JP2010527353A - 止血のための生物学的装置 - Google Patents

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Abstract


微小なタンパク質デバイス、その製造方法、及び止血のためのこのような装置の使用。
ヒト又は動物起源由来の血清アルブミンのような生体座利用により製造されるデバイスは、任意の次元において5ミクロン未満であり、通常、直径1ミクロン未満である。それは、試験管内でそれに結合する、任意の他の生物学的分子又は薬剤分子を含まない。しかし、前記デバイスは、試験管内で血漿に暴露した後に、凝固因子又は潜在的な他の薬剤のような修飾分子を捕獲、濃縮又は輸送することを可能にする性質を有する。前記デバイスを身体に静脈注射により注入した後、止血効果が示される。

Description

本発明は、静脈内投与に適した生物材料で構成されている微小粒子装置、その製造方法及び病状を治療するための体内におけるこのような装置の使用に関する。すなわち、それ自体不活性であるが、血中に既にある生体分子又は薬剤分子を捕獲、濃縮又は輸送するための装置としての機能を果たし、該装置と、捕獲した生体分子又は薬剤分子との組み合わせが、予想外又は向上した薬理効果を有し得るような、任意の次元において5ミクロンより小さいタンパク質粒子の分野に関する。
1種の特定用途は止血の分野にあり、ここで、静脈注射後に装置が、体内の分子、例えば単一成分又は種々の凝固因子を捕獲し得、血液損失の減少又は出血時間の短縮(改善)を可能にする装置及び生体分子の組み合わせを提供する。内因性分子の捕獲のメカニズムは未知であり、医学的な利点の正確なメカニズムも未知である。
これらの装置は、不十分な血小板濃度血小板機能の低下を煩っている患者、又は他の原因による出血傾向のある患者に大きな利点を期待させる。利益を受けることが期待される患者には、希釈性血小板減少症(dilutional thrombocytopenia)に由来する血小板減少性患者、癌、癌治療に由来する血小板減少症、特発性血小板減少性紫斑病、再生不良性貧血、臓器移植患者、抗凝血薬の過剰摂取、並びにエボラ熱又はデング熱の発生のような出血症状の発現が含まれる。これらの装置は、術中の出血が多量であると予想されるが、赤血球又は血小板の輸血サービスを欠いている外科患者;輸血サービスが困難である戦場状態におけるような、潜在的に治療及び予防用途のために用いることができる。
薬剤投与の従来の方法には、経口投与、静脈注射、筋肉内注射、皮下注射、腹腔内注射、吸入経路、鼻及び粘膜塗布が含まれる。Yenを含む多数の著者が、特に静脈注射後の、薬剤の全身性毒性を減少し、及び/又は作用部位における有効性を向上するために、特定の器官又は部位を標的として送達する目的で、薬剤がタンパク質球の表面又は内部に封入され得る製造法及び製品を開示している。
米国特許第5,069,936号(タンパク質ミクロスフェアの製造)において、Yenは2種の方法によるアルブミン球体の製造方法を開示している(カラム4、35行〜カラム5、28行)。両方の方法とも、タンパク質溶液からの球体の形成前にタンパク質溶液に界面活性剤又は洗浄剤を加えることの重要性を強調している。第一の方法(「プレ−リンク」法)は、球体を形成するための脱可溶化又は脱溶媒和剤(エタノール等)の添加前に、ゲルを形成することなく、溶液中で穏やかにタンパク質分子を架橋するのに十分な濃度で架橋剤を用いている。しかし、この架橋剤の濃度は、たとえ、後に脱溶媒和剤を希釈又は除去したとしても、球体の形状で不可逆的に一緒にタンパク質を結合し得る。他の方法(「ポスト−リンク」法)は、最初にタンパク質溶液に脱可溶化剤を加えることにより球体を(可逆的又は不可逆的に)形成する。この工程は、その後に(脱溶媒和剤を希釈又は除去する時)、更なる工程の間の再溶解に対して球体を安定化するのに十分な濃度で架橋剤を添加する必要がある。
米国特許第5,069,936号は、タンパク質球体の製造方法を開示するのみでなく、開示されたいずれかの方法により製造された球体が、患者への投与前に、架橋剤(例えば、IgG、実施例7、カラム29)による球体への薬剤の共有結合によって、他の生体分子は薬剤分子を結合するために用い得ることを教示している。これは、基本的に、球体が形成され、再溶解に対して不可逆的に安定化された後に、追加量の架橋剤分子(グルタルアルデヒド等)を加えることにより達成される。この架橋剤を追加する追加工程は、追加の分子が球体に結合することを意図しており、球体自体の形成又は安定化を意図していなかった。生体分子又は薬剤分子(球体の内部又は表面)と共有結合する、このような球体の生物学的活性は、全体的に結合した生体分子又は薬剤分子に由来する。実際、コントロールの「ブランク」球体(すなわち、生物学的修飾のないタンパク質ミクロスフェア、実施例9、カラム31)は、アドリアマイシンのような可溶化薬剤、又は球体に封入された同じ薬剤(アドリアマイシン)と比較し、効果を有しないことが証明された。
本発明は、球体の形成前にタンパク質溶液に界面活性剤又は洗浄剤を加えるか含ませる必要のない、一連の新規なタンパク質の球体の製造方法を開示する。製造された球体懸濁液は、患者に静脈注射した時に毛細管を詰まらせ得る、凝集体を含まず、大きい球体(直径において5ミクロンより大きい)を含まない、単分散した球体である。
本発明を用いて製造された生成物の他の利点は、その小さいサイズである。本発明を用いて製造することのできる球体は直径が1ミクロンより小さいので、長く保存する間に沈殿せず、懸濁液中に残存する傾向にある。従って、先行技術において開示された方法を用いて製造された製剤では必要であった、懸濁液を凍結乾燥する必要がない。先行技術を用いて製造された生成物を用いた凍結乾燥の高価な工程があっても凍結乾燥粉末を液体で再構成することにより、先行技術により製造した大きな球体は懸濁液から、未だに沈殿し、いつか後にケーキを形成する。
本発明において開示される一連の新規な方法を用いて製造される球体の他の特性は、血小板減少症からの出血の治療に有効である。本出願において開示されるべき製造方法における、特定の変化により、コントロール又は「ブランク」の球体が血小板減少症の動物に静脈注射された後に止血効果を示すことは全く予期されていない。これらの球体は、合成手順の間に、それらに結合する、任意のフィブリノーゲン又は他の凝固物(又は他の薬剤)を有していなかった。また、長期間、懸濁液として室温に維持した後の、本発明の新規な方法により製造された球体は、有効なままであった。
本発明を用いて製造された、これら新規な「ブランク」球体又は顕微鏡的装置による、血小板減少症の動物の出血時間の短縮のメカニズムは未知である。人は、多くの組み合わせにおける多くの凝固因子のような、生体内において生体分子と結合するこれら新規な装置の能力を含む、理論的に多くのメカニズムを推論することができる。このような装置を体内に注入した後に、このような分子の潜在的な結合が生じる。仮説的に、球体に自発的に結合する生体分子の正確な同一性及び濃度は確認することが困難であり、分子は循環する血液に由来し、体外において試験管内で加えられないので、このような球体は、基本的に装置として供給される。装置は、臨床効果をもたらすための適切な生体分子を捕獲し、又は濃縮し、又は輸送するための明らかに適切な特性を有している。しかし、装置は、生体内で導入される適切な追加分子なしで、それ自身で任意の臨床効果を有しないと予想される。
装置と効果的な分子との、この仮説的な組み合わせ(以後、「活性化装置」と呼ぶ)も未知であるが、傷口に対して装置を標的とし、若しくは内在性血小板機能(血小板減少症状態において、又は正常な血小板濃度を有する患者において)又は未知の多くのメカニズムを強化することができる。
他の特許、米国特許第6,264,988B1号(「フィブリノーゲンで被覆したミクロスフェア」)において、Yenは、安定化アルブミン球体にフィブリノーゲンが付着した生成物及びその製造方法を開示している。また、球体は、脱溶媒和剤を加える前に、タンパク質溶液中に界面活性剤又は洗浄剤を加えて製造された。しかし、開示された製造方法は、サイズがあまりに大きい、球体の少数集団を有する球体の懸濁液をもたらす。特許は、球体にフィブリノーゲン分子を加える前又は後における、「大きい粒子」(毛細血管を詰まらせるであろう、7μmより大きい直径、カラム8)を除去するためのろ過又は遠心分離の使用を開示している。一方、本発明により製造される球体は、全て5ミクロンより小さく、その結果、懸濁液をろ過又は遠心分離工程に供する必要がない。特に、本発明に対する重要な関連性は、米国特許第6,264,988B1号における、前記開示された方法により製造された、フィブリノーゲンを加えずに製造されたアルブミン球体である、「コントロール球体」(CS)の効果の欠如である。CSは、(案の定)出血時間の修正(図6)又は血小板減少症のウサギ中での血液損失量(図7B)において生体内活性を示さなかった。ヒト血小板を用いたCS混合物を凝集させるADPを用いた試験管内試験は、ヒト血小板が純粋な血小板が凝集体を形成する間、CSの関与を示さなかった。
従って、フィブリノーゲン又は他の凝固因子のような生物学的修飾分子を試験管内で添加しないで、タンパク質球体を製造する本明細書に開示される新規な方法が、生体内での生物学的及び臨床効果をもたらし得ることは、全体的に予想外であり新規である。
このような効果のメカニズムを調査する試みは、いくつかの理由のために有益である:(1)血小板の断片、内皮細胞の残骸及び他のタンパク質凝集体のような小さい粒子を含む、注入された被験者の循環区画に由来する融合タンパク質粒子を回収することは困難であり;(2)任意の回収した粒子は、単に、粒子の注入した集団の画分である。毛細血管及び血管壁の近くに、流体力学的に小さい粒子が流れているが、大きい粒子は血管の中心を流れていることは周知である。回収した粒子において実施されたあらゆる試験は、おそらく装置の元の集団ではなく、循環区画の中心の近くから集めた粒子の回収された集団の特性を示しただけである;(3)生体内で装置に付着するようになる生物学的に修飾された分子は、生物学的修飾分子を血液画分から得られる。それは、分離後、特に可溶性血漿タンパク質及び他の血液成分、例えば赤血球及び血小板を除去するように設計された精製工程後に粒子から分離される。
しかし、試験管内での試験は、試験管内で血漿又はフィブリノーゲン溶液と混合した時に結合し得る粒子状装置に関して、ある程度の見識を提供し得る。これらは、各実施例が以下の項において開示されるように議論されるであろう。
他の特許(米国特許第5725804号、「治療及び診断用途のための非架橋タンパク質粒子」)において、Yenは、脱溶媒和剤の除去又は希釈により再溶解されない球体の製造方法を開示している。安定化のメカニズムは未知であるが、多くの関係のない化学物質又は薬剤を加えることにより達成することができる。その特許の特別の目的は、あらゆる製造工程において架橋剤の存在又は添加なしで、どのようにして非架橋剤が球体を安定化させることができるかを教示することであるので、この先行技術は当業者のために、非架橋剤が用いられる方法で架橋剤を用いる動機付けを提供しない。従って、本明細書に開示される一連の方法が、タンパク質溶液中に界面活性剤又は洗浄剤を加えることなく球体懸濁液を製造することができ、架橋された球体が所望の特性及び臨床効果を有するという結果は予想外であり、新規かつ非自明である
公開されたJournal of Thrombosis and Haemostasis,vol 5,supp1,Aug,2007の要約において、Applebyらは、フィブリノーゲン結合ペプチドGly−Pro−Arg−Pro(GPRP)に結合する、ヒトアルブミン微小粒子を用いた、「血小板代替物」の設計を開示している。従って、フィブリノゲンの微小粒子への直接的結合に代え、これらの研究者らは中間体ペプチド(GPRP)を微粒子に結合させた。フィブリノーゲンの微小粒子への間接的結合のアプローチは明らかに新規でない。公開されたデータは、粒子(例えば、赤血球)及びフィブリノーゲン分子に由来する断片の間の連結が、粒子(血球と呼ばれる)と血小板との付着を促進し得ることを示した(Coller BSらによる”Thromboerythrocytes”,J.Clin.Invest 1992,89:546−555を参照されたい)。対照的に、本発明に対する以下に示すデータは、試験管内又は生体内のいずれかで球体にフィブリノーゲンを結合させるために、本発明を用いて製造された球体には中間体分子が必要でないことを示した。
米国特許第5,069,936号 米国特許第6,264,988B1号 米国特許第5725804号
以下の全ての方法は、球体を製造するための脱溶媒和剤の添加前に、タンパク質溶液に界面活性剤又は洗浄剤を加えない。いくつかの名称は先行技術に開示されたものと同様であるが、これら新規な方法を用いて製造された生成物は、先行技術において製造されたものとは異なる。名称は、方法又はこの方法により製造される生成物を意味する。
1.「プレ−リンク(pre−link)」は、脱溶媒和剤を加える前に、タンパク質溶液に架橋剤を加えることを意味する。この方法において、可溶剤は、水分子に囲まれたタンパク質分子の部位に結合し、タンパク質分子は最も自然な状態に折りたたまれる。次いで、脱溶媒和剤を加えると、可溶剤と結合したタンパク質分子は、一緒に球体を形成する。
2.「ミド−リンク(mid−link)」は、架橋剤が、最初に脱溶媒和剤と予備混合され、次いで、混合物をタンパク質溶液に加えることを意味する。このケースにおいては、タンパク質分子と架橋剤との相互作用時間は脱溶媒和剤との時間と同じである。この方法においては、それらに隣接する分子としての他のタンパク質分子を有する(水和の水により部分的に包囲され)ものと同様に、架橋剤は、溶液中、いくつかの個々のタンパク質分子と結合する(水和の水により包囲される)。球体が、脱溶媒和剤と予備混合した架橋剤との同時作用下の工程中にあるので、それらが一緒にあるか、又はまだ一緒にないかのように、いくつかのタンパク質分子が、(完全又は部分的)に結合した架橋剤を既に有していると考えられる。追加の架橋剤は、基本的に球体が形成された後に球体に結合すると考えられる。タンパク質分子の立体構造を変える近くの隣接する分子(水和の水に代え)としての他のタンパク質分子を有するので、架橋剤のための結合部位は、前記「プレ−リンク」法又は後述する他の方法により架橋剤により結合するタンパク質部位とは異なっている。
3.「ポスト−リンク(Post−link)」脱溶媒和剤をタンパク質溶液に加え、球体が形成された後に架橋剤を加えることを意味する。このケースにおいては、球体の混濁溶液に架橋剤を加え、そうでなければ、脱溶媒和剤が希釈又は除去される場合に再溶解される。このケースにおいては、架橋剤は、既に球体として集合したタンパク質分子の部位に結合するであろう。架橋剤による結合部位は、前記「プレ−リンク」又は「ミド−リンク」法、若しくは後述する他の方法で用いられる時の架橋剤による結合のために利用できるタンパク質部位とは異なっている。
「バイ−リンク(Bi−link)」は、架橋剤が2種の別個の工程に加えられることを意味する。最初の工程は、タンパク質溶液に、低濃度の架橋剤溶液を短時間で加えることを含む。この、安定でない濃度(sub−stabilizing concentration)の架橋剤は、脱溶媒和剤の希釈又は除去による球体の再溶解を防止するのに十分でないが、懸濁液中で、大部分の球体より大きい、球体の小数集団の形成を防止する有益な高価を有する。次いで、脱溶媒和剤を添加し、脱溶媒和剤の除去又は希釈による再溶解から球体を保護する安定濃度の架橋剤を添加する第二工程が続く。また、球体の形成前及び球体の形成後に架橋剤により結合するためのタンパク質分子の部位はこの項において言及される他の全ての方法とは異なっている。
「バイミド−リンク(BiMid−link)」は、架橋剤を2回の別個の工程において加えることを意味する。バイ−リンク法のような、第一の工程は、安定でない濃度の架橋剤を、短時間でタンパク質溶液に加えることを含む。第二工程は、脱溶媒和剤と予備混合した、安定濃度の架橋剤を加えることを含む。この方法の利点は、形成された大部分の球体と比較し、異常なサイズの球体の検出可能な任意の小数集団の球体を有しないことであり、バイ−リンク法と比較し、添加又は混合物小数の工程がある。架橋剤が、脱溶媒和剤と予備混合されるので、一工程で混合物をタンパク質溶液に加え(安定でない濃度の架橋剤と予備処理)、球体を形成する。前記で議論したように、タンパク質分子上の架橋剤による結合部位は、この項において言及される他の方法により生成するものとは異なっている。
本発明は、新規な微小なタンパク質装置及びその製造方法、並びに止血のためのこのような装置の使用に関する。ヒト又は動物源に由来する血清アルブミンのような生体物質で製造された装置は、いずれの次元においも5ミクロン未満であり、通常、直径1ミクロン未満である。試験管内でそれに結合する任意の他の生物学的又は薬剤分子を有していない。しかし、該装置は、又は試験管内(及び潜在的に同様に生体内において)で血漿に暴露された後、凝固因子又は潜在的に薬剤のような生物学的修飾分子を捕獲、濃縮、輸送又は結合することを可能にする特性を有する。前記装置を静脈注射により体内に注入した後、止血効果を示すことができる。前記タンパク質装置を注入された血小板減少症の動物は、改善した止血時間を示し、外科創傷に由来する血液損失を少なくする。前記タンパク質装置の注入後に正常な血小板数を有する動物は、また、接種した場合に血液損失又は出血の傾向があることが予想される。生物学的に修飾された分子の提案される結合メカニズムは未知であり、医学的利点のメカニズムも、また未知である。
実施例1における、この開示及び記載により、種々の製造業者から購入したヒト血清アルブミン溶液が賦形剤溶液の組成において異なり、同じ製造方法を用いて同様の球体懸濁液をもたらさないことがわかった。特に、界面活性剤の添加を必要としない新規な合成方法が、直径5ミクロンより大きい球体を有さないか、凝集体が存在しない懸濁液をもたらすことがわかった。
実施例2における、この開示及び記載により、タンパク質球体の合成方法が非常に効果的であることがわかった。架橋剤が、脱溶媒和剤と予備混合されるので、この方法はミド−リンク法と呼ばれた。次いで、混合物を追加の界面活性剤の非存在下にタンパク質溶液に加え、有用な球体懸濁液を形成した。
実施例3における、この開示及び記載により、ミド−リンク法の更なる改良が、直径5ミクロンより大きい球体のない懸濁液を製造し得ることがわかった。これは、先行技術の方法により製造された、血管を詰まらせ得る大きい球体をろ過又は除去する必要のない球体の製造を可能にする。
実施例4における、この開示及び記載により、いずれも追加の界面活性剤をタンパク質溶液に存在させる必要のない、新規なポスト−リンク及びミド−リンク法により製造された球体が試験管内でフィブリノーゲンと結合し得ることがわかった。
実施例5における、この開示及び記載により、架橋剤の追加を2回の別個の工程に分けることにより、他の新規な球体の製造方法は、懸濁液の合成の間の大きな球体又は粒子の形成を減少するという意外な効果を有することがわかった。第一工程は、溶媒和剤を希釈することにより球体の再可溶化を防止するのにそれ自体では不十分であった、ある濃度の架橋剤を用いることを含む。第二工程は、再度の溶解から球体を不可逆的に安定化するために、ある濃度の架橋剤を混濁懸濁液に加えることを含む。
実施例6における、この開示及び記載により、試験管内で血漿に暴露された場合、プレ−リンク球体は、追加の架橋剤を加えることなしに、1種以上の凝固因子と自発的に結合することができることがわかった。
実施例7における、この開示及び記載により、新規なバイ−リンク法がフィブリノーゲンと結合し得る球体をもたらし得ることがわかった。
実施例8における、この開示及び記載により、試験管内でフィブリノーゲンでコーティングされたバイ−リンク球体と、試験管内でフィブリノーゲンでコーティングされていないものとが、血小板減少症のウサギにおける出血時間の改善においていずれも効果のあることがわかった。タンパク質溶液中に界面活性剤を加えることを含むが、試験管内でフィブリノーゲンを加えない方法を用いた先行技術により製造されたコントロールのポスト−リンク球体が、血小板減少症のウサギにおいて繰り返して薬効を示さないので、これは最も予想外の結果であった。
実施例9における、この開示及び記載により、ブランクプレ−リンク及びブランクバイ−リンク球体(すなわち、試験管内でフィブリノーゲンを加えない球体)が、血小板減少症のウサギの出血時間の改善において効果的であることがわかった。
実施例10における、この開示及び記載により、球体が、最終滅菌の手段としての極度の静水圧に暴露され得ることがわかった。この過程は懸濁液を損傷せず、血小板減少症のウサギの治療における効果を残存していた。
実施例11における、この開示及び記載により、塩濃度の低い、透析したヒト血清アルブミンを用いることにより、懸濁液中で高濃度の球体を得ることができる。
