JP2010531656A - 改善した免疫グロブリン配列を提供する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができる改善したアミノ酸配列を提供する方法及び技法に関する。具体的には、本発明は、少なくとも1つの免疫グロブリン配列を含むか、又は本質的にこれらから成る単一抗原結合ドメインとして使用することができる改善したアミノ酸配列を提供する方法及び技法に関する。より具体的には、本明細書中で与えられるアミノ酸配列は、少なくとも1つの可変ドメイン配列又はその好適な断片、例えば少なくとも1つの軽鎖可変ドメイン配列(例えばV配列)若しくはその好適な断片、少なくとも1つの重鎖可変ドメイン配列(例えばV配列又はVHH配列)若しくはその好適な断片を含み得るか又は本質的にこれからなり得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができる改善したアミノ酸配列を提供する方法及び技法に関する。
具体的には、本発明は、少なくとも1つの免疫グロブリン配列を含むか、又は本質的にこれらから成る単一抗原結合ドメインとして使用することができる改善したアミノ酸配列を提供する方法及び技法に関する。より具体的には、本明細書で与えられるアミノ酸配列は、少なくとも1つの可変ドメイン配列又はその好適な断片(例えば少なくとも1つの軽鎖可変ドメイン配列(例えばV配列)若しくはその好適な断片、又は少なくとも1つの重鎖可変ドメイン配列(例えばV配列又はVHH配列)若しくはその好適な断片)を含み得るか、又は本質的にこれらから成り得る。
本発明の方法は、改善したドメイン抗体(又はドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、単一ドメイン抗体(又は単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、「dAb」(又はdAbとしての使用に好適なアミノ酸配列)、又はナノボディ(Nanobodies)(商標)(本明細書に規定のように、VHH配列を含むが、これに限定されない)を提供するのに特に適している。(備考:ナノボディ(Nanobody)(商標)、ナノボディ(Nanobodies)(商標)及びナノクローン(商標)は、Ablynx N. V.の商標である)。
本発明は、また、本発明の方法を使用して生成することができる改善したアミノ酸配列と、該アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸とに関する(したがって、本明細書で使用される用語「配列」は、文脈の要求に応じて、アミノ酸配列、対応するヌクレオチド配列/核酸、又はその両方を表し得る。また、本明細書で使用される用語「ヌクレオチド配列」は該ヌクレオチド配列を有する核酸分子も包含し、その結果「ヌクレオチド配列」及び「核酸」という用語は同等のものと考えるべきであり本明細書で区別なく使用される)。
本発明は、1つ又は複数の本発明の免疫グロブリン配列を含むか、又は本質的にこれらから成るタンパク質又はポリペプチドにも関する。
本発明の他の態様と、実施の形態と、利点と、用途とは、本明細書におけるさらなる記載から明らかとなるであろう。
アセンブリPCRは、大きなタンパク質又はポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を生成するための既知の技法である(Stemmer et al., Gene, 1995, 164(1), 49-53)。一般的に、アセンブリPCRは、重複オリゴヌクレオチド(すなわち、短い重複セグメントを有するプライマー)のセットを使用するPCR反応を行うことによる所望のタンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子の一段階合成を含む。アセンブリのためにプライマーとして使用するオリゴヌクレオチドは、部分的に重複するセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの混合物であり、その中で重複セグメントがPCR断片を指定する働きをし、その結果完全なヌクレオチド配列へと選択的に集合化し、その後発現し所望のタンパク質又はポリペプチドを提供することができる。
アセンブリPCRは、所望のタンパク質又はポリペプチドの調製のために(また、商業的にも)、現在日常的に使用されており、例えばいわゆるScFvの調製のために使用されてきた(例えば、Deng et al., Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology, July2003, 587-595を参照されたい)。
1つ又は複数の免疫グロブリン単一可変ドメインを含むタンパク質及びポリペプチドは当該技術分野で既知であり、該タンパク質又はポリペプチドにおいて各単一可変ドメインは、単一の機能的抗原結合単位(すなわち、単一の抗原結合部位を形成するためには相互作用しなければならない従来のV/Vドメインの場合のように、別の可変ドメインが必要とされる相互作用を有しない)を形成する。かかるタンパク質又はポリペプチドにおいて使用することができる単一可変ドメインの例は、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体及び「dAb」を含み、これらについては、例えば欧州特許第0368684号明細書と、Ward et al. (Nature 1989 Oct 12; 341 (6242): 544-6)と、Holtet al., Trends Biotechnol., 2003, 21(11):484-490と、国際公開第06/030220号パンフレットと、国際公開第06/003388号パンフレットと、「dAb」とも称される(単一)ドメイン抗体を説明するDomantis Ltd.の他の公開された特許出願とを参照する。或る特定の種のサメ由来の単一ドメイン抗体も既知である(例えば、いわゆる「IgNARドメイン」であり、例えば国際公開第05/18629号パンフレットを参照されたい)。
ナノボディ(商標)は、単一可変ドメインとして使用することができるアミノ酸配列の特に好ましいクラスを形成する。ナノボディのさらなる説明については、本明細書におけるさらなる開示と、本明細書で言及する従来技術と、例えば非特許文献1におけるMuyldermansによる総説と、一般的な背景技術として言及する以下の特許出願:Vrije Universiteit Brusselの特許文献1、特許文献2及び特許文献3;Unileverの特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11及び特許文献12;Vlaams Instituut voor Biotechnologic(VIB)の特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16及び特許文献17;Algonomics N.V.及びAblynx N. V.の特許文献18;カナダのNational Research Councilによる特許文献19;Instituteof Antibodiesによる特許文献20(=特許文献21);並びにAblynx N.V.による特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27、特許文献28、特許文献29、特許文献30、特許文献31及び特許文献32、並びにAblynx N.V.によるさらなる公開された特許出願とを参照する。これらの出願で言及するさらなる従来技術、及び特に国際出願の特許文献33の41頁〜43頁で言及する参考文献リストも参照する(このリスト及び参考文献は参照により本明細書に援用される)。
当該技術分野で使用される用語(上記の参考文献を参照されたい)に従って、天然重鎖抗体に存在する可変ドメインは、この可変ドメインを従来の4鎖抗体に存在する重鎖可変ドメイン(本明細書中、以下「Vドメイン」と称す)と、また従来の4鎖抗体に存在する軽鎖可変ドメイン(本明細書中、以下、「Vドメイン」と称す)と区別するために、「VHHドメイン」とも称される。
この従来技術で言及するように、VHHドメイン(並びにこれに基づくナノボディ、これは天然VHHドメインと、これらの構造的特徴及び機能的特性を共有する)は、単離VHHドメインと、ナノボディと、これを含有するタンパク質又はポリペプチドとを機能的な抗原結合ドメイン又はタンパク質としての使用に非常に有利にする、多くの特有の構造的特徴及び機能的特性を有する。特に、以下に限定されないが、VHHドメイン(軽鎖可変ドメインの非存在下で、及び軽鎖可変ドメインとの相互作用なしに、その性質上抗原と機能的に結合するように「設計」された)及びナノボディは、単一で比較的低分子の機能的な抗原結合構造単位、ドメイン又はタンパク質として機能することができる。このことは、VHHドメインを、概してそれ自体は単一抗原結合タンパク質又はドメインとしての実際の適用に適しておらず、機能的な抗原結合単位をもたらす幾つかの形態又は別の形態で組み合わせる必要がある従来の4鎖抗体のVドメイン及びVドメイン(例えば、Fab断片等の従来の抗体断片中の;Vドメインと共有結合したVドメインから成るScFv断片中の)と区別する。
これらの特有の特性のために、単一抗原結合タンパク質又は抗原結合ドメインとして(すなわちより大きなタンパク質又はポリペプチドの一部分として)のVHHドメイン及びナノボディの使用によって、従来のVドメイン及びVドメイン、scFv又は従来の抗体断片(例えばFab断片又はF(ab’)断片)の使用を超える多くの顕著な利点がもたらされる:
単一ドメインだけが高い親和性及び高い選択性で抗原と結合することを要求されるので、2つの分離したドメインを存在させる必要がなく、これらの2つのドメインが正しい空間配座及び構造で存在することを確認する(すなわち特別に設計されたリンカー(scFv等)の使用によって)必要もない。
HHドメイン及びナノボディは単一遺伝子から発現することができ、翻訳後のフォールディング又は修飾の必要がない。
HHドメイン及びナノボディは、(本明細書でさらに考察されるように)多価及び多重特異性のフォーマットに容易に操作することができる。
HHドメイン及びナノボディは、溶解性が高く、凝集しにくい(非特許文献2で説明されるマウス由来の「dAb」等)。
HHドメイン及びナノボディは、熱、pH、プロテアーゼ及び他の変性剤又は条件に対する安定性が高い(例えばEwert et al(同上)を参照されたい)。
HHドメイン及びナノボディは、製造で要求される規模であっても、容易且つ比較的安価に調製できる。例えば、VHHドメイン、ナノボディ、及びこれを含有するタンパク質/ポリペプチドは、微生物発酵を使用して(例えば以下でさらに記載されるように)製造することができ、例えば従来の抗体断片のように、哺乳動物の発現系を使用する必要がない。
HHドメイン及びナノボディは、従来の4鎖抗体及びその抗原結合断片と比較して比較的低分子(約15kDa、すなわち従来のIgGの10分の1)であるため、このような従来の4鎖抗体及びその抗原結合断片よりも高い組織(充実性腫瘍及び他の高密度組織を含むが、これらに限定されない)への浸透性を示す。
HHドメイン及びナノボディは、(特に従来のVドメインと比較して伸長したCDR3ループのために)いわゆるキャビティ結合(cavity-binding)特性を示すことができ、したがって従来の4鎖抗体及びその抗原結合断片に接近することができない標的及びエピトープに接近することもできる。例えば、VHHドメイン及びナノボディは酵素を阻害することができることが分かっている(例えば特許文献34、非特許文献3、非特許文献4を参照されたい)。
これら及び他の理由から、ナノボディと、これを含むタンパク質及び/又はポリペプチドとは、従来の抗体又はその断片と比較して、このような従来の抗体又は抗体断片に基づき得る構築物(Fab’断片、F(ab’)断片、ScFv構築物、「ダイアボディ」及び他の多重特異性構築物(例えば非特許文献5による総説を参照されたい)等)と比較して、及びまた従来の抗体の可変ドメインに由来し得るいわゆる「dAb」又は同様の(単一)ドメイン抗体と比較して、概して改善した治療特性及び/又は薬理学的特性、及び/又は他の有益な特性(例えば調製の簡便性の向上、及び/又は製品のコスト低減等)を有する。これらの改善した有益な特性は、本明細書中のさらなる記載から明らかになり、例えばこれらに限定されないが:
一価フォーマット、多価フォーマット(例えば二価フォーマット)及び/又は多重特異性フォーマット(例えば本明細書中の以下で記載の多重特異性のフォーマットの1つ)のいずれかにおける目的の標的又は抗原に対する親和性及び/又は結合活性の増大、
多価フォーマット(例えば二価フォーマット)にフォーマット化するのにより良好な適合性、
多重特異性フォーマット(例えば本明細書中の以下で記載の多重特異性のフォーマットの1つ)にフォーマット化するのにより良好な適合性、
「ヒト化」置換(本明細書中で規定)に対する適合性又は感受性の改善、
一価フォーマット、多価フォーマット(例えば二価フォーマット)及び/又は多重特異性フォーマット(例えば本明細書中の以下で記載の多重特異性のフォーマットの1つ)のいずれかにおける免疫原性の低下、
一価フォーマット、多価フォーマット(例えば二価フォーマット)及び/又は多重特異性フォーマット(例えば本明細書中の以下で記載の多重特異性のフォーマットの1つ)のいずれかにおける安定性の増大、
一価フォーマット、多価フォーマット(例えば二価フォーマット)及び/又は多重特異性フォーマット(例えば本明細書中の以下で記載の多重特異性のフォーマットの1つ)のいずれかにおける目的の標的又は抗原に対する特異性の増大、
異なる種由来の目的の標的又は抗原との交差反応性の減少又は(望まれる場合は)増大
及び/又は
一価フォーマット、多価フォーマット(例えば二価フォーマット)及び/又は多重特異性フォーマット(例えば本明細書中の以下で記載の多重特異性のフォーマットの1つ)のいずれかにおける薬学的使用(予防的使用及び/又は治療的使用を含む)及び/又は診断的使用(画像化目的のための使用を含むが、これに限定されない)に望ましい、1つ又は複数の他の特性の改善、
の1つ又は複数を含む。
例えば「dAb」と比べたナノボディの別の利点は、ナノボディは、対象となる標的で適切に免疫した動物から得られるVHH配列から開始して(すなわち、本明細書と本明細書で引用した従来技術とで言及した技法を使用して)生成することができることである。概してこれは、ナノボディがin vivoでの成熟のプロセスから得られるCDRを含有するであろうこと、及び/又は(例えば、ナイーブライブラリ又は無作為(random)ライブラリ又は合成ライブラリをスクリーニングすることにより生成されるCDRと比較して)免疫レパートリをスクリーニングすることによりナノボディを得ることができることを意味する。
国際公開第94/04678号パンフレット 国際公開第95/04079号パンフレット 国際公開第96/34103号パンフレット 国際公開第94/25591号パンフレット 国際公開第99/37681号パンフレット 国際公開第00/40968号パンフレット 国際公開第00/43507号パンフレット 国際公開第00/65057号パンフレット 国際公開第01/40310号パンフレット 国際公開第01/44301号パンフレット 欧州特許第1134231号明細書 国際公開第02/48193号パンフレット 国際公開第97/49805号パンフレット 国際公開第01/21817号パンフレット 国際公開第03/035694号パンフレット 国際公開第03/054016号パンフレット 国際公開第03/055527号パンフレット 国際公開第03/050531号パンフレット 国際公開第01/90190号パンフレット 国際公開第03/025020号パンフレット 欧州特許第1433793号明細書 国際公開第04/041867号パンフレット 国際公開第04/041862号パンフレット 国際公開第04/041865号パンフレット 国際公開第04/041863号パンフレット 国際公開第04/062551号パンフレット 国際公開第05/044858号パンフレット 国際公開第06/40153号パンフレット 国際公開第06/079372号パンフレット 国際公開第06/122786号パンフレット 国際公開第06/122787号パンフレット 国際公開第06/122825号パンフレット 国際公開第06/040153号パンフレット 国際公開第97/49805号パンフレット
Reviews in Molecular Biotechnology 74(2001), 277-302 Ward et al., Nature, Vol. 341, 1989, p. 544 Transue et al., Proteins 1998 Sep 1; 32(4): 515-22 Lauwereys et al., EMBO J. 1998 Jul 1; 17(13): 3512-20 Holligerand Hudson, Nat Biotechnol. 2005 Sep; 23(9): 1126-36
それでもなお、天然のVHH配列は、標的に対する親和性又は特異性と、該配列自体を単一抗原結合ドメインとしての使用に好適なものとする他の特性とを通常有するが、実際上、このようなVHH配列に基づきナノボディを設計又は生成するときには、そのVHH配列の1つ又は複数の所望の特性を改善することが可能であるかどうかを決定するために努力が為されることも通常である。
(単一)ドメイン抗体が非免疫、合成及び/又は無作為ライブラリ由来のものである場合には、なおさらそうであり、このようなドメイン抗体はin vivo成熟プロセスから得られるものではないので、薬務における使用に好適なドメイン抗体を提供するためにドメイン抗体の1つ又は複数の特性(所望の標的に対する親和性から開始することが多い)を改善することが通常必要である。
例えば、その修正(及び、特にその改善)に向けられる努力の対象であり得る単一抗原結合単位としての使用を意図するアミノ酸配列の特性の幾つかは、目的の抗原に対する親和性若しくは特異性(すなわち、親和性成熟)、有効性若しくは活性、選択性、溶解性、安定性、凝集しやすさ、「粘り(stickyness)」、最も近縁なヒト生殖細胞配列との配列同一性(すなわち、ヒト化)の程度、ヒト免疫系により認識され得るエピトープの存在(すなわち、脱免疫(deimmunization))、潜在的な免疫原性(存在する場合には)、及び本明細書で引用するさらなる特性、又は上述のいずれかの任意の所望の組合せ、及び/又は配列の任意の他の所望の特性(単数又は複数)を含むがこれらに限定されない。その際、目的は、1つ又は複数のこれらの特性を改善すること、及び/又は2つ以上のこれらの特性の間の適正なバランスを確立することのいずれかである。したがって、当該技術分野には、単一抗原結合ドメインとしての使用が意図されるアミノ酸配列の所望の特性(又は所望の特性の任意の組合せ)の1つ又は複数を改善するために使用することができる方法、及び/又は所望の又は改善した特性(又は所望の若しくは改善した特性の組合せ)の1つ又は複数を有するこのようなアミノ酸配列を提供するために使用することができる方法に対する必要性がある。このような方法を提供すること、及び、また、このような改善したアミノ酸配列(及びこれをコードするヌクレオチド配列)を提供することが、本発明の目的である。
本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができ、アミノ酸配列中の1つ又は複数の所定の位置での1つ又は複数の所定のアミノ酸残基の存在において互いに異なる(本明細書では「特異的変異」とも称する。本明細書で記載する方法を使用してこのような特異的変異が導入された、又は存在する、アミノ酸配列における位置を、「変更(varied)」した位置とも称する)、アミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列)のセット、コレクション又はライブラリを生成するために使用することができる方法を提供することにより、この問題を解決する。
本発明は、この方法により生成することができるアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列)のセット、コレクション又はライブラリを提供することにより、この問題をさらに解決する。このアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリ(及び/又はこれらの中に存在する個々のアミノ酸配列)は、1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の任意の好適な組合せ)の存在について試験又はスクリーニングすることができる。
便宜上、本発明の好ましいが非限定的な態様(本明細書でさらに説明される)に従って、このようなセット、コレクション又はライブラリを、適当な一連の、又はプールオリゴヌクレオチドのPCRアセンブリ(任意に、その後適切な発現を行う)を含む、一段階のプロセスで生成することができる。便宜上、本明細書でさらに説明されるように、これは、例えば本明細書で説明する方法の1つを使用して、スクリーニングに適した形式で、セット、コレクション又はライブラリを提供することもできる。
また、本発明の別の好ましいが非限定的な態様(また、本明細書でさらに説明される)によれば、このようなセット、コレクション又はライブラリが、VHH又は(単一)ドメイン抗体の配列等の、既知の又は所望の単一抗原結合ドメインのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列)を開始点とすることにより、生成される。このように、開始配列に基づき、本発明は、アミノ酸配列中の1つ又は複数の所定の位置での1つ又は複数の所定のアミノ酸残基の存在において(すなわち、1つ又は複数の「特異的変異」の存在において)各々が開始配列と(及び互いに)異なる、開始配列の一連の類似体を提供することを可能にする。所望の及び/又は改善した(すなわち、開始配列と比較して)特性を1つ又は複数有する類似体について、この類似体のセット、コレクション又はライブラリ(及び/又は、個々の類似体)をスクリーニングすることができ、及び/又はこれらの特性に及ぼす1つ又は複数の特異的変異(本明細書中で規定)の影響について、個々の類似体を試験することができる。
例えば、本明細書でさらに説明されるように、これらの特異的変異は、1つ又は複数のヒト化置換若しくはラクダ化(camelizing)置換、(例えば親和性成熟の目的で為される)相補性決定領域における1つ又は複数の置換、(例えば脱免疫の目的で為される)或る特定の特異的エピトープを除去することを意図した1つ又は複数の置換、及び/又は特定の構造的及び/又は生物学的機能を有する他のアミノ酸残基を導入若しくは除去することを意図した1つ又は複数の特異的変異であり得る。
したがって、第1の態様において、本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリを提供する方法であって、少なくとも
i)以下を含むオリゴヌクレオチドのプールを用意する工程
(i)PCRアセンブリによって単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸へと集合化することができる、一連の少なくとも2つのオリゴヌクレオチド、さらに
(ii)少なくとも1つの変異体が、1つ又は複数の所定の位置での1つ又は複数の所定のアミノ酸残基の存在において(すなわち、1つ又は複数の「特異的変異」の存在において)異なるアミノ酸配列をコードするという点で、上記オリゴヌクレオチド(及びまた存在する場合にはプールに存在する上記オリゴヌクレオチドの他の変異体)と異なる、一連のオリゴヌクレオチドの一部分を形成する少なくとも2つのオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つの変異体、ならびに
ii)オリゴヌクレオチドのプールをPCRアセンブリに供する工程
とを含む、方法に関する。
工程a)で(すなわち、オリゴヌクレオチドプールの一部分として)提供及び使用されるオリゴヌクレオチド及びその変異体は、包括的に且つ総称的に、本明細書で「工程a)で使用するオリゴヌクレオチド」とも称する。
概して、本明細書で説明する方法において、工程b)のPCRアセンブリは、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドを集合化して、単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列をコードする(より大きな又は全長の)ヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリとするような方法で、行われる。当業者には明らかであるように、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として(より大きな又は全長の)ヌクレオチド配列又は核酸を得ることができるかどうかは、厳密には、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドに主に依存する。したがって、本明細書でさらに説明されるように、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドを適切に選択することにより、本発明は、所望の又は所定の(より大きな又は全長の)ヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリを提供するために使用することができる。また、最も好ましくは工程a)で使用するオリゴヌクレオチドは、PCRアセンブリ工程b)の結果として得られるヌクレオチド配列又は核酸が、1つ又は複数の(所定の)特異的変異(本明細書中で規定)の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードするように選択される。
例えば、本明細書で説明する方法は、合成又は半合成の配列又は変異体のセット、コレクション又はライブラリを提供するために使用され得る。これらは、例えば「無作為化(randomized)」配列、すなわち、1つ又は複数の(所定の)アミノ酸の位置に1つ又は複数の無作為のアミノ酸残基を有する配列のセットであり得る。このような無作為化配列のセット、コレクション又はライブラリは、例えば、無作為化される1つ又は複数のアミノ酸の位置にいわゆる縮重コドンを含有するプライマーを使用することにより(例えば、NNKコドン又はNNSコドン(ここでK=G又はTであり、S=C又はGである)を使用する。これらのコドンは、標準アミノ酸の完全なセットをコードし得る)提供され得る。
したがって本発明の一態様では、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、少なくとも1つの所定のアミノ酸の位置に少なくとも1つの縮重コドンを含有する。以下で示すように、本発明の方法を使用して集合化したアミノ酸配列が4つのフレームワーク配列と3つの相補性決定配列とを含む場合には、1つ又は複数の縮重コドンが、1つ又は複数のフレームワーク配列中にあってもよく、1つ又は複数の相補性決定配列中にあってもよく、及び/又は1つ又は複数のフレームワーク配列及び/又は1つ又は複数の相補性決定配列中にあってもよい。
例えば、既知のフレームワーク配列(例えば、本明細書で説明されるナノボディのフレームワーク配列)の組合せから開始して、本発明の方法が、例えば所望の抗原に対する親和性を有するアミノ酸配列についてスクリーニングされ得る、4つのフレームワーク配列と3つの相補性決定配列とを含み、(完全に又は部分的に)無作為なCDRを有する、アミノ酸配列の(合成又は半合成の)セット、コレクション又はライブラリを提供するために使用され得る。
また、所望の抗原(例えばVHH配列又は他のナノボディ)に対する親和性又は特異性が既知のアミノ酸配列から開始して、本発明の方法は、CDRの1つ又は複数に1つ又は複数の無作為変異を有する、又は特定の変異(単数又は複数)(例えば側鎖の化学的性質が類似するアミノ酸による各CDR残基の変異、又は例えば所定の位置における天然の一組のアミノ酸による各CDR残基の変異)であり得るこの開始配列の変異体の(合成又は半合成の)セット、コレクション又はライブラリを提供するために使用され得る。このようなセット、コレクション又はライブラリは、例えば所望の抗原に対する親和性又は特異性が向上したアミノ酸配列について(すなわち、開始配列の親和性成熟のための技法の一部分として)スクリーニングされ得る。1つ又は複数の無作為変異を導入する本発明の方法の他の用途及び使用は、本明細書における開示に基づき当業者には明らかであろう。
特に、本明細書でさらに説明されるように、本発明は、提供されるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリが、所定のアミノ酸配列の類似体であるアミノ酸配列を各々コードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリである、(並びにセット、コレクション又はライブラリが、所定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸を任意に含有することもある)上述の方法に関する。この方法では、所定のアミノ酸配列は(及び結果として、通常はPCRアセンブリの結果として得られるその類似体も)、さらに最も好ましくは、単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列である。したがって、本明細書でさらに説明されるように、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドを適切に選択することにより、本発明は、所定のアミノ酸配列の類似体を各々コードするヌクレオチド配列又は核酸のこのようなセット、コレクション又はライブラリを提供するために使用することができ、ここでセット、コレクション又はライブラリによりコードされる類似体は、1つ又は複数の(所定の)特異的変異(本明細書中で規定)の存在において互いに(及び所定のアミノ酸配列と)異なる。例えば、限定するものではないが、本明細書でさらに説明されるように、本発明は、野生型VHH配列の変異体であるアミノ酸配列(すなわち、ナノボディ)(をコードする核酸又はヌクレオチド配列)のセット、コレクション又はライブラリを提供するために使用することができ、該変異体は、例えば、ヒト化変異体(例えばヒト化のための)、又は1つ又は複数のCDRに1つ又は複数の所定の(例えば、所定の位置における天然の類似の側鎖又はアミノ酸でのアミノ酸置換)又は無作為の変異を有する変異体(例えば親和性成熟のための)を含むがこれらに限定されない。
したがって、別の態様では、本発明は、所定のアミノ酸配列の類似体であるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリを提供する方法に関し、ここで少なくとも所定のアミノ酸配列を(及び好ましくはその類似体も)単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、該方法は少なくとも上記の工程a)及び工程b)を含み、また該方法は本明細書で言及する1つ又は複数のさらなる工程も任意に含む。この方法では、PCRアセンブリ後に得られるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリは、所定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸も任意に含有し得る。
本明細書で説明する方法では、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドは、好ましくは、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、免疫グロブリンフォールドを含有する、又は免疫グロブリンフォールドを形成(すなわち、適当な環境下でフォールディングすることにより)することができるアミノ酸配列をコードするようなものである。
より具体的には、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドは、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、各々4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものであり得る。本発明のこの態様では、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドは、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、(任意の)フレームワーク領域における1つ又は複数の(所定の)特異的変異の存在において、(任意の)相補性決定領域における1つ又は複数の(所定の)特異的変異の存在において、及び/又は(任意の)フレームワーク領域における1つ又は複数の(所定の)特異的変異、及び(任意の)相補性決定領域における1つ又は複数の(所定の)特異的変異の存在において、互いに(及び存在する場合、所定のアミノ酸配列と)異なるアミノ酸配列をコードするようなものであり得る。
より具体的には、上で参照した所定の特異的変異の置換のための規則(部分的に又は完全に従う)は、以下の通りであり得る(すなわち、側鎖の化学的性質が類似するアミノ酸での置換):
KはRにより置換され、
RはKにより置換され、
AはS又はTにより置換され、
SはA又はTにより置換され、
TはA又はSにより置換され、
IはL又はVにより置換され、
LはI又はVにより置換され、
VはI又はLにより置換され、
FはYにより置換され、
YはFにより置換され、
NはDにより置換され、
DはNにより置換され、
QはEにより置換され、
EはQにより置換され、
GはAにより置換され、
MはLにより置換され、
H、C、W及びPは一定のままである。
さらに、上で参照した所定の特異的変異の置換のための規則(部分的に又は完全に従う)は、(カバットナンバリング(Kabat numbering)体系を使用して)27位〜35位及び50位〜58位の置換については、代替的に以下の通りであり得る。ここで27位〜35位については:
27位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、F;G;R;S;F、G、R、Sのうち2つ;F、G、R、Sのうち3つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
28位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、A;I;S;T;A、I、S、Tのうち2つ;A、I、S、Tのうち3つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
29位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、F;G;L;S;F、G、L、Sのうち2つ;F、G、L、Sのうち3つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
30位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、D;G;S;T;D、G、S、Tのうち2つ;D、G、S、Tのうち3つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
31位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、D;I;N;S;T;D、I、N、S、Tのうち2つ;D、I、N、S、Tのうち3つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
32位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、D;N;Y;D、N、Yのうち2つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
33位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、A;G;T;V;A、G、T、Vのうち2つ;A、G、T、Vのうち3つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
34位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、I;M;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
35位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、A;G;S;A、G、Sのうち2つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
また、元のアミノ酸配列が52a位(カバットナンバリングを使用)にアミノ酸配列を有する場合、50位〜58位については:
50位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、A;C;G;S;T;A、C、G、S、Tのうち2つ;A、C、G、S、Tのうち3つ;A、C、G、S、Tのうち4つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
51位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、Iにより置換され、
52位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、N;R;S;T;N、R、S、Tのうち2つ;N、R、S、Tのうち3つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
52a位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、R;S;T;W;R、S、T、Wのうち2つ;R、S、T、Wのうち3つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
53位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、D;G;N;S;T;D、G、N、S、Tのうち2つ;D、G、N、S、Tのうち3つ;D、G、N、S、Tのうち4つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
