JPH0380997B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は円錐様回転面の外周に軸方向に螺旋形
に板状の一枚の円錐ねじ羽根の翼を有する一枚翼
羽根車ポンプに関する。

「従来の技術」 汚水、汚物、パルプ液等の移送用ポンプとして
は固形物、繊維物質等の異物が詰つたり、引つ掛
かつたりすることのない無閉塞性のポンプが要求
される。この種のポンプとしては一枚又は小数枚
の翼を持つ羽根車を備えたものがある。

従来例としては第６図、第７図に示す母線が直
線の円錐形回転面をなすポンプケーシング４とね
じ羽根の翼２２の外縁２２ａの回転面が同円錐形
回転面の羽根車を備えたものがある（特公昭43−
15006号公報）。この公知例のポンプは円錐形の第
一のハブ２１に第一のハブ２１の軸に対し角度が
ずれている第二のハブ２７を備えて第一、第二の
ハブ２１，２７を取巻き第二の軸のずれたハブ２
７から軸方向に上流に延びた略一定の厚みをもつ
た単一の連続した螺旋形の板状の翼２２を備えた
羽根車がケーシング４中に〓間少く納められてい
る。

翼２２は第７図のようにポンプ軸の中心線３か
ら内側の線が案内端２５に螺旋形に形成されると
共に外縁２２ａがポンプケーシング４の円錐形の
内周に沿つて螺旋形に形成されている。このよう
な第一のハブ２１の頂点から吸込口６側に向つて
のびる羽根車先端部は第二のハブ２７の周囲に形
成されている。又翼２２は円錐形ハブ２１に対し
て法線方向に形成されていると認められる。

「発明が解決しようとする課題」 この種のポンプではねじ羽根の翼の根本を第一
ハブ２１の先端で終らせた後翼２２を第一ハブ２
１より先に出すことによりポンプ性能の向上が認
められる一方、このように第二のハブ２７を延出
してねじ羽根の翼先端部を補強しなければならず
このように補強したとしてもねじ羽根先端部は弱
く、剛性は低く振動を発生する原因となる。

本発明はポンプ性能を損うことなく従来例にあ
るような強度、剛性上の問題点を解決し得るよう
な一枚翼の無閉塞性ポンプを得ることを目的とす
るものである。

「課題を解決するための手段」 本発明は吸込口と吐出ケーシング間が円錐様回
転面をなしたポンプケーシングに、回転すること
による外縁の回転面がポンプケーシングの円錐様
回転面に〓間少なく接近する円錐様をなしたねじ
羽根の翼を円錐様ハブに形成した羽根車をケーシ
ング内にて回転可能に支持した一枚翼羽根車ポン
プにおいて、吸込側翼根本を円錐様ハブ頂点の近
傍にて終らせ、吸込口側翼根本終点をとおり、ポ
ンプ軸の中心線に直角な平面上に画いた吸込口側
翼根本終点とポンプ軸中心線を結ぶ半径方向の直
線よりも、該平面上に投影した吸込口側翼端を表
わす線が吸込口側より見て羽根車が回転する方向
に関し、前進する方向で外周側が突出するように
傾いた一枚翼羽根車ポンプである。

「実施例」 以下、図面に従つて本発明の実施例について説
明する。第１図は本発明のポンプ軸を含む縦断面
図である。ポンプケーシング４は吸込口６が一体
に形成せられ、吸込口６側を小端として内周は直
線又は曲線もしくはそれらを組合せた母線をポン
プ主軸３′を中心にして回転させた円錐様形状で
あり、ポンプケーシング４の大端には吐出ケーシ
ング７が固定され、吐出ケーシング７に軸方向移
動を制止され、回転可能に軸承され軸封（説明は
省略する）されたポンプ主軸３′には羽根車１の
円錐様ハブ８がポンプ主軸３′の締り勝手方向に
なるようにねじ込まれている。円錐様ハブ８は母
線が直線又は曲線又はそれらを組合せた回転曲面
であり、ポンプケーシング４との間の流体通路が
適当になるように選ばれている。

