JP2010526909A - 安定な酵素による過酸生成系 - Google Patents

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Abstract

本発明は、効果的に過酸水溶液を生成するペルヒドロラーゼ酵素、過酸化水素源及びエステルの基質を含む安定な組成物を提供する。生成された過酸の溶液は病原体又は毒性のある化学物質により汚染された広い範囲の材料と装置の汚染除去及び/又は消毒に適している。一の好ましい実施態様では、この安定な組成物はアシル基転移酵素、過炭酸ナトリウムとプロピレングルコールジアセテートを含み、30日以上安定である。水に加えたとき、この組成物は活性化され、過酢酸対酢酸の高い比率をもつ水溶液を生成する。

Description

関連出願との相互参照
本出願は、2007年5月10日出願の米国仮出願第60/917,752号の利益を主張し、引用によりその全部を本明細書に組み入れる。
発明の分野
本発明は、一般的な表面洗浄と汚染除去のほか、広い種類の化学的及び生物学的兵器原料を含む汚染除去のための使用に適した過酸水溶液を効果的に生成するペルヒドロラーゼ酵素、過酸化水素源及びエステル基質を含む安定な組成物に関する。
発明の背景
過酸は汚染除去/消毒剤として広く受け入れられている。最も顕著には、過酢酸(「ペルオキシ酢酸」又は「PAA」として知られている)は広く使用され、特にバイオハザードの汚染除去のほか、食品産業と病院で使用される製品の滅菌用に使用される。PAAはまた、洗浄剤組成物とパルプの漂白のような工業プロセスにおいて漂白用化学物質としても使用できる。PAAは、使用後に比較的わずかな処理の問題しか起こさない。なぜなら汚水処理プラントで容易に分解される化合物に分解されるからである。これは微生物に対する活性の広いスペクトラムをもち、低温ですら効果をもつ。
PAA水溶液を調製する多くの非酵素的、化学的又は電気化学的方法が先行技術に記載されている。例えば米国特許第6,677,477号、第6,211,237号、第6,171,551号、第5,350,563号及び第4,137,256号参照。これらのそれぞれは引用により本明細書に組み入れられる。
典型的な市販のPAA水溶液は重量で約15%のPAA、重量で約14%の過酸化水素及び重量で28%の酢酸を含む。この種のPAA溶液の使用は、その望ましくない腐食性と燃焼を加速する性質のため、取り扱い、貯蔵、原料及び輸送に関し問題を引き起こす。従って、PAAは大きな化学的な「着地点(footprint)」をもつ。つまりこの化学品の安全な生産と使用は過度の量のエネルギーと資源を必要とする。
加えて、これらの市販溶液中でのPAAに対する酢酸の比較的高い比率は洗浄工程においてステンレス鋼の腐食に関する問題を大きくする。酢酸の比率を低くすればPAAによる洗浄に伴うステンレス鋼の容器をさらに処理(例.不動態化)する必要を少なくするであろう。
これらの問題のいくつかは水溶液中で、過酸をその場で(in situ)生成する酵素的な系の開発により少なくできよう。酵素的過酸生成系は水をベースにした生化学的溶液の非腐食性特性により多くの重要な長所を提供する。これは使用者が、自身や装置、環境を傷つける心配なくこの系を安全に使用することを可能にする。加えて、この酵素系は容易に輸送されるので、輸送上の負担が小さくなり、使用が容易であり、従来の汚染除去法よりもはるかに少量の水の使用を必要とするに過ぎない。さらに、酵素的過酸生成系の副生物は、通常、生物学的に分解可能である。例えば、PAAは、自然に分解し酢酸又はプロピオン酸となる。
2006年12月8日出願のPCT/US06/47022、(引用により本明細書に組み入れられる)は、ある範囲の汚染除去と消毒用途に使用するに十分な量で、過酸水溶液を効率良く生成する酵素を開示する。いくつかの実施態様では、PCT/US06/47022は、酵素が過炭酸塩とプロピレングリコールジアセテート(PGDA)とともに水に加えられたときPAA水溶液を生成するマイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)由来のアシル基転移酵素と変異種を開示する。
水溶性の容器は水溶液に、予め秤量した組成物を放出する便利な手段を提供する。このような容器は多くの米国特許で洗浄剤組成物について使用するために述べられてきた。例えば、米国特許第5,783,541号は水溶性のフィルムに入れられた皿洗い用組成物について述べているが、この水溶性フィルムは水に可溶の糊で覆われている。米国特許第6,037,319号は、アルコールとヘキシレングリコールを含む洗浄剤組成物を含む水溶性小袋(sachet)について述べている。米国特許第6,465,413号は水溶性フィルムの小袋に含まれる洗濯用及び皿洗い用製品を開示し、この調合剤は、顆粒過炭酸化合物を含み、硫酸塩、カルボキシメチルセルロース及び非イオン性界面活性剤を含むカプセル化混合材料にカプセル充填されている。米国特許第6,492,312号は皿洗い器での洗浄を増進する別の粒子とともにそのような皿洗い組成物を含む水溶性小袋を開示する。米国特許第20030199415A1、は、優れた泡消えの性質と優れた油脂除去性をもつ濃縮液の洗浄剤組成物を含む水溶性小袋を含む洗浄剤系について述べている。
米国特許第7,052,520号は、「小袋(sachet)」または「バイオバッグ」と呼ばれる酵素による布地洗浄用の水分浸透性だが、水溶性ではない製品を開示する。この「バイオバッグ」は水には溶けないが、酵素産生微生物を、それらがバッグから洗浄水に広がることができないように含む。
この技術での上記の発展にもかかわらず、産業用の汚染除去でこの種の化合物を使用することにより引き起こされる貯蔵上、輸送上の問題及び包括的な化学的な問題を軽減し、安定性がより高く、使用がより容易である過酸を生成する酵素系が依然求められている。
発明の要約
本発明は、水溶液中で過酸を酵素的に生成し、広い範囲の汚染除去の方法と用途で使用できる安定な組成物、系及び用具一式を提供する。
いくつかの実施態様では、本発明は水溶液に過酸を生成するために有用な安定な組成物を提供し、前記組成物は、ペルヒドロラーゼ活性をもつ酵素、過酸化水素源、及びエステル基質を含む。これら3種の活性成分は水に加えられて活性化され過酸水溶液を生成する。これらの組成物が活性化される(つまり、水への添加)前に高度に安定であることは、本発明の驚くべき結果である。ここで安定性とは、この組成物が水に加えられたとき、物品の消毒、殺菌及び汚染除去で使用するために有効な量で過酸を生成する能力に対応する。つまり、本発明の安定な組成物は水に加えられたとき過酸を生成する能力を少なくとも7日、約14日、約30日、約60日、それ以上保持する。
いくつかの実施態様では、安定な組成物は追加の酵素、界面活性剤、洗剤調合剤及び/又は洗浄剤組成物のような追加の活性な成分を含む。しかし、一つの好ましい実施態様では、この組成物は3種の活性成分を含む。:アシル基転移酵素、過酸化水素源、及びエステル基質である。
一つの好ましい実施態様では、この安定な組成物はM・スメグマチス(Ms AcT)、由来のアシル基転移酵素、過炭酸ナトリウムとプロピレングリコールジアセテート(PGDA)を含み、この酵素と過炭酸は液体のPGDAに懸濁された固体である。いくつかの実施態様では、ペルヒドロラーゼ酵素はSEQ ID NO:1に表されたアミノ酸配列またはその変異種または相同体を含む。一実施態様ではこのペルヒドロラーゼ酵素はSEQ ID NO:1のS54V変異種である。
一実施態様では、この組成物は、重量で約0.001%から約1%のMsAcT、重量で約35%から約45%の過炭酸ナトリウム、及び重量で約65%から約55%のプロピレングリコールジアセテートを含む。水に加えたとき、この安定な組成物は活性化され過酢酸(PPA)の生成を始める。少なくとも7日、約14日、約30日、約60日またはそれ以上の間、周囲の温度でこの組成物を使用前に貯蔵しても、水に産生されるPPAの重量パーゼントは有意に減少しない。
好ましい実施態様では、この安定な組成物により得られた過酸水溶液は、重量で少なくとも約0.08%、0.16%、0.24%、0.32%、0.40%、またはそれ以上のパーセントの過酸を含む。ある好ましい実施態様では、このPPA水溶液は重量で少なくとも約0.16%である。
加えて、水に加えられたこの安定な組成物の酵素の活性により産生される、過酸と酸の比率は、少なくとも約2:1、4:1、5:1、10:1、20:1、またはそれより大きい。PAAを生成する安定な組成物の実施態様では、水に加えられたとき生成する、PAAと酢酸の比率は、少なくとも約2:1、4:1、5:1、10:1、20:1またはさらにそれより大きい。
本発明は安定な組成物の実施態様に基づく水溶液中に過酸を生成する系と用具一式を提供する。例えば、一実施態様では、本発明は水溶性容器に本発明の安定な組成物のいずれかを含む、水溶液に過酢酸を生成する系を提供する。いくつかの実施態様では、この容器は水溶性ポリマー、好ましくはポリビニルアルコールポリマーから形成される。一般的には、この水溶性容器はいずれの形態でも良く、好ましくは、小袋(sachet)、アンプル、カプセル、又は球(sphere)である。ある好ましい実施態様では、この水溶性容器はポリビニルアルコールフィルムを含む小袋である。
別の実施態様では、本発明は、(a) 密封容器にいれた予め秤量した本発明の安定な組成物のいずれかで、この安定な組成物の量は、設定した容量の水に加えられたとき重量で少なくとも約0.16%の過酢酸の水溶液を生成するもの。と(b)この.安定な組成物の使用のための指図、を組み合わせた包装物を含む汚染除去用の用具一式を提供する。一実施態様では、この用具一式の密封された容器は、少なくとも前記の設定した容量の水の少なくとも2倍を保持できるほど十分に大きい。別の実施態様では、この用具一式はさらに前記密封された容器の内部に包装された水溶性容器の中にこの安定な組成物を含む。一の好ましい実施態様では、この水溶性容器はポリビニルアルコールフィルムから作られた小袋である。別の実施態様では、この用具一式の包装された組合せはさらに、第2の密封容器に設定容量の水を含み、この水は滅菌されている。
一般的に、本発明の安定な組成物とこの安定な組成物を含む系と用具一式は物品の汚染除去、消毒、及び/又は殺菌用の水溶液を調製する種々の方法で使用できる。従って、本発明はまた、過酢酸を生成するために有用な安定な組成物を水に加え、少なくとも約30分、20分、15分、10分、またはさらに短時間混合することを含む汚染除去用溶液の調製法も提供する。
いくつかの実施態様では、汚染除去法は、(a)ペルヒドロラーゼ活性をもつ酵素、ここで前記活性は少なくとも2:1のペルヒドロリシス対加水分解比率である;過酸化水素源;エステル基質を含む安定な組成物を供給する段階。及び(b) 前記組成物を水に加え、少なくとも約20分間混合し、それにより重量で少なくとも約0.16%の過酢酸を含み、pHが約9.0未満の水溶液を生成する段階、及び(c)汚染物質を含有する物品を前記溶液に曝す段階を含む。一実施態様では、この安定な組成物の溶液は、pHを緩衝化できる他の別の材料を含まない。
ある好ましい実施態様では、本発明の汚染除去の方法は(a)アシル基転移酵素、過酸化水素源、及びプロピレングリコールジアセテートを含む安定な組成物を提供し(b)水に前記組成物を加え、少なくとも20分間混合し、それにより重量で少なくとも約0.16%の過酢酸の水溶液を調製し、及び(c) 汚染物質を含む物品を前記溶液へ曝すことを含む。溶液を調製するいくつかの実施態様では、この安定な組成物は、重量で約0.001%から約1%のMsAcT、重量で約35%から約45%の過炭酸ナトリウム及び重量で約65%から約55%のプロピレングリコールジアセテートを含む。
本法の好ましい実施態様では、この安定な組成物は水溶性容器に入れられそしてこの容器が水に加えられる。ある好ましい実施態様では、この水溶性容器は小袋、アンプル又は球であり、水溶性ポリマーから形成され、好ましくはポリビニルアルコールポリマーから形成される。
種々の実施態様では、本発明の方法はボツリヌス毒素、炭疽菌毒素、リシン、サバ毒素、シガトキシン、テトロドトキシン、マイコトキシン及びそれらの組合せからなる群から選択される毒素;細菌、ウィルス、菌類、寄生虫、プリオン及びそれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択された病原菌を含む広い範囲の汚染物質に対して有用である。一実施態様では、本発明の方法は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(SRWC-10943)及びリステリア・モノシトゲネス(Listeria monocytogenes)(ATCC 19112)を非限定的に含む病原菌により形成されたものを含むバイオフィルムに対して有用である。
種々の実施態様では、本発明の方法は硬い表面、布地、食品、飼料、衣服、敷物、カーペット、織物、医療機器、動物用医療機器、医薬品製造装置及びバイオテクノロジー製造装置等の広い範囲の汚染物品の汚染除去及び/または消毒に有用である。ある好ましい実施態様では、本発明の安定な組成物を使用して生成されるPAA溶液は、製薬とバイオテクノロジーの製造法で使用される、大型の反応装置を含むステンレス鋼の装置を消毒するために使用される。
図1は過酸化水素又は過炭酸塩からのPAAの酵素的な生成を示すグラフである。 図2はグルコースとプロピレングリコールジアセテートからのPAAの生成を示すグラフである。 図3は異なる温度(21℃、40℃及び60℃)でPAAの生成を示すグラフである。 図4はアセチル基転移酵素の濃縮PAAを産生する性能を示すグラフである。
発明の詳細な説明
I. 概観
本発明は水溶液中で過酸を酵素的に生成し、広い範囲の汚染除去法と用途で使用できる安定な組成物、系、用具一式を提供する。本発明は、一部、アシル基転移酵素のようなペルヒドロラーゼ酵素、過酸化水素源及びプロピレングリコールジアセテートのようなエステル基質を含む組成物が使用前に極めて安定であるという驚くべき発見に基づいている。実際に、これら3化合物からなる組成物は少なくとも7日、約14日、約30日、約60日またはそれより長く安定であることができ、ここで安定性とは水に稀釈したとき有効量の過酸を生成する性能に対応する。
過酸(例.過酢酸)は広い範囲の用途での使用が認められ承認されている十分に特徴づけられた汚染除去試薬である。取り出しを行わない(In-situ)水の中での酵素的過酢酸の発生(本発明の安定な組成物、系及び用具一式の好ましい実施態様により起こる)は望ましい。なぜなら溶媒中での反応性の高い化学物質よりもずっと安全でありずっと少ない容量を必要とするに過ぎないからである。従って、本発明は使用に便利で、簡単かつ広い範囲の汚染除去法と技術に非常に効果がある安定な組成物を提供する。例えば、本発明の安定な組成物は、一般的な表面の洗浄や汚染除去と同様、化学的及び生物学的兵器の汚染除去で使用できる。
ある好ましい実施態様では、この安定な組成物はアシル基転移酵素、M・スメグマチス(M.smegmatis)由来のMsAcTと過酸化水素源として過炭酸ナトリウムを含む。一実施態様では、この組成物は、重量で約0.001%から約1%のMsAcT、重量で約35%から約45%の過炭酸ナトリウム、及び重量で約65%から約55%のプロピレングリコールジアセテートを含む。
本発明の安定な組成物は洗浄、殺菌及び/または汚染除去のため過酸を利用する現在使用されている方法に対し多くの利点を提供する。この組成物が安定な「オールインワン(All-In-One)」組成物であり、成分の全てが共に調合されている(例.ひとつの容器または包装内)ことは重要である。従って、この組成物の使用は、単に単一の容器の内容物を水に加えることでよい。加えて、本発明はまた、密封した水溶性容器に安定な組成物を入れ、これにより容器を開く必要すらなくさらに便利である。容器を開けずに、水溶性容器の組成物を水へ加え、それにより汚染除去に便利な水溶液が得られる。