54位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、D;G;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
55位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、D;G;S;D、G、Sのうち2つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
56位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、I;N;R;S;T;I、N、R、S、Tのうち2つ;I、N、R、S、Tのうち3つ;I、N、R、S、Tのうち4つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
57位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、Tにより置換され、
58位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、D;H;N;S;Y;D、H、N、S、Yのうち2つ;D、H、N、S、Yのうち3つ;D、H、N、S、Yのうち4つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
また、元のアミノ酸配列が52a位(カバットナンバリングを使用)にアミノ酸配列を有しない場合、50位〜58位については:
50位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、A;G;R;S;T;A、G、R、S、Tのうち2つ;A、G、R、S、Tのうち3つ;A、G、R、S、Tのうち4つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
51位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、Iにより置換され、
52位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、N;S;T;N、S、Tのうち2つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
53位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、N;R;S;T;Y;N、R、S、T、Yのうち2つ;N、R、S、T、Yのうち3つ;N、R、S、T、Yのうち4つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
54位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、D;G;R;S;D、G、R、Sのうち2つ;D、G、R、Sのうち3つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
55位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、Gにより置換され、
56位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、G;N;R;S;T;D、N、R、S、Tのうち2つ;D、N、R、S、Tのうち3つ;D、N、R、S、Tのうち4つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換され、
57位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、Tにより置換され、
58位(カバットナンバリングを使用)の元のアミノ酸残基は、D;N;T;Y;D、N、T、Yのうち2つ;D、N、T、Yのうち3つ;又はこれらの全て、好ましくはこれらの全てにより置換される。
具体的ではあるが、非限定的な一態様に従って、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドは、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、免疫グロブリン可変ドメイン又はその好適な断片を含むか、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードする、及び特にドメイン抗体若しくはドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、単一ドメイン抗体若しくは単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、「dAb」若しくはdAbとしての使用に好適なアミノ酸配列、又は(好ましくは)ナノボディ(商標)若しくは本明細書でさらに規定する、上述のいずれかの任意の好適な断片を含むか、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものである。
本発明は、上述の方法を使用して得ることができるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリにも関する。
本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリを生成する方法であって、上述のヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリ(上記セット、コレクション又はライブラリ由来の1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸)を翻訳及び/又は発現させる(すなわちそれ自体は既知の方法で)ことを含む、生成する方法と、この方法を使用して得ることができる(又は得られた)アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリとにも関する。
本発明はさらに、上記方法を介して、及び/又は上述のヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリから得ることができる(又は得られた)個々のヌクレオチド配列又は核酸と、このようなヌクレオチド配列又は核酸を発現させることにより得ることができる(又は得られた)個々のアミノ酸配列とに関する。
本発明はさらに、
iii)1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸について、工程a)及び工程b)を通して得られるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリをスクリーニングする工程と、任意で上記1つ又は複数の所望の特性を有するアミノ酸配列をコードする、1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸を単離する工程とをさらに含む、上記のような方法に関する。
さらにこの方法では、工程c)でスクリーニングされるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリは、好ましくは、所定のアミノ酸配列の類似体(ここで上記セット、コレクション又はライブラリは、所定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸も任意に含み得る)、及び特に1つ又は複数の(所定の)特異的変異の存在において互いに(及び所定の配列と)異なる類似体であるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリをコードする。特に、このような方法では、セット、コレクション又はライブラリは、所定のアミノ酸配列と比較して1つ又は複数の(所望の)特性が改善した類似体をコードするヌクレオチド配列又は核酸についてスクリーニングされ得る。
本発明は、
c)工程a)及び工程b)を通して得られるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリ由来の1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸を、それらが1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列をコードするかどうかについて試験する工程をさらに含む、上記のような方法にも関する。
さらにこの方法では、工程c)で試験されるヌクレオチド配列又は核酸は、好ましくは、所定のアミノ酸配列の類似体(ここで任意に、所定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸も試験され得る)、及び特に1つ又は複数の(所定の)特異的変異の存在において互いに(及び所定の配列と)異なる類似体であるアミノ酸配列をコードする。特に、このような方法では、1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸が、所定のアミノ酸配列と比較して1つ又は複数の特性が改善した類似体をコードするヌクレオチド配列又は核酸を同定及び/又は提供するために、試験され得る。
上で言及した工程c)の各々で、ヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリの、又は個々のヌクレオチド配列のスクリーニング及び/又は試験が、それ自体は既知の任意の好適な方法で、またスクリーニング又は試験される特性(単数又は複数)に応じて、行われ得る。概して、このような方法は、少なくとも、ヌクレオチド配列(複数可)を対応するアミノ酸配列(複数可)に適切に発現又は翻訳し、次に上記1つ又は複数の特性について上記アミノ酸配列を試験又はスクリーニングする工程を含む。
例えば、ヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリのスクリーニングのために、ヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリが、スクリーニングを容易にするために、ファージ、ファージミド、リボソーム、又は好適な微生物(酵母等)上で提示され得る。アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(のセット、コレクション又はライブラリ)を提示及びスクリーニングするための好適な方法、技法及び宿主生物は、例えば本明細書でのさらなる開示に基づき、当業者には明らかである。Nature Biotechnology, 23, 9, 1105-1116 (2005)におけるHoogenboomによる総説も参照する。
個々のヌクレオチド配列、又はヌクレオチド配列の限定的なセットは個別に発現されることもあり(例えば、好適な宿主又は宿主生物において)、その後個々のアミノ酸配列が、任意の好適な方法、技法又はアッセイ(例えば、in vitroアッセイ、細胞アッセイ若しくはin vivoアッセイ又はモデル系)を使用して、1つ又は複数の特性について試験され得る。
本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、且つ1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列をコードする、1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸を提供する方法であって、上記1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸について、上述のヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリを(すなわちそれ自体が既知の方法で)スクリーニングすることを含む、方法にも関する。
本発明はさらに、単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、且つ1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列をコードする、1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸を提供する方法であって、上述のヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリ由来のヌクレオチド配列又は核酸の1つ又は複数が、上記1つ又は複数の所望の特性を有するアミノ酸配列をコードするかどうかについて試験することを含む、方法に関する。
本発明は、これらの方法を使用して得ることができる(又は得られた)個々のヌクレオチド配列又は核酸と、このようなヌクレオチド配列又は核酸を発現させることにより得ることができる(又は得られた)個々のアミノ酸配列とにも関する。
さらに、上で言及したように、ヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリの、又は個々のヌクレオチド配列のスクリーニング及び/又は試験が、それ自体は既知の任意の好適な方法で、行われ得る。
本発明はさらに、単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリを提供する方法であって、少なくとも
a)(i)PCRアセンブリによって単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列へと集合化することができる、一連の少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含み、さらに(ii)その一連のオリゴヌクレオチドの一部分を形成する少なくとも2つのオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも一方の少なくとも1つの変異体を含む、オリゴヌクレオチドのプールを用意する工程であって、上記少なくとも1つの変異体が、1つ又は複数の特異的変異の存在において異なるアミノ酸配列をコードするという点で、上記オリゴヌクレオチド(及びまた存在する場合にはプールに存在する上記オリゴヌクレオチドの他の変異体)と異なる、用意する工程と、
b)オリゴヌクレオチドのプールをPCRアセンブリに供する工程と、
c)それ自体が既知の好適な方法で、このようにして得られた集合化したオリゴヌクレオチド配列を翻訳及び/又は発現させる工程とを含む、方法に関する。
上記の方法において、工程a)及び工程b)は、概して本明細書中に記載されており、工程c)を工程b)の後に得られた集合化したヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリを発現するために(又は上記セット、コレクション又はライブラリ由来のヌクレオチド配列の任意の1つ又は複数、特に任意の2つ以上を発現するために)、それ自体が既知の任意の好適な方法で実施することができる。さらに、本明細書中のさらなる開示を参照する。
本明細書中に記載の他の方法と同様に、工程c)の後に与えられるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは、好ましくは所定のアミノ酸配列の類似体、特に1つ又は複数の(所定の)特異的変異の存在において互いに(及び所定の配列と)異なる類似体のセット、コレクション又はライブラリ(セット、コレクション又はライブラリはまた任意で、所定のアミノ酸配列を含有し得る)である。さらに、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドを好適に選択することによって、これを達成することができる。さらにまた、所定のアミノ酸配列及びその類似体は、単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列であるのが好ましい。
したがって、別の態様において、本発明は、所定のアミノ酸配列の類似体であるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸(encode)のセット、コレクション又はライブラリを提供する方法であって、少なくとも所定のアミノ酸配列(及びまた好ましくは類似体)は、単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、この方法は少なくとも上記の工程a)〜工程c)を含み、また任意で本明細書中で言及されるさらなる工程の1つ又は複数を含む、方法に関する。この方法では、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリはまた任意で、所定のアミノ酸配列を含有し得る。
さらにまた、上記の方法において、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドは好ましくは、工程c)の後に与えられるアミノ酸配列が、免疫グロブリンフォールドを含有するか、又は免疫グロブリンフォールドを(すなわち適当な環境下でフォールディングすることによって)形成することができるような方法で選択される。
より具体的には、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドは、工程c)の後に与えられるアミノ酸配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成るように選択され得る。さらに本発明のこの態様では、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドは、工程a)の後で得られるアミノ酸配列が、フレームワーク領域(のいずれか)における1つ又は複数の(所定の)特異的変異の存在において、相補性決定領域(のいずれか)における1つ又は複数の(所定の)特異的変異の存在において、及び/又はフレームワーク領域(のいずれか)における1つ又は複数の(所定の)特異的変異と、相補性決定領域(のいずれか)における1つ又は複数の(所定の)特異的変異との両方の存在において、互いに(もし使用される場合、所定の配列と)異なるように選択され得る。
さらにまた、具体的ではあるが、非限定的な一態様によれば、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドは、工程c)の後で得られるアミノ酸配列が、免疫グロブリン可変ドメイン配列又はその好適な断片を含むか、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列、特にドメイン抗体若しくはドメイン抗体としての使用に適したアミノ酸配列、単一ドメイン抗体若しくは単一ドメイン抗体としての使用に適したアミノ酸配列、「dAb」若しくはdAbとしての使用に適したアミノ酸配列又は(好ましくは)ナノボディ(商標)(又は本明細書中でさらに規定の上記のいずれかの任意の好適な断片)を含むか、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列であるようなものである。
本発明は、上記の方法を用いて得ることができる(又は得られた)アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリにも関する。
本発明はさらに、上記の方法によって、及び/又はアミノ酸配列の上記セット、コレクション又はライブラリから得ることができる(又は得られた)個々のアミノ酸配列に関する。
本発明はさらに、
iv)1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列について、工程a)〜工程c)を通して得られるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリをスクリーニングする工程と、任意で上記1つ又は複数の所望の特性を有する、1つ又は複数のアミノ酸配列を単離する工程とをさらに含む、上記のような方法に関する。
さらにこの方法において、工程d)でスクリーニングされるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは好ましくは、所定のアミノ酸配列の類似体であるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリである(また上記セット、コレクション又はライブラリは任意で所定のアミノ酸配列を含み得る)。特に、このような方法では、セット、コレクション又はライブラリは、所定のアミノ酸配列と比較して、1つ又は複数の(所望の)特性が改善した類似体についてスクリーニングされ得る。
本発明は、
d)工程a)〜工程c)を通して得られるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリ由来の1つ又は複数のアミノ酸配列を、それらが1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するかどうかについて試験する工程をさらに含む、上記のような方法にも関する。
さらにこの方法において、工程d)で試験されるアミノ酸配列は好ましくは、所定のアミノ酸配列の類似体である(また任意で所定のアミノ酸配列を試験してもよい)。特に、このような方法では、1つ又は複数のアミノ酸配列は、所定のアミノ酸配列と比較して、1つ又は複数の特性が改善した類似体を同定及び/又は提供するために試験され得る。
上記の工程c)において、アミノ酸配列のセット、コレクション若しくはライブラリ、又は個々のアミノ酸配列のスクリーニング及び/又は試験は、それ自体が既知の任意の好適な方法で、またスクリーニング又は試験される特性(単数又は複数)に応じて実施することができる。このことは、本明細書中のさらなる開示に基づいて当業者にとって明らかである。
例えば、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリをスクリーニングするために、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは、スクリーニングを容易にするように、ファージ、ファージミド、リボソーム又は好適な微生物(酵母等)上に提示してもよい。アミノ酸配列(のセット、コレクション又はライブラリ)を提示及びスクリーニングするのに好適な方法、技法及び宿主生物は、例えば本明細書中のさらなる開示に基づいて当業者にとって明らかである。Nature Biotechnology, 23, 9, 1105-1116(2005)におけるHoogenboomによる総説も参照されたい。
また個々のアミノ酸配列は、任意の好適な方法、技法又はアッセイ(例えばin vitroアッセイ、細胞アッセイ又はin vivoアッセイ又はモデル系)を用いて1つ又は複数の特性について試験され得る。
本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、且つ1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有する、1つ又は複数のアミノ酸配列を提供する方法であって、上記1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列について、アミノ酸配列の上記セット、コレクション又はライブラリを(すなわち、それ自体が既知の方法で)スクリーニングすることを含む、方法にも関する。任意で、この方法はさらに、上記1つ又は複数の所望の特性を有する、1つ又は複数のアミノ酸配列を単離することを含む。
本発明はさらに、単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、且つ1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有する、1つ又は複数のアミノ酸配列を提供する方法であって、アミノ酸配列の上記セット、コレクション又はライブラリ由来のアミノ酸配列の1つ又は複数が、上記1つ又は複数の所望の特性を有するかどうかについて(すなわちそれ自体が既知の方法で)試験することを含む、方法に関する。
本発明は、上記の方法を用いて得ることができる(又は得られた)アミノ酸配列にも関する。
さらに上記の方法において、アミノ酸配列のセット、コレクション若しくはライブラリ、又は個々のアミノ酸配列のスクリーニング及び/又は試験は、それ自体が既知の任意の好適な方法で実施することができる。
本明細書中に記載の方法において、配列のセット、コレクション若しくはライブラリ(すなわちヌクレオチド配列若しくは核酸のセット、コレクション若しくはライブラリ、又はアミノ酸配列のセット、コレクション若しくはライブラリ)、及び/又は個々の配列(すなわちスクリーニング又は試験される個々のヌクレオチド配列又は個々のアミノ酸配列)はそれぞれ、任意の好適な又は所望の特性又は特性の組合せについてスクリーニング又は試験してもよい。
例えば、アミノ酸配列は、以下の(所望の)特性の1つ又は複数についてスクリーニング又は試験され得る(及び/又はヌクレオチド配列又は核酸は、以下の(所望の)特性の1つ又は複数を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸についてスクリーニング又は試験され得る):目的の抗原に対する親和性又は特異性(すなわち親和性成熟)、アミノ酸配列の有効性又は活性(すなわち好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ又はin vivoアッセイ又はモデル系における)、選択性、溶解性、安定性(例えば、熱安定性;貯蔵下での安定性;様々なpH値又は温度での安定性;タンパク質分解切断に対する安定性;様々な生物学的流体又は条件(例えば血清中、又は胃、腸若しくは胃腸(gastrointestingal)管の任意の他の部分でよく見られる条件)下での安定性;アミノ酸配列を含む薬学的製剤の安定性;(自動)酸化に対する耐性)、凝集しやすさ、「粘り(stickyness)」、アミノ酸配列のフォールディング、最も近縁なヒト生殖系列配列との配列同一性の程度(すなわちヒト化)、ヒト免疫系によって認識され得るエピトープの存在(すなわち脱免疫)、潜在的免疫原性(存在する場合には)、アミノ酸配列が目的の抗原との相互作用以外の1つ又は複数の相互作用(例えば別の抗原との相互作用に関する第2の結合部位の導入)の対象となることを可能にする、1つ又は複数のアミノ酸残基又はアミノ酸残基のストレッチの存在、所望の宿主又は宿主細胞における発現レベル、半減期、修飾し得る(例えばペグ化、グリコシル化、及び/又は翻訳後修飾部分として修飾し得る)部位又はアミノ酸残基の有無、(例えば生成/発現中、又は貯蔵時に)酸化を受け得る部位又はアミノ酸残基の有無、ジスルフィド架橋を形成し得るシステイン残基の有無等、細胞膜、腸壁又は血液脳関門等の生体膜又は生体障壁の透過能;又は上記のいずれかの任意の所望の組合せ及び/又は配列の任意の他の所望の特性(単数又は複数)。具体的であるが、非限定的な一態様では、アミノ酸配列は、以下の(所望の)特性の1つ又は複数についてスクリーニング又は試験され得る(及び/又はヌクレオチド配列又は核酸は、以下の(所望の)特性の1つ又は複数を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸についてスクリーニング又は試験され得る):目的の抗原に対する親和性又は特異性、目的の抗原に対する有効性又は活性(すなわち好適な細胞又はin vivoのアッセイにおける)及び/又は選択性、特に(少なくとも)スクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の目的の抗原に対する親和性又は特異性。特に、本明細書でさらに説明されるように、本発明のこの態様は、開始配列の親和性成熟に関する方法で用いられ得る。この特定の態様によれば、スクリーニングされるアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)のセット、コレクション又はライブラリは好ましくは、それぞれが4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つ相補性決定領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに(任意でもし使用されれば所定の配列と)異なるアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)のセット、コレクション又はライブラリである。同様に、1つ又は複数の個々のアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)を試験する場合、これらは、それぞれ4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つ相補性決定領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに(任意でもし使用されれば所定の配列と)異なるアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)であるのが好ましい。
具体的であるが、非限定的な別の態様において、アミノ酸配列は、以下の(所望の)特性の1つ又は複数についてスクリーニング又は試験され得る(及び/又はヌクレオチド配列又は核酸は、以下の(所望の)特性の1つ又は複数を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸についてスクリーニング又は試験され得る):安定性、凝集しやすさ、「粘り」、アミノ酸配列のフォールディング、及び/又は所望の宿主又は宿主細胞における発現レベル、特に(少なくとも)スクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の安定性、凝集しやすさ、及び/又は「粘り」。例えば、本明細書でさらに説明されるように、本発明のこの態様は、開始配列のヒト化類似体(又は代替的にラクダ化類似体)のセット、コレクション又はライブラリを生成するのに、及び/又は配列のヒト化がこれらの特性にどのような影響を与え得るか(又は代替的に配列のラクダ化がこれらの特性にどのような影響を与え得るか)を決定するのに使用してもよい。この特定の態様によれば、スクリーニングされるアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)のセット、コレクション又はライブラリは好ましくは、それぞれが4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに(任意でもし使用されれば所定の配列と)異なるアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)のセット、コレクション又はライブラリである。同様に、1つ又は複数の個々のアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)を試験する場合、これらは、それぞれ4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに(任意でもし使用されれば所定の配列と)異なるアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)であるのが好ましい。
具体的であるが、非限定的なさらに別の態様において、アミノ酸配列は、配列同一性の程度を変化させることが配列の他の特性(例えば本明細書中で言及されるさらなる特性)にどのような影響を与え得るかについて知るために、最も近縁なヒト生殖系列配列との配列同一性の程度の変化(特に改善又は増大)の影響についてスクリーニング又は試験され得る。特に、本明細書でさらに説明されるように、本発明のこの態様は開始配列のヒト化類似体のセット、コレクション又はライブラリを生成するのに、及び/又は配列の(さらなる)ヒト化が配列の特性にどのような影響を与え得るか(又は代替的に配列のラクダ化がこれらの特性にどのような影響を与え得るか)を求めるのに使用してもよい。
この特定の態様によれば、スクリーニングされるアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)のセット、コレクション又はライブラリは好ましくは、それぞれが4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに(任意でもし使用されれば所定の配列と)異なるアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)のセット、コレクション又はライブラリである。同様に、1つ又は複数の個々のアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)を試験する場合、これらは、それぞれ4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに(任意でもし使用されれば所定の配列と)異なるアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)であるのが好ましい。
具体的であるが、非限定的なさらに別の態様において、アミノ酸配列は、このようなエピトープを変異させること(又はさらには完全に若しくは部分的に除去すること)が(潜在的)免疫原性(存在する場合には)及び/又は配列の任意の他の特性(例えば本明細書中で言及されるさらなる特性)にどのような影響を与え得るかについて知るために、ヒト免疫系によって認識され得る1つ又は複数のエピトープの修飾(特に除去)の影響についてスクリーニング又は試験され得る。例えば、本明細書でさらに説明されるように、本発明のこの態様は、上記エピトープを有しない開始配列の類似体のセット、コレクション又はライブラリを生成するのに、及び/又はこれらのエピトープの1つ又は複数を除去すること(すなわち脱免疫)がこれらの特性にどのような影響を与え得るかについて求めるのに使用してもよい。この特定の態様によれば、スクリーニングされるアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)のセット、コレクション又はライブラリは好ましくは、ヒト免疫系によって認識され得るエピトープに対応するアミノ酸残基において1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列(又はこれをコードするヌクレオチド配列又は核酸)のセット、コレクション又はライブラリである。
本発明は、1つ又は複数の有益な特性、例えば安定性(例えば本明細書中に記載の方法によって得られるDNAの転写によって得ることができるRNAの安定性)又は所望の宿主若しくは宿主細胞における発現レベルを有する、1つ又は複数の核酸又はヌクレオチド配列についてスクリーニング又は試験されることができる核酸又はヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリを提供するのに用いることもできることにも留意されたい。
例えば、これらに限定されないが、本発明の方法は、遺伝コードの縮重を利用することによって、開始ヌクレオチド配列の類似体である(また好ましくは、開始配列として同じアミノ酸配列をコードする)が1つ又は複数のコドンにおいて開始配列と異なる、核酸又はヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリを提供するのに用いてもよい。それから例えば、このセット、コレクション又はライブラリ(又はこのセット、コレクション又はライブラリ由来の個々の核酸)は、所望の宿主生物において所望のアミノ酸配列の発現レベルの改善/増大を与える核酸についてスクリーニング又は試験され得る。本発明のこの態様は、例えば、所望のアミノ酸配列(すなわち開始配列によってコードされるものと同じアミノ酸配列)をコードするが、所望の宿主又は宿主生物における発現に最適である1つ又は複数のコドンを含有する、核酸を提供するのに用いてもよい。本発明のこの具体的な態様の他の用途及び使用は、本明細書中の開示に基づき当業者にとって明らかである。
さらにまた本発明は、本明細書中に記載の方法によって得ることができる(又は得られた)ヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列にも関する。
本発明はさらに、本明細書中に記載の方法によって得られたヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列とそれぞれ同じヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を有する、ヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書中に記載の方法の1つによって得ることができる(又は得られた)少なくとも1つのアミノ酸配列を含むか、又は本質的にこれらから成るタンパク質又はポリペプチドに関する。このようなタンパク質又はポリペプチドは、本明細書中でさらに記載されるようなものであってもよく、例えば本明細書でさらに説明されるように一価、多価又は多重特異性の構築物であってもよい。
さらに別の態様において、本発明は、本明細書中に記載の方法の1つによって得ることができる(又は得られた)少なくともヌクレオチド配列又は核酸を含むか、又は本質的にこれらから成るヌクレオチド配列又は核酸に関する。このようなヌクレオチド配列又は核酸は、本明細書中でさらに記載されるようなものであってもよく、例えば遺伝的構築物形態であってもよい。
本明細書で説明される本発明の他の態様、実施の形態、用途、使用及び利点は、本明細書中のさらなる記載から明らかになるだろう。
発明のさらなる説明
本明細書、実施例及び特許請求の範囲において:
a)特に他に指示又は規定がなければ、使用される全ての用語は、当業者にとって明らかな、当該技術分野における通常の意味を有する。例えば標準的なハンドブック(例えばSambrook et al, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual"(2nd.Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring HarborLaboratory Press(1989)、F.Ausubel et al, eds., "Current protocols in molecular biology", GreenPublishing and Wiley Interscience, New York(1987)、Lewin, "Genes II", John Wiley & Sons, New York, N.Y.,(1985)、Old et al., "Principles of GeneManipulation: An Introduction to Genetic Engineering", 2nd edition,University of California Press, Berkeley, CA(1981)、Roitt et al., "Immunology"(6th.Ed.), Mosby/Elsevier, Edinburgh(2001)、Roitt et al., Roitt's EssentialImmunology, 10th Ed. Blackwell Publishing, UK(2001)、及びJaneway et al., "Immunobiology"(6th Ed.), Garland SciencePublishing/Churchill Livingstone, New York(2005))、並びに本明細書で引用される一般的な背景技術を参照する。
