイコトリエン受容体アンタゴニストの投与を含む、ヒト又は動物を治療する方法を提供する。DHEA誘導体及びロイコトリエン受容体アンタゴニストの組合せを用いた呼吸器系症状及び疾患の治療は、本明細書中で参照により援用されるWO 05/011595に記載される。ロイコトリエン受容体アンタゴニストの例として、モンテルカスト、ザフィルルカスト及びプランルカストが含まれる。
幾つかの態様において、本発明は、本明細書中に記載の吸入用DHEAS組成物及びPDE−4阻害剤の投与を含む、ヒト又は動物を治療する方法を提供する。DHEA誘導体及びPDE−4阻害剤の組合せを用いた呼吸器系症状及び疾患の治療は、本明細書中で参照により援用されるWO 05/011602に記載される。PDE−4阻害剤の例として、ロフルミラスト(Altana Pharma, Germany)、及びシロミラスト(Ariflo.TM., SB 207499, SmithKline Beecham)が含まれる。
幾つかの態様において、本発明は、本明細書中に記載の吸入用DHEAS組成物及び抗ヒスタミンの投与を含む、ヒト又は動物を治療する方法を提供する。DHEA誘導体及び抗ヒスタミンの組合せを用いた呼吸器系症状及び疾患の治療は、本明細書中で参照により援用されるWO 05/011604に記載される。適切な抗ヒスタミンの例として、経口投与用Zrytec.RTM錠剤及びシロップとして市販されている(Pfizer Inc., New York, N. Y.)セチリジン塩酸塩、経口投与用Claritin−D 12時間徐放性錠剤として市販されている(Schering Corporation, Kenilworth, NJ.)ロラタジン、経口投与用Clarinex.RTMとして市販されているデスロラタジン、及び経口投与用Allegra.RTMカプセル及び錠剤として市販されている(Aventis Pharmaceuticals Inc., Kansas City, Kans.)フェキソフェナジン塩酸塩が含まれる。
幾つかの態様において、本発明は、本明細書中に記載の吸入用DHEAS組成物及びリポキシゲナーゼ阻害剤の投与を含む、ヒト又は動物を治療する方法を提供する。DHEA誘導体及びリポキシゲナーゼ阻害剤の組合せを用いた呼吸器系症状及び疾患の治療は、本明細書中で参照により援用されるWO 05/011604に記載される。適切なリポキシゲナーゼ阻害剤の例として、Zyflo.TM,錠剤(Abbott Laboratories, North Chicago, 111.)として現在市販されているジレウトンが含まれる。複雑な製剤技術が必要な経口薬物が存在し、これらの薬物が本発明に係るDHEAS製剤と共に実施可能であるという示唆は存在しない。
幾つかの態様において、本発明は、本明細書中に記載の吸入用DHEAS組成物、及び米国特許第6,169,091号等に記載のチロシンキナーゼ阻害剤、米国特許第6,514,975号に記載のデルタオピオイド受容体アンタゴニスト、米国特許第6,103,735号;6,221,880号;尾及び6,262,077号に記載のニュートロキニン受容体アンタゴニスト、又は米国特許第6,288,267号;6,423,728号;6,426,348号;6,458,844号;及び6,479,666号に記載のVCAM阻害剤の投与を含む、ヒト又は動物を治療する方法を提供する。DHEA誘導体及びチロシンキナーゼ阻害剤、デルタオピオイド受容体アンタゴニスト、ニューロキニン受容体アンタゴニスト、又はVCAM阻害剤の組合せを用いた呼吸器系症状及び疾患の治療は、本明細書中で参照により援用されるWO 05/011594に記載される。
幾つかの態様において、本発明は、本明細書中に記載の吸入用DHEAS組成物及びメチルキサンチン誘導体の投与を含む、ヒト又は動物を治療する方法を提供する。DHEA誘導体及びメチルキサンチン誘導体の組合せを用いた呼吸器系症状及び疾患の治療は、本明細書中で参照により援用されるWO 05/011608に記載される。適切なメチルキサンチン誘導体の例として、Theo−Dur (Schering Corp., Kenilworth, N.J.)、Respbid、Slo−Bid (Rhone−Poulenc Rorer Pharmaceuticals Inc., Collegevilla、Pa.)、Theo−24、Theolair、Uniphyl、Slo−Phyllin、Quibron−T/SR、T−Phyl、Theochron、及びUni−Durとして市販されるテオフィリンが含まれる。
幾つかの態様において、本発明は、本明細書中に記載の吸入用DHEAS組成物及びクロモン(cromone)の投与を含む、ヒト又は動物を治療する方法を提供する。DHEA誘導体及びクロモンの組合せを用いた呼吸器系症状及び疾患の治療は、本明細書中で参照により援用されるWO 05/011616に記載される。適切なクロモンの例として、クロモリンナトリウム(cromolyn sodium)又はネドクロミルナトリウム(nedocromil sodium)が含まれる。ネドクロミルナトリウムは、オーストラリアではTilade.RTM. CFC− Free (Aventis Pharma Pty. Ltd., Australia)として市販されている。クロモリンナトリウムは、Intal.RTM. (Rhone−Poulenc Rorer Pharmaceuticals Inc., Collegevilla, Pa.)として市販されている。
