JP2024517653A - 神経細胞プロテオームを崩壊に対して安定化して血管細胞を保護する方法 - Google Patents

神経細胞プロテオームを崩壊に対して安定化して血管細胞を保護する方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、CMA活性化因子を対象に投与することによって、対象において神経細胞、血管細胞及びマクロファージタンパク質のプロテオスタシスを増強する方法を提供する。プロテオスタシスの増強は、対象における加齢性神経変性疾患、アテローム性動脈硬化症又は炎症性疾患の予防又は進行を遅延させる方法である。加齢性神経変性疾患は、アルツハイマー病(AD)、レビー小体型認知症、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症(FTD)、脊髄小脳失調症(SCA)、又は進行性皮質下グリオーシスであり得る。本開示は更に、対象におけるベータアミロイド及び/又はタウ病態の進行を抑制する方法、並びに/あるいは対象における既存のベータアミロイド及び/又はタウ病態を抑制する方法を提供する。【選択図】図1A

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月21日出願の米国仮特許出願第63/177,504号、及び2022年4月3月25日出願の米国仮特許出願第63/323,942号の優先権を主張する。
プロテオスタシスの喪失は、複数の加齢性変性障害の基礎となる。シャペロン介在性オートファジー(CMA)活性は、タンパク質毒性に対する細胞防御に不可欠であるが、年齢と共に低下する。
プロテオスタシスの維持は、正常な細胞機能及び絶えず変化する細胞外環境への適応に不可欠である。シャペロン及びタンパク質分解系は、プロテオスタシスネットワークの主要な構成要素である。これらのプロテオスタシス経路のいくつかの機能性が加齢と共に徐々に失われ、高齢者を苦しめる変性状態の経過が加速されることが提案されている。
全ての細胞は、プロテオームの恒常性(プロテオスタシス)を維持するために細胞内監視システムに依存している。これらの系は、有糸分裂後の状態のためにタンパク質毒性傷害に対して感受性の高い神経細胞において特に重要である。加齢に伴う神経タンパク質の品質管理の低下は、神経変性疾患のリスクを増加させる。実際、タンパク質凝集物の存在は、神経変性患者の脳に共通の特徴である。興味深いことに、ほとんどの高齢者の脳はまた、疾患がない場合でもタンパク質凝集を示す。
プロテオスタシスネットワークの構成要素の1つである欠陥オートファジーは、パーキンソン病(PD)及びアルツハイマー病(AD)を含む神経変性疾患と関連している。マクロオートファジーは、神経細胞のプロテオスタシスの維持及び神経変性からの保護に必要であることが証明されている。
プロテオスタシスの維持は、血管細胞、血管平滑筋細胞(VSMC)及びマクロファージにおいても重要である。心血管疾患(CVD)は、世界中で死亡の主因であり、全死亡の31.5%超を占める。肥満、高血圧、糖尿病及び加齢などの、CV臨床事象の最も一般的な原因であるアテローム性動脈硬化症の発症の主なリスク因子は、生活様式の変化及び高齢者の増加に起因して流行的な割合で増加している。アテローム性動脈硬化症では、高コレステロール血症は血管内皮機能不全及びアテローム性リポタンパク質の血管外漏出をもたらし、その結果、血液循環から内膜への単球の接着及び血管外漏出が増加し、これによりアテローム性動脈硬化症に進行する。
神経変性障害のリスクがある患者の神経細胞、並びに心血管疾患のリスクがある又はアテローム性動脈硬化症を有する患者の血管細胞及びマクロファージ細胞などの、神経細胞及び血管細胞のプロテオスタシスを維持する方法が必要とされている。本開示は、この必要性を満たし、さらなる利点を提供する。
本開示は、加齢性神経変性疾患の予防又は進行の遅延を必要とする対象において加齢性神経変性疾患を予防又は進行を遅延させる方法であって、対象の神経変性疾患の初期症状又はバイオマーカーを同定すること、及び治療有効量のCMA活性化因子を対象に投与することを含み、対象が無症候性であるか、又は加齢性神経変性疾患の初期症候段階にある、方法を提供する。
本開示はまた、加齢性神経変性障害の治療を必要とする対象において神経細胞のプロテオスタシスを増強する方法であって、CMA活性化因子を対象に投与することを含み、CMA活性化因子の投与が対象における神経細胞のプロテオスタシスを増強する方法を提供する。
本開示は、加齢性神経変性障害の治療を必要とする対象の神経細胞のLamp2Aのレベルを増加させる方法であって、CMA活性化因子を対象に投与することを含み、CMA活性化因子を投与することが、対象の神経細胞のLamp2Aのレベルを増加させる、方法を提供する。
本開示は、患者における神経変性障害の発症を遅延させる方法であって、患者が神経変性障害の発症に関連するリスク因子を有すると判定することを含む方法を提供する。
本開示は、患者の興奮性及び/又は抑制性神経細胞におけるシャペロン介在性オートファジー(CMA)活性を増加させるのに十分な量のCMA活性化因子を患者に投与し、それによって神経変性障害の発症を遅延させる方法を提供する。
本開示は、患者の神経細胞において解糖活性を維持する方法であって、患者の興奮性及び/又は抑制性神経細胞においてシャペロン介在性オートファジー(CMA)を活性化するのに十分な量のCMA活性化因子を患者に投与すること、及び、それによって患者の神経細胞における解糖活性を維持すること、を含む方法を提供する。
本開示は、アルツハイマー型認知症(AD)を発症するリスクがあると診断された患者又はADを有すると診断された患者において、ADの病態のマーカーのレベルを低下させるか、又はADの病態のマーカーの増加を遅らせる方法であって、
患者におけるADの病態のマーカーの第1のレベルを測定すること、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、又は少なくとも12ヶ月間にわたって、毎日、患者の神経細胞においてシャペロン介在性オートファジー(CMA)を活性化するのに十分な量のCMA活性化因子を患者に投与すること、及び、CMA活性化因子の投与後の患者におけるADの病態のマーカーの第2のレベルを測定すること、
ADの病態のマーカーの第1のレベルと第2のレベルを比較すること、及び、ADの病態のマーカーのレベルが患者において低下しているか又は失速しているかどうかを判定すること、を含む方法を提供する。
本開示は、患者の脳内のグリオーシス又は炎症を減少させる方法であって、患者の脳内のシャペロン介在性オートファジー(CMA)を活性化するのに十分な量のCMA活性化因子を患者に投与すること、及び、それによって患者のグリオーシス又は炎症脳を減少させること、を含む方法を提供する。
本開示はまた、神経変性障害を有する患者の神経細胞のプロテオスタシス及び/又はグリオーシスを増加させる方法であって、患者の神経細胞においてシャペロン介在性オートファジー(CMA)を活性化するのに十分な量のCMA活性化因子を患者に投与すること、及び、それによって患者の神経細胞におけるプロテオスタシス及び/又はグリオーシスを増加させること、を含む方法を提供する。
本開示は更に、患者の神経細胞におけるタンパク質凝集を予防する方法であって、患者の神経細胞における可溶性タンパク質の蓄積を減少させるのに十分な量のシャペロン介在性オートファジー(CMA)活性化因子を患者に投与することを含む方法を提供する。
CMAが遮断されたマウスは行動障害を示す。LAMP2A(L2A)の全身(全身;L2A-/-)又は神経細胞特異的(CaMKinase-IIaCre;CKL2A-/-)欠失マウスの作製の概略図。 クラスピング、クラスピングスコアの年齢依存性変化[遺伝子型効果:F2,63=18.24、p<0.0001]。 クラスピング、クラスピングスコアに対する平均線形回帰係数(±95%C.I.)。 6ヶ月目のCTR、L2A-/-及びCKL2A-/-マウスにおける負の走地性試験。潜時の定量化[クラスカル・ウォリス統計=9.987、p=0.0018]。 6月齢のCTR、L2A-/-及びCKL2A-/-マウスにおける短期記憶Y試験、新規アームで過ごした時間の割合の定量化[F2,12=4.775、p=0.0298]。 6ヶ月目のCTR、L2A-/-及びCKL2A-/-マウスにおけるオープンフィールドでの自発運動、10分にわたって歩行した距離の定量化[クラスカル・ウォリス統計=9.006、p=0.0046]。 6ヶ月目のCTR、L2A-/-及びCKL2A-/-マウスの歩幅、定量化[遺伝子型効果:F2,79=35.84、p<0.0001]。 WT、L2A-/-及びCKL2A-/-マウスについてのY型迷路における自発的交替行動のパーセンテージによって6ヶ月目に測定された空間作業記憶。 6月齢のWT、L2A-/-及びCKL2A-/-マウスにおける巣作り行動試験、定量化を示す。[遺伝子型効果、クラスカル・ウォリス統計=8.814、p=0.0035]。全てのデータは平均±標準誤差であり、個々の値をD、E、F、G、H及びIPに示す。1つの時点/遺伝子型につきn=4~8。比較は、クラスカル・ウォリス検定とそれに続くDunnの事後検定(D、F、H、I)、一元配置ANOVAとそれに続くTukeyの事後検定(E,P)、又は二元配置ANOVAとそれに続くSidakの事後検定(H)を用いて行った。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005。 興奮性神経細胞におけるCMA欠損は、プロテオスタシス崩壊をもたらす。CTR及びCKL2A-/-マウスの海馬におけるリポフスチン自己蛍光。1細胞あたりの点の定量、 CTR及びCKL2A-/-マウスの海馬神経細胞におけるK63結合ユビキチンの免疫染色、1細胞体あたりの染色強度分布。インサートは、CA3領域を強調表示する。 CTR及びCKL2A-/-マウスの海馬において酸化タンパク質を検出するためのカルボニル基の免疫ブロット。代表的な免疫ブロット(上)及び正規化されたデンシトメトリー定量(下)。 CTR及びCKL2A-/-マウスの皮質の比較定量的プロテオミクス、不溶性画分中の凝集性タンパク質(実線及び不連続線は、それぞれKFERQ様モチーフの存在及び非存在を表す)。スケールバー:50μm(B)、20μm(A)。データは平均±標準誤差及び個々の値(A、C)である。対応のないt検定(A~C)で比較を行った。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005。図4も参照されたい。 脳のプロテオスタシスにおける全身CMAの遮断の結果。6月齢のCTR及びL2A-/-マウスの海馬神経細胞におけるK63結合ユビキチンについてのリポフスチン自己蛍光。1細胞あたりの蛍光点の数[t=4.012、p=0.0039]の定量(A)。スケールバー:20μm(A)。1マウスあたり、n=20細胞、1遺伝子型あたり、5マウス。 6月齢のCTR及びL2A-/-マウスの海馬神経細胞におけるK63結合ユビキチンについてのリポフスチン免疫染色。1細胞体あたりの染色強度分布[t198=9.945、p=p<0.0001](B)。スケールバー:50μm(B)。1マウスあたり、n=20細胞、1遺伝子型あたり、5マウス。 CA3領域(左)及びユビキチン陽性凝集体が占める細胞領域(右)におけるタンパク質凝集体(白矢じり)の存在を説明する、K63結合ユビキチンについての免疫染色の高倍率XZ/YZ投影。全累積分布[マン・ホイットニーU=1209、p<0.0001]及び1動物あたりの平均を挿入図として示す[t=4.398、p=0.023]。スケールバー:10μm。 神経CMAの遮断は、グリオーシス又はマクロオートファジーの変化を誘導しなかった。CKATG7-/-マウスの皮質及び海馬由来の試料を、破壊されたマクロオートファジーの陽性対照として示す。皮質の代表的な電子顕微鏡画像(左、全視野;右、オートファゴソーム(APG)及びオートリソソーム(AUT)の例)。 下は、APG及びAUT状態における1視野あたりの小胞の数(左)及び自食作用胞(AV)の割合(右)の形態学的定量化を示す。 CKL2A-/-マウスの皮質の低倍率画像(左)及び高倍率画像(右)は、高密度物質の蓄積(明るい矢印)及び近接した自食作用胞(暗い矢印)の存在を強調する。下は、細胞質ゾル及び膜に囲まれた(小胞内)高密度材料の例を示す。スケールバー:全視野では1μm、挿入図では0.20μm。データは平均±標準誤差及び1群あたり、n=4~5の個々の値である。対応のないt検定を用いて比較を行った。 興奮性神経細胞におけるCMA及びマクロオートファジーの遮断は、神経細胞プロテオームの異なるサブセットの崩壊をもたらす。本実験の興奮性神経細胞において遮断された2つのオートファジー経路:マクロオートファジー及びシャペロン介在性オートファジー(右)の図。 CKL2A-/-及びCKATG7-/-マウスの脳の不溶性画分の比較定量的プロテオミクス。不溶性画分中のタンパク質のベン図。 CKL2A-/-及びCKATG7-/-マウスの脳の不溶性画分の比較定量的プロテオミクス。(C)不溶性タンパク質の遺伝子オントロジー濃縮のネットワーク可視化(CKATG7-/-(タンパク質異化過程及び細胞周期)のノード間の類似性を示し、他のノードはCKL2A-/-マウスのノード間の類似性を示す)。 細胞外酸性化率(ECAR)の曲線下面積から計算した解糖特性の添加時の、CTR及びCKL2A-/-マウス由来の初代皮質神経細胞におけるECAR。 6ヶ月目のCTR及びL2A-/-マウスの皮質におけるクラスリン媒介エンドサイトーシス関連タンパク質。代表的な免疫ブロットの定量。 6ヶ月目のCTR及びL2A-/-マウスの皮質におけるクラスリン媒介エンドサイトーシス関連タンパク質。代表的な免疫ブロットの定量。 空ベクター(対照)又はshL2A構築物(L2A(-))を形質導入した分化神経芽腫細胞株の10分におけるトランスフェリン取り込み。トランスフェリン(明るい灰色)及びHoechst dub(暗い灰色)の代表的な画像(左)。挿入図:対照(Ctr)細胞の倍数として表されるトランスフェリン取り込みのより高い倍率及び定量化。1条件あたり、n=15~25細胞(右)。スケールバー20μm。 6ヶ月目のCTR及びL2A-/-マウスの皮質におけるArpc2。代表的な免疫ブロットの定量化。 6ヶ月目のCTR及びL2A-/-マウスの海馬神経細胞におけるアクチンの免疫染色。代表的な画像の定量化。スケールバー:20μm(G、I)。データは平均±標準誤差であり、個々の値をD、E、F、H、及びIに示す。比較は、対応のないt検定を用いて行った(D、E~I)*p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005。 CMA活性は、タウオパチーのマウスモデル及びアルツハイマー病患者の脳で阻害される。12ヶ月目のCTR及びhTauP301L発現マウス(Tau)のCA1錐体神経細胞におけるCMA(細胞あたりの蛍光点の数として測定される)。CTR及びTauマウスにおける1細胞あたりのKFERQ-Dendra点の数の分布(左)及び1動物あたりの1細胞あたりの点の平均数(右)。Dendraの値は、1遺伝子型あたり3~5の動物由来の9~17個の個々の細胞から得られたものである。スケールバー:50μm。 12ヶ月目のCTR及びhTauP301L発現マウス(Tau)の海馬のGFAP陽性星状膠細胞におけるCMA(細胞あたりの蛍光点の数として測定される)。CTR及びTauマウスにおける1細胞あたりのKFERQ-Dendra点の数の分布(左)及び1動物あたりの1細胞あたりの点の平均数(右)。Dendraの値は、1遺伝子型あたり3~5の動物由来の10~19個の個々の細胞から得られたものである。スケールバー:50μm。 CMAネットワーク成分(官能基に組織化され、色付きの点は、CMA活性に対する所与の元素の効果を示す。緑色:正極;赤色:負極)の正規化された発現(各細胞型内のzスコアリング)。 興奮性(Excit.)及び阻害性(Inhib.)神経細胞のCMA活性化スコア及び星状膠細胞(Astro.)、ミクログリア(Microg.)及び乏突起膠細胞(Oligo.)。 Braak病態病期分類を使用した興奮性神経細胞におけるCMA活性化スコアと病態マーカーとの間の負の相関。 Braak病態病期分類を使用した興奮性神経細胞におけるCMA活性化スコアと病態マーカーとの間の負の相関、及びNIA-Reaganスコア。データはA、B及びDでは平均±標準誤差であり、A、B、E、Fでは個別の値である。比較は、クラスカル・ウォリス検定とそれに続くDunnの事後検定(A、B)、二元配置ANOVAとそれに続くSidakの多重比較検定(D)又はピアソン相関検定(I、J)を用いて行った。**p<0.005、***p<0.0005。 CMAによるCMA欠損AD関連タンパク質毒性のマウスモデル。12月齢の対照、L2A-/-、3xTg及び3xTg-L2A-/-マウスの脳において示されたタンパク質の免疫ブロット。膜のポンソー染色をタンパク質負荷対照として示す。 12ヶ月目のCTR、L2A-/-、Tg及びTg-L2A-/-マウスの脳におけるユビキチン化タンパク質のK63結合のための免疫ブロット(左)及びデンシトメトリー定量化(右)[遺伝子型効果:F3,32=5.615、p=0.0033]。1遺伝子型あたり、n=9マウス。 CTRマウスの脳と比較した、L2A-/-の脳の定量的プロテオーム解析のボルケーノプロット。左上隅の数字は、有意なヒットの数を示す。赤色ドット:示差的に発現したタンパク質(調整済みp<0.05)。 CTRマウスの脳と比較した、Tgの脳の定量的プロテオーム解析のボルケーノプロット。左上隅の数字は、有意なヒットの数を示す。赤色ドット:示差的に発現したタンパク質(調整済みp<0.05)。 CTRマウスの脳と比較した、Tg-L2A-/-の脳の定量的プロテオーム解析のボルケーノプロット。左上隅の数字は、有意なヒットの数を示す。赤色ドット:示差的に発現したタンパク質(調整済みp<0.05)。 神経細胞におけるCMAの喪失は、アルツハイマー病関連タンパク質毒性のマウスモデルにおいて病態を加速させる。Tg及びTg-L2A-/-マウスの海馬におけるAβ(緑色)及びS422リン酸化(pS422)タウ(赤色)並びにHoechst染色(青色)についての免疫染色。全脳切片の走査から得られた個々の画像のモンタージュを示す。右は背側海馬の高倍率画像を示す。挿入図は、四角で囲んだ領域をより高い倍率で示す。スケールバー:1500μm。 12月齢のCTR、L2A-/-、Tg及びTg-L2A-/-マウスの脳における示されたタンパク質についての免疫ブロット。1遺伝子型あたり、n=9マウス。 内因性マウスタウ(C)について、CTRの倍数として表されるデンシトメトリー定量。1遺伝子型あたり、n=9マウス。 ヒトタウについて、Tgの倍数として表されるデンシトメトリー定量。1遺伝子型あたり、n=9マウス。 S202/T205-リン酸化タウ(AT8)について、Tgの倍数として表されるデンシトメトリー定量。