JP2010523829A - スクリーニング装置用のロータ要素及びロータ - Google Patents

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Abstract

本発明は、ロータに使用するためのロータ要素、及び要素を特徴とするロータに関する。このロータは、パルプ製紙業用のスクリーニング装置に使用される。ロータ要素10は、2つの長手方向の縁部、すなわち第1の縁部、いわゆる前縁12、及び第2の縁部、いわゆる後縁14、2つの対向する端部、すなわち第1の端部及び第2の端部、並びに第1の縁部12と第2の縁部14の間に配置された面18を有し、この面18が境界線20によって、第1の縁部12にその起点を有する第1の面、いわゆる前面22、及び第2の縁部14にその起点を有する第2の面、いわゆる後面24に分割され、境界線20と第1の縁部12の間の距離W1は、ロータ要素10の第2の端部においてよりも、ロータ要素10の第1の端部においてのほうが小さい。

Description

本発明は、スクリーニング装置用のロータ要素及びロータに関するものである。本発明のロータ要素及びロータは、パルプ製紙業用のスクリーニング装置での使用に特に適している。
今日、パルプ製紙業界で使用される最も一般的なスクリーニング装置は、固定スクリーン・シリンダ、及びその内部にある回転ロータを備えている。スクリーン・シリンダの目的は、ロータが回転するスクリーニング用のキャビティの中に入る新鮮なパルプ又は繊維懸濁液を、アクセプトと呼ばれる許容可能な繊維部分と、リジェクトと呼ばれる許容できない繊維部分とに分けることである。スクリーン・シリンダ、並びにもちろんロータも、新鮮な繊維懸濁液、アクセプト及びリジェクトのためのダクトを有するスクリーン・ハウジングの内部に配置される。通常、繊維懸濁液用の入口ダクト又は入口は、スクリーン・ハウジングの一端にあり、リジェクト用の出口はハウジングの反対側の端部にある。アクセプト用の出口は、スクリーニング用のキャビティに対してスクリーン・シリンダの反対側に位置決めされた、アクセプト用のキャビティと連通している。
従来技術によれば、原理上、パルプ製紙業界で一般的に使用される2つの異なる型のロータがあり、その目的は、周知のようにスクリーン表面を清浄に保つこと、言い換えれば、スクリーン表面上に繊維マットが形成されるのを防ぐこと、及び新鮮な、すなわちスクリーニングされていない繊維懸濁液を収容するキャビティ内で十分な乱流を維持することである。1つのロータの型の実施例が、米国特許第4,193,865号に開示されており、その特許では、ロータは円筒形の固定のスクリーン・シリンダの内部に配置される。ロータは、同軸シャフト、及びスクリーン・シリンダの表面の近くに配置されたいくつかのフォイルを備えている。フォイルはそれぞれ、スクリーニング装置が動作しているとき、新鮮なパルプを収容するキャビティを通って延びる1対のアームによって、シャフト上に支持される。前述の特許のフォイルは、ロータのシャフト及びスクリーン・シリンダの軸とある角度を形成する。移動するフォイルがスクリーン表面上に圧力パルスを生成し、それによって、一方では許容できる繊維を押し動かしてスクリーニング用の開口部を通過させ、他方ではスクリーン表面の開口部を清浄化し、繊維がスクリーン表面の開口部の中に蓄積して開口部を塞ぐのを防止する。
他のフォイル型のロータが、例えば米国特許第5,547,083号及び欧州特許第0764736号に論じられている。前者の文献のフォイルの典型的な特徴は、フォイルがスクリーン・シリンダに面する表面上に軸方向に延びる翼又は溝を備え、その翼又は溝が繊維懸濁液を軸方向を向いた力成分にさらすことである。欧州特許文献は、すでに論じた米国特許第4,193,865号と同様に、フォイルの長手方向が軸方向とある角度を形成するように、すなわち、フォイルがわずかに螺旋方向に向けられる又は巻かれるようにフォイルを位置決めすることが可能であることを教示している。