実施例12における、この開示及び記載により、本発明の新規な合成方法を用いて、透析したヒト血清アルブミンから製造した球体が、先行技術に開示されたものと異なることがわかった。
実施例13における、この開示及び記載により、血漿中で低濃度のフィブリノーゲンに暴露された場合に、新規なミド−リンク法により製造された球体が、血漿に由来するフィブリノーゲンを捕獲、濃縮及び結合することができ、その結果、ブランクの球体が、なぜ血小板減少症のウサギの治療における装置として供給され得るかの洞察を提供することがわかった。
実施例14における、この開示及び記載により、ミド−リンク法を大量生産法に向けて容易に適応することができ、得られた球体を、血小板減少症のウサギの出血時間の改善における効果を維持する間、60℃に10時間加熱することにより最終的に滅菌することができることがわかった。
実施例15における、この開示及び記載により、新規なバイミド−リンク法が、基本的に、通常は大きいサイズの球体の少数集団でないサイズで非常に均一に球体を製造することができることがわかった。球体は、フィブリノーゲンでコーティングされるかコーティングされないで試験管内で製造することができる。この方法により製造された両方のタイプの球体が、血小板減少症の動物の出血の治療において有効であることがわかった。
この開示により、血小板減少症又は血小板機能障害に由来する出血の新規治療法が、本発明により製造されるように、製造工程の間、試験管内でフィブリノーゲンを加えない、微小な生物学的装置の注入に達成することができることがわかった。
この開示により、血小板減少症又は血小板機能障害に由来する出血の新規治療法が、本発明により製造されるように、製造工程の間、試験管内でフィブリノーゲンを加える、微小な生物学的装置の注入に達成することができることがわかった。
患者(ヒト及び動物)は種々の理由のために出血し得る。1つの理由は、外傷からのような又は外科の間の外部損傷である。希釈性血小板減少症、全血の大部分の損失後の血小板の注入なしでの赤血球の置換のみの結果としての出血状態は、周術期出血の非常にありふれた原因である。
出血の他の理由は、凝固系における関節内障により、これは、遺伝子異常又はウイルス感染又は薬剤の結果であり得る。これは、内部器官における長期間の出血又は過剰量の血液損失を導くであろう
凝固系は、共同して機能する主に2つの系からなる。一般に公知なものは、主に凝固因子を含む可溶性システムである。あまり周知でない系は非常に小さいが、血液中で可視のままであり、通常、容積中、7.4〜10.4ファモリットル(立法マイクロメートル)の範囲である。本発明は、主に血小板の機能を模倣することができる、小さい球体の製造及び使用に関し、どうかすると「人工粒子」と考えられる。
凝固因子は、(カスケード又は増幅系により)傷口の周囲で活性化されるようになり、傷口を「塞ぐ」ための不溶性の「フィブリン塊」を形成するであろう、血液中に溶解しているタンパク質分子である。しかし、このシステムのみを用いて、この種類の可溶化システムについて安定な不溶性の塊を形成するにはいくらかの時間がかかる。血小板系である、より高速の系は、傷口の周囲で活性化される場合、不活性な血小板(既に小さい粒子である)を数秒で活性化血小板に変化させることができる。血小板活性化の主要な生化学的事象は、血小板表面への凝固因子の結合、特にフィブリノーゲン(第I因子)の結合である。血小板結合フィブリノーゲンが、活性化血小板表面上でフィブリンに変化し得る速度は、血液中の(血小板に結合していない)可溶性フィブリノーゲンがフィブリンに変化する速度よりも速い。従って、離れているが、2種の系は、一緒に機能して傷口の周囲で効率的に塊を形成する。当然、活性化血小板により実施される多くの他の重要な機能があり、これは、血小板の詳細な知識を有する当業者が離解するであろう。
血小板の濃度は非常に重要である。健康なヒト患者においては、血小板の正常範囲は130〜140(×1000)個の血小板/1μLの血液である。不十分な濃度の血小板に悩まされている患者(ヒト又は動物)は、長い「出血時間」(自発的に出血を止めるための傷口のためにとられる時間)及び「出血量」(出血時間の間の血液損失容量)を伴うであろう。血小板減少症は、十分な血小板を有しない患者の病状を表わす医学用語である。この病状は、血小板の骨髄の生産能力を損傷する癌により、又は癌の治療から引き起こされ得る。
血小板減少症の患者が長い出血時間を伴う理由は、最終的に血小板プラグを形成するために物理的に連結するために、お互いに(低濃度のため)届くための活性化血小板の無能であると記載される場合がある。従って、ある方法で空間を満たすことができ、血小板プラグの形成工程の間、活性化血小板と結合し、又は活性化血小板を用いて凝集体を形成する手段を供給する人工的な血小板生成物は、内科及び外科の患者にとって非常に重要であろう。人工血小板の生成の1つのアプローチは、ボディが血小板として考慮され、「模倣される」、相溶性のあるタンパク質球体の表面へのフィブリノーゲンの結合である。フィブリノーゲン分子を、製造工程の間に試験管内で球体に加えることができ、又は患者に「ブランク」の球体を投与した後、生体内で球体に加えることができる。低濃度の血小板中における任意の内因性血小板機能の刺激凝固系の生化学における当業者にとって明らかな任意の他のメカニズムのような、人工粒子による作用の他のメカニズムは当然に可能である。
患者は、しばしば、脳卒中又は心発作の病歴を伴う患者におけるような、血小板プラグの形成を防止するための抗血小板薬が与えられる。アスピリン、及びAggrastat(チロフィバン)、Agrylin(アナグレリド)、Integrilin(エプチフィバチド), Persantine(ジピリダモール)、Plavix(クロピドグレル)、Pletal(シロスタゾール),ReoPro(アブシキシマブ)、Ticlid(チクロピジン)、Ventavis(イロプロスト)のような抗血小板薬が、いくつかの具体例である。薬剤は、通常、血小板濃度(又は血小板数)に影響をしないが、血小板機能に影響する。患者は血小板減少症と呼ばれ得る。しかし、正常な血小板生産能力を有する身体が、骨髄から機能的血小板を連続的に生産するので、ある医師は、このような抗血小板薬が誘導する血小板減少症状態を「機能性血小板減少症」と考え:新たに生産され、影響を受けない血小板の低濃度はまだ機能し得るが、十分な数ではない。従って、人工血小板生成物はこれらの条件下でも機能し得る。
時々、抗血小板薬を服用している患者は過剰投与になり得、又は患者は緊急手術が必要になり得る。現在、抗血小板薬のための拮抗薬の準備はない。抗血小板生成物は、機能性血小板減少症を改善するために注入され得る。
本発明のような人工血小板生成物は、まだ、血小板減少症又は血小板細胞変性でない患者の予防的治療として与えられる時、患者の止血状態を改善し得ることが期待されるが、大量の出血を導くであろう外科手術又は任意の危険な状態に直面する間の予想される大量の血液損失のため、早急の血小板の注入を必要とすることが期待される。ある状況においては、血小板は入手できず、従って、人工血小板生成物は、理想的な代替物であろう。
本発明は、生物学的装置、その製造方法、並びにヒト及び動物患者におけるその使用を開示する。装置は生体材料から製造され、タンパク質分子、すなわち、ヒト又は動物起源の血清アルブミンのような界面活性剤又は洗浄剤を加えていない。装置は、患者への投与に適している。生物学的装置は、最初は、それに結合する活性分子を有さないが、生物学的装置は、少なくとも1種の他の生物学的活性分子、例えば、薬剤又は可溶性凝固因子を直接捕獲する能力を有している。少なくとも1種の生物学的活性分子の捕獲は試験管内又は生体内で起こり得る。
以前の出版物は、凝集体の形成を防止するため、製造工程の間にアルブミン溶液への界面活性剤又は洗浄剤の添加が重要であると示したが、本発明は、本発明による、有用な凝集体のない球体の懸濁液を製造するために、アルブミン溶液のようなタンパク質溶液に海面活性剤又は洗浄剤を加える必要がないことを発見した。
特に興味のあるものは、患者に投与された後に医療効果を有し得る、製造工程の間(又は「試験管内で」)、アルブミン球体に、任意の「生物学的活性分子」又は生物学的修飾分子が加えられていない球体として定義される、「ブランク」球体である。生物学的修飾分子は、凝固因子、ホルモン、抗体及び公知の医療効果を有する任意の分子のような、身体の全体の生理学又は細胞生理学に影響することが知られている分子である。このような「ブランク」球体の作用の1つのメカニズムは、血液中に存在する他の生物学的活性分子を直接捕獲する能力である。例えば、本発明において製造された球体が、患者に注入した後に、患者の血液中のフィブリノーゲン分子に結合することができる場合、混合生成物(生体内において活性分子を有する装置)は身体における医療効果を有し得る。
特に興味のあるものは、製造日のずっと後、及び合成条件と非常に異なる条件下でフィブリノーゲンと結合することができる、本発明を用いて製造された球体である。従って、球体は、患者に注入した後に、患者により生産されたフィブリノーゲンに結合し得ることが可能である。健康な患者は、血漿1mLあたり、1.77〜3.75mgの範囲の(可溶性)フィブリノーゲン濃度を有する。しかし、患者が血小板生成物である場合、出血時間は上昇したままであり、(可溶性)フィブリノーゲンの正常濃度は、血小板の適切な濃度の機能と置換し得ないことを示す。しかし、生体内で結合する内因性フィブリノーゲンを有する球体は、活性化血小板を模倣し得、可溶性又は非結合型フィブリノーゲンの予期できない効果を有するが、輸血される血小板の効果と同様の効果を有する。
本発明において、アルブミンは、装置の製造のための原資料として開示されているが、他のタンパク質分子を用い得ることは当業者には明らかである。
本発明に開示された球体は、患者が血小板輸血を受けたかのように、血小板減少症患者の出血時間を改善することができるが、球体は、生体内に存在する任意の薬剤のような、身体内の他の生物学的活性分子とも結合することができると予想される。
本発明の生成物は主に球体であるが、非球状粒子は同様に有効であり得る。全体的な形状と関係なく、これらの装置のサイズは、毛細血管の閉塞を防止するため、直径を含む任意の次元において5ミクロンを超えるべきでない。生物学的装置は、理想的に懸濁液の形状であり、患者への静脈投与に適合する媒体中に懸濁されている。生物学的装置は球体であり得、0.3〜0.5ミクロンの平均直径、理想的には0.3ミクロン未満の直径を有する。
粒子のサイズ及び密度は、粒子又は球体が貯蔵される媒体中でのブラウン運動により懸濁液中に残存するのに十分に小さいべきであることも重要である。これは、時々振盪しないでも、容器の底に物質が形成することをもたらす沈殿(患者への静脈投与のために適していない)を防止するためである。
ドナーの血小板が、ドナーの不足、または取り入れる不十分な基盤にかかわらず利用可能でないか、又は血小板、又は血小板への反応又は関連する血液製剤の歴史を維持する場合、いかなる理由であれ血小板輸血を必要とする本発明で製造された生成物は、どのような患者にも提供することができる。
患者の恒常的状態が、本発明に開示される装置の投与によって改善されることが予想される。
以下は、生成物をどのように製造し、それをどのように使用するかを示す実施例の詳細な開示である。
実施例1
いくつかの市販のHSA調製品からのタンパク質粒子の製造
目的:同一条件下で、コントロールのタンパク質粒子(試験管内で他の生体分子を加えない)の形成について種々の供給業者から購入した25%ヒト血清アルブミン(HSA)が同一であるかどうかを評価するため。
原理
HSAの商業生産は、薬品、温度、滅菌条件、ろ過条件、保存条件及び添加する賦形剤、バッファー、電解質及び本発明のタンパク質粒子の製造のために用いられるタンパク質溶液の条件に影響を及ぼし得る他の物質を含む、その製造工程においてバリエーションがある。この実施例は、このようなあらゆる相違を発見及び評価することを目的とする。
米国特許第5,069,936号は、脱溶媒和剤の添加前にタンパク質溶液に洗浄剤又は界面活性剤を加えることの重要性を議論している(カラム4、21〜24行)。本実施例の目的の1つは、脱溶媒和剤の添加の前又は後に、タンパク質溶液に、任意のこのような洗浄剤又は界面活性剤を加えないことの影響を評価することであった。
この実施例の他の目的は、脱溶媒和剤の添加前に、タンパク質溶液中に種々の濃度の塩を加えることの影響を評価することである。
米国特許第5,308,620号(タンパク質ナノ粒子及びその製造方法)は、
凝集のない球体の形成を促進するために、25%HSAの塩含有量を減少することの影響を開示している(実施例13、ヒトアルブミンナノマトリクスの合成における浸透圧[低浸透圧]の影響、カラム19〜22)。全体的な結論は、「実質的に全てのフリーのナトリウムイオンを除去した水中で大規模に透析したHSAを用いることにより、7.7mg/mLのSTS濃度と関連し、110mg/mLのHSA濃度の有用なナノマトリクス(表13)が得られた(カラム20、35〜39行)。要するに、高い塩化ナトリウム含有量は、「使い物にならない凝集体」をもたらす傾向にある。」であった。
前記理由について、実施例1は、前もって透析していない、塩化ナトリウムのHSA溶液への意図的な追加をもって設計された。エタノール(水中、70%)の添加前に、塩を加えた。(もしあれば)HSAの5種のバッチのいずれが、凝集体のない、球体又は粒子の形成のために最も有利であるかを調べるために、エタノールは脱可溶化剤(又は脱溶媒和剤)として用いられた。
材料及び方法
HSAの5種のバッチ(全て25mL)を、それぞれ、Alpha Therapeutic Corp,ロサンゼルス(A);Baxter Healthcare Corp,グレンデール(B);Central Lab,Blood Transfusion Service,Swiss Red Cross(C);Immuno−US,Inc,ロチェスター、ミシガン州(I);ZLB Bioplasma,スイス(Z)から購入した。グルタルアルデヒド(GL)は、Electron Microscopy Sciences(ワシントンとりで、ペンシルベニア州)から購入した。
種々のHSAの電解質含有量を標準的な臨床検査室の化学パネリストにより測定し、結果を表1に示した。
透析していないHSA(25%)の一定量(32μL)を、市販のHSA(25%)の供給業者のそれぞれからの新規な瓶から取り出した。一定量を、任意の洗浄剤を加えることなく、68μLの塩化ナトリウム溶液と試験管内で室温(19〜23℃)で混合した(P、Q、R、S、T及びWと呼ばれる調製品は、それぞれ、9.0、7.2、5.4、3.6、1.8及び0mgの塩化ナトリウム/水1mLを含む溶液を表わす)。
従って、30本全ての試験管(表2)が80mg/mLの均一な濃度のHSAを含むが、ナトリウム及び塩化物イオンの濃度は変化する。次いで、100μLのグルタルアルデヒド(GL、1.6mg/1mLの水)を加えた。これは、後述するように、エタノールを加える前のタンパク質とのGLの相互作用の時間の短いこと;及びタンパク質溶液中に界面活性剤又は洗浄剤を加えないことを除き、先行技術に開示されている「プレリンク」法と同じである。試験管内の内容物を完全に混合した後、333μLのエタノール(水中、70%)をGLの添加の15秒以内にタンパク質溶液に加え、混合物は、すぐに濁ったか、又は透明及び清澄のままであった。
形成された粒子のサイズを評価するため、18μLの懸濁液を顕微鏡スライドに置き、1500倍のパワー拡大における位相コントラスト中のカバースリップ下で観察した。球体の最も普通の集団の直径を、接眼部内に置かれた標準マイクロメートルと比較した。通常、目視検査により、あらゆる調製品中の99%を超える粒子が球体であった。しかし、1ミクロンを超える直径の球体を含む調製品において、「ジャガイモ」のような不規則な形態を有する非球体の粒子が時々観察される(目視検査による1%未満の手段であった)。
結果
表1:HSA25%(未透析、未希釈、オリジナル)の種々の調製品の電解質含有量
結果は、ナトリウム濃度が5種の貯蔵液全てで同程度であり、塩化物濃度は48ミリモル未満から71.5ミリモルまで変化することを示し、これは、異なる貯蔵液は、貯蔵液のpHを生理的pHに調整するための他のアニオンを含んでいることを示す。同様に、重炭酸塩(CO)濃度は3未満〜18ミリモルに変化した。
表2は、種々の希釈剤塩化ナトリウム水溶液による貯蔵HSA溶液の希釈後の全体の塩化物及びナトリウムイオン濃度を示した。これらの塩化物及びナトリウムイオン濃度は、GLを加えた後のタンパク質溶液中のそれぞれのイオン濃度である。表2は、前記材料及び方法の項に記載されたような種々の溶液を混合することにより得られた、結果として得られる生成物(球体又は凝集体)をも示す。
要約すると:試験管1〜6は供給業者Aから;試験管7〜12は供給業者Bから;試験管13〜18は供給業者Cから:試験管19〜24は供給業者Iから;試験管25〜30は供給業者Zから購入したアルブミンを含む。
GLの添加前のタンパク質溶液中の塩化物イオンの総濃度は、希釈剤由来の寄与、及び希釈後のそれぞれの貯蔵HSA溶液(25%)由来の寄与の合計であった。例えば、試験管1において:供給業者Aに由来する25%アルブミン32μLから得られる19.6ミリモルの塩化物(25%貯蔵溶液中に61.4ミリモルの塩化物を含む)と比較し、68μL容量の希釈剤P(9mg NaCl/mL又は154ミリモル)は104.7ミリモルの塩化物イオンに寄与する。
ナトリウムイオン濃度に関しては、貯蔵溶液中のナトリウムイオン濃度は133〜138ミリモルでのみ変化したので、試験管1、7、13、19、25中のナトリウムイオン濃度は同程度であり(147〜149ミリモル);試験管2、8、14、20、26のナトリウムイオン濃度は126〜128ミリモルであり;試験管3、9、15、21、27のナトリウムイオン濃度は105〜107ミリモルであり;試験管4、10、16、22、28のナトリウムイオン濃度は84〜86ミリモルであり;試験管5、11、17、23、29のナトリウムイオン濃度は64〜65ミリモルであり;試験管6、12、18、24、30のナトリウムイオン濃度は43〜44ミリモルであった。
濁度の点では、透明かつ清澄のままであった試験管10、11、12を除き、脱溶媒和剤を加えた後に試験管は混濁した。
Baxterから購入した25%HSA貯蔵溶液を用いた場合を除き、高濃度の塩化ナトリウム溶液で希釈した試験管内で凝集体が試験管内で観察された。
水で、又は希釈剤S及びT(試験管10、11、12)で希釈した場合、Baxterから購入した25%HSA貯蔵溶液から球体は生成されなかった。Baxterから購入した25%HSA貯蔵溶液は、この方法により球体が形成される前に、最小濃度の塩化ナトリウムを含む希釈剤(例えば、希釈剤P、Q、R)を用いた希釈を必要とした。
凝集体のない有用な球体(0.7〜1ミクロン)が、高濃度塩化ナトリウム条件下に製造され(例えば、試験管7、8、9)、他の4者の供給業者から得られたHSA25%からの生成物は、役に立たない凝集体を均一に形成した(試験管1〜3:試験管13〜15;試験管19〜21;試験管25〜27)。
表2.架橋剤添加前の各試験管中の塩化物イオン(mEq)及びナトリウムイオン(mEq)、並びにそれぞれのタンパク質溶液から製造された球体懸濁液の特定の性質。
コメント:データは、多くの意外な結果を示した:
(1)米国特許第5,069,936号は、脱溶媒和剤の添加前に、タンパク質溶液中に適切な濃度の界面活性剤又は洗浄剤を有することの重要性を開示した(カラム4、20〜35行)。しかし、本実施例においては、いずれの試験管にも界面活性剤又は洗浄剤は添加されていないが、明らかにナトリウム及び塩化物イオンの濃度が適切である場合に、直径0.3〜0.7ミクロン球体が凝集体なしで製造することができた(例えば、試験管5、6、7、8、9、17、18、22、23、24、30)。
(2)低濃度のナトリウムイオンは、種々の供給業者から購入した5種のHSA貯蔵溶液のうちの4種において凝集体のない、球体の形成において有利な因子であると思われる。例外は、そのアルブミン貯蔵溶液が、高濃度のナトリウムイオンでさえ凝集体のない球体を形成するために用いることのできる、供給業者Baxterであった(例えば、試験管7、8、9)。
(3)凝集体の体球体の形成という点で、ナトリウムイオンの最も高い耐用し得る濃度は、供給業者毎に変化した。例えば、試験管4(供給業者A)及び試験管16(供給業者C)において、ナトリウム濃度が84mEq以上の場合に凝集塊又は大きい凝集体が観察された。しかし、Immuno−US Inc.により供給されたHSAを用いることにより(例えば、試験管22)、ナトリウム濃度が86ミリモルである場合に、凝集体のない球体が形成された。それに対し、Baxter Healthcare Corpから製造されたタンパク質溶液については、ナトリウムイオン濃度が84ミリモル未満の場合(試験管10、11、12)、球体が形成された。実際、Baxter Healthcare Corpに由来するアルブミン貯蔵溶液を用いることにより、架橋剤及びエタノール溶液を加える前に、147ミリモルのナトリウム濃度において凝集体のない球体を形成することができた。