1遺伝子型あたり、n=9マウス。 APPについて、CTRの倍数として表されるデンシトメトリー定量。1遺伝子型あたり、n=9マウス。 APPのC末端断片(CTF)について、Tgの倍数として表されるデンシトメトリー定量。1遺伝子型あたり、n=9マウス。 αCTFについて、Tgの倍数として表されるデンシトメトリー定量。1遺伝子型あたり、n=9マウス。 Tgマウス及びTg-L2A-/-マウス由来の海馬の低速上清のAβ42についてのELISA。1遺伝子型あたり、n=8~10マウス。 S422-リン酸化(pS422)タウについてのTg及びTg-L2A-/-マウス由来の海馬の低速上清のAlphaLISA。左パネルは時間経過を示し、右パネルは回帰係数(±95%C.I.)を示す。1時点あたりの1遺伝子型あたり、n=3~10マウス。データは平均±標準誤差である。(線形回帰パネル)及び個々の値(他の全てのパネル)である。 S422-リン酸化(pS422)凝集テイについてのTg及びTg-L2A-/-マウス由来の海馬の低速上清のAlphaLISA。左パネルは時間経過を示し、右パネルは回帰係数(±95%C.I.)を示す。1時点あたりの1遺伝子型あたり、n=3~10マウス。データは平均±標準誤差である。(線形回帰パネル)及び個々の値(他の全てのパネル)である。比較は、クラスカル・ウォリス検定とそれに続くDunnの事後検定(C,F)、対応のないt検定(D、E、G、H、I)又は二元配置ANOVAとそれに続くSidakの事後分析(J)を用いて行った。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005。 CMAの神経細胞喪失は、アルツハイマー病に関連する脳のタンパク質毒性に相乗的に有害な影響を及ぼす。遺伝子型間のタンパク質存在量の変化に基づくヒートマップ及び階層的クラスタリング分析。 Tg-L2A-/-マウス脳において特異的に改変されたタンパク質の遺伝子オントロジー濃縮分析のネットワーク視覚化。 無症候性(AsymAD)及び症候性AD(AD)の両方の症例と、L2A-/-、Tg及びTg-L2A-/-マウスとの間の濃縮タンパク質における類似性を示すためのランク付けされた超幾何学的オーバーラッププロット。 ヒトAβ相関タンパク質(Baiら、2020)は、L2A-/-、Tg及びTg-L2A-/-マウスにおいて検証された。下部の数字は、ADとマウスプロテオームとの間で一貫した変化の数を示した。 前頭側頭型認知症関連タンパク質毒性のマウスモデルにおけるCMAの脳透過性化学活性化因子の特性評価及び効果。AR7及びCA77.1の化学構造。 KFERQ-PS-Dendraレポーターを安定的に発現するNIH3T3細胞に漸増濃度のAR7及びCA77.1を添加する効果の定量化。CMA活性を、1細胞あたりの蛍光点の平均として16時間の処理後に定量した。(1条件あたり、n>800細胞)。 37℃で16時間にわたって、20μMのAR7若しくはCA77.1と共に、又は添加なしで(なし)インキュベートしたNIH3T3細胞におけるオートファージフラックス。示される場合、リソソームプロテアーゼ阻害剤(PI)を溶解の6時間前に細胞に添加した。左:代表的な免疫ブロット。アクチンは負荷対照として示されている。右:未処理と比較したPIで処理した細胞におけるLC3-IIレベルの差としてのLC3-IIフラックスの定量。値は、任意値1が与えられた未処理細胞の倍数として示される。n=5の独立した実験。 KFERQ-PS-Dendraレポーターを安定的に発現するNIH3T3細胞に漸増濃度のAR7及びCA77.1を添加する効果の定量化。CMA活性を、12時間又は24時間の処理後に、1細胞あたりの蛍光点の平均として定量した。(1条件あたり、n>800細胞)。 マウスにp.o.(経口、10mg/Kgbw)及びi.v.(静脈内、1mg/kgbw)投与した後のCA77.1の薬物動態分析。1時点あたり、n=3のマウス。 マウスの脳におけるCA77.1の薬物動態パラメータのまとめ。 ビヒクル(Veh)又はCA77.1(CA)を4ヶ月毎日経口投与した後のマウスの血球数。各群にn=6のマウス。 同じマウス由来のH&E染色された肝臓切片の代表的な切片画像。2つの倍率が示されている。 同じマウス由来のH&E染色された肺切片の代表的な切片画像。2つの倍率が示されている。 同じマウス由来のH&E染色された腎臓切片の代表的な切片画像。2つの倍率が示されている。糸球体及び尿細管の詳細を高倍率画像で示す。 Shiら2017に記載されている4種類のS202/T205リン酸化タウ染色の分布。数字は、各群に属するマウスの数を示す。1群あたり、n=10のマウス。 Veh又はCAを6ヶ月間投与したCTR及びPS19マウスのサルコシル不溶性画分に対するAT8タウの免疫ブロット。HMW:AT8の高分子量種。1遺伝子型及び1処置あたり4~5匹のマウスの代表的な免疫ブロット。 単量体としてのAT8のデンシトメトリー定量[クラスカル・ウォリス統計=20.48、p<0.0001]。 HMW種としてのAT8のデンシトメトリー定量[F2,26=7.183、p=0.0033]。 Veh又はCAで6ヶ月間処置したCTR及びPS19マウスの海馬[クラスカル・ウォリス統計=10.55、p=0.0051]における1mmあたりのIba1陽性ミクログリア細胞の数の定量化。 Veh又はCAで6ヶ月間処置したCTR及びPS19マウスの異形皮質における1mmあたりのIba1陽性ミクログリア細胞の数の定量化。図14Nに示す画像。平均±標準誤差及び個々の値。比較は、一元配置ANOVAとそれに続くテューキー事後分析を用いて行った*p<0.05。 CMAの化学的活性化は、前頭側頭型認知症関連タンパク質毒性のマウスモデルにおける挙動及び神経病態を改善する。(A)ヒトP301Sタウ(PS19)を過剰発現するマウスへのCMA活性化因子(CA)投与のレジメンの概略図。(D~H)タウ及びリン酸化タウについて海馬(E)、(F~J)免疫ブロットで染色された領域の定量。示されたタンパク質:S422-リン酸化タウ(G)、S202/T205-リン酸化タウ(AT8)(H)、MC1タウ(I)及び総タウ(J)の代表的な免疫ブロット及びデンシトメトリー定量。 ビヒクル(Veh)又はCAを投与した9月齢のCTR又はPS19マウスのオープンフィールドにおける自発運動。代表的な軌跡。 ビヒクル(Veh)又はCAを投与した9月齢のCTR又はPS19マウスのオープンフィールドにおける自発運動。10分で移動した総距離。 9月齢のCTR、PS19+/-CAの海馬、扁桃体及び虹彩皮質におけるMC1タウについての免疫染色。示された脳領域の代表的な画像。スケールバー:海馬:500μm、扁桃体及び虹彩皮質:200μm。 海馬の染色された領域の定量。 S422-リン酸化タウ、S202/T205-リン酸化タウ(AT8)、MC1タウ及び総タウの代表的な免疫ブロット。 海馬及び虹彩皮質におけるS422-リン酸化タウについての免疫染色。スケールバー:海馬:500μm及び虹彩皮質:200μm。 免疫ブロットで染色された領域の定量。示されたタンパク質:S202/T205-リン酸化タウ(AT8)のデンシトメトリー定量。 免疫ブロットで染色された領域の定量。示されたタンパク質:MC1タウ(I)のデンシトメトリー定量。 免疫ブロットで染色された領域の定量。示されたタンパク質:総タウのデンシトメトリー定量。 Iba1の免疫染色における平均細胞サイズの定量化。 海馬における平均細胞サイズの定量化。 ピリド皮質における平均細胞サイズの定量化。データは平均±標準誤差である。個々の値を、C、E、G~Mに、1つの遺伝子型及び処置につき、n=9~10マウスについて示す。比較は、一元配置ANOVAとそれに続くテューキーの事後分析(C,E,G,I~M)又はクラスカル・ウォリス検定とそれに続くダンの事後検定(H)を用いて行った。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005。 CMAの化学的活性化は、アルツハイマー病関連タンパク質毒性のマウスモデルにおける挙動及び神経病態を改善する。TauPS2APP(Tg)マウスへのCMA活性化因子(CA)投与のレジメンの概略図。 新規物体認識試験(左のプロット:新規物体に費やされた時間の%;右プロット:判別指標)におけるビヒクル(Veh)又はCMA活性化因子(CA)を投与したTgマウスの成績。 高架式十字迷路におけるビヒクル(Veh)又はCMA活性化因子(CA)を投与したTgマウスの成績。 強制水泳試験におけるビヒクル(Veh)又はCMA活性化因子(CA)を投与したTgマウスの成績。 Tgマウス+/-CAにおけるクラスピングスコア:クラスピングスコア増加の時間経過(左)及び平均線形回帰係数(右)。 水平格子試験におけるTgマウス+/-CAの能力。 Tgマウス+/-CAの背側海馬における未成熟アミロイド斑(MOAB2)、成熟アミロイド沈着(6E10)、βシートマーカー(チオフラビンS)及びスレオニン231-リン酸化タウ(pThr231タウ)の免疫染色。全脳切片の走査から得られた個々の画像のモンタージュを示す。挿入図:pThr231タウ染色の高倍率。スケールバー:200μm。MOAB2についての陽性面積のパーセンテージの全脳スライスのスキャンから得られる個々の画像のモンタージュ画像の定量化。 6E10についての陽性面積のパーセンテージの全脳スライスのスキャンから得られる個々の画像のモンタージュ画像の定量化。 チオフラビンSについての陽性面積のパーセンテージの全脳スライスのスキャンから得られる個々の画像のモンタージュ画像の定量化。 MOAB2についての斑のサイズのパーセンテージの全脳スライスのスキャンから得られる個々の画像のモンタージュ画像の定量化。 6E10についての斑のサイズのパーセンテージの全脳スライスのスキャンから得られる個々の画像のモンタージュ画像の定量化。 チオフラビンSについての斑のサイズのパーセンテージの全脳スライスのスキャンから得られる個々の画像のモンタージュ画像の定量化。 斑の数と、斑の成熟度の異なるマーカー(ThS>6E10>MOAB2)の平均斑サイズとの関係。 pThr231タウ陽性面積の割合の定量化。 pThr231タウ染色と6E10染色との重複の割合の定量化。全ての定量化(クラスピング-Eを除く)を、群あたり4匹~6匹のマウスで12ヶ月目に行った。データは平均±標準誤差である。対応のないt検定(B~D、F、G~O)、二元配置ANOVA検定、続いてSidakの事後分析(E)を使用して比較を行った。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005。 アルツハイマー病関連タンパク質毒性のマウスモデルにおけるCMAの化学的活性化の効果。Veh又はCAを4ヶ月間投与したTgマウスの脳皮質における、MOAB2(t=3.181、p=0.0155)について陽性斑の大きさの定量。 Veh又はCAを4ヶ月間投与したTgマウスの脳皮質における、6E10について陽性斑の大きさの定量。 Veh又はCAを4ヶ月間投与したTgマウスの脳皮質における、チオフラビンS(ThS)について陽性斑の大きさの定量。 Veh又はCAを4ヶ月間投与したTgマウスの脳皮質における、T231-リン酸化タウ病態(t=2.382、p=0.0444)について陽性斑の大きさの定量。 皮質及び背側海馬におけるCMA活性化時の病態軽減の程度を強調する要約ヒートマップ。*は、Veh投与TgマウスとCA投与Tgマウスとの間の有意差を強調している。 Veh又はCAで処置したTgマウスの脳におけるS202/T205-リン酸化(AT8)タウに対する免疫ブロット。代表的な免疫ブロット(左)及びデンシトメトリー定量(t=2.425、p=0.0415)(右)。値をポンソーに対して正規化し、Veh処置マウスの倍数として表す。 面積単位あたりのGFAP陽性星状膠細胞の数(t=4.058、p=0.0036)。 (H)Veh又はCAを投与したTgマウスの背側海馬における炎症の免疫染色(ミクログリアマーカー:Iba1-緑色)、アミロイド病態(MOAB2-マゼンタ)及びDAPIによる核染色(青色)の代表的な画像。全脳切片の走査で得られた背側海馬の個々の画像のモンタージュを示す。単位面積あたりのIba1陽性ミクログリア細胞の数(t=2.041、p=0.0755)(左)及び平均細胞サイズ(t=2.079、p=0.0713)(右)の定量化。 ミクログリア(Iba1)とアミロイド斑(MOAB2)との間の共局在化係数(マン・ホイットニーU=6、p=0.2571)。平均±標準誤差及び個々の値を示す。対応のないt検定分析を用いて比較を行った。*:p<0.05、**:p<0.005。 CMA欠損は、マウス実験モデルにおいてアテローム性動脈硬化症を悪化させる。(A)アテローム硬化促進処置(AAV8 PCSK9を注射し、西洋型食餌、WDで12週間維持)に供したKFERQ-Dendra2マウスの大動脈におけるCMA活性。LAMP1で共染色された大動脈切片の代表的な画像は、エンドリソソーム区画を強調している。挿入図:より高い倍率の四角で囲んだ領域。矢印:蛍光点。より高い倍率の四角で囲んだ領域の個々の及び併合されたチャネルが示されている。矢印:Dextran+Dendra+点、及びDextran+点のみ。 アテローム硬化促進介入の示された時間におけるLAMP-2Aのレベル。 アテローム硬化促進性チャレンジに12週間供した野生型(WT)及びLAMP-2Aヌルマウス(L2AKO)における循環脂質(循環総コレステロール)。 (C、D)アテローム硬化促進性チャレンジに12週間供した野生型(WT)及びLAMP-2Aヌルマウス(L2AKO)における循環脂質(トリグリセリド(TG))。 大動脈の代表的な画像における斑面積の定量化。 大動脈の代表的な画像における斑ステージ指数。 大動脈の代表的な画像におけるシリウスレッド陽性面積。 CD68マクロファージについて免疫染色した大動脈の代表的な画像の定量化。パネルAの実験を3回繰り返し、同様の結果を得た。全てのデータを、D’Agostino及びPearsonの正規性検定を用いて正規分布について検定した。正規性検定に合格しなかった変数を、続いてマン・ホイットニー順位和検定を用いて分析した。他の全ての変数をスチューデントのt検定で検定した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005及び****p<0.0001。 CMAの遮断は、VSMCを脂肪毒性に対して脆弱にし、それらの脱分化を促進する。野生型(WT)及びLAMP-2Aヌルマウス(L2AKO)由来のVSMCにおけるdiLDL由来蛍光の細胞内レベル(n=3、3つの異なる実験において1実験あたり>45細胞)。 LDL濃度の増加に応答した同じ細胞における細胞傷害性(ボンフェローニの事後検定後の二元配置ANOVA、F=2.862、相互作用についてはP=0.9872、F=2.205、LDL濃度についてはP=0.1570、F=21.93、遺伝子型についてはP=0.0002、n=5))。 LDLで刺激された又はLPDS(CTRL)で維持された同じVSMCにおける細胞同一性、マクロファージ関連及びコレステロール経路の異なるマーカーのmRNAレベルの変化(3回の個々の実験のプール)。 CMAの遮断は、マクロファージにおける炎症促進性表現型の悪化をもたらす。添加なし(対照、CTRL)で培養した又はIFNγ/LPSで刺激した野生型(WT)マウス及びLAMP-2Aヌルマウス(L2AKO)由来のBMDMにおけるiNOS及びCOX-2タンパク質のレベル。WTレベルに対する倍数として表される代表的な免疫ブロットの代表的な免疫ブロット(A)及びデンシトメトリー定量化(iNOSについてはn=5、COX2については3)。ポンソーレッドを負荷対照として示す。 未処理(CTR)に対する倍数として表される、同じ細胞におけるiNOS及びCox2のmRNAレベル(n=4)。 WT及びL2AKOマウスにおける単球(L)の炎症促進性サブタイプの数(n=14 WT及びn=16 L2AKO)。適用可能な場合、全てのデータを、D’Agostino及びPearsonの正規性検定を用いて正規分布について検定した。正規性検定に合格しなかった変数は、続いてマン・ホイットニー順位和検定を使用して分析した。他の全ての変数は、スチューデントのt検定で検定した。全ての値は平均±標準誤差である。個々の値をi~lにも示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005及び****p<0.001。 CMA欠損マクロファージの特性評価。リソソームタンパク質分解の阻害時にIFNγ/LPS(F)に曝露したマウスのWT由来のリソソームのプロテオームのレベルの変化のヒートマップ。 IPAソフトウェアを使用した、CMA基質の蓄積によるLPS経路のBMDM L2AKO細胞における予測活性化。 IPAソフトウェアを使用した、IFNγ/LPS処置細胞における炎症応答。適用可能な場合、全てのデータを、D’Agostino及びPearsonの正規性検定を用いて正規分布について検定した。正規性検定に合格しなかった変数を、続いてマン・ホイットニー順位和検定を用いて分析した。他の全ての変数は、スチューデントのt検定で検定した。グラフは平均±標準誤差を表す。*p<0.05。 疾患を有するアテローム硬化症患者の大動脈におけるCMA変化。性別に依存しない全ての試料の平均値及び個々の値。 代表的な免疫ブロット(上)及び女性のみの値。ポンソーレッドを負荷対照として示す。 安定型アテローム斑と不安定型アテローム斑との間の正規化表現データから計算されたCMA活性化スコア。スコアの減少は、経路の予測される転写阻害を示す[t41=1.612、p=0.1146]。安定なアテローム斑及び不安定なアテローム斑由来のRNAseqにおけるCMAネットワークの個々の成分の正規化表現。適用可能な場合、全てのデータを、D’Agostino及びPearsonの正規性検定を用いて正規分布について検定した。正規性検定に合格しなかった変数は、続いてマン・ホイットニー順位和検定を使用して分析した。他の全ての変数は、スチューデントのt検定で検定した。個々の患者の値及び平均±標準誤差を示す。*p<0.05及び**p<0.01。最初の実験ではn=36。2番目の実験ではn=15~20。 CMAの遺伝子アップレギュレーションは、アテローム性動脈硬化症マウス実験モデルにおいて疾患を改善する。対照マウス(CTRL)及びアテローム硬化促進介入(AAV8 PCSK9を注射し、西洋型食餌で12週間維持)に供したヒトLAMP-2A(hL2AOE)のコピーを全身発現するマウスにおける循環脂質(コレステロール)のプロファイルを示す。n=9 CTRL、n=8 hL2AOE。 対照マウス(CTRL)及びアテローム硬化促進介入(AAV8 PCSK9を注射し、西洋型食餌で12週間維持)に供したヒトLAMP-2A(hL2AOE)のコピーを全身発現するマウスにおける循環脂質(トリグリセリド)のプロファイルを示す。n=9 CTRL、n=8 hL2AOE。 同じマウス群の大動脈由来の斑の特性。ヘマトキシリン及びエオシンで染色した大動脈の代表的な画像からの斑面積の定量化(H&E)。n=9 CTRL、n=8 hL2AOE。 同じマウス群の大動脈由来の斑の特性。ヘマトキシリン及びエオシンで染色した大動脈の代表的な画像からの壊死性コアのサイズ。n=9 CTRL、n=8 hL2AOE。 同じマウス群の大動脈由来の斑の特性。ヘマトキシリン及びエオシンで染色した大動脈の代表的な画像からの石灰化の存在。n=9 CTRL、n=8 hL2AOE。 CTRLマウス及びhL2AOEマウスにおいて測定された12の変数の主成分分析。各ドットは単一の動物を表す。楕円は、所与の実験群の質量中心の周りの95%信頼区間である。n=9 CTRL,n=8 hL2AOE。 CTRLマウス及びhL2AOEマウスにおいて測定された12の変数の主成分分析。棒グラフは、各実験群のPC1スコアの平均値+/-標準誤差を表す。n=9 CTRL,n=8 hL2AOE。*:CTRLとhL2AOEとの間のスチューデントt検定 t15=2.152、p=0.048。個々の値及び平均±標準誤差を全ての定量において示す。全てのデータを、D’Agostino及びPearsonの正規性検定を用いて正規分布について検定した。正規性検定に合格しなかった変数を、続いてマン・ホイットニー順位和検定を用いて分析した。他の全ての変数は、スチューデントのt検定で検定した。**p<0.01。
