JP2010521190A - 1,2−プロパンジオールの製造に有用な、代謝的に操作された微生物 - Google Patents

1,2−プロパンジオールの製造に有用な、代謝的に操作された微生物 Download PDF

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Abstract

ジヒドロキシアセトンリン酸から1,2−プロパンジオールへの生合成経路の活性の改良、およびグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼの活性の減弱によって特徴づけられる、炭素源からの1,2−プロパンジオールの製造に有用な微生物。本発明はまた、本発明の微生物を用いた発酵により1,2−プロパンジオールを製造する方法に関する。

Description

発明の背景
本発明は1,2−プロパンジオールの製造のための代謝的に操作された微生物およびその使用に関する。
C3ジアルコールである1,2−プロパンジオールすなわちプロピレングリコールは、広く用いられている化学物質である。これは、不飽和ポリエステル樹脂、液体洗剤、冷却剤、不凍剤および航空機の徐氷液の成分である。プロピレングリコールは、プロピレン誘導体より有毒であると認識されているエチレン誘導体の代わりとして1993〜1994年以来、使用が増えてきた。
1,2−プロパンジオールは現在、大量の水を消費するプロピレンオキシド水和法を用いた化学的手段により製造されている。プロピレンオキシドは、一方はエピクロロヒドリンを用い、他方はヒドロペルオキシドを用いる2つの方法のいずれかよって製造することができる。両経路とも、毒性が強い物質を用いる。さらに、ヒドロペルオキシド経路は、tert−ブタノールおよび1−フェニルエタノールなどの副生成物を生じる。プロピレンの産生を有利にするためには、これらの副生成物の用途を見出さなければならない。この化学的経路は一般的にラセミ1,2−プロパンジオールを生成するが、2つの立体異性体(R)1,2−プロパンジオールおよび(S)1,2−プロパンジオールはそれぞれ、ある特定の適用に関して注目されるものである。
これら1,2−プロパンジオールの製造のための化学法の欠点は、生合成を魅力的な選択肢とする。微生物による糖からの1,2−プロパンジオールの天然生産に関して2つの経路が同定されている。
1つ目の経路では、6−デオキシ糖(例えば、L−ラムノースまたはL−フコース)がジヒドロキシアセトンリン酸および(S)−ラクトアルデヒドに開裂され、さらに(S)−1,2−プロパンジオールへと還元することができる(Badia et al, 1985)。この経路は大腸菌(E. coli)で機能するものの、デオキシヘキソースのコストが高いために経済上実現可能な方法をもたらすことはできない。
2つ目の経路は、解糖経路、次いでメチルグリオキサール経路を介した汎用糖(例えば、グルコースまたはキシロース)の代謝である。ジヒドロキシアセトンリン酸はメチルグリオキサールへ変換され、これがラクトアルデヒドまたはアセトールのいずれかへ還元することができる。その後、これら2つの化合物は2回目の還元を受け、1,2−プロパンジオールを生じ得る。この経路は、クロストリジウム・スフェノイデス(Clostridium sphenoides)およびサーモアナエロバクター・サーモサッカロリチカム(Thermoanaerobacter thermosaccharolyticum)などの天然(R)−1,2−プロパンジオール生産株によって用いられている。クロストリジウム・スフェノイデスは、リン酸制限条件下、1.58g/lの力価で1,2−プロパンジオールを産生するために用いられている(Tran Din and Gottschalk, 1985)。また、サーモアナエロバクター・サーモサッカロリチカムも、1,2−プロパンジオールの生産に関して検討されてきた(Cameron and Cooney, 1986, Sanchez-Rivera et al, 1987)。得られた最高性能は力価9g/lであり、0.2g/gのグルコースからの収率であった。しかしながら、これらの生物で得られる性能の改良は、利用可能な遺伝的手段が不足しているために限られていると思われる。
先行技術
Cameron et al (1998)は、糖の1,2−プロパンジオールへの変換に関して代謝操作するためのプラットフォームとしての使用を検討した。彼らの理論分析は、現実的な生成物収率の上限(質量バランスと増殖のためのエネルギーの生産を考慮)は培養条件によって著しく異なる。嫌気性条件下では、減少した補因子を再循環させるために副生成物として酢酸が生成され、最良の収率はグルコース1モル当たり1,2−プロパンジオール1モル(0.42g/g)に限定されるはずである。好気性条件下では、補因子の再循環は末端電子受容体として酸素を用いる呼吸鎖によって確保されるはずであり、副生成物を生じずに1,2−プロパンジオールを生産することが可能となる。これらの条件下では、収率は良くて1.42mol/mol(0.6g/g)に達し得る。Cameron et alは、1,2−プロパンジオールの最大力価を考慮して、生成物および副生成物の毒性へのその依存を考察した。1,2−プロパンジオールは1,3−プロパンジオールよりも著しく毒性が低く、大腸菌(E. coli)は100g/l 1,2−プロパンジオールで、0.5/時の増殖速度の残存を示す。この増殖の阻害は、増殖阻害性が高いことが知られている副生成物の酢酸によるものである可能性が高い。高い力価および収率で1,2−プロパンジオールを製造するための嫌気性プロセスの開発では、この酢酸の問題に取り組まなければならない。酢酸の、阻害性がより低く、in situで容易に除去できるアセトンへの変換が提案されている(WO2005/073364)。
単純炭素源を用いて1,2−プロパンジオール生産株を得るための大腸菌の遺伝的改変に関するいくつかの検討がCameronのグループ(Cameron et al, 1998, Altaras and Cameron, 1999, Altaras and Cameron, 2000)およびBennettのグループ(Huang et al, 1999, Berrios-Rivera et al, 2003)によって行われた。これらの研究は、一方では、ジヒドロキシアセトンリン酸から1,2−プロパンジオールへの経路における1つ、またはいくつかの酵素活性に頼り、他方では、宿主株におけるNADHおよび炭素消費経路の除去に頼るものである。Cameronのグループによって得られた最良の結果は、嫌気的フラスコ培養における1.4g/lの1,2−プロパンジオールの生産であり、グルコース消費1g当たり0.2gの収率であった。嫌気性流加発酵槽に外挿すると、生産量は1,2−プロパンジオール4.5g/lであり、グルコース1g当たり0.19gの収率であり、それらの理論的期待値からかけ離れていた。これらの性能は、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子(ldhA)を欠いた株における、大腸菌のメチルグリオキサールシンターゼ遺伝子(mgs)、大腸菌のグリセロールデヒドロゲナーゼ遺伝子(gldA)および大腸菌の1,2−プロパンジオールオキシドレダクターゼ遺伝子(fucO)の過剰発現を用いて得られたものである。力価および収率は低いが、同じアプローチを用いて得られた結果が米国特許第6,087,140号、同第6,303,352号およびWO98/37204にも記載されている。