他のロータの型の例は、例えば米国特許第3,437,204号に論じられており、その特許では、ロータは、スクリーン・シリンダの内部に位置決めされた実質的に円筒形の閉鎖体である。ロータ表面は、ほぼ半球形の突出部を備えている。この種の装置では、新鮮な繊維懸濁液がロータとスクリーン・シリンダの間に供給され、それによってロータの突出部、いわゆるバンプが、スクリーン・シリンダに対して進退する乱流及び圧力パルスを生成する。言い換えれば、各バンプの前面がパルプをスクリーン・シリンダの方へ押し、バンプの形によって、繊維の蓄積物をスクリーン・シリンダ内の開口部から引き出す吸引パルスが生じる。
米国特許第5,000,842号は、ロータ表面上に突出部を備えた円筒形の基本形状を有するロータについて論じている。その米国特許文献に示される突出部は、円筒形のロータ表面に対して実質的に垂直な前面、傾斜した後面、及びそれらの間の円筒形のロータ表面に平行な面を有している。その米国特許文献に開示されるロータの構造の主な目的は、スクリーニング用のキャビティ内の繊維懸濁液の流れをスクリーン・シリンダとロータの間で制御することである。ロータ上の突出部は、繊維懸濁液に対する半径方向の圧力パルスを生成するだけではなく、繊維懸濁液を軸方向の力にさらすように設計されており、軸方向の力の向きはロータ表面上の突出部の軸方向の位置に依存する。その米国特許文献では、スクリーニング装置に入った直後に、繊維懸濁液を軸方向にロータのリジェクト側の端部に向かって送り込む必要があると考えられていた。このため突出部は、ロータ表面に対して実質的に垂直であることに加えて、軸方向と鋭角を形成するように傾斜させた前面を有している。ロータの入口側の端部では、その傾斜は、突出部の前面が繊維懸濁液をロータのリジェクト側の端部に向かって移動させる力成分に繊維懸濁液をさらすように配置される。
ロータの軸の中央領域にある突出部は実質的に中立である、すなわち、突出部が繊維懸濁液を有効な軸方向の力成分にさらすことはない。その理由は、ロータの中央領域では、繊維懸濁液が十分な量の許容できない材料を含み、適切な許容できる繊維をリジェクトから分離するのにより多くの時間を要するため、繊維懸濁液の軸方向の速度を高める必要がないことにある。突出部が配置されるのがロータ表面上のリジェクト側の端部に近いほど、突出部の前面を、繊維懸濁液をロータの入口側の端部に向けられた力成分にさらす方向に大きく傾斜させる。したがって、ロータのリジェクト側の端部の突出部の目的は、許容できる繊維が分離し、スクリーン・シリンダによって受け入れられるための時間を有するように、軸方向のパルプの流れを減速し、スクリーニング用のキャビティの中でリジェクトの濃度が高い懸濁液により多くの時間を与えることである。
米国特許第5,000,842号は、突出部がロータの第1の端部からその第2の端部まで連続的に延びる突出部の構造も教示している。そうした構成を用いると、突出部を先に説明したのと同じ効果をもたらすように湾曲させること、又は突出部の前縁を、突出部の長さに沿って大きさが変化する軸方向の力成分を生成するように設計することが可能になる。しかし、突出部の前面は円筒形のロータ表面に対して常に垂直であり、そのため、必ずしも適切ではない状態になる。第1に、突出部の前面がロータ表面に垂直であるため、ロータは繊維懸濁液を高い周方向の速度で回転させる傾向がある。スクリーニングを考慮すると、繊維がスクリーン表面に対して流れるべきある最適な速度範囲が存在するため、米国特許第5,000,842号のロータを実際に適用する際には、突出部の軸方向の長さを短くしている。これによって、スクリーニング用の空間における乱流のレベルが大きく変化し、それが何らかの悪影響を及ぼす。例えば、圧力パルスはスクリーン・シリンダに疲労破壊をまねく可能性がある周期的な力を与える傾向があるため、圧力パルスが強いと、スクリーン・シリンダの強度に対する要求が高くなる。これは特に、突出部がロータの一端から他端へ延び、それによって、スクリーン・シリンダが実質的に軸方向の直線状の圧力パルスを受けるときに当てはまる。第2に、突出部の前面の形によって、ロータを回転させるのに必要なエネルギーが高くなる。第3に、そうした積極的に設計された(aggressively−designed)突出部は、それらが生成する強い乱流と共に、スクリーニング動作中に繊維に損傷を与える可能性がある。第4に、積極的な突出部は、繊維懸濁液をスクリーニング装置の容量を低減する可能性がある高い周方向速度で回転させる。