本発明を詳細に説明する前に、本開示で使用される特定の用語の定義を提供することが役に立つかもしれない。化合物は、標準的な命名法を使用して記載される。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。文脈によって明らかに禁忌でない限り、各化合物名は、化合物の遊離酸又は遊離塩基形態並びに化合物の全ての薬学的に許容される塩を含む。
「1つの(a)」及び「1つの(an)」という用語は、量の限定を示すものではなく、むしろ参照される項目の少なくとも1つの存在を示す。「又は」という用語は、「及び/又は」を意味する。「含む(comprising)」というオープンエンド移行句は、「から本質的になる(consisting essentially of)」という中間移行句及び「からなる(consisting of)」というクローズドエンド句を包含する。これらの3つの移行句のうちの1つ、又は「含有する(containing)」若しくは「含む(including)」などの代替の移行句を記載する請求項は、文脈又は技術によって明確に除外されない限り、任意の他の移行句で書くことができる。値の範囲の記載は、本明細書に別段の指示がない限り、その範囲内に入る各別個の値を個別に参照する簡単な方法として機能することを意図しているにすぎず、各別個の値は、あたかもそれが本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。全ての範囲の端点は、その範囲内に含まれ、独立して組み合わせることができる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。ありとあらゆる例又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく説明することを意図しており、別段の主張がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書のいかなる言語も、本明細書で使用される本発明の実施に不可欠な特許請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。他に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
「医薬組成物」は、CMA活性化因子の化合物又は塩などの少なくとも1つの活性剤と、担体などの少なくとも1つの他の物質とを含む組成物である。医薬組成物は、任意選択で1つ以上の追加の活性剤を含有する。特定される場合、医薬組成物は、ヒト又は非ヒト薬物についての米国FDAのGMP(優良医薬品基準)基準を満たす。
現在、アルツハイマー病(AD)などの神経変性疾患の診断は、精神機能の低下を特定することに依存しており、その時点で脳はかなり損傷している。同様に、パーキンソン病(PD)は、震え若しくは振戦、動きの鈍化(運動緩慢)、腕及び脚の硬直若しくはこわばり、並びに/又はバランスの問題(姿勢不安定性)などの症状によって識別される。PDは、症状が経時的に悪化する進行性疾患である。本明細書に記載の方法は、対象が無症候性であるか、又は加齢性神経変性疾患の初期症候段階にあるときに、加齢性神経変性疾患の予防又は進行を遅延させることを必要とする対象において、加齢性神経変性疾患の予防又は進行を遅延させることを提供する。早期介入は、症状の進行を予防し、後期加齢性神経変性疾患への進行を遅延させるのに役立ち得る。
一態様では、加齢性神経変性疾患の予防又は進行の遅延を必要とする対象において加齢性神経変性疾患を予防又は進行を遅延させる方法は、対象の神経変性疾患の初期症状又はバイオマーカーを同定すること、及び治療有効量のCMA活性化因子を対象に投与することを含む。一態様では、対象は無症候性であるか、又は加齢性神経変性疾患の初期症候段階にある。
CMA活性化因子を投与することにより、対象におけるベータアミロイド及び/又はタウ病態の進行を軽減することができ、かつ/又は対象における既存のベータアミロイド及び/又はタウ病態を軽減することができる。本明細書に記載される実験以前には、CMAの調節がベータアミロイド及び/又はタウ病態に影響を及ぼすことは予想されなかった。本方法は、任意選択で、陽電子放射断層撮影法(PET)及び/又は磁気共鳴(MR)画像法によって、ベータアミロイド及び/又はタウ病態の進行を判定することを更に含む。2-(4-N-[11C]メチルアミノフェニル)-6-ヒドロキシベンゾチアゾールとしても知られる11C標識ピッツバーグ化合物-B([11C]PiB)、18F-AV-45又は4-{(E)-2-[6-(2-{2-[2-(18F)フルオロエトキシ]エトキシ}エトキシ)-3-ピリジニル]ビニル}-N-メチルアニリンとしても知られる[18F]フロルベタピル([18F]FBP)、[18F]フロルベタベン([18F]FBB)、及び[18F]フルテメタモール([18F]FMT)は、ベータアミロイド{ETイメージングのための放射性トレーサである。PETリガンド[18F]AV-1451はタウ陽性封入体に結合する。対象の血漿又は脳脊髄液(CSF)中のタウタンパク質(総タウ又はリン酸化タウ)又はベータアミロイド(例えば、Aβ42)のレベルを使用して、ベータアミロイド及び/又はタウ病態の進行を判定することもできる。
また、予想外なことに、CMAモジュレーターは、本明細書ではグリア細胞の進行として定義されるグリオーシスに効果を有することも見出された。一態様では、CMA阻害剤の投与は、例えば、陽電子放射断層撮影法(PET)及び/又は磁気共鳴(MR)画像法によって調べた場合に、対象の脳内のグリオーシスを減少させる。
進行性皮質下グリオーシスは、原線維性星状膠細胞症などの特有の病理学的特徴を有する染色体17に関連する認知症である。初期の症状としては、人格及び感情の変化、判断及び洞察の欠如、社会的行動の低下、妄想、パラノイア、聴覚及び視覚の幻覚、並びにうつ病が挙げられる。
一態様では、本方法は、CMA活性化因子の投与後に神経細胞の解糖の増加を検出することを更に含む。予想外にも、CMA活性化は解糖を増加させることがわかった。
別の態様では、加齢性神経変性障害の治療を必要とする対象の神経細胞のプロテオスタシスを増強する方法は、CMA活性化因子を対象に投与することを含み、CMA活性化因子を投与することは、対象の神経細胞のプロテオスタシスを増強する。一態様では、CMA活性化因子の投与は、対象のベータアミロイド及び/又はタウ病態の進行を抑制し、本方法は、任意選択で、陽電子放射断層撮影法(PET)及び/又は磁気共鳴(MR)画像法によって、あるいは、対象の血漿若しくは脳脊髄液(CSF)中のタウタンパク質(総タウ若しくはリン酸化タウ)又はベータアミロイド(例えば、Aβ42)によって、ベータアミロイド及び/又はタウ病態の進行を判定することを含む。一態様では、本方法は、CMA活性化因子の投与後に神経細胞の解糖の増加を検出することを更に含む。
更に別の態様では、加齢性神経変性障害の治療を必要とする対象の神経細胞のLamp2Aのレベルを増加させる方法は、CMA活性化因子を対象に投与することを含み、CMA活性化因子の投与は、対象の神経細胞のLamp2Aのレベルを増加させる。
別の態様では、本開示は、対象に治療有効量のCMA活性化因子を投与することによって、アテローム性動脈硬化症の発症から対象を保護するか、アテローム性動脈硬化症のリスクがある対象がアテローム性動脈硬化症を発症する可能性を有意に低下させるか、アテローム性動脈硬化症を有する対象におけるアテローム性動脈硬化症の進行を遅らせるか、又はアテローム性動脈硬化症を有する対象におけるアテローム性動脈硬化症を減少させる方法を提供する。本開示はまた、対象にCMA活性化因子を投与することによって、対象の平滑筋血管細胞などの血管細胞を保護する方法を提供する。本開示はまた、例えば、無症候性アテローム性動脈硬化症などのアテローム性動脈硬化症を有する対象において、炎症促進性表現型を有するマクロファージを予防又は減少させる方法であって、CMA活性化因子を対象に投与することを含む方法を提供する。
アテローム性動脈硬化症におけるマクロファージは、リポタンパク質の摂取及び蓄積に積極的に関与し、脂肪滴で満たされた泡沫細胞を生じさせる。泡沫細胞の蓄積は、脂質貯蔵並びにアテローム硬化性斑成長及び慢性炎症状態の一因となる。
病理学的炎症状態は、マクロファージ活性化の動的変化と頻繁に相関し、古典的に活性化されたM1細胞は炎症の促進及び持続に関連し、M2細胞は消散又はくすぶり型慢性炎症に関与する(DOI:10.2174/1874467215666220324114624)。マクロファージにおけるCMAの減少は、M1(炎症促進性表現型)に対するマクロファージ分化の偏りを促進する。
医薬品
本明細書に開示される化合物は、正味の化学物質として投与することができるが、好ましくは医薬組成物として投与される。したがって、本開示は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と共に、CMA活性化因子などのCMAモジュレーターの化合物又は薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、本医薬組成物は、単位剤形中に約0.1mgから約2000mg、約10mgから約1000mg、約100mgから約800mg、又は約200mgから約600mgのCMA活性化因子の化合物と、任意選択で約0.1mgから約2000mg、約10mgから約1000mg、約100mgから約800mg、又は約200mgから約600mgの追加の活性剤とを含有する剤形である。
本明細書に開示される化合物は、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入又はスプレーによって、舌下に、経皮的に、頬側投与によって、直腸に、点眼剤として、硝子体内注射によって、又は他の手段によって、従来の薬学的に許容される担体を含有する投与単位製剤で投与され得る。本医薬組成物は、任意の薬学的に有用な形態として、例えば、エアロゾル、クリーム、ゲル、丸薬、カプセル、錠剤、シロップ、経皮パッチ、又は局所若しくは硝子体内注射用の点眼薬として製剤化され得る。錠剤やカプセルなどのいくつかの剤形は、適切な量の活性成分、例えば、所望の目的を達成するための有効量を含有する適切なサイズの単位用量に細分される。
担体は、賦形剤及び希釈剤を含み、それらを治療される患者への投与に適したものにするために、十分に高い純度及び十分に低い毒性のものでなければならない。担体は不活性であってもよく、又はそれ自体の医薬上の利点を有していてもよい。本化合物と共に使用される担体の量は、化合物の単位用量あたりの投与のために実用的な量の材料を提供するのに十分な量である。
担体の種類としては、結合剤、緩衝剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、香味料、流動促進剤、潤滑剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、錠剤化剤及び湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの担体は、2つ以上のクラスにリストアップされる場合があり、例えば、植物油は、ある製剤では潤滑剤として使用することができ、他の製剤では希釈剤として使用することができる。例示的な薬学的に許容される担体としては、糖、デンプン、セルロース、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、及び植物油が挙げられる。本開示の化合物の活性を実質的に妨害しない任意の活性剤を医薬組成物に含めてもよい。
医薬組成物/組み合わせは、経口投与用に製剤化することができる。これらの組成物は、0.1~99重量%(wt.%)のCMA活性化因子と、通常少なくとも約5wt.%のCMA活性化因子の化合物を含有する。いくつかの実施形態は、約25wt.%から約50wt.%又は約5wt.%から約75wt.%のCMA活性化因子の化合物を含有する。
治療方法
本開示はまた、それを必要とする対象においてシャペロン介在性オートファジー(CMA)を選択的に活性化する方法であって、対象においてCMAを活性化するのに有効な量のCMA活性化因子を対象に投与することを含む方法を提供する。
対象は、例えば、タウオパチー(前頭側頭型認知症、アルツハイマー病)、パーキンソン病、ハンチントン病、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜変性(乾性又は湿性黄斑変性、網膜色素変性、糖尿病性網膜症、緑内障、レーバー先天性黒内障)、糖尿病、急性肝不全、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝脂肪症、アルコール性脂肪肝、腎不全及び慢性腎疾患、気腫、散発性封入体筋炎、脊髄損傷、外傷性脳損傷、線維症(肝臓、腎臓又は肺)、リソソーム蓄積症、心血管疾患、及び免疫老化などの神経変性疾患を有し得る。リソソーム蓄積障害としては、シスチン症、ガラクトシアリトーシス及びムコリピトーシスが挙げられるが、これらに限定されない。対象はまた、がん又は紅斑性狼瘡などのCMAがアップレギュレーションされる疾患又は状態を有し得る。対象は、本化合物を投与する前に、正常な対象と比較してCMAが減少している可能性がある。好ましくは、本化合物はマクロオートファジー又は他のオートファジー経路に影響を及ぼさない。マクロオートファジーでは、タンパク質及び細胞小器官が二重膜小胞の中に隔離され、分解のためにリソソームに送達される。CMAでは、タンパク質基質が選択的に同定され、サイトゾルシャペロンとの相互作用を介してリソソームに標的化され、転座複合体を介してリソソーム膜を通過する。
本開示はまた、それを必要とする対象において酸化ストレス、低酸素、タンパク質毒性、遺伝毒性傷害又は損傷及び/又は脂肪毒性から細胞を保護する方法であって、本明細書に開示される化合物のいずれか又はCMA活性化因子の組み合わせを、酸化ストレス、低酸素、タンパク質毒性、遺伝毒性傷害又は損傷及び/又は脂肪毒性から細胞を保護するのに有効な量で、対象に投与することを含む方法を提供する。対象は、例えば、酸化ストレス及び酸化の増加並びにタンパク質毒性の傾向の背景に関連する1つ以上の慢性状態を有し得る。保護される細胞は、例えば、心臓細胞、腎臓及び肝臓細胞、神経細胞及びグリア、筋細胞、線維芽細胞及び/又は免疫細胞を含み得る。本化合物は、例えば、シャペロン介在性オートファジー(CMA)を選択的に活性化することができる。一実施形態では、本化合物はマクロオートファジーに影響を及ぼさない。
特定の態様では、対象は軽度認知障害に罹患している。本明細書で使用される場合、軽度認知障害は、加齢による予想される認知低下と認知症のより深刻な低下との間の段階である。忘却、思考の連なりを失うこと、又は会話に従うことが困難であること、決定を下すことが困難であること、慣れた環境で道に迷うこと、及び判断力が乏しいことは、軽度認知障害の徴候であり得る。軽度認知障害は、アルツハイマー病又は他の形態の認知症に進行し得る。
例示的な加齢性神経変性疾患としては、アルツハイマー病(AD)、レビー小体型認知症、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症(FTD)、脊髄小脳失調症(SCA)、進行性皮質下グリオーシスなどが挙げられる。
加齢性神経変性疾患がADである場合、本明細書に記載の方法の対象は認知症に罹患していない場合がある。ADの例示的な初期症状としては、記憶喪失及び/又は混乱、集中困難、日常タスクの遂行困難、時間及び/又は場所の混乱、視覚的イメージ及び/又は空間的関係の困難、会話困難、対象物の置き間違え、判断力の低下、活動からの離脱、気分及び性格の変化が挙げられる。ADの例示的なバイオマーカーは、対象の血漿又は脳脊髄液(CSF)中のタウタンパク質(総タウ又はリン酸化タウ)又はベータアミロイド(例えば、Aβ42)である。
レビー小体型認知症では、認知、記憶及び運動に関与する脳の領域の神経細胞にレビー小体型と呼ばれるタンパク質沈着物が発生する。レビー小体型認知症の初期の症状としては、嗅覚喪失、夢を見ながらの行動、幻視、錯乱、注意力の維持困難、記憶喪失、筆跡の変化、筋硬直、転倒及び眠気が挙げられる。現在、レビー小体型認知症について検証されたバイオマーカーはない。
PDは、運動に影響を及ぼす進行性神経系障害である。PDの例示的な初期症状としては、指、親指、手又は顎のわずかな振戦、小さい筆跡(小字症とも呼ばれる)、嗅覚喪失、睡眠中の突然の動きを含む睡眠困難、移動困難又は歩行困難、便秘、柔らかい又は低い音声、仮面様顔貌、眩暈又は意識消失、及び/又は立った状態で前屈みになったり、体を傾けたり又は猫背になったりすること、が挙げられる。現在、PDについて検証された臨床バイオマーカーはない。
ハンチントン病は、脳内の神経細胞の進行性変性を引き起こす遺伝的障害である。ハンチントン病の初期症状としては、集中困難、記憶喪失、うつ病、ぎこちなさ、小さな不随意運動及び気分変動が挙げられる。変異ハンチントンタンパク質(mHtt)は、ハンチントン病のバイオマーカーである。ハンチントン変異を有する対象は、本明細書に記載される方法によって治療され得る。
ALSは、自発運動の制御に関与する神経細胞が関与する稀な進行性疾患である。ALSの初期症状としては、腕、脚、肩又は舌における筋単収縮、筋痙攣、硬直した筋肉、腕、脚、首又は横隔膜の筋力低下、ろれつが回らない鼻にかかった話し方、咀嚼又は嚥下困難が挙げられる。現在、ALSのための検証されたバイオマーカーは存在しない。