(4)塩化物イオン濃度は、凝集体のない球体を形成することができるかどうかについて決定的なものではないと思われた。15.4ミリモル未満(試験管24)、及び120.1ミリモル未満(試験管7)の塩化物濃度は、貯蔵溶液が、それぞれ、供給業者I及び供給業者Bにより供給された場合に、凝集体のない球体の製造において成功した。これに対し、他の供給業者により供給された貯蔵溶液から、塩化物濃度の中間の範囲まで希釈したアルブミン溶液を含む他の試験管(例えば、試験管2、3、4、14、15、16、27、28、29)は凝集塊及び凝集体をもたらした。
意外にも、供給業者Bから購入したアルブミン貯蔵溶液は、総塩化物濃度が57ミリモル以下である場合、84ミリモル以下のナトリウム濃度と併せ(試験管10、11、12)、球体を形成しなかった;溶液は、他の試験管に加えたように、同量の架橋剤及びエタノール(70%)を加えた後に透明のままであった。製造業者Bは、その生成物が60℃における加熱に10時間さらされていることを開示した。他の製造業者は同様の開示をしていなかった。球体形成の独特のパターン又は球体形成の失敗(しかし凝集体の形成なし)が、他の供給業者により用いられる方法に対抗するような、Baxter Healthcare Corpの製造方法によるなら、それは明らかでない。
(6)全ての凝集体のない球体の製造を顕微鏡下で注意深く試験した場合、球体は、サイズ分布において単分散でることが観察された。例外は、球体のほとんど(約99%)が約1ミクロンであり、いくらかの(1%未満)球体が直径1ミクロンを越え、5ミクロンであることが、試験管25、26、27において観察された。これら3種の懸濁液は、サイズ分布において著しく不均一であった。
(7)球体の平均直径が約1ミクロン又は1ミクロン未満である、全ての調製品において、球体のサイズ分布は不均一であると思われた。これらの任意の調製品中に非球形粒子は観察されず、直径が5ミクロンより大きい球体はなかった。
考察
狭いサイズ分布であり、懸濁液中で凝集体の同時形成のない球体の成功した製造のための条件は非常に厳しい。先行技術は、医学的に有用な球体懸濁液を製造するのに失敗したが、本発明の方法が開示されたように成功した全ての潜在的な理由を表すことは可能ではない。
本発明において、タンパク質溶液に洗浄剤又は追加の界面活性剤を加えることなく、球体を形成することができるという発見については、1つの理由又は仮説は、脱溶媒和剤を加えた後のタンパク質分子とのGLとの相互作用時間の短縮された時間(15秒)であり得る。米国特許第5,069,936号に開示された方法(例えば、カラム22、56行〜カラム23、30行の実施例4、実験例1)は、脱溶媒和剤の添加前の、GLのタンパク質分子とのより長い反応時間を用いた(例えば、バッファーの添加前に5分間、エタノールの添加前に、部分的に結合したタンパク質溶液と5分間の相互作用、すなわち、合計10分間)。
米国特許第5,069,936号は、タンパク質溶液中での短い「可溶剤相互作用時間」の重要性について教示していなかった。長い架橋時間(例えば、10分間)が、最終的に「ありあまるほどの、使い物にならない凝集塊」をもたらし(カラム23、15行)、これは、脱溶媒和剤の添加前にタンパク質溶液に洗浄剤を含ませることにより回避し得る。
結論
評価した、全ての25%ヒトアルブミン貯蔵溶液(臨床用途のためにFDAによって承認された市販のアルブミン製品)は、同程度のアルブミン濃度、ナトリウム濃度及びpHを有していたが、本実施例に開示された「プレ−リンク」法に供した時に、同程度の球体懸濁液を生成しなかった。
水で単純に希釈した(洗浄剤又は界面活性剤を加えず)、4者の商業的供給業者(Baxter Healthcare Corpを除く)により供給された、透析されていない貯蔵アルブミン溶液(25%)は、本実施例において開示された条件を用いて、架橋剤及び脱溶媒和剤を加えた後に、凝集体の体球体懸濁液をもたらすことができた。
特定の条件が、なぜ凝集体のない球体形成に有利であり、他の条件が球体を形成せず、又は反対に凝集体を形成かを、本実施例において用いられた、それぞれナトリウム及び塩化物濃度の評価から明らかでない。
本発明は、直径5ミクロンより大きい球体(又は粒子)による汚染のない、実質的に5ミクロンより小さい球体をも製造し、以前に開示された方法は、このような大きい凝集体又は粒子を除去する追加工程を必要としていた。
開示された特許における以前の教示とは反対に、HSAの特定の貯蔵溶液(例えば、Baxterから購入)は、球体を形成する前に、塩化ナトリウム含有溶液(貯蔵タンパク質溶液を、所望の初期濃度に希釈するという追加の目的を供給する)を補充する必要がある。
種々の製造供給元により供給された貯蔵アルブミン溶液は、それらがどのように製造されたか、及び凝集体の体球体を製造する前に種々の合成条件を必要とすることで、独自に異なっていてもよい。得られた球体は、視覚、又は他の物理的な検査により揺曳に検出可能でない、試験管内又は生体内での種々の特性を有しているかもしれない。動物、特に血小板減少症のウサギにおける研究は、種々の調製品の生物学的性質における任意の相違を評価する唯一の方法であるかもしれない。
実施例2
3種の新規方法を用いたタンパク質粒子の製造
目的:任意の次元において5ミクロンより大きい粒子を基本的に有しない、タンパク質球体の新規な合成方法、及び生成物の安定性を評価する方法を開発すること。
原理:米国特許第5,069,936号は、タンパク質球体合成のための2種の方法を開示した。第一の方法は「プレ−リンク」(濁度の出現前又は球体の形成前に架橋剤を加えることを意味する)と呼ばれる。それは、基本的に、(a)タンパク質分子を溶解し;(b)更なる架橋のために一緒に押し込まれる前に、タンパク質分子の関連づけられた部分に架橋剤を加え;(c)界面活性剤を加え、タンパク質表面と相互作用させ;(d)粒子をミクロスフェアに一緒に押し込むために脱溶媒和剤を加えることを含む(カラム4、53行〜カラム5、7行)。用いられる架橋剤(グルタルアルデヒド、GL)の濃度は、脱溶媒和剤(水によるか、又は処理の追加工程等)の希釈による可溶化に抵抗性のある安定な球体をもたらす。
米国特許第5,069,936号は、更に、基本的に、(a)タンパク質分子を溶解し;(b)界面活性剤を加え;(c)脱溶媒和剤を加え;(d)ミクロスフェアを内部的に架橋するために架橋剤を加えることを含む。この方法は「ポスト−リンク」(球体の形成後に架橋剤を加えることを意味する)と呼ばれる。懸濁液が水による希釈に供される場合、又は処理の追加工程の間、懸濁液が希釈液にさらされる場合、架橋剤の非存在下に最初に形成される球体を溶解(再溶解)する。再溶解に対してそれらを安定化させるため、個々の球体の構造体を完全に架橋するために球体懸濁液に架橋剤を加える。
この先行技術に開示された方法は、いずれも脱溶媒和剤を加える前に、タンパク質溶液に界面活性剤又は洗浄剤を加えることを含む。
しかし、開示された「ポスト−リンク」法から得られる懸濁液は、球体がフィブリノーゲンによってコーティングされたかどうかが真実であった、多くの5ミクロンより大きい球体を含む。実際、米国特許第6,263,988B1号は、TS1が、フィブリノーゲンにより球体をコーティングする追加の工程を有することを除き(カラム10、50〜61行)、TS11と同様の方法(カラム11、34〜35行)により製造されたことを開示している。更に、TS1を作成するための懸濁液に対するフィブリノーゲンの添加は、球体のサイズを大きくせず、サイズ分布を変化させる(カラム24、16〜17行は、Lot K9401のように見えるCSを示す、すなわち多くの大きい球体が存在する)。その記載に一致し、米国特許第6,263,988B1号の表11は、K9401が、1mL(再構築懸濁液)あたり、直径7ミクロンより大きいサイズの球体を少なくとも865000000個含むことを示した(カラム24、52行)。この方法により製造されたCSに同じことが予想された。
本実施例の原理は、タンパク質溶液に洗浄剤又は界面活性剤を加えない、本発明により製造された3種の生成物を比較することであった。第一の生成物は、「プレ−リンク」法とも呼ばれる新規な方法(本発明においてタンパク質溶液中に洗浄剤を加えないこと、及び通常、1分未満の、短い「架橋剤相互作用時間」を除く)によって製造された第二の生成物は、「ポスト−リンク」法とも呼ばれる方法(同様に、タンパク質溶液に添加剤を加えず、短い「架橋剤相互作用時間」を用いる)によって製造された。
第三の生成物は、あらゆる先行技術に以前に開示されていない、新規な「ミド−リンク」法により製造された。この「ミド−リンク」法においては、架橋剤を、まず脱溶媒和剤と予備混合し、次いで、混合物をタンパク質溶液に加える(界面活性剤又は洗浄剤を加えることなく)。従って、架橋剤は、脱溶媒和剤と同時に加えられた。タンパク質分子上における架橋剤による架橋作用の開始は、可溶性タンパク質分子からの球体の形成における脱溶媒和剤の作用と同時に開始するであろう。可溶性タンパク質分子から球体が形成される時に、正確に架橋剤を加える効果は、「プレ−リンク」又は「ポスト−リンク」法のいずれかから予測することはできなかった。詳細な動物試験のみが、「ミド−リンク」球体の生体適合性、並びに他の生物学的又は化学的分子の送達のためのそれらの使用、又は単独使用の効果を示すことができた。
本実施例は、凝集体のない、医学的に有用な球体の製造における、この「ミド−リンク」法の効果、及び懸濁液を希釈した場合の再溶解に対してどのくらいで生成物が安定化し得るかを評価することを目的とする。
材料及び方法
25%HSAは、Alpha Therapeutic Corp,グレンデールから購入し、洗浄剤又は他の界面活性剤を加えずに、水で6%まで希釈した。「プレ−リンク」及び「ポスト−リンク」なる用語は、既に開示された技術分野においては同様であるが、本明細書で用いられる方法は、球体の形成の任意の時間においてタンパク質溶液に界面活性剤又は洗浄剤を加えず、短い「(15秒未満の)架橋剤相互作用時間」が用いられる点で新規である。
(a)新規な「プレリンク」法:200μLの6%HSA(市販の25%HSAを水で希釈)をポリプロピレン製の微小遠心管に入れ、ここに200μLのグルタルアルデヒド、GL(1.6mL/水1mL)を加え、振盪した。30秒以内に640μLのエタノール(水中、70%)を加え、混合物は混濁した。懸濁液中のGLの最終濃度は0.31mg/mLであった。
(b)新規な「ポストリンク」法:400μLの3%HSA(市販の25%HSAを水で希釈)をポリプロピレン製の微小遠心管に入れ、次いで、640μLのエタノール(水中、70%)を加え、混合物は混濁した。5分後、懸濁液に52μLのGL(6.5mg/mL)を加えた。懸濁液中のGLの最終濃度は0.31mg/mLであった。
(c)新規な「ミドリンク」法:400μLの3%HSA(市販の25%HSAを水で希釈)をポリプロピレン製の微小遠心管に入れ、次いで、640μLの溶液(水中に70%エタノール、0.5mg/mLのGLをも含む)を加えた。混合物はすぐに混濁した。懸濁液中のGLの最終濃度は0.31mg/mLであった。
前記3種の新規方法に従い、種々の時間ポイントにおいて、完全に架橋し、再溶解に対して粒子を安定化する効果を評価するために、以下を実施した。前記方法のそれぞれについて、脱溶媒和剤の添加後の種々の時間において生成物の一定量(40μL)を除去し、160μLの水で希釈した。1時間後、全ての試験管中の懸濁液を微小遠心管中で遠心し(5分間、最高速度)、再溶解しない任意の安定な球体を除去した。上清のタンパク質濃度を、BCA法(Pierce Corp.)により測定した。
製造された球体の濃度(mg/ml)を、全ての試薬を加えた後のアルブミンの最終濃度(全てのケースにおいて、1040μLである上清の最終容量により割った12mgのアルブミン)と、上清から測定した可溶性タンパク質の濃度(その時間ポイントにおいて安定に架橋されていない、任意の球体を再溶解するための水で5倍希釈し補正した後)との差から得た。安定な球体の「収率」は、球体懸濁液を製造するための全ての試薬の添加後のアルブミン分子の最終濃度で割った、製造された球体の濃度である
結果:新規な「プレ−リンク」法を用いたGLによる安定化の反応速度は、新規な「ポスト−リンク」法を用いたものと同様であった。両方の方法は、エタノールの添加4分後に最大の安定に達した。最大収量(停滞状態)は、懸濁液中の利用できる全てのアルブミン分子(溶液中のままである全てのアルブミン分子と球体形状のものの合計)の約36%であると思われた。対照的に、新規な「ミド−リンク」法により製造された球体は再溶解に対して最大安定に達するのに8分以上を必要とした。最も高い収率は約37%であった。
表3は、「プレ−リンク」及び「ミド−リンク」法を用いて製造された球体の種々の希釈時間の収率を記載した(ポストリンク法からのデータは、プレ−リンク法のものと同じであり、ここには含まれていない)。
表3:混濁の出現後の種々の時間における、プレ−リンク及びミド−リンク法による安定化球体の収率
3種の方法により製造した球体のサイズ分布を評価するため、安定化球体(安定化の28分後)を位相差顕微鏡により観察した。「プレ−リンク」法により製造した球体は、通常、直径0.3ミクロンであり、サイズにおいて非常に均一であり、凝集体はなく、5ミクロンより大きい球体及び非球形状粒子を含んでいなかった。
「ポスト−リンク」法により製造された球体は、直径約0.1ミクロンであり、ブラウン運動のため、個々の球体を見ることは非常に困難であったが、明らかに凝集体はなく、5ミクロンより大きい球体及び非球形状粒子を含んでいなかった。
興味あるものは、これらの条件下における「ミド−リンク」法により製造された球体であり:ほとんど(99.9%以上)が直径0.5ミクロンであるが、直径5ミクロンより大きい明らかに小数集団(血球計算板により1mLあたり約10,000個と推定される)があり、それらのいくつかは直径15ミクロンに達した。「5ミクロンより大きい球体」の濃度はK9401(米国特許第6,264,988B1号、表11)において観察されるより約3桁大きく、CSと同程度であり;その結果、低用量を用いた静脈投与に許容され得る。「ミド−リンク」法で製造した生成物中に凝集体はなく、非球形の粒子もなかった。
エタノールの添加時のアルブミンの最終濃度は同じであり、架橋剤の最終濃度が同じであるけれども、3種の方法からの生成物は異なっている。新規な「ミド−リンク」法を用いた合成の他の条件は、安全度の高い静脈注射の医学的応用に適した懸濁液を製造するために、合成の間に5ミクロンより大きい球体の存在を回避することを探索することを必要とする(後述する)。
実施例3
合成の間に5ミクロンより大きい球体の製造を回避するための「ミド−リンク」法の改良
目的:新規な「ミド−リンク」法に由来する生成物が、サイズ分布において不均一でない、改良された合成条件を見つけること。特に、製造された懸濁液は、直径5ミクロンより大きい、あらゆる球体又は粒子を含んでいない。
米国特許第5,069,936号に開示されたデータは、アルブミンの高い初期濃度(例えば、40、60〜80mg/mL;実施例5の表、カラム25)が、より大きい球体をもたらすことを示した(加えた洗浄剤の各濃度において)。また、米国特許第6,264,988B1号は、用いられるアルブミン(TS1、カラム10、38行;Alpha Therapeutics,カリフォルニア州から購入)の初期濃度が15%である場合に、6480000000個の大きい球体(10ミクロンより大きい直径を有する;表12、カラム26)/mLの存在を開示している。従って、新規な「ミド−リンク」法を用いた球体の合成において3%より高い初期濃度のアルブミンを用いた場合、より「大きい球体」(直径5ミクロンより大きい球体として定義される)が生じると予想される。
材料及び方法
高濃度のHAS(5%〜6%の範囲HSAを供給業者Aから購入し、界面活性剤又は洗浄剤を加えることなく、水のみで希釈した)を用いることを除き、実施例2に開示された「ミド−リンク」法を繰り返した。
結果:アルブミン濃度のこの範囲内で形成された球体は常に1〜2ミクロンであり、
5ミクロンより大きい球体、凝集体、不規則な粒子又は球体でない形状のものは観察されなかった。
結論:プレ−リンク法及びポスト−リンク法(米国特許第6,264,988B1号)を用いた、既に開示された特許(米国特許第5,069,936号)(両者とも界面活性剤を加える)からのデータは、高い初期濃度のアルブミンが直径5ミクロンより大きい球体を製造しそうであることを示唆するが、新規なミド−リンク法により製造した場合、高濃度のアルブミン(水中、5%及び6%)を用いることにより、反対の効果(3%アルブミン溶液を用いて合成した生成物と比較し)が得られた。
本実施例においては、ほとんどの球体が1〜2ミクロンのサイズであったが(実施例2における0.5ミクロンの平均と比べ)、5ミクロンより大きい球体又は粒子は存在していなかった。従って、大きい球体(直径5ミクロンより大きい)の小数集団の出現は、平均サイズの大多数の集団を用いた「ミド−リンク」法において相互に関連しない。大多数のサイズの全体的な増大は、大きい球体の生理的に危険な亜集団の任意の外観と関連しなかった。
実施例4
種々の方法により製造された球体へのフィブリノーゲン分子の結合
目的:新規なポスト−リンク及び新規なミド−リンク法により製造された球体が、追加の架橋剤を加え、フィブリノーゲン含有懸濁液中で凝集体を形成する必要なく、両者ともフィブリノーゲン溶液と混合することによりフィブリノーゲンと結合し得るかどうかを評価すること。
原理:実施例2は、プレ−リンク及びポスト−リンク法が、架橋剤が最大効果をもって球体を安定化し得る前に少なくとも4分間を必要とすることを示した。ミド−リンク法は8分以上を必要とした。他の予備的実験は、グルタルアルデヒド分子が極めて急速にタンパク質分子に結合し、反応が数分以内に完了することを示差した(ここではデータを示さない)。懸濁液中におけるグルタルアルデヒドに由来するあらゆる影響を更に最小化するため、わずかな、又は「更に反応」しないグルタルアルデヒド分子が存在する時に、フィブリノーゲン分子をこの実施例において、調製品中の混濁が出願した後少なくとも10分間、混濁した懸濁液に加えた。
フィブリノーゲンの商業的市販供給品は、通常、高濃度の塩を含む(例えば、15%クエン酸ナトリウム及び25%塩化ナトリウム、Sigma−Aldrich Co由来の製品F3879を参照されたい)。このように高濃度の塩の添加は球体の凝集をもたらすが、フィブリノーゲン溶液に由来する、このような塩の添加なしで、調製品は安定である。この実施例は、懸濁液中に既に形成された球体の凝集を引き起こすことなく薬理効果を有する球体にフィブリノーゲンが結合するのには十分であろう、フィブリノーゲンの市販供給品の適切な希釈度を評価することを目的とする。
材料及び方法:Sigma−Aldich Co.からヒトフィブリノーゲン粉末を購入し、1.0mLの球体懸濁液に対して0.5mL〜1.0mL比率のフィブリノーゲン溶液で、球体調製物と混合する前に、1mgの凝固し得るタンパク質/mLになるように、通常の食塩水(0.9%塩化ナトリウム)に溶解した。他の供給業者により供給されるフィブリノーゲンは、同様に有効であると予想される。
ポスト−リンクアルブミン球体を、(1)タンパク質溶液に洗浄剤を加えず、(2)溶液をシリコンチューブシステム内を硬質プラスチックチューブ中で混合し、(3)球体懸濁液の容量あたりに加えるフィブリノーゲン溶液の種々の容量比を前述したように用いたことを除き、米国特許第6264988B1号におけるTS1について開示された方法のようにして製造した。
再度、タンパク質溶液に洗浄剤を加えず、混濁の出現の10分後に、混濁した球体懸濁液にフィブリノーゲン溶液を加え、実施例3におけるようにしてミド−リンク球体を製造した。
ポスト−リンク及びミド−リンクの球体調製物は、いずれも、遠心分離し、エタノール及び上清中の残余の架橋剤又はフィブリノーゲンを除去した。沈殿物を通常の食塩水中に再懸濁した。
フィブリノーゲンをコーティングした球体が、試験管内でトロンビン誘発性凝集体を形成し得るかどうかを評価するため、既に開示された方法を用いた。「最低限に達しない(sub−minimal)」濃度の可溶性フィブリノーゲン下における粒子の凝集は、米国特許第6,391,342B1号「治療用途のためのフィブリノーゲンでコーティングした粒子」のカラム19、47〜60行に既に開示されている。基本的に、トロンビンを加えた(3単位/mL)、通常は目に見える塊を形成しない低濃度(「最低限に達しない」濃度)のフィブリノーゲン溶液を、コントロール球体(CS)又は既にフィブリノーゲンでコーティングされた球体と混合した。次いで、トロンビンを加えた。CSはその表面にフィブリノーゲンを有しておらず、先行技術においては、これらの条件下で混合物にトロンビンを加えて凝集体を形成しないことが示されている。球体は既にフィブリノーゲンでコーティングされているが、トロンビン溶液を加えた後、「最低限に達しない」濃度のフィブリノーゲン中に懸濁した時に凝集体を形成するであろう。
