JP2010531854A - 抗アミロイド剤としてのピレンゼピンおよびその誘導体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、β-アミロイド斑の形成を阻止する、β-アミロイド斑負荷の増加を減少および/または遅延させることができる化合物に関する。特に、本発明は式(I)の化合物およびその代謝産物に関する。

Description

本明細書では、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、β-アミロイド斑の形成を阻止する、β-アミロイド斑負荷を減少させることができる化合物、特にピレンゼピンファミリーに関連する化合物および/またはその代謝産物を開示する。特に、本発明は、ピレンゼピン群の化合物およびその代謝産物に関する。
ピレンゼピンのM1ムスカリン効果は、慢性心不全患者、および心筋梗塞から回復した、または一般に高血圧症である患者の処置に有用である可能性のある迷走神経作用の神経液性調節に関与すると考えられている。
ピレンゼピンはまた、そのM1ムスカリン阻害作用に基づき、いくつかのCNS関連疾患に関与しており、例えば、抗精神病薬に対する併用薬剤として使用される。統合失調症におけるムスカリン受容体の潜在的な役割が、根本的な理由であると推測されている。
ピレンゼピンは、癌または統合失調症の処置において、副作用(例えば、嘔吐または唾液分泌過多)を抑制するためにオランザピンまたはクロザピンのような薬物と一緒に使用される。ピレンゼピンはまた、とりわけ、小児における近視の進行の減少において有効であり、有望な効力結果および許容される安全性プロファイルを伴うことが見出されている。
さらに、ピレンゼピンは糖尿病の処置において試験されている。総合すれば、これらの研究より、ピレンゼピンはかなり安全な化合物であることが示される。
ピレンゼピンおよびピレンゼピン代謝産物LS-75の細胞保護的、特に神経保護的活性がWO 2006/008118(特許文献1)において報告されている。
そのため、本発明の目的は、ピレンゼピン型化合物に対する新規治療または診断用途を見出すことである。現在のところ、驚くべきことに、これらの化合物が、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に脳において、(a)β-アミロイド斑負荷を減少させる、および/または(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する、および/または(c)アミロイド負荷の増加を遅延させることができ、このように、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質の形成、蓄積および沈着により引き起こされる、またはそれらと関連する疾患、例えば、アミロイドーシス、特にアルツハイマー病(AD)の処置において使用することができることが見出された。
アミロイドーシスは、単一疾患実体ではなく、むしろ、1つまたは複数の器官または体組織において蓄積するアミロイドと呼ばれる蝋様の、デンプン様のタンパク質の細胞外組織沈着物により特徴づけられる様々な進行性疾患過程群である。アミロイド沈着物が蓄積するにつれ、器官または体組織の正常な機能を阻害し始める。少なくとも15の異なる型のアミロイドーシスが存在する。主な型は公知の前駆状態のない原発性アミロイドーシス、いくつかの他の状態に続く続発性アミロイドーシス、遺伝性アミロイドーシスである。
続発性アミロイドーシスは、慢性感染症または炎症疾患、例えば、結核、家族性地中海熱と呼ばれる細菌感染症、骨感染症(骨髄炎)、関節リウマチ、小腸の炎症(肉芽腫性回腸炎)、ホジキン病、およびらい病中に起こる。
アミロイド沈着物としては、アミロイドP(五角形)成分(AP)、正常血清アミロイドP(SAP)に関連する糖タンパク質、および硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)、結合組織の複合糖質が挙げられる。アミロイド材料の約90%を占めるアミロイドタンパク質原線維は、いくつかの異なる型のタンパク質の1つを含む。これらのタンパク質は折り畳まれ、いわゆる「β-プリーツ」シート原線維、コンゴ赤に対する結合部位を示す独特なタンパク質立体構造となることができ、アミロイドタンパク質の独特な染色特性が得られる。
加齢の多くの疾患はアミロイド様タンパク質に基づき、またはそれらに関連し、病因ならびに疾患の進行の一因となるアミロイドまたはアミロイド様物質の細胞外沈着の累積により、部分的に、特徴づけられる。これらの疾患としては、アルツハイマー病(AD)などの神経障害および認知記憶能力の喪失により特徴づけられる疾患または状態、例えば、軽度認知機能障害(MCI);レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン-認知症複合;ならびに、アミロイド様タンパク質に基づく、またはそれらに関連する他の疾患、例えば、進行性核上麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV-関連認知症、ALS(amyotropic lateral sclerosis)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、ならびに黄斑変性症、ドルーゼ関連視神経症およびβ-アミロイド沈着による白内障を含む他のものが挙げられるが、それらに限定されない。
これらの疾患の病因は様々である可能性があるが、それらの特徴的な沈着物はしばしば、多くの共有分子成分を含む。かなりの程度、これは、活性化された補体成分、急性相反応物質、免疫モジュレータ、および他の炎症メディエータの同時沈着に至る、炎症促進性経路の局所的活性化に起因する可能性がある(McGeer et al., 1994(非特許文献1))。
アルツハイマー病(AD)は、主に、脳内でのタンパク質の異常な沈着物の蓄積であるアミロイド斑により引き起こされると考えられる神経障害である。罹患した個人の脳において見られる最も多い型のアミロイドは主にAβ線維により構成される。科学的証拠により、斑におけるβ-アミロイドタンパク質の産生および蓄積の増加により、神経細胞死に至り、これがADの発症および進行の一因であることが証明されている。戦略的な脳領域における神経細胞の喪失は、ひいては、神経伝達物質の減少および記憶障害を引き起こす。主に斑の累積の原因となるタンパク質としては、アミロイド前駆体タンパク質(APP)および2つのプレセニリン(プレセニリンIおよびプレセニリンII)が挙げられる。ほとんどの細胞内で構成的に発現され、異化されるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の、酵素βおよびγセクレターゼによる逐次切断により、39〜43のアミノ酸Aβペプチドの放出が起こる。APPの分解により、斑内で凝集する傾向が増加する可能性がある。C末端の2つの非常に疎水性のアミノ酸残基のために、凝集体を構築する高い傾向を有するのは、とりわけAβ(1〜42)フラグメントである。そのため、Aβ(1〜42)フラグメントは、ADにおける老人斑形成の開始に主に関与し、その原因であり、そのため、高い病理学的可能性を有すると考えられる。このように、ADの特徴はAD患者の脳における斑の沈着である(Selkoe, 2000(非特許文献2);Walsh and Selkoe, 2004(非特許文献3))。そのため、アミロイド斑の形成を阻止し、ADにおいて存在する斑を拡散させる剤が必要である。
アルツハイマー病(AD)は、増え続ける老人において最も蔓延している神経変性疾患である。ADの症状は徐々に現れ、最初の症状は軽度の物忘れにすぎない可能性がある。この段階では、個人は最近の事象、高度、身近な人または物の名前を忘れる可能性があり、簡単な数学的問題を解くことができない可能性がある。疾患が進行するにつれ、症状はより容易に気付かれるようになり、AD患者またはその家族が医療救済を求めるのに十分なほど深刻になる。ADの中期段階としては、身だしなみなどの簡単な仕事のやり方を忘れることが挙げられ、話すこと、理解すること、読むこと、または書くことについて問題が生じる。後期AD患者は、不安または攻撃的になる場合があり、家から徘徊し、最終的には全面看護が必要となる可能性がある。
現在、ADを診断する唯一の明確な方法は、個人の死亡後の剖検で、脳組織中の斑およびタングルを識別することである。そのため、人が依然として生存している間は、医者は、ADの「可能性がある」または「推定される」という診断をすることしかできない。現在の方法を使用して、医師は「推定される」ADを診断するためのいくつかのツールを使用して、90%までの場合に、ADを正しく診断することができる。医師はその人の一般的な健康、過去の医学的問題、およびその人が日常活動を行うのに有する全ての困難の経歴について質問する。記憶、問題解決、注意、計数、および言語の行動試験により、認知能力低下についての情報が得られ、血液、尿、または髄液などの医学的検査、および脳スキャンによりさらにいくらかの情報が得られる。
ADの管理は、薬剤に基づく、および薬剤に基づかない処置から構成される。疾患の基礎となる過程の変化(進行の遅延または逆行)を目的とする処置は、これまでのところ、大体は成功していない。神経細胞の化学メッセンジャー(神経伝達物質)における欠陥(欠損)、または機能不全を回復させる薬剤、特にコリンステラーゼ阻害剤(ChEI)、例えば、タクリンおよびリバスチグミンは、症状を改善することが示されている。ChEIは神経伝達物質の酵素分解を妨害し、これにより、脳内で神経シグナルを伝達するのに利用できる化学メッセンジャーの量が増加する。
疾患の初期および中期段階にある幾人かの人々にとっては、薬物タクリン(COGNEX(登録商標)、Morris Plains, NJ)、ドネペジル(ARICEPT(登録商標)、Tokyo, JP)、リバスチグミン(EXELON(登録商標)、East Hanover, NJ)、またはガランタミン(REMINYL(登録商標)、New Brunswick, NJ)は、限られた期間の間、いくつかの症状が悪化しないように助ける可能性がある。別の薬物、メマンチン(NAMENDA(登録商標)、New York, NY)は、中程度〜重度ADの処置のために承認されている。薬剤は、ADの精神症状に対処するために使用することができる。いくつかの薬剤は、ADの行動症状、例えば、不眠、激越、放浪、不安、および抑うつを制御するのを助ける可能性がある。これらの症状を処置すると、しばしば、患者はより快適になり、介護者にとって看護がより容易になる。残念ながら、このクラスの剤は、プラセボよりも一貫して良好であることを示す著しい処置の進歩にかかわらず、疾患は進行し続け、精神機能に対する平均効果は中程度にすぎなかった。例えば、ChEIなどのAD薬物療法において使用される薬物の多くはまた、胃腸障害、肝毒性および体重減少を含む副作用を有する。
アミロイド様タンパク質の蓄積および沈着物に基づく、またはそれらに関連する別の疾患は黄斑変性症である。
黄斑変性症は、網膜の中心領域(感光性細胞が視覚信号を脳に送る眼底の紙のように薄い組織)である黄斑の悪化を引き起こす一般的な目の疾患である。はっきりした明瞭な「真っ直ぐ」の視覚が黄斑により処理される。黄斑が損傷を受けると、盲点が現れ、視覚が不鮮明となり、または歪められる。加齢黄斑変性症(AMD)は、合衆国における視力障害の主因であり、65歳を超える人々にとって、コーカサス人種の間の法的盲の主な原因である。40歳以上の約180万人の米国人が進行AMDを有しており、さらに730万人の中等度AMDを有する人々では、視力喪失の危険性がかなりある。政府は、2020年までに、290万の人々が進行AMDを有すると推定している。AMD犠牲者はしばしば、この盲目状態の原因および処置についてほとんど知られていないことを見出して驚き、不満を抱く。
2つの型の黄斑変性症が存在する:非滲出型黄斑変性症および滲出型黄斑変性症。非滲出型では、黄斑細胞が徐々に破壊され始め、黄斑変性症の症例の85%で非滲出型と診断される。両目が通常非滲出型AMDに侵されるが、片方の目が失明し、もう一方の目は罹患しない可能性がある。網膜下の黄色沈着物であるドルーゼが非滲出型AMDの一般的な初期症状である。進行した非滲出型AMDまたは滲出型AMDを発症する危険は、ドルーゼの数またはサイズが増加するにつれ、増加する。非滲出型AMDは、滲出型の疾患に変わることなく、進行し、失明を引き起こす可能性がある;が、しかしながら、初期段階の非滲出型AMDが突然、滲出型に変わる可能性もある。
滲出型は、症例の15%を占めるにすぎないが、失明の90%に至り、進行AMDと考えられる(滲出型AMDの初期または中等度段階は存在しない)。滲出型AMDは常に、非滲出型の疾患により始まる。非滲出型が悪化するにつれ、幾人かの人々は黄斑の後で異常な血管増殖を有し始める。これらの血管は非常に脆く、体液および血液が漏れ(このため、「滲出型」黄斑変性症)、黄斑の急激な損傷が引き起こされる。
非滲出型AMDは最初、しばしば、わずかに視覚のぼけを引き起こす。特に視覚の中心は、その後、ぼける可能性があり、この領域は疾患が進行するにつれ拡大していく。片目だけが罹患した場合、症状に気付かない場合がある。滲出型AMDでは、直線が波状に現れる可能性があり、中心の視力喪失が急激に起きる可能性がある。
黄斑変性症の診断は典型的には、散大させた目の検査、視力検査、およびAMDの診断を助ける眼底検査と呼ばれる手順を用いた眼底の観察を含み、滲出型AMDが疑われる場合、蛍光眼底観察法もまた実施される可能性がある。非滲出型AMDが進行段階に到達した場合、現在のところ、失明を阻止する処置はない。しかしながら、特定の高用量処方の抗酸化剤および亜鉛は、中等度AMDが進行段階まで進まないように阻止する可能性がある。Macugen(登録商標)(ベガプタニブナトリウム注射薬)、レーザー凝固および光線力学的治療は、異常な血管増殖および黄斑における出血を制御することができ、これは、滲出型AMDを有する幾人かの人々にとっては役立つ;しかしながら、すでに失われた視覚は、これらの技術により回復されることはない。視覚がすでに失われた場合、生活の質を改善するのを助けることができる低視力援助が存在する。
加齢黄斑変性症(AMD)の最も初期の徴候の1つは、網膜色素上皮(RPE)の基底層とBruch膜(BM)との間のドルーゼとして公知の細胞外沈着物の蓄積である。Andersonらにより実施された最近の研究により、ドルーゼがアミロイドβタンパク質を含むことが確認された(Experimental Eye Research 78(2004) 243-256(非特許文献4))。
進行中の研究はAMDの一因である可能性のある環境、遺伝子、および食事因子を調べる研究を推進している。網膜細胞移植片、疾患の進行を阻止または遅延させる薬物、放射線治療、遺伝子治療、視覚を刺激するのを助けることができる網膜中に埋め込まれたコンピュータチップ、および黄斑下で新生血管の増殖を阻止する剤を含む新規処置戦略もまた研究されている。
新規薬物を開発する場合に考える重要な因子は、標的となる患者に対する使用の容易さである。経口薬物送達、具体的には、錠剤、カプセルおよびソフトゲルは、患者の便宜により、消費される全ての剤形の70%を占める。薬物開発者は、患者が、注射または他の、より侵襲性の形態の薬剤投与に供せられるよりも経口送達を好むことに同意している。投与間隔が低い(すなわち、1日1回または持続放出)製剤がまた、好ましい。経口剤形での抗生剤の投与の容易さにより、処置中の患者の服薬遵守が増加する。
必要なのは、アミロイドーシスと関連する合併症、アミロイド斑形成と関連する疾患および障害の一群、例えばアルツハイマー病を阻止し、またはそれに対処するための有効な方法および組成物である。特に、必要なのは、アミロイドまたはアミロイド様ペプチドの原線維の凝集に関連する斑形成などの疾患の生理学的徴候に対抗することができる剤である。
WO 2006/008118
McGeer et al., 1994 Selkoe, 2000 Walsh and Selkoe, 2004 Experimental Eye Research 78(2004) 243-256
このように、本発明の第1の局面は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、(a)β-アミロイド斑負荷を減少させる、および/または(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する、および/または(c)アミロイド負荷の増加を遅延させるための、式Iの化合物またはその薬学的に有効な代謝産物を含むその塩もしくは誘導体、またはそれらの使用に関する:
Figure 2010531854
式中、
AおよびBはN、SおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環であり、環は、ハロ、例えば、F、Cl、Br、もしくはI、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノで一置換または多置換されていてもよく、
WはS、O、NR1またはCHR1であり、
R1は水素、YまたはCOYであり、
R2は水素またはC1〜C4-(ハロ)-アルキルであり、ならびに
YはC1〜C6(ハロ)アルキル、またはC3〜C8シクロ-(ハロ)アルキルであり、ここで、アルキルまたはシクロアルキル基は、N、SおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環により置換されていてもよく、環は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)アルキル、C1〜C4(ハロ)アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキルアミノ、ジ(C1〜C4-アルキル)アミノまたはZで一置換または多置換されていてもよく、
ここで、ZはN(R4)2基でω-置換されたC1〜C6(ハロ)アルキル基であり、ここで、各R4は独立して水素、C1〜C8アルキル、もしくはCO-C1〜C8-アルキルであり、または両方のR4は一緒にN、SおよびOから選択される少なくとも1つの別のヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環を形成し、環は、ハロ、C1〜C4(ハロ)-アルキルおよびC1〜C4(ハロ)アルコキシで一置換または多置換されていてもよい。
式Iの化合物の特徴付けにおいて上記で使用されるように「(ハロ)アルキル」という用語は、本発明の範囲内では、任意で、過ハロゲン化までの、少なくとも1つのハロ、例えば、F、Cl、Br、またはI置換基を含むアルキル基を示すものである。
「塩」という用語は、適したカチオンおよび/またはアニオンを有する式Iの化合物の薬学的に許容される塩を示すものである。適したカチオンの例は、アルカリ金属カチオン、例えば、Li+、Na+およびK+、アルカリ土類金属カチオン、例えば、Mg+およびCa+、ならびに適した有機カチオン、例えば、アンモニウムまたは置換アンモニウムカチオンである。薬学的に許容されるアニオンの例としては、塩化物、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、ホスフェートまたは有機カチオン、例えば、アセテート、シトレート、タートレート、などである。
式Iの化合物の誘導体は、生理的条件下で式Iの化合物に変換される任意の分子、例えば、式Iの化合物のエステル、アミド、など、または式Iの化合物の代謝反応産物である分子、例えば、式IIIの化合物である。
式Iの化合物では、環状基AおよびBは特に下記から選択される:
Figure 2010531854
式中、
XはNまたはCR3であり、
V1、V2またはV3は-O-、-S-、およびNR6から選択され、
R3は各々の場合において、独立して、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、
mは0〜2の整数であり、
R6は水素またはC1〜C4-(ハロ)アルキルである。