FTDは、ピック病と呼ばれることもあり、脳の前葉及び側頭葉の神経細胞が失われる神経障害の一群である。FTDの初期症状としては、人格及び行動の変化並びに/又は言語障害が挙げられる。臨床的に、FTDとADとを区別することは困難である。
脊髄小脳失調症(SCA)は、小脳がゆっくりと変性する進行性障害であり、しばしば脳幹及び中枢神経系の他の部分の変性変化を伴う。SCAの初期症状は、協調及びバランスの問題、発話及び嚥下の困難、筋硬直、眼球運動を制御する筋肉の衰弱、及び認知障害である。SCA1、SCA2、SCA3、SCA6、SCA7及びSCA17は、伸長したポリグルタミン域をコードするCAGトリヌクレオチド反復伸長の同じ病原性機構を共有する。SCAの血清バイオマーカーはない。
一実施形態では、対象は哺乳動物である。特定の実施形態では、対象は、ヒト、例えば、医学的処置を受けているヒト患者である。対象はまた、コンパニオン、非ヒト哺乳動物、例えば、コンパニオンアニマル、例えば、ネコ及びイヌ、又は家畜動物であり得る。
診断又は研究用途のために、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター)、ウサギ、霊長類、及びブタ、例えば、近交系ブタなどの多種多様な哺乳動物が適切な対象となる。更に、インビトロ診断及び研究用途などのインビトロ用途では、上記の対象の体液(例えば、血液、血漿、血清、細胞間質液、脳脊髄液、唾液、糞便及び尿)並びに細胞及び組織試料が使用に適している。
医薬組成物の有効量は、疾患若しくは障害の進行を阻害する、疾患若しくは障害の退縮を引き起こす、疾患若しくは障害の症状を軽減する、又は疾患若しくは障害のマーカーのレベルを有意に変化させるのに十分な量であり得る。
本明細書に記載される化合物又は医薬組成物の有効量はまた、対象に投与されたときに、十分な濃度のCMA活性化因子を提供するであろう。十分な濃度は、CMA介在性疾患若しくは障害又はCMA活性化因子が有効である他の疾患若しくは障害を予防又は治療するのに必要な患者の体内のCMA活性化因子の濃度である。そのような量は、例えば、本化合物の血中濃度をアッセイすることによって実験的に、又はバイオアベイラビリティを計算することによって理論的に確認することができる。
治療方法は、一定の投与量のCMA活性化因子を対象又は患者に提供することを含む。1日あたり約0.1mgから約140mg/キログラム体重の各化合物の投与量レベルは、先に示した症状の治療に有用である(1日あたり約0.5mgから約7g/患者)。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる化合物の量は、治療される患者及び特定の投与方法に応じて変動する。投与単位形態は、一般に、各活性化合物を約1mgから約500mg含有する。特定の実施形態では、25mgから500mg又は25mgから200mgのCMA活性化因子が、患者に毎日与えられる。投与頻度はまた、使用される化合物及び治療する特定の疾患に応じて変動し得る。しかし、ほとんどの疾患及び障害の治療には、1日4回以下の投与レジメンを使用することができ、特定の実施形態では、1日1回又は2回の投与レジメンが使用される。
しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、及び排泄速度、薬物の組み合わせ、並びに治療を受けている特定の疾患の重症度などの様々な要因に依存することが理解されよう。
一実施形態では、本発明は、そのような治療を必要とすると同定された患者のリソソーム蓄積症を治療する方法であって、有効量のCMA活性化因子を患者に提供することを含む方法を提供する。CMA活性化因子は、唯一の活性剤として単独で、又は1つ以上の他の活性剤と組み合わせて投与され得る。
一般的な方法
動物モデル
CaMKIIα-Cre(B6.Cg-Tg(Camk2a-cre)T29-1Stl/J、Jackson Laboratory)、LAMP-2Aflox/flox(Schneiderら、2014)、TauP301L(系統pR5)、Tg(APPSwe、PS2N141I、TauP301L)、PS19(TauP301S)(Yoshiyamaら、2007)及びAtg7f/fについて、雄野生型マウス(C57BL/6J)又はトランスジェニックを実験に使用した。条件付きLAMP-2A欠失を、目的のトランスジェニックCreマウスでLAMP-2Aflox/floxを交配することによって生じさせた。全体内のL2Aのノックアウト(L2A-/-)は、野生型雌をL2AにloxPが導入された精子で受精させ、子孫の全ての組織でこの遺伝子を切除することによって生成された。雄同腹仔野生型及びL2Af/fのみを各試験について別々に分析し、それらの間に差は検出されなかったので、実験群(CamKIIαCref2Af/f又はL2A-/-)に対する「対照」(CTR)として結果にグループ分けした。全てのマウスを離乳時に遺伝子型決定し、遺伝子型決定を死後に再確認して、飼育中に起こり得る置き違えを正した。マウスは全てC57BL/6Jバックグラウンドであり、1ケージあたり5匹以下のマウスが入った換気ケージにおいて特定の病原体のない条件下で維持した。本実験では、ホモ接合性のL2Aノックアウトを有する4重トランスジェニックマウスモデルを作製する際の複雑さのために、雄のみを使用した(このために、本発明者らはX染色体におけるLamp2遺伝子の位置を利用した)。動物の年齢は、本文、図及び図の説明文で別途示される場合を除いて、ほとんどの実験において4~6月齢であった。動物を19~23℃で12時間の明/暗サイクルで維持した。マウスに自由に給餌した。CA77.1を、30mg/Kg体重の1日用量のスクラロースゼリーペレットとして投与する一方で、ビヒクル処置群には、薬物を含まない同じスクラロースゼリーペレットを投与した。簡単に説明すると、ゼリーペレットを調製するために、1日あたりの化合物の最終量(動物の体重ごとに調整)をエタノールに溶解し、次いで温かいゼラチン溶液(100mg/ml、10mg/mlスクラロース水溶液)と混合し、これを固化のために24ウェル平底プレートに注いだ。動物のストレス及びペレットに対する競合を回避するために、動物を、それらが収容されたのと同じケージ内のグリッドスペーサーで分離し、ペレットの摂食をモニタリングし、全てのマウスがペレットを消費するとすぐにスペーサーを取り外した(平均時間2分)。各実験には、処置終了時の脳曝露を調べるために、歩哨動物を含めた。これらの動物には、実験群と並行してゼリーペレットの同じバッチを投与した。動物をビヒクル群及びプラセボ群に無作為に割り当て、いずれの動物も試験から除外しなかった。この実験における全ての遺伝子型決定、飼育、取扱い及び処置はプロトコルに従って行われ、全ての動物実験は、アルバートアインシュタイン医科大学の施設内動物管理使用委員会によって承認された動物研究プロトコルの下で行われた。
皮質初代培養
皮質神経細胞を対照(CTR)及びL2AKO P0-P1出生後マウスから得て、神経細胞培養物を以下のように調製した。脳皮質を切断し、酵素消化した(D-グルコース(6mg/ml)及び1%ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の0.36mg/mlパパイン、37℃で15分間)。遠心分離によって回収した神経細胞を、2%B27-サプリメント(Gibco-Invitrogen、17504044)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び1%GlutaMAX(フィッシャー、35050-061)を添加したNeurobasal培地(ThermoFisher 10888022)に再懸濁し、CELL-TAK(コーニング、354240)で予めコーティングした24ウェルSeahorse Bioscienceプレート(Agilent,100777-004号)又はカバースリップ中に2.5×10細胞/cmの密度で播種した。最初の24時間の培地は、熱不活化された15%(v/v)ウシ胎児血清を含有した。カバースリップ中の細胞をNeuN、GFAP及びHoechstで共染色して、初代神経細胞培養物中のグリア存在レベルを評価した。
細胞株
American Type Culture Collection(ATCC)からのマウス胚性NIH3T3線維芽細胞及びマウス神経芽腫CAD細胞株(Dr.Duncan Wilson、アルバートアインシュタイン医科大学)を、10%新産仔ウシ血清(NCS)(Atlanta Biologicals)の存在下でDMEM(Sigma-Aldrich)中に維持した。CAD細胞を血清除去によって分化させ、飢餓培養の5日後に使用した。LAMP-2A及びAtg7に対するshRNA構築物を発現するレンチウイルスを、前述のshRNAを使用して同じプロトコルによって生成した。
抗体
一次抗体は、以下の供給源からのものであった(括弧内に、希釈、商業的供給源及びカタログ番号を示す)。ウサギ抗LAMP-2A(1:5000、ThermoFisher Scientific、512200)、ウサギ抗LC3(1:1000、Cell Signaling、2775)、ウサギ抗p62(1:1000、Enzo Life Sciences、BMLPW98600100)、マウス抗β-アクチン(1:10000、Sigma、A4700)、ラット抗LAMP1(1:1000、Hybridoma Bank、1D4B)、ウサギ抗4HNE(1:1000、abcam、ab46545)、ウサギ抗GFAP(1:1000、Dako、Z0334)、ウサギ抗GFAP(1:1000、abcam、ab5804)、ウサギ抗ユビキチン(1:1000、Dako、Z0458)、ウサギ抗K48-ユビキチン(1:1000、Millipore、05-1307)、ウサギ抗K63-ユビキチン(1:1000、Millipore、05-1308)、マウス抗Aβ(1:1000、Novus Biologicals、MOAB2-AF488)、マウス抗ヒトタウ(1:1000、Abcam、Tau13 ab19030)、マウス抗タウ(HT7クローン)(1:1000、ThermoFisher Scientific、MN1000)、マウス抗ホスホタウSer202-Thr205(AT8クローン)(1:1000、ThermoFisher Scientific、MN1020)、マウス抗ホスホタウSer422(1:1000、ホスホペプチドCSIDMVD-pS-PQLATLADを抗原として使用して自社で作製(Grueningerら、2010))、ウサギ抗GATE16(1:1000、MBL、PM038)、マウス抗ミスコンフォームタウ(MC1)(1:1000、Dr.Peter Davisによる寄贈)、ウサギ抗クラスリン(クローンD3C6-1:1000-Cell Signaling 4796S)、マウス抗AP2α(クローン3B5-1:1000-ThermoFisher Scientific、MA1-872)、ウサギ抗Arpc2(1:1000-Novus Biologicals NBP188852)、マウス抗APP(1:1000-Biolegend 802803)、マウス抗PDH(1:1000-ThermoFisher Scientific、459400)、ウサギ抗カテプシンD(CathD-1:1000-Abcam No.ab75852)、ウサギ抗GBA(1:1000-Sigma Aldrich、G4171)、マウス抗Hsc70(1:1000-Novus Biologicals NB120-2788)、ラット抗Hsp90(1:1000-Stressgen ADI-SPA-835-F)、ウサギ抗Hsp40(1:1000-Stressgen ADI-SPA-400)、マウス抗Rac1(クローン23A8-1:1000-Millipore 05-389)、ウサギ抗Phlpp1(1:1000-Bethyl A300-660A)、抗Rictor(1:1000-Bethyl A300-459A)、抗カテプシンA(Ctsa-1:1000-Abcam No.ab184553)、ウサギ抗RARα(1:1000-Cell Signaling 2554)、マウス抗CaMKIIα(1:200-Millipore No.05-532)。全ての二次抗体は、ThermoFisher Scientific製であった。この実験で使用した全ての抗体は商業的供給源からのものであり、多重希釈法に従って、利用可能な場合には抗原をノックアウトした動物由来の細胞株又は組織を使用して検証した。
行動手順
全ての行動手順は、各群の遺伝子型又は介入の性質を知らない研究者によって実施された。手順に関連するストレスを減少させるために、全ての動物を最初に実験者による取扱いに慣れさせ、実験の前に少なくとも1時間処置室に慣れさせた。肢クラスピング。クラスピングを5秒間評価し、スコア付けした。Y型迷路における自発的交替行動。マウスを迷路を10分間自由に探索させた。アームにエントリーした回数及び順序を定量化した。交替指数は歩幅として計算した。後肢足をインクに浸した後に歩幅を4.5cm×40cmの廊下で測定した。3つの最長歩幅(最大速度に対応)を考慮した。Y型迷路における短期記憶試験。試験は、120°に角度を付けた3つのアームを有するY字型迷路で実施した。視覚的合図を周囲の壁に置いた。最初の試行(学習)では、動物は、2つのアームのみを開いた状態(「開始」及び「慣れた」アーム)で8分間迷路を探索した。第3のアーム(「新規」)へのアクセスは、不透明なドアによってブロックされた。1時間の保持時間の後、全てのアームがアクセス可能な状態でマウスを再び5分間迷路に置いた(試験)。探査を記録し、自動追跡システムを使用した。データは、新規アームに費やされた時間の割合として記録する。負の走地性。マウスを、下向きの傾斜プラットフォーム(50°)に置く。方向転換し、マウスが斜面の上を向くように向きを変えるまでの潜時を記録した。新規物体認識。同一の物体を有するオープンフィールドアリーナでマウスを4分間訓練し、続いて2時間保持した後、新規な物体認識を行った。見慣れた物体の1つを新規な物体に置き換えた後、マウスを同じアリーナに置き、両方の物体の探索を4分間定量化した。新規性選好は、新規な物体の探索に費やされる時間量として定量化される。識別指数は、全探索時間にわたる新規物体の探索時間と見慣れた物体の探索時間の差である。高架式十字迷路。不安様行動を以下のように定量化した。簡単に説明すると、2本のオープンアーム及び2本のクローズドアームを有する高架式十字迷路をマウスに自由に探索させた。クローズドアームを探索するために費やされた時間に対するオープンアームを探索するために費やされた時間の%を定量化した。強制水泳試験。マウスを、室温の水で満たしたシリンダータンク(30cm×20cm)に入れた。動物を水にそっと入れ、不動性を合計9分間にわたって定量化した。オープンフィールド。マウスをオープンフィールドアリーナ(50×50cm)で10分間自由に運動させた。追跡はezTrack(Penningtonら、2019)を使用して行った。各行動試験のために選択される動物の数をパワー解析によって決定した。「試験を学習する」という共同出資効果のリスクなしに試験を反復することが可能であった場合、又は同じ動物で複数の試験が可能であった場合、本発明者らは、実験結果の信頼性を更に高めるために、パワー解析によって決定された最小値よりも多くの動物で試験を行った。
組織解剖及び組織学的手順
ペントバルビタール過量投与(100mg/kg i.p.)でマウスを安楽死させ、0.9%生理食塩水で心臓内灌流した。死亡後すぐに脳を取り出した。次いで、各脳を正中線に沿って切断した。右半球を4%パラホルムアルデヒド中で一晩後固定し、20%スクロースを含有するPBS中で凍結保護した後、冷イソペンタン浴(-50℃)中に浸漬することによって凍結させ、切片化するまで直ちに-80℃で保存した。脳を、LeicaCM3050Sクライオスタット(Leica Microsystems、ヴェツラー、ドイツ)中、-20℃で、冠状又は矢状の厚さ40μmの浮遊切片に切片化し、使用するまで、0.2%アジ化ナトリウムを含有するPBS中、4℃で保存した。左半球を切断し、さらなる分析のためにいくつかの脳領域、すなわち、皮質、海馬、中脳、線条体及び小脳を採取した。試料を使用するまで-80℃で保存した。染色の前に、適切なレベルの切片(例えば、線条体、中脳又は海馬)を選択した。免疫染色は以下のように行った。簡単に説明すると、選択された切片を洗浄し、ブロッキング緩衝液中でインキュベートし、次いで、適切な一次抗体と一晩インキュベートした。翌日、切片をPBSで5分間、3回洗浄し、適切な抗種二次抗体(1:2000)とインキュベートし、PBSで3回洗浄し、マウントした。細胞核を、Hoechst(Life Technologies、33342)を使用して1:5,000で30秒間染色した後、マウントした。ProLong Diamond封入剤を使用した(ThermoFisher ScientificP36965)。Tg及びTg-L2A-/-における免疫染色のために、リン酸化タウ凝集物及びアミロイド斑の免疫蛍光検出を行った。アミロイド特異的BAP-2抗体をMOAB2-AF488(Novus Biologicals)に置き換えた。Axiovert200蛍光顕微鏡(Carl Zeiss Microscopy)を用いて画像を取得し、又は全脳切片を画像化したときに、脳切片の走査からの個々の画像をApoTome.2スライダ又はLeica共焦点TCS-SP8(Leica Microsystems)でマウントし、ImageJ Software(NIH)を使用して調製した。知覚的に均一なルックアップテーブル(Magma)を使用して、実験群間のコントラスト及び強調パターン並びに強度差を強調した。
チオフラビンS染色
チオフラビンS染色を、ブロッキング緩衝液中でのインキュベーションの前に、0.5%チオフラビンS水溶液(Santa Cruz、sc391005)を用いて室温で7分間行った。
末梢器官及び血球数の組織病理学
示される場合、マウスの肝臓、肺及び腎臓を切断し、1%PFA中で一晩固定し、パラフィン包埋した。組織を切片化し、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色し、処置群に対して盲検の専門病理学者が分析して、これらの臓器における毒性の存在の可能性についてスコア付けした。ビヒクル又はCAを投与したマウス群の血球数を、Oxford Science Forcyte Blood Analysis Unitを使用して、毎月及び組織切断の瞬間に採取した尾血液で分析した。
ウェスタンブロッティング