厳密に又は実質的に垂直な前面を備えた突出部を有するロータについて論じている他の特許文献は、DE−A1−3911234及びDE−A1−3701669である。
実質的に円筒形のロータ表面上の突出部が、ロータ表面に垂直な前面を有していないロータの型もある。そうしたロータの構造の1つが、DE−A1−2849769に論じられており、その特許文献では、ロータはくさび形の突出部を備えている。そのドイツ特許文献の突出部は、傾斜した前面及び円筒形のロータ表面に垂直な後面から形成される。この種の突出部の動作は、先に論じた選択肢のものよりある程度緩やかである。言い換えれば、ロータの前面は、パルプを周方向と同程度に回転させる傾向はないが、パルプをスクリーン表面に向かって押す。しかし、突出部の後面がロータ表面に垂直であるため、突出部によって生成される乱流も、突出部の後ろに生成される低圧区域もきわめて強力であり、そのため、ロータを回転させるのにかなり強い力が必要になる。
DE−A1−2712715は、その形の突出部が先に論じた突出部の間のどこかに存在するロータの構造について論じている。この場合、突出部は円筒形のロータ表面に垂直な前面及び後面を有する。言及した2つの垂直な面は、傾斜した面及び円筒形のロータ表面に対して平行な面によって結合される。ロータの垂直な面により、ロータによって生成される乱流が強くなり、それはエネルギー消費量が高いこと、繊維懸濁液の回転速度が高いこと、繊維に損傷を与える可能性があること、スクリーニング装置の容量が低下することなどを意味する。
DE−A1−4028772は、基本的に円筒形の断面を有するさらに別のロータについて論じている。そのロータは、球形、すなわち米国特許第3,437,204号のような頭蓋冠の形を有する突出部、又は軸方向にロータの一端からその他端まで延びる突出部を備えている。長い突出部には2つの選択肢があり、突出部は(ロータのシリンダの半径より小さい)一定の半径を有する連続する面から形成されるか、又は複数の曲面から形成される。その文献の図面は、ロータの軸方向に位置決めされた面の間に縁部を有する2つの曲面で形成された突出部を示している。突出部は、突出部の根元部分がその中で締まりばめされる、ロータ表面を貫通する孔によってロータ表面に固定される。固定するための他の選択肢は、適切な接着剤を使用することである。突出部は、例えばポリアミドなど、軽量のプラスチック材料で製造することができる。ロータの突出部の本質的な機能は、それが軸方向に向けられ、それによって、繊維懸濁液を軸方向に押すことができなくなることにあると考えられる。さらに、文献の図面に示される突出部は、その中心線に対して対称であると考えられる。
米国特許第4,193,865号明細書 米国特許第5,547,083号明細書 欧州特許第0764736号明細書 米国特許第3,437,204号明細書 米国特許第5,000,842号明細書 独国出願公開3911234号明細書 独国出願公開3701669号明細書 独国出願公開2849769号明細書 独国出願公開2712715号明細書 独国出願公開4028772号明細書 米国特許第3,437,204号明細書
本発明の目的は、先に従来技術のロータに関連して論じた欠点の少なくとも一部を回避する、ロータ要素又は突出部、及びロータを開発することである。
本発明の他の目的は、エネルギー効率がよく、繊維に損傷を与えず、スクリーニング用のキャビティ内の繊維懸濁液に軸方向を向いた乱流を与える、すなわち、繊維懸濁液を軸方向にロータのリジェクト側の端部に向かって供給することができるロータ又はロータ要素を設計することである。さらに、ロータによって生成される圧力パルスは、きわめて穏やかであり、及び/又はパルスがスクリーン・シリンダに有害な周期的な力を与えることができないように配置される。本発明の他の目的は、ロータとスクリーン・シリンダの間の連係を最適化することによって、スクリーニング装置の容量を高めることができるロータを設計することである。