より特定的には、環状基Aは下記から選択される:
Figure 2010531854
式中、
R3は上記のように規定され、
mは0〜2の整数であり、
rは0〜1の整数であり、
R6は水素またはメチルである。
より好ましくは、環状基Bは下記から選択される:
Figure 2010531854
式中、
X、R3およびmは上記で規定された通りである。
1つの態様では、R1はYである。この場合、Yは好ましくはC3〜C8シクロ(ハロ)-アルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチルである。
別の態様では、R1はCOYであり、Yは-(CHR7)q-R8であり、
ここで、R7は水素、ハロまたはC1〜C4-(ハロ)アルキルであり、
qは1〜4の整数であり、好ましくは1であり、ならびに
R8は少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環であり、環は、C1〜C4(ハロ)アルキルまたは上記で規定されるようなω-アミノ置換されたアルキル基Zで一置換または多置換されていてもよい。
この態様では、R8は特に下記から選択される:
Figure 2010531854
式中、
R9は水素またはC1〜C4(ハロ)アルキルであり、R10は上記で規定されるようなω-アミノ置換されたアルキル基Zである。
R9は特にメチル基である。ω-アミノ置換されたアルキル基Zは好ましくは、少なくとも1つのC1〜C6アルキル基、またはCO(C1〜C6)アルキル基および水素またはC1〜C2アルキル基で置換された末端アミノ基、例えば、ジエチルアミノ、またはジ-イソブチルアミノ基を有するC1〜C4(ハロ)アルキル基である。
具体的な態様では、環状基AおよびBは下記である:
Figure 2010531854
式中、
XはNまたはCR3であり、
R3は各々の場合において、独立して、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、ならびに
mは0〜2の整数である。
別の具体的な態様では、環状基Aは下記である:
Figure 2010531854
式中、
XはNであり、
R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、および
mは0〜2の整数である。
別の具体的な態様では、環状基Bは下記である:
Figure 2010531854
式中、
XはCHであり、
R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、および
mは0〜2の整数である。
別の具体的な態様では、環状基Aは下記であり、
Figure 2010531854
式中、
XはNであり、
R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、および
mは0〜2の整数である;ならびに
ここで、環状基Bは下記である:
Figure 2010531854
式中、
XはCHであり、
R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、および
mは0〜2の整数である。
さらに別の具体的な態様では、本発明は本明細書において上記で規定されている式Iの化合物に関し、式中、
WはNR1であり、
R1はCOYであり、および
Yは-(CHR7)q-R8であり、
ここで、R7は水素、ハロまたはC1〜C4-(ハロ)アルキルであり、
qは1〜4の整数であり、好ましくは1であり、ならびに
R8は少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環であり、環は、C1〜C4(ハロ)アルキルまたは上記で規定されるようなω-アミノ置換されたアルキル基Zで一置換または多置換されされていてもよい。
別の具体的な態様では、環状基Aは下記であり、
Figure 2010531854
式中、
XはNであり、
R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、および
mは0〜2の整数である;ならびに
ここで、環状基Bは下記であり、
Figure 2010531854
式中、
XはCHであり、
R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、および
mは0〜2の整数である;ならびに、
式中、
WはNR1であり、
R1はCOYであり、および
Yは-(CHR7)q-R8であり、
ここで、R7は水素、ハロまたはC1〜C4-(ハロ)アルキルであり、
qは1〜4の整数であり、好ましくは1であり、ならびに
R8は少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環であり、環は、C1〜C4(ハロ)アルキルまたは上記で規定されるようなω-アミノ置換されたアルキル基Zで一置換または多置換されていてもよい。
別の具体的な態様では、環状基Aは下記であり、
Figure 2010531854
式中、
XはNであり、
R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、および
mは0〜2の整数である;ならびに
ここで、環状基Bは下記であり、
Figure 2010531854
式中、
XはCHであり、
R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、および
mは0〜2の整数である;ならびに、
式中、
WはNR1であり、
R1はCOYであり、および
Yは-(CHR7)q-R8であり、
ここで、R7は水素またはC1〜C4-アルキルであり、
qは1〜4の整数であり、好ましくは1であり、ならびに
R8は少なくとも1つのNを含む6員環であり、環はC1〜C4(ハロ)アルキルで一置換または多置換される。
具体的な態様では、本発明は本明細書において上記で規定されている式Iの化合物に関し、式中、
WはNR1であり、
R1は水素であり、
環状基AおよびBは下記である:
Figure 2010531854
式中、
XはNまたはCR3であり、
R3は、各々の場合において、独立して、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、ならびに
mは0〜2の整数である。
別の具体的な態様では、本発明は本明細書において上記で規定されている式Iの化合物に関し、式中、
WはNR1であり、
R1は水素であり、
環状基Aは下記である:
Figure 2010531854
式中、
XはNであり、
R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、ならびに
mは0〜2の整数である。
別の具体的な態様では、本発明は本明細書において上記で規定されている式Iの化合物に関し、式中、
WはNR1であり、
R1は水素であり、
環状基Bは下記である:
Figure 2010531854
式中、
XはCHであり、
R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、ならびに
mは0〜2の整数である。
別の具体的な態様では、本発明は本明細書において上記で規定されている式Iの化合物に関し、式中、
WはNR1であり、
R1は水素であり、
環状基Aは下記であり、
Figure 2010531854
式中、
XはNであり、
R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、および
mは0〜2の整数である;ならびに
環状基Bは下記である:
Figure 2010531854
式中、
XはCHであり、
R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、および
mは0〜2の整数である。
別の具体的な態様では、本発明は本明細書において上記で規定されている式Iの化合物に関し、式中、
WはNR1であり、
R1は水素であり、
環状基Aは下記であり、
Figure 2010531854
式中、
XはNであり、
R3は、C1〜C4-(ハロ)-アルキルであり、および
mは0〜2の整数である;ならびに
環状基Bは下記である:
Figure 2010531854
式中、
XはCHであり、
R3は、各々の場合において、C1〜C4-(ハロ)-アルキルであり、および
mは0〜2の整数である。
式Iの化合物の具体例は、仏国特許第1,505,795号、米国特許第3406168号、同第3660380号、同第4021557号、同第4210648号、同第4213984号、同第4213985号、同第4277399号、同第4308206号、同第4317823号、同第4335250号、同第4424222号、同第4424226号、同第4724236号、同第4863920号、同第5324832号、同第5620978号、同第6316423号において開示されているようなピレンゼピンおよび関連化合物、米国特許第3406168号、同第5324832号および同第5712269号において開示されているようなオテンゼパドおよび関連化合物、米国特許第5716952号、同第5576436号および同第5324832号において開示されているようなAQ-RA741および関連化合物、EP-A-0429987および米国特許第5366972号、同第5705499号において開示されているようなビラミューンおよび関連化合物、米国特許第6022683号および同第5935781号において開示されているようなBIBN 99および関連化合物、EP-A-0035519および米国特許第4381301号において開示されているようなDIBD、テレンゼピンおよび関連化合物、ならびにそれらの塩または誘導体である。上記文書は参照により本明細書に組み入れられる。
別の好ましい化合物は、7-アザビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンおよびヘプテン化合物、例えば、米国特許第5817679号、同第6060473号、同第6077846号、同第6117889号、同第6255490号、同第6403584号、同第6410583号、同第6537524号、同第6579889号、同第6608055号、同第6627644号、同第6635658号、同第6693202号、同第6699866号および同第6756392号において開示されているような臭化チオトロピウム、複素環化合物、例えば、ピロリジノン、テトラヒドロピリジン、イソキサゾカルボキサミド、チエノピランカルボキサミド、またはベンゾピラン、例えば、米国特許第6306861号、同第6365592号、同第6403594号、同第6486163号、同第6528529号、同第6680319号、同第6716857号および同第6759419号において開示されているアルバメリンタートレートおよび関連化合物、米国特許第3177252号において開示されているようなメトクロプロアミドおよび関連化合物、ならびに、米国特許第2648667号において開示されているようなQNBおよび関連化合物、ならびにそれらの塩および誘導体である。上記文書は参照により本明細書に組み入れられる。
具体的な態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、
(a)β-アミロイド斑負荷、特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させるための、本発明による、および本明細書で規定される、薬学的に有効な代謝産物を含む式Iの化合物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物、あるいはそれらの使用に関する。
動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、β-アミロイド斑負荷を減少させる、β-アミロイド斑の形成を阻止する、および/またはアミロイド負荷の増加を遅延させることにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に脳におけるβ-アミロイド斑の形成および沈着により引き起こされる、またはそれらに関連する疾患または状態の影響を減少および/または寛解させることができる。
したがって、具体的な態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、
(a)β-アミロイド斑負荷、特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させることにより、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質の形成、蓄積および沈着により引き起こされる、またはそれらと関連する疾患または障害を処置するための、本発明による、および本明細書で規定される、薬学的に有効な代謝産物を含む式Iの化合物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物、あるいはそれらの使用に関する。
したがって、1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳において、
(a)特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させることにより、β-アミロイド斑負荷を減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させることにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳におけるβ-アミロイド斑の形成により引き起こされる、またはそれらと関連する、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおける疾患または状態、特に、アルツハイマー病(AD)などの神経障害および認知記憶能力の喪失により特徴づけられる疾患または状態、例えば、軽度認知機能障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン-認知症複合;ならびに、アミロイド様タンパク質に基づく、またはそれらに関連する他の疾患、例えば、進行性核上麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV-関連認知症、ALS(amyotropic lateral sclerosis)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、ならびに黄斑変性症、ドルーゼ関連視神経症およびβ-アミロイド沈着による白内障を含む他のものからなる群より選択される疾患または状態、とりわけアルツハイマー病を処置するための、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、薬学的に有効な代謝産物を含む式Iの化合物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物、あるいはそれらの使用に関する。
1つの態様では、本発明は、認知記憶能力を保持または増加させるための、特に、記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの認知記憶能力を回復させるための、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、薬学的に有効な代謝産物を含む式Iの化合物、または前記化合物および/またはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物、あるいはそれらの使用に関する。
本発明の別の目的は、認知記憶能力を保持または増加させるための、特に、記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの認知記憶能力を回復させるための、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、式Iの化合物および/またはその薬学的に有効な代謝産物を含む治療組成物、およびそのような組成物を製造する方法を提供することである。
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトに、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、式Iの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物を投与することにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に脳において、(a)β-アミロイド斑負荷を減少させる、(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する、および/または(c)アミロイド負荷の増加を遅延させる方法を提供する。
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトに、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、式Iの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物を投与することにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳において、
(a)β-アミロイド斑負荷、特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させる方法に関する。
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳において、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、式Iの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物を投与することにより、
(a)β-アミロイド斑負荷、特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させることにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおいて、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳におけるβ-アミロイド斑の形成、ひいては斑負荷の増加により引き起こされる、またはそれと関連する状態を処置するための方法を提供する。
特に、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳におけるβ-アミロイド斑の形成、ひいては斑負荷の増加により引き起こされる、またはそれと関連する状態は、アルツハイマー病(AD)などの神経障害および認知記憶能力の喪失により特徴づけられる疾患または状態、例えば、軽度認知機能障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン-認知症複合;ならびに、アミロイド様タンパク質に基づく、またはそれらに関連する他の疾患、例えば、進行性核上麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV-関連認知症、ALS(amyotropic lateral sclerosis)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、ならびに黄斑変性症、ドルーゼ関連視神経症およびβ-アミロイド沈着による白内障を含む他のものからなる群からなる群より選択されるが、とりわけアルツハイマー病である。