結果:本実施例の条件下での球体溶液へのフィブリノーゲン溶液(通常の食塩水で希釈)の添加は、フィブリノーゲン溶液を用いて導入された塩からの凝集体の形成をもたらさなかった。
フィブリノーゲンでコーティングしたポスト−リンク球体及びフィブリノーゲンでコーティングしたミド−リンク球体は、いずれも、開示されたように、トロンビン溶液を加えた後、最低限に達しない濃度のフィブリノーゲンの存在下、凝集体を形成する。データは、ミド−リンク球体がポスト−リンク球体と同じ程度でフィブリノーゲンと結合し得ることを示し;いずれの球体調製物も、血小板減少症の動物の治療に有効であるかもしれない。
コントロールのポスト−リンク球体及びコントロールのミド−リンク球体は、いずれも最低限濃度のフィブリノーゲン溶液と混合する前に、フィブリノーゲンを加えることなく、これらの条件下でトロンビン誘導性凝集体を形成しなかった。
コメント
予備的実験からのデータ(ここでは示さない)は、GLのタンパク質分子への結合が5分未満で完了し得ることを示した。本実施例において、混濁の出現10分後にフィブリノーゲン分子を球体と混合したので、フィブリノーゲン分子の球体への結合は、おそらくまだ反応していて、架橋剤の残量を必要としないか、又はそれによらなかった(すなわち、それからの残りは、再溶解に対して球体を安定化するのに必要であった)。
タンパク質溶液中で洗浄剤の存在下、先行技術により製造された、フィブリノーゲンでコーティングされたポスト−リンク球体は、最低限に達しない濃度のフィブリノーゲン中でトロンビン誘導体の球体凝集体を形成することができた。これらの球体は、試験管内で、ADP又はコラーゲンのような凝集剤を加えた後、ヒト血小板と共凝集を形成することもできた(米国特許第6,264,988B1号の図13)。従って、最低限に達しないフィブリノーゲン濃度の存在下に、トロンビン誘導性球体−球体凝集体(ミド−リンク法により製造された単一の球体に由来)を形成する、新規なポスト−リンク及びミド−リンク法の両者により製造されたフィブリノーゲンをコーティングした球体の能力は、2種の新規な方法を用いて製造されたフィブリノーゲンをコーティングした球体が、試験管内及び生体内においてヒト血小板と同様に共凝集体を形成し得ることを示した。
新規なポスト−リンク法又は新規なミド−リンク法のいずれかにより製造されたコントロール球体の、トロンビン誘導性球体凝集体を形成することの不成功は、低濃度(最低限に達しない)フィブリノーゲンの条件下、両者いずれかの種類の球体が結合しないか、又はトロンビンを添加した後に球体−球体凝集体の形成に効果的であるのに十分なフィブリノーゲン分子と結合しなかったことを示した。
新規な「ミド−リンク」法は、大きな球体(5ミクロンより大きい)の共同生産なしで、天然の血小板(約2ミクロンである)のサイズに接近する球体を製造することができた。架橋剤を消耗する(球体形状又は残りの可溶性の形態のいずれかにおける、アルブミン分子への完全な結合から)時間ポイントにおけるフィブリノーゲンの球体への結合は、フィブリノーゲンの球体への結合が、薬理効果の供給に効果的である組み合わせのために、共有結合である必要がないことを示した。
実施例5
新規なバイ−リンク法を用いたタンパク質球体の製造
目的:高濃度のタンパク質溶液及び2種の濃度の架橋剤を用いることにより、基本的に直径5ミクロンより大きい球体を含まない、高濃度の球体を製造する新規な方法を開発すること。
原理:実施例2は、5ミクロンより大きい球体のない、球体懸濁液を製造することのできる、「プレリンク」及び「ポストリンク」法の両者を示した。しかし、目的を達成するため、初期タンパク質濃度は相対的に低くなければならない(例えば、脱溶媒和剤を加えた時点で3%)。結果として、最終懸濁液中の球体の濃度も相対的に低かった。
高濃度の球体が望ましい場合があるので、1つのアプローチは、低い初期タンパク質濃度で開始し相対的に均一な球体を形成し、次いで、過剰の液体を除去するためのろ過により、生成物中の球体を濃縮する。しかし、フィルターは簡単に詰まり、ろ過される生成物の性能を変化させると思われた(米国特許第6,264,988号、表13)。従って、本実施例は、相対的に高濃度のタンパク質溶液を用いるが、2工程において架橋剤を用いず、最初に「無効な」(「安定でない」(sub−stabilizing)ともいう)濃度、次いで「安定化」濃度を用いる、新規方法を調べることを試みる。「無効な」濃度は、脱溶媒和剤を加えた時に、球体が再溶解するか、それ未満の架橋剤の濃度として定義された。この意味で、「無効な」濃度は、実際に「安定でない」濃度であった。「安定化」濃度は、球体が再溶解に対して安定化する場合に存在するか、それを超える濃度であった。
形成された、どのような安定な球体生成物もないであろうから、これらの実施例より前には、「安定化でない」濃度の架橋剤の添加は無意味であったので、「バイ−リンク」法は新規である。他の濃度の架橋剤の添加は以前に考慮されなかった。投与の間の時間間隔が球体の性質にとって重要であるかもしれず、1秒後に、懸濁液が単一の単分散球体を含んだままであるかどうかは明らかでなく、高濃度の架橋剤(「安定化」濃度)を懸濁液に加える。
本実施例においては、実際、球体の再溶解に関する効果にかかわらず、安定でない濃度は、効果があったのがわかった。安定化していない濃度は、球体のサイズ分布の均一性を増加について予想しない効果を有していた。
この工程の利用(球体の形成前の安定化しない濃度の添加、それに続く、球体の出現後の「安定化」濃度の架橋剤の添加)は、直径5ミクロンを超える球体の小数集団の形成を排除した。この工程を用いないと、他の同一な製造工程の下、ほとんどの球体が直径5ミクロン未満である場合であっても、5ミクロンより大きい球体が混合物中にもたらされる。
理論上は、安定でない濃度の架橋剤を加えることができる2つの時間ポイントがある。安定でない濃度の架橋剤は、(A)脱溶媒和剤の添加前に可溶性タンパク質溶液に加えることができ、又は(B)混濁の出現後であるが、安定化濃度の架橋剤を加える前に加えることができる。いずれかのケースにおいて、示さない限り、懸濁液の希釈により(任意の脱溶媒技を含まない溶媒により)混濁は消失し、それに続く「安定化」濃度の架橋剤が添加される(脱溶媒和剤の希釈又は除去の前)。
しかし、前のパラグラフにおけるオプション(B)において議論したように、脱溶媒和剤を加えた後に(しかし、安定化濃度の架橋剤を加える前)、安定化しない濃度をタンパク質溶液に加えた場合、5ミクロンより大きい球体がすぐに形成された。従って、このようなアプローチは、安定化濃度の架橋剤がいったん加えられると球体は再溶解しないので、このようなアプローチは大きな球体を含む不均一な集団のみを生産するであろう。
従って、本実施例においては、脱溶媒和剤を加える前に、安定でない濃度の架橋剤が常にタンパク質溶液に加えられ、次いで、後に第二の安定化濃度の架橋剤が加えられた。
本発明において、第2の濃度の架橋剤は、「安定化」濃度の架橋剤と呼ばれた。この薬剤は、「安定化しない」薬剤又は異なる化学物質又は薬剤と同じ化学物質であり得る。
この濃度は、安定な球体を作成するために必要であり、既に安定化した球体に他の生体分子を共有結合により結合するために用いられた、米国特許第5,069,936号の実施例14に開示されたような架橋剤の「第二の濃度」の使用に関連していなかった
球体内でのタンパク質分子を架橋する種々の方法の生体内における影響、及び個々のタンパク質分子がどのようにして球体内に折りたたまれるかは現在のところ未知であり、動物、特に血小板減少症の動物を用いてのみ評価することができる。従って、「バイ−リンク」法は非自明として認識すべきであり、単に、「プレ−リンク」及び「ポスト−リンク」法の組み合わせとして認識することはできない。
材料及び方法
パートA:用いられた条件下で安定でなかった架橋剤の濃度の評価。供給業者Zから購入したHSA25%を、任意の洗浄剤又は他の界面活性剤を含まない水で、更に任意の塩溶液を加えずに、12%にまで希釈した。グルタルアルデヒド(GL)の溶液は、貯蔵GL溶液(10%、Electron Microscopy Science,ワシントンとりで、ペンシルベニア州から購入)を、水で、以下の濃度:1.6、0.8、0.4、0.2、0.1、0.05、0mg/mLにそれぞれ希釈することにより調製した。一連の試験管において、200μLのHSA(12%)を200μLのGL(種々の公知の濃度)と混合した。エタノール(水中、70%、720μL)を15秒以内に加えた。5ミクロンの直径より大きく形成された粒子があるかどうかを、位相差顕微鏡下に観察するため、試料を取り出した。更に10分後、200μLの混濁した懸濁液を、400μLの水に加え、混濁した懸濁液が透明になるかどうかを見た。GLの安定でない濃度を、実験のこの部分に加えた。
再溶解の各試験管中の球体の「収率」を以下のようにして、すなわち、水で希釈した後のそれぞれの生成物の200μLを含む一定量(透明であるか又は混濁したままである)を遠心し、球体を除去して測定した。次いで、上清中に残っている可溶性タンパク質の濃度をアッセイした。コントロールの試験管に由来する上清中のタンパク質の濃度(架橋剤を加えず、エタノールの添加後に形成された全ての球体は、水を加えた後に完全に再溶解した)は、「総タンパク質濃度」として用いられた。全てのタンパク質濃度は、BCA法(Pierce Corp.)により測定した。試験管内の球体の「収率」は、「総タンパク質濃度から試験管中の上清タンパク質濃度を引き」、これを「総タンパク質濃度」で割った。
部分B:バイ−リンク法を用いた再溶解に対して安定な球体の製造は、安定でないGL濃度(0.1mg/mL)及び安定化濃度のGPL(12.5mg/mL)を必要とした。基本的に、球体を形成するための(不安定なままである)のエタノールの添加、及び安定化濃度のGLを加えたことを除き、パートAにおけるのと同じ製造工程が用いられた。
種々の時間におけるGLの安定化濃度の添加の効果を評価するため、エタノール添加の2、4、6、10又は15分に安定化濃度を加えた。GLの安定化濃度を、混濁した懸濁液の1120μLあたり45μLの比で加えた。その後、安定化濃度のGLを加えた10分後に懸濁液を水で希釈することにより惹起し、球体懸濁液の収率を開示されたようにして実施した。
このバイ−リンク法により製造された球体を、適切な賦形剤を加えた後に凍結又は凍結乾燥した。凍結した試料の解凍後の球体の外観及び特性、又は水による凍結乾燥粉末の再構成を評価した。
結果
パートA:水で希釈することにより、初期濃度(タンパク質溶液と1:1に混合する前)のGLが、それぞれ1.6及び0.8mg/mLである2本の試験管を除き、全ての混濁する懸濁液が透明に変化した。GLの初期濃度が1.6及び0.8mg/mLの場合、球体の収率は25%を超えた。GL濃度が0.4mg/mLの場合、収率は5%に落ち、GLの初期濃度が0.4mg/mL未満で1%未満まで落ちた。従って、成分の開示された濃度及び混合工程の下、架橋剤の「安定でない」濃度は0.4mg/mLのGL又はそれ以下であると決定された。
安定でない濃度のGL(水中、0.4〜0.05mg/mL)の添加が、脱溶媒和剤の添加後に(安定化濃度のGLの添加又は添加なし)、大きな球体の小数集団の形成を防止するという効果を有することがわかった。希釈しないで顕微鏡下で観察した時に、懸濁液はサイズ分布において不均一であり、大きな球体を有していなかった。
更に、GL(次いで、エタノール)を加えた後に形成された球体の通常のサイズが、
用いられたGLの最初の濃度とは関係なく、ほぼ同じであることがわかった(最初に1.6mg/mL〜0.05mg/mL)。位相差顕微鏡により評価すると、全ての懸濁液(希釈しないで観察)は、直径が約0.8〜1.2ミクロンの球体を有していた。GLを加えなかったコントロールの試験管を除き、全ての試験管において、5ミクロンより大きい粒子又は球体はなかった。コントロールの試験管において、大部分の球体は1ミクロンより大きく、5ミクロンより大きい球体は、10,000個/mLの濃度では観察されなかった。
パートB:安定化濃度のGLを加えた後の懸濁液の収率は、コントロールの試験管を含む全ての試験管において25派を超えた。エタノールを加えた2分後の安定化濃度のGLの添加は、エタノールを加えた15分後に加えたのと同程度の球体濃度を有する懸濁液をもたらした。データは、懸濁液中で球体を安定化するのに効果的なGLの安定化濃度のために2分以下を要することを示した。
安定化濃度のGL(12.5mg/mL)を加えた後の球体のサイズ分布の顕微鏡評価は、次に続く工程が球体のサイズを変えず、凝集体を生成しないことを示した。初期濃度のGL(1.6mg/mL〜0.05mg/mLの範囲)を有する全ての試験管中の全ての懸濁液は、5ミクロンより大きい球体を有しておらず、脱溶媒和剤の添加後に凝集しない。安定化濃度のGLの添加後、全ての懸濁液のサイズ分布に変化はなかった。
脱溶媒和剤を加えた後のコントロール試験管(最初の投与においてGLなし)中の球体へのGLの安定化濃度の添加は、水で希釈することにより球体を不溶性にしたが、調製品中で同じサイズ分布を維持した。
マルトース(18〜28mg/mL)、乳糖(18〜28mg/mL)及びグリシン(0.5〜1.5mg/mL)を含有する混合物を含む適切な賦形剤を、−18度において凍結するか凍結乾燥する前に加えると、懸濁液中の球体のサイズ分布を維持する。それは、凍結試料の解凍又は凍結乾燥生成物の水による再構築後に、懸濁液の外観及び特性を変化させない。
コメント及び結論
米国特許第6,264,988B1号に開示されたような、「大きな球体」(直径が5ミクロンより大きい)の小数集団の存在(例えば、Lot K9401)は、低濃度の球体が投与された時に被験者によって容認され得る。
5ミクロンより大きい球体又は粒子の最小量又は検出できない濃度を含む懸濁液を高濃度で投与することが有利であろう。
本発明のアプローチは、低濃度(安定でない)架橋剤が、脱溶媒和剤の除去による球体の再溶解を防止し得ないが、その存在及び作用がより不均一な球体サイズを引き起こすという予期しない効果を有するという意外な発見を示す。このような、5ミクロンより大きい球体の除去は重大な医学的利点を有していた。安定でない球体の懸濁液は、凍結又は凍結乾燥を含む更なる処理工程において溶解しない球体の更なる利益を備えながら、球体の相対的に均一なサイズ分布を妨害又は変化させることなく、後に続く架橋剤濃度(安定化濃度)により持続的に安定化され得る。
実施例6
試験管内における複数のヒト凝固因子でコーティングされたアルブミン球体
目的:ヒト血漿に暴露された球体は血漿由来の複数の凝固因子と同時に結合し得るかどうかを評価すること。
原理:前の実施例において、フィブリノーゲン(第I因子としても知られている)を、Sigmaから購入し、例えば、F3879は約60重量%のタンパク質を含み、80%を超えるタンパク質は凝固可能であり;残りはクエン酸ナトリウム及び塩化ナトリウムである。
通常、粉末を通常の食塩水に溶解し、球体の懸濁液に加え、表面にフィブリノーゲンのコーティング又は球体のマトリクス内への埋め込みを達成した。
本実施例は、球体を、試験管内において、凝固因子の完全な補体を含むヒト血漿に加えた時に、1種以上の凝固因子が自発的に球体に結合し得るかどうかを評価することを目的とする。
材料及び方法
界面活性剤を加えない、新規な「プレ−リンク」法を用いた。HSA 25%を供給業者Aから購入し、洗浄剤又は任意の他の界面活性剤を加えることなく、水で10%まで希釈した。試験管内のこのタンパク質溶液4mLに、4mLのGL(水中に希釈した、1.6mg/mL)を加え、混合物を振盪することにより混合した。30秒後、12mLのエタノール(水中、70%)を加え、混合物は混濁した。室温は約21℃であった。19℃〜23℃の温度が許容される。
血漿は、ヘパリン−抗凝固全血に由来する全ての細胞成分を除去した後に、健康なボランティアから得た。血漿は2.17mgのフィブリノーゲン/mLを含んでおり;フォン・ヴィレブランド因子(vWF)及び第IX因子は正常範囲であった。
フィブリノーゲン濃度は、競合免疫アッセイにより測定した。Sigma−aldrichから購入したフィブリノーゲン標準品を、10%遮断薬(Pierceから購入;本実験において、この溶液をNSBと呼んだ)を含む通常の食塩水で0〜5μg/mLに希釈した。
結合フィブリノーゲン含有量のためにアッセイされる球体を、同様に、アッセイに適した、予想されるフィブリノーゲン濃度(球体結合形状において)の範囲に希釈した。ヤギ抗ヒトフィブリノーゲン抗体(本明細書においてGAFと呼ぶ)及びペルオキシダーゼ酵素と結合したウサギ抗ヤギIgG(本明細書においてRAGと呼ぶ)をSigma−aldrichから購入し、それぞれ(NSBで)1:3000及び1:2000に希釈した。抗原(標準溶液、又は球体、通常25μL)の一定量を100μLのGAF(加える抗原に対して過剰の抗体を含む)と混合した。インキュベーション後、96穴プレート中のウェルに対し、100μLの混合物を加えた。ウェルを、飽和濃度のフィブリノーゲンを用いてプレコーティングした。次いで、過剰のGAF(球体上のフィブリノーゲンに結合した後の残り)を、プラスチックのウェル上に予め結合させたフィブリノーゲンと結合させた。適切な洗浄の後、100μLのRAGを加えた。更に適切な洗浄の後、ペルオキシダーゼの基質を加え、黄色の反応物を生成させた。最も高いフィブリノーゲン濃度を有する試料は、大量のGAF(過剰濃度に由来)を除去し、その結果、最小の残余物がプラスチックのウェルに結合する。従って、試料中のフィブリノーゲン濃度が高くなると、ウェル中の色が濃くなる(可溶性の形態であろうと、球体表面又は内部に結合していようとも)。標準溶液の光学的濃度との光学的濃度(分光光度計)の比較により、興味のある試料中のフィブリノーゲン濃度が得られる。
プラスチックウェルに結合するために利用できる(フィブリノーゲンを用いて可能であったように)、精製ヒトvWF又はヒト第IX因子の市販の供給品がないので、これらの凝固因子(球体に結合した)のアッセイは、ウサギIgGマーカーに対して特異的ヒト抗原に最初に「変換する」間接的方法を必要とする。ウサギ抗−vWF(F3520)及びウサギ抗−第IX因子(F0652)及びウサギ非特異的IgG(I5006)をSigma−aldrichから購入した。適切な濃度のそれぞれの抗体溶液は、NSBで希釈することにより調製した。次いで、それぞれ100μLの抗体を100μLの球体と混合した。次いで、過剰(溶解したままである)の抗体を、球体懸濁液の遠心分離により除去した。この処理は、球体上の特定の抗原(vWF又は第IX因子)の特定の量を、等量の球体に結合したウサギIgGの一般化された抗原に変換した。
次いで、再懸濁した球体を競合免疫アッセイに供し、球体に結合したウサギIgGの量を測定した(球体上のヒトvWF又は第IX因子によって)。用いた抗体はペルオキシダーゼ酵素と既に結合している、ヤギ抗−ウサギ抗体(GAR、過剰量)であった。次いで、残りの(ウサギIgGにより球体に結合しない)GARを、非特異的ウサギIgGを予め結合したプラスチックウェルに結合させた。標準溶液について、非特異的ウサギIgGを、GARと反応させるために5〜200μg/mLの範囲に希釈した。プラスチックウェル表面に結合したGARの量を、ペルオキシダーゼ基質を加えることにより測定した。
結果
開示されたような「プレ−リンク」法を用いて製造されたアルブミン球体懸濁液(200μL)の一定量を、ドナーの血漿(水で希釈し、血漿中、1.5mg/mLのフィブリノーゲン濃度を達成した,160μL)と混合した(エタノールの添加20分以内)。比較のため、同じ懸濁液の他の一定量(200μL)を160μLの精製フィブリノーゲン(1.5mg/mL)と混合した。混合後、懸濁液は、約6mgの球体/mLを含んでいた。
血漿、及び精製フィブリノーゲン溶液でコーティングした球体上のフィブリノーゲン含有量は、それぞれ、20.4及び18.1μgフィブリノーゲン/球体1mgであった。
VWF及び第IX因子のための特異的なウサギ抗体の量は、用いられた実験条件下で、それぞれ、5.2μg/mg及び0.47μg/mg球体であった。
コメント及び結論
データは、血漿に由来する内在性フィブリノーゲン分子が、商業的供給源から得られた、精製フィブリノーゲン調製品と、同じ効果を有する球体と自発的に結合し得ることを示した。血漿を用いた場合、追加の凝固因子が同時に結合し得る。本実施例においては、vWF及び第IX因子に対する抗体が市販されているので、これらの因子のみ(一例として凝固因子)を試験した。球体を全血と混合した時に、他の凝固因子、また、非凝固因子、タンパク質又は非タンパク質分子さえもが球体と結合し得ると期待される。
5.2μg等量のウサギIgG(抗−vWF)と比較し、1mgの球体あたり0.47μg等量のウサギIgG(抗−第IX因子)が結合するという事実は、vWF分子と比較し、1mgの球体あたりの第IX因子分子が少ないことを意味しない。この特異的抗体のそれぞれの抗原への結合特異性(1mgの好転に対して結合する抗体のμg)は未知であり、これら2種の抗体及び抗原について非常に異なり得る。