前述の目的は、添付の特許請求の範囲においてその特徴的な機能が明らかになる、新規なロータ要素及びロータ構造によって達成される。
以下の文章では、添付図面を参照して、本発明のロータ要素及びロータについてさらに詳しく論じる。
本発明の好ましい実施例によるロータ要素の上面図。 本発明の好ましい実施例によるロータ要素の長さに沿った断面を示す図。 本発明の好ましい実施例によるロータ要素の長さに沿った断面を示す図。 本発明の好ましい実施例によるロータ要素の長さに沿った断面を示す図。 本発明の好ましい実施例によるロータ要素の長さに沿った断面を示す図。 本発明の好ましい実施例によるロータ要素の長さに沿った断面を示す図。 上から見た図1a〜1fのロータ要素を示す図。 本発明のロータ要素の他の好ましい実施例を示す図。 本発明の好ましい実施例によるロータ要素/ロータとスクリーン・シリンダの組合せを概略的に示す図。 本発明によるロータ要素を利用した基本的な型のロータを概略的に示す図。 本発明によるロータ要素を利用した基本的な型のロータを概略的に示す図。
図1aには、本発明の好ましい実施例のロータ要素10を、上面図として、すなわち、半径方向にロータの外側からロータの軸に向かって見た図として示している。ロータ要素10は、ロータ本体の実質的に回転対称の、有利には円筒形の面上に、又は少なくとも1つのアームによっていわゆるフォイル・ロータのシャフトに取り付けられるように企図される。ロータ要素の軸の長さ(通常は鉛直方向)は、100〜300mm程度である。対応する方法では、ロータ要素の周方向の幅は75〜250mm程度であり、要素の最大厚さは10〜30mmの範囲である。この要素のアスペクト比は、軸方向の長さを周方向の幅で割ったものとして定義される。一般に、アスペクト比は1.0〜2.0の範囲である。(図2aにも示す)本発明のこの実施例では、ロータ要素10は、2つの長手方向の平行な縁部、すなわち前縁12及び後縁14、並びに2つの反対側の端部を備えている。ロータ要素が実質的に円筒形のロータと共に使用されるように企図される場合、前縁12および後縁14はどちらも、ロータ表面、すなわちロータ本体と接触する。
図1b〜図1fは、ロータ要素10の長手に沿って得られる5つの断面を示している。図1bは、繊維懸濁液の入口、すなわち、ほとんどの場合にはロータの上端又は頂端により近い、ロータ要素の第1の端部におけるロータ要素10の断面を示している。図1cは、要素の第1の端部からロータ要素の長さの約20〜30%の距離のところにおけるロータ要素10の断面を示している。図1dは、ロータ要素の長手のほぼ中央におけるロータ要素の断面を示している。図1eは、ロータ要素の第1の端部から約70〜80%の距離のところにおけるロータ要素の断面を示し、図1fは、ロータ要素の第2の端部における断面を示している。図1b及び図1cは、この実施例では、ロータ要素の第1の端部(すなわち2つの最上部分)で要素の断面の形が翼状であることを示している。すなわち、要素10の下面16は当然ロータ本体の曲率を有し、上面18は要素10の前縁12から要素10の後縁14へ向かって(だんだんと)湾曲が増大する。
さらに下方へ、すなわち要素の第2の端部又は底端の方へいくと、要素の中央で得られる断面(図1d)は、先に論じた断面と比べて変化している。図1dのハッチング部は、要素10の前縁12に近いロータ要素の本体部分が、先の図1b及び図1cよりも低いことを示している。要素の断面の後部は変わっていない。
さらに要素の長手の4分の1だけ下方へいくと、図1eは、要素10の前部がさらに低くなることを示している。図1fは、要素の前部が最も低くなる要素の底部を示している。図1fは、本発明のこの実施例では、要素の断面がその中心線に対して実質的に対称であることを示している。