具体的な態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物またはヒトに、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、式Iの化合物および/またはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物を投与することにより、認知記憶能力を保持または増加させるための、特に、記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの認知記憶能力を回復させるための方法を提供する。
別の態様では、本発明は、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、式Iの化合物および/またはその薬学的に有効な代謝産物を含む治療組成物による、認知記憶能力の喪失により特徴づけられるアミロイド関連状態を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの処置に関し、この処置により、動物、特に哺乳動物またはヒトにおいて、認知記憶能力の保持および/または認知記憶能力の増加および/または認知記憶能力の回復が得られる。
本発明の第1の局面では、式Iの化合物、またはその薬学的に有効な代謝産物を含む、その塩もしくは誘導体が、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、(a)β-アミロイド斑負荷を減少させる、(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する、および/または(c)アミロイド負荷の増加を遅延させるために使用される:
Figure 2010531854
式中、
AおよびBはN、SおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環であり、環は、ハロ、例えば、F、Cl、Br、もしくはI、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノで一置換または多置換されていてもよく、
WはS、O、NR1またはCHR1であり、
R1は水素、YまたはCOYであり、
R2は水素またはC1〜C4-(ハロ)-アルキルであり、ならびに
YはC1〜C6(ハロ)アルキル、またはC3〜C8シクロ-(ハロ)アルキルであり、ここで、アルキルまたはシクロアルキル基は、N、SおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環により置換されていてもよく、環は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)アルキル、C1〜C4-(ハロ)アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキルアミノ、ジ(C1〜C4-アルキル)アミノまたはZで一置換または多置換されていてもよく、
ここで、ZはN(R4)2基でω-置換されたC1〜C6-(ハロ)アルキル基であり、ここで、各R4は独立して水素、C1〜C8アルキル、もしくはCO-C1〜C8-アルキルであり、または両方のR4は一緒にN、SおよびOから選択される少なくとも1つの別のヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環を形成し、環は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキルおよびC1〜C4-(ハロ)アルコキシで一置換または多置換されていてもよい。
特に、本発明による式Iの化合物および/またはその薬学的に有効な代謝産物は、アルツハイマー病(AD)などの神経障害および認知記憶能力の喪失により特徴づけられる疾患または状態、例えば、軽度認知機能障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン-認知症複合;ならびに、アミロイド様タンパク質に基づく、またはそれらに関連する他の疾患、例えば、進行性核上麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV-関連認知症、ALS(amyotropic lateral sclerosis)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、ならびに黄斑変性症、ドルーゼ関連視神経症およびβ-アミロイド沈着による白内障、ドルーゼ関連視神経症およびβ-アミロイド沈着による白内障を含む他のものからなる群より選択される、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳におけるβ-アミロイド斑の形成、ひいては斑負荷の増加により引き起こされる、またはそれと関連する状態;とりわけアルツハイマー病を処置するために使用される。
1つの態様では、本発明による式Iの化合物および/またはその薬学的に有効な代謝産物は、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、式Iの化合物および/またはその薬学的に有効な代謝産物を含む治療組成物を用いる、認知記憶能力の喪失により特徴づけられるアミロイド関連状態を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの処置のために使用され、この処置により、動物、特に哺乳動物またはヒトにおいて、認知記憶能力の保持および/または認知記憶能力の増加および/または認知記憶能力の回復が得られる。
さらに、本発明は、代謝されて、式Iによるジアリールジアゼピノン、例えばクロゼピンおよびオレンゼピンを提供する化合物を含む。
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳において、特に、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または担体を一緒に有する薬学的組成物の形態をとる、
(a)β-アミロイド斑負荷、特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させるための式IIの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物、あるいはその使用に関する:
Figure 2010531854
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物またはヒトに、式IIの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物を投与することにより、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質の形成、蓄積および沈着により引き起こされる、またはそれらと関連する疾患または障害を処置するための、式IIの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物、あるいはその使用に関する:
Figure 2010531854
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物またはヒトに、式IIの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物を投与することにより、認知記憶能力を保持または増加させるための、特に、記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの認知記憶能力を回復させるための、式IIの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物、あるいはその使用に関する:
Figure 2010531854
本発明の別の目的は、認知記憶能力を保持または増加させるための、特に、記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの認知記憶能力を回復させるための、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、式IIの化合物および/またはその薬学的に有効な代謝産物を含む治療組成物、ならびにそのような組成物を製造する方法を提供することである。
1つの具体的な態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳において、特に、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または担体を一緒に有する薬学的組成物の形態で、
(a)特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させることにより、β-アミロイド斑負荷を減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させることにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおいて、組織および器官、特に、脳におけるβ-アミロイド斑の形成、ひいては斑負荷の増加により引き起こされる、またはそれと関連する状態を処置するための、またはそのような処置において使用するための薬剤を製造するための、式IIの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物に関する:
Figure 2010531854
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳において、
(a)特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させることにより、β-アミロイド斑負荷を減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させることにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳におけるβ-アミロイド斑の形成により引き起こされる、またはそれらと関連する、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおける疾患または状態、特に、アルツハイマー病(AD)などの神経障害および認知記憶能力の喪失により特徴づけられる疾患または状態、例えば、軽度認知機能障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン-認知症複合;ならびに、アミロイド様タンパク質に基づく、またはそれらに関連する他の疾患、例えば、進行性核上麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV-関連認知症、ALS(amyotropic lateral sclerosis)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、ならびに黄斑変性症、ドルーゼ関連視神経症およびβ-アミロイド沈着による白内障を含む他のものからなる群より選択される疾患または状態、とりわけアルツハイマー病を処置するための、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、薬学的に有効な代謝産物を含む式IIの化合物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物、あるいはそれらの使用に関する。
1つの具体的な態様では、本発明は、式IIの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物による、認知記憶能力の喪失により特徴づけられるアミロイド関連状態を患う動物、特に哺乳動物またはヒトにおける処置のための、式IIの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物、あるいはその使用に関し、この処置により、動物、特に哺乳動物またはヒトにおいて、認知記憶能力の保持および/または認知記憶能力の増加および/または認知記憶能力の回復が得られる:
Figure 2010531854
特に、本発明は、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、式IIの化合物および/またはその薬学的に有効な代謝産物を含む治療組成物による、認知記憶能力の喪失により特徴づけられるアミロイド関連状態を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの処置に関し、この処置により、動物、特に哺乳動物またはヒトにおいて、認知記憶能力の保持および/または認知記憶能力の増加および/または認知記憶能力の回復が得られる。
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトに、本発明による、および本明細書で前に規定された、式IIの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物を投与することにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に脳において、(a)β-アミロイド斑負荷を減少させる、(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する、および/または(c)アミロイド負荷の増加を遅延させる方法を提供する。
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトに、本発明による、および本明細書で前に規定された、式IIの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物を投与することにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳において、
(a)β-アミロイド斑負荷、特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させる方法に関する。
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳において、本発明による、および本明細書で前に規定された、式IIの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物を投与することにより、
(a)特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させることにより、β-アミロイド斑負荷を減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させることにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおいて、組織および器官、特に、脳におけるβ-アミロイド斑の形成、ひいては斑負荷の増加により引き起こされる、またはそれと関連する状態を処置するための方法を提供する。
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物またはヒトに、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、式IIの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または前記化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物を投与することにより、認知記憶能力を保持または増加させるための、特に、記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの認知記憶能力を回復させるための方法を提供する。
本発明の具体的な態様では、本明細書で前に開示した式Iの化合物、特に式IIの化合物、または前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物は経口投与される。
本発明の別の具体的な態様では、式I、特に式IIの化合物、または前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物はプロドラッグとして使用される。
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳において、特に、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または担体を一緒に有する薬学的組成物の形態をとる、
(a)β-アミロイド斑負荷、特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させるための式IIIの化合物もしくは前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物、またはその使用に関する:
Figure 2010531854
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物またはヒトに、式IIIの化合物または前記化合物を含む薬学的組成物を投与することにより、アミロイドまたはアミロイド様タンパク質の形成、蓄積および沈着により引き起こされる、またはそれらと関連する疾患または障害を処置するための、式IIIの化合物もしくは前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物、またはその使用に関する:
Figure 2010531854
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物またはヒトに、式IIIの化合物または前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物を投与することにより、認知記憶能力を保持または増加させるための、特に、記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの認知記憶能力を回復させるための、式IIIの化合物もしくは前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物、またはその使用に関する:
Figure 2010531854
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、特に、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または担体を一緒に有する薬学的組成物の形態で、
(a)特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させることにより、β-アミロイド斑負荷を減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させることにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおいて、組織および器官、特に、脳におけるβ-アミロイド斑の形成、ひいては斑負荷の増加により引き起こされる、またはそれと関連する状態を処置するための、またはそのような処置において使用するための薬剤を製造するための、式IIIの化合物もしくは前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物、またはその使用に関する:
Figure 2010531854
1つの態様では、本発明は、式IIIの化合物または前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物による、認知記憶能力の喪失により特徴づけられるアミロイド関連状態を患う動物、特に哺乳動物またはヒトにおける処置のための、式IIIの化合物もしくは前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物、またはその使用に関し、
Figure 2010531854
この処置により、動物、特に哺乳動物またはヒトにおいて、認知記憶能力の保持および/または認知記憶能力の増加および/または認知記憶能力の回復が得られる。
