JP2010536069A - 動的自動立体視ディスプレイ - Google Patents

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Abstract

ディスプレイデバイスを用いて、動的自動立体視ディスプレイにおいて表示機能を提供することができることが分かっている。1若しくは複数のディスプレイデバイスが、1若しくは複数の適切なコンピュータデバイスに接続されている。これらのコンピュータデバイスは、ディスプレイデバイスへの自動立体画像データの伝達を制御する。例えば直接的にまたは或る光伝達デバイスを介してディスプレイデバイスに結合されたレンズアレイは、ユーザが動的自動立体画像データを見ることができるように自動立体画像データの適切な調整を提供する。
【選択図】図2

Description

米国政府は、本発明の一括払いライセンスと、限られた条件においてのみ、DARPAとの間に結ばれたNo.NBCHC050098契約の条件によって定められる妥当な条件で他者に使用許可を与えるように特許権者に対して要求する権利とを有する。本願は、合衆国法典第35巻第119条(e)に基づき2006年3月15日に出願された米国仮出願第60/782、345号(発明の名称:「アクティブ自動立体視発光型ディスプレイ」、発明者:Mark E. Lucente等)の優先権を主張する2007年3月15日に出願された米国特許第11/724、832号(発明の名称:「動的自動立体視ディスプレイ」、発明者:Mark E. Lucente等)の一部継続出願である。
本発明は、一般的に自動立体視ディスプレイ(autostereoscopic display)の分野に関し、より詳細には動的に更新可能な自動立体視ディスプレイに関する。
観察者が特別な眼鏡類をかける必要がないように、立体画像作成(ステレオ分離)の作業がディスプレイ装置において行われるグラフィカルディスプレイは、自動立体視的と呼ぶことができる。観察者の位置が空間内の或る位置に固定される限りにおいて観察者の左右の目に互いに異なる画像を提示するディスプレイが数多くの開発されてきた。これらのほとんどは、微細な垂直回折格子またはレンチキュラレンズアレイがディスプレイスクリーンの正面に置かれる視差バリア方式の変形である。観察者の視線が空間内の或る一定位置に固定されたままであれば、片方の目が回折格子またはレンズアレイを介して特定のピクセル群のみを見ることができ、その間にもう片方の目は別のピクセル群のみを見る。
予備的なホログラムを作り出す従来のステップを用いずにホログラフィック記録材料にホログラムを良好に記録するために、ワンステップのホログラム(ホログラフィック立体画像を含む)作成技術が用いられてきた。コンピュータ画像ホログラム及び非コンピュータ画像ホログラムの両方が、そのようなワンステップ技術によって作成することができる。或るワンステップシステムでは、物体のコンピュータ処理画像または物体のコンピュータモデルは、ワンステップシステムが、要素的なホログラムまたはホーゲル(hogel)として知られている多数の連続的な小さな要素的ピースからホログラムを構築することを可能にする。各ホーゲルをホログラフィック記録材料に記録するためには、一般的には、物体光を、レンダリングされた画像を表示する空間光変調器(SLM)を通過させるか或いはSLMから反射させ、その後に参照光と干渉させる。ワンステップホログラム作成の技術の例は、米国特許第6,330,088号明細書(特許文献1)(発明の名称:「ワンステップ、フルカラー、フルパララックスのホログラム立体画像を記録するための方法及び装置」、発明者:Michael A. Klug、Mark E. Holzbach及びAlejandro J. Ferdman)に記載されている。
様々なホログラフィック立体画像ディスプレイなどの様々な従来技術の自動立体視ディスプレイは、事実上静的である。すなわち、表示した画像ボリュームを動的に更新することはできない。また、或る意味においては動的とも言えるタイプの既存の自動立体視ディスプレイには、複数のユーザによる使用性が限定されている、画質が悪い、フリンジ領域効果が生じるなどの種々の欠点がある。
よって、従来技術の上述の欠陥を克服するために、動的自動立体視ディスプレイを作成し、表示し、かつインタラクションを行うための改良されたシステム及び方法を有することが望ましい。
米国特許第6,330,088号明細書 米国特許第6,868,177号明細書 米国特許出願第09/474,361号明細書 米国特許第6,549,308号明細書 米国特許第6,721,101号明細書
Michael W. Halle, "The Generalized Holographic Stereogram," Master's Thesis, Massachusetts Institute of Technology, February 1991 M. Halle and A Kropp, "Fast Computer Graphics Rendering for Full Parallax Spatial Displays," Practical Holography XI, Proc. SPIE, vol. 3011, pages 105-112, Feb. 10-11, 1997 M. Levoy and P. Hanrahan in "Light Field Rendering," in Proceedings of SIGGRAPH'96, (New Orleans, La., Aug. 4-9, 1996), and in Computer Graphics Proceedings, Annual Conference Series, pages 31-42, ACM SIGGRAPH, 1996 T.A. Leskova et al. Physics of the Solid State, May 1999, Volume 41, Issue 5, pp. 835-841
様々なディスプレイデバイスを用いて動的自動立体視ディスプレイにおいて表示機能を提供することができることが分かっている。或る実施形態では、1若しくは複数の発光型ディスプレイデバイスが、1若しくは複数の適切なコンピュータデバイスに接続されている。これらのコンピュータデバイスは、発光型ディスプレイデバイスへの自動立体画像データの伝達を制御する。例えば直接的にまたは或る光伝達デバイスを介してディスプレイデバイスに結合されたレンズアレイは、ユーザが動的自動立体視画像を見ることができるように自動立体画像データの適切な調整を提供する。レンズアレイにおけるレンズ間の溝が、レンズを互いに光学的に隔離するのに使用されることができる。或る実施形態では、コンピュータデバイスは、幾何学的形状及び命令データを受け取り、ホーゲルベースのデータを生成するグラフィックスモジュールと、前記ホーゲルベースデータを受信し、ディスプレイデータのフレームをバッファリングするように構成された少なくとも1つの処理装置と、前記少なくとも1つの処理装置に接続された、かつホーゲルベースの画像を表示するように構成された少なくとも1つの空間光変調器とを有するグラフィックカードを備える。エッジ効果を除去するために、ディスプレイデバイスに表示された画像を拡大して表示した画像の見掛け上の継ぎ目を除去するために、リレーレンズが使用される。
添付図面を参照することによって、当業者は、本願の内容をよりよく理解するであろうし、様々な目的、機能及び利点が明らかになるであろう。
動的自動立体視ディスプレイシステムのブロック図。 動的自動立体視ディスプレイモジュールの一例を示す。 動的自動立体視ディスプレイモジュールに使用可能な光ファイバテーパの一例を示す。 動的自動立体視ディスプレイモジュールに使用可能な束ねられた光ファイバシステムの一例を示す。 動的自動立体視ディスプレイモジュールに使用可能な束ねられた光ファイバシステムの一例を示す。 動的自動立体視ディスプレイモジュールに使用可能な束ねられた光ファイバシステムの一例を示す。 動的自動立体視ディスプレイモジュールに使用可能な束ねられた光ファイバシステムの別の例を示す。 動的自動立体視ディスプレイモジュールに使用可能な束ねられた光ファイバシステムの別の例を示す。 動的自動立体視ディスプレイモジュールに使用可能な複数素子レンズレットシステムの一例を示す。 光ファイバテーパまたは光ファイバ束が用いられていない動的自動立体視ディスプレイモジュールの一例を示す。 動的自動立体視ディスプレイモジュールにおける光学拡散板の使用を示す。 動的自動立体視ディスプレイモジュールにおける光学拡散板の使用を示す。 動的自動立体視ディスプレイモジュールにおける光学拡散板の使用を示す。 動的自動立体視ディスプレイモジュールにおける光学拡散板のさらに別の使用を示す。 空間光変調器にデータを提供するのに使用されるディスプレイカードの一実施形態を示す。 隣接するモジュール間の見掛け上の継ぎ目を低減させるためのシステムの一実施形態を示す。 レンズレットアレイのマイクロ溝の一実施形態を示す。 レンズレットアレイの別の実施形態を示す。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。この説明は本発明の例示を意図するものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
本願は、アクティブまたは動的な自動立体視ディスプレイの種々の実施形態及びその使用及び実施のための技術を開示する。全方向視差3次元発光型電子ディスプレイ(及び代わりに水平方向のみに視差を持つディスプレイ)は、高解像度2次元発光型画像供給源を適切な光学素子と組み合わせることにより構成される。前記高解像度2次元画像供給源にコンピュータグラフィックス画像データを供給するために、1若しくは複数のコンピュータ処理装置が用いられ得る。一般的に、種々様々なタイプの発光型ディスプレイを用いることができる。発光型ディスプレイは、一般的に、ディスプレイ自体が光を生成する幅広いカテゴリーのディスプレイ技術を指し、電子発光ディスプレイ、電界放出ディスプレイ、プラズマディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、カーボンナノチューブディスプレイ、及びポリマーディスプレイを含む。対照的に、非発光型ディスプレイは、別個の外部光源(例えば、液晶ディスプレイの場合のバックライト)を必要とする。
本願に記載のホーゲル(様々に「アクティブ」または「動的な」ホーゲル)は、ホログラフィック記録材料に記録されるフリンジ(干渉縞)ではないという点において、ワンステップホログラムホーゲルと同様のものではない。その代わりに、本願のアクティブホーゲルは、組み合わせたときに合成の自動立体視画像を観察者に提示するように適切に処理された画像(または画像の一部)を表示する。したがって、特許文献1に開示されている、ホーゲルデータを生成するための種々の技術は、本願に適用可能である。画像ベースレンダリング技術を含む他のホーゲルデータ及びコンピュータグラフィックスレンダリング技術が、本願のシステム及び方法と共に用いられることができる。それらのレンダリング技術のホログラフィー及び自動立体視ディスプレイの分野への適用が、例えば、米国特許第6,868,177号明細書(特許文献2)に記載されている。ソース画像を生成するための様々な他の技術が、当業者に公知であろう。
図1は、動的自動立体視ディスプレイシステム100の一例のブロック図を示している。様々なシステム構成要素が以下に詳細に説明される。なお、このシステムデザインの数多くの変形形態(要素の追加、特定の図示要素の除外を含む)が考えられる。動的自動立体視ディスプレイシステム100の中心には、表示ボリューム115によって示される動的自動立体視画像を生成する1若しくは複数の動的自動立体視ディスプレイモジュール110が含まれる。これらのモジュールは、発光型モジュールまたはディスプレイを用いてホーゲル画像を装置のユーザに提示する。一般的に、種々様々なタイプの発光型または非発光型ディスプレイを用いることができる。発光型ディスプレイは、一般的に、ディスプレイ自体が光を生成する幅広いカテゴリーのディスプレイ技術を指し、電子発光ディスプレイ、電界放出ディスプレイ、プラズマディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、カーボンナノチューブディスプレイ、及びポリマーディスプレイ(例えば、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなど)を含む。対照的に、非発光型ディスプレイは、外部光源(例えば、液晶ディスプレイの場合のバックライト)を必要とする。動的自動立体視ディスプレイモジュール110は、典型的には、詳細については後述する他の光学部品及び構成部品を含む。発光型変調器(SLM)に加えて、様々なタイプの変調器を用いることができる。様々な実施形態において、非発光型変調器は、発光型変調器よりもコンパクトでない場合がある。例えば、SLMは、次の技術:電気光学(例えば液晶)透過型ディスプレイ;微小電気機械(例えばTI DLPを含むマイクロミラー装置)ディスプレイ;電気光学反射型(例えばシリコン基板上に載せた反射型液晶(LCoS))ディスプレイ;磁気光学ディスプレイ;音響光学ディスプレイ;及び光学的アドレシングデバイスを用いて作製され得る。