本発明のロータ要素の形状を記述する1つの方法は、ロータ要素10が最も厚くなる、要素10の上面18におけるピーク点の位置を定めることである。本発明の好ましい実施例によれば、上記で定義されたピーク点は、要素の長手方向に沿った境界線を形成する。要素10の第1の端部又は上端では、ピーク点は実質的に要素の前縁に近く、前縁から要素の幅のわずか約15〜30%のところにある。要素の第2の端部又は下端では、ピーク点は前縁から要素の幅の約40〜60%のところにある。他の好ましい実施例によれば、曲線又は直線により上記に定義されたピーク点が連結されるが、ロータ要素の第1及び第2の端部でのピーク点の相互位置は実質的に変わらない。
ロータ要素の形状によって、本発明の目的が達成される。要素の第1の端部におけるやや急な勾配の上面は、第1の端部からさらに離れた勾配の小さい上面よりも大きい乱流を生成する。しかし、効果的なスクリーニング動作に十分な乱流を生成するために、要素の第1の端部がパルプをある一定量のエネルギーにさらさなければならないときには、乱流を維持するのにより少ないエネルギーしか必要としないことは明らかである。したがって、ロータ要素の形は、その第1の端部から離れるほど流線形にすることができる。
さらに、ロータ要素を上から見ると(図2a及び図2b)、要素の最も厚い部分であるピーク点を結ぶ直線又は曲線は、回転により、ロータ要素が、スクリーニング用のキャビティ内の繊維懸濁液を軸方向下方を向いた力成分にさらす方向に傾斜している(角度γ)ことが理解できる。図2a及び図2bは、ロータ要素の(図1b〜図1fの)上面18が、境界線20、20’によって2つの面、すなわち前縁12、12’から始まる前面22、22’、及び後縁14、14’から始まる後面24、24’にどのように分割されるかも示している。
図2aは、図1aのロータ要素をさらにやや詳しく示し、図2bは、本発明の他の好ましい実施例によるロータ要素を示している。図2bのロータ要素では、前縁及び後縁12’及び14’は実質的に軸方向ではなく、軸方向とある角度を形成している。ここですでに、ロータ要素の全体的な形によって、スクリーニングされるパルプは軸方向の力成分を受ける。しかし、そうした力成分は、境界線20’を図2aの実施例と同じロータ要素の長手方向との傾斜角(角度γ;本発明の好ましい実施例によれば、角度γは30度程度である)に配置することによって強められる。しかしながら、この構造で同じ傾斜角を用いる必要はなく、図2aの角度に比べて大きくしても小さくしてもよい。また、前縁及び後縁12’及び14’をそれぞれ平行に保つことに加えて、異なる方向に配置することも可能であり、それによって、ロータ要素の周方向の幅が要素の軸の長さに沿って変化することが可能になる。したがって、要素をその上端でより広くすることもより狭くすることもできる。さらに、ロータ要素の長手方向の縁部及び端部を、図に示したものと違って湾曲させてもよいことを理解しなければならない。さらに言及に値するものの1つは、ロータ要素の端面である。その面は、ロータの軸方向又はロータ表面に対して直角に配置することが好ましいが、ロータ表面又は軸方向に対して傾けて配置することも可能である。言い換えれば、端面は、例えばロータ表面に向かって60〜30度の角度で傾斜してもよい。
実施された試験によれば、本発明のロータ要素の形は従来技術の要素ほど極端ではないが、特にエネルギー消費量を考慮すると、本発明のロータ要素を使用する際、性能、全体的な効率、及び許容されるパルプの品質は少なくとも同等であり、ほとんどの場合において従来技術のロータに比べてずっと良好であることが示されている。例えば得られた結果の1つは、ある特定の用途では、(アクセプトの量とアクセプトの清浄度の両方を考慮すると)ある容量を得るために必要な本発明のロータの回転速度は、従来技術のロータの回転速度よりも低くなり、それによって、エネルギー消費量が低下したことである。
図3は、実質的に円筒形のロータ本体の表面28に取り付けられた、本発明の突出部又はロータ要素10の概略的な端面図を示している。ロータの回転方向は、矢印Dで示してある。図3は、ロータ表面28から距離G1のところに配置されたスクリーン・シリンダ30も示している。突出部又はロータ要素10は、幅W及び厚さTを有する。要素10は、ロータ要素10の前縁12から距離W1のところで最も厚くなる(厚さT)。ロータ要素10の上面18(スクリーン・シリンダ30に対面する面)は、境界線20によって前面22及び後面24に分割される。境界線20は、ロータ要素の面18に沿って、ロータ要素10が最も厚いピーク点を通って延びている。要素10の前面22とロータ表面の間の角度αは鋭角である。同様に、ロータ要素10の後縁14では、ロータ要素の後面24とロータ表面28の間に鋭角βが形成される。