脱溶媒和剤を加える前に、タンパク質溶液に洗浄剤を加えないので、本実施例における「プレ−リンク」法は新規であった。また、30秒という、タンパク質との短い「架橋剤反応時間」が用いられた。前に開示された特許において用いられたGL相互作用時間と比較し、30秒は短い時間であった。懸濁液は、5ミクロンより大きい球体を含まず、凝集体を含まなかった。
本実施例においては、「プレ−リンク」球体の新規方法のみを試験したが、「ポスト−リンク」及び「ミド−リンク」及び「バイ−リンク」及び「バイミド−リンク」の新規な方法(全て界面活性剤を加えない)により製造された球体は、試験管内及び生体内において血漿と接触させることにより、全て複数の凝固因子、他の生体分子又は薬剤と結合することができると予想される。
複数の凝固因子の組み合わせを含む球体は、結合フィブリノーゲンのみを含む球体と比較し、少なくとも同程度であるほど、又は優れてさえいる医学的効果を有し得ると予想される。
実施例7
バイ−リンク法を用いたアルブミン球体の合成、それに続く種々の濃度のフィブリノーゲンによるコーティング
目的
球体上に結合したフィブリノーゲンの最小量が、血小板減少症のウサギにおいて出血時間を改善するかどうかを評価する目的のため、バイ−リンク法及びAlpha Therapeutics,カリフォルニア以外の供給業者を用いた、濃度の高いフィブリノーゲンを含む、多くの球体調製物を製造すること。
原理:Yen(米国特許第6,264,988B1号「フィブリノーゲンでコーティングしたミクロスフェア」)は、血小板減少症のウサギにおける出血時間の改善をもたらす、フィブリノーゲンでコーティングされた球体の製造方法の詳細な説明を開示している(図4、5、6)。この開示中で球体を製造するために用いられたHSAは、Alpha Therapeutics,カリフォルニア州から購入した(カラム10、1行)。有利な性質が、原資料としてこの供給業者由来のHSAを用いることの特定の結果であったかどうかは明らかでない。Baxter Healthcare Corp’sの製品(Buminate、ブミネート)は、Alpha Therapeuticsにより供給されるHSAとは大部分異なっている(塩化物及び重炭酸塩の濃度に関して)(実施例1を参照)ように思われたので、本実施例において、ブミネートは、血小板減少症のウサギにおいて更に評価される粒子を製造するために用いられた(実施例に開示)。
更に、既にフィブリノーゲンでコーティングされた球体は、全て、凝集体形成を防止するために界面活性剤の存在下に製造された。このような化学物質、特にテトラデシル硫酸ナトリウム(STS)が、特に、それらの効果をもたらすか寄与する球体の表面特性又は他の特性について効果を有するかどうかは明らかでなかった。必要な変数を減らすため、本発明において示される新規な方法はSTSの存在を必要としないが、本実施例におけるバイ−リンク球体を、フィブリノーゲンの存在又は非存在下、STSの存在下に製造した
また、米国特許第6,265,988B1号には、シリコーンチューブシステムを通してそれぞれの試薬を、混合のために重大な混合ポイントに送達するための種々のポンプを用いることにより、球体を製造する方法が開示されている。それは、大量の球体懸濁懸濁液の製造のために設計されている。本実施例は、対照的に、剛直なプラスチックチューブ又はガラスフラスコ中で少量の薬剤の混合を達成した。
材料及び方法:BSA 25%及びヒトフィブリノーゲンは、いずれもBaxter Healthcare Corp.から購入した。グルタルアルデヒド(GL)はElectron Microscopy Science(EMグレード、ポートワシントン、ペンシルベニア州)から購入した。テトラデシル硫酸ナトリウム(以前はTergitolの名称でUnion Carbideにより製造されていたアニオン性界面活性剤と同じであるSTS 27%、Niaprof4)は、Sigma,St.Louisから購入した。
米国特許第6,264,988B1号の開示された先行技術のような混合接合部における濃度に可能な限り接近させるため、本実施例のために以下の工程が用いられた:
(a)正確な濃度の塩とともに洗浄剤を含むアルブミン溶液の調製:最初に、50mLのポリプロピレンチューブに6.25mLの水、次いで5mLのSTS(水中に0.2mg/mLに希釈)、次いで3.75mLの10倍の食塩溶液(90mgの塩化ナトリウム/mL)、及び最後に35mLのブミネート(25%)を加えた。この溶液は、次の工程に使える状態である、タンパク質溶液中に適切な量のSTS及び塩化ナトリウムを含み、snHSAと呼ばれる。
従って、snHSA中の成分の濃度(GL及び他の試薬を加える前)は以下の通り、すなわち:HSA(17.5%):STS(0.02mg/mL)であり;塩化ナトリウム(6.75mg/mL、25%のHSA貯蔵溶液から寄与する任意のカチオン又はアニオンを計算しない)を加えた。
(b)安定でない濃度及び安定化濃度のGLを、GLの貯蔵溶液(10%)を、水で、それぞれ0.1mg/mL(50mL調製)及び12.5mg/mL(10mL調製)まで希釈することにより調製した。
(c)500mLのガラス製フラスコ中で、エタノールを水で70%まで希釈した。
相対的に大量が必要なため、溶液混合物の一部内で局所でのアルコールの高濃度を防止するため、全量を2個の等しい一定量ずつタンパク質溶液に加えた。
(d)ヒトフィブリノーゲン溶液(各10mL)を、フィブリノーゲン貯蔵溶液(2%)を通常の食塩水で希釈し、それぞれ2.0、1.75及び1.5mg/mLとすることにより調製した。この濃度は、混濁した球体懸濁液に加える前のフィブリノーゲン濃度を意味する(混濁した球体懸濁液の容量に対し、約0.2容量の比のフィブリノーゲン溶液を加える)。
室温(許容される、19℃〜23℃)における各工程の後に、前記成分のそれぞれを振盪することによって混合した。各工程において示される時間は、時間0に続く実際の時間であって、前の工程からの時間間隔であった。工程毎の混合処理は以下の通りである:
調製品7−Aについて:(1)貯蔵溶液から6.2mLのsnHSAを除去し;(2)時間0において、6.2mLの、安定でない濃度のGLを加え;(3)15秒において、脱溶媒和剤として、10.5mLのエタノール(70%)を加え、溶液の一部でわずかに濁った外観を観察することができ、これはポリプロピレンチューブを振盪することによりすぐに再溶解(又は透明になる)され(アルコールの局所的な高濃度は、混合を改善することにより再分配された);(4)30秒において、別にエタノール(70%)を加え;懸濁液が、完全かつ安定的に混濁し;(5)2分において、1.3mLの、安定でない濃度のGLを加え;(6)5分において、4.1mLの、10倍の食塩水(90mg/塩化ナトリウム/mL)を加え、懸濁液を生理的等張にし;(7)6.5分において、8.3mLのフィブリノーゲン溶液(2.0mg/mL)を加えた。
調製品7−B及び調製品7−Cについて:フィブリノーゲン濃度が、それぞれ1.75及び1.50mg/mLであったことを除き、前記方法を繰り返した。
コントロール球体懸濁液である調製品7−Dについては工程(7)を省略した。
4種の球体調製品を製造した後、少なくとも10倍過剰の蒸留水に対して3回透析し、脱溶媒和剤、任意の透析可能な分子及び洗浄剤を除去した。マルトース、乳糖及びグリシンからなる適切な賦形剤を、−18℃における凍結による貯蔵を容易にするために加えた。
結果
調製品7−A、7−B、7−C及び7−D中の球体の濃度(凍結した調製品を解凍した後の試料における)は、それぞれ、4.6、4.6、3.0及び7.1mg球体/懸濁液1mLであり;結合したフィブリノーゲンの量は、それぞれ1mgの球体あたり3.5、2.7、3.1及び0μgであった。
4種全ての調製品中の球体の平均サイズは、直径約0.8ミクロンであり、5ミクロンより大きい球体又は粒子を含んでいなかった。調製品は、全て、サイズ分布において均一であると思われた。
コメント及び結論:データは、新規なバイ−リンク法を用いて、Alpha Therapeutics以外の供給業者(このケースにおいては、Baxter Healthcare Corp)に由来するHSAを用いて、STSの存在下に製造されたアルブミン球体がフィブリノーゲンと結合し得ることを示した。用いられたフィブリノーゲン溶液が1.5mg/mLである場合、結合したフィブリノーゲンの量は3.1μg/mg球体であり、用いられたフィブリノーゲン溶液が1.75mg/mLである場合、結合したフィブリノーゲンの量は2.7μg/mg球体に匹敵するので、データは、これらの混合条件下で1.5mgフィブリノーゲン/mLは、本発明における球体をコーティングするのに用いられる飽和濃度に達することを示した。
データは、有用な球体が、タンパク質溶液中に洗浄剤を加えることなく新規なバイ−リンク法により製造されてもよく、フィブリノーゲン溶液を、このような球体懸濁液に加えることができることを示した。新規な方法を用いて製造された懸濁液は、大きな球体の亜母集団をもたらす任意の先行技術の方法(同一の初期濃度の試薬を用いた)により製造された懸濁液に対し、検出可能な量の大きい球体又は粒子(5ミクロンを超える)を含まない。
データは、脱溶媒和剤が2回の工程に分けて加えられ、生物学的有用性及び安全な球体懸濁液をもたらすことを示した。
実施例8
血小板減少症のウサギにおける、フィブリノーゲンでコーティングされたアルブミン球体の医療効果、及びコントロール球体の医療効果
目的:フィブリノーゲンでコーティングされた球体及びフィブリノーゲンを含まない球体(CS)と比較した、バイ−リンク法により製造されたアルブミン球体の静脈注射の医学的な利点を評価すること。
原理:出血時間(BT)又は出血量(BV)の改善における効果を証明するための、血小板減少症のウサギを用いた以前の生体内試験は、界面活性剤の存在下にポスト−リンク法で製造された球体(STS)を必要とした。本実施例は、バイ−リンク法により製造された球体が同じ効果を有するかどうかを評価するために設計された。
バイ−リンク法により製造した球体を、以前に開示されたポスト−リンク法を用いて製造されたものと可能な限り同じにするために、本発明において新規なバイ−リンク法は界面活性剤又は洗浄剤の任意の追加の存在を必要としないが、本実施例における球体はSTSの存在下で製造した。これは、医療効果における洗浄剤又は界面活性剤の追加の効果が知られていないという事実を考慮して実施された。血小板減少症のウサギの出血時間を短縮しない球体を製造するバイ−リンク法においては、それほど紛らわしくない1つの要因(製造工程における、界面活性剤の潜在的な有利な効果の要因)があるであろう。
本実施例におけるデータは、界面活性剤の存在下に製造されたバイ−リンク球体が生体内で効果的であることを示した。以下に開示する、それに続く実験は、タンパク質溶液中の洗浄剤の存在がこの新規なバイ−リンク法により製造される球体の効果における要因でないことを示すであろう。タンパク質溶液中に界面活性剤又は洗浄剤を加えないで製造された球体も、生体内で効果的であった。
材料及び方法
バイ−リンク球体の製造方法を実施例7に開示した。特に、3.5μgフィブリノーゲン/球体1mgを含む球体(懸濁液1mLあたり4.6mgの球体を含む、調製品7−A)、及びフィブリノーゲンを含まないコントロール球体(懸濁液1mLあたり7.1mgの球体を含む、調製品7−D)を、本明細書において生体内試験のために用いた。
種々の血小板代替物製品を評価するためにBTを用いる方法は、D.H.Lee及びMA.Blajchmanによる「新規な血小板生成物及び代替物」(Transfusion Medicine Reviews,vol 12,No 3,July 1998,pp 175−187)に開示された。ウサギ血小板の総数は手作業による方法により実施し、動物に注入したタンパク質球体によって影響されなかった。
結果
表8−1は、種々の時間における血小板の総数(×10億/L)、及びBT(秒)を示した。900秒を超えて出血が続くウサギは、出血を止めるために一時的に傷を圧迫された。従って、900秒を超えるBTは、注入された生成物の効果の欠如を示すと解釈された。
等量の液体の注入を確実にするため、6羽全てのウサギは、体重1gあたり6mLの球体懸濁液の静脈投与を受けた。
ウサギ1、2、3は、フィブリノーゲンを有する球体(調製品7−A)を注入され、ウサギ4、5、6はコントロール球体(調製品7−D)を注入された。
表8−1 照射された血小板減少症の血小板総数、並びに球体の投与後1時間及び2時間における出血時間
データは、重量及び血小板の総数が6羽のウサギについて同程度であることを示し、ウサギ6が最も重い血小板減少症であった。
ウサギ1は、調製品7−Aが、フィブリノーゲンでコーティングされた球体の注入の24時間まで(好ましくはこれを超え)続く効果を明らかに有することを示した。ウサギ2は、注入後1時間において効果のなかったものが24時間において明らかに効果的であったことを示した。遅延の理由は明らかでない。効果は注入の1時間後にすぐに起こるが、このような時間ポイント(例えば、4時間の時間ポイント)におけるBTは実施していない。ウサギ3は、注入1時間後に効果的であったものが、この濃度で注入24時間後には観察されなかったことを示した。この観察が、改善することができた相対的低濃度(測定するのに必要な有効濃度と比較し)のためであったかどうかは、この実施例からは明らかでない。しかし、全体として、ウサギ1〜3由来のデータの組み合わせは、予想されたように、新規なバイ−リンク法(しかし、STSの存在下で)により製造した場合でさえ、合成工程の一部として試験管内でフィブリノゲンでコーティングされた球体が効果的であることを示した。
ウサギ5、6により、全体的に意外な結果が示された。ウサギ4は、調製品7−D(生体内でフィブリノーゲンが加えられていない球体)の投与1時間及び24時間後における効果を示さなかったが、ウサギ5及び6は、試験管内でフィブリノーゲンでプレコーティングされていない球体の明らかな効果を示した。ウサギ6は、注入前に最も低い血小板総数を示したが、BTの改善は明らかに最良であった(24時間の時間ポイントにおいて145秒)。ウサギ5及び6におけるCSの効果は24時間まで続き、実際に、24時間の時間ポイントにおいては1時間における値よりも良好であることがわかった。
コメント:なぜ、製造工程の一部として生体内で加えられたフィブリノーゲンを含まないコントロール球体が、生体内で効果を示すかを説明するための仮説はいくらでもある。1つの有望な理論は、バイ−リンク法により製造されたコントロール又はブランク球体が、循環システム中に入った後に、内在性フィブリノーゲン及び/又は他の凝固因子及び/又は他の生体分子を捕獲し得ることであった。
異なる製造方法(開示された先行技術に従い)を用いて、以前に製造されたコントロールポスト−リンク球体が、同じ動物モデル内における効果の証明に失敗した理由は明らかでなかった。本発明のバイ−リンク球体のバッチは、界面活性剤の存在下(本発明は、それを必要としないが)に、意図的に製造されたので、結果における相違は、タンパク質溶液中の界面活性剤又は洗浄剤の非存在又は存在に由来する効果によらなかった。
バイ−リンク法により製造されたコントロール球体は、フィブリノーゲンを含む生体内でプレコーティングされた球体と比較し、いくつかの利点を有する。(1)フィブリノーゲンを加えることを必要とする工程が排除され、時間及び材料の費用を節約する;(2)動物又は患者は、「活性化装置」において、種特異的フィブリノーゲンの天然源、又は活性生物学的成分を供給し、その結果、異なる種由来の外来抗原の供給源への暴露を回避する。
種特異的血清アルブミンの商業的供給源は、 種特異的フィブリノーゲン、又は他の有用な生体分子よりも入手しやすそうであるので、必要であれば、種特異的フィブリノーゲン供給源、又は種特異的な有用な生体分子を位置づけるか製造しなければならないという問題なしで、獣医師の応用のために種特異的アルブミンを用いて球体を製造することができる。
バイ−リンク法により製造した球体の毒性は、本明細書で実施しなかった。しかし、ポスト−リンク球体の以前の研究は、ポスト−リンク球体懸濁液(直径5ミクロンより大きい球体を含む)は、大きな粒子の排除により除去し得る。従って、バイ−リンク球体は、大きな球体を含むポスト−リンク調製物と比較し、改善された毒性プロフィールをしめすことが予想される。
実施例9
新規なプレ−リンク及びバイ−リンク法により製造されたコントロール球体の医療効果の比較
目的:生体内での血小板減少症のウサギの出血時間による潜在的な改善における生成物の評価のための、2種の方法を用いた、異なるサイズを有する、4種のコントロール球体(CS)を製造すること。
原理
実施例8は、バイ−リンク法により製造されたCS(調製品7−D)が血小板減少症のウサギにおけるBTを改善することを示した。本実施例は、生体内における血小板減少症のウサギにおける出血時間(BT)の改善における、球体のサイズによる効果の相違を評価するため、再度バイ−リンク法を用いて、球体、1つは約1〜2ミクロン(中間サイズの球体)及び他は直径1ミクロンより小さい球体(小さい球体)を製造することを目的とし
球体におけるサイズの相違は、得られたアルブミン溶液を他の非タンパク質溶液又は試薬と混合する前に、アルブミン溶液に加えた塩化ナトリウムの量によって調製された
更に、本発明の新規なプレ−リンク法はタンパク質溶液中に界面活性剤又は洗浄剤が存在する必要がないが、本実施例においては、また、界面活性剤の添加の存在下に、プレ−リンク球体も製造された。開示された先行技術(ポスト−リンク球体懸濁液をもたらす)との比較を可能にするため、本実施例において合成されたプレ−リンク球体の平均サイズを、可能な限り1〜2ミクロンに近づけ(本明細書において、「中間サイズの球体」と呼ぶ)、大きな球体の集団がないようにした。
更なる改良(アルブミン溶液中の塩化ナトリウム濃度を調整することにより)は、直径1ミクロンより小さいプレ−リンク球体を製造した(本明細書において、「小さい球体」と呼ぶ)。
4種全ての懸濁液を、生体内での血小板減少症のウサギにおけるBTの改善における効果について評価した。
材料及び方法
材料は、実施例7と同じ供給業者から得た;特に、用いた25% HSAはBaxter由来のブミネートであった。
「中間サイズの球体」(1〜2ミクロン)の合成のために、「snHSA−M」溶液を以下のように調製した:(a)50mLのポリプロピレンチューブに、21.25mLの水を加え;(b)次いで、3.75mLの10倍食塩水(90mg塩化ナトリウム/mL)を加え;(c)次いで、5mLのSTS(0.2mg/mL)を加え;(d)次いで、20mLの、供給業者B由来のHSA−25%を加えた。全ての成分を十分に混合し、後述するような種々の球体を合成するのに用いられる一定量を除去した。
「snHSA−M」と、最初の非snHSA−M試薬とを混合する時間である時間0から特定の時間において試薬を加えた。これらの時間指定は、即時に加える試薬の添加からの時間間隔ではなかった。
プレ−リンクで製造した中間サイズの球体(PMS)について:6.27mLの「sn−HSA−M」(前述)を、50mLのポリプロピレンチューブに加えた。次いで、時間0において、6.27mLのGL(水中、1.6mg/mL)を加えた。15秒において、12mLのエタノール(水中、70%)を加えた。30秒において、追加の12mLのエタノール(水中、70%)を加えた。次いで、混濁した懸濁液を水中で透析し、懸濁液から、全ての拡散性分子を除去した。この調製品を、PMSと呼んだ。
バイ−リンクで製造した、中間サイズの球体(BMS)について:6.27mLの「sn−HSA−M」(前述)を、50mLのポリプロピレンチューブに加えた。次いで、時間0において、6.27mLの安定でない濃度のGL(水中、0.1mg/mL)を加えた。15秒において、12mLのエタノール(水中、70%)を加えた。30秒において、追加の12mLのエタノール(水中、70%)を加えた。次いで、混濁した懸濁液を水中で透析した。この調製品を、BMSと呼んだ。
顕微鏡検査は、MPS及びBMS調製品のいずれにも、凝集体又は5ミクロンより大きい球体を示さなかった。
小さい球体(1ミクロン未満)の合成について、「snHSA−S」は以下のようにして製造した:(a)50mLのポリプロピレンチューブに、22.5mLの水を加え;(b)次いで、2.5mLの10倍食塩水(90mg塩化ナトリウム/mL)を加え;(c)次いで、5mLのSTS(0.2mg/mL)を加え;(d)次いで、20mLの、供給業者B由来のHSA−25%を加えた。全ての成分を十分に混合し、後述するような種々の球体を合成するのに用いられる一定量を除去した。「snHSA−S」及び「snHSA−M」の間の相違は、加える塩化ナトリウム含有量であった。
プレ−リンクによる小さい球体(PSS)の製造法について:snHSA−M溶液に代え、「snHSA−S」(直前に記載したような)を用いたことを除き、プレ−リンクによる中間サイズの球体(PMS)におけるのと同じ容量及び工程を用いた。この球体懸濁液は、PSSと呼ばれた。