幾つかの態様において、本発明は、本明細書中に記載の吸入用DHEAS組成物及び抗IgE抗体の投与を含む、ヒト又は動物を治療する方法を提供する。DHEA誘導体及び抗IgE抗体の組合せを用いた呼吸器系症状及び疾患の治療は、本明細書中で参照により援用されるWO 05/011614に記載される。抗IgE抗体の例として、E−25、Xolair.RTM(Genentech, Novartis)として入手可能なオマリズマブが挙げられる。
幾つかの態様において、本発明は、本明細書中に記載の吸入用DHEAS組成物及びグルココルチコステロイドの投与を含む、ヒト又は動物を治療する方法を提供する。DHEA誘導体及びグルココルチコステロイドの組合せを用いた呼吸器系症状及び疾患の治療は、本明細書中で参照により援用されるWO 05/011614に記載される。グルココルチコステロイドの例として、ベクロメタゾンプロピオネート、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾンプロピオネート、トリアムキノロンアセトニド、及びシクレソニドが含まれる。これらの化合物は、試験されておらず、DHEAS製剤に干渉し得る。
実施例1−吸入用DHEAS懸濁物の調製
まず、洗浄した20L Duranフラスコを、乾熱滅菌する(180℃/30分)。他方には、約17,644gの精製水を添加する。次に、前記DURANフラスコに、1Mの塩酸(HCl)120gを添加し、これに約600gのキシリトールを添加する。キシリトールが視覚的に溶解するまでマグネチックスターラーで攪拌し、その後、該DURANフラスコに以下の材料を逐次添加する:約6gのプロピル−4−ヒドロキシベンゾエートナトリウム、約14gのメチル−4−ヒドロキシベンゾエートナトリウム、及び約10gのサッカリンナトリウムハイドレート。全ての化合物が視覚的に溶解するまでマグネチックスターラーによる攪拌を続け、その後、この溶液を、マグネチックスターラーにより攪拌しながら35〜40℃まで加熱する。溶液の温度が30℃に達したとき、該DURANフラスコに60gのビタミンE−TPGSを添加する。該溶液の温度が35℃に達したとき、該DURANフラスコに6gのレボメントールを添加する。ビタミンE−TPGS及びレボメントールが視覚的に溶解するまで、該フラスコを35〜40℃でマグネチックスターラーにより攪拌する。溶解した後、該溶液を30℃を下回るまで冷却し、その後、該DURANフラスコに約700gのDHEASナトリウムHO(DHEAS)を添加し、一昼夜マグネチックスターラーにより攪拌する(必要な場合、パドル攪拌器を使用し得る)。
別の容器に、約500gの精製水中に約340gの塩化マグネシウムHOを添加して、視覚的に溶解するまで軽く振盪して溶解させた。マグネチックスターラー及びパドル混合器で攪拌しながら、前記DURANフラスコに、該塩化マグネシウムHOを、ゆっくりと段階的に添加する。添加終了後、該懸濁物を、20〜25℃で30分間攪拌する。
シリンジで、試料を10ml取る。pHの値を判定し、必要な場合、それぞれ1M塩酸又は1M水酸化ナトリウム溶液を使用して、pHを7.0±0.3に調整する。
前記懸濁物をホモジナイズするため、高圧ホモジナイザーに移す場合がある。該装置を洗浄し、管をオートクレーブにかけてから、高圧ホモジナイズを開始する。該懸濁物を、Microfiuidizer M1lO EH2高圧ホモジナイザーを使用して、冷却下、1500barで5サイクル、断続的にホモジナイズする。高圧ホモジナイズ終了後、該懸濁物を、例えば滅菌瓶又は試験管又は保存、輸送及び/又は分注用の他の容器に分注する場合がある。更に加工を行わない場合は、こうして調製された該懸濁物は、例えば超音波噴霧器等を用いて投与され得る。
幾つかのケースにおいて、上記混合物(DHEAS添加以前)は、DHEASがゆっくりと貯蔵層に添加される間、ホモジナイザー中を再循環する。それから、塩化マグネシウム溶液を添加する前に、DHEAS含有混合物を再循環しながら、更に60分間ホモジナイズが続行される。他のケースでは、貯蔵層にDHEASと塩化マグネシウムを添加して、それから該懸濁物を60分間ホモジナイザー中で再循環させる。流速の変化に加え、圧力及び配管も変化させられた。
実施例2−喘息患者の処置
18〜33歳の患者37人が慢性喘息と診断された。該患者をそれぞれ1日2回約35mgのDHEASの吸入により処置する。DHEASは、実施例1に記載の3.5%DHEAS懸濁物約0.5〜31mlを、eFlow(登録商標)噴霧器(PARI Pharma GmbH)を使用して投与する。2、4、8、及び12週間後、患者をモニタリングして、処置の効果を判定する。効果は:
(1)12週間の処置期間にわたる、日中及び夜間の喘息症状の評点におけるベースラインからの変化(症状の評点は、0〜3評点システムに基づく患者又は患者の親による主観的評価を基礎とし、0=症状無し、1=軽微な症状、2=中等度の症状、3=重度の症状となる。);(2)肺活量測定検査の変量(FEV.sub.l、FEF.sub.25−75(努力肺活量の中央の半分の間の平均努力呼気流量、リットル/秒で表す)、及びFVC(努力肺活量、リットルで表す)を、肺活量測定検査の実行が可能な患者の小集団において、通院にて実行した);(3)PEF(最大呼気流量、リットル/分で表す);(4)喘息関連医療の利用及び間接医療費の変化の1つ又は全てにより判定した。有効性の評価が改善されたことから、該DHEAS水性懸濁物を用いた吸入処置の有効性が示される。
実施例3−DHEAS懸濁物のエアロゾルの特定
本実施例は、本明細書の記載に従い調製されたDHEAS二水和懸濁物(70mg/2mL)の、粒子サイズ及び推定肺用量等のエアロゾルの特徴を記載する。該製剤の濃度は、35mg/mlである。開発された懸濁物は、eFlow(登録商標)電子噴霧器(PARI Pharma GmbH)を用いて、十分に、そして許容される時間内に噴霧化されなければならない。本開発の目標は、インビボ肺用量の約20mgのDHEASを、5分以内に送達することであった。本研究は、3台のeFlow噴霧器を使用して、本明細書の上限、中間、及び下限において、臨床試験において使用したものと同じバッチの製剤を使用して遂行した。エアロゾルの粒子サイズの決定は、カスケードインパクション及びレーザー回折により遂行され、送達用量及び噴霧化時間は、標準的な成人の呼吸パターンを用いた呼吸シミュレーションを用いて決定した。呼吸可能用量及びインビボ肺用量は、インパクター及び呼吸シミュレーション実験から計算した。
呼吸シミュレーション実験において、DHEAS懸濁物(70mg/2mL)1アンプルを、4.1±0.6分以内にエアロゾル化した。潮汐体積500mL及び1分間に15呼吸の標準的な成人呼吸パターンを使用して、約40±3mgのDHEASの送達用量が、マウスピース前方(ex−mouthpiece)吸入フィルター上に見出された。これは、最初に装填した薬物量の約57%が口に送達され、一方で薬物の13%が噴霧器内に残留し、そして30%が吐き出されたことを意味する。また、呼吸シミュレーション実験は、噴霧化時間に顕著な差異が存在するか否かを判定するために偽薬製剤を用いて実行された。偽薬の噴霧化時間は、3.6±0.4分であった。T−検定又は一元ANOVAを通じて偽薬とベルム(verum)製剤の平均の結果を比較したとき、95%の信頼度で顕著な違いは存在しない(P=0.096)。しかしながら、装置及び製剤の両方の要素を考慮する多元ANOVA検定は、偽薬とベルムとの間の顕著な違いを明らかにする(P=0.011)。つまり、製剤の種類は、投与時間に顕著な影響を与えるが、装置の効果がより大きく(P=0.004)、製剤の効果を覆っている。本研究の最も重要な目標は、患者が受容するべき肺用量を推定することであった。一般に、粒子サイズが直径5μmを下回れば呼吸可能とみなされる。eFlow(登録商標) により生じるエアロゾルは、インパクター実験において、質量中央径4.0±0.1μmであり、5.0μm未満、即ち呼吸可能な分画の粒子のパーセンテージは、74±3%である。送達用量に呼吸可能分画を乗じて計算される呼吸可能用量は、DHEASで29mgである。しかしながら、放射性標識した製剤とeFlow(登録商標)を使用した他の沈着研究では、インビボ肺用量は、インビトロ呼吸可能量量の約60〜70%に過ぎないことが知られている。この偏差の理由は、恐らく、エアロゾルの発散をもたらす、典型的には150mLの気道の死腔(dead space)にある。実験装置の死容積は僅か数mLであり、呼吸プロセスの潮汐体積と比較して非常に小さい。従って、発生したエアロゾルは、インビボの場合よりも、吸気フィルターにおいてより効率的に回収される。呼吸可能用量の60〜70%のみが肺に沈着すると推定すると、インビボ肺用量は、DHEASにおいて17〜20mgであると見積もられる。
実施例4−eFlow(登録商標)30L(PARI Pharma GmbH)及びDHEAS懸濁物を用いる、模擬使用者試験(simulated user test)
この模擬使用者試験(SUT)の目的は、成人呼吸パターン(1分間に15呼吸;吸入:吐出=1:1)を模した標準的な設定のPARI COMPAS呼吸シミュレーターを利用して、4−eFlow(登録商標)30L(PARI Pharma GmbH)及び本明細書中に記載したように調製したDHEAS懸濁物を用いた、42噴霧サイクルを研究することであった。これは、1日1回の吸入で6週間処置することを表す。
噴霧器を副鼻洞ポンプ(sinus pump)(PARI呼吸シミュレーター)に接続し、標準的な呼吸パターンを模倣した。吸気及び呼気フィルターを、Y−ピースを通じて噴霧器とポンプの間に差し込む。2ml中に70mgのDHEASを含有する吸入用DHEAS懸濁物で噴霧器を満たし、噴霧が終了するまで駆動した。また、適切な時間をおいて、飽和したフィルターを交換するために噴霧化は停止され得る。