動的自動立体視ディスプレイモジュール110に使用される発光型ディスプレイデバイスの各々は、1若しくは複数のディスプレイドライバ120によって駆動される。ディスプレイ・ドライバ・ハードウェア120は、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)、フレームバッファ、高速メモリ及びハードウェアなどの専用グラフィックス・プロセッシング・ハードウェアを含むことができ、必要な信号(例えばVESAに準拠したアナログRGB信号、NTSC信号、PAL信号、及び他のディスプレイ信号フォーマット)を発光型ディスプレイに供給することができる。ディスプレイ・ドライバ・ハードウェア120は、適切に迅速なディスプレイ・リフレッシュを提供することによってディスプレイ全体を動的にする。ディスプレイ・ドライバ・ハードウェア120は、必要に応じて、専用ディスプレイドライバを含む様々なタイプのソフトウェアを実行し得る。
ホーゲルレンダラ130は、3D画像データ135を用いて、ディスプレイモジュール110上に表示するためのホーゲルを生成する。或る実施形態では、3D画像データ135には、仮想現実周辺ネットワーク(virtual reality peripheral network:VRPN)データが含まれ、これは、ディスプレイ環境において周辺装置とインターフェーシングするために或る装置非依存性及びネットワーク透明性を用いる。それに加えて、或いはその代わりに、3D画像データ135は、観察者の集団によって持ち運ばれる複数の検出器からなどのライブ・キャプチャ・データまたは分散データ・キャプチャを用いることができる。ソースデータの複雑さ、特定のディスプレイモジュール、動的ディスプレイの所望レベル、及びディスプレイとのインタラクションのレベルに応じて、多種多様なホーゲルレンダリング技術を用いることができる。ホーゲルは、リアルタイム(またはほぼリアルタイム)でレンダリングするか、後ほど表示するために前もってレンダリングしておくか、或いは、両者を組み合わせて行うことができる。例えば、全システムにおける特定のディスプレイモジュールまたは全表示ボリュームの一部は、リアルタイム・ホーゲルレンダリング(最大ディスプレイ・アップデート性を提供する)を利用することができ、その一方で他のディスプレイモジュールまたは画像ボリュームの別の一部は、前もってレンダリングしたホーゲルを用いることができる。
水平方向のみに視差を持つ(HPO)ホログラフィック立体画のためのホーゲルの生成に関連する歪みが非特許文献1において分析されている。一般的に、HPOホログラフィック立体画(及び他のHPO自動立体視ディスプレイ)の場合、観察者が歪んでいない画像を見ることができる最も良い観察者位置は、カメラ(またはコンピュータグラフィックス画像の場合はカメラモデル)がシーンをキャプチャした平面にある。これは、自動立体視ディスプレイの見易さに関しては望ましくない制約である。幾つかの異なる技術を用いて、観察者が自動立体視ディスプレイに対してカメラと同じ深度にいないときに生じる歪みを補償することができる。アナモルフィックな物理的カメラは、標準球面レンズを円筒型レンズと組み合わせることにより、或いは、2つの互いに交差させた円筒型レンズを用いることにより作製することができる。これらの光学素子を用いて、立体画像における水平方向及び垂直方向の細部を独立して調節することができ、それによって歪みの発生を防止する。本願の動的ディスプレイは、一般的には、コンピュータグラフィックスデータ(3Dモデルから生成されるか、或いは種々の既知の技術を用いてキャプチャされるかのいずれか)を用いるので、物理的な光学素子の代わりにコンピュータグラフィックス技術が用いられる。
コンピュータグラフィックスカメラの場合、水平方向及び垂直方向の独立性は、パース値を、他の方向に影響を及ぼすことなく一方向において変更可能であることを意味する。そのうえ、自動立体視画像の生成に用いられる画像ソースは通常はレンダリングされたコンピュータグラフィックス画像(またはキャプチャされたデジタル画像データ)であるので、画像生成プロセスの一部として歪みを補正することは一般的な技術である。例えば、レンダリングされたコンピュータグラフィックス画像を、(例えば、コンピュータグラフィックスモデルがシーンとコンピュータグラフィックスカメラとの間に光学素子を含むようなレイトレーシングを用いて)上記の物理的光学素子を介して見えるようにレンダリングすることができれば、歪みの主な原因となるホーゲル画像を直接的にレンダリングすることができる。レイトレーシングが実用的でない場合(例えばレンダリング速度またはデータセットサイズの制約などにより)、ホーゲル画像をレンダリングする別の技術を用いてホーゲル画像を「事前に歪ませる(pre-distort)」ことができる。この技術は、非特許文献2に記載されている。非特許文献2の技術は、速度の面では有用であるが、しばしば追加的な(そして望ましくない)レンダリングアーティファクトをもたらし、アンチエイリアス処理に関連する問題の影響を受け易い。非特許文献2の技術を改良したものが米国特許出願第09/474,361号明細書(特許文献3)(発明の名称:「全方向視差自動立体視ディスプレイ用のレンダリング方法」、発明者:Mark E. Holzbach及びDavid Chen)に論じられている。
ホーゲル画像をレンダリングするさらに別の技術は、水平パース(水平方向のみに視差を持つ(HPO)ホログラフィック立体画像及び全方向視差ホログラフィック立体画像の場合)及び垂直パース(全方向視差ホログラフィック立体画像の場合)が無限遠に置かれているコンピュータグラフィックスカメラを利用する。したがって、レンダリングされた画像はコンピュータグラフィックスシーンの斜平行投象であり、すなわち、各画像は1つの「方向」に対応する1組の平行光線から形成される。もし、そのような画像が、ホログラムプリンタがプリントすることができる方向のそれぞれ(またはそれ以外の方向にも)に対してレンダリングされたら、その画像一式は、ホーゲルの全てを組み立てるのに必要な画像データの全てを含む。この後者の技術は、画像ベースレンダリングを利用してコンピュータグラフィックスレンダリングシステムによって作り出された画像からホログラフィック立体画を作り出すために特に有用である。画像ベースレンダリングシステムは、一般的には、一連の予め取得した像から、異なる周囲ビューを生成する。
一般に、画像ベースレンダリング技術の開発及びこれらの技術のホログラフィー分野への適用は、例えば非特許文献3に記載されているような光フィールドレンダリング(light field rendering)の発展をもたらした。光フィールド(light field)は、全ての可能な方向に沿って3D空間内の全ての点を通過する光の量を表す。光フィールドは、時間、波長、位置及び方向の関数として放射輝度を与える高次元関数によって表されることもできる。光フィールドは画像ベースモデルに関係があるが、その理由は画像が光フィールドの2次元投象であるからである。画像はそのとき、光フィールドを横断する「スライス」として見られることができる。さらに、画像を用いて光フィールドの高次元コンピュータベースモデルを構築することができる。所与のモデルを用いて、モデルを構築するために使われたものとは異なる新たな画像を抽出及び合成することもできる。
形式的には、光フィールドは、全ての可能な方向において、あるシーンで全ての点を通って流れる放射輝度を表す。所与の波長に対して、3D空間における位置(x,y,z)及び光の進行方向(θ,φ)の関数として放射輝度を与える5次元(5D)スカラー関数L(x,y,z,θ,φ)として静的光フィールドを表すことができる。この定義はプレノプティック関数の定義と等しいことに留意されたい。典型的な離散的な(すなわち、実際のコンピュータシステムに実装された)光フィールドモデルは、放射輝度を赤、緑、青の3色として表し、静的な、時間非依存の光フィールドデータのみを考慮するので、光フィールド関数の次元を5次元及び3つの色成分に減らす。光フィールドのモデリングは、それゆえ、3Dデカルト空間における全ての光線の集合がサポートであるような5D関数の処理及び記憶を必要とする。しかし、コンピュータグラフィックスにおける光フィールドモデルは、通常は、光フィールド関数のサポートを4次元(4D)配向線空間(4D oriented line space)に制限する。平面パラメータ表示に基づくものと、球面または等方性のパラメータ表示に基づくものとの2種類の4D光フィールド表現が提唱されている。
米国特許第6,549,308号明細書(特許文献4)に論じられているように、等方性のパラメータ表示は、コンピュータで作ったホログラフィーへの適用に特に有用である。等方性モデル、そして特に方向及び点のパラメータ表示(DPP)は、平面パラメータ表示より少ないサンプリングバイアスを導入することによってサンプル密度の均一性をより高める。一般的に、DPP表示は、必要とする補正因子が他の表現より少なく、それゆえそのパラメータ化はレンダリングプロセスにおいて少ないバイアスを導入するので、利点がある。本願の動的自動立体視ディスプレイに適した種々の光フィールドレンダリング技術は、特許文献4及び特許文献2にさらに記載されている。
超並列アクティブホーゲルディスプレイは、インタラクティブなコンピュータグラフィックスレンダリング・パースの改良型のディスプレイであり得る。軽いデータ群(例えば1から数千の多角形に及ぶ形状)が操作されることができ、1つのGPUグラフィックスカード上で複数のホーゲルビューがリアルタイム速度(例えば10フレーム/秒(fps)、またはそれ以上の速度)でレンダリングされるが、多くの対象データ群はより複雑である。都市地形図はその一例である。そのため、静的地物(例えば、建物、通りなど)が事前にレンダリングされており、かつ再使用される一方で、時間変化要素が迅速にレンダリングされる(例えば都市地形内で動いている車両や人)ようにホーゲルディスプレイのための画像を合成するために、様々な技術を用いることができる。時間変化要素は、必要な要素のみをそれらの要素が動くようなシーンにおいて再レンダリングすることによってシーンを効率的にリフレッシュすることを考慮して、独立的にレンダリングされることができると考えられる。したがって、上述の光フィールドレンダリング技術は、スキャンラインレンダリング技術及びラスタライゼーション技術などの従来の多角形データモデルレンダリング技術と組み合わせることができる。レイキャスティング法、レイトレーシング法などのさらに別の技術を用いることもできる。
このように、ホーゲルレンダラ130及び3D画像データ135には、当業者に理解されるように、種々様々なタイプのハードウェア(例えば、グラフィックスカード、GPU、グラフィックスワークステーション、レンダリングクラスタ、専用レイトレーサなど)、ソフトウェア、及び画像データが含まれ得る。さらに、ホーゲルレンダラ130のハードウェア及びソフトウェアの一部または全部を必要に応じてディスプレイドライバ120と一体化することができる。
システム100には動的自動立体視ディスプレイモジュールの較正(キャリブレーション)を行うための要素も含まれ、そのような要素には、較正システム140(典型的には、1若しくは複数の較正アルゴリズムを実行するコンピュータシステムを含んでいる)、補正データ145(典型的には、1若しくは複数のテストパターンを用いた較正システムでの演算により算出される)、及び、較正プロセス中にディスプレイモジュール110によって生成された実画像、光強度などを検出するために用いられる1若しくは複数の検出器147が含まれる。得られた情報は、ディスプレイモジュール110によって表示される画像を調節するために、ディスプレイ・ドライバ・ハードウェア120、ホーゲルレンダラ130、ディスプレイ制御部150のうちの1若しくは複数によって用いられることができる。