II.定義
本明細書で別途定義されない限り、本明細書の全ての技術的及び科学的用語は本発明が属するこの技術分野の普通の技術者により共通に理解されているものと同一の意味をもつ。例えば、SingletonとSainsbury, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, 第2版、John Wiley and Sons, NY(1994); Hale and Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology, Harper Perennial, NY(1991)は、この技術分野の技術者に本発明で使用される用語の多くについて一般的な辞書となる。本明細書で述べられているものと類似または同等のいずれの方法と材料も本発明の実施で使用できるが、好ましい方法と材料が本明細書に述べられている。従って、直ぐ下に定義された用語は明細書全体を参照することでより十分に記述される。また、本明細書で使用する場合、単数表記は文脈から明らかに異なる場合を除き複数の場合も含む。別途記載がある場合を除き、核酸は左から右に5’から3’の向きに記載される。;アミノ酸配列はアミノ基からカルボキシ基の方向に左から右へ書かれる。本発明は、方法論、試験手順及び試薬は、この技術分野の技術者により使用される状況により変わるので、この発明は記載された特定のそれらに限定されないことが理解されるべきである。
この明細書全体で記載されている全ての最大の数値限度は、それより低い数値限度が本明細書に明示して表されている場合のように、全てのそれより低い数値限度を含むことが意図されている。この明細書全体に与えられた全ての最小の数値限度は、より高い数値限度が明示的に本明細書に表されている場合のように全てのより高い数値限度を含む。この明細書全体に記載される全ての数値範囲は、より狭い数値範囲が明示して本明細書に表されている場合のように、当該広い数値範囲内にある全てのより狭い数値範囲を含む。
本明細書で使用する場合、用語「酵素」は化学反応を触媒するいずれかのタンパク質をいう。酵素の触媒的機能はその「活性」または「酵素的活性」を構成する。酵素は通常、それが行う種類の触媒的機能、例えばペプチド結合の加水分解、に従い分類される。
本明細書では、用語「基質」は酵素が生成物を生成するためにその触媒的活性を行う物質(例.化学物質)をいう。
「ペルヒドロラーゼ」とは、洗浄、漂白、消毒、滅菌のような用途に適した十分に多量の過酸の生成を行うペルヒドロシス反応を触媒できる酵素をいう。一般的に、本明細書に述べられた方法で使用されるペルヒドロラーゼ酵素は高いペルヒドロリシス対加水分解比率を示す。いくつかの実施態様では、このペルヒドロラーゼはSEQ ID NO:1に表されているマイコバクテリウム・スメグマチスペルヒドロラーゼアミノ酸配列又は変異種又は相同体を、含むもの又はこれらからなるもの、或いは本質的にこれらからなるものである。いくつかの実施態様では、このペルヒドロラーゼ酵素はアシル基転移酵素活性をもち、水溶液でのアシル基転移反応を触媒する。
「過酸」とは化学式RC(=O)OOHの有機酸である。
「ペルヒドロリシス」または「ペルヒドロライズ」とは過酸を生成する酵素的反応である。いくつかの実施態様では、過酸は、過酸化水素(H2O2)存在下、化学式RC(=O)OR2のエステル基質のペルヒドロリシスにより産生される。ここで、RとR2は同一または異なる有機部位である。
「過酸化水素源」という語句は過酸化水素、及び自発的又は酵素的に反応生成物として過酸化水素を産生できる系の成分を含む。
「ペルヒドロリシス対加水分解比率」という語句は、定めた条件と定めた時間内でエステル基質からペルヒドロラーゼ酵素により酵素的に産生される過酸の量対酵素的に産生される酸の量の比率をいう。
本明細書で使用する場合、用語「アシル」は有機酸基であり、水酸基(-OH)を除いたときのカルボン酸の残部である(例えば、塩化エタノイル、CH3CO-Clはエタン酸、CH3CO-OHから形成される酸塩化物である。)個々のアシル基の英名は酸の”-ic”を”-yl”で置き換えて作られる。
本明細書では、用語「アシル化」はアシル(RCO-)基が分子を置換、一般的に、-OH基の活性水素を置換する化学的変換をいう。
本明細書では、用語「転移酵素」は一基質から別の基質へ官能基の移転を触媒する酵素をいう。
本明細書では、用語「酵素的転換」は基質又は中間体と酵素を接触させることにより、基質又は中間体を修飾して生成物にすることをいう。いくつかの実施態様では、接触とは適当な酵素に基質又は中間体を直接にさらすことにより行われる。他の実施態様では、接触はこの酵素を発現及び/又は分泌し、及び/又は好ましい基質及び/又は中間体をそれぞれ所期の中間体及び/又は最終生成物に代謝する生物にさらすことを含む。
本明細書で使用する場合、「有効量の酵素」は特定の用途(例.汚染除去における使用のためのアシル基転移酵素による過酢酸の産生)で必要とされる活性を達成するために必要な酵素の量をいう。そのような有効量はこの技術分野の普通の技術者により容易に確認でき、使用される個々の酵素、特定の組成、汚染除去の方法、及び汚染除去される物品等のような多くの因子に基づく。
本明細書で使用する場合、物質(例.酵素)又は組成物に関し用語「安定性」とはある環境条件下である期間にわたりある水準の機能活性を維持する性能をいう。さらに用語「安定性」は関心のある特定の環境条件に関し多くのより具体的状況で使用できる。
例えば、「熱的安定性」とは、本明細書で使用される場合、上昇した温度で物質または組成物がその機能を維持する(つまり、分解しない)性能をいう。安定性の実質的な変化は、選択された環境条件が欠けたときに存在する活性と比較して、少なくとも定量を受ける機能の半減期の少なくとも約5%またはそれより高い又は低い増大又は減少(殆どの実施態様で、増大が好ましい)により根拠付けられる。
本明細書で使用する場合、酵素に関して使用するとき用語「化学的安定性」はその活性に悪い影響を及ぼす化学物質の存在下での酵素の安定性をいう。いくつかの実施態様では、このような化学物質は、過酸化水素、過酸、アニオン性洗剤、カチオン性洗剤、非イオン性洗剤、キーラント(chelant)等を非限定的に含む。しかし、本発明をいずれか特定の化学的安定性水準または化学的安定性の範囲に限定する意図はない。
本明細書で使用する場合、「pH安定性」は特定のpHで物質(例.酵素)又は組成物が機能する性能を言う。種々のpHにおける安定性は本技術分野の者に知られている標準的な手順、及び/又は本明細書に記載された方法により測定できる。pH安定性の実質的変化は最良のpHにおける活性と比較したとき、機能的活性の半減期の少なくとも約5%以上の増大又は減少(殆どの実施態様では、増大が好ましい)により根拠付けられる。本発明をいずれかのpH安定性水準またはpH範囲に限定することは意図していない。
本明細書で使用する場合、「酸化的安定性」は物質(例.酵素)または組成物が酸化的条件、例えば、酸化剤の存在下で機能する性能を言う。
本明細書で使用する場合、「酸化的化学物質」は漂白する性能をもつ化学物資をいう。酸化的化学物質は漂白に適した量、pH及び温度で存在する。この用語は過酸化水素又は過酸に限定されない。
本明細書で使用する場合、用語「精製された」と「単離された」はサンプルから汚染物質を除去することをいう。例えば、アシル基転移酵素は、アシル基転移酵素ではない溶液内又は調製品内の汚染タンパク質と他の化合物の除去により精製される。
本明細書で使用する場合、用語「汚染物質」は別の物質、材料または物品とそれを接触又は組み合わせることによりそれを望ましくない、不純及び/または使用に適さなくするいずれかの物質をいう。
本明細書で使用する場合、用語「汚染された物品」または「汚染除去の必要な物品」は汚染除去される必要のある、汚染物質と接触または組み合わされたいずれかの物品又は物をいう。この物品をいずれか特定のもの又は種類の物品に限定する意図はない。例えば、いくつかの実施態様では、この物品は硬い表面である。他方、他の実施態様では、この物品は衣服である。さらに追加の実施態様ではこの物品は織物である。さらに別の実施態様では、この物品は医療及び/又は動物医療分野で使用される。いくつかの好ましい実施態様では、この物品は医療または動物医療の分野で使用される。いくつかの好ましい実施態様では、この物品は外科用具である。いくつかの別の実施態様では、この物品は輸送(例.道路、滑走路、鉄道、列車、自動車、飛行機、船等)で使用される。さらに別の実施態様では、この用語は肉、肉の副製品、魚、魚貝食品、野菜、果実、乳製品、穀物、ベーキング製品、サイレージ、乾草、飼料等を非限定的に含む食品及び/または飼料に関して使用される。実際、この用語は本明細書に規定された方法と組成物を使用する汚染除去に適したいずれの物品も含むことを意図している。
本明細書で使用する場合、用語「汚染除去」は汚染された物品から実質的に全ての又は全ての汚染物を除去することを言う。いくつかの好ましい実施態様では、汚染除去は殺菌を含み、一方、他の実施態様では、この用語は滅菌を含む。しかし、この用語をこれらの実施態様に限定することは意図していない。なぜなら、この用語は微生物の汚染物質(例.細菌、菌類、ウィルス、プリオン等)のほかに無生物の汚染物質の除去を含むことを意図しているからである。
本明細書で使用する場合、用語「消毒」は、物品の表面にいる微生物を増殖抑制又は殺菌することのほか表面から汚染物質を除去することをいう。本発明をいずれか特定の除去を受ける表面、物品または汚染物質または微生物に限定する意図はない。
本明細書で使用する場合、用語「滅菌」は表面の全ての微生物の殺菌を言う。
本明細書で使用する場合、用語「殺胞子性」は菌類と細菌の胞子を非限定的に含む微生物の胞子を死滅させることをいう。この用語は、胞子を完全に殺す組成物ほか、胞子の発芽の予防に効果がある組成物を含む。
本明細書で使用する場合、用語「細菌殺菌性」「菌類殺菌性」及び「ウィルス殺菌性」はそれぞれ細菌、菌類及びウィルスを殺菌する組成物をいう。この用語「微生物殺菌性」とは、細菌、菌類、ウィルス、原生動物、リケッチア等を非限定的に含むいずれかの微生物の増殖及び/または複製を阻害する組成物をいう。
本明細書で使用する場合、用語「静菌性」、「静真菌性」及び「静ウィルス性」は、細菌、菌類、ウィルスのそれぞれの増殖及び/又は複製を阻害する組成物をいう。用語「静微生物性」は細菌、菌類、ウィルス、原生動物、リケッチア等を非限定的に含む、いずれかの微生物の増殖及び/または複製を阻害する組成物をいう。
本明細書で使用する場合、用語「洗浄剤組成物」は、布地、皿、コンタクトレンズ、他の固体物、髪(シャンプー)、皮膚(石鹸とクリーム)、歯(口腔洗浄、練り歯磨き)等のような洗浄されるべき物品から好ましくない化合物の除去に使用される組成物をいう。この用語はさらにいずれかの対象物及び/又は表面の洗浄、漂白、消毒、及び/又は滅菌に適したいずれかの組成物をいう。この用語は洗剤組成物(例.液体及び/又は固体洗濯洗剤と繊細な布地の洗剤;硬い表面の洗浄剤調合剤、例えばガラス、木材、陶器及び金属性のカウンターの天板及び窓;カーペット洗浄剤;オーブン洗浄剤;布地消臭剤;布地柔軟剤;及び織物と洗濯用プレスポッター及び皿用洗剤)を非限定的に含むことを意図している。この用語は、好ましい特定の種類の組成物がアシル基転移酵素、過酸化水素源、PGDA、及びこの組成物中で使用される他の酵素又は物質と共存できる場合に、この洗浄剤組成物と製品形態(例.液体、ゲル、顆粒、またはスプレー組成物)のために選択されたいずれの原料/化合物もさらに含む。洗浄剤組成物原料の具体的選択は、洗浄を受ける表面、物品又は布地、及び使用時の洗浄条件にあった組成物の好ましい形態を考慮することにより容易に行われる。実に、用語「洗浄剤組成物」は、本明細書で使用される場合、別途記載があるのではない限り、顆粒または粉末形態の全用途用又は重質洗浄剤を含み、特に洗浄用洗剤;液体、ゲル又は糊状全用途用洗浄剤、特にいわゆる重質の液体(HDL)の種類;液体の繊細な布地用洗剤;皿の手洗い用洗剤または軽質皿洗い用洗剤、特に泡立ちの高い種類;家庭用又は施設用の種々の錠剤、顆粒、液体及びすすぎの容易な種類を含む皿洗い機用洗剤;抗菌性手洗い用剤を含む液体洗浄剤と消毒剤、クリーニングバー(cleaning bar)、口腔洗浄用剤、入れ歯洗浄剤、車又はカーペット用洗剤、浴室用洗剤を含む液体洗浄剤と消毒剤;髪のシャンプーと髪のリンス剤;シャワー用ゲルとフォームバス及び金属洗浄剤を含むほか、漂白添加剤と「部分汚れ用洗剤(stain-stick)」または予備洗浄用タイプのような洗浄補助剤を含む。
本明細書で使用する場合、用語「洗剤組成物」と「洗剤調合剤」は、汚れた対象物の洗浄用媒体中で使用することが意図されている混合物をさして使われる。いくつかの好ましい実施態様では、この用語は布地及び/又は衣類(例.「洗濯用洗剤」)洗濯をさして使用されている。別の実施態様では、この用語は他の洗剤、例えば、皿、刃物などの洗浄に使用されるもの(例.「皿洗い用洗剤」)をいう。本発明をいずれか特定の洗剤調合物または組成物に限定することは意図していない。実際、ペルヒドロラーゼ酵素、例えば、アシル基転移酵素に加え、この用語は界面活性剤、転移酵素、加水分解酵素、酸化還元酵素、洗浄助剤、漂白剤、漂白活性剤、青み剤及び蛍光性染料、固化防止剤、マスキング剤、酵素活性剤、抗酸化剤及び可溶化剤を含む洗剤を含むことを意図している。
本明細書で使用する場合、用語「酵素適合性」とは、洗浄剤組成物原料について述べる場合、関連する酵素が通常の使用状況で希望される程効果的ではない程度に酵素活性を低下させないことをいう。
本明細書で使用する場合、「タンパク質」はアミノ酸からなり本技術分野の技術者によりタンパク質として認識されるいずれかの組成物をいう。この用語「タンパク質」「ペプチド」及びポリペプチドは本明細書では相互に入れ替えて使用される。ペプチドがタンパク質の一部である場合、本技術分野の技術者は文脈においてこの使用を理解する。用語「野生型」と「固有の」は天然で見出されるタンパク質をさすために使用される。いくつかの実施態様では、野生型タンパク質の配列はタンパク質を操作する計画の開始点である。
本明細書で使用される場合、用語「関連タンパク質」又は「相同タンパク質」は機能的に及び/又は構造的に類似(つまり、類似の作用及び/または構造をもつ)しているタンパク質をいう。この用語は異なる種から得られる同一又は類似の酵素(つまり、構造と機能に関して)を含むことを意図している。本発明を、進化上関連するいずれか特定の関連する源又はタンパク質に由来する関連するタンパク質に限定する意図はない。加えて、この用語、関連又は類縁タンパク質は三次構造の相同体と一次配列の相同体を含む。従って、この用語は野生型配列に関連する「変異」又は「突然変異」配列をもつタンパク質を含む。
本明細書で使用される場合、用語「誘導体」は1以上のアミノ酸をC-とN-末端のいずれか又は両者へ付加することにより、アミノ酸配列の1又は多くの異なる部位で一以上のアミノ酸を置換すること、及び/又はC-末端とN-末端のいずれか又は両者で、及び/又はアミノ酸配列の1以上の部位で1以上のアミノ酸を置換すること、アミノ酸配列のC-末端及びN-末端のいずれか又は両者で及び/又は1以上の部位で1以上のアミノ酸を削除すること、及び/又は、アミノ酸配列の1以上の部位で1以上のアミノ酸を挿入することにより親タンパク質から生じるタンパク質をいう。タンパク質誘導体の調製は固有のタンパク質をコードするDNA配列の修飾、修飾を受けたDNA配列による適した宿主の形質転換及び修飾を受けたDNA配列を発現し誘導体タンパク質を産生することにより達成されることが多い。
関連(及び誘導)タンパク質は「変異タンパク質」を含む。変異タンパク質は少数のアミノ酸残基により親タンパク質と、及び/又は互いに異なる。いくつかの実施態様では、異なるアミノ酸残基の数は約1,2,3,4,5,10,20,25,30,35,40,45,または50個のいずれかである。いくつかの実施態様では、変異種は約1から約10個のアミノ酸だけ異なる。
いくつかの実施態様では、関連タンパク質、例えば変異タンパク質は、少なくとも約35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または99.5%のアミノ酸配列の同一性をもついずれかを含む。
本明細書で使用される場合、用語「類縁配列」は対照タンパク質に関して類似の機能、三次構造、及び/又は保存された残基をもつタンパク質中のポリペプチド配列をいう。例えば、アルファヘリックスまたはベータシート構造を含むエピトープ領域では、類縁配列におけるアミノ酸置換は同一の構造因子を維持する。いくつかの実施態様では、類縁配列は、変異種が由来する親タンパク質に関し類似するまたは向上した機能を示す類縁酵素となる。
本明細書で使用される場合、「相同タンパク質」は、対照タンパク質と類似の機能(例.酵素活性)及び/または構造をもつタンパク質(例.ペルヒドロラーゼ酵素)をいう(例.異なる源由来のペルヒドロラーゼ)。相同体は進化上関連する、及び/又は関連しない種に由来しても良い。いくつかの実施態様では、相同体は対照タンパク質の構造と類似の四次、三次及び一次の構造をもち、そのため、非相同タンパク質由来の配列をもつ一部又は断片による置換と比較して対照タンパク質の構造及び/または機能の乱れが小さい状態で、相同体の類縁部分又は断片による対照タンパク質の一部分または断片の置換が潜在的には、可能である。
本明細書で使用される場合、「野生型」「固有の」及び「天然の」タンパク質は天然に見出されるものである。用語「野生型配列」は自然に見出されるまたは自然に発生するアミノ酸または核酸配列をいう。いくつかの実施態様では、野生型配列はタンパク質操作計画、例えば、変異タンパク質産生の開始点である。