ここで、DHEAS懸濁物による42サイクルの噴霧、洗浄及び消毒を、3つの異なるヘッドを用いて模倣する。42サイクルにかけて、噴霧化時間の10%までの増大が観察された。従って、特別なクリーニング手順が適用されなければならない。しかしながら、送達用量は影響を受けず、定常状態を維持していた。
実施例5−懸濁製剤の安定性
上記のようにして調製されたDHEAS懸濁物の試料を、3つの条件:(1)冷蔵(5℃)、(2)室温(25℃)、(3)加速条件(40℃)に最大で2年間置いて、安定性を特定する。予備データは、少なくとも1年の冷蔵条件下において、臨床バッチの全てのパラメーターにおける優れた安定性を示す。加えて、本発明に係るDHEA懸濁製剤は、4週間の室温保存後に安定であることが見出された。
本発明に係る懸濁製剤の安定性は、他のDHEAS懸濁製剤の安定性と比較して、顕著に上回っていた。例えば、0.12%食塩水(低張食塩水)を、25mgの粉末DHEASの入った滅菌投与単位ガラスバイアルに添加することにより、食塩水噴霧製剤を調製した。該食塩水噴霧製剤の予備的安定性実験は、加速温度で24時間後、又は室温で72時間後、該溶液が劣化し、沈殿物で濁り、そして分解物の濃度が増大したことを示した。
実施例6−DHEAS懸濁物の特定
呼吸シミュレーション及び安定性試験により、臨床バッチ材料をエアロゾルの特定に付した。Andersenカスケードインパクションを標準的な流速で実行して、任意の所定のサイズの粒子の質量を定量した。Andersenカスケードインパクションは、潜在的に肺沈着に利用され得るエアロゾルの量を記述するのに使用される方法である。開始時点でのDHEAS懸濁物の濃度が70mg/2mLであるときのAndersenカスケードインパクションを、以下の表1に示す。
Figure 2010538081
本発明に係るDHEAS懸濁物に係るこれらの結果は、上記実施例5で記載された食塩水噴霧製剤及び乾燥粉末吸入(DPI)製剤と比較され得る。食塩水噴霧製剤の呼吸可能分画は10%で、DIP製剤の呼吸可能分画は30〜40%であった。本発明に係る懸濁製剤の呼吸可能分画は74.1%であるから、これは、対照の2つの製剤をしのいで呼吸可能分画が顕著に改善されたことを実証している。
DHEAS懸濁組成物の臨床バッチ材料の呼吸シミュレーション試験は上述の如く実行され、その結果、全用量70mg又は39.41mg中56.5%が、4.1分以内に送達され得る。送達用量の74%が呼吸可能であると推定すると、4分間以内に呼吸可能範囲内で29mgが生じ得る。この全量の内、一部は解剖学的死腔に消えるであろうから、バイアルあたり推定される沈着する肺用量は、約20mgとなるであろう。先の試験において、10カプセルのDPI製剤は、患者側の十分な吸気努力のある理想的な条件下に限り、最大で13mgが肺まで送達され得た。本発明に係る懸濁製剤を用いた1回の噴霧時間が4分として、同じ送達された肺用量を達成するために前記食塩水溶液を噴霧化するのに、およそ10バイアル及び3時間以上を費やすこととなる。殆どの患者において、3時間の噴霧化は実用的ではないため、本発明に係る懸濁組成物は、従来の製剤に対して漸進的な改良をももたらすだけではなく、従来のDHEAS吸入製剤に対しては、劇的かつ有用な改善を提供する。
実施例7−インビボ毒性学的評価
前記プロトタイプ懸濁製剤について、ラット及びイヌにおいて6週間、毒性学的効果を試験した。長期毒性学的研究に加えて、新しい懸濁組成物について、中枢神経系、心臓血管系、及び呼吸器系に対する急性効果を試験した。
イヌ毒性学的研究において、6週間、0、5.2、10.6及び19.1mg/kg/日の用量を日常的に投与する。6頭の対照動物及び4頭の高用量イヌ群は、追加的に2週間、服用からの回復期間を取る。日常的に該動物の臨床兆候をモニタリングし、該動物の臨床的症状をモニタリングするために、末梢血を採取する。服用の最後に、安楽死させた動物について完全な組織病理学的試験を実行する。前記回復動物は、その2週間後に殺して試験する。いかなる用量レベルにも、薬物に起因する毒物病理学的知見は認められない。食塩水対照及びビヒクル対照の服用レベルである5.2、10.6及び19.1mg/kg/日で、42日間日常吸入投与により本発明に係るDHEAS懸濁物を投与したところ、良好な耐容性を示し、処置に対して副作用を生じない。よって、本研究のNOAEL(無毒性量)は19.1mg/kg/日であり、技術的に最も実現可能な用量である。
ラット毒性学的研究において、6週間、0、3.47、7.33及び16.2mg/kg/日の用量を日常的に投与する。40頭の対照動物及び20頭の高用量及び低用量イヌ群は、追加的に2週間、服用からの回復期間を取る。日常的に該動物の臨床兆候をモニタリングし、該動物の臨床的症状をモニタリングするために、末梢血を採取する。服用の最後に、安楽死させた動物について完全な組織病理学的試験を実行する。前記回復動物は、その2週間後に殺して試験する。ラットにおいて6週間、3.47、7.47、7.33及び16.2の服用レベルで、鼻のみから投与を行う間の本発明に係るDHEAS懸濁物の投与は、一時的かつ用量依存的な食欲減衰をもたらし、そして16.2mg/kg/日に晒された高用量の雄において、一時的な体重増加の阻害を示す。これらの知見は、回復期間の終了時点では現れない。いかなる用量レベルにも、薬物に起因する毒物病理学的知見は認められない。よって、本研究のNOAEL(無毒性量)は16.2mg/kg/日であり、技術的に最も実現可能な用量である。