Bennettのグループも、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)由来のmgs遺伝子および大腸菌由来のgldA遺伝子の過剰発現のためにldhA欠損大腸菌宿主株を用いた。嫌気条件下でのフラスコ培養では力価1.3g/lおよび収率0.12g/gであったが、微好気培養では力価1.4g/lであり、収率は0.13g/gであった。
この段階では、これらの結果は全て、T.サーモサッカロリチカム種で得られたものほど良くはない。
大腸菌(E. coli)における解糖経路を介したグルコースの異化作用は、フルクトース1,6ビスリン酸の開裂後に、ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)とグリセルアルデヒド3リン酸の2種類のトリオースリン酸分子をもたらす。これら2種類のトリオースリン酸分子はトリオースリン酸イソメラーゼ活性によって相互変換され得る。一般に、DHAPはGA3Pへ変換され、グルコースに起源するこの2つのGA3Pがさらに異化されると認識されている。
グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDHとも呼ばれる)は、グルコースの、ピルビン酸への解糖変換に関与する重要な酵素の1つである。GAPDHは次の反応を触媒する:
グリセルアルデヒド3−リン酸+リン酸+NAD→1,3−ビスホスホグリセレート+NADH+H
この酵素をコードする遺伝子は1983年に大腸菌でクローニングされており(Branlant et al., Gene., 1983)、「gap」と命名された。その後、同じ酵素活性を有する生成物をコードする別の遺伝子が同定され、gapBと命名された(Alefounder et al., Microbiol., 1987)。gapAおよびgapB遺伝子を欠いた大腸菌株を特性決定したところ、gapAは解糖に不可欠であるが、gapBは無くてもよいことが示された(Seta et al., J. Bacter., 1997)。特許出願WO2004/033646では、発酵によるグルコースからの1,3−プロパンジオールの生産に関して、gapA遺伝子がダウンレギュレートされた微生物が報告されている。
本発明者らは、1,2−プロパンジオール収量の増大を得るには、
・1,2−プロパンジオールの生合成経路の活性化の増強と
・GAPDH活性の減弱
の、2つの因子の組合せが必要であることを示した。
発明者らはまた、細胞内ホスホエノールピルビン酸濃度の増加または選択的糖輸送系の使用が、微生物の発酵による1,2−プロパンジオール生産をさらに押し上げることがきできることを示す。
本発明は、炭素源からの1,2−プロパンジオールの製造に有用な微生物に関し、該微生物は、
a)ジヒドロキシアセトンリン酸から1,2−プロパンジオールへの生合成経路の活性の増強、および
b)グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼの活性の減弱
によって特徴づけられる。
DHAPから1,2−プロパンジオールへの生合成経路の活性の向上は、該生合成経路に関与する少なくとも1つの酵素の活性を増強することによって得られる。これは、該酵素をコードする遺伝子の発現、特に、mgsA、yqhD、yafB、ycdW、yqhE、yeaE、yghZ、yajO、tas、ydjG、ydbC、gldAおよびfucOから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を増強することによって得ることができる。好ましくは、3つの遺伝子mgsA、yqhDおよびgldAの発現が増強される。
本発明のさらなる態様において、Entner-Doudoroff経路がedd遺伝子またはeda遺伝子のいずれか、または双方を欠失させることによって削除される。さらに、メチルグリオキサールからの乳酸の合成に関与する酵素をコードする遺伝子(gloA、aldA、aldBなど)、ピルビン酸からの乳酸の合成に関与する酵素をコードする遺伝子(ldhA)、ギ酸の合成に関与する酵素をコードする遺伝子(pflA、pflB)、エタノールの合成に関与する酵素をコードする遺伝子(adhE)および酢酸の合成に関与する酵素をコードする遺伝子(ackA、pta、poxB)を欠失させることにより不要な副生成物の合成が減弱される。
利用可能なグリセルアルデヒド3リン酸の一部を酵素トリオースリン酸イソメラーゼの作用を介して1,2−プロパンジオールの合成へ向け直すためには、グリセルアルデヒド3リン酸活性が減弱される。そして、グルコースに対する1,2−プロパンジオールの収量は、1モル/モルより高くなり得る。しかしながら、ホスホエノールピルビン酸(PEP)の生産の低減のために、PEP依存性糖移入系は負の影響を受ける。従って、本発明の一態様では、galPによりコードされているもののようなPEPとは独立の糖移入を用いるか、または糖ホスホトランスフェラーゼ系に、より多くのPEPを供給するかのいずれかによって、糖移入効率が高められる。これは、ピルビン酸キナーゼ(pykAおよびpykF遺伝子によりコードされている)のようなPEPを消費する経路を除去することにより、かつ/または例えばPEPシンターゼをコードするppsA遺伝子を過剰発現させることによるなど、PEPの合成を促進することにより得られる。
さらに、ピルビン酸をアセチル−coAに変換する酵素が、嫌気性条件下で見られる高濃度のNADHに耐性があることも有用である。これはlpd遺伝子の特異的突然変異により得ることができる。最後に、アセトールの1,2−プロパンジオールへの還元のためのNADHを節約するために、arcA遺伝子およびndh遺伝子を欠失させることができる。
1,2−プロパンジオールの製造に用いる微生物は細菌、酵母および真菌から選択されるが、好ましくは、大腸菌またはクロストリジウム・アセトブチリカム種に由来する。
本発明の目的はまた、適切な増殖培地で改変微生物を培養すること、および生成した1,2−プロパンジオールを回収および精製することによる1,2−プロパンジオールの製造方法を提供することである。
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付図面は本発明を例示し、その説明とともに本発明の原理を説明にするのに役立つ。
炭水化物からの1,2−プロパンジオール生産系の開発における中枢代謝の遺伝子工学を示す。
発明の具体的説明
本明細書において、特許請求の範囲および明細書の解釈に以下の用語を用いることができる。
本発明によれば、「培養」、「増殖」および「発酵」とは、単純炭素源を含有する適切な増殖培地での細菌の増殖を表すために互換的に用いられる。
本発明において「炭素源」とは、微生物の正常な増殖を支えるために当業者が使用可能ないずれの炭素源も表し、ヘキソース、ペントース、単糖類、二糖類、オリゴ糖、デンプンまたはその誘導体、ヘミセルロース、グリセロールおよびそれらの組合せであり得る。
「1,2−プロパンジオールの製造に有用な」とは、その微生物が目的の生成物を、好ましくは発酵により生産することを表す。発酵は、好気性、微好気性または嫌気性条件下で実施可能な従来のプロセスである。
「酵素の活性の減弱」とは、改変前の始原株の活性に比べた、改変株での目的酵素の活性の低下を指す。当業者ならば、この結果を得るための多数の手段を知っている。可能性のある例としては、