III.水溶液における過酸の酵素的生成
本発明の安定な組成物は成分(つまり、材料)として少なくとも一つの酵素を含む。一般的に、本発明で使用される酵素は高いペルヒドロラーゼ活性を持たなければならない。−つまり、洗浄、漂白及び消毒のような用途に適した多量の過酸の生成に至る酵素活性である。過酸生成のためのペルヒドロラーゼ活性をもつ酵素の使用はWO05/056782に記載されており、これは引用により本明細書に全体を組み入れる。
通常、酵素的ペルヒドロラーゼ活性は加水分解活性を伴う。実に、下記に述べるように、多くの加水分解酵素は過酸化水素の存在下ペルヒドロラーゼとしても作用する。特に好ましい実施態様では、本発明の酵素は加水分解活性に対しペルヒドロラーゼ活性の非常に高い比率をもち、そのため酸生成物に対し過酸生成物の高い比率をもつ(例.少なくとも約2:1、5:1、10:1、またはそれより大きい過酸対酸の比率)。これらの個々の酵素のペルヒドロリス対加水分解の比率はこれらの酵素を非常の広い種々の用途での使用に適したものとする。
大きなペルヒドロラーゼ活性を持つことに加えて、本発明の安定な組成物で有用な酵素は、乾燥または実質的に水を含まない条件で比較的低い活性を示す。いくつかの実施態様では、安定な組成物の酵素成分は、この組成物に重量で約1%未満の水が含まれているとき、約1%、0.5%、0.2%、または約0.1%未満の活性(ペルヒドロラーゼまたは加水分解)をもつ。好ましい実施態様では、この酵素は重量で約2%以下の水が含まれているとき約0.1%未満の活性を示す。
いくつかの実施態様では、このペルヒドロラーゼ酵素は天然に産生される(つまり、細胞のゲノムによりコードされたペルヒドロラーゼ酵素)。いくつかの実施態様では、このペルヒドロラーゼ酵素は、天然に産生されるペルヒドロラーゼ酵素のアミノ酸配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または99.5%同一のアミノ酸配列を含む(又はこれらからなる、または本質的にこれらからなる)。
いくつかの実施態様では、ペルヒドロラーゼ酵素は少なくとも1のペルヒドロリシス活性:加水分解活性比率をもつ。

1. アシル基転移酵素-M.スメグマチス(M. smegmatis)由来のMsAc T
一実施態様では、本発明は、水溶液中で過酸化水素とエステル基質を過酸へ酵素的変換することができるアシル基転移酵素を含む安定な組成物を提供する。好ましい実施態様では、本発明のこの安定な組成物は高いペルヒドロリシス対加水分解比率を生じるアシル基転移酵素を使用する。高いペルヒドロリシス対加水分解の比率により、これらの酵素は高い収率の過酸を生成し、汚染除去溶液の生成においてそれらの酵素をより効果的なものにする。
本発明に特に良く適合させる好ましいペルヒドロリシス対加水分解の比率をもつアシル基転移酵素は、M.スメグマチス(M. smegmatis)アシル基転移酵素(MsAc T)である。例えば、MsAc T が、PDGAと過炭酸由来の過酸化水素を酵素的に転換するため使用される場合、MsAc Tは少なくとも5:1で酢酸より多くPAAを生成する。MsAc T が高いPAA対酢酸比をもつので、生じた過酸水溶液のpHは比較的低いpH、約pH10未満、約pH9.0未満、約8.5未満、約8.0未満、または約pH7.5未満を維持できる。そのような低いpHのPAA(又は他の過酸)水溶液は高濃度の酢酸を含む通常の市販PAA溶液と異なり金属に対し腐食性がない(または少なくともかなり腐食性が低い)と考えられる。
加えて、このMsAcTは水のない条件で本質的に不活性である。このMsAcT酵素はペルヒドロラーゼまたは加水分解酵素活性を示すため相当量の水(つまり、比較的高い水準の水和)が存在する必要がある。酵素を含む組成物に重量で約1%未満の水しか含まれないとき、通常、MaAcT とその変異種は、約1%、0.5%、0.2%または約0.1%未満の活性(ペルヒドロラーゼまたは加水分解酵素)しか示さない。
野生型のM.スメグマチスアシル基転移酵素はWO05/056782に記載され、これは引用により本明細書に全て組み入れられる。2006年12月8日出願のPCT/US06/47022は、(これも引用により本明細書にも組み入れる。)S54V-MsAcT等の多くのMsAcT 変異種及び、この酵素を過酸化水素源とエステル基質(例.プロピレングリコールジアセテート(PGDA))とともに水へ加えて過酸水溶液を生成するための、野生型と変異種の使用を開示している。
いくつかの実施態様では、このペルヒドロラーゼ酵素は天然のM.スメグマチスペルヒドロラーゼ酵素である。いくつかの実施態様では、ペルヒドロラーゼ酵素はSEQID NO:1に表されたアミノ酸配列又はその変異種又はその相同体を含む(または、これからなる、または本質的にこれからなる)。いくつかの実施態様では、ペルヒドロラーゼ酵素は、本質的に、SEQID NO:1に表されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または99.5%同一であるアミノ酸配列を含む(またはこれらからなる、本質的にこれらからなる。)。
M.スメグマチスペルヒドロラーゼのアミノ酸配列は、下記の通りである。
Figure 2010526909
M.スメグマチスペルヒドロラーゼをコードする対応するポリヌクレオチド配列は、
Figure 2010526909
である。
2. 変異アシル基転移酵素
本発明の安定な組成物は野生型のM.スメグマチスアシル基転移酵素を含むことに限定することは意図していない。別の実施態様では、アシル基転移酵素はMsAcTアシル基転移酵素の相同体または操作された変異種であるアシル基転移酵素を使用できる。さらに好ましい実施態様では、単量体の加水分解酵素は天然の単量体酵素よりも良好なアシル基転移活性をもつ単量体又は多量体酵素となるように操作される。いくつかの特に好ましい実施態様では、この変異種はMsAcTのS54V置換(本明細書では「S54V-MsAcT」または「S54V変異種」または「変異種S54V」と呼ばれる。)を含む。
別の実施態様では、この安定な組成物で使用されるアシル基転移酵素はWO05/056782で開示され、述べられた変異酵素又は相同体の一つである。
いくつかの実施態様では、このペルヒドロラーゼ酵素はSEQ ID NO:1
に表されたM.スメグマチスペルヒドロラーゼアミノ酸配列中の位置に相当する一以上のアミノ酸の位置における一以上の置換を含む。いくつかの実施態様では、このペルヒドロラーゼ酵素はM1、K3、R4、I5、L6、C7、D10、S11、L12、T13、W14、W16、G15、V17、P18、V19、D21、G22、A23、P24、T25、E26、R27、F28、A29、P30、D31、V32、R33、W34、T35、G36、L38、Q40、Q41、D45、L42、G43、A44、F46、E47、V48、I49、E50、E51、G52、L53、S54、A55、R56、T57、T58、N59、I60、D61、D62、P63、T64、D64、P66、R67、L68、N69、G70、A71、S72、Y73、S76、C77、L78、A79、T80、L82、P83、L84、D85、L86、V87、N94、D95、T96、K97、Y99、F100、R101、R102、P104、L105、D106、I107、A108、L109、G110、M111、S112、V113、L114、V115、T116、Q117、V118、L119、T120、S121、A122、G124、V125、G126、T127、T128、Y129、P146、P148、W149、F150、I153、F154、I194、及びF196.から選択されるアミノ酸の置換のいずれか一つ又はいずれかの組合せを含む。
いくつかの実施態様では、このペルヒドロラーゼ酵素はSEQ ID NO:1で表されたM.スメグマチスペルヒドロラーゼアミノ酸配列の位置に相当する1以上のアミノ酸の位置で以下の置換の1以上を含む。L12C、QまたはG;T25S、G又はP;L53H、Q、G又はS;S54V、A、L、P、T又はR;A55G、又はT;R67T、Q、N、G、E、LまたはF;K97R;V125S、G、R、A、またはP;F154Y;F196G。
いくつかの実施態様では、このペルヒドロラーゼ酵素はSEQID:NO:1で表されるM.スメグマチスペルヒドロラーゼアミノ酸配列のアミノ酸位置に相当するアミノ酸の位置でアミノ酸置換の組合せを含む。:L12IS54V;L12MS54T;L12TS54V;L12QT25SS54V;L53HS54V;S54PV125R;S54VV125G;S54VF196G;S54VK97RV125G;またはA55GR67TK97RV125G。
本発明のアシル基転移酵素の変異種を生成するために適したいくつかの方法が知られている。この方法には、部位飽和変異誘発(site-saturation mutagenesis)、系統的変異導入法(sacnning mutagenesis)、挿入変異誘発(insertional mutagenesis)、ランダム変異誘発(random mutagenesis)、部位特異的変異誘発(site-directed mutagenesis)、部位特異的進化(directed-evolution)のほか、種々の他の組み換えの方法等が非限定的に含まれる。
いくつかの実施態様では、本発明に関し有用なアシル基転移酵素は、SGNH-加水分解酵素ファミリーのタンパク質に属する、操作を受けた変異種を含む。いくつかの好ましい実施態様では、この操作されたタンパク質は以下の保存残基の少なくとも一つ又はそれらの組合せを含む。:L6、W14、W34、L38、R56、D62、L74、L78、H81、P83、M90、K97、G110、L114、L135、F180、G205。別の実施態様では、これらの操作されたタンパク質はGDSL-GRTT及び/またはARTTの特徴的配列を含む。さらなる実施態様では、この酵素は二量体、八量体及び四量体を非限定的に含む多量体である。さらに追加の好ましい実施態様では、この操作を受けたタンパク質は約1:1、2:1、5:1またはさらに10:1より大きいペルヒドロリシス対加水分解の比率を示す。
アシル基転移酵素のアミノ酸残基は、M.スメグマチスアシル基転移酵素の特異的残基又はその残基の部位と相同(つまり、一次及び/又は三次構造に対応する位置をもつ)または類似である(つまり、結合し、反応し及び/又は化学的に相互作用する同一又は類似の性能をもつ)場合、M.スメグマチスアシル基転移酵素の残基と等価である。
いくつかの実施態様では、一次構造の相同性を決めるために、アシル基転移酵素のアミノ酸配列は直接にM.スメグマチスアシル基転移酵素の一次配列及び特に配列が既知である全てのアシル基転移酵素において不変であることが知られている一組の残基と比較を受ける。この保存された残基を位置あわせをし、この位置あわせを維持するために必要な挿入と削除を特定した(つまり、随意の削除と挿入による保存残基の除去を避ける)後、M.スメグマチスアシル基転移酵素の一次配列における特定のアミノ酸に相当する残基が決定される。好ましい実施態様では、保存残基の位置あわせによりそのような残基が100%保存される。しかし、75%より大きいまたは50%ほどの小さい保存残基の一致もまた相当する残基を決めるために適当である。好ましい実施態様では、触媒機能のあるセリンとヒスチジン残基が保存されている。
保存残基は、他のアシル基転移酵素(例.他のマイコバクテリウム属の種及び他のいずれの生物由来のアシル基転移酵素)中のM.スメグマチスアシル基転移酵素の対応する等価のアミノ酸を決めるために使用される。
いくつかの実施態様では、M.スメグマチスアシル基転移酵素の以下の残基が修飾されている。:Cys 7、Asp10、Ser11、Leu12、Thr13、Trp14、Trp16、Pro24、Thr25、Leu 53、Ser54、Ala55、Thr64、Asp65、Arg67、Cys77、Thr91、Asn94、Asp95、Tyr99、Val125、Pro138、Leu140、Pro146、Pro148、Trp149、Phe150、Ile153、Phe154、Thr159、Thr186、Ile192、Ile194及びPhe196。しかし、本発明がこれらの位置で修飾される配列に限定されることは意図していない。実際、本発明は種々の修飾と修飾の組合せを含むことを意図している。
いくつかの実施態様では、置換、挿入又は欠失が確認される残基のいくつかは保存残基であり、他はそうではない。本発明のアシル転移突然変異種はシグナル配列を含む核酸によりコードされたものを含む、種々の突然変異種を含む。いくつかの実施態様では、そのような配列によりコードされたアシル基転移酵素突然変異種は発現宿主により分泌される。いくつかの他の実施態様では、この核酸配列は分泌シグナルをもつ相同体を含む。
野生型及び突然変異タンパク質の特徴づけは適当ないずれかの方法で達成され、好ましくは関心のある性質の評価に基づく。例えば、pHと/または温度安定性は、洗剤と/または酸化安定性と同様、本発明のいくつかの実施態様で決定される。実際、これらの特性(pH、温度、タンパク質分解に対する安定性、洗剤に対する安定性、及び/または酸化安定性)の一以上において種々の程度の安定性をもつ酵素は使用されるであろう。さらに他の実施態様では、低い過酸分解活性をもつアシル基転移酵素が選択される。