本発明の別の目的は、認知記憶能力を保持または増加させるための、特に、記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの認知記憶能力を回復させるための、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、式IIIの化合物を含む治療組成物、およびそのような組成物を製造する方法を提供することである。
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトに、本発明による、および本明細書で前に記載された、式IIIの化合物または前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物を投与することにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に脳において、(a)β-アミロイド斑負荷を減少させる、(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する、および/または(c)アミロイド負荷の増加を遅延させる方法を提供する。
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトに、本発明による、および本明細書で前に記載された、式IIIの化合物または前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物を投与することにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳において、
(a)β-アミロイド斑負荷、特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させる方法に関する。
別の具体的な態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物またはヒトに、本発明による、および本明細書でさらに規定される、式IIIの化合物または前記化合物を含む薬学的組成物を投与することにより、認知記憶能力を保持または増加させるための、特に、記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの認知記憶能力を回復させるための方法を提供する。
1つの態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳において、本発明による、および本明細書で前に記載された、式IIIの化合物または前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物を投与することにより、
(a)特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させることにより、β-アミロイド斑負荷を減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させることにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおいて、組織および器官、特に、脳におけるβ-アミロイド斑の形成、ひいては斑負荷の増加により引き起こされる、またはそれと関連する状態を処置するための方法を提供する。
別の具体的な態様では、本発明は、本発明による、およびさらに本明細書で規定される、式IIIの化合物または式IIIの化合物を含む治療組成物による、認知記憶能力の喪失により特徴づけられるアミロイド関連状態を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの処置法に関し、この処置により、動物、特に哺乳動物またはヒトにおいて、認知記憶能力の保持および/または認知記憶能力の増加および/または認知記憶能力の回復が得られる。
具体的な態様では、本発明は、特に、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または担体を一緒に有する薬学的組成物の形態で、斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させる、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの処置のための、またはそのような措置において使用するための薬剤を製造するための、本明細書で記載される、式I、特に式II、特に式IIIの化合物、または前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物の使用に関する。
さらに別の態様では、本発明は、特に、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または担体を一緒に有する薬学的組成物の形態で、アミロイド負荷の増加を、疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させるための、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの処置のための、またはそのような処置において使用するための薬剤を製造するための、本明細書で記載される、式I、特に式II、特に式IIIの化合物、または前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物の使用に関する。
本発明は、さらに、特に、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または担体を一緒に有する薬学的組成物の形態で、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳におけるβ-アミロイド斑の形成により引き起こされる、またはそれと関連する、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおける疾患もしくは状態、特に、アルツハイマー病(AD)などの神経障害および認知記憶能力の喪失により特徴づけられる疾患または状態、例えば、軽度認知機能障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン-認知症複合;ならびに、アミロイド様タンパク質に基づく、またはそれらに関連する他の疾患、例えば、進行性核上麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV-関連認知症、ALS(amyotropic lateral sclerosis)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、ならびに黄斑変性症、ドルーゼ関連視神経症およびβ-アミロイド沈着による白内障を含む他のものからなる群より選択される疾患または状態、とりわけアルツハイマー病の処置のための、または疾患もしくは状態のそのような処置において使用するための薬剤を製造するための、本明細書で記載される、式I、特に式II、特に式IIIの化合物、または前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物の使用、またはそのような処置において使用される薬剤を調製する方法に関する。
具体的な態様では、本発明は、動物、特に哺乳動物またはヒトにおいて認知記憶能力を保持し、および/または認知記憶能力を増加させ、および/または認知記憶能力を回復させるための、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの処置のための、またはそのような処置において使用するための薬剤を製造するための、本明細書で記載される、式I、特に式II、特に式IIIの化合物、または前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物の使用に関する。
本発明の別の具体的な態様では、式Iの化合物、特に式II、特に式IIIの化合物、または前記化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物は経口投与される。
本発明は、本明細書で前に開示された式Iの化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物を用いて、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に脳におけるβ-アミロイド斑負荷を減少させるための方法に関する。
本発明はまた、式Iの化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物を用いて、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に脳におけるβ-アミロイド斑形成を阻止するための方法に関する。
本発明はまた、式Iの化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物を用いて、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に脳におけるアミロイド負荷の増加を、疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで遅延させるための方法に関する。
式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物は、そのような処置を必要とする哺乳動物、特にヒト患者に、特に、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または担体を一緒に有する薬学的組成物の形態で、投与してもよい。
特に、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物または前記化合物を含む薬学的組成物は、経口により、または腹腔内注射により投与される。
好ましくは、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物を含む本発明による薬学的組成物は、経口、鼻内、舌下、眼内、経皮、非経口、直腸、膣内、吸入または吹送手段により投与するために、単位剤形、例えば、錠剤、ピル、カプセル、散剤、顆粒剤、ロゼンジ、滅菌非経口溶液または懸濁剤、定量エアロゾルまたは液体噴霧、点滴薬、アンプル、自動注入装置または坐薬で提供される。または、組成物は、1週間に1度、2週間に1度、3週間に1度、4週間に1度などで適用するのに適した形態で、例えば、持続放出性製剤として、提供してもよい。
本発明による、および本明細書で前に記載した化合物、特に式Iの化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物、およびそれらの薬学的に許容される塩または水和物は、公知の技術を使用して、生理学的に許容される製剤で調製することができ、薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤を含んでもよい。そのような組成物は典型的には、治療的に有効な量の、本明細書において上記で記載された化合物のいずれか、および薬学的に許容される担体を含む。好ましくは、有効量は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、β-アミロイド斑負荷を減少させる、またはβ-アミロイド斑の形成を阻止する、またはアミロイド負荷の増加を疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで遅延させるのに有効な量である。適切な担体、希釈剤、および/または賦形剤は当業者に周知である。
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容される担体」は、発熱物質を含まない滅菌水などの、医用薬投与と適合する、任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などを含むよう意図されている。適した担体は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されており、これは当分野における標準参照テキストであり、参照により本明細書に組み入れられる。そのような担体または希釈剤の好ましい例としては、水、生理食塩水、フィンガー液、デキストロース液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、それらに限定されない。リポソームおよび非水性ビヒクル、例えば固定油も使用してもよい。任意の従来の媒質または剤が活性化合物と適合しない場合を除き、組成物におけるそれらの使用が企図される。
固体担体/希釈剤としては、ガム、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン)、糖(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース、デキストロース)、セルロース材料(例えば、微結晶セルロース)、アクリレート(例えば、ポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルク、またはそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。液体製剤では、薬学的に許容される担体は、水性または非水性の溶液、懸濁液、エマルジョンまたは油であってもよい。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体としては、水、アルコール/水溶液、エマルジョンまたは懸濁液が挙げられ、生理食塩水および緩衝媒質が含まれる。油の例は、石油、動物、植物、または合成起源のもの、例えば、ピーナツ油、大豆油、鉱物油、オリーブ油、ヒマワリ油、および魚肝油である。溶液または懸濁液はまた、下記成分を含むことができる:滅菌希釈剤、例えば注射用の水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば、アセテート、シトレートまたはホスフェート、および浸透圧を調節するための作用物質、例えば、塩化ナトリウムまたデキストロース。pHは酸または塩基、例えば塩酸または水酸化ナトリウムにより調節することができる。
希釈剤は、例えば、ホスフェート緩衝生理食塩水、水、エマルジョン、例えば油/水エマルジョン、様々な型の湿潤剤、滅菌溶液など、または微結晶セルロースを含んでもよい。
得られた薬学的組成物は、必要に応じて他の添加物、および、例えば、結合剤(例えば、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロースなど)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクなど)、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム;カルボキシメチルセルロースカルシウム、タルクなど)などを含んでもよく、さらに、結合剤、緩衝剤、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤、可溶化剤、可塑剤、乳化剤、安定化剤、増粘剤、甘味剤、膜形成剤、またはそれらの任意の組みあわせから選択される1つまたは複数の添加物を含んでもよい。
結合剤(例えば、アラビアゴム、トウモロコシデンプン、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロール、ポビドン)、崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギニン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、デンプングリコール酸ナトリウム、プリモゲル)、様々なpHおよびイオン強度の緩衝剤(例えば、tris-HCl、アセテート、ホスフェート)、表面吸収を阻止するためのアルブミンまたはゼラチンなどの添加物、洗浄剤(例えば、Tween 20、Tween 80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、透過増強剤、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、グライダント(glidant)(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール)、安定化剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、増粘剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアーガム)、甘味剤(例えば、スクロース、アスパルテーム、クエン酸)、香味剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香料)、保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動補助剤(flow-aid)(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)、コーティングおよび膜形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリレート、ポリメタクリレート)および/またはアジュバント。
本発明による式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物の製剤は、当業者に公知の標準法により達成することができる。補充の活性化合物もまた、本発明による薬学的組成物中に組み入れることができる。
様々な上記成分を混合した後、得られた混合物を製剤化し、投与、特に経口投与に適した剤形とする。
本発明の、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物および式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物を含む薬学的組成物は、被験体に、固体、液体またはエアロゾルの形態で、適した、薬学的に有効な用量で投与してもよい。固体組成物の例としては、錠剤、クリームおよび埋め込み型用量単位が挙げられる。錠剤は経口投与してもよい。治療クリームは局所投与してもよい。埋め込み型用量単位は局在的に投与してもよく、または治療組成物の体系的放出のために、例えば、皮下で埋め込んでもよい。液体組成物の例としては、筋内、皮下、静脈内、動脈内注射のために適合された製剤、ならびに局所および眼内投与のための製剤が挙げられる。エアロゾル製剤の例としては、肺に投与するための吸入器製剤が挙げられる。
本発明の、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物および式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物を含む薬学的組成物は、標準の投与経路により投与してもよい。一般に、組成物は、局所、経口、直腸、鼻内、皮膚間、腹腔内、または非経口(例えば、静脈内、皮下、または筋内)経路により投与してもよい。
投与は、非経口で、例えば、静脈内としてもよい。非経口投与のための調製物は、滅菌水溶液または非水溶液、懸濁液およびエマルジョンを含む。非水性溶媒としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルが挙げられるが、それに限定されない。水性溶媒は、生理食塩水および緩衝媒質を含む、水、アルコール/水溶液、エマルジョンまたは懸濁液からなる群より選択してもよい。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲルまたは固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルとしては、流体および栄養補充物、電解質補充物(リンゲルデキストロースに基づくものなど)などが挙げられる。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなどの保存剤もまた、存在してもよい。