・その遺伝子への、この遺伝子の発現レベルまたはコードされているタンパク質の活性のレベルを低下させる突然変異の導入、
・その遺伝子の天然プロモーターの、より低い発現をもたらす強度の低いプロモーターでの置換、
・対応するメッセンジャーRNAまたはタンパク質を脱安定化するエレメントの使用、
・発現が全く望まれないならば、その遺伝子の欠失
が挙げられる。
「発現」とは、その遺伝子の産物である、対応するタンパク質の生成をもたらす遺伝子配列の転写および翻訳を指す。
有利には、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼの活性は、同じ条件下で非改変株で見られる活性の30%未満、より好ましくは10%未満である。
「ジヒドロキシアセトンリン酸から1,2−プロパンジオールへの生合成経路の活性の増強」とは、この経路に含まれる少なくとも1つの酵素活性が増強されることを意味する(下記参照)。
有利には、本発明の微生物は、ジヒドロキシアセトンリン酸から1,2−プロパンジオールへの生合成経路に関与する少なくとも1つの酵素の活性を増強するように遺伝子操作される。
好ましくは、酵素の活性の増強は、該酵素をコードする遺伝子の発現を増強することにより得られる。
目的遺伝子の過剰発現を得るためには、当業者であれば、
・内因性プロモーターの、より強力なプロモーターでの置換
・微生物への、目的遺伝子を運ぶ発現ベクターの導入
・目的遺伝子の付加的コピーの、染色体への導入
などの種々の方法を知っている。
現在、いくつかの技術が細菌株にDNAを導入するために用いられている。好ましい技術はエレクトロポレーションであり、当業者のよく知られている。
有利には、mgsA、yafB、yeaE、yghZ、yqhE、yqhD、ydhF、ycdW、yajO、ydjG、ydbC、tas、gldAおよびfucOから選択される少なくとも1つの目的遺伝子が過剰発現される。
mgsA遺伝子は、DHAPのメチルグリオキサールへの変換を触媒するメチルグリオキサールシンターゼをコードしている。遺伝子yafB、yeaE、yghZ、yqhE、yqhD、ydhF、ycdW、yajO、ydjG、ydbC、tasは、メチルグリオキサールをアセトールへ変換可能な酵素活性をコードしている。gldA遺伝子は、アセトールの1,2−プロパンジオールへの変換を触媒するグリセロールデヒドロゲナーゼをコードしている。fucO遺伝子は、ラクトアルデヒドの1,2−プロパンジオールへの変換を触媒する1,2−プロパンジオールオキシドレダクターゼをコードしている。
好ましい微生物は、特に注目される3つの遺伝子:mgsA、yqhDおよびgldAの過剰発現をもたらす改変を有する。
好ましくは、本発明の微生物において、Entner-Doudoroff経路に関与する少なくとも1つの遺伝子が減弱される。Entner-Doudoroff経路は、解糖の他に、グルコースをグリセルアルデヒド3リン酸とピルビン酸に分解する別の方法を提供する。Entner-Doudoroff経路の減弱は、ほとんどの、または良ければ全てのグルコースが解糖により分解され、1,2−プロパンジオールの製造に利用されることを保証する。
特に、この経路の2つの遺伝子eddまたはedaの少なくとも1つが減弱される。
本発明において「遺伝子の発現の減弱」とは、遺伝子の発現の部分的なまたは完全な抑制を表し、その後、それは「減弱された」と言われる。この発現の抑制は、その遺伝子の活性化機構の抑制、その遺伝子の発現の阻害、その遺伝子発現に必要なプロモーター領域の全てもしくは一部の欠失、またはその遺伝子のコード領域の欠失のいずれかであり得る。好ましくは、遺伝子の減弱は本質的にその遺伝子の完全な欠失であり、その遺伝子は、本発明の株の同定、単離および精製を助ける選択マーカー遺伝子で置換することができる。遺伝子は、Datsenko, K.A. & Wanner, B. L. (2000) "One-step inactivation of chromosomal genes in Escherichia coli K- 12 using PCR products". Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97: 6640-6645に記載されているように、好ましくは、相同組換えの技術によって不活性化される。
好ましくは、本発明の微生物では、メチルグリオキサールの乳酸への変換に関与する少なくとも1つの酵素が減弱される。この減弱の目的は、利用可能なメチルグリオキサールが本質的に1,2−プロパンジオールの合成のために細胞機構によって用いられるというものである(図1参照)。
メチルグリオキサールの乳酸への変換に関与する遺伝子は、特に、
・メチルグリオキサールからのラクトイルグルタチオンの合成を触媒するグリオキサラーゼIをコードするgloA遺伝子などの、グリオキサラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、
・ラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ((S)ラクトアルデヒドからの(S)乳酸の合成を触媒する)をコードするaldAおよびaldB遺伝子
である。
これらの1以上の遺伝子の発現が始原株において減弱されることが有利である。好ましくは、gloA遺伝子が完全に欠失される。
本発明の微生物において、乳酸、エタノールおよびギ酸などの副生成物の合成に関与する少なくとも1つの酵素が減弱されることが好ましい。
特に、ピルビン酸からの乳酸の合成を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子ldhA、およびアセチル−CoAからのエタノールの合成を触媒するアルコール−アルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子adhEを減弱することが有利である。
同様に、アセチル−CoAとギ酸の代わりに、ピルビン酸から、アセチル−CoA CO2とNADHを生産するために微生物にピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体を使用させることもできる。これは、ピルビン酸ギ酸リアーゼをコードする遺伝子pflAおよびpflBを減弱することによって達成することができる。
本発明の別の特定の実施態様では、副生成物である酢酸の合成が、その合成に関与する少なくとも1つの酵素を減弱することにより妨げられる。1,2−プロパンジオールの生産を至適化するためにはこのような酢酸合成を回避することが好ましい。
酢酸の生産を妨げるためには、ackA、ptaおよびpoxBから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現を減弱するのが有利である。これらの遺伝子は全て、異なる酢酸生合成経路(図1参照)に関与する酵素をコードしている。
好ましくは、本発明の微生物において、糖移入の効率が高められる。gapA遺伝子発現の強い減弱はGAPDH反応において50%を超える炭素フラックスの低下をもたらし、この結果、移入グルコース1モル当たり1モル未満のホスホエノールピルビン酸(PEP)が合成される。移入はグルコース6リン酸を生じるPEPからグルコースへのホスホ転移と結びついていることから、PEPは、細胞への単純糖の移入に通常用いられる糖ホスホトランスフェラーゼ系(PTS)により必要とされる。よって、PEP量を減らすと、糖移入に負の影響が及ぶ。