b)特に他に指示がなければ、用語「免疫グロブリン配列」は、本明細書で重鎖抗体を表すのに使用されるのか又は従来の4鎖抗体を表すのに使用されるかに関係なく、全長抗体、その個々の鎖、及びその全ての部分、ドメイン又は断片(それぞれVHHドメイン又はV/Vドメイン等の抗原結合ドメイン又は断片を含むがこれらに限定されない)の両方を含む一般的な用語として使用される。加えて、(例えば「免疫グロブリン配列」、「抗体配列」、「可変ドメイン配列」、「VHH配列」又は「タンパク質配列」等の用語で)本明細書で使用される用語「配列」は一般的に、文脈上さらなる限定的な解釈が要求される場合を除き、関連のアミノ酸配列と、これをコードする核酸又はヌクレオチド配列との両方を含むと理解されるべきである。
c)特に他に指示がなければ、具体的に詳しく説明されていない全ての方法、工程、技法及び操作を実施することができ、当業者にとって明らかなように、それ自体が既知の方法で実施される。また例えば、標準的なハンドブック及び本明細書で言及される一般的な背景技術、並びに本明細書で引用されるさらなる参考文献並びに例えば以下の総説、Presta, Adv. Drug Deliv. Rev. 2006, 58 (5-6): 640-56、Levin and Weiss, Mol. Biosyst.2006, 2(1): 49-57、Irving et al., J.Immunol. Methods, 2001, 248(1-2), 31-45、Schmitzet al., Placenta, 2000, 21 Suppl. A, S106-12、Gonzaleset al., Tumour Biol., 2005, 26(1), 31-43(これらは、親和性成熟等のタンパク質工学技法及び免疫グロブリン等のタンパク質の特異性及び他の所望の特性を改善する他の技法を記載している)を参照する。
d)アミノ酸残基は、表A−2に言及されるように標準的な3文字アミノ酸コード又は1文字アミノ酸コードに従って示す。
表A−2:1文字アミノ酸コード及び3文字アミノ酸コード
Figure 2010531656
e)2つ以上のヌクレオチド配列を比較するために、[第2のヌクレオチド配列における対応する位置のヌクレオチドと同一な第1のヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの数]を[第1のヌクレオチド配列におけるヌクレオチド総数]で除算し、[100%]で乗算することによって、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列との間の「配列同一性」のパーセントを算出することができ、ここで第1のヌクレオチド配列と比較して、第2のヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの欠失、挿入、置換又は付加のそれぞれは、単一ヌクレオチド(位置)での差異と考えられる。
代替的に、標準的な設定を用いるNCBI Blast v2.0等の配列アラインメント用の既知のコンピュータアルゴリズムを使用して、2つ以上のヌクレオチド配列間の配列同一性の程度を算出することができる。
配列同一性の程度を決定するための幾つかの他の技法、コンピュータアルゴリズム及び設定は例えば、国際公開第04/037999号パンフレット、欧州特許第0967284号明細書、欧州特許第1085089号明細書、国際公開第00/55318号パンフレット、国際公開第00/78972号パンフレット、国際公開第98/49185号パンフレット及び英国特許出願公開第2357768号明細書に記載されている。
通常、上で概説した算出方法に従って、2つのヌクレオチド配列間の「配列同一性」のパーセントを決定するために、最も多数のヌクレオチドを有するヌクレオチド配列を「第1の」ヌクレオチド配列とし、他のヌクレオチド配列を「第2の」ヌクレオチド配列とする。
f)2つ以上のアミノ酸配列を比較するために、[第2のアミノ酸配列における対応する位置のアミノ酸残基と同一な第1のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の数]を[第1のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基総数]で除算し、[100%]で乗算することによって、第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列との間の「配列同一性」(本明細書で「アミノ酸同一性」とも称される)のパーセントを算出することができ、ここで第1のアミノ酸配列と比較して、第2のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の欠失、挿入、置換又は付加のそれぞれは、単一アミノ酸残基(位置)での差異、すなわち本明細書に規定の「アミノ酸差異」と考えられる。
代替的に、ここでもまた標準的な設定を用いて、既知のコンピュータアルゴリズム(例えばヌクレオチド配列に関する配列同一性の程度を決定するための、上で言及したもの)を使用して、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度を算出することができる。
通常、上で概説した算出方法に従って、2つのアミノ酸配列間の「配列同一性」のパーセントを決定するために、最も多数のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を「第1の」アミノ酸配列とし、他のアミノ酸配列を「第2の」アミノ酸配列とする。
また、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度を決定する際、当業者は、いわゆる「保存的な」アミノ酸置換を考慮してもよく、これは一般的に、或るアミノ酸残基が同様の化学構造を有する別のアミノ酸残基に置き換わり、且つポリペプチドの機能、活性又は他の生物学的特性への影響がほとんど、又は本質的に全くないアミノ酸置換と説明することができる。このような保存的なアミノ酸置換は、例えば国際公開第04/037999号パンフレット、英国特許出願公開第3357768号明細書、国際公開第98/49185号パンフレット、国際公開第00/46383号パンフレット及び国際公開第01/09300号パンフレットから当該技術分野において既知であり、このような置換の(好ましい)種類及び/又は組合せは、国際公開第04/037999号パンフレット及び国際公開第98/49185号パンフレットからの、並びに本明細書で引用されるさらなる参考文献からの関連の教示に基づいて、選択することができる。
このような保存的置換は、好ましくは以下の(a)群〜(e)群内の或るアミノ酸が、同じ群内の別のアミノ酸残基に置換される置換である:(a)低分子脂肪族で非極性又はわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro及びGly、(b)極性で負に荷電した残基及びこれらの(非荷電)アミド:Asp、Asn、Glu及びGln、(c)極性で正に荷電した残基:His、Arg及びLys、(d)巨大な脂肪族で非極性の残基:Met、Leu、Ile、Val及びCys、並びに(e)芳香族残基:Phe、Tyr及びTrp。
特に好ましい保存的置換は以下のようなものである:AlaをGlyに又はSerに、ArgをLysに、AsnをGlnに又はHisに、AspをGluに、CysをSerに、GlnをAsnに、GluをAspに、GlyをAlaに又はProに、HisをAsnに又はGlnに、IleをLeuに又はValに、LeuをIleに又はValに、LysをArgに、Glnに又はGluに、MetをLeuに、Tyrに又はIleに、PheをMetに、Leuに又はTyrに、SerをThrに、ThrをSerに、TrpをTyrに、TyrをTrpに、及び/又はPheをValに、Ileに又はLeuに。
本明細書に記載のポリペプチドに適用される任意のアミノ酸置換はまた、Schulzet al., Principles of Protein Structure, Springer-Verlag, 1978によって開発された異なる種の相同タンパク質間のアミノ酸変異頻度の解析に、Chou and Fasman, Biochemistry 13: 211, 1974及びAdv. Enzymol., 47: 45-149, 1978によって開発された構造形成ポテンシャル(structure forming potentials)の解析に、並びにEisenberget al., Proc. Nad. Acad Sci. USA 81: 140-144, 1984、Kyte & Doolittle; J Molec. Biol. 157: 105-132, 1981、及びGoldman et al., Ann. Rev. Biophys. Chem. 15: 321-353, 1986によって開発されたタンパク質における疎水性パターンの解析に基づき得る(全て全体が参照により本明細書に援用される)。ナノボディの一次構造、二次構造、及び三次構造に関する情報は、本明細書中の記載及び上で引用された一般的な背景技術で与えられる。またこのため、ラマ由来のVHHドメインの結晶構造は例えば、Desmyter et al., Nature Structural Biology, Vol. 3, 9, 803(1996)、Spinelli et al., Natural StructuralBiology(1996); 3, 752-757、及びDecanniere et al., Structure, Vol. 7, 4, 361(1999)によって与えられる。従来のVドメインにおいてこれらの位置でV/V界面及び潜在的なラクダ化置換を形成する幾つかのアミノ酸残基に関するさらなる情報は、上で引用された従来技術で見出すことができる。
g)アミノ酸配列及び核酸配列は、その全長にわたって(本明細書に規定のように)100%の配列同一性を有する場合、「全く(exactly)同じ」であると言う。
h)2つのアミノ酸配列を比較するとき、用語「アミノ酸差異」は、第2の配列と比較して第1の配列の位置での単一アミノ酸残基の挿入、欠失又は置換を表し、2つのアミノ酸配列は、1つ又は2つ以上のこのようなアミノ酸差異を含有し得ることが理解される。
i)ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列が、別のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列をそれぞれ「含む」、又は別のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列「から本質的に成る」と言うとき、これは、後者のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列が、それぞれ初めに言及したヌクレオチド配列又はアミノ酸配列に組み込まれていることを意味し得るが、より一般的には、これは概して、それぞれ初めに言及したヌクレオチド配列又はアミノ酸配列が、実際に初めに言及した配列をどのようにして生成又は入手するか(例えば本明細書に記載の任意の好適な方法によるものであり得る)に関係なく、それぞれ後者の配列と同じヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を有するヌクレオチド又はアミノ酸残基のストレッチをその配列内に含むことを意味する。非限定的な例によって、本発明のナノボディがCDR配列を含むと言うとき、これは該CDR配列が本発明のナノボディに組み込まれていることを意味し得るが、より一般的には、これは概して、本発明のナノボディが、該本発明のナノボディをどのようにして生成又は入手するかに関係なく、該CDR配列と同じアミノ酸配列を有するアミノ酸残基のストレッチをその配列内に含有することを意味する。後者のアミノ酸配列が特異的な生物学的又は構造的な機能を有する場合、初めに言及したアミノ酸配列において本質的に同じ、類似の又は同等の生物学的又は構造的な機能を有するのが好ましい(言い換えれば、初めに言及したアミノ酸配列は、後者の配列が本質的に同じ、類似の又は同等の生物学的又は構造的な機能を果たすことができるようなものであるのが好ましい)ということにも留意すべきである。例えば、本発明のナノボディがそれぞれ、CDR配列又はフレームワーク配列を含むと言うとき、CDR配列及びフレームワーク配列はそれぞれ、該ナノボディ中でCDR配列又はフレームワーク配列として機能することができるのが好ましい。また、ヌクレオチド配列が別のヌクレオチド配列を含むというとき、初めに言及したヌクレオチド配列は、発現産物(例えばポリペプチド)を発現する場合、後者のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列が該発現産物の一部を形成するようなもの(言い換えれば後者のヌクレオチド配列が、初めに言及したより大きなヌクレオチド配列と同じリーディングフレーム内にあるようなもの)であるのが好ましい。
j)核酸又はアミノ酸配列は、該供給源又は媒体に通常関連がある少なくとも1つの他の成分(例えば別の核酸、別のタンパク質/ポリペプチド、別の生物学的成分、又は巨大分子、又は少なくとも1つの汚染物質、不純物若しくは微量成分)から分離されている場合、(例えばその天然の生物学的供給源及び/又はそれが得られる反応媒体又は培養媒体と比較して)「本質的に単離された(形態)」と見なされる。特に、核酸又はアミノ酸配列は、少なくとも2倍、具体的に少なくとも10倍、より具体的に少なくとも100倍、及び最大1000倍以上精製されている場合に、「本質的に単離された」と考えられる。「本質的に単離された形態である」核酸又はアミノ酸配列は、好適な技法、例えば好適なクロマトグラフィ技法(例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動法)を使用して決定されたものと、本質的に相同であるのが好ましい。
k)本明細書で使用される用語「ドメイン」は概して、アミノ酸配列の球状領域(例えば抗体鎖、及び特に重鎖抗体の球状領域)、又は本質的にこのような球状領域から成るポリペプチドを表す。通常、このようなドメインは、例えばシートとして、又はジスルフィド結合によって安定化したペプチドループ(例えば3つ又は4つのペプチドループ)を含む。用語「結合ドメイン」は(本明細書で規定されるように)抗原決定基に指向性を有するようなドメインを表す。
l)用語「抗原決定基」は、抗原結合分子(例えば本発明のナノボディ又はポリペプチド)によって、及びより具体的には該分子の抗原結合部位によって認識される抗原上のエピトープを表す。用語「抗原決定基」及び「エピトープ」は、本明細書で区別なく使用することもできる。
m)特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質(又はその少なくとも1つの部分、断片若しくはエピトープについて)と(特異的に)結合することができる、特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質に対する親和性を有する、及び/又は特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質に対する特異性を有するアミノ酸配列(例えば本発明のナノボディ、抗体、ポリペプチド、又は概して抗原結合タンパク質若しくはポリペプチド、又はそれらの断片)は、該抗原決定基、該エピトープ、該抗原又は該タンパク質「に対する」、又は「に指向性を有する」と言う。
n)用語「特異性」は、特定の抗原結合分子又は抗原結合タンパク質(例えば本発明のナノボディ又はポリペプチド)分子が結合することができる、様々な種類の抗原又は抗原決定基の数を表す。抗原結合タンパク質の特異性は、親和性及び/又は結合活性に基づき決定することができる。親和性(抗原と抗原結合タンパク質との解離に関する平衡定数(K)によって表される)は、抗原決定基と抗原結合タンパク質上の抗原結合部位との間の結合力に関する評価基準であり、K値が小さくなれば、抗原決定基と抗原結合分子との間の結合力が大きくなる(代替的に、親和性は、1/Kである親和性定数(K)としても表すことができる)。(例えば本明細書中のさらなる開示に基づき)当業者にとって明らかなように、対象となる特異的な抗原に応じて、それ自体が既知の方法で親和性を決定することができる。結合活性は、抗原結合分子(例えば本発明のナノボディ又はポリペプチド)と関連抗原との間の結合力の測定基準である。結合活性は、抗原決定基と抗原結合分子上でのその抗原結合部位との間の親和性、及び抗原結合分子上に存在する関連結合部位の数の両方に関係する。典型的には、抗原結合タンパク質(例えば本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチド)は、10−5モル/L〜10−12モル/L以下、及び好ましくは10−7モル/L〜10−12モル/L以下、及びより好ましくは10−8モル/L〜10−12モル/Lの解離定数(K)で(すなわち、10L/モル〜1012L/モル以上、及び好ましくは10L/モル〜1012L/モル以上、及びより好ましくは10L/モル〜1012L/モルの結合定数(K)で)これらの抗原と結合する。10モル/Lより大きい任意のK値(すなわち、10−1(L/モル)よりも小さい任意のK値)は非特異的な結合を示すと一般的に考えられる。好ましくは、本発明の一価の免疫グロブリン配列は、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(500pM未満等)の親和性で所望の抗原と結合する。抗原結合タンパク質と抗原又は抗原決定基との特異的な結合は、それ自体が既知の任意の好適な方法(例えばスキャッチャード解析及び/又は競合的結合アッセイ(例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)及びサンドイッチ競合アッセイ)を含む)、及び当該技術分野でそれ自体が既知の様々なその変更方法、並びに本明細書で言及する他の技法で求めることができる。
当業者にとって明らかなように、解離定数は実際又は見掛けの解離定数であってもよい。解離定数を決定する方法は、当業者にとって明らかであり、例えば本明細書で言及される技法が含まれる。これについて、10−4モル/L又は10−3モル/Lより(then)大きい(例えば10−2モル/Lの)解離定数を測定することが不可能であり得ることも明らかである。任意に、また当業者にとって明らかなように、(実際又は見掛けの)解離定数は、その関係性(K=1/K)から(実際又は見掛けの)結合定数(K)に基づき算出することができる。
親和性は、分子相互作用の強さ又は安定性を示す。一般的に親和性はKすなわち解離定数として与えられ、その単位はモル/L(又はM)である。親和性は、1/Kに等しい結合定数Kと表すこともでき、その単位は(モル/L)−1(又はM−1)である。本明細書では、2つの分子(例えば本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドと、その目的標的との)間の相互作用の安定性は主に、これらの相互作用のK値で表され、K=1/Kの関係性を考慮して、K値で分子相互作用の強さを特定することを、対応するK値を算出するのに使用することもできることは、当業者にとって明らかである。K値は、DG=RT.ln(K)(等しくはDG=−RT.ln(K))(式中、Rは気体定数に等しく、Tは絶対温度に等しく、lnは自然対数を示す)の既知の関係性から、結合の自由エネルギー(DG)と関連するので、熱力学的意味でも分子相互作用の強さを特徴付ける。
有意(例えば特異的)と見なされる、生物学的相互作用に関するKは典型的に、10−10M(0.1nM)〜10−5M(10000nM)の範囲内である。相互作用が強くなれば、Kは低くなる。
は、(K=koff/kon及びK=kon/koffのように)複合体の解離速度定数(koffと表される)と、その結合速度(konと表される)との比として表すこともできる。解離速度(off-rate)koffの単位は、s−1(sは秒のSI単位表記である)である。結合速度(on-rate)konの単位は、M−1−1である。結合速度は、10−1−1〜約10−1−1の間で変化し、二分子相互作用に関する拡散律速結合速度定数に近づき得る。解離速度は、t1/2=ln(2)/koffの関係性から所定の分子相互作用の半減期に関連する。解離速度は、10−6−1(t1/2が数日である略不可逆的な複合体)〜1s−1(t1/2=0.69s)の間で変化し得る。
2つの分子間の分子相互作用の親和性は、それ自体が既知の様々な技法(例えば既知の表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサ技法(例えばOber et al., Intern. Immunology, 13, 1551-1559, 2001を参照されたい)(ここで、1つの分子がバイオセンサーチップ上に固定化され、もう1つの分子が、kon、koff測定値、及びしたがってK(又はK)値が得られるフロー条件下で固定化した分子上を通る)により測定することができる。例えば、既知のBIACOREの機器を使用してこれを実施することができる。
測定プロセスが、例えば1つの分子のバイオセンサ上でのコーティングに関するアーチファクト(artefact:人工産物)によって、示唆した分子の固有の結合親和性に幾らか影響を与える場合、測定されたKは見掛けのKに対応し得ることも、当業者にとって明らかである。また、1つの分子が、もう1つの分子に対する2つ以上の認識部位を含有する場合、見掛けのKを測定することができる。このような状況下で、測定された親和性は、2つの分子による相互作用の結合活性により影響され得る。
親和性を評価するのに使用することができる別のアプローチは、Friguet etal.(J. Immunol. Methods, 77, 305-19, 1985)の2段階ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)法である。この方法によって、溶液相の結合平衡測定が確立され、プラスチック等の支持体上での分子の1つの吸着に関連すると考え得るアーチファクトが避けられる。
しかし、Kの正確な測定はかなりの労働集約型である可能性があり、結果として2つの分子の結合力を評価するのに、見掛けのK値を求めることが多い。全ての測定が一貫して(例えばアッセイ条件を一定にして)行われていれば、見掛けのK測定値は真のKの近似値として使用することができ、したがって本明細書で、K及び見掛けのKは、等しい重要性又は関連性があるとして処理されるべきであることに留意すべきである。
最後に、多くの状況下で、経験豊かな科学者は、幾つかの参照分子と比較して結合親和性を決定することが便利であると判断することができることに留意すべきである。例えば、分子Aと分子Bとの間の結合力を評価するために、例えば、分子Bと結合することが知られており、且つELISA又はFACS(蛍光活性化細胞選別)での検出を容易にするためのフルオロフォア若しくはクロモフォア群、又は他の化学部分(例えばビオチン)、又は他のフォーマット(蛍光検出用フルオロフォア、吸光検出用クロモフォア、ストレプトアビジン媒介性ELISA検出用ビオチン)で好適に標識される参照分子Cを使用することができる。典型的に、参照分子Cは固定濃度に維持し、分子Aの濃度は、分子Bの所定の濃度又は量に対して変化する。結果として、分子Aの非存在下で分子Cについて測定されたシグナルが半分になる分子Aの濃度に対応して、IC50値が得られる。参照分子のKであるKDref及び参照分子の総濃度crefが既知であれば、以下の式:K=IC50/(1+cref/KDref)からA−B相互作用に対する見掛けのKを得ることができる。cref<<KDrefの場合、K≒IC50であることに留意されたい。IC50の測定が、比較用の結合因子について一貫して(例えばcrefを一定にして)実施されれば、IC50によって分子相互作用の強さ又は安定性を評価することができ、この測定値は、本明細書を通してK又は見掛けのKと同等であると判断される。
o)本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドの半減期は概して、例えば自然機構による配列若しくは化合物の分解、及び/又は配列若しくは化合物のクリアランス若しくは捕捉(sequestration)のために、in vivoでアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドの血清濃度が50%低減するのにかかる時間と定義することができる。本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのin vivoでの半減期は、それ自体が既知の任意の方法(例えば薬物動態解析)で求めることができる。好適な技法は当業者にとって明らかであり、例えば概して、好適な用量の本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドを温血動物(すなわち、ヒト又は別の好適な哺乳動物、例えばマウス、ウサギ、ラット、ブタ、イヌ又は霊長類(例えばマカク属のサル(例えば特にカニクイザル(マカク・ファシクラリス(Macaca fascicularis))及び/又はアカゲザル(マカク・ムラット(Macacamulatta)))及びヒヒ(パピオ・ウルジヌス(Papio ursinus))))に好適に投与する工程と、血液サンプル又は他のサンプルを該動物から採取する工程と、該血液サンプル中の本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのレベル又は濃度を求める工程と、このようにして得られたデータ(のプロット)から本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのレベル又は濃度が投与時の最初のレベルと比較して50%低減するまでの時間を算出する工程とを含み得る。例えば、以下の実験部部分、及び標準的なハンドブック(例えばKenneth, A et al: Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbookfor Pharmacists、及びPeters et al, Pharmacokinete analysis:A Practical Approach(1996))を参照する。"Pharmacokinetics", M Gibaldi & D Perron, published byMarcel Dekker, 2nd Rev. edition(1982)も参照する。
また当業者にとって明らかなように(例えば国際公開第04/003019号パンフレットの6頁及び7頁とそこで引用したさらなる参考文献とを参照されたい)、半減期は、t1/2−α、t1/2−β及び曲線下面積(AUC)等のパラメータを使用して表すことができる。本明細書において、「半減期の増大」は、これらのパラメータのいずれか1つ、例えばこれらのパラメータのいずれか2つ、又は本質的に3つの全てのこれらのパラメータの増大を表す。本明細書で使用される「半減期の増大」又は「増大した半減期」は、特にt1/2−βの増大を表し、t1/2−α及び/又はAUCのいずれか又は両方は増大しても又は増大しなくてもよい。
p)本明細書でさらに記載されるように、ナノボディにおけるアミノ酸残基の総数は、110〜120の範囲内であることがあり、好ましくは112〜115であり、及び最も好ましくは113である。しかし、ナノボディの部分、断片、類似体又は誘導体(本明細書中にさらに記載される)は、本明細書に概説されるさらなる要求を満たし且つ好ましくは本明細書に記載の目的にも好適であれば、その長さ及び/又はサイズについて特に限定されないことに留意すべきである。
q)ナノボディのアミノ酸残基は、Riechmannand Muyldermans, J. Immunol. Methods 2000 Jun 23; 240 (1-2):185-195の論文(例えば本明細書の図2を参照されたい)においてラクダ由来のVHHドメインに適用されるように、又は本明細書で参照されるように、Kabat et al. ("Sequence of proteins ofimmunological interest", US Public Health Services, NIH Bethesda, MD,Publication No. 91)によって与えられるVドメインに関する一般的なナンバリングに従って数字が付けられる。このナンバリングに従うと、ナノボディのFR1は1位〜30位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR1は31位〜35位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR2は36位〜49位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR2は50位〜65位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR3は66位〜94位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR3は95位〜102位にアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR4は103位〜113位にアミノ酸残基を含む。[これについて、Vドメイン及びVHHドメインについて当該技術分野で既知のように、CDRそれぞれにおけるアミノ酸残基の総数は変わる可能性があり、カバットナンバリングで示されるアミノ酸残基の総数に対応していなくてもよい(すなわちカバットナンバリングによる1つ又は複数の位置が実際の配列で占められていなくてもよく、又は実際の配列が、カバットナンバリングにより許容される数より多くのアミノ酸残基を含んでいてもよい)ことに留意すべきである。このことは、概してカバットによるナンバリングは、実際の配列におけるアミノ酸残基の実際のナンバリングに対応していても、又は対応していなくてもよいことを意味する。しかし一般的に、CDRにおけるアミノ酸残基の数に関係なく、カバットナンバリングに従うと、カバットナンバリングによる1位はFR1の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる36位はFR2の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる66位はFR3の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる103位はFR4の出発点に対応する(逆もまた同様)ということができる]。
ドメインのアミノ酸残基に数字を付ける代替方法(この方法は、類似の方法でラクダ由来のVHHドメインと、ナノボディとに適用することもできる)は、Chothia et al.(Nature 342, 877-883(1989))によって説明される方法、いわゆる「AbM定義」及びいわゆる「接触定義」である。しかし本明細書、特許請求の範囲及び図面では、特に他に指示がなければ、Riechmann and MuyldermansによってVHHドメインに適用されるようなカバットによるナンバリングに従う。
r)本出願の目的のために、「相補性決定領域(CDR)中に、又は近接して」は、CDR1が27位〜35位(カバットナンバリング体系を使用)にアミノ酸残基を含み、CDR2が50位〜65位(又は65位未満(例えば58位))にアミノ酸残基を含み、CDR3が95位〜102位にアミノ酸残基を含むことを意味する。
s)図面、配列表及び実験部部分/実施例は、本発明をさらに例示するためだけに与えられ、特に他に明確に本明細書中に指示がなければ、本発明の範囲及び/又は添付の特許請求の範囲を限定するものとしては決して解釈又は理解すべきではない。
本発明の基礎を成す原理は、非限定的な図1により概略的に例示され、該図1は、PCRアセンブリにより、アミノ酸配列(2)(単一抗原結合ドメインとして使用され得るアミノ酸配列である)をコードするヌクレオチド配列(1)へと集合化され得る一連のオリゴヌクレオチド(a)〜(e)を含むオリゴヌクレオチドのプールを示す。オリゴヌクレオチド(a)〜(e)に加えて、該プールは、それぞれ、図1に(b)、(b)、(b)、並びに(d)、(d)及び(d)としてそれぞれ示される、オリゴヌクレオチド(b)及び(d)の多数の変異体も含有する。オリゴヌクレオチド(b)の変異体(b)、(b)、(b)は、それらの各々が、1つ又は複数の特異的変異(本明細書中で規定)(特異的変異は図1で点、四角形又は三角形により概略的に示される)の存在により、オリゴヌクレオチド(b)によりコードされるアミノ酸配列と、及び該プールの一部分として使用されるオリゴヌクレオチド(b)の他の変異体によりコードされるアミノ酸配列とも、異なるアミノ酸配列をコードするという点において、オリゴヌクレオチド(b)と異なる。同様に、オリゴヌクレオチド(d)の変異体(d)、(d)、(d)は、それらの各々が、1つ又は複数の特異的変異(これも図1で点、四角形又は三角形により概略的に示される)の存在により、オリゴヌクレオチド(d)によりコードされるアミノ酸配列と、及び該プールの一部分として使用されるオリゴヌクレオチド(d)の他の変異体によりコードされるアミノ酸配列とも、異なるアミノ酸配列をコードするという点において、オリゴヌクレオチド(d)と異なる。オリゴヌクレオチドのプールがPCRアセンブリに供されると、その産物は、各々がアミノ酸配列(2)の様々な類似体(それぞれ、2、2、2、2等として図1に示される)(各類似体が、1つ又は複数の特異的変異の存在により、アミノ酸配列(2)と、及びPCRアセンブリ後に得られる他の類似体と、異なる)をコードする一連のヌクレオチド配列(それぞれ、1、1、1、1等として図1に示される)である。この産物は、各々が単一抗原結合ドメインとしての使用に適し又は使用を意図し、且つ1つ又は複数の特異的変異の存在により互いに異なる、アミノ酸配列(2、2、2、2、2等)のセット、コレクション又はライブラリである。このセット、コレクション又はライブラリ(又はその中に存在する個々のアミノ酸配列2、2、2、2、2等)は、1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の任意の好適な組合せ)の存在についてその後試験又はスクリーニングすることができる。
通常、本発明の実施においては、特異的変異(複数可)(本明細書中で規定)は、別のアミノ酸残基により変更(本明細書中で規定)すべき位置に存在するアミノ酸残基の置換を含む。しかし、本発明によると、最も広い意味で、特異的変異(本明細書中で規定)は、変更(本明細書中で規定)すべき位置に存在するアミノ酸残基の欠失を含むこともあり、又は変更すべき位置でのアミノ酸残基の挿入を含むことがあることに留意すべきである。
上でも言及したように、好ましいが非限定的な一態様によると、本発明は、一連の既知の又は所定の開始配列の類似体を提供するために使用することができ、該類似体は1つ又は複数の(所定の)特異的変異(本明細書中で規定)の存在において開始配列と(及び互いに)異なり、該類似体は1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)について試験又はスクリーニングすることができる。工程a)で使用するオリゴヌクレオチドがどのようにして選択されるかに応じて、本明細書で説明される方法が、集合化したヌクレオチド配列(該集合化したヌクレオチド配列の1つが所定のアミノ酸配列をコードしており、1つ又は複数のさらなるヌクレオチド配列が各々上記所定のアミノ酸配列の類似体をコードする)のセット、コレクション又はライブラリをもたらすことが多いことは、当業者には明らかである。それによりその後の類似体の試験又はスクリーニングにおいて所定の配列を基準として使用することが可能となるので、このことは通常、実施においては好ましい。しかし所望に応じて、所定の配列の類似体のみをコードするヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリへと集合化することができるように、工程a)で使用するオリゴヌクレオチドを選択することも可能である。
概して、本明細書で説明される方法は、開始配列の任意の所望の特性、又は特性の組合せを修正するために(又は修正を試行するために)、及び特に改善するために(又は改善を試行するために)使用することができ、また、このような特性又は特性の組合せは、本明細書中の開示に基づき当業者には明らかである。概して、このような特性は、対象となるアミノ酸配列(の一次配列)(該対象となるアミノ酸配列は、勿論、アミノ酸配列の二次構造及び/又は三次構造に影響を及ぼし、その結果アミノ酸配列の特性に影響を及ぼすこともある)における1つ又は複数の特定のアミノ酸残基の有無により決定又は影響される特性である。これらの特性は、例えば、目的の抗原に対する親和性若しくは特異性(これは、本明細書で説明される方法が開始配列の親和性成熟に使用されることを意味する)、有効性若しくは活性(すなわち、好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ若しくはin vivoアッセイ又はモデル系における)、選択性、溶解性、安定性(例えば、熱安定性、貯蔵下での安定性、様々なpH値での安定性、及び/又は様々な生物学的流体又は条件(血清又は腸等)での安定性、アミノ酸配列を含む薬学的調製物の安定性、(自動)酸化への耐性)、凝集しやすさ、「粘り」、アミノ酸配列のフォールディング、最も近縁なヒト(及び/又はラマ若しくはラクダ)生殖細胞配列(これは、本明細書で説明される方法が、開始配列のヒト化又はラクダ化のために、及び配列の特性に及ぼすそれらの影響(本明細書で言及した1つ又は複数のさらなる特性に及ぼすそれらの影響等)を決定するために、使用され得ることを意味する)との配列同一性の程度、ヒト免疫系により認識され得るエピトープの存在、(存在する場合には)配列の潜在的な免疫原性(これは、本明細書で説明される方法が、脱免疫のために、及び配列の特性に及ぼすそれらの影響(本明細書で言及した1つ又は複数のさらなる特性に及ぼすそれらの影響等)を決定するために、使用されることを意味する)、アミノ酸配列が目的の抗原との相互作用以外の1つ又は複数の相互作用の対象となることを可能にする1つ又は複数のアミノ酸残基若しくはアミノ酸残基のストレッチの存在(これは、本発明の方法が、例えば、別の抗原との相互作用のための第2の結合部位を導入するために使用され得ることを意味する)、所望の宿主若しくは宿主細胞における発現レベル、半減期、修飾(例えば、ペグ化、グリコシル化(glycolysated)、及び/又は翻訳後修飾の一部分として修飾)することができる部位若しくはアミノ酸残基の有無、酸化されやすい(例えば、製造時/発現時に又は貯蔵下で)部位若しくはアミノ酸残基の有無、ジスルフィド架橋を形成し得るシステイン残基の有無等、又は上述のいずれかの特性の任意の所望の組合せを含む。その際、目的は、1つ又は複数のこれらの特性を改善すること、及び/又は2つ以上のこれらの特性の間の適正なバランスを確立することのいずれかであり得る。