投与は一般に経口である。経口投与のための剤形は特に、カプセル、錠剤、細粒、顆粒剤、ドライシロップなどを含み、それ自体が公知の方法により製造してもよい。経口投与のための調製物は、経口、非毒性の、薬学的に許容される不活性担体、例えば、限定はされないが、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、およびソルビトールと組み合わせることができ;液体での経口投与のためには、経口薬成分は、任意の、経口、非毒性の、薬学的に許容される不活性担体、例えば、限定はされないが、エタノール、グリセロール、および水と組み合わせることができる。さらに、望ましいまたは必要である場合、適した結合剤、潤滑剤、崩壊剤、および着色剤もまた、混合物中に組み入れることができる。適した結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えば、限定はされないがグルコースまたはβ-ラクトース、トウモロコシ甘味剤、天然および合成ゴム、例えば、アラビアゴム、トラガカント、またはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、およびワックスが挙げられるが、それらに限定されない。これらの剤形で使用される潤滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、および塩化ナトリウムが挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、およびキサンタンガムが挙げられるが、それらに限定されない。
カプセルは、標準の2ピースハードゼラチンカプセルを粉末活性成分、ラクトース、セルロース、およびステアリン酸ナトリウムで充填することにより調製してもよい。
ソフトゼラチンカプセルは、容積流量(positive displacement)ポンプにより、活性成分を含む可消化油、例えば、大豆油、綿実油またはオリーブ油の混合物をゼラチン中に注入し、活性成分を含むソフトゼラチンカプセルを形成させることにより調製してもよい。カプセルは洗浄され、乾燥されるべきである。
錠剤は、例えば、用量単位が活性成分、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、デンプンおよびラクトースを含むように、従来の手順により調製してもよい。適当なコーティングを適用して、嗜好性または吸収遅延を増加させてもよい。
懸濁液は、経口および/または非経口投与のために、例えば、微粉化した活性成分、カルボキシメチルセルロースナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビトール溶液、U.S.P.およびバニリンまたは他の美味な香料を含むように、調製してもよい。
薬学的組成物は、さらに、タンパク性担体、例えば、特にヒト起源の、血清アルブミンまたは免疫グロブリンを含んでもよい。さらに、生物的に活性な剤が、使用目的によっては、本発明の薬学的組成物中に存在してもよい。
1つの態様では、活性化合物は、化合物が身体から迅速に排除されないように保護する担体と共に、例えば、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムを含む、徐放製剤として調製される。生分解性の生体適合性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステル、およびポリ乳酸を使用することができる。そのような製剤を調製するための方法は当業者には明らかであろう。材料はまた、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals, Inc.から市販されている。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体で感染細胞に標的されたリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号において記載されているように、当業者に公知の方法により調製することができる。
1つの態様では、本発明による、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物および式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物を含む薬学的組成物は、生分解性ポリマーなどの持続放出マトリクス中に組み入れてもよく、ポリマーは送達が望まれる場所の近く、例えば、腫瘍部位に埋め込まれる。方法は単回投与、予め決められた時間間隔での反復投与、および予め決められた期間の間の持続性投与を含む。
本明細書で使用される、持続放出マトリクスは、酵素もしくは酸/塩基加水分解により、または溶解により分解可能な材料、通常ポリマーから製造されたマトリクスである。体内に挿入されるとすぐに、マトリクスは酵素および体液により作用される。持続放出マトリクスは、望ましくは生体適合性材料、例えば、リポソーム、ポリラクチド(ポリラクチド酸)、ポリグリコリド(グリコール酸のポリマー)、ポリラクチドコ-グリコリド(乳酸およびグリコール酸のコポリマー)、ポリアンヒドリド、ポリ(オルソ)エステル、ポリペプチド、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、カルボン酸、脂肪酸、リン脂質、多糖、核酸、ポリアミノ酸、アミノ酸、例えば、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、ポリヌクレオチド、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドンおよびシリコーンにより選択される。好ましい生分解性マトリクスは、ポリラクチド、ポリグリコリドまたはポリラクチドコ-グリコリド(乳酸およびグリコール酸のコポリマー)のうちの1つのマトリクスである。
本発明による、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物および式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物を含む薬学的組成物の用量は、様々な因子、例えば、処置される状態、使用される特別の組成物、および他の臨床因子、例えば、患者の体重、サイズ、性別および全体的な健康、身体表面積、投与される特別な化合物または組成物、同時に投与される別の薬物、および投与経路に依存することは、関連分野における当業者に周知である。
適用される投与計画を決定する1つの因子は、投与後の本発明による化合物バイオアベイラビリティである。
本発明による化合物、特に、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物のバイオアベイラビリティは、前記化合物の様々な組織および体液、例えば脳、血液、血清、血漿、CSF中での濃度を測定することにより決定することができる。これらのバイオアベイラビリティ研究を使用して、実験化合物の中枢曝露の程度を決定することができる。
実験化合物、特に、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物は、当技術分野において公知の標準法、例えば、以前に記載されているような(Dusci et al., 2002)、適当なHPLC画分のUV検出により定量化することができる。式IIによる化合物の排出半減期は経口強制栄養後約12時間である。ピーク血漿レベルは、約3時間後に達成され、これは完全に公開されたデータ(Homon et al., 1987)と一致する。
本発明において得られる結果から、式IIによる化合物は、その薬理学的可能性を利用するのに十分な程度まで血液脳関門を透過できることが明らかである。100mg/kgの用量では、約0.5%の血漿濃度が、4月齢の二重トランスジェニックマウスの脳で測定され、約1%の血漿濃度が、8月齢の単一トランスジェニックマウスの脳で測定された。
式IIIの化合物では、8月齢の単一トランスジェニックマウスの脳では約11%の血漿濃度であるのに比べ、4月齢の二重トランスジェニックマウスの脳では約5%の血漿濃度が検出される可能性がある。
さらに、式IIおよび式IIIによる化合物がそれぞれ、ヒトボランティアのCSFでは約9.5%が見られる(すなわち、4ng/mL;Jaup and Blomstrand, 1980)のに比べ、約5%程度の血漿濃度まで4月齢の二重トランスジェニックマウスのCSFに入ることが本発明の範囲内で示された。
式IIIの化合物は約20%程度の血漿濃度まで4月齢の二重トランスジェニックマウスのCSFに入ることが示された。これらの観察結果は、非トランスジェニックラットで得られた結果と一致し、この場合、50mg/kgのi.p.投与後3時間または6時間で、CSF中に約25%の血漿濃度の一定の画分が検出可能である。
これらのデータにより、式IIIの化合物は脳である程度まで濃縮されていることが示唆される。
本発明では、それぞれ、脳およびCSF中の、本発明による、および本明細書で記載される化合物、特に、式Iの化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物の濃度は、その薬理学的可能性を利用するのに十分高いものであることが示されている。
特に、脳およびCSF中の濃度はそれぞれ、下記を可能にするようなものである:
(a)β-アミロイド斑負荷、特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%以上減少させる;および/または
(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;および/または
(c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%またはそれ以上のレベルまで遅延させる。
Thy-1プロモーター(Radde et al., 2005)下、KM670/671NL変異ヒトAPPおよびL166P変異ヒトPS1の両方を発現する、脳アミロイドーシス(Radde et al., 2006)のための非常に攻撃性の二重トランスジェニックマウスモデルにより代表されるインビボアルツハイマーモデルに基づき、本発明による化合物は脳におけるβ-アミロイド斑負荷を実質的に減少させることができることが示される可能性がある。
ヒトアミロイド前駆体タンパク質(APP)を過剰発現するトランスジェニック(Tg)マウスは、アミロイド産生、クリアランス、隔離および沈着に対する薬物の影響を研究するのに適したモデルである。本発明の範囲内で使用したマウス(APP751S/L)は、3〜4ヶ月より始まる若齢でアミロイド沈着物からなる斑を生じ、脳病態の重篤度は齢の増加と相関する。
前記Tg hAPP751SL動物(旧名TASD41)は、神経組織特異的マウスThy-1プロモーターの調節制御下、ロンドン(V7171)およびスウェーデン(K670M/N671L)突然変異を有するヒトAPP751を連続して過剰発現する。Thy-1プロモーターは主に脳のニューロンで高い発現を確保し、末梢ではわずかにすぎない。ロンドン突然変異のために、高レベルのβ-アミロイド1-42が脳全体にわたって発現されるが、主に、皮質および海馬においてである。このAPP Tgマウスモデルに導入した突然変異はFADに関連するものと同じであるので、このモデルは、孤発型のADよりもむしろ遺伝型ADにより関連する可能性があると論じられ得る。しかしながら、孤発性およびFADの両方において、同じ上流事象(β-アミロイド1-42蓄積)がシナプス機能障害およびCAAの発病において中心的な役割を果たすことは注目に値する。このように、このモデルにおける知見は、両方の形態のADに対し、おそらく解釈可能である。
本発明による実験化合物の可能性を試験するために、毎日p.o.投与を、延長した期間にわたり実施した。50mg/kgの式IIIによる化合物および100mg/kgの式IIによる化合物を、1ヶ月の期間の間、試験動物の誕生後1〜5ヶ月の間の様々な段階で、毎日投与すると、染色した脳切片の立体解析学的分析により証明されるように、β-アミロイド斑負荷の実質的な減少が得られた。
これらの観察結果は、ミクログリアおよびアストロサイトに対し化合物およびビヒクル処置したAPPPS1マウス由来の対応する立体解析学的脳切片の染色により得られた結果により支持されたが、この結果は、これらの神経炎症性マーカーがβ-アミロイド斑負荷と同様の様式で挙動することを示した。
動物モデルを用いて得られた結果から、式IIおよび式IIIの化合物による実験動物の処置により、それぞれ、アミロイド負荷の増加が、前記モデルの通常の進行で予測されるレベルの約55%および約60%まで遅延されたことが示唆される。
これらの結果は、β-アミロイドに対する異なる抗体を用いた独立した染色実験により確認された。非常に類似した結果が得られ、染色された切片において観察された個々の減少が再現された。
斑体積および面積は、それぞれのビヒクル処置対照に比べ、それぞれ、式IIIの化合物および式IIの化合物を用いて処置したAPPPS1マウス(4〜5月齢)において約26%および13%小さいことが示された。
本発明による化合物、特に式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物は、さらに、前記化合物を動物、特に哺乳動物またはヒトに投与することにより、認知記憶能力を保持または増加させる、特に、記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの認知記憶能力を回復させることができることが示された。
これは、本出願では、トランスジェニックAPPマウスを、実施例で記載されるように、Morris水迷路タスクにかけることにより証明することができる。Morris水迷路試験システムでは、実験動物の認知能力が試験される。特に、実験動物が視覚的な手がかりを用いて隠されたプラットホームを見つける能力が、固定された期間で測定され、1日に数回の試みが実施される。学習曲線を比較することにより、認知能力を決定することができ、潜在的な薬物効果を評価することができる。
秒で表される逃避潜時(時間)として、メートルで表される泳いだ経路(長さ)として、表される全体の成績の結果により、全ての処置群がMorris水迷路において学習し、その成績を改善することができたことが示される。20mg/kgの式IIの化合物で処置したマウス、およびより低い程度まで、1mg/kgの式IIによる化合物で処置したマウスは、ビヒクル処置した非トランスジェニックマウスに匹敵する逃避潜時を示した。
さらに、プラットホームがプールから取り出され、前の標的位置上の横断の回数および標的象限での滞在が所与の期間計数される、プローブ試験で得られた結果により、逃避潜時結果が確認された。1mg/kgの濃度の式IIによる化合物で処置したトランスジェニック動物は、対照群由来の動物よりも著しくしばしば、前の標的位置を横断した。
本発明のさらに別の態様では、本明細書で前に記載された、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物、および前記化合物を含む組成物は、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの組織および器官、特に、脳におけるβ-アミロイド斑の形成および沈着と関連する状態の処置において、別の生物学的に活性な物質もしくは化合物と、またはそのような物質もしくは化合物を含む組成物と組み合わせて、特に、本発明による化合物、例えば、本明細書で前に記載された、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物を補完するように作用する生物学的に活性な物質または化合物、特に、酸化ストレスに抗する化合物、抗アポトーシス化合物、金属キレート剤、DNA修復阻害剤、3-アミノ-1-プロパンスルホン酸(3APS)、1,3-プロパンジスルホネート(1,3PDS)、α-セクレターゼ活性化剤、β-およびγ-セクレターゼ阻害剤、タウタンパク質、神経伝達物質、β-シート破壊剤、アミロイドβ除去/枯渇細胞成分に対する誘引剤、ピログルタメートアミロイドβ3-42を含むN末端切断形アミロイドβの阻害剤、抗炎症分子、「非定型抗精神病薬」、例えば、クロザピン、ジプラシドン、リスペリドン、アリピプラゾールもしくはオランザピン、またはコリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)、例えば、タクリン、リバスチグミン、ドネペジル、および/もしくはガランタミン、M1アゴニストおよび任意のアミロイドまたはタウ修飾薬物を含む他の薬物、ならびに栄養補助食品、例えば、ビタミンB12、システイン、アセチルコリン前駆体、レシチン、コリン、イチョウ(Ginkgo biloba)、アセチル-L-カルニチン、イデベノン、プロペントフィリン、またはキサンチン誘導体からなる群より選択される化合物と組み合わせて、本発明による抗体、ならびに、任意で、薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/または賦形剤、ならびに疾患を治療するための手順と共に投与してもよい。
特に、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えばタクリン、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミンと一緒に、組成物の形態で使用してもよい。具体的な態様では、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物およびアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を、化合物の補完作用が得られるような量で含む補完組成物が提供される。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、アルツハイマー病および関連障害を患う患者の対症療法のために広く使用されている。しかしながら、市販されている全てのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤は患者において重篤な副作用、例えば、タクリンの場合、悪心、嘔吐、下痢、食欲不振、体重減少を生成させる。これらの副作用は、末梢器官、例えば胃におけるより高いレベルのアセチルコリンによるものである。これらの副作用は、末梢に作用するアセチルコリン受容体アンタゴニスト、例えば、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物により効果的に抑制することができ、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の中枢効果は影響を受けない。
式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物を含む、本発明による、および本明細書で前に記載された治療組成物内に含まれる活性成分は、単一組成物として共に、または、それぞれが1つまたは複数の活性成分を含む2つもしくはそれ以上の異なる組成物の形態で別個に投与してもよい。さらに、2つまたはそれ以上の異なる組成物の形態で投与される場合、異なる組成物は同時にまたは連続して投与してもよい。