ディスプレイモジュール110の理想的な実装はアクティブホーゲルの完全に規則的なアレイを提供し、各々は、それぞれの発光型ディスプレイデバイスからのホーゲルデータと完全に整合されたアレイが与えられた申し分なく離間した理想的なレンズレットを含む。しかし、実際には、大部分の光学部品には不均一性(歪みを含む)が存在し、完全な整合は、多大の費用をかけなければまれにしか達成することができない。それゆえに、システム100は、典型的には、較正システム140において実行されるソフトウェアを用いて様々な不完全性(例えば、部品の整合、光学部品の品質、発光型ディスプレイ性能の変化など)を補正する能力をディスプレイに与えるための手動、半自動または自動較正プロセスを含むことになる。例えば、自動較正「起動」プロセスでは、ディスプレイシステム(外部センサ147を用いる)は、不整合を検出し、幾何学的考察から推定される補正係数を補正表に投入する。ひとたび較正されると、ホーゲルデータ生成アルゴリズムは、ディスプレイモジュール110の不完全性に予め適合されたホーゲルデータを、補正表を利用してリアルタイムで生成する。
そして、ディスプレイシステム100は、典型的には、ディスプレイ制御ソフトウェア及び/またはハードウェア150を含む。この制御部は、必要に応じてサブシステム制御を含む全システム制御をユーザに提供することができる。例えば、ディスプレイモジュール110を用いて表示された動的自動立体視画像を選択し、ロードし、インタラクションを行うために、ディスプレイ制御部150を用いることができる。制御部150は、同様に、較正の開始、較正パラメータの変更、再較正などに用いられることができる。制御部150は、輝度、色、リフレッシュレートなどを含む基本表示パラメータを調節するために用いられることもできる。図1に示されている要素の多くと同様に、ディスプレイ制御部150は、他のシステム要素に組み込まれるか、或いは別体のサブシステムとして運用することができる。様々な変形形態が当業者には明らかであろう。
図2は、動的自動立体視ディスプレイモジュールの例を示している。動的自動立体視ディスプレイモジュール110は、単一のモジュールにおける光学部品、電気光学部品及び機械部品の配置を示している。これらの基本的構成要素には、光源及び空間光変調器として働く発光型ディスプレイ200、ファイバテーパ210(光伝達系)、レンズレットアレイ220、アパーチャマスク230(例えば、散乱迷光をブロックするように設計された円形アパーチャのアレイ)、支持フレーム240が含まれる。説明を簡素化するために、発光型ディスプレイまでの配線、ディスプレイ・ドライバ・ハードウェア、複数のモジュールを固定するための外部支持構造、及び様々な拡散装置を含む、様々な他の部品が図面から省略されている。
エレクトロルミネセンスディスプレイ、電界放出ディスプレイ、プラズマディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、カーボンナノチューブディスプレイ、及びポリマーディスプレイを含む種々様々なタイプのデバイスが発光型ディスプレイ200として用いられることができるが、後述する例では、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイを取り上げる。発光型ディスプレイは、比較的コンパクトなので特に有用であり、別途の光源(例えば、レーザ、バックライティングなど)を必要としない。ピクセルも、フリンジ領域及び他のアーティファクトが生じることなく、非常に小さくすることができる。変調された光は、非常に精密に(例えば平面状)発生させられることができ、そのようなデバイスをレンズレットアレイと良く合うものにしている。単色及び多色の両構成の、例えばVGA及びSVGA解像度を含む様々な解像度のOLEDマイクロディスプレイアレイが市販されている。そのようなデバイスの例は、米国ワシントン州ベルビュー市所在のイーマージン社(eMagin Corporation)によって製造されている。そのようなOLEDマイクロディスプレイは、単デバイス、比較的コンパクトなデバイスにおいて光源及び変調の両方を与える。OLED技術はまた、急速に進歩しており、特に輝度及び解像度が増すにつれて、将来のアクティブホーゲルディスプレイシステムにおいて活用されることになりそうである。典型的なOLEDデバイスの入力信号は、画素数852×600のアナログである。各OLEDデバイスは、デバイス速度及び解像度のほかに、全自動立体視ディスプレイの所望の解像度にもよるが、ホーゲルの一部、単一ホーゲルまたは複数のホーゲルに対するデータを表示するために用いられることができる。
OLEDアレイが用いられる一部の実施形態では、入力信号は、アナログでありかつ通常とは違う解像度(852×600)を有する。他の実施形態では、デジタル‐OLED接続はより直接になされることができる。しかし、種々の実施形態において、ホーゲルデータアレイは、OLEDデバイスに向かう途中で(1モジュール当たり)6つのアナログ回路を通過することになる。したがって、アライメント及びキャリブレーション(較正)中、各OLEDデバイスは、等しい(または、少なくともほぼ等しい)光レベル及び直線性を有するように調節される(すなわちγ補正)。中間調(グレイレベル)テストパターンは、このプロセスに役立つことができる。
図2に示すように、モジュール110には、互いに極めて近接して配置された6つのOLEDが含まれる。モジュールは、より少ないかまたはより多いマイクロディスプレイを様々に含むことができる。特定のモジュールにおけるマイクロディスプレイ同士(すなわち1つのモジュールから隣のモジュールまで)の相対間隔は、例えば、装置パッケージ及び/またはその上に製作されるプリント基板を含むマイクロディスプレイの大きさに大きく依存する。例えば、ディスプレイ200のドライブエレクトロニクスは小さな積層プリント基板上にあり、このプリント基板は、ファイバテーパ210の真下の限られた空間に収まるほどに十分にコンパクトである。図示されているように、発光型ディスプレイ200は、デバイスパッケージングなどの理由により、ディスプレイの縁部同士を互いに直接隣接して配置することができない。そのため、複数のディスプレイ200から画像を集め、それらを1つのシームレスな(または比較的シームレスな)画像として提示するためにファイバテーパ210などの光伝達系またはライトパイプが用いられる。さらに別の実施形態では、例えばプロジェクタ光学素子、ミラーなどの1若しくは複数のレンズ含む画像伝達システムを用いて、発光型ディスプレイによって生成された画像をディスプレイモジュールの他の部分に伝達することができる。
発光型ディスプレイ200の発光面(「アクティブエリア」)は薄い光ファイバフェースプレート(fiber faceplate)に覆われ、薄い光ファイバフェースプレートは、光を、ぼけがほんの僅かしか生じずかつほとんど散乱することなく、発光型材料から表面へ効果的に伝達する。モジュールの組立て中、ファイバテーパ210の小端部は典型的には光学的に屈折率整合され、発光型ディスプレイ200のフェースプレートに固定される。一部の実施形態では(詳細については後述する)、ファイバテーパファイバー束または他のライトパイプ構造を不要にするために、個別にアドレシング可能な発光型ディスプレイデバイス同士を互いに十分に近接して組み立てるかまたは組み合わせることができる。そのような実施形態では、レンズレットアレイ220を発光型ディスプレイデバイスに極めて近接して配置するか或いは直接取り付けることができる。ファイバテーパはまた、モジュールの光学部品及び電気光学部品を互いに結びつける機械的連結(mechanical spine)を提供する。多くの実施形態では、屈折率整合技術(例えば、屈折率整合流体、屈折率整合接着剤などの使用)を用いて、発光型ディスプレイを適切なライトパイプ及び/またはレンズレットアレイに結合させる。ファイバテーパ210は、多くの場合、発光型ディスプレイ200から放射されたホーゲルデータアレイを拡大(例えば2:1)し、それを光フィールドとしてレンズレットアレイ220へ伝達する。最終的に、レンズレットアレイから放射された光は、散乱迷光をブロックするために、黒色アパーチャマスク230を通過させられる。
各モジュールは、ディスプレイシステムを形成するためにN×Mの格子状に組み立てられるように設計される。サブコンポーネントをモジュール化するのを助けるために、モジュールフレーム240は、ファイバテーパを支持し、ディスプレイ基板(図示せず)上への取付けを提供する。モジュールフレームは、互いに対して平滑となるように機械加工/粗研磨された取付ボスをその特徴として有する。これらのボスは、隣接発光型ディスプレイを形成するように全てのモジュールを配置するために用いられるディスプレイ基板に対する取付面を安定させる。この精密な平面は、モジュールが基板にボルトで留められるときに生じる応力を最小にするのに役立つ。モジュールフレーム240の端部及び側部に沿って形成された切欠部は、モジュール同士の間の通気を提供するのみならず、フレームの平面方向の剛性を小さくし、温度変化によって生じるより小さい応力への対応を保証する。モジュールフレーム間の小さな隙間も、ファイバテーパ束が各モジュールの精密な相対位置を決定することを可能にする。モジュールの底面(取付ボスによって画定される)をファイバテーパ束の面に対して平面に保つために、光学スタック及びモジュールフレームを固定具またはジグを用いて互いに固定することができる。ひとたびそれらの相対位置が固定具によって確立されたら、UV硬化性エポキシ樹脂を用いてそれらのアセンブリを固定することができる。接着線に沿ってサブフレームの中に小さなポケットを形成し、硬化したエポキシ樹脂を固定する役割を果たすようにすることができる。
一般に、機械的支持部の剛性、並びに温度変化及び温度勾配に起因するガラス部品に対する応力への機械的支持部の効果が特別に考慮される。例えば、メインプレートは、低CTE(熱膨張率)材料から製造されることができる。また、側面コンプライアンスがモジュールフレーム自体に組み込まれ、メインプレートへのモジュールの結合剛性を小さくする。上記したこの構造は、内部の傷つきやすいガラス素子を保護する一方で寸法安定性が高くかつ穏やかな温度変化に反応しにくいような、平らで均一なアクティブホーゲルディスプレイ表面を提供する。
上述したように、ホーゲルデータの生成は、典型的には、ディスプレイにおける不整合及び不均一性を補償するための数値補正を含む。生成アルゴリズムは、例えば最初の較正プロセス中に推定された補正係数が投入された補正表を用いる。各モジュールに対するホーゲルデータは、典型的にはその1つのモジュール専用のデジタルグラフィクスハードウェア上で生成されるが、(速度を上げるために)グラフィクスハードウェアのいくつかのインスタンスに分けることができる。同様に、複数のモジュールに対するホーゲルデータを、適切な計算能力が与えられた一般的なグラフィクスハードウェア上で計算することができる。どのように計算されるとしても、ホーゲルデータは、いくつかのストリーム(このケースでは6つ)に分けられ、各モジュール内で6つの発光型装置に及ぶ。この分割は、デジタルグラフィクスハードウェアによってリアルタイムで達成される。このプロセスでは、各データストリームは、(ビデオ帯域幅を有する)アナログ信号に変換され、マイクロディスプレイに入力される前にバイアスされて増幅される。他のタイプの発光型ディスプレイ(または他の信号フォーマット)の場合、適用される信号はデジタル的に符号化され得る。