タンパク質濃度は、標準としてウシ血清アルブミンを用いてLowry法を用いて決定した(Lowryら、1951)。切開した脳領域をRIPA緩衝液(1%TritonX-100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、0.15M NaCl、0.01Mリン酸ナトリウム、pH7.2)で氷上で可溶化し、続いて超音波処理した。SDS-PAGEゲルをニトロセルロース膜に転写し、5%低脂肪乳含有0.01%Tween-TBSを用いて室温で1時間ブロッキング処理した後、免疫ブロット処理を行った。LAS-3000イメージングシステム(富士フイルム、東京、日本)でペルオキシダーゼ結合二次抗体を使用する化学発光によって、目的のタンパク質を一次抗体とのインキュベーション後に可視化した。ImageJ(NIH)を使用して、免疫ブロットした膜の濃度測定定量を行った。全てのタンパク質定量化を、タンパク質レベルを負荷対照(β-アクチン)又はポンソー染色に正規化したときに行い、関連する対照群の倍数として表した。
培養細胞におけるオートファジー測定
マクロオートファージフラックスは、リソソームプロテアーゼ阻害剤(20mM塩化アンモニウム及び100μMロイペプチン)で処理した又は処理しなかった細胞について、LC3-IIの免疫ブロットを使用してタンパク質溶解物中で測定した。フラックスを、未処理細胞と比較したプロテアーゼ阻害剤で処理した細胞におけるLC3-IIのレベルの増加として計算した。CMA活性を、KFERQ-PS-Dendraレポーターを有するレンチウイルスで安定に形質導入し、ガラス底96ウェルに播種した細胞において測定した。LEDランプを用いた光スイッチング(405nmで3分間)の16時間後、細胞を4%PFAで固定し、ハイコンテント顕微鏡(Operettaシステム、Perkin Elmer)を用いて画像化した。製造業者のソフトウェアを使用して、最小800個の細胞で画像を定量化した。
分化したCAD細胞におけるトランスフェリン取り込み
トランスフェリンの内在化を従来のように行った。簡単に説明すると、血清非含有DMEM中で成長させたCAD細胞を、Alexa555コンジュゲートトランスフェリン(25μg/ml、Life Technologies)を用いて10分間インキュベートした。次いで、細胞を氷上に移し、氷冷PBSで3回洗浄した。次いで、細胞を免疫蛍光のために固定した。
サルコシル不溶性画分の単離
脳ホモジネートを記載のように調製した。各遺伝子型の数匹のマウス由来のホモジネートをプールし、1mg/mlの最終タンパク質濃度に希釈した。次いで、サルコシルを1%の最終濃度まで添加し、ホモジネートを4℃で30分間インキュベートした。その後、ホモジネートを100,000xgで1時間遠心分離した。ペレット化したタンパク質をプロテオーム解析のために送るか、又はSDS-PAGE試料緩衝液に直接再懸濁し、2分間煮沸した。各遺伝子型について、等量の再懸濁したペレットをSDS-PAGE/ウェスタンブロッティングに使用した。
AlphaLISAイムノアッセイ
MSDアッセイフォーマットをAlphaLISAイムノアッセイ技術(Perkin-Elmer)に置き換えたこと以外は、(Grueningerら、2010)に記載されているように、脳抽出物におけるイムノアッセイによって、Tau、pS422-Tau、pS202/T205-Tau及び凝集タウを測定した。
Aβ42酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)
Aβ42レベルを、市販のキット(ThermoFisher No.KHB3442)を使用してELISAによって測定した。マウス脳の溶解物を付属の希釈剤で1:50に希釈し、製造業者の推奨に従ってアッセイを行った。
細胞外フラックス分析
酸素消費速度及び細胞外酸性化速度を、製造者の説明書(Agilent Technologies)に従って24ウェルSeahorse Bioanalyzer XF24を使用して測定した。簡単に説明すると、神経細胞を、CELL-TAK(CORNING、354240)を用いて、1.8×1014細胞/ウェルの濃度でプレコートした24ウェルプレートにプレーティングし、14日間のインビトロで使用した。リーダに入ったら、プレートに、人工脳脊髄液(aCSF、120mM NaCl、3.5mM KCl、1.3mM CaCl、0.4mM KHPO、1mM MgCl、5mM HEPES)+2mMグルタミン(pH:7.4)中の10mMグルコース、1.0μMオリゴマイシン及び50mM 2-デオキシグルコース(2-DG)を順次注入した。ゼラチン被覆プレート上にプレーティングした分化CAD細胞を切り替えて、2mMのL-グルタミンが補充された付属のベース培地を作製し、バイオアナライザ中、10mMグルコース、2mMオリゴマイシン及び100mM 2DGを順次注入した。Seahorse Wave Desktopソフトウェアを使用して定量化を行った。CyQuant(ThermoFisher、C7026)を使用して、データを細胞数に対して正規化した。
薬物動態特性
ICR(CD-1)雄マウスを少なくとも3時間絶食させ、実験前に水を自由に摂取できるようにした。動物を、目標条件:温度18から29℃、相対湿度30から70%の制御された環境に収容した。温度及び相対湿度を毎日モニタリングした。電子時間制御照明システムを使用して、12時間の明/12時間の暗サイクルを提供した。示された各時点の3匹のマウスに、30%PEG-400、65%D5W(水中5%デキストロース)、5%Tween-80ビヒクルを使用して、10mg/Kg CA77.1を経口胃管栄養法によって、又は1mg/Kgを静脈内注射によって投与した。マウスを屠殺し、脳試料を0時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間に採取し、LC-MS/MSを用いてCA77.1レベルについて分析した。Phoenix WinNonlin6.3を使用して薬物動態パラメータを計算した。実験は、SIMM-SERVIER joint Biopharmacy Laboratoryで行った。
定量的プロテオミクス及びタンパク質経路分析
オートファジー欠損マウスの不溶性画分
遺伝子型(Ctr、CKL2A-/-、CKATG7-/-)ごとに3匹の異なる動物由来のサルコシル不溶性画分をプールした。iTRAQマルチプレックス(Applied Biomics)を使用して、定量的プロテオーム解析を行った。各タンパク質ヒットについて、タンパク質の平均比、寄与したペプチド比の数値及び幾何標準偏差を決定した。実験群の値をCtrと比較し、倍数として表した。CKL2A-/-及びCKATG7-/-マウスのサルコシル不溶性画分間の比較分析(図7)のために、本発明者らは、まず、CTRマウスの同じ画分よりも有意に濃縮されたタンパク質を選択した(図5に示すように)。これにより、サルコシル不溶性画分で検出され得る、タンパク質凝集に関連しない大きな機能性多タンパク質複合体及び膜関連構造を除外することができた。
アルツハイマー病-CMA欠損マウス
各遺伝子型(WT、L2A-/-、Tg、Tg-L2A-/-)の3匹のマウス由来の溶解物(皮質及び海馬プール)からタンパク質を沈殿させ、8M尿素、0.1M重炭酸アンモニウム(pH8.0)、150mM NaCl、完全ミニプロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(Roche)に可溶化し、システイン残基を還元し、TCEP及びヨードアセトアミドでアルキル化し、その後0.1M重炭酸アンモニウムで5倍希釈した。タンパク質を、トリプシンを加えることによって37℃で一晩かけてペプチドに消化した(100μgの溶解物あたり1μgのトリプシン)。試料をC18カートリッジ(NEST)で脱塩し、凍結乾燥し、4%ギ酸、3%アセトニトリルに再懸濁し、1試料あたり約1μgの消化ペプチドを、25cmのReprosil C18 1.9μm、120Å粒子(Dr.Maisch GmbH HPLC、ドイツ)でパックされた75μmのIDカラムに装填した。ペプチドをOrbitrap Fusion Lumos Tribrid質量分析計(ThermoFisher Scientific)に、Easy1200 nLCシステム(ThermoFisher Scientific)によって供給される勾配溶出によって、120分間の取り込み期間にわたって溶出させた。移動相A及び移動相Bの組成は、それぞれ、水中0.1%ギ酸、及び80%アセトニトリル中0.1%ギ酸であった。全てのMSスペクトルをオービトラップ検出で収集し、最も豊富なイオンをより高いエネルギーの衝突解離によって断片化し、MS1スペクトル間の3秒のサイクル時間でイオントラップで検出した。全てのデータをUniprotマウスデータベース(2016年7月19日にダウンロード)に対して検索した。MaxQuantデータ解析アルゴリズムを用いてペプチド及びタンパク質同定検索を行い、全てのペプチド及びタンパク質の同定を1%の偽発見率までフィルタリングした。MSstats統計Rパッケージを使用して、無標識定量及び統計試験を行った。有意に修飾されたタンパク質をp<0.05によって選択し、その後、Benjamini-Hochbergプロトコル(FDR5%)を使用して補正した。FDR補正がヒットをもたらさなかった場合、補正されていないp値分布の検査を実施した。すなわち、反保存的分布が観察された場合、本発明者らは、従来提案されているように、有意性に対する閾値を下げ(p<0.01)、倍率変化カットオフを使用する(|倍率変化|>1.25)ことによる偽発見率制御の代替方法を適用した。質量分析データファイル(生データ及び調査結果)は、データセット識別子PXD017108を有するPRIDEパートナーリポジトリを介してProteomeXchange Consortium(http://proteomecentral.proteomexchange.org)に寄託されている。
ランクランク超幾何学的オーバーラップ試験
関連タンパク質リストを、Ctrマウスと比較した倍率変化に従ってランク付けし、デフォルト設定を使用するR(v.3.6.2)のランクランク超幾何学的オーバーラップ試験にかけた。カラーマップは、ビンによる正確なフィッシャー検定の-log10p値を示す。本発明者らはまた、RRHOによるオーバーラップ定量化を使用した遺伝子型間の段階的な示差的発現分析からなり、閾値がなく、オーバーラップする範囲の統計的評価を可能にするという利点を有するプロテオーム-ワイド移行マッピングを使用した。Tg、Tg-L2A-/-及びL2A-/-マウスを用いた本発明者らの実験では、本発明者らは、各遺伝子型のタンパク質の(CTRに対して正規化された)倍率変化の順位付けリストのこの方法との比較を使用した。
遺伝子オントロジー分析及び濃縮マップ
プロテオームの結果を、倍率変化に基づいてランク付けし、GSEA(v.4.0.2)において1000の順列を使用するGSEA事前ランク付け分析にかけた。15遺伝子未満又は500遺伝子を超える項目は、従来報告されているように破棄した。濃縮マップは、以下の閾値:p値<0.05、FDR<0.001を用い、濃縮マッププラグイン(3.2.0)を使用してCytoscape(3.7.1)で生成した。あるいは、プロテオミクスの結果を、Enrichrを用いたオントロジー分析にかけた。ノードサイズは、1ノードあたりのタンパク質の数を示す。主要なクラスターを丸で囲んでおり、付随する名称は主要な機能的会合を表す。
KFERQ様モチーフの濃縮
公的に利用可能なツール:https://http://tinyurl.com/kferqを使用して、KFERQ様モチーフの含有量の分析を行った。
CMA活性化スコアの計算
使用したデータセットは(Grubmanら、Nat.Neurosci.(2019)22:2087-2097;Mathysら、Nature(2019)570:332-337)からのものであった。1細胞あたりの生カウント及びメタデータ(細胞型の識別及び患者の情報)をシナプスポータル(https://www.synapse.org/#!Synapse:syn18485175)から取得した。(Mathysら、2019)によって提供されたフィルタ数を使用した。単一細胞遺伝子発現データ及びメタデータは、データセット(Grubmanら、2019)について、http://adsn.ddnetbio.com/から得た。計算の前に、SCANPY(v.1.4.5)を使用してカウントを対数正規化した(Wolfら、2018)。各細胞について、CMA活性化スコアを計算した。そのために、CMAネットワークの各要素に重みを割り当てた。LAMP-2AはCMAのレート制限成分であるため、重み2を与えた。1つおきの要素に重み1を与えた。次に、全ての要素は、CMA活性に対する所与の要素の既知の効果に基づいて、+1又は-1という方向スコアを割り当てた。次いで、CMAネットワークの各要素の発現数の加重/有向平均としてスコアを計算した。条件間の転写CMA活性の変化の理解を容易にするために、CMAスコアを所与の細胞型内の健康な個体の倍数として表した。
定量及び統計分析
提示した全てのデータは平均±標準誤差であり、*:p<0.05、**:p<0.005、***:p<0.0005である。統計学的試験の前に、正規性を、シャピロウィルク検定を使用して評価した。対応のない両側t検定又はマン・ホイットニーU検定を使用して、2つの群のパラメータを比較した。2つを超える群を有するパラメータを、一元配置ANOVA及びテューキーの事後分析、クラスカル・ウォリス検定を使用し、続いてダンの事後分析又は二元配置ANOVAを使用し、続いてシダックの事後分析を使用して比較した。実験ごとに使用した動物の数は、以前の結果に基づくパワー解析によって計算した。統計分析は、GraphPad Prism 8.0で、又はPython(https://www.python.org/で入手可能なPython software foundation v.3.7.4)及びscientific python stack:scipy(v.1.3.1)、numpy(v.1.17.2)(van der Waltら、2011)、及びmatplotlib(v.3.1.1)を使用して行った。
CMA活性化因子の化学合成のための材料及び方法
全ての化学試薬及び溶媒は、商業的供給源(Aldrich、Acros、Fisher)から入手し、特に断らない限り、更に精製することなく使用した。使い捨てシリカカートリッジ(4、12、24g)を使用して、Teledyne ISCO CombiFlash Rf200iでクロマトグラフィを行った。アルミニウムを裏打ちしたSilicycleシリカゲルプレート(膜厚250μm、指示薬F254)で分析用薄層クロマトグラフィ(TLC)を行った。二重波長(254及び365nm)UVランプを使用し、かつ/又はCAM(モリブデン酸セリウムアンモニウム)若しくはKMnO染色で染色して、化合物を可視化した。NMRスペクトルは、Bruker DRX300及びDRX600分光計で記録した。H及び13Cの化学シフト(d)は、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS、0.00/0.00ppm)又は残留溶媒(CDCl:7.26/77.16ppm、dmso-d6:2.50/39.52ppm)に対して記録される。マススペクトル(ESI-MS)は、Shimadzu LCMS 2010EV(特に明記しない限り、直接注入)で記録した。高分解能質量スペクトル(HRMS)は、アルバートアインシュタイン医科大学のProteomics FacilityのOrbitrap Velos高分解能質量分析計で記録した。
実施例では、先に開示した以下の化合物を使用する。
実施例1.神経細胞特異的CMA欠損は行動障害をもたらす
本発明者らは、興奮性神経細胞(カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(α-CaMKIIα)を発現する)においてL2Aを除去することによって、神経細胞特異的CMA欠損マウスモデル(CKL2A-/-マウス)を作製した。本発明者らは、L2Aタンパク質の細胞質及び膜貫通ドメインをコードするLamp2遺伝子エクソンの選択的欠失のために、CaMKIIα駆動Creリコンビナーゼトランスジェニックマウス系統を有するL2Aflox/floxマウスを飼育する(図1A)。比較として、本発明者らは、全身でL2Aをノックアウトしたマウスを使用した(以下、L2A-/-と呼ぶ)。本発明者らは、両方のマウスモデルにおいて、L2Aアイソフォームの選択的欠失を確認したが、他のLamp2アイソフォームの選択的欠失は確認しなかった。CKL2A-/-マウスにおける残りのL2Aシグナルは、他の脳細胞型に由来する)。両方のマウスモデルは、メンデルの頻度、比例する雄/雌比で生まれ、L2A-/-のみが、体重増加の初期遅延を示し、6ヶ月までに正常化した。トランスジェニックマウスは、平均余命の離散的減少を示し、これはCKL2A-/-マウスでより顕著であった。
行動試験は、L2A-/-及びCKL2A-/-マウスでは、早くも3月齢には、対照(CTR)同腹仔と比べて、スコアが高く、神経障害モデルの表現型である後肢クラスピングの進行が速いことを明らかにした(図B、C)。両方のマウスモデルは、負の走地性試験においてより長い潜時を示し、Y型迷路において前庭/感覚運動機能障害(図1D)及び短期記憶の低下(図1E)を示した。興味深いことに、L2A-/-マウスのみが、(i)いくつかのADモデルを想起させる、オープンフィールドにおける自発運動の亢進(Minら、2015;Takeuchiら、2011)(図1F)、及び(ii)PD歩行の特徴(Fernagutら、2002)である歩幅の減少(図1G)、によって証明される運動障害を示した。更に、CKL2A-/-マウスは、マウスの神経変性の一般的な表現型(Hernandezら、2019)である、空間作業記憶の減少(図1H)及び巣作り行動の有意な減少(図1I)の傾向を示した。全体として、興奮性神経細胞のみにおけるCMAの喪失によって、CMAの全身喪失時に観察される行動出力のほとんどが再現された。
実施例2.神経CMA欠損はプロテオスタシス崩壊をもたらす
6月齢までに、全身又は神経細胞特異的CMA喪失を有するマウスはいずれも、それぞれのCTR同腹仔と区別できないCA1、歯状回及び皮質並びに海馬表面の厚さを示した(図2A)。星状膠細胞及びミクログリアの数は、L2A-/-及びCKL2A-/-マウスの海馬において変わらず、星状膠細胞面積のわずかな増大のみが、CKL2A-/-マウスにおいて見られた。
全体的な細胞プロテオスタシスの分析により、6月齢のL2A-/-マウスの海馬におけるリポフスチン沈着物(架橋酸化タンパク質及び脂質)(図3A)及びK63結合ユビキチン化タンパク質封入体-通常はリソソーム分解の標的(Kraftら、2010)(図3B、図3C)が明らかになった。同様の特徴が、この初期において、CKL2A-/-マウスの海馬における興奮性錐体神経細胞において見られたが、大部分が介在ニューロンによって占められる領域(すなわち、放射状層)又はグリア細胞においては見られなかった。CKL2A-/-マウスの皮質の免疫ブロット分析により、酸化タンパク質(図2C)、ヒドロキシノネナールタンパク質付加物及び(特にK63が結合した)ユビキチン化タンパク質(図1H)の蓄積が明らかになり、CMAの喪失によって神経細胞のプロテオスタシスが深刻に破壊されることが更に裏付けられた。