本明細書で説明される方法を使用して生成されるアミノ酸配列がフレームワーク領域及び相補性決定領域を含む場合には、任意の1つ又は複数のフレームワーク領域に、任意の1つ又は複数の相補性決定領域に、又は任意のフレームワーク領域と任意の相補性決定領域との両方に、1つ又は複数の特異的変異が存在し得ることも、当業者には明らかである。
非限定的な一態様では、1つ又は複数の特異的変異は、フレームワーク領域にのみ存在する。別の非限定的な態様では、1つ又は複数の特異的変異は、フレームワーク領域にのみ存在する。
上で列挙した特定の特性の幾つかを修正又は改善することを意図する場合には、この目的のために、フレームワーク領域の特異的変異(すなわち、フレームワーク領域における位置を「変更」すること)が好ましいことがあることも、当業者には明らかである。同様に、他の特定の特性の幾つかを修正又は改善する目的のために、相補性決定領域の特異的変異(すなわち、相補性決定領域における位置を「変更」すること)が好ましいことがある。また、勿論、2つ以上のこのような特性の組合せを修正又は改善する目的のために、フレームワーク領域と相補性決定領域との両方に特異的変異を有すること(すなわち、フレームワーク領域と相補性決定領域との両方における位置を「変更」すること)が好ましいことがある。
概して、本明細書における開示と引用した従来技術とに基づき、フレームワーク領域におけるアミノ酸の位置又は相補性決定領域におけるアミノ酸の位置がアミノ酸配列の特定の特性と関連するかどうかと、及びしたがってフレームワーク領域におけるアミノ酸の位置又は相補性決定領域におけるアミノ酸の位置を上記特性を修正又は改善することを試行するために変更(本明細書中で規定)することができる(又はする必要がある)可能性のある位置として(can)選択すべき(should chosen)かどうかとは、当業者には明らかである。
本明細書における開示と引用した従来技術とに基づき、異なる代表的なクラスのアミノ酸配列間で、アミノ酸配列中の或る特定の位置が高度に保存され得ることも、当業者には明らかである。例えば、ナノボディについては、以下の表A−5から分かるように、4位、9位、22位、38位及び86位のアミノ酸残基等のアミノ酸残基は、本質的に0のVHHエントロピーと、本質的に1のVHH変動性(variability)とを示し、本明細書で説明される方法によりこれらの位置を変更(本明細書中で規定)することは除外されないが、特定の場合にはこれらの位置は、特異的変異(本明細書中で規定)を導入するための最も好ましい候補ではないことがある。
本明細書における開示と引用した従来技術とに基づき、或る特定の特異的なアミノ酸位置又はアミノ酸残基(フレームワーク領域、及び/又は相補性決定領域のいずれかにおける)がアミノ酸配列の特定の特性と関連する、又は関連し得るかどうかと、したがって上記特異的な位置又はアミノ酸残基を上記特性を修正又は改善することを試行するために変更(本明細書中で規定)すべきであるかどうかとは、当業者にとってさらに明らかであることもある。
したがって、本明細書における開示に基づき、また修正又は改善すべき特性(単数又は複数)に応じて、当業者は、特異的変異(本明細書中で規定)の導入に対する好適な候補であるアミノ酸配列における特定のアミノ酸位置を、任意に限定的な程度の試行錯誤を行った後で、すなわち上記位置で限定数の特異的変異(本明細書中で規定)を導入し対象となる特性(単数又は複数)に及ぼす効果を決定することにより、選択することができる。
また、本明細書でさらに説明されるように、本明細書で説明される方法は、1つ又は複数の所定の位置に1つ又は複数の「無作為」変異を含有するアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリを提供するために使用され得る。本明細書で説明される方法を使用して、1つ又は複数の所定の位置に1つ又は複数の「無作為」変異と、1つ又は複数の他のアミノ酸位置に1つ又は複数の所定の特異的変異(本明細書中で規定)とを含有するアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリを提供することも可能である。さらに、セット、コレクション又はライブラリ(又は上記ライブラリ内の個々の配列)のいずれかを、1つ又は複数の所望の又は改善した(すなわち、既知の開始配列と比較して)特性についてスクリーニング又は試験することができる。
また、本明細書で言及したように、本明細書で説明される方法は、開始核酸又はヌクレオチド配列と比較して1つ又は複数の所望の又は改善した(すなわち、既知の開始配列と比較して)特性を有する核酸又はヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリを提供するために使用され得る。例えば、この態様によると、上記セット、コレクション又はライブラリ内の様々な核酸又はヌクレオチド配列は、全てが同じアミノ酸配列(例えば、開始配列によりコードされる同じアミノ酸配列)をコードし得るが、使用するコドンにより(すなわち、遺伝コードの縮重のために)互いに異なる。
当業者は、本明細書で説明される方法を使用して、さらに任意に限定的な程度の試行錯誤を行った後で、すなわち変更(本明細書中で規定)すべき位置(複数可)で限定数の特定のアミノ酸残基を導入し対象となる特性(単数又は複数)に及ぼす効果を決定することにより、変更(本明細書中で規定)すべき位置(複数可)における特異的変異(本明細書中で規定)として導入及び試験することができる好適なアミノ酸残基(又は代替的に、欠失又は挿入すべきアミノ酸残基)を選択することもできる。例えば、このようなアミノ酸残基は、特異的変異が保存的なアミノ酸置換(本明細書中で規定)であるように、又は特異的変異が保存的なアミノ酸置換ではないように、選択され得る。
本明細書で説明される方法が、アミノ酸配列におけるどの位置(複数可)がアミノ酸配列の或る特定の特性と関連するかどうか、及び上記位置(複数可)での特定のアミノ酸残基の欠失、挿入又は置換が上記特性(単数又は複数)に影響を及ぼし得るかどうか(及びどのようにして及ぼすのか)を決定するために、使用することもできることも、当業者には明らかである。そうすることにより、本明細書で説明される方法は、配列中の或る特定の位置に存在するアミノ酸残基と、配列の所望の特性との間の或る特定の「構造活性相関」を得るために使用することができる便利な手段にもなり得る。当業者には明らかであるように、このことは、研究目的に対して(例えば、エピトープマッピング及び/又はパラトープマッピングのために)、また、本明細書で説明される方法を目的の標的に対する配列の親和性又は特異性を増大させるために(すなわち、開始配列の親和性成熟の手段として)使用する場合にも、重要であり得る。
例えば、限定するものではないが、本明細書で説明される方法を目的の抗原に対する配列の親和性又は特異性を修正又は改善するために(すなわち、親和性成熟のために)使用する場合には、特異的変異(本明細書中で規定)は、1つ又は複数の相補性決定領域に導入されることが通常である。このような位置、並びにこれらの位置で導入及び試験することができる残基は、本明細書における開示と引用した従来技術とに基づき、当業者には明らかである。好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ若しくはin vivoアッセイ又はモデル系において有効性又は活性を修正又は改善するために、このような特異的変異も導入及び試験され得ることも、当業者には明らかである。
より包括的には、本発明は、また、好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ若しくはin vivoアッセイ又はモデル系において有効性又は活性について各々試験することができる一連の類似体を生成するために使用され得る。
本明細書で説明される方法が配列の溶解性、安定性、凝集しやすさ、「粘り」を修正又は改善するために使用される場合には、特異的変異(本明細書中で規定)は、1つ又は複数のフレームワーク領域に、及び特にフレームワーク領域における曝露する表面である位置、及び/又は他のアミノ酸残基との相互作用のための接触残基又は界面(例えば、
/V界面を形成するアミノ酸残基)を形成する位置に、導入されることが通常である。このような位置、並びにこれらの位置で導入及び試験され得る残基は、本明細書における開示と引用した従来技術とに基づき、当業者には明らかである(例えば、VHH配列又はナノボディについては、1つ又は複数の特徴的な(Hallmark)残基で、及び/又は1つ又は複数の他の位置で、特異的変異が導入及び試験され得る)。この非限定的な態様により、本発明の方法を、いわゆる「ラクダ化」置換(本明細書でさらに説明される)を導入及び試験するために使用することができることも明らかである。このような特異的変異が、所望の宿主又は宿主細胞における発現レベルを修正又は改善するために導入及び試験され得ることも、当業者には明らかである。
本明細書で説明される方法がアミノ酸配列のフォールディング(α−ヘリックス、β−シート、免疫グロブリンフォールド又は“ループアンドバレル(loops-and-barrel)構造”等)を修正又は改善するために使用される場合には、特異的変異(本明細書中で規定)は、アミノ酸配列のフォールディングに関与する位置に導入されることが通常である。このような位置、並びにこれらの位置で導入及び試験され得る残基は、本明細書における開示と引用した従来技術とに基づき当業者には明らかであり、フレームワーク領域中に存在することが多い。このような特異的変異が、所望の宿主又は宿主細胞における発現レベルを修正又は改善するために導入及び試験され得ることも、当業者には明らかである。本明細書で説明される方法はまた、CDRの柔軟性又は剛性を修正することを意図する特異的変異を導入及び試験するために使用され得る。通常このような特異的変異は、CDR中の、又はCDRに近接した配列中の位置に導入され、また、このような位置、及び導入される残基は、本明細書における開示と引用した従来技術とに基づき当業者には明らかである。
本明細書で説明される方法が、最も近縁なヒト生殖細胞配列との配列同一性(すなわち、ヒト化)の程度を修正又は改善するために使用される場合には、特異的変異(本明細書中で規定)は、1つ又は複数のフレームワーク領域に導入されることが通常である(しかし本発明はこれらに限定されず、且つCDR中に、特に配列エントロピー(例えば、本明細書で説明されるVHHエントロピー)が低く及び/又は配列変動性(例えば、本明細書で説明されるVHH変動性)が低いアミノ酸位置に1つ又は複数の特異的変異を含むこともある)。このような位置、並びにこれらの位置で導入及び試験され得る残基は、本明細書における開示と引用した従来技術とに基づき当業者には明らかである。
例えば、変更(本明細書中で規定)すべき好適な位置と、該位置に導入すべき好適なヒト化アミノ酸残基とは、開始アミノ酸配列と、1つ又は複数の最も近縁なヒト生殖細胞配列とを比較することにより決定されることもある。例えば、VHH配列について(及びより包括的にはナノボディを提供するために)、本明細書で説明される方法を使用して導入及び試験され得る1つ又は複数の好適なヒト化特異的変異(又はこれらの任意の好適な組合せ)は、本明細書におけるさらなる開示に基づき当業者には明らかであり、本明細書のさらなる開示においてVHH配列及びナノボディについて示される潜在的なヒト化置換(すなわち、1つ又は複数の特徴的な残基で、及び/又は1つ又は複数の他の位置での)を含む。
本明細書で説明される方法が、ヒト免疫系により認識され得るエピトープを修正(及び、特に除去)するために使用される場合には、特異的変異(本明細書中で規定)は、このようなエピトープに(潜在的に)対応する位置に導入されることが通常である。このような位置、並びにこれらの位置で導入及び試験され得る残基は、本明細書における開示と引用した従来技術とに基づき、当業者には明らかである。例えば、ヒト免疫系(すなわち、T細胞により)により潜在的に認識され得るエピトープをマッピングするための様々なin silico及びin vitro技法(Algonomics(Ghent、Belgium)のEpiBase(商標)技術、又はAntitope(Cambridge、UK)のEpiScreen(商標)技術等)が、利用可能となりつつある。これらの及び類似の技法を、アミノ酸配列における潜在的なT細胞エピトープをマッピングするために使用することができ、その後該配列において本明細書で説明される方法を使用して特異的変異(本明細書中で規定)を導入及び試験することができ、好ましくは特異的変異はT細胞エピトープを除去するようなものである。このような特異的変異が、アミノ酸配列の潜在的な免疫原性(存在する場合には)を修正又は改善するために導入及び試験され得ることも、当業者には明らかである。
本明細書で説明される方法は、アミノ酸配列が目的の抗原との相互作用以外の1つ又は複数の相互作用の対象となることを可能にする1つ又は複数のアミノ酸残基(又はアミノ酸残基のストレッチのアミノ酸残基)を導入又は除去することを意図した特異的変異を導入及び試験するために使用されることもある。このような位置、並びにこれらの位置で導入及び試験され得る残基は、本明細書における開示と引用した従来技術とに基づき、当業者には明らかである。このような特異的変異が、溶解性、安定性、凝集しやすさ、「粘り」、及び/又は所望の宿主又は宿主細胞における発現レベルを修正又は改善するために導入及び試験され得ることも、当業者には明らかである。
例えば、本明細書で説明される方法は、そのCDRが対象とする抗原以外の抗原との相互作用のためのアミノ酸残基に第2の結合部位を導入することを意図する特異的変異を導入及び試験するために使用され得る。通常は「ボトムループ(bottom loops)」中の位置のようなフレームワーク領域中の位置であるこのような位置について、例えば、Keck and Huston, Biophysical Journal 71, October 1996, 2002-2011と、欧州特許第0640130号明細書と、国際公開第06/072620号パンフレットと、2006年11月27日に出願された「Immunoglobulin domains with multiple binding sites」と題するAblynx N. V.による同時係属中の米国仮特許出願第60/861182号明細書とを参照する。本明細書で説明されるように、このような第2の結合部位は、例えば、アミノ酸配列の半減期を修正又は改善するために、例えば、血清アルブミン等の血清タンパク質と結合するための第2の結合部位を導入することにより、導入され得る。
本明細書で説明される方法は、翻訳後修飾(例えば、発現に使用する宿主又は宿主細胞に応じて、ジスルフィド架橋の形成、又はグリコシル化)に供され得る、又は他の形で修飾され得る(例えばペグ化により)部位を導入又は除去することを意図した特異的変異を導入及び試験するためにも使用され得る。このような位置、並びにこれらの位置で導入及び試験され得る残基は、本明細書における開示と引用した従来技術とに基づき当業者には明らかであり、例えば、グリコシル化され得る、ペグ化され得る、又はジスルフィド架橋を形成し得る1つ又は複数のシステイン残基を好適に導入又は除去することを含み得る。このような特異的変異が、溶解性、安定性、凝集しやすさ、「粘り」、及び/又は所望の宿主又は宿主細胞における発現レベルを修正又は改善するために導入及び試験され得ることも、当業者には明らかである。
本明細書で説明される方法を使用して調製されるアミノ酸配列(2)及び類似体のサイズについて本発明は特に限定されない(任意のこのような限定は、予想プライマーを使用するPCRにより効率的に集合化され得るヌクレオチド配列のサイズ等の、主に実施上の性質のものである)が、例えば本発明は、約10個〜約1000個の、例えば約20個〜約500個のアミノ酸残基、及び具体的には50個〜200個のアミノ酸残基、例えば約75個〜150個のアミノ酸残基(例えば、Vドメイン、Vドメイン又はVHHドメインの通常のサイズ。例えば、VHHドメインは、その中に存在するCDRの長さに応じて、110個〜140個のアミノ酸残基を含み得る)を含むアミノ酸配列又は変異体(及び/又はこれらをコードするヌクレオチド配列又は核酸)を調製するために使用され得る。
本明細書で説明される方法を使用して変更(本明細書中で規定)される位置の数は好適に選択してもよく、1〜10以上の位置で変化し得るが通常は1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の位置である。同様に、本明細書で説明される類似体を提供するために各位置で特異的変異(本明細書中で規定)として導入される異なるアミノ酸残基の数も好適に選択してもよく、アミノ酸残基数1〜最大20又はさらにそれ以上で変化し得る(例えば、免疫グロブリン可変ドメインの無作為コレクション又はライブラリを作製するために、NNK又はNNS等の縮重コドンが、最大20以上の異なる所定のアミノ酸位置に導入され得る)が通常はアミノ酸残基数1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である。また、上で言及したように、変更(本明細書中で規定)すべき特定の位置(単数又は複数)と、特異的変異として導入及び試験される特定のアミノ酸残基(単数又は複数)とは、本明細書の開示に基づき当業者により好適に選択され得るし、開始配列中の関連位置に存在するアミノ酸残基と、試験することを意図する修飾の種類(例えば、荷電アミノ酸残基から非荷電アミノ酸残基への、又はその逆の)とに依存し得る。
実際には通常は、変更(本明細書中で規定)すべき特定の位置(単数又は複数)と、特異的変異として導入及び試験される特定のアミノ酸残基(単数又は複数)と、変更される位置の数と、各位置で導入される異なるアミノ酸残基の数とは、類似体とその関連する特性とを互いに(及び任意に開始配列と)有意義に比較することができるように(すなわち、最適の所望の特性(単数又は複数)を有する類似体(複数可)を選択又は設計するために、及び/又は特異的変異又は特異的変異の組合せが所望の特性(単数又は複数)に及ぼす影響について結論付けるために)、選択することが好ましい。これらはすべて、本明細書における開示に基づく当業者の技能の範囲内である。
したがって別の具体的ではあるが、非限定的な態様では、本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリに関し、該ヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリはPCRアセンブリにより得ることができる(又は得られた)ものであり、セット、コレクション又はライブラリ中に存在するヌクレオチド配列又は核酸は1つ又は複数の特異的変異(本明細書中で規定)の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードする。さらに、このようなセット、コレクション又はライブラリは、所定の開始配列の類似体(及び任意に、所定の開始配列自体をコードするヌクレオチド配列又は核酸)をコードし得る。また、そのヌクレオチド配列又は核酸によりコードされるアミノ酸配列は、本明細書でさらに説明されるようなものであり得る。
別の具体的ではあるが、非限定的な態様では、本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリに関し、該アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは上記アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリのPCRアセンブリとその後の上記ヌクレオチド配列又は核酸の発現とにより得ることができる(又は得られた)ものであり、該セット、コレクション又はライブラリ中のアミノ酸配列は1つ又は複数の特異的変異(本明細書中で規定)の存在において互いに異なる。さらに、このようなセット、コレクション又はライブラリは、所定の開始配列の類似体(例えばVHH配列又はナノボディ(及び任意に、開始配列自体)等を含むがこれらに限定されない)を含み得る。また、そのアミノ酸配列は、本明細書でさらに説明されるようなものであり得る。
別の具体的ではあるが、非限定的な態様では、本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリに関し、ヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリはPCRアセンブリにより得ることができる(又は得られた)ものであり、該セット、コレクション又はライブラリ中に存在するヌクレオチド配列又は核酸はヒト化置換(又はラクダ化置換)である1つ又は複数の特異的変異(本明細書中で規定)の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードする。さらに、このようなセット、コレクション又はライブラリは、所定の開始配列のヒト化(又はラクダ化)類似体(及び任意に、所定の開始配列自体をコードするヌクレオチド配列又は核酸)をコードし得る。また、そのヌクレオチド配列又は核酸によりコードされるアミノ酸配列は、本明細書でさらに説明されるようなものであり得る。したがって本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、且つ4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成る、アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリにも関し、ヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリはPCRアセンブリにより得ることができる(又は得られた)ものであり、該セット、コレクション又はライブラリ中に存在するヌクレオチド配列又は核酸はヒト化置換(又はラクダ化置換)である1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードし、上記ヒト化置換はフレームワーク領域に(例えば、1つ又は複数の特徴的な位置に、及び/又は1つ又は複数の他の位置に)存在する。
別の具体的ではあるが、非限定的な態様では、本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリに関し、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは上記アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリのPCRアセンブリとその後の上記ヌクレオチド配列又は核酸の発現とにより得ることができる(又は得られた)ものであり、該アミノ酸配列はヒト化置換(又はラクダ化置換)である1つ又は複数の特異的変異(本明細書中で規定)の存在において互いに異なる。さらに、このようなセット、コレクション又はライブラリは、所定の開始配列(例えばVHH配列又はナノボディ(及び任意に、所定の開始配列自体)等を含むがこれらに限定されない)のヒト化(又はラクダ化)類似体を含み得る。また、そのアミノ酸配列は、本明細書でさらに説明されるようなものであり得る。したがって本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、且つ4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成る、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリにも関し、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは上記アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリのPCRアセンブリとその後の上記ヌクレオチド配列又は核酸の発現とにより得ることができる(又は得られた)ものであり、該セット、コレクション又はライブラリ中に存在するアミノ酸配列はヒト化置換(又はラクダ化置換)である1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なっており、上記ヒト化置換はフレームワーク領域に(例えば、1つ又は複数の特徴的な位置に、及び/又は1つ又は複数の他の位置に)存在する。
本発明はさらに、単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、且つ4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成る、アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリに関し、ヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリはPCRアセンブリにより得ることができる(又は得られた)ものであり、該セット、コレクション又はライブラリ中に存在するヌクレオチド配列又は核酸は1つ又は複数の相補性決定領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードする。
本発明は、単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、且つ4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成る、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリにも関し、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは上記アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリのPCRアセンブリとその後の上記ヌクレオチド配列又は核酸の発現とにより得ることができる(又は得られた)ものであり、該セット、コレクション又はライブラリ中に存在するアミノ酸配列は1つ又は複数の相補性決定領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なる。
本発明はさらに、単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリに関し、ヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリはPCRアセンブリにより得ることができる(又は得られた)ものであり、該セット、コレクション又はライブラリ中に存在するヌクレオチド配列又は核酸はヒト免疫系により認識され得る1つ又は複数のエピトープにおける(及び、結果としてその有無における)1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードする。
本発明はさらに、単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリに関し、アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリは上記アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリのPCRアセンブリとその後の上記ヌクレオチド配列又は核酸の発現とにより得ることができる(又は得られた)ものであり、該アミノ酸配列はヒト免疫系により認識され得る1つ又は複数のエピトープにおける(及び、結果としてその有無における)1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なる。
本明細書で説明される方法で使用されるオリゴヌクレオチドは、アミノ酸配列の所望のセット、コレクション又はライブラリをコードするヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリ(すなわち、開始配列の有無に関わらず、一連の類似体)へと集合化することができる(すなわち、アセンブリPCRにより)限りにおいては、任意の好適な一組又は一連のオリゴヌクレオチドであり得る。本明細書における開示と、引用した従来技術と、アセンブリPCRの一般的な知識とに基づき、当業者は、(i)全長ヌクレオチド配列へと集合化することができる少なくとも2つの一連のオリゴヌクレオチドを好適に選択することができ、(ii)類似体に導入すべき特異的変異(本明細書中で規定)をコードする上記オリゴヌクレオチドの幾つかの変異体も好適に選択することができる。
使用するオリゴヌクレオチドのサイズは、アミノ酸配列(2)、及び集合化すべき変異体のサイズ、並びに導入すべき特異的変異又は無作為変異の数に依存する。概して、オリゴヌクレオチドのサイズ(オリゴヌクレオチド間の任意の重複を含む)は、本明細書における開示に基づき、当業者により好適に選択され得る。
例えばこれらに限定されないが、Vドメイン、Vドメイン又はVHHドメインをコードするヌクレオチド配列又は核酸のセットを集合化するために、好適なオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド数約10〜約200、及び具体的にはヌクレオチド数約20〜約100(例えばヌクレオチド数約30、40、50、60又は70)の長さを有し、オリゴヌクレオチド間でヌクレオチド数約10〜約30(例えばヌクレオチド数約15)の好適な重複を有する。このことは概して、Vドメイン、Vドメイン又はVHHドメインをコードするヌクレオチド配列又は核酸のセットを集合化するために、約4〜約40の、例えば約5〜約20の、例えば約6、8、10、12又は16の異なるオリゴヌクレオチドが使用され得ることを意味する。サイズが類似するオリゴヌクレオチド、及び/又は数が類似する異なるオリゴヌクレオチドは、他のタンパク質又はポリペプチドを製造するのに使用され得る。工程a)で使用するオリゴヌクレオチドの全てが厳密に同じ長さを有する必要があるわけではなく、例えばオリゴヌクレオチドがそれぞれ厳密にフレームワーク配列又はCDRに対応する必要があるわけでもないことも、当業者には明らかである。しかし、オリゴヌクレオチドを集合化することを可能にするために、オリゴヌクレオチドはヌクレオチドの短い重複セグメントを好適に有しなければならず、また、センスの方向とアンチセンスの方向との間で好適に交互になって(alternate)いなければならない(例えば、Stemmer et al.(同上)と、本明細書で引用したさらなる従来技術の幾つかとを参照されたい)こと、並びにオリゴヌクレオチドの変異体は概してそのオリゴヌクレオチドと同じ長さを有する(例えば、その変異体が特異的変異としての1つ又は複数の挿入又は欠失を含有しない場合には)ことが、当業者には明らかである。また、最も好ましくは、オリゴヌクレオチドは、特異的変異が短い重複セグメントの一部分ではないように選択及び設計されることが好ましい。
使用するオリゴヌクレオチドは、それ自体が既知の任意の方法で、例えばそれ自体が既知の(自動化した)DNA合成のための方法を使用して、得ることができる。
本明細書で説明される方法で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体の各々は、所望のアミノ酸配列(2)と所望のその類似体とを提供するのに好適な任意の量でPCRアセンブリ反応に添加され得る。その際には、限定するものではないが、オリゴヌクレオチド及びその変異体は、等モル量で、又は非等モル量で添加され得る。所定の位置での特異的変異の分布が等しいアミノ酸配列(2)とその類似体とを生成することが望ましい場合には、上記位置を包含し且つ所望のアミノ酸残基及び特異的変異(複数可)をコードする等モル量のオリゴヌクレオチド及びその変異体(複数可)が、反応混合物に添加される。したがって、特異的変異の不均一な分布が望ましい場合には、コードするオリゴヌクレオチドとその変異体との比を、調整することができる(例えば、元のアミノ酸、天然アミノ酸又は野生型アミノ酸が所定の位置にあるのが好ましい場合には、コードするオリゴヌクレオチドの濃度は、類似体オリゴヌクレオチドと比較して増大し得る)。
PCRアセンブリ反応は、それ自体が既知の任意の好適な方法で行うことができ、その方法について、Stemmer et al.(同上)と、本明細書で引用したさらなる従来技術の幾つかとをさらに参照する。
便宜上、PCRアセンブリ反応は、一段階のPCR反応として行われ得る。アセンブリ反応は、全オリゴヌクレオチドの「プール」を含む単一反応の混合で行われ得るか、又は一連の反応混合物を使用する並行反応(各反応混合物中に存在するオリゴヌクレオチドは、アセンブリの際に、各反応混合物が異なる類似体をもたらすようなものである)により行われ得るかのいずれかである。後者は、例えば、好適なマルチウェル形式で行ってもよく、また、好適に自動化してもよい。
さらに、アセンブリ後に、所望のアミノ酸配列/変異体をコードするヌクレオチド配列(複数可)の3’末端及び5’末端へそれぞれアニーリングするフォワードプライマー及びリバースプライマーを使用する(最終的な)増幅により、全長のアミノ酸配列/変異体をコードするヌクレオチド配列が生成され(すなわち「救済され(rescued)」)得る。
PCRアセンブリ後に、類似体をコードするヌクレオチド配列は、それ自体が既知の任意の好適な技法又は技法の組合せを使用して、好適に単離され、精製され、クローニングされ、及び/又は発現され得る。発現の際、このようにして得られた類似体は、本明細書でさらに説明されるように、それ自体が既知の任意の好適な方法、技法若しくはアッセイ又は技法の組合せを使用して、1つ又は複数の所望の特性又は特性の組合せについてその後試験又はスクリーニングされ得る。
ヌクレオチド配列を単離し、精製し、クローニングし、及び/又は発現するための好適な技法は、本明細書における開示と引用した従来技術とに基づき、当業者には明らかである。同様に、1つ又は複数の所望の特性又は特性の組合せについて類似体を試験又はスクリーニングするための好適な技法も、本明細書における開示と引用した従来技術とに基づき、当業者には明らかである。
上でも言及したように、本明細書で説明される方法を使用して生成することができる配列は、免疫グロブリン配列(すなわち、免疫グロブリンフォールドを含有する、又は免疫グロブリンフォールドを形成することができる(すなわち適当な環境下でのフォールディングにより)配列)であり得る(又はこれをエンコードし得る)。同様に、本明細書で説明される方法を、免疫グロブリンフォールドを含む、又は免疫グロブリンフォールドを形成することができる開始配列の一連の類似体を生成するために使用することができる。
さらに具体的には、本明細書で説明される方法を使用して生成することができる配列は、免疫グロブリン可変ドメイン配列又はその好適な断片(例えば軽鎖可変ドメイン配列(例えばV配列)若しくはその好適な断片、又は重鎖可変ドメイン配列(例えばV配列)若しくはその好適な断片)を含み得るか、又は本質的にこれらから成り得る(又はコードし得る)(本発明の文脈では、可変ドメイン配列の「好適な断片」は、単一抗原結合ドメインとしての使用に好適な断片、(さらに)目的の抗原と特異的に結合(本明細書中で規定)することができ、また好ましくはさらに免疫グロブリンフォールドも含有する、又は免疫グロブリンフォールドを形成することもできる断片である。このような好適な断片は、本明細書における開示に基づき当業者には明らかであり、例えば、互いと好適に連結されより大きな断片を形成する2個以上のより小さい断片も含み得る)。
本明細書で説明される方法を使用して生成される配列が重鎖可変ドメイン配列である(又はこれをコードする)場合には、その配列は、従来の4鎖抗体(例えば、ヒト抗体由来のV配列を含むがこれらに限定されない)由来の重鎖可変ドメイン配列であり得るか、又はいわゆる「重鎖抗体」(本明細書中で規定)若しくはその好適な断片由来のいわゆるVHH配列(本明細書中で規定)であり得る。
同様に、本明細書で説明される方法は、開始配列として使用されるV配列、V配列又はVHH配列の一連の類似体を生成するために使用することができる。
具体的ではあるが非限定的には、本明細書で説明される方法を使用して生成することができる配列は、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1〜FR4)と3つの相補性決定領域(それぞれCDR1〜CDR3)とから本質的に成る配列、又はこのような配列の任意の好適な断片(この断片は、本明細書でさらに説明されるように、少なくとも1つのCDRを形成するアミノ酸残基を少なくとも幾つか含有することが通常である)であり得る(又はこれをコードし得る)。同様に、本明細書で説明される方法は、開始配列として使用されるこのような配列の一連の類似体を生成するために使用することができる。
例えば、本発明の方法を使用して生成することができる配列は、ドメイン抗体若しくはドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、単一ドメイン抗体若しくは単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、「dAb」若しくはdAbとしての使用に好適なアミノ酸配列、又は(好ましくは)ナノボディ(商標)、又はそれらの任意の好適な断片を含み得る(又はコードし得る)。同様に、本明細書で説明される方法は、開始配列として使用されるドメイン抗体の、単一ドメイン抗体の、「dAb」の、又はナノボディ(商標)の一連の類似体を生成するために使用することができる。
本明細書で言及したように、本明細書で説明される方法は、単一抗原結合ドメインとして使用することができる(改善した)アミノ酸配列を提供するために、特に使用することができる。