中枢神経系、心臓血管系又は呼吸器系において、この新しい懸濁製剤による処置に起因する急性の副作用は認められない。
両方の種類において、DHEAS及びDHEAの服用前レベルは測定不能である。イヌ高用量群において、DHEASの6週間の投与の後、内性的レベルの数百倍となるが、DHEAでは増大は認められない。ラットのDHEAS高用量群において、内性的レベルの数千倍となり、また、DHEA高用量群においても、内性的レベルの数百倍となる。
実施例8−定常状態服用後の本発明に係る懸濁製剤と乾燥粉末吸入(DPI)製剤との間の全身的曝露の比較
上記ラット及びイヌの毒性学的研究において、全身曝露が測定された。そのデータを、表2に示す。送達用量は、ラット及びイヌのいずれにおいても、乾燥粉末製剤と比較して、本懸濁製剤において著しく高い。しかしながら、いずれのケースにおいても、全身曝露は、DHEAS及びDHEAの乾燥粉末製剤における場合よりも、懸濁製剤の場合の方が低い。これらのデータは、本発明に係る懸濁製剤は、試験された従来の製剤よりも、より効果的に送達されることを示す。これらの結果の一つの解釈は、懸濁製剤の粒子サイズが減少すると、口腔咽頭の沈着が減少し、それにより全身的吸収及び曝露が減少することである。ヒトの臨床研究において、同様の結果が観察されることが期待される。
Figure 2010538081
実施例9−本発明に係る製剤の有効性を実証するヒト臨床試験
本臨床研究の第一の目的は、本発明に係るDHEAS懸濁物の1日1回の投与が、低用量吸入コルチコステロイド(ICS)及び持続性ベータ−アゴニスト(LABA)で制御不能な患者における喘息制御を改善し得るか否かを判定することである。
本研究の第二の目的は、ICS+LABAで制御不能な中等乃至重度の持続性喘息の患者において、ICS+LABA及び偽薬の投与を続ける場合と、1日1回のDHEAS懸濁物の噴霧組成物を投与する場合の安全性、薬物動態及び耐容性を記載することである。
第一のエンドポイントは、本発明に係る懸濁物群と偽薬群との間での比較を用いた、6週間の処理期間を通じての、喘息管理質問票(ACQ)におけるベースラインからの変化である。
第二のエンドポイントは、PEFRのモニタリング、トラフFEV1、喘息QOL質問票(AQLQ)、離脱の割合(proportion of withdrawal)の変化、並びに安全性のためのホルモンレベル及び骨ターンオーバーの変化である。他の予備解析が実施される。
これは、本発明に係るDHEAS懸濁物対偽薬の1日1回の投与の、無作為化、二重盲検、並行群研究である。本研究の導入期(run−in phase)は、ICS用量の二段階減少に対しLABA用量を定常状態に維持することを特徴とする。導入期の間に、患者は日常基準での症状及びピークフロー値を評価する。5週間の導入期の最後に、内分泌安全性パラメーターの24時間血清プロフィール並びにDHEA及びDHEASの血清プロフィールを患者から採取する。骨代謝の血清マーカーと同様に、朝の血清コルチゾールレベル及び24時間の尿中コルチゾールを判定する。全ての訪問(visit)について、ACQを評価する。適格者であるためには、導入期の最後に、予想されるFEV1%が50%を上回らなければならず(ベータ−アゴニスト不使用)、そして無作為化前2週間のACQスコアが少なくとも2でなければならない。適格者患者を、6週間の期間中、の1日2回のSeretide(登録商標)Accuhaler 100/50(本研究の期間中継続する)1吹きに加え、eFlow噴霧器を使用した1日1回20mg(肺用量)のDHEAS懸濁物又は偽薬のいずれかを適用されるように無作為化する。
無作為化の後、患者は毎週、暫定安全性及び有効性調査、並びにトラフ病院内FEV1及びPEFR判定並びにACQ評価を返却する。研究の間、患者は、電子ピークフローメーター/症状日誌上に、1日2回ピークフロー及び症状をモニタリングする。訪問9において、AQLQが再び試行される。処置期間の終了時点で、DHEA及びDHEASにおける内分泌安全性パラメーターの24時間血清プロフィールが患者から取得される。骨代謝の血清マーカーと同じく、朝血清コルチゾールレベル及び24時間尿中コルチゾールを判定する。AQLQは、処置期間の最後に試行される。
標的患者集団は、スクリーニング前の少なくとも3ヶ月にかけて、800μg超のブデソニド+LAVA又は1000μg/日のフルチカゾン+LABAのいずれかを安定服用した、症状的に中等度乃至重度の持続的喘息である。患者は、救助ベータ−アゴニスト(rescue beta− agonist)を除き、他の抗喘息医薬を何も摂取していない。
主要な適格基準
・年齢が18〜65歳の中等度乃至重度の持続性喘息患者であること。
・患者は、スクリーニング時点で、気管支拡張剤を控えた後に(即効性ベータ−アゴニストにおいては少なくとも6時間、持続性ベータ−アゴニストにおいては少なくとも12時間)、予想される病院内FEV1が60%を超えていなければならない。