神経細胞のCMAを遮断した際のプロテオームの損傷の程度を分析するために、本発明者らは、CTR及びCKL2A-/-マウスの皮質からサルコシル不溶性画分を単離し、比較定量的プロテオミクスを行った。本発明者らは、CKL2A-/-マウス脳の不溶性画分中にタンパク質の顕著な濃縮を見出した。ほとんどの不溶性タンパク質(76%)は、KFERQ様モチーフ、主にhsc70認識のために翻訳後修飾を必要としないもの(CKL2A-/-サルコシル不溶性画分では約52%であるのに対し、全マウスプロテオームでは約47%(Kirchnerら、2019))を含有していた。α-syn、タウ、UCHL1及びPARK7などのKFERQ様モチーフを有する凝集性タンパク質は、CKL2A-/-脳において不溶性へのシフトを示したが、これは、そのモチーフを欠くSOD1には当てはまらなかった(図2D)。唯一の例外は、興味深いことに、リン酸化生成モチーフを有するUCHL1(図2D)であった。過飽和プロテオーム(その溶解限界に近いタンパク質濃度のために凝集のリスクがあるもの)(Ciryamら、2013、Kundraら、2017)の状態を調べるために、本発明者らは、過飽和スコア(タンパク質の溶解限界に関する表現)を分析し、全プロテオームと比較して、CKL2A-/-マウスの不溶性画分において濃縮されたタンパク質の過飽和スコアσが顕著に増加していること(20.37倍)を見出した。これらの知見は、CMAを喪失した際に不溶性にシフトするプロテオームが過飽和プロテオームの一部であることを裏付けている。実際、構成的又はアセチル化生成KFERQ様モチーフを有するタンパク質は、より高いσ過飽和スコア及びσ過飽和スコアを示し、これらは、それぞれ、折り畳まれていない状態から又は折り畳まれた状態から凝集体を形成する傾向を示していた。
まとめると、これらの結果は、神経細胞CMAの遮断時のプロテオームの著しい崩壊を示している。
実施例3.神経CMA欠損は機能的調節不全をもたらす
マクロオートファジーを遮断すると神経タンパク質が凝集することが報告されている。しかしながら、CMA欠損脳におけるプロテオスタシスの喪失は、マクロオートファジー機能不全によるものではなかった。LAMP2の3つのスプライシングされた変異体全てが排除された場合に観察されたマクロオートファジー不全とは対照的に、オートファゴソーム成分(LC3及びGATE16)、マクロオートファージアダプター(p62)及びリソソーム膜タンパク質(LAMP1)の定常状態レベルは、L2A-/-、CKL2A-/-及びそれらの対応するCTRの同腹仔の皮質及び海馬において同等であった(図4A、同じ神経細胞においてマクロオートファジーが欠損したマウス(CKATG7-/-マウス)においてp62蓄積が顕著であることに留意されたい)。微細構造解析により、オートファジー区画の数及び成熟状態は、CKL2A-/-マウスとCTRマウスの間で区別できないことが明らかになったが(図4B)、核周囲の高電子密度物質(おそらくタンパク質封入体)は、CKL2A-/-神経細胞でのみ観察された(図4C)。
本発明者らは、CKL2A-/-及びCKATG7-/-マウスの不溶性プロテオームの比較プロテオミクスを使用して、神経細胞のプロテオスタシスに対するCMA及びマクロオートファジーの特異的な寄与を解明した(図5A、CTRマウスのサルコシル不溶性画分中に存在する大きな機能性多タンパク質複合体は、トランスジェニックマウス分析から排除した)。サルコシル不溶性画分中のタンパク質の約半分は、遮断されたオートファジー経路とは無関係に同じであったが、残りはCKL2A-/-又はCKATG7-/-の脳で特徴的であった(図5B)。ランクランク超幾何学的オーバーラップ(RRHO)分析(Plaisierら、2010)は、最も濃縮されたタンパク質が類似性が低いことを示した。本発明者らは、CKL2A-/-凝集体及びCKATG7-/-凝集体の両方に存在するタンパク質が、プロテオスタシス不全の原因とは無関係に不溶性画分に捕捉された準安定タンパク質であるのに対して、遮断されたオートファジー経路に特異的なタンパク質は、それらのそれぞれによって選択的に調節されるサブプロテオームを反映することを提示する。
CKL2A-/-又はCKATG7-/-マウスの脳のみの不溶性画分中のタンパク質の遺伝子セット濃縮及び濃縮マップ分析(図5C)により、マクロオートファジー欠損に関連するクラスターは細胞周期及びユビキチン-プロテアソーム異化過程(図5C)に関連する一方で、CMA欠損に関連するクラスターはタンパク質輸送、カチオン(主にカルシウム)恒常性及び代謝に関連することが明らかになった(図5C)。
本発明者らは、不溶性画分中のこれらのタンパク質の存在がCMA欠損神経細胞において機能的結果を有することを実験的に確認した。細胞外酸性化速度(ECAR)の測定により、CKL2A-/-神経細胞における解糖の顕著な減少が明らかになった(図5D)。マクロオートファジー遮断は神経解糖にも影響を及ぼすことがわかっているが、対照比較によって、L2A及びATG7のノックダウンが解糖特性に異なる影響を及ぼすことが実証された。他の細胞型及び組織における真のCMA基質として確認されたほとんどの解糖酵素もまた、CKL2A-/-マウスの不溶性画分で増加し、ピルビン酸からのアセチル補酵素A(アセチル-CoA)の形成を触媒するピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)が最も劇的な増加を示した。凝集体中のPDH捕捉によるアセチル-CoAレベルの低下は、質量分析によって検出されたCMA欠損神経細胞のアセチルームの変化を説明し得る。CKL2A-/-マウスの脳プロテオームは、CTR同腹仔と比較して、より少ない数のユニークなアセチル化部位(-11%)及び1部位あたりのアセチル化事象(-30%)を含む。アセチル-CoAの利用可能性が制限された加齢などの他の条件で説明されているように(Pietrocolaら、2015)、本発明者らもまた、CKL2A-/-プロテオームのサブセット(30%)が過剰アセチル化されていることを見出した。低アセチル化プロテオームは、解糖関連項目と機能的に関連しており、過アセチル化プロテオームはイオン輸送と機能的に関連していた。
CMA欠損神経細胞プロテオームの不溶性へのシフトの機能的結果を更に確認するために、本発明者らは、エンドサイトーシス及びアクチンリモデリングに関連するタンパク質が濃縮された第2のタンパク質クラスター「タンパク質の標的化と局在化」を分析した(図5C)。本発明者らは、L2A-/-マウスの脳においてクラスリンの有意な蓄積及びクラスリンアダプタータンパク質AP2αの顕著な減少を見出し(図5E-5F)、これらはL2A欠損細胞において観察されるエンドサイトーシスの顕著な減少の原因である可能性が高い(図5G)。アクチンリモデリングタンパク質の中で、L2A-/-マウスは、アクチン重合の必須調節因子であるArpc2を蓄積し(図5H)、これは、AD及び他のタウオパチーで説明されているHirano体を連想させる、アクチンリッチなロッドの形成を含む、L2A-/-マウスの海馬で観察されるアクチン細胞骨格の変化(図5I)の原因となり得る。
これらの結果は、CMAの遮断時の不完全な神経細胞機能が、神経細胞プロテオームの溶解度に対する直接的な影響と、凝集物封入CMA基質タンパク質の機能的破壊による間接的な影響との組み合わせであることを示している。
実施例4.CMAはアルツハイマー病の初期段階に阻害される
直接的な神経細胞CMAの遮断時のプロテオスタシス及び神経細胞機能の変化は、低下したCMA活性が神経変性障害における脆弱性を増加させ、疾患進行を加速することを示す。
この可能性を検証するために、本発明者らは、Thy1.2プロモーター(pR5系統)下で変異型ヒトタウ(hTauP301L)を発現するタウ媒介性タンパク質毒性のマウスモデルにおいてCMAを測定した。本発明者らは、本発明者らのグループがて最近開発したKFERQタグ付き蛍光タンパク質Dendra2(KFERQ-Dendra)を全身的に発現するトランスジェニックマウスモデルとhTauP301Lマウスを交配した。このレポータータンパク質は、CMAによる分解を標的とする場合、リソソームを蛍光点として強調し、これはCMA活性の読み出しとしてカウントすることができる。KFERQ-Dendra-hTauP301Lマウスの海馬神経細胞は、対照KFERQ-Dendraマウスと比較して蛍光点の数の有意な減少を示した(図6A)。CMA阻害は、少なくとも病態のこの段階では、優先的に神経細胞で生じたが、星状膠細胞は、細胞あたりのKFERQ-Dendra点の数に差を示さなかった(図6B)。
神経変性ヒト脳のCMA状態に関する洞察は、これまで、PD血液細胞又は全脳抽出物におけるL2A発現の分析に限定されてきた。本発明者らは、Braakスコアに従って3つのカテゴリー:低(Braak 0、I、II)、中(Braak III、IV)及び高(Braak V、VI)に分類した24人の健康な個体及び24人のAD患者の前頭前皮質からの最近公開された単一核(sn)RNAseqデータセットを利用し(Mathysら、Nature(2019)570:332-337)、CMAネットワーク内の全ての要素の発現レベルを抽出した(図7E)。mRNA及びタンパク質のレベルは単一塩基において弱く相関するが(Vogel及びMarcotte、2012)、機能的ネットワークとして遺伝子群を考慮すると、機能的アウトプットを推測するためのロバストなアプローチである(Freerら、2016)。遺伝子発現分析は、興奮性神経細胞におけるCMAネットワークのほぼ全体の転写阻害を明らかにしたが、阻害性神経細胞において、本発明者らは、2つのCMA陰性調節エレメント、AKT1及びレチノイン酸受容体α(RARα)の発現が増加することに気付いた(図6E)。それに対し、本発明者らは、マクロオートファジー及びリソソーム生合成の主要調節因子である転写因子EB(TFEB)の発現レベルの中程度の変化しか検出しなかった。
CMA出力に対する転写差の影響を推測し、細胞型及び病理学的病期の間でCMA活性を比較するために、本発明者らは次にCMA活性化スコアを定義した。このスコアは、CMAネットワークの全ての要素の発現レベルの加重平均である。より高いスコアは、(i)エフェクター又は正のモジュレーターの発現の増加、あるいは(ii)負のモジュレーターの発現の減少から生じ得るが、反対方向の変化はより低いCMA活性化スコアを与える。本発明者らは、酸化促進条件(CMAを活性化する)又は化学CMA活性化因子に曝露された培養細胞においてこのスコアを実験的に検証した。
対照及びADヒト脳からのsnRNAseqデータセットにおけるCMA活性化スコアを使用して、本発明者らは、興奮性神経細胞及び阻害性神経細胞の両方において既に初期病態段階でCMAネットワークの阻害、その後の疾患段階でのより深い阻害を見出した(図6D)。KFERQ-Dendra-hTauP301Lマウスにおける本発明者らの観察結果(図6B)と一致して、本発明者らは、星状膠細胞及びミクログリアにおける変化、並びに、CMAエフェクター及び正のモジュレーターのより高い発現によって主に駆動される、乏突起膠細胞におけるCMAスコアの増加を何ら見出さなかった(図6C)。
興奮性神経細胞のCMA活性化スコアは、Braak病期(図3C)及びNIA-Reaganスコア(神経原線維変化及び神経炎斑を組み合わせる)などの異なる定量的病態マーカーとの有意な負の相関を明らかにした。抑制性神経細胞は、Braak後期段階でCMAが減少したにもかかわらず、これらの神経病態マーカーとの相関を示さなかった。CMA活性化指数は、このデータセットで特定された興奮性神経細胞の13個のサブクラスターのほとんどにおいて減少したが(Mathysら、2019)、これらの一部では、CMA阻害は、より緩やかであるか(Ex4神経細胞)、又は後期段階においてのみであり(Ex9集団)、他では、阻害はなく(Ex8集団)、又はCMA活性化すらもなく(Ex6集団)、神経細胞集団内の最近報告された多様性(Fanら、2018)、及びADにおけるCMA喪失に対する脆弱性の神経細胞型特異的差異を裏付けている。これらの神経細胞亜集団の皮質層への分布(Mathysら、2019)を考慮すると、II-III層興奮性神経細胞は、疾患の初期にCMAの最も高い阻害を示した。これらの結果は、タウオパチーにおいて非常に脆弱であることが知られている(Fuら、2019)、特に興奮性神経細胞における病態の発生と一致する、皮質におけるCMA活性の時空間的減少を示唆する。
全体として、これらの知見は、これまで知られていないAD初期のCMAの神経細胞特異的転写ダウンレギュレーションを明らかにし、これは、以前に報告されたように(Caballeroら、2018)、CMAに対する病原性ADタンパク質の直接的な毒性効果を増大する可能性がある。
実施例5.CMA欠乏はADのマウスモデルにおける病態を加速させる
ADにおけるCMAの観察された初期阻害の疾患進行への寄与を評価するために、本発明者らは、L2A-/-マウス(以下、Tg-L2A-/-と呼ぶ)と一緒に、トリプルトランスジェニック(Tg)ADマウス(APPSwe、PS2N141I及びhTauP301Lを発現する)を飼育することによって、AD関連タンパク質毒性のマウスモデルにCMA損失を生じさせた(図9A)。8ヶ月目には、Tgマウスが中程度のAβ病態を示したとき、Tg-L2A-/-マウスは、S422リン酸化タウ(pS422-タウ)の著しいAβ沈着及び蓄積を既に示していた(図8A)。免疫ブロット分析により、匹敵するレベルのマウス、ヒトタウ(図8B-8D)及びK63結合ユビキチン化タンパク質(図7B)にもかかわらず、Tg-L2A-/-マウスは、サルコシル不溶性画分中のリン酸化タウ(図8B、図8E)並びに凝集タウ(HT7エピトープ)及びpS422-タウの有意に高い蓄積を示したことが明らかになった(図10J)。CMA喪失は、Tgマウスにおいて完全長APPの蓄積を増加させなかったが、APP C末端断片(CTF)及びAβ42ペプチドのレベルを有意に増加させた(図8B、図8F~図8I)。
総タウレベルは、5、8及び12月齢のTg及びTg-L2A-/-マウスの脳において同様の進行を示したが、pS202/T205タウレベルはTg-L2A-/-マウスにおいて常により高く、pS422及び凝集タウは両方ともより高いレベル及びより速い蓄積速度(2.5から3.1倍)を示した(図8K)。これらの知見は、AD患者において早期に観察され、加齢によって更に倍加するCMA活性の低下が、脳のタンパク質毒性を悪化させ、病態進行を加速させ得ることを示唆している。
CMA欠損がどのようにADを悪化させるかを同定するために、本発明者らは、CTR、Tg、L2A-/-及びTg-L2A-/-マウス由来の脳皮質の比較定量的プロテオミクスを使用した。本発明者らは、CTRマウスとL2A-/-マウスとの間では152個の示差的発現タンパク質(図7C)を見出し、CTRマウスとTgマウスとの間では5個の示差的発現タンパク質(図7D)しか見出さなかった。興味深いことに、Tg-L2A-/-マウスは、TgマウスとL2A-/-マウスとを合わせたよりも多くの差次的発現タンパク質を示した(図9A及び図7E)。階層的クラスタリング分析により、L2A-/-マウスとTg-L2A-/-マウスを一緒にグループ化し(図9A)、プロテオーム-ワイド遷移マッピングアプローチ(Steinら、2014)により、L2A-/-シグネチャとTg-L2A-/-シグネチャとの間の強いオーバーラップが明らかになり、両方ともTg-L2A-/-マウスにおけるCMA欠損表現型の優位性を裏付けた。
CMAの遮断をAD関連脳タンパク質毒性との関連で引き起こすと、定量的かつ定性的なプロテオーム変化は、いずれの遺伝子型によっても個別に再現されなかった。Tg-L2A-/-及びL2A-/-プロテオームと、Tg-L2A-/-及びTgプロテオームとの直接比較により、差次的に発現されるタンパク質におけるオーバーラップがほとんどないことが明らかになった。Tg-L2A-/-マウスにおいてのみ変化した生物学的プロセスを同定するための遺伝子オントロジー及びネットワーク分析(図9B)は、細胞代謝(カルシウムホメオスタシスを含む)、脂質代謝及び細胞組織化(主にアクチン細胞骨格の)に関連するクラスターを明らかにし、これは、CKL2A-/-マウスの代謝機能不全及び構造的機能不全がADの病態の状況において更に変化し得ることを示唆している。さらなるTg-L2A-/-選択的変化には、リポタンパク質異化、ユビキチン/プロテアソーム、及びアミロイドプロセシングの調節に関連するタンパク質が含まれ、これにはAPP及び周知のADリスク因子であるアポリポタンパク質-Eが含まれていた。
本発明者らは、CMA活性が加齢に伴ってAD患者において更に低下するために、本発明者らの欠陥CMAを有するADのマウスモデルが、少なくとも部分的にヒト疾患の進行を再現し得ると推論した。コンセンサス研究(Johnsonら、Nature Medicine(2020)26:769-780)からの低病態及び高病態対照、無症候性及び症候性AD患者の脳におけるプロテオーム変化と、本発明者らのTg-L2A-/-マウスにおけるプロテオーム変化との比較は、本発明者らが見出した以下の可能性を裏付けている。(i)AD患者の脳おけるプロテオーム変化とTg-L2A-/-マウスの脳におけるプロテオーム変化の間の正の相関性が最も高いこと、(ii)プロテオーム-ワイド転移マッピングからのAD患者のシグネチャとTg-L2A-/-マウスのシグネチャのオーバーラップがTg又はL2A-/-マウスよりも強いこと(図9C)、及び(iii)AD患者とTg-L2A-/-マウスとの間でアミロイド原線維の調節タンパク質のレベルの変化の類似性が高いこと(図9D)。
還元されたCMAはまた、AD脳に見られる根底にあるオートファジー/リソソームを加速し得る。Tg及びL2A-/-マウスとは対照的に、Tg-L2A-/-マウスは、p62及びGATE-16の蓄積(オートファージフラックスの減少を示唆する)、リソソームヘキソサミニダーゼ活性の顕著な増加並びにAD脳で起こるようなカテプシンDの蓄積及び不局在化を示した(カテプシンDレベルはホモジネート中で増加するがリソソーム中では増加しないことに留意されたい)。予想通り、L2A単独又はTgバックグラウンドの除去は、他のCMA成分のレベルに大きな影響を及ぼさなかった。
全体として、これらの結果は、脳プロテオームの単に相加的ではなく相乗的な変化によって、加齢に伴うCMA喪失が神経変性疾患の進行を更に悪化させるように影響することを裏付けている。
実施例6.CMAの化学的活性化は、相補的なADマウスモデルの病態を改善する