3. 他の酵素
M.スメグマチス由来のアシル基転移酵素(Ms AcT)は安定な組成物の一つの好ましい実施態様で使用されるが、過酸化水素存在下でエステル基質を大部分過酸に転換するいずれかの起源から得られるいずれかのペルヒドロラーゼ酵素は本発明で使用できる。好ましい実施態様では、この酵素は約2:1、5:1またはさらに10:1より大きいペルヒドロリシス対加水分解の比を示す。従って、過酸対酸の比は約2:1、5:1またはさらに10:1よりも大きく、生じた過酸の水溶液のpHは比較的低く状態を維持し、例えば約pH10未満、約pH9.0未満、約pH8.5未満、約pH8.0未満又は約pH7.5未満である。
アシル基転移酵素に加え、種々の加水分解酵素は本発明の組成物において酵素として有用なペルヒドロラーゼ活性をもつ。例えば、本発明で有用な加水分解酵素は;エステル結合に作用するカルボン酸エステル化加水分解酵素、チオエステル加水分解酵素、リン酸モノエステル加水分解酵素、リン酸ジエステル加水分解酵素;エーテル結合に作用するチオエーテル加水分解酵素;及びペプチド結合に作用するα-アミノ-アシル-ペプチド加水分解酵素、ペプチヂルアミノ酸加水分解酵素、アシル-アミノ酸加水分解酵素、ジペプチド加水分解酵素及びペプチジル-ペプチド加水分解酵素を非限定的に含む。そのような加水分解酵素は、それのみでまたは、MsAcTまたは別のペルヒドロラーゼと組み合わせて使用される。その中で好ましいものはカルボン酸エステル加水分解酵素とペプチジル-ペプチド加水分解酵素である。
他の適した加水分解酵素は:(1)ペプチジル-ペプチド加水分解酵素のクラスに属するプロテアーゼ(例.ペプシン、ペプシンB、レニン、トリプシン、キモトリプシンA、キモトリプシンB、エンテロキナーゼ、カテプシンC、パパイン、キモパパイン、フィシン、トロンビン、フィブリノリジン、レニン、スブチリシン、アスペルギロペプチダーゼA、コラーゲナーゼ、クロストリジオペプチダーゼB、カリクレイン、ガストリシン、カテプシンD、ブロメリン、ケラチナーゼB、キモトリプシンC、ペプシンC、アスペルギロペプチダーゼB、ウロキナーゼ、カルボキシペプチダーゼA及びB、及びアミノペプチダーゼ);(2)カルボキシルエステラーゼ、リパーゼ、ペクチンエステラーゼ及びクロロフィラーゼ等のカルボン酸エステル加水分解酵素;及び(3) 高いペルヒドロシス対加水分解の比率をもつ酵素を含む。これらの中で特に、リパーゼ、高いペルヒドロリシス対加水分解の比率を示すエステラーゼ、及び本発明のペルヒドロラーゼの一次、二次、三次及び/または四次の構造的特徴を用いてタンパク質工学上の操作を受けたエステラーゼ、クチナーゼ及びリパーゼは効果が高い。
加えて、本発明の安定な組成物は別の酵素を含み得ることが意図されている。酵素の組合せ使用することにより、必要な化学物質の量を同時に減少できることが意図されている。追加する酵素は、微生物の細胞壁を分解し、かつ糖タンパク質を分解する酵素、リゾチーム、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシリナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、還元酵素、酸化酵素、フェノール酸化酵素、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、エンドグルカナーゼ、PNGアーゼ、アミラーゼ等、及びこれらの混合物を非限定的に含む。いくつかの実施態様では、酵素の安定化剤が安定な組成物中に含まれても良い。
本発明を過酸化水素を生成するいずれか特定の酵素に限定することは意図していない。H2O2と酸を生成するいずれかの酵素は適した基質と併せて本発明の方法で使用できるからである。例えば、酪酸と酸素からH2O2を生成することが知られているラクトバシラス属(Lactobacillus)の種由来のラクテート酸化酵素は本発明に関し使用される。実際、本発明の方法の長所は酸の生成が塩基性の溶液のpHを低下させ過酸が漂白において最も効果的であるpHの範囲(pKa値かまたは、それ未満)にすることである。
過酸化水素を生成できる他の酵素(例.アルコール酸化酵素、エチレングリコール酸化酵素、グリセロール酸化酵素、アミノ酸酸化酵素等)も、本発明のアシル基転移酵素または他のペルヒドロ酵素と組み合わせてエステル基質とともに過酸を生成するために使用できる。過酸化水素を生成せずに基質から酸を生成する酵素も本発明で使用できる。このような酵素の例は、プロテアーゼを非限定的に含む。従って、本明細書で記載されているとおり、本発明は、汚染除去調合剤と使用のため現在使用されている方法と組成を上回る明確な長所及び種々の他の用途を提供する。
加えて、アルドース酸化酵素(IUPAC 分類EC1.1.3.9)、ガラクトース酸化酵素(IUPAC分類EC1.1.3.9)、セロビオース酸化酵素(IUPAC分類 EC1.1.3.25)、ピラノース酸化酵素(IUPAC分類EC1.1.3,10)、ソルボース酸化酵素(IUPAC分類EC1.1.3.11)及び/またはヘキソース酸化酵素(IUPAC分類EC1.1.3.5)、グルコース酸化酵素(IUPAC分類EC1.1.3.4)及びそれらの混合物からなる群から選択された炭水化物酸化酵素等の酸化酵素が本発明で使用される。
実際、いずれの適した酸化酵素も以下の式に従う本発明で使用できる。
酵素+還元を受ける基質→酸化を受ける基質+H2O2
4. 過酸化水素源
本発明は過酸化水素源を含む安定な組成物を提供する。いくつかの実施態様では、過酸化水素源は水へ加えられたとき過酸化水素を生成する固体化合物である。そのような化合物は種々の無機または有機化合物と過酸化水素の付加物を含み、その中で、炭酸ナトリウムペルヒドレート、又は過炭酸ナトリウムとも呼ばれるものが最も広く使用される。
無機ペルヒドレート塩は過酸化水素源の一つの好ましい実施態様である。無機ペルヒドレート塩の例は、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩を含む。この無機ペルヒドレート塩は普通アルカリ金属塩である。
本発明の組成物で有用な他の過酸化水素付加物は、ゼオライトと過酸化水素の付加物または尿素過酸化水素を含む。
この過酸化水素源の化合物は、追加の保護物質を含まない結晶性及び/又は実質的に純粋な固体として含まれえる。しかし、あるペルヒドレートの塩については、そのような顆粒の組成物の好ましい実施は、顆粒製品中のペルヒドレート塩のためより良い貯蔵安定性を与える物質の皮膜された形態のものを用いる。適した皮膜はケイ酸、炭酸又はホウ酸のアルカリ金属塩、またはそれらの混合物のような無機塩、またはロウ、オイルまたは脂肪酸石鹸のような有機物質を含む。
いくつかの実施態様では、本発明は過酸化水素源が酵素的過酸化水素生成系である安定な組成物を与える。ある好ましい実施態様では、この酵素的過酸化水素生成系は酸化酵素とその基質を含む。適した酸化酵素は、:グルコース酸化酵素、ソルビトール酸化酵素、ヘキソース酸化酵素、コリン酸化酵素、アルコール酸化酵素、グリセロール酸化酵素、コレステロール酸化酵素、ピラノース酸化酵素、カルボキシアルコール酸化酵素、L-アミノ酸酸化酵素、グリシン酸化酵素、ピルベート酸化酵素、グルタメート酸化酵素、サルコシン酸化酵素、リジン酸化酵素、ラクテート酸化酵素、バニリル酸化酵素、グルコレート酸化酵素、ガラクトース酸化酵素、ウリカーゼ、オギザレート酸化酵素、キサンチン酸化酵素を非限定的に含む。
いくつかの実施態様では、この過酸化水素生成化合物と酵素系はその実質的に純粋な形態で安定な組成物に加えることができる。別の実施態様では、これらは界面活性剤、金属イオン遮蔽剤、ビルダー、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、加工用添加剤又はいずれか他の既知の洗浄剤組成物の成分、殺菌剤組成物、消毒剤組成物又は漂白用添加剤のような他の化合物と組み合わされても良い。ある実施態様では、この安定な組成物は洗剤を含む。
本発明の安定な組成物中で過酸化水素源として有用な他の化合物と酵素系はU.S.S.N.10/581,014に記載されているものを非限定的に含み、これは引用により本明細書に含められる。

5. エステル基質と過酸
本発明の安定な組成物を過酢酸のみを生成する成分に限定することは意図していない。安定な組成物はまた、洗浄、消毒及び汚染除去に有用な広い範囲の過酸のいずれかを産生するように調製されても良い。
過ノナン酸を、長鎖の脂肪酸(つまり、C10-C18)またはそれより長鎖のものから作られる過酸と同様に、本発明の教示に従い調製されるオールインワン(All-In-One)組成物から発生させても良い。いくつかの好ましい実施態様では、過酸は過酢酸、過プロピオン酸、過ブタン酸、過ペンタン酸、過ヘキサン酸及び過ノナン酸から選択される。
本発明に従い、水に加えたとき特定の過酸化合物を生成する安定なオールインワン組成物は、酵素的転換時に所望の過酸となるエステル基質の使用を要する。従って、いくつかの実施態様では、このエステル基質は:酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ノナン酸、ギ酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸からなるリストから選択される酸の安定なエステルである。別の実施態様では、トリアセチン、トリブチリン、ネオドールエステル、及び又はエトキシル化されたネオドールエステルが過酸形成のエステル基質として使用できる。例えば酢酸エステル基質の例としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、トリアセチン(1,3-ジアセチロキシプロパン-2-イルアセテート)、とプロピレングリコールジアセテートを非限定的に含む。
好ましい実施態様では、このエステル基質は酵素的変換により所望の過酸となる酸の安定なアルコールエステルである。従って、ある好ましい実施態様では、このエステル基質は、いずれかのポリ-アルコールエステル化合物、例えば、PGDAのようなポリ-オールジエステルである。別の好ましい実施態様では、このエステル基質はジオール-ジエステル化合物である。
本発明の組成物で有用なペルヒドロラーゼ酵素(例.アシル基転移酵素)の広い範囲のエステル基質はWO05/056782に開示され、引用により本明細書全てを組み入れる。
本発明の安定な組成物で有用なエステル基質は固体または液体形態である。一般的に、このエステル基質は、乾燥しているかこの組成物の酵素成分を活性化できる水を実質的に含まない。好ましい実施態様では、このエステル基質は重量で約5%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.1%未満、またはさらに低いパーセンテージの水しか含まない。
いくつかの実施態様では、このエステル基質は室温で安定な液体、例えば、プロピレングリコールジアセテート(PGDA)である。いくつかの実施態様では、このエステル基質は安定な液体であり、その中には安定な組成物の酵素及び過酸化水素源成分は溶解しない。好ましい実施態様では、このエステル基質は実質的に水を含まず、そのため使用前に組成物中の酵素及び/又は過酸化水素源のいずれの活性化も最小限にする。

6. 補助物質と追加成分
本発明の調合剤に追加成分を使用できる。本発明の調合をそのように限定する意図はないが、種々の成分が本明細書に述べられている。実際、そのような成分は本発明の目的に必須ではないが、この後に説明される補助物質の非限定的なリストはこの組成物での使用に適している。そして、例えば、洗浄性能を補助又は増強するため、洗浄を受ける物質の処理のため、または香料、着色料、染料等の場合のように洗浄剤組成物の美観を修飾するためにこの発明のある実施態様に組み入れることが望ましいであろう。そのような補助物質は本発明の酵素、過酸化水素及び/または過酸化水素源及びエステル部位を含む物質に加えられることが理解されるべきである。これらの追加成分の正確な性質、組み入れられる含量はこの組成物の物理的形態と追加成分が使用される洗浄操作の性質により変わる。適した補助物質は界面活性剤、ビルダー、キレート剤、染料移転防止剤、沈降助剤、分散剤、腐食防止剤、追加の酵素及び酵素安定化剤、触媒物質、漂白活性剤、漂白増強剤、予め調製された過酸、ポリマー性分散剤、粘土汚れ除去剤/再付着防止剤、蛍光剤、発泡抑制剤、染料、香料、構造弾性化剤、担体、ヒドロトープ、加工助剤及び/又は色素を非限定的に含む。下記の開示に加え、そのような他の補助物質と使用量の適当な例は米国特許第5,576,282号、第6,306,812号及び6,326,348号に見出され、引用により本明細書に組み入れられる。先に述べた補助原料は本発明の洗浄剤組成物の残余部分を構成する。
いくつかの実施態様では、本発明の酵素系はさらに汚染除去が終わった後、残存する過酸と/またはH2O2を除去する酵素を含む。そのような酵素はカタラーゼ及び/または加水分解酵素を非限定的に含む。
本発明が広いpHと温度にわたり効果的な洗浄、漂白及び消毒の手段を提供することは重要である。いくつかの実施態様で、この過酸生成で利用されるpH範囲は4-12である。いくつかの別の実施態様では、使用される温度範囲は約5℃と約90℃の間である。本発明は中性pH、酸性pH及び低温で漂白を行うほか、漂白が過酸酸化の最適pHで可能である点で現在使用されている系(例えば、EP 出願87-304933.9参照)より優れている。

IV.過酸溶液を生成するための安定な組成物の調製と使用
本発明の安定な組成物の一つの重要な優位点は、それらが、全ての原料が1容器に入っているという「オールインワン」調合剤であることである。これらの安定なオールインワン調合剤は適した容器または入れ物の中で単に原料(例.酵素、過酸化水素源、及びエステル基質)を併せることにより容易に調製できるという優位性をももっている。この原料を混ぜる順序は、特に重要ではなく、一般的に種々の原料を続いて加えることができる。
いくつかの実施態様では、この組成物の原料の全ては混合により単に併せられた固体である。他の実施態様では、原料の少なくとも一つは、通常エステル基質が、液体であり、調製は乾燥した固体をその液体中で混合することによる。
好ましくは、安定な組成物は固体の酵素と過酸化水素を生成する化合物を使用しそれらを混合し、そうして、それらは液体の基質エステル化合物中に懸濁される。一つの好ましい実施態様では、本発明の安定な組成物はアシル基転移酵素、過酸化水素源、及び液体エステル基質、PGDAを含む。
一実施態様では、この固体原料は併せられて「固体調合剤」(例.アシル基転移酵素+過炭酸)となり、次に液体エステル基質に加えられ、懸濁液を形成する。例えば、本明細書、実施例9に開示されたオールインワンの調製を参照せよ。
ある好ましい実施態様では、安定な組成物の固体原料はそのままの状態で使用される。例えば、過炭酸ナトリウムの顆粒または粉末(つまり、購入した試薬ビンから取り出し、そのまま)はアシル基転移酵素の未精製固体または顆粒と容器内で併され、次に懸濁液を生成するために液体PGDAに加えられる。別の実施態様では、この固体原料は互いに混合される前、又はいずれかの液相に加えられる前に、処理を受けることができる。そのような処理の例は、貯蔵中に活性を生じないように、または水に加えた後に時間をかけてゆっくりした放出を行うために酵素顆粒と/または過酸生成化合物のカプセル充填を含み得る。
一般的に、この組成物の安定性は、使用前の基質のいかなる酵素的変換、及び/又は過酸化水素の生成の防止により大きく変わる。組成物原料の全てが固体状態である実施態様では、これは、主に混合した原料を乾燥した状態に保ちまたは実質的に水を含まない状態(つまり、重量で約2%、1%、または0.5%の水)に保つことにより達成される。酵素活性及び/又は過酸化水素生成を可能にする比較的少量の水すらこのオールインワン組成物の安定性を最大化するために避けるべきである。その結果、いくつかの実施態様では、この安定な組成物は、さらに乾燥剤または乾燥試薬(例.ゼオライト化合物、モレキュラーシーブ等)を含む。
ある実施態様では、この酵素は顆粒の形態でまたは酵素含有未精製抽出液のスプレードライコーティングの形態でこの安定な組成物へ組み入れられる。他の実施態様では、この組成物で使用される酵素は実質的に相当に精製され、顆粒化され、噴霧乾燥され、凍結乾燥され又は乾燥固体形態である。いくつかの実施態様では、酵素保護剤及び溶解遅延物質(つまり、使用中に顆粒の溶解を調節する物質)を含むように調合された酵素顆粒が使用される。
本発明は、乾燥酵素顆粒又は過酸化水素源化合物の乾燥した調合剤を作る方法のいくつかと組み合わせて使用できる。例えば、中でも、化合物の米国特許第5,324,649号(引用により本明細書に組み入れられる)に述べられたEnzoguard(登録商標)(Genencor International Inc.,Rochester, ニューヨーク州)または、Savinase顆粒(Novo Nordisk, Denmark)。本発明の組成物を調製するため使用できる酵素または他の化合物の乾燥調合法の他の例は、米国特許第4,106,991号、第4,689,297号、第5,814,501号、第5,879,920号、第6,248,706号、第6,413,749号、第6,534,466号、又はPCT公開WO97/12958、WO99/32613、WO01/29170に開示されている方法、及び“Enzymes in Detergency”、Jan H. van Ee、ら編、第15章、310-312ページ(Marcel Dekker, Inc., New York, ニューヨーク州.(1997))に述べられている技術を含む。これらのそれぞれは、引用により本明細書に組み入れられる。
この安定な組成物で使用される過酸化水素源とエステル基質の量は酵素及び使用される具体的化合物及び過酸の最終濃度により変わる。一般的に、過酸の酵素的生成は等量の過酸化水素と対応するエステル基質化合物を必要とする。従って、ある好ましい実施態様では、過酸化水素源と基質のそれぞれの重量パーセンテージは具体的化合物の式量により決まり、等モル量の過酸化水素と基質が存在するように選択される。
酵素は目的に従い必要とされる量で組成物へ組み入れられる。一般的に、酵素は好ましくは0.00001から5重量パーセントで、より好ましくは0.02から3重量パーセントで組み入れられるべきである。未精製の酵素が使用される場合、この顆粒は精製された酵素が顆粒中に0.001から50重量パーセントになる量で安定な組成物に加えられる。酵素純度が増大するにつれ、重量で比較的少量が使用される。顆粒は0.002から20、及び好ましくは0.1から10重量パーセントの量で使用される。結局、酵素の具体量は、ある程度まで特定の過酸の用途のための特定の酵素の実験的に決定された活性により変わるであろう。
例えば、ある好ましい実施態様では、この安定な組成物はM.スメグマチス由来のアシル基転移酵素(MsAcT)、過炭酸ナトリウム及びプロピレングリコールジアセテート(PGDA)を含み、ここで酵素と過炭酸は液体PGDAに懸濁された固体であり、水に加えると、安定な組成物は重量で少なくとも約0.16%の過酢酸溶液を生成できる。この組成物により生成されるPAA対酢酸の高い比率のため、重量で0.16%のPAA水溶液は約8.6のpHをもつ。いくつかの実施態様では、水の中でこの組成物のより長い混合/反応時間は、比較的低いpHで(例.約pH8.0)ずっと高水準のPAAになりうる(例.重量で0.18%)。
この実施態様では、この組成物は酵素と過炭酸の乾燥調合剤を液体PGDAに混合して加えることにより調製される。この得られた安定な組成物は好ましくは以下を含む懸濁液である。:重量で約0.001%から約1%のMsAcT、重量で約35%から約45%の過炭酸ナトリウム、重量で約65%から約55%のプロピレングリコールジアセテート。この懸濁液の安定性は、少なくとも7日間、約14日間、約30日間、約60日間またはそれより長期間、周囲の温度でこの組成物を使用前に貯蔵しても、設定量の水の中で生成する過酢酸の重量パーセントが、大きく減少しないという事実により実証される。
水溶液を調製するための本発明の安定な組成物の使用は、簡単である。:単に適量の水にこの組成物を加え、撹拌するだけである。一般的に、精製された(例.MilliQ water)、蒸留滅菌され、かつ/または脱イオン化された水のみが使用される。従って、本発明は、またこの安定な組成物を水に加え、少なくとも約30分、20分、15分、10分、5分またはさらに短い時間混合することを含む過酸溶液を調製する方法も提供する。いくつかの実施態様では、調製法は、(a) ペルヒドロラーゼ活性をもつ酵素(前記活性は少なくとも2:1のペルヒドロリシス対加水分解の比率);過酸化水素源;及びエステル基質を含む安定な組成物を提供する工程、及び(b)前記組成物を水に加え、少なくとも20分間混合し、それにより重量で少なくとも約0.16%の過酢酸の水溶液であって、約9.0より低いpHの水溶液を生成させる工程を含む。ある実施態様では、この組成物と水はpHを緩衝できる他の原料を含んでいない。
好ましい実施態様では、調製方法は以下を含む:(a)アシル基転移酵素、過酸化水素源及びプロピレングリコールジアセテートを含む安定な組成物を供給する工程、及び(b) 前記組成物を水に加え少なくとも20分間混合し、それにより重量で少なくとも約0.16%の過酢酸の水溶液を生成する工程。
精製水に加え、安定な組成物は高いパーセンテージの水(例.約85%より多いまたは約95%より多い水)及び低いパーセンテージの水(例.約85%未満)を有する水系等の種々の水系で使用できる。安定な組成物が緩衝水溶液、及び/又は界面活性剤、洗浄剤組成物、または洗剤調合剤のような他の原料を含む溶液に加えられる別の実施態様が意図されている。そのような実施態様では、水溶液に含まれる他の原料は、過酸生成酵素の触媒的活性に影響を及ぼしえる。安定な組成物の使用に関連する酵素濃度、撹拌時間、温度、及び/または他の変動因子の調整は、本技術分野に属する通常の技術者の知識の範囲内であり、彼らにより実験的に決定されえる。
一般的に、本発明のこの安定な組成物は約18℃から約25℃、または約20℃から約22℃の通常の周囲温度で水に加えることにより使用されることが意図されている。いくつかの用途では、しかし、より低い又は高い温度でこの安定な組成物を使用することがこのましいかもしれない。この安定な組成物は広い温度範囲にわたる機能できる(例.約5℃から約90℃;約16℃から約60℃;及び約20℃から約37℃)一般的に、機能温度範囲はこの酵素が十分な活性を維持できる性能により決定される。従って、一実施態様では、本発明は高い熱的安定性をもつ野生型又は操作された酵素を含む安定な組成物を意図している。
さらに、本発明はこの安定な組成物の実施態様に基づく水溶液中の過酸を生成する系と用具一式を与える。例えば、ある実施態様では、本発明は水溶性の容器中に本発明の安定な組成物のいずれかを含む系であって、水溶液中に過酢酸を生成する系を与える。いくつかの実施態様では、この容器は水溶性ポリマーから形成され、好ましくはポリビニルアルコールポリマーから形成される。一般的には、水溶性の容器はいずれの形態でも良く、好ましくは小袋、アンプル又は球のいずれかの形態であり得る。ある好ましい実施態様では、水溶性容器はポリビニルアルコールフィルムを含む小袋である。