本発明の特定の実施態様では、糖はホスホエノールピルビン酸とは独立の糖移入系によって微生物に移入され得る。リン酸化を含まない遺伝子galPによりコードされているガラクターゼ−プロトン共輸送体が利用可能である。この場合、移入したグルコースは、glk遺伝子によりコードされているグルコースキナーゼ活性によってリン酸化されなければならない。この経路を促進するために、galPおよびglkから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現が増強される。結果として、PTSは分配可能となり、ptsH、ptsIまたはcrrから選択される少なくとも1つの遺伝子を減弱することによって排除することができる。
本発明の別の特定の実施態様では、糖ホスホトランスフェラーゼ系(PTS)の効率が、代謝産物ホスホエノールピルビン酸のアベラビリティーを高めることによって増強される。gapA活性の減弱およびピルビン酸へ向かう炭素フラックスのために、本発明の改変株におけるPEPの量は限定され、細胞へ輸送されるグルコースの量が少なくなり得る。
微生物株においてPEPのアベラビリティーを高めるために使用可能な様々な手段がある。特に、PEP→ピルビン酸の反応を減弱する手段がある。好ましくは、この結果を得るために前記の株においてピルビン酸キナーゼ酵素をコードするpykAおよびpykFから選択される少なくとも1つの遺伝子が減弱される。PEPのアベラビリティーを高める別法は、この酵素の活性を高めることによってホスホエノールピルビン酸シンターゼにより触媒されるピルビン酸→PEPの反応に有利になるようにすることである。この酵素はppsA遺伝子によりコードされている。よって、好ましくは、この微生物において、ppsA遺伝子の発現が好ましくは増強される。両改変が微生物に同時に存在してもよい。
特に嫌気性または微好気性条件下で、ピルビン酸をアセチル−coAへ変換するピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDC)がNADHによる阻害に対して低い感受性を有することが有利である。より低い感受性とは、非改変酵素の感受性に対して定義される。このような特徴は、酵素のタンパク質配列においてアラニン55のバリン残基による置換をもたらす、lpd遺伝子(PDCのサブユニットリポアミドデヒドロゲナーゼをコードする)に特異的突然変異を導入することによって得ることができる。
嫌気性または微好気性条件下で、前駆体の、1,2−プロパンジオールへの還元に関するNADHのアベラビリティーが高められることが有利である。これは、グローバルレギュレーターArcA(arcA遺伝子によりコードされている)により媒介されるトリカルボン酸サイクルに対する抑制を軽減することにより得られる。細胞のNADH濃度はまた、遺伝子ndhによりコードされているNADHデヒドロゲナーゼを不活性化することにより増強され得る。よって、好ましくは、arcAおよびndhから選択される少なくとも1つの遺伝子が減弱される。
好ましくは、本発明の微生物は細菌、酵母または真菌から選択される。より好ましくは、微生物は腸内細菌科、バチルス科、クロストリジウム科、ストレプトミセス科およびコリネバクテリア科からなる群から選択される。いっそうより好ましくは、微生物は大腸菌またはクロストリジウム・アセトブチリカムのいずれかである。
本発明のもう1つの目的は、これまでに記載したものなどの微生物が単純炭素源を含有する適切な増殖培地で増殖され、その後、生成された1,2−プロパンジオールが回収される、1,2−プロパンジオールを製造するための方法である。1,2−プロパンジオールの製造は好気性、微好気性または嫌気性条件下で行われる。
発酵プロセスの培養条件は、当業者ならば容易に定義することができる。特に、細菌は20℃〜55℃の間、好ましくは25℃〜40℃の間の温度、好ましくは、C.アセトブチリカムでは約35℃、大腸菌では約37℃で発酵される。
この工程は回分法、流加法または連続法のいずれかで行うことができる。
「好気性条件下」とは、酸素が、液体相に気体を溶解させることにより培養物に供給されることを意味する。これは、(1)酸素を含有する気体(例えば、空気)を液体相に散布すること、または(2)培養培地を含有する容器を振盪して、上部空間に含まれている酸素を液体相に送ることにより得ることができる。嫌気性条件下ではなく好気性条件下での発酵の利点は、電子受容体としての酸素の存在が、その株の、細胞プロセスのためにより多くのエネルギーをATP形態で生産する能力を改良するということである。従って、その株はその全般的代謝が改良されている。
微好気性条件は、低パーセンテージの酸素(例えば、0.1〜10%の間の酸素を含み、窒素で100%とした混合物を用いる)が液体相に溶解される培養条件として定義される。
嫌気性条件は、培養培地に酸素が供給されない培養条件として定義される。厳密な嫌気性条件は、他の気体の痕跡を除去するために培養培地に窒素のような不活性ガスを散布することにより得られる。硝酸を電子受容体として用い、株によるATP生産を改良し、その代謝を改良することができる。
本発明において「適切な増殖培地」とは、微生物の増殖に適合した既知のモル構成の培地を表す。例えば、少なくとも1つの炭素源を含有し、使用する細菌に適合した既知の設定構成の無機培養培地である。従って、大腸菌用の無機増殖培地は、特に、M9培地(Anderson, 1946, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 32:120-128)、M63培地(Miller, 1992; A Short Course in Bacterial Genetics: A Laboratory Manual and Handbook for Escherichia coli and Related Bacteria, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York) と同一もしくは類似の組成のもの、またはSchaefer et al. (1999, Anal. Biochem. 270: 88-96)により定義されているものなどの培地、および下記のMPGと呼ばれる最小培養培地であり得る。
Figure 2010521190
本発明の特定の実施態様では、この方法は、アラビノース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、ラクトース、マルトース、スクロースまたはキシロースであり得る単純炭素源を含有する培地で増殖させた大腸菌株を用いて行われる。
本発明の別の特定の実施態様では、この方法は、単純炭素源または複合炭素源を含有する培地で増殖させたC.アセトブチリカム株を用いて行われる。
従って、増殖培地は、クロストリジウム増殖培地(CGM, Wiesenborn et al., Appl. Environm. Microbiol., 54: 2717-2722)またはMonot et al. (Appl. Environm. Microbiol., 44: 1318-1324)もしくはVasconcelos et al. (J. Bacterid., 176: 1443-1450)により示されているような無機増殖培地と同一もしくは類似の組成のものであり得る。