図2に示されている基本設計は、複数の自蔵型スケーラブルモジュールを利用して、拡張可能であることを強調している。また、モジュールによって表示されるホーゲルと発光型ディスプレイとの間に一対一の対応関係がある必要はない。そのため、例えば、モジュール110は、アクティブホーゲルの小さな出口アレイ(例えば16×18)を有することができ、コンパクトなフットプリントにピクセル伝達及び光学的処理するための構成要素の全てを含み、他のモジュールとの継ぎ目のない組立てを可能にする。概念的には、アクティブホーゲルディスプレイは、3D画像を作成するために(リアルタイムまたはほぼリアルタイムで)光学波面をデジタル的に構築するようにデザインされ、従来のホログラフィーに光学的に記録された再生波面を模倣する。各発光型ディスプレイは、一連のホーゲルデータによって指示されるような(用いられる任意のファイバテーパ/束、レンズレットアレイ、マスキング、及び任意の拡散デバイスに幾分左右される)幅広い方向に放射される光の量を制御することができる。同時に、アクティブホーゲルアレイは、光学波面デコーダとして働き、波面サンプル(ホーゲルデータ)を仮想世界のものから現実世界のものへ変換する。多くの実施形態では、レンズレットは、光を集束させるよりむしろ(非結像光学系に類似した)光をチャネリングするように機能しさえすれば十分である。したがって、レンズレットは、許容できる性能をさらに達成しつつ、比較的安い費用で作製されることができる。
ホーゲルデータを表示するために用いられる技術が何であれ、ホーゲルデータの生成は、例えばサンプリング定理を含む情報理論の多くの規則を概ね満足すべきである。サンプリング定理は、信号(例えば3D画像)をサンプリングし、許容できる忠実度を有する信号に似たものを後で再生するためのプロセスを説明する。アクティブホーゲルディスプレイに適用される場合、プロセスは次の通りである。(1)3D画像を表す(仮想)波面を帯域制限する、即ち各次元における変量を何らかの最大値に制限する、(2)最大変量の1期間当たり2サンプルより大きい間隔で各次元においてサンプルを生成する、そして(3)ステップ(1)で設定された限度に満たない変量しか許容しないローパスフィルタ(またはそれと同等のもの)を用いてサンプルから波面を構築する。
光学波面は、4つの次元、すなわち、2つの空間次元(例えばx及びy)並びに2つの方向次元(例えば波面内の特定の点の方向を表す2Dベクトル)に存在する。これは、各無限小の小さな点(添え字x及びyを付される)がこの点から広範な方向に伝搬する光の量によって説明されるような表面(平面または他の面)であると考えることができる。特定の点での光の挙動は、方向ベクトルの強度関数によって説明される。この方向ベクトルは、多くの場合、k−ベクトルと呼ばれる。方向情報を含む波面のこのサンプルは、ホログラフィック要素(holographic element)の省略であるホーゲル(hogel)と呼ばれ、ホログラフ的にまたは別な方法で作られた光学波面の挙動を説明するホーゲルの能力を踏まえている。そのため、前記波面は、ホーゲルのx−yアレイとして、例えば伝搬方向(k)及び空間広がり(x及びy)の全域の総和SUM[Ixy(kx,ky)]として説明される。
サンプリング定理は、特定の深度及び解像度の3D画像を忠実に表すために必要とされるサンプルの最低数量の決定を可能にする。次の表は、画質(ホーゲル間隔の強い関数)及び最大使用可能画像深度を所与として、90度の全範囲の放射方向を仮定して、ホーゲルデータのための近似の最小サンプル数を与える。
Figure 2010536069
光学系は、光の波長、例えば約0.5ミクロンに等しいスケールでデザインしかつ構築することが難しくなっている。本願の光学変調器は、5〜6ミクロンの小さいピクセルサイズを有するが、約0.5ミクロンのピクセルサイズを有する光学変調器は実用的ではない。電気光学的変調器(例えば液晶SLM)の場合、各ピクセルをアドレシングするために用いられる電場は、一般的には、過度のクロストーク及び不均一性を示す。発光型の光変調器(例えばOLEDアレイ)において、輝度は、小ピクセルサイズによって制限される。0.5ミクロンの方形ピクセルは、一般的には、15ミクロンの方形ピクセルと同じ光パワーを発生させるために900倍大きい放射照度を必要とするであろう。0.5ミクロンのピクセルで実用的な光変調器が作られることができるとしても、当該ピクセルを出射する光は、回折により迅速に発散し、光チャネリングを困難にするであろう。したがって、各ピクセルは、一般的に、変調された光の波長と同程度にすべきである。
アクティブホーゲルディスプレイの様々なアーキテクチャを考慮する際、ホーゲルデータを生成してそれを波面に、そして続いて3D画像に変換する動作は、3つの機能ユニット、すなわち(1)ホーゲルデータジェネレータ、(2)光変調系/伝達系、及び(3)光チャネリング光学素子(例えばレンズレットアレイ、拡散体、アパーチャマスクなど)を用いる。光変調系/伝達系の目的は、ホーゲルデータによって変調される光フィールドを生成することと、この光を、光チャネリング光学素子(通常は、レンズレットの真下の平面)に伝達することである。この平面で、伝達された各ピクセルは、ホーゲルデータの1つのピースを再表示する。それは、空間的にシャープ、すなわち、例えば伝達されたピクセル同士の間隔が約30ミクロンでかつできる限り狭くあるべきである。単純な1つのアクティブホーゲルは、レンズレットの真下に光変調器を含む場合がある。ホーゲルデータが与えられた変調器は、変調光のエミッタとして、或いは光源を利用して、光変調/伝達系として働く。レンズレット(おそらくは複合レンズ)は、光チャネリング光学素子の役目を果たす。アクティブホーゲルディスプレイは、そのとき、典型的には正方形または六角形であるが、長方形またはおそらくは不規則な間隔であり得るような格子状に並べられたアクティブホーゲルのアレイである。光変調器は仮想変調器であり得、例えば実際の空間光変調器(SLM)の、例えばプロジェクタからレンズレットアレイの下面までの投影であり得ることに留意されたい。
ディスプレイモジュール光学素子によるぼけ(ぼやけ)の意図的導入もまた、適切な動的自動立体視ディスプレイを提供する際に有用である。ホーゲル空間、方向サンプルの数(すなわちビューの数)及び角度の全範囲(例えば90度の視域)を所与として、サンプリング理論を用いてどれほどのぼけが望ましいかを判定することができる。この情報は、他のシステムパラメータと組み合わされて、レンズレットがどれほどの分解能を有するべきかを判定する際に有用に用いられる。さらに、簡略化モデルを用いると、光変調器の平面は、光を変調しかつレンズレットのための源として働くようなピクセルのアレイであり、それは、上向きにすなわちz正方向の範囲に光を放射する。単一レンズレットから放射された光は、様々な方向情報、すなわちkベクトル成分の角拡散を含む。回折限界結像系の理想的なケースでは、変調器平面光上の一点からの結像光は単一のkベクトル成分でレンズレットから出射され、言い換えれば、光はコリメートされる。不完全レンズレットに対して、kベクトルは、非ゼロの拡がりを有することになるが、それを角度αによって表すことにする。変調器の平面における広がった発光源(いくらかの非ゼロの幅のピクセル)に対して、kベクトルは非ゼロの拡がりを有することになるが、それを角度αによって表すことにする。全拡がりαTotalは、kベクトル拡がり(すなわち「ぼけ」)に対する全ての他の寄与が些少であると仮定すれば、αTotal =α +α として決定されることができる。
ピクセルは、所望の画像に関する情報を含む。同時にホーゲルデータとして、ピクセルは、3Dシーンの実部へ(または実部から)伝播する間にホーゲル点を通過するであろうサンプリングされた光波面を表す。各ピクセルは、例えばコンピュータグラフィックスレンダリング計算によって決定されるような、所望のシーンによって放射された光の方向的サンプル(すなわち単一のkベクトル成分を表すサンプル)を含む。kベクトル角度間隔Ωの全範囲にわたって一様に角度離間したN個のサンプルを仮定すると、サンプリングは、Ω/N当たり1サンプルのピッチである。そのため、サンプリング定理は、シーンの内容がN/2Ωの空間周波数以上の角度依存変化(情報)を含まないように帯域制限されることを必要とすることに留意されたい。波面(シーンの実部からの(帯域制限された)波面であるように挙動する波面)を正確に再生するために、サンプルはローパス空間フィルタリングを提供するフィルタを通過するべきである。そのようなフィルタは、サンプリングピッチの半分以下の情報だけを通過させ、高次成分を取り除き、それによってエイリアシングアーティファクトの発生を防止する。したがって、本発明のレンズレットシステムにおけるローパスカットオフ周波数は、原信号の帯域制限N/Ωにあるべきである。カットオフ周波数がそれより低いと、波面のより素早く変化する成分の一部を失うことになるが、カットオフ周波数がそれより高いと、不必要なアーティファクトが波面ひいては画像を低下させる。
空間領域において表されるならば、サンプルは、ピクセルが表現でしかない滑らかな帯域制限された波面を忠実に再生するように、何らかの最小幅のカーネル(積分核)で畳み込み積分されるべきである。そのようなカーネルは、サンプル間隔の少なくとも2倍(すなわち、>2・Ω/N)の角度全幅を有するべきである。このカーネルの全幅がC・Ω/Nであれば、システムは、C・Ω/Nである量のぼけ(すなわちkベクトル拡がり)を追加するべきである。このカーネル幅の選択(ローパスカットオフ周波数の選択に相当する)は、波面の正確な再生のために重要である。「オーバーラップ」係数Cは、波面を忠実に再生するために2より大きい値を有するべきである。
光学レンズレットシステムが所望の全ぼけを生じさせるようにデザインされていると仮定すると、(C・Ω/N)=α +α である(変調器ピクセルの非ゼロの範囲からの、そしてレンズレットの回折限界的でない分解能力からのぼけのみをこれが含むことを想起させる)。したがって、ピクセルぼけαの描写は望ましいので、レンズレットの必要な分解能のための式が抽出されることができる。変調器の範囲が角度の全範囲をカバーする(例えばピクセルがそれらの中心からxおきに離間している)ようにシステムがデザインされていると仮定すると、変調器のアクティブ領域の全幅は、N・xである。あるピクセルが変調器のアクティブ領域のまるまる1/Nに及ぶならば、それは(平均で)Ω/Nの方向範囲を有するkベクトルに寄与する効果を有する。ピクセルの開口率がより小さければ、角拡散は比例的に少なくなる。変調器が1次元開口率Fを有するならば、ピクセルは幅x・Fの面状線源であり、α=F・Ω/Nのkベクトルの拡がりに寄与する。
レンズレットの分解能は、「スポットサイズ」を用いて定義されることができる。これは、従来のイメージングの意味では、レンズレットによって結像されることができる最小サイズのスポットである。本発明の例では、それが最小であるのは、レンズレットが、レンズレットの出射孔に入る光のコリメートされたビームを集束させることができる変調器平面においてである。換言すれば、単一のkベクトル方向を含む(そして後方へ向かって進み、その出射孔からレンズレットに入る)ビームが、変調器平面でスポットサイズと同程度に集束される。変調器の幅とkベクトル方向Ωの全範囲との間に写像があるので、変調器幅の角度範囲に対する比と同じ比が適用されることができ、すなわちα=スポットサイズ・Ω/(N・x)であり、変調器のアクティブ領域が範囲N・xを有することが想起される。これは近似であるが、変調器の平面での横方向範囲(例えばスポットサイズ)を出射孔での角度範囲(例えばα)で表すことを可能にしている。これらの最後2つの式と、面状線源に起因するぼけ(α=F・Ω/N)を組み合わせると、(C・Ω/N)=(Fm・Ω/N)+スポットサイズ・Ω/(N・x、単純化して、スポットサイズ=x・(C−F 1/2が得られる。
よって、アクティブホーゲルアレイのためのレンズレットシステムをデザインするとき、それはピクセル間隔よりも係数(C−F 1/2だけ大きいスポットサイズを有しているべきである。サンプリングされた波面の正確な再生に対してCが少なくとも2であると仮定すると、この係数はF=100%の変調器開口率に対して最低1.73である。より実用的な値C=2.2及びF=90%の場合、この係数は約2になる。したがって、「スポットサイズ」は、変調器において単一ピクセルの幅の約2倍であるべきである。換言すれば、適切にデザインされたアクティブホーゲルアレイにおいて、レンズレットは、ピクセル間隔ほど厳しい分解能を有する必要がなく、レンズレットは幾分まとまりがないようにデザインされることができる。パラメータN(角度サンプルの数)はこの関係式に現れず、ホーゲル間隔も然りであることに留意されたい。しかしながら、変調器のピクセル間隔(x)はホーゲル間隔及びNに基づいて選択されており、x=w/Nであり、ここで、wはホーゲル間隔であって、変調器のアクティブ領域の幅はホーゲル間隔と同一であると仮定されている。ホーゲル間隔(w)及び角度サンプルの数(N)などの他の因子が、レンズレットのデザインに対して大きな影響を与えることになることに留意されたい。