CMA活性化がAD関連神経タンパク質毒性に対して保護的であり得るかどうかを試験するために、本発明者らは、生成されたCMA活性化因子の1つであるAR7に対して広範な医薬化学を実施して、インビボ投与に適した誘導体を作製した(方法の節を参照されたい)。本実験で使用した誘導体(CA77.1、その後CA)は、マクロオートファジーに影響を及ぼすことなく、用量及び時間依存的にインビトロでCMAを活性化し(図10A~図10D)、インビボ投与した場合、良好な薬物動態を伴う脳浸透性(図10E~図10F)、KFERQ-Dendraマウスの脳におけるCMAの活性化(Dongら、2020)、及び3ヶ月毎日処置した後の血液又は主要臓器の毒性の非存在を示した(図10G~図10J)。
本発明者らはまず、前頭側頭型認知症突然変異P301Sを有するタウを発現するPS19マウスにCAを投与した。本発明者らは、PS19マウスがシナプス損失及びタウ播種活性を示すが、明白なタウ病態の前に、3月齢から開始して6ヶ月間にわたって、CA(30mg/kg体重)の経口1日用量を用いた、臨床的に適切な投与設計(図11A)を使用した。CA投与によって、PS19マウスの先に説明した自発運動亢進が対照レベルにまで正常化され(図11B、図11C)、海馬、扁桃体及びピリフォーム皮質における病原性タウの構造(MC1抗体によって認識される)を含有する神経細胞のレベル及び数が減少した(図11D~図11H)。過剰リン酸化タウ(S202/T205-AT8抗体)の半定量的分析によって、また、CA処置マウスの海馬においてはタウ病態があまり高悪性でないことを明らかにし、タウIII型病態は、ビヒクルの60%及びCA処置PS19マウスの10%で観察された(図10K)。免疫ブロット分析により、CA処置マウスが、より低いレベルの配座異常性、S422及びAT8リン酸化型、オリゴマー型及び不溶性型のタウを示したことが確認された(図11F~図11I及び図10L~図10N)。CAはヒトタウの総レベルを低下させず、発現レベルの低下ではなく処理の改善を示した(図11M)。ビヒクル処置PS19マウスにおけるミクログリア細胞のより多い数及び棒状ジストロフィ形態を有する大きなIba1陽性細胞の存在は、CA処置時に減少した(図11K~図11M及び図10O、図10P)。
次に、本発明者らは、AD(Tg)のトリプルトランスジェニックマウスモデル(Grueningerら、Neurobiol.Dis.(2010)37:294-306)を使用して、タウ及びAβの複合タンパク質毒性に対するCMAの薬理学的活性化の効果を調査した。Tgマウスに、8月齢(症状の発症後かつb-アミロイド斑が既に検出可能である場合)から開始して4ヶ月間にわたって、CA(30mg/kg体重)の用量を毎日経口投与した。CA処置Tgマウスは、ビヒクルを投与されたマウスよりも、良好な視覚記憶、不安症様及びうつ病様行動の減少、クラスピング進行の遅延、及び水平格子試験におけるパフォーマンスの向上を有していた(図12A~図12F)。組織病態学は、未成熟(MOAB2陽性)及び成熟(6E10及びチオフラビンS陽性)アミロイド斑の面積及びサイズの減少(図12G~図12L及び図13A~図13C)、沈着物の成熟度に応じた沈着物の数の減少(図12M)、並びに、病態を有する神経細胞の数が少ないことによって裏付けられる、特に6E10陽性領域における、初期T231リン酸化タウ(図12J、図12及び図13D、図13E)のレベルの低下(図12O)、として証明される、CA処置マウスの海馬及び皮質におけるβ-アミロイド及びタウ関連病変の有意な減少を明らかにした。免疫ブロット分析は、CA処置Tgマウスにおける成熟ホスホサイトAT8の有意な減少を明らかにした(図13F)。本発明者らはまた、背側海馬におけるミクログリア及び星状膠細胞の数がより少なく、グリア細胞とアミロイド斑様沈着物との会合がより少ないことを見出し(図13G~13I)、CA処置群においてグリオーシスが低下したことを明らかにした。
これらの結果は、臨床的に適切な設計を用いた薬理学的CMA活性化がAD関連病態に有益な効果を有することを示している。
実施例7.CMAアップレギュレーションはマウスのアテローム性動脈硬化症を防ぐ
マウス及びヒト斑で疾患の初期に観察される提案されたCMA活性化の保護効果を実験的に試験し、アテローム性動脈硬化症におけるCMA調節の治療的価値の可能性を評価するために、本発明者らはアテローム性動脈硬化症促進性チャレンジに曝露されたマウスにおいてCMA活性を直接アップレギュレートした。その目的のために、本発明者らは、ヒト形態のLAMP-2Aを発現する誘導可能なトランスジェニックマウスモデル(hL2AOE)を使用し、初期斑においてLAMP-2Aレベルの低下が観察された後に誘導した(図14A)。本発明者らは、処置前にはWTマウスとhL2AOEマウスとの間で体重及び循環コレステロールが区別できないことを確認した。アテローム硬化促進性チャレンジの後、循環コレステロール及びトリグリセリドレベルは別々にしか減少しなかったが、CMA活性の増加により、VLDL画分及びLDL画分の脂質の画分は両方とも著しく減少した(図19、A、B)。予想されるように、hL2AOE群の改善された脂質プロファイルは、インスリン感受性の増加に関連していた。hL2AOEマウスはまた、複数の炎症促進性サイトカイン(すなわち、PAI1、CCL3、4及びG-CSF)のプロファイルが改善される傾向を示し、本発明者らが同じチャレンジを行った時にCMA欠損マウスにおいては反対方向に改変されていることを見出した。アテローム斑の分析により、コラーゲン含有量、斑段階及びVSMC及びマクロファージの数は両群のマウスにおいて同等であったが、hL2AOEマウスは、壊死性コアの減少及び石灰化の減少を伴うより小さな病変を示した(図19C~図19E)ことが明らかになった。12個の可変データを用いた主成分分析は、Ctrlマウス群及びhL2AOEマウス群が異なる領域に分布することを示し、脂質チャレンジによってこれらの群が異なる進化を遂げたことを裏付けている(図19F、図19G)。全体として、これらの知見は、CMAアップレギュレーションの全身及び血管の両方の有益な効果を裏付けており、アテローム性動脈硬化症の進行を予防するためにCMAを活性化することの治療的可能性を強調している。
実施例8.アテローム硬化促進条件に対するヒト頸動脈CMA応答
本発明者らのインビトロ及びインビボでの知見は、CMAアップレギュレーションがアテローム硬化促進性チャレンジに対する血管応答の一部であり得ることを裏付けている。これがヒトアテローム性動脈硬化症にも当てはまるかどうかを試験するために、本発明者らはまず、LAMP-2A及びαSMA/CD68の共染色を使用して斑VSMC及びマクロファージにおけるCMA受容体の存在を確認した。異なる斑段階の無症候性患者由来のヒトアテローム硬化性斑におけるLAMP-2Aのレベルの分析により、斑におけるLAMP-2Aレベルが疾患進行(中等度の内膜肥厚(IT)、病理学的内膜肥厚(PIT)、肥厚性線維性皮膜アテローム(TkFCA)を伴う斑、及び斑内出血(IPH)を伴う斑として等級付けされる)と共に徐々に増加することが明らかになった。LAMP-2Aタンパク質レベルの増加は、主にLAMP-2A mRNAアップレギュレーションに起因する。実際、LAMP-2A mRNAレベルは斑のサイズと直接相関したが、壊死性コアとは相関しなかった。斑におけるLAMP-2Aの上昇したレベルに主に寄与する細胞型を決定するために、本発明者らは、LAMP-2Aレベルと異なる細胞型との間の相関を分析し、ヒトアテローム硬化性斑において、LAMP-2Aと、マクロファージ及び泡沫細胞のマーカーであるCD68との間の直接的な相関を見出した。実験マウスモデルで観察したように、本発明者らは、LAMP-2Aレベルのこれらの変化を、斑細胞、主にマクロファージが、臨床事象前のアテローム硬化促進性変化に応答してこのオートファジー経路をアップレギュレートする試みとして解釈した。実際、ヒトアテローム斑由来の単一細胞RNAseq(scRNAseq)((8)由来)を用いたCMA転写ネットワークの全体的分析により、同じ斑由来の内皮細胞及び平滑筋細胞と比較した場合、CMAエフェクター(LAMP-2A及び(HSC70)の最も高い発現を有する細胞としてマクロファージが確認された。臨床事象後のCMAの起こり得る変化を評価するために、本発明者らは、1つ又は2つの臨床的血管事象に罹患した患者の頸動脈セグメントにおいてLAMP2の免疫ブロットを行った。
これにより、第2の事象を発症した全ての患者の頸動脈セグメントにおけるLAMP2レベルの有意な減少が明らかになった(図18A)。LAMP2のこの減少は、この群の主に女性患者に起こるようであり、彼らは全体的なLAMP2含有量の最も顕著な変化を示す患者であった(図18B、変化は患者の年齢の違いに起因するものではなく、女性患者では第1及び第2の事象で、それぞれ66.1+3.4歳、及び70.4+3.8歳であり、男性患者の同じ群では65.6+1.3歳、74.3+1.2歳であった)。別のリソソームマーカーであるカテプシンDのレベルは変化しないままであったことから、観察された変化は、リソソーム含有量の全体的な減少ではなく、LAMP2に対して選択的であると思われる(図18A、B)。本発明者らは最近、CMAに対するエフェクター又は制御因子として寄与することが知られている遺伝子の加重平均発現に基づいてCMA活性を推測することを可能にするアルゴリズムを開発し、検証した。患者の斑からのトランスクリプトミクスを使用したCMAスコアの分析は、安定な斑と比較した場合、不安定なアテローム斑においてCMA活性が低下すると予測した(図18C)。デコンボリューション分析は、エフェクター(LAMP-2A及びHSC70)の増加にもかかわらず、大部分のネットワークエレメント、特に陽性リソソームモジュレーターの発現が全体的に低いことを強調した。LAMP9 2A発現のこの増加は、これらの患者におけるLAMP2Aタンパク質レベルの顕著な低下を補償する試みとして解釈することができ、持続的な脂質チャレンジの際に以前に観察されたこのタンパク質の安定性の低下に起因する可能性が高い。
本発明者らの知見は、LAMP-2Aレベルの低下及びCMA活性の低下が、第2の臨床事象に罹患するリスクの予測因子であり得ることを示唆している。
実施例9.CMAの遮断はマウス実験モデルにおいてアテローム性動脈硬化症を悪化させる
本発明者らは、インビボでCMA活性を測定して、血管系におけるCMAの状態及びアテローム斑発生中のその可能な変化を決定することを可能にする、最近開発されたCMAの蛍光レポーターを発現するトランスジェニックマウスモデル(KFERQ-PS-Dendra2マウス)を使用した。KFERQ-PS-Dendra CMA基質がリソソームに送達されると、CMA活性は、拡散蛍光サイトゾルパターンに対する蛍光点として検出される。健常マウス由来の大動脈及び固定組織又は生体内2光子顕微鏡法での2光子顕微鏡法を使用して、本発明者らは、中膜中の細胞(VSMC)で蛍光点(内皮細胞)を見出し、内膜中でより少ない程度で見出した。エンドサイトーシスによる血流からの内在化の際にリソソーム区画を強調する蛍光Dextranの注入によって、リソソームの一部におけるDendraシグナルとの共局在化が示され、基礎条件下の血管系における活性CMAを裏付けた。本発明者らが高コレステロール血症を介してKFERQ-PS-Dendra2マウスのアテローム性動脈硬化症の発症を促進した場合には(プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(AAV8-PCSK9)媒介性の過剰発現アデノ随伴ウイルス8の注射、及び12週間にわたる高コレステロール含有食餌(西洋型食餌、WD)を用いて)、これらのマウスの大動脈では、蛍光点の数が著しく減少することが明らかになり、斑においては蛍光点はほとんど存在しなかった(図14A)斑領域全体にわたる最大投射を示す。これらのアテローム性動脈硬化症の大動脈をVSMCマーカーのα-平滑筋アクチン(α-sma)及び分化68(CD68)のマクロファージマーカークラスターと共染色すると、いずれの細胞型においてもCMA活性がほとんどないことが明らかになった。斑の免疫組織化学により、CMAの制限成分であるLAMP-2Aのレベルが、6週間の斑形成によってVSMCとマクロファージの両方で検出され得るが、LAMP-2Aレベルは、CMA活性の減少が観察されたことと一致して、VSMCとマクロファージの両方でマウスアテローム性動脈硬化性疾患のより進行した段階(12週間)において有意に減少することが明らかになった(図14B)。
食事チャレンジに応答したLAMP-2Aの初期アップレギュレーションが防御的であるかどうか、また減少したCMAが疾患進行に寄与するかどうかを調べるために、本発明者らは、CMAを全身遮断した(LAMP-2A、L2AKOの構成的ノックアウト)マウスモデルを使用した。3月齢で、固形飼料食のL2AKOマウスは、野生型(WT)同腹仔よりもわずかに低い体重及び循環総コレステロールレベルを示す。L2AKOマウスにWDを12週間与えた場合、本発明者らは、主に超低密度リポタンパク質(VLDL)及びLDL画分において、総循環コレステロール及びトリグリセリド(TG)レベルの顕著な増加を観察した(図14C、図14D)。L2AKOマウスの大動脈根のアテローム斑はWTマウスよりも大きく(約39%)(図14E)、壊死性コアが大きくなり、細胞充実度が低下し、斑が著しく進行する顕著な傾向があった(図14F)。CMA不適格マウスの斑もまた、より多くのコラーゲン含有量、より厚い線維性被膜、更により多くの石灰化を有していた(図14G)。更に、斑中の収縮性VSMCに対するα-SMAの相対含有量及びマクロファージに対するCD68+の相対含有量はいずれも、L2AKOマウスにおいて有意に低かった。
全体として、CMA活性の低下は、より重篤なアテローム性動脈硬化症の病態の多くの態様と関連しており、CMAの抗アテローム性動脈硬化症保護機能を裏付けている。
実施例10.CMA欠損マウスにおける代謝機能障害
アテローム性動脈硬化症に対するCMAの保護効果の原理を調べるために、またCMAによる肝グルコース及び脂質代謝の前述の調節のために、本発明者らはCVDの主要なリスク因子であることが示された代謝パラメータを評価した。本発明者らは、L2AKOマウスが、12週間のWD中にWT群よりも、主に脂肪量含有量が多いことに起因して50%多く体重を増加させたことを見出した。間接熱量測定法により、L2AKOマウスの脂肪過多は、より多くの食物消費に起因するものではなく、エネルギー消費の減少及び身体活動の減少によって説明できることが明らかになった。WDでのWTマウスにおいて観察された、エネルギーとしての脂質使用を示す呼吸商(RER)-6の減少は、L2AKOマウスにおいて有意により顕著であり、これらのマウスにおける炭水化物利用の障害が示唆された。実際、L2AKOマウスは、顕著な高インスリン血症及びCVDの典型的なリスク因子であるインスリン抵抗性の増加を示した。血栓促進性及び線維促進性サイトカインプラスミノーゲン活性化因子阻害剤1型(PAI-1)の循環レベルもまた、L2AKOマウスにおいて有意に高かった。これらの知見は、CMAの喪失が、WDによって課される代謝及び凝固における全身性の障害を倍加し、ひいては、生物をアテローム性動脈硬化症になりやすくすることを裏付けている。CMAの遮断はVSMC脱分化を促進する。WTマウスの循環コレステロールレベルは、異なる斑特性と前述の相関を示すが、このような相関はL2AKOマウスでは失われる。これは、全身の代謝変化以外の要因も、L2AKOマウスのアテローム性動脈硬化症に対するより高い脆弱性に寄与することを示唆している。このことが、本発明者らが、血管系におけるCMAの局所的変化が疾患進行に寄与し得るかどうかを調査する動機付けとなった。
本発明者らは、最初に、生理学的脂質チャレンジ(LDL負荷)に曝露した初代培養VSMC中のCMAを調べ、CMAが用量依存的アップレギュレーションし、その後、LDLが毒性濃度に達すると徐々に減少することを見出した。蛍光LDL(diLDL)へのL2AKO VSMCの曝露は、LDL濃度が増加するにつれて、より高い細胞内脂質蓄積(図15A)及び細胞生存率の低下をもたらした(図15B)。脂肪毒性に対するこのより高い感受性は、他のタイプのオートファジー(すなわち、マクロオートファジー)がこれらの細胞において完全に機能的であったことからして、CMAの喪失に主に起因する可能性がある。WT及びL2AKO VSMCの転写プロファイルの比較分析により、基礎条件下での顕著な違い及びL2AKO細胞におけるLDLへの曝露後の不十分な転写応答が明らかになった(図15C)。基礎条件下では、L2AKO VSMCは、活性化マクロファージ様遺伝子プロファイルであるACTA2の喪失及び改変脱分化VSMCの最近同定されたマーカーの取り込みを示した(8)(図15C)。これらの知見は、インビボでの斑におけるACTA2+収縮性SMCの喪失と一致している。遺伝子セット濃縮分析(STRINGデータベースを使用)は、細胞遊走、増殖、分化及び脂質に対する応答に関連するノードのアップレギュレーションを更に示した。
LDLによる負荷は、両方の遺伝子型において脂質代謝に関連する遺伝子の変化を誘導したが、本発明者らは、この応答における定量的差異を特定した。すなわち、本発明者らは、Ingenuity Pathway Analysis(IPA)を使用して、L2AKO細胞が、脂質チャレンジに対してコレステロール経路に関与する遺伝子のアップレギュレーションが減少する応答不良を有し、これらの細胞においてアップレギュレートされる上位分子の1つとしてコレステロールを提示することを見出した。脂質に対するVSMCの応答の免疫成分もまた、L2AKO細胞において異なる。WT細胞は十分に特徴付けられた炎症応答を調整する一方で、L2AKO細胞の免疫応答は主に白血球活性化及び細胞遊走に関連する遺伝子から構成される。脂質負荷時の示差的遺伝子発現分析及び遺伝子セット濃縮により、細胞死及びストレスに対する細胞応答(DNA損傷に対する応答を含む)に関連するL2AKO細胞に固有の遺伝子ノードも同定され、本発明者らは、それがこれらの細胞で有意に増加することを実験的に確認した。これらの知見は、CMA欠損肝細胞においても以前に記載したように、VSMCにおいてCMAを活性化することができないと、環境脂質チャレンジに適応することができなくなることを裏付けている。