C.アセトブチリカムの培養に用いられる炭素源は単純炭素または複合炭素のいずれかである。単純炭素源はアラビノース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、ラクトース、マルトース、スクロースまたはキシロースであり得る。特に好ましい単純炭素源はグルコースである。複合炭素源はデンプンまたはヘミセルロースであり得る。特に好ましい複合炭素源はデンプンである。
有利には、回収された1,2−プロパンジオールはさらに精製される。当業者ならば、1,2−プロパンジオールを回収および精製するための様々な手段を知っている。
本発明は上記、下記および大腸菌に関して実施例に記載されている。よって、本発明の始原株および進化株に関して減弱、欠失または過剰発現可能な遺伝子は、主として大腸菌由来の遺伝子の名称を用いて定義される。しかしながら、この名称は本発明によればより一般的な意味を持ち、他の微生物において対応する遺伝子も包含する。当業者ならば、大腸菌由来の遺伝子のGenBank参照番号を用いて、大腸菌以外の生物における等価な遺伝子を同定することができる。
相同配列の同定の手段およびそれらの相同性%は当業者によく知られており、特に、ウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/で、このウェブサイトに示されているデフォルトパラメーターとともに使用することができるBLASTプログラムを含む。得られた配列は、例えばCLUSTALWプログラム(http://www.ebi.ac.uk/clustalw/)を、これらのウェブサイトに示されているデフォルトパラメーターとともに用いて利用(アライン)することができる。
PFAMデータベース(protein families database of alignments and Hidden Markov Models http://www.sanger.ac.uk/Software/Pfam/)は、タンパク質配列アライメントの大きなコレクションである。各PFAMは、複数のアライメントの可視化、タンパク質ドメインの観測、生物間での分布の評価、他のデータベースへのアクセスの確保および既知のタンパク質構造の可視化を可能とする。
COG(Clusters of Orthologous Groups of protein http://www.ncbi.nlm.nih. gov/COG/)は、44の主要な系統発生論的系統を表す66の完全に配列決定された単細胞ゲノムに由来するタンパク質配列を比較することにより得られる。各COGは少なくとも3つの系統から定義され、古くから保存されていたドメインの同定が可能となる。
参照文献(本明細書に引用されている順)
Figure 2010521190
Figure 2010521190
実施例1:改変大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA::cm(pME101VB01−yqhD−mgsA−gldA)、大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA::cm(pME101VB01−yafB−−mgsA−gldA)および大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA::cm(pME101VB01−yqhE−mgsA−gldA)の構築
1,2−プロパンジオールの生産を高めるために、trcプロモーターを用い、遺伝子の種々の組合せをプラスミドpME101VB01から発現させた。
a)改変大腸菌株MG1655(pMΕ101VB01−yqhD−mgsA−gldA)、MG1655(pME101VB01−yafB−mgsA−gldA)およびMG1655(pME101VB01−yqhE−mgsA−gldA)の構築
プラスミドpME101VB01の構築
プラスミドpME101VB01はプラスミドpME101に由来し、希少な制限エンドヌクレアーゼNheI、SnaBI、PacI、BglII、AvrII、SacIIおよびAgeIに特異的な認識部位配列とその後にクロストリジウム・アセトブチリカムATCC824のadc転写ターミネーターを含む多重クローニング部位を担持している。
低コピーベクターからの発現のために、プラスミドpME101を次のように構築した。プラスミドpCL1920(Lerner & Inouye, 1990, NAR 18, 15 p 4631 - GenBank AX085428)を、オリゴヌクレオチドPME101FおよびPME101RならびにlacI遺伝子を担持するベクターpTrc99A(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)由来のBstZ17I−XmnI断片を用いてPCR増幅し、増幅されたベクターにtrcプロモーターを挿入した。
PME101F(配列番号1):
ccgacagtaagacgggtaagcctg
PME101R(配列番号2):
agcttagtaaagccctcgctag
多重クローニング部位とadc転写ターミネーターを含む合成二本鎖核酸リンカーを用いてpME101VB01を作製した。NcoIまたはHindIIIで消化された制限部位によってフランキングされた、相補的な2つの100塩基のオリゴヌクレオチドをアニーリングさせた。この100塩基対の産物をNcoI/HindIIIで消化されたプラスミドpME101にサブクローニングしてpME101VB01を作製した。
pME101VB01 1は、100塩基(配列番号3):
catgggctagctacgtattaattaaagatctcctaggagctcaccggtTAAAAATAAGAGTTACCTTAAATGGTAACTCTTATTTTTTTAggcgcgcca
からなり、
pME101VB01 2は、100塩基(配列番号4):
agcttggcgcgccTAAAAAAATAAGAGTTACCATTTAAGGTAACTCTTATTTTTAaccggtgagctccctagagatctttaattaatacgtagctagcc
からなり、
・多重クローニング部位に対応する領域(下線の小文字)
・クロストリジウム・アセトブチリカムATCC 824pSOL1(NC_001988)のadc転写ターミネーター(配列179847〜179814)に相当する領域(大文字)を含む。
1,2−プロパンジオールの生合成経路の遺伝子の種々の組合せを発現させるためのプラスミドの構築(pME101VB01−yqhD−mgsA−gldA、pME101VB01−yafB−mgsA−gldAおよびpME101YB01−yqhE−mgsA−gldA)
表1に示されたオリゴヌクレオチドを用い、大腸菌MG1655のゲノムDNAから種々の遺伝子をPCR増幅した。
Figure 2010521190
PCR増幅した断片を表1に示される制限酵素で切断し、プラスミドpME101VB01の制限部位へクローニングした。次のプラスミドを構築した:pME101VB01−yqhD−mgsA−gldA、pME101VB01−yqfβ−mgsA−gldAおよびpME101VB01−yqhE−mgsA−gldA。
次に、これらのプラスミドを大腸菌MG1655株に導入した。
b)改変大腸菌株MG1655 Ptrc16−gapA::cmの構築