各アクティブホーゲルのための出射孔は、そこを光が通過するような領域である。一般的に、異なる方向に放射された光に対して、出射孔は異なる。ホーゲル間隔は、1つのホーゲルの中心から次のホーゲルの中心までの距離であり、開口率は、出射孔の面積に対するアクティブホーゲルの面積の比である。例えば、ホーゲル間隔が2mm、出射孔が直径2mmであれば、π/4すなわち約0.785の開口率(fill factor:「ff」)を有することになる。低い開口率は、画質を低下させやすい。高い開口率が望ましいが、それはさらに得難い。
図3は、動的自動立体視ディスプレイモジュールに用いることができる光ファイバテーパの一例を示す。ここでは、6つの個別のファイバテーパ300の広い方の面が1つに結合されて、上述した光学的及び構造的性質を有する単一部品を形成している。光変調デバイス310は参考のために示されていることに留意されたい。コヒーレント光ファイバ束は、空間情報を保持しながら光フィールドを入射平面から出射平面まで伝播させる。各ファイバ束300はテーパ状にされている(拡大または縮小を可能にしている)が、ファイバ束はテーパ状にしなくてもよい。ファイバ束及びテーパ状にされたファイバ束は、ショット・ノースアメリカ社(Schott North America, Inc.)を含む種々の会社によって生産されている。各テーパ300は、先ず、多数のマルチモード光ファイバを束ねて断面6角形の束にし、熱を用いてそれらを1つに結合し、次に、一端を引っ張って所望のテーパを作り出すことによって、形成される。所望の形状、例えば矩形の表面をしたテーパを有するテーパ束は、0.2mm未満の精度で製作されることができる。そのようなテーパの小端部に結合された発光型ディスプレイによって放射された光は、拡大され、6ミクロン未満のぼけまたは変位でレンズレット平面に中継される。テーパはまた、レンズレットの真下で光の拡散角度の精密な制御を提供する。一般的に、この平面での光は、高いアクティブホーゲル開口率を達成するために大きな角度(60度の全角またはそれ以上)で発散しなければならない。一部の実施形態において、この機能を与えるために光学拡散板が用いられる。しかし、多数のファイバテーパを出射する光は、光ファイバの下部の構造のため約60度(全角)で発散する。さらに他の実施形態において、最適発散角を作り出し、高開口率及び最小クロストークの両方を生ずるようにファイバの芯材(コア)の直径が指定されることができる。
上述したように、発光型ディスプレイとファイバテーパとの間の最適インターフェーシングは、光ファイバ表面板を有する発光型ディスプレイ上に存在する標準ガラス製カバーの交換を含み、ディスプレイがマイクロディスプレイ部品の最上面で画像を作成できるようにすることがある。光ファイバ表面板は、一般的には、色には影響を及ぼさず、種々の発光型ディスプレイデバイスの高解像度及び高コントラストを損なわない。ファイバテーパは、種々のサイズ、形状及び構造に、例えば、一端から他端にかけて円形から円形に、正方形から正方形に、円形から正方形または矩形に製作されることができ、サイズは最大直径100mmまたはそれ以上に及び、典型的な倍率は最大3:1またはそれ以上に及び、通常のファイバサイズは、大きい端部では6μmから25μm、一般的には小端部では3μmから6μmの範囲である。
図3のテーパ状にされたファイバ束に加えて、テーパ状にされていないファイバ束のアレイも、図4Aないし図5Bに示されているように、動的自動立体視ディスプレイモジュールにおいて光を伝達するために用いられることができる。従来のファイバ束は、束に入射する画像プロフィールを維持することに努めていた。その代わりとして、図4Aないし図5Bのファイバ束は、入射画像は完全には維持されないが代わりに所定の方法で処理されるように特別に配置されかつ組み立てられたファイバロッドまたはファイバ束の集合体を用いる。具体的に言うと、光パターンまたは画像は、デバイスを出る際にバラバラに拡散するまたは小区分に分割される。この「スプレッダ」光学系は、画像を拡大しないが、画像をより接近して集めるかまたは画像を結合さえさせるために用いられることができる。そのうえ、一部の実施形態は、それぞれのファイバ束を互いに隔離することによって、隣接ファイバ束からの光同士の間のクロストークの減少に役立つ場合がある。
図4Aは、基本設計の断面を示す。フェルールまたは支持体400は、別々のファイバ束405、410及び415を支持する。一般的に、フェルール400は、任意の数の、このケースでは6つの(図4B及び図4Cを参照)の、ファイバ束のアレイを支持することができる。ファイバ束のアレイは、異なる空間配置でデバイスの一端(例えば束の底面)に入射する光が他端から出現するように構成される。フェルール400は、ファイバ束を適所に保持し、機械的に安定かつ光学的に精密である固体構造体を作り出す。一実施形態において、アレイは、多数の入射孔を分離するためのスプレッダとして構成され、入射光パターンを維持するが間に空間が追加された出射孔のアレイが作り出される。そのために、ファイバ束405は、底面406から束に入射する光が、デバイスの中心からシフトされた(すなわち、図面の平面によって図4Bまたは図4C中に画定されているようなx及びyの両方向にシフトされた)上面407に出現するように、或る角度に方向付けられている。束405の光ファイバは概ね互いに平行であるが、同じアレイの他のファイバには平行でないことに留意されたい。同様に、ファイバ束410は、底面(図4C)で束に入射する光が、デバイスの中心から、図面の平面において画定されているy方向にシフトされた上面(図4B)で出現するように、或る角度に方向付けられる。
一般的に、入射孔の各々に入射する光は、出射孔から出現するが、隙間間隔は広くなっている。図4Aは、画像分離を達成するためのファイバ束の相対的な傾斜を示すが、例えばファイバ束のツイストまたはターンを含む他の技術を用いることもできる。フェルール400は、デバイスの製作中に、束の適正アライメントを維持しかつそれぞれのファイバ束の切削、研削及び/またはつや出しを補助するために用いることもできる。図4B及び図4Cにおいて2×3アレイとして示されているが、ファイバ束アレイは、通常、特定の用途のために必要に応じて、任意のアレイ構成に製作されることができる。
図5Aないし図5Bは、動的自動立体視ディスプレイモジュールに用いられることができるような束ねられた光ファイバシステムの別の例を示す。図4Aないし図4Cのデバイスと同様に、図示されている束アレイは、各束がデバイスの中心(例えば表面法線)に対して規定角度をなして方向付けられているような平行な(または実質的に平行な)ファイバの種々の個別の束を含む。ここで、しかし、ファイバ束アレイ500のファイバ束は、フェルールまたは取付具によって適所に保持されるが、代わりに、小ブロックに切り分けられて複合構造に組み立てられる。一部の実施形態において、これらのファイバ束は、前述のファイバテーパを形成する方法と同じ方法で1つに結合されている。図5B(アレイ500の上面を示している)に矢印で示されているように、光は、アレイに入るときとは異なる空間配置で上面から出現する。
手短に図2に戻ると、レンズレットアレイ220は、複合レンズの規則的なアレイを提供している。一実施形態において、二要素複合レンズの各々は、両凸球面レンズの真下の平凸球面レンズである。図6は、動的自動立体視ディスプレイモジュールに用いられることができる複数素子レンズレットシステム600の一例を示す。光は、平凸レンズ610に下から入る。底平面(例えば、611、613または615、ファイバテーパにおいては単一のファイバから放射される光)での光の小さな点は、とても良好にコリメートされた両凸レンズ620から出現する。シミュレーション及び測定は、±45度の範囲を超えて100ミリラジアンまたはそれ以下の発散が達成することができることを示している。90度の範囲を超えて放射された光の発散を制御する能力は、このアプローチの有用性を示す。その上、光は、かなり高い開口率を有するレンズ620から出現する、即ち光はレンズの領域の大部分から出現する、という点に留意されたい。このことは、複合レンズによって可能になる。対照的に、単一の素子レンズでは、出射孔の面積の割合(開口率)を高くするのは困難である。
そのようなレンズアレイは様々な方法で製作されることができるが、例えば、1つに結合された2つの個別のアレイを用いる、個別のレンズを整列させるための「ハニカム」または「亀甲金網(chicken-wire)」支持構造を用いて1つのデバイスを製作する、レンズを適切な光学的品質の接着剤またはプラスチックにより結合する、などの方法が含まれる。押出し成形、射出成形、圧縮成形、研削などの製造技術。種々様々な材料、例えば、ポリカーボネート、スチレン、ポリアミド、ポリスルホン、光学ガラスなどが用いられることができる。
レンズレットアレイを形成するレンズは、ガラスまたは溶融石英などのガラス質材料を用いて製作されることができる。そのような実施形態において、個々のレンズは、別々に製作され、その後、続いて、アレイの最終組立ての前に適切な構造(例えば、治具、メッシュ、または他のレイアウト構造)内または上で方向付けられることがある。他の実施形態において、レンズレットアレイは、マスタ(原型)の製作及びそのマスタを用いた最終製品のレンズレットアレイを形成するためのその後の複製を含む公知のプロセスを用いかつ高分子材料を用いて製作されることになる。一般的に、選択される特定の製造工程は、レンズのスケール、デザインの複雑さ及び所望の精度に左右される場合がある。本願に記載の各レンズレットは複数のレンズ素子を含むことができるので、複数のアレイが製造され、その後結合されることができる。さらに他の実施形態において、1つのレンズまたは光学面のマスタを製作するために1つのプロセスが用いられることがあり、別のレンズまたはレンズレットの光学面を製作するために別のプロセスが用いられる。例えば、機械的手段によって微小光学素子のための鋳型のマスタが製作されることができ、例えば、ダイヤモンド切削工具などの適切な切削工具を用いて適切な表面を有する金属製ダイが作られる。同様に、金属製ダイにおいて、回転対称レンズが、ミーリングまたは研削されることができ、エッジ同士がタイリングされるように複製されることができる。幅広いスケールでハイブリッド屈折/回折レンズを含む種々の光学素子のマスタを製作するためにシングルポイントダイヤモンド旋削が用いられることができる。金属マスタを用いて他のダイを製作する(例えば、銅マスタ上でニッケル製ダイを電鋳する)こともでき、作製されたダイはレンズレットアレイの射出成形、押出し成形またはスタンピングに用いられる。1つの基板上で複数の光学面を同時に作り上げるために、さらに他のプロセスが用いられることができる。そのようなプロセスの例は、流体自己集合、液滴付着、フォトポリマーにおける選択的レーザ硬化、フォトレジストのリフローイング、フォトレジストにおける直接書込み、グレースケールフォトリソグラフィー、改良ミーリングを含む。レンズレットアレイ製作のより詳細な例は、米国特許第6,721,101号明細書(特許文献5)に記載されている。
上述したように、ファイバテーパ及びファイバ束アレイは、発光型ディスプレイからレンズレットアレイへ光を伝達する際に有用である場合があり、発光型ディスプレイ群を継ぎ目がないようにまたはほぼ継ぎ目がないように互いに近接させて集合させることができない場合は特にそうである。また一方、図7は、光ファイバテーパまたは束が用いられていない動的自動立体視ディスプレイモジュールの一例を示す。ディスプレイモジュール700は、レンズレットアレイ750を発光型デバイスに非常に近接して取り付けることによって、ファイバテーパ/束を使用しないで済ませる。ディスプレイモジュール700は、モジュールに対して十分な物理的安定性を与える基板710を含む。基板710は、例えば、金属、プラスチック、プリント基板材料を含む多様な材料から製作されることができる。駆動エレクトロニクス720は、基板710の上かつ発光型物質730の下に装着される。これは、OLEDマイクロディスプレイなどの発光型ディスプレイデバイスに共通の構成である。モジュール700は、1つの発光型デバイス(例えば放射層は1つのマイクロディスプレイとしてアドレス/駆動される)を含むように、または同一基板上の複数の発光型デバイスと共に、製作されることができる。図7の例が示すように、そしてOLEDデバイスのように、モジュール700は、これら及び他の発光型ディスプレイデバイスに共通している透明電極740を含む。そして、レンズレットアレイ750が透明電極740の上に取り付けられる。