要素の表面から(境界線20から)スクリーン・シリンダの表面までの距離は、4mm〜10mmの範囲であることが好ましい。先に論じた角度α及びβについては、要素の前縁12におけるロータ表面28との接触角度αは、(図1bに示す)頂部の断面で45〜90度の範囲である。後縁14におけるロータ表面28との接触角度βは、頂部の断面(図1b)で5〜30度の範囲である。前縁及び後縁12、14におけるロータ表面28との接触角度α及びβは、(図1fに示す)底部の断面で5〜30度の範囲である。
一方でロータ要素10の厚さ、及び他方で境界線20、20’の方向又は型については、要素の厚さが要素の長さに沿って変化してもよいことに留意しなければならない。厚さの変化は線形でもよいが、非線形でもよい。したがって、要素の第1の端部からその第2の端部に向かって厚さが増減することが可能であるが、厚さが中央領域よりも要素の端部で大きくなること、又は要素が中央領域で最も高くなることも可能である。要素の面の間の境界線20、20’は要素の最も高い部分、すなわちピーク部分を表しているため、要素の機能的な特性を要素の構造によって調節することができるように、境界線を要素の長さに沿って直線状にしても湾曲させてもよいことにも留意すべきである。例えば、境界線が要素の第1の端部の近くで要素の前縁と平行に延び、要素の第2の端部により近いところで傾斜した方向へ向きを変えることが可能である。境界線が、要素の両端で要素の前縁に対して傾斜し、要素の中央領域で平行になるようにしてもよい。また、境界線が要素の第1の端部で傾斜し、要素の第2の端部により近いところで前縁と平行になるように向きを変えてもよい。最後に、「傾斜した」という用語によって、平行な方向から両方向へ傾斜することに加えて、非線形の構成も包含されることを理解しなければならない。
図4aは、本発明のロータ要素10が実質的に(回転対称のロータの型すべてを含む)円筒形のロータ表面28の面上に位置決めされた、例示的な実施例を示している。要素10は、程度の差こそあれランダムに位置決めすること、又はより好ましくは、スクリーン・シリンダ内の前述の開口部において規則的且つ周期的な脈動を与えるように、ロータの表面28上にうまく設計されたあるパターンに従って位置決めすることが可能である。
図4bは、他の例示的な実施例として、アーム32によってロータ・シャフト34上に配置されたロータ要素10を示しているが、ロータが、ロータ要素がアームによってその上に配置される円筒形或いは回転対称の本体で形成される構造も含む。図4aで前述したように、要素は、程度の差こそあれロータ・シャフト上にランダムに配置すること、より好ましくは、スクリーン・シリンダ内の前述の開口部において規則的且つ周期的な脈動を与えるように、うまく設計されたあるパターンに配置することが可能である。
これまで、いくつかの好ましい実施例を考慮して本発明について論じ、記述してきたが、これまでの記述が、決して添付の特許請求の範囲に開示されるものによる本発明の範囲を限定すると考えるべきではないことを理解しなければならない。また、ある特定の実施例に関連して論じた様々な特定の細部を、実用上可能なときにはいつでも、本発明の他の実施例と共に使用することが可能であることも理解しなければならない。

Claims (33)

  1. パルプ製紙業用のスクリーニング装置のロータに使用するためのロータ要素において、該ロータ要素(10)が、
    2つの長手方向の縁部、すなわち第1の縁部、いわゆる前縁(12、12’)、及び第2の縁部、いわゆる後縁(14、14’)と、
    2つの対向する端部、すなわち第1の端部及び第2の端部と、
    前記第1の縁部(12、12’)と前記第2の縁部(14、14’)との間に配置された面(18)と
    を有し、前記面(18)が境界線(20、20’)によって、