大腸菌MG1655株における天然gapAプロモーターの、合成ショートPtrc16プロモーター(配列番号69:gagctgttgacgattaatcatccggctcgaataatgtgtgg)での置換は、225pbの上流gapA配列をFRT−CmR−FRTおよび操作プロモーターで置換することにより行う。用いた技術は、Datsenko, K.A. & Wanner, BX. (2000)により記載されている。
プロトコール1に従い、天然gapAプロモーターを置換するのに用いた2つのオリゴヌクレオチドを表2に示す。
プロトコール1:組換えのためのPCR産物の導入および組換え体の選択
遺伝子または遺伝子間領域の置換のために選択され、表2に示されたオリゴヌクレオチドを用い、プラスミドpKD3由来のクロラムフェニコール耐性カセットまたはプラスミドpKD4由来のカナマイシン耐性カセットを増幅した(Datsenko, K.A. & Wanner, B.L. (2000))。次に、得られたPCR産物を、そこで発現したRed(exo)系が相同組換えに極めて有利である、プラスミドpKD46を担持するレシピエント株にエレクトロポレーションにより導入した。その後、抗生物質耐性形質転換体を選択し、その耐性カセットの挿入を、表3に示された適切なオリゴヌクレオチドを用いた分析により確認した。
得られた株を大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA::cmと命名した。
3つのプラスミドをそれぞれ大腸菌株MG1655 Ptrc16−gapA::cmに導入した。
Figure 2010521190
Figure 2010521190
実施例2:1,2−プロパンジオールを高収量で生産し得る改変大腸菌株MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔpykA,ΔpykF(pME101VB01−yqhD−mgsA−gldA),(pJB137−PgapA−ppsA)、大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔpykA,ΔpykF(pME101VB01−yqfB−mgsA−gldA),(pJB137−PgapA−ppsA)および大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔpykA,ΔpykF(pME101VB01−yqhE−mgsA−gldA),(pJB137−PgapA−ppsA)の構築
大腸菌MG1655株において、プロトコール1に記載の技術を表2に示されたオリゴヌクレオチドとともに用い、カナマイシン抗生物質耐性カセットを挿入し、関連遺伝子の大部分を欠失させることにより、edd−eda遺伝子を不活性化した。得られた株を大腸菌MG1655 Δedd−eda::kmと命名した。
この欠失を、プロトコール2に従い、大腸菌株MG1655 Ptrc16−gapA::cmに導入した。
プロトコール2:遺伝子欠失のためのファージP1を用いた形質導入
レシピエント大腸菌における、その遺伝子を耐性カセット(カナマイシンまたはクロラムフェニコール)で置換することによる選択された遺伝子の欠失は、ファージP1を用いた形質導入技術によって行った。プロトコールは、(i)単一の遺伝子が欠失したMG1655株でのファージ溶解液の作製、および(ii)このファージ溶解液によるレシピエント株の形質導入の二段階であった。
ファージ溶解液の作製
・10mlのLB+Cm 30μg/ml+グルコース0.2%+CaCl2 5mMでの、単一の遺伝子が欠失したMG1655株の一晩培養物100μlを播種する。
・振盪しながら37℃で30分インキュベーション。
・野生株MG1655で作製したファージP1溶解液100μl(およそ1×109ファージ/ml)を加える。
・37℃で3時間、全ての細胞が溶解するまで振盪する。
・200μlのクロロホルムを加え、ボルテックスにかける・
・4500gで10分の遠心分離を行い、細胞残渣を除去する。
・上清を無菌試験管に移し、200μlのクロロホルムを加える。
・この溶解液を4℃で保存する。
形質導入
・LB培地中、大腸菌レシピエント株の一晩培養物5mlを1500gで10分遠心分離する。
・この細胞ペレットを2.5mlのMgSO4 10mM、CaCl2 5mM中に懸濁させる。
・対照試験管:細胞100μl
単一の遺伝子が欠失したMG1655株のファージP1 100μl
・試験管試験:細胞100μl+単一の遺伝子が欠失したMG1655株のファージP1 100μl
・振盪せずに30℃で30分インキュベーション。
・各試験管に1Mクエン酸ナトリウム100μlを加え、ボルテックスにかける。
・1mlのLBを加える。
・振盪しながら37℃で1時間インキュベーション。
・試験管を7000rpmで3分遠心分離した後、ディッシュ上、LB+Cm30μg/mlでプレーティング。
・37℃で一晩インキュベーション。
次に、抗生物質耐性形質転換体を選択し、欠失の挿入を、適切なオリゴヌクレオチドを用いたPCR分析により確認した。
得られた株を大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA::cm、Δedd−eda::kmと命名した。
次に、プロトコール3に従い、抗生物質耐性カセットを除去した。
プロトコール3:耐性カセットの除去
クロラムフェニコールおよび/またはカナマイシン耐性カセットを以下の技術に従って除去した。クロラムフェニコールおよび/またはカナマイシン耐性カセットのFRT部位にFLPレコンビナーゼ作用を有するプラスミドpCP20をエレクトロポレーションによりこの組換え株へ導入した。42℃で連続培養した後、これらの抗生物質耐性カセットの欠損を、表1に示されたオリゴヌクレオチドを用いたPCR分析により確認した。
プロトコール1に従い、表2に示されたオリゴヌクレオチドを用いてMG1655 ΔgloA::cm株を構築し、この欠失を、プロトコール2に従って予め構築した株に導入した。得られた株を大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA::cmと命名した。
先の株において、プロトコール1に従い、表2に示されたオリゴヌクレオチドを用い、カナマイシン抗生物質耐性カセットを挿入することにより、pykA遺伝子を不活性化した。得られた株を大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA::cm,ΔpykA::kmと命名した。
次に、プロトコール3に従い、抗生物質耐性カセットを除去した。
プロトコール1に従い、表2に示されたオリゴヌクレオチドを用い、クロラムフェニコール抗生物質耐性カセットを挿入することにより、pykF遺伝子を不活性化した。得られた株を大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔpykA,ΔpykF::cmと命名した。
次に、プロトコール3に従い、抗生物質耐性カセットを除去した。
各段階で、それまでに構築された全ての欠失の存在を、表3に示されたオリゴヌクレオチドを用いて確認した。
ホスホエノールピルビン酸の生産を高めるために、ppsA遺伝子を、gapAプロモーターを用いてプラスミドpJB137から発現させた。プラスミドpJB137−P gapA−ppsAの構築のため、ppsA遺伝子を、以下のオリゴヌクレオチドを用いて大腸菌MG1655のゲノムDNAからPCR増幅した。