当業者には明らかなように、モジュール700の基本設計の様々な変形が実現されることができる。例えば、一部の実施形態において、レンズレットアレイ750は別々に製作され、その後に、適切な接着剤及び/または屈折率整合材を用いてモジュール700の残りの部分に結合される。他の実施形態において、レンズレットアレイ750は、上記したレンズレット製作技術のうちの1つ以上を用いて発光型ディスプレイの上に直接製作される。同様に、このモジュールにおいて種々の異なる種類の発光型ディスプレイが用いられることができる。さらに他の実施形態において、レンズレットアレイ750と発光型ディスプレイの間に光ファイバ表面板(一般的には1mm未満の厚さを有する)が用いられることができる。
図11は、2つの互いに隣接する変調器1102及び1104間の見掛け上の継ぎ目(apparent seams)を低減するためのディスプレイシステム1100の別の実施形態を示す。この図は、ディスプレイシステム1100の例示的な配置の側面図を示す。システム1100は、変調器1102及び1104へ制御信号を提供する印刷回路基板1100を含む。変調器1102及び1104は、照明器1115によりそれぞれバックライティングされる。また、変調器1102及び1104は、偏光子1103及び1105によりそれぞれ覆われている。様々な実施形態においては、偏光子1103及び1105の代わりにまたは前記偏光子に追加して、変調器は保護カバーガラスで覆われることができる。
非ゼロの横方向距離1125が、変調器の光学的に使用可能な領域と、変調器のパッケージングの外縁部との間に存在する。直接的に見た場合、この間隔1125は、互いに隣接する変調器1102、1104間の見掛け上の継ぎ目を生じさせる。この継ぎ目の発生を減少または低減させるために、各変調器からの光を、まず、リレーレンズ1130によって集める。各変調器に対して1つのリレーレンズ1130が設けられる。前記光は、変調器1102及び1104の光学的に使用可能な領域からの光がレンズレットアレイ1150における対応するレンズレットに入射するように、リレーレンズによってレンズレットアレイ1150上に集束及び拡大させられる。この配置に関する設計検討事項には、リレーレンズ焦点距離を信頼できる製造を可能にするのに十分な長さに選択すること、並びに、(a)変調器1102(1104)とリレーレンズ1130との間の距離、及び(b)リレーレンズ1130とレンズレットアレイ1150との間の距離を短いコンパクトな距離に維持することが含まれる。或る実施形態では、リレーレンズはまた、変調器1102(1104)から放射された光が偏光子1103(1105)を通過して及び/または変調器を覆うカバーガラスを通過して伝播したときに発生するぼけ(例えば、回折に起因するぼけ)を低減または除去する。リレーレンズ1130は、リレーレンズの対物面が変調器のアクティブ面に面し、リレーレンズの画像面がレンズレットアレイに面するように配置される。任意のカバーガラス及び/または偏光子を介してこのようにして画像化することにより、リレーレンズは、変調器のアクティブ面に存在する光が前記カバー光学素子の厚さを通って伝播されたときに発生するぼけを減少または除去することができる。
レンズレットアレイ1150は、画像生成を補助するための拡散板を有する。拡散板の代わりに光ファイバフェースプレートを使用することもできる。様々な供給者が、システム1100を製造するための構成部品を提供する。例えば、レンズレットアレイ1150はボンザー(Bonzer)社の製造ラインから入手可能であり、リレーレンズ1130はJMLオプティカル・インダストリーズ社(JML Optical Industries, Inc.)から入手可能であり、変調器1102及び1104はセイコー・エプソン社(Seiko Epson Corp.)から入手可能であり(例えばモデルL3D07U)、バックライト照明器1115はグローバル・ライティング・テクノロジーズ社(Global Lighting Technologies, Inc.)から入手可能である。
図12は、レンズレットアレイのマイクロ溝の一実施形態を示す。この図は、2つのレンズレットアレイ1220及び1230(図7のレンズレットアレイ750に相当する)を示しており、各レンズレットアレイは、行列配列された複数のレンズレット1250を含む。レンズレットアレイ1220はレンズレット群を含み、各レンズレットは光を1つのホーゲルへ導く。このレンズレットアレイは、非ゼロの或る厚さを有し、散乱光また隣接するホーゲル間のクロストークを許容し得る。そのため、光は、所望のホーゲルからのみ出力されるのではなく、隣接するホーゲルからも誤って出力され得る。このようなクロストークを低減させるための1つの方法は、切削、成形またはその他の方法によりレンズレット間に形成されたマイクロ溝を用いることである。レンズレットアレイ1230は、レンズレットの各行列間に、隣接するレンズレット間に所定の光学的隔離(optical isolation)を提供する一連のマイクロ溝1260を有する。マイクロ溝1260は、互いに隣接するホーゲル間での光の散乱を減少または阻止(ブロック)するための溝である。或る実施形態では、さらなる光学的隔離を提供するために、マイクロ溝に黒色の高分子またはインク或いはその他の不透明または半不透明の材料が充填される。また、別の幾何学的形状も考えられる。例えば、図13は、レンズレットアレイ1300の別の実施形態を示す。レンズレットアレイ1300は、互いに隣接するホーゲル間に、クロストーク防止用の光学的隔離を提供するための陽極酸化アルミニウムマイクロバッフル1310及び黒色材料が充填されたチャンネル1320を有する。
上述したように、動的自動立体視発光型ディスプレイシステムにおける光の方向制御は、ぼけの注意深い制御によって高められる。ぼけは、従来の拡散板及び帯域制限された拡散板を含む様々な異なる方法で制御されることができる。図8Aないし図8Cは、動的自動立体視ディスプレイモジュールにおける光学拡散板の使用を示す。
本願に記載のレンズレットまたはレンズレットアレイは、空間的に変調された光を方向的に変調された光に変換することができる。一般的には、空間的に変調された光はとても良好にコリメートされており、言い換えればレンズの入力面での角拡散は小さい。この面に置かれる従来の光学拡散板(すりガラスなど)は、光により大きな角拡散を有するようにさせ、より高い開口率を有するレンズから出現する光のビームを作り出す。しかし、広範囲に発散する(特にレンズの光軸から十分に離れた)光は、部分的に(または完全に)削がれて、放射力を低下させ、クロストークに寄与する傾向が強い。クロストークは、1つのレンズから隣接レンズへ光が望ましくなく漏れるとき、そのようなレンズのアレイで生じる。
拡散板が無い場合(図8A)、光の伝播は、非常に低い開口率を生じさせる。ビームの拡がりは、概ね最小であるか、さもなければより複雑な光学系を用いて達成される。開示されている動的自動立体視発光型ディスプレイは一般的にそのようなレンズエミッタのアレイを含むので、低開口率は、暗いアーティファクトを作り出し、それは断続的な暗いマスクまたはメッシュ(画像忠実度を低下させ、3D効果を弱める)として現れることがある。
標準拡散板がある場合(図8B)、光の伝播は、特に軸外光の場合、あまり精密でない。標準拡散板は、軸外被変調光(図の右側に示されている)を拡げるが、平均角度は変えない。結果的に、光は側面でレンズから漏れ、クロストークを作り出す(すなわち隣接レンズ内へ散乱し、ノイズを生じさせる)。レンズを通って伝播する光は、より狭いビーム幅ひいてはより小さな開口率を有する。拡がりがより小さい拡散板は、より少ないクロストークを作り出すことになるが、全てのビームに対する全開口率は減少することになる。
帯域制限された拡散板(図8C)は、光の正確な方向を制御し、単純な光学系からのより良好な光学性能を可能にする。帯域制限された拡散板は、光を拡げて高開口率を生じさせながらもクロストークを最小にするように調整されることができる。帯域制限された拡散板の2つの重要な特性は、次の通りである。すなわち、(1)帯域制限された拡散板は、予測可能な放射照度プロフィールに正確な量の角拡散を加え、そして、(2)角拡散は、拡散板の空間範囲の全域で変化し、例えば、拡散光に、それが拡散板を通過する場所によって決まるような、異なる量の拡がり及び/または異なる平均伝播方向を持たせる。帯域制限された拡散板の中心を通過する光は、正確な角度で拡げられ、特定の方向(このケースでは不変)に伝播する。拡がりは、光学系(レンズ)が、開口率(光学素子がビーム断面の面積に占める割合)が高い幅広ビームを作り出すことを可能にする。被変調光の軸外部分(図の右側に示されている)に対し、帯域制限された拡散板は光をレンズの中心に向けて或る角度に曲げ、光が側面でレンズから漏れないようにし、クロストークを作り出す。光はまた、高開口率を生じさせる量だけ拡げられる。
帯域制限された拡散板として種々様々なデバイスが用いられることができ、そのようなデバイスを生産するために種々様々な製作技術が用いられることができる。例には、均一拡散板、バイナリ拡散板、1次元拡散板、2次元拡散板、特定の角度領域の至るところで光を均一に散乱する回折性光学素子、ランバート拡散板(Lambertian diffuser)、及び特定の範囲の散乱角内で光を均一に散乱しかつこの範囲外では散乱を生じさせない真にランダムな表面(例えば非特許文献4)が含まれる。関連する拡散板デバイスを生産する会社の例として、ソーラボ・アンド・フィジカルオプティックス社(Thor Labs and Physical Optics Corp.)が挙げられる。
或る自動立体視ディスプレイは、特定の視距離で出射瞳(視域)の継ぎ目のないアレイを作り出そうと試みることに留意されたい。出射瞳間の描写をぼやけさせるために、光学拡散板が用いられる場合が多い。別途の光学拡散板を用いる代わりに(またはそれに加えて)、より低品質のレンズレットアレイを用いて、放射された光にぼけを加えることもできる。このようにして、例えば、レンズレットアレイ750及び220は、準最適な焦点調節、より低品質の光学材料、または準最適な表面処理で、さもなければ専用拡散板によって与えられることになるぼけの測定量を導入するようにデザインされることができる。さらに他の実施形態において、拡散板デバイスは、ディスプレイモジュールに使用されるレンズレットアレイに組み込まれることができる。さらに、ディスプレイモジュールの異なる区分、異なるディスプレイモジュールなどは、異なる量のぼけを有するか、或いは異なる拡散板及び拡散レベルなどを利用することができる。
図9は、動的自動立体視ディスプレイモジュールにおける光学拡散板のさらに別の使用を示す。ディスプレイモジュール900は、モジュール900の表面の上に位置する拡散板910を利用して追加的なぼけ/拡散を与える。例えば、画像ボリューム920は、ここでは、種々のぼかされたビーム915から形成される。実際の放射されたビームの幅907とは対照的に、ぼかされたビーム915は、より大きな見掛け上のビーム幅905を有する。拡散板910は、標準拡散板または帯域制限された拡散板などの専用拡散板であることができ、上記した拡散板に代えて、或いは追加して用いられることができる。拡散板910は、一般的には、ディスプレイモジュール900の表面から少し離れて配置されているので、拡散板910は全体のディスプレイに別々に取り付けられることができる、すなわち1つの拡散板が複数のディスプレイモジュールのために働く。他の実施形態において、拡散板910は、ディスプレイモジュールの一部として組み立てられる。それゆえ、拡散板910は、放射されたビームに選択された量のぼけを加え、ビームがより高い開口率を有するように見えるようにし、低開口率放射アレイに関連する放射面アーティファクトの散乱を減少させる。