円錐様ハブ８には円錐様ハブ８に翼２の根本２
ｂで接続するねじ羽根の翼２が一体に形成せられ
ている。ここでねじ羽根の翼２は通常のねじ羽根
に構成せられている。例えば円錐様ハブ８が円錐
形の場合で、その母線に対して例えば円錐形ハブ
の外周上に立てた法線上に翼２があるように、或
は該法線に対して一定角度軸方向に傾けた線上に
あるようにし、リード一定で設けるようにしても
よい。或は翼２の円錐様ハブの母線に対する軸方
向傾き角を連続して可変としてもよく、更に又、
リードを可変としてもよい。要するに翼２を形成
するねじ羽根形状は何れでもよい。翼２の吸込口
６の側の翼２の根本２ｂは円錐様ハブ８の頂点１
６近傍で終つている。翼２の外縁２ａはポンプケ
ーシング４の内周面と〓間少ない位置にある直線
又は曲線もしくはこれらを組合せた母線を有する
軸３′を中心とする回転曲面上にある。翼２の根
本２ｂが吸込口６側で終る点と、翼２の外縁２ａ
が吸込口６側で終る交点１２を結ぶ吸込口側の翼
端５は翼根本２ｂが円錐様ハブ８の頂点１６近傍
で終る位置より吸込口６側に向い、その吸込口６
側から見た正面図は第２図の如くなる。

第２図は翼２の先端中心部の拡大正面図であ
る。円錐様ハブ８と翼２の根本２ｂは中心線３
（紙面に直交している）近傍にて終つている。即
ち、翼根本２ｂを吸込口６側で円錐様ハブ８の頂
点１６近傍にて終らせる。この点を吸込口側翼根
本終点１５とする。それとともに、翼２の吸込側
翼端５を、吸込口６の側から見て、吸込口側翼根
本終点１５とポンプ軸中心線３とを結ぶ半径方向
の直線１０に対し吸込側翼端５の外周側が羽根車
１の回転する方向に関し、前進する方向で外周側
が突出するように配置する。この実施例では吸込
側翼端５は吸込口６の側から見て、吸込口側翼端
根本終点１５より外縁２ａに向うにつれて半径方
向の直線１０より次第に離れて行くような曲線を
なしている。

これは曲率が大きいときは直線に代えてもよい
が後に説明される流体の流れを中心に向けるよう
に図のような中心より離れるに従つて切線角γが
次第に大となる曲線が望ましい。中心線３と、翼
端５と翼２の外縁２ａとの交点１２とを結ぶ線と
半径方向の直線１０が中心線３に張る角αは図示
実例の大きさである。

尚、上記の関係は該吸込口側翼根本終点１５が
限りなく円錐様ハブ８の頂点１６に近ずいた近傍
においても同様に成立つものである。

第３図は羽根車１の略正面図である。図におい
て説明のため中心線３を原点としてＸ，Ｙ座標軸
を設けてある。今、翼２の厚さを同一とすると、
右上を第一象限として左回りに見て第三、第四象
限の翼２の各部を中心線３をとおる直線について
対抗した中心線３についての一次モーメントは明
かに第三象限、第四象限の翼２が小さい。従つて
翼厚が一定とすると不平衡重量を生ずる。そこで
この実施例では第３図に示され、又翼２の展開し
た外縁２ａ側より見た第４図に示されるように中
心線３について一次モーメントが等しくなるよう
に第三、第四象限にある翼２の翼厚を変化させて
ある。この翼２の肉厚を厚くする部分は第４図に
誇張して示されるように翼２の裏側１３であつて
流体に作用する表側は流体力学的に適する面とし
ておく。

第１図に於いて、羽根車１が回転すると固形
物、繊維物質等の異物を含んだ液体は吸込口６よ
り吸込まれ、ポンプケーシング４中で翼２と円錐
様ハブ８の空間を移動して吐出ケーシング７に送
られ吐き出される。

この際、流体中の繊維状の異物は回転する翼２
に翼端５にて一旦引つ掛かる場合があるが、第５
図の説明図の矢印１４で示される様に翼端５に引
つ掛かつた繊維状の異物は翼端５外周から中心線
３の方向に押し流される。何故なら、第２図に示
される如く、翼端５は半径方向直線１０より回転
方向に関し前進した方向に傾いて居り、更に、一
般公知の例のように第５図の説明図に示される様
に翼端５はポンプの中心線３に沿つて吸込口６の
方向に傾いているので、流体の羽根車１への流入
方向、即ち、中心線３方向への流体の流れの力が
翼端５に引つ掛かつた繊維状物質に、第２図に示
す翼端５の形状に沿つて外周から中心線３方向に
沿つて押し流そうとする力として作用するからで
ある。

円錐様ハブ８の頂点１６は第５図に示されては
いるが翼２の根本２ｂの厚さにより実際には無
く、翼端５は円錐様ハブ８に滑らかに連続してい
るから回転中心線３方向に押し流された繊維状物
質は翼２と円錐様ハブ８及びポンプケーシング４
間の空間に障害なく入る。かくして固形物や繊維
状物質を含む流体も翼２外縁２ａとポンプケーシ
ング４の円錐様回転曲面間の狭い間〓に詰まるこ
となく送り出される。