V.水溶性容器
本発明の安定な組成物を放出するために有用な水溶性の容器は、水溶性熱可塑性樹脂から作られた小袋、カプセルまたは他のブロー成型品、射出成型アンプル、又は他の射出成型品、または回転成型された球又はカプセルの形態であり得る。
容器を成型するために有用な水溶性プラスチックは、低分子量及び/または化学に修飾されたポリラクチドを含む。;そのようなポリマーはHEPLONTM(Chronopol, Inc.)の名称で生産され、販売された。
一実施態様では、本発明に関し有用なこの水溶性容器は溶融加工可能なポリビニルアルコール樹脂(PVA)を含む。そのような樹脂はVINEXTM;(Texas Polymer Service, Inc.)及びMONOSOLTMフィルム(Chris Craft Film)を含む。PVA樹脂いずれの製品も組み合わせも使用できる。そのような水溶性ポリマーは例えば米国特許第6,956,070号、第7,022,656号、及び第7,067,575号に記載され、それらのいずれも本明細書に引用により組み入れられる。
典型的な樹脂の性質は
1.ガラス転移温度(℃)=28から38;好ましくは28から33。
2.重量平均分子量(Mw)=15,000から95,000、好ましくは55,000から65,000。
3.数平均分子量(Mn)=75,00から60,000;好ましくは27,000から33,000。
ある実施態様では、使用されるポリ(ビニル)アルコール樹脂はMONOSOLTM 7030又はMONOSOLTM 8630である。
ブロー成型されたカプセルは、約50,000から約70,000の分子量及び約28から約33℃のガラス転移温度をもつポリビニルアルコール樹脂から成型できる。ペレット化された樹脂とコンセントレート(concentrate)は押出機へ供給される。それらが供給される押出機は円形、楕円形、正方形または長方形のダイと適当な心棒を備えている。溶融ポリマーの塊はダイを出て、ダイ/心棒の組合せの形を帯びる。押出された樹脂が一対の分かれた型と接触する間、空気が押し出された樹脂の内部に吹き込まれる。この型が、容器の最終の形を決める。型の中で、この容器は適量の液体が満たされる。この型はプラスチックを冷却する。この液体はブロー成型された容器の内部に含まれる。
射出成型アンプル又はカプセルは約50,000から約70,000の分子量と約28℃から38℃のガラス転移温度をもつポリ(ビニル)アルコール樹脂から成型される。ペレット化された樹脂とコンセントレートが往復型スクリュー、射出成形機の首に供給される。スクリューの直径が大きくなるにつれこのペレットを圧縮し、機械の加熱した円筒部(バレル)に接触させる間、スクリューが回転しペレット化された樹脂を前に押し出す。ペレットが前に押し出される間、バレルによりペレットに伝導される熱、回転するスクリューとペレットの接触により生じる摩擦熱が加わってペレットを溶融する。スクリューが回転しこの機械の後部に押し込められるときに、溶融されたポリマーの塊はスクリューの前に集まる。適当な時点で、このスクリューは前に進み溶融したペレットにこの機械の先端にあるノズルを通過させ、金型又はいくつかの金型を提供するホットランナーシステムに入れる。金型は最終容器の形状を決める。この容器は、金型にある間又は金型から取り出された後に、液体が充填される。充填が終了した後、この容器の充填口は加熱密封される。この工程は連続生産ライン上で、又は生産ラインと離れて行うことができる。
回転成型球又はカプセルは約50,000から約70,000の分子量と約28から38℃のガラス転移温度をもつポリ(ビニル)アルコール樹脂から成型される。ペレット化された樹脂とコンセントレートは、適当なメッシュサイズ、通常35メッシュに粉末化される。特定の重量の粉末化された樹脂は所望の形状と容量をもつ冷たい金型へ供給される。3方向に同時に回転しながらこの金型は密封され加熱される。この粉末は溶融し、金型の内部表面全体を皮膜する。連続的に回転している間、この金型は冷却され、この樹脂は金型の大きさと手触りを複製する形状になるように固化する。最終容器の排出後、液体が加熱された針又は探針を使用して空の容器に注入され、この容器の注入口は加熱密封される。
本発明の水溶性容器に関し有用な他の適した樹脂は、ポリエチレンオキサイド(例.POLYOXTM;Union Carbide,Inc.)とセルロース由来の水溶性炭水化物(例.METHOCEL TM;Dow Chemical, Inc.)である。通常、セルロース由来の水溶性ポリマーは容易に、溶融加工をすることはできない。
いくつかの実施態様では、水溶性の容器は小袋である。ある特に好ましい実施態様では、この小袋はPVAフィルムから成型される。そのようなPVAフィルムの小袋は市販されている(Solupak, Ltd.,UK)。
一般的に、本発明に関し有用なPVAフィルムの小袋は、市販品を購入しても良く(例.Solupak,Ltd.,UK)、または本技術分野で良く知られているポリマーフィルム製造技術を用いて製造されても良い。例えば、ペレット化された、予め乾燥された溶融加工可能なPVA樹脂は、フィルム押し出し機へ供給される。この原料はPVA担体樹脂を使用する予め乾燥された着色コンセントレートも含んでよい。同様に調整された他の添加物、例えば、酸化防止剤、UV安定化剤、固化防止添加剤等が押し出し機に加えられても良い。この樹脂とコンセントレートは押し出し機の中で溶融混合される。この押し出し機のダイはブローフィルム製造用の円形ダイ又はキャストフィルム用のコートハンガーダイからなる。円形ダイは外観及び/又は性質を修飾するため回転するダイリップ及び/または心棒を有しても良い。
本発明の水溶性小袋に有用な通常のPVAフィルムの性質は、
1. 引張強度(125mil、破断、50%RH)=4,700から5,700 psi
2. 引張弾性率(125mil、50%RH)=47,000から243,000 psi:好ましい範囲は140,000から150,000psi
3. 引裂き強度(平均)(ASTM-D-199 gm/ml)=900-1,500
4. 耐衝撃(平均)(ASTM-D-1709,gm)=600-1,000
5. 100%伸び(平均)(ASTM-D-882,psi)=300-600
6. 酸素透過(1.5mil,0%RH,1気圧)=0.0350から0.450 cc/100sq.in/24
7. 酸素透過(1.5mil,50%RH,1気圧)=1.20から1.50cc/100sq.in/24h
8. 100%弾性率(平均)(ASTM-D-882、psi)=1000-3000
9. 溶解性(sec)(MSTM−205, 75°F) 分解=1-15;溶解=10-30
押し出されたフィルムは適当な幅で切断され、芯に巻き取られる。各芯は一巻のフィルムを有す。切断されたフィルムの数巻きは縦型充填密封機(VFFS)又は水平型、充填、密封機(HFFS)に供給される。この成型、充填、密封機(FFS)はフィルムから適当な小袋の形状(筒型、四角、ピロー、楕円等)を作り縦に端の封をする(機械方向の封)。FFS機はまた、末端の封(横方向の封)をし、最初の横方向封の上へ適量の非水液体を満たす。このFFS機は次に別の端の封を行う。この液体は二つの端の封の間の容量に入れられる。
一実施態様では、この使用されるPVAフィルムは、約55,000から65,000の平均分子量幅、役27,000から約33,000の数平均分子量幅のMONOSOLTMである。

VI.用具一式
本明細書に記載されている安定な組成物は、種々の用具一式の包装に特に適している。一実施態様では、本発明は、予め秤量された量の本明細書に記載された安定な組成物のいずれかを含む汚染除去用用具一式を提供する。ここでこの安定な組成物はペルヒドロラーゼ酵素、過酸化水素源、エステル基質を含み、この安定な組成物の量は、適した包装の中で、一定量の水に加えられたとき重量で少なくとも約0.16%の過酢酸の水溶液を生成する。いくつかの実施態様では、この用具一式はさらに本明細書に述べられたような汚染除去の方法におけるこの安定な組成物の使用に関する指図を含む。指図は印刷物又はフロッピーディスク、CD又はDVDのような電子媒体の形態、またはそのような指図が得られるウェブサイトのアドレスの形態で提供されても良い。
一の好ましい実施態様では、この安定な組成物は水溶性密封容器に入れて提供される。ある好ましい実施態様では、この用具一式の水溶性容器は、水溶性熱可塑性樹脂から成型される小袋、カプセル、アンプル、球の形態をしている。いくつかの実施態様では、この水溶性密封容器はポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、セルロースから誘導される水溶性炭水化物、及びポリアクチドからなる群から選択される水溶性ポリマー物質から作られる。ある好ましい実施態様では、この水溶性容器の用具一式はポリビニルアルコールフィルムから作られる小袋である。
この用具一式の一実施態様では、用具一式はさらに前記の設定量の水の少なくとも二倍を保持するに十分な容量をもつ混合容器を含む。この実施態様では、混合容器は、任意に滅菌を受け、任意にこの安定な組成物とともに容器に磁石の回転子を含む、使い捨てのバケツ又はビーカーである。
ある実施態様では、この安定な組成物を含む密封された容器はこの用具一式の混合容器の中に包装される。従って、そのような用具一式の使用は撹拌しながら混合容器に水を加えることのみを必要とする。
別の実施態様では、この用具一式はさらに密封容器に一定量の水を含む。一実施態様では、この密封容器の水は滅菌される。一実施態様では、この用具一式は第一の密封容器に安定な組成物を含み第二の密封容器に水を含む。
別の実施態様では、この用具一式は、撹拌器具(例.スプーン、又は類似の器具)、及び/または磁気回転子を包装しているが、この密封した容器の外にある。別の実施態様では、この用具一式はさらに使用後に過酸溶液を中和する組成物を含む別の包装を含む。

VII.殺菌、消毒及び/または汚染除去の方法と用途
本発明のこの安定な組成物は(及びこれらの組成物を含む関連する系と用具一式)は製品の汚染除去、消毒、及び/又は殺菌のある範囲の方法で使用できる。
いくつかの実施態様では、本発明の汚染除去の方法は、:(a)ペルヒドロラーゼ活性をもつ酵素を含有する安定な組成物、前記活性は少なくとも2:1のペルヒドロリシス対加水分解比率を有し;過酸化水素源;及びエステル基質を与え、及び(b)前記組成物を水に加え少なくとも20分間撹拌し、それにより重量で少なくとも約0.16%の過酢酸の水溶液であって、約9.0未満のpHを有する水溶液を生成し、そして(c)前記溶液に汚染を含む物品を晒す、ことを含む。
ある好ましい実施態様では、本発明の汚染除去の方法は、:(a)アシル基転移酵素、過酸化水素源及びプロピレングリコールジアセテートを含有する安定な組成物を与え;(b)前記組成物を水に加え少なくとも約20分間混合し、それにより重量で少なくとも約0.16%の過酢酸の水溶液を生成し;及び(c)汚染物質を含む物品を前記溶液に晒すことを含む。溶液を調製する方法のいくつかの実施態様では、与えられたこの安定な組成物は、重量で約0.001%から約1%のMsAcT、重量で約35%から約45%の過炭酸ナトリウム及び重量で約65%から約55%のプロピレングリコールジアセテートを含む。
除去を受ける特定の種類の汚染物質により、この物品を過酸溶液に晒す工程は広い範囲の時間で行いうる。例えば、ある殺菌手順では、約30秒、1分、5分又は10分という短い時間の暴露時間が十分でありえる。しかし、他の用途(例.バイオフィルムの除去)では、適当な水準の汚染除去を達成するため、約30分、1時間、6時間、12時間、24時間またはそれ以上のかなり長期間、物品を暴露することが必要かもしれない。
同様に、過酸にさらす間の過酸溶液の温度は汚染の種類により調整されても良い。好ましい実施態様では、この暴露温度はこの溶液が調製される周囲温度であり、つまり、通常約18-25℃である。別の実施態様では、より高い温度が汚染除去工程を促すために使用されても良い。一般的に、高温であれば過酸の溶液の反応性を加速し、それにより汚染除去過程を加速する。従って、いくつかの実施態様では、過酸に晒す工程は、過酸溶液により約30℃、37℃、45℃、50℃、60℃、75℃、90℃またはさらに高い温度で行われても良い。
この方法のある好ましい実施態様では、この安定な組成物は水溶性容器に含まれ、この容器は水へ加えられる。ある好ましい実施態様では、この水溶性容器は小袋、アンプル、カプセル又は球であり、水溶性ポリマー、好ましくはポリビニルアルコールポリマーから形成される。
種々の実施態様では、この安定な組成物を使用する汚染除去の方法はボツリヌス毒素、炭疽菌毒素、リシン、サバ毒素、シグア毒素(ciguatoxin)、テトロドトキシン、マイコトキシン、及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択された毒素;及び細菌、ウィルス、菌類、寄生虫、プリオン及びそれらのいずれかの組合せからなる群から
選択された病原菌を含む広い範囲の汚染物質に対して有用である。例えば、本明細書に開示されている方法は毒性の化学物質、マスタード、VX、炭疽菌胞子、ペスト菌(Y.pestis)、F・ツラレンシス(F.tularensis)、菌類及び毒素(例.ボツリヌス、リシン、マイコトキシン等)、感染性ウィルス(例.フラビウィルス、オルソミクソウィルス、パラミクソウィルス、アレナウィルス、ラブドウィルス、アルボウィルス、エンテロウィルス、ブニアウィルス等)により感染された細胞を非限定的に含む物質により汚染された物質の汚染除去のために使用されても良い。いくつかの好ましい実施態様では、少なくとも一の病原体は、バチルス属の種、炭疽菌(B.anthracis)、クロストリディウム属の種(Clostridium spp)、ボツリヌス菌(C.botulinum)、C・ペルフリンゲンス(C.perfringens)、リステリア属の種(Listeria spp.)、シュードモナス属の種(Pseudomonas spp.)、スタフィロコッカス属の種(Staphylococcus spp)、ストレプトコッカス属の種(Streptococcus spp)、サルモネラ属の種(Salmonella spp),シゲラ属の種(Shigella spp)、大腸菌(E.coli)、エルシニア属の種(Yersinia spp)、ペスト菌、フランシセラ属の種(Francisella spp)、F・ツラレンシス、カンピロバクター属の種(Camplyobacter spp.)、ビブリオ属の種(Vibrio spp.)、ブルセラ属の種(Brucella spp.)、クリプトスポリジウム属の種(Cryptospordium spp)、ギアルディア属の種(Giardia spp)、シクロスポラ属の種(Cyclospora spp.)、トリキネラ属の種(Trichinella spp.)から選択される。
バイオフィルムは、菌体外ポリマー性物質と種々の有機及び無機化合物からなる組織に繁殖した微生物の集合体である。いくつかのバイオフィルムは単一の種の微生物を含むかもしれないが、通常は、バイオフィルムは微生物の異なる種だけでなく異なる種類の微生物、例えば、藻類、原生動物、細菌等も含む。バイオフィルムを特徴付ける性質の一つはその中の微生物が協力的にまたは相乗的に活動することである。実験的には、バイオフィルム内で生存する微生物はバイオフィルムの外で生存する微生物よりも殺生物剤から良く保護されていることが見出された。従って、病原性のバイオフィルムの除去は装置の汚染除去及び/又は殺菌において特に困難な問題となっている。
本発明の安定な組成物を使用して生成される過酸とその使用法はバイオフィルムの汚染除去に効果的である。一実施態様では、この安定な組成物は、バチルス属の種、炭疽菌(B.anthracis)、クロストリディウム属の種(Clostridium spp)、ボツリヌス菌(C.botulinum)、C・ペルフリンゲンス(C.perfringens)、リステリア属の種(Listeria spp.)、シュードモナス属の種(Pseudomonas spp.)、スタフィロコッカス属の種(Staphylococcus spp)、ストレプトコッカス属の種(Streptococcus spp)、サルモネラ属の種(Salmonella spp),シゲラ属の種(Shigella spp)、大腸菌(E.coli)、エルシニア属の種(Yersinia spp)、ペスト菌、フランシセラ属の種(Francisella spp)、F・ツラレンシス、カンピロバクター属の種(Camplyobacter spp.)、ビブリオ属の種(Vibrio spp.)、ブルセラ属の種(Brucella spp.)、クリプトスポリジウム属の種(Cryptospordium spp)、ギアルディア属の種(Giardia spp)、シクロスポラ属の種(Cyclospora spp.)、トリキネラ属の種(Trichinella spp.)、及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される一以上の病原性細菌により形成されるバイオフィルムを含むバイオフィルムの除去に有用な過酸溶液の生成に使用されるために調製される。好ましい実施態様では、本発明の方法により調製された過酸溶液は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(SRWC-10943)、リステリア・モノシトゲネス(Listeria monocytogenes)(ATCC19112)及びそれらの混合物からなる群から選択されたバイオフィルムの汚染除去のために使用されても良い。
ある実施態様では、ステンレス鋼の装置を汚染しているシュードモナス属の種、スタフィロコッカス属の種及び/又はリステリア属の種の細菌の培地を含む病原性バイオフィルムは45℃で45分間、重量で0.16%のPAA溶液(安定な組成物から生成される)に暴露することにより実質的に除去(つまり、〜500-1,000分の1に減少)され得る。
種々の実施態様ではこの安定な組成物を使用する汚染除去法は、硬い表面、布地、食品、飼料、衣服、敷物、カーペット、織物、医療機器、獣医療用機器等の広い範囲の汚染された物品の汚染除去、製薬及びバイオテクノロジーの工程で使用される大型反応器等のステンレス鋼製品と装置の消毒に有用である。
本発明の安定な組成物を使用して酵素的に生成されるこの過酸溶液は、特にステンレス鋼の物品と装置の洗浄に特に良く適合している。なぜなら水溶液中に生成される過酸対対応する酸の比率は市販溶液に見出されるよりもはるかに高いからである。例えば、S54V-MsAcT、過炭酸、及びPGDAからなる安定な組成物を使用して生成されるPAA溶液は、約10:1のPAA対酢酸の比を持つだろう。市販のPAA溶液は通常はPAAよりも酢酸を多量に含み、逆の比率(1:10)さえ持つ。PAAの酢酸に対する増大した比率は、PAA処理に伴うステンレス鋼製品又は装置の不働態化処理を行う必要を減じ、または完全に除去する。従って、いくつかの実施態様では、本発明の安定な組成物を使用して生成された過酸溶液は、製薬及びバイオテクノロジー工程で使用される大型反応器等の、ステンレス鋼製品と装置を消毒するため使用されても良い。好ましい実施態様では、不働態化剤によるステンレス鋼の更なる処理を要することなく、この過酸溶液は一段階でステンレス鋼製品と装置を消毒するために使用できる。
さらに別の実施態様では、本発明は、野菜、果実及び他の食品及び/又は飼料製品を非限定的に含む食品及び/又は飼料の汚染除去で使用される。実際、本発明は果実、野菜、卵、肉等の表面の洗浄に用途を見出すことが意図されている。実際、本発明は種々の食品と/または飼料から汚染を除去するために食品及び/又は飼料産業で用途を見出すことが意図されている。いくつかの特に好ましい実施態様では、食品医薬品局及び/または他の食品の安全性に関する当局により規定されている、食品及び/又は飼料の汚染除去方法は、この技術分野の技術者により知られているように、本発明を使用している。
さらに別の好ましい実施態様では、汚染除去を要する製品は硬い表面、布地、食品、飼料、衣服、敷物、カーペット、織物、医療機器、及び獣医療用機器から選択される。いくつかの特に好ましい実施態様では、食品は果実、野菜、魚、魚介類及び肉から選択される。いくつかの更に好ましい実施態様では、硬い表面は家庭用品の表面及び産業用製品の表面から選択される。いくつかの特に好ましい実施態様では、この家庭用品の表面は台所のカウンターの天板、流し、食器戸棚、まな板、テーブル、棚、料理の保存場所、浴室の備品、床、天井、壁及び浴室から選択される。いくつかの別の実施態様では、産業用の表面は食品加工用領域、飼料加工用領域、テーブル、棚、床、天井、壁、流し、切断用板、飛行機、自動車、列車及びボートから選択される。
実施例
以下の実施例は、本発明のある好ましい実施態様と局面を実証しかつさらに説明するために提供され、発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
以下の実験の開示においては、以下の略号が適用される:℃(摂氏温度);RT(室温);rpm(1分当たりの回転数);H2O(水);d H2O(蒸留水);HCl(塩酸);aa(アミノ酸);bp(塩基対);kb(キロベースペア);kD(キロダルトン);gm(グラム);μgとug(マイクログラム);mg(ミリグラム);ng(ナノグラム);μlとul(マイクロリットル);ml(ミリリットル);mm(ミリメートル);μmとum(マイクロメーター);M(モル);mM(ミリモル);μMとuM(マイクロモル);U(単位);V(ボルト);MW(分子量);sec(秒);min(s)(分);hr(s)(時間);MgCl2(塩化マグネシウム);NaCl(食塩);OD420(420nmにおける光学濃度);PAGE(ポリアクリルアミド ゲル 電気泳動);EtOH(エタノール);LB(ルリア液体培地);LA(ルリア寒天培地);PBS(リン酸塩緩衝食塩水[150mM NaCl, 10mM リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2」);SDS(ドデシル硫酸ナトリウム);Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン);w/v(重量対容量);v/v(容量対容量);wt%(重量パーセント);PDGA(1,2-プロピレングリコールジアセテート);PAA(過酢酸);Per(ペルヒドロラーゼ);per(ペルヒドロラーゼ遺伝子);Ms(M・スメグマチス);MsAcT(M・スメグマチスアシル基転移酵素);S54V-MsAcTまたはS54V 変異種(S54V 置換を含むM・スメグマチスアシル基転移酵素変異種);MS(質量分析);Dial(Dial Brands, Inc., Scottsdale, アリゾナ州);Kemira(Kemira Industrial Chemicals, Helsingbrog,スウェーデン);EM Science(EM Science, Gibbston, ニュージャージー州);HP(Hewlett-Packard、Palo Alto、カリフォルニア州);ICN(ICN Pharmaceuticals, inc., Costa Mesa,カリフォルニア州);Dial(Dial Corp., Scottsdale, アリゾナ州);Pierce(Pierce Biotechnology, Rockford,イリノイ州);Amicon(Amicon、Inc.,Beverly、マサチューセッツ州);ATCC(アメリカンタイプカルチャーコレクション、Manassas、ヴァージニア州);Amersham(Amersham Biosciences、Inc.,Piscataway,ニュージャージー州);Becton Dickinson(Becton Dickinson Labware、Lincoln Park、ニュージャージー州);BioRad(BioRad、Richmond、カリフォルニア州);Difco(Difco Laboratories、Detroit,ミシガン州);GIBCO BRLまたはGibco BRL(Life Technologies,Inc., Gaithersburg、メリーランド州);MIDI(MIDI Labs、Newark、デラウェア州);Sigma or Aldrich(Sigma-Aldrich Inc.,St.Louis,ミズーリー州);Sorvall(Sorvall Instruments, Dupont Co.,Biotechnology Systems, Wilmingtonの子会社、DE);Aglient(Aglient Technology、Palo Alto、カルフォルニア州);Minolta(Konica Minolta、Ramsey、ニュージャージー州)及びZeiss(Carl Zeiss,Inc., Thornwood、ニューヨーク州)

実施例1
過酢酸(PAA)によるB・スブチリス(B.subtilis)胞子の死滅曲線
この実施例では、試験が過酢酸(PAA)及び洗剤(この実施例では市販のPUREX(登録商標)[Dial]使用された)と組み合わせたPAAのB・スブチリス(B.subtilis)胞子の死滅曲線を決定するために行われた。これらの試験では、B・スブチリス胞子は本技術分野で知られているように調製された(例えばSiccardiら、J.Bacteriol.,121:13-19[1975]参照)。分析は、過酢酸(酢酸(Aldrich)中32重量%)を使用して96ウェルの丸底のマイクロタイタープレート(Costar)で2回繰り返された。このPAAは50mM KPO4緩衝液pH7.1(「緩衝液」)又はPurex(原調合液;Dial)の同じ緩衝液中の1:500希釈液(「緩衝液+洗剤」)で連続的に稀釈され総量50μlとされた。分析に加えられたPAAの量は0、0.4、4又は40mMであった。109-1010の胞子を含む容量5μlの胞子の懸濁液が、各ウェルへ加えられ、試験液は15分間室温に保温された。氷冷したLB(150μL)(例えば、Sambrookら”Molecular Cloning:A Laboratory Manual”、第2版(Cold Spring Harbor)、[1989]参照)がその後各ウェルへ加えられ、混合されそして100μlが新しい96-ウェルのプレートへ移された。各液が連続的に稀釈され(総量100μl/ウェルとされた。)5μlの各稀釈液がLAプレート上にスポットされ(Sambrook ら、上記)、37℃で17-24時間保温された。コロニーが計測され、%胞子死滅率が各対照サンプル(緩衝液のみ又は緩衝液+洗剤、過酸を含まない)と比較して決定された。この結果は、1試験の2回測定の平均値として、表1に表されている。しかし、試験は、二度重ねて行われたが、同様な結果を与えた。これらの結果に基づき、PAAは、約4から約40mMの範囲で15分でB・スブチリス胞子を死滅させるに十分であると決定された。
Figure 2010526909

実施例2
PAAの酵素的生成
この実施例では、アシル基転移酵素によるPAAの生成の3方法が述べられている。1方法では、少なくとも1のアシル基転移酵素(野生型又は変異種)は、緩衝液又は洗剤中で、1以上の界面活性剤を加えるか、加えずに少なくとも1のエステル基質と過酸化水素と組み合わされる。別の方法では、少なくとも1のアシル基転移酵素(野生型又は変異種)は緩衝液又は洗剤中で、1以上の界面活性剤を加えるか、加えずに少なくとも1つのエステル基質、及び過酸化水素と組み合わされる。別の実施態様では、少なくとも1つのアシル基転移酵素(野生型又は変異種)、少なくとも1つのエステル基質、及び過炭酸(または他のH2O2源)が、緩衝液又は洗剤中で、1以上の他の界面活性剤を加えるか、加えずに、組み合わされる。さらに別の方法では、少なくとも1のアシル基転移酵素(野生型または変異種)が、緩衝液または洗剤中で胞子を死滅させる量のPAAを生成するに十分な濃度で、グルコース酸化酵素及びグルコースと組み合わされる。いくつかの調合剤では、1以上の他の界面活性剤も含まれる。酸化酵素、酸化還元酵素(例.グリセロール酸化酵素またはヘキソース酸化酵素)等のH2O2を生成する他の酵素もこの系で使用できる。いくつかの好ましい実施態様では、補因子と独立したアルコール酸化酵素が使用される。

PAA濃度の決定
これらの試験では、この技術分野で知られている方法がPAAの濃度を決定するために使用された。(Prinkernellら、Analyst,127:567-571[1997]参照)。このABTS分析では、100μlの分析を受ける溶液が1mMの3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS)と50uM KIを含有する、1mlの125mMのクエン酸カリウム緩衝液、pH5.0に加えられ室温で3分間保温された。この吸光度はHP 8425A ダイオードアレイ分光光度計で420nmで測定され、真正品の標品を使用して作成された検量線と比較された。このPAAを生成する酵素反応は酵素の添加により始まり、室温で行われた。指定時間で一部が採取され、PAA濃度について分析された。これらの試験で使用される過炭酸ナトリウムはKemiraから得られ、過酸化水素はEM Scienceから得られた。

H2O2または過炭酸ナトリウムから酵素的に生成されたPAAの比較
39mM過炭酸ナトリウム(炭酸ペルオキシヒドレートナトリウム、工業用85%、100mMの実効H2O2を生成;Kemira)が320mM KPO4 pH 7.1中で調製された。固体過炭酸塩の溶解後、得られた溶液は7.6のpHをもった。同一のpH条件下、調製されたH2O2(32重量%、Aldrich)または過炭酸塩から生成されたH2O2からのPAAの酵素的生成を比較するため、2反応が準備された。1反応は、320mM KPO4、pH7.6、100mM 1,2-プロピレングリコールジアセテート(Aldrich)中に100mM H2O2と2ppm の変異種S54Vを含んでいた。H2O2の絶対濃度はラベルに記載の値から推定し、分析で確認されなかった。第2の反応は320mM KPO4、pH7.6、100mM 1,2-プロピレングリコールジアセテート(Aldrich)中に39mMの過炭酸ナトリウムと2ppmのS54Vを含んでいた。この反応は酵素の添加により開始された。サンプルが指定時間に採取され、PAAの濃度が実施例1に記述されたように決定された。
基質としてPGDAを使用したときの結果は図1に示されている。図1に示されるとおり、反応の進行とPAAの最終濃度は両ケースで同様である。
異なるプロピルアルコール酢酸エステル基質の使用を研究するために、PAAの発生はPGDAについて先に述べられた同じ一般的方法を用いて行われたが、エステル基質として酢酸プロピルまたはトリアセチンを使用した。これらの他の2つのエステル基質もS54V-MsAcTとこの系で反応しPAAを生成した。これら3エステル基質についてPAAへの相対的な変換比率は、PGDA>トリアセチン>酢酸プロピルと観察された。

実施例3
PAAの酵素的生成はB・スブチリス胞子を死滅させる
この実施例では、B・スブチリス胞子で試験を受けた酵素的に生成されたPAAの殺菌性能を評価するために行われた試験が述べられる。実施例1と2に述べられた試験で得られた結果に基づき、4から40mMの範囲のPAAがB・スブチリス I-168の胞子を死滅させることを実証するに十分であることが決定された。これらの試験では、胞子の死滅は洗剤及び緩衝液中で評価された。
緩衝液中での胞子死滅
この試験では、過炭酸ナトリウムがH2O2源として使用された。最終溶液は、総量800μlの320mM KPO4溶液pH7.1に、100mM 1,2-プロピレングリコールジアセテート、2ppmの S54V変異種、39mM過炭酸ナトリウム(工業用85%;;100mMの実効H2O2を生成する)を含んでいた。この混合液(40mM PAAを生成する)は連続的に稀釈を受け4.9、9.9及び20.5mM PAAを生成する別の混合液を与えた。400mM KPO4 pH7.1のみを含む混合液はPAAが存在しない条件で胞子総数を決定するために使用された。これらの混合液は3分間室温で保温された。容量180μlの各混合液は実施例1で使用された20μl胞子懸濁液を含む丸底の96ウェルのプレート(Coastar)の2ウェルずつ入れられ各ウェル、総量200μlとした。成分を確実に混合するためにこの液体は静かに4−5回に分けてピペットで加えられた。この混合液は室温でさらに15分又は30分間、胞子を含んで保温された。15及び30分の時点で、20μlが各ウェルから取り除かれ、新しい96ウェルのプレートのウェルに加えられ、LBで連続的に稀釈され総容量100μl中に10-7個とされた。各胞子混合物の各稀釈から5μlがLAプレートにスポットされ、乾燥されその後37℃で一夜保温された。また、15及び30分の時点で、適当な容量が各ウェルから採取され、dH2O中で十分に稀釈され実施例1に述べられたように標準と比較したABTS分析を用いてPAAの測定量を求めた。この分析の結果は表2に示されている。胞子死滅の結果は2回測定の平均として表されている。
Figure 2010526909

洗剤中での胞子死滅
試験は、緩衝液の代わりに320mM KPO4、pH7.1中でPurexを1:500に稀釈したものが使用された点を除き、正確に述べられたとおりに繰り返された。この結果は表3(繰り返しの平均)に表されている。対照サンプルは400mM KPO4 pH7.1緩衝液に種々の反応成分を含む。:2ppm S54V変異種、39mM過炭酸塩を伴う2ppm S54V変異種、100mM 1,2-プロピレングリコールジアセテート、39mM過炭酸塩を伴う100mM 1,2-プロピレングリコールジアセテート、39mM過炭酸塩。全てのこれらの処理は、過炭酸ナトリウムのみの場合(1x109胞子/ml対、他の対照サンプルの5x109胞子/ml)を除き、30分の保温処理の後、等しい水準の胞子/mlを与えた。この減少は他の成分と過炭酸ナトリウムの組合せでは見られず、確かに相当する量の3成分全ての混合物で見られる死滅ほどに劇的ではない(100%死滅)。
Figure 2010526909
実施例4
トリコデルマ・レセイ胞子を死滅させるPAAの酵素的発生
この実施例では、T・レセイ胞子に対するPAAの殺菌性能を評価するために行われた試験が述べられている。T・レセイ胞子は30℃でポテトデキストロース(PDA)培地上で約4日間株を培養することにより調製された。このプレートは菌類により約75%覆われたとき、コンフルエント(confluent)な増殖になるまで数日間室温で保温された。この胞子は綿棒を使用して掻きだされ、1mlの10%グリセロールに懸濁され、使用まで-80℃で冷凍された。胞子死滅分析で使用する前に、この胞子懸濁液は解凍され、この胞子は遠心分離によりペレット化され、1mlのdH2Oで二度洗浄され、1mlのdH2Oに再懸濁された。胞子死滅試験は、バチルスの胞子の代わりに20μlのこの菌類の胞子調製物が96-ウェルのプレートのウェルへ加えられた点を除き、実施例3で述べられたように行われた。また、この混合液は生成するPAAの量が40、13.3、4.4及び1.5mMになるように調製された。この結果は表4に表されている。これらの結果は菌類の胞子は、このMsAcT系により生成するPAAにより、かつB・スブチリス胞子よりもPAAが低い水準で死滅させられることを示す。
Figure 2010526909
実施例5
グルコースとPGDAからのPAA生成
この実施例では、グルコースとプロピレングリコールジアセテートから生成する過酸の量を評価するための試験が述べられる。60mMグルコース、と20mM1,2-プロピレンフリコールジアセテート(Aldrich)を含む50mM KPO4 pH7.1の 15mlの溶液が調製された。この溶液は空気が連続的に供給され、室温で撹拌された。H2O2を発生する反応が100単位のグルコース酸化酵素(Oxygen HP、Genencor International)を加えることにより開始され1時間進行させた。生成したH2O2からPAAの生成を開始させるため2ppmのS54Vを加える前に、サンプルが採取されPAAについて試験された。この結果は図2に表されている。さらにサンプルが図2に示された時間で採取され、PAAの濃度が上記のように決定された。PAAは酵素が加えられる前には検出されず、約9.5mMのPAAが20mM 1,2-プロピレングリコールジアセテートとグルコース/グルコース酸化酵素反応から生成されるH2O2から生成された。

実施例6
異なる温度におけるMsAcTによるPAAの生成
この実施例では、異なる温度でのMsAcTによる過酢酸の生成を評価するために試験が行われ、述べられる。そのような生成は種々の温度でのPAAの貯蔵不安定性に伴う問題を解決する手段を与える。これらの試験では、MsAcTは約20℃から約60℃の温度範囲にわたりPAAを生成するために使用される。いくつかの試験では、温度は、例えば21℃、40℃及び60℃が使用される。
これらの試験では、320mM KPO4、pH7.1、100mM 1,2-プロピレングリコールジアセテート(Aldrich)、及び100mM過炭酸ナトリウムからなる、3反応が準備された。反応は、21℃、40℃及び60℃に保たれ、次にS54V変異種を加えて最終濃度を2ppmとして開始された。この結果は図3に表された。サンプルが図に示された時間で採取され、PAAの濃度は上記のように決定された。これらの結果はこの酵素系が少なくとも60℃まで機能することを示す。

実施例7
MsAcTによる濃縮過酢酸の生成
この実施例では、試験は、MsAcTが過酢酸の濃縮溶液を生成する性能を決定するため行われた。これらの試験は、使用のため、添加または稀釈して異なる溶液にすることに適した濃縮過酢酸溶液を調製する潜在的な利点を述べるために行われた。この試験では、反応は50mMKPO4、2MH2O2(EM Science)、2M 1,2-プロピレングリコールジアセテート(Aldrich)、及びS54V変異種を最終濃度160ppmで含む。これらはこの濃度では混和しなかったので、この反応混合物は、時にボルテックスに掛けられ反応原料を混合された。混合は室温で行われた。結果は図4に示されている。サンプルが指定された時間で稀釈され、過酢酸の濃度は上記のように決定された。

実施例8
高い胞子死滅活性を備えた酵素的PAA生成系
この実施例は、多くのEPA承認の汚染除去分析におけるM・スメグマチス由来のアシル基転移酵素のS54V変異種(S54V-MsAcT)、1,2-プロピレングリコールジアセテート(PGDA)(エステル基質として)及び過炭酸ナトリウム(過酸化水素源として)からなる3成分の調合剤を使用して生成された0.16重量%の過酢酸(PAA)溶液の有効性を説明する。
原料と方法
250mLPAA試験液の調製:乾燥調合剤は15mLのコニカル管で作られた。各管は、約1.20gから1.30gの過炭酸ナトリウム、約26.0mgから約31.9mgのS54V-MsAcT酵素の顆粒を含んでいた。各乾燥調合剤をいれた管について、別に1.8mLのエステル基質、プロピレングリコールジアセテート(PGDA)を含む15mLのコニカル管が調製された。1本の乾燥調合剤管が1本のPGDA管とともに1つのジップロック式の袋に入れられた。1つのジップロック式の袋の内容物は(つまり、1本の乾燥調合管と1本のPGDA管)250mLの水に加えたときに0.16%のPAAを生成するユニットを構成した。
PAA試験液は1ユニットの乾燥調合剤を、十分に溶解するまで250mLの室温の滅菌脱イオン化された水に加えることにより調製された。250mLの試験溶液の一部は残存する乾燥調合剤を管から濯ぎ出して溶液にするため使用された。次に、PGDAの液体の管が撹拌されている250mLの溶液に加えられ、再び、溶液の一部が管から残存PGDAを濯ぎだすために使用された。このPAA試験液は次に20分間撹拌された。このPAA試験液は目視により均一であった。これは調製後2時間以内に使用された。
2000mLのPAA試験溶液の調製:乾燥調合剤が15mLのコニカル管で調製された、各管は、約9.6gから約9.8gの過炭酸ナトリウム、約216mgから約226mgのS54V-MsAcT酵素の顆粒を含んでいた。各乾燥調合剤のサンプルについて、1.8mLのエステル基質、プロピレングリコールジアセテート(PGDA)を含む別の15mLのコニカル管が調製された。一本の乾燥調合剤の管は、1本のPGDAの管と1つのジップロック式の袋に入れられた。1袋のジップロック式の袋の内容物(つまり、1本の乾燥調合管と1本のPGDA管)は、2000mLの水に加えたときに0.16%のPAAを生成するユニットを構成した。
2000mLのPAA試験液の調製は、より多量の乾燥調合剤、PGDA液及び水を用いることを除き250mLの試験液について先に述べたものと同一であった。
分析1:殺菌及び洗剤消毒作用
PAA試験液は上記の250mLの処方に従い調製された。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus(ATCC 6538))または大腸菌(E.coli)(ATCC11229)細胞のいずれかの懸濁液は30秒または60秒間PAA試験液に晒された。暴露の後、一部が中性化継代培養培地(Letheen液体培地+0.1%チオ硫酸酸ナトリウム+0.01%カタラーゼ)に移され、混釈培養法とトリプトングルコース抽出寒天培地(TGEA)を使用して生存菌について定量された。適当な数の対照サンプル、純度、滅菌性、生菌性及び中性化管理も行われた。
分析2:無生物の食品でない物が接触する表面の消毒効果
PAA試験液は上記の250mLの処方に従い調製された。細菌細胞の薄膜がスライドガラス担体物質の表面で乾燥された。1ロット8枚のスライドガラスの4ロットが2種の異なる細菌を使用して調製された。:黄色ブドウ球菌(ATCC6538)とエンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)(ATCC 13048)である。この5枚の汚染されたスライドガラスは18℃で2分又は5分間PAA試験液に晒された。暴露の後、中性化継代培養培地(Letheen液体培地+0.1%チオ硫酸酸ナトリウム+0.01%カタラーゼ)がこのスライドガラス担体とPAA試験液を含む各容器へ入れられ、この溶液が生存菌の定量に使用された。各ロット3枚の対照スライドガラスは水溶液にさらされず、中性化継代培養培地で同様に処理を受けた。
分析3:AOAC殺菌効果-稀釈法の使用
PAA試験溶液は、先に述べた2000mLの処方に従い調製された。細菌の薄膜が1ロット30枚のステンレスの担体の表面で乾燥された。3つの異なるロットが3種の異なる細菌を使用して調製された。緑膿菌(ATCC 15442)、黄色ブドウ球菌(ATCC6538)、サルモネラ・コレレスイス(ATCC10708)である。汚染された担体のそれぞれは、室温(20.0℃)で5分又は10分間PAA試験液に晒された。暴露の後、これらの担体は、中性化継代培養培地(Letheen液体培地+0.1%チオ硫酸酸ナトリウム+0.01%カタラーゼ)を含む容器へ移され、生存菌について定量された。適切な純度の確認、生存度の測定、担体の無菌性確認、中性化継代培養培地の無菌性確認、生存度の測定、中性化の確認及び担体の菌密度の管理も行われた。
分析4:AOAC胞子死滅効果:
PAA試験溶液は、先に述べた250mLの処方に従い調製された。バチルス・スブチリス(ATCC19659)の胞子の懸濁液が1ロット30本のテトロンの糸で乾燥された。クロストロリジウム・スポロゲネス(ATCC3584)の懸濁液が1ロット30個の陶器のペニシリンダー(penicylinder)で乾燥された。汚染を受けた各サンプルは室温(20.0℃)で2時間又は5.5時間PAA試験液に晒された。暴露後、このサンプルは中性化継代培養培地(チオグリコレート培地+0.1%チオ硫酸酸ナトリウム+0.01%カタラーゼ)を含む容器へ移され、生存菌について定量された。適当なHClの確認、生存度、純度、滅菌性、汚染を受けるサンプルの品質分析、及び中性化調整も行われた。


結果
分析1: PAA試験液は、20.0℃でわずか30秒後に、黄色ブドウ球菌(ATCC6538)または大腸菌(ATCC11229)の、>99.999%の減少を実証した。
分析2: このPAA試験液は、18.0℃で2分(または5分)暴露後に、スライドガラス上の黄色ブドウ球菌(ATCC6538)またはエンテロバクター・エロゲネス(ATCC13048)の>99.9%減少を実証した。
分析3:汚染を受けたステンレス鋼担体を5分間PAA試験液に暴露すると緑膿菌(ATCC15442)、黄色ブドウ球菌(ATCC6538)、及びサルモネラ・コレレスイス(ATCC10708)のいずれの30本の継代培養管のどれも増殖は示さなかった。10分間PAA溶液に暴露を受けた30本のサンプルの1つは、緑膿菌(ATCC15442)の増殖を示したが、10分間暴露された継代培養管のいずれの他の細菌も増殖を示さなかった。
分析4:20.0℃で2時間又は5.5時間PAA試験液に晒された汚染を受けたテトロンの糸を用いて試験したとき、バチルス・スブチリス(ATCC19659)の増殖は30の初代の継代培養培地のいずれにも、及び30の二代目の継代培養培地のいずれにも見られなかった。同様に、20℃で2時間又は5.5時間このPAA溶液に暴露された汚染を受けた陶器のペニシリンダーを用いて試験をしたとき、30の初代継代培養培地のいずれにも、及び二代目の継代培養培地のいずれにもクロストリジウム・スポルゲネス(Clostridium sporogenes)(ATCC3584)の増殖は見られなかった。
結論
S54V-MsAcT酵素、プロピレングリコールジアセテート(エステル基質として)及び過炭酸ナトリウム(過酸源として)の3成分を用いて生成される0.16%のPAAは試験したEPA承認の消毒/汚染除去分析の4方法全てで非常に効果が高かった。消毒剤の殺菌及び洗剤消毒試験の結果は黄色ブドウ球菌と大腸菌(E.coli)に対して99.999%より大きい効果を示している。無生物の食品でない物が接触する表面について推奨される消毒剤の効果に関する標準試験法の試験結果は、黄色ブドウ球菌とエンテロバクター・エロゲネスに対し99.9%より大きい効果を示している。AOACの実用稀釈率試験法(Use−Dilution Method)の試験結果は、黄色ブドウ球菌、サルモネラ・コレレシウスに対し100%有効であり、緑膿菌に対して96.7%有効であった。消毒剤胞子死滅活性試験(Sporicidal Activity of Disinfactants)(AOAC)は、バチラス・スブチリスとクロストリジウム・スポルゲネスの胞子に対してPAA溶液の100%の効果を実証した。

実施例9
安定な「オールインワン」の高い胞子死滅活性をもつPAA生成組成物
この実施例は、液体エステル基質、プロピレングリコールジアセテート中にS54V-MsAcT酵素と過炭酸ナトリウムを含む「オールインワン」組成物の調製、経時的安定性について説明する。この実施例は、0.16%重量パーセントのPAA溶液を生成するためのこの組成物の使用も示している。

原料と方法
オールインワン組成物:実施例8で述べられたように調製された乾燥調合剤(1.22gの過炭酸ナトリウムと28.0mgのS54V-MsAcT顆粒を含む)の管へ1.8mLのPGDA液が加えられた。
オールインワン組成物の活性化と定量:上記のように調製されたオールインワン組成物が撹拌しながら250mLの脱イオン水へ加えられた。実施例8で先に述べられた250mLと2000mLの処方に従いさらに、PAA、2溶液が調製された。
t=20分で、これら3溶液の各pHが測定され、10.3であることが分かった。また、t=20分で、20μLが各3溶液のそれぞれから採取され、125mMクエン酸ナトリウム、pH5.0の980μLへ加えられた。これらの稀釈された3溶液は上記のABTS分析法を使用してPAA濃度が定量された。
安定性試験:さらに2つのオールインワン組成物のサンプルが調製された。一つは、250mLの水で活性化される前に4日保存され、PAA濃度が定量された。他は250mLの水で活性化される前に室温で33日間保存され、PAA濃度について定量された。比較のため、水で活性化される前に室温で同じ4日及び33日、液体のPGDA成分から別にして保存された乾燥調合剤組成物を用いて実施例8のようにサンプルが調製された。
種々のPAA生成組成物:過炭酸ナトリウムの量を変えた5組のオールインワン組成物が、標準組成物の約60%と160%の間の範囲で、生成されるPAAの濃度を変え得ることを実証するため調製された。この5つのオールインワン組成物のサンプルは、表5に一覧になっている量に従い調製された。
Figure 2010526909
これら5つのサンプルは、次に周囲の温度(20℃)で撹拌しながら250mLの脱イオン水へ加えられた。10分、20分及び30分で定量用のサンプルの一部が採取された。PAAの濃度はミクロタイタープレートでABTS分析法を用いて定量された。
胞子死滅効果分析:15.0mLのコニカルチューブに1.80mLのPGDAと混合した1.37gの過炭酸ナトリウム、33.30mgのS54V-MsAcTを含むオールインワン組成物が調製された。この組成物は20分間撹拌しながら無菌脱イオン水に加えられた。10mLの得られたPAA試験液は4本の25x150mmの試験管に入れられた。これらの試験管は20℃の恒温槽に入れられ、温度が調整された。無菌のピンセットを用いて、B・スブチリスで汚染を受けた5このペニシリンダーまたは、B・スブチリスで汚染を受けた5本の糸の輪が各試験管に加えられた。各溶液へこのシリンダー又は糸の全てを加えた後、試験管からその後に取り除くため5分間が認められた。20℃で1時間の接触後、ペニシリンダー又は糸が取り出され、各サンプルは、曲がった無菌プラスチックの針(先端は、袋の中で、釣り針型に無菌的に曲げられた)を用いて10mLの液体チオグリコレート培地(Difco Cat.#225650)を入れた別の試験管へ移された。チオグリコレート培地の第一の試験管へ移し終わった後、このシリンダーと糸はチオグリコレート培地(10mL)の新しい試験管に移され、37℃で21日間保温された。21日後に増殖が確認されない場合、その試験管は80℃でヒートショックを与え、37℃でさらに72時間、再度保温された。19から20個の反復試験サンプルが試験された。

結果
撹拌しながら20分間250mLの水で活性化されたとき、このオールインワン組成物は0.18%の過酸の溶液を生成した。同じ分析で作られたこの250mLと2000mLの処方はそれぞれ、0.17%及び0.17%の過酸の溶液を生成した。
室温で4日及び33日で保存されたオールインワン組成物により調製された溶液は過酸の予測濃度の100%を生成した。同様に、別の乾燥調合剤と液体組成物を用いて調製された溶液は予測PAA濃度の本質的に100%を生成した。
異なる量の過炭酸ナトリウムで調製された5このオールインワン組成物のサンプルは、標準的使用条件である20分で0.11%から0.33%のPAA濃度範囲を示した。従って、このオールインワン組成物は特定の範囲内で望むPAA濃度を与えるように「調節」されえる。この実施例では、PAA濃度は、19-51mMの範囲で生成され、これは28.5-76.5mM H2O2(Na2CO3 1.5H2O2)であった。H2O2の最大変換速度はt=30分でサンプル5について61.7%であった。これに基づいて、望ましい量のPAAは、過炭酸塩の又はPGDA、又は両者を調節することにより達成できる。
250mLの水で、1.80mLのPGDAと混合された1.37gの過炭酸ナトリウム、33.30mgのS54V-MsAcTから調製されたオールインワン組成物はB・スブチリスで汚染された糸とペニシリンダーについて胞子死滅効果を示さないものはなかった。

結論
1本の試験管で酵素的にPAAを生成するための3成分全てを含む「オールインワン」組成物は、乾燥組成物が液体PGDAエステル基質から分離されて貯蔵されている調合剤と同様に効果のあるPAA汚染除去溶液(0.16%)を生成するために使用できる。このオールインワン組成物は水で活性化する前に33日間室温で保持した後ですらPAA生成性能において0%の損失である安定性を示すことは特記に値する。さらに、この「オールインワン」組成物を使用して調製されたこのPAA溶液は、汚染を受けた糸及び陶器製のペニシリンダーで分析を受けるとき、乾燥成分と液体成分が別になっている調合剤と等しい高い水準の胞子死滅効果を示した。
さらに、このオールインワン組成物は、約0.11%から0.33%の範囲にある濃度のPAA生成するため、過炭酸ナトリウムの量を変えることにより「調整」できることが見出された。

実施例10
オールインワンPAA生成組成物を放出するための水溶性小袋の使用
この実施例は、水溶性小袋の中で調合されたPAA生成用オールインワン組成物の製造と使用を説明する。

原料と方法
水溶性ポリビニルアルコール(PVA)の小袋はSolupak 会社(Manchester、英国)から入手された。10個の小袋が、各小袋に7.5gのPGDA、4.8gの過炭酸ナトリウム及び110mgのアシル基転移酵素S54V-MsAcTを入れて、このオールインワン組成物を使うために準備された。各小袋は、次に加熱シール機で封をされた。
小袋は英国から米国へ輸送され、使用前に7日の移動期間を生じた。受領したとき、小袋は21℃で2000mLの精製水(MilliQ)に溶解された。この2000mLの溶液のpHとPAA濃度が50分の間、選んだ時点で測定された。PAAは先に述べたようにクエン酸存在下のABTSを用いて分析された。

結果
予想通りこの小袋は2000mLの溶液に溶解し、オールインワン組成物を放出し、表6に示す次のPAA濃度とpHを示した。
Figure 2010526909
上記のように、この小袋の放出系は、測定されたように機能した。これは、目的としたPAA濃度を生成し、20分(提案されている溶解時間)でpH8.6(一般的に非腐食性であるとみなされているpH)となる通常のpHプロファイルを与えた。

結論
このオールインワン組成物は安定で、かつ水溶性ポリビニルアルコール小袋の中で効果的に溶液へ放出されえる。30分後にこの溶液の得られたPAA濃度とpHは、小袋がなしで観察される濃度、pHと等しい。
本明細書に述べられた全ての特許と刊行物はこの発明が属する分野の技術者の水準を示す。全ての特許と刊行物は引用により、各刊行物が特定されて、個別に引用により組み入れられると表されている場合と同様に、引用により本明細書に組み入れられる。
本発明の好ましい実施態様を述べたので、開示された実施態様に種々の変更をすることができ、そのような変更は本発明の範囲内にあることが意図されていることは、この技術分野の普通の技術者には明らかであろう。
本技術分野の技術者は、本発明が目的を実行し、述べられた結果と優位性を、この発明に固有に備わっているものと併せて、得るために良く適合していることを容易に理解する。本明細書に述べられた組成物と方法は好ましい実施態様を代表するものであって、例示であり、本発明の範囲を限定するものとして意図されていない。本発明の範囲と本質を外れることなく本明細書に開示された発明に種々の置換と変更が加えられえることは本技術分野の技術者に容易に分かる。
本明細書において説明のため述べられた発明は本明細書で具体的に開示されていない要素、限定がなくても実施可能である。使用された用語と表現は記述の用語として使用され、限定のために使用されていない。また、そのような用語と表現を用いて、示した特徴及びその一部と同じものを排除する意図はなく、むしろ請求項の発明の範囲内で種々の変更が可能であると理解される。従って、本発明は好ましい実施態様と任意の特徴により具体的に開示されたが、本明細書に開示された概念の修飾や変更は本技術分野の技術者に委ねられていること、またそのような修飾と変更が請求項により定められるこの発明の範囲内にあると考えられることは、理解されるべきである。
本発明は、明細書において広く包括的にて述べてきた。包括的開示の範囲内にある概念や限定的分類も本発明に含まれる。このことは、除外する事項が具体的に明細書に記載されているか否かに拘らず、この包括的概念からいずれか下位の事項を除く条件または限定を含む発明に関する包括的な記述にあてはまる。

Claims (35)

  1. ペルヒドロラーゼ酵素、過酸化水素源及びエステル基質を含む組成物であって、前記組成物は水と混合されたときに過酸を生成し、また前記組成物は、少なくとも約7日の期間、過酸生成活性を保持する。
  2. 請求項1の組成物であって、当該エステル基質は液体であり、当該ペルヒドロラーゼ酵素と当該過酸化水素源は、当該液体中の固体懸濁物であるものである組成物。
  3. 請求項1の組成物であって、当該過酸は過酢酸、過ノナン酸、過プロピオン酸、過ブタン酸、過ペンタン酸及び過ヘキサン酸から選択されるものである組成物。
  4. 請求項4の組成物であって、当該過酸は過酢酸である組成物。
  5. 請求項1の組成物であって、当該エステル基質はプロピレングリコールジアセテートであるものである組成物。
  6. 請求項1の組成物であって、当該ペルヒドロラーゼ酵素はSEQID NO:1に表わされたアミノ酸配列を含むものである組成物。
  7. 請求項1の組成物であって、当該ペルヒドロラーゼ酵素はSEQID NO:1のS54V変異種であるものである組成物。
  8. 請求項1の組成物であって、当該過酸化水素源は過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム及び尿素過酸化水素から選択される過酸化水素生成化合物であるものである組成物。
  9. 請求項8の組成物であって、当該過酸化水素源は過炭酸ナトリウムであるものである組成物。
  10. 請求項1の組成物であって、当該組成物は、重量で約0.001%から約1%のペルヒドロラーゼ酵素、重量で約35%から約45%の過炭酸ナトリウム、及び重量で約55%から約65%のプロピレングリコールジアセテートを含む。
  11. 請求項1の組成物であって、当該過酸化水素源は酸化酵素とその基質を含む酵素的過酸化水素生成系であるものである組成物。
  12. 請求項11の組成物であって、当該酸化酵素はグルコース酸化酵素、ソルビトール酸化酵素、ヘキソース酸化酵素、コリン酸化酵素、アルコール酸化酵素、グリセロール酸化酵素、コレステロール酸化酵素、ピラノース酸化酵素、カルボキシアルコール酸化酵素、L-アミノ酸酸化酵素、グリシン酸化酵素、ピルビン酸酸化酵素、グルタミン酸酸化酵素、サルコシン酸化酵素、リジン酸化酵素、乳酸酸化酵素、バニリル(vanillyl)酸化酵素、グルコレート酸化酵素、ガラクトース酸化酵素、ウリカーゼ、シュウ酸酸化酵素、キサンチン酸化酵素から選択されるものである組成物。
  13. 請求項1の組成物であって、さらにプロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、及び微生物の細胞壁を分解する酵素から選択される少なくとも一つの追加の酵素を含む組成物。
  14. 請求項1の組成物であって、当該組成物はさらに少なくとも一つの界面活性剤を含むものである組成物。
  15. 請求項1から14のいずれかの請求項の組成物を水へ加え少なくとも約20分間混合することを含む汚染除去溶液を調製する方法。
  16. 汚染除去の方法であって、
    (a) 請求項1から14のいずれかの請求項に従い組成物を与え
    (b) 前記組成物を水に加え、混合し、それにより過酸水溶液を生成し
    (c )前記溶液へ汚染物質を含む物品を暴露する
    ことを含む方法。
  17. 請求項16の方法であって、当該組成物は水溶性容器に含まれているものである方法。
  18. 請求項18の方法であって、当該容器はポリビニルアルコールフィルムから作られている小袋である方法。
  19. 請求項16の方法であって、当該水は滅菌されているものである方法。
  20. 請求項16の方法であって、前記暴露は高温で前記溶液に前記物品を暴露することを含む方法。
  21. 請求項16の方法であって、前記汚染物質は、ボツリヌス毒素、炭疽菌毒素、リシン、サバ毒素、シガトキシン、テトロドトキシン、マイコトキシン及びそれらの組合せから選択される毒素を含むものである方法。
  22. 請求項16の方法であって、前記汚染物質は細菌、ウィルス、菌類、寄生虫、プリオン、及びそれらの組み合わせから選択される病原体を含むものである方法。
  23. 請求項22の方法であって、当該病原体は、バチルス属の種、炭疽菌(B.anthracis)、クロストリディウム属の種(Clostridium spp)、ボツリヌス菌(C.botulinum)、C・ペルフリンゲス(C.perfringens)、リステリア属の種(Listeria spp.)、スタフィロコッカス属の種(Staphylococcus spp)、ストレプトコッカス属の種(Streptococcus spp)、サルモネラ属の種(Salmonella spp),シゲラ属の種(Shigella spp)、大腸菌(E.coli)、エルシニア属の種(Yersinia spp)、ペスト菌(Y.pestis)、フランシセラ属の種(Francisella spp)、F・ツラレンシス(F.tularensis)、カンピロバクター属の種(Camplyobacter spp.)、ビブリオ属の種(Vibrio spp.)、ブルセラ属の種(Brucella spp.)、クリプトスポリジウム属の種(Cryptospordium spp)、ギアルディア属の種(Giardia spp)、シクロスポラ属の種(Cyclospora spp.)、トリキネラ属の種(Trichinella spp.)から選択されるものである方法。
  24. 請求項16の方法であって、前記物品は、硬い表面、布地、食品、飼料、衣服、敷物、カーペット、織物、医療機器、動物用医療機器から選択されるものである方法。
  25. 請求項1から15のいずれかの請求項に従い安定な組成物を含む水溶性容器を含む系。
  26. 請求項25の系であり、前記容器は小袋、アンプルまたは球である系。
  27. 請求項26の系であり、当該水溶性容器は水溶性ポリマー物質ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、セルロース由来の水溶性炭水化物、及びポリアクチドから作られているものである系。
  28. 請求項26の系を水に加え、混合することを含む汚染除去溶液を調製する方法。
  29. 請求項1から15のいずれかの請求項の安定な組成物を包装して含む汚染除去用用具一式。
  30. 請求項29の用具一式であって、当該組成物は水溶性容器に入れられているものである用具一式。
  31. 請求項30の用具一式であって、当該水溶性容器は小袋、アンプル、カプセル又は球であるものである用具一式。
  32. 請求項30の用具一式であって、当該水溶性容器はポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、セルロース由来の水溶性炭水化物及びポリラクチドから選択される水溶性原料から作られるものである用具一式。
  33. 請求項29の用具一式であって、さらに前記組成物を水と混合するために空の混合容器を含むものである用具一式。
  34. 請求項29の用具一式であって、さらに密封した容器に水を含み、当該水は滅菌されているものである用具一式。
  35. 請求項29の用具一式であって、さらに請求項16に従った方法で使用するための指図を含むものである用具一式。
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