図1に戻り、較正(キャリブレーション)または自動較正システムの補足的な詳細について述べる。一般的に、較正システムは、不完全な動的自動立体視発光型ディスプレイにおける画質を向上させるために必要とされる補正を自動的に測定する。適応可能な光学技術には、通常、画像の不完全性を検出してイメージングシステムの光学系を調整し、画像焦点を向上させることが含まれる。しかし、本願の較正システムは、センサ入力及びソフトウェアを用いて、動的自動立体視発光型ディスプレイにおける正しい3D画像生成のために下部の発光型ディスプレイ上に表示される画像を調節または補正する。様々な種類の補正を実施することができ、そのような補正には、全体的な補正よりはむしろディスプレイ素子毎及び原色毎の独自の補正が含まれる。(適応光学系においてそうであるように)光学系を調整する代わりに、自動較正/補正は、データを調整して、ディスプレイモジュール部品の不完全なアライメント及び不完全な光学系を補償する。自動較正ルーチンは、アライメントの不完全性、光学的特性及び不均一性(例えば、輝度、効率、光パワー)を考慮してディスプレイモジュールに対するデータを生成するためにその後に用いられる一連のデータ(例えば補正表)を生成する。
多くの種類の自動立体視ディスプレイにおいて、大きなデータのアレイが計算され、データを3D画像に変換する光学系に伝達される。例えば、ディスプレイシステムの所与の位置で、レンズは、空間的に変調された光を方向的に変調された光に変換することができる。多くの場合、ディスプレイは、光学素子の規則的なアレイ、例えば被変調光の形で完全に整列されたデータのアレイが与えられた均一に離間したレンズレットを有するようにデザインされている。実際には、光学部品の一部または全部に不均一性(歪みを含む)が存在し、完全なアライメントは、費用がいくら掛かっても達成できることはほとんどない。しかし、ディスプレイ光学素子におけるミスアライメント及び不均一性を償うための数値の補正を含むようにデータが生成されることができる。生成アルゴリズムは、最初の自動較正プロセス中に演繹された補正係数が投入された補正表を利用する。ひとたび較正されると、データ生成アルゴリズムは、リアルタイムで補正表を利用して、ディスプレイ光学素子における不完全性に対して予め適応させたデータを生成する。望ましい結果は、データ及び放射された光の方向(及びその後にはより高品質の画像)の間のより予測可能な写像である。このプロセスはまた、不均一な輝度を補正し、ディスプレイシステムが均一な輝度を生ずることができるようにする。自動較正は、種々の種類の補正を提供することができ、例えば、どのような補正が画質を向上させることができるかを自動的に判定する、全体よりはむしろ各ディスプレイ素子に対する独自の補正、各ディスプレイ素子による各原色(例えば、赤色、緑色、青色)に対する独自の補正、及び、レンズベースの歪み以外の必要な補正の検出、などが含まれる。
1若しくは複数の外部センサ147(例えばデジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、光検出器など)は、ミスアライメントを検出し、ソフトウェアを用いて幾何学条件から演繹された補正係数を補正表に投入する。ディスプレイシステムがそのデータを生成するために既にある種の汎用コンピュータを用いているならば、較正システム140は、当該システムまたは示されている別のシステムに統合されることができる。センサ147は、一般的には、ディスプレイシステムによって放射された光を直接キャプチャする。或いは、単純な散乱物体(例えば小さな白い表面)またはミラーが、物体から散乱した光を集光できるように取り付けられたカメラと共に、用いられることができる。他の例において、所定のテストパターンが、ディスプレイを用いて表示され、その後、システム欠陥を判定するように特徴付けられることができる。この動作は、ディスプレイの全ての素子に対して同時に実行されることができ、或いは、少しずつ、例えばディスプレイの1若しくは複数の部分のみを同時に特徴付けて実行されることができる。センサは、例えばデジタイザまたはフレーム取込み器を介して、関連するコンピュータシステムにリンクされる。自動較正アルゴリズムは、コンピュータシステム上で実行することができ、後で用いるための補正表を作成する。ディスプレイの通常の使用中(すなわち較正以外の時間)、センサは取り外されることができるか、或いはセンサはディスプレイシステム内の目立たない位置へ組み込まれることができる。
一部の実施形態において、自動較正ルーチンは、本質的に、各ディスプレイ素子を特徴付ける一連のパラメータを検索するプロセスである。一般的には、これは同時に1つのディスプレイ素子でなされるが、並行してなされることもできる。センサは、ディスプレイによって放射された光を集光するように位置決めされる。高速ロバスト検索の場合、センサの開口部の位置がアルゴリズムに与えられるべきである。単一センサ位置からのルーチンを実行することで一次補正情報が与えられ、多数のセンサ位置からのルーチンを実行することでより高次の補正情報が与えられる。ひとたびセンサが適所に配置されたら、次にアルゴリズムは次のように進む。所与の素子及び/または表示色に対して、アルゴリズムは、先ず、(ディスプレイ変調器に送信された)どのテストデータパターンが、その素子からセンサへの光の放射を生じさせることになるかを推測する。センサは、次に、読まれて正規化される(例えば、センサの読みを、本テストデータパターンによって表される全ダイナミックレンジの分数で割る)。この正規化された値は、その後の比較のために記録される。検索ルーチンは、最適光を生成するテストデータパターンを見つけ出したとき、この情報を記憶する。ひとたび全てのディスプレイ素子がこのようにして評価され終わったら、最適テストパターンの情報から補正表が導かれる。次の擬似コードは、高水準ルーチンを説明する。
N個のセンサ位置の各々に対して:
センサのxyz位置を入力
各ディスプレイ素子及び原色に対して:
レベルが>0でないという条件が真である限り:
センサに対して光を放射する最初のデータパターンを推測する
レベル(正規化されたセンサの読み)を書き留める
最適がまだ見つかっていないという条件が真である限り
データパターンをディザ(dither)する
最適パターン情報を記憶する
記憶された最適パターンの情報から補正表が導かれる
「最初のデータを推測する」ルーチンは、1若しくは複数の異なるアプローチを用いることができる。適用可能なアプローチは、理想ディスプレイ素子に基づく幾何学的計算、理想ディスプレイ素子のシミュレーションに基づく調整、隣接ディスプレイ素子からの経験的情報に基づく予測、2分探索法を含む。「データパターンをディザする」ルーチンは、展開方形型の捜索(妥当な場合)またはより高度なものであることができる。一般的に、任意の探索パターンが用いられることができる。一連の最適パターンから補正表データを導くため、ディスプレイのジオメトリがセンサ位置と組み合わされる。このステップは、一般的には、特定のディスプレイに固有である。例えば、最初の推測は、象限を選択し、次に最適象限内で繰り返すように半平面(x,y)の2分探索法を用いて決定されることができる。一般的に、自動較正は、特定のセンサ応答(例えば、特定のディスプレイ素子からの輝度レベル)のためにデザインされたパターンに、当該応答が最適化されるまで異なる補正を適用するステップを含む。この一連の補正は、したがって、一般的な画像生成中に用いられることができる。
センサ位置がより多ければ、補正表のためのより正確な、より高次の情報を生み出すことができる。例えば、ディスプレイの光学素子によって生じたかもしれない歪みを測定するために、センサは、3つ若しくはそれ以上の位置に配置されることができる。歪みは通常非対称であるので、センサ位置が様々なx及びy値を含むことは有用である。自動較正ルーチンは、センサにディスプレイシステムによって放射された光だけを見させるようにするために、一般的には暗い場所で実行される。センサのS/N比を向上させるために、センサを色フィルタで覆って、ディスプレイによって放射された光を順調に通過させることができる。信号検出を向上させる別の方法は、先ず、ディスプレイを完全暗に設定することによってベースラインレベルを測定し、ベースラインを用いて自動較正ルーチン中にセンサの読みから減ずることである。これらの基本技術に対する多数の変形は当業者に既知であろう。
図10は、空間光変調器(SLM)へデータを提供するのに使用されるディスプレイカード1000の一実施形態を示す。様々なハードウェア設計検討事項が、データのSLMへの伝達及びデータの処理を補助することができる。ディスプレイカード1000は、マザーボード1005と、GPU用のグラフィックスモジュール1010(例えば、Com Expressユニット)と、データフロー及び一部の2D処理を管理するためのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)フレームバッファモジュール1040と、多数の(例えば12個の)LCDデバイスを駆動するための液晶ディスプレイ(LCD)ドライバモジュール1070とを有する。LCDドライバモジュール1070は、FPGAフレームバッファモジュール1040内のデータのデジタルからアナログへの変換、及び/または、デLCDデバイスにとって適切なフォーマットへのジタルデータのフォーマット化を提供する。
或る実施形態では、マザーボード1005は、PCIeグラフィックススロット及びカスタムPCIeFPGAソケットを有するCom Expressキャリア/マザーボードを使用する。外部インターフェースには、ギガビット・イーサネット(登録商標)、USB2.0、単一シリアルポート、及びカスタムsync/enumerationポートが含まれる。マザーボード1005は、単純な電力供給インターフェース(例えば、単一または二重電源)からの該ボードの駆動の可能にするための全ての必要な電力調整を含む。
一実施形態では、グラフィックスモジュール1010は、マザーボード1050に接続されたオフザシェルフグラフィックスカードである。FPGAフレームバッファモジュール1040及びLCDドライバモジュール1070もまた、マザーボード1050に接続される。グラフィックスモジュール1010は、幾何学的形状及び命令データを受け取り、受け取ったデータに応答してホーゲルベースの出力データを作成する。出力データは、3Dグラフィックス用の標準フォーマット(例えば、OpenGL)であり得る。或る実施形態では、グラフィックスモジュール1010は、マザーボード1005に設置された中央処理装置(CPU)(例えば、RadisysCPUボード)により支援されることができる。
或る実施形態では、FPGAフレームバッファモジュール1040は、FPGAベースのホーゲルプロセッサ及びフレームバッファモジュールを提供する。FPGAフレームバッファモジュール1040は、グラフィックスモジュール1010からのホーゲルベースのデータをさらに処理する。このモジュールは、DRAMインターフェース用のPCIe、ホーゲルプロセッサ、及び出力フレームバッファを含む。様々な実施形態では、FPGAフレームバッファモジュール1040は、LCDバッファのリフレッシュを管理するとともに、特定の変調器の2Dフィルタリング(例えば、曲線の調整、ゲイン、拡大縮小及び/または再サンプリング、またはオフセット補正など)を提供する。各変調器によって表示されるピクセルの数、FPGAの処理能力、及び所望の処理速度などの様々な設計検討事項に基づいて、或る数(1若しくはそれ以上、例えば4または5)のFPGA(または、特定用途向け集積回路(ASIC)などのその他の集積回路)が、或る数(1若しくはそれ以上、例えば6または7)の変調器へデータを提供することができると考えられる。或る実施形態では、この手法は、1つのGPUが1つの変調器またはディスプレイを一般的に駆動する既存のビデオ装置で得られるものよりも、より高い柔軟性及び拡張可能性を提供することができる。
LCDドライバモジュール1070は、PCIeインターフェースを介してディスプレイデバイスと通信するためのインターフェースを提供する。LCDドライバモジュール1070は、FPGAフレームバッファモジュール1040と複数のLCDモジュールとの間の通信を可能にする。このモジュール1070は、LCDデバイスと接続するためのデバイス固有インターフェースと、FPGAフレームバッファモジュールと接続するためのジェネリックポートとを含む。FPGAフレームバッファモジュール1040は、特定のLCDデバイスに不可欠である任意のLCDドライブ回路を含む。