1.gapA−ppsAFは、65塩基(配列番号64):
ccttttattcactaacaaatagctggtggaatatATGTCCAACAATGGCTCGTCACCGCTGGTGC
からなり、
・ウェブサイト(http://genolist.pasteur.fr/Colibri/)の参照配列であるppsA遺伝子(1785136〜1782758)の配列(1785106〜1785136)と相同な領域(大文字)
・gapAプロモーター(1860794〜1860761)と相同な領域(小文字)
を含む。
2.ppsARは、43塩基(配列番号65):
aatcgcaagcttGAATCCGGTTATTTCTTCAGTTCAGCCAGGC
からなり、
・ppsA遺伝子の領域(1785136〜1782758)の配列(1782758〜1782780)と相同な領域(小文字)
・制限部位HindIII(下線の文字)
を含む。
同時に、大腸菌gapA遺伝子のgapAプロモーター領域を、以下のオリゴヌクレオチドを用いて増幅した。
1.gapA−ppsARは、65塩基(配列番号66):
GCACCAGCGGTGACGAGCCATTGTTGGACATatattccaccagctatttgttagtgaataaaagg
からなり、
・ppsA遺伝子(1785136〜1782758)の配列(1785106〜1785136)と相同な領域(大文字)および
・gapAプロモーター(1860794〜1860761)と相同な領域(小文字)
を含む。
2.gapAFは、33塩基(配列番号67):
ACGTCCCGGGcaagcccaaaggaagagtgaggc
からなり、
・gapAプロモーター(1860639〜1860661)と相同な領域(小文字)
・制限部位SmaI(下線の文字)
を含む。
次に、両断片を、オリゴヌクレオチドppsARおよびgapAF(Horton et al. 1989 Gene 77:61-68)を用いて融合した。PCR増幅した断片を制限酵素HindIIIおよびSmaIで切断し、ベクターpJB137(EMBL受託番号:U75326)のHindIII/SmaI部位にクローニングし、ベクターpJB137−PgapA−ppsAを得た。
種々のpME101VB01プラスミドおよびpJB137−PgapA−ppsAを大腸菌株MG1655Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔpykA,ΔpykFに導入した。得られた株をそれぞれ大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔpykA,ΔpykF,pME101VB01−yqhD−mgsA−gldA,pJB137−PgapA−ppsA(株1)、大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔpykA,ΔpykF,pME101VB01−yafB−mgsA−gldA,pJB137−PgapA−ppsA(株2)および大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔpykA,ΔpykF,pME101VB01−yqhE−mgsA−gldA,pJB137−PgapA−ppsA(株3)と命名した。
実施例3:1,2−プロパンジオールをグルコース1モル当たり1モルよりも高い収率で生産し得る改変大腸菌株MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔaldA,ΔaldB,ΔldhA,ΔpflAB,ΔadhE、ΔackA−pta、ΔpoxB,ΔpykA,ΔpykF(pME101VB01−yqhD−mgsA−gldA)、(pJB137−PgapA−ppsA)、大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔaldA,ΔaldB,ΔldhA,ΔpflAB,ΔadhE,ΔackA−pta,ΔpoxB,ΔpykA,ΔpykF(pME101VB01−yafB−mgsA−gldA)、(pJB137−PgapA−ppsA)および大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔaldA,ΔaldB,ΔldhA,ΔpflAB,ΔadhE,ΔackA−pta,ΔpoxB,ΔpykA,ΔpykF(pME101VB01−yqhE−mgsA−gldA)、(pJB137−PgapA−ppsA)の構築
プロトコール1に従い、表2に示されたオリゴヌクレオチドを用い、MG1655 ΔaldA::km、MG1655 ΔaldB::cm、MG1655 ΔpflAB::km、MG1655 ΔadhE::cm、MG1655 ΔackA−pta::cmを構築し、これらの欠失を、プロトコール2に従い、これまでに構築した株に導入する。必要があれば、プロトコール3に従い、抗生物質耐性カセットを除去する。
プロトコール1に従い、表2に示されたオリゴヌクレオチドを用い、クロラムフェニコール抗生物質耐性カセットを挿入することにより、ldhA遺伝子とpoxB遺伝子を不活性化する。必要があれば、プロトコール3に従い、抗生物質耐性カセットを除去する。
各段階で、それまでに構築された全ての欠失の存在を、表3に示されたオリゴヌクレオチドを用いて確認した。
得られた株を大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔaldA,ΔaldB,ΔldhA,ΔpflAB,ΔadhE,ΔackA−pta,ΔpoxB,ΔpykA,ΔpykFと命名した。
これら種々のpME101VB01プラスミドおよびpJB137−PgapA−ppsAを大腸菌株MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔaldA,ΔaldB,ΔldhA,ΔpflAB,ΔadhE,ΔackA−pta,ΔpoxB,ΔpykA,ΔpykFに導入した。得られた株をそれぞれ、大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔaldA,ΔaldB,ΔldhA,ΔpflAB,ΔadhE,ΔackA−pta,ΔpoxB,ΔpykA,ΔpykF、pME101VB01−yqhD−mgsA−gldA,pJB137−PgapA−ppsA、大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔaldA,ΔaldB,ΔldhA,ΔpflAB,ΔadhE,ΔackA−pta,ΔpoxB,ΔpykA,ΔpykF,pME101VB01−yafB−mgsA−gldA,pJB137−PgapA−ppsAおよび大腸菌MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA、ΔaldA,ΔaldB,ΔldhA,ΔpflAB,ΔadhE,ΔackA−pta,ΔpoxB,ΔpykA、ΔpykF、pME101VB01−yqhE−mgsA−gldA、pJBM−PgapA−ppsAと命名した。
実施例4:好気性条件下での1,2−プロパンジオール生産に関する種々の株の比較