そのように、本明細書で説明される方法により提供されるアミノ酸配列は、任意の好適な又は所望の抗原、標的又はタンパク質に指向性を有し得る(本明細書中で規定)。当業者には明らかであるように、これは、CDR、又は他の抗原結合部位、又はアミノ酸配列中に存在する残基により決定されることが通常であり、すなわち開始配列の選択により決定されることが通常である。概して、本明細書で説明される方法により提供されるアミノ酸配列は、目的の又は所望の抗原、標的又はタンパク質と特異的に結合することができる(本明細書中で規定)。
より具体的には、本明細書で説明される方法を使用して生成することができるアミノ酸配列は:
i)10−5モル/L〜10−12モル/L以下、及び好ましくは10−7モル/L〜10−12モル/L以下、及びより好ましくは10−8モル/L〜10−12モル/Lの解離定数(K)で(すなわち10L/モル〜1012L/モル以上、及び好ましくは10L/モル〜1012L/モル以上、及びより好ましくは10L/モル〜1012L/モルの結合定数(K)で)目的の又は所望の標的と結合するようなもの、及び/又は
ii)10−1−1〜約10−1−1、好ましくは10−1−1〜10−1−1、より好ましくは10−1−1〜10−1−1、例えば10−1−1〜10−1−1のkon速度で目的の又は所望の標的と結合するようなもの、及び/又は
iii)1s−1(t1/2=0.69s)〜10−6−1(t1/2が数日である略不可逆的な複合体の場合)、好ましくは10−2−1〜10−6−1、より好ましくは10−3−1〜10−6−1、例えば10−4−1〜10−6−1のkoff速度で目的の又は所望の標的と結合するようなものであり得る。
例えば、本方法を使用して生成することができる一価のアミノ酸配列は、500nM未満の、好ましくは200nM未満の、より好ましくは10nM未満の、例えば500pM未満の親和性で、目的の又は所望の標的と結合するようなものであり得る。
特に好ましいが非限定的な一態様では、本明細書で説明される方法は、天然又は野生型のVHH配列(すなわち、それ自体既知の方法(これについては、例えば、本明細書で引用したナノボディ及びVHH配列に関する従来技術を参照する)で得られる)から開始して、ナノボディ配列のセット、コレクション又はライブラリを提供するために使用され得る。ナノボディ配列のこのセット、コレクション又はライブラリ(又は、上記セット、コレクション又はライブラリ由来の個々のナノボディ配列)は、所定の開始配列として使用される野生型のVHH配列と比較して1つ又は複数の所望の又は改善した特性を有するナノボディ配列を提供するために、その後スクリーニング又は試験され得る。
特に、この態様によれば、本明細書で説明される方法は、天然又は野生型のVHH配列から開始して、ヒト化ナノボディのセット、コレクション又はライブラリを提供するために使用され得る。上記セット、コレクション又はライブラリ由来の個々のヒト化ナノボディ配列は、1つ又は複数のヒト化置換がナノボディの特性(及び特に、1つ又は複数のヒト化置換を導入する際に、得られた配列がナノボディの好ましい特性を保持するかどうか)に及ぼす影響を決定するためにその後試験してもよく、及び/又はヒト化ナノボディ配列のこのセット、コレクション又はライブラリは、所定の開始配列として使用されるナイーブVHH配列と比較して1つ又は複数の所望の又は改善した特性を有するナノボディ配列についてスクリーニングしてもよい。本明細書で説明される方法を使用して特異的変異として試験/導入され得る好適なヒト化置換は、以下の本明細書でのさらなる説明(例えば、表A−3〜表A−8を参照されたい)からも明らかであり、1つ又は複数の特徴的な残基での1つ又は複数のヒト化置換、及び/又はナノボディ配列における他の位置での1つ又は複数のヒト化置換を含み得る。
別の特に好ましいが非限定的な態様では、本明細書で説明される方法は、天然の又はナイーブVHH配列から開始して、1つ又は複数のCDRに1つ又は複数の特異的変異を有するナノボディ配列のセット、コレクション又はライブラリを提供するために使用され得る。ナノボディ配列のこのセット、コレクション又はライブラリ(又は、上記セット、コレクション又はライブラリ由来の個々のナノボディ配列)は、所定の開始配列として使用されるナイーブVHH配列又は別のナノボディ配列と比較して所望の抗原に対する親和性及び/又は特異性が改善したナノボディ配列を提供するために、その後スクリーニング又は試験され得る。当業者には明らかであるように、この態様によれば、本発明は、ナイーブVHH配列又は別のナノボディ配列の親和性成熟を可能にする。
さらに別の特に好ましいが非限定的な態様では、本明細書で説明される方法は、天然又はナイーブV配列から開始して(すなわち、それ自体が既知の方法で)、ラクダ化V配列のセット、コレクション又はライブラリを提供するために使用され得る。ラクダ化V配列のこのセット、コレクション又はライブラリ(又は、上記セット、コレクション又はライブラリ由来の個々のラクダ化V配列)は、所定の開始配列として使用されるナイーブVHH配列と比較して1つ又は複数の所望の又は改善した特性を有する配列を提供するために、その後スクリーニング又は試験され得る。特に、上記セット、コレクション又はライブラリ由来の個々のラクダ化V配列は、1つ又は複数のラクダ化置換がV配列の特性に及ぼす影響(及び特に、このようなラクダ化置換が、ナノボディを特徴づける1つ又は複数の好ましい特性をV配列にもたらすかどうか)を決定するためにその後試験してもよく、及び/又はラクダ化V配列のこのセット、コレクション又はライブラリは、ナノボディを特徴づける1つ又は複数の好ましい特性を有する配列についてスクリーニングしてもよい。本明細書で説明される方法を使用して特異的変異として試験/導入され得る好適なラクダ化置換は、以下の本明細書でのさらなる説明(例えば、表A−3〜表A−8を参照されたい)からも明らかであり、1つ又は複数の特徴的な残基での1つ又は複数のラクダ化置換(通常こちらが好ましい)、及び/又はナノボディ配列における他の位置での1つ又は複数のヒト化ラクダ化を含み得る。
さらなる一態様では、本発明は、本明細書で説明される方法を使用して生成された(又は、そのアミノ酸配列若しくはそのヌクレオチド配列は本明細書で説明される方法を使用して生成され、実際のアミノ酸配列、ヌクレオチド配列、タンパク質又はポリペプチドは、それ自体が既知の任意の好適な技法を使用して調製された)少なくとも1つのアミノ酸配列を含むか、又は本質的にこれらから成り、且つ任意に、1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位をさらに含む、タンパク質又はポリペプチドに関する。本明細書におけるさらなる開示から当業者には明らかとなるように、このようなさらなる基、残基、部分、結合単位又はアミノ酸配列は、本発明のアミノ酸配列に(及び/又は、このアミノ酸配列が存在する化合物又は構築物に)さらなる機能性を提供しても又はしなくてもよく、本発明のアミノ酸配列の特性を修正しても又はしなくてもよい。
例えば、このようなさらなる基、残基、部分又は結合単位は、1つ又は複数の付加的なアミノ酸配列であってもよく、その場合化合物又は構築物は(融合)タンパク質又は(融合)ポリペプチドである。好ましいが非限定的な一態様では、上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位は免疫グロブリン配列である。さらにより好ましくは、上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位は、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列、「dAb」、dAbとしての使用に好適なアミノ酸配列、又はナノボディから成る群から選択される。
代替的に、このような基、残基、部分又は結合単位は、例えば、それ自体が生物学的に及び/又は薬理学的に活性であっても又はなくてもよい、化学基(chemical groups)、残基、部分であり得る。例えば、限定するものではないが、このような基は、本明細書でさらに説明されるように、本発明のアミノ酸配列又はポリペプチドの「誘導体」をもたらすように、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列と連結され得る。
また、本明細書で説明される1つ又は複数の誘導体を含むか、又は本質的にこれらから成り、且つ任意に、1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位(任意に、1つ又は複数のリンカーを介して連結される)をさらに含む、化合物又は構築物は、本発明の範囲内である。好ましくは、上記1つ又は複数の他の基、残基、部分又は結合単位は、アミノ酸配列である。
上記の化合物又は構築物においては、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列と、1つ又は複数の基、残基、部分又は結合単位とは、互いに直接的に、及び/又は1つ又は複数の好適なリンカー又はスペーサを介して、連結され得る。例えば、1つ又は複数の基、残基、部分又は結合単位がアミノ酸配列である場合には、リンカーもアミノ酸配列であってもよく、その場合得られる化合物又は構築物は、融合体(タンパク質)又は融合体(ポリペプチド)である。
本発明の化合物又はポリペプチドは概して、本発明の化合物又はポリペプチドを提供するように、任意に1つ又は複数の好適なリンカーを介して、1つ又は複数の本発明のアミノ酸配列を1つ又は複数のさらなる基、残基、部分又は結合単位と好適に連結する工程を少なくとも1つ含む方法により、調製することができる。本発明のポリペプチドも、本発明のポリペプチドをコードする核酸を用意する工程と、好適な方法で上記核酸を発現する工程と、発現した本発明のポリペプチドを回収する工程とを概して少なくとも含む方法により調製することができる。このような方法は、例えば本明細書でさらに説明される方法及び技法に基づき、当業者には明らかな、それ自体が既知の方法で行われ得る。
本発明のアミノ酸配列から開始して、本発明の化合物又はポリペプチドを設計/選択及び/又は調製するプロセスは、本明細書では、上記本発明のアミノ酸配列を「フォーマット化する(formatting)」とも称する。また本発明の化合物又はポリペプチドの一部分を構成する本発明のアミノ酸を、「フォーマット化された(formatted)」、又は上記本発明の化合物若しくはポリペプチド「のフォーマットで(inthe format of)」と言う。本発明のアミノ酸配列をフォーマット化することができる方法の例と、このようなフォーマットの例とは、本明細書での開示に基づき当業者には明らかである。このようなフォーマット化されたアミノ酸配列は、本発明のさらなる態様を形成する。
本発明の特定の一態様では、本発明の化合物、又は本発明のポリペプチドは、対応する本発明のアミノ酸配列と比較して増大した半減期を有し得る。このような化合物及びポリペプチドの幾つかの好ましいが非限定的な例は、本明細書のさらなる開示に基づき当業者には明らかとなる。
別の態様では、本発明は、本発明のアミノ酸配列、又は本発明のポリペプチド(又はその好適な断片)をコードする核酸に関する。このような核酸は、本明細書では「本発明の核酸」とも称され、本明細書で説明されるように、例えば遺伝的構築物の形態であり得る。
別の態様では、本発明は、本発明のアミノ酸配列、及び/又は本発明のポリペプチドを発現する(又は好適な環境下で発現することができる)、及び/又は本発明の核酸を含有する宿主又は宿主細胞に関する。このような宿主又は宿主細胞の幾つかの好ましいが非限定的な例は、本明細書のさらなる説明から明らかとなる。
本発明はさらに、生成物又は組成物であって、少なくとも1つの本発明のアミノ酸配列、少なくとも1つの本発明のポリペプチド(又はその好適な断片)、及び/又は少なくとも1つの本発明の核酸、並びに任意に1つ又は複数のそれ自体が既知のこのような組成物のさらなる成分(すなわち、組成物の使用目的に応じた成分)を含有する、又は含む生成物又は組成物に関する。このような生成物又は組成物は、例えば、薬学的組成物(本明細書で説明される)、獣医学的組成物、又は診断的使用のための生成物若しくは組成物(本明細書でも説明される)であり得る。このような生成物又は組成物の幾つかの好ましいが非限定的な例は、本明細書のさらなる説明から明らかとなる。
以下のさらなる説明において、その好ましいが非限定的な態様の1つを参照することにより、本発明はより詳細に説明及び例示されるであろう。すなわち、該態様において、本明細書で説明される方法により提供される(provides)アミノ酸配列はナノボディであり、及び/又は本明細書で説明される方法は改善したナノボディ(開始点としてVHH配列及び/又は別のナノボディの配列をとる)を提供するために使用される。
しかし、本発明は同様に、単一抗原結合ドメインとして使用することができる任意の他のアミノ酸配列(また、どのアミノ酸かは本明細書でさらに規定される)を提供するために、及び/又は単一抗原結合ドメイン(ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又はdAb等)として使用することができる任意の他のアミノ酸配列を改善するために使用することができることに留意すべきである。これも、本明細書の開示に基づき当業者に明らかである。
ナノボディの概説については、本明細書のさらなる記載、及び本明細書で引用される従来技術を参照する。しかしこれについて、本明細書及び従来技術は主に、いわゆる「V3群」のナノボディ(すなわちDP−47、DP−51又はDP−29等のV3群のヒト生殖細胞系列の配列との高度な配列相同性を有するナノボディ)を説明することに留意すべきである。しかし、本発明は概して最も広い意味で、本明細書で説明される方法を使用して生成することができる任意種のナノボディを包含し、例えば2006年4月14日に出願された「DP-78-like Nanobodies」と題するAblynx N. V.による米国仮特許出願第60/792279号明細書に記載されるように、例えばいわゆる「V4群」に属するナノボディ(すなわちDP−78等のV4群のヒト生殖細胞系列の配列との高度な配列相同性を有するナノボディ)も包含することに留意すべきである。
概して、ナノボディ(特にVHH配列及び部分ヒト化ナノボディ)は特に、1つ又は複数のフレームワーク配列(また本明細書にさらに記載される)において1つ又は複数の「特徴的な残基」(本明細書に記載される)の存在を特徴とし得る。
したがって概して、ナノボディは、(一般)構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を表し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を表し、1つ又は複数の特徴的な残基は本明細書にさらに規定されるようなものであり、フレームワーク配列は本明細書にさらに規定されるようなものである)を有するアミノ酸配列として定義することができる。
より具体的には、最も広い意味でのナノボディは、概して、
a)3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列(カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQである)、及び/又は
b)3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列(カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は、荷電アミノ酸(本明細書中で規定)又はシステイン残基であり、好ましくは44位のアミノ酸残基はEである)、及び/又は
c)3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列(カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基はP、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択される)を含む、ポリペプチドと定義することができる。
したがって好ましいが非限定的な第1の態様では、本発明のナノボディは、以下の構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
を有し得る;ここで
FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を表し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を表し、ここで
a)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQであり、及び/又は
b)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は荷電アミノ酸又はシステインであり、カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基は好ましくはEであり、及び/又はここで
c)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基はP、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択され、及びここで
d)CDR1、CDR2及びCDR3は、ナノボディが目的の又は所望の標的と
i)10−5モル/L〜10−12モル/L以下、及び好ましくは10−7モル/L〜10−12モル/L以下、及びより好ましくは10−8モル/L〜10−12モル/Lの解離定数(K)で(すなわち10L/モル〜1012L/モル以上、及び好ましくは10L/モル〜1012L/モル以上、及びより好ましくは10L/モル〜1012L/モルの結合定数(K)で)
ii)及び/又は
iii)10−1−1〜約10−1−1、好ましくは10−1−1〜10−1−1、より好ましくは10−1−1〜10−1−1、例えば10−1−1〜10−1−1のkon速度で
iv)及び/又は
v)1s−1(t1/2=0.69s)〜10−6−1(t1/2が数日である略不可逆的な複合体の場合)、好ましくは10−2−1〜10−6−1、より好ましくは10−3−1〜10−6−1、例えば10−4−1〜10−6−1のkoff速度で結合するようなものである。
特に、ナノボディは概して、最も広い意味で
a)3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列(カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQである)、及び/又は
b)3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列(カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基はEであり、カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基はRである)、及び/又は
c)3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列(カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基はP、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択される)を含む、ポリペプチドと定義することができる。
したがって好ましいが非限定的な一態様によれば、ナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を表し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を表す)を有し得る;ここで
a)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQであり、及び/又は
b)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基はEであり、カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基はRであり、及び/又は
c)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基はP、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択され、
d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものである。
特に、ナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を表し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を表す)を有し得る;ここで
a)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQであり、及び/又は
b)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基はEであり、カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基はRであり、及び/又は
c)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基はP、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択され、
d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものである。
特に、好ましいが非限定的な本発明の一態様によれば、ナノボディは概して、3つの相補性決定領域/配列が間に挿入された4つのフレームワーク領域/配列から成るアミノ酸配列を含むポリペプチドと定義することができ、ここで
a−1)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基は、A、G、E、D、G、Q、R、S、Lから成る群から選択され、好ましくはG、E若しくはQから成る群から選択され、
a−2)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は、L、R若しくはCから成る群から選択され、好ましくはL若しくはRから成る群から選択され、
a−3)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、W、R若しくはSから成る群から選択され、好ましくはW若しくはRであり、最も好ましくはWであり、
a−4)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQであるか、又は
b−1)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基は、E及びQから成る群から選択され、
b−2)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基はRであり、
b−3)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、W、R及びSから成る群から選択され、好ましくはWであり、
b−4)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQ及びLから成る群から選択され、好ましくはQであるか、又は
c−1)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基は、A、G、E、D、Q、R、S及びLから成る群から選択され、好ましくはG、E及びQから成る群から選択され、
c−2)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は、L、R及びCから成る群から選択され、好ましくはL及びRから成る群から選択され、
c−3)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、P、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択され、
c−4)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQ及びLから成る群から選択され、好ましくはQであり、且つ
d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものである。
したがって、別の好ましいが非限定的な本発明の態様では、ナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を表し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を表す)を有し得る;ここで
a−1)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基は、A、G、E、D、G、Q、R、S、Lから成る群から選択され、好ましくはG、E若しくはQから成る群から選択され、
a−2)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は、L、R若しくはCから成る群から選択され、好ましくはL若しくはRから成る群から選択され、
a−3)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、W、R若しくはSから成る群から選択され、好ましくはW若しくはRであり、最も好ましくはWであり、
a−4)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQであり、且つ
d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものである。
別の好ましいが非限定的な態様において、ナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を表し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を表す)を有し得る;ここで
b−1)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基は、E及びQから成る群から選択され、
b−2)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基はRであり、
b−3)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、W、R及びSから成る群から選択され、好ましくはWであり、
b−4)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQ及びLから成る群から選択され、好ましくはQであり、且つ
d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものである。
別の好ましいが非限定的な態様では、ナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を表し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を表す)を有し得る;ここで
c−1)カバットナンバリングによる44位のアミノ酸残基は、A、G、E、D、Q、R、S及びLから成る群から選択され、好ましくはG、E及びQから成る群から選択され、
c−2)カバットナンバリングによる45位のアミノ酸残基は、L、R及びCから成る群から選択され、好ましくはL及びRから成る群から選択され、
c−3)カバットナンバリングによる103位のアミノ酸残基は、P、R及びSから成る群から選択され、特にR及びSから成る群から選択され、
c−4)カバットナンバリングによる108位のアミノ酸残基はQ及びLから成る群から選択され、好ましくはQであり、且つ
d)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものである。
2つの特に好ましいが非限定的なナノボディ群は、上記のa)によるもの、上記の(a−1)〜(a−4)によるもの、上記のb)によるもの、上記の(b−1)〜(b−4)によるもの、上記の(c)によるもの、及び/又は上記の(c−1)〜(c−4)によるものであり、
i)カバットナンバリングによる44位〜47位のアミノ酸残基は配列GLEW(又は本明細書に記載のGLEW様配列)を形成し、108位のアミノ酸残基はQであるか、又は
ii)カバットナンバリングによる43位〜46位のアミノ酸残基は配列KERE又はKQRE(又は記載されるようなKERE様配列)を形成し、108位のアミノ酸残基はQ又はLであり、好ましくはQである。
したがって、別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を表し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を表す)を有し得る;ここで
i)カバットナンバリングによる44位〜47位のアミノ酸残基は配列GLEW(又は本明細書に記載のGLEW様配列)を形成し、108位のアミノ酸残基はQであり、且つ
ii)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものである。
別の好ましいが非限定的な態様において、ナノボディは、構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を表し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を表す)を有し得る;ここで
i)カバットナンバリングによる43位〜46位のアミノ酸残基は配列KERE又はKQRE(又はKERE様配列)を形成し、108位のアミノ酸残基はQ又はLであり、好ましくはQであり、且つ
ii)CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものである。
カバットナンバリングによる43位〜46位のアミノ酸残基が配列KERE又はKQREを形成するナノボディにおいて、37位のアミノ酸残基がFであるのが最も好ましい。カバットナンバリングによる44位〜47位のアミノ酸残基が配列GLEWを形成する本発明のナノボディにおいて、37位のアミノ酸残基は、Y、H、I、L、V又はFから成る群から選択され、最も好ましくはVである。
したがって、決してこれらには限定されないが、上で言及した位置に存在するアミノ酸残基に基づき、概してナノボディを以下の3つの群に分類することができる:
i)「GLEW群」:カバットナンバリングによる44位〜47位にアミノ酸配列GLEW、及びカバットナンバリングによる108位にQを有するナノボディ。本明細書でさらに記載されるように、この群内のナノボディは通常、37位にVを有し、103位にW、P、R又はSを有することができ、好ましくは103位にWを有する。GLEW群は、以下の表A−3で言及されるもののような幾つかのGLEW様配列も含む。より一般的には、これに限定されないが、GLEW群に属するナノボディは、44位にG、及び/又は47位にWを有し、46位は通常Eであり、好ましくは45位が荷電アミノ酸残基でもシステインでもないナノボディと定義することができる。
ii)「KERE群」:カバットナンバリングによる43位〜46位にアミノ酸配列KERE又はKQRE(又は別のKERE様配列)、及びカバットナンバリングによる108位にQ又はLを有するナノボディ。本明細書でさらに記載されるように、この群内のナノボディは通常、37位にF、及び47位にL又はFを有し、103位にW、P、R又はSを有することができ、好ましくは103位にWを有する。より一般的には、これに限定されないが、KERE群に属するナノボディは、44位にK、Q又はR(通常K)を有し、45位が荷電アミノ酸残基又はシステインであり、47位が本明細書でさらに規定されるようなものであるナノボディと定義することができる。
iii)「103P、R、S群」:103位にP、R又はSを有するナノボディ。これらのナノボディは、カバットナンバリングによる44位〜47位にアミノ酸配列GLEW、又はカバットナンバリングによる43位〜46位にアミノ酸配列KERE又はKQREのいずれかを有することができ(後者は、(KERE群について規定のように)37位のFと、47位のL又はFと組合せるのが最も好ましい)、カバットナンバリングによる108位にQ又はLを有することができ、好ましくはQを有する。
また必要に応じて、ナノボディは、2つ以上のこれらの群に属し得る(すなわち、これらの特徴を有し得る)。例えば、1つの特に好ましいナノボディ群は、44位〜47位にGLEW又はGLEW様配列、103位にP、R又はS(特にR)、及び108位にQを有する(Lへとヒト化してもよい)。
より一般的には、上で言及した定義が天然(すなわち、非ヒト化)VHH配列の形態のナノボディを説明し、及びこれに適用されること、並びにこれらのナノボディのヒト化変異体は、上記のもの以外のアミノ酸残基(すなわち、本明細書中に規定の1つ又は複数のヒト化置換)を含有し得ることに留意されたい。例えばこれに限定されないが、GLEW群又は103P、R、S群の幾つかのヒト化ナノボディにおいて、108位のQは108Lにヒト化し得る。本明細書中に既に言及したように、他のヒト化置換(及びその好適な組合せ)は、本明細書中の開示に基づき当業者にとって明らかになる。付加的に又は代替的に、天然のVHH配列のフレームワーク領域の配列を1つ又は複数の密接に関連するヒトV配列の対応するフレームワーク配列と比較することによって、他の潜在的に有用なヒト化置換を確認することができ、その後、このようにして求めた潜在的に有用なヒト化置換(又はその組合せ)の1つ又は複数を上記VHH配列に導入することができ(すなわち、本明細書中に記載の方法の1つを使用して)、標的に対する親和性について、安定性について、発現の容易さ及びレベルについて、及び/又は本明細書で言及した1つ又は複数の他の所望の特性について、得られたヒト化VHH配列を試験することができる。このようにして、本明細書で説明される方法により、当業者は、限られた程度の試行錯誤によって、特定のナノボディについて他の好適なヒト化置換(又はその好適な組合せ)を求めることが可能となる。また、上記に基づき、本明細書で説明される方法を使用してナノボディ(のフレームワーク領域)を部分ヒト化又は完全ヒト化してもよい。
したがって、別の好ましいが非限定的な態様において、ナノボディは、(本明細書に規定のように)GLEW群に属してもよい。
別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、(本明細書に規定のように)KERE群に属するナノボディであってもよく、CDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものである。
したがって、別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、(本明細書に規定のように)103P、R、S群に属するナノボディであってもよく、その中のCDR1、CDR2及びCDR3は本明細書で規定されるようなものである。
また、より一般的には且つ上で言及した108Q、43E/44R及び103P、R、S残基に加えて、本発明のナノボディは、従来のVドメインがV/V界面(の一部)を形成する1つ又は複数の位置で、対応する天然V配列における同じ位置(複数可)における天然のアミノ酸残基よりも強く荷電した1つ又は複数のアミノ酸残基、特に(表A−2で言及される)1つ又は複数の荷電アミノ酸残基を含有し得る。このような置換は、以下の表A−3で言及されるGLEW様配列と、例えば44位〜47位のKLEWと共に108位にQを有するナノボディを得るために、いわゆる「ミクロボディ」について国際出願の国際公開第00/29004号パンフレットで説明される置換とを含むがこれらに限定されない。これらの位置での他の可能性のある置換は、本明細書中の開示に基づいて当業者にとって明らかであり、及び/又は本明細書で説明される方法を使用して当業者により決定され得る。
一態様では、ナノボディの83位のアミノ酸残基は、L、M、S、V及びWから成る群から選択することができ、好ましくはLである。
また、一態様では、ナノボディの83位のアミノ酸残基は、R、K、N、E、G、I、T及びQから成る群から選択することができ、最も好ましくはK若しくはE(天然VHHドメインに対応するナノボディについては)又はR(本明細書に記載の「ヒト化」ナノボディについては)のいずれかである。一態様では84位のアミノ酸残基は、P、A、R、S、D、T及びVから成る群から選択され、最も好ましくはP(天然VHHドメインに対応するナノボディについては)又はR(本明細書に記載の「ヒト化」ナノボディについては)である。
さらに一態様では、ナノボディの104位のアミノ酸残基は、G及びDから成る群から選択することができ、最も好ましくはGである。
本明細書で言及した特異的置換(及び特に、本明細書で言及したヒト化置換)も、本明細書で説明される方法における「特異的変異」として使用/導入され得ることも、当業者には明らかである。
まとめると、ナノボディにおいて上で言及した11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基は、本明細書で「特徴的な残基」とも称される。特徴的な残基と、最も密接に関連したヒトVドメイン(V3)の対応する位置のアミノ酸残基とを表A−3に要約する。
天然VHHドメインで生じるこれらの特徴的な残基の、幾つかの特に好ましいが非限定的な組合せを、表A−4で言及する。比較のために、DP−47と呼ばれるヒトV3の対応するアミノ酸残基をイタリック体で示している。
以下の表A−3〜表A−8から、本明細書で説明される方法を使用して特異的変異として導入及び試験され得る幾つかの好適な(しかし非限定的な)ヒト化置換(若しくはヒト化置換の組合せ)又はラクダ化置換(若しくはラクダ化置換の組合せ)も、当業者には明らかとなる。