・患者の喫煙暦は、10箱未満でなければならない。
・患者は、スクリーニングの前に、少なくとも3ヶ月にわたり、少なくとも用量800μg/日のブデソニド+LABA又は少なくとも1,000μg/日のフルチカゾン+LABAの吸入コルチコステロイドを服用しなければならない。
・患者は、経口グルココルチコイド(洗い落とし3ヶ月)、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(洗い落とし2週間)、全身性抗IgE療法(洗い落とし6ヶ月)、カルシウムサプリメント、SERM(Evista等)、ビスホスホネート、カルシトニン、テストステロン補充療法又はテストステロンアンタゴニスト療法に付されていない。
・患者は、必要に応じて即効性ベータアンタゴニストを研究期間中服用し得る。
・女性患者は、2つの許容される避妊方法の使用を受け入れ、又は閉経若しくは外科的な不妊後少なくとも1年経過していなければならない。患者が経口避妊薬又はホルモン補充療法を受けているのであれば、研究期間中該治療を継続し得る。
有効性及び安全性エンドポイントについて、DHEAS懸濁物と偽薬との間には、変化の群交差比較(cross group comparison)が存在する。
一次比較は、本発明に係るDHEAS懸濁物と偽薬(無作為化期間前1週間として定義される)との間の、ベースライン(ベースライン期間中の無作為化前1週間として定義される)から処理期間終了時点のACQまでの喘息管理質問票の変化である。差異の解析におけるACQスコアのベースラインからの変化の標準偏差は、1.0と見積もられる。ACQのベースラインからの変化の母標準偏差が1.0であるとすると、214の無作為化した対照は、0.5の相異を検出するのに、2標本t検定において90%の検出力を達成する必要がある。ACQにおける0.5単位の相異は、臨床的関連性があるものとみなされる。
利点
eFlow(登録商標)装置を用いて送達される本発明に係るDHEAS懸濁物は、以下の理由により有効性の向上をもたらすことが期待される以下の利益を有する:
・本懸濁製剤は、最少有効用量の約4倍である17〜20mgの肺用量を送達する。
・eFlow(登録商標)は、患者の吸気努力に依存せず、気道下部に高濃度の薬物を確実に送達する。
・本新規懸濁組成物の粒子サイズが減少したことにより、中咽頭を回避して、全身性吸収を減少させ、そして風味の問題(taste issues)を減少し得る。
・eFlow装置はバッテリー駆動であり、4分以内に有効な肺用量を送達する高効率の噴霧器である。
・同じく、eFlow装置及び懸濁製剤は、1)ジェット噴霧器/溶液製剤の組合せ及び2) Cyclohaler/DPIの組合せよりも、患者の簡便性及び許容性において顕著な改善を示す。
・送達用量が増大する一方で、本懸濁製剤は、毒性学的研究において、イヌ及びラットにおける全身曝露の減少をもたらす。
本明細書中には、本発明の好ましい態様が示されているが、当業者であれば、これらの態様が例示のみを目的として提供されていることは明白なはずである。当業者であれば、本発明から逸脱すること無く、多くの変法、改変、及び置換を想到し得る。本明細書に記載される発明の態様の様々な代替が本発明の実施において採用され得ることを理解されたい。以下の請求項は、本発明の範囲を規定しており、これらの請求項の範囲内の方法及び構造(structure)並びにそれらの均等物が、本発明の範囲内にあることが意図される。

Claims (96)

  1. 二価カチオン及びDHEASの水性懸濁物を含む、吸入用組成物。
  2. 前記二価イオンが、アルカリ土類金属を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記二価イオンが、医薬として許容される水溶性の塩の形態のマグネシウムを含む、請求項1に記載の組成物。
  4. 二価カチオンのDHEASに対するモル比が約0.5〜5である、請求項1に記載の組成物。
  5. 二価カチオンのDHEASに対するモル比が約0.25〜4である、請求項1に記載の組成物。
  6. 二価カチオンのDHEASに対するモル比が約0.75〜1.25である、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記懸濁物中のDHEASの量が約0.5重量%〜10重量%である、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記懸濁物中のDHEASの量が約1重量%〜10重量%である、請求項1に記載の組成物。
  9. 前記懸濁物中のDHEASの量が約2重量%〜5重量%である、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記懸濁物中のDHEASの量が約3.5重量%である、請求項1に記載の組成物。
  11. 更に賦形剤を含む、請求項1に記載の組成物。
  12. 前記賦形剤が、糖又は糖アルコールを含む、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記賦形剤が、キシリトール又はマンニトールを含む、請求項11に記載の組成物。