標的が脳内に位置する場合、本発明のある態様は、脳血液関門を越える、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物、および本発明の式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物を含む薬学的組成物を提供する。ある神経変性疾患は、脳血液関門の透過性の増加に関連し、そのため、抗体またはその活性フラグメントは容易に脳に導入されうる。脳血液関門が無傷のままである場合、それを越えて分子を輸送させるための、物理的方法、脂質に基づく方法ならびに受容体およびチャネルに基づく方法が含まれるが、それらに限定されない、いくつかの当技術分野に公知のアプローチが存在する。
血液脳関門を越えて化合物を輸送する物理的方法としては、血液脳関門を完全に回避するもの、または血液脳関門に開口を作成させるものが挙げられるが、それらに限定されない。回避法としては、脳への直接注入(例えば、Papanastassiou et al., Gene Therapy 9:398-406(2002)を参照されたい)および送達システムの脳内への埋め込み(例えば、Gill et al., Nature Med. 9:589-595(2003);およびGliadel Wafers(商標)、Guildford Pharmaceuticalを参照されたい)が挙げられるが、それらに限定されない。関門に開口を作成する方法としては、超音波(例えば、米国特許出願公開第2002/0038086を参照されたい)、浸透圧(例えば、高張マンニトール(Neuwelt, E.A., Implication of the Blood-Brain Barrier and its Manipulation, Vols 1 & 2, Plenum Press, N.Y.(1989))の投与による),例えば、ブラジキニンまたは透過化剤A-7による透過化(例えば、米国特許第5,112,596号、同第5,268,164号、同第5,506,206号、および同第5,686,416号を参照されたい)が挙げられるが、それらに限定されない。
式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物、および本発明の前記化合物を含む薬学的組成物を、血液脳関門を越えて輸送する脂質に基づく方法としては、血液脳関門の血管内皮上の受容体に結合する抗体結合フラグメントに結合されたリポソーム内に本発明による化合物をカプセル化すること(例えば、米国特許出願公開第2002/0025313号を参照されたい)、および、本発明による化合物を低密度リポタンパク粒子(例えば、米国特許出願公開第2004/0204354号を参照されたい)またはアポリポタンパク質E(例えば、米国特許出願公開第2004/0131692号を参照されたい)でコーティングすることが挙げられるが、それらに限定されない。
本発明による化合物を、血液脳関門を越えて輸送する受容体およびチャンネルに基づく方法としては、血液脳関門の透過性を増加させるためのグルココルチコイド遮断薬の使用(例えば、米国特許出願公開第2002/0065259号、同第2003/0162695号、および2005/0124533号を参照されたい);カリウムチャネルの活性化(例えば、米国特許出願公開第2005/0089473号を参照されたい)、ABC薬物トランスポーターの阻害(例えば、米国特許出願公開第2003/0073713号を参照されたい);抗体のトランスフェリンによるコーティングおよび1つまたは複数のトランスフェリン受容体の活性の調節(例えば、米国特許出願公開第2003/0129186号を参照されたい)、ならびに本発明による化合物のカチオン化(例えば、米国特許第5,004,697号を参照されたい)が挙げられるが、それらに限定されない。
ここで開示した対象の様々な詳細は、ここで開示した対象の範囲から逸脱せずに変更される可能性があることは理解されるであろう。さらに、前記記載は、説明目的のものにすぎず、制限することを目的としない。
実施例
下記実施例はさらに、本発明の態様のいくつかを説明するが、本発明を制限するものであるとは決して考えられない。本開示および当技術分野における一般レベルを考慮すると、当業者は、下記実施例が例示にすぎないこと、ここで主張された対象の範囲から逸脱しなければ多くの変更、改変および修正を採用することができることを認識するであろう。
A 一般手法
A1.第1の研究
A1.1 ウエスタンブロットおよび免疫染色
モノクローナル抗PARP抗体をBD BioScienceから購入した(Cat# 556 362;クローンC2-10)。二次抗マウスアルカリホスファターゼコンジュゲートをSigmaから購入した(Cat#A9316)。NBT/BCIP-ウエスタンブロット検出試薬はRoche Diagnositcsに由来し(Cat# 1681451)、Western Lightening CDP-Star化学ルミネセンス検出キットは、Perkin-Elmerから供給された(Cat# NEL616001KT)。抗PARPウエスタンブロッティング実験では、タンパク質は、10%ポリアクリルアミドゲル上で分離され、ニトロセルロース上にブロットされた。ブロットは、0.1% Tween-20(TBST)を含むTris緩衝生理食塩水に溶解した5%脱脂粉乳でブロックし;抗PARP抗体を一晩中4℃で、粉乳TBST中1:1000希釈を用いてインキュベートした。ブロットをその後、3度TBS-Tを用いて洗浄した。二次抗体を、NBT/BCIP検出では1:1000およびCDP-Star検出では1:5000の希釈で使用した。様々なSir-2含有画分由来のゲルをニトロセルロース膜上にブロットし、それに応じて可視化した。Sir-2染色では、下記抗体を使用した:一次Ab:抗-Sir2(Upstate, Biomol 07-131;Lot:22073);5% BSA/1×TBST中で1:5000;二次Ab:抗-ウサギPE(A-0545)5% BSA/1×TBST中で1:1000;具体的に、ウエスタンブロットにおいてヒトAPPを検出するためには、ヒトAβの残基1〜17を認識するマウスモノクローナル抗体6E10を使用した(Signet, Dedham, MA)。
A1.2 バイオアベイラビリティ実験
化合物のバイオアベイラビリティは、雄Lewisラット(207+/-9g)において決定した。AC91化合物を、0.5%のカルボキシメチルセルロースを含む水中で経口適用のために製剤化した。AC-92はDMSO中で調製し、滅菌ホスフェート緩衝生理食塩水中で希釈した(最終DMSO濃度1.0%)。AC91は経口強制栄養により投与し、AC-92は腹腔内注射により投与した。投与後3および6時間で、致死的ナルコーシスにより、動物を屠殺した。血液を心臓穿刺によりサンプリングした。全血を4℃で60分間静置させることにより血清を調製し;抗凝固剤としてヘパリンを使用することにより血漿を調製した。屠殺後直ちに、CSFを大後頭孔を介して収集した。頭蓋を開き、右皮質を単純切除することにより脳物質を収集した。収集後直ちに、液体窒素を用いて試料を即時凍結させた。全ての手順は、動物実験に関する適用可能なドイツおよびEUの法律に従って実施し、研究は政府任命の倫理委員会により承認された。
A1.3 脳アミロイドーシスのトランスジェニックモデル:APPPS1実験
トランスジェニックモデルおよび脳切片の対応する立体解析学的分析は、Prof. Mathias Jucker, Department of Cellular Neurology, Hertie-Institute for Clinical Brain Research University of Tubingen, Otfried-Muller Strasse 27, D-72076 Tubingen, Germanyにより提供された。APPPS1トランスジェニックマウスは、Thy-1プロモータエレメント下で、KM670/671NL変異ヒトAPPおよびL166P変異ヒトPS1の両方を発現する(Radde et al., 2005)。これらのマウスを、誕生後126日(DAB)〜158DABの齢から、化合物で処置した。マウスはビヒクル(0.5%メチルセルロース、0.25%レシチン、0.1%微結晶セルロース)または0.5%W/Vメチルセルロース、0.25%W/Vレシチンに懸濁させたAC91(100mg/kg)の市販の製剤を用いて、1日に1回、強制栄養により、暗サイクル後安静時の3分の1に対応する時間で処置した。投与期間が完了すると、致死的ナルコーシスにより動物を屠殺し、続いて、心臓穿刺により血液を収集し、切片化するために脳物質を回収し、薬物および関連ペプチドを抽出した。収集後直ちに、液体窒素を用いて試料を即時凍結させた。全ての手順は、動物実験に関する適用可能なドイツおよびEUの法律に従って実施し、研究は政府任命の倫理委員会により承認された。脳を除去し、4℃で、4% PFA中後固定し、30%スクロース中で脱水させ、凍結させた。連続冠状40μm切片をミクロトームにより切断し、凍結保護物質(30%グリセロール、45%エチレングリコールを含むPBS)中で収集し、-20℃で使用するまで保存した。
浮遊切片を、他の場所で記載されているように(Stalder et al., 2005)、免疫組織化学的検査のために処理した。簡単に言うと、切片をTBSで洗浄し、3%ヤギおよびロバ血清(Vector Laboratories Inc., Burlingame, CA)を含む0.3% Triton-X-100(Fisher, Fair Lawn, NJ)でブロックした。切片を一晩中一次抗体と共に、4℃、2%血清および0.3% Triton-X-100中でインキュベートし、3度、TBSで洗浄し、3時間、ビオチン-コンジュゲート二次抗体とインキュベートした。TBS洗浄を繰り返した後、切片をSG青(Vectastain ABC elite kit;Vector Laboratories)と錯化させることにより染色した。切片を予め清浄にした顕微鏡ガラススライド(Superfrost(登録商標) Plus;Langenbrinck, Teningen, Germany)に載せ、アルコール系で脱水し、キシレン中で清浄にし、キシレン可溶性封入剤(Pertex(登録商標);medite GmbH, Burgdorf, Germany)中でカバーガラスを載せた。アミロイド負荷を新皮質全体を通して、12番目の切片毎に評価した。
A2 第2の研究
第2の研究は、7月齢(±2週)の雌APP TgおよびnTgマウスを用いて、行動マーカーに対する2つの実験化合物(AC-91、AC-92)の有効性を評価するように設計した。
そのため、マウスを33日間処置し、処置期間の終わりに、行動をMorris水迷路、さらに物体認識タスクにおいて評価した。
A2.1 動物
C57BL/6xDBAバックグランドを有し、7月齢(±2週)である雌TgおよびnTgマウスを無作為に処置群1〜9(群3〜7に対してはn=20、群1、2、8、および9に対してはn=15)に割り当てた。動物を7月齢で開始するビヒクル、AC-91およびAC-92の投与に供し、毎日、経口適用しながら33日まで続けた。本研究のために使用した動物は全て黒い瞳を有し、MWMプールの外で目印を認知する可能性があった。しかしながら、研究に含まれる予備動物を含む全ての動物に対し、処置開始前に、視認可能なプラットホームトレーニング、いわゆる予備試験において管理される、動物の視覚能力が低い場合は排除すべきであった。特定の動物に対し視覚ハンディキャップが確認された場合、マウスは研究から排除された。
A2.2 材料
ACI-91二塩酸塩水和物はTocris Cookson Ltd., Bristol BS119XJ, UKから入手され、Anawa Trading SAにより届けられた。
ACI-92、遊離塩基はProteoSys, Mainz, Germanyにより合成され、提供された。
A2.3 処置
130(+8予備)のトランスジェニックおよび30(+3予備)の非トランスジェニックマウスを8つの群に割り当て、実験化合物(用量AC-91および用量AC-92)またはビヒクル(それぞれ、2×PBSおよびTween 80)のいずれかを与えた。化合物またはビヒクルは経口強制栄養により、10mg/kg/b.w.の一日体積で33日間投与された。
A2.4 分析
マウス血漿、CSFおよび脳ホモジネート試料中のACI-91およびACI-92の定量を、Quality Assistance SA, Technoparc de Thudinie 2, B-6536 Donstiennes, Belgiumによる、UPLC-MS/MSにより実施した。
A2.5 行動試験
A2.5 1 物体認識タスクにおける行動試験
物体認識タスクは、視覚認識記憶を測定するための行動パラダイムであり、これは、ヒトおよび齧歯類を含む種において進化的に保存され、海馬を必要とする。物体認識タスクは、他の場所で記載されているように(Dewachter et al., 2002)実施された。簡単に言うと、マウスを1時間、暗い垂直壁および、箱の下に配置されたランプにより薄暗く照射された半透明な床を有するPlexiglas箱(48×48cm)に慣らした。次の日、動物を同じ箱の中に入れ、10分の獲得試験に供した。この試験中、マウスは個別に、2つの物体AおよびCが存在するPlexiglas箱に入れられた。物体Aを探るのに費やした時間(動物の鼻が〜1cmの距離で物体に向かっている場合)を測定した。10分の維持試験中(第2の試験)、これは3時間後に実施されたが、物体Cを新しい物体Bに置き換えた。そのため、新しい物体Bが箱内によく知られた物体(物体A)と共に配置された。
動物が2つの物体を探るのに費やす時間(tAおよびtB)を記録した。両方の物体を探るのに費やした時間に対する新しい物体を探るのに費やした時間の比[(tB/(tA+tB))×100]として規定される、認識指標(RI)を使用して、非空間記憶を測定した。行動はビデオで追跡した。
A2.5.2 Morris水迷路(MWM)
Morris水迷路タスクを、直径100cmの黒色の円形プールで実施した。水道水を22±1℃の温度で充填させ、プールを事実上4つのセクターに分割した。透明プラットホーム(直径8cm)を水面下約0.5cmに配置した。予備試験を除く、試験期間全体中で、プラットホームをプールの南西象限に配置した。
4日間続く訓練期間の1日前に、動物は、いわゆる「予備試験」(2回の60秒続く試験)を実施しなければならず、各動物の視覚能力が正常であることが確認された。このタスクを遂行した動物のみがMWM試験に含まれた。
MWMタスクでは、各マウスは、連続する4日で3回の試験を実行しなければならない。1回の試験は最大1分間続いた。この時間の間、マウスは、隠された半透明の標的を見つけ出す機会を有した。動物が水から「道」を見つけ出すことができなかった場合、研究者は、マウスをプラットホームまで案内し、またはその上に置いた。各試験後、マウスを、プラットホーム上で10〜15秒間休息させた。
この時間の間、マウスは周囲に適応する可能性を有した。薄暗い光の条件下で研究を実施し、追跡システムが負の影響を受けないようにした(Kaminski;PCS, Biomedical Research Systems)。プールの周りの壁には、黒色のはっきりした幾何学的記号(例えば、円および四角)を有するポスターが固定されており、マウスはこれらの記号をそれらの配向についての目印として使用することができる。
1つの試験あたり1つの水泳群は5〜6匹のマウスから構成され、そのため、約5〜10分の試験間時間が確保された。逃避潜時(マウスが隠されたプラットホームを見つけ出し、水から逃避するのに必要とした時間[秒])、経路(標的に到達するための軌跡の長さ[メートル])、および目標象限における滞在の定量化のために、コンピュータ化した追跡システムを使用した。コンピュータをプールの中央上に配置したカメラに接続した。カメラは、マウスの尾上に小さなヘアピンで固定された発光ダイオード(LED)の信号を検出した。
第4日の最後の試験後24時間に、マウスはいわゆるプローブ試験を実行しなければならなかった。この時点で、プラットホームはプールから除去され、1分のプローブ試験中;研究者は、前の標的位置上の横断回数を計数した。さらに、この象限および3つの他の象限における滞在を計算した。この試験を通して、マウスはプラットホームから任意の、しかしながら本質的な手がかりを入手することができない。
A2.6 統計
測定したパラメータ全てに対し、平均および標準誤差(SEM)を計算した。
行動データを、パラメトリックまたはノンパラメトリックANOVAにより、続いて、データ分散に基づく、Newman KeulsまたはDunn多重比較試験の手段により比較した。
ガウス分布を欠く場合、パラメトリックANOVA、続いてNewman Keuls多重比較事後試験により、またはノンパラメトリックKruskal Wallis ANOVA、続いてDunn多重比較試験により差を計算した。いくつかの群が同様の平均を有するという事実のために、ANOVAにおける差を過小評価しないように、データが正規分布していることがわかった場合、群の差を対応のない、パラメトリック両側T検定により評価し;そうでなければ、ノンパラメトリックMann Whitney U-検定により比較した。群内の異常値をGrubbs試験により検出し、全ての計算から排除した。
B 実験
B1. 第1の研究
B1.1 非トランスジェニックラットにおけるバイオアベイラビリティ研究
中枢曝露の程度を決定するために、バイオアベイラビリティ研究を始めた。1組の実験では、16匹のラットに50mg/日のAC-91またはAC-92を与え、3時間または6時間後のいずれかで屠殺した。64匹の動物の血漿および脳脊髄液(CSF)を収集し、前に記載されているように(Dusci et al., 2002)、AC-91およびAC-92を244nmおよび330nmでの適当なHPLC画分のUV-検出により定量化した。AC-91の平均排出半減期は、経口強制栄養後約12時間である。3時間後にピーク血漿レベルに到達したが、これは完全に公開されたデータ(Homon et al., 1987)と一致している。50mg/kg AC-91の経口投与後3時間で、約900fMole/μl血漿が検出され、これは6時間後、約200fMole/μlまで減少した。主代謝産物デスメチル-AC-91に対しては、対応する値はそれぞれ、370および180fMole/μlであった。記載した条件下では、CSF中、AC-91およびdm-AC-91は検出されず、これは、齧歯類におけるAC-91の血液脳関門(BBB)透過性の報告と一致する。この状況はヒトではわずかに異なり、この場合、血漿中で有効なAC-91化合物の約10%がCSFに移動する(JaupおよびBlomstrand、1980)。デス-ピペラジニル代謝産物AC-92に関しては、約20fMole/μlの化合物のみが50mg/kg AC-91の経口投与後3時間に、血漿中で観察されたが、同様の量がCSF中で観察された。これらの量は6時間後、血漿中ではわずかに減少するが、CSF中では3倍を超え約75fMole/μlとなる。そのため、AC-92は脳内である程度濃縮される。AC-92はそれ自体BBBをかなりよく透過し;3時間または6時間で、50mg/kgの腹腔内投与後、血漿中で測定されるAC-92化合物の約25%の一定比率がCSF中で検出可能である。
B1.2 APPPS1実験における斑負荷、斑体積および領域の決定
脳アミロイドーシスのための、非常に攻撃性の二重トランスジェニックマウスモデルを用いてインビボ実験を実施した(Radde et al., 2006)。Thy-1プロモータエレメント下でKM670/671NL変異ヒトAPPおよびL166P変異ヒトPS1の両方を発現するAPPPS1トランスジェニックマウス(Radde et al., 2005)を、誕生後126日(DAB)〜158DABの齢から化合物で処置した。マウスを上記A3で記載したように処置した。投与期間が完了すると、本明細書で前に報告されているように(上記セクションA3を参照されたい)、試料を動物から取り、液体窒素を使用して即時凍結させた。