本明細書で説明される方法を使用して(任意に、親和性の改善を意図した、1つ又は複数のヒト化置換、及び/又は1つ又は複数の特異的変異の組合せで)特異的変異として導入及び試験され得る幾つかの他の置換は、例えば、1つ又は複数の保存的置換(本明細書で説明される)、及び/又は或るアミノ酸残基が別のVHHドメインにおける同じ位置における天然の別のアミノ酸残基により置き換えられる置換を含む(このような置換の幾つかの非限定的な例については表A−5〜表A−8を参照されたい)。より一般的には、ナノボディの特性、又はナノボディの所望の特性のバランス若しくは組合せを改善することを意図した任意の1つ又は複数の置換、欠失若しくは挿入、又はこれらの任意の組合せは、本明細書で説明される方法を使用して導入及び試験することができ、また、本明細書の開示に基づき、当業者は概して、このような特異的変異を選択すること、並びにPCRアセンブリ及び任意に発現の際に、所望の特異的変異(複数可)を含有する配列又は類似体をもたらす工程a)で使用するオリゴヌクレオチドを設計することができる。
上記の表A−5〜表A−8に示すVHHエントロピー及びVHH変動性に関するデータからも分かるように、フレームワーク領域内の幾つかのアミノ酸残基は他よりも保存的である。一般に、最も広い意味で本発明をこれに限定するものではないが、本発明の方法は、好ましくはより保存的でない位置での特異的変異を導入するために使用される。また、一般に、アミノ酸置換はアミノ酸欠失又はアミノ酸挿入よりも好適である。
表A−3:ナノボディにおける特徴的な残基
Figure 2010531656
表A−4:幾つかの好ましいが非限定的な天然ナノボディにおける特徴的な残基の組合せ
これらの組合せのヒト化については、明細書を参照する。
Figure 2010531656
ナノボディにおいて、特徴的な残基以外の任意の位置の各アミノ酸残基は、天然VHHドメインの(カバットナンバリングによる)対応する位置における天然の任意のアミノ酸残基であり得る。
このようなアミノ酸残基は当業者にとって明らかである。表A−5〜表A−8は、天然VHHドメインのFR1、FR2、FR3及びFR4の(カバットナンバリングによる)それぞれの位置に存在し得る幾つかの非限定的な残基を表す。それぞれの位置については、天然VHHドメインのそれぞれの位置で最も頻繁に発生する(ナノボディにおける上記位置に最も好ましいアミノ酸残基である)アミノ酸残基を太字で示し、それぞれの位置に好ましい他のアミノ酸残基を下線処理する(備考:天然VHHドメインの26位〜30位で見られるアミノ酸残基の数字は、これらの位置の残基が既にCDR1部分を形成しているというChothia(同上)によるナンバリングに基づく仮説を支持する)。
表A−5〜表A−8では、ヒトV3ドメインのそれぞれの位置に存在し得る非限定的な残基の幾つかも表している。また、それぞれの位置については、天然ヒトV3ドメインのそれぞれの位置で最も頻繁に発生するアミノ酸残基を太字で示し、他の好ましいアミノ酸残基を下線処理している。
参考のみのために、表A−5〜表A−8は、1118VHH配列の代表的なサンプルにおけるそれぞれのアミノ酸位置でVHHエントロピー(「VHH Ent.」)及びVHH変動性(「VHH Var.」)に関するデータ(David Lutje Hulsing and Prof. Theo Verrips of Utrecht Universityによって無償(kindly)提供されたデータ)も含有する。VHHエントロピー及びVHH変動性の値は、解析する1118VHH配列間のアミノ酸残基の変動性及び保存度に対する評価基準を与え、低い値(すなわち1未満、例えば0.5未満)は、アミノ酸残基が、VHH配列間で強く保存される(すなわちほとんど変動性がない)ことを示す。例えば、8位のG及び9位のGはそれぞれ、0.1及び0のVHHエントロピー値を有し、これは(解析する全ての1118配列において9位がGである場合)これらの残基が強く保存され、ほとんど変動しないことを示す一方で、CDR部分を形成する残基については概して、1.5以上の値が見られる(データ図示せず)。(1)表A−5〜表A−8の2列目に列挙されるアミノ酸残基は、最後の2列で言及されるVHHエントロピー及びVHH変動性を決定するのに解析された1118VHH配列よりも大きいサンプルに基づいており、(2)以下で表すデータは、27位〜30位のアミノ酸残基、並びにおそらく93位及び94位のアミノ酸残基でさえも既にCDR部分を形成しているという仮説を支持することに留意されたい(しかしながら、本発明は任意の特定の仮説又は説明に限定されず、上記のように、本明細書ではカバットによるナンバリングを使用する)。配列エントロピー、配列変動性及びこれを決定する方法の一般的説明については、Oliveira et al., PROTEINS: Structure, Function and Genetics, 52:544-552(2003)を参照されたい。
表A−5:FR1におけるアミノ酸残基の非限定的な例(脚注については、表A−3の脚注を参照する)
Figure 2010531656
表A−6:FR2におけるアミノ酸残基の非限定的な例(脚注については、表A−3の脚注を参照する)
Figure 2010531656
表A−7:FR3におけるアミノ酸残基の非限定的な例(脚注については、表A−3の脚注を参照する)
Figure 2010531656
表A−8:FR4におけるアミノ酸残基の非限定的な例(脚注については、表A−3の脚注を参照する)
Figure 2010531656
このように、別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、(一般)構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を表し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を表す)を有するアミノ酸配列として規定することができ、ここで
i)カバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の1つ又は複数が、表A−3で言及される特徴的な残基から選択され、
ii)CDR1、CDR2及びCDR3が、本明細書中で規定されるようなものである。
さらにより具体的には、ナノボディは、(一般)構造:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
(ここで、FR1〜FR4はそれぞれフレームワーク領域1〜フレームワーク領域4を表し、CDR1〜CDR3はそれぞれ相補性決定領域1〜相補性決定領域3を表す)を有するアミノ酸配列である可能性があり、ここで
i)カバットナンバリングによる11位、37位、44位、45位、47位、83位、84位、103位、104位及び108位のアミノ酸残基の好ましくは1つ又は複数が、以下の表A−3で言及される特徴的な残基から選択され、
ii)上記アミノ酸配列が、配列番号1〜配列番号22のアミノ酸配列の少なくとも1つとの少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し(アミノ酸同一性の程度を求めるために、CDR配列を形成するアミノ酸残基(配列番号1〜配列番号22の配列においてXで示す)は無視する)、
iii)CDR1、CDR2及びCDR3が、本明細書中で規定されるようなものである。
表A−9:KERE群、GLEW群及びP、R、S 103群のナノボディの代表的なアミノ酸配列
CDRは××××で示す。
Figure 2010531656
Figure 2010531656
また本明細書中の開示から明らかなように、本発明の方法を、VHH配列又はナノボディの(又は本明細書中に記載の別のアミノ酸配列の)部分又は断片を提供するのにも使用してもよく、また2つ以上のかかる部分又は断片の組み合わせを含む配列を形成するために、かかる断片を好適に組み合わせてもよい。また、本発明の方法を、VHH配列又はナノボディ(又は本明細書中に記載の別のアミノ酸配列)を提供するのに使用している場合、本発明はその好適な部分又は断片も含む。概して、このような部分又は断片は、対応する全長配列と比較して、N末端での1つ又は複数のアミノ酸残基、C末端での1つ又は複数のアミノ酸残基、1つ又は複数の連続内部アミノ酸残基、又はそれらの任意の組合せが欠失及び/又は除去されたアミノ酸配列を有し得る。例えば、このような部分又は断片は、文献中に記載のナノボディの部分又は断片について、国際公開第06/122825号パンフレットに記載されるようなものであり得る。
本発明はもっとも広範な意味で、本明細書中に記載の方法を用いて得られるアミノ酸配列の誘導体も含む。このような誘導体は例えば、国際公開第06/122825号パンフレットに記載される(すなわち文献中に記載のナノボディの誘導体に関する)ようなものであり得る。
本明細書中に記載の方法を用いて生成された少なくとも1つのナノボディ(又は他のアミノ酸配列)を含むタンパク質又はポリペプチドは概して、少なくとも1つのさらなるアミノ酸配列に対してアミノ末端で、カルボキシ末端で、又はアミノ末端とカルボキシ末端との両方で、すなわち上記ナノボディ(又は他のアミノ酸配列)と、1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列とを含む融合タンパク質を提供するように融合したこのようなナノボディ(又は他のアミノ酸配列)を含み得る。
1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列は、任意の好適及び/又は所望のアミノ酸配列であり得る。さらなるアミノ酸配列は、本明細書中に記載の方法を用いて得られるナノボディの(生物学的)特性を変更することもあり若しくは変更しないこともあり、改質することもあり若しくは改質しないこともあり、又はさもなければこれに影響を与えることもあり若しくは与えないこともあり、本発明のナノボディ又はポリペプチドにさらなる官能性を付加することもあり又は付加しないこともある。好ましくは、さらなるアミノ酸配列は、本発明のナノボディ又はポリペプチドに、1つ又は複数の所望の特性又は官能性を付与するようなものである。
例えば、さらなるアミノ酸配列はまた、任意の所望のタンパク質、ポリペプチド、抗原、抗原決定基又はエピトープ(本発明のナノボディが指向性を有する同様のタンパク質、ポリペプチド、抗原、抗原決定基若しくはエピトープ、又は異なるタンパク質、ポリペプチド、抗原、抗原決定基若しくはエピトープが挙げられるが、これらに限定されない)のいずれかに対して指向性を有し得る第2の結合部位をもたらし得る。
このようなアミノ酸配列の例は当業者にとって明らかであり、概して、従来の抗体及びその断片に基づきペプチド融合に用いられる全てのアミノ酸配列を含み得る(ScFv抗体及び単一ドメイン抗体が挙げられるが、これらに限定されない)。例えば、Holliger and Hudson, Nature Biotechnology, 23, 9, 1126-1136 (2005)による総説を参照する。
例えば、このようなアミノ酸配列は、本発明のナノボディ自体と比較して、半減期、溶解性又は吸収を増大させる、免疫原性又は毒性を低減させる、望ましくない副作用を排除又は減衰させる、及び/又は他の有益な特性を本発明のポリペプチドに付与するか、及び/又は本発明のポリペプチドの望ましくない特性を減らすアミノ酸配列であり得る。このようなアミノ酸配列の幾つかの非限定的な例は、国際公開第06/122825号パンフレットに記載される(すなわち文献中に記載の1つ又は複数のナノボディを含有するポリペプチドに関する)ようなものであり、また血清アルブミン等の血清タンパク質と結合することができる他のアミノ酸配列又はナノボディを含む。例えば、国際公開第91/01743号パンフレット、国際公開第01/45746号パンフレット、国際公開第02/076489号パンフレット、国際公開第03/002609号パンフレット、国際公開第04/003019号パンフレット、欧州特許第0368684号明細書、並びに本明細書中で言及されるAblynx N.V.による米国仮特許出願第60/843349号明細書、同第60/850774号明細書、同第60/850775号明細書、及び"Peptides capable of binding to serum proteins"と題されたAblynx N.V.による米国仮特許出願(2006年12月5日出願)(本明細書中でも言及される)も参照する。
別の態様によれば、1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列は、従来の4鎖抗体(特にヒト抗体)及び/又は重鎖抗体の1つ又は複数の部分、断片又はドメインを含み得る。さらに、国際公開第06/1228号パンフレット、及び本明細書中で言及されるAblynx N.V.によるさらなる出願における開示を参照する。
本発明のポリペプチドの具体的な一態様によれば、1つ又は複数の本発明のナノボディは、1つ又は複数のエフェクタ機能を本発明のポリペプチドに付与する1つ又は複数の抗体部、断片又はドメインと連結してもよく、及び/又は1つ又は複数のFc受容体に結合する能力を付与してもよい。例えば、この目的で、及びこれらに限定されるものではないが、1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列は、重鎖抗体(本明細書中に記載)及びより好ましくは従来のヒト4本鎖抗体等に由来する抗体の1つ又は複数のC2ドメイン及び/又はC3ドメインを含んでいてもよく、及び/又は例えばIgG由来の、IgE由来の、又は別のヒトIg由来のFc領域(の一部)を形成してもよい。例えば、国際公開第94/04678号パンフレットは、ラクダVHHドメイン又はそのヒト化誘導体(すなわち、ナノボディ)を含む重鎖抗体を記載しており、ここでは、ラクダC2ドメイン及び/又はC3ドメインが、ヒトC2ドメイン及びC3ドメインで置換されている。それによりナノボディと(C1ドメインは含まないが)ヒトC2ドメイン及びC3ドメインとをそれぞれ含む2つの重鎖から成る免疫グロブリンがもたらされるが、その免疫グロブリンは、C2ドメイン及びC3ドメインによって付与されるエフェクタ機能を有し、如何なる軽鎖の存在がなくとも機能することができる。本発明のナノボディと好適に連結して、それによりエフェクタ機能を付与し得る他のアミノ酸配列は当業者にとって明らかであり、所望のエフェクタ機能(複数可)に基づき選択され得る。例えば、国際公開第04/058820号パンフレット、国際公開第99/42077号パンフレット、及び国際公開第05/017148号パンフレット、並びに上記のHolliger and Hudsonによる総説(同上)を参照する。本発明のナノボディとFc部分とのカップリングによっても、対応する本発明のナノボディと比較して半減期の増大が生じ得る。用途によっては、如何なる生物学的に重要なエフェクタ機能も含まない半減期の増大を与えるFc部分及び/又は定常ドメイン(すなわち、C2ドメイン及び/又はC3ドメイン)の使用も好適であるか、又は一層好ましいこともある。1つ又は複数のナノボディと、in vivoで半減期が増大した1つ又は複数の定常ドメインとを含む他の好適な構築物は当業者にとって明らかであり、例えば、任意でリンカー配列を介してC3ドメインに連結した2つのナノボディを含み得る。一般に、半減期が増大した任意の融合タンパク質又は誘導体は好ましくは、50kDを超える分子量、すなわち腎臓吸収のカットオフ値を有する。
また、さらなるアミノ酸配列は、(例えば、本発明のポリペプチドを発現するのに用いられる宿主細胞に応じて、本発明のポリペプチドのプレフォーム、プロフォーム又はプレプロフォームをもたらすように)合成の際に宿主細胞から本発明のナノボディ又はポリペプチドの分泌を導くシグナル配列又はリーダー配列を形成し得る。さらに、国際公開第06/122825号パンフレット、及び本明細書中で言及されるAblynx N.V.によるさらなる出願における全体開示を参照する。
また、さらなるアミノ酸配列は、本発明のナノボディ又はポリペプチドを、特定の器官、組織、細胞、又は細胞の一部若しくはコンパートメントに誘導し、及び/又はそれらに浸透させるか若しくは入り込ませ、及び/又は本発明のナノボディ又はポリペプチドを、細胞膜、上皮細胞の層等の細胞層、充実性腫瘍等の腫瘍、又は血液脳関門のような生体障壁に浸透させるか若しくはそれらに対して交差させる配列又はシグナルを形成し得る。さらに、国際公開第06/1228号パンフレット、及び本明細書中で言及されるAblynx N.V.によるさらなる出願における開示を参照する。
用途によっては、特に(例えば癌の治療において)本発明のナノボディが指向性を有する標的を発現する細胞を死滅させること、又はこのような細胞の成長及び/又は増殖を抑えるか若しくは遅延させることを意図する用途では、本発明のナノボディはまた、(細胞)毒性タンパク質又はポリペプチドと連結し得る。本発明のナノボディと連結して、例えば、本発明の細胞毒性ポリペプチドをもたらし得るこのような毒性タンパク質及びポリペプチドの例は当業者にとって明らかであり、例えば、上記従来技術及び/又は本明細書中のさらなる記載に見出すことができる。一例は、国際公開第03/055527号パンフレットに記載のいわゆるADEPT(商標)技術である。
好ましいが非限定的な一態様によれば、上記1つ又は複数のさらなるアミノ酸配列は、少なくとも2つ(例えば3つ、4つ又は5つ以上)のナノボディ(該ナノボディは、1つ又は複数のリンカー配列(本明細書中で規定)を介して任意に連結され得る)を含む本発明のポリペプチドをもたらすために、少なくとも1つのさらなるナノボディを含む。2つ以上のナノボディ(そのうち少なくとも1つは本発明のナノボディである)を含む本発明のポリペプチドは本明細書では本発明の「多価」ポリペプチドとも称され、このようなポリペプチド中に存在するナノボディは本明細書では「多価フォーマット」であるとも称される。例えば本発明の「二価」ポリペプチドは、任意にリンカー配列を介して連結される、2つのナノボディを含むのに対して、本発明の「三価」ポリペプチドは、任意に2つのリンカー配列を介して連結される、3つのナノボディを含む、等である。ポリペプチド中に存在する少なくとも1つのナノボディからポリペプチド中に存在する最大で全てのナノボディが、本発明のナノボディである。
本発明の多価ポリペプチドでは、2つ以上のナノボディは同じでも若しくは異なっていてもよく、同じ抗原若しくは抗原決定基に(例えば、同じ部分(複数可)若しくはエピトープ(複数可)に、又は異なる部分若しくはエピトープに)指向性を有していてもよく、又は代替的に異なる抗原若しくは抗原決定基に指向性を有していてもよく、又はこれらの任意の好適な組合せである。例えば、本発明の二価ポリペプチドは、(a)2つの同一のナノボディ、(b)タンパク質若しくは抗原の第1の抗原決定基に指向性を有する第1のナノボディ、及び該タンパク質若しくは抗原の同じ抗原決定基に指向性を有する第2のナノボディ(該第2のナノボディは、第1のナノボディと異なる)、(c)タンパク質若しくは抗原の第1の抗原決定基に指向性を有する第1のナノボディ、及び上記タンパク質若しくは抗原の別の抗原決定基に指向性を有する第2のナノボディ、又は(d)第1のタンパク質若しくは抗原に指向性を有する第1のナノボディ、及び第2のタンパク質若しくは抗原に指向性を有する(すなわち、上記第1の抗原と異なる)第2のナノボディを含み得る。同様に、本発明の三価ポリペプチドは、例えば、これらに限定されるものではないが、(a)3つの同一のナノボディ、(b)抗原の第1の抗原決定基に指向性を有する2つの同一のナノボディ、及び同じ抗原の異なる抗原決定基に指向性を有する第3のナノボディ、(c)抗原の第1の抗原決定基に指向性を有する2つの同一のナノボディ、及び上記第1の抗原と異なる第2の抗原に指向性を有する第3のナノボディ、(d)第1の抗原の第1の抗原決定基に指向性を有する第1のナノボディ、該第1の抗原の第2の抗原決定基に指向性を有する第2のナノボディ、及び該第1の抗原と異なる第2の抗原に指向性を有する第3のナノボディ、又は(e)第1の抗原に指向性を有する第1のナノボディ、該第1の抗原と異なる第2の抗原に指向性を有する第2のナノボディ、並びに該第1及び第2の抗原と異なる第3の抗原に指向性を有する第3のナノボディを含み得る。本明細書で言及した、国際公開第06/122825号パンフレットにおける開示と、AblynxN.V. によるさらなる出願とをさらに参照する。
少なくとも2つのナノボディを含有する本発明のポリペプチドであって、少なくとも1つのナノボディが第1の抗原に指向性を有し、少なくとも1つのナノボディが第2の抗原に指向性を有するものは、本発明の「多重特異性」ポリペプチドとも称され、このようなポリペプチド中に存在するナノボディは、本明細書で「多重特異性フォーマット」であるとも称される。
多価及び多重特異性構築物の概説については、本明細書で言及した、国際公開第06/1228号パンフレットにおける開示、及びAblynx N.V.によるさらなる出願、並びにConrath et al., J.Biol. Chem., Vol. 276, 10. 7346-7350, 2001、Muyldermans,Reviews in Molecular Biotechnology 74 (2001), 277-302、並びに例えば国際公開第96/34103号パンフレット及び国際公開第99/23221号パンフレットを、さらに参照する。上で言及したように、本発明の多重特異性ポリペプチドの好ましいが非限定的な一例は、少なくとも1つの本発明のナノボディと、半減期の増大をもたらす少なくとも1つのナノボディとを含む。本明細書で言及した、国際公開第06/1228号パンフレットにおける一般的な開示と、Ablynx N.V.によるさらなる出願とをさらに参照する。
本発明の多重特異性ポリペプチドの別の好ましいが非限定的な例は、少なくとも1つの本発明のナノボディと、本発明のポリペプチドを特定の器官、組織、細胞、又は細胞の部分若しくはコンパートメント(compartments)へと向かわせ、及び/又は本発明のポリペプチドが特定の器官、組織、細胞、又は細胞の部分若しくはコンパートメントに浸透すること、若しくは入ることを可能にし、及び/又はナノボディが生体障壁(細胞膜、上皮細胞層等の細胞層、充実性腫瘍を含む腫瘍、又は血液脳関門等)を浸透若しくは交差することを可能にする、少なくとも1つのナノボディとを含む。本明細書で言及した、国際公開第06/1228号パンフレットにおける一般的な開示と、Ablynx N.V.によるさらなる出願とをさらに参照する。
本発明のポリペプチドでは、1つ又は複数のナノボディと1つ又は複数のポリペプチドとを互いに直接連結することができ(例えば国際公開第99/23221号パンフレットで説明したように)、及び/又は1つ又は複数の好適なスペーサ若しくはリンカー若しくはこれらの任意の組合せを介して互いに連結することができる。多価及び多重特異性ポリペプチドにおける使用に好適なスペーサ又はリンカーは当業者には明らかであり、一般的にはアミノ酸配列を連結するために当該技術分野で使用される任意のリンカー又はスペーサであり得る。好ましくは上記リンカー又はスペーサは、薬学的使用を意図したタンパク質又はポリペプチドを構築する際の使用に好適である。
本明細書で言及した、国際公開第06/1228号パンフレットにおける一般的な開示と、Ablynx N.V.によるさらなる出願とをさらに参照する。
本発明には、本発明のポリペプチドから「本質的に成る」タンパク質又はポリペプチドも含まれる(「から本質的に成る」という語句は、上で示したものと本質的に同じ意味を有する)。
本発明の一態様によれば、本発明のポリペプチドは、本明細書中に規定したように、本質的に単離形態である。
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ、ポリペプチド及び核酸は、本明細書中のさらなる説明により当業者にとって明らかであるように、それ自体が既知方法で調製することができる。例えば、本発明のナノボディ及びポリペプチドは、抗体の調製のための、特に抗体断片((単一)ドメイン抗体及びScFv断片が挙げられるが、これらに限定されない)の調製のためにそれ自体が既知の任意の方法で調製することができる。アミノ酸配列、ナノボディ、ポリペプチド及び核酸を調製するための、好ましいが非限定的な幾つかの方法としては、本明細書中に記載の方法及び技法が挙げられる。
当業者にとって明らかであるように、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチドの調製に特に有用な一方法は概して、
i)好適な宿主細胞若しくは宿主生物(本明細書中では「本発明の宿主」とも称する)において、又は本発明の上記アミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドをコードする核酸(本明細書中では「本発明の核酸」とも称する)の別の好適な発現系において、発現する工程と、場合によってはその後、
ii)このようにして得られる本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを単離及び/又は精製する工程とを含む。
特に、このような方法は、
i)本発明の上記宿主が少なくとも1つの本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチドを発現及び/又は産生するような条件下で、本発明の宿主を培養及び/又は維持する工程と、場合によってはその後、
ii)このようにして得られる本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを
単離及び/又は精製する工程とを含み得る。
ナノボディを調製及び発現するための方法、技法、宿主細胞、発現系、精製技法等のさらなる説明については、本明細書で言及した、国際公開第06/122825号パンフレットにおける開示と、AblynxN.V. によるさらなる出願とをさらに参照する。
本発明の核酸は、一本鎖又は二本鎖のDNA又はRNAの形態であってもよく、好ましくは二本鎖DNAの形態である。例えば、本発明のヌクレオチド配列は、ゲノムDNA、cDNA又は合成DNA(目的の宿主細胞又は宿主生物における発現に特異的に適合させたコドン使用頻度(codon usage)を有するDNA等)であり得る。
本発明の一態様によれば、本発明の核酸は、本明細書中で規定のように、本質的に単離形態である。
本発明の核酸は、また、ベクター(例えば、さらに本質的に単離形態であり得るプラスミド、コスミド又はYAC等)の形態であってもよく、ベクター中に存在していてもよく、及び/又はベクターの一部であってもよい。本発明の核酸は、例えば1つ又は複数の好適な調節要素を含有し得る、遺伝的構築物の形態でもあり得る。本明細書で言及した、国際公開第06/122825号パンフレットにおける開示と、AblynxN.V. によるさらなる出願とをさらに参照する。
本発明の核酸は、本明細書で説明される方法を使用して得られる配列から開始して、及び/又は配列情報に基づき、本明細書で説明される方法を使用して調製することができ、又はそれ自体が既知の方法で代替的に得られ得る。このような方法及び技法については、本明細書で言及した、国際公開第06/122825号パンフレットにおける開示と、AblynxN.V. によるさらなる出願とをさらに参照する。
本発明は、本明細書で説明したアミノ酸配列及びポリペプチドの使用にも関する。このような使用は、例えば、そのアミノ酸配列及びポリペプチドが指向性を有する抗原(複数可)に依存し得る。例えば、治療上関連する標的又は抗原に指向性を有するアミノ酸配列及びポリペプチドは、治療目的のために、すなわち、それを必要とする被験者の疾患又は障害の予防及び/又は治療のために、使用され得る。
本発明は、少なくとも1つの本明細書で説明されるアミノ酸配列及びポリペプチドと、任意に、1つ又は複数のそれ自体が既知のこのような組成物のさらなる成分とを含む組成物にも関する。治療的使用のために、このような組成物は、治療上関連する標的又は抗原に指向性を有する少なくとも1つの本明細書で説明されるアミノ酸配列又はポリペプチドと、任意に、少なくとも1つの薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤若しくは賦形剤及び/又はアジュバント剤と、任意に、1つ又は複数のさらなる薬学的に活性なポリペプチド及び/又は化合物とを含む薬学的処方物又は調製物であり得る。本明細書で言及した、国際公開第06/1228号パンフレットにおける包括的な開示と、Ablynx N.V. によるさらなる出願とをさらに参照する。
ここで、以下の非限定的な実施例及び図により、本発明をさらに説明する。
本明細書で説明される方法を概略的に例示する図である。 本明細書で説明される方法を概略的に例示する図である。 本明細書で説明される方法を概略的に例示する図である。 ナノボディ32C9(配列番号49)の71種のヒト化変異体(配列番号50〜配列番号212)のコレクションを集合化するために使用される、26種の重複オリゴヌクレオチドのセットの配列(配列番号23〜配列番号48)を示す図である。 図2で示した26種の重複オリゴヌクレオチドの配列のセット(配列番号23〜配列番号48)を使用したPCRアセンブリにより得られる、ナノボディ32C9(配列番号49)の71種のヒト化変異体(配列番号50〜配列番号212)の配列アラインメントを示す図である。 図2で示した26種の重複オリゴヌクレオチドの配列のセット(配列番号23〜配列番号48)を使用したPCRアセンブリにより得られる、ナノボディ32C9(配列番号49)の71種のヒト化変異体(配列番号50〜配列番号212)の配列アラインメントを示す図である。 ナノボディIL6R65のCDR1/2ライブラリ(ライブラリa及びライブラリb)及びCDR3ライブラリ(ライブラリc)のアミノ酸組成を示す図である。数個の付加的な置換が、多様性を1×10に増大させるために、CDR3(ライブラリc)に導入された。CDR領域に下線を付す。 カニクイザル(cyno)血漿有効性アッセイにおけるIL6R65と5種の親和性成熟変異体との評価を示す図である。 ヒト血漿有効性アッセイにおけるIL6R65と5種の親和性成熟変異体との評価を示す図である。 TF−1細胞のIL6依存性増殖の阻害を示す図である。2ng/mlのヒトIL6と、様々な濃度のナノボディとの存在下で、細胞を増殖させた。3H−チミジンの取り込みにより増殖を測定した。
好ましい態様:
1. 単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリを提供する方法であって、少なくとも
a)(i)PCRアセンブリによって単一抗原結合ドメインとして使用することができるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸へと集合化することができる、一連の少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含み、さらに(ii)その一連のオリゴヌクレオチドの一部分を形成する少なくとも2つのオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも一方の少なくとも1つの変異体を含む、オリゴヌクレオチドのプールを用意する工程であって、上記少なくとも1つの変異体が、1つ又は複数の特異的変異の存在において異なるアミノ酸配列をコードするという点で、上記オリゴヌクレオチド(及びまた存在する場合にはプールに存在する上記オリゴヌクレオチドの他の変異体)と異なる、用意する工程と、
b)オリゴヌクレオチドのプールをPCRアセンブリに供する工程とを含む、方法。
2. 提供されるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリが、所定のアミノ酸配列の類似体であるアミノ酸配列をそれぞれコードするヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリである(また任意でセット、コレクション又はライブラリが所定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有し得る)、態様1に記載の方法。
3. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、免疫グロブリンフォールドを含有するか、又は免疫グロブリンフォールドを形成することが可能なアミノ酸配列をコードするようなものである、態様1又は2に記載の方法。
4. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものである、態様1又は2に記載の方法。
5. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なる、アミノ酸配列をコードするようなものである、態様4に記載の方法。
6. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つ相補性決定領域中の若しくはこれに近接した1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なる、アミノ酸配列をコードするようなものであり(CDR1、CDR2及び/又はCDR3中の又はこれに近接したアミノ酸配列をコードするオリゴヌクレオチド及びその変異体が全て変異しているのが好ましい)、
c)任意で工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、i)又はii)に記載の規則に従って生成される、相補性決定領域中に若しくはこれに近接して、少なくとも1つの特異的変異、より好ましくは特異的変異の90%、又は最も好ましくは1つ又は複数の特異的変異全てを含むか、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものであり、ここで
i)相補性決定領域(CDR)中の又はこれに近接した1つ又は複数の特異的変異が、以下の所定のアミノ酸残基(複数可)を有するアミノ酸残基を生成するように、元のヌクレオチド配列を置換することによって生成される:
元のアミノ酸残基がKである場合、Rで置換し、
元のアミノ酸残基がRである場合、Kで置換し、
元のアミノ酸残基がAである場合、S若しくはT若しくはその両方で置換し、
元のアミノ酸残基がSである場合、A若しくはT若しくはその両方で置換し、
元のアミノ酸残基がTである場合、A若しくはS若しくはその両方で置換し、
元のアミノ酸残基がIである場合、L若しくはV若しくはその両方で置換し、
元のアミノ酸残基がLである場合、I若しくはV若しくはその両方で置換し、
元のアミノ酸残基がVである場合、I若しくはL若しくはその両方で置換し、
元のアミノ酸残基がFである場合、Yで置換し、
元のアミノ酸残基がYである場合、Fで置換し、
元のアミノ酸残基がNである場合、Dで置換し、
元のアミノ酸残基がDである場合、Nで置換し、
元のアミノ酸残基がQである場合、Eで置換し、
元のアミノ酸残基がEである場合、Qで置換し、
元のアミノ酸残基がGである場合、Aで置換し、
元のアミノ酸残基がMである場合、Lで置換し、又は
元のアミノ酸残基がH、C、W若しくはPである場合、元のアミノ酸残基は置換せず、ここで
ii)CDR3における1つ又は複数の特異的変異は、i)で上記の規則を用いて生成され、CDR1及びCDR2中の又はこれに近接した1つ又は複数の特異的変異は、以下の所定のアミノ酸残基(複数可)を有するアミノ酸残基を生成するように、元のヌクレオチド配列を置換することによって生成される:
27位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをF、G、R及びSのいずれかで置換し、
28位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、I、S、Tのいずれかで置換し、
29位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをF、G、L、Sのいずれかで置換し、
30位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、S、Tのいずれかで置換し、
31位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、I、N、S、Tのいずれかで置換し、
32位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、N、Yのいずれかで置換し、
33位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、G、T、Vのいずれかで置換し、
34位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをI、Mのいずれかで置換し、
35位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、G、Sのいずれかで置換し、
元のアミノ酸配列がCDR2において52a位にアミノ酸配列を有する場合、以下の規則を用いる:
50位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、C、G、S、Tのいずれかで置換し、
51位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをIで置換し、
52位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをN、R、S、Tのいずれかで置換し、
52a位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをR、S、T、Wのいずれかで置換し、
53位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、N、S、Tのいずれかで置換し、
54位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、Gのいずれかで置換し、
55位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、Sのいずれかで置換し、
56位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをI、N、R、S、Tのいずれかで置換し、
57位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをTで置換し、
58位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、H、N、S、Yのいずれかで置換し、又は
元のアミノ酸配列がCDR2において52a位にアミノ酸配列を有しない場合、以下の規則を用いる:
50位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、G、R、S、Tのいずれかで置換し、
51位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをIで置換し、
52位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをN、S、Tのいずれかで置換し、
53位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをN、R、S、T、Yのいずれかで置換し、