従つて、本実施例のポンプに於いては翼２外縁
２ａとポンプケーシング４内周とが〓間なく接近
しているため流体の漏洩損失も少なくポンプ効率
も良好である。

若し、第２図で示す如く、翼端５が半径方向の
直線１０よりも回転方向に前進していないならば
翼端５に引つ掛かつた繊維状物質は引つ掛かつた
状態のまま運転されるか、翼２の外縁２ａの回転
面とポンプケーシング４の円錐様回転面の〓間に
詰つてしまう。そうでなければ繊維状物質が詰ら
ない様翼２の外縁２ａの回転面とポンプケーシン
グ４の円錐様回転面の〓間を広げ漏洩損失の増
加、即ち、ポンプ効率を犠牲にせざるを得ないの
である。

〔発明の効果〕

本発明は吸込口と吐出ケーシング間が円錐様回
転面をなしたポンプケーシングに、回転すること
による外縁の回転面がポンプケーシングの円錐様
回転面に〓間少なく接近する円錐様をなしたねじ
羽根の翼を円錐様ハブに形成した羽根車をケーシ
ング内にて回転可能に支持した一枚翼羽根車ポン
プにおいて、吸込側翼根本を円錐様ハブ頂点の近
傍にて終らせ、吸込口側翼根本終点をとおり、ポ
ンプ軸の中心線に直角なな平面上に画いた吸込口
側翼根本終点とポンプ軸中心線を結ぶ半径方向の
直線よりも、該平面上に投影した吸込口側翼端を
表わす線が吸込口側より見て羽根車が回転する方
向に関し、前進する方向で外周側が突出するよう
に傾いた一枚翼羽根車ポンプとしたから、繊維状
物質が吸込口側翼端に引つ掛かつても円錐様ハブ
頂点に向い閉塞することがない。翼は根本が円錐
様ハブ先端近傍にて終つているので強固で剛性が
あり、翼自体振動し難い。又、実施例は翼厚を不
平衡重量をなくするよう変化させたから、従来の
一枚翼の羽根車のようにある決つた外径のもので
のみバランスして居り、ポンプ要項（流量、揚
程）が変つた場合、通常の遠心ポンプの羽根車の
ように外径加工ができず（不平衡重量が生ずる）、
ベルト駆動等の回転数変換に頼らざるを得ないと
いう点がなくなり応用範囲が広くなつた。即ち、
本発明の一枚翼羽根車ポンプの実施例では翼出口
端を切削しても或る範囲には平衡がほぼ保たれて
いるので上述したように回転数を変えて対応しな
ければならないということがなくなつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例の縦断面図、第２図は
第１図の一部拡大正面図、第３図は第１図の一部
正面図、第４図は翼の展開図、第５図は第１図で
ポンプ中心線を含み翼を周方向に向つて一平面に
投影して示す縦断面図、第６図は従来例の縦断面
図、第７図は第６図の正面図である。 １……羽根車、２……翼、２ａ……外縁、２ｂ
……根本、３……中心線、３′……ポンプ主軸、
４……ポンプケーシング、５……翼端、６……吸
込口、７……吐出ケーシング、８……円錐様ハ
ブ、１０……半径方向の直線、１２……交点、１
３……裏側、１４……矢印、１５……吸込口側翼
根本終点、１６……円錐様ハブ頂点、２１……円
錐形の第一のハブ、２２……翼、２２ａ……外
縁、２５……案内端、２７……第二のハブ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 吸込口６と吐出ケーシング７間が円錐様回転
   面をなしたポンプケーシング４に、回転すること
   による外縁２ａの回転面がポンプケーシング４の
   円錐様回転面に〓間少なく接近する円錐様をなし
   たねじ羽根の翼２を円錐様ハブ８に形成した羽根
   車１をケーシング内にて回転可能に支持した一枚
   翼羽根車ポンプにおいて、吸込側翼根本２ｂを円
   錐様ハブ頂点の近傍にて終らせ、吸込口側翼根本
   終点１５をとおり、ポンプ軸の中心線３に直角な
   平面上に画いた吸込口側翼根本終点１５とポンプ
   軸中心線を結ぶ半径方向の直線１０よりも、該平
   面上に投影した吸込口側翼端５を表わす線が吸込
   口６側より見て羽根車１が回転する方向に関し、
   前進する方向で外周側が突出するように傾いた一
   枚翼羽根車ポンプ。