  14. 更に甘味料を含む、請求項1に記載の組成物。
  15. 前記甘味料が、サッカリンナトリウム又はアスパルテームを含む、請求項14に記載の組成物。
  16. 更に香料を含む、請求項1に記載の組成物。
  17. 前記香料が、レボメントール(levomenthol)を含む、請求項16に記載の組成物。
  18. 更に保存料を含む、請求項1に記載の組成物。
  19. 前記保存料が、メチル、エチル、又はプロピル−4−ヒドロキシベンゾエートを含む、請求項18に記載の組成物。
  20. 更に乳化剤又は界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
  21. 前記乳化剤又は界面活性剤が、ビタミンE−TPGSである、請求項20に記載の組成物。
  22. 更に、前記組成物のpHを約5〜約8に調整するための、医薬として許容される緩衝剤を含む、請求項1に記載の組成物。
  23. 前記医薬として許容される緩衝剤が、前記組成物のpHを約6〜約7.5の範囲内に調整するために含まれる、請求項22に記載の組成物。
  24. DHEASの塩を含み、ここでDHEA−Sの対イオンが、二価のカチオンを含む、吸入用組成物。
  25. 前記二価イオンが、アルカリ土類金属を含む、請求項24に記載の組成物。
  26. 前記二価イオンがマグネシウムを含む、請求項24に記載の組成物。
  27. 二価カチオンのDHEASに対するモル比が、約0.5〜5である、請求項24に記載の組成物。
  28. 二価カチオンのDHEASに対するモル比が、約0.25〜4である、請求項24に記載の組成物。
  29. 二価カチオンのDHEASに対するモル比が、約0.75〜1.25である、請求項24に記載の組成物。
  30. 更に賦形剤を含む、請求項24に記載の組成物。
  31. 前記賦形剤が、糖又は糖アルコールを含む、請求項30に記載の組成物。
  32. 前記賦形剤が、キシリトール又はマンニトールを含む、請求項30に記載の組成物。
  33. 更に甘味料を含む、請求項24に記載の組成物。
  34. 前記甘味料がサッカリンを含む、請求項33に記載の組成物。
  35. 更に香料を含む、請求項24に記載の組成物。
  36. 前記香料が、レボメントールを含む、請求項35に記載の組成物。
  37. 更に保存料を含む、請求項24に記載の組成物。
  38. 前記保存料が、メチル、エチル、又はプロピル−4−ヒドロキシベンゾエートを含む、請求項37に記載の組成物。
  39. 更に乳化剤又は界面活性剤を含む、請求項24に記載の組成物。
  40. 前記乳化剤又は界面活性剤が、ビタミンE−TPGSである、請求項39に記載の組成物。
  41. 更に、前記組成物のpHを約5〜約8に調整するための、医薬として許容される緩衝剤を含む、請求項24に記載の組成物。
  42. 前記医薬として許容される緩衝剤が、前記組成物のpHを約6〜約7.5の範囲内に調整するために含まれる、請求項41に記載の組成物。
  43. 噴霧式水性製剤を作製又は製造する方法であり;
    第一の水性液中にDHEASを混合し;
    第二の水性液中に二価カチオンを含む化合物を混合し:そして
    上記2つの水性液を組み合わせてDHEASの懸濁物を形成する
    工程を含む、前記方法。
  44. 更に、前記DHEASの懸濁物をホモジナイズする工程を含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記二価カチオンがアルカリ土類金属である、請求項43に記載の方法。
  46. 前記二価カチオンがマグネシウムである、請求項45に記載の方法。
  47. 前記二価カチオンを含む化合物が塩化マグネシウムである、請求項43に記載の方法。
  48. 更に、前記第一の水性液中に、前記第二の水性液中に、又は第一及び第二の水性液のいずれにも賦形剤を混合することを含む、請求項43に記載の方法。
  49. 前記賦形剤がキシリトール又はマンニトールを含む、請求項48に記載の方法。
  50. 更に、前記第一の水性液中に、前記第二の水性液中に、又は第一及び第二の水性液のいずれにも甘味料を混合することを含む、請求項43に記載の方法。
  51. 前記甘味料がサッカリンを含む、請求項50に記載の方法。
  52. 更に、前記第一の水性液中に、前記第二の水性液中に、又は第一及び第二の水性液のいずれにも香料を混合することを含む、請求項43に記載の方法。
  53. 前記香料がレボメントールを含む、請求項52に記載の方法。
  54. 更に、前記第一の水性液中に、前記第二の水性液中に、又は第一及び第二の水性液のいずれにも保存料を混合することを含む、請求項43に記載の方法。
  55. 前記保存料が、メチル、エチル、又はプロピル−4−ヒドロキシベンゾエートを含む、請求項54に記載の方法。
  56. 更に、前記第一の水性液中に、前記第二の水性液中に、又は第一及び第二の水性液のいずれにも乳化剤又は界面活性剤を混合することを含む、請求項43に記載の方法。