L2AKO VSMCにおいて差次的に発現される遺伝子群の上流制御因子の分析により、腫瘍タンパク質53(p53)シグナル伝達経路の有意な(p<3.13×10-46)ダウンレギュレーションが最大の変化として明らかにされた。p53シグナル伝達経路の異なる成分に対する免疫ブロットにより、L2AKO VSMCにおけるp53タンパク質及びサイクリン依存性キナーゼインヒビター1A(p21)のレベルが著しく低下していることが確認されたが、サイクリン依存性キナーゼインヒビター1B(p27)の含有量は、WTと比較してこれらの細胞においてより高かった。脂質チャレンジに応答した抗アポトーシス分子としてのp53の十分に特徴付けられた役割を考慮すると、L2AKO VSMCにおけるp53シグナル伝達の特定された欠陥は、LDL負荷時のそれらのより高い死亡数(図15B)、DNA損傷の増加及びより高い増殖速度の説明を提供する。更に、この実験に関連するのは、p53が、基礎条件下のL2AKO VSMCにおいて既に顕著な転写パターンであるVSMC脱分化を防ぐことが以前よりわかっているという事実である(図15C)。本発明者らはまた、L2AKO VSMCが、p53と複合体を形成し、PAI-1を刺激することが知られている、炎症誘発性及び損傷危険因子関連分子パターン(DAMP)シャペロン高移動度群ボックスタンパク質-1(HMGB1)の構成的により高い細胞内含有量を示すことを検出した。更により顕著なのは、高分子量複合体の形態での細胞外培地へのHMGB1の増大した放出であった。動脈壁におけるL2AKO VSMCからのHMGB1のこの連続的な放出は、L2AKOマウスの大動脈で観察される局所炎症及びカルシウム沈着の主要な推進要因の1つであり得、CMA欠損VSMCの脱分化を永続させることにも寄与し得る。また、動脈壁におけるL2AKO VSMCの起こり得る影響の一部として、本発明者らのインビボ観察結果(図14G)と一致して、本発明者らは、以前は斑線維症に関連するほとんどのコラーゲン遺伝子の顕著な増加を見出し、これは合成表現型へのVSMC移行を更に裏付ける。L2AKO VSMCにおける本発明者らの知見は、完全に機能的なCMAが脂肪毒性に対する防御において、また分泌性遊走細胞へのそれらの脱分化を防止することによってVSMCの同一性を維持するために必要であることを裏付けている。
実施例11.CMA欠損マクロファージの炎症促進性表現型
斑中のマクロファージの存在及びそれらに関連する炎症表現型は、斑の運命に影響を及ぼす。したがって、本発明者らは次に、骨髄由来マクロファージ(BMDM)の極性化のためのインビトロプロトコルを使用してマクロファージ機能におけるCMAの遮断の結果を調査して、これらの細胞の斑炎症促進性表現型(IFNγ+LPS)を模倣することに着手した。本発明者らは、CMA欠損BMDMが、IFNγ+LPSで刺激された場合、より強い炎症促進性プロファイル(より高い誘導性一酸化窒素シンターゼ、iNOS、及びシトクロムcオキシダーゼ2(COX2)レベル(図16A、B)を示すことを見出し、これはCMAがマクロファージの炎症促進性分極を調節し得ることを示唆した。興味深いことに、COX2レベルの変化は、大部分がその転写アップレギュレーションによるものであったが、iNOSの場合、その増加はタンパク質のレベルにおいてのみであり、タンパク質分解の変化が観察された細胞iNOSレベルの上昇に寄与することを裏付けた(図16A、図16B)。本発明者らは、WT型BMDMとL2AKO BMDMとの間でマクロオートファジー活性の差を見出すことはなく、観察された表現型が主にCMAの喪失の結果であることを裏付けた。
本発明者らは、CMAによる分解を受けないことによって、L2AKO BMDMで見られるこの炎症表現型の悪化の背後にあり得るプロテオームのサブセットを同定することを目指した。したがって、本発明者らは、未処理の(CTRL)又はIFNγ+LPSで刺激したWT及びL2AKO BMDMから、通常CMAに対して活性なリソソームのプール、高レベルの管腔HSC70を含有するものを単離した。培養物の半分において、本発明者らは、リソソーム内で分解を受けているタンパク質をリソソーム常在タンパク質から識別するためにリソソームタンパク質分解を阻害し、試料を比較定量プロテオミクスに供した(21)。タンパク質の約45%は構成的リソソーム成分であり、休止又は刺激BMDMではリソソームで分解されなかった。CMA基質は、LAMP-2A依存的にリソソームで分解を受けるタンパク質として定義される。IFNγ+LPSによる刺激は、大部分がCMA基質のリソソームタンパク質分解の増加をもたらした(CMA基質の46%の増加に対し、非CMAリソソーム基質はわずか15%の増加、図4F)。更に、未処理及び刺激BMDMによって分解されたCMA基質のレパートリーは大きく異なり、タンパク質は7%しか一致しなかった。STRING及びIPAを使用したデータマイニングにより、非刺激マクロファージに関連する主要な細胞経路が、炎症促進性LPSシグナル伝達経路の予想されるアップレギュレーションに加えて、免疫応答、細胞接着分子及び白血球活性化の制御に関連することが特定された。8IFNγ+LPS処置は、NO合成の5つの他の刺激因子と共に、一酸化窒素合成酵素のCMA分解を誘導し、これは、刺激時のCMA不適格マクロファージにおけるiNOSのより高いレベルを説明し得る(図16A)。この状態のCMA基質には、免疫応答、好中球分解及び経内皮遊走(細胞接着、細胞局在、及び血管壁との相互作用を含む)に関与するタンパク質も含まれていた。本発明者らは、L2AKOマウスが、主としてより多数の炎症誘発性単球(図16C)に由来する著しい単球増加、及びT細胞、特にCD4+T細胞の数の増加を示したことを見出したことから、インビボデータはこれらの知見を裏付けていた。
全体として、本発明者らの知見は、CMAがマクロファージ刺激によって誘導されるプロテオームのリモデリングに寄与すること、及びこれらの細胞における欠陥CMAがより炎症促進性の表現型を促進することを裏付けている。

Claims (39)

  1. 加齢性神経変性疾患の予防又は進行の遅延を必要とする対象の加齢性神経変性疾患を予防又は進行を遅延させる方法であって、
    前記対象において前記神経変性疾患の初期症状又はバイオマーカーを同定すること、及び
    治療有効量のCMA活性化因子を前記対象に投与することを含み、
    前記対象が無症候であるか、又は前記加齢性神経変性疾患の初期症候段階にある、方法。
  2. 前記CMA活性化因子を投与することにより、前記対象におけるベータアミロイド及び/又はタウ病態の進行を軽減し、かつ/又は前記対象における既存のベータアミロイド及び/又はタウ病態を軽減する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記バイオマーカーがベータアミロイド又はタウであり、前記方法が、陽電子放射断層撮影法(PET)及び/又は磁気共鳴(MR)画像法によってベータアミロイド及び/又はタウ病態の進行を判定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記CMA阻害剤を投与することが、例えば、陽電子放射断層撮影法(PET)及び/又は磁気共鳴(MR)画像法によって判定した場合に、前記対象の脳内のグリオーシスを減少させる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記対象が軽度認知障害に罹患している、請求項1に記載の方法。
  6. 前記加齢性神経変性疾患が、アルツハイマー病(AD)、レビー小体型認知症、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症(FTD)、脊髄小脳失調症(SCA)、及び進行性皮質下グリオーシスである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記神経変性疾患がADであり、前記対象が認知症に罹患していない、請求項1に記載の方法。
  8. 前記神経変性疾患がADであり、その初期症状が、記憶喪失及び/又は混乱、集中困難、日常タスクの遂行困難、時間及び/又は場所の混乱、視覚イメージ及び/又は空間的関係の困難、会話困難、対象物の置き間違え、判断力の低下、活動からの離脱、嗅覚機能障害、気分及び性格の変化である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記神経変性疾患がADであり、前記バイオマーカーが、前記対象の血漿又は脳脊髄液(CSF)中のタウタンパク質(総タウ又はリン酸化タウ)又はベータアミロイド(例えば、Aβ42)である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記神経変性疾患がPDであり、その初期症状が、指、親指、手又は顎のわずかな振戦、小さい筆跡(小字症とも呼ばれる)、嗅覚喪失、睡眠中の突然の動きを含む睡眠困難、移動困難又は歩行困難、便秘、柔らかい又は低い音声、仮面様顔貌、記憶障害、眩暈又は意識消失、又は立った状態で前屈みになったり、体を傾けたり、及び/又は猫背になったりすること、である、請求項1に記載の方法。
  11. 前記CMA活性化因子を投与した後に神経細胞の解糖の増加を検出することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  12. 加齢性神経変性障害の治療を必要とする対象において神経細胞、血管細胞又はマクロファージのプロテオスタシスを増強する方法であって、
    CMA活性化因子を対象に投与することを含み、
    前記CMA活性化因子を投与することが前記対象における神経細胞のプロテオスタシスを増強する、方法。
  13. 前記CMA活性化因子を投与することが、前記対象のベータアミロイド及び/又はタウ病態の進行を抑制し、
    前記方法が、任意選択で、陽電子放射断層撮影法(PET)及び/又は磁気共鳴(MR)画像法によって、あるいは、前記対象の血漿若しくは脳脊髄液(CSF)中のタウタンパク質(総タウ若しくはリン酸化タウ)又はベータアミロイド(例えば、Aβ42)によって、ベータアミロイド及び/又はタウ病態の進行を判定することを更に含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記CMA活性化因子を投与した後に神経細胞の解糖の増加を検出することを更に含む、請求項13に記載の方法。
  15. 加齢性神経変性障害の治療を必要とする対象の神経細胞のLamp2Aのレベルを増加させる方法であって、
    CMA活性化因子を前記対象に投与することを含み、
    前記CMA活性化因子を投与することが、前記対象の前記神経細胞のLamp2Aのレベルを増加させる、方法。
  16. 患者における神経変性障害の発症を遅延させる方法であって、
    前記患者が前記神経変性障害の発症に関連するリスク因子を有すると判定すること、
    前記患者の興奮性及び/又は抑制性神経細胞におけるシャペロン介在性オートファジー(CMA)活性を増加させるのに十分な量のCMA活性化因子を前記患者に投与すること、及び、それによって前記神経変性障害の前記発症を遅延させること、を含む方法。
  17. 患者の神経細胞において解糖活性を維持する方法であって、
    前記患者の興奮性及び/又は抑制性神経細胞においてシャペロン介在性オートファジー(CMA)を活性化するのに十分な量のCMA活性化因子を前記患者に投与すること、及び、それによって前記患者の神経細胞における解糖活性を維持すること、を含む方法。
  18. アルツハイマー型認知症(AD)を発症するリスクがあると診断された患者又はADを有すると診断された患者において、ADの病態のマーカーのレベルを低下させるか、又はADの病態のマーカーの増加を遅らせる方法であって、
    前記患者におけるADの病態の前記マーカーの第1のレベルを測定すること、
    少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、又は少なくとも12ヶ月間にわたって、毎日、前記患者の前記神経細胞においてシャペロン介在性オートファジー(CMA)を活性化するのに十分な量のCMA活性化因子を前記患者に投与すること、及び
    前記CMA活性化因子の投与後の前記患者におけるADの病態の前記マーカーの第2のレベルを測定すること、
    ADの病態の前記マーカーの前記第1のレベルと前記第2のレベルとを比較すること、及び、ADの病態の前記マーカーのレベルが前記患者において低下しているか又は失速しているかどうかを判定すること、を含む方法。
  19. ADの病態の前記マーカーが、タウのリン酸化、タウのオリゴマー化、ベータアミロイドの増加、不溶性タウの増加、又はα-シヌクレインタンパク質の増加である、請求項18に記載の方法。
  20. 患者の脳内のグリオーシス又は炎症を減少させる方法であって、
    前記患者の脳内のシャペロン介在性オートファジー(CMA)を活性化するのに十分な量のCMA活性化因子を前記患者に投与すること、及び、それによって前記患者のグリオーシス又は炎症脳を減少させること、を含む方法。
  21. 神経変性障害を有する患者の神経細胞のプロテオスタシス及び/又はグリオーシスを増加させる方法であって、
    前記患者の前記神経細胞においてシャペロン介在性オートファジー(CMA)を活性化するのに十分な量のCMA活性化因子を前記患者に投与すること、及び、それによって前記患者の前記神経細胞におけるプロテオスタシス及び/又はグリオーシスを増加させること、を含む方法。
  22. プロテオスタシスの増加が、前記患者の前記神経細胞における不溶性タンパク質沈着の減少をもたらす、請求項21記載の方法。
  23. 前記神経変性疾患がアルツハイマー型認知症(AD)である、請求項21に記載の方法。
  24. 患者の神経細胞におけるタンパク質凝集を予防する方法であって、前記患者の前記神経細胞における可溶性タンパク質の蓄積を減少させるのに十分な量のシャペロン介在性オートファジー(CMA)活性化因子を前記患者に投与することを含む方法。
  25. 投与される前記CMA活性化因子の量が、毎日0.01mg/kgから100mg/kg、0.1mg/kgから50mg/kg、0.1mg/kgから20mg/kg、0.1mg/kgから10mg/kg、0.1mg/kgから100mg/kg、1mg/kgから100mg/kg、又は10mg/kgから100mg/kgである、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記量のCMA活性化因子が、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、又は少なくとも18ヶ月間にわたって、前記患者に毎日投与される、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
  27. 対象におけるアテローム性動脈硬化症を予防し、減少させ、又はその進行を遅延させる方法であって、
    前記対象におけるアテローム性動脈硬化症の初期症状若しくはバイオマーカーを同定すること、又は前記対象における動脈斑若しくは動脈脂肪線条の存在を同定すること、及び
    治療有効量のシャペロン介在性オートファジー(CMA)活性化因子を前記対象に投与すること、を含み、
    前記対象が無症候であるか、又は前記アテローム性動脈硬化症の初期症候段階にある、方法。
  28. 十分な量の前記CMA活性化因子が、前記CMA活性化因子の投与前のVLDL及びLDL画分中のコレステロール及び/又はトリグリセリドのレベルと比較して、前記対象のVLDL及びLDL画分中のコレステロール及び/又はトリグリセリド画分を減少させるために投与される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記バイオマーカーが血管平滑筋細胞(VSMC)脱分化又はC反応性タンパク質(CRP)レベルであり、前記アテローム性動脈硬化症の進行が、血管造影図、胸部X線、CTスキャン、心エコー図、心電図、血管内超音波、運動負荷試験、陽電子放射断層撮影法(PET)及び/又は磁気共鳴(MR)画像法によってモニタリングされる、請求項27又は28に記載の方法。
  30. 前記CMA活性化因子を投与するが、前記CMA活性化因子の投与前の前記対象における動脈斑の前記レベルと比較して、前記対象における動脈斑を減少させる、請求項27に記載の方法。
  31. 前記対象が、観察可能な動脈斑又は動脈脂肪線条を有するが、血流が不十分ではない、請求項27に記載の方法。
  32. アテローム性動脈硬化を有するか、アテローム性動脈硬化のリスクがある対象における、血管平滑筋細胞(VSMC)プロテオスタシスを含む血管細胞機能を増強する方法であって、
    治療有効量のCMA活性化因子を前記対象に投与することを含む、方法。
  33. 前記治療有効量の前記CMA活性化因子が、前記対象の動脈斑の量を減少させるか、又は前記対象の動脈斑の形成を減少させるのに十分な量であり、前記方法が、任意選択で、前記対象の陽電子放射断層撮影法(PET)及び/又は磁気共鳴(MR)画像法によって斑病変の進行を判定することを更に含む、請求項32に記載の方法。
  34. 他のアテローム性動脈硬化の症状がないアテローム性動脈硬化のバイオマーカーを有する対象、又は1つ以上の観察可能な動脈斑若しくは動脈脂肪線条、並びに正常な動脈血流及び心機能を有する対象の血管平滑筋細胞(VSMC)を含む血管細胞のLamp2Aのレベルを増加させる方法であって、治療有効量のCMA活性化因子を前記対象に投与することを含む方法。
  35. リスクのある患者におけるアテローム性動脈硬化の発症を遅延させる方法であって、
    前記患者がアテローム性動脈硬化症の発症に関連するリスク因子を有すると判定すること、
    前記患者の血管平滑筋細胞(VSMC)を含む前記血管細胞におけるシャペロン介在性オートファジー(CMA)活性を増加させるのに十分な量のCMA活性化因子を前記患者に投与すること、及び、それによってアテローム性動脈硬化の発症を遅延させること、を含む方法。
  36. アテローム性動脈硬化を発症するリスクがあると同定された対象のC反応性タンパク質レベルを低下させる方法であって、
    前記患者のC反応性タンパク質の第1のレベルを測定すること、及び、
    前記患者の血管組織中のシャペロン介在性オートファジー(CMA)を活性化するのに十分な量のCMA活性化因子を前記患者に投与することであって、前記CMA活性化因子が、少なくとも6週間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、又は少なくとも12ヶ月間にわたって、1日に少なくとも1回投与される、投与すること、
    前記CMA活性化因子の投与期間後に前記患者におけるC反応性タンパク質のマーカーの第2のレベルを測定すること、及び、
    前記対象における前記C反応性タンパク質の前記第1のレベルと前記第2のレベルとを比較すること、を含む方法。
  37. 少なくとも1回の脳卒中を既に経験している対象における脳卒中のリスクを低下させる方法であって、治療有効量のCMA活性化因子を前記対象に投与することを含む方法。
  38. 対象の炎症状態の症状を治療又は軽減する方法であって、十分な量のCMA活性化因子を前記対象に投与して、前記CMA活性化因子の投与前のM1(炎症誘発性)マクロファージの数と比較して、前記対象のM1(炎症誘発性)マクロファージの数を減少させることを含む方法。
  39. 前記炎症状態が、関節リウマチ、変形性関節症、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、喘息、炎症性腸疾患、I型糖尿病、肥満関連代謝疾患、又は多発性硬化症である、請求項38に記載の方法。
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