バイ−リンクによる小さい球体(BSS)の製造法について:snHSA−M溶液に代え、「snHSA−S」(直前に記載したような)を用いたことを除き、バイ−リンクによる中間サイズの球体(BMS)におけるのと同じ容量及び工程を用いた。この球体懸濁液は、BSSと呼ばれた。
顕微鏡検査は、PSS及びBSS調製品のいずれにも、凝集体又は5ミクロンより大きい球体を示さなかった。最も一般的な球体サイズは、量調製品において0.8ミクロンであると思われた。
結果
PMS、BMS、PSS及びBSS懸濁液中の球体濃度(解凍により球体の凝集を起こすことなく、試料を凍結するために適切な賦形剤を加えた後)は、それぞれ懸濁液の3.3、2.06、4.46及び2.54mg/mLであることがわかった。
また、体重1kgあたり、各懸濁液6mLを、血小板減少症のウサギに注入した(注入により、同じ程度の水和を維持するため)。
表9−1は、全て、生体内で、フィブリノーゲンを予め加えないか、プレコーティングしていない、各球体の調製品を注入した後に、血小板減少症のウサギ中で出血時間の改善を示した。
任意の球体の注入を受けていないが、又は通常の食塩水のみを注入された、血小板減少症のウサギの出血時間は、歴史上、900秒の間、一貫しており、その結果、本実施例において繰り返さないか又は報告されない。
ウサギ1、2、3は調製品PMS(プレ−リンクによる中程度の球体)を注入され、ウサギ4、5、6は調製品BMS(バイ−リンクによる中程度の球体)を注入され、ウサギ7、8、9は調製品PSS(プレ−リンクによる小さい球体)を注入され、ウサギ10、11、12、13は調製品BSS(バイ−リンクによる小さい球体)を注入された。
表9−1:血小板減少症のウサギにおける、血小板総数及び出血時間
データは、13羽全てのウサギが血小板減少症であり、注入24時間後の血小板総数を回復しなかったことを示した。
調製品PMSは、4種の調製品の中で最も効果がないように思われた。1時間及び2時間の時間ポイントにおけるBTの改善の欠如が注入1時間後において測定した効果の発現遅延による−かどうかは、ウサギ1が24時間で軽度の改善を示したので、明らかでない。観察の他の説明は、1mLあたりの粒子の数に関する量的効果であった。例えば、直径2.4ミクロンの球体の質量を計算する式は、直径0.8ミクロンである他の球体の質量の27倍の質量を有することを示した。従って、1kgあたりの球体mgに関して同じ投与量が注入された場合、注入される2.4ミクロンの球体の数は、注入される0.8ミクロンの球体の数よりも27倍少ないであろう。
調製品BMSを注入したウサギ(ナンバー4、56)においては、3羽のウサギのうち1羽が、1時間でBTにおいて改善を示した。24時間までに、3羽全てが効果を示した。
小さい球体を注入されたウサギ、例えば、ウサギ7、8、9(PSSを注入)においては、3羽全てのウサギは1時間で効果を示さなかったが、3羽全ては注入24時間までに改善を示した。
BSSを注入したウサギにおいては、ナンバー10、11、13のウサギは、1時間及び24時間の時間ポイント、いずれにおいても効果を示した。また、24時間の時間ポイントにおける結果は、1時間の時間ポイントにおけるBTの結果よりも更に良好であり、これは、これらの球体の効果が24時間よりも長く持続することを示す。なぜ、ウサギ#12が、1時間及び24時間の時間ポイントのいずれにおいても効果をしめさなかったのかは明らかでない。ウサギ#12は、他の3羽のウサギよりも血小板総数が実質的に少なかった。実際、ウサギ13は、全体として血小板の総数が低かったが、1時間及び24時間の時間ポイントのいずれにおいてもBTの良好な改善を示した。
結論:また、バイ−リンク法(サイズに関係なく)を用いて製造されたコントロール又はブランクの球体は、BTの改善において効果を示し、実施例8の結果を確認した。プレ−リンク法(サイズに関係なく)を用いて製造されたコントロール又はブランクの球体も効果を示した。これらの結果は全体的に意外であった。
本実施例においては、4種全ての調製品は、タンパク質溶液内における追加の界面活性剤の存在下で製造したが、後述する実施例は、界面活性剤又は洗浄剤の非存在下で製造した球体が、生体内で血小板減少症のウサギにおいても効果的であったことを示した。
血小板減少症のウサギモデルは、高度に再現可能であり、実施例間で一貫性がある。なぜ、以前に開示されたポスト−リンク法により製造されたコントロール球体が、フィブリノーゲンをコーティングしたポスト−リンク球体(合成法の一部として試験管内で加えたフィブリノーゲン)のための実験的コントロールとしてその評価の長期間の間、生体内でBTの改善をもたらさなかった(例えば、米国特許第6264988B1号の図6中の「CS」)かは、この時点では明らかでなかった。
本明細書において、データは、本明細書で開示されたプレ−リンク及びバイ−リンク法に対し、先行技術におけるポスト−リンク法により製造された球体の性質において本質的な相違があり得ることを示した。
他の種類のアルブミン(例えば、組換え型アルブミン又は修飾アルブミン)、若しくは他の種に由来するアルブミン、例えば、ウシ又はウマアルブミン、若しくは更なる単離又は精製なしで様々な種から得た血漿から直接得たアルブミンを用いて、バイ−リンク又はプレ−リンク法、若しくは本明細書に開示された他の方法を用いて製造された球体懸濁液が、動物への投与前に、試験管内におけるフィブリノーゲンを用い、プレコーティングなしで、等しく効果を生じ得ることが予想される。
新規なミド−リンク法又は本発明において開示された、任意の新規方法を用いて製造された球体に関し、それらの球体が、生体内に投与された後にフィブリノーゲン又は他の有用な生体分子にも結合することができ、(血小板数の低下又は機能障害の原因に関係なく)血小板減少症の患者においてBTの改善に効果的となることも予想される。
実施例10
界面活性剤の添加なしでのミド−リンク球体の製造、及び最終滅菌後の血小板減少症のウサギにおけるそれらの効果の評価
目的:本実施例はいくつかの目的を有する:(1)Baxterから購入したHSA溶液を用いてミド−リンク法により小さい球体を製造することができるかどうかを見ること。(2)このような球体が、最終滅菌としての密封プラスチックボトル内における高圧に耐え得るかどうかを評価すること。(3)このような処理が、血小板減少症のウサギにおける出血時間の改善において、界面活性剤の非存在下に製造されたこれらの球体懸濁液の効果に影響をおよぼすかどうか。
原理:球体調製品の効果を評価する全ての前の実施例において、先行技術において開示された血小板減少症のウサギのデータと比較するために、球体は、常に界面活性剤(特にSTS)を加えて製造された。しかし、本発明においては、5種全てのアプローチを用いる新規な試験管内での方法(新規なプレ−リンク、新規なミド−リンク、新規なポスト−リンク、新規なバイ−リンク及び新規なバイミド−リンク)が、追加の界面活性剤の存在を必要とせず、大きな球体(5ミクロンを超える)がなく、凝集のない懸濁液をもたらし得ることが発見された。
試験管内での製造方法への追加した界面活性剤の存在又は非存在が、生体内でなんらかの影響を及ぼすかどうかは、理論から予測することができない。例えば、球体の表面が製造の間にわずかに変性した場合、界面活性剤の存在又は非存在のため、身体は、食作用により、又は生体内の効果の減少又は欠如を導く他の生理的防衛により、このような球体を除去する傾向にあるであろう。生体内で血小板減少症のウサギに注入することによる評価は、相変わらず、界面活性剤の非存在における新規な方法により製造される球体が効果的であるかどうかを評価するための最良の方法である。
良好な製造工程は、瓶の内部の内容物が、シールを固定した後に滅菌に供される「最終滅菌」工程を予期するであろう。食品工業にいおては、味及び触感を損失することなく魚介類を滅菌するために高圧が用いられてきた。例えば、R.Cheret,Journal of Food Science 70(8),e477−e483による、「シーバス(Dicentrarchus labrax L.)の切り身の触感及び微細構造における高圧の影響」を参照されたい。
材料及び方法
予備的な実験(データは示さず)は、全てグルタルアルデヒド(GL)を、0.5mgのGL/mLの濃度で含むエタノールの混合物(100%エタノールを、水で45%〜75%の範囲に希釈)が、多くのアルブミン濃度(3%〜18%の範囲)を有する球体懸濁液を製造するために用いることができることを示した。
先行技術において議論した球体懸濁液は、脱溶媒和剤として、その中にGLを含まない70%アルコールを用いるのみで製造された。更に、先行技術においては、GLは、分離工程において、エタノールを添加する前又は後に加えた。従って、混合物中に45%という低濃度のエタノールを含むエタノール溶液の使用は新規なアプローチであった。更に、脱溶媒和剤中の架橋剤を含ませることは革新的であった。
架橋剤としてGLを含む、このようなエタノール溶液の任意の混合物(ミド−リンク法において脱溶媒和剤として用いられる混合物)は、アルコール含有濃度を示すための番号を付随し、EGと呼ばれるであろう。例えば、EG70は、70%のエタノール濃度であることを意味する(GLは0.5mg/mLで一定)。予備的実験において(データは示さず)、脱溶媒和剤として用いられるEG混合物中のエタノールの高い濃度、球体の高収率が、アルブミン溶液の所定の初期濃度(EGを加える前の濃度)から得ることができることがわかった。また、アルブミンの高い初期濃度(EGを加える前の濃度)は、EG溶液を加えた後に懸濁液中で高濃度球体をもたらすであろう。
本実施例においては、以下の工程が続く:(1)25%ブミネートを水(界面活性剤又は洗浄剤を加えていない)で希釈し、92.3mLの5.5%溶液を作成し;(2)5.5%アルブミン溶液に、307.7mLのEG60を急速に加え、400mLの混濁した球体懸濁液を作成する。
懸濁液を、室温で、それぞれ10倍過剰の水で3回透析し、透析可能な分子を除去した。透析した懸濁液の顕微鏡試験により、0.1ミクロン未満の微粒子(おそらく球体)が、非常に密集して観察された。固体は小さすぎ、1000倍拡大の位相差顕微鏡下では、個々の球体として見えなかった。
27グラムの乳糖、27グラムのマルトース及び12グラムのグリシン(全て、Sigmaから購入)を300mLの水に溶解することにより賦形剤を調製した。全ての糖類及びアミノ酸を加えた後の最終容量は300mLを超えた。溶液を0.2ミクロンのフィルターでろ過し、1容量部を、3容量部の球体懸濁液と混合した。
球体の濃度(透析後及び賦形剤添加後)は約5mg/mLであった。
最終滅菌:球体懸濁液(賦形剤を含む)をプラスチックボトル(ポリオレフィン、エチレン及びプロピレンのコポリマー、又はHospira,Incにより販売されているLifeShild Plastic Vials,注射用滅菌水のためのLake Forest,USP)中に分散させた後(10mL)、灰色のブチルストッパーをきつく配置し、アルミニウムのフリップオフキャップ(Kimbleから購入)を付けた。文献に開示されたもののような標準的な高圧装置を用いて瓶を加圧した。タンク内の温度は39°Fで開始し、最も高い稼働温度は79°Fであった。非常に高い静水圧(600MPa)が適用され、平均上昇時間は約2:12分であった。各1分の連続稼働を、リセット及びタンク水の再冷却のための時間を可能にするために各稼働間に焼く5分をもたせて実施した。加圧処理後のプラスチックボトル中の球体懸濁液の肉眼に対する全体的な外観は、加圧前から変化しなかった。位相差顕微鏡下での検査は、サイズにおける認識できる変化は示さなかった。球体懸濁液中で、凝集体又は塊は残存しなかった。この600MPaの高圧下、全ての通常の細菌及びウイルスが死滅することが期待される。
最終滅菌後、球体懸濁液を含む瓶の一部を室温に、他を冷蔵温度に、残りは−18℃で凍結した。それぞれの条件下で、少なくとも7ヶ月間、視覚及び顕微鏡検査により、全ては変化がないように思われた。
室温に保存した球体懸濁液を調製品10−Bと命名した。
結果:
表10−1は、プラスチック瓶中で最終滅菌し、室温(22〜28℃)に約3.5ヶ月(ウサギ1、2、3について)又は約8ヶ月(ウサギ21、22、23について)保存した球体を注入した後の血小板減少症のウサギにおける出血時間(BT)の改善を示した。基本的に、ウサギは同じプロトコールにより調製し、ウサギ1kgあたり6mLの調製品10−Bを注入した。調製品10−B中の球体の濃度は4.6mg/mLであり;従って、投与量は27mg球体/ウサギ1kgであった。
表10−1:最終滅菌のために非常に高い静水圧に暴露された球体の注入前(pre)及び注入後(post)の血小板減少症のウサギにおける血小板総数(Plt Ct,10億/L)及び出血時間(秒)。
コメント
以前の実験においては、任意の時間にある容量のエタノール(通常、水で70%に希釈し、GL又は他の架橋剤を含まない)を、2:1の比を超えてアルブミン溶液に加え、肉眼により観察できる塊及び大きい凝集体が形成した。従って、本実施例においては、GLをも含む(0.5mg/mL)、低い濃度のエタノール(本実施例において60%)を用い、脱溶媒和剤混合物を、アルブミン溶液の容量あたり3.33容量で加えることができた。
更に、得られた懸濁液は、直径0.1ミクロン未満の球体を含み、凝集体、塊、大きな球体又は大きな粒子を含まなかった。
更に、これらの球体は、製造工程の一部として、試験管内で任意の界面活性剤又は洗浄剤を添加しないで製造された。球体は、試験管内でフィブリノーゲン、若しくは凝固又は止血に有用であることが知られている他の生体分子でプレコーティングされていなかった。
ガラス製の瓶のような固体容器は、最終滅菌のための極端な高圧下で容易に割れると予想された。しかし、本明細書で用いられたプラスチックボトルは、3回の連続したパルスにおいて圧力に耐えるのに十分に柔軟であると思われた。1回の高圧パルスによって完全に不活性化されない感染因子が、繰り返しパルスにより不活性化され得ることが知られていた。球体が、圧力状態又はそれからの放出の間、塊又は凝集体を形成するために一緒に圧迫されることなく、その形状及び個性を維持し得ることは、全体として予想されなかった。
可溶性凝固因子上の高圧の影響を評価する予備的実験は、高圧が分子の生物学的活性に影響を及ぼさないことを示した(「極端な高圧による血漿中の感染因子の不活性化」として出願された仮出願)。界面活性剤又は洗浄剤を加えない、本明細書に開示された新規な方法により製造された球体は、試験管内で任意の数の凝固因子又はその組み合わせによりプレコーティングされ、次いで、最終滅菌工程として試験管内で生成物は加圧される。このような高圧処理は、球体懸濁液を製造するために用いられた任意の成分又は工程から導入された多くの病原体を死滅されると期待される。
血小板減少症のウサギにおける評価は、界面活性剤の非存在下、試験管内でフィブリノーゲンを加えないで製造された調製品10−Bが、BTを改善し得ることを示した。ウサギ1及びウサギ3は、いずれも、調製品10−Bの注入2時間後に何らの改善を示さなかったが、ウサギ2は、明らかな(穏やかであるが)改善を示した。この結果は、ウサギ3がウサギ2よりも高い血小板総数を有していたので、血小板の欠乏の程度によって説明することができなかった。
同様に、室温に8ヶ月保存した球体については、ウサギ22及び23への注入は2時間以内に効果を示さなかったが、3羽全てのウサギ(ナンバー21、22、23)は、24時間の時間ポイントにおいて効果を示した。
処理された何百もの血小板減少症のウサギが、全て900秒を超えるBTを有していたので(ここで、データは示さない)、BTsの事前注入は実施しなかった。
注入の24時間後、6羽全てのウサギはBTの改善を示した。また、24時間における結果が、注入2時間後において得られたものより良好であったことに注目すべきである。データは、有利な効果が24時間より長く持続し得ることを示した。
24時間におけるBTの改善は、この時間におけるウサギの血小板総数の回復により説明することができなかった。6羽全てのウサギは、まだ血小板減少症であった。貧血がBT値に影響し得るので、何羽かのウサギが他のウサギよりも貧血ではないことを確認するために、ヘマトクリットを測定した(HCT%)。6羽全てのウサギについてのヘマトクリット値は同程度であった。
本実施例における調製品を透析し、アルコール及び任意の他の透析可能な分子を除去したが、透析されない球体懸濁液を、最終滅菌を達成するのと同様な高圧法を用いて容器内で処理することができた。このケースにおいては、球体懸濁液の成分、例えば、脱溶媒和剤の除去は、最終滅菌前が好ましく、中空糸透析ユニット、逆浸透、ろ過、遠心分離を含む、多くの方法を用いることができる。
結論
球体懸濁液は、試験管内で、界面活性剤の添加なし、及びフィブリノーゲンの添加なしで製造することができた。エタノール及び架橋剤を含む脱溶媒和剤を、本実施例に開示されるように、アルブミン溶液の容量あたり2倍を超える容量比で加えることができた。
分解、凝集又は性質における検出可能な変化なしで、球体を、単一又は繰り返しパルスにおける、極端に高い静水圧に供することができる。球体は、特に注入2時間後に、血小板減少症のウサギにおいてBTを改善する効果があった。
高圧により処理した球体は、生体内における効果を損失せずに、少なくとも8ヶ月間、室温に保存することができた。
試験管内で、全て界面活性剤又は洗浄剤を加えないか、全てフィブリノーゲンを加えない、全ての5種の新規な方法(プレ−リンク、ポスト−リンク、ミド−リンク、バイ−リンク、バイミド−リンク)により製造された球体は、生体内における球体又はその有効性を害することなく、感染因子を不活性化するための単一又は繰り返しパルス内の極端な高圧に耐えることができると予想される。
実施例11
透析したヒト血清アルブミン溶液を用いた、ミド−リンク法により製造した超小型球体
目的
血小板減少症のウサギモデル中での種々の球体調製品の評価後の1つの疑問は、用量効果、すなわち、注入用量の増加(動物の水分過剰なしで)が出血時間を更に改善するかどうかであった。
開示された先行技術においては、アルブミンの透析した試料が凝集体を形成する傾向にないことが指摘されていた。しかし、25% HSAの透析の間、アルブミンの膨張圧が透析バッグ中で水に近づき、その結果、HSAの濃度を実質的に希釈する。本実施例の1つの目的は、得られたHSA溶液が、相対的に高い濃度を維持することができるように、透析バッグ内への可能な限りの水の取り込みを減らすために、透析バッグに対する外圧を伴い、25% HSAを透析することである。
このような、透析したアルブミン溶液の高い初期濃度は、製造した球体の平均サイズを調整する目的のために少量の塩化ナトリウムの補給を可能にし得る。得られた球体の濃度(mg/mL)は、アルブミン溶液の低い初期濃度により製造された懸濁液と比較し、上昇していることも予想された。
材料及び方法
洗浄した、滅菌透析チューブ(Sigma D9652)に、25% ブミネート(20mL)を加えた。バッグを結んだ後、水の流入に対抗するためのC−クランプを用いた圧力下に保持した全体のバッグを2枚の金属プレートにより締め付け、蒸留水に対して一晩透析した。予備的なデータは、25倍過剰の水に対する3.5時間の透析が、基本的にタンパク質溶液から全ての塩化物イオンの完全な除去をもたらし、30mEq未満のナトリウムイオンの残留をもたらすことを示した。HSA溶液の透析後の濃度は22.7%であった。
EG60は、100%エタノールを水で60%まで希釈し、GLの最終濃度が0.5mg/mLになるのに十分なGLを加えることにより調製した。
22.7%の透析したHSA溶液を、更に希釈することなく、種々の用量のEG60と混合した。界面活性剤又は洗浄剤は加えなかった。
また、低濃度のHSA溶液は、22.7%溶液を、界面活性剤又は洗浄剤を添加することなく水で希釈することにより調製した。
得られた懸濁液を位相差顕微鏡で観察し、最も一般的なサイズ分布を評価した。
結果
表11は、100μLの種々の濃度のHSA(22.7%〜15%の範囲)を、種々の容量のEG60と混合した結果を示した。
最初に、22.7%のHSA溶液(100μL一定量)を、増加する容量のEG60と直接混合するために用いた。データ(チューブ1〜5)は、全て、凝集体を有さないか、又は直径5ミクロンを超える大きな球体を含まない、直径1ミクロン〜0.1ミクロンの範囲の球体を得ることができたことを示した。これらのチューブ内で収率は68.8%を超え、球体濃度は25.7mg/mL〜14.5mg/mLの範囲であった。