  57. 前記乳化剤又は界面活性剤がビタミンE−TPGSである、請求項56に記載の方法。
  58. 前記第一の水性液が塩基である、請求項43に記載の方法。
  59. 更に、前記第一の水性液にHClを添加することを含む、請求項43に記載の方法。
  60. 更に、前記第一の水性液と第二の水性液を混合することにより形成される懸濁物をホモジナイズすることを含む、請求項43に記載の方法。
  61. 水性組成物を作製する方法であり;
    第一の水性液中に、DHEASナトリウム塩、賦形剤、保存料、甘味料、乳化剤及び香料を混合し;
    第二の水性液中に、塩化マグネシウムを含む化合物を混合し;
    上記2つの水性液を組み合わせてDHEASの懸濁物を形成する
    工程を含む、前記方法。
  62. 前記賦形剤がキシリトール又はマンニトールを含む、請求項61に記載の方法。
  63. 前記保存料が、メチル、エチル、又はプロピル−4−ヒドロキシベンゾエートを含む、請求項61に記載の方法。
  64. 前記甘味料がサッカリンである、請求項61に記載の方法。
  65. 前記乳化剤がビタミンE−TPGSである、請求項61に記載の方法。
  66. 前記香料がレボメントールである、請求項61に記載の方法。
  67. 前記第一の水性液と第二の水性液を組み合わせる工程が、第一の水性液に第二の水性液を、制御可能な方式で添加することを含む、請求項61に記載の方法。
  68. 水性懸濁物であり;
    第一の水性液中に、DHEASを混合し;
    第二の水性液中に、二価カチオン含む化合物を混合し;そして
    上記2つの水性液を組み合わせてDHEASの懸濁物を形成する
    工程を含むプロセスから形成された、前記水性懸濁物。
  69. 前記二価イオンがアルカリ土類金属を含む、請求項68に記載の水性懸濁物。
  70. 二価イオンがマグネシウムを含む、請求項68に記載の水性懸濁物。
  71. 二価カチオンのDHEASに対するモル比が約0.5〜5である、請求項68に記載の水性懸濁物。
  72. 二価カチオンのDHEASに対するモル比が約0.25〜4である、請求項68に記載の水性懸濁物。
  73. 二価カチオンのDHEASに対するモル比が約0.75〜1.25である、請求項68に記載の水性懸濁物。
  74. 前記懸濁物中のDHEASの量が約0.5重量%〜20重量%である、請求項68に記載の水性懸濁物。
  75. 前記懸濁物中のDHEASの量が約1重量%〜10重量%である、請求項68に記載の水性懸濁物。
  76. 前記懸濁物中のDHEASの量が約2重量%〜5重量%である、請求項68に記載の水性懸濁物。
  77. 前記懸濁物中のDHEASの量が約3.5重量%である、請求項68に記載の水性懸濁物。
  78. 更に賦形剤を含む、請求項68に記載の水性懸濁物。
  79. 前記賦形剤が、糖及び糖アルコールを含む、請求項78に記載の水性懸濁物。
  80. 前記賦形剤が、キシリトール又はマンニトールを含む、請求項79に記載の水性懸濁物。
  81. 更に甘味料を含む、請求項68に記載の水性懸濁物。
  82. 前記甘味料が、サッカリンを含む、請求項81に記載の水性懸濁物。
  83. 更に香料を含む、請求項68に記載の水性懸濁物。
  84. 前記香料が、レボメントール(levomenthol)を含む、請求項83に記載の水性懸濁物。
  85. 更に保存料を含む、請求項68に記載の水性懸濁物。
  86. 前記保存料が、メチル、エチル、又はプロピル−4−ヒドロキシベンゾエートを含む、請求項85に記載の水性懸濁物。
  87. 更に乳化剤又は界面活性剤を含む、請求項68に記載の水性懸濁物。
  88. 前記乳化剤又は界面活性剤が、ビタミンE−TPGSである、請求項87に記載の水性懸濁物。
  89. 更に、前記水性懸濁物のpHを約5〜約8に調整するための、医薬として許容される緩衝剤を含む、請求項68に記載の水性懸濁物。
  90. 前記医薬として許容される緩衝剤が、前記水性懸濁物のpHを約6〜約7.5の範囲内に調整するために含まれる、請求項89に記載の水性懸濁物。
  91. 浸透圧が200〜500mosmol/kgである、請求項68に記載の水性懸濁物。
  92. 動物を処置する方法であり;
    通常用量の50%を超える用量を放出し得る噴霧器を用いて、請求項1〜42に記載の組成物を、放出された組成物の50%以上が、直径約5μm以下の液滴を含むように噴霧する
    ことを含む、前記方法。
  93. 前記放出された用量が、マウスピース又はフェイスマスク越しに放出される用量である、請求項92に記載の方法。
  94. 前記放出された組成物の空気動力学的中央粒子径(MMAD)が約2〜約5μmである、請求項92に記載の方法。
  95. 前記放出された組成物空気動力学的中央粒子径(MMAD)が約3〜約4μmである、請求項92に記載の方法。
  96. 前記放出された組成物の幾何学的標準偏差(GSD)が約2未満である、請求項94又は95に記載の方法。
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