    前記第1の縁部(12、12’)に起点を有する第1の面、いわゆる前面(22、22’)と、
    前記第2の縁部(14、14’)に起点を有する第2の面、いわゆる後面(24、24’)
    とに分割され、前記境界線(20、20’)と前記第1の縁部(12、12’)との距離(W1)が、前記ロータ要素(10)の前記第1の端部と前記第2の端部との間で変化することを特徴とするロータ要素。
  2. 前記距離(W1)が、前記ロータ要素(10)の前記第2の端部においてよりも、前記ロータ要素(10)の前記第1の端部において小さいことを特徴とする請求項1に記載されたロータ要素。
  3. 前記ロータ要素(10)がある厚さを有し、前記厚さ(T)が前記境界線(20、20’)で最も大きくなることを特徴とする請求項1に記載されたロータ要素。
  4. 前記ロータ要素(10)が、ロータの回転対称な表面(28)に取り付けられることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたロータ要素。
  5. 前記ロータ要素(10)が、アームによってロータの回転対称な表面に取り付けられることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたロータ要素。
  6. 前記ロータ要素(10)が、アームによってロータのシャフトに取り付けられることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたロータ要素。
  7. 前記ロータ要素(10)は、前記第1の縁部(12、12’)および前記第2の縁部(14、14’)の両方が前記ロータ表面(28)と鋭角α及びβを形成するように、ロータ表面(28)に取り付けられることを特徴とする請求項4に記載されたロータ要素。
  8. 前記第1の縁部(12、12’)における前記角度αが、前記ロータ要素(10)の前記第1の端部で45〜90°であることを特徴とする請求項7に記載されたロータ要素。
  9. 前記第2の縁部(14、14’)における前記角度βが5〜30°であることを特徴とする請求項7に記載されたロータ要素。
  10. 前記角度αが、前記ロータ要素(10)の一端から前記ロータ要素(10)の他端に向かって減少することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載されたロータ要素。
  11. 前記第1の縁部(12、12’)における前記角度αが、前記ロータ要素(10)の前記第2の端部で5〜30°であることを特徴とする請求項7又は請求項10に記載されたロータ要素。
  12. 前記第1及び前記第2の縁部(12、14)が、前記ロータの軸に平行に延びることを特徴とする請求項1又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載されたロータ要素。
  13. 前記第1及び前記第2の縁部(12’、14’)が、軸方向に対してある角度を形成することを特徴とする請求項1又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載されたロータ要素。
  14. 前記ロータ要素(10)が前記ロータの軸方向にある長さを有し、前記長さが100〜300mmであることを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載されたロータ要素。
  15. 前記ロータ要素(10)が、1.0〜2.0のアスペクト比を有することを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載されたロータ要素。
  16. 前記ロータ要素(10)が前記ロータの半径方向に最大厚さを有し、前記厚さが10〜30mmであることを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載されたロータ要素。
  17. 前記ロータ要素(10)の前記最大厚さが、前記要素(10)の長さに沿って、すなわち前記境界線(20、20’)に沿って変化することを特徴とする請求項3又は請求項16に記載されたロータ要素。