予備的データ(ここでは示さず)は、最適でない量の脱溶媒和剤をタンパク質溶液に加えた場合、懸濁液が低濃度の球体を含むことを示した。しかし、理想的な(ピーク)比が上回る時、脱溶媒和剤の追加の容量は球体の生成を増加させないが、たとえ、この条件下で、最大量の球体が生成され得るとしても、単に希釈されるために供給される。表11中に示されるデータは、可溶性アルブミン分子に由来する球体の収率が、高い停滞状態に達し、22.7%のアルブミン溶液の1部に対し、5部を超えるEG60を加えることにより上昇することができないことを示した(チューブ1)。実際、5より高い比(すなわち、22.7%アルブミン1容量あたり5容量を超えるEG60)でEG60を加えることは、球体の希釈された懸濁液をもたらす(懸濁液に加えられたEGの大容量のため)。
表11:透析した、塩化物を含まず低ナトリウムのアルブミン溶液を、架橋剤を含む種々の量の脱溶媒和剤と混合することにより得られた結果。
次第に低くなる濃度のHSA溶液(それぞれ、21%〜15%、チューブ6〜チューブ12)を、一定量のEG60と混合した時、以下のことが観察された。高い(初期)濃度のタンパク質溶液は、比較的大きい球体を生成した(ほとんど見えない、直径約<0.1ミクロンの球体を含むチューブ12と比較し、チューブ6は、直径約0.3ミクロンの球体をもたらした)。
タンパク質溶液(EG60を加える前)の初期濃度が低いと、得られた球体の濃度も徐々に低くなった。例えば、タンパク質の初期濃度が15%であり、9.1mg/mLの球体濃度をもたらすチューブ12の濃度と比べ、チューブ6において21%の濃度で開始し、球体の最終濃度は16.5mg/mLであった。
18%のアルブミン溶液で開始するチューブ13、14、15を、それぞれ800、900及び1000μLのEG60と混合した。また、これらの条件下で用いられた大量のEG60は、チューブ13及び15において、それぞれ10.9〜9.0mg/mLの範囲の、球体の希釈懸濁液をもたらした。
17%のアルブミン溶液で開始するチューブ16、17、18を、それぞれ800、900及び1000μLのEG60と混合した。また、大量のEG60は、更に希釈された球体の懸濁液をもたらした。アルブミンの初期濃度の相違は、わずか1%の違いであるけれど(チューブ13〜15中で18%であるのと比べチューブ16〜18中で17%)、チューブ13〜15中の球体は直径約0.2ミクロンであるが、チューブ16〜18中の球体は顕著に小さかった。
コメント
高濃度の、透析したアルブミン溶液(例えば、基本的に塩化物を含まず、わずか30ミリ等量のナトリウムを含む22.7%アルブミン)は、大量の脱溶媒和剤に耐用性がある。例えば、凝集体を形成することなく、この濃度のアルブミン(すなわち、チューブ5)の1容量に9容量のEG60を加えることができる。実際、約0.1〜0.2ミクロンの高濃度の小さい球体が懸濁液中で形成された。
アルブミン溶液に対して小さい比の脱溶媒和剤(容量に対して容量)を用いた場合(例えば、チューブ1において)、結果は、単に、球体濃度は高くなかった(チューブ5における14.5mg/mLの球体と比べ、25.7mg/mL)。球体は大きかった(チューブ1において0.5〜1ミクロン)。
18%未満の初期濃度(EG60を加える前)の、透析したHSA溶液を用いることにより製造された球体のサイズは非常に小さくなり、1000倍の位相差顕微鏡でさえ、見るのが困難であった。しかし、懸濁液は混濁したままであり、これは、固体粒子が存在することを示す。
前記全ての球体懸濁液は、開示したような脱溶媒和剤を加える前に、タンパク質溶液に界面活性剤又は洗浄剤の添加なしで首尾よく製造された。
実施例12
界面活性剤の非存在下に透析したアルブミン溶液により製造した超小型球体懸濁液の特徴づけ及び血小板減少症のウサギにおけるそれらの効果
目的
(1)透析したアルブミン溶液から新規なミド−リンク法により製造した懸濁液の性質の性質を特徴づけること、(2)このような懸濁液が、血小板減少症のウサギにおいて出血時間を改善するかどうかを評価すること。
原理
先行技術(界面活性剤を加えることを含まないポスト−リンク法を用いて)により製造された球体懸濁液は、球体の画分が存在することを示した。米国特許第6,264,988B1号の図12A及び12Bは、それぞれ、直径0.25〜0.3ミクロンの球体の超小型サイズの画分、及び直径約0.8ミクロンの他の画分を示した。更に、図12Dは、安全の理由のために除去する必要のある大きな球体(約3〜4ミクロン及びそれ以上)の画分を開示している。従って、新規なミド−リンク法により製造された懸濁液が、球体サイズの単一集団又は複数の画分を含むかどうかを評価することに興味がある。ミド−リンク法により製造された超小型球体が血小板減少症のウサギにおいて効果を有するかどうかにも興味がある。
材料及び方法
ブミネート 25%を、実施例11に開示したようにして透析した。透析したアルブミン溶液を、界面活性剤を加えずに、水で18%まで希釈した。EG60(44mL)を、室温(約21℃)で、6.3mLの18%アルブミン溶液と混合した。位相差顕微鏡は、懸濁液が非常に小さい球体を含み、凝集体又は不規則な粒子を含まないことを示した。賦形剤を加えた(懸濁液40mLあたり10mLのLMGを加えた;LMGは、前述したように、水に加えた、それぞれ9重量%、9重量%、4重量%の乳糖、マルトース、グリシンである)。懸濁液中のアルコールは除去されなかった。
試料は、動的光散乱法を用いた評価のために、Micrortac Application Lab(ラルゴ、フロリダ州)に送られた。懸濁液の残りは、前述したように、血小板減少症のウサギにおいて用いた。
結果
調製品100106−Cにおける球体のサイズ分布は以下の通りであった:
図12−1。光散乱による調製品100106−Cのサイズ分布(MV)
表12−1 調製品100106−C中の球体のサイズ分布の一覧
概要は以下の通りである:
MVは:分布の重心を表す「容積分布」のミクロンで表した平均直径を意味する。
MNは:容積分布データを用い、分布中の小さい分子に重みを加えて計算される「数分布」のミクロンで表した平均直径を意味する。
MAは:容積分布から計算する「面積分布」のミクロンで表した平均直径を意味する。
CSは:平方M/ccを備えた、計算した表面積を意味する。CSの計算は、平坦な、固形の球形粒子を仮定する。
SDは:ミクロンにおける標準偏差を意味する。
Mzは:MVより小さい粗粒子加重平均粒径を提供するグラフィック平均を意味する。
それが、中央値を含んでいる場合、小さい粒子及び大きい粒子のいずれもが計算に含まれているので、それは、おそらく、異なった良好な対照値を提供し得る。
Aiは:包括的なグラフィックス標準偏差を意味する。それは、90%を超える分布を含み、分布の尾部を含む。SDは、分布の67%のみを含む。
Skiは:包括的なグラフィック歪を意味する。歪は、曲線がどのように非対称であるか、どのように正常なベル型分布から変わっているかの基準である。歪は、90%を超える分布を含み、分布の「尾部」を含む。対称な曲線は0.00のSki値を有する。1.00〜0.30の値は、湾曲に影響を及ぼす微粒子を示す。−0.30〜−1.00の値は、湾曲に影響を及ぼす粗粒子を示す。
Kgは:ピークが「どのくらい鋭いか」を表わす、尖度(ピーク度)(Peakedness)を意味する。ピークは、値が0.90〜1.11の間である場合、メソカーチック(Mesocurtic)であるとして記載される。
要するに、動的光散乱は、ほとんど対称的な分布を有し、最も小さい検出可能な球体が0.1576ミクロンより大きく、0.972ミクロンより大きい球体のない、1種の集団の球体が存在したことを示した。平均直径(分布の数による)は0.2831ミクロンであり、標準偏差は0.1373であった。
重要なことは、この方法が6.54ミクロンの大きさの粒子を検出できることである。1.060〜6.54ミクロンの全体の範囲にわたり、この範囲のサイズの粒子は懸濁液中に存在していなかった。これは、生体内で毛細血管を詰まらせ得る粒子を含まないという観点において先行技術を超えた、本発明のミド−リンク法の重要な改善を示した。
膨張によって懸濁液を血液と相溶性にするための、糖類及びアミノ酸の賦形剤を含む懸濁液内の球体の濃度は約10mg/mLであった。
血小板減少症のウサギにおける調製品100106Cの効果を表12−2に示した(ウサギ4、5、6は3mL懸濁液/kgを注入し;ウサギ7、8、9は1mL/kg;ウサギ10、11、12は0.3mgL/kgを注入した)。
コメント
生体内におけるデータは、生体内において界面活性剤を加えず、フィブリノーゲンを加えずにミド−リンク法により製造した球体が、単分散を有し、平均直径が約0.3ミクロンであったことを示した。
これらの球体は、血小板減少症のウサギのBTの改善に効果的であった。興味のあるものは、最も高い濃度の球体(30mg/kg)を受け入れたウサギ(ナンバー4、5、6)が、少なくとも注入2時間後に利益を得たという観察である。しかし、24時間の時間ポイントにおいては顕著な改善はなかった。
(ウサギ7、8、9に対する)10mg/kgの中間濃度は、3羽のうち2羽のウサギにBTの改善をもたらした。ナンバー7のウサギが、なぜ、これらの球体の1回投与後にBTの改善を示さなかったのかは明らかではなかった。
一方、(ウサギ10、11、12に対する)3mg/kgの少ない濃度は、最も高い効果を有していた。これらのウサギは、注入の2時間後及び24時間後のいずれにおいても改善を示した。データは、有益な時間は24時間以上持続し得ることを示した。
室温における、長期保存後の超小型球体による、試験管内でのフィブリノーゲンの自発的結合
目的
(1)試験管内でフィブリノーゲンを加えていない超小型球体が、血小板減少症のウサギに注入した後に、なぜ有益な医療効果を有するかの見識を提供すること。(2)調製品100106Cが、室温で長期保存した後に、更に架橋剤を用いることなく、試験管内でフィブリノーゲン分子を結合し得るかどうかを評価すること。
原理
先行技術においては、血小板減少症のウサギの出血時間の改善において有効であるタンパク質球体について、球体が試験管内でフィブリノーゲン分子でコーティングされる必要があった。その球体は、ポスト−リンク法により製造され、製造工程の間、界面活性剤を加えることを必要とした。
実施例8、9、10、12は、全て、試験管内において界面活性剤の非存在下、フィブリノーゲンを加えずに、「プレ−リンク」、「ミド−リンク」及び「バイ−リンク」の新規な方法により製造した球体が、血小板減少症のウサギのBTを改善し得ることを示した。
1つの理論は、これらのタンパク質デバイスの宿主への注入後に、内因性フィブリノーゲン分子又は動物の血漿由来の他の有用な分子の自発的な結合又は捕獲を必要とすることである。
本実施例の1つの目的は、これらの方法の1つにより製造された球体(ミド−リンク法、調製品100106C)が試験管内で血漿に暴露した時に、架橋剤のあらゆる関与なしで、フィブリノーゲン分子と結合し得るかどうかを評価することであった。
実施例6及び7は、既に、プレ−リンク及びバイ−リンク球体の、凝固タンパク質と結合する能力を示した。
方法
20日前に製造した、球体懸濁液(調製品100106C)を、本実施例において用いた。球体の小さいサイズのため、それらは懸濁液中の残存し、室温における保存の期間、沈殿しなかった。この一定量は、実施例12に開示したようなアルコールを含み、任意の賦形剤を加えなかった。
血漿は、抗凝固剤にさらすことなく、健康なドナーから得た。血漿を、通常の食塩水で1.2、0.6、0.3mgフィブリノーゲン/mLを含む、いくつかの濃度に希釈し、それぞれフィブリノーゲン溶液A、B、Cと命名した。溶液Dは、コントロールとして供給される通常の塩水であった。
調製品100106Cの一定量(各100μL、室温に20分間保存した後)を、400μLのフィブリノーゲン溶液A、B、C及びコントロール溶液Dと混合した。室温に1時間暴露した後、それぞれ、調製品13−A、13−B、13−C及び13−Dと命名した球体を、繰り返して遠心分離することにより集め、通常の食塩水で洗浄し、可溶性タンパク質を除去した。
球体の濃度(mg/mL)はPierce BCA法により測定し、球体上に結合したフィブリノーゲン量は、以前の実施例に開示したように、競合免疫アッセイを用いて評価した。
最後の洗浄における上清をフィブリノーゲンアッセイに組み入れ、無視してよいほどのフィブリノーゲンしか含まれていないことがわかった。
調製品13−A、13−B及び13−Cの球体に結合しているフィブリノーゲンの濃度は、以下の通り:0.85、0.85、0.72μg/球体1mgであった5。正常な食塩水にのみ暴露したコントロール球体は、フィブリノーゲンと結合していなかった。
コメント
データは、合成の20日後にミド−リンク法により製造した超小型球体が、ヒト血漿由来のフィブリノーゲンと自発的に結合し得ることを示した。
球体1mgあたりのフィブリノーゲン結合量の比較は、フィブリノーゲンについての球体の結合能力が球体1mgあたり約0.85μgフィブリノーゲンで飽和に達することを示した。
球体が、希釈した血漿試料由来のフィブリノーゲンを濃縮する能力を有するかどうかを評価するため、以下の計算を実施した。目的は、1つの平均球体容量における希釈血漿中の予想されるフィブリノーゲン量を計算し、これを、この希釈血漿画分に由来する平均的な球体に結合したフィブリノーゲン量と比較することである。
表12−1に記載されたサイズ(球体の直径)を用いて、集団中の単一の球体の平均容量は、5.2×10[−14]mLであると計算することができる。この容量において、フィブリノーゲンの血漿濃度が0.3mg/mLである場合、フィブリノーゲンの質量は1.56×10[−11]μgであろう。
質量1mgの球体により表わされる球体の数を見積もるために、以下の仮説をたてた。球体は、損傷せずに室温で20日間定着しなかったので、密度は、実質的に1g/mLから異なっていた。単一(平均的な)球体の重量は5.2×10[−11]mgであった。各mgは、0.19×10[−11]個の球体を含んでいた。
調製品13−C中の球体は0.19×10[−11]個の球体あたり0.72μgのフィブリノーゲンを捕獲することができるので、1個の球体(平均的な)の容量中に捕獲されるフィブリノーゲンの量は3.8×10[−11]μgフィブリノーゲンであった。この値は、希釈した血漿の同じ容量において予想されるフィブリノーゲンの質量の2倍である。従って、これらの球体は、希釈した血漿の試料に由来するフィブリノーゲン分子を捕獲し、濃縮する能力を有していた。
アルブミン球体は、球体内部の表面からの通路を可能にするチャンネルと接続した、おそらくスポンジに類似する内部構造を有するので、濃縮効果は可能である。球体の表面及び内部のアルブミン分子はいずれも、フィブリノーゲン分子の接着又は吸着のための十分な表面を提供する足場を形成した。
前記計算は、正常なフィブリノーゲン濃度(1.77〜3.75mg/mLと測定)を有する患者において、球体の結合能力を十分に飽和するのに十分以上のフィブリノーゲンがあることをも示した。
この実験からのデータは、有効なままであり得る球体1mgあたりの、最も低いフィブリノーゲンの結合量を供給しなかった。しかし、低フィブリノーゲン溶液(hypo−fibrinogenemic solution)から0.72μgのフィブリノーゲンを抽出し得るか場合に、データは、フィブリノーゲン溶液でさえ、これらの球体は、血小板減少症のための出血の処置のためにいまだに有効であるであろうことを示した。
実施例14
加熱による最終滅菌に暴露した超小型球体、及び血小板減少症のウサギにおけるその効果
目的
(1)第二の最終滅菌法、すなわち加熱による方法を評価すること、(2)球体のこの処理が、血小板減少症のウサギの処理において効果を有したままであるかどうかを評価すること。
原理
実施例10において極端な高圧で処理した球体を透析して、圧力による最終滅菌のためにプラスチックボトルに満たす前に、アルコール及び任意の他の透析可能な分子を除去した。ガラス瓶中に良好に保存されている、アルコールを含む懸濁液を第二の最終滅菌法の状態にすることは有利であるかもしれない。安定剤の存在下、60℃における10時間の加熱を、ヒト血清アルブミン溶液を用いて最終滅菌法として用いた。我々は、室温から60℃までの10時間以下又はそれ以上の加熱が、生物学的装置の最終滅菌のために有効であることを期待する。
材料及び方法
超小型球体を、(1)本明細書で用いられた方法が新規なミド−リンク法(ポスト−リンク法ではない)であることを除き、米国特許第6013285号(瞬時時混合及び制御特性を用いた大規模生産方法))及び米国特許第5716643号(架橋タンパク質ミクロスフェアでコーティングされた薬剤の大規模製造)に開示されたものと基本的に同じチューブシステムを用いて製造した。従って、アルブミン溶液を、単に界面活性剤又は洗浄剤を加えない水で、25%アルブミン溶液(ブミネート)から希釈し、0.2ミクロンのフィルターにより、「HSA」バッグに充填し;(2)架橋剤(0.5mg/mLの最終濃度のグルタルアルデヒド)をエタノール(60%)と混合し、混合物(EG60)を第二のバッグに入れ、本明細書ではEGバッグと呼んだ(先行技術に開示されたエタノールバッグに相当)。本実施例においては、GL又はフィブリノーゲンバッグはなかった。
10%アルブミン溶液のpHは、7.0±0.5であった。
アルブミン溶液(10%)のためのポンプの速度は43mL/分であり;EG60溶液のためのポンプの速度は516mL/分であった。直後に、接合部で2種の成分が接触し、生成物バッグ中に生成物が満たされる前に、静的ミキサーは、2種を十分に混合するための排出管中に存在していた。実験は、室温、基本的に21℃±2℃で実施した。
球体懸濁液を、最初に水で希釈し、5.33mg球体/mLとし、次いで、1容量の賦形剤あたり3容量を混合し、4mg球体/mLを含んでいた。予め洗浄し、滅菌した、それぞれの50mL容量のガラス瓶(Wheaton)を、50mLの球体懸濁液で満たした。賦形剤は、(A)36gの乳糖、36gのマルトース及び16gのグリシン(400mLの水中)を溶解することにより調製したLMG;又は(b)22gのデキストロースを100mLの水に溶解することにより調製したデキストロース溶液のいずれかである。懸濁液を含む賦形剤中の最終アルコール濃度は約31.1%であると計算された。
加熱による最終滅菌は、球体(デキストロース賦形剤中)の瓶を、60℃の水に、瓶の首まで10時間浸すことにより実施した。水浴の温度は、期間中は0.5℃より高く又は低く変化させなかった。加熱処理後、懸濁液はわずかに黄色く見え、肉眼で見える沈殿又は顕微鏡的変化はなかった。市販のブミネート 25%は、既にアルブミンの比率に対して適切な安定剤を含んでいるので、追加の安定剤(例えば、カプリル酸塩又はアセチルトリプトファン)を加えず、任意の安定剤を除去することができる、この球体調製品は透析しなかった。
血小板減少症のウサギに、種々の投与量の球体を以下のように注入した:ウサギ24、25、26(4mgの加熱処理粗をしていない球体/kg);ウサギ27、28、29(1.3mgの加熱処理をしていない球体/kg)。加熱処理していない球体懸濁液はLMG賦形剤を含んでいた。ウサギ30、31、32は、ウサギ1kgあたり、4mgの加熱処理した球体を注入し:これらの球体懸濁液はデキストロース賦形剤を含んでいた。
結果
加熱処理の前後の球体懸濁液の顕微鏡試験は、直径約0.2ミクロン以下の球体を示し、懸濁液中に5ミクロンより大きい凝集体、粒子又は球体はなかった。懸濁液は、室温又は4℃における、少なくとも1ヶ月間の保存の間、球体又は固体物質の定着の兆候は示さなかった。
表14は、血小板減少症のウサギにおける加熱処理していないか、又は加熱処理した球体の種々の濃度による効果を示した。
表14:フィブリノーゲンコーティングしていない超小型球体で処理したウサギの出血時間(BT)の改善。
加熱処理していない球体を注入したウサギ(ナンバー24〜29)の比較により、4mg/kgの投与量が、3羽のウサギのうちの2羽が高い投与量で処理されたので、1.33mg/kgの投与量が、注入2時間と同じくらい速く改善を示し、より効果的であることがわかる。24時間については、高い投与量で処理された3羽全てのウサギ(ナンバー24、25、26)は改善を示したが、低い投与量で処理された3羽のうち1羽のみ(ナンバー29)が改善を示した。ウサギナンバー25は、注入後2.5及び24時間の両方で、ウサギナンバー27及び28と同程度の血小板総数を有するが、対応する時間ポイントにおいてBTについて良好な改善を示すので、高濃度及び低濃度からの結果の間の相違は、血小板総数をベースにして説明することができない。
加熱処理された球体は、血小板減少症のウサギ(例えば、ウサギ30及び31)において、BTの改善において未だに効果的である。加熱処理した球体で処理したウサギと、加熱処理していない球体で処理したウサギ(いずれも同じ投与量、4mg球体/kgを注入)との比較により、60℃で10時間の加熱が、球体の活性をいくらか減少させ得ることがわかる。しかし、用いられた多くのウサギは、この結果を出すのに不十分であり、賦形剤の影響を除外できない。
本実施例は、新規なミド−リンク法を用いて球体を製造することを目的とするが、同様のチューブシステムを用いることにより、全ての他の新規な合成法(すなわち、タンパク質溶液に界面活性剤又は洗浄剤を加えない方法)、すなわち、ポスト−リンク、プレ−リンク、バイ−リンク及びバイミドリンク法が、ヒトを含む血小板減少症の動物における、出血量、出血症状及び出血の出血の重症度の改善に有効な球体を製造するために用いることができる。