試験動物の誕生後1〜5月の間の様々な段階で、1月の期間の間、50mg/kg AC-92または100mg/kg AC-91を毎日p.o.投与すると、β-アミロイド斑負荷が実質的に減少した。ミクログリアおよびアストロサイトに対しAC-91およびビヒクル処置したAPPPS1マウス由来の対応する立体解析学的脳切片の染色により、これらの神経炎症マーカーがβ-アミロイド斑負荷と同様の様式で挙動することが示された。染色切片(1動物あたりn=13〜18の切片)の立体解析学的分析に基づき、この実験においてビヒクル処置したマウスは、3月で0.82%および5月で3.27%の皮質アミロイド負荷を示した。モデルでは、脳中の斑負荷は、齢に伴って大体指数関数的に増加することが知られている(Radde et al., 2005)。これらの沈着動力学に基づき、それぞれ、2月と3月の間で約0.45%および4月と5月の間で1.01%の斑負荷の増加が推定される。したがって、2月および4月でのAPPPSマウスにおけるバックグラウンド斑負荷は、約0.37%および2.26%であると推定され、このように、脳アミロイドーシスの重篤度が増加する条件が提供される。これらの条件は、斑の初期形成または現存する斑負荷を逆転させる下流過程のいずれが対応する薬物効果に関連するかについて洞察を提供するのに適しているはずである。
選択した条件下では、薬物投与後の斑沈着の完全な抑止により、例えば、2.3%のオーダーの5月斑負荷が得られ、斑沈着の50%減少により、2.8%のオーダーの斑負荷が得られる。3月齢動物に対する対応する値は0.4および0.6%である。3月後のAC-92処置動物、および5月でのAC-91処置マウスは0.61および2.86%のアミロイド負荷を有し、処置により、アミロイド負荷の増加が、モデルの通常の進行に伴い予測されるものの55%および60%まで遅延されることが示唆される。個々の切片(1動物あたり13〜18切片、1群あたり5〜8匹の動物)の斑負荷に基づき、対応する群間の差は有意で、p-値<0.0001であり、一方、群はそれぞれ、動物平均斑負荷に基づき、p<0.03および0.09で異なった。脳の残り半分のいくらかを、β-アミロイドに対する異なる抗体を用いて染色したウェスタンブロットに対して独立して使用した。非常に類似した結果が得られ、染色された切片において観察された個々の減少が再現された。3月後のAC-92処置動物および5月でのAC-91処置マウスの脳切片を、ミクログリアに対するマーカーとして、イオン化カルシウム結合アダプタ分子1(Iba1)に対するポリクローナル抗体で染色した。逐次連続切片をグリア線維酸性タンパク質(GFAP)に対するポリクローナル抗体で染色した。
斑体積および面積は、それぞれ、ビヒクル処置対照に比べ、AC-92処置(2〜3月)およびAC-91処置APPPS1マウス(4〜5月)において約26%および13%小さい。
B2. 第2の研究
B2.1 トランスジェニックマウスにおけるACI-91およびACI-92レベル
hAPP単一トランスジェニックマウス(JSW、Graz)およびhAPP-PS1二重トランスジェニックマウス(Synovo、Tubingen)をそれぞれ、33日間、1、5、20および100mg/kgのACI-91ならびに50mg/kgのACI-92の用量、ならびに100mg/kgのACI-91および50mg/kgのACI-92の用量で、それぞれ、処置した後、血漿、CSFおよび脳ホモジネート中のACI-91およびACI-92の量を決定する。
結果から、ACI-91は血液脳関門を小さな程度で透過することが示される。100mg/kgのACI-91の用量では、0.5%未満の血漿濃度が4月齢の二重トランスジェニックマウスの脳で測定された。比較:100mg/kgのACI-91の用量では、1%未満の血漿濃度が8月齢の単一トランスジェニックマウスの脳で測定された。
4月齢二重トランスジェニックマウスにおいてはACI-91のACI-92への代謝は検出できなかった。それに対し、ACI-91は、8月齢の単一トランスジェニックマウスでは約0.5%程度まで血漿中でACI-92に代謝される。
ACI-92は4月齢の二重トランスジェニックマウスの脳に、約5%程度の血漿濃度まで入る。比較:ACI-92は8月齢の単一トランスジェニックマウスの脳に、11%程度の血漿濃度まで入る。
ACI-91は4月齢の二重トランスジェニックマウスのCSFに、約5%程度の血漿濃度まで入り、これは、ヒトボランティアのCSF中への9.5%に匹敵する(すなわち、4ng/mL;JaupおよびBlomstrand、1980)。
ACI-92は4月齢の二重トランスジェニックマウスのCSFに、20%程度の血漿濃度まで入る。
B2.2 行動、生化学および組織学的マーカーに対する2つの実験化合物(AC-91、AC-92)の有効性の評価
ヒトアミロイド前駆体タンパク質(APP)を過剰発現するトランスジェニック(Tg)マウスは、薬物のアミロイド産生、クリアランス、隔離および沈着に対する影響を研究するのに適したモデルである。この研究のために使用されるマウス(APP751S/L)は、3〜4ヶ月より始まる若齢でアミロイド沈着物からなる斑を生じ、脳病態の重篤度は齢の増加と相関する。
前記のTg hAPP751SL動物(旧名TASD41)は、神経組織特異的マウスThy-1プロモーターの調節制御下、ロンドン(V717I)およびスウェーデン(K670M/N671L)突然変異を有するヒトAPP751を連続して過剰発現する。Thy-1プロモーターは主に脳のニューロンで高い発現を確保し、末梢ではわずかにすぎない。ロンドン突然変異のために、高レベルのβ-アミロイド1-42が脳全体にわたって発現されるが、主に、皮質および海馬においてである。このAPP Tgマウスモデルに導入した突然変異はFADに関連するものと同じであるので、このモデルは、孤発型のADよりもむしろ遺伝型ADにより関連する可能性がある。しかしながら、孤発性およびFADの両方において、同じ上流事象(β-アミロイド1-42蓄積)がシナプス機能障害およびCAAの発病において中心的な役割を果たすことは注目に値する。このように、このモデルにおける知見は、両方の形態のADに対し、おそらく解釈可能である。
B2.2.1 一般的な観察結果
総数171匹の、処置開始時に6.5月齢の雌hAPP TgおよびnTgマウスが本研究に含まれた。これらのマウスから16匹の動物(14匹のTgおよび2匹のnTgマウス)が未知の理由で処置期間が終了する前に死亡した。死亡率>10%で、本研究は、23の比較研究において使用したhAPPマウスの平均死亡率より明らかに下にある。一般に、動物はビヒクル(2×PBSおよびTween 80)または両方の試験品AC-91(4つの異なる濃度)およびBのいずれかによる処置によい耐用性を示した。処置を実施する人々は、適用中または適用後に明らかな疼痛反応を報告しなかった。さらに、処置期間中の体重の増加に対する負の影響は見られず、処置群I(ntg Tween 80)の体重減少でさえも処置開始時と終了時との間で有意ではなかった。左脳半球の湿重量もまた、いずれの処置によっても影響されなかった。
B2.2.2 行動結果
行動研究の結果および物体認識タスク(ORT)において得られた結果を示す。tgおよびntgマウスはRIにおいて有意に違っていないという事実のために、この記憶試験は妥当性を欠き、そのため、このTgマウス系統における記憶試験に向いていない。Morris水迷路における結果から、33日続いた処置の終了時に2つの処置群から認知機能が明らかとなった。4日間にわたり、視覚的な手がかりを用いて隠されたプラットホームを見つけ出す能力が、1日に3回の試験を実施することにより測定される。学習曲線を比較することにより、認知能力を確認することができ、潜在的な薬物効果を評価することができる。
秒で表した逃避潜時(時間)としての全体の成績の結果、メートルで表した泳いだ経路(長さ)としての結果を、4日間の各々について各群の平均として記録した。一般に、全ての処置群はMorris水迷路において学習し、それらの成績を改善することができたと述べることができる。異なる処置群間では有意な差は生じなかった。しかしながら、20mg/kg AC-91で、および1mg/kgまでのさらに低い程度で処置したマウスは、ntgビヒクル処置マウスに対し匹敵する逃避潜時を示した。別の濃度のAC-91または化合物Bで処置したマウスは、歴史(historic)tg群において観察されたものと同様の不十分な成績を示した。
プローブ試験中、プラットホームはプールから除去され、前の標的位置上の横断回数および標的象限における滞在を30秒間計数した。1mg/kgの濃度のAC-91で処置したトランスジェニック動物は前の標的位置を、Tween 80ビヒクル処置群由来の動物よりも著しくしばしば(p<0.05)横断した。
第1日での試験1(Morris水迷路トレーニングにおける第1試験)と第4日での試験3(最終試験)との間での、時間および長さにおける改善の分析は、有意の群の差を明らかにしなかったが、AC-91で処置したマウスは、100mg/kgの用量を除き、ntgマウスと同様の結果を示した。
B2.3 効果の概要および結論
処置後に観察することができた効果
歴史群と比較した場合、AC-91によりMorris水迷路タスクの実行が改善され;1および20mg/kgの濃度で処置したマウスの逃避潜時は、背景群に比べかなり減少した。プローブ試験では、1mg/kgの濃度のAC-91で処置したマウスはビヒクル群(Tween 80)で処置した群よりも、前のプラットホーム位置上を著しくしばしば横断した(p<0.05)。AC-92で処置したマウスは、Tween 80マウスに比べ違いを示さなかった。さらに、用量を100mg/kgまで上昇させても、記憶能力は改善しなかった。
略語リスト
Aβ βアミロイド
Aβ1-40、Aβ1-42 βアミロイドペプチドフラグメント1〜40、1〜42
AC-91 ピレンゼピン
AC-92 LS-75
APP アミロイド前駆体タンパク質
AD アルツハイマー病
b.w. 体重
C57BL/6xDBA TgおよびnTgマウスのバックグラウンド
CAA 脳アミロイド血管症
CSF 脳脊髄液
ELISA 酵素結合免疫吸着検定法
FAD 家族性アルツハイマー病
hAPP ヒトアミロイド前駆体タンパク質
JSW CNS JSW CNS Research、Forschungslabor GmbH
MWM Morris水迷路
n 数
n.a. 適用不能
n.m. 測定不能
ORT 新規物体認識タスク
nTg 非トランスジェニック
p.o. 経口
PBS ホスフェート緩衝生理食塩水
RTまたはr.t. 室温
SDS ドデシル硫酸ナトリウム
SEM 標準誤差
TBS TRIS緩衝生理食塩水
Tg トランスジェニック
参考文献リスト
Figure 2010531854
特許文献
WO 2006/008118
米国特許第4,522,811号
米国特許第5,112,596号
米国特許第5,268,164号
米国特許第5,506,206号
米国特許第5,686,416号
米国特許第5,004,697号
米国特許出願公開第2002/0038086号
米国特許出願公開第2002/0025313号
米国特許出願公開第2004/0204354号
米国特許出願公開第2004/0131692号
米国特許出願公開第2002/0065259号
米国特許出願公開第2003/0162695号
米国特許出願公開第2005/0124533号
米国特許出願公開第2005/0089473号
米国特許出願公開第2003/0073713号
米国特許出願公開第2003/0129186号

Claims (53)

  1. 動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、
    (a)β-アミロイド斑負荷、特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%およびそれ以上減少させる;ならびに/または
    (b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;ならびに/または
    (c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%もしくはそれ以上のレベルまで遅延させる、
    下記式Iの化合物またはそれらの塩もしくは誘導体、または該化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物:
    Figure 2010531854
    式中、
    AおよびBはN、SおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環であり、該環は、ハロ、例えば、F、Cl、Br、もしくはI、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノで一置換または多置換されていてもよく、
    WはS、O、NR1またはCHR1であり、
    R1は水素、YまたはCOYであり、
    R2は水素またはC1〜C4-(ハロ)-アルキルであり、かつ
    YはC1〜C6(ハロ)アルキル、またはC3〜C8シクロ-(ハロ)アルキルであり、ここで、アルキルまたはシクロアルキル基は、N、SおよびOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環により置換されていてもよく、かつ該環は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)アルキル、C1〜C4(ハロ)アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキルアミノ、ジ(C1〜C4-アルキル)アミノまたはZで一置換または多置換されていてもよく、
    ここで、ZはN(R4)2基でω-置換されたC1〜C6(ハロ)アルキル基であり、ここで、各R4は独立して水素、C1〜C8アルキル、もしくはCO-C1〜C8-アルキルであり、または両方のR4は一緒にN、SおよびOから選択される少なくとも1つの別のヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環を形成し、該環は、ハロ、C1〜C4(ハロ)-アルキルおよびC1〜C4(ハロ)アルコキシで一置換または多置換されていてもよい。
  2. 式Iの化合物が下記の環状基Aおよび環状基Bを含む、請求項1記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物:
    Figure 2010531854
    式中、
    XはNまたはCR3であり、
    R3は各々の場合において、独立して、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、かつ
    mは0〜2の整数である。
  3. 式Iの化合物が下記の環状基Aを含む、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物:
    Figure 2010531854
    式中、
    XはNであり、
    R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、かつ
    mは0〜2の整数である。
  4. 式Iの化合物が下記の環状基Bを含む、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物:
    Figure 2010531854
    式中、
    XはCHであり、
    R3は、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、かつ
    mは0〜2の整数である。
  5. WがNR1であり、かつ
    R1がCOYであり、かつ
    Yが-(CHR7)q-R8であり、
    ここで、R7が水素、ハロまたはC1〜C4-(ハロ)アルキルであり、
    qが1〜4の整数であり、および好ましくは1であり、かつ
    R8が少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環であり、該環が、C1〜C4(ハロ)アルキルまたは上記で規定されるようなω-アミノ置換されたアルキル基Zで一置換または多置換されていてもよい、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物。
  6. WがNR1であり、かつ
    R1がCOYであり、かつ
    Yが-(CHR7)q-R8であり、
    ここで、R7が水素またはC1〜C4-アルキルであり、
    qが1〜4の整数であり、および好ましくは1であり、かつ
    R8が少なくとも1つのNを含む6員環であり、該環が、C1〜C4(ハロ)アルキルで一置換または多置換されている、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物。
  7. 式Iの化合物が下記環状基A
    Figure 2010531854
    式中、
    XがNであり、
    R3が、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、かつ
    mが0〜2の整数である;および
    下記環状基B
    Figure 2010531854
    式中、
    XがCHであり、
    R3が、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、かつ
    mが0〜2の整数である;を含み、かつ
    式中、
    WがNR1であり、
    R1がCOYであり、かつ
    Yが-(CHR7)q-R8であり、
    ここで、R7が水素、ハロまたはC1〜C4-(ハロ)アルキルであり、
    qが1〜4の整数であり、および好ましくは1であり、かつ
    R8が少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい5または6員環であり、該環が、C1〜C4(ハロ)アルキルまたは上記で規定されるようなω-アミノ置換されたアルキル基Zで一置換または多置換されていてもよい、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物。
  8. 式Iの化合物が下記環状基A
    Figure 2010531854
    式中、
    XがNであり、
    R3が、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、かつ
    mが0〜2の整数である;および
    下記環状基B
    Figure 2010531854
    式中、
    XがCHであり、
    R3が、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、かつ
    mが0〜2の整数である;を含み、かつ
    式中、
    WがNR1であり、
    R1がCOYであり、かつ
    Yが-(CHR7)q-R8であり、
    ここで、R7が水素またはC1〜C4-(ハロ)アルキルであり、
    qが1〜4の整数であり、および好ましくは1であり、かつ
    R8が少なくとも1つのNを含む6員環であり、該環がC1〜C4(ハロ)アルキルで一置換または多置換されている、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物。
  9. WがNR1であり、
    R1が水素であり、
    環状基AおよびBが下記である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物:
    Figure 2010531854
    式中、
    XがNまたはCR3であり、かつ
    R3が、各々の場合において、独立して、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、かつ
    mが0〜2の整数である。
  10. WがNR1であり、
    R1が水素であり、
    環状基Bが下記である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物:
    Figure 2010531854
    式中、
    XがCR3であり、かつ