上記した構成部品及び材料の代わりに様々な異なる種類の光学部品及び材料が用いられることができることは、当業者であれば容易に分かるであろう。さらに、本明細書に記載の本発明の説明は例示的なものであり、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に開示されている実施形態の変形及び変更は、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に記載の説明に基づいてなされ得る。

Claims (25)

  1. 装置であって、
    少なくとも1つのディスプレイデバイスと、
    前記少なくとも1つのディスプレイデバイスに接続された、かつ前記少なくとも1つのディスプレイデバイスへの自動立体画像データの伝達を制御するようにプログラムされたコンピュータと、
    前記少なくとも1つのディスプレイデバイスに結合されたレンズアレイとを含むことを特徴とする装置。
  2. 請求項1に記載の装置であって、
    前記少なくとも1つのディスプレイデバイスが、第1のディスプレイ領域及び第2のディスプレイ領域を有し、
    前記少なくとも1つのディスプレイデバイスに接続されたコンピュータが、前記第1のディスプレイ領域への第1の自動立体画像データの伝達及び前記第2のディスプレイ領域への第2の自動立体画像データの伝達を制御するようにプログラムされており、
    前記レンズが、複数のレンズレットを含み、
    前記複数のレンズレットのうちの少なくとも1つが、前記第1のディスプレイ領域に対応する第1のレンズ及び前記第2のディスプレイ領域に対応する第2のレンズを含み、
    前記複数のレンズレットのうちの少なくとも1つが、互いに光学的に連結された平凸レンズ及び両凸レンズの組み合わせを含むことを特徴とする装置。
  3. 請求項1に記載の装置であって、
    前記レンズが、複数のレンズレットを含み、
    前記複数のレンズレットのうちの少なくとも1つが、互いに光学的に連結された第1の平凸レンズ及び第2の平凸レンズの組み合わせを含むことを特徴とする装置。
  4. 前記少なくとも1つのディスプレイデバイスが、電子発光ディスプレイ、電界放射ディスプレイ、プラズマディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、カーボンナノチューブディスプレイ、ポリマーディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ、電気光学透過型デバイス、微小電気機械デバイス、電気光学反射型デバイス、磁気光学デバイス、音響光学デバイス、及び光学的アドレシングデバイスのうちの1若しくは複数を含み、
    前記少なくとも1つのディスプレイデバイスが、前記レンズアレイと整列された複数のディスプレイデバイスを含み、かつ
    前記コンピュータが、前記少なくとも1つのディスプレイデバイスの第1のディスプレイ領域への第1の自動立体画像データの伝達を制御するようにプログラムされた第1のコンピュータと、前記少なくとも1つのディスプレイデバイスの第2のディスプレイ領域への第2の自動立体画像データの伝達を制御するようにプログラムされた第2のコンピュータとを含む複数のコンピュータからなることを特徴とする装置。
  5. 請求項1に記載の装置であって、
    前記少なくとも1つのディスプレイデバイスと前記レンズアレイとの間に配置された拡大リレーレンズアレイをさらに含むことを特徴とする装置。
  6. 請求項1に記載の装置であって、
    前記レンズアレイが、屈折率整合材を用いて前記少なくとも1つのディスプレイデバイスに結合され、
    前記少なくとも1つのディスプレイデバイスに接続された前記コンピュータが、レイトレーシング法、レイキャスティング法、光フィールドレンダリング法及びスキャンラインレンダリング法のうちの1若しくは複数を用いて前記自動立体画像データをレンダリングするようにさらにプログラムされており、
    前記自動立体画像データが、ホーゲルデータを含み、かつ
    当該装置が、前記レンズアレイに結合されたマスクアレイをさらに含むことを特徴とする装置。
  7. 請求項1に記載の装置であって、
    前記少なくとも1つのディスプレイデバイスから放射された光を検出するように前記レンズアレイに対して位置決めされた少なくとも1つのセンサをさらに含み、
    前記少なくとも1つのセンサが、前記コンピュータ及び較正コンピュータシステムのうちの1若しくは複数に接続され、
    前記少なくとも1つのセンサに接続された前記コンピュータまたは前記較正コンピュータシステムが、前記少なくとも1つのセンサから受け取ったデータを用いて較正ソフトウェアを実行するようにしたことを特徴とする装置。
  8. 請求項7に記載の装置であって、
    前記較正ソフトウェアが、前記少なくとも1つのセンサで検出された前記データに基づいて補正表を作成するように構成されており、
    前記少なくとも1つのディスプレイデバイスに接続された前記コンピュータが、前記補正表に記憶されているデータを用いて前記自動立体画像データをレンダリングするようにさらにプログラムされており、
    前記少なくとも1つのセンサが、複数のセンサを含み、
    前記少なくとも1つのセンサに接続された前記コンピュータまたは前記較正コンピュータシステムが、前記複数のセンサから受け取ったデータを用いて較正ソフトウェアを実行するようにしたことを特徴とする装置。
  9. 請求項7に記載の装置であって、
    前記較正ソフトウェアが、
    前記少なくとも1つのディスプレイデバイス上に複数のテストデータパターンが表示されたとき、前記複数のテストデータパターンのうちのどのテストデータパターンが前記少なくとも1つのセンサで検出された前記データを生成しているのかを推測するステップ、
    前記少なくとも1つのセンサから受け取った前記データを正規化するステップ、
    前記少なくとも1つのセンサから受け取った前記データを記録するステップ、
    前記少なくとも1つのディスプレイデバイス上に前記複数のテストデータパターンが表示されたとき、どのテストデータパターンが最適信号を生成するかを判定するステップ、
    のうちの1若しくは複数のステップを実行するように構成されていることを特徴とする装置。
  10. 請求項1に記載の装置であって、
    前記レンズアレイが、複数のレンズレットからなり、
    前記複数のレンズレットが、前記レンズレット間に配設された1若しくは複数の溝によって互いに光学的に隔離されていることを特徴とする装置。
  11. 請求項10に記載の装置であって、
    前記溝に、実質的に不透明な材料が充填されていることを特徴とする装置。
  12. 請求項1に記載の装置であって、
    幾何学的形状及び命令データを受信し、受信したデータに応答してホーゲルベースの出力データを作成するように構成されたグラフィックスモジュールと、
    前記ホーゲルベースデータを受信し、ディスプレイデータのフレームをバッファリングするように構成された少なくとも1つの処理装置と、
    前記少なくとも1つの処理装置に接続された、かつホーゲルベースの画像を表示するように構成された少なくとも1つの空間光変調器とを含むことを特徴とする装置。
  13. 請求項1に記載の装置であって、
    前記レンズアレイと前記ディスプレイデバイスとの間に配置された、かつ前記ディスプレイデバイスに表示された画像の拡大画像を前記レンズアレイ上に画像化するように構成されたリレーレンズをさらに含むことを特徴とする装置。
  14. 請求項13に記載の装置であって、
    前記リレーレンズが、ディスプレイデバイスの画像ソース面を、前記ディスプレイデバイス上に配設されたカバー光学素子を介して前記レンズアレイ上にリレー伝達するように構成されたことを特徴とする装置。
  15. 方法であって、
    自動立体画像データをディスプレイデバイス中の複数のディスプレイ要素に伝達するステップを含み、
    前記ディスプレイが、レンズアレイに結合されており、
    各ディスプレイ要素が、前記レンズアレイを介して光を複数の方向に放射するように構成されおり、かつ
    前記自動立体画像データが、前記複数に方向各々に放射された光の強度を制御するようにしたことを特徴とする方法。
  16. 請求項15に記載の方法であって、
    前記ディスプレイデバイスが、第1のディスプレイ領域及び第2のディスプレイ領域を有し、
    前記少なくとも1つのディスプレイデバイスに接続されたコンピュータが、前記第1のディスプレイ領域への第1の自動立体画像データの伝達及び前記第2のディスプレイ領域への第2の自動立体画像データの伝達を制御するようにプログラムされており、
    前記レンズが、複数のレンズレットを含み、かつ
    前記複数のレンズレットのうちの少なくとも1つが、前記第1のディスプレイ領域に対応する第1のレンズ及び前記第2のディスプレイ領域に対応する第2のレンズを含むことを特徴とする方法。
  17. 請求項15に記載の方法であって、
    前記光を、前記少なくとも1つのディスプレイデバイスと前記レンズアレイとの間に結合された拡大リレーレンズアレイを介して伝達するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  18. 請求項15に記載の方法であって、
    前記ディスプレイデバイスから放射された光を検出する少なくとも1つのセンサから受け取ったデータを用いて、前記ディスプレイデバイスを較正するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  19. 請求項18に記載の方法であって、
    前記センサから受け取ったデータに基づいて補正表を作成するステップと、
    前記補正表に記憶されているデータを用いて、前記自動立体画像データをレンダリングするステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
  20. 請求項18に記載の方法であって、
    前記ディスプレイデバイス上に複数のテストデータパターンが表示されたとき、前記複数のテストデータパターンのうちのどのテストデータパターンが前記少なくとも1つのセンサで検出された前記データを生成しているのかを推測するステップ、
    前記少なくとも1つのセンサから受け取った前記データを正規化するステップ、
    前記少なくとも1つのセンサから受け取った前記データを記録するステップ、
    前記少なくとも1つのディスプレイデバイス上に前記複数のテストデータパターンが表示されたとき、どのテストデータパターンが最適信号を生成するかを判定するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
  21. 請求項15に記載の方法であって、
    前記レンズアレイが、複数のレンズレットからなり、
    前記複数のレンズレットが、前記レンズレット間に配設された1若しくは複数の溝によって互いに光学的に隔離されていることを特徴とする方法。
  22. 請求項15に記載の方法であって、
    前記溝に、実質的に不透明な材料が充填されていることを特徴とする方法。
  23. 請求項15に記載の方法であって、
    幾何学的形状及び命令データに応答してホーゲルベースデータを作成するステップと、
    前記ホーゲルベースデータに応答してディスプレイデータのフレームをバッファリングするステップと、
    前記ディスプレイデータのフレームに対応して空間光変調器によって前記ホーゲルベースの画像を表示するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
  24. 請求項15に記載の方法であって、
    前記光を、前記レンズアレイと前記ディスプレイデバイスとの間に配置された、かつ前記ディスプレイデバイスに表示された画像の拡大画像を前記レンズアレイ上に画像化するように構成されたリレーレンズを介して伝達するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  25. 請求項24に記載の方法であって、
    前記リレーレンズが、ディスプレイデバイスの画像ソース面を、前記ディスプレイデバイス上に配設されたカバー光学素子を介して前記レンズアレイ上にリレー伝達するように構成されたことを特徴とする方法。
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