54位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、R、Sのいずれかで置換し、
55位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをGのいずれかで置換し、
56位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをG、N、R、S、Tのいずれかで置換し、
57位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをTで置換し、
58位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、N、T、Yのいずれかで置換する、態様4に記載の方法。
7. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異及び相補性決定領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なる、アミノ酸配列をコードするようなものであり、
c)任意で工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、i)又はii)に記載の規則に従って生成される、相補性決定領域における、少なくとも1つの特異的変異、より好ましくは特異的変異の90%、又は最も好ましくは1つ又は複数の特異的変異全てを含むか、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものであり、ここで
i)相補性決定領域(CDR)における1つ又は複数の特異的変異が、以下の所定のアミノ酸残基(複数可)を有するアミノ酸残基を生成するように、元のヌクレオチド配列を置換することによって生成される:
元のアミノ酸残基がKである場合、Rで置換し、
元のアミノ酸残基がRである場合、Kで置換し、
元のアミノ酸残基がAである場合、S若しくはT若しくはその両方で置換し、
元のアミノ酸残基がSである場合、A若しくはT若しくはその両方で置換し、
元のアミノ酸残基がTである場合、A若しくはS若しくはその両方で置換し、
元のアミノ酸残基がIである場合、L若しくはV若しくはその両方で置換し、
元のアミノ酸残基がLである場合、I若しくはV若しくはその両方で置換し、
元のアミノ酸残基がVである場合、I若しくはL若しくはその両方で置換し、
元のアミノ酸残基がFである場合、Yで置換し、
元のアミノ酸残基がYである場合、Fで置換し、
元のアミノ酸残基がNである場合、Dで置換し、
元のアミノ酸残基がDである場合、Nで置換し、
元のアミノ酸残基がQである場合、Eで置換し、
元のアミノ酸残基がEである場合、Qで置換し、
元のアミノ酸残基がGである場合、Aで置換し、
元のアミノ酸残基がMである場合、Lで置換し、又は
元のアミノ酸残基がH、C、W若しくはPである場合、元のアミノ酸残基は置換せず、ここで
ii)CDR3における1つ又は複数の特異的変異は、i)で上記の規則を用いて生成され、CDR1及びCDR2における1つ又は複数の特異的変異は、以下の所定のアミノ酸残基(複数可)を有するアミノ酸残基を生成するように、元のヌクレオチド配列を置換することによって生成される:
27位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをF、G、R及びSのいずれかで置換し、
28位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、I、S、Tのいずれかで置換し、
29位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをF、G、L、Sのいずれかで置換し、
30位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、S、Tのいずれかで置換し、
31位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、I、N、S、Tのいずれかで置換し、
32位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、N、Yのいずれかで置換し、
33位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、G、T、Vのいずれかで置換し、
34位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをI、Mのいずれかで置換し、
35位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、G、Sのいずれかで置換し、
元のアミノ酸配列がCDR2において52a位にアミノ酸配列を有する場合、以下の規則を用いる:
50位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、C、G、S、Tのいずれかで置換し、
51位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをIで置換し、
52位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをN、R、S、Tのいずれかで置換し、
52a位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをR、S、T、Wのいずれかで置換し、
53位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、N、S、Tのいずれかで置換し、
54位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、Gのいずれかで置換し、
55位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、Sのいずれかで置換し、
56位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをI、N、R、S、Tのいずれかで置換し、
57位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをTで置換し、
58位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、H、N、S、Yのいずれかで置換し、又は
元のアミノ酸配列がCDR2において52a位にアミノ酸配列を有しない場合、以下の規則を用いる:
50位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、G、R、S、Tのいずれかで置換し、
51位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをIで置換し、
52位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをN、S、Tのいずれかで置換し、
53位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをN、R、S、T、Yのいずれかで置換し、
54位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、R、Sのいずれかで置換し、
55位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをGのいずれかで置換し、
56位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをG、N、R、S、Tのいずれかで置換し、
57位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをTで置換し、
58位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、N、T、Yのいずれかで置換する、態様4に記載の方法。
8. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、免疫グロブリン可変ドメイン配列又はその好適な断片を含むか、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものである、態様4〜7のいずれか1つに記載の方法。
9. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、ドメイン抗体若しくはドメイン抗体としての使用に適したアミノ酸配列、単一ドメイン抗体若しくは単一ドメイン抗体としての使用に適したアミノ酸配列、「dAb」若しくはdAbとしての使用に適したアミノ酸配列又はナノボディ(商標)、又はその任意の好適な断片を含むか、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものである、態様8に記載の方法。
10. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、ナノボディ(商標)を含むか、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものである、態様9に記載の方法。
11. 態様1〜10のいずれか1つに記載の方法を用いて得ることができる、ヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリ。
12. 単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリを生成する方法であって、態様11に記載の、及び/又は態様1〜10のいずれか1つに記載の方法を用いて得られる、ヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリを翻訳及び/又は発現させることを含む、方法。
13. 態様12に記載の方法を用いて得ることができるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリ。
14. 態様1〜10のいずれか1つに記載の方法を用いて、及び/又は態様11に記載のセット、コレクション又はライブラリから得ることができるヌクレオチド配列又は核酸。
15. 態様14に記載のヌクレオチド配列又は核酸を発現することによって得ることができるアミノ酸配列。
16. c)1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸について、工程a)及び工程b)を通して得られるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリをスクリーニングする工程と、任意で上記1つ又は複数の所望の特性を有するアミノ酸配列をコードする、1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸を単離する工程とをさらに含む、態様1〜10のいずれか1つに記載の方法。
17. スクリーニングされるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリが、所定のアミノ酸配列の類似体であるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリをコードし、またヌクレオチド配列又は核酸の上記セット、コレクション又はライブラリが任意で所定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸を含む、態様16に記載の方法。
18. スクリーニングされるヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリが、所定のアミノ酸配列と比較して、1つ又は複数の特性が改善した類似体をコードするヌクレオチド配列又は核酸についてスクリーニングされる、態様17に記載の方法。
19. c)工程a)及び工程b)を通して得られるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリ由来の1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸を、それらが1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列をコードするかどうかについて試験する工程をさらに含む、態様1〜10のいずれか1つに記載の方法。
20. 試験される1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸が、所定のアミノ酸配列の類似体であるアミノ酸配列をコードし、また任意で所定のアミノ酸配列をコードする、態様19に記載の方法。
21. 試験される1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸が、所定のアミノ酸配列と比較して、1つ又は複数の特性が改善した類似体をコードするヌクレオチド配列又は核酸を同定及び/又は提示するために試験される、態様20に記載の方法。
22. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列の以下の特性の1つ又は複数である、態様16〜21のいずれか1つに記載の方法:目的の抗原に対する親和性又は特異性、有効性又は活性、選択性、溶解性、安定性、凝集しやすさ、「粘り」、アミノ酸配列のフォールディング、最も近縁なヒト生殖系列配列との配列同一性の程度、ヒト免疫系によって認識され得るエピトープの存在、潜在的免疫原性、アミノ酸配列が目的の抗原との相互作用以外の1つ又は複数の相互作用の対象となることを可能にする1つ又は複数のアミノ酸残基又はアミノ酸残基のストレッチの存在、所望の宿主又は宿主細胞における発現レベル、半減期、修飾し得る部位の有無、酸化を受け得る部位又はアミノ酸残基の有無、ジスルフィド架橋を形成し得るシステイン残基の有無、及び/又は生体膜又は生体障壁の透過能、又は上記のいずれかの任意の所望の組合せ。
23. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)の以下の特性の1つ又は複数である、態様22に記載の方法:目的の抗原に対する親和性又は特異性、有効性又は活性、及び/又は選択性。
24. 1つ又は複数の特性がスクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)の目的の抗原に対する親和性又は特異性を少なくとも含む、態様23に記載の方法。
25. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列又は核酸が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つ相補性決定領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なる、アミノ酸配列をコードするようなものである、態様22又は23に記載の方法。
26. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)の以下の特性の1つ又は複数である、態様22に記載の方法:安定性、凝集しやすさ、「粘り」、アミノ酸配列のフォールディング、及び/又は所望の宿主又は宿主細胞における発現レベル。
27. 1つ又は複数の特性が、ヌクレオチド配列又は核酸によってコードされるアミノ酸配列の安定性、凝集しやすさ、及び/又は「粘り」を少なくとも含む、態様27に記載の方法。
28. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列又は核酸が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なる、アミノ酸配列をコードするようなものである、態様26又は27に記載の方法。
29. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)の最も近縁なヒト生殖系列配列との配列同一性の程度を少なくとも含む、態様22に記載の方法。
30. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列又は核酸が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なる、アミノ酸配列をコードするようなものである、態様29に記載の方法。
31. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)においてヒト免疫系によって認識され得るエピトープの存在を少なくとも含み、及び/又はスクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)の潜在的免疫原性(存在する場合には)を少なくとも含む、態様22に記載の方法。
32. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列又は核酸が、ヒト免疫系によって認識され得るエピトープに対応するアミノ酸残基において1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードするようなものである、態様31に記載の方法。
33. 態様16〜32のいずれか1つに記載の方法によって得ることができるヌクレオチド配列又は核酸。
34. 態様33に記載のヌクレオチド配列又は核酸を発現することによって得ることができるアミノ酸配列。
35. 単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、且つ1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列をコードする、1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸を提供する方法であって、上記1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列について、態様11に記載のヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリをスクリーニングすること、並びに任意で上記1つ又は複数の所望の特性を有するアミノ酸配列をコードする、1つ又は複数のヌクレオチド配列を単離することを含む、方法。
36. スクリーニングされるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリが、所定のアミノ酸配列の類似体であるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリをコードし、またヌクレオチド配列又は核酸の上記セット、コレクション又はライブラリが任意で所定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸を含む、態様35に記載の方法。
37. スクリーニングされるヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリが、所定のアミノ酸配列と比較して、1つ又は複数の特性が改善した類似体をコードするヌクレオチド配列又は核酸についてスクリーニングされる、態様36に記載の方法。
38. 単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、且つ1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列をコードする、1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸を提供する方法であって、態様11に記載のヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリ由来のヌクレオチド配列又は核酸の1つ又は複数、及び/又は態様12に記載の1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸が、上記1つ又は複数の所望の特性を有するアミノ酸配列をコードするかどうかについて試験することを含む、方法。
39. 試験される1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸が、所定のアミノ酸配列の類似体であるアミノ酸配列をコードし、また任意で所定のアミノ酸配列をコードする、態様38に記載の方法。
40. 試験される1つ又は複数のヌクレオチド配列又は核酸が、所定のアミノ酸配列と比較して、1つ又は複数の特性が改善した類似体をコードするヌクレオチド配列又は核酸を同定及び/又は提示するために試験される、態様39に記載の方法。
41. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)の以下の特性の1つ又は複数である、態様35〜40のいずれか1つに記載の方法:目的の抗原に対する親和性又は特異性、有効性又は活性、選択性、溶解性、安定性、凝集しやすさ、「粘り」、アミノ酸配列のフォールディング、最も近縁なヒト生殖系列配列との配列同一性の程度、ヒト免疫系によって認識され得るエピトープの存在、潜在的免疫原性、アミノ酸配列が目的の抗原との相互作用以外の1つ又は複数の相互作用の対象となることを可能にする、1つ又は複数のアミノ酸残基又はアミノ酸残基のストレッチの存在、所望の宿主又は宿主細胞における発現レベル、半減期、修飾し得る部位の有無、酸化を受け得る部位又はアミノ酸残基の有無、ジスルフィド架橋を形成し得るシステイン残基の有無、及び/又は生体膜又は生体障壁の透過能、又は上記のいずれかの任意の所望の組合せ。
42. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)の以下の特性の1つ又は複数である、態様41に記載の方法:目的の抗原に対する親和性又は特異性、有効性又は活性、及び/又は選択性。
43. 1つ又は複数の特性がスクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)の目的の抗原に対する親和性又は特異性を少なくとも含む、態様42に記載の方法。
44. スクリーニングされるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリが、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つ相補性決定領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードし、及び/又は試験されるヌクレオチド配列又は核酸が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つ相補性決定領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードする、態様42又は43に記載の方法。
45. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)の以下の特性の1つ又は複数である、態様41に記載の方法:安定性、凝集しやすさ、「粘り」、アミノ酸配列のフォールディング、及び/又は所望の宿主又は宿主細胞における発現レベル。
46. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)の安定性、凝集しやすさ、及び/又は「粘り」を少なくとも含む、態様45に記載の方法。
47. スクリーニングされるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリが、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードし、及び/又は試験されるヌクレオチド配列又は核酸が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードする、態様45又は46に記載の方法。
48. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)の最も近縁なヒト生殖系列配列との配列同一性の程度を少なくとも含む、態様41に記載の方法。
49. スクリーニングされるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリが、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードし、及び/又は試験されるヌクレオチド配列又は核酸が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードする、態様48に記載の方法。
50. 1つ又は複数の特性が、ヒト免疫系によって認識され得るエピトープの存在、及び/又はスクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)の潜在的免疫原性(存在する場合には)を少なくとも含む、態様41に記載の方法。
51. スクリーニングされるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリが、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つヒト免疫系によって認識され得るエピトープに対応するアミノ酸残基における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードし、及び/又は試験されるヌクレオチド配列又は核酸が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つヒト免疫系によって認識され得るエピトープに対応するアミノ酸残基における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードする、態様48に記載の方法。
52. 態様35〜51のいずれか1つに記載の方法を用いて得ることができるヌクレオチド配列又は核酸。
53. 態様52に記載のヌクレオチド配列又は核酸を発現することによって得ることができるアミノ酸配列。
54. 単一抗原結合ドメインとして使用することができる(及び/又はこれとしての使用を意図する)アミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリを提供する方法であって、少なくとも
a)(i)PCRアセンブリによって単一抗原結合ドメインとして使用することができる(又は単一抗原結合ドメインとしての使用を目的とする)アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列へと集合化することができる、一連の少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含み、さらに(ii)その一連のオリゴヌクレオチドの一部分を形成する少なくとも2つのオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも一方の少なくとも1つの変異体を含む、オリゴヌクレオチドのプールを用意する工程であって、上記少なくとも1つの変異体が、1つ又は複数の特異的変異の存在において異なるアミノ酸配列をコードするという点で、上記オリゴヌクレオチド(及びまた存在する場合にはプールに存在する上記オリゴヌクレオチドの他の変異体)と異なる、用意する工程と、
b)オリゴヌクレオチドのプールをPCRアセンブリに供する工程と、
c)それ自体が既知の好適な方法で、このようにして得られた(2つ以上の)集合化したオリゴヌクレオチド配列を翻訳及び/又は発現させる工程とを含む、方法。
55. 工程c)の後に与えられるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリが、所定のアミノ酸配列の類似体のセット、コレクション又はライブラリである(セット、コレクション又はライブラリはまた任意で所定のアミノ酸配列も含有し得る)態様54に記載の方法。
56. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程c)の後に与えられるアミノ酸配列が、免疫グロブリンフォールドを含有するか、又は免疫グロブリンフォールドを形成することが可能であるようなものである、態様1又は2に記載の方法。
57. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程c)の後に与えられるアミノ酸配列が4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成るようなものである、態様1又は2に記載の方法。
58. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程c)の後に与えられるアミノ酸配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるようなものである、態様4に記載の方法。
59. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程c)の後に与えられるアミノ酸配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つ相補性決定領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるようなものである、態様4に記載の方法。
60. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程c)の後に与えられるアミノ酸配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異及び相補性決定領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるようなものである、態様4に記載の方法。
61. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程c)の後に与えられるアミノ酸配列が、免疫グロブリン可変ドメイン配列又はその好適な断片を含むか、又は本質的にこれらから成るようなものである、態様4〜7のいずれか1つに記載の方法。
62. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程c)の後に与えられるアミノ酸配列が、ドメイン抗体若しくはドメイン抗体としての使用に適したアミノ酸配列、単一ドメイン抗体若しくは単一ドメイン抗体としての使用に適したアミノ酸配列、「dAb」若しくはdAbとしての使用に適したアミノ酸配列又はナノボディ(商標)、又はその任意の好適な断片を含むか、又は本質的にこれらから成るようなものである、態様8に記載の方法。
63. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程c)の後に与えられるアミノ酸配列がナノボディ(商標)を含むか、又は本質的にこれらから成るようなものである、態様9に記載の方法。
64. 態様54〜63のいずれか1つに記載の方法を用いて得ることができるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリ。
65. 態様54〜63のいずれか1つに記載の方法を用いて、及び/又は態様64に記載のセット、コレクション又はライブラリから得ることができるアミノ酸配列。
66. d)1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列について、工程a)〜工程c)を通して得られるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリをスクリーニングする工程と、任意で上記1つ又は複数の所望の特性を有する、1つ又は複数のアミノ酸配列を単離する工程とをさらに含む、態様54〜63のいずれか1つに記載の方法。
67. スクリーニングされるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリが、所定のアミノ酸配列の類似体であるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリであり、また上記セット、コレクション又はライブラリが任意で所定のアミノ酸配列を含む、態様66に記載の方法。
68. スクリーニングされるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリが、所定のアミノ酸配列と比較して、1つ又は複数の特性が改善した類似体についてスクリーニングされる、態様67に記載の方法。
69. d)工程a)〜工程c)を通して得られるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリ由来の1つ又は複数のアミノ酸配列を、それらが1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するかどうかについて試験する工程をさらに含む、態様54〜63のいずれか1つに記載の方法。
70. 試験される1つ又は複数のアミノ酸配列が、任意で所定のアミノ酸配列と共に、所定のアミノ酸配列の類似体であるアミノ酸である、態様69に記載の方法。
71. 試験される1つ又は複数のアミノ酸配列が、所定のアミノ酸配列と比較して、1つ又は複数の特性が改善した類似体を同定及び/又は提示するために試験される、態様70に記載の方法。
72. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の以下の特性の1つ又は複数である、態様66〜71のいずれか1つに記載の方法:目的の抗原に対する親和性又は特異性、有効性又は活性、選択性、溶解性、安定性、凝集しやすさ、「粘り」、アミノ酸配列のフォールディング、最も近縁なヒト生殖系列配列との配列同一性の程度、ヒト免疫系によって認識され得るエピトープの存在、潜在的免疫原性、アミノ酸配列が目的の抗原との相互作用以外の1つ又は複数の相互作用の対象となることを可能にする、1つ又は複数のアミノ酸残基又はアミノ酸残基のストレッチの存在、所望の宿主又は宿主細胞における発現レベル、半減期、修飾し得る部位の有無、酸化を受け得る部位又はアミノ酸残基の有無、ジスルフィド架橋を形成し得るシステイン残基の有無、及び/又は生体膜又は生体障壁の透過能、又は上記のいずれかの任意の所望の組合せ。
73. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の以下の特性の1つ又は複数である、態様72に記載の方法:目的の抗原に対する親和性又は特異性、有効性又は活性、及び/又は選択性。
74. 1つ又は複数の特性がスクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の目的の抗原に対する親和性又は特異性を少なくとも含む、態様73に記載の方法。
75. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程c)の後で得られるアミノ酸配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つ相補性決定領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるようなものである、態様72又は73に記載の方法。
76. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるヌクレオチド配列(複数可)又は核酸(複数可)によってコードされるアミノ酸配列(複数可)の以下の特性の1つ又は複数である、態様72に記載の方法:安定性、凝集しやすさ、「粘り」、アミノ酸配列のフォールディング、及び/又は所望の宿主又は宿主細胞における発現レベル。
77. 1つ又は複数の特性が、ヌクレオチド配列又は核酸によってコードされるアミノ酸配列の安定性、凝集しやすさ、及び/又は「粘り」を少なくとも含む、態様27に記載の方法。
78. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程c)の後で得られるアミノ酸配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるようなものである、態様26又は27に記載の方法。
79. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の最も近縁なヒト生殖系列配列との配列同一性の程度を少なくとも含む、態様72に記載の方法。
80. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程c)の後で得られるアミノ酸配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるようなものである、態様79に記載の方法。
81. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)においてヒト免疫系によって認識され得るエピトープの存在を少なくとも含み、及び/又はスクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の潜在的免疫原性(存在する場合には)を少なくとも含む、態様72に記載の方法。
82. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程c)の後で得られるアミノ酸配列が、ヒト免疫系によって認識され得るエピトープに対応するアミノ酸残基における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるようなものである、態様81に記載の方法。
83. 態様66〜82のいずれか1つに記載の方法によって得ることができるアミノ酸配列。
84. 単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、且つ1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有する、1つ又は複数のアミノ酸配列を提供する方法であって、上記1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列について、態様64に記載のアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリをスクリーニングすること、及び任意で上記1つ又は複数の所望の特性を有するアミノ酸配列をコードする、1つ又は複数のヌクレオチド配列を単離することを含む、方法。
85. スクリーニングされるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリが、所定のアミノ酸配列の類似体であるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリであり、また上記セット、コレクション又はライブラリが任意で所定のアミノ酸配列を含む、態様84に記載の方法。
86. スクリーニングされるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリが、所定のアミノ酸配列と比較して、1つ又は複数の特性が改善した類似体についてスクリーニングされる、態様85に記載の方法。
87. 単一抗原結合ドメインとして使用することができ(及び/又はこれとしての使用を意図し)、且つ1つ又は複数の所望の特性(又は所望の特性の組合せ)を有する、1つ又は複数のアミノ酸配列を提供する方法であって、態様64に記載のヌクレオチド配列のセット、コレクション又はライブラリ由来のアミノ酸配列の1つ又は複数、及び/又は態様65に記載のアミノ酸配列の1つ又は複数が、上記1つ又は複数の所望の特性を有するかどうかについて試験することを含む、方法。
88. 試験される1つ又は複数のアミノ酸配列が、所定のアミノ酸配列の類似体であり、また任意で所定のアミノ酸配列を含む、態様87に記載の方法。
89. 試験される1つ又は複数のアミノ酸配列が、所定のアミノ酸配列と比較して、1つ又は複数の特性が改善した類似体を同定及び/又は提示するために試験される、態様88に記載の方法。
90. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の以下の特性の1つ又は複数である、態様84〜89のいずれか1つに記載の方法:目的の抗原に対する親和性又は特異性、有効性又は活性、選択性、溶解性、安定性、凝集しやすさ、「粘り」、アミノ酸配列のフォールディング、最も近縁なヒト生殖系列配列との配列同一性の程度、ヒト免疫系によって認識され得るエピトープの存在、潜在的免疫原性、アミノ酸配列が目的の抗原との相互作用以外の1つ又は複数の相互作用の対象となることを可能にする、1つ又は複数のアミノ酸残基又はアミノ酸残基のストレッチの存在、所望の宿主又は宿主細胞における発現レベル、半減期、修飾し得る部位の有無、酸化を受け得る部位又はアミノ酸残基の有無、ジスルフィド架橋を形成し得るシステイン残基の有無、及び/又は生体膜又は生体障壁の透過能、又は上記のいずれかの任意の所望の組合せ。
91. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の以下の特性の1つ又は複数である、態様90に記載の方法:目的の抗原に対する親和性又は特異性、有効性又は活性、及び/又は選択性。
92. 1つ又は複数の特性がスクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の目的の抗原に対する親和性又は特異性を少なくとも含む、態様91に記載の方法。
93. スクリーニングされるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリが、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つ相補性決定領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリであり、及び/又は試験されるアミノ酸配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つ相補性決定領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列である、態様91又は92に記載の方法。
94. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の以下の特性の1つ又は複数である、態様90に記載の方法:安定性、凝集しやすさ、「粘り」、アミノ酸配列のフォールディング、及び/又は所望の宿主又は宿主細胞における発現レベル。
95. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の安定性、凝集しやすさ、及び/又は「粘り」を少なくとも含む、態様94に記載の方法。
96. スクリーニングされるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリが、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリであり、及び/又は試験されるアミノ酸配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードする、態様94又は95に記載の方法。
97. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の最も近縁なヒト生殖系列配列との配列同一性の程度を少なくとも含む、態様90に記載の方法。
98. スクリーニングされるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリが、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリであり、及び/又は試験されるアミノ酸配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つフレームワーク領域における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードする、態様91に記載の方法。
99. 1つ又は複数の特性が、スクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)におけるヒト免疫系によって認識され得るエピトープの存在、及び/又はスクリーニング又は試験されるアミノ酸配列(複数可)の潜在的免疫原性(存在する場合には)を少なくとも含む、態様90に記載の方法。
100. スクリーニングされるヌクレオチド配列又は核酸のセット、コレクション又はライブラリが、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つヒト免疫系によって認識され得るエピトープに対応するアミノ酸残基における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列のセット、コレクション又はライブラリであり、及び/又は試験されるアミノ酸配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むか、又は本質的にこれらから成り、且つヒト免疫系によって認識され得るエピトープに対応するアミノ酸残基における1つ又は複数の特異的変異の存在において互いに異なる、態様48に記載の方法。
101. 態様84〜100のいずれか1つに記載の方法を用いて得ることができるアミノ酸配列。
102. 配列番号50〜配列番号121で示される配列を有するアミノ酸配列と、配列番号123〜配列番号176で示される配列を有するアミノ酸配列とから成る群から選択されるアミノ酸配列。
103. 配列番号50〜配列番号121で示される配列を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列。
104. 配列番号74、配列番号93、配列番号94、配列番号104、配列番号105、配列番号116〜配列番号120で示される配列を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列。
105. 配列番号123〜配列番号176で示される配列を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列。
106. 配列番号123、配列番号149、配列番号152、配列番号156、配列番号169で示される配列を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列。
実験部
実施例1:ナノボディ32C9(国際公開第2008020079号パンフレットではIL6R04及び配列番号440とも称される)のライブラリベースのヒト化
26個の重複オリゴヌクレオチド(図2で示される、配列番号23〜配列番号48)のセットを、ナノボディ32C9(IL6R04、配列番号49)のヒト化変異体のライブラリのアセンブリに使用した。
オリゴヌクレオチドをHO中に溶解し、その後それぞれのオリゴヌクレオチドに対して最終濃度0.4μMでプールした。5μl及び1μlのこの混合物を、50μlの反応体積でのアセンブリPCRに使用した。全長産物をQiagenのPCR精製キットを用いて精製した。それから、精製したPCR産物をSfiIとBsteEIIとで消化し、発現ベクターpAX51の対応部位にライゲーションした。大腸菌TG1細胞を2μlのライゲーション混合物で形質転換し、LB寒天+100μg/mlのアンピシリン+2%のグルコース上にプレーティングした。プレートを37℃で一晩インキュベートした。個々のコロニーを取り出し、2×YT+100μg/mlのアンピシリン+2%のグルコース中で一晩培養した。クローン化したナノボディ遺伝子を、M13フォワードプライマーとリバースプライマーとを用いて、これらの培養液から直接増幅した。PCR産物を精製し、その後シークエンシングした。並行して、同じパネルのナノボディを、37℃で4時間、1mlスケールで発現させた。ペリプラズム抽出物を調製し、さらに精製することなく、ヒトIL6Rとの結合能についてビアコアで解析した。このようにして得られた71個のIL6R04変異体に関するシークエンシング結果を、図3A及び図3Bと配列番号50〜配列番号121とに示す。これらの71個の変異体の解離速度は以下の表B−1で与えられる。これらの結果に基づき、ナノボディ32C9の解離速度に対して有意な影響もなく(2倍未満)、14位、30位、44位、71位、78位、83位、84位及び108位の残基をヒト化することができることが結論付けられた。これに対して、94位の残基のヒト化は完全にIL6Rとの結合を破壊し、37位、45位及び47位の残基のヒト化はそれぞれ、解離速度の5倍、10倍及び12倍の低減に関連する。
表B−1. ナノボディ32C9野生型及びそのヒト化変異体のヒト化について選択された位置での解離速度及びアミノ酸組成
先頭に示される数字はカバットに従っている。ナノボディ32C9野生型を太字で示す。「N.d」は解離速度を測定しなかったことを示している。
Figure 2010531656
Figure 2010531656
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実施例2:抗ヒトIL6RナノボディIL6R65(国際公開第2008020079号パンフレットでは配列番号613とも称される)の親和性成熟
ライブラリ設計
ナノボディIL6R65(配列番号121)と、その標的となるヒトIL6Rとの親和性を改善するために、抗原結合CDR領域において1つ又は複数の置換を含有するIL6R65変異体から成るライブラリを作製した。CDRが多様であるので、2つの異なる戦略を使用した:
i.以下のスキームに従った、同様の側鎖化学構造を有するアミノ酸によるそれぞれのCDR残基の置換:
a.K⇔R
b.A⇔S⇔T
c.I⇔L⇔V
d.F⇔Y
e.N⇔D
f.Q⇔E
g.G→A
h.M→L
i.H、C、W、Pは一定のままである。
ii.所定の位置における天然のアミノ酸のパネルによるそれぞれのCDR残基の置換。27位〜35位(CDR1)及び50位〜58位(CDR2)のナノボディで最も頻繁に発生するアミノ酸を表B−2に列挙する(カバットに従ったナンバリング)。それぞれの位置での実際の組成は、単一縮重コドンによってコードされ得る残基の種類によって逸脱し得る。ライブラリの全体的な多様性を制限するために、1つの位置当たりの異なるアミノ酸の数を減らしてもよい。
表B−2. 350個より多数の特有のナノボディの解析に基づいた、CDR1及びCDR2における最も頻繁に発生するアミノ酸。52a位に挿入があるCDR2配列と、52a位に挿入がないCDR2配列とを別々に解析した:
Figure 2010531656
上記の2つの戦略を用いて、CDR1及びCDR2を共に変異させ、1つの戦略のみを用いて、CDR3を別個に変異させ、それにより合計3つのライブラリを得た。ライブラリ組成の概略を図4に示す。それぞれのライブラリの理論的多様性は約1×10であった。
ライブラリ構成
変異したCDR領域をコードするDNA断片を、縮重オリゴヌクレオチドを用いたPCR重複伸長によって生成した。XmaI/XbaI(ライブラリa及びライブラリb)又はBspeI/NotI(ライブラリc)(New England Biolabs製の酵素)のいずれかによる消化の後、断片を特注の(tailored)pAX50ファージ提示ベクターの対応する制限部位にクローン化した。これらのベクターは既に、IL6R65の部分的な且つフレームシフトした遺伝子断片を含有しており、クローン化することで、リーディングフレームを復元し、全長のIL6R65遺伝子を生成するように設計した。3つ全てのライブラリの実際の大きさは約1×10であった(100×理論的多様性)。
セレクション
低減濃度(10nM→1pM)のビオチン化IL6R(Peprotech)の溶液を用いて、最大3回、ファージライブラリを処理した(panned)。ファージとバイオIL6Rとの間の複合体を1分間、電磁ストレプトアビジンビーズ(Invitrogen)で捕捉し、その後PBS−Tweenで5回洗浄した。結合ファージを、37℃で30分間の、1mg/mlのトリプシンとのインキュベーションによって溶出した。様々な希釈率の溶出ファージを大腸菌TG1細胞(対数期)(TG1電気穿孔コンピテント細胞:Stratagene製の細胞、カタログ番号200123、5×0.1ml)に感染させることよって、ファージ力価を求めた。対照サンプル(ビオチン化IL6Rを有しない)よりも高いファージ力価が得られるセレクション条件を、さらなる解析のために選択した。
セレクション結果の解析
個々のコロニーを取り出し、それらを1mlの2×YT(Yeast Tryptone)培地+100μg/mlのカルベニシリン中、37℃で一晩培養することによって、セレクション結果を解析した。ペリプラズム抽出物を含有するナノボディを調製し、PBSで10倍に希釈した後、ELISAにおいて抗原結合について試験した。ELISAシグナルが最も高いクローンをシークエンシングし、ビアコアで解析した。ELISAにおける上位50個のクローンは、1.4×10−3−1〜1.2×10−4−1の解離速度を示した。CDR3ライブラリ由来の最良のクローンの解離速度は7×10−4−1であった。ナノボディ配列及び解離速度は表B−3に列挙する。
表B−3. ELISAシグナルが最も高い50個のナノボディのアミノ酸配列及び解離速度。CDR3ライブラリの上位50個のクローンも示している。
Figure 2010531656
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選択されたIL6R65変異体の特徴付け
2.6×10−4−1〜4.4×10−4−1の範囲に解離速度が改善した、ライブラリb由来の5つのナノボディを大腸菌で発現させ、IMACクロマトグラフィで精製した。様々な濃度の精製ナノボディでの結合曲線をビアコアで読み取り、ka、kd及びKdの値を算出するのに使用した(表B−4)。これら5つのクローンのKd値は0.34nM〜0.95nMであり、最良の変異体では、親分子と比較して13倍の改善に相当する。
表B−4. IL6R65及び5つの親和性成熟変異体の速度論的パラメータの比較
Figure 2010531656
また5つ全てのナノボディ及び親ナノボディを血漿有効性アッセイにおいて試験した。このアッセイでは、様々な濃度のナノボディを、ヒト又はカニクイザルのいずれか由来の血漿を含有する可溶性IL6R、及び固定濃度のヒトIL6と混合する。インキュベーションの1時間後、混合物を、抗IL6R MAb BN−12(Diaclone)で被覆したMaxisorpプレートに移す。その後のビオチン化抗IL6ポリクローナル抗体(R&D Systems)とストレプトアビジン−HRPとの添加によって、結合したIL6の量を求めた。TMBを基質として使用した。基質変換を450nmで測定した。
表B−5. カニクイザルの血漿有効性アッセイにおけるIL6R65及び5つの親和性成熟変異体の評価(図5も参照されたい)。
Figure 2010531656
表B−6. ヒトの血漿有効性アッセイにおけるIL6R65及び5つの親和性成熟変異体の評価(図6も参照されたい)。
Figure 2010531656
親和性成熟ナノボディは、細胞表面上でIL6とIL6Rとの結合が阻止されるため、TF−1細胞(ECACC番号93022307、J Cell Physiol 1989;140:323, Exp Cell Res 1993:208:35)のIL6依存性増殖の阻害能についても試験した。このために、段階希釈したナノボディを、37℃で2時間、固定量のTF−1細胞と事前にインキュベートした。その後、IL6を最終濃度が2ng/mlになるまで添加した。IL6依存性の細胞増殖を72時間継続させ、トリチウム標識チミジンの取り込みによって測定した。
表B−7. TF−1細胞のIL6依存性増殖の阻害。2ng/mlのヒトIL6及び様々な濃度のナノボディの存在下で、細胞を培養した。3H−チミジン取り込みによって増殖を測定した(図7も参照されたい)。
Figure 2010531656

Claims (19)

  1. 単一抗原結合ドメインとして使用することができるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列のライブラリを提供する方法であって、
    a)以下を含むオリゴヌクレオチドのプールを用意する工程
    (i)PCRアセンブリによって単一抗原結合ドメインとして使用することができるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列又は核酸へと集合化することができる、一連の少なくとも2つのオリゴヌクレオチド、及びさらに
    (ii)少なくとも1つの変異体が、1つ又は複数の特異的変異が存在するアミノ酸配列をコードするという点で、前記オリゴヌクレオチド(及びまた存在する場合には該プールに存在する前記オリゴヌクレオチドの他の変異体)と異なる、一連のオリゴヌクレオチドの一部分を形成する少なくとも2つのオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つの変異体、ならびに
    b)該オリゴヌクレオチドのプールをPCRアセンブリに供する工程
    を少なくとも含む、ライブラリを提供する方法。
  2. 提供されるヌクレオチド配列又は核酸の該ライブラリが、所定のアミノ酸配列の類似体であるアミノ酸配列をそれぞれコードするヌクレオチド配列のライブラリである(また任意で該セット、コレクション又はライブラリが該所定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有し得る)、請求項1に記載の方法。
  3. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、免疫グロブリンフォールドを含有するアミノ酸配列か、又は免疫グロブリンフォールドを形成することが可能なアミノ酸配列をコードするようなものである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域を含むアミノ酸配列か、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものである、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むアミノ酸配列か、又は本質的にこれらから成り、及び該フレームワーク領域における1つ若しくは複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードするようなものである、請求項4に記載の方法。
  6. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むアミノ酸配列か、又は本質的にこれらから成り、及び該相補性決定領域における1つ若しくは複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードするようなものであり、
    c)任意で工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、i)又はii)に記載の規則に従って生成される、該相補性決定領域中に若しくはこれに近接して、該1つ若しくは複数の特異的変異を含むアミノ酸配列か、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものであり、ここで
    i)該相補性決定領域(CDR)中の又はこれに近接した、該1つ又は複数の特異的変異が、以下の所定のアミノ酸残基(複数可)を有するアミノ酸残基を生成するように、元のヌクレオチド配列を置換することによって生成される:
    元のアミノ酸残基がKである場合、Rで置換し、
    元のアミノ酸残基がRである場合、Kで置換し、
    元のアミノ酸残基がAである場合、S若しくはT若しくはその両方で置換し、
    元のアミノ酸残基がSである場合、A若しくはT若しくはその両方で置換し、
    元のアミノ酸残基がTである場合、A若しくはS若しくはその両方で置換し、
    元のアミノ酸残基がIである場合、L若しくはV若しくはその両方で置換し、
    元のアミノ酸残基がLである場合、I若しくはV若しくはその両方で置換し、
    元のアミノ酸残基がVである場合、I若しくはL若しくはその両方で置換し、
    元のアミノ酸残基がFである場合、Yで置換し、
    元のアミノ酸残基がYである場合、Fで置換し、
    元のアミノ酸残基がNである場合、Dで置換し、
    元のアミノ酸残基がDである場合、Nで置換し、
    元のアミノ酸残基がQである場合、Eで置換し、
    元のアミノ酸残基がEである場合、Qで置換し、
    元のアミノ酸残基がGである場合、Aで置換し、
    元のアミノ酸残基がMである場合、Lで置換し、又は
    元のアミノ酸残基がH、C、W若しくはPである場合、元のアミノ酸残基は置換せず、ここで
    ii)CDR3中の又はこれに近接した、該1つ又は複数の特異的変異は、i)で上述の規則を用いて生成され、CDR1及びCDR2中の又はこれに近接した該1つ又は複数の特異的変異は、以下の所定のアミノ酸残基を有するアミノ酸残基を生成するように、該元のヌクレオチド配列を置換することによって生成される:
    27位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをF、G、R及びSのいずれかで置換し、
    28位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、I、S、Tのいずれかで置換し、
    29位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをF、G、L、Sのいずれかで置換し、
    30位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、S、Tのいずれかで置換し、
    31位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、I、N、S、Tのいずれかで置換し、
    32位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、N、Yのいずれかで置換し、
    33位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、G、T、Vのいずれかで置換し、
    34位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをI、Mのいずれかで置換し、
    35位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、G、Sのいずれかで置換し、
    元のアミノ酸配列がCDR2において52a位にアミノ酸配列を有する場合、以下の規則を用いる:
    50位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、C、G、S、Tのいずれかで置換し、
    51位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをIで置換し、
    52位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをN、R、S、Tのいずれかで置換し、
    52a位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをR、S、T、Wのいずれかで置換し、
    53位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、N、S、Tのいずれかで置換し、
    54位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、Gのいずれかで置換し、
    55位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、Sのいずれかで置換し、
    56位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをI、N、R、S、Tのいずれかで置換し、
    57位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをTで置換し、
    58位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、H、N、S、Yのいずれかで置換し、又は
    元のアミノ酸配列がCDR2において52a位にアミノ酸配列を有しない場合、以下の規則を用いる:
    50位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、G、R、S、Tのいずれかで置換し、
    51位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをIで置換し、
    52位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをN、S、Tのいずれかで置換し、
    53位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをN、R、S、T、Yのいずれかで置換し、
    54位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、R、Sのいずれかで置換し、
    55位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをGのいずれかで置換し、
    56位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをG、N、R、S、Tのいずれかで置換し、
    57位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをTで置換し、
    58位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、N、T、Yのいずれかで置換する、請求項4に記載の方法。
  7. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、4つのフレームワーク領域と3つの相補性決定領域とを含むアミノ酸配列か、又は本質的にこれらから成り、及び該フレームワーク領域における1つ若しくは複数の特異的変異及び該相補性決定領域中の又はこれに近接した1つ若しくは複数の特異的変異の存在において互いに異なるアミノ酸配列をコードするようなものであり、
    c)任意で工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、i)又はii)に記載の規則に従って生成される、該相補性決定領域中に又はこれに近接して、該1つ若しくは複数の特異的変異を含むアミノ酸配列か、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものであり、ここで
    i)該相補性決定領域(CDR)中の又はこれに近接した、該1つ又は複数の特異的変異が、以下の所定のアミノ酸残基(複数可)を有するアミノ酸残基を生成するように、該元のヌクレオチド配列を置換することによって生成される:
    元のアミノ酸残基がKである場合、Rで置換し、
    元のアミノ酸残基がRである場合、Kで置換し、
    元のアミノ酸残基がAである場合、S若しくはT若しくはその両方で置換し、
    元のアミノ酸残基がSである場合、A若しくはT若しくはその両方で置換し、
    元のアミノ酸残基がTである場合、A若しくはS若しくはその両方で置換し、
    元のアミノ酸残基がIである場合、L若しくはV若しくはその両方で置換し、
    元のアミノ酸残基がLである場合、I若しくはV若しくはその両方で置換し、
    元のアミノ酸残基がVである場合、I若しくはL若しくはその両方で置換し、
    元のアミノ酸残基がFである場合、Yで置換し、
    元のアミノ酸残基がYである場合、Fで置換し、
    元のアミノ酸残基がNである場合、Dで置換し、
    元のアミノ酸残基がDである場合、Nで置換し、
    元のアミノ酸残基がQである場合、Eで置換し、
    元のアミノ酸残基がEである場合、Qで置換し、
    元のアミノ酸残基がGである場合、Aで置換し、
    元のアミノ酸残基がMである場合、Lで置換し、又は
    元のアミノ酸残基がH、C、W若しくはPである場合、元のアミノ酸残基は置換せず、ここで
    ii)CDR3における1つ又は複数の特異的変異は、i)で上述の規則を用いて生成され、CDR1及びCDR2における1つ又は複数の特異的変異は、以下の所定のアミノ酸残基(複数可)を有するアミノ酸残基を生成するように、元のヌクレオチド配列を置換することによって生成される:
    27位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをF、G、R及びSのいずれかで置換し、
    28位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、I、S、Tのいずれかで置換し、
    29位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをF、G、L、Sのいずれかで置換し、
    30位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、S、Tのいずれかで置換し、
    31位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、I、N、S、Tのいずれかで置換し、
    32位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、N、Yのいずれかで置換し、
    33位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、G、T、Vのいずれかで置換し、
    34位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをI、Mのいずれかで置換し、
    35位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、G、Sのいずれかで置換し、
    元のアミノ酸配列がCDR2において52a位にアミノ酸配列を有する場合、以下の規則を用いる:
    50位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、C、G、S、Tのいずれかで置換し、
    51位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをIで置換し、
    52位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをN、R、S、Tのいずれかで置換し、
    52a位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをR、S、T、Wのいずれかで置換し、
    53位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、N、S、Tのいずれかで置換し、
    54位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、Gのいずれかで置換し、
    55位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、Sのいずれかで置換し、
    56位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをI、N、R、S、Tのいずれかで置換し、
    57位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをTで置換し、
    58位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、H、N、S、Yのいずれかで置換し、又は
    元のアミノ酸配列がCDR2において52a位にアミノ酸配列を有しない場合、以下の規則を用いる:
    50位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをA、G、R、S、Tのいずれかで置換し、
    51位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをIで置換し、
    52位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをN、S、Tのいずれかで置換し、
    53位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをN、R、S、T、Yのいずれかで置換し、
    54位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、G、R、Sのいずれかで置換し、
    55位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをGのいずれかで置換し、
    56位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをG、N、R、S、Tのいずれかで置換し、
    57位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをTで置換し、
    58位で元のアミノ酸残基が変異する場合、これをD、N、T、Yのいずれかで置換する、請求項4に記載の方法。
  8. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、免疫グロブリン可変ドメイン配列若しくはその好適な断片を含むアミノ酸配列か、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものである、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、ドメイン抗体若しくはドメイン抗体としての使用に適したアミノ酸配列、単一ドメイン抗体若しくは単一ドメイン抗体としての使用に適したアミノ酸配列、「dAb」若しくはdAbとしての使用に適したアミノ酸配列若しくはナノボディ、若しくはその任意の好適な断片を含むアミノ酸配列か、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものである、請求項8に記載の方法。
  10. 工程a)で使用するオリゴヌクレオチド及びその変異体は、工程b)におけるPCRアセンブリの結果として得られるヌクレオチド配列が、ナノボディを含むアミノ酸配列か、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列をコードするようなものである、請求項9に記載の方法。
  11. c)が強制的なものである、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 該オリゴヌクレオチドがCDR1、CDR2若しくはCDR3中に又はこれに近接して変異を有するアミノ酸配列をコードする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法を用いて得ることができるヌクレオチド配列のライブラリ。
  14. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法を用いて得ることができるアミノ酸配列。
  15. 配列番号50〜配列番号121で示される配列を有するアミノ酸配列と、配列番号123〜配列番号176で示される配列を有するアミノ酸配列とから成る群から選択されるアミノ酸配列。
  16. 配列番号50〜配列番号121で示される配列を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列。
  17. 配列番号74、配列番号93、配列番号94、配列番号104、配列番号105、配列番号116〜配列番号120で示される配列を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列。
  18. 配列番号123〜配列番号176で示される配列を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列。
  19. 配列番号123、配列番号149、配列番号152、配列番号156、配列番号169で示される配列を有するアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列。
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