    R3が、各々の場合において、独立して、ハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、かつ
    mが0〜2の整数である。
  11. WがNR1であり、
    R1が水素であり、
    環状基Aが下記である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物:
    Figure 2010531854
    式中、
    XがNであり、かつ
    R3がハロ、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルキル、C1〜C4-(ハロ)-アルコキシ、アミノ、C1〜C4-アルキル-アミノ、またはジ(C1〜C4-アルキル)アミノであり、かつ
    mが0〜2の整数である。
  12. WがNR1であり、
    R1が水素であり、
    環状基Aが下記であり、
    Figure 2010531854
    式中、
    XがNであり、かつ
    R3が、C1〜C4-(ハロ)-アルキルであり、かつ
    mが0〜2の整数である;かつ
    環状基Bが下記である、
    Figure 2010531854
    式中、
    XがCHであり、
    R3が、各々の場合において、C1〜C4-(ハロ)-アルキルであり、および
    mが0〜2の整数である;
    前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物。
  13. 下記式IIの化合物である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物:
    Figure 2010531854
  14. 下記式IIIの化合物である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物:
    Figure 2010531854
  15. 斑面積および斑体積が、未処置対照に比べ13%より大きく減少される、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物。
  16. 斑面積および斑体積が、未処置対照に比べ20%より大きく減少される、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物。
  17. 斑面積および斑体積が、未処置対照に比べ26%より大きく減少される、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物。
  18. アミロイド負荷の増加が、疾患の通常の進行に伴い予測されるものの少なくとも55%まで遅延される、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物。
  19. アミロイド負荷の増加が、疾患の通常の進行に伴い予測されるものの少なくとも60%まで遅延される、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物。
  20. 動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、β-アミロイド斑負荷を減少させる、β-アミロイド斑の形成を阻止する、および/またはアミロイド負荷の増加を遅延させることにより、脳におけるβ-アミロイド斑の形成および沈着により引き起こされる、またはそれらに関連する疾患または状態の影響が減少および/または寛解される、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物。
  21. 疾患または状態が、アルツハイマー病(AD)などの神経障害および認知記憶能力の喪失により特徴づけられる疾患または状態、例えば、レビー小体型認知症、軽度認知機能障害(MCI)、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン-認知症複合;ならびに、アミロイド様タンパク質に基づく、またはそれに関連する他の疾患、例えば、進行性核上麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV-関連認知症、ALS(amyotropic lateral sclerosis)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、ならびに黄斑変性症、ドルーゼ関連視神経症およびβ-アミロイド沈着による白内障を含む他のものからなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を含む薬学的組成物。
  22. 動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、
    (a)特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%およびそれ以上減少させることにより、β-アミロイド斑負荷を減少させる;ならびに/または
    (b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;ならびに/または
    (c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%もしくはそれ以上のレベルまで遅延させる
    ことにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおいて、組織および器官、特に、脳におけるβ-アミロイド斑の形成、ひいては斑負荷の増加により引き起こされる、もしくはそれらに関連する状態を治療するための、またはそのような治療において使用するための薬剤を製造するための、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物。
  23. 記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの認知記憶能力を保持または増加させるための、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物。
  24. 記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの認知記憶能力を回復させるための、前記請求項のいずれか一項記載の化合物または該化合物を薬学的有効量で含む薬学的組成物。
  25. 前記請求項のいずれか一項記載の化合物、および生物学的に活性な物質または化合物、特に、酸化ストレスに抗する化合物、抗アポトーシス化合物、金属キレート剤、DNA修復阻害剤、3-アミノ-1-プロパンスルホン酸(3APS)、1,3-プロパンジスルホネート(1,3PDS)、α-セクレターゼ活性化剤、β-およびγ-セクレターゼ阻害剤、タウタンパク質、神経伝達物質、β-シート破壊剤、アミロイドβ除去/枯渇細胞成分に対する誘引剤、ピログルタメートアミロイドβ3-42を含むN末端切断形アミロイドβの阻害剤、抗炎症分子、「非定型抗精神病薬」、例えば、クロザピン、ジプラシドン、リスペリドン、アリピプラゾールもしくはオランザピン、またはコリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)、例えば、タクリン、リバスチグミン、ドネペジル、および/もしくはガランタミン、M1アゴニストならびに任意のアミロイドもしくはタウ修飾薬物を含む他の薬物、ならびに栄養補助食品、例えば、ビタミンB12、システイン、アセチルコリン前駆体、レシチン、コリン、イチョウ(Ginkgo biloba)、アセチル-L-カルニチン、イデベノン、プロペントフィリン、もしくはキサンチン誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
  26. コリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)を含む、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
  27. タクリン、リバスチグミン、ドネペジル、および/またはガランタミンからなる群より選択されるコリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)を含む、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
  28. 請求項1〜12のいずれか一項記載の式Iの化合物を用いた、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、(a)β-アミロイド斑負荷を減少させる、および/または(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する、および/または(c)アミロイド負荷の増加を遅延させるための薬剤を調製するための方法。
  29. 下記式IIの化合物を用いた、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、(a)β-アミロイド斑負荷を減少させる、および/または(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する、および/または(c)アミロイド負荷の増加を遅延させるための薬剤を調製する請求項26記載の方法:
    Figure 2010531854
  30. 下記式IIIの化合物を用いた、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、(a)β-アミロイド斑負荷を減少させる、および/または(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する、および/または(c)アミロイド負荷の増加を遅延させるための薬剤を調製する請求項26記載の方法:
    Figure 2010531854
  31. 動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、
    (a)β-アミロイド斑負荷、特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%およびそれ以上減少させる;ならびに/または
    (b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;ならびに/または
    (c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%もしくはそれ以上のレベルまで遅延させる、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  32. 化合物が、本特許請求の範囲で前に主張されているように使用される、前記請求項のいずれか一項記載の薬剤を調製する方法。
  33. 脳におけるβ-アミロイド斑の形成により引き起こされる、またはそれと関連する、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおける疾患または状態の処置のための、前記請求項のいずれか一項記載の薬剤を調製する方法。
  34. 脳におけるβ-アミロイド斑の形成により引き起こされる、またはそれと関連する疾患または状態が、アルツハイマー病(AD)などの神経障害および認知記憶能力の喪失により特徴づけられる疾患または状態、例えば、レビー小体型認知症、軽度認知機能障害(MCI)、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン-認知症複合;ならびに、アミロイド様タンパク質に基づく、またはそれに関連する他の疾患、例えば、進行性核上麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV-関連認知症、ALS(amyotropic lateral sclerosis)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、ならびに黄斑変性症、ドルーゼ関連視神経症およびβ-アミロイド沈着による白内障を含む他のものからなる群より選択される疾患または状態である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  35. 記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトにおいて、認知記憶能力を保持または増加することにより、記憶障害の状態を処置するための、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  36. 記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトの認知記憶能力を回復させることにより、記憶障害の状態を処置するための、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  37. 疾患または状態がアルツハイマー病である、請求項34記載の方法。
  38. 式I、IIまたはIIIの化合物が経口投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  39. 式IまたはIIの化合物がプロドラッグとして使用される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  40. 動物、特に哺乳動物、とりわけヒトに、本明細書で前に主張した化合物または薬学的組成物を投与することにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、(a)β-アミロイド斑負荷を減少させる、および/または(b)β-アミロイド斑の形成を阻止する、および/または(c)アミロイド負荷の増加を遅延させる方法。
  41. 化合物が、請求項1〜12のいずれか一項記載の式Iの化合物である、請求項39記載の方法。
  42. 動物、特に哺乳動物、とりわけヒトに、請求項1〜12のいずれか一項記載の式Iの化合物を投与することにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、
    (a)β-アミロイド斑負荷、特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%およびそれ以上減少させる;ならびに/または
    (b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;ならびに/または
    (c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、未処置対照に比べ、特に少なくとも20%のレベルまで、より特定的には少なくとも30%のレベルまで、さらにより特定的には少なくとも50%のレベルまで、とりわけ少なくとも55%および最大60%もしくはそれ以上のレベルまで遅延させる、請求項39または40のいずれか記載の方法。
  43. 化合物が下記式IIの化合物である、請求項41記載の方法:
    Figure 2010531854
  44. 化合物が下記式IIIの化合物である、請求項41記載の方法:
    Figure 2010531854
  45. 本明細書で前に主張した化合物または薬学的組成物の投与により、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトの脳において、
    (a)特に斑面積および斑体積を、未処置対照に比べ、少なくとも10%、特に少なくとも13%、より特定的には少なくとも20%、さらにより特定的には少なくとも26%、とりわけ少なくとも30%およびそれ以上減少させることにより、β-アミロイド斑負荷を減少させる;ならびに/または
    (b)β-アミロイド斑の形成を阻止する;ならびに/または
    (c)アミロイド負荷の増加を、特に疾患の通常の進行に伴い予測されるレベルより低いレベルまで、特に少なくとも55%のレベルまで、とりわけ少なくとも60%のレベルまで遅延させる
    ことにより、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおいて、脳におけるβ-アミロイド斑の形成、ひいては斑負荷の増加により引き起こされる、またはそれと関連する状態を処置するための方法。
  46. 化合物が下記式IIの化合物である、請求項45記載の方法:
    Figure 2010531854
  47. 化合物が下記式IIIの化合物である、請求項45記載の方法:
    Figure 2010531854
  48. 疾患または状態が、アルツハイマー病(AD)などの神経障害および認知記憶能力の喪失により特徴づけられる疾患または状態、例えば、軽度認知機能障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型);グアムパーキンソン-認知症複合;ならびに、アミロイド様タンパク質に基づく、またはそれに関連する他の疾患、例えば、進行性核上麻痺、多発性硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、HIV-関連認知症、ALS(amyotropic lateral sclerosis)、成人発症型糖尿病;老人性心アミロイドーシス;内分泌腫瘍、ならびに黄斑変性症などを含む他のものからなる群より選択される、前記請求項記載の、動物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおいて、脳におけるβ-アミロイド斑の形成、ひいては斑負荷の増加により引き起こされる、またはそれと関連する状態を処置するための、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  49. 動物、特に哺乳動物またはヒトに、請求項1〜13のいずれか一項記載の式Iの化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物、または該化合物および/もしくはその薬学的に有効な代謝産物を含む薬学的組成物を投与することにより、記憶障害を患う動物、特に哺乳動物またはヒトにおいて認知記憶能力を保持または増加させるための方法。
  50. 代謝産物が、請求項14記載の化合物である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  51. 本明細書で前に主張した、式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物ならびにアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を、薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/または賦形剤と一緒に含む、アルツハイマー病を患う患者を処置するための、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の使用による生じる副作用を抑制するための薬学的組成物。
  52. アセチルコリンエステラーゼ阻害剤が、タクリン、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミンからなる群より選択される化合物である、請求項51記載の薬学的組成物。
  53. 式Iによる化合物、特に式IIの化合物、とりわけ式IIIの化合物およびアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が、別個の単位剤形で提供される、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
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