更に、本発明は、多くの病状に影響を及ぼし得る他の生体分子の添加を計画する。これらの分子は、脱溶媒和剤の添加前又は後に加えることができ、又は脱溶媒和剤と共混合することができる。
このような分子の部分的なリストには、:アルカロイド、アミノ酸及びポリペプチド、炭水化物、発ガン物質、グロブリン及び免疫グロブリン、ハロゲン化化合物、ホルモン、脂質、ヌクレオチド、ポルフィリン、ステロイド、ビタミン類、レクチン、ハロゲン化金属、酸化物又は硫化物、抗菌化合物、抗真菌化合物、抗ウイルス化合物、酵素のような単一の分子又は分子の組み合わせが含まれる。特に興味のあるものには、フィブリノーゲン又はヴィレブランド因子のような凝固因子;アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、クロラムブシル、シクロホスファミド又はブスルファン)を含む化学療法剤、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキセート又はその類似体、6−メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、5−フルオロウラシル)、抗生物質(例えば、ダウノマイシン、アクチノマイシン−C又はアドリアマイシン)、メチルヒドラジン、ニトロソウレア、ヒドロキシウレア、イミダゾールカルボキシアミド、プロカルバジン、ミトタン、ストレプトゾトシン、5−アザシチジン及びそれらの類似体が含まれる。
これらの球体に封入され、又は結合するための、又はガン細胞を標的にし、又は毒性を減少するために持続放出するための他の新規な化学療法剤又はアジュバントには:サリドマイド、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、メルファラン、プレドニゾン、レナリドミド、ビンクリスチン、クロドロネート、ゾレドロン酸、パミドロネート、フルダラビン、ミトキサントロン、アレムツズマブ、リツキシマブ及びそれらの類似体が含まれる。
効果を増強し、作用を長期化し、副作用を低減し、生体内における分解から保護し、生体内内ぶおける標的化のために、インターフェロン(インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ及びインターフェロンガンマを含む全てのクラス)、インターロイキン(全てのクラス)及びそれらの抗体(全てのクラス)が、同様に、これらの球体に捕獲され又は結合され得る。
結論
60℃における10時間の加熱後の球体は、血小板減少症のウサギにおける出血時間の改善の効果を保持し続ける。
先行技術と異なるチューブシステムは、瓶を満たすための水及び賦形剤を加える前に、1分間に少なくとも559mLの濃縮球体を製造することができた。
これらの球体は、懸濁液中で長時間残存し(振盪しないで、少なくとも1ヶ月間、底に沈まない)、懸濁液は凍結乾燥しないでも安定であった。球体懸濁液は、静脈注射で患者に直接注入することができた。先行技術において製造された球体は、大きく、定期的に振盪しない限り、容器の底に沈殿を形成するので、安定に保存するために凍結乾燥が必要であった。凍結乾燥粉末は、闘病状態又は他の破壊的状態のような危機的状態において入手できない、液体を用いて再構築する必要がある。再構築後、これらの懸濁液を定期的に攪拌するか振盪しない限りは大きい球体が沈殿する。従って、本発明により製造された球体懸濁液は、先行技術の開示により製造されたものに比べ、多くの実用的な利点を有する。
実施例15
新規なバイミド−リンク法による超小型球体の製造
目的:(2)タンパク質溶液中に界面活性剤又は洗浄剤を加えずに、新規な二工程架橋法(第一工程が、安定でない濃度の架橋剤をタンパク質溶液と混合することを含み、第二工程が、脱溶媒和剤と予備混合した、架橋剤を安定化濃度で含む混合物を加えることを含む)により球体を製造することができるかどうかを評価すること。(2)バイミド−リンク法により製造された球体の特性を評価すること。
原理
実施例5及び7は、脱溶媒和剤の添加前に、タンパク質溶液を、安定でない濃度の架橋剤と約15分間最初に混合し、安定でない濃度の架橋剤を用いないでタンパク質溶液に脱溶媒和剤を直接加えることにより生成した球体と比較し、より均一であることを示した。安定でない濃度の架橋剤は、脱溶媒和剤の濃度を希釈することにより球体を無傷の形態に維持することができないので、安定化濃度の架橋剤を、球体の形成後に、再溶解に対して球体を安定化させるために加えなければならない。
本実施例は、有用かつ高度に均一な球体が、(1)タンパク質溶液を、安定でない濃度の架橋剤と約15秒間混合し、(2)次いで、脱溶媒和剤と架橋剤との混合物を、前処理したタンパク質溶液と混合することにより、均一かつ再溶解に対して安定である球体が形成されるように、架橋剤と予備混合した脱溶媒和剤を加え、後に脱溶媒和剤を除去又は希釈することによって形成することができるかどうかを試験するために実施される。
このバイミド−リンク法を用いることの利点は、バイ−リンク法と比較し、正確な時間を必要とする1工程減らせるという必要があることである。バイ−リンク法においては、時間0において、安定でない濃度の架橋剤を加え、次いで、15秒(プラスマイナス5秒)において、脱溶媒和剤を加え;次いで、最終的に他の時間ポイントで安定化濃度の架橋剤を加える。これは、3種の異なる時間ポイントにおいて混合ステップが必要であろう。先行技術(米国特許第6013285号)に開示されたようなチューブセットにおいて、3種の混合ポイントが必要であり、次の混合ジャンクションにおいて次の成分が混合される前のそれぞれの時間遅延を可能にするための正確な長さの少なくとも2個の混合後セグメントが含まれるべきである。新規なバイミド−リンク法を用いると、2個の混合ジャンクションのみが必要である。
タンパク質溶液が、単分散であり、凝集体がなく、5ミクロンより大きい球体のない、球体懸濁液を製造するために洗浄剤又は界面活性剤の添加を必要としないので、この方法は新規である。
依然として溶液中のタンパク質分子上の安定でない架橋剤の結合の効果は、後に形成される球体の生理学的性質に関して未知である。可溶性の形態に由来する部分的に処理されたタンパク質分子を固体球体に不可逆的に結合するための脱溶媒和剤とともに、第二の投与量の架橋剤を加える効果も未知である。従って、この方法は新規であり、形成される球体懸濁液はを血小板減少症のウサギにおいて試験する必要があるだろう。
本実施例は、製造工程の一部として、試験管内でフィブリノーゲンでコーティングする追加工程により製造される球体を含むであろう。試験管内でフィブリノーゲンを加えていないブランクの球体及び試験管内でフィブリノーゲンを加えたものをいずれも評価するであろう。
材料及び方法
Baxterから購入した、ヒト血清アルブミン25%溶液(ブミネート)の一定量を、界面活性剤又は洗浄剤を加えずに希釈し10%溶液とした。安定でない濃度の架橋剤を、Sigmaから購入した25%グルタルアルデヒド(GL)溶液(G6257)を水で0.15mg/mLの初期濃度に希釈することにより調製した。脱溶媒和剤は、0.5mg/mLと予備混合した60%(v/v)に希釈したエタノールであった。フィブリノーゲン水中に1mg/mLでテトラデシル硫酸ナトリウム(STS)を含む溶液中に、0.4mgフィブリノーゲン/mLになるように溶解した。STSは、フィブリノーゲン分子の溶解性を促進するために用いられ、決して、球体の形成又は合成後の安定性に影響を及ぼすために設計されたものではない。デキストロース溶液の賦形剤は、22グラムのデキストロース(Sigmaから購入、D9434)を100mLの水に溶解することにより調製した。
10%アルブミン溶液の2.1mLを含む一部を、20〜24℃の範囲の室温で50mLのポリエチレンチューブに加えた。時間0において、1.0gmLの安定でない濃度のGLをチューブに加え、混合物を振盪により十分に混合した。15秒の時間ポイントにおいて、31.5mLの脱溶媒和剤(0.5g/mLのGLを含むEG60)を加えた。成分を、再度、素早くかつ十分に混合した。30秒の時間ポイントにおいて(時間0から計測)、3.15mLのフィブリノーゲン溶液を加えた。再度、すぐに混合物を十分に浸透した。1〜2時間後、12.6mLのデキストロース溶液を賦形剤として加えた。この調製品を調整品15−Fと呼んだ。
コントロールのために、安定でない濃度のGLを添加して(時間0)30秒後の時間ポイントにおいて、3.15mLのフィブリノーゲン溶液に代え、3.15mLの水を加えた。このコントロール調製品を調整品15−Bと呼んだ。
結果
調製品15−F及び15−Bの両者の顕微鏡試験は、球体が直径約0.1ミクロンであり非常に均一であることを示し;いくらかの凝集体もなく、1ミクロンより大きい球体もなかった。これは、懸濁液の1mL容量あたり10,000個を超える大きい粒子がなかったことを意味する。
血小板減少症のウサギにおけるこれら球体懸濁液の効果は、表15に示すように、これらの動物において、出血時間の減少において効果を示した。
表15:血小板減少症のウサギにおける種々の時間ポイントにおける血小板の計測及び出血時間
コメント
データは、4mg球体/kgが、調製品15−B及び15−Fのいずれにおいても1.3mg球体/mLよりも効果的であった。本実施例における限られた数のウサギは、調製品15−B(合成の間、試験管内でフィブリノーゲンを加えない)が、調整品15−F(比較のために合成の間に試験管内でフィブリノーゲンを加えた)よりもより効果的であることを示した。しかし、これが本当であるかどうかは、より多くの動物を用いて確認する必要がある。
両方の調製品を、調製品からの最初のアルコール除去なしでウサギに注入し、出血時間(BT)の性能の間、麻酔したウサギにおける病的影響を引き起こすと思われた。しかし、本発明は、注入前の球体調製品からのエタノールを最初に除去し、覚醒動物(臨床診療等)に移すと、アルコールの影響から起こる任意の混乱が減少する可能性を想像する。逆浸透、又は低級アルコール又はノンアルコール飲料を製造するためのワイン産業において用いられるような、中空糸フィルターを含む種々の方法を用いたダイアフィルトレーションによるような、アルコールを除去するための利用可能な多くの方法がある。
結論
新規なバイミド−リンク法は、合成工程の間に試験管内でフィブリノーゲンでコーティングされていようとなかろうと非常に均一で、かつ血小板減少症のウサギにおいて出血の治療に効果的な球体を製造する。
実施例16
ウシ血清アルブミンを用いた生物学的装置の製造
目的
ヒトアルブミン以外の他のアルブミン源が、ヒトアルブミン球体の機能におけると同様の有用な球体懸濁液をもたらし得ることを示し、脱溶媒和剤に加えた塩がどのような副作用を有するかを評価すること。
原理
フィブリノーゲンを有さないヒトの球体は、血小板減少症のウサギにおいて出血時間を減少する効果を有し、これは、ウサギのフィブリノーゲンがヒトのアルブミン球体に結合したことを示す。本実施例は、ウシ血清アルブミンから製造した球体が、生体内でウサギのフィブリノーゲンに血総し、同様な有益な医療効果をもたらし得るかどうかを評価する。
本発明の条件下で製造した場合、どのような動物のアルブミン源も、ヒトアルブミン球体を用いて得られたような有利な効果をもたらし得ることが予想される。
材料及び方法
ウシアルブミンは、Sigma−Aldrich(セントルイス,ミズーリ州)、Desert Biologicals(フェニックス,アリゾナ州)、Boval(クリバーン,テキサス州)、BioPharm Laboratories(アルパイン, ユタ州)、Equitech−Bio,Inc(カーヴィル,テキサス州)及びSeraCare Life Sciences(ミルフォード,マサチューセッツ州)のような種々の源から購入することができる。ウシ血清アルブミン(BSA,25%)を、蒸留水で希釈し、それぞれ24%、20%及び16%の100mL溶液とした。希釈グルタルアルデヒド溶液を、25%グルタルアルデヒド溶液を、水で0.15mgグルタルアルデヒド/mLに希釈することにより調製した。脱溶媒和剤は、0.26g塩化ナトリウム/mL及び0.5mgグルタルアルデヒド/mLを補充した水中に75%のエチルアルコールを含む溶液であった。
室温(20〜23℃)で、時間0において、50mLの希釈したグルタルアルデヒドを、100mLの24% BSAに加え、すぐに十分に混合した。15秒の時間で、900mLの脱溶媒和剤を加え、即座に混濁し、これは球体が形成されたことを示す。顕微鏡下における試験は、基本的に、凝集体の存在しない、直径約0.5ミクロン(又はそれより小さい)球体のみを示した。
工程を、20%及び16% BSAについて同様に繰り返し、同じ結果を得た。
工程の間に界面活性剤又は洗浄剤を加えず、フィブリノーゲンを加えないで製造した、これらの球体の注入は、血小板減少症又は血小板細胞変性の患者における出血時間を減少し得ることが予想される。
例えば、0〜0.9mg/mLの範囲で脱溶媒和剤に加えた塩化ナトリウムが、球体の形成について悪影響を有しないことも予想される。脱溶媒和剤に加えられた、同程度の範囲の塩化ナトリウムも、本発明に開示されたような他の新規な合成方法(界面活性剤又は洗浄剤を加えない)が用いられた場合に、ごくわずかな効果をも有しているかもしれない。
結論:全ての前記実施例において、脱溶媒和剤は任意の追加の塩を含んでいなかった。本実施例は、脱溶媒和剤中に0.26mgの塩化ナトリウムが含まれると「バイミド−リンク」アプローチを用いて、球体の形成に悪影響を及ぼさず、凝集体の存在しない懸濁液をもたらした。
実施例の概要
前記実施例は、いくつかの新規な球体の製造方法、及び血小板減少症のウサギにおける出血の治療において有効である球体懸濁液について議論した。タンパク質溶液が、凝集体を含まず、5ミクロンを超える直径を有する大きい球体を含まない球体懸濁液をもたらすために、界面活性剤又は洗浄剤の添加を必要としないので、この方法は新規であり、予期しないものであった。
本発見に開示された球体は、製造工程においてフィブリノーゲンのような凝固因子でコーティングする必要がなく、生体内で効果的であったので、新規であった。球体は、球体及び血漿を含む混合物中に架橋剤を含ませるか加えなくても、長期保存後にフィブリノーゲン及び血漿由来の他の因子と結合することができるという点においても新規であった。更に、球体は、低濃度のフィブリノーゲンを含む血漿と混合した場合に、その表面又は内部でフィブリノーゲン分子を濃縮することができるように思われる。
本明細書における、この開示は、止血に影響を及ぼす、試験管内で結合する、どのような生体分子も含まないタンパク質デバイスの懸濁液の注入による、血小板減少症の新規な治療法を教示するが、内在性分子を含む、これらの装置の組み合わせは、血小板減少症の動物の出血時間を短くし、出血量を減少するように、生体内で血漿由来の分子と結合し得る。低い血小板総数の原因は、医学的、外科的又は生理学的理由のためであり得、それらは全て、これらの装置を用いて潜在的に治療することができる。抗血小板抗体(又は任意の他の方法における同種免疫)を有するか、又は任意の他の理由から出血傾向にある動物でさえ、これらの装置を用いて医学的に治療することができると予想される。


Claims (43)

  1. 界面活性剤又は洗浄剤が添加されず、患者への投与に適している、生体材料からなる生物学的装置であって、前記生物学的装置は最初には、それに結合する生物学的活性分子を有さず、前記生物学的装置は、少なくとも1種の他の生物学的活性分子を直接捕獲する能力を有する、生物学的装置。
  2. 前記生体材料がアルブミンからなる、請求項1記載の生物学的装置。
  3. 前記少なくとも1種の生物学的活性分子のそれぞれの捕獲が試験管内で起こる、請求項1記載の生物学的装置。
  4. 前記少なくとも1種の生物学的活性分子のそれぞれの捕獲が生体内で起こる、請求項1記載の生物学的装置。
  5. 前記少なくとも1種の生物学的活性分子のそれぞれの捕獲が、少なくとも1種の凝固因子の任意の組み合わせである、請求項1記載の生物学的装置。
  6. 前記少なくとも1種の凝固因子が、フィブリノーゲン、フォン・ヴィレブランド因子及び第IX因子からなる群から選択される任意の組み合わせである、請求項5記載の生物学的装置。
  7. 前記少なくとも1種の直接捕獲される他の生物学的活性分子が薬剤からなる、請求項1記載の生物学的装置。
  8. 前記生物学的装置のサイズが5ミクロン未満である、請求項1記載の生物学的装置。
  9. 前記生物学的装置が、平均直径0.3〜0.5ミクロンの球形である、請求項8記載の生物学的装置。
  10. 前記生物学的装置が、平均直径0.3ミクロン未満の球形である、請求項8記載の生物学的装置。
  11. 前記生物学的装置が、静脈注射投与に適合する媒体に懸濁されている、請求項1記載の生物学的装置。
  12. 静脈注射投与に適合する媒体がグルコースを含む、請求項11記載の生物学的装置。
  13. 前記生物学的装置が、最終滅菌のために室温を超える温度に暴露される、請求項1記載の生物学的装置。
  14. 前記温度が、37℃〜60℃である、請求項13記載の生物学的装置。
  15. 室温を超える温度に暴露される時間が10時間以下である、請求項13記載の生物学的装置。
  16. 室温を超える温度に暴露される時間が10時間を越える、請求項13記載の生物学的装置。
  17. 試験管内において結合する生物学的活性分子を含まず、生体内で少なくとも1種の生物学的活性分子と結合し得る生物学的装置を投与することにより、患者を治療する方法。
  18. 投与方法が静脈注射による投与である、請求項17記載の方法。
  19. 前記生物学的装置がアルブミンからなる、請求項17記載の方法。
  20. 生体内における、少なくとも1種の結合する生物学的活性分子が凝固因子からなる、請求項17記載の方法。
  21. 凝固因子が、フィブリノーゲン、フォン・ヴィレブランド因子及び第IX因子からなる群から選択される組み合わせからなる、請求項20記載の方法。
  22. 前記患者が、血小板の十分な濃度の欠如、又は十分な血小板機能の欠如のいずれかにより出血する傾向にある、請求項17記載の方法。
  23. 前記患者が、希釈性血小板減少症、癌、癌の治療、抗血小板薬、抗血小板薬の過剰投与及びウイルス感染に悩まされている、請求項17記載の方法。
  24. 前記患者が、まだ血小板減少症でないが、血小板輸血が必要であると予想される、請求項17記載の方法。
  25. 患者の止血状態が、前記生物学的装置の投与により改善される、請求項17記載の方法。
  26. 界面活性剤又は洗浄剤の非存在下、タンパク質溶液に、脱溶媒和剤を加えることを含む、タンパク質球体の製造方法。
  27. 前記タンパク質がアルブミンである、請求項26記載の方法。
  28. 脱溶媒和剤が、架橋剤を含むエチルアルコールである、請求項26記載の方法。
  29. 前記架橋剤がグルタルアルデヒドである、請求項28記載の方法。
  30. 前記脱溶媒和剤が、前記脱溶媒和剤1mLあたり0.9mg以下の塩化ナトリウムを含む、請求項26記載の方法。
  31. 前記タンパク質球体を、凝固因子含有流体と接触させる、請求項26記載の方法。
  32. 前記凝固因子含有流体が、患者の血漿である、請求項31記載の方法。
  33. 前記溶液の温度が19℃〜23℃である、請求項26記載の方法。
  34. 界面活性剤又は洗浄剤の非存在下に、架橋剤のタンパク質溶液への添加を含むタンパク質球体の製造方法であって、架橋剤の濃度が安定なタンパク質球体の形成をもたらすのに不十分であり、次いで脱溶媒和剤を前記タンパク質溶液に加える方法。
  35. 前記タンパク質溶液がアルブミン溶液である、請求項34記載の方法。
  36. 前記脱溶媒和剤がエチルアルコールである、請求項34記載の方法。
  37. 前記脱溶媒和剤が、脱溶媒和剤1mLあたり0.9mg以下の塩化ナトリウムを含む、請求項34記載の方法。
  38. 前記溶媒和剤が、安定なタンパク質球体の形成をもたらすのに十分な濃度で架橋剤を含むエチルアルコールである、請求項34記載の方法。
  39. 前記架橋剤がグルタルアルデヒドである、請求項38記載の方法。
  40. 前記タンパク質球体を、凝固因子含有流体と接触させる、請求項38記載の方法。
  41. 前記凝固因子含有流体が患者の血漿である、請求項40記載の方法。
  42. 直径1ミクロンより大きい球体を1mLあたり10,000個未満有し、基本的に直径0.1ミクロンのタンパク質球体の懸濁液であって、前記タンパク質が血清アルブミンからなる懸濁液。
  43. 生体内で用いるのに適している生理学的に適合性の賦形剤を含み、前記賦形剤が、グルコース、乳糖、マルトース、グリシンからなる群から選択される成分を含む、請求項42記載の懸濁液。
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