実施例2で記載したように得られた株(株1、2および3)および対照株(対照1:MG1655 pME101VB01−yqhD−mgsA−gldA、対照2:MG1655 pME101VB01−yafB−mgsA−gldA、対照3:MG1655 pME101YB01−yqhE−mgsA−gldAおよび対照4:MG1655 Ptrc16−gapA,Δedd−eda,ΔgloA,ΔpykA,ΔpykF)を、エルレンマイヤーフラスコ内、好気性条件下、炭素源としてグルコースを含む最小培地中で培養した。培養は34℃または37℃で行い、培養培地をMOPSで緩衝させることによりpHを維持した。培養の終了時に、発酵培養液中の1,2−プロパンジオール、アセトールおよび残留グルコースをHPLCにより分析し、グルコースに対する1,2−プロパンジオールおよびグルコースに対する1,2−プロパンジオール+アセトールを算出した。その後、最良の株を発酵槽の流加培養のために選択した。
Figure 2010521190
実施例5:最良の株を用いた流加培養での1,2−プロパンジオールの生産
これまでの実験で選択された最良の株を、流加プロトコールを用い、21発酵槽で培養する。
培養物の温度は37℃に維持し、pHはNH4OH溶液を用い、常に6.5〜8の間に調整する。振盪速度は回分期には200〜300rpmの間に維持し、流加期の終了時には1000rpmまで引き上げる。溶解酸素濃度は、ガスコントローラーを用いて30〜40%の間の値に維持する。光学密度が3〜5の間の値に達した際に、流加を初期流速0.3〜0.5ml/時で開始し、2.5〜3.5ml/時の間の流速値まで段階的に引き上げる。この時点で24〜48時間、流速を一定に維持する。流加培地は300〜500g/lの間の濃度のグルコースを含有する最小培地に基づく。

Claims (31)

  1. 炭素源からの1,2−プロパンジオールの製造に有用な微生物であって、
    ・ジヒドロキシアセトンリン酸から1,2−プロパンジオールへの生合成経路の活性の増強、および
    ・グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼの活性の減弱
    によって特徴づけられる、微生物。
  2. ジヒドロキシアセトンリン酸から1,2−プロパンジオールへの生合成経路に関与する少なくとも1つの酵素の活性を増強するように遺伝子操作されている、請求項1に記載の微生物。
  3. 少なくとも1つの酵素の活性の増強が、該酵素をコードする遺伝子の発現を増強することにより得られる、請求項2に記載の微生物。
  4. mgsA、yafB、yeaE、yghZ、yqhE、yqhD、ydhF、ycdW、yajO、ydjG、ydbC、tas、gldAおよびfucOからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現が増強されている、請求項3に記載の微生物。
  5. 3つの遺伝子:mgsA、yqhDおよびgldAの発現が増強されている、請求項4に記載の微生物。
  6. Entner-Doudoroff経路に関与する少なくとも1つの酵素の活性が減弱されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の微生物。
  7. 次の遺伝子:edd、edaの少なくとも1つの発現が減弱されている、請求項6に記載の微生物。
  8. メチルグリオキサールから乳酸への変換に関与する少なくとも1つの酵素の活性が減弱されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の微生物。
  9. 次の遺伝子:gloA、aldA、aldBの少なくとも1つの発現が減弱されている、請求項8に記載の微生物。
  10. 乳酸、ギ酸またはエタノールの合成に関与する少なくとも1つの酵素の活性が減弱されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の微生物。
  11. 次の遺伝子:ldhA、pflA、pflB、adhEの少なくとも1つの発現が減弱されている、請求項10に記載の微生物。
  12. 酢酸の合成に関与する少なくとも1つの酵素の活性が減弱されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の微生物。
  13. 次の遺伝子:ackA、pta、poxBの少なくとも1つの発現が減弱されている、請求項12に記載の微生物。
  14. 糖移入の効率が高められている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の微生物。
  15. ホスホエノールピルビン酸とは独立の糖移入系が用いられる、請求項14に記載の微生物。
  16. galPおよびglkから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現が増強されている、請求項15に記載の微生物。
  17. 糖ホスホトランスフェラーゼ系の効率が、代謝産物ホスホエノールピルビン酸のアベラビリティーを高めることによって増強されている、請求項14に記載の微生物。
  18. 少なくとも1つのピルビン酸キナーゼの活性が減弱されている、請求項17に記載の微生物。
  19. pykAおよびpykFから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現が減弱されている、請求項18に記載の微生物。
  20. ホスホエノールピルビン酸シンターゼ活性が増強されている、請求項17〜19のいずれか一項に記載の微生物。
  21. ppsA遺伝子の発現が増強されている、請求項20に記載の微生物。
  22. ピルビン酸のアセチル−CoAへの代謝に有利な酵素が、非修飾酵素よりもNADHによる阻害に対して低い感受性を有する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の微生物。
  23. 遺伝子lpdが、アラニン55のバリンでの置換をもたらす点突然変異を有する、請求項22に記載の微生物。
  24. arcAおよびndhから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現が減弱されている、請求項1〜23のいずれか一項に記載の微生物。
  25. 細菌、酵母および真菌からなる群から選択される、請求項1〜24のいずれか一項に記載の微生物。
  26. 内細菌科、バチルス科、クロストリジウム科、ストレプトミセス科およびコリネバクテリア科からなる群から選択される、請求項25に記載の微生物。
  27. 大腸菌またはクロストリジウム・アセトブチリカムのいずれかである、請求項26に記載の微生物。
  28. 1,2−プロパンジオールを製造するための方法であって、請求項1〜27のいずれか一項に記載の微生物が炭素源を含有する適切な増殖培地で増殖され、生成した1,2−プロパンジオールが回収される、方法。
  29. 微生物が大腸菌(Escherichia coli)であり、炭素源が単純炭素源である、請求項28に記載の方法。
  30. 微生物がクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)であり、炭素源が複合炭素源である、請求項28に記載の方法。
  31. 回収された1,2−プロパンジオールがさらに精製される、請求項28〜30のいずれか一項に記載の方法。
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