  18. パルプ製紙業用のスクリーニング装置に使用するためのロータにおいて、前記ロータが、乱流を生成するロータ要素(10)を有し、前記ロータ要素(10)が、
    2つの長手方向の縁部、すなわち第1の縁部、いわゆる前縁(12、12’)と、
    第2の縁部、いわゆる後縁(14、14’)、2つの対向する端部、すなわち第1の端部及び第2の端部と、
    前記第1の縁部(12、12’)と前記第2の縁部(14、14’)との間に配置された面(18)と
    を有し、前記面(18)が境界線(20、20’)によって、
    前記第1の縁部(12、12’)に起点を有する第1の面、いわゆる前面(22、22’)と、
    前記第2の縁部(14、14’)に起点を有する第2の面、いわゆる後面(24、24’)と
    に分割され、前記境界線(20、20’)と前記第1の縁部(12、12’)との距離(W1)が、前記ロータ要素(10)の前記第1の端部と前記第2との端部の間で変化することを特徴とするロータ。
  19. 前記距離(W1)が、前記ロータ要素(10)の前記第2の端部においてよりも、前記ロータ要素(10)の前記第1の端部において小さいことを特徴とする請求項18に記載されたロータ。
  20. 前記ロータ要素(10)が、ロータの回転対称な表面(28)に取り付けられることを特徴とする請求項18に記載されたロータ。
  21. 前記ロータ要素(10)が、アームによってロータの回転対称な表面に取り付けられることを特徴とする請求項18に記載されたロータ。
  22. 前記ロータ要素(10)が、アーム(32)によってロータのシャフト(34)に取り付けられることを特徴とする請求項18に記載されたロータ。
  23. 前記ロータ要素(10)は、前記第1の縁部(12、12’)および前記第2の縁部(14、14’)の両方が前記ロータ表面(28)と鋭角α及びβを形成するように、ロータ表面(28)に取り付けられることを特徴とする請求項20に記載されたロータ。
  24. 前記第1の縁部(12、12’)における前記角度αが、前記ロータ要素(10)の前記第1の端部で45〜90°であることを特徴とする請求項23に記載されたロータ。
  25. 前記第2の縁部(14、14’)における前記角度βが5〜30°であることを特徴とする請求項23に記載されたロータ。
  26. 前記角度αが、前記ロータ要素(10)の一端から前記ロータ要素(10)の他端に向かって減少することを特徴とする請求項23又は請求項24に記載されたロータ。
  27. 前記第1の縁部(12、12’)における前記角度αが、前記ロータ要素(10)の前記第2の端部で5〜30°であることを特徴とする請求項23又は請求項26に記載されたロータ。
  28. 前記第1及び前記第2の縁部(12、14)が、前記ロータの軸に平行に延びることを特徴とする請求項18から請求項27までのいずれか1項に記載されたロータ。
  29. 前記第1及び前記第2の縁部(12’、14’)が、軸方向に対してある角度を形成することを特徴とする請求項18から請求項27までのいずれか1項に記載されたロータ。
  30. 前記要素(10)が前記ロータの軸方向にある長さを有し、前記長さが100〜300mmであることを特徴とする請求項18から請求項29までのいずれか1項に記載されたロータ。
  31. 前記要素(10)が、1.0〜2.0のアスペクト比を有することを特徴とする請求項18から請求項30までのいずれか1項に記載されたロータ。
  32. 前記要素(10)が前記ロータの半径方向に最大厚さを有し、前記厚さが10〜30mmであることを特徴とする請求項18から請求項31までのいずれか1項に記載されたロータ。
  33. 前記要素(10)の前記最大厚さが、前記要素(10)の長さに沿って、すなわち前記境界線(20、20’)に沿って変化することを特徴とする請求項32に記